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相談室(No.5601〜5700)

このページは乳がんに関する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。ご相談内容は  info@kbcts.gr.jp   まで、メールでご連絡下さい。なお治療法は、患者さんと主治医がご相談されて決定されるものであり、この相談室でお答えできるのは、一般的な参考意見であることをご了解下さい。

当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

目 次

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No

日 付

名 前

件  名

担 当

5700 06/09/03 T子  婦人科受診について(HPNo.5461-2)
5699 06/09/01 A・K 婦人科のお薬
5698 06/09/01 S.Y.  母が炎症性乳癌で再発
5697 06/09/01 F  乳頭についた白いカスのようなものについて
5696 06/09/01 K子 脇の下のしこり 須田
5695-1
5695-2
06/09/01
06/09/17
脇の下のしこりと指の痺れ
術前化学療法について
須田
千島
5694 06/09/01 Y.I.  後遺症で・・・ 須田
5693-1
5693-2
06/08/31
06/11/01
O.S.  今後の治療について
今後の治療について(2)

石川
5692-1
5692-2

5692-3
5692-4
06/08/31
06/09/07
06/09/14
06/09/19
M.S. 乳癌と診断されました
化学療法の必要性
乳癌の内視鏡手術について
内視鏡補助手術


俵矢
千島
5691 06/08/31 K.T.  補助療法についての相談
5690 06/08/31 MY 術後の治療
5689 06/08/31 K  46才、左全摘リンパ16中6個転移
5688 06/08/30 S.O. ドレーンを抜いた後の周辺部の腫れについて 須田
5687 06/08/30 H.K. 乳がんの再発 須田
5686 06/08/30 A  生検の必要性 須田
5685 06/08/30 S.Y. 乳頭について 須田
5684 06/08/30 術後化学療法について 須田
5683 06/08/30 K  乳腺症について 須田
5682 06/08/30 Z  術後1年、かゆみがあります 須田
5681 06/08/30 ADHの経過観察について 須田
5680 06/08/30 K.I.  ホルモンセレクター 須田
5679 06/08/30 H.M.  今後の治療と妊娠について 須田
5678 06/08/30 Y.N.   ホルモン療法について 須田
5677 06/08/30 TN 妻の様態(2)(HPNo.5564-5) 須田
5676 06/08/30 M.H. 一昨日、乳癌の告知を受けました 須田
5675 06/08/30 A 病理結果(特殊型)について 須田
5674 06/08/24 M  小学6年の男の子です 須田
5673 06/08/24 M-A 乳腺嚢胞について 須田
5672 06/08/23 A.H.  乳房同時再建手術をやめるべきか等について 須田
5671 06/08/23 TN  妻の様態(HPNo.5564-4) 須田
5670 06/08/23 O.M. 知人の乳癌治療について 須田
5669-1
5669-2

5669-3
06/08/23
06/08/30
06/09/14
W  非蝕知乳癌について(非浸潤乳管癌)
非触知乳癌の今後の治療方針について
放射線治療について
須田
須田
俵矢
5668-1
5668-2

5668-3
06/08/23
06/09/24
06/11/11
A.O 局所再発後の治療について
TS1の薬量について
TS1の副作用は肝臓にでるのですか?
須田
徳田
石山
5667-1
5667-2
06/08/20
06/08/23
S.T.   術後の治療方針内容についての相談
術後の治療方針内容についての相談(2)
首藤
須田
5666 06/08/20 H.M.  非浸潤ガンの治療と再建について 首藤
5665-1
5665-2
06/08/20
06/08/23
K子 線維腺腫の疑い
線維腺腫の疑い・妊娠希望
首藤
須田
5664 06/08/20 S.Y.  マンモトームの予後について 首藤
5663 06/08/19 M.S.  炎症性乳がんと抗がん剤について 首藤
5662 06/08/19 E.K ホルモン療法について(HPNo.5368-2) 首藤
5661 06/08/19 K.K.  放射線治療について 首藤
5660 06/08/19 S.F.   注射の位置について 首藤
5659 06/08/19 K-H   しこりの位置が気になります 首藤
5658 06/08/19 Y  19歳です 首藤
5657 06/08/19 Y  迅速生検の正確さについて 首藤
5656 06/08/19 M.O.  右胸のしこりについて 首藤
5655 06/08/19 H.M  閉経後の体調が…(HPNo.4265-5) 首藤
5654 06/08/19 M.E. 左胸しこりの痛みについて 首藤
5653 06/08/18 Y 手術後の治療について(HPNo.5598-2) 清水
5652 06/08/17 A.Y. 部分切除後の治療について(HPNo.3753-2) 首藤
5651 06/08/17 A.N.  非浸潤癌について(3)(HPNo.5474-3) 首藤
5650 06/08/17 R.N.  タモキシフェンとHer2 首藤
5649 06/08/17 H.M. 乳腺線維腺腫について 首藤
5648 06/08/17 EK ステージUの場合、転移の確立について 首藤
5647 06/08/15 RU 腫瘍マーカーCA125について(HPNo.1441-4) 清水
5646 06/08/15 IW  不安なのです 清水
5645 06/08/15 chizu   リンパ節郭清について 清水
5644 06/08/15 na 乳癌手術後の検査方法について 清水
5643 06/08/15 M  高齢の父のシコリについて 清水
5642 06/08/15 K.F.  検診内容とハーセプチンについて(HPNo.2650-7) 清水
5641-1
5641-2

5641-3
06/08/15
06/08/17
06/08/31
Q  手術後の治療について
放射線治療の開始時期について
手術後の治療について
清水
首藤
5640 06/08/15 M.T 脇の下のしこり 清水
5639 06/08/13 Y.O.  手術前に特別配慮することは? 清水
5638 06/08/13 ホルモン療法について(HPNo.4979-2) 清水
5637 06/08/13 W   脇の痛みについて 清水
5636-1
5636-2

5636-3
06/08/13
06/08/17
08/03/24
クッキー 骨転移再発治療方法について
骨転移についての再質問
骨転移進行後の化学療法開始と精神ケアについて
清水
清水
5635 06/08/13 T.M 乳癌術後の抗癌剤投与について 清水
5634 06/08/13 M.O. ホルモン療法について 清水
5633 06/08/12 hanur 石灰化の診断について 清水
5632 06/08/12 H子 再発率、生存率をお教え下さい(2)(HPNo.5597-2) 清水
5631 06/08/12 M F ホルモン療法について 清水
5230 06/08/12 M子   主治医の移籍 清水
5629-1
5629-2
06/08/12
06/09/17
j  しこりについて
超音波ガイド下乳房腫瘤針生検について
清水
千島
5628 06/08/12 M.I.  生理について(HPNo.1868-10) 清水
5627-1
5627-2
06/08/12
06/08/31
S. しこりの切除について
検査結果について
清水
5626 06/08/12 A.T 骨転移予防薬の認可 清水
5625 06/08/09 U.K. 娘の胸のシコリについて 清水
5624 06/08/09 K  乳腺症なのでしょうか? 清水
5623 06/08/09 N  乳房と脇の下のしこりが心配です 清水
5622 06/08/09 S・M 生存率の内訳について 清水
5621-1
5621-2
06/08/09
06/08/13
J.A.  抗がん剤と漢方について
閉経前の術後療法について
清水
清水
5620 06/08/09 RK  乳房のしこり 清水
5619 06/08/08 M.M. 再びホルモン血液検査結果について(HPNo.4821-2) 鈴木
5618 06/08/08 TN  乳がん転移と咳こみ(3)(HPNo.5564-3) 鈴木
5617 06/08/08 M  悪性葉状腫瘍について(2)(HPNo.5500-2) 鈴木
5616 06/08/08 K.M. リンパ節転移の可能性について 鈴木
5615 06/08/08 F・K 局所再発5回目 鈴木
5614 06/08/08 K  パジェット病の疑いについて 鈴木
5613 06/08/08 S.Y.  細菌感染(臍炎)処置について 鈴木
5612 06/08/08 Y.Y 生検 鈴木
5611 06/08/07 S.N.  抗癌剤の中止(HPNo.5425-4) 鈴木
5610 06/08/07 K.T 乳がんの種類について(HPNo.4953-3) 鈴木
5609 06/08/07 Y  術後の生活について 鈴木
5608 06/08/07 I  半年間の経過観察 鈴木
5607-1
5607-2

5607-3
5607-4
06/08/07
06/09/04
07/01/28
10/09/20
H  非浸潤乳管がんについて
非浸潤性がん(追加報告):断片陰性のはずが・・・
若年性乳がんについて
のう胞内にポリープが発見されました
鈴木

千島
加藤
5606 06/08/07 U  石灰化集簇について 鈴木
5605-1
5605-2
06/08/07
06/09/13
今後の治療方法について
今後の治療方法について(2)
鈴木
俵矢
5604 06/08/07 S.N.  乳がん再発の痛みについて 鈴木
5603 06/08/07 MH センチネルリンパ生検について 鈴木
5602 06/08/07 Y・H 乳頭からの出血 鈴木
5601 06/08/07 S   しこりについて 鈴木

 

 

No.5700】   06年09月03日    T子 
婦人科受診について(HPNo.5461-2)

前回NHPNo.5461で相談させていただきました。ありがとうございました。アリミデックスからアロマシンに薬を変えていただき1ヶ月経ちます。今回は婦人科受診について相談させていただきます。子宮ガン検診を受けた婦人科では、2週間に一度通院するように言われ、昨日も受診しました。子宮ガン検診から4ヶ月も経っているので、主治医に通院の必要性を伺ったところ、「薬を飲んでいる以上、いつ出血してもおかしくないので、定期的に様子を見ている」と言われました。最初に受診したときは子宮口にただれがあり、自分では気づかない程度の出血があったようです。婦人科から特に薬は出ていませんが、アロマターゼ阻害剤の副作用として、そのようなことはあるのでしょうか。定期的に子宮ガン検診を行う必要があるとは思っていますので、どのくらいの期間をおいて検査を受ければよいのか教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

アロマターゼ阻害剤の副作用には性器出血との記載があり、子宮口のただれも、その可能性はあると思います。アロマターゼ阻害剤はタモキシフェンに比べ子宮体癌の副作用の頻度は低いとされてはおりますが、出血の副作用も含め何らかの症状があれば随時、なくても3〜6ヶ月毎の受診がよろしいのではないかと考えます。(文責 谷)

 

No.5699】   06年09月01日    A・K
婦人科のお薬

不安な事がありネットで調べていてこちらを見つけました。相談させて下さい。23才です。半年以上生理と関係なく左胸が痛み、1ヵ月前に検査したところ乳腺症だろうから気にしすぎないようとの事でした。最近1週間おきに生理があり婦人科にも通っていて、周期を戻すためプレマリンを22日間、ルトラールを後半11日間飲むことになりました。先生に乳腺症の事は伝えてありますが、このお薬は乳癌のリスクが少しあり、乳腺症の人は注意が必要みたいで、飲むのがとても恐いです。自然に戻るのを待つより、早いうちにリスクをおかしてまで生理不順で飲んだ方がいいでしょか?

プレマリン、ルトラールはともに女性ホルモン製剤であり、乳癌に罹患する可能性をやや高めるといわれております。しかし実際どの程度高まるかは知られておらず、もちろん投与する期間にも多分に影響されるものだと思います。今の生理不順に対してこれらの薬剤がどの程度必要かということになりますが、服用しなくても自然に治る可能性が高いのであれば使用せず様子を見るのも一法だと考えます。しかし、そうでなければ結局これらの薬剤に頼るしかないように思います。このあたりをふまえ、かかりつけの婦人科の先生とよくご相談なさってください。(文責 谷)

 

No.5698】   06年09月01日    S.Y.
母が炎症性乳癌で再発

母が、8年前の乳癌治療後、2年前に炎症性乳癌で再発してしまいました。いろいろな抗癌剤を試しましたが、一向に良くなるどころか、悪化しています。今年3月頃、温熱療法も試したのですが、ひりひりが耐えられなく、中止してしまいました。今年7月頃から、胸部の腫れが肩ともう片方の胸まで広がってきてしまい、その為、ひどい肩凝りと、頭痛、腫れの痛みで寝込んでしまっています。さらに胸水も溜まり、たびたび抜いています。いろいろなホームページを見て恐くなってしまったのですが、炎症性乳癌は5年以内に100%死を迎えてしまうと・・・。何か良い治療方法や、よい病院がありましたら教えて頂けますでしょうか。よろしくお願いいたします。

乳癌術後に炎症性再発をきたし、その後色々な治療を行ったが、現在局所再発およびがん性胸膜炎の状態と考えられます。お母様の場合、炎症性の再発であり、炎症性乳癌とは厳密には少し異なると思いますが、いずれにせよたびたび胸水がたまった状態になるということなどより、どの病院でどの治療をお受けになっても今後の予後が極めて厳しいことは変わりないと考えられます。お母様の「生活の質」をなるべく損なわないで治療を受けられる病院をお選びになるのがベストと考えます。(文責 谷)

 

No.5697】   06年09月01日    F  
乳頭についた白いカスのようなものについて

お忙しいところ、恐れ入りますが、不安に思うことがありまして、相談させていただきます。40歳女性、出産2回。母が52歳の時に乳がんの既往あり。今日、左乳頭に白っぽい(クリーム色)カスのようなもの(半煉り状のもの)が付いているのを見つけました。ちょうどお乳が出る穴(2箇所)で、こすると取れました。普段気にして見ていなかったのですが、そういえばこれまでもこんなことがあったようにも思います。乳がんで乳頭から分泌物が出ることがあると知り、不安です。その後、乳頭をつねってみましたが、分泌物は出ません。お恥ずかしい話ですが、お風呂に入った時に、意識して洗っていないので、汚れがたまっているのでしょうか。また、薬の服用で分泌物が出ることがあるそうですが、胃腸薬はよく飲んでおり、3週間ほど前まで、時々抗不安剤(デパス)を飲んでいました。乳がん検診は半年前に受診し、異常はありませんでしたが、触診のみでしたので、詳しい検査を受けるほうがよいでしょうか。申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

乳頭のについた白いカスのようなものは乳管からの分泌物である可能性が強いと思われますが、メールの内容からの推測ではこの分泌物はごく少量であり、また色も白っぽいとのことなどより、乳癌の際の乳頭分泌ではまずないと考えられます。しかし、安心を得るためにも一度(乳腺)外科外来を受診なさることをお勧めします。(文責 谷)

 

No.5696】   06年09月01日    K子  
脇の下のしこり

初めてメールさせていただきます。42才です。先週乳癌の診断を受けて、今週細胞診断の結果が出ます。「だぶん癌です」と言われました。細胞診断を受けているのは乳房のしこりだけですが、脇の下にもしこりがあります。脇の下の腫れやしこりがあると言う事は、リンパ節への転移と言う事なのでしょうか? 先生もしこりがあることはわかっています。ばくぜんとした内容で申し訳ありません。

乳癌の場合、腋窩のリンパ節が固く腫れていると、リンパ節転移の可能性が高いと思われます。手術時の標本でリンパ節を採取し、顕微鏡で病理検査を行って、転移があるかどうかを確認する事になります。(文責 須田)

 

No.5695-1】   06年09月01日    U . 
脇の下のしこりと指の痺れ

初めてメールさせていただきます。42才、子供2人です。先日乳癌の告知を受けました。これから2週間かけて転移の有無を検査する事になっていますが、脇の下にしこりがあり、エコーでも確認しています。乳房のしこりは2cm位と聞いています。転移の可能性は高いのでしょうか? 少し前から指に痺れも感じます。2週間後に結果と診察を受けますが、それまでに転移が進むのではないかと恐ろしくてなりません。先日診察を受けた時には痺れに気が付かず、話はしていません。2週間後を待たず診ていただいたほうがいいのでしょうか? もし転移していた場合、治療方法はどのようになるのでしょうか? 不安で不安で仕方がない毎日です。申し訳ありませんが、ご回答お願いいたします。

腋窩のリンパ節が腫れていると転移の可能性はありますが、指に痺れが起こるような時は、リンパ節も大きく、神経を圧迫するような場合です。また、頚椎に骨転移がある場合は、手に痺れが起こっても不思議ではないかもしれません。いずれにしても直接診察しなければ分かりませんので、あれこれ疑心暗鬼になって心配しているよりも、まず受診して相談し、不安点を解消したほうがいいかもしれません。手術までには、癌の局所(乳房)での広がりや、肺転移、肝転移、骨転移などの有無を調べて、今後どのような治療を行っていくかを決める事になると思います。疑問点、不安点は遠慮なく主治医にお話し、納得のいく治療を受ける事が大切です。チーム医療を行っている病院であれば、精神的なサポートも含めて、相談に乗ってくださるはずです。(文責 須田)

 

No.5695-2】   06年09月017日    U . 
術前化学療法について

先日は、ご回答ありがとうございました。治療のことで、ご相談致します。精密検査の結果リンパ節への転移以外は無しとのことで、とりあえず安心しましたが、リンパ節転移は今後の生存率を大きく左右すると聞きました。ご相談ですが、術前化学療法を提案されていますが、術後化学療法と比べてデメリットはありますか? リンパ節に転移しているので早急に取ったほうがいいのでしょうか? 術前化学療法で抗ガン剤がきかない場合は、どうなるのでしょうか。手遅れになってしまうこともあるのでしょうか? お手数ですが、ご回答お願いいたします。

最近は、術後に化学療法を行う必要がある場合は、手術の前に化学療法を行う施設も多くなっています。術前化学療法を行うことの利点としては、@貴女の乳癌細胞に対して、どの抗癌剤の効果があるかどうか判定できる。A化学療法の効果が高い場合は、乳房の縮小手術が可能になる。B完全に癌が消失した場合は、再発転移の可能性が少ないことが予想される、などが考えられます。一方、欠点としては、@20%程度で化学療法の効かない乳癌があり、この場合は手術のタイミングが遅くなる。A癌細胞が体内に残っていることで精神的に負担となる、などが考えられます。最近の医学研究では、いずれの治療法を選択しても、生存率には差が見られないことが判っています。術後化学療法では、抗癌剤の最終的な効果判定は「10年後にも再発がないこと」を確認するまで先送りにされていましたが、術前化学療法では結果が数ヶ月以内に判明し、「将来の病状」を予想することができます。つまり、結果がよければ「安心」が保障されますが、結果が悪いときには「不安」が付きまとうことになります。どちらの治療法が自分に適しているか、もう一度主治医と相談しながら決定するようにしてください。(文責 千島)

 

No.5694】   06年09月01日    Y.I. 
後遺症で・・・

母親が乳がんになってしまい、最初は抗がん剤で小さくして、手術で腫瘍部分だけをとりました。でも何ヶ月かすると、今度は右わきの下に転移してしまい、放射線治療をすることになりました。終わる頃には完全に動かなくなってしまい、手がピリピリして痛くなったり、夜も眠れないことが多々あるそうです。今リハビリを受けているのですが、一向に良くなりません。どうしたら良くなるでしょうか。宜しくお願いします。

メール拝見いたしましたが、乳癌に関する病理検査の情報等が書かれていないので、お答えのしようがありません。色々治療されたにもかかわらず、癌がコントロールされていないとの事、今一度、現在までの治療経過を主治医にお聞きになり、今後の方針について充分ご相談下さい。状況を最もよく理解してくださっている主治医とコミュニケーションをとりながら、納得のいく治療を受ける事が大切だと思います。(文責 須田)

 

No.5693-1】   06年08月31日    O.S. 
今後の治療について

43歳、子供が二人いる主婦です。昨年の暮れにしこりに気がつき、今年2月に左胸の全摘手術を受けました。「ステージUb、solid-tubular type、核異型スコア2、核分裂像スコア3、核グレード:Grade 3、ER(-)、PgR(-)、HER2 score 3+ 」とのことでした。検査中のPETで、子宮に集積が見られ、悪性の肉腫を疑われた為、4月に子宮の摘出手術を受けました。結果は良性の子宮筋腫でした。5月より術後化学療法を始めて、ウィークリータキソール+ハーセプチン、12回を終えました。私のガンは、再発転移のリスクが高いのではないかと、とても不安に感じていて、できることはこの際、受けておきたいと思っています。今後の治療としてCEFを希望していたのですが、FEC100を4クール受けるのと、ハーセプチン単独を今後1年間続けるのでは、どちらが効果が大きいと考えられますか? 再発転移をしたくないのですが、今後どのようなことに気をつけて生活すればよいでしょうか?(漠然とした質問ですみません)よろしくお願いします。

術後補助療法としてのハーセプチン使用に関してはまだデータが少なく、今後のFEC100とハーセプチン単独のどちらが再発予防効果が高いかはまだわかっておりません。私見では、現在術後補助療法として第一選択とされているのはアンスラサイクリン系を含む薬剤であり、それに該当するFEC使用を推奨したいと考えます。再発転移しないような方法がもしあれば、誰しも知りたいと思いますが、重要なことは、主治医の先生とよいコミュニケーションをとってゆくことではないでしょうか?(文責 谷)

 

No.5693-2】   06年11月01日    O.S. 
今後の治療について(2)

HPNo.5693で相談をさせていただいたS.O.です。いろいろ、ありがとうございました。
FEC100を1回投与したのですが、あまりにも副作用がひどく出てしまいました(主治医の先生もびっくりするくらい)。「ハーセプチン+タキソール12回でも、十分再発防止の効果はあると考えられる。これ以上、身体に負担を掛ける方が害がありそうだから、化学療法は終了しよう。」ということになりました。わたしも、本当に副作用がつらかったので、やめたい気持ちが強かったです。
主治医の先生は、最初、CEFとタキサン系の化学療法を勧めて下さったのですが、自分でいろいろ調べていくうちに、HER2が3+のため、恐怖心が増してしまい、ハーセプチンの投与を相談して、やっていただきました。今後ハーセプチンのみを単独で1年間ということについては、主治医の先生は、私の場合はそこまで行う必要はないとの見解でした。経口抗がん剤のフルツロンについてですが、術後の予防効果としてのデーターがほとんどないので、勧められないとのことです。やっても気休め程度ではないかとのことでした。私のような場合、フルツロンを服用することはどうなのでしょうか? 副作用のことなども含めて、フルツロンのことを教えてください。今後は無治療で、経過を診ていくとのことです。HER2が3+だからといって、かならず再発するわけではないですよね?
私としても、主治医が言うようにフルツロンは標準的ではないのかなと思いますが、母を乳がん〜7年後に肺転移で亡くしているので、再発転移に対してとても不安が大きいのです。できることはやって再発を防止したいのです。ハーセプチンを術後に再発予防として用いることは、保険適用でないことは理解しております。確かに、今後、1〜2年再発防止のために、ハーセプチンを使ったら、経済的に破綻してしまいます(海外では無病生存率に高い効果が出ているという記事を本で読みました)。いくら海外の方が良い治療を受けられるからといって、海外に行くことはできません。読みあさったいろいろな本や、またインターネットの情報から、私のようにHER2が3+の場合、ハーセプチンの効果が大きいのではないか…と取りつかれたように思い込んでしまいました。
情報がさまざまに得られる現状の中で、実際転移がなくても術前からハーセプチンを用いた治療は随分行われているのではかと思いますが…。また、術後の再発防止にも…。ちなみに、私の主治医からは保険適用でないからとのことで、断られました。ハーセプチンが、転移再発乳がんでしか使えないという制約の中、このことについて、述べることがタブーであるかの印象を感じます。これほど多く効果があると本などに書かれている以上、早くHER2強陽性でホルモン依存性のないたちの悪い患者が制約を受けることなく、ハーセプチンを日本のどこの病院でも使える日が早くきて欲しいと思います。効果があるといわれている薬を使えないことは、大変ストレスが大きいです。
再発する場合もあるし、ない場合もある、くよくよしてもしかたがないと思うのですが、気になってしまいます。主治医の先生には何でも相談でき、本当に信頼しているのですが、他の意見も伺いたくて相談させていただきました。よろしくお願いします。

代謝拮抗剤(5FU系統)のフルツロンは乳癌に適応ありますが、有効というエビデンスに乏しく、服用はあまり推奨できないと考えます。副作用は重篤なものは経験したことがありませんが、骨髄抑制、下痢、嗅覚脱失、精神神経障害(白質脳症)などがあげられます。おっしゃるとおり、HER2が3+だからといって、かならず再発するわけではありません。5年以上、無再発の方々もたくさんおられます。(文責 石川)

 

No.5692-1】   06年08月31日    M.S.
乳癌と診断されました

ご相談させてください。私は石灰化が増えているという毎年恒例の集団健康診断のマンモグラフィー検診で精密検査要と診断され、大きな都内の病院で精密検査を受けました。結論は、石灰化そのものは今のところ大きな問題はない、しかしながら偶然にも、エコーでの検査にて右胸に腫瘍が見つかったという事で、そのまま注射針のような針で腫瘍の検査を受けました。一週間を経ての検査結果はV、乳癌と診断されました。大きさは6ミリにも満たない小さなものだということです。あまりに急なことで驚いており、食事もできず、今は市販の精神安定剤と導眠薬を交互に飲んで、やっとの思いで過ごしています。職場でも仕事が手につきません。家族にもまだ話せないでいます。私の質問は以下の通りです。
1) 今年の初めから右膝の痛みが続いています。この右膝の痛みは最近ひどくなりました。歩行が困難な所までは行きませんが、初期癌との関連性はありますか? 足首が少しむくんでいる気がします。骨への転移は乳癌の発生時から起こりうるという記事を読んで慄いています。頭が冷静でないので、全ての症状が乳癌に関連しているように思えて苦しいのです。骨盤や脊髄への転移が主と聞いていますが、膝に転移する可能性もあるのでしょうか。腫瘍がある側と同じ右足の膝なのです。
2) 診断の結果が出てから手術になるまで一ヶ月あります。乳癌の進行は早いものも遅いものもあると言う事をこのHPより知りました。この一ヶ月の間に癌が成長するという可能性はありますか? 担当医からは2、3ヶ月の間に手術すれば問題ないと言われましたが、実際にそうなのでしょうか?
3) 放射線治療も同じく手術後2〜3ヵ月以内に始めれば良い、という担当医からのアドバイスでした。そんなに暢気にしていて良いものでしょうか。
4) 年内の仕事の予定で11月に一週間の海外出張があります。行っても大丈夫でしょうか、その間の放射線治療はお休みになると思います。そうなると連続して治療が受けられなくなるので、手術後すぐに放射線治療を始めて一刻も早く日常生活にペースを戻したいのですが、手術から放射線治療までに間が短いと問題があるのでしょうか?

どうぞよろしくお願いいたします。

突然の乳癌の診断に非常に戸惑っておられることが容易に推察されます。市販の安定剤、睡眠薬を使用とのことですが、まず貴女のことをもっとも考えてくださる貴女のご家族に一刻もはやくこのことを伝えて、これからの色々な問題を一人で考え込まず、ご家族と一緒に考えてゆくことが、まずもっとも重要と考えます。
1) 癌の診断を受けるとすべての症状がその癌と関係があるような気がしてくるものです。いわゆる疑心暗鬼というものです。メールの内容から推察するに、6mmの乳癌で骨への転移の症状がでるケースは極めてまれだと思います。膝に転移することもないわけではないと思いますが、今の症状からは転移でない可能性がとても高いように思います。
2) 確かに乳癌の進行には個人差がありますが、1ヶ月間で今後に影響が出るほど進行することはまずありません。私も担当医の先生と同意見です。
3)4) 放射線治療は、手術後の病理その他の結果をよく判断した後、もしあれば他の治療も含め合わせ時期を決定するべきです。通常術後2〜3ヶ月以内には施行することが推奨されておりますが、たとえば術後補助療法として抗癌剤使用の際には、抗癌剤を数ヶ月先行させてから放射線治療を施行することもあります。よって術後のその時期に、再度主治医の先生とよく御相談する必要があると思います。(文責 谷)

 

No.5692-2】   06年09月07日    M.S.
化学療法の必要性

返信を頂き、ありがとうございました。私は事情があって今の病気を家族に話すことはできません。家族は大変仲が良いのですが (私は近くで一人暮らしをしております)、今年に入って身内に大きな不幸があって以来、老いた両親が精神的に相当まいっており、私のことをとても話せる状況ではありません。私が今後、手術そして長い治療を行っていくことは、せめて両親が生きている間は何がなんでも隠さなければなりません。そこで質問なのですが、私の場合、早期乳癌とはいえ、乳房温存手術を受けたあと放射線治療および化学治療/ホルモン治療を受ける必要があると思います。私の悩みは化学療法による脱毛です。私のような早期乳癌の場合でも脱毛するような強い薬の化学療法を受けなくてはならない可能性は高いでしょうか。
仕事もしており、できるだけ周りに病気の事を気づかれずに過ごしたいと思います。脱毛を避けられるような治療を考慮に入れる余地は私にはあるでしょうか? ホルモンレセプターが陽性か陰性かにもよって術後治療の方針は違ってくるということは承知しておりますが、一般的な例をお示しいただきたく、よろしくお願いいたします。まだまだ自力で納得解決しなくてはならないことがあり、お力添えを頂ければ幸いです。

色々とお調べになっておられますのでご存知かと思いますが、乳癌は化学療法(抗癌剤使用)や放射線療法の効きやすい癌であること、また手術の後これらをうまく使用することで再発率の低下や生存率の増加などが証明されているため、手術の後、乳癌の進行度合いに合わせて、補助療法と称してこれらの治療を行うケースが多くあります。現在乳癌で使用することの多い抗癌剤で、アンスラサイクリン系の薬剤(アドリアマイシン、ファルモルビシンなど)や、タキサン系の薬剤(タキソール、タキソテール)は、脱毛の副作用が生じることが多く、これらを使用することになると治療中であることを他人に知られないようにすることは困難であるように思います。ただ貴女の場合は乳癌も初期で抗癌剤を使用する必要のない程度かもしれませんので、やはり術後の病理検査やホルモン検査の結果などがそろった上で相談することになります。いずれにせよ、これらの補助療法は絶対的なものではなく、主治医の先生とよく相談のうえ施行の是非や内容を決めてゆくものですので、まずは手術をお受けになって、そののちお考えになられて遅くないと思います。(文責 谷)

 

No.5692-3】   06年09月14日    M.S.
乳癌の内視鏡手術について

ご返事有難うございました。一言一句大事に言葉を選んでご返事くださる事に、心から感謝しております。今はただただホルモン検査の結果が陽性になることを祈るばかりです。厚かましいお願いついでに、もう一点ご質問させて頂きたいのですが、いろいろ調べていく内に、「乳癌の内視鏡手術の安全性が確立されつつあり、今後増えてくるであろう」という情報を耳にしました。私のガンは超音波検査の結果では6〜9ミリとの診断でしたが(右胸12時の位置、大きさは見え方によって違うとの事、また、MRIの結果待ちなので広がりはわかりません)、これは内視鏡手術の適応内でしょうか? 私の胸は昔から小さく、今予定されている円状部分切除術が行われるとなると、ほとんど上部が陥没する可能性が高いと想像します。手術による傷口は5センチ程度になるとの事でした。もし神奈川県又は東京都内で内視鏡手術に力を入れて実績をあげている病院があれば教えてください(現在私がかかっている病院では内視鏡手術は行っていない様です)。手術までの2週間、セカンドオピニオンとして意見を求める価値があるのなら、何でもトライしてみたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

内視鏡補助下手術でも通常の手術でも、乳腺の切除量はほぼ同じです。ですから、「へこみ」の大きさは同じになります。内視鏡補助下手術では傷口の大きさを小さく、また目立たない場所につくることができるということが利点となります。セカンドオピニオンもよろしいかと思います。主治医の先生に「内視鏡補助下手術を受けてみたい」という旨をお話になって、ご紹介いただくのが一番よいと思います。(文責 俵矢)

 

No.5692-4】   06年09月19日    M.S.
内視鏡補助手術

来週中に一度セカンドオピニオンを伺いに行きたいのですが、都内か神奈川県で積極的に内視鏡補助手術をしてくださるところをいくつか教えていただけませんか。
あともう一点、MRIの結果、腫瘍の大きさが1.2x1.5 という結果がでました。この大きさでも内視鏡手術が可能でしょうか? 当初、超音波検査のときは7ミリに満たないということでしたのに、MRIでいきなり倍の大きさになるものでしょうか? その上、看護士には「非浸潤ガン」で 主治医からは「ステージ1」と言われており、混乱しております。この二つは両立するのですか? 私の調べたところでは「非浸潤ガン」はステージ0だと思っておりました。申し訳ありませんが、手術を控え、まだ十分な納得ができず動揺しています。お力をお借りできれば幸いです。

乳がんの内視鏡手術を行う主な機関は以下の通りです。

亀田メディカルセンター(千葉県鴨川市)(電)0470・92・2211
駿河台日大病院(東京都千代田区)(電)03・3293・1711
東京医科歯科大(東京都文京区)(電)03・3813・6111
加藤乳腺クリニック(滋賀県草津市)(電)077・566・7808
京都府立医大(京都市)(電)075・251・5111
大阪大(大阪府吹田市)(電)06・6879・5111
広島市民病院(広島市)(電)082・221・2291
川崎医大(岡山県倉敷市)(電)086・462・1111
山口大(山口県宇部市)(電)0836・22・2111
徳島大(徳島市)(電)088・631・3111
鳥取大(鳥取県米子市)(電)0859・34・8174
九州中央病院(福岡市)(電)092・541・4936

貴女の乳がんが内視鏡手術の適応になるか、どの程度の変形が生じるかについては、執刀医によっても多少異なると思いますので、セカンドオピニオンのときに聞いてみることをお勧めします。もし、貴女のがん全体が非浸潤癌であれば病期0、一部に浸潤癌があれば病期Tということになります。(文責 千島)
 

No.5691】   06年08月31日    K.T. 
補助療法についての相談

7/20に、左乳房全摘+腋窩リンパ切除(ステージU)。しこりは、内側中央部に3.5pで、皮膚のひきつり有り、大胸筋も一部切除。切断部に癌細胞は組織検査ではありませんでした。腋窩リンパ節に術前検査のMRIでリンパ節が大きくなっていると言われました。しかし、転移はなかったので胸をなでおろしました。CT、骨シンチ、腫瘍マーカーも異常なし。術後の説明は次の通りで、「浸潤性乳管癌、術後補助療法FEC、タキサン、ホルモン療法(ゾラデックス)」。
現在、FECを行っています。タキサン系抗癌剤実施に二の足を踏んでいます。副作用が強く、仕事を続けていけるか心配です。実施期間も長くなるとも聞いています。実施した方が良いのは分かっています。しかし、………、悩んでいる毎日です。主婦49才 。

個人差はありますが、FECに比べタキサン系抗癌剤の方が総じて副作用は少ないことが多いように思います。ただFECに引き続きタキサン系抗癌剤使用となると、肉体的にも精神的にもかなりきついことは確かです。腋窩リンパ節転移はないとのことですが、他の条件も含み合わせて再発率をある程度想定し、さらにタキサン系を追加するか否か主治医の先生とよく相談なさってください。(文責 谷)

 

No.5690】   06年08月31日    MY
術後の治療

35歳、既婚、2歳の子供がおります。ご多忙とは存知ますが、いくつか質問をさせてください。
1) 8月初旬に乳房温存手術・リンパ節郭清を行いました。術後の傷の治りが遅れた為、9/7に放射線科で今後の説明をされ、それから放射線治療に入る事になりました。これだけ間が空くのも気になりますが、それは問題ないのでしょうか?
2) また取ったリンパから2個転移が見つかり、またこれも悪性だったようで、主治医に放射線後の抗がん剤治療を行う旨を告知されました。これは他にも転移している可能性があるから行うのでしょうか?
3) 私はホルモンレセプターは陰性らしく、抗がん剤治療しかないようです。これは予後あまり良い事は望めないのでしょうか?

これから放射線科に暫く入る為、主治医にお話する時間がなく、加えて不安で押し潰されそうになり、思わずメールをしてしまいました。主治医の先生には絶対の信頼を置いてはおりますが、聞きたい事がある時(今)に放射線科に入る事になってしまいました。お手数ですが宜しくお願いします。

1) 乳房温存術後約1ヶ月で放射線療法を受けるとすると、創の治りは別問題としても決して遅いことはないと思います。
2) 乳癌において、腋窩リンパ節転移のあるケースでは、転移のないケースに比べ再発率が高いことが知られております。これは検査でも感知できないほどの小さな癌細胞が身体のどこかに潜んでいる可能性を意味します。ですから、局所の追加治療である放射線療法に加え、全身治療に当たる抗癌剤の使用が推奨されることになります。ただ、放射線治療を先にするか抗癌剤治療を先にするかは議論の要するところですので、放射線治療が始まる前に、この点に関して主治医の先生とよくご相談なさることをお勧めいたします。
3) ホルモンレセプターが陰性ということですので、ホルモン療法の選択肢は制限されることになりますが、現在では抗癌剤治療にも多くの種類があり、十分に予後は望めると考えます。主治医の先生に絶対の信頼が置けることが何よりもすばらしく、是非今後も主治医の先生と十分なコミュニケーションをとり、治療に頑張っていただきたいと思います。(文責 谷)

 

No.5689】   06年08月31日    K 
46才、左全摘リンパ16中6個転移

4月に手術、しこりの大きさは 2.5p、その後ACとリュープリンを3ヶ月が終わりました。エコー、CT、腫瘍マーカーの検査をしましたが、特に異常は見つからなかったので、また同じ治療を3クールやる予定です。最初はタキサン系にする予定でしたが、検査結果に異常が無かったという理由からです。この治療で特に問題無いでしょうか? たまに右のリンパが痛い気がするのですが、転移でしょうか?

乳癌術後病理の結果、腋窩リンパ節が6/16と6個の陽性が認められたとのことですので、全身状態が許すのであれば、ある程度しっかりと抗癌剤治療をお受けになることが推奨されます。ACのようなアンスラサイクリン系を含む抗癌剤の組み合わせが、通常第一選択とされております。貴女の術後治療についての検討事項は以下の通りと考えます。
1) ACとリュープリンを同時期に投与するのがよいか、先にAC施行の後、順次投与としてリュープリン投与のほうがよかったのか?
2) ACに含まれるアドリアマイシンは、その副作用である心毒性のため総投与量が600〜700mg以下にする必要があるとされており、もしAC追加投与する場合、更にどれだけAC施行するか?
3) ACの追加投与施行した後、更にタキサン系を使用するのがよいかどうか?

以上の点などを主治医の先生とよくご相談されるのがよいかと思います。また、対側の腋窩付近が痛むとのことですが、これが転移の兆候であることは少ないように思われますが、これも主治医の先生によく診察してもらってください。(文責 谷)

 

No.5688】   06年08月30日    S.O. 
ドレーンを抜いた後の周辺部の腫れについて

8/15日に、左乳房部分切除+センチネル生険→1個転移→腋窩リンパ節郭清(レベルUまで)手術を受けた45歳のものです。
術後1週間でドレーンが抜け、退院したものの、ドレーンを抜いた後の傷上3センチあたりに、縦5センチ横8センチくらいの強い腫れがあり痛みます。ロキソニンを入院中から服用していますが、効いている実感がありません。この腫れと痛みは術後の一過性のものでしょうか。数ヶ月続くのでしょうか。また、リンパが滞っているための腫れなのでしょうか。もし、この大きさでリンパが停留しているものでしたら、注射で抜く必要がありますでしょうか。退院後初の外来が9月初旬であるため、それまで放っておいていいものか、痛みに耐えていればいいものなのかわからず、質問させていただきました。

ドレーン抜去後の痛みには、原因について次の2つの事が考えられます。1つは、手術により、やむを得ず神経を切らなければならない事があり、この端断近くに術後灼熱痛を感じる事があります。2つ目は、手術創に感染が起こり、発赤や腫れ、痛みが出現する事があり、稀に発熱を伴う場合もあります。念の為、我慢せず、早めに主治医の診察を受けて下さい。(文責 須田)

 

No.5687】   06年08月30日    H.K. 
乳がんの再発

初めてメールします。来月46歳になります。2004年11月10日に右胸の乳頭内側上部に4cm程のしこりに気付き、翌日病院で検査を受け、乳がんと診断されました。鎖骨上に転移があり、硬がんで、nuclear atypia 3, mitotic counts 2, nuclear grade 3 、ホルモンレセプター陰性、Her2も陰性です。12月8日に最初の抗がん剤投与(CEF)を受け、 12月28日(CEF)投与の時には2cm程あった鎖骨上のしこりはとても小さく、微かに感じる2mmぐらいの大きさになり、1週間後には触診出来なくなりました。乳房のしこりも2cm程に小さくなっていました。1月18日(タキソテール)、2月8日(タキソテール) と受け、3月8日に乳房温存術を受け、レベル1で13個、レベル2で4個のリンパ節切除を行い、リンパ節転移はなし。術後に同じように4サイクルの抗がん剤を受け、放射線療法を温存胸部に25回、鎖骨上に30回受け、2005年8月15日から仕事復帰しました。
2006年5月15日頃から乳房温存術の手術跡の辺りが腕を伸ばしたりすると痛く、乳房内に“ズッキ”とした自発痛もあり、5月18日に診察を受け、血液検査をしました。腫瘍マーカーは正常で、LDHが331IU/lでPLTが33.0万と高く、それ以外はすべて正常でしたが、痛みも増してきたので、31日にエコー、CT、胸部レントゲンをとりました。CTによると、肺に1cmの腫瘍と胸骨内側の縦隔リンパ節が腫れているとの事で、再発であろうとの事で、6月23日より術前の化学療法で効いたCEF療法を始めました。痛みは軽減し、抗がん剤が効いているんだと思いました。前回の術前CEFでは殆ど脱毛はなかったのですが、投与2週間目から脱毛が始まり、2,3日後には殆ど抜け落ち、かつらを着けて仕事をしています。7月14日の血液検査ではLDH 483、PLT 52.9、CRP 0.42、白血球 3000、好中球絶対値1500。8月4日ではLDH 592、CRP 0.77 、PLT 51.8、WBC 3200、好中球絶対値1700、リンパ球600です。8月2日程から右乳房の内側下辺りが硬くなり、8月4日のCEF投与後さらに硬くなり、1週間後に診察を受けたのですが、「そこは命に関わる事ではないので、自分はあまり気にしてないが、心配なのは縦隔リンパ節だ」と言われました。今日は4クール目のCEFの予定でしたが、胸がパンパンに腫れ、血液、CT検査をしました。LDH 727、PLT 57.7、アミラーゼ180、白血球3400、好中球絶対値1600で、CTでは肺に1.5cmの胸水が溜まり、腫瘍も大きくなっているが、縦隔リンパ節は変化なしとの事です。肺の自覚症状の咳や息苦しさは今のところないのですが、肺に転移しているので、余命1,2年と言われショックを受けています。骨や肝臓に転移は見られないとの事です。
腫瘍マーカーは、2004年11月 I-CTP 4.7 2005年8月 5.3以外、すべて正常範囲内です。何もしない緩和治療をするか、2週間後からタキソテールを開始するか、決めるように言われています。前回あんなに良く効いたCEFが殆ど効いていないというのも、とてもショックですし、もしかしたら癌の再発ではないのではとも思っています。別のクリニックで4月15日から1ヶ月間爪の白癬菌治療の為、ラミシール錠125mgを1ヶ月服用していました。LDH値が上がっているので中止しました。液体の塗り薬で、現在よくなっています。0.5%、2000人に1人の確率で、LDH値が上がるとの事です。主治医にも話してはいるのですが・・・。
PET検査を一度2005年6月に放射線療法の前に受けていますが、異常はなかったです。主治医は再発の検査にPETは使わないらしく、あまり勧めないのですが、受ける価値はあると思いますか? 「PET検診、がんの85%見落とし」という2006年3月の記事も見ましたが・・・。抗がん剤治療のすべてが分かる本というGakkenから2006年2月に出版された本を読んでいますが、再発の検査にはPETが有効と書かれていました。そのままタキソテールを受けるのは、もっと悪くなるのではと不安です。何か良い検査方法などありましたら、お願いします。現在仕事も痛み止めを飲みながら、月曜日から金曜日7:00〜1600まで歯科衛生士として働いています。

2006年4月よりPETーCTが乳癌での保険診療が通るようになっていますので、PETーCTを行う事は意味があるかもしれません。抗癌剤についてですが、アンスラサイクリン系の次は、タケサン系が2次化学療法として推奨されています。主治医に化学療法剤のメリット・デメリットを伺い、納得のいく治療を選択してください。効果があるかどうかケースバイケースですので、あきらめずに色々試してみる価値はあると思います。頑張ってください。(文責 須田)

 

No.5686】   06年08月30日    A 
生検の必要性

41歳、既婚、5歳児の母親です。出産をする1年前から生理前に乳房の痛みがあり、乳腺外来にて検診をし、乳腺症との診断でした。以後だいたい1年に一度検診を受けていました。触診と超音波エコーです。今年2月、転居に伴って、別の病院の乳腺外来を受診しました。こちらでエコーに加え、初めてマンモグラフィーを受けました。石灰化がみられたので、7月にもう一度マンモグラフィーを受けるように言われ、先月受診しました。そこでドクターに「たぶん大丈夫でしょう。うーん、でも境界型かな。はっきりしたければ紹介状をかいて生検ということになるんだけど、痛いし、また1年後でいいと思いますよ。あくまでもご自分の判断だけど」と言われました。悩みましたが、1年後のマンモグラフィーの予約をしてきました。ただ左胸だけが生理前に痛むことが気になります。よく「乳腺症は両胸同じように痛む」と聞くので、この判断で正しかったのかどうか、今になって気になります。何か指針になるアドバイスをいただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。

マンモグラフィーで石灰化の所見があり、経過観察するように言われたわけです。主治医は、「経過観察の期間が1年間隔でどうでしょうか。また、石灰化の所見について是非診断をつけたいとの希望があれば、生検するための紹介状を書きましょう。」と提案しています。直接マンモグラフィーを拝見していないのでわかりませんが、カテゴリー3以上の石灰化であれば、生検を行って、診断をつけた方がよいと思います。主治医にマンモグラフィーの所見を伺って、納得のいく選択をしてください。(文責 須田)

 

No.5685】   06年08月30日    S.Y. 
乳頭について

雑誌で見た乳がんの自己検診に乳頭のへこみというものがあり、少し気になることがあったので相談させていただきました。私は乳頭が出ていません。乳房に手をすべらせても、全くひっかかりがないのです。へこんでいるということはないのですが、乳頭がでていないことが乳がんに関係があるのか、とても不安に思っています。年齢は20歳になります。よろしくお願いします。

もともと乳頭がへこんでいるものを陥没乳頭といいます。乳癌が乳頭部付近にできると、瘤が大きくなる事によって引きつれが生じて乳頭が引っ張られ、今まで突出していた乳頭がへこんでくる事があります。これが、「乳頭のへこみに気をつけましょう」ということです。もともとへこんでいる陥没乳頭の場合、乳癌とは関係ありません。ご心配であれば、不安を取り除く意味からも、一度乳腺外来で診察を受けて下さい。(文責 須田)

 

No.5684】   06年08月30日     M
術後化学療法について

初めてご質問させていただきます。36歳で、今年6月に左胸のかなり上部乳腺の端に6ミリ程度のしこりを自分で発見し、乳がんと診断されました。ごく初期ということで、7月18日に温存手術をうけました。術後は放射線治療のみの予定でしたが、手術中断片検査で追加切除を行った2,3センチの部分にも非浸潤がんがあるため、今後の転移を予防するため、FEC100の化学療法をすすめられています。その間6ヶ月くらいは仕事も休まなければならないだろうと言われています。母子家庭で子供も2人おり、下はまだ4歳で手もかかり、自営業で休めば復帰の難しい職種でもあるため治療を迷っています。浸潤がんは2センチ弱、Her2−、ER、PgR共に±、リンパ転移なし、核異型度グレード2で、主治医の先生は、「このまま何もしなければ治癒率80パーセントで、化学療法をすれば90パーセントくらい」と言われています。10%の確率を取って生活を犠牲にすることがいいのか、とても迷っています。母を乳がんで亡くしていて、抗がん剤が母にとっては、まったく効かないどころか、ますます癌が悪化して行き苦しんでいたのを目の当たりにした事も、抗がん剤に対する恐怖の引き金になっています。長々と書き連ねましたが、現在気持ちも動揺しており、失礼がございましたら、どうぞお許しください。何とか抗がん剤治療を避けることができますでしょうか? どうぞ教えていただきますよう、お願いいたします。

ザンクトガレンにおける乳癌術後のリスクカテゴリーでは、「リンパ節転移(−)、病理学的腫瘍径≦2cm、核異型度2、HER2(−)、年齢≧35」から判断して、中間リスクとなります。また、ER、PGRが共に(±)で、内分泌反応性不確実(ホルモン受容体の発現を認めるが、発現量が少ない、又はホルモン療法への反応性が必ずしも充分とは考えられない)と考えられますので、標準的な術後の薬物療法としては、化学療法を行い、続いてホルモン療法を行う事になります。もし化学療法を避けるとすれば、何もしないという選択肢よりは、反応性が必ずしも充分ではないかもしれませんが、ホルモン療法を行う事が次善の選択肢となると思います。術後治療は、効果と副作用のバランスを見ながら、あくまでも予防の為に行うものですから、それぞれの事情や価値観、生活観などによって決定する事になります。個人的には化学療法をお勧めしますが、主治医と充分ご相談の上、納得のいく治療を進めてください。(文責 須田)

 

No.5683】   06年08月30日     K 
乳腺症について

21歳未婚女性です。1年ほど前に、生理前に左右の乳房・わきの下の張りと痛みがあり、乳房にしこりのようなものを発見しました。外科で見てもらったところ、触診と、エコーの結果、乳腺症と言われました。その時、乳房のほかに、左わきの下に大きさ約3センチのしこりのようなものがあったのですが、生理が終わって小さくなっていたので、先生には伝えず、触診、エコーとも、わきの下は検査しませんでした。最近になって、乳腺症について調べていたら、「乳房の張りと痛み」とだけあり、わきの下のことは乳がんの項目にしか書かれておらず、急に不安になりました。乳房・わきの下ともに、生理一週間前から痛みと張りがあり、生理が始まると和らいでいきますが、今も、生理が終わって腫れが収まっても、左わきの下のしこりだけは残っています。しこりは、表面が平らで、凸凹しています。生理前と生理後では、多少大きさに変化があるように思います。乳腺症とは、わきの下にも、しこりや腫れがおこるのでしょうか? また、生理後にもしこりが残るのは異常なことなのでしょうか? 1年前の検査で乳房に悪性なものが見つからなかったから、わきのしこりも大丈夫と考えるのは間違っているのでしょうか? 長くなりましたが、よろしくお願いします。

直接診察しないと分かりませんが、乳房、腋窩ともに、月経周期と共に痛み・張りが発現するとの事ですので、腋窩にも乳腺組織があるのだと思われます。例えば、人間以外の動物では、乳房は一対ではなく、たくさんあります。人間も先祖がえりすると、副乳といって、腋窩にも乳腺のある人がいます。おそらく副乳だと思いますが、念の為、悪性のものではないことを確認し、不安を解消するためにも、一度乳腺外来を受診してください。(文責 須田)

 

No.5682】   06年08月30日     Z 
術後1年、かゆみがあります

約1年前にステージI〜IIのあいだの非浸潤癌という診断で、温存手術(リンパに転移なし)を受けました。放射線治療後、現在は抗ホルモン剤の服用をしています。骨シンチや腫瘍マーカーの検査結果も特に異常なしということですが、ここ数ヶ月、手術したほうの乳頭付近にかゆみがあります。癌が発見される以前も、いつも同じ患部がかゆかったので(異常のない方にかゆみはありませんでした)、ちょっと心配になってきました。このままほおっておいて大丈夫なものでしょうか? 40歳代、出産経験なしです。よろしくご回答お願いします。

温存手術後の照射では、殆んどの患者さんに軽度の放射線皮膚炎がみられます。乳頭部の痒みも照射による影響かもしれません。乳癌の主な症状は、こぶです。稀に乳頭にできる湿疹様の病変で、パジェト癌という乳癌の場合、痒みの出ることがあります。一年前の乳癌は、乳頭部のびらん、又は湿疹様の変化があった癌でしょうか? この他の場合では、痒みがあったとしても、癌とは関係ないと思います。このまま放置するのではなく、そのためにも主治医がいるのですから、不安点、疑問点は充分ご相談下さい。(文責 須田)

 

No.5681】   06年08月30日     S
ADHの経過観察について

40歳、未婚、妊娠経験無しです。たまたま受けたMMG検診で、右乳房に微細石灰化の所見があり、紹介された大きな病院で、再度の超音波、MMG、細胞診を経て、確診のために乳腺の試験切除を受けました。その結果、ADH(Atypical Duetal Hyperplasia)と診断され、現時点での手術は不要だが、3ヶ月毎の厳重注意観察を指示されました。そこで、教えていただきたいのですが、経過観察の間に、患者側で努力出来ることはありますでしょうか? 例えば、食生活で避けた方が良いものや、逆に、多く摂取した方が良いもの、また、生活習慣上、留意した方がよいことなど、悪性へ移行する確率を減らすために効果があると思われることがありましたら、是非教えていただきたく、お願い致します。

最も大切な事は、忘れずに3ヶ月毎の検診を受け、フォローしていくことです。肥満(内臓脂肪型肥満)については、乳癌の発症と関連があるという欧米での報告はありますが、日本人では、はっきり結論が出せるデータはありません。アルコールも乳癌発症の直接的な危険因子ではありませんが、飲酒量が増えると乳癌発生の危険度が高まる可能性があると言われています。喫煙との関連は明らかではありません。大豆食品を多く摂取する人は、殆んどとらない人に比べて乳癌の発症が少ないという報告はありますが、イソフラボンのサプリメントの形で服用しても、乳癌の発症が減るという明らかな根拠はありません。また、時間の不規則な勤務、特に夜間勤務する機会の多い女性や、日常生活において運動量の少ない女性では、乳癌発症のリスクがやや高くなる傾向があるという報告もあります。以上、気の付く事を列挙しましたが、食生活や生活習慣で、特に注意する事はなく、しいて言えば、規則正しく健康的な生活を送る事でしょうか。(文責 須田)

 

No.5680】   06年08月30日     K.I.
ホルモンセレクター

ホルモンセレクターを検索しましたが、よくわかりませんでした。どういうものなのか教えていただきたくメールいたしました。よろしくお願い致します。

セレクターではなくて、レセプターのことでしょうか。ホルモン療法を行うかどうかを決めるために、癌の病理検査時に、乳癌細胞がホルモン受容体(レセプター)を持っているかどうかを調べます。このホルモン受容体を介して女性ホルモンが作用し、癌細胞が増殖しますので、この経路をブロックすれば、乳癌の転移・再発を減らし、進行を抑えることが可能になります。これが、ホルモン療法の考え方です。(文責 須田)

 

No.5679】   06年08月30日     H.M.
今後の治療と妊娠について

何回かこちらでお世話になっているものです。私は現在31歳、子供1人です。29歳の妊娠中にしこりに気づきましたが、乳腺(母乳)の関係だろうとそのまま放置。その後出産し、産後8ヶ月の時に気になって検査したところ、乳癌と告知されました。その後2005年9月より術前抗ガン剤を開始。エンドキサン、ファルモルビシン、タキソールを経て、2006年3月に温存手術、放射線、現在はノルバデックスを服用しています。病状はあまり詳しく聞いていませんが、分かることだけを書いておきます。浸潤性乳管癌、U期、T1、リンパ転移無し、しこり約2p、断端陰性、HER-2(+)。手術の時に取った細胞の中に、ごく微小のガン細胞が残っていたと言われました。リンパは術前に抗ガン剤をしているため、転移無しと検査で出てもはっきりと分からないから、2〜3個くらいは取ったということでした。先日、抗ガン剤で止まっていた生理が約8ヶ月ぶりにきました。とても出血が多くてびっくりしました。戻ってきたことはうれしいのですが、生理が始まったことにより、主治医より、ノルバデックスに加え、LH-RHアゴニスト(リュープリン)?を2年間したらどうかと言われました。次回の診察時に返事をする予定になっています。ここで質問なんですが、この治療方法は、標準的なものなのでしょうか? そのリュープリンをするのとしないのとでは、どのような差が出てくるのでしょうか? 生理は乳癌にとってはやはり悪影響を及ぼすものでしょうか? 妊娠を希望しており、今後の治療によって何か影響が出てくるものでしょうか? 妊娠は可能なのでしょうか・・・。治療を始める前から、主治医には強く妊娠を希望している事は言っています。長くなりましたが、よろしくお願いします。

閉経前ホルモン感受性、転移性再発乳癌に対しては、LH-RHアナログとタモキシフェンの併用療法が一次治療として推奨されていますが、術後療法としての併用療法に関しては、単独療法との明らかな差についての報告は、現時点では示されていないようです。LH-RHアナログは、卵巣機能を抑制し、エストロゲン値を低下させますが、投与を中止すると卵巣機能の戻る事が特徴です。卵巣機能が回復するという事は、エストロゲン値が元に戻るという事でもあり、ホルモン感受性乳癌では、癌細胞の増殖が促される可能性が高くなるわけです。
妊娠については、乳癌治療のためのホルモン剤(タモキシフェン等)内服中の場合、奇形性の問題がありますので、慎重に対処する必要があります。タモキシフェンの代謝産物が体内から検出されなくなるまで、内服終了後3ヶ月ほどかかるとされていますので、内服終了後半年程度は妊娠を避けるべきだと考えます。今後の治療に関しては、主治医と充分ご相談の上、納得のいく治療を選択してください。(文責 須田)

 

No.5678】   06年08月30日     Y.N. 
ホルモン療法について

ホルモンレセプター陽性癌だったので、現在ホルモン療法中の38歳です。ゾラッデックス2年終了時は40歳です。この年齢で生理が戻ってくる確率は何パーセントくらいでしょうか?

LH-RHアゴニスト(ゾラデックス、リューブリン)は、ホルモン感受性、閉経前乳癌に対して卵巣からのエストロゲン産生を抑制し、乳癌細胞の増殖をブロックする薬剤です。この薬剤は、ほぼ確実にエストロゲン値を低下させますが、中止すると卵巣機能は元に戻ります。理論的には生理は戻ってきますが、抗癌剤(エンドキサン等)を前に使用した場合、抗癌剤の卵巣へのダメージから抗癌剤治療中や治療後に卵巣機能障害が起こり、生理が戻らなくなる人もいます。統計的には、30〜49歳で、「CMF療法30〜40%、CFF10〜25%、AC13%」の割合で生理がなくなります。(文責 須田)

 

No.5677】   06年08月30日     TN
妻の様態(2)(HPNo.5564-5)

放射線治療も回数で半分までいきました。特に痛みや苦しさなど訴えていませんが、最近は時たま気分が悪くなり、食事をした後、戻したりすることが多くなっています。先生、この原因としては放射線治療によるところなのでしょうか、それとも他の理由なのでしょうか。3週間前の浸潤検査の結果は肝臓、骨への転移はないとの説明でしたが、先生のご意見をお聞かせください。

直接拝見していないので、推測の域を出ませんが、腋窩のリンパ節転移によって大きくなった転移巣が神経を巻き込んで発育している事も考えられます。メールだけでは情報不足ですので、実際に診察している主治医に現状をよく説明してもらってください。納得のいく治療を受けるためにも、主治医の先生とコンタクトを取ることは大切です。(文責 須田)

 

No.5676】   06年08月30日     M.H. 
一昨日、乳癌の告知を受けました

2歳6ヶ月の息子がおり、今年4月まで授乳していました。自己診断ですが、妊娠6週目くらいです。7月上旬にしこりに気づき、8月9日に乳腺外来で診察、検査を受けました。8/21に、右胸上部にクラス5、10.4ミリの悪性腫瘍と診断されました。超音波ガイド下穿刺吸引細胞診をしただけなので、詳しい癌の性質などは分かりません。神奈川県立癌センターを紹介され、29日に予約を取りました。まだ実感がわかず、頭の中の整理がつかないので、まとまりの無い質問なのですが・・・。

1) 妊娠中は乳癌が進行しやすいと聞きました。事実でしょうか?
2) 今妊娠している子を出産することは無理でしょうか?
3) 大きな病院は待機期間が長いそうですが、その間に癌がどんどん進行してしまう事はありませんか?
4) セカンドオピニオンはいつのタイミングで受けるべきですか?
5) ラジオ波熱凝固療法とはどのようなものですか?

ご返答、よろしくお願いいたします。

1) 妊娠・授乳期乳癌は、一般には予後は良くないとする報告が多く見られますが、その理由は、進行癌で見つかる症例が多いためと考えられています。
2) かっては妊娠の継続が予後に悪影響を及ぼすとして、堕胎が勧められましたが、最近の研究では、治療的堕胎が予後の改善には結びつかないと報告されています。化学療法や放射線療法が必要な症例で、それによって胎児に障害の出ることが予め予測される場合は、妊娠の継続は難しくなります。
手術が妊娠に与える影響についてですが、妊娠前期、あるいは中期に手術を受ける場合は、奇形率には影響しませんが、流産の可能性が少し高くなるという報告があります。また、奇形・死産は増加しないが、未熟児・出産後の早期死亡が増加するという報告があるため、胎児に与える全身麻酔の影響を考慮する必要があります。
3) 待機期間については、次回来院時に確認してください。不安な気持ちはあるかと思いますが、乳癌の進行は比較的ゆっくりですから、あまり問題ないはずです。
4) 受診後の所見や、X線診断、病理検査に基づいた乳癌の性格や病期・病状に対して、治療方法が提案されると思いますが、セカンドオピニオンを受けるとすれば、それを待ってからになると思います。第一の病院でなされた診断や治療に関して、更に別の意見を求めるというのがセカンドオピニオンの考え方です。
5) 乳癌を手術的に切除しない方法として、ラジオ波熱凝固療法があります。ある程度限局した乳癌に対し、全身麻酔下で行います。手術に比べて体への負担は少なくてすみますが、全ての乳がんに適応できるわけではありません。金沢大学の野口教授を中心に研究が進められていますが、現段階では、一般的な治療法とは言えません。(文責 須田)

 

No.5675】   06年08月30日     A
病理結果(特殊型)について

癌肉腫について教えてください。34歳、未婚です。本やネットで調べてみても、特殊型とはあっても詳しい内容がわからなくて・・・。7月に右側乳房全摘手術をして、先日病理結果が出ました。術前の検査では、「充実腺管癌」と思われていたのですが、病理の結果「癌肉腫」と言われました。
病理の結果:
乳癌病巣の数 1個、 大きさ4.8×4.5×4.5(術前抗がん剤をしましたが、効果がなく、大きくなってしまいました)、リンパ節転移15個中1個、 脈管侵襲リンパ +1y1 静脈 +v2、 波及度 S、 悪性度 3、 ホルモンレセプター共に陰性、 HER2(1+)、 
コメント:
「肉腫様の紡錘型細胞(奇形な)がみられる。 癌と肉腫の二相性パタンのほか、癌から肉腫への連続移行もあり。肉腫部は軟骨化生も示す。癌部は扁平上皮生もあり。元来癌肉腫であった可能性もあるが、治療で一時縮小した後に 肉腫化した可能性もある。」とのことでした。

1) 癌肉腫とは、「紡錘型細胞がん」と「扁平上皮がん」と「骨・軟骨化生を伴うがん」の3つをあわせたものが「癌肉腫」になるのでしょうか? 組織型は何になるのでしょうか?
2) コメントのところにある肉腫部分は軟骨化生と、癌部分では扁平上皮生とあるが、主に占めているのは肉腫部分ということでしょうか? 肉腫部分が多いと「よくない」と本で見たのですが、本当でしょうか?
3) 癌肉腫の予後は、悪いのでしょうか? 再発・転移の可能性は、高いのでしょうか?血行転移とは、どんな症状がでるのでしょうか?
4) 断端の陰性・陽性とは、温存手術をした場合だけ関係があるのでしょうか? 全摘の場合、取り残しはないのでしょうか?
5) レセプターがマイナスで、術前に抗がん剤(CEF、タキソール、タキソテール)をしている為、術後は経過観察(無治療)になりましたが、径口抗がん剤で、予防したほうがいいのでしょうか?(5FUなど?)
6) 年内に再建を考えています。再建をする事について、今の私の状況は再建をしても問題はないでしょうか?

長くなってしまい申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。

1) 日本乳癌学会編の乳癌取扱い規約では、乳癌の浸潤癌で、特殊型の中の紡錘細胞癌に分類されます。「いわゆる癌肉腫と呼ばれていたもので、紡錘形細胞からなり肉腫様に見えるが、一部上皮性性格の明らかな癌細胞巣や、扁平上皮化生を示す部分が見られることが多い。肉腫様部分も上皮性の癌細胞が紡錘形たなったものである。」とされています。
2) 主に占められている細胞は、肉腫様にみえる紡錘形の癌細胞ということになります。浸潤癌の特殊型である紡錘細胞癌は、乳癌の0.1〜0.2%で、あまり多くは見られませんが、一般に他組織型の乳癌と比べて予後は良くないようです。
3) 再発・転移の可能性は高いと言われています。
4) 乳がんの血行性転移では、骨・肺・肝・脳への転移が比較的多く見られます。例えば骨転移では腰痛などが出る場合もありますが、それぞれの臓器で転移巣が大きくなるまでは、一般には症状の発現はありません。乳房切除術を行った場合は、大胸筋との境が手術断端となりますが、病理の記載が無いので、取り残しはないと思われます。
5) 経口抗癌剤としては、ゼローダ・TS1・フルツロンなどがありますが、使用したほうが良いかどうかを含めて、主治医と充分にご相談の上、納得のいく治療を選択してください。
6) 一般に、乳房を再建することで再発が増加したり、再発の診断に影響する事はないとされていますが、再発の不安のある患者さんや、乳癌の進行の程度によっては、再建するかどうかも含めて、再建の時期を、担当の外科医、形成外科医と充分にご相談下さい。(文責 須田)

 

No.5674】   06年08月24日     M
小学6年の男の子です

半年ほど前から乳首が痛いと訴えています。「成長の過程」と思っていますが、あまりにも痛がるので心配になっています。現在右側の乳首にしこりがあり、触ると痛がります。小児科の受診でいいのでしょうか?

思春期における女性化乳房だと思われますが、悪性のものではありません。何かに触れたり、圧迫したりすると痛がる場合もありますが、日常生活に支障が出る程の痛みではなければ、一般には鎮痛剤などを使用せず、経過を見ることになります。ご心配であれば、念の為に乳腺外科を受診して、ご相談下さい。(文責 須田)

 

No.5673】   06年08月24日     M-A  
乳腺嚢胞について

38歳、未婚です。先月の生理の時に左胸にしこりを見つけ、総合病院に受診しました。マンモグラフィ、エコー検査、針生検をしたところ、乳腺嚢胞だと言われ、様子をみて1年に一度は検査をすればよいと言われました。実際のところ、我慢できないほどの痛みはなく、これといった支障はないのですが、このしこりは消えないのでしょうか。今後、ほおっておいていいものなのでしょうか。教えてください。

のう胞の内容物を吸引して、細胞診を行ったのだと思われます。のう胞は、内容物がすぐに溜ってしまう場合もあれば、一度吸引すると、ほとんど貯留しない場合もありますが、一般的には、ある程度大きいものは消失しない場合が多いようです。また、のう胞の内壁に乳癌が発生する場合もあり、注意しなくてはなりません。その意味からも、吸引細胞診で癌細胞が無い事を確認し、その後6ヶ月〜12ヶ月間隔でで変化があるかどうかをfollowしていく事になります。放置しておくのではなくて、その後の経過観察が必要です。(文責 須田)

 

No.5672】   06年08月23日     A.H.
乳房同時再建手術をやめるべきか等について

パソコンのない44歳の友人にかわり、初めてメールいたします。よろしくお願いいたします。
友人は、今年の2月に左乳房の約5.5cmと2cmのしこりが乳癌と診断されました(しこりはかなり昔からあり、今までは乳腺症だと言われていたそうです)。3月から抗がん剤を3週間に1回受け(CEFを4回、タキソテールを4回)、しこりは3cmぐらいになったそうです。9月初めに全摘手術(リンパ節も郭清)を受け、その後抗がん剤を2回受けた後、放射線療法(手術の結果によっては、受けないかも)と、ホルモン療法を受ける予定です。
友人は乳房を失いたくなくて、全摘手術の際に、お腹の筋肉を使った同時再建手術を受けるつもりでした。形成外科の先生の話では、「皮膚が壊死する可能性は1〜2%しかない。血管を縫う方法なので、切り取る腹筋の量は少なく、その後の日常生活に影響はない。放射線療法を受けても乳房に影響はないし、再建しない場合より腕が上がりにくくはならない」とのことでした。
ところが今日、乳腺外科の先生からは、「癌が乳房(?)に散らばっていて、5%ぐらいの確率で再発するかもしれないから、やめた方がいい」と言われ、放射線の先生からも腫瘍部の先生からも反対され(同時再建されたものは、形が悪かったと言われました)、迷っています。そこで、質問です。
1) この場合、同時再建はやめるべきですか。形成外科の先生は、その後の治療に影響しないとおっしゃっていましたし、メリットを強調されていましたが、実際にはどうですか?
2) 放射線を受けた後、再建手術を受けるのは難しいのですか?
3) 5%の確率で再発するというのは、どういうことですか? 確率は高いのでしょうか?
4) 約5.5cmと2cmのしこりというのは、かなり進行していると思うのですが、この場合、大体何年以内に、どのくらいの確率で再発してしまうのですか? もし、同時再建しなかった場合でも、二期再建しない方がいいですか?

以上です。よろしくお願いいたします。

乳房切除後、再建術と放射線照射を行った症例における局所再発率は7〜14%と、再建術を施行しない場合に比べて特に高くはありませんが、症例数が少なく、信頼性の高いものではありません。貴女の場合と多少異なるとは思いますが、術後照射の前後に筋皮弁を用いた再建術を行った場合の成功率は93%との報告もあります。また、別の報告では、「脂肪壊死や感染などが発生し、整容性も落ちる」とするものもあり、乳房再建に関しては、まだまだ一定の見解が無いのが現状です。乳房切除後の照射に関する米国のガイドラインでは、一期的再建は避け、術後の照射や化学療法が終了した後に行う事を勧めていますが、これも充分な根拠が揃っているわけではありません。その辺りの事を踏まえた上で、主治医とも充分ご相談し、納得のいく選択をしてください。(文責 須田)

 

No.5671】   06年08月23日     TN 
妻の様態(HPNo.5564-4)

2週間ぶりですが、その後の状況をお話します。放射線(14回終了/合計30回)治療を続けてます。たしかに以前ほど咳が出ませんし、息苦しさも改善されていると妻は言ってます。乳腺の主治医を中心に、連携しながら呼吸器科、放射線科の先生の診察も受けています。また肺に水が溜まってきており、2回目の水を抜きました。主治医の診察では、「放射線治療が終ったあと、胸膜の張り付けをする」と言われました。咳がひどくなり、息苦しさが増してくることを防ぐためのようです。つまりこの段階は、この病の一般的に予想される過程なのでしょうか。癌に効く薬の相性を特定し、少しでも利く更なる抗がん剤治療ができる選択肢はあるのでしょうか。妻は体重も減ってきていませんし、食欲も人並みです。通院も自分で車を運転して行きます。見た目は健康そうに見えるのですが、これから先、様態が急変することが信じられません。睡眠時には、やはり様々なことを考えてしまい、よく眠れないようです。最近は家中の物を処分して気分的にすっきりさせるんだと言って、毎日片付けしていますが、かえってそのことが身体に影響するのではと心配もしています。わたしも国内勤務にしてもらい、近いうちに自宅からの通勤範囲で仕事ができそうですし、妻も子供も大変喜んでおります。まだ暫くは(3-4年)元気でいられるのであれば、長期で旅行にいったり、この際、増築もしようかとも思います。一般的な意見で結構です。そうした時間は、まだ私達には残されているのでしょうか。

転移・再発乳癌に対しては、副作用が許容できる範囲の量の薬剤を使用して、癌と共存する事を考えなくてはなりません。副作用の程度は個々によって様々で、実際に使用してみなければわかりませんが、更なる抗癌剤を試してみる価値はあると思います。主治医と充分なコンタクトをとり、納得のいく治療を受けて下さい。闘病生活においては、ご家族の支えが大きな力になります。抗癌剤の効果しだいで予後も変わってきますが、奥様のなさりたい事を中心に、皆さんで大切な時を過ごしていただきたいと思います。頑張ってください。実際に診察していないので、限られた内容の回答しかできませんが、少しでもお役に立つことがあれば、この相談室を利用してください。(文責 須田)

 

No.5670】   06年08月23日     O.M. 
知人の乳癌治療について

初めてメールします。知人は、今年5月に体の不調を訴え病院に行ったところ、乳癌だといわれました。余命1年持つかどうか・・・とも言われました。5月末頃から入院し、抗癌剤を投与することになりました。「3回して1回お休み」というスケジュールで3クールしました。その後、退院し通院を毎日していましたが、症状が悪化した為、再入院となりました。今回は、抗癌剤を癌に直接投与する為、左胸の動脈にしました。左胸の脇に癌があるらしく、病院の担当の先生が書かれたものらしく、左胸巨大な癌とかかれて図が書いてありました。現在58歳です。かなり症状も悪く、腹水も胸水も溜まっています。呼吸も苦しく酸素マスクをつけています。体の左半分はむくみでかなり腫れ、手はまん丸の状態です。先日顔を見に行った時は、かなりやせていました。動脈への抗癌剤が効かなければ、もう他に方法はない・・・と言われていますが、今度は透析をする事になりました。私は他人なので詳しい事を病院に聞く事は出来ません。糖尿病も持っていたので、それが原因でしょうか? ちなみに、肺には転移しています。リンパにもたくさん転移しているようです。手術も最初から、出来る状態ではありませんでした。毎日毎日、様子も悪くなっています。今の状態で後どれくらい延命できますか? 治療法は他にあるかどうか、費用はどのくらいかかるのか、後どのくらい生きれるのか・・・教えてください。

直接診察していないので、メール内容からの推測になりますが、左胸に巨大な癌があり、肺転移とそれに伴う癌性の胸水等等を考え合わせると、残念ながら癌の増大をコントロールできず、苦痛をコントロールするための緩和医療が必要な時期なのかも知れません。今後の治療については、現在の状態を最もよく把握して下さっている主治医と充分ご相談下さい。予後についてはケースバイケースですが、今を大切に、患者さんを支えていってあげてほしいと思います。費用に関しては、申しわけありませんが、分かりかねます。治療法によってもかわってきますので、主治医に伺って下さい。(文責 須田)

 

No.5669-1】   06年08月23日     W 
非蝕知乳癌について(非浸潤乳管癌)

42歳、既婚、2児の母です。マンモグラフィーにて微細石灰化が見つかり、MRIと石灰化部分のマンモトーム生検の結果、7ミリのステージ0の非浸潤癌と診断されました。MRIには石灰化の場所以外にもう1箇所、造影剤に染まった箇所が見つかったのですが、レントゲンにも映らず、超音波でもとらえることができませんでした。良性か癌かどうかも診断できませんでした。石灰化の所からちょうど2センチくらい離れているけれどMRIだけでは上の部分か下の部分かわかりませんでした。多めに切除となると、半分切除になるので、とりあえず石灰化の部分の周り2センチの左乳房部分切除をし、断片の病理の結果を見て追加切除することをすすめられました。どうしても1度しか手術したくなければ乳房全摘出するが、普通は、部分切除と言われたので7月26日に部分切除術を受けました。断片のどこかにMRIの疑わしい部分がかかるので、病理の結果、追加切除の予定でしたが、断片陰性でもう1つの箇所がどこかわかりませんでした。今後の治療方針についてお尋ねします。放射線治療だけでいいのか、それとも乳房に残っている可能性があるから、全摘手術を受けたほうがいいのか教えてください。病理の結果、薬は使わないそうです。カンファレンスの結果、治療法を決めることになっていますが、どうしたらよいのかわからないのでご意見をお願いします。

乳房温存療法とは、乳房温存手術と温存乳房への術後放射線治療を行う治療法です。病期〇期の非浸潤癌では、温存療法と乳房切除術に、生存率での差は認められていません。癌の広がりが広範囲の場合は、乳房再発の危険があるため切除術が推奨されます。貴女の場合、切除断端は、MRIでの検査で、もう一箇所の疑わしい部分が含まれているにも関わらず陰性であったとの事ですので、広範囲に癌が広がっていないと判定できるかと思います。従って、今後の治療は、放射線治療となります。(文責 須田)

 

No.5669-2】   06年08月30日     W 
非触知乳癌の今後の治療方針について

ご回答ありがとうございました。病理検査の結果についてですが、断端陰性ではあるが、切除部分を何ミリかおきにスライスして標本を作成するときに、はずれて作成されたか、疑惑部分を含まないで切除されてしまったと説明を受けました。今後については、今は術後なのでMRIを行なってもうまく撮れないので、1年後にMRIとマンモグラフィーを撮るそうです。1年間経過観察して、大きくなってから手術しても命にかかわることはないと言われました。最初の手術の際、「石灰化の部分はマンモトーム生検後、手術は急がなくても大丈夫。しかし6ヶ月も放置はできない。」と言われていました。またMRIのもう1箇所の疑わしい部分は、大きさは今回切除した部分とほぼ同じ7ミリで、乳腺外科の先生は良性か悪性かわからないけれど、画像診断専門の先生は石灰化の部分とおそらく同じものだろうとのことでした。放射線療法については、部分切除の場合、することで乳房内再発率が下がると言われ、一応放射線科の予約をいれ放射線科の先生の診察を受ける予定です。そのとき放射線療法を受けるかどうか決める予定です。そこで、いくつか質問があるのでお願いします。
1) MRIの疑惑部分を1年もエコーのみの経過観察で、大きくなってリンパ節に転移して手遅れにならないでしょうか? せっかくセンチネルリンパ生検でリンパ節転移なしであることが判っているし、MRIで極めて早期に見つかったので、経過観察してしまうのがもったいないと思うのですが・・・。しこりを触知せず、エコーにもマンモにもレントゲンにも映らないから、これがベストの方法でしょうか? それとも乳房切除すべきでしょうか?
2) 放射線療法についてですが、明らかに癌と思われるものが残存している乳房に放射線をあてるメリットはありますか? 同じ箇所に放射線をあてることができる量が決まっていると聞いたことがあるので、放射線をあててしまうと、今度疑惑部分を切除するときは、部分ではなくて全摘手術となってしまうのでしょうか? もし全摘になるのであれば、1年後の手術であれ、ば放射線療法はしないで経過観察だけの方がいいのでしょうか?
3) 私の場合、いつどんな手術を受けるのがベストか教えてください。もし子供の受験の終わる2007年3月ごろ全摘するとすれば、リンパ節はとらなくても大丈夫でしょうか?

第二の病変については検査がなされていないとの事ですので、今回と同じ大きさであること、またMRI検査で、今回切除したものと同じ病変である事が推測できるとすれば、多発性乳癌であると考え、乳房切除も選択肢の一つであると思われます。切除すれば、放射線療法はいらなくなります。現在の貴女の状況と今後の治療方針について、もう一度主治医に伺い、納得のいく治療を受けて下さい。
乳房温存療法は、乳房温存手術と乳房照射がセットになった治療法です。温存乳房に放射線治療を行う事によって、乳房内再発を約3分の1減らす事が明らかになっています。しかし、放射線治療を加えても再発を100%防げるわけではないので、更に術後抗癌剤やホルモン療法を行う事になります。(文責 須田)

 

No.5669-3】   06年09月14日     W 
放射線治療について

先日は、お返事ありがとうございました。なかなか自分で納得のいく治療法を決められなくて、今日に至っております。左乳房に残存しているものが病理検査で悪性と確定診断されないと、乳房の切除等の手術は出来ないと言われてしまい、前回の手術で全摘しなかったことを後悔しています。私の場合ホルモンレセプターが陰性で、しかも非浸潤癌なので抗がん剤の効果もあまりないらしく、残された治療方針は放射線療法をするか、しないで経過観察のみのどちらかということでした。放射線科の先生の説明で、通常25回のところを、残っているので、できたら30回するとのことでした。ただ乳房温存手術後の乳腺の配置は手術前と後とではかなり変わってしまうので、部分照射は難しいかもしれないと言われました。今の状態では生検もできないので、ただ何もしないでいるより、もう1つが良性であることを願って、放射線療法を受けようと思います。そこで放射線の副作用についてお尋ねします。30回すると放射線肺炎になるのではと心配しています。私の病院ではCTを用いて正常の部分には当たらないようになるべくしているそうですが、どういう場合に放射線肺炎になりますか。また、なってしまった時の治療法についても教えてくださいますようお願いします。あと放射線を当てた乳房は硬くなってしまい、乳癌のしこりを見つけにくくなるのではと心配しています。放射線治療後の乳癌の再発の兆候はどういう風に現れるのか教えてください。ご多忙中すみませんが、どうぞ宜しくお願いします。

放射線照射後にCTをとると、わずかに肺炎の影がある人はかなりの頻度でいらっしゃいますが、実際に咳や発熱などの症状を伴う方は少ないです。放射線照射後の副作用については、放射線科を受診した際、放射線科の専門の先生がよく説明してくださると思います。
放射線照射後の再発の症状としては、「しこり」や「乳房全体が硬くなる」、「皮膚が赤くなってくる」などがあります。確かに放射線照射後は乳房が硬くなってわかりづらいことがありますが、エコー検査やマンモグラフィも併用して検査します。(文責 俵矢)

 

No.5668-1】   06年08月23日     A.O
局所再発後の治療について

初めてメールさせて頂きます。32才、既婚、未出産です。
2005年3月に左乳房温存手術をしました。その時は、リンパ18個中1個転移あり、ER(+)PR(−)、HER2 2+(FISH方で陰性)で、術後抗がん剤のCEFを4クール、タキソテール4クール、放射線2グレイを28回、ホルモン治療のゾラデックスとノルバを現在しています。
2006年6月に局所再発がわかりました。あまりにも早くてショックを受けました。通院していた病院の主治医をとても信頼し、親切にして頂いたのですが、主治医自体が再発が初、病院の再発データー不足ということで、転院しました。今の病院も主治医も信頼してます。
7月に左乳房全摘手術をしました。前回の傷跡の下に1cm未満の癌が3つ連なって、3cm未満の大きさだそうです。前と同じ癌の性質みたいで、充実腺管癌です。今のところ骨やリンパ、他の臓器には転移がないそうですが、とても不安です。最初はホルモン治療を継続して、抗がん剤なしでいこうという話しでした。少しずつ前向きに考えられるようになり 今回で癌を退治したいという強気も出てきました。今、術後の胸の液が溜まるので、抗がん剤は来月以降です。
何回か通院して主治医と話しているうちに、予防として、ゼローダ+ゾラ、TS1+ゾラを半年しようかと考えています。100%の予防としての立証がされてないのは覚悟しましたが・・・、
1) どちらの選択をすればよろしいでしょうか?
2) 違いは副作用ぐらいですか?
3) それとも他の抗がん剤をした方がいいですか?

よろしくお願いします。

手術後に再発した場合や、初めからすでに転移がはっきりしている場合、手術前後に行う「微小転移を根絶して再発しないようにするため」の薬剤の使用とは根本的に異なります。転移・再発乳癌に対しては、副作用とのバランスを考えながら、許容できる範囲内での薬剤量を使用し、癌が更に大きくならないよう、また生活の質を落とさないような治療に心がけるという事に力点が置かれることになります。
ホルモン療法は、化学療法に比べて副作用が軽くてすみます。従って、転移・再発乳癌では、ホルモン剤が効くタイプの乳癌であれば、まずホルモン療法を行い、効果が現れなくなれば化学療法を実施致します。化学療法剤も、点滴で行うより経口剤の方が生活の質を上げることができる可能性があります。副作用の発現の仕方はケースバイケースで、様々ですので、やってみなければわからないという側面もありますが、副作用が強く出れば、また薬剤を変更する事になります。ゼローダ+ゾラ、TS1+ゾラ、他にヒスロンH+フルツロンという組み合わせも考えられると思います。何を使うかは、あなたの現在の状況を最も把握して下さっている主治医の先生と充分ご相談し、納得のいく治療を受けて下さい。(文責 須田)

 

No.5668-2】   06年09月24日     A.O
TS1の薬量について

前回HPNo.5668で質問したA.Oです。ありがとうございました。前回の内容は、局所再発の治療法の質問で、ゼロータ、フルツロン、TS1の事をお聞きしました。いろいろ考えて、TS1(20mg)を9月から朝夕3錠ずつ、計6錠飲んで、プラスして胃薬(セルベックス)を朝昼夕と飲み、吐き気があるときだけ吐き気止めノバミンを服用しています。やはり副作用がでてきまして、吐き気、胃がだるい、指先や皮膚の弱いところの色素沈着、体が少しだるくて動いては休む・・の繰り返しで、日々を過ごしています。私の場合は、今のところ体内にガン細胞が見えないので、予防として飲んでいます。けれど、精神的にも薬を見るのが気持ち悪くなってきて、薬量を減らそうかと考えています。主治医とTS1の2週間後に話しまして、白血球がギリギリ3000、様子を見て副作用がきつかったら薬量を減らそうか・・と話しはしたのですが、
1) 薬量を減らしても、効き目は減りませんか? 副作用はラクになりますか?
2) 成果がみえないので、頑張れば6錠で行けそうな気もありますが、「どこまで頑張るのか?」「頑張りに意味があるのか?」と悩んできました。
3) 25mgを4錠・・の他に減らす方法はありますか?

ちなみに32才、身長161cm、体重61キロ(恥ずかしいのですが・・これでも7キロ痩せました)です。それではよろしくお願いします。

1) 用量を減らすと効果は低下しますが。副作用は改善する可能性があります。
2) 副作用の程度については、ご本人しかわかりませんが、日常生活に支障があるようなら、減量もしくは中止すべきです。
3) 投与期間を短くする方法があります。(文責 徳田)

 

No.5668-3】   06年11月11日     A.O
TS1の副作用は肝臓にでるのですか?

以前HPNo.5668でTS1について質問したものです。いつもありがとうございます。あれからTS1の飲む量も毎日20mg6錠から4錠になり、だいぶラクになりました。先日外来で血液検査をしたところ、白血球が3000→2800、肝臓のASTが18→46と少し高いそうで(平均の上限が32とか?)、あと2日飲めば休めるTS1を、その日から3週間ほど休むことにしました。その3週間後に肝臓のエコー、血液検査をやります。主治医は、「多分抗がん剤の副作用だ」といっていますが、私的に転移ではないのか心配で、不安で、色々調べていますが、あまり情報がありません。TS1や5FU系は、こういった肝臓機能に副作用が起きる場合もあるのですか? 飲まなければもとに戻ることもありますか? あるのなら、飲むのを辞めて、無理せず、主治医と私の力でコントロールしていこうかなぁ・・・と最近考えています。よろしくお願いします。

副作用だと思います。休薬すれば普通元に戻ります。転移でASTが上昇することはめったにありません。(文責 石山)

 

No.5667-1】   06年08月20日     S.T. 
術後の治療方針内容についての相談

44歳(閉経前)、既婚、31歳で出産、一児の母です。表題につきましてのご相談、よろしくお願いたします。ER(+)100%、PgR(+)100%、HER2(+)。7/19日手術、術後の組織診断は下記のとおりです。
                            
占拠部位   rtA      rtA      rtD      
  大きさ   8mm    12mm    9mm         
  肉眼型  浸潤性   浸潤性   浸潤性         
  組織型  硬癌     硬癌     硬癌         
  核異型  NAN1     NAN1     NAN1
  分裂像  5以下    5以下    5以下
  間質型  scirrhous  scirrhous  scirrhous
  組織波及 f        f       f
  リンパ節転移 n0
  遠隔転移
  リンパ管侵襲 ly0    ly0      ly0
  静脈侵襲   v0    v0      v0
  乳管内伸展 中等度
  断端     陰性
  術式     乳切

リンパ節 0/43(1a+1b:0/24、1c:0/7、2:0/12)

検体は右乳房全摘出および郭清リンパ節です。乳房内には概3箇所に腫瘍が存在、ひとつは内上領域の乳腺深部にある浸潤性腫瘍(8mm径)、 そのすぐ頭側乳腺中間層にある浸潤性腫瘍(12mm径)、そして外下領域にある9mm径の浸潤性腫瘍です。いずれも組織型は乳頭線管癌から発展した硬癌です。良く分化構築をなし軽度核異型低頻度分裂像を示し、乳腺固有組織を超えて周囲脂肪織に浸潤しています。脈管侵襲は確認できません。それぞれの浸潤性腫瘍の周囲に乳管内伸展像が観察されますが、個々の腫瘍を繋いでいる印象はあまりありません。

術後の治療法について
1) どのような化学療法・ホルモン療法が再発率を低く抑えられるのか、良い方法を教えていただけますでしょうか。
2) また、医師により意見が分かれるとすればどのような点でしょうか。

右乳房内に多発の浸潤癌ですが、最大でも12mm、リンパ節転移なし、リンパ管侵襲なし、ホルモンレセプタ陽性、グレード1と、再発リスクは低いと思います。ただHER2+という項目がやや再発リスクを上昇させます。一般的にはホルモン療法(LH−RHアゴニスト、タモキシフェン)のみか、HER2+を考えて化学療法+ホルモン療法、または化学療法+ホルモン療法+ハーセプチンなどが考えられます。担当のDrとよくご相談下さい。 (文責 首藤)

 

No.5667-2】   06年08月23日     S.T. 
術後の治療方針内容についての相談(2)

ご回答ありがとうございます。先日の相談の際のデータがひとつ間違っておりました。HER2(+)と書きましたが、HER2(-)でした。抗癌剤治療を加えるかどうかに大きな要素と思いますが、HER2(-)でも抗癌剤治療+ホルモン剤治療(+ハーセプチン)を行った方が再発率は具体的にどのくらい(%)抑えられるのでしょうか?
再発率を抑えられるならば抗がん剤治療をプラスしたいと思いますが、判断できずに悩んでおります。私のようなケースの場合、抗癌剤治療を加えることのメリット・デメリットをご教示ください。お手間をかけて申し訳ありませんが、再度よろしくお願いいたします。

以下に当てはまる場合、再発予防を目的とした術後の抗癌剤治療が推奨されています。
1.腋窩リンパ節転移がある
2.腋窩リンパ節転移(−)で、エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体がいずれも陰性
3.腋窩リンパ節転移(−)、病理検査で乳癌の大きさが2cmを越える
4.腋窩リンパ節転移(−)で、乳癌細胞あるいは核の異型度が強い
5.腋窩リンパ節転移(−)で、35歳未満である
6.腋窩リンパ節転移(−)で、癌周囲の脈管浸潤(血管やリンパ管へ癌細胞が広がる事)がある
7.腋窩リンパ節転移(−)で、HER2陽性

貴女の場合は上記のいずれにも該当しませんので、再発リスクは少ないと考えられ、従って、ホルモン療法単独でよろしいかと思います。納得のいく治療を受ける事が大切ですから、疑問点・不安点などを含めて、主治医と充分にご相談下さい。(文責 須田)

 

No.5666】   06年08月20日     H.M.  
非浸潤ガンの治療と再建について

初めてメールさせて頂きます。既婚32歳・子供なし・妊娠出産希望。よろしくお願いします。
左胸に約2cmのしこりがあり、細胞診や組織診でもなかなか判断つかなかったのですが、生検の結果「非浸潤ガン」と診断されました。「マンモ、エコー、MRIの結果などを見ても、それほど大きくはないので温存で大丈夫でしょう」と言われ、今月8月2日に温存手術を受けました。が、予想以上にガンが拡がっており、手術後「断端陽性」(明らかにガンが残っている)で、ガンを全部取ろうとすると全摘手術になるそうです。このまま放射線治療を受けると再発率が2〜3割あるという説明を受け、「完治させて絶対に再発させない」ことを最優先に考え、今月末に全摘出手術をし、同時に再建のための生理食塩水バッグを入れる予定です。 そこで質問です
が、

1) 医師は「2回切って浸潤ガンが無いということは、ほぼ非浸潤ガンで間違いないので、ワキのリンパ節を調べる(切る)必要はない。全摘すれば99%完治できる」と言いますが、次の全摘手術で浸潤ガンが見つかる可能性はゼロなのでしょうか? また、浸潤ガンが見つかった場合、ワキのリンパ節の再手術が必要なのでしょうか?
2) 細胞診のために初めてガンに針を刺してから、すでに2ヶ月半経過していますが、ガン細胞が血流やリンパにのって拡がっている可能性はないのでしょうか? また可能性があるなら、どういう検査を受けたらハッキリわかりますか?
3) 今の病院には形成外科が無いため、食塩水バッグを入れる所までしか施術できません。シリコンを入れる再建手術は別の病院で受けることになりますが、同じ病院ですべておまかせする方がやはり良いのでしょうか?1度切って断端陽性という現在の中途半端な状態で、再建のために病院を変えることは危険でしょうか?

繰り返しになりますが、「完治させて2度と再発させない」ことが最優先で、その上で「できれば早い時期に出産したい」「できれば再建したい」と希望しています。 よろしくお願いいたします。

1) 非浸潤がんは、しこりとして触れる部分よりも実際の乳管内のがん細胞の広がりが広範囲のことが多く、温存術がきびしい事がよく見受けられます。主病変のところを病理学的に検査して「非浸潤がん」であれば、まず全体として非浸潤がんで良いと思います。しかし可能性としてはご指摘の如く乳房を全摘した部分に「浸潤がん」が見つかる可能性もゼロではありません。もし部分的に浸潤がんの部分が見つかった時にリンパ節郭清をどうするかですが、がん細胞のリンパ管侵襲の有無(リンパ管の中に癌細胞が入り込んでいる像がみられるかどうか)などを総合的に考えて判断すると思います。
2) 細胞診のためにがん細胞が広がるという考えは、現状では一般的でありません。
3) 現在の病院で手術を受けられてから再建手術を他院で受けられても、転院されてから乳房切除と再建手術を同じ病院でお受けになられても、いずれも問題ないと思います。(文責 首藤)

 

No.5665-1】   06年08月20日     K子 
線維腺腫の疑い

人間ドックで、触診・マンモ・エコーを受診した結果、「エコー検査で4mmほどの線維腺腫が疑われました。3〜4ヶ月程度で再検され、経過を見てください。」とのことでした。触診・マンモは「異常なし」となっています。「疑い」というのが気にかかっています。乳ガンの可能性もあるのか心配になり、ご相談させていただきました。細胞診や組織診はしていません。エコーだけで乳ガンと線維腺腫の違いは分かるものなのでしょうか。母が4年前に乳ガンの手術をしています。遺伝的に乳ガンになりやすいから気をつけてとも聞いていますので、心配しています。(31歳・女性)

線維腺腫は形が円形〜楕円形で、辺縁がくりっとした腫瘤であることが多く、貴方の超音波検査でも左記のような形態のものがみられたことから線維腺腫疑い、ということだと思います。疑い、というのは、実際の真の診断を求めるのであれば生検(腫瘤の一部〜全部を切除)して組織学的に確認するしかないからです。その意味で、エコーだけで乳がんと線維腺腫の違いは完全には分かりません。しかしその形態から線維腺腫か癌かのおおよその診断はつくわけで、前者の可能性が高ければ大きさが4mmということもあり、3―4ヶ月程度の再検というのは妥当だと思います。(文責 首藤)

 

No.5665-2】   06年08月23日     K子 
線維腺腫の疑い・妊娠希望

HPNo.5665です。お返事ありがとうございました。超音波検査でおおよその判断はつくが、真の診断を求めるのなら生検、3〜4ヶ月程度の再検は妥当とのこと、よく分かりました。ありがとうございます。実は、この人間ドックでどこも異常がなければ、妊娠を希望しようと思っていました。妊娠してしまうと、再検でマンモもできないし、妊娠後に乳癌が発覚してしまったらどうなるのだろうと心配してしまいます。妊娠を希望するなら年齢的にも急いだ方がいいだろうし、周りからのプレッシャーもあります。やはり3〜4ヶ月後の再検の結果を待ってからの方がよいでしょうか。それとも、もう少し詳しい検査をお願いして、今のうちにはっきりさせておいた方がよいでしょうか。
また、私が人間ドックを受けた病院は乳腺外科がないようです。同じ病院で引き続き診察を受けた方がいいか、乳腺外科のある病院に行った方がいいか迷っています。ご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。

妊娠を強く希望されているようなので、今のうちにはっきりさせておいた方がよいのではないでしょうか。確定診断の為には、生検(腫瘤の一部〜全部を切除)を行って、組織学的に確認することが必要です。妊娠を希望している事、乳腺腫瘤の存在が気にかかる事を、主治医に伝え、生検を行うかどうかも含めて、もう一度主治医とご相談下さい。乳腺疾患は外科で取り扱いますので、乳腺外科を標榜していなくても、乳腺専門のドクターがいる場合もあります。ご確認下さい。(文責 須田)

 

No.5664】   06年08月20日     S.Y. 
マンモトームの予後について

先日、乳がんの疑いでマンモトーム生検を受けました。3週間程たっても傷の治りが悪く、担当医に相談したところ大丈夫と言われました。が、傷跡をよく見てみると、採取した組織周辺においてきたはずの金属片が傷跡から出てきているのがよくわかりました。このような場合、どのような処置をすることになるのでしょうか? また、このような事はよくありえることなのでしょうか? 念のためにとすすめられ、受けた検査でこのような不安を持つことになるとは思いませんでした。よいアドバイスをいただけたらと思います。宜しくお願いいたします。

チタニウムなどのクリップは身体にとって異物ですので、特に傷口から近い部分に留置された場合に傷口から体外に出てきてしまうことがしばしば見受けられます。この場合、マンモグラフィなどで、マーカー(クリップ)が本来留置されていなければならない部分より離れたところにあるのならばクリップを摘出するものと思います。(文責 首藤)

 

No.5663】   06年08月19日     M.S. 
炎症性乳がんと抗がん剤について

現在60歳の母の乳がんについてご相談させていただきます。今までの経過としまして、2年前に右胸にしこりを発見、乳がんと診断され、温存手術を受けました。ガンはすべて摘出したとのことでしたが、5ヵ月後に再発したのか、取りきれていなかったのか、同じ箇所にガンができ、今度は全摘出しました。その後、放射線照射、CMFを使用しました。その後、摘出した箇所が赤く腫れ上がり、今度は炎症性様乳がんと診断されました(悪性度3)。抗がん剤をタキソール+ハーセプチン(HER2は陽性)に変更し、赤みが引いてきましたが、手術の縫い目あたりにイボのような2ミリ程度のぶつぶつが5?6個出始めました(昨年の後半から今年の初めにかけて出てきたようです)。主治医に相談しましたが、特に治療はなく、そのままです。また、今年の2月から「ほかの抗がん剤を試してみましょう」ということになり、TS1+ハーセプチンを使用しました。母はかなり薬に弱いらしく、どの抗がん剤でも規定量を摂取すると必ず副作用(だるい、頭痛、瞼が腫れる、下痢、便秘など)が強く出て、寝てばかりの状態になってしまうため、TS1も2週服用して、2週間中止し、3月から4月中旬まで規定(1回2個)の半分量(1回1個)を服用しました。赤みは消えているものの、ぶつぶつは消えず、さらに湿疹のような赤い小さな斑点状のものが脇の下あたりから、少し背中にかけて出始めました。特にかゆみはありません。これについても主治医からは特に何も回答はなく、そのままです。4月中旬からはタキソール+ハーセプチンに戻しましたが、体の症状は変わりません。なお抗がん剤は週1回では体がつらいということで、9日または12日に1回というサイクルです。また、リンパ節およびその他臓器への転移は今のところありません。長くなりまして申し訳ありませんが、お聞きしたいのは以下の2点です。

1) 炎症性乳がんの赤みは消えているものの、ぶつぶつや湿疹のようなものが出てきているのは、抗がん剤が効いているといえる範囲なのでしょうか。このままこの抗がん剤を続けてよいものでしょうか。もし、効いていないのなら、ほかにどのような抗がん剤または治療が考えられるでしょうか。(なおホルモン受容体は陰性です)
2) 体がつらいため、抗がん剤のサイクルが規定の週1回ではありませんが、これでは効果は薄い(又はない)のでしょうか。または、週1回のサイクルで1回分の量を減らすほうが効果があるのでしょうか。どちらの方法もよくないのでしょうか。母のQOLを考えると、どうしても週1回に規定量を摂取するのは無理だとのことです。

以上について、どうぞよろしくお願いいたします。

炎症性乳癌は、癌細胞が乳房内のしこりだけでなく、乳房皮膚内のリンパ管の中に入り込んで管がつまってしまうことで一見炎症を起こしたときのように皮膚が赤くなった状態です。皮膚内のリンパの流れは非常に速く、たとえば乳房の皮膚に色素を注射すると、皮膚内リンパに入り込んだ色素は約15分後には尿として排出されてしまいます。つまりお母さまの乳癌細胞は、そのような早いリンパの流れにのって、すでに全身に運ばれている状態=全身病であると考えられます。
赤みが消えているということはリンパの流れの停滞が改善されているということで、それは良い状況です。治療の効果が出ているのだと思います。背中にかけてのぶつぶつや湿疹は、癌の局所再発か、薬剤による薬疹、免疫力低下による帯状疱疹のようなもの などが考えられます。帯状疱疹であれば、治療薬がTS−1などの5FU系薬剤と併用禁忌となりますので、皮膚科など専門医の診察が必要かと思います。局所再発の一部であれば、今後の治療薬の効果を計る重要な指標であると思います。皮膚の赤みやぶつぶつが広がるのであれば薬剤を変えてみる、それで改善すればその治療を続けるといった方法です。
メールで拝見するとアンスラサイクリン系薬剤(ファルモルビシンなど)を未だ使用されていないようです。おそらくお母さまの心機能に問題があるのかもしれません。
薬剤の投与方法ですが、お母さまの場合、残念ながら薬剤による「完治」は今後厳しい状態だと思います。現在の治療が現状の維持・今後の病状の進行を遅らせる、ということを目的としている、そしてお母さまのQOLを考えると無理に規定量に縛られる必要はないと思います。(文責 首藤)

 

No.5662】   06年08月19日     E.K
ホルモン療法について(HPNo.5368-2)

以前HPNo.5368で質問させていただき、回答をありがとうございました。年齢をお伝えするのを忘れていたのですが、現在49歳6ヶ月です。アロマシンは続けて服用しており、生理も4月以来ありませんが、これでよいのかもう一度お伺いしたく、宜しくお願いいたします。

HPNo.5368、拝見しました。血中のホルモン状態からは閉経状態であると思います。(文責 首藤)

 

No.5661】   06年08月19日     K.K. 
放射線治療について

友人よりこの相談室のことを教えてもらいました。私自身パソコンが使えないので、その友人にメ-ルをお願いしました。私は現在62歳の主婦です。昨年10月検診で乳癌がわかり、紹介された病院で治療中です。発見時、腫瘍は4.5センチありました。お恥ずかしい話ですが、この年になっても乳房を失いたくないと駄々をこねたものですから、主治医は術前化学療法(アドリアマイシン・エンドキサン・タキソテ?ル)→乳房温存手術→放射線25回→アリミデックス5年という治療計画をして下さいました。半年の抗癌剤治療の予定が、副作用が強く8回とも入院して(3日ほど)8ケ月かかって終え、今月初めに乳房温存で手術してもらいました。ここまでやっとの思いでこぎつけ、気力も体力も使い果たしました。残暑厳しい折、9月から毎日25回の放射線治療に通う自信がありません。温存手術と放射線はセットと聞きましたが、放射線治療を受けない選択はできないのでしょうか? もっと若かければ頑張るのですが・・・、子供も独立し孫もいて、あとはのんびり暮らせれば満足です。わがままな質問ですが、どうか、ご意見をいただければ嬉しいです。よろしくお願いします。

温存術後の放射線療法の意義は最近様々な議論がされていますが、現状では基本的に温存術後の局所再発予防として温存術とセットの治療として確立しています。日本における温存術後の乳房内再発は約5%程度とされています。欧米のデータでは放射線療法を行わない場合の局所再発率は10-20%程度といわれています。私見ですが、貴方の場合抗がん剤の効果が顕著で、ほとんどの癌細胞が死滅しており、病理組織的にも完全に病巣が断端から離れて十分に取れているのか、または抗がん剤の効果がいまいちで乳房の腫瘍内に生きた癌細胞が多数残っており、切除断端に近いところにも癌細胞が存在している状態なのかで、放射線療法の意義が大分違うと思います。そのあたりを担当の先生と相談されて、貴方ご自身にとっての放射線療法のメリット・デメリットをもう一度整理して判断されてはいかがでしょうか。 (文責 首藤)

 

No.5660】   06年08月19日     S.F. 
注射の位置について

いつも丁寧な回答をありがとうございます。毎月受けているゾラデックス注射ですが、左右交互に受けていましたが、先日の診察では、私が前回どっちだったか覚えておらず、先生も軽い調子で、「まあ、どっちでも良いかな」と言いつつ、既に打たれていたという状態でした。帰宅してメモを見たら、続けて同じ側に打たれていました。大丈夫なのでしょうか? カルテなどには記入しないものなのでしょうか?

ゾラデックスは薬剤が小さなカプセルに包埋されて徐々に吸収される形をとりますので、打ったところに炎症反応、肉芽生成などがおきにくい薬剤です。しかし全く同じところに繰り返し何度も打つのは回避しようという事で、便宜上左右交互にしているのだと思います。同じ方向に打ったからといって効果が減弱することはありません。(文責 首藤)

 

No.5659】   06年08月19日     K-H 
しこりの位置が気になります

先日、左胸に痛みがあり、乳腺外科で触診・マンモグラフィ・超音波・細胞診の結果、乳癌が見つかりました。ステージで、大きさは1.3cmなのですが、かなりしこりが乳首に近いために全摘出したほうがいいと言われました。乳房温存手術だと乳首に癌が残るらしいのです。医者に今までの症例を尋ねたら、「たいがいの患者は乳房をとっています」と言われました。MRI検査の結果を診てからというのですが・・・。すごく不安です。ご意見お願いします。

しこりと乳頭の距離がどの程度かという事が問題なのですが、温存術ではしこりから少なくとも2-3cm程度正常と思われる組織をつけながらくりぬく形をとります。これは触診で断端と思われる部分よりも顕微鏡的に癌細胞が広がっていることを加味しながら、乳房内の癌細胞を残すことなく取り去るためです。また乳管の中に癌細胞がある場合、癌細胞はミルクの流れと同じで乳頭の方向に増えて行く傾向にあります。以上から、例えばしこりが乳頭から1cm以内の場合など、乳頭を一緒に切除する可能性が高いと思います。したがって貴方の場合、乳房を切除するか温存するかは、しこりの位置に依存すると考えられ、温存できたから早期で、温存できなかったから進行しているということでは一概に言えないと思います。 (文責 首藤)

 

No.5658】   06年08月19日     Y  
19歳です

19歳ですが乳癌はありえますか? 昔から胸にしこりがあり、今もなくなることはなく、しこりは大きくなって来ています。とても不安です。

若年者(10代)の乳癌は珍しいのですが、報告はあります。昔からあった、ということでは良性の腫瘍(線維腺種など)が考えられますが、大きくなってきたということですし、一度お近くの乳腺専門医を受診されることをお薦めします。(文責 首藤)

 

No.5657】   06年08月19日     Y 
迅速生検の正確さについて

検診で微細石灰化が見つかり、マンモトーム生検で良性でしたが石灰化部分が採取できず、MRIの結果からも8割悪性を疑うとの診断を受け、外科生検で白黒つけることになりました。石灰化の位置が乳房下方内側部のため、乳房の変形を少なくするため全身麻酔で脂肪を移動してもらうため、迅速生検で悪性なら更に切除の予定ですが、迅速生検は正確に診断できるのでしょうか? 生検のみ受けた方が正確な診断を受けられるのでしょうか?

ご指摘の通り、迅速病理検査では良性・悪性の判断が極めて困難な場合もあります。その場合永久標本を待って再度診断するというプロセスを踏むので、その場では結果を保留することもあります。貴方の場合、受診された施設のMRI診断に自信があり、かつその結果80%の確率で悪性ということであれば、判断に迷うケースというよりも「まず悪性だが、念のため迅速生検でも確認する」という意味合いが強いのかもしれません。(文責 首藤)

 

No.5656】   06年08月19日     M.O.  
右胸のしこりについて

42歳、独身女性です。2年前に右胸にしこりを発見しました。それと同時期に右手があがらなくなりました。大手病院でマンモグラフィーと血液検査、超音波検査をし、その時は癌ではないということで、そのまま2年たちました。しこりは右胸の半分くらいの大きさで、石が入っているように堅いです。乳首は少し陥没してきています。右手は相変わらず上がりません。時々ぴりぴりとした痛みがあります。体は元気なので、癌ではないと思うのですが、右胸を残してしこりをとる方法はあるのでしょうか? 教えていただけるとありがたいです。

右手の運動障害と乳房のしこりの関係は不明ですが、現在しこりの大きさが乳房の半分を占めるほどであるならば、早急に乳腺専門医の診察を受けられることをお薦めします。その結果切除が必要となった場合、乳房を残せるかどうかは、そのしこりがどのようなものかによります。(文責 首藤)

 

No.5655】   06年08月19日     H.M 
閉経後の体調が…(HPNo.4265-5)

HPNo.5221ではお世話になり、お陰様で無事子宮卵巣全摘手術を終えました。術後、汗が出たり、先日15日(火)は、夕方5時半頃から急に左胸にギューッと刺すような痛みを感じ、息苦しく、冷や汗タラタラ、それが夜10時半過ぎまで続き(でも途中食事もし、子供の送り迎えもし、お風呂も入り)、また夜中にも20分程同じ痛みがありました(でも朝には何ともなく) 。術前、心筋虚血の疑いもあり、でも心筋シンチも異常なく…と閉経してからの体調が安定しません。15日は昼間、肩から背中、首の痛みで主治医に相談したばかりでしたので、またすぐ受診するのも行きにくく、コレは何だったんだろうと不安です。気にしすぎでしょうかー?

両側卵巣を切除されたのであれば、体内のホルモン環境が変化したことによる体調の変化が十分考えられます。(文責 首藤)

 

No.5654】   06年08月19日     M.E.
左胸しこりの痛みについて

はじめてメールさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。33歳、出産経験のない女性です。1週間ほど前に左胸上部外側に楕円形(長さ2cm、幅1cm)のしこりを見つけました。表面は滑らかで、楕円の横方向にはよく動きますが、縦方向には動きません。3日前からは触ると痛みを伴うようになり、触らないときは「ごく軽いヤケド」をしたときのような感覚があります。1年前に病院で触診検査をしてもらったときはありませんでした。病院に行こうと思っていますが、もし事前にアドバイスをいただければと思いメールさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

メールの内容からは、腫瘤が良性のものかそうでないのかの判断はつきにくく、やはり乳腺専門医の診察をお受けになることが良いと思います。(文責 首藤)

 

No.5653】   06年08月18日     A.Y.
手術後の治療について(HPNo.5598-2)

ご返事有難うございます。質問ですが、15年前に子宮筋腫で手術、子宮は有りませんが卵巣はあります。1年前より、1日に何度もほてりがあり、今回初めてホルモン値の検査をしました。検査の結果は卵巣機能低下していない、でした。54歳ですが、まだ完全に閉経していない状態で、アロマターゼ阻害剤を2年前から現在も服用中です。副作用について、再発しやすい等の副作用はありませんか? また今後すぐに閉経前のホルモン療法に変更しても心配ありませんか? 受診日に主治医に相談する前に予備知識として知りたいと思います。よろしくお願い致します。

完全に閉経していない状態であれば、LH-RH analogue(ゾラデックス、リュープリン)を使って卵巣機能を完全に停止させてアロマターゼ阻害剤を使うべきだと思います。卵巣機能が生きているときにアロマターゼ阻害剤を使用して再発が増えるかどうかについては、そのような状況のデータがないのでわかりません。しかし、閉経前の患者さんにアロマターゼ阻害剤を投与した治験時のデータでは女性ホルモンの値が上昇することが報告されており、アロマターゼ阻害剤の本来の目的である女性ホルモンを下げるという働きに対して逆の状態になるので望ましくないと考えられています。NCCAのガイドラインでも、アロマターゼ阻害剤は60歳以上では閉経していると考えて投与するが、50歳代は血液検査で閉経を確認してから投与するように注意されています。(文責 清水)

 

No.5652】   06年08月17日     A.Y.
部分切除後の治療について(HPNo.3753-2)

51才、閉経していません。以前No.3753で相談させていただきました。その後専門医を受診し、細胞をとった結果悪性ということで、5月下旬に部分切除しました。大きさ 1.4×1.0、リンパ節転移無し、腫瘍の悪性度 3(中心)、ER(+)70% 、PgR(+)10% 、 HER2 1+、脈管侵襲 △(小さくてはっきりしない)。以上のことから、リスク分類では中リスクの軽いほうになります。放射線治療を24回受けて終わったばかりです。今後の治療について、担当の先生は「化学療法は6:4の割合でしなくていいと思うけど、もし私の母だったら、させとくかな?」と、言われます。その後ホルモン療法をする予定です。参考までにご意見をお聞かせください。よろしく御願い致します。

おっしゃるとおり、リスクとして「中リスクの軽いほう」というのは妥当だと思います。Adjuvant onlineで計算すると、貴方の場合無治療では約12%の割合で再発し亡くなってしまう可能性があります。ホルモン療法単独、化学療法単独ともに12%を8%に下げる力があると考えられます。ホルモン療法+化学療法、両方の治療を受けると12%が5%に下がります。つまりホルモン療法と化学療法の効果はほぼ同じであり、また両方を行っても再発率は各単独療法より3%(8%-5%)しか下がりません。これをどのように解釈するか、よく担当の先生と話し合われてはいかがでしょうか。また貴方の場合、ホルモン療法はタモキシフェン(ノルバデックス、タスオミンなど)から開始し、途中閉経が確認された場合にアロマターゼ阻害剤に変更となる可能性があります。(文責 首藤)

 

No.5651】   06年08月17日     A.N. 
非浸潤癌について(HPNo.5474-3)

5474、No.5536でご質問させていただきました。他の病院でも診てもらおう思い、資料を借りてきました。資料の中に以下の所見が記載されておりました。

@ 左乳頭からBD境界の乳腺抹消辺縁にわたり、SEGMENTAL heterogeneous enhancement (Slow/Persistent)が見られる。のう胞も同領域に混在している。明らかな乳管拡張や分泌貯留は見られない。以上より乳管内病変の存在は確実で、dynamic patternや経過とMMG所見よりMMPを背景とするDCIS,low〜inter.gradeもしくはMMP with ADH〜DCISが画像上強く疑われるので、部分切除などの外科的切除が望ましいと考えられる。撮像範囲にリンパ節腫大なし。
A 右乳腺CにもREGIONAL enhancementが見られる。悪性を疑う所見では現時点ではないが、前回よりもやや明瞭化しているので、念のため急がなくとも良いが右乳腺MRIも実施した方が良い。

上記について質問させてください。
1) @とAの意味を教えてください。(専門用語がまったくわからないので用語の部分を詳しく教えてください)
2) 資料をお借りする際に、「病理判断が全てだから」とのことでプレパラートのみの貸出しでした。所見に「画像上強く疑われる」とありますが、マンモグラフィ等借りてこなかったのは良くなかったでしょうか。

1) 乳管の中に腫瘤がみられ、画像上非浸潤癌や異型性増殖などの病変が考えられることから、切除して確定診断をつけた方がよいということです。
2) 右の上方外側にもやや濃く写る場所があり、前回検査の時よりもややはっきりとしてきたのでMRI検査などで確認した方がよいという内容です。実際に疑われる部分の切除標本をお持ちでしたら、それで十分ではないでしょうか。(文責 首藤)

 

No.5650】   06年08月17日     R.N. 
タモキシフェンとHer2

いつも参考にさせていただいています。37歳、DCISにて乳房部分切除術、ホルモンレセプター共に+、悪性度1、Her2(2+)、断端(−)、ゾラデックス2年、ノルバデックス5年の予定です。放射線治療は主治医と相談の結果していません。インターネットで、Her2陽性の場合、タモキシフェンの投与により再発率を上げる危険性があるという文章を見ました。
1) 私はHer2が2+なので、現在の治療方法で良いのか心配です。
2) DCISでHer2陽性のご意見をお聞かせください。

Her2は癌細胞の細胞膜(外側の部分)に存在するホルモンレセプターなどと密接な関係があり、Her2陽性乳癌は陰性の場合と比較してタモキシフェンの効果が弱くなることが示唆されているものの、タモキシフェンを内服することで再発率が上がることはありません。Her2 2+というのは、おそらく免疫組織検査の結果「擬陽性」ですので、FISH法などさらに検査を追加して本当にHer2陽性であるか確認した方がよいと思います。DCISは理論的には転移の可能性はないわけで、今後は同側・反対側乳房の癌発生をコントロールすることを目的とした放射線療法とホルモン療法は妥当だと思います。(文責 首藤)

 

No.5649】   06年08月17日     H.M.
乳腺線維腺腫について

35歳の11ヶ月の娘を持つ主婦で、出産後から現在も授乳を続けております。2年半程前に右胸にしこりが見つかり、今まで2つの病院にかかり、超音波検査、マンモグラフィー、穿刺吸引細胞診などの検査を行い、結果は「乳腺線維腺腫」と言われております。半年に一度の検査をする度に、しこりの大きさが0.5センチほどずつ大きくなっており、最初2センチちょっとあったしこりは、半年前には5.5センチまで大きくなっており、「葉状腫瘍」というどんどん大きくなるしこりかもしれないので、早く取ったほうがいいと言われていました。ところが、そろそろ手術をしなくてはという覚悟で今回検査に行ったところ、しこりが2.2センチと一気に小さくなっていたのです。先生は、「しこりは大きくなることはあっても、小さくなるのは考えにくい」ということで首をかしげていましたが、このまましこりが小さくなり、無くなることもあるのでしょうか? ネットで調べたら、出産後にしこりが小さくなる人もいるようですが、出産や授乳との関係もあるのでしょうか? しかし、また大きくなる可能性もあるとのことで、しばらくは経過を診ていくことにしましたが、しこりと出産の関係、また大きくなった場合は何センチ以上になったら取ったほうがいいのかについて教えて頂きたく思います。宜しくお願い申し上げます。

線維腺腫、葉状腫瘍は、乳腺の上皮細胞由来の腫瘍(乳癌など)ほどではないものの女性ホルモンの影響をうけるため、妊娠と共に増大することがあります。あなたの場合、大きくなり、それが縮小してきたことから、例えば腫瘍内部で出血など液体の貯留が一時的におこり、それが吸収されて元の大きさに戻ったということが考えられます。基本的には3cm以上の大きさのものは切除の適応と思います。(文責 首藤)

 

No.5648】   06年08月17日     EK
ステージUの場合、転移の確立について

先日、62歳になる母が乳癌告知を受けました。触診・細胞診・マンモ・エコーの所見では、今のところステージUでした。更にMR・CT・骨シンチなどの検査を今現在行っており、結果は21日に出ます。気になるのが、最初の所見と違い転移があった場合ですが、今ステージUとすると、どのくらいの確立・割合で骨やその他臓器への転移が見つかりますか?またその場合の予後はどうですか?心配でたまりません。宜しくお願いいたします。

各施設でStageと再発率の関係をだしていますが、StageIIの10年生存率は、おおよそ80−90%程度です。したがって10−20%程度で将来的に再発がみつかる可能性があります。(文責 首藤)

 

No.5647】   06年08月15日     RU
腫瘍マーカーCA125について(HPNo.1441-4)

お世話さまになっております。以前、乳がんの手術の際、そして今年5月に主治医の転勤の件でご相談した者です。6月に3年目のマンモ等の検査を終え、マンモと超音波は問題なかったのですが、腫瘍マーカーのCA125が89と、少し標準値を越えていました。乳がんの前から子宮筋腫もあったため、主治医に子宮ガン検診をと言われ、早速受診、婦人科系のガンは問題ありませんでした。2年間のリュープリン注射のホルモン療法も昨年終え、現在は何も行っておりませんし、体調は普通です。主治医の先生には、仕事の関係で9月になってから行く予定ですが、婦人科でも問題なかった場合に、CA125に関して、ほかにどのような検査をすればよいのでしょうか。
なお、手術時の先生が転勤で今回から新しい先生になりました。乳腺専門のドクターではないのですが、信頼できそうな先生でしたので、同じ病院でかかることに決めました。今までの先生は、1年ごとのマンモ検査と、超音波、血液検査を半年ごとに行なっておりました。新しい先生は、今度骨シンチを行ないましょうということでしたが、仕事で行けなくなり、9月になります(骨シンチは3年前の手術後に1回行なったのみです)。お忙しいところお手数かけますが、よろしくお願い致します。

基本的にCA125は卵巣がんの腫瘍マーカーです。卵巣がんの検査をしてもらっていれば、あとは心配しなくて良いと思います。9月受診時に再検されたら良いのではないでしょうか(文責 清水)

 

No.5646】   06年08月15日     IW 
不安なのです

はじめてメールさせて頂きます。31歳の2児の母です。1番目の子は23歳、2番目は24歳の時に出産して、極度に太ってしまい、母乳も1ヶ月程で止まってしまいました。26歳の時、朝起きると、左胸に筋状の血管が浮き出たような線上のしこりができてしまい、こちらの方には乳腺外科がなかったので、近くの外科に診察してもらった所、このようなガンはないとの事でした。どうしても不安で、出産した産婦人科で診察してもらったところ、左胸ではなく右胸に大きな?しこり1つと小さいしこりが2つあるような絵が、先生のカルテに書かれていました。
すぐに右の大きいしこりに針を刺し、細胞検査に出して、1週間後に検査結果が届き、母乳だけだった様です。一応その時は、母乳を止める薬を貰って飲んでいたら、左胸の筋状のしこりが消えたので、そのままにしてしまいました。先生からは、乳腺症と言われました。しかし、その針の検査がとても衝撃的で怖くってトラウマ的になってしまい、その後の検査は受けていません。関係ないかもしれないのですが、一昨年、下の子が重い病気にかかってしまい、1年の闘病生活が続き(現在も通院中)、そのショックの為か?子供の入院から5ヶ月くらいが経った頃、生理が止まってしまい、注射をしてもらい、生理をおこらせました。それが多分一昨年の12月か去年の1月頃だったと思います。その後、生理にばらつきが出始めて、かろうじて35日以内には来るので、産婦人科は受診しませんでした。しかし2月頃から、生理が始まる14日ないし15日前くらいから左胸に、うまく言い表せないのですが、虫が這うような、下着が触る感じ? 誰かにくすぐられている感じと、なんともいえない不快な感覚がして、つい下着に手をやる仕草が多くなります。時々それでイライラする事もあります。
どこのHPに行ってもそのような事が書いてありませんので、不安で仕方ありません。神経も異常になっている?為か、気になり出すととことん気にしていたりして・・・。太っているので、脇のリンパ線の所にお肉がつき、そこは腫れているように見えるのですが、今回は生理16日くらい前から、左腕の付け根や脇の下に、なんとなく?違和感を感じて、きつく姿勢を正した状態で腕を脇につけると、何かに触るような気がします。左をやけに気にしているので、右はどうかな・・・と思って同じくしてみると、同じく感じたり・・・。今は生理2日目ですが、まだ胸が張っている感じと痛さがあり、脇の下リンパ線?あたりにも違和感らしきものがあります。こういった痛みとか張りは、よく生理開始と共にと書かれていますが、いつまであるのが正常範囲なのでしょうか?
それと、両手をばんざいして鏡で見ると、両胸(特に左)にうっすらと筋状のくぼみが現れます。母に見てもらったのですが、「太っているし、胸が大きいから肉われもあるし、乳腺だよ。」といわれました。もともとなのですが、ひどい肩こりもあり、時々つまってくるような感じもしたり、左胸が気になりだしてからは、背中の筋とか腕とかまで凝りがあります。パソコンのやりすぎだと言われるのですが、これも不安です。
それと、これも関係ないかもしれないのですが、子供の入院中に爪全てに横のすごい線が現れた事があります。水虫?とか言われた事もありますが、子供のことに精一杯でしたし、伸びてきたら、後からは出てこなかったので受診もしていません。これも子供の入院中なのですが、突然目が覚めたら、腰がぎっくり腰のようになっていて歩けなくなった事もあります。もともと、第五腰椎分離症です。文が苦手でうまく書けませんが、どうぞよろしくお願いします。

症状がいろいろあって、適当なアドバイスができる自信がありませんが、結論は、一度乳腺外科を受診してもらって(最近はいきなり針を刺すようなことはしませんから)マンモグラフィーの検査をしてください。まず、乳がんでないことを証明してから、この症状が乳腺症のときによく見られる月経前乳房痛なのかどうか診て貰ってください。(文責 清水)

 

No.5645】   06年08月15日     chizu  
リンパ節郭清について

乳頭から血液性の分泌があり、検査を受けたところ、針生検から浸潤性乳管癌と診断されました。原発巣らしきものは、X線像では境界不明瞭ですが、MRIでは新生血管の生成とリンパ節に腫れが認められます。 ER+, PgR-,HAR2+1で、ステージIIBとの判定です。1ヶ月以内に全摘(胸筋温存)手術を受ける選択をいたしましたが、リンパ節転移がありそうなので、郭清もする必要があるとのことです。再発・転移のリスクを最小限にする治療を希望いたしますが、リンパ節郭清は浮腫などのQOLの低下が心配です。主治医から術後療法のデメリットとして、抗ガン剤の効き目がわからないと聞かされましたが、リンパ節を残しておくと効き目の判断にもなるように思うのですが、リスクの大きい選択でしょうか(確かに一般的な治療ではないように思います)。どのようなリスクが考えられますか。また他に良い方法があれば教えてください。

触診でリンパ節は触れるのでしょうか? MRIの所見によるリンパ節転移の有無の判定は、あくまでも参考であって、それに基づいて治療法を決めることは原則としてないと思います。触診で腋窩リンパ節を触知しないのならば、その病院で可能であればセンチネルリンパ節生検をお勧めします。リンパ節を残しても転移があるかどうかわからなければ、治療の判定には使えません。(文責 清水)

 

No.5644】   06年08月15日     na 
乳癌手術後の検査方法について

50才の主婦です。2年前に乳癌の手術を受けました。腫瘍の大きさは、2cmーグレード1ということで、温存療法の手術を受けました。EC療法の抗がん剤を受けて現在に至っています。定期的な検査は、当初は2ヶ月に1回程度でしたが、現在は4ヶ月に1回で、内容も触診のみです。こんな状態で、再発しないものかと心配です。もっと頻繁にマンモグラフィー等を使った検査をしてもらう必要は無いのでしょうか。

米国のガイドラインによれば、術後の検査は3ヶ月に一度の触診と問診、一年に一度のマンモグラフィーが推奨されています。それを基準として、あとは、貴女の心配に応じて、主治医の先生と相談して、検査の種類を増やしたり、検査の回数を増やしたりされたら如何でしょうか。ただし、検査をしていれば再発を防げるという訳ではありません。(文責 清水)

 

No.5643】   06年08月15日     M  
高齢の父のシコリについて

86歳の父の右胸にシコリが出来、大学病院で行った細胞診の結果、クラス3と判定されました。その結果を踏まえて、更に針生検を行い《過形成》と言う診断結果を頂きました。“女性化乳房症”ではなく“過形成”という診断が下されたことで、担当医から「非常に稀な症例であること、まれにシコリを切除してみたらガンであったということもあるので、切除して病理検査をすること」を提案されました。家族としては、高齢であること、今の時点では《ガン》の判定は出なかったので、むやみに切除するのがためらわれます。このまま定期的に検査等を受けるか、切除して白黒はっきりさせるか、先生のご判断をお聞かせください。

難しい判断ですね。針生検で“過形成”でれば、原則は経過観察だと思います。しかし、定期的な通院も大変だし、何となく不安だしということであれば、切除そのものは大変な手術ではありません(しこりの大きさにもよりますが、基本的には外来での局所麻酔の手術です)から、思い切って切除してしまうのも一つの方法だと思います。最後はご本人の気持ちでしょうか。(文責 清水)

 

No.5642】   06年08月15日     K.F. 
検診内容とハーセプチンについて(HPNo.2650-7)

HPNo.2650で質問させていただいています。いつも適切なアドバイスありがとうございます。39才、閉経前です。H16.7に左乳房温存手術+センチネル生検をしました。H16.10に放射線療法(50グレイ)を行い、現在はホルモン治療(リュープリン+アリミデックス)をしています。腫瘍径25×8mm、リンパ節転移なし、ER(2+), PgR(2+), HER2(3+), Grade 2。現在、再発、転移なし。

1) 術後2年になりますが、診察時にはエコーはしません。主治医は腫瘍マーカーも意味がないと言います。1年前にエコー、マンモ、PETを検査して以来、検査というものはしていません。今回、術後2年ということで、来週、PET-CTをやることになりましたが、感度がよいのでエコーやマンモをやる必要がないとのこと。検査は、この程度でよいのでしょうか。
2) 今後の治療は当初2年の予定のリュープリンが5年にのびました。リュープリンを5年も打ち続けても大丈夫なのでしょうか。
3) 術後2年の間に、ザンクトガレンのガイドラインが変更になり、HER2強陽性という因子がいつも気がかりでした。サンアントニオでは、HER2陽性の早期乳癌患者の術後補助療法としてのハーセプチン使用は無再発生存率を改善させるという報告がされました。現在の治療を続けるよりも、(保険適用外ですが)ハーセプチンを1年間投与した方がよいのではと考えています。しかし、現在の治療で2年間再発・転移なしできているし・・・。ハーセプチンへの変更はどう思われますか?

1) ASCOのガイドラインでも一年に一度のマンモグラフィーは推奨されています。乳房内再発、対側乳がんのチェックにはマンモグラフィーのほうが良いと思います。全身の検査としてはPET-CTが良いと思いますが、健康保険が利かない問題があります。腫瘍マーカーは意見が分かれるところです。米国のように、その検査を行うことがその患者さんの予後の改善に役立つかという視点では、役立たない、だから不要という結論になります。しかし、現在の状態を知りたければ、検査する意味はあると思います。
2) リュープリン5年の大きな問題点は骨粗しょう症です。定期的な骨密度の検査が必要になります。それ以外は特に問題ないと思います。私の不勉強でしょうか、リュープリン5年の新しいevidenceを知りません。
3) 難しい問題です。確かに貴女のようにHer2(3+)の患者さんの術後にハーセプチンを抗がん剤と共に使うと、抗がん剤だけの場合と比べて再発を半減させられるという結果が得られていますが、術後2年経過後でもハーセプチンを使った方がよいというevidenceはありません。しかし、たとえリンパ節転移がなくともHer2(3+)は予後不良因子であることを考えると、たとえ2年後であってもハーセプチンを使ってみるという選択肢もあります。しかし使うのであれば抗がん剤との併用ということになりますから、当然副作用も大きくなります。思案のしどころだと思います。主治医の先生とよく相談してくださいし、納得できる方法を選択してください。(文責 清水)

 

No.5641-1】   06年08月15日     Q 
手術後の治療について

7月11日に温存手術をしました。ホルモン療法、放射線治療についてお伺いしたくメ−ルしました。
58歳、腫瘍1.2センチ、センチネルリンパ節転移なし、エストロゲン受容体陽性(閉経52歳)、核異型度のグレ−ド2、HER2 −。ステ−ジ1、初期の癌で、放射線治療とホルモン療法をします。抗がん剤は必要ないと思うと先生に言われたので、使わない選択にしましたが、今になり本当にそれがよかったのか不安もでてきました。この段階で抗がん剤を使うと、どれくらい再発率を抑えられるのでしょうか。
アロマタ−ゼ阻害剤を8月4日から飲んでいます。この病院ではアリミデックスを処方することが多いそうですが、アロマシンの方が効果が高いとネットで見たので、そちらにしてもらいました。ですが、アロマシンの方がム−ンフェイスになったり、しみそばかす、骨粗鬆症のリスクが高いと後日ネットで知りました。あまり効果に差がないのであれば、副作用の少ない方を選びたいので、薬を変えるべきか迷っています。すぐに変えたり出来るのでしょうか? 放射線治療を始める時期について質問ですが、乳頭の上の辺りがまだひりひりと痛く、先生は痛みが治まってから始めればいいとおっしゃいました。あまり遅いと不安なのですが、一般的に術後いつくらいまでに始めればよいものなのでしょうか?

グレード2なので、St Gallenのリスク分類ではintermediate riskです。エストロゲン受容体が強陽性であればアロマターゼ阻害剤単独でOKで、強陽性でなければアロマターゼ阻害剤単独もしくは化学療法の併用が勧められています。化学療法を加えて抑えられる再発率は、貴女の場合1?2%程度だと思います。アロマターゼ阻害剤にはアリミデックス、アロマシン、フェマーラの3剤があり、3社が自分の会社の薬の良いところを盛んに売り込んでいますが、ドングリの背比べで、基本的にはどの薬も女性ホルモンの合成を十分に阻害するので、その効果、副作用はほぼ同じと考えて良いと思います。後は個人差で、実際に内服して副作用が強かったとき、変えてみるとうまくいくこともあります。放射線治療は、早く始めれば始めるだけ乳房内再発は少なくなると言われています。抗がん剤治療がなければ術後1?2週で開始するのが一般的だと思います。(文責 清水)

 

No.5641-2】   06年08月17日     Q 
放射線治療の開始時期について

HPNo.5641の放射線治療の開始時期についての質問で、「早ければ早いほど乳房内再発は少なくなり、抗がん剤治療がなければ、術後1〜2週で開始するのが一般的」との回答だったのですが、私の場合、温存手術後7週目からのスタートでした。これでは遅すぎて、再発のリスクが高くなってしまったのでしょうか?とても不安な気持ちです。よろしくお願いします。

ご指摘の如く術後数週間で放射線療法を開始するのが一般的ではありますが、7週間たってしまったからといって、その後の放射線治療が無意味になるというものでも無く、しっかりとした気持ちで治療を受けられることをお薦めいたします。(文責 首藤)

 

No.5641-3】   06年08月31日     Q 
手術後の治療について

ご回答有難うございました。引き続き放射線治療についてお伺いします。たびたび申し訳ありません。私の場合7週目から始めてもらうつもりだったのですが、痛みがまだあり、リンパ液が少し貯留しているから今始めると傷が開き、結局はもっと遅れると言われました。ガイドラインでは2ヶ月ということでしたが、最新のデ−タでは6ヶ月までは大丈夫だというようなことを聞きました。主治医の先生からも6ヶ月はと言う言葉を聞いたのですが、その基が何なのかおっしゃいませんでした。7月11日に手術をして27日と8月19日に膀胱炎の初期のような症状が出て、7月30日には耳下腺が腫れました。いずれも少し経って回復しましたが、この液の貯留や痛みと関係はないでしょうか? 癌になって以来、なんでも気になります。今は液の貯留が引くのを待つしかないと思っていますが、抗がん剤治療をしていないので、グレ−ド2の状態でリスクはどうなのでしょうか? ホルモン受容体は強陽性です。あまり例がないようなので、申し訳ありませんが、またよろしくお願い致します。

貴女も御自身で指摘されておられるとおり、癌であると指摘されると色々なことが疑心暗鬼になってしまうものです。膀胱炎や耳下腺の一時的な腫脹は、通常乳癌そのものや腋窩のリンパ液貯留などとは直接の関連がないものと考えますが、今回の手術やその前後における身体的、精神的疲労との関係は十分にありそうです。いずれにせよ抗癌剤を使用していないために生じた症状ではないと思いますので、心配しすぎることなく頑張っていただきたいと思います。(文責 谷)

 

No.5640】   06年08月15日     M.T
脇の下のしこり

私は16歳の女です。2ヶ月くらい前に左の腋の下に何個かのしこりらしきものを見つけました。大きさは全部1〜2cmくらいで、硬くてよく動くと思います。痛みはありません。発見したときから大きさは変わっていないと思います。右の脇の下にも、はっきりしないのですが、しこりらしきものがあります。悪性リンパ腫とか乳癌ではないでしょうか?とても心配です。

16才で乳癌や悪性リンパ腫の可能性は低いと思います。せっかくの夏休みですから、余計な心配をしないで、ご両親のかかりつけの先生が近くにいらっしゃったら、その先生か、さもなければ総合病院の外科に相談してみてください。(文責 清水)

 

No.5639】   06年08月13日     Y.O. 
手術前に特別配慮することは?

最近、私の親戚が病院で乳癌と診断されました。数年前からおかしいと言っていたのですが、今までの定期検診では異常なしと診断されていました。そして、今年も同じ時期に定期検診に行くと、疑いがあるということで詳しい検査を終え、悪性の腫瘍と診断されました。「去年の段階ではまだ小さく、左胸の端にあるため、発見できなかったのだろう」と、病院では言われたそうです。今後もいろいろな検査を行う予定のようですが、一応9月初めに手術を行うということで、お医者様と話しているようです。そこで、お伺いしたいのですが、手術までの約3週間の間、特に気をつけることはありますでしょうか。生活や、食事(刺激物)など。。。彼女は、バドミントンの練習に週に1〜2日通っています。病院では、激しい運動も問題ないし、普段と変わらない生活を送ってよいと言われたらしいのですが、私としては、心配です。私の知り合いの話なのですが、数十年前、彼女の義理の父が癌と診断され、それからは、生活や食事など、すごく気を使って、自分にやさしくいたわるような生活をしていたたそうです。「だから、今でも元気なのよ」と話していました。私の親戚のほうは、まだ詳しく調べていないので、腫瘍の大きさや、リンパへの転移の有無などがわかっていない状態なのですが、最悪のことを考えて、少しでも気をつけるべきことがあるなら、注意したいと思います。彼女は、今診ていただいている病院の先生を信頼すると言っているのですが、命に関わることなので、私も心配しています。よろしくお願いします。

私も主治医の先生と同じ意見です。手術前に特別配慮することはありません。ただし、だからといって無茶をしても良いということではありません。手術に備えて、心と体の準備をすること、そして余裕があれば、術後の治療について今のうちから勉強しておくと良いのではないでしょうか。乳癌の治療で最も大切なのは、手術ではなく術後の治療です。手術後に先生から聞く話の理解が少しでも進むように、最近の標準的な乳癌治療について勉強することをお勧めします。もう一つ余談ですが、私が患者さんに乳癌であることを告げた時は、もしご本人が許してくれるならば、できるだけ大勢の女性の親戚、友人に実際の乳癌を触らせてあげてくださいとお願いしています。ご本人のためにはなりませんが、触った方の自己検診の参考になるので。(文責 清水)

 

No.5638】   06年08月13日     M
ホルモン療法について(HPNo.4979-2)

いつも拝見させて頂いています。以前HPNo.4979(45歳、閉経前です。昨年12月に乳房温存手術を受け、腫瘍が同じ側に2つありました。1つはinvasive ductal carcinoma、腫瘍径10×8mm、2つ目はmicro invasive carcinoma、腫瘍径2.5×2.5mm、共にGrade 1、ly(-)、v(-)、 断端陰性、ER(+)、PgR(+)、HER2スコア0、リンパ節転移なしで、術後放射線(2グレイ×25回)を終了しました。術後補助療法として、主治医はLH-RHアゴニストの2年間投与を勧めてくれていますが、私はゾラデックスの副作用がとても心配で、ノルバデックス5年間でも良いのではないかと思います。ノルバデックスは子宮内膜、子宮体ガンのリスクが高まるとも聞きましたが、婦人科の定期健診を受けていれば良いと思うのですが・・・。どちらの薬にするのか迷っています。)で相談させて頂き、大変参考になりました。
46歳、閉経前で病理の結果Low riskの乳がんという事で、2月末よりノルバデックスのみ服用してきました。最後の生理が1月末で、以来昨日まで生理はありませんでしたが、今日7ヶ月ぶりに生理が始まりました。ノルバを服用してから生理がなかったので、6月に閉経確認のため血液検査をして頂き、「FSH 19.33 E2 10未満で微妙なところ」だと言われました。服用前はゾラデックスの副作用を心配していましたが、生理が戻るようであればその方が心配になってきました。このままノルバデックスだけで良いものか、生理が戻るようであればゾラデックスを追加した方が良いのか、ご相談いたします。よろしくお願い致します。

術後low riskの方の術後補助療法としてノルバデックスが有効なのは生理の有無を問いません。もちろん、ゾラデックスを併用することで再発のリスクが更にいくらか減少すると思いますが、更年期障害の症状、骨粗鬆症の問題等の副作用と、low riskで再発の危険性が低いこととの関連で考えると基本的にはノルバデックスの継続で良いと思います。(文責 清水)

 

No.5637】   06年08月13日     W  
脇の痛みについて

5月末に日本で浸潤がんの手術を受け(ステージT期)、現在ホルモン剤を(タモキシフェン)飲んでいます。2日位前から脇の下(センチネルリンパ節生検の際切った所の辺り)に痛みがあり、少し腫れています。術後の手があがりにくく、寝る際に腕を高くして寝ないと痛かった時の症状と似ています。同じ2日位前から生理になった事も関係するのでしょうか? 現在海外に駐在している為、とても不安です。

実際に診察している訳ではないので適切な回答ができるかどうか解りませんが、センチネルリンパ節生検術後2?3ヶ月の手術側の脇の下の痛みと腫れで考えられることは、第一に術後のリンパ液の貯留でしょうか、次に単純な術後の一過性の痛みと腫れで、生理との関係はなさそうに思います。生理に関係あるとすると、副乳があって、生理前にそこが腫れて痛んだのではないかとも考えられます。その場合は今後生理毎に同じ症状が繰り返すかもしれませんが、心配なことではありません。日本にいらっしゃればすぐに主治医に診てもらってくださいとアドバイスするところですが、それが不可能であれば、弱い痛み止め(頭痛の薬等で可)を使って様子を見ることでしょう。少なくとも、再発転移の可能性は低いと思います。(文責 清水)

 

No.5636-1】   06年08月13日     クッキー
骨転移再発治療方法について

47歳、独身。97年9月、県内専門病院で、右胸右上部2.8cmのしこりで、ステージ2との診断。10月22日温存手術、リンパ節郭清手術。病理検査の結果、リンパ節への転移はなし。細胞の悪性度?SAT3と言われ、再発したらたちが悪いと言われました。11、12月、週5日、放射線治療。98年1〜6月、CMF抗がん剤点滴(2週間やって、2週間休む) 同8月から99年11月まで、ホルモン剤タスオミン(タモキシフェン)服用。その後は、年1〜2回程度、血液検査、胸、肝臓(エコー、CT、マンモ)、肺(レントゲン)と、年1回の骨シンチ検査。2005年8月の肝臓、胸の検査まで異常なし。同11月に胸骨に強い痛みを覚え、2週間ほど持続したので、病院でMRI検査を受ける。12月22日が、年1回の定期の骨シンチ。2006年1月13日に診察に行ったところ、MRI、骨シンチともに異常結果。胸骨と左右肋骨に多発性転移の疑いがあると、再発を告知される。余命3〜4年。局所転移ではないので、手術はしないとのこと。原発後8年経っていたので大変ショックを受け、「他の臓器の精密検査をしないのですか?」と主治医に尋ねると、今、異常がなくても、骨へ遠隔転移している以上、遅かれ早かれ全身への転移はまぬがれないので、検査を急いでしても意味がないとのこと。翌週より、月1回骨用の点滴アレディアと、毎朝2錠のタスオミンの服用。3月からアレディアがゾメタに変更。原発手術時の標本から、earbB2(アーブB2)陰性、ホルモンの受容性は陽性なので、ハーセプチン投与は行わないと言われる。手術時のホルモンレセプターは、5.7。

現状の不安。
1) 主治医に抗がん剤は併用しないのかと尋ねたところ、原発と違い、再発は延命が目的なので、弱い治療(ホルモン剤)から始めていき、効かなくなったら強い治療に(抗がん剤)変えていくと言われた。この治療法は正しいのですか? 又、今後どのような治療法の経緯をとっていくことになりますか?
2) ホルモン剤と化学療法は、併用しないという意見と併用している人の例を聞きますが、実際は、効果を含めてどうなのですか?
3) 私は、原発の手術後の抗がん剤投与3ヶ月から生理が止まり、その後今にいたるまで、ありません。ホルモン剤は、閉経前と後とでは、薬の種類が違うと効いていますが、私の場合、タスオミン服用でよいのでしょうか?
4) 主治医に効きにくいのですが、ホルモン剤を服用始めてから、下着に濃い黄色(薄い茶色に近い)いおりものが、毎日大量に着くようになりました。以前の服用時にはなかったのですが、ホルモン剤で、子宮ガンのリスクが増すと聞いていますが、その可能性がありますか?

以上長くなりましたが、ご回答よろしくお願いいたします。

各論の前に、術後9年目の胸骨及び肋骨転移が遠隔転移かどうかという問題を考えます。一般的には骨に転移がきたら遠隔転移ですが、胸骨転移の場合、内胸動脈周囲のリンパ節転移が胸骨へ浸潤した局所再発のこともあり得るので、遠隔転移と決めつけない方が良いと思います。肋骨転移が胸骨の近くだけであれば、なおさらその可能性は否定できません。遠隔転移、局所再発両方の可能性を考えながら治療戦略をたてる必要があります。
1) 基本的な考え方としては間違っていません。術後9年と再発までの期間が長い例で、ホルモン療法が有効(ER(+) and/or PR(+))な場合はホルモン療法から始めるというのが原則です。
2) すぐ目に見える効果(現在の再発巣の大きさが小さくなる等の効果)は併用した方が良い結果が得られますが、長い目で見る(生存期間等)と別々に投与した方が良いことが解ってきました。従って、最近の原則はホルモン療法と化学療法は同時に行わない方が良いということになっています。(症状が強く、治療効果の発現を急ぐ場合、いろいろな治療が行われた後等は別です)
3) その通りです。まずは血液検査で閉経(生理が止まっているかではなく、卵巣からの女性ホルモンの分泌が止まっているかどうか)しているかどうかを確認する必要があります。閉経していなければ、現在の治療の選択肢として、タスオミン(Tamoxifen)の再投与、フェアストン(Toremifen)の高用量投与、ヒスロンH(MPA)の投与、LH-RH analogue(ゾラデックス、リュープリン)+アロマターゼ阻害剤(アリミデックス、アロマシン、フェマーラ)が考えられます。閉経していれば3番目の選択肢のLH-RH analogueは不要になります。最近は3番目の選択肢が選ばれることが多いのですが、タスオミンの再投与も十分考えられます。その場合いつまでタスオミンでいくのか(どうなったら次の治療に変えるのか)、主治医の先生と相談しておく必要があります。
4) タスオミンの再開でおりものが増えることは良くあることで、多分そうだろうと思います。しかし、かつて5年間タスオミンを内服したことを考えれば、主治医に内緒でも婦人科で子宮体がんの検査をしてもらうことは絶対必要です。(文責 清水)

 

No.5636-2】   06年08月17日     クッキー
骨転移についての再質問

HPNo.5636でご相談したクッキーです。早速のご回答ありがとうございました。一部、私の説明不足と理解力不足があるので、再度ご相談させていただきます。
1) まず、私の骨シンチによる、判断ですが、カルテで見ると、胸骨は両乳房の間にかなり大きくあり、肋骨は、左右わき腹に近い、すなわち、胸骨の近くではないところに多発していました。主治医にも、局所再発ではないので手術はしない、と医師に言われました。医師に再度確認した方がいいでしょうか?局所の場合、手術という事もあるのでしょうか?手術しない場合、ホルモン剤の次には、どのような治療が考えられますか?身体的にはどういう状態になっていきますか?(痛み、日常生活の支障など)
2) ご回答にあった、(ER(+) and/or PR(+))とは、何でしょうか?医師に聞けば教えてもらえるものですか?同じく、閉経(生理が止まっているかではなく、卵巣からの女性ホルモンの分泌が止まっているかどうか)も、医師に聞けば教えてもらえるものですか?
3) 原発の際、タスオミンは、98年の8月から99年の11月までの、1年3ヶ月しか服用していません。つまり、5年間は服用しておりません。当時は、知識がなかったので、言われるがままでしたが、ホルモン剤の服用は5年が通常のようですね。8年経っての再発は、ホルモン剤を5年間服用しなかった事も一因として考えられますか?
4) ホルモン剤を服用するようになってから、食欲が異常に増しました。原発の時はなかったのですが、今回の服用と関係がありますか?主治医は副作用はないと言っていますが。
5) 他の相談者の様に詳しく病理の結果を把握していませんが、8年前の記録によると、病理の結果は、主治医の言った内容を書き取ったメモがでてきて、それによると、組織学的 f (g,f,s,p.wの内)t分類+2(+1〜+4の内)CATU(T、U、Vの内)SAT3(1〜3の内)リンパ管ly1(ly1〜3の内)静脈V0(V0〜V3の内)合併症、乳腺症、TMN分類Uでした。
今、心のケアが問題になっていますが、私の病院は、専門病院で、患者の数に比べて、医師の数は少なく、診察、手術から、化学療法まで、数人で行っており、大変多忙で、時に、薬の処方や検査の指示も忘れてしまわれるような状態で、診察時に、中々思っていることや質問ができません。以上の事から、8年経っての再発の原因、今後の予想される経過、治療法について、アドバイスお願いいたします。

1) カルテの所見からすると局所再発ではなさそうですが、血行性というよりリンパ行性転移のような印象があります(だからといって治療法は変わりません)。局所病変を手術もしくは放射線治療するときは、痛みが強い場合、QOLを著しく傷害している場合です。ホルモン療法が奏功しなければ化学療法を行うことになると思います。治療が奏功しなければ、胸骨の破壊が進み、痛みを伴った前胸部の膨隆が見られます。また、胸水、心嚢水の貯留が起こってくるかもしれませんので、息切れ動悸などの症状に気をつけていてください。前者は放射線治療が有効ですし、後者も治療(ドレナージ)可能です。
2) 略語を使ってしまってすみませんでした。ER(Estrogen Receptorの略),PR(Progesteron Receptorの略)はホルモン受容体のことです。前回のメールに“ホルモン受容体陽性、レセプター5.7”とありましたから、ERがDCC法で5.7fmolということでしょうか。だとすると、弱陽性だと思われます。閉経状況(卵巣機能が停止しているかどうか)は採血(E2とFSHの測定)で大体わかります。主治医の先生に相談してみてください。
3) 難しい質問です。5年内服しなかったことが再発の原因かもしれませんし、5年内服しても再発したかもしれません。結果論ですからわかりません。ただ、後悔しない為には、治療を選択するときに、その時代の標準治療を勉強して、その効果と副作用を十分吟味して、主治医の先生とよく相談して、よく考えて自分で決めたかどうかが大事なのではないでしょうか。
4) 食欲亢進、体重増加はホルモン療法を行っているときに良く見られる現象です。薬の直接の副作用ではありませんが、女性ホルモンの働きが抑えられたことによる間接的な症状の一つと考えられています。
5) 病理所見
組織学的f:がんの浸潤が乳腺組織(g)->脂肪組織(f)->皮膚(s),筋肉(p)->胸壁(w)のどこまで及んでいるかで、あなたの場合は脂肪組織までということです。
T分類+t2:+の意味はわかりませんが、しこりの大きさが2cm以上で、皮膚や筋肉への浸潤はないという意味です。
SAT,CATは構造異型、細胞異型の略で、胃がんの病理診断に使われる表現です。
乳がんではこれらと細胞分裂の所見を加えて組織学的悪性度(いわゆるグレード)と表現します。CATU、SAT3ならばグレード2〜3相当と考えます。Ly、vはリンパ管侵襲、血管侵襲です。
6) その他:
主治医の先生とコミュニケーションをとることは決して容易なことではありませんが、貴女が勇気を持って先生に話しかければ、主治医の先生は必ず応じてくれるはずです。ご自身の体の問題です。遠慮せずに主治医の先生にどんどん質問してください。私達にできるお手伝いは限られていますが、あなたの頭の中の情報を整理するお手伝いくらいはできると思いますので活用してください。8年目の再発というのは、再発の中では遅いほうです。再発が遅いということは、貴女のガンの発育がゆっくりしていると考えられます。一度再発してしまうと根治を望むことはなかなか難しいと言われていますが、ゆっくり増殖しているガンであることがわかったのですから、ガンを徹底的に叩いてやろうと思うより、自分の体の一部(ちょっと性質が悪いのですが)なのだから上手に付き合って、できるだけ長く付き合っていこうと考えて治療法を選択することをお勧めします。(文責 清水)

 

No.5636-3】   08年03月24日     クッキー
骨転移進行後の化学療法開始と精神ケアについて

乳がんの骨転移についての相談を、HPNo.5636でさせていただいたクッキーと申します。その2通に詳細を記載しましたが、県立病院にて1997年8月発見、10月に温存、リンパ節郭清手術をし、2006年1月に骨に再発転移し、治療中です。今回、再発後2年経って、その間の、治療等について、ご相談したくお願いいたします。
再発後の治療は、HPNo.5636-2の通り2006年1月の再発発覚より、骨の治療としてアレディア→ゾメタ。ホルモン剤として、タスオミン(タモキシフェン)→2007年よりフェマーラ(レトロソ゛ール)服用です。2006年1年間は、骨シンチでの著変も肺と肝臓のCT検査も異常はなく、自覚症状もなく、再発告知時の恐怖や病気のことをも忘れる時間もでき、日常生活を送っていました。大きな変化は2007年3月初旬から、元々集積がある右前肋骨と肋骨の延長の脇骨あたりに強い痛みが持続発生して、急遽通院して、痛み止め薬を処方してもらい、骨シンチ検査の予約をとりました。
少し話はそれるのですが、実はこの日、同年1月に通院した時、休診になっていた主治医が2月末に急逝したとの掲示を見ました。発病当初からの主治医で、病気については、自分にとって1番大切な存在だった医師の突然の逝去、しかも1月の休診からたった1ヶ月でした。これは大変なショックでした! 私自身も掲示を見たその日には、大きな精神的なショックを受け、その後、病気に立ち向かう意欲をなくし、欝状態に陥って気力がなくなり、会社を頻繁に休むようになってしまい、ついには7月から休職となってしまいした。この休職は病気のせいではなく、気力の衰えのせいで、単調な生活、行動しない生活は病気によくないと言われているのに、引き篭もりのように寝てばかりいます。
話は戻りますが、3月に痛みが発生して、病院へ行った日からのことです。痛み止めに関しては、麻薬(オピオイド)系のオキシコンチン当初20mgx1日2回、ロキソニン60gX1日3回、頓服としてオキノーム7.5mgが処方されました。 5月の骨シンチの結果は、前回(2006年8月)と比較して、「同じ集積箇所(胸骨体、右第5肋骨前面、左第4 肋骨前面)に集積増加がみられる。前回より著変はない。右大7肋骨側面に新たな集積増加がある。Th1左側に点状の軽度集積がある。前回より著変はない。 総評:右第7肋骨の集積出現」という事でした。 この検査の結果から、新しい主治医が「痛みの原因は新たな集積だね。これはがん細胞が骨だけでなく、全身にひろがっているということを意味する。化学療法を始める?」と言いました。化学療法は、発病の時に、手術後半年間CMF療法を2週続けて2週休みの方法で受けました。比較的軽い点滴だと聞きましたが、副作用に弱い体質なのか、少ないといわれている副作用がかなりでました。その時の辛い思いがあり、いつかはやらなくてはならないと思っていても拒否反応がありました。私が、それを話して、「拒否反応があるが、必要ならばやります」と答えたところ、「じゃ、少し考えて決めて」と言うのです。そして、翌月の通院日にも「どうする?」と言うので「今迄、治療を自分にどうする?と言われて決めた事がないのでわかりません。自分は、ただ最良の治療を受けて長く生きたいので、先生決めて下さい」と言ったら、「じゃ、とりあえず、肺と肝臓のCTを撮って考えましょう」という事になりました。
それまでの主治医が、治療は有無を言わせず、「いつからこれをやる、やめる、検査もいつこれをする、必要ない(心配だからやりたいといっても)」というタイプの先生でした。ですので、相談室の看護師さんに言われたことも頭にあり「今月から早めに始めましょう」と主治医が決めてくれれば従うものを、自分で決めてと言われれば、やりたくない気持ちから「始めてください」とは言いがたいのです。
CTの結果は異常なく、腫瘍マーカーも骨代謝マーカーのICTPが基準値を超えている以外は、CEA、CA15−3とも基準内でした(ただしマーカーの信憑性は余りないとの事)。その結果、主治医は「今後の検査は1年に1回程度でいい。理由は、数ヵ月毎の検査で早く化学療法を始めても、画像に出るか自覚症状が出てから始めても、余命には余り関係ないから」とのことでした。骨シンチで進行が確認された時に「化学療法を始めましょうか」と言った事と矛盾しているのですが、治療はそれで化学療法をやらず、昨年8月以来検査もやらないまま、現在に至っています。 長くなりましたが、以下がご相談したい内容です。

1) 既に骨シンチの結果が悪化しているのに、化学療法開始は内臓CTに異常があらわれてからでいいのでしょうか? 主治医の言う通り、早く始めなくても余命に差はあまりないのでしょうか?
2) 検査は本当に1年に1回程度でいいのでしょうか? 再発後は変化を密に検査しなくていいのでしょうか?
3) 化学療法をやった場合とやらない場合とで、余命に大きな差はありますか? 1年位の差なら、やらなくてもいい気がするのですが・・・。
4) 今の先生方は、どの先生も手術をこなすのが第一義で、再発者の治療を、患者ごとに、どれが最良か検討したり、判断する経験や時間的余裕があるように思えませんが、私が化学療法を受けるとしたら、どのような療法になるのでしょうか? また、それをエンドレスでやるのでしょうか?
5) これは病気自体とはちょっとはずれ、先生の専門外とも思いますが、気力が出ない状態については、病院に精神科が無いので、他の精神科で相談してと言われましたが、いくつかの心療内科では、鬱状態ということで、抗欝剤や抗不安剤、眠剤を処方されているのですが、全然効いている気がしません。逆に、精神薬の副作用と呼ばれる「アカシジア」或いは原因不明のRLS(Restless Legs Syndrome、むずむず脚症候群)と呼ばれる睡眠障害の病気の症状である、夜に起こるひざ下の内部にむずむずと虫が這い回るような震撼がはしり、夜中じっとしていられず足をばたつかせたり、動き回っていないと耐えられない感覚の症状にみまわれ、それ以来、怖くて精神薬が飲めなくなりました。一方、精神疾患の回復には薬は必要だと言われており、精神薬は飲み続けた方がいいのでしょうか? 現在、アカシジア、RLS防止に、リボトリール(抗てんかん薬)とアキネトン(抗パーキンソン薬)が処方され、さらに1日に飲む薬の量が増えました。がん患者は、精神的ストレスをどのように対処したらいいのでしょうか?

途中に書きましたが、私は今、表向きはがんの診断書で休職していますが、実情は骨転移の痛みはコントロールできているで、気力がなく、毎日定期的に出社できない状況によるものです。私は単身ですので、まだこの年では、働かなくては生活にも治療にも支障が出ます。なにより病魔におかされて動けないわけでもないのに、無気力に家に引き篭もっている自分が情けなくてしょうがありません。発病時の手術、治療がうまくいき、8年目の再発で打撃を受けましたが、自覚症状や思っていたほどの速さでの進行もなく、2年が過ぎたので、ここへきて骨転移の進行による今後の治療と、主治医の急逝と、その精神的打撃による無気力状態に、非常に落ち込んでいます。 以上、お忙しいところ、余談も含め、長文になりましたが、アドバイスをよろしくお願いいたします。

1) 再発までの期間が8年と長く、さらにその後ホルモン剤使用のみで第7肋骨転移の出現以外に新たな病変の出現を見ていないことから、ビスフォスホネート剤(アレディア、ゾメタ)やホルモン剤(タスオミン、フェマーラ)は貴女にとって比較的効果があると判断できます。一方でもし化学療法を施行することとなると、その効果があるのかどうか、また副作用がどの程度あるのかなど、現状と比して貴女に総合的にどれくらいのメリットをもたらすかはやってみないとわかりません。現状では転移の進行も緩徐であり、直接命にかかわる臓器への転移も明らかでないとすると、化学療法に移る前にフェマーラをアロマシンまたはフェアストンなど他のホルモン剤に変更するのも一法かと思います。
2) 主治医の先生が仰るとおり、検査施行の頻度は貴女の余命には影響しないかもしれません。しかし検査は余命を延ばすためだけではなく、それにより安心が得られることもあれば、逆に心配が増えてしまうこともあると思います。もし検査しないことで不安がつのるようであれば、主治医の先生にその旨お話をされ検査施行していただくことは可能であると思いますし、逆に検査によって心配が増えるとお考えになれば、主治医の先生が仰るとおり暫時検査施行せず経過を見られればよいと思います。
3) 上記の通り、化学療法が貴女にとってどの程度効果的かはやってみないとわかりませんので、余命にどう影響するかもそれ次第であると思います。
4) 非常に厳しいご指摘で、われわれも十分に反省の余地があるものと考えます。貴女の場合、術後にCMF療法を施行しておりますので、一般的にはAC療法、EC療法、FEC療法などのアンスラサイクリン系を含む抗がん剤の組み合わせか、タキソール療法の施行のどちらかがまず考えられます。効果や副作用を見ながら抗がん剤の量の変更や種類の変更などを行ってゆくこととなります。これらの抗がん剤以外では、注射剤ではナベルビンが、経口剤ではゼローダやTS-1などがよく用いられております。
5) 8年目の再発、信頼していた主治医の先生の急逝、そして骨転移の悪化と、つらいことがたて続きに起こり、心情如何ばかりかと心よりお察し申し上げます。現状でさらに仕事のできない自分を責めていらっしゃいますが、無気力状態になるのも当然ではないかと思います。精神薬を飲み続けるべきか否かは外科医の私にはわかりませんが、ご自分にあった信頼できる心療内科医(精神科医)を早く見つけ、その先生とよくご相談いただきたいと思います。(文責 谷)

 

No.5635】   06年08月13日     T.M
乳癌術後の抗癌剤投与について

初めてご相談させていただきます。57才の母が、今年の6月に乳癌と診断され、7月初めに左胸を全摘しました。検査の結果、骨や肝臓、肺には転移が見られず、リンパ節にも転移はなかったとのことでした。しかし、予防のためにとのことで、週に1回タキソールを点滴して、4クールの予定だそうです。現在、1クールの3回目の点滴が終わったところですが、母が「抗癌剤をやめようかな」と言い出しました。周りの人から、「抗癌剤を打ってもあまり意味がない、吐き気や脱毛といった副作用に耐えてまで抗癌剤を打つ意味があるのかどうか?」というようなことを聞いたようで、全部摘出しているのだし、歳も歳だから、再発しても進行は遅いだろうし、再発してからまた治療すればよいのでは?と思っているようです。母がこのように考える背景には、11月に弟の結婚式が予定されており、このまま順調に進んでも11月の初め頃までかかるので、白血球が下がったりして予定が遅れると結婚式に間に合わないということを懸念しているようです。また、費用の点でも少し気にかかっているようです。副作用で、体がきついということもあるようですが、私としては、とにかく少しでも長く生きてもらいたいのです。乳癌は一度再発してしまうと、その治療をしても余命は長くないのでしょうか?とにかく再発させないことが大事なのでしょうか?そのために、抗癌剤の予防投与に意味があるということなのでしょうか?どうかご返答をよろしくお願いいたします。

最近の乳癌治療の考えかたの原則は、再発させないようにしっかり治療して、万一再発したら、QOLを大切にした治療で、できるだけ長く癌と共存できる治療を選択しようということになっています。その根拠は、術後補助療法をしっかりやると再発が減少し、その結果生存率も良くなるという事実、再発後の治療も良く効くようになってきているのですが、残念ながら再発後の治療で根治できる例は少ないという事実です。ですから、術後の抗がん剤治療はご本人にとっては辛い治療ですが、その意味を良く理解してもらって、ご家族の支えで継続されることをお勧めします。お母さんの病気のことをよく知っているのは周囲の人ではなく主治医です。周囲の人の無責任な発言に惑わされることなく、主治医の先生と十分にコミュニケーションをとって、疑問点を相談して、納得して治療をお受けになることをお勧めします。ちなみにタキソールの毎週投与法は白血球が下がる心配は少ないですし、食欲もあまり落ちないので、カツラの準備ができていて、手指のしびれがひどくならなければ、11月の結婚式への出席は問題ないと思います。費用の問題はいかんともしがたいのですが、再発してから治療することを考えると決して高くはないように思いますが。(文責 清水)

 

No.5634】   06年08月13日     M.O. 
ホルモン療法について

36歳の主婦です。先日、乳房の全摘手術をし、病理の結果は、0期の非湿潤癌でした。大きさはミクロ単位のものがパラパラとあるそうです。今後の治療としては、月1回LH-RHアゴニストの注射を2年間、毎日ノルバデックスDを5年間飲むこととなりました。そこで質問ですが、
1) 副作用として高カルシウム血症があるそうですが、これはカルシウムはあまり取らないほうが良いのでしょうか? 関節が痛くなるとも聞きましたが、これもカルシウムが関係してくるのでしょうか?
2) 乳がんの予防として、味噌汁が良いとよく聞きますが、このような薬を飲んでいる人でも大豆製品を積極的にとった方が良いのでしょうか?
3) サプリメントとしてビタミンC、E剤とアミノ酸を飲んでいましたが、今後も薬といっしょにこのようなサプリメントを飲んでも大丈夫でしょうか?

1) 確かにゾラデックスの副作用の一つとして記載がありますが、高カルシウム血症というのは、カルシウムを多く取りすぎることとは無関係です。逆に、ゾラデックスで急激に閉経状態になるために、骨粗鬆症が進むことが報告されており、ゾラデックス使用中はカルシウムとVit.Dを多く摂取することが推奨されています。関節痛は女性ホルモンが急激に減少したことによる症状で、カルシウムとは関係ありません。
2) 乳癌術後に大豆製品を積極的に摂った方がよいかどうか、そのような臨床試験がないので解りません。基本的には栄養のバランスの良い食生活を心掛けてください。
3) これらのサプリメントと薬の相互作用はありません。効果の有る無しは別にして、飲むことに問題はありません。(文責 清水)

 

No.5633】   06年08月12日     hanur
石灰化の診断について

いつも参考にさせていただいております。33歳、出産歴はありません。マンモとエコーの検査を受けて、石灰化がみつかりました。先生には、「普通は経過観察というところだが、家族歴(母が乳癌)があるので、マンモトーム生検を受けることも選択肢にある」と言われました。ただ「3ヶ月の経過観察か、生検を受けるかは自分できめて下さい」といわれました。不安だったので、別の病院で診察を受けましたが、その先生は、「良性の可能性が高い石灰化(散在してるので)なので、あまり心配せず半年後の経過観察」という診断でした。相性が後者の先生との方が良かったので、今後はそちらで検査を受けていこうと思っているのですが、2人の先生の診断がちょっと違ったので不安が残っています。先生お2人とも、「かりに悪性だとしても経過観察中にガンがかなり進行してしまうということはないので」とおっしゃっていたのですが・・・。たとえば、非浸潤ガンだったものが半年の間に浸潤ガンになってしまうことはないのでしょうか? 素人考えでは経過観察というのは悪性の可能性も残っているという感じで、とても不安なのですが、生検するにはまだ早いと判断することもあるのですか? 

MMG(マンモグラフィー)を見ていないので想像ですが、最初の先生の診断はcategory3(多分良性だが悪性の可能性も否定できない)で、後者の先生はcategory2(良性)と診断されたのではないでしょうか。お二人の先生がともにMMGの読影試験の合格者だとしても、意見が分かれれるところはやむを得ないかなと思います。MMG読影試験の合格基準は、100例のMMGを診て、がんが疑われる異常所見を見落とさない能力が90%以上、かつ明らかに良性の所見を異常なしと判断できる能力が80%以上ですから。後は貴女がどの程度心配しているかで生検をするかどうかだと思います。少しでも可能性があるなら白黒つけたいとお考えなら生検をしますし、そんなこと言っていたらきりがないと考えれば経過観察ではないでしょうか。非浸潤癌が半年で浸潤癌に変わることがないとは言えませんし、数年間非浸潤癌のままでいる例もあることもまた真実です。生検するタイミングの基準はありません。Category4以上は無条件で生検ですが、category2は生検不要です。Category3の悪性の可能性は10%程度と言われていますから、生検するかどうか医師も患者さんも悩むところですが、一般にはエコーの所見等を参考にして決めることが多いように思います。(文責 清水)

 

No.5632】   06年08月12日     H子
再発率、生存率をお教え下さい(2)(HPNo.5597-2

お世話になります。早々にご回答いただきましてありがとうございました。心より感謝いたします。もう一度お聞き直ししたいのですが、「リンパ節転移が0」とありましたが、実際は0/22+1/4であり、センチネルリンパ節に1つ転移がありました。その場合の生存率をお教えいただけますか? よろしくお願いいたします。

T1N1M0、stage2ですから、術後無治療で10年生存率で70?80%くらいでしょうか、但し、Her2(3+)ですから、もう少し悪いかもしれません。現在の術後補助療法(CAF->Paclitaxel+Herceptin->Herceptin)を行った場合、再発を半分にできると言われていますから、生存率は85?90%になると思われます。ちなみに生命表によれば昭和35年生まれで40歳を迎えた方が65歳を迎える確率は83%位だそうです。(文責 清水)

 

No.5631】   06年08月12日     M F 
ホルモン療法について

初めてご相談します。2004年9月に右乳房に癌がみつかり、温存手術を受けました。その後癌の取り残しの可能性があると言うことで亜全摘手術を受け、放射線治療を行いました。リンパへの転移はなく、ホルモン療法としてノルバデックスを服用しています。副作用なのか飲み始めてすぐに太りだし、めまい・ホットフラッシュ・不眠等に悩まされ、医師に相談したところ、漢方の桂枝茯苓丸を処方されました。飲み続けていますが一向に良くならず、最近益々ひどくなってきました。医師は「ノルバデックスの服用を止めてみる?」と言ってくれているのですが、2年経っていない事で不安があります。現在43歳で、生理は2月にきたのを最後に止まっている状態です。病院によってはノルバデックスの服用期間が2年のところもあると聞いた事があります。服用を止めてよいか悩んでいます。是非アドバイスをいただけたらとご相談しました。

ノルバデックスの効果と副作用のバランスの問題です。病理の情報がないので大雑把な回答ですが、リンパ節転移がない人100人集めれば、10年で10?15人程度の再発でしょうか。ノルバデックスを内服することで、3?4人程度再発を減らすことができると考えられています。その効果と現在の副作用の問題を天秤にかけることになると思います。あとはER陽性の程度、組織学的悪性度の情報等で多少変わります。もう一つ、ノルバデックスをToremifen(フェアストン)に変えてみるという手もあります。アロマターゼ阻害剤の単独使用は、43歳で生理が止まったばかりの状態では難しいかもしれません。(文責 清水)

 

No.5630】   06年08月12日     M子 
主治医の移籍

主治医が9月に別の病院へ移ることになり、このまま同じ病院で新しく来る医師に治療をしてもらうか、または通いやすい自宅近くの病院へ紹介をもっていくか悩んでいます。私は昨年4月に温存+センチネルで手術しました。浸潤性乳管癌で、乳腺断端−、リンパ節転移−、ホルモン受陽性ER+,PGR+、HER2−、腫瘍径1.5cm、組織異型度3、核異型度2。以上より、乳房照射50GY+ホルモン療法(LH−RHアゴニスト)3年間の治療中です。リュープリンは3ヶ月製剤を使っていますし、カルテも病理標本も残っている今の病院のままでも良いのですが、新しい病院で、同じ治療をやっていただけるか心配です。

ご質問は今年の市民フォーラムのテーマのひとつでした。近々、皆さんが回答してくださったアンケートの集計結果がこのホームページにアップされますので参考にしてください。お答えは、リュープリンは全国どこでもありますし、あなたの診療情報は主治医の先生がコピーしてくださるでしょうから、どちらでも大丈夫です。貴女が治療を病院で選ぶのか、医師で選ぶのかの問題です。主治医の先生とよく相談して、貴女が納得できるほうを選んでください。(文責 清水)

 

No.5629-1】   06年08月12日     j 
しこりについて

はじめてお便りさせていただきます。胸にしこりがあります。右・左とも同じぐらいの大きさで、5cm以上あると思います。22歳で毎日あわただしい生活を送り、病院にいきそびれてしまい、気になりつつも、ほおっていました。幼い頃から体が弱く入院をよくしていたせいか、病院へ行くのが怖いのです。なので、このしこりができたことを知ったけれど、ずっと誰にも言えず、どこへ相談してよいかわからず、インターネットで探していました。ネットを調べると良性と悪性と両方あることを知りました。また、10代からあるしこりは良性の場合が多いと書かれてありましたが、10代20代であっても癌の可能性はあるのでしょうか? また、祖父・祖母ともに癌です。祖父は大腸がんで、祖母は乳がんでした。私の記憶では10年前からしこりがあったように思います。10年もほおっていたら悪性にかわるとも書いてあるHPもありました。悪性になる=癌なのでしょうか?

10代20代前半では、がんの可能性はかなり低いと思います。怖い気持ちもわからないではありませんが、一度勇気を出して病院を受診してください。そうすれば心配の種が一つなくなるでしょうから。(文責 清水)

 

No.5629-2】   06年09月17日     j 
超音波ガイド下乳房腫瘤針生検について

回答ありがとうございました。勇気を出して病院の乳腺外来へ(市立)行ってきました。両胸のしこりを触った結果「特にしこりのようなものはありません」とのこと、念のため検査し、マンモグラフィーと乳腺超音波(エコー)をしました。その結果、私が感じていたしこりは「乳腺症」であると診断され安心しました。が、今回のエコーで偶然新たに両胸におよそ6mmのしこりがあることが分かり、右胸の形が癌の特徴に似ているとのことで新たに「超音波ガイド下乳房腫瘤針生検」を受けることにしました。結果、しこりが6mmと小さかったため、細胞を取ることが不可能でした。そのため3ヵ月後エコーをし、以前のエコー写真と見比べ、形が大きくなっている場合や形が変わっている場合は、もう一度大きめの針で「超音波ガイド下乳房腫瘤針生検」をしましょうと言われました。不安は募る一方です。3ヶ月後たとえばですが、「超音波ガイド下乳房腫瘤針生検」をする場合、また細胞をとるのが不可能の可能生はありますか? 今回受けた検査以外で調べる方法はあるのでしょうか? 市立病院であったため、いつも病院へ行く度、先生が入れかわり、不安です。

「しこり」の質的診断には細い針による細胞診、または太い針による針生検で病理学的診断を行うことが必要です。しかし、最近は検診精度の上昇に伴い「小さな腫瘤」が発見される場合が多く、細胞、組織の採取が困難であることも少なくありません。病理診断が困難な場合、MRIを用いることで、ある程度「しこり」の質を推定できることがあります。MRIを行って「悪性の可能性」が高い場合は、もう一度病理学的検査を試みるか、必要ならば手術による摘出を考慮します。もし貴女が3ヶ月間の経過観察に不安を感じるのであれば、MRIによる検査をお願いしてみてはいかがでしょうか。(文責 千島)

 

No.5628】   06年08月12日     M.I. 
生理について(HPNo.1868-10)

以前に相談させて頂いたHPNo.1868です。乳頭腺管ガン、しこり3.5cm、リンパ転移(0/19)、ホルモン(陽性)、断端(陰性)、ハーセプテスト(2+)。
方針@ 抗がん剤 EC(3週毎4回or6回) + ホルモン療法 ゾクラテスorリュープリン(4週毎最低2年)・タモキシフェン5年間服用
方針A ホルモン療法のみ。
2003年11月に手術、その後の治療はゾラデックス2年間、ノルバデックス5年(服用中)。昨年12月にゾラデックスは終了しました。未だにちゃんとした生理はきていませんが、6月・7月・8月と下腹部に鈍痛を伴なう茶褐色のものが有り、いずれも2日ぐらいで終わりました。子宮対・子宮頚ガン検査は半年毎に行っており、5月に異常なしでした。これを生理と考えてよいのでしょうか? また、ホルモン治療を終了すると、いきなり生理は来るのでしょうか? 担当医は半年位で生理があるかも知れないと言っておりましたが・・・。卵巣の検査も必要なのでしょうか? 現在44才ですので、もう閉経に向かいつつあるものとは思っております。

婦人科の疾患が否定されていて、6,7,8月と周期的に来たのであれば、生理の可能性もあると思います。ノルバデックスを内服しているだけでも生理は不順になりますから、そのためかもしれませんし、ただのおりものかもしれません。いろいろな可能性があります。しかし、卵巣の病気ではないと思います。正確に閉経状況を知るためには血液中の女性ホルモンの量を測定してもらうとよいと思います。ただ、これからの治療としてノルバデックスを継続するのであれば、閉経していてもいなくても大丈夫です。(文責 清水)

 

No.5627-1】   06年08月12日     S.
しこりの切除について

10年程前からしこりが左胸上部外側にあり、最近になって少し大きくなったような気がして受診しました。痛みも時々あり、周りも少し腫れているような気もします。触診、マンモでは異常なし(分かりづらいという感じ)、超音波で1センチのしこり、細胞診でクラス3の判定です。開業医ですが、我が県では乳腺外科としては一番の先生といわれています。妹が乳がんの手術をしている事もあり、外科的切除で3センチほど切って取り出してみましょうとのこと。生検には、マンモトームという方法もあるのではと相談してみましたが、この病院では機器はあるようですが、生検としては確実性がないので(1センチのしこりでは確実に取れるかどうか、ということです)、切除手術を勧められています。セカンドオピニオンはしていません。方法として的確なのでしょうか。いまだに迷っています。アドバイスよろしくお願いします。43歳です。

超音波で1cmのしこりであれば、外科的な切開生検とマンンモトーム生検どちらも可能です。3cmの傷がつくことが嫌だというならばマンモトーム生検(1cmのしこりでも確実にとれます)をお願いするのでしょうが、そうでなければ、主治医の先生が一番やり慣れた方法が良いのではないかと思います。(文責 清水)

 

No.5627-2】   06年08月31日     S.
検査結果について

HP5627で相談した者です。ご回答ありがとうございました。あれから切除生検し、結果、線維腺腫と診断されました。ただその時、病理診断書にいろいろと長く文章が書いてあったので(○○の疑いという文字あり)、先生にコピーをいただけませんかと聞いてみたところ、「コピーはしません」と言われました。「線維腺腫ですから」の一言。なんとなく不安なので質問させてください。
1) 線維腺腫でも、生検前の細胞診Vという診断はあるのですか。
2) しこりは、まるくて白いものでした。線維腺腫と診断されたら、100%間違いないでしょうか? 疑いという文字がとても気になるのですが、線維腺腫ははっきりと診断がつくものですか?

以上よろしくお願いします。

1) 細胞診というのは、細胞から診断する際の悪性の可能性を指標化したものであり、実際の悪性の度合いを示すものではありません。線維腺腫の場合、classUまたはclassVという結果が多いように思われます。
2) 診断も人間の行うことですので100%という表現が正しいかどうかは疑問ですが、術前の検査にて線維腺腫の可能性を考えた腫瘤で、生検してそれが肉眼的にも組織学的にも線維腺腫と診断されれば、通常その診断に疑問は感じません。(文責 谷)

 

No.5626】   06年08月12日     A.T. 
骨転移予防薬の認可

欧米にて認可されている骨転移の予防に有効とされるボネフォス(クロドロネート)の、日本での認可の見込みはどうなのでしょうか。1年前に右乳房を全摘しており、現在は転移再発がありませんが、予防的に使用してみたいと思うのですが、個人輸入するしか手段はないでしょうか。

クロドロネートは古いお薬で、ドイツで術後使われて骨転移が減少したということで話題になりましたが、逆に他の臓器の転移が増えたという報告もあり、評価は一定していません。現時点では骨転移の予防に有効かどうかはわからないというところです。ビスフォスフォネート製剤が骨転移を抑制するかどうか、現在きちんとした試験が行われているので、いずれは結論がでるでしょう。現在日本では、新しく、効力の強いビスフォスフォネート製剤が販売されており、今後クロドロネートが認可されることはないと思います。個人輸入はインターネット上の薬局などを利用すれば可能ですが、クロドロネートを個人輸入するより、日本で販売されているビスフォスフォネート製剤を使ったほうが良いと思います。一番新しいのはゾメタですが、これは注射です。もう一世代前のビスフォスフォネート製剤のベネット、ボナロンなどは飲み薬で、骨粗しょう症の病名があれば健康保険で使えるので使いやすいのではないでしょうか。(文責 清水)

 

No.5625】   06年08月09日     U.K. 
娘の胸のシコリについて

ネット検索にてこちらの掲示板拝見させていただき、メールさせて貰いました。私の娘は小学3年の今年9歳です。前日から左胸の乳首の周りが蚊に刺されたように赤くなっており、蚊にかまれたのだろうと触ったら、シコリのような物がありました。あまり気にもとめず、ほおっておいたのですが、いまだにシコリがあり、硬くなっております。左だけです。初潮はまだありません。乳がんの気配でしょうか?リンパシュ癌????というよくないことが頭をよぎっております。この先この子の人生に大きな障害になったらどうしようと悩んでおります。家系に乳がんの人はおりません。病院に行くにも何科へ行けばよいのでしょうか・・・。すがるような気持ちでメールさせていただきました。ご回答いただければ光栄です 。

年齢とメールの内容から推察すると、娘さんの乳頭下のしこりは初潮前の乳腺の硬結で、成長の過程で見られる生理的現象と考えます。お母さんは最初に自分の乳房が大きくなってきたときのことを覚えていませんか?通常は片方の乳頭の下に、触ると痛むしこりができて、一旦なくなった後でだんだん両方の乳房が大きくなってくるようです(私は男なので経験ありませんが)。卵巣からの女性ホルモンの分泌が始まった徴ですが、だからといってすぐに月経が始まるわけではないようです。でも、そろそろ近いと考えていた方が良いと思います。あまり心配せずに、念のために一度近くの乳腺外来を受診することをお勧めします。(文責 清水)

 

No.5624】   06年08月09日     K  
乳腺症なのでしょうか?

私はまだ、乳がん検査をしたことがありません。いつか行こうと思ってはいるのですが、なかなか行けずに結局1年が過ぎてしまいました。私の胸には結構大きなしこりがあります。それは触れば誰でも分かるほどの大きさで、強く押したり、何かが当たったりすると、痛いです。思えば中学生の頃からずっとあります。でも中学生の頃は、成長期のものだと思うのですが、現在23歳で成長期もとっくに終わってしまっている状態です。友達は「昔はあったけど、今はなくなった」と言う人ばかりで、自分はずっとあるし、むしろ大きくなった気もします。特に生理の前にすごく胸が張って痛くなります。色々な情報を見て、乳腺症かな?とか思うのですが、実は昔から右乳首も陥没している状態です。左もちょっとしか出ていません。昔は気にはしていなかったのですが、一般の人とは違うので、調べるたびに自分は乳がんではないか?という不安に襲われます。結婚しているのですが、旦那さんが仕事を辞めて、新しく正社員になったばかりで、金銭面も考えなくてはいけない状態なので、乳がん検診も費用がいくらぐらいかかるのかな?とか考えたらなかなか病院へ行けません。できれば病院に行かなくてすめばいいのに。。。と思いますが、やっぱり私の症状では、すぐにでも病院へ行ったほうがいいのでしょうか?

メールの内容からは乳腺症より線維腺腫が疑われ、がんの可能性は低いと思います。いずれにしても、乳房にしこりがあったら、がんかどうか心配しているより、病院で検査を受けて、白黒つけることが大事だと思います。健康保険が使えますから、費用が何万円もかかるということはないと思います。(文責 清水)

 

No.5623】   06年08月09日     N 
乳房と脇の下のしこりが心配です

お忙しいところすみません。私は29歳の女性です。十代の頃から両乳房の上部に平べったい5センチ程のしこりのようなものがあります。また、右脇下に4ミリ程のしこりがあります。2年ほど前に一度赤くはれて痛かったのですが、治った今も残っています。近縁に乳がんの者がいるので心配になりました。アドバイスお願いいたします。

メールの内容からは、がんの可能性は低いように思いますが、一度乳腺外来を受診して、検査することをお勧めします。(文責 清水)

 

No.5622】   06年08月09日     S・M
生存率の内訳について

はじめまして。44歳で、夫と小6の娘がいるパート主婦です。2〜3ヶ月前から、左乳房左上の腫瘤のごつごつ感に違和感を覚えて、普段かかっているクリニックから紹介状をもらった病院で、7月20日に乳腺腫瘤摘出術という手術を受けました。悪いものではないという見解のもとに、はっきりさせる目的で切除し、細胞診断をしたところ、ガンといわれ、大変ショックを受けました。そこの病院では、「全摘ならココでできるが、温存なら放射線のある病院を紹介する」とのことで、また紹介状をもらいました。その病院は大学病院で乳腺外来があり、他に転移がないか、CT(肺、肝臓)、骨シンチの検査を受けたところです。そこで、もとの物がもうないため、まわりの状態がよくわらないと言われましたが、本来は外科医は専門外であればもっと精査できる病院へ紹介して、むやみに切ったりしないものでしょうか。エコーのみで、マンモグラフィなどの検査は受けていません。それと、手術を受けた病院では、全摘か温存+放射線かの説明を受けただけで、その後の補助治療のことは説明してもらえませんでした。
今いろいろ調べているうちに、ことの重大さを痛感しています。乳腺外来の医師の話では、検査の結果を踏まえて、もう一度手術方法を決めてよいといわれています。乳腺外来でデータをみて教えてもらった細胞診断の結果は、ステージIの浸潤ガンで、大きさは1.5センチ、核異型度が強く、グレード3、断面まで到達していて、ひげのびが長いとのことでした。これは予後があまり期待できないと思うのですが、ステージTで5年生存率が約90%とすると、残りの10パーセントに入る確率が高くなりますか。そうだとすると、あえて外科的治療を受けて、その後の治療を受けても結果的に同じくらいの余命になるような気がして、治療に前向きに取り組めません。生存率の細かい内訳データというのはあるものでしょうか、またそれは教えてもらえるのですか。長くなって申し訳ありません、よろしくお願いします。 

確かに最近では乳腺腫瘤を簡単に摘出することは少なく、穿刺吸引細胞診、コアニードル生検などで診断しようと努力し、どうしても診断がつかない場合は摘出手術に踏み切ります。ステージ1で核異型度がグレード3でも生存率はあまり変わりありません。予後に影響する最大の因子はリンパ節転移の有無です(これは手術をしないとわかりません)。貴女にとって今一番大切なことは、乳房温存でも全摘でも良いから手術をしてリンパ節転移の状況を知り、最初に摘出した標本からER,PR,Her2といった検査をしてもらい、それらの情報を総合して、再発の確率を最も小さくすることができる全身治療を選択することです。手術に関しては1.5cmで断端陽性であれば、通常は追加部分切除と腋窩リンパ節郭清もしくはセンチネルリンパ節生検を行って、温存乳房へ放射線治療というのが標準的ではないでしょうか。余命ということであれば、手術の方法は余命に影響を与えませんが、全身治療は余命に大きく影響を与えますから、しっかり勉強して、主治医の先生とよく相談して納得して治療を受けるようにしてください。(文責 清水)

 

No.5621-1】   06年08月09日     J.A. 
抗がん剤と漢方について

2002年1月に乳癌で手術をしました。左乳房1/4切除、リンパに転移ナシという事で、放射線治療の後、ゾラデックス2年、ノルバテックスはずっと現在も服薬中です。毎年核医学とCTの検査、半年に1度位で血液検査をしてきましたが、全く異常ありませんでした。この五月の終わり、定期診察の時にも血液検査の結果は全く異常なしで、先生とも「体調がとても良い」などと話をし、久し振りにエコーをとってみようと検査していただいたところ、腫瘍を発見、6/1にPET-CT検査をして、転移再発がわかりました。左の鎖骨の所が一番大きく、脇の下、首の下あたりと計6ケの腫瘍がわかりました。他に異常はありませんでした。早速放射線治療を30回受け、ほぼ死滅したとの事で、治療は2週間休み、8/10からティ−エスワンカプセル20を朝晩3つずつ飲む事になりました。もともと非常に体力はあり、とても健康で、ガン以外まったく病気らしい病気はしたことがありません。放射線治療中も週2回のスポーツクラブとバレーボールは休まずに続けておりました。この薬は副作用が殆どないと先生に伺ってホッとしておりますが、副作用を和らげる為に良いと聞いて、放射線治療中から冬虫夏草と高麗人参を粉末にしてもらったものを飲んでおります。このまま抗がん剤と一緒に続けてみたいと思っておりますが、大丈夫でしょうか?

冬虫夏草と高麗人参の粉末とTS-1に関して言えば特に問題はないと思います。ただ、質問内容とは異なりますが、貴女の状態で現在飲むべき薬がTS-1で良いかどうかは疑問があります。術後にゾラデックスとノルバデックスを使ったということはER(+)乳がんだったと推察されます。とすれば、現時点で最も推奨される治療薬はアロマターゼ阻害剤の内服ではないかと思います。また、TS-1を使うタイミングは、原則としてアンスラサイクリン系抗がん剤(アドリアシン、ファルモルビシン等)とタキサン系抗がん剤(タキソール、タキソテール)といった強い化学療法を行った後ということになっています。よく主治医の先生と相談してください。(文責 清水)

 

No.5621-2】   06年08月13日     J.A. 
閉経前の術後療法について

今日から抗がん剤を始めたので、頂いたご回答に驚いてしまいました。私は46才で、ゾラ終了半年後から生理は以前のように普通の状態に戻ってきております。それでもアロマターゼ阻害剤の方が有効ですか? TS1では、又再発の可能性が高くなるという事ですか?

失礼しました、貴女の月経状況の確認をしていませんでした。おっしゃる通り、閉経前であれば、アロマターゼ阻害剤の単独投与はできません。となると内分泌療法の治療選択肢としてはToremifen(フェアストン)の高用量投与、MPA(ヒスロンH)、ゾラデックス+アロマターゼ阻害剤などが考えられます。いずれにしてもHortobaghi先生の指針に従えば、内分泌療法が優先される状況だと思います。リンパ節転移放射線治療後にTS-1が有効であったというevidence(言い換えれば、術後補助療法としてTS-1が有効であったというevidence)はないと思います。(文責 清水)

 

No.5620】   06年08月09日     RK 
乳房のしこり

お世話になります。67歳の私の母ですが、6年前から右の背中などが痛い(張る感じ)などの症状が出ていた為、定期的に検診に通っていました。特に原因がわからずにいましたが、先日、他の検診で病院に行った所、偶然医者が乳房を検診したところ1.8cmくらいのしこりを発見し、細胞検査に回したとの事です。背中の痛みを訴えていた頃はそのようなしこりがなかったようですが、このしこりが出来る前兆だったのでしょうか。脇も筋肉痛のような軽い痛みがあるようですが、乳がんだとしたら転移があるのでしょうか。現在検査中ですが、医者はガンだとしても初期と言っていたといいますが、どうなんでしょうか。また、その3日前に他の検診で血液検査等をしたところ、全て正常値であるとの事ですが、血液にはガン細胞の予兆などはでないのでしょうか。母は甲状腺の薬も飲んでいますが、ホルモンバランスが崩れた結果のものでしょうか。ご回答頂ければ幸いです。

一般的に乳がんは痛みを伴わないことが多いとされており、お母さんの背中の痛みや脇の痛みとお乳のしこりは別に考えた方が良いと思いますが、主治医の先生にそのことをお話しして、よく診てもらってください。がんかどうか、がんだとしたら初期かどうかは現在検査中とのこと、検査結果をきちんと聞いてから判断してください。血液検査の結果が正常であることと、がんの進展はほとんど関係ありません。血液検査にはがん細胞の予兆は現れません。言い換えれば、血液検査では早期の乳がんは発見できません。甲状腺の薬と乳がんも関係ありません。乳がんに影響を与えるホルモンは女性ホルモン(黄体ホルモン、卵胞ホルモン)であって、甲状腺ホルモン等その他のホルモンは関係ありません。いろいろ心配するお気持ちは理解できますが、今一番大事なことは、細胞診の結果をきちんと聞くことだと思います。(文責 清水)

 

No.5619】   06年08月08日     M.M.
再びホルモン血液検査結果について(HPNo.4821-2)

HPNo.4821で相談した者です。現在51歳で、2003年4月30日左乳房全摘、ゾラデックス2年、ノルバデックス5年の治療で、昨年ゾラデックスを終了し、今はノルバデックスだけです。閉経していれば、アリミデックスかフェマーラに薬を変えたいの思うのですが、血液検査の結果がはっきりとしません。
2005年12月 FSH 7.0 mIU/ml E2 10.0未満 pg/ml
2006年4月 FSH 8.24 mIU/ml E2 168 pg/ml
採血後10日程経ってから、生理が4日間ありました。
2006年7月 FSH 14.8 mIU/ml E2 10.0未満 pg/ml

という状態です。生理は3年ぶりに一度あったきりで、4月一回だけでした。7月の採血の結果で閉経と考えられますか? よろしくお願いします。

7月の検査値は判断できません。FSHが低すぎます。更年期、閉経後というのは、E2が下がってきて、その影響で、LH、FSHという卵胞を刺激したり、黄体を形成したりするホルモンの上昇が見られるので、まだ、そのレベルではないようです。現実には、E2が低値であるので、限りなく閉経状態であると考えますが。(文責 鈴木)

 

No.5618】   06年08月08日     TN  
乳がん転移と咳こみ(3)(HPNo.5564-3)

ありがとうございます。8月2日に検査結果と今後の治療方法について主治医から説明がありました。縦郭リンパ節が腫れており、転移した右肺の気管が細くなってしまって、それが原因で、咳および息苦しさが増しているため、至急縦郭リンパ節部分の放射線治療が必要とのことで、さっそく3日から放射線治療を始めることにしました(30回照射)。右肺胸水500ccも抜いてもらいました。癌性胸膜炎については様子を見ながら、呼吸困難を対処することが先決との説明でした。肝臓への転移、骨髄への浸潤は今のところ心配ないとのことです。食欲は落ちており、食道に違和感あるらしく、日々不安が増しており、妻は食道への転移も心配しています。咳は依然喘息気味でヒューヒュー音をさせながら苦しそうにしています。抗がん剤は、肺炎を起こすので併用できないそうです。今後治療法はどう変わっていくのか不安です。
再発後2−3年の余命とすれば、すでに1年半経過してますから、1年半程度ということですね。そうだとすれば、できる限り生活の質を上げてあげたいですが、家族としてはどう支えてあげればいいのでしょうか。放射線治療は9月中には完了しますが、いまの治療方法がベストであることを、本人家族が納得がいくためにはどうしたらいいのかわかりません。一度他の癌専門機関(国立癌センター中央)にセカンドオピニオンを求めたほうがいいのでしょうか。日常生活に希望がでて、病気と共存しながらも、あと10年ほど生きられる方法はないのでしょうか。ご意見をお聞かせください。

まずは放射線照射を、無事、順調に受けられることです。放射線を先行させるのか、抗癌剤を先行させるのかは、議論の分かれるところだと思います。癌性胸膜炎もあるのであれば、抗癌剤を先行させるという意見もあると思います。
今回の場合は、放射線後に抗癌剤の投与ということになります。食道への転移はまれですので、あるとしたら、縦隔リンパ節の腫れが食道を圧迫していることは考えられます。確かに、余命は厳しいのかもしれませんが、人間は可能性を持っていますので、希望は捨てずに支えてあげましょう。元気のある時には外に連れて、一緒の時間を過ごすようにし、好きなもの、楽しいもの、心地良いものなどを見て、感じるのはいかがでしょうか? もう少し暖かくなってからとか、涼しくなってから・・などというより、もし、病状が悪化した場合の事を考え、今出来ること、やりたいことを精一杯、悔いの無いように過ごされてはいかがでしょうか? そんな中で、体調が改善し、元気になれば、また出来ることは広がりますし、希望も膨らみます。10年というのは、実際、難しいかもしれません。現実は受け止めつつも、前向きに、あきらめずに治療を続けてくださることを祈っています。応援しています。セカンドオピニオンは、家族、本人が希望あれば良いと思いますが、現在の治療に大きな間違いはないように感じます。(文責 鈴木)

 

No.5617】   06年08月08日     M 
悪性葉状腫瘍について(2)(HPNo.5500-2)

お返事頂き、本当にありがとうございました。大変参考になり、感謝しております。申し訳ありませんが、もう一つ質問させて下さい。母は手術後3週間位してから軽い咳をします。一日に3〜5回位です。また、病気のショックからか、話す時に少し息ぎれをして、元気な頃より話しにくそうに見えます。本人はまだ気にしていませんが、私は肺転移?と不安です。手術の翌日に精密検査を受けて異常なし、次は半年後です。現在術後1ヶ月半ですが、このような症状で転移の可能性はありますか?(ただの風邪?) 次の検査を待たずに、主治医に早く相談した方がいいでしょうか?アドバイス宜しくお願い致します。

あまり心配ないように思いますが、時に進行の早い葉状腫瘍も経験しますので、一度、受診してレントゲン、CTなどを受けてはいかがでしょうか?(文責 鈴木)

 

No.5616】   06年08月08日     K.M.
リンパ節転移の可能性について

先日50歳の母が組織検査の結果、乳癌との診断を受けました。マンモグラフィーでは、最大2センチ位のしこりが右胸の中心部、内寄りに計3つ発見されました。今後MRIで転移を調べるのですが、しこりの個数とリンパ節転移の可能性は相関があるのでしょうか? 3つもしこりがあるということで、とても不安です。忙しいところ大変申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

しこりの個数とリンパ節転移の個数は相関ありません。腫瘤一つ一つの性格(細胞分裂の早さ、核の形、大きさなどで判断します)により転移する、しないにかかわってきます。(文責 鈴木)

 

No.5615】   06年08月08日     F・K
局所再発5回目

初めてお便りいたします。11年前に温存手術をし、局所再発を繰り返している現在41歳です。先日の検査で5回目の局所再発(内胸リンパ節1、3ミリ)が発見されました。主治医の方針は『手術をせずに、抗癌剤(ハーセプチン+タキソール)で様子をみて、小さくなればよし、変化なしか大きくなれば手術も考える。抗癌剤の効き方をみたい』です。主治医は、初発からずっと診ていただいている方で、感謝と信頼の気持ちをもっていますが、今回、この治療で本当によいのか、悩んでいます。まず手術してはどうか。放射線の可能性はどうか。主治医の方針でいくとして、抗癌剤はこれでいいのか。等々。。。局所再発後のエビデンスはないのかもしれませんが、今後の治療について、先生のご意見をいただければ幸いです。
〈病歴〉
1995年12月 初発。温存手術。放射線、5FU、ノルバデックス
2000年8月  局所再発手術1回目。軟部組織2箇所、温存手術。CEF6クール、リューブリン
2002年6月  局所再発手術2回目。軟部組織1か所、温存手術。
2002年12月 局所再発(手術なし)。軟部組織1か所。
         アリミデックス→アロマシン→ヒスロン&フルツロン 
2003年9月  局所再発手術3回目。このとき腫瘍は液状化、腫瘍のほとんどが壊死状態だった。
         ヒスロン&フルツロン→フルツロン&エンドキサン
2004年6月  無治療に(白血球低下のため)
2005年2月  局所再発手術4回目。軟部組織1か所。温存手術。ゼローダ。
2006年8月  腫瘍発見。5回目の局所再発。内胸リンパ節1、3mm。
         CEAが3から5に上昇。CA15ー3はずっと変化なし。

肺転移、肝転移なし。骨シンチは結果待ち。初発は、右胸内側上部、再発は胸骨付近で乳房から離れています。4回目までの腫瘍は、リンパ節ではなく皮下組織で、触ってわかりましたが、今回は触れません。ホルモン陽性。閉経状態。ハーセプチンは+2。フィッシュ法はしていません。長々と失礼いたしました。お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

まず、ハーセプチンを使用する前に、FISH法を行うべきです。これでHER2が陽性であればハーセプチンは効果があると考えますが、マイナスであれば、投与は避けるべきです。長いこと治療に携わり、大変なこと察します。今までの再発が残存乳房であるのに対し、今回は内胸リンパ節ですので、若干、意味合いが異なります。すなわち、局所とは言えず、遠隔転移とも考えられることです。幸い他臓器に転移がないので、ターゲットはその部分でよいですが、全身の治療を先行させるべきではないかと思います。病変の場所、性格などから、ホルモン療法が選択されると思います。実際、ホルモン剤もかなり使い切っていますが、唯一、フェマーラというホルモン剤が使えるはずです。一度、試してみる価値はあるでしょう。ただ、今まで、ホルモン療法を行っている最中に病変が出現していますので、ホルモン療法の効果は乏しいかもしれません。あと、放射線ですが、最初の手術時に放射線をかけていますので、もしかしたら、照射部位が重なる恐れがあります。もし重なるようだと、照射は難しいと考えられます。抗癌剤の種類としては、タキサン系の薬剤で問題ないでしょう。(文責 鈴木)

 

No.5614】   06年08月08日     K 
パジェット病の疑いについて

乳首の症状で不安に駆られ、メールさせて頂きました。26歳、出産経験はありません。1、2年前から、無性に左の乳首が痒くなるという症状が続きました。元々アトピー性皮膚炎を患っていますので、乳首は敏感な部分でもあることから、いつものアトピーの症状だろうと病院に行かずにおりました。しかし、掻くにつれて乳首の周りの部分の皮膚が硬くなり、乳頭を半分囲む形(半月のような)で盛り上るような醜い形になり、右の乳首とくらべて、乳頭も常に腫れているような状態となってしまいました。数ヶ月前に我慢が出来なくなるほどの痒みに襲われ、意を決して皮膚科を受診しましたが、痒みをおさえる軟膏と飲み薬を出されただけで、診察もさっとすまされてしまいました。痒みが酷いときは、その薬で抑えられますが、普段でも、軽い痒みが常に伴っている感じです。私は、もしかして単なる湿疹のような症状ではないのではないかと疑問に思い、インターネットで調べていた所、パジェット病という病気があることを先ほど知り、もしかしたら、、、と不安になりました。何かアドバイスをいただけないでしょうか。お願いいたします。

恐らく湿疹の悪化に伴うものと考えられますが、一度、乳腺外科を受診するようにしましょう。よく、アトピーの方は、このような症状を訴えるものです。(文責 鈴木)

 

No.5613】   06年08月08日     S.Y.
細菌感染(臍炎)処置について

初めて相談いたします。乳がん肝転移、抗がん剤2年半継続中。54歳。タキソール+ハーセプチン→CEF+ハーセプチン→現在ナベルビン+ハーセプチン投与中です。お臍より感染、自宅にて1週間シプロキサン、カロナール服用、その間高熱、痛み、膿みあり。その後、入院1週間、穿刺排膿、マキシビーム点滴(1日×2回)治療。さらにその後、現在まで自宅にて10日間バナン、ビオフェルミン服用中、未だ、血膿み、若干の腫れ・痛みあり。その間、抗がん剤治療停止3週間となります。臍部の外科処理は場所的に難解との事。今の状況では治癒時間がかかるのではと思われます。相談点として、
1) 外科処理はやはり不可能であるのか
2) 治癒してなくとも、抗がん剤治療再開は可能か、の2点です。

無治療の不安が拭えません。よろしくお願いします。

肝転移に伴う、臍周囲炎であれば、かなり治療に難渋します。というより、やはり肝転移が消退してこないことには治りは悪いと思います。肝転移とは別に臍周囲炎が起こることがありますが、これは、尿膜管遺残症といって、先天的なものですが、これであれば治療は可能です。こちらがすっきりしないうちは、ナベルビンで白血球が下がったときに感染を助長しますので、はっきり治ってからの方が安心です。もちろん、肝転移も治さなくてはいけないので、そのあたりは、肝転移と臍周囲炎の治療の天秤になってくると思います。(文責 鈴木)

 

No.5612】   06年08月08日     Y.Y  
生検

お忙しいところすみません。質問よろしくお願いします。胸にしこりがあり針生検をしました。結果は浸潤性乳管癌とのことでした。その後同じ胸にもう一つ影がみつかり、1ヵ月後また針生検をしました。エコーで最初の癌に新たに1cmの角が延びているのが確認され、またその角の部分も生検となりました。生検は何度かしていますが、今回は血もなかなかとまりませんでしたし、生検後もおっぱいが腫れて痛みます。
1) この1ヶ月たらずで急に出てきた1センチの角はなんでしょうか。乳癌は進行がゆっくりだからと聞いているのですが、こんなもんですか。
2) 診断がついているのに、角の生検はなぜ必要なのでしょうか。
3) 生検の結果が出て手術といっても、まだ1ヶ月位はかかりそうですが、浸潤癌ということで、つつくとますます飛びそうで不安なのですが、気にしすぎでしょうか。もう一つの影も心配ですが、この角が気になってしかたありません。ご教授、宜しくお願いします。

恐らく、この1ヶ月で出てきたものではなくて、従来からあったものではないでしょうか? 急激に大きくなるものではありません。ただ、その部位を生検する意味がよくわかりません。もし、その角?が従来の腫瘤とつながっているものであれば、いずれ手術で切除する際に、切除範囲に入り、同時に取れてしまう可能性が高いと考えます。もし、連続しているものではなく、別のものと考えているのであれば、生検の理由はわかりますが・・・。もしかしたら、1ヶ月経って、新たに別の影が見つかり、同時に従来の腫瘤に角まで見つかったので、進行が早いと考えたのかもしれませんので、あまり確定的な事は言えませんが・・。生検で、つっついてしまうことで、癌が広がることはあまり心配されなくて宜しいと思います。(文責 鈴木)

 

No.5611】   06年08月07日     S.N.  
抗癌剤の中止(HPNo.5425-4

いつもご丁寧なご回答ありがとうございます。胃・のどの件については安心しました。現在、タキソール終了後、CEAを2回(そのうち1回は40%減)投与したところのですが、1回目投与後、白血球が下がってしまい、2回目は40%減で投与しました。しかしながら今回も白血球の数値が1000まで落ちてしまい、CEA三回目については主治医から中止したいとの連絡がありました。今後はホルモン治療を勧められております。手術時、リンパ節および鎖骨上下にも転移があり、「浸潤性小葉癌」との結果も出ており、他臓器への転移を懸念しております。CEAを強行するべきか、それともホルモン治療に切り替えるか、主治医の方も悩んでいるとの事で、こちらの意思を尊重したいとのようです。ハーセプチンについても保険適応は別として、陽性のようで、可能のようです。再発防止に最善を尽くしたいのですが、いかがお考えになられますでしょうか?

化学療法の強行はやめた方がいいでしょう。ある程度、しっかりとした用量で、きめられたサイクル、投与期間でおこなうのがいいので、中途半端に減量するのは止めましょう。あとはホルモン療法と、ハーセプチンの1年間の投与です。これは保険適応ではないものの、実質、患者さんに負担が増えるものではありませんので、投与された方がいいでしょう。腋窩リンパ節転移が4個以上であれば、腋窩、胸壁、鎖骨上、鎖骨下、胸骨傍に放射線も必要になると思います。(文責 鈴木)

 

No.5610】   06年08月07日     K.T
乳がんの種類について(HPNo.4953-3)

乳がんの種類について。INVASIVE DUCAL CARCINOMAとなっているのですが(浸潤性乳管癌?)、
「In situ component:Ductal carcinoma in situ grade3(Cancerizaion of the lobules) In situ tumor comprises approximately 10% of the entire tumors mass and extends,superficially 3mm beyond the invasive component」の意味を教えてください。小葉に発がんしているということでしょうか。乳管と小葉の両方に乳がんがあるということでしょうか? ご意見よろしくお願いします。

全体は浸潤性乳管癌ですが、細胞異型がグレード3の非浸潤癌が、全体の10%程度にみられ、浸潤癌のところから3mmくらい皮膚側に広がっていると書いてあります。中心部が浸潤癌で周囲に一部非浸潤癌のところがあるということだと思います。Cancerization of lobulesはよくわかりません。小葉の中にも非浸潤癌の一部があるとのことかと思いますが、これは主治医に確認をして下さい。(文責 鈴木)

 

No.5609】   06年08月07日     Y 
術後の生活について

2年前に、ステージ1でリンパ節を切除し、温存手術をしました。ゾラデックスを打ち始めて1年です。半年前からテニススクク−ルに通い始めて楽しんでいましたが、家族から止められました。利き腕と反対を手術しましたが、やはり良くないのでしょうか? 浮腫とかが起こりやすいとは聞いたことがありますが・・・。とてもぜいたくな話ですが、教えてください。宜しくお願いします。

恐らくは問題ありません。趣味を活かし、元気に前向きにというのはいかがでしょうか? ただ、テニスでブンブン振り回していればむくみやすい可能性はありますので、疲れ気味、むくみ気味の時には充分休憩をとって、休ませて、マッサージなどもいいと思います。自分の患者でも、マラソンの選手、テニス、ゴルフの選手もいますよ。(文責 鈴木)

 

No.5608】   06年08月07日     I 
半年間の経過観察

先日会社の乳癌検診で、「乳腺に腫瘍の疑い有」との事で、再検査に行って来ました。その結果、マンモグラフィックで石灰化有との診断でした。主治医の先生は、悪性・良性の判断は今の所わからないとの事でした。「今すぐどうこう心配は無い」と言われ、「再度半年後に右胸の検査をしましょう」との診断でした。脇の下の鈍痛もあり、心配です。半年間治療をしないで、大丈夫でしょうか?

まず、良性、悪性の判断は細胞をとって調べた方がよいので、画像の特徴だけで判断するのは止めた方が良いと思います。脇の下の痛みはあまり心配するものではありません。あまりに腫瘍が小さくて、細胞の検査も難しいということはあります。その場合は、写真で判断することもあり、経過をみることになります。(文責 鈴木)

 

No.5607-1】   06年08月07日     H 
非浸潤乳管がんについて

大きなしこりに気がつき病院に行きました。結果はのう胞だったのですが、反対側に別の8ミリのしこりが見つかり、細胞診でクラスVでした。線維腺腫だろうと言われましたが、切除しました。切除した時、のう胞がくっついていた為、のう胞も一緒にとりました。あとで聞いたのですが、マンモで石灰化は写っていたそうです。癌と判断できるものではなかったそうです。
その結果(中間報告)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
s/o mastopathy,intraductal papilloma and nonninvasive ductal carcnoma
提出された乳腺組織に乳管の拡張・のう胞形成・アポクリン化生 乳管内乳頭腫がみられます。乳管組織の一部にnonnivasive ductal carcnoma を思わせる組織像を認めます。断片に腫瘍組織は見られません。
最終報告ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
#noninvasive ductal carcinoma of the mamma,lyo,vo margins ubvasion(?)
#mastipathy and intraductal papilloma
拡張した乳管(cystic dilated duct)に管膣形成、乳頭状増殖、cribriform配列、充実性増殖を非浸潤性乳管がんがみられます。がん細胞は中型の核および中等量の胞体を持ちます。はっきりした癌の間質への浸潤はみられません。癌組織に石灰沈着が散見されます。リンパ管と静脈に腫瘍の浸潤はみられません。断片ぎりぎりのところに癌組織をみとめます。癌組織周辺にcapsule様構造(cystic dilated duct)を認めます。提出された乳腺組織に乳腺症と乳管内乳頭腫をみとめます。

ということでした。私の年齢は31です。既婚、出産経験なしです。6年前に乳頭に腺維線腫ができ手術しました。現在のう胞が多数あります。今回リンパの検査もなく、ホルモンの検査もないです。母が57歳で乳がんの手術を受けています。痩せ型です。
治療法として、「@そのまま、なにもせず経過を見る A放射線治療をする(受診した病院には無い為別の病院へ) B周りをもう少し切除して他の治療はなし」 この中から選択してと言われました。地方の病院なので、ほんとにこれでいいか心配になってしまい、どこに相談したらいいかわからず、メールで質問させていただくことにしました。質問は以下のとおりです。

1) まずこの治療法で再発しないのか?(非浸潤癌は全摘という情報もありました)
2) 年齢的に再発率は高くなるのか?(若いと再発の可能性があがるという情報もありました)
3) がんの悪性度はどんな感じでしょうか?
4) どんな治療が最適でしょうか?
5) これから出産も望んでいます。どんな治療が可能でしょうか?

長くなってしまい申し訳ないです。ご意見、よろしくお願いします。

追加の選択肢に関しては疑問があります。非浸潤癌で切除断端に癌が露出していないのであれば、局所の再切除は必要ありませんし、腋窩の手術も必要ありません。全摘も必要ありません。ホルモン感受性、HER2蛋白の発現があるかどうかは確認してもらって下さい。ホルモン感受性が陽性であれば、内服のホルモン療法を5年間行います。HER2蛋白に関しては、陽性であっても、非浸潤癌における有効性は確立してませんので、ハーセプチンの投与は必要ありません。たまたま切除した一部分にみつかった非浸潤癌ですので、まず限りなく再発の心配はありません。
さらに、局所コントロールの意味で、残存乳腺に放射線照射も必要です。毎日、25回ほど通院で行います。ほとんど、身体に感じる副作用はありません。ベストの選択は、追加の放射線のみです。ホルモン感受性があれば内服のホルモン療法を5年間です。
地方であるからといって、不必要な治療を受ける、必要な治療が受けられないというのは残念ですので、しっかりと治療を受けて下さい。(文責 鈴木)

 

No.5607-2】   06年09月04日     H 
非浸潤性がん(追加報告):断片陰性のはずが・・・

HPNo.5607で相談いたしましたHです。前回相談にのってもらって返事を頂いた時には、すでに局所の追加切除を決めて入院手続きをした後でした。ぎりぎりのところで腫瘍をとっていたことが気になり(主治医にどちらか選ぶようにといわれたので)、放射線よりも局所切除を選んだのです。放射線ではそのものを検査に出してもう一度結果を得るということができなかったから、私は切除して検査して、もうないですよという安心を得たかったのです。そういう答えを頑張って探し、決めました。そのときに主治医に、心配性の私は 「局所切除のあと放射線治療を」とお願いしましたが、その必要はないとのことでした。今回追加切除の結果は黒でした(主治医は切りとってよかったですねとおっしゃっていました)。切り取った組織に非浸潤性のがんがありました(安心の為の私の保険のつもりでした)。今回も断片は陰性ということでした。病理から最終的な報告があってから放射線治療をするかしないか判断するとのことでしたが、取り残しがあるとは考えられないのでしょうか? まず組織そのものをとってしまうことが必要なのではないでしょうか? 取り残しがあるかどうかはわからないものでしょうか? 調べる手段はないのでしょうか? マンモでも、31という年齢からう写らないのでしょうか? どうしても気持ちが悪くて、このまま治療をうけることが出来なくて、大きな病院に移ろうと思っています。もう一度ご意見をお聞かせ下さい。

非浸潤癌の拡がりについてはなかなか評価が難しく、貴女のケースのように切除断端陰性であっても実際に残りうることはあるとされております。それを何かの検査で示すことができればよいのですが、実際にはなかなかそのような検査はありません。乳癌診療ガイドラインでも温存術後の放射線照射を標準としており、今回の病理結果の内容は問わず放射線照射施行はするべきであると考えます。もし他の施設でのご意見をお聞きになりたいのなら、セカンドオピニオンを希望する旨を主治医の先生に話して、資料を用意していただくことも可能かと思います。是非貴女自身の納得いく治療をお受けになってください。(文責 谷)

 

No.5607-3】   07年01月28日     H 
若年性乳がんについて

8月、9月にご質問させていただいたHです。現在、放射線治療が終了し、2ヶ月が過ぎました。ホルモン治療なし、経過観察中です。いつも相談にのっていただき、ありがとうございます。家族性(遺伝性)乳がんについてお伺いします。
私の場合、31歳で(35歳以下で)若年性乳がんにあたると思うのですが、母も乳がんになっている為、家族性(遺伝性)乳がんではないでしょうか? もしも遺伝子に異状がある場合は、卵巣がんになる可能性もあると聞きます。実は1年前から卵巣腫瘍を持っています。エコーと血液検査のみ(CT・MRはなし)で、ほぼ良性であろうというお話ですが、その情報を聞いてみて不安になりました。卵巣がんは症状がはっきりせず、とってみないとわからないと聞いたので・・・。そして気がついた時には進行していると。私のような高リスクの場合、卵巣腫瘍を摘出すべきなのかどうかと考えています。
婦人科の医師には乳がんを患ったことは話していますが、「乳がんとは関係ないので大丈夫でしょう」との答えです。現在3cmほどです(片側に二つあります)。発見から1年経過して、1つが2つに増えました。腫瘍マーカーは変化なし、多少大きくなっているようです。子宮ガン検診も今の所問題なしです。腹水はややあるそうですが、問題ない程度だそうです。
ネットの遺伝相談で遺伝子検査のことを聞いて見ましたが、一度検査するべきだと言われたものの、20万ほどかかると言われ断念しました(無料のところもまだあるかもしれないと言われましたが、どこかわかりません)。先生のご見解を教えて下さい。外科の主治医が直接「若年性乳がん」と言ったわけではない為、こちらからはお話がしにくく相談させていただきました。
1) 私の場合は家族性乳がんにあたりますか?もしそうなら、今後どのようなことに気をつけるのか教えて下さい。
2) 卵巣がんになりやすいのでしょうか?
3) 乳がんが再発、もしくは新しくできやすいのか?
4) なぜ若年は高リスクなのか?
5) 現在無治療で、3月に初めてCT(肺・肝臓)の検査・腫瘍マーカー、8月にPET検査をする予定です。この治療法でいいですか?
6) PET検査は普通は全身ですか? (全身であれば、卵巣のがんかどうかも、みてもらえますよね?)

沢山ご質問させていただき、すみません。よろしくお願いします。

1) 家族性乳癌とは、第一度近親者(親、兄弟姉妹、子供)に本人(発病者)を含めて3人以上の乳癌患者がいる場合、あるいは第一度近親者に本人を含めて2人以上の乳癌患者がいて、いずれかの乳癌が@40歳未満の発病、A両側性乳癌、B多臓器の重複癌のいずれかを満たしている場合と定義されています。貴女の場合は後者に該当します。家族性の乳癌すべてに遺伝子異常が発見されるわけではなく最終的には遺伝子診断を行わないと、本当に乳癌の危険遺伝子を持っているかどうかはわかりません。貴女も指摘しているように、遺伝子検査は診断料も高いうえ、「遺伝性乳癌」と診断された場合でも、メリット以上にデメリット(結婚、出産、保険等)も多いので、遺伝子診断は慎重に受けるほうが良いと思います。
2) 家族性乳癌のうち約半数にBRCA1、BRCA2遺伝子の異常があると言われています。この中でBRCA1遺伝子は卵巣癌を併発するリスクが高い(40〜60%)と考えられています。ただし、貴女の卵巣腫瘍は、婦人科の先生の対応から推察する限りでは、卵巣嚢腫などの良性腫瘍(MRIなどで判別可能)なのではないでしょうか。婦人科の先生が良性と判断するのならば、手術で切除する必要はないと思います。
3) 同側・対側性の乳癌のリスクは残ります。遺伝子リスクが無くても、健康者の6倍近くで2回目の乳癌を発症する危険があると考えられています。このような人がタモキシフェンというホルモン剤を服用すると、将来の乳癌発症を約50%抑制するとの報告もあります。ただし、0.5〜1%程度で子宮体癌を誘発するので注意が必要です。最近は子宮への影響が少ないラロキシフェン(骨粗鬆症の治療薬)も、乳癌予防効果があることがわかっています。ただし、妊娠・出産などにも影響するので、ホルモン剤を使用する場合はデメリットについても十分理解してから行うようにしてください。
4) 若年者は閉経までの期間が長いので、女性ホルモンの影響を継続して受けることになります。また、女性の平均寿命85.4歳までの時間も長いので、ひとたび乳癌を再発した場合は「乳癌関連死」になる確率が高くなりますし、2回目、3回目の乳癌になる可能性もあると思います。その他、若年性乳癌では「まさか乳癌?」と受診・発見が遅くなって進行してから見つかる場合があり、予後を悪くしている一因とも言われています。しかし貴女の場合は非浸潤癌なので、今回の乳癌に関しては「治癒」した可能性が高いと思います。再発の心配をするよりは、新たな乳癌の早期発見に努めることが大切だと思います。
5) 前述のように、貴女の場合は「非浸潤癌」なので全身検査の必要性は低いと思います。むしろマンモグラフィや乳房超音波などの「新たな乳癌」の早期発見に努めるべきでしょう。
6) PETは卵巣癌を含め、全身に多重癌がないかを検査するのにある程度は有用ですが、「がん検診目的」での保険適応はありません。自費になると5万円以上はかかるうえ、早期癌(1cm以下の癌や粘膜内癌)の発見は難しいので、婦人科検診を含めた一般検診を1年ごとに受けるほうが有用と考えます。(文責 千島)

 

No.5607-4】   10年09月20日     H 
のう胞内にポリープが発見されました

2006年9月に質問に答えていただいたHです。左側乳がんの手術を受け無事に4年が過ぎましたが、今度は反対側の右側に、のう胞内にポリープが発見されました。のう胞自体はかなり大きく、その中にできたポリープは、約1センチです(1年前のエコーではポリープはありませんでした)。現在検査中ですが、のう胞内乳頭腫ではないかと考えています。もしくは乳がんの疑い? 結果は待ってみないとわからないのですが、主治医は切除したほうがいいと言っています。

質問
1) 前回の乳がん切除時も良性のしこりという判断で、切除した結果が癌だったので、不安はあるのですが、やはりリスクの面からいっても、切除するのが妥当でしょうか?
2) 乳頭腫であった場合の選択方法は?
3) 乳頭腫であった場合、どれくらいの範囲で切除するのか。
4) 癌の疑いのあった場合、どれくらいの範囲で切除するのか。(非浸潤癌であるなら、切除範囲は大きくなるのでしょうか?)
5) 前回も、マンモにも、危険と判断されるような石灰化は、ほぼ写らなかったのですが、現在35歳ですが、マンモは切除の判断基準になるのでしょうか? (前回同様、エコー、血液検査、CTのみの判断で切除になると思います)
6) 経過観察するという選択肢はあるのか? 経過観察するなら、危険性はどれくらあるのか?

検査中の段階でこんな質問をして申し訳ないのですが、考える時間や主治医と相談するときにしっかりと話をしたいので、質問させていただきました。いつもお忙しい中、丁寧に質問に答えていただき、ありがとうございます。よろしくお願いします。

1)2)5) 画像所見、細胞(組織)所見、大きさ等を考慮して決定します。経過観察も一つの選択肢です(切除を勧めるという意見もあります)。
3)4) 良性であればその部分のみ、悪性であれば周囲への広がりを考慮して切除範囲を決定しますが、大きくなることはあまりありません。
5) 判断材料の一つとなりますが、頼りになる可能性は低いでしょう。(文責 加藤)

 

No.5606】   06年08月07日     U 
石灰化集簇について

初めてご相談します。36歳、2児の母、二人目(2歳7ヶ月)は今年の4月に断乳しました。よろしくお願いします。
断乳して約2週間後、健康診断を受けたのですが、マンモグラフィー検査で、右乳腺石灰化集簇の疑いあり、乳腺エコー検査を行うよう、報告書に書かれていました。カテゴリー2とのことです。相談室のお答えを拝見したところ、「カテゴリー2:明らかに良性と診断できる所見がある」とありましたが、良性と診断できても、乳腺エコー検査を必要とする理由は何でしょうか。どうぞよろしくお願いします。

カテゴリー2であれば、一般的には精査の必要はありませんが、あくまでも検診ですので、しっかりと超音波も行ってはいかがでしょう。マンモで発見できない腫瘤が超音波で確認できることもありますので。(文責 鈴木)

 

No.5605-1】   06年08月07日     K
今後の治療方法について

やっと傷の痛みも和らいできたところ、病理結果を聞き、がっくりきています。ご相談させてください。42歳、子供が二人います。
先月、温存手術&センチネルを行ないました。病理の結果、浸潤性乳管癌。腫瘍15ミリ、その他乳管内進展有(ところどころ浸潤)、乳頭側断片近くにも有、センチネルリンパ(二つ)については、手術中には転移が見つからなかったものの、病理にて陽性;1/2(1ミリ以下の微小転移)、グレード2、ホルモンレセプターどちらも+、ハーツーは2(陽陰今のところ不明)、最悪の結果のような気がしています。今後の治療方針待ちですが、更に乳房切除、およびリンパ郭清の再手術の必要があるのではないかと思います。どのような治療の可能性が考えられるか、ご教示いただけましたら幸いです。
また、私のようなリスクの高いタイプの予後は、いかがなのでしょうか。まだ小さい二人の子がいるため、最大の治療はする予定です。10年生存率を教えてください。

微小転移を本来の腋窩リンパ節転移と同義にするかは統一された答えはありませんが、転移ありと単純に考えれば、これが予後を左右しますので、5生率94%、10生率82%という報告があります。乳房切除の追加はあまり必要ないように思います。リンパ節転移ありですので、そちらが予後を左右することを考えると、明らかに断端陽性でなければ、局所のコントロール(局所をしっかりと取りきる)が予後を左右することはありませんので、全身治療を優先しましょう。腋窩の郭清も、これをしっかり取り直すことで、予後に結びつくかは不明確です。センチネルで後日、転移ありの報告が来たときに、追加郭清、放射線、化学療法など、確立した治療法はありません。主治医と相談の上、ということになると思います。一般的には、局所へは放射線療法、全身への抗癌剤ではないでしょうか? 抗癌剤、放射線の後に、ホルモン療法が必要です。HER2の陽性が確認されたら、ハーセプチンの投与を毎週、一年間行います。(文責 鈴木)

 

No.5605-2】   06年09月13日     K
今後の治療方法について(2)

8月7日(HPNo.5605)、丁寧なご回答ありがとうございました。前向きに治療に取り組もうと思います。お忙しいところ恐縮ですが、更に質問させてください。その後、リンパ郭清レベルIIまでの手術を行いましたが、新しく転移は見られませんでした。それで、センチネル二つのうち一つに1ミリ以下の微小転移ひとつを念頭において治療を始めることになりました。来月早々より化学治療(多分CEF)が始まる予定です。また、別のところで職場の定期検診をうけたところ、側湾症、および白血球低下(約3000)と指摘されまして心配しております。この結果つきましては、手術(7月)後すぐだったので、仕方ないことなのでしょうか。或いは骨転移かなにか進行している可能性があるのでしょうか。背中にこりのような鈍痛があります。ご教示いただけましたら幸いです。

側湾症はおそらくもともとあったのでしょう。手術の前におそらく骨の検査もしているでしょうから、骨転移は考えにくいかと思います。白血球3000は化学療法前にしては少し低目ではありますが、許容範囲内だと思います。治療前でもありますので、上記のことは主治医の先生にきちんとお話してくださいね。(文責 俵矢)

 

No.5604】   06年08月07日     S.N.
乳がん再発の痛みについて

5年前に乳房右にしこりを見つけ、手術。目が覚めると、「良性だったので、しこりのみ切除した」とのこと。退院後、受診したところ、悪性でした。又、入院してくださいと言われたが、仕事復帰していたため、ホルモン注射を打つことになった。1年後、手術前から気になっていた脇のしこりを再再度告げると、細胞をとり、入院してくださいとすぐ電話があった。そこで、医者に対して、ずっと信頼できなくて(病室で手術日をたずねて怒鳴られたり、質問しても鼻であしらわれたり)、民間療法に走ってしまいました。ミネラルウォーターを飲む療法です。飲み始めて3ヶ月ぐらいでしこりが小さくなって、すっかり信用してしまいました。
それから4年過ぎ、首にしこり、乳房が硬く張り、しこりが次々にでき、みるみる大きくなる。脇に塊があって、腕が張って痛みが走る状態になって受診しました。腕、脇の痛みは、その時で痛み方や、痛むところが変わったが、仕事をしている時はほとんど気にならなくて、買い物など歩いている時が痛みがひどく集中できない状態でした。
AC療法8/2に第1回の抗がん剤を点滴。
この2・3日脇の痛みがひどく、昨夜は寝る前に痛み出し、夜ほとんど眠れませんでした。朝方目が覚めると又痛みがひどく、手で押さえにいくほどです。明日受診するつもりですが、この痛みは末期がんの痛みで、薬などでとることはできないのでしょうか? 「骨、内臓などには転移していないとは言えない。現れていないだけ」との医師の言葉です。今思えば、バカなことに命を懸けてしまったと後悔してもしきれません。
これからの治療について、体の状態(仕事をどこまでつづけられるのか)についてなど教えてください。

まず、しっかりとした、信頼のおける乳腺外科の治療をうけること・・・。始まりがいけなかったようにも思いますが、振り返っても仕方ないので、いかにこれから良くするかを考えましょう。治療法としては、今の薬剤を最低でも4回は続けます。それで反応をみながら、更に2-3回でしょうか。、ただ、あまり長期に使う薬ではないので、また別の薬剤を使用します。
痛みに関しては、内服薬、注射薬、貼り薬といろいろありますので、主治医に伝え、処方してもらいましょう。薬でコントロールしないと、治療にしても、仕事にしても差し支えますから。仕事に関しては、仕事の内容、薬の副作用、病状の改善、悪化などで考えますので、ひと言では言えません。自分の身体と相談しつつ、上手に付き合いながら仕事を続ければ良いと思います。ただ、無理はしないように。頑張って下さい。(文責 鈴木)

 

No.5603】   06年08月07日     MH
センチネルリンパ生検について

46歳、非浸潤性乳管がんです。
現在までの経過:
2005.10 住民検診でマンモグラフィーを撮ったところ、右乳房に集ぞく性の微小石灰化が認められた。2005.11 個人で開業する乳腺専門医に受診。エコー、マンモ。微小石灰化はあるが、経過観察をすることとなった。2006.02 同 エコー。特に変化なく経過観察。2006.05 同。エコーは変化なし、マンモに石灰化の増加の密度がみられ、マンモトーム生検を勧められた。2006.07 他施設にてマンモトーム生検を実施。非浸潤性乳管がんという結果だった。これをうけ、MRI実施(他施設で)。非浸潤性乳管がんだと思われるが、MRIだけでは断定できない。2cmくらいの広がりかという放射線科医師の診断だった。       
主治医の意見(上記開業医);
温存が可能、日帰り手術、扇形に切り取る、非浸潤性乳管がんということでリンパもとる必要はない。
質問事項:
医師の説明の後、ナースより、もし希望すればセンチネルリンパ生検も同時に受けられると聞いたのですが、こちらからお願いして実施するべきものなのでしょうか。医師からは話はなかったのですが・・・必要なのでしょうか。ちなみに、オペは抜糸のいらない縫合糸をつかうなどで、保険がきかないそうです。傷跡がきれいなのだそうですが、もしも、抜糸の必要なものを使うなら、保険がきくのでしょうか。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

まず、センチネルリンパ節生検ですが、現在、マンモトームで生検をされて、非浸潤癌とのことですが、腫瘤の全体が非浸潤癌であるかどうかは不明です。恐らくは全体もそうなのでしょうが、もし、一部に浸潤癌があるのであれば、腋窩のリンパ節の確認は必要になります。ので・・・、一部に浸潤癌が潜んでいることも考えて、センチネルリンパ節生検を併施されてはいかがでしょう。ですから、今の時点で、腋窩の確認は不要と判断するのは早いかと思います。
手術ですが、センチネルリンパ節生検は、基本的に保険適応でない薬剤を使用したりするので、その点で問題になることはあるにしても、縫合糸で保険適応の問題が生ずるとは思えません。抜糸の必要のない糸で手術可能ですので、他の施設を検討してはいかがでしょうか?
日帰りの手術に関しては、これは施設毎の方針がありますので、あまり強くは言えませんが、一般的に、手術中に切除範囲を病理医と確認しながら手術を進めますので、日帰りで局所麻酔というよりは、入院して手術の方がよいのではないでしょうか。
局所麻酔で腫瘤の全体を切除して、病理で非浸潤癌かどうか、取り切れているかどうかを調べ、非浸潤癌、かつ取り切れているのであれば、腋窩の確認は不要ですので、それで、手術的な治療は終了します。そういった点で考えれば、主治医の言われる日帰りという選択肢もあるかと思います。病理の結果、浸潤癌であれば、腋窩の確認(郭清、センチネルリンパ節生検どちらかを選択)が必要ですし、腫瘤の周囲をさらに追加切除も必要になってきます。(文責 鈴木)

 

No.5602】   06年08月07日     Y・H
乳頭からの出血

昨日、乳癌検診を受けた際、左乳頭から出血があり、触診していただいた先生からは「悪性の可能性が高い」と言われ、とても心配になりました。検診は他にエコーも受けました。出血に関しては、少し前にも下着に付着していたのを思い出しましたが、殆ど意識することなく検診日となり、先生に診てもらい「悪性」という言葉だけが頭に残ってしまいました。「エコーの結果は数日後に郵送されてくるので、それを待って再検査を専門医で診てもらってください。」ということで、今はデータ待ちの状態です。心配でたまらず、こちらに相談させていただきました。お忙しいところ申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。

触診だけではなんともいえません。一般に、血性乳汁分泌の原因の70-80%は良性の病気です。超音波の結果がくるまで、待ってもよいかと思いますが、心配でしょうから、先に乳腺外科の受診を勧めます。結果いかんにかかわらず、一度は専門機関に受診されて下さい。(文責 鈴木)

 

No.5601】   06年08月07日     S 
しこりについて

以前、こちらのHPに相談をし、とても精神的にも楽になり、また相談させていただきます。今回の相談なのですが、3年前(28才の時)に線維腺腫と診断されました。左に1.5cm、右に0.6cmでした。それから半年事にエコー検診を受けているのですが、今年に入って2月に行った時に、「右はそのままで、左が少し大きくなっているが大丈夫、ただ半年事の検診は必ず受けて下さい」との事でした。そして先日検診に行くと、新しいのができていて、エコーの結果、「たぶん良性の線維腺腫だと思うけど、形と色が少し違う」という事で、針で刺して細胞の検査をしました。結果待ちなのですが、元々不安症の為、毎日精神的に参っています。半年でエコーにわかる程のしこりというのはできるものなのでしょうか?

実際には半年ではっきりとする腫瘤ができることはあります。たぶん、良性の線維腺腫であろうとのことですので・・・、結果を待ちましょう。新たに線維腺腫ができることもよくありますし。(文責 鈴木)

 

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