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相談室(No.5201〜5300)

このページは乳がんに関 する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。

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なお治療法は、患者さんと主治医がご相談されて決定されるものであり、この相談室でお答えできるのは、一般的な参考意見であることをご了解下さい。

当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

目 次

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No

日 付

名 前

件  名

担 当

5300 06/05/15 K.S. 主人の胸のしこりについて 俵矢
5299-1
5299-2
06/05/15
06/05/21
U  術後の療法について
術後の療法について(2)
俵矢
千島
5298-1
5298-2

5298-3
06/05/15
06/06/15
06/07/05
乳頭からの分泌物
更なる検査
乳管造影について
俵矢
川本
石川
5297 06/05/15 32歳、男性です 俵矢
5296 06/05/14 K.K. アロマシン後(HPNo.4994-2) 俵矢
5295 06/05/14 K 今後の治療について(HPNo.5200-2) 俵矢
5294 06/05/14 F  乳がんの宣告 俵矢
5293 06/05/11 Y  乳癌の手術のタイミングについて 俵矢
5292 06/05/11 T  術後補助療法について 俵矢
5291 06/05/11 D 再発癌 俵矢
5290 06/05/11 Lucy 検査方法や、その後の診断について 俵矢
5289 06/05/11 YO 浸潤性小葉癌の術後治療について
5288 06/05/11 M ハーセプチン
5287 06/05/11 T.N. 術後治療について
5286 06/05/11 T.A.  子宮体がんになりました
5285 06/05/11 K.A. ブースト照射について
5284 06/05/09 M.H.  再々発後の抗ガン剤使用について
5283 06/05/09 K  妊娠について
5282-1
5282-2

5282-3
06/05/09
06/06/21
06/11/12
Y  手術方法について
手術後のホルモン療法
タモキシフェンの服用について

吉田
石山
5281 06/05/09 N・K 抗がん剤の投与順序、回数について
5280-1
5280-2

5280-3
5280-4
06/05/09
06/05/14
06/11/01
06/12/12
肺転移について
これからの治療
骨髄抑制に伴う抗癌剤の投与量について
心臓エコーについて

俵矢
石川
清水
5279 06/05/09 E.N.  タキソール継続か中止かの判断について(HP4464-4)
5278 06/05/09 H.Y. 乳がん・再発の治療について
5277 06/05/07 M  タモキシフェンとラロキシフェン
5276 06/05/07 t.m. 左胸乳頭より血液分泌物がでる症状
5275 06/05/07 UD 脳腫瘍は、転位?(HPNo.5076-3)
5274 06/05/07 U  放射線治療中の症状について(HPNo.5161-2) 須田
5273-1
5273-2
06/05/06
06/06/17
T  乳頭からの出血について
その後の乳頭分泌について

矢吹
5272 06/05/06 T・N 放射線治療終了後について
5271 06/05/06 M.O.  内視鏡手術について
5270 06/05/06 H.K 閉経前再発治療について
5269 06/05/06 S.T.  ホルモン療法について
5268 06/05/06 Y MRIの結果について
5267-1
5267-2

5267-3
06/05/06
06/11/04
06/11/28
N.Y. NCC−ST−439の上昇について
ゾラデックス中止のタイミングについて
領域再発の治療方法について

阿部
加藤
5266 06/05/06 N  HER2について(HPNo.4523-2)
5265 06/05/05 Y.K. 治療方法について(HPNo.5055-2) 須田
5264 06/05/05 H.T.   左右の乳房の大きさに違いがあります 須田
5263 06/05/05 M.O 乳輪について 須田
5262 06/05/05 T.H. マンモグラフィーの結果を聞きました(HPNo.5183-2) 須田
5261 06/05/05 O.T 術後療法について 須田
5260 06/05/05 S  術後の治療について 須田
5259 06/05/05 R子 10年目の再発 須田
5258 06/05/05 UD 今後の治療法は?(HPNo.5076-2) 須田
5257 06/05/05 E 術後補助療法について 須田
5256 06/05/05 T  経過観察中です 須田
5255-1
5255-2
06/05/02
06/05/29
M  乳癌骨転移について
乳癌骨転移について(2)
須田
徳田
5254 06/05/02 N 頻尿について 須田
5253 06/05/02 Y.F. 分泌液細胞診の結果について 須田
5252 06/04/30 Y  ジェネリック医薬品 須田
5251 06/04/30 K.Y. 乳ガン検診で「要精検」と言われました 須田
5250-1
5250-2
06/04/30
06/05/15
M   右脇下の痛みについて
右腋下の痛みについて(2)
須田
俵矢
5249 06/04/30 N.K 脳転移 須田
5248 06/04/30 S  癌の大きさと転移・非浸潤について 須田
5247 06/04/30 T  良性悪性の診断の為の摘出生検 須田
5246 06/04/27 I.M  細胞の検査について(HPNo.5175-2) 須田
5245 06/04/27 H 胸のしこり 須田
5244 06/04/27 H.O. 乳房温存手術について(HPNo.5189-2) 須田
5243-1
5243-2

5243-3
06/04/27
06/05/18
06/07/10
K.M. 術後の治療について
放射線治療
ホルモン治療中の市販薬の使用について
須田
千島
石川
5242 06/04/27 N子  漢方について(HPNo.5146-2) 須田
5241 06/04/25 R 生検後の痛みについて 首藤
5240 06/04/25 Y.Y.  フェアストンとノルバディックスの副作用について 首藤
5239 06/04/25 A.B DCISについて 首藤
5238 06/04/25 M.N.  乳房のしこりについて 首藤
5237 06/04/25 S.E.  ホルモン療法の副作用について(HPNo.4745-2) 首藤
5236-1
5236-2

5236-3
06/04/25
06/04/30
06/05/05
検査法について
検査法について(2)
センチネルリンパ節生検について
首藤
須田
須田
5235 06/04/25 Y.Y レトロゾールの適応基準について 首藤
5234 06/04/25 I  局所的非対称性陰影という診断結果について 首藤
5233 06/04/25 M.I.  乳頭腺管癌 首藤
5232-1
5232-2
06/04/24
06/04/27
y y 線維腺腫について
線維腺腫について(2)
首藤
須田
5231 06/04/24 JM のう胞について 首藤
5230 06/04/24 TI  細胞診について 首藤
5229 06/04/24 K.Y 石灰化について 首藤
5228 06/04/24 A.Y.  病理結果及びホルモン治療について 首藤
5227 06/04/24 K.T.  乳がんからの骨・肝転移 首藤
5226 06/04/20 C  乳輪のしこり 首藤
5225 06/04/20 S  母の状態について 首藤
5224 06/04/20 Y.T. マンモグラフィに写る白いもの 首藤
5223 06/04/20 Y  異常がみられなかった石灰化の経過観察について 首藤
5222 06/04/20 Y.Y ホルモン療法について 首藤
5221 06/04/20 H.M 前壁心筋虚血って何?(HPNo.4265-4) 首藤
5220 06/04/20 U.I.  乳房に出来た豆粒大のしこりについて 首藤
5219 06/04/19 t 今後の治療について(2)(HPNo.5182-2) 首藤
5218 06/04/19 E.D. 線維腺腫について 首藤
5217 06/04/19 N.N. 左脇下の痛みについて(2)(HPNo.5199-2) 首藤
5216 06/04/19 H.Y.  大腿骨転移について 首藤
5215 06/04/19 S  乳腺の拡張 首藤
5214 06/04/19 S.M ゾラデックス終了後の治療について(HPNo.5196-2)  鈴木
5213 06/04/18 K   化膿した乳腺症からくる腕の痛み 首藤
5212 06/04/18 S.A. 抗がん剤治療について(HPNo.5127-3) 首藤
5211 06/04/18 T   放射線治療について 首藤
5210 06/04/18 Y.I.  術側の腕の痛みについて 首藤
5209 06/04/18 R.M 低エコー腫瘤について 首藤
5208 06/04/18 N.K タキソールとタキソテールの違いについて 鈴木
5207 06/04/18 K・T バジェット病でしょうか? 鈴木
5206 06/04/17 Y 微小性浸潤ガンについて(3)(HPNo.5016-6) 鈴木
5205 06/04/17 さくら 胸の痛みについて 鈴木
5204-1
5204-2

5204-3
5204-4
5204-5
06/04/17
06/05/07
06/06/12
06/09/21
08/12/25
病理検査と術後療法について
術後療法について
生検後のしこりについて
生検後のしこりについて(2)
アポクリン化生としこりの経過観察について
鈴木

西川
徳田
清水
5203 06/04/17 N  ゾラデックスの間隔について 鈴木
5202-1
5202-2

5202-3
5202-4
06/04/17
06/05/15
06/06/24
06/07/05
C.H. リンパ節転移とタキソール
がんの種類
術後補助療法について
タキソールの投与方法
鈴木
俵矢
吉田
石川
5201-1
5201-2

5201-3
5201-4
06/04/17
06/06/29
06/09/03
08/05/19
K  ハーセプチンについて
今後の治療について
今後の治療について(2)
今後の治療について(3)
鈴木
麻賀

片山

 

No.5300】 06年05月15日     K.S.
主人の胸のしこりについて

主人のことでご相談いたします。先日、乳首の上10センチくらいのところにピンポン玉より少し小さいくらいのしこりを発見しました。触ると勿論痛いのですが、階段の昇り降りでも痛んだりするそうです。なかなかお医者さんに言ってくれないので、心配で仕方がありません。主人は37歳です。ネットで調べたら男性の乳癌もあるとのことで、本当に心配です。男性の乳癌の症状と言うのはどのようなものなのでしょうか。他には全身アトピーです。

乳がんの症状としては「しこり」「血性乳頭分泌」「皮膚のひきつれ」などがあります。男性の場合の乳がんは高齢の方に多いのと、乳頭直下か、ごく近いところにできます。乳首から10センチ離れているとなると、男性の場合は乳がんということは考えにくいと思います。皮膚の腫瘤なのだと思うので、痛みがあるのなら皮膚科の先生などにまずご相談なさるとよいでしょう。(文責 俵矢)

 

No.5299-1】 06年05月15日     U
術後の療法について

46歳、浸潤、小葉がん・・・右乳房全摘 32x27mm、脈管侵略ly 有り v なし。画像ではリンパ節へのmetaは見つからず、センチネルを行いましたが、+ 第三領域まで郭清しましたところ、metaはセンチネルをいれて、2個。核異形、核分裂、核異形度ともに1。ER+PgR+ 抗ガン剤感受性試験 5−FU、- ADM,+ CPA ?% TXL 78% 優先順位 ADM,5−FU、CPA,TXL。ercep test -。今のところ遠隔転移は見つからず。主治医は、施設や医師によっては攻める治療をなさる方もいらしゃいますが、とりあえずホルモン療法でよいのでは・・・とのこと。閉経前のためゾラを使い、本来保険適応外なんですが、アリミデックスをとのこと。他の治療法のご希望があればおしゃってくださいとのことですが、なにぶんこちらは乳ガンについては素人です。他の希望と言われても・・・。先生はどう思われますか? 確証はありませんが、ガンはdactal ca.だったと思います。(術前はそう聞いていましたが、術後の病理ではっきりとそう聞いてはいません)。お忙しいところ申し訳ありません。

腫瘍径32ミリ、リンパ節転移2個、脈管侵襲ありとのことであれば、年齢もお若く、合併症がなければ化学療法(抗がん剤)を考慮すべきと考えます(化学療法終了後ホルモン療法を行ないます)。先生に「化学療法」はどうですかとお話になってみてください。(文責 俵矢)

 

No.5299-2】 06年05月21日     U
術後の療法について(2)

薬剤感受性テストから、どういうメニューをおすすめですか? 具体的に教えていただければ幸です。それから、小葉ガンとはどんなタイプのガンなんでしょうか? やはりホルモン療法だけだと、リスクが高いとお考えですか?

抗癌剤の薬剤感受性試験は「高度先進医療」として認定されている新しい技術で、一般臨床で広く行われているものではなく、ごく限られた医療施設でのみ行われている検査です。実際、どれだけ正確に抗癌剤の効果を予測できるかは現在も研究段階です。細菌に対する抗生物質の感受性試験ほど信頼性が高いものではなく、癌細胞に対しては「最も有効で適切な抗癌剤を選択する方法」というよりも、「比較的効果が低い抗癌剤を排除する方法」という程度で、患者個人向けの「オリジナル抗癌剤メニュー」を作れるほど信頼性が高いものではありません。乳癌の術後化学療法では、浸潤性小葉癌であっても浸潤性乳管癌と同じ抗癌剤メニューを使用します。一般的なメニューとしてはAC、EC、FEC、CAFなどアントラサイクリン系抗癌剤を中心として薬剤を組み合わせます。リンパ節転移陽性である場合は、これに加えてPTX、DTXなどのタキサン系抗癌剤を追加することもあります。脱毛が気になる場合はCMFというメニューを使用する場合もありますが、再発予防効果がやや低下する可能性があります。貴女の病理診断から考えると、「ホルモン療法だけ」という選択もないわけではありませんが、一般的には抗癌剤治療を併用する場合が多いと思います。抗癌剤を併用する場合も「再発予防効果」と「副作用などの治療による弊害」について、主治医から十分な説明を受けた上で治療を開始することをお勧めします。(文責 千島)

 

No.5298-1】 06年05月15日     A 
乳頭からの分泌物

30歳、既婚、出産妊娠歴なし、乳がんの家族歴なしです。症状は、「・左乳頭から黄色の分泌物 ・2回ほど血が混じっていました ・乳頭の痒み(たまに) ・生理前のような張りが続く」です。心配になり、今日乳腺外科に行きました。血性の分泌物が確認されました。潜血反応3+です。マンモをとりましたが、特別異常はないらしく、カテゴリTとのこと。また分泌物の細胞診をしましたが、結果は後日とのことです。エコーも後日するので来院することとなりました。来院した際に結果はわかるのでしょうが、結婚してまだ1ヶ月です。どうしても気になってしまいます。再度病院に行く前に相談したくメールさせていただきました。このような状態で乳がんの可能性はかなり高いのでしょうか?メールだけではわかりにくいかとは思いますが、どうぞよろしくお願い致します。

血性乳頭分泌の原因疾患は、乳がんのほか乳管内乳頭腫、乳腺症などが考えられます。報告によっていろいろですが、血性乳頭分泌の症例のうち乳がんが見つかる症例は約3割程度と思われます。必ずしも乳がんでというわけではなく、良性疾患のほうが頻度は多いと思います。結果を待って主治医の先生によくお話を伺ってください。(文責 俵矢)

 

No.5298-2】 06年06月15日     A 
更なる検査

以前相談させて頂いたものです(30歳、既婚、妊娠出産経験なし)。マンモグラフィー、エコー、造影剤MRI、腫瘍マーカー、細胞診、このような検査をしてきました。乳がんの要素となる所見は今のところないとのことです。しかし、片方の乳頭から、しかも一箇所から血性の分泌物が出るのがおかしいと言われ、今度、乳管造影をすることになりました。手術などで検査日程が組めないので、日程が決まり次第連絡すると言われたのですが、それから1ヶ月。未だに検査日が決まっていないようです。最近、分泌物が出る方の胸が痛みます。検査をしないと結果はわからないのでしょうが、やはり乳がんでしょうか。自分でネットで調べて見ましたが、乳がんでないとしたら、「乳管内乳頭腫」というものでしょうか。乳がんの可能性はどの位ですか? そして、乳管内乳頭腫だったら、どのような手術がされるのですか? 傷跡は、どのような感じでしょうか。お忙しい中申し訳ございませんが、よろしくお願い致します。

片側の乳頭から血性の分泌物が出ていることについての相談ですが、考えられる病気は、やはり「乳管内乳頭腫」と「乳癌」の2つが考えられると思います。それを見分けるための検査として細胞診、組織診などの病理検査が必要です。分泌物の細胞診で良性でもきちんと出血の原因である病巣を見つけて、その部分を生検(局所麻酔で小さく切開し病巣を摘出する診断法)しないとはっきりと区別がつかないことが多いです。切開は乳輪に沿って小さく切りますので、ケロイド体質の人でなければほとんど目立たない創です。「乳管内乳頭腫」は良性のポリープみたいな病気ですので摘出してしまえばその後は定期的な経過観察で良いと思います。万が一「乳癌」であっても乳管内だけに留まっているものも多く、生検後に再度周辺組織を切除する事になりますが、小さな範囲だけですので当然乳房温存はできますし乳房切除などにはならないと考えます。まずはきちんと検査を受けてみてください。「案ずるより産むが易し」です。(文責 川本)

 

No.5298-3】 06年07月05日     A 
乳管造影について

先日、相談させていただきましたものです。様々な検査をした結果、悪性の所見はなかったのですが、片方の一箇所から血清分泌物がでるので乳管造影検査をすることになっていました。こちらの相談室でも「考えられる病気は、乳管内乳頭腫又は乳がん」との回答を頂いておりました。先週、乳管造影検査がありました。最近、これまであった分泌物がほとんどありませんでした。そして検査当日もやはり分泌物が少なかったようで、乳管に針が入らず、検査中止となりました。結局、「3ヵ月後にエコーで診てみましょう」と言われました。乳管内乳頭腫と乳がんは、実際にその病変を取ってみないと悪性なのか良性なのか判断が難しいと聞きました。このまま3ヶ月も不安な気持ちで生活しなけらばいけないのでしょうか。先生がブツリと「う〜ん、やっぱりホルモンの影響を受けやすいだけなのかな〜」なんて言っていました。片側一箇所からの血清分泌(少量・目で見てもわからないくらい)でも乳腺症や乳管拡張症などの病気ということもあるのでしょうか。恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

片側、一箇所からの血清分泌でも乳腺症や乳管拡張症などの疾患ということはあります。担当の先生の「やっぱりホルモンの影響を受けやすいだけなのかな〜」という言葉は、それを疑わせます。乳管内乳頭腫や乳がんでは、分泌物はたえず続いており、なくなるということはまずありません。3ヵ月後にエコーで診ることで良いのではないでしょうか。(文責 石川)

 

No.5297】 06年05月15日     Y 
32歳、男性です

長崎の32歳の男です。3週間ほど前から左の乳房が痛く、気になっております。最初は思春期の頃の乳房の痛みと同じような感じでした。病院に行くなら、外科になるのでしょうか? よろしくお願い致します。

年齢なども考えると、おそらく「女性化乳房」であろうと思います。病院で診てもらうなら、「乳腺科」または「外科」になると思います。(文責 俵矢)

 

No.5296】 06年05月14日     K.K.
アロマシン後(HPNo.4994-2)

今年2月にご相談した者です(HPNo.4994)。その節はありがとうございました。再びお尋ねいたします。重複しますが、経緯を再掲します。
・2001年11月、右乳房部分切除、リンパ節郭清(転移9個)。ER=31/PgR=500/HER2=0。残存乳房放射線照射、化学療法(CMF6クール)、ホルモン療法(ゾラデックス、ノルバデックス)。
・2003年10月、左胸膜転移、胸水貯留→フェアストン+アリミデックス。(改善せず:2004年夏頃最悪:マーカーCEA=11/CA15-3=125)
・2004年7月、アリミデックス単剤に→症状その他改善。
・同11月、肝臓、胸骨に転移→症状ほとんどないため、アリミデックス継続。
・2005年6月、マーカー3.5/53から上昇に転じる。
・2006年1月、マーカー12.5/98→アロマシンに変更。
・同5月、マーカー15.8/130、胸部レントゲンにより胸水貯留確認(今回は右胸に0.5〜1?、まだ抜くほどではない)、肝・腎機能、貧血は正常。

自覚症状としては、4月頃より特に臥位時に息苦しさと動悸を覚え、寝つきが悪くなっているほか、首、のど、肩、右脇の痛みがあります(ロキソニンとマイスリー服用)。駅の階段を上るのがやや難儀ですが、昼間、タテになっている分にはほとんど支障ありません。今回、薬の変更も検討されましたが、マーカーの上昇率が若干緩やかになったため、もう1ヶ月アロマシンで様子を見たいとの私の希望をいれていただきました。来月、やはりアロマシンの効果がないことが明らかになった場合についてご質問します。
1) 主治医は「体力があるうちにタキソールを使って、落ち着いたらまたホルモン療法に戻る可能性もある」と言われましたが、抗がん剤を先延ばしにしたい私の意向を汲んで、「ヒスロン or レトロゾル→タキソール→ナベルビン→TS−1 or ゼローダ」というラインを提示されました。この方針はいかがでしょうか。
2) 胸腔穿刺のタイミングは?
3) 2年ほど前から、丸山ワクチン(継続中)、自律神経免疫療法(福田・安保理論によるハリ治療:継続中)、温熱療法(ハイパーサーミア:昨年いったん中止)を、それぞれ別の医師のもとで受けています。こうして悪化している以上、どれも効果がなかったものと考えるのが論理的でしょうか。
4) ロキソニンが効かなくなってきているように思います。次はどのような薬が考えられるでしょうか。

長文、申し訳ありません。よろしくお願いいたします。

1) 階段を上がるときに苦労するということと、臥位で息苦しさがあるという症状は胸水によるものではないかと思います。胸水があって、このような症状があれば、早めの効果が期待できる治療ということで、私も主治医の先生と同じように抗がん剤をまずお勧めするのではないかと思います。しかし、ご本人が抗がん剤を望まれないとなると、主治医の先生と同じような治療ラインをお示しすると思います。Kさんはまだアントラサイクリン系の抗がん剤(アドリアマイシン、ファルモルビシン)を含む治療はやっていないのであれば、抗がん剤としてはCAFやCEFなどアントラサイクリンを含む治療もラインに加えることができると考えます。
2) 胸水をぬく時期は、胸水による症状がかなりひどく、胸水を抜くことによって改善が期待できる場合です。ですので、胸水のたまっている量と、臨床上を参考にして決めます。胸水は一時的に抜いてもまたすぐたまるので、たまって症状が出ればまた抜くということになると思います。
3) 最初に胸水が貯留してから2年以上経過していて、最近悪化はみられるものの他に転移もでてきていないので、これまでの治療が奏功した結果だと思います。アリミデックスもアロマシンも臨床試験の結果、進行再発乳がんや、原発性乳がんの再発予防に効果ありという結果が出ています。しかしこの効果、アリミデックスやアロマシンなどの効果だとかんがえるべきでしょう。
4) ロキソニンなどの消炎鎮痛薬が効かなくなった場合は、消炎鎮痛薬に加えオピオイドの使用を検討することになります。

主治医の先生にお話してみてください。(文責 俵矢)

 

No.5295】 06年05月14日     K
今後の治療について(HPNo.5200-2)

先日は、早速回答いただき有難うございました。打った箇所は痛くなくなりましたが、左の肩甲骨下ぐらいのあばら骨付近がさわると痛かったり、痛くなかったりしています。主治医は触診後、「問題ないと思うけど」と言っていますが…。先日データをきちんと書きませんでしたが、36歳で、17年11月に左乳房温存手術(結果:腫瘍径1.7cm、断端−、ER・PGRとも+、HER2が3+)、通院の都合で転院、12月にセンチネルリンパ節生検(0/3)、1〜2月に25回の放射線治療後、年齢的に子供を持てるぎりぎりのチャンスと思い、悩んだ結果、ホルモン療法より期間が短く、副作用が軽いハーセプチン単独の治療を自費で選択しました。ただ、1月の生理終了以降、生理が来ず、婦人科を受診したところ、子宮内膜が薄い、触診・エコーで卵巣・子宮には出来物は見当たらないとのことで、子宮頸がん・子宮たいがんの検査も行おうとしたところ、器具が入らず、子宮頸がんの検査のみすることとし、現在結果待ちです。薬によって生理を戻すことは乳がん治療に影響を及ぼすとのことですが、どの位のリスクを負うことになるのでしょうか? また、子供はあきらめて標準治療のホルモン療法にした場合、術後半年位になりますが、問題はあるでしょうか? また、ハーセプチンと併用した方が良いのでしょうか? お答えいただければありがたいです。

あばら骨に関しては、いつも同じところが痛いということでないなら、骨転移の可能性は低いと考えます。経過をみていいのではないでしょうか。
現在のところの標準治療としては、ホルモン療法単独あるいは化学療法後にホルモン療法だと思います。ただしHer2過剰発現がある乳がんに対してはハーセプチン治療を術後補助療法として投与する臨床試験が進行しています。現在のところ、よい結果が得られています。この臨床試験はいずれも化学療法との併用を前提として組まれており、術後補助療法としてのハーセプチン単独治療あるいはホルモン療法との併用に関してはまとまったデータがない状態で、どのように使用するのがよいかはまだ結論が出ていません。標準の術後ホルモン療法は、LH-RHアナログ(リュープリンやゾラデックス)2年+タモキシフェン(ノルバデックスやタスオミン)5年内服です。LH-RHアナログを2年間やった後に月経が再開する確率は大雑把に言って8割くらいです。月経が戻って、さらにホルモン療法の後、どのくらいの確率で妊娠できるかに関してのデータはないのが現状です。
補助療法をおこなわず早めに妊娠してしまうという方法が、「妊娠」だけから言えばもっとも確実な方法になりますが、特にホルモンレセプター陽性なので、どの程度と推し量ることは難しいですが、病気には悪影響を与えると思います。「術後補助療法をやって、そのあと妊娠にトライするが妊娠しなかったら仕方ない」くらいに、もし考えられるのであれば、2年間は補助療法(化学療法の併用も考慮)を行い、その後に妊娠を考えることもあなたの年齢ならば可能だと思います。「出産」と「病気」とをどうとらえるか、あなたとあなたのパートナーの考え方がもっとも重要になってきます。そのあたりをよくお考えになって、主治医ともよく相談して治療をお考えください。(文責 俵矢)

 

No.5294】 06年05月14日     F 
乳がんの宣告

55才、出産経験ありの主婦です。集団がん検診で異常があり、すぐに病院へ行きマンモグラフィー検査を受けました。左胸に石灰化が発見されました。その後マンモトーム生検を受けたらば悪性であると言われ、0期で3ヶ月以内に手術を勧められました。転移を防ぐためにも手術は必要であると言われましたが、正直言って不安があります。もし手術をしたら、どのような方法で行われるのでしょうか。手術することによって、他への転移はあるのでしょうか。ビワの温灸等の民間療法をやり、少し様子を見ていこうと思うのですが、手術せずにそのまま放置したら、どうなってしまうのでしょうか。手術以外の治療法はあるのでしょうか。よろしくお願いいたします。

0期は「非浸潤がん」といわれるごく早期のがんのことです。非浸潤がんに対しては手術を中心にした治療を行います。治療成績もよく、術後10年の生存率は98%程度と報告されております。民間療法などを行って手術の時期を逸すると、大きくなったり、深くなったり(浸潤がんになる)する可能性がありますので、主治医の先生が言われるように手術をなさってください。手術を行う場合は、病変の拡がりによって、全摘が必要な場合、温存療法が可能な場合があります。主治医にお聞きになってくださいね。(文責 俵矢)

 

No.5293】 06年05月11日    Y 
乳癌の手術のタイミングについて

2005年11月 自己発見時4.5cm、12月よりCE4クール(1クール目は2cmまで縮小、その後はききめなく、4クール目には4cmにもどる)。タキソール1クール目に縮小し、3cm位になる。現在タキソール2クール終了。少し違和感があるのでエコーで確認してもらったところ、癌の皮膚に近い側半分が炎症を起こして出血している模様 (癌が崩れていっているとのこと)。大きさは3.5cm位で、小さくなっていない。主治医の意見としては、「切り取る幅は、残り2クールやっても変わらないと思われるので、ここで手術をして、タキソールがきいているようであれば術後2クールしてもよいのでは・・・」とのこと。私としては、あと2クール続けて投与すれば、残りも崩れていかないかとも思います。今までにこのような症例はありませんでしたか?やはり切って取ったほうがすっきりして良いでしょうか?よろしくお願いいたします。

術前化学療法を行っているのですね。通常、病変の増悪(大きくなったり増えたり)がなければ化学療法を予定した分をすべて終了してから手術を行います。しかし、病変が一定以上増悪する場合は途中で中止して手術をすることもあります。文面だけから判断するのは困難ですが、もし「がん」が皮膚を侵して潰瘍化して出血しているとなると、手術でとってしまうほうがいいかもしれません。主治医とよくお話になってください。(文責 俵矢)

 

No.5292】 06年05月11日    T 
術後補助療法について

41歳、2児あり(2児とも高齢出産)、閉経前です。四月初旬に右乳房とリンパ節をとり、補助療法をそろそろ開始予定です。腫瘍サイズ1.7センチ(乳頭腺管癌のみのサイズ、粘液性癌もあり)、核異型度2、組織学的悪性度1、ER(3+)、PR(3+)、HER2(0)、リンパ節転移16コ中2コ。「FECを三週毎4回、タキサン系毎週12回」の後、ホルモン療法を注射+薬で5年の予定です。治療方針として、これが標準的なんでしょうか?

Tさんの病状からすると標準的な治療だと思います。よっぽど重大な持病があるなどでない限りはこの治療でよいと私も考えます。治療が終わるまで、長期戦ですが頑張ってください。(文責 俵矢)

 

No.5291】 06年05月11日    D 
再発癌

15年経過してからの乳がんの再発で、すでに肺と胸膜と骨盤に転移があります。今からでも使用可能な抗がん剤はありますか? 今の状態だと余命3ヶ月と言われました。もうやれる治療法はないのですか? 母には時間がありません。早めのお返事をよろしくお願いします。

再発乳がんに効果のある薬剤はいくつもあります。お母様のご病状と体力を考慮して治療を選ぶことになります。文面から察すると主治医に「もうやれる治療はない」と言われたということなのでしょうか? いま一度主治医の先生とよくお話になって、納得いかなければセカンドオピニオンとして他の先生のご意見もきかれるとよいでしょう。(文責 俵矢)

 

No.5290】 06年05月11日    Lucy
検査方法や、その後の診断について

先日乳房検診で右2cm弱、左1cm弱の2つのしこりが見つかりました。エコー検査で見つかりましたが、マンモグラフィーではみつからないとの診断でした。柔らかいしこりとの事で、自分でも、医師の先生も、触診だけではわかりにくく、その点から見てどちらかといえば良性の可能性が高いとのご説明を頂きました。しかし、右のしこりはサイズも気になる大きさではあるし、実際にしこりは存在する訳なのでと、細胞診を受ける事になりました。まだ良性か悪性かもわからないのですが、検査や、その結果を待つ間、色々なことが頭をよぎってしまって、不安になることがあります。先生からは、「細胞診だけでは悪性、良性の判断は100%下せるわけではないですし、経過を見る間の不安を軽減する為には取ってしまう方法が最も安心できるのでは?」とのアドバイスを頂きました。しかし、しこりを摘出するとそれなりに手術後の傷が残るリスクがあると思いますし、どちらにしても痛みを伴うことになります。傷を残さず、より精度の高い検査を行う、もしくはしこりを摘出する為にはどの様な方法があるのでしょうか? また細胞診で良性という結果が出て経過観察となったが、万が一その後の経過が思わしくない場合は、どの様にして途中で悪性である事を発見するのでしょうか? 見落とす事はないのでしょうか? また、検査を待つ間にもなにか異常が進んでしまうのではと、少し心配です。最初にしこりが見つかった後すぐに病院に行けなかった事もあり、(最初に見つかってから)細胞診の結果がでるまで1.5ヶ月程かかってしまいそうなのですが、問題ないでしょうか?

適切に画像検査と細胞診を行って良性とのことであれば、かなりの精度で正しい診断にたどり着くことができます。画像検査でも、細胞の検査でも「良性」と考えられた場合は、ほぼ良性と考えられます。しかし針を刺す検査では、針先の当たり具合や病変の性質によっては診断を誤ってしまう可能性がゼロにはなりません。そこで通常そのような場合は経過観察をすることになります。経過観察をして病変の大きさが大きくなったり、形が変わったりしたら、また針の検査など精密検査を進めるという段取りになります。もし画像検査で「がん」が疑われるにもかかわらず、細胞の検査で「良性」との結果であった場合は、経過観察をせずにさらに検査を進めます。その場合細胞診の次の病理検査としては「針生検」や「切除生検」をすすめます。針生検がいいか切除生検がいいかは、病変の性質などによって選択します。主治医の先生に細胞診で良性といわれてもなお心配が残るようでしたら、このような方法を主治医の先生と御相談なさってください。みつかってから検査までの時間については、もちろん一概にはいえませんが通常1―2ヶ月の時間は問題にならないと思います。(文責 俵矢)

 

No.5289】 06年05月11日    YO
浸潤性小葉癌の術後治療について

妻の乳ガンのことで質問します。妻は、今年4月浸潤性小葉癌と診察され、右乳房の胸筋温存乳房切除を受けました。センチネルリンパ節生検を受け、リンパに癌が届いていないと言うことで、腋窩リンパ節郭清なしでした。手術時のステージはUA (T2,N0,M0)でした。病理検査後の治療方法について、「7割3割で抗ガン剤(AC療法)プラスホルモン療法(アリミデックス)を推奨します」と担当医から言われました。妻は、抗ガン剤の副作用に対してかなりの抵抗があり、できれば使用してもあまり副作用の伴わない療法を希望しています。以下に病理の結果及びリスク分類を書きますので、抗ガン剤AC療法が必要なのかどうか、ご意見を伺いたいのですが。さらに下記のように、浸潤性小葉癌ゆえの不明確性が@BFとでていますが、そんなに分かりにくいものなのでしょうか。
@腫瘍の大きさ 痼りでないのであえて集めたとして大きさをはかると5p。 Aリンパ節転移個数0個 B腫瘍の悪性度 小葉癌の性質上評価出来ず。 CER(エストロゲン受容体)陽性。 DPgR(プロゲステロン受容体) 陰性 EHER2 陰性 F脈管の侵襲 評価出来ず

リスクファクターが、腫瘍の大きさが2pを超えると言うことでリスク分類は「中リスクの下」(低リスクとの境界)と分類されました。ホルモン反応性あり、しかし不明確のところもありで術後療法選択基準により化学療法とホルモン療法となりました。なお、妻の年齢50歳、閉経状況は現在なし(数年生理不順のためホルモンを補充していたが、最近中止してから生理が止まっている)。以上、よろしくお願い致します。

浸潤性小葉癌は通常の乳管癌と比べ、その性質上病理学的に評価困難なことがらがあると思われます。主治医の先生が仰るとおり、小葉癌であることや、ER(+),PgR(−)などの条件より抗癌剤使用(AC療法など)に引き続きホルモン治療(アリミデックスなど)が推奨されると思いますが、あくまでこれは絶対的なものではなく、ご自身の希望も踏まえ決定してゆくことだと思います。AC療法施行により再発率を10〜30%程度引き下げられる可能性がありますが、それらを踏まえ奥様とよく話しあって決定してください。(文責 谷)

 

No.5288】 06年05月11日     M
ハーセプチン

乳癌患者です。抗がん剤・手術・放射線治療後、ハーセプチン治療を勧められていますが、余りにも高額なので苦慮しています。再発であれば保険が効くそうですが、ハーセプチンを受けた方が良いかどうか判断つきかねていますので、どうしたらよいのかアドバイスください。
1)都内で、再発でなく予防でハーセプチン処方にも保険でできる病院があると聞きました。どちらか何かご存知ないでしょうか?
2)再発してからハーセプチンを使用したのでも生存率に変化は無いでしょうか?  

現在ハーセプチンは再発時のみ保険で認められており、予防投与は保険では認められておりません。よってどの施設でも予防投与の際には原則的に自費となってしまいますが、たとえば研究(治験)目的として負担の一部を助成することなどはあるかもしれません。ハーセプチンの再発後投与に関してはもちろんのこと、予防投与に関しても有効性の報告がいくつかありますが、予防投与と再発後の投与との比較試験はなく、生存率の比較はできません。(文責 谷)

 

No.5287】 06年05月11日     T.N.  
術後治療について

62才。'05-9末に摘出手術。センチネルリンパ節生検陰性、stage1、13×12×7mm、プロゲステロン受容体マイナス、増殖因子score0、放射線16回計40グレイ受けました。エストロゲン受容体プラスです。ノルバデックスかアリミデックスを勧められましたが、5ヶ月余り決めかねて無治療です。初めは、効果に疑問があること、自分の性格・生活態度から何もしない選択をしましたが、医師自身の「不安材料」と言われて、気持ちが揺れています。またネットでclodronateと言う薬を読み、私のケースではどうなのか知りたいのですが・・・。アドヴァイス頂ければ幸いです。

現在術後の治療方針を決定する際の中心となっている‘ザンクトガレン2005会議‘に照らしあわせますと、エストロゲン受容体(+)、プロゲステロン受容体(−)ということや、他の条件など、さらに脈管侵襲(−)、HER2過剰発現(−)であれば、1)ノルバデックス使用、2)アリミデックス使用、3)無治療のいずれかからの選択ということになります。また脈管侵襲またはHER2過剰発現のいずれかが(+)であれば、抗癌剤使用を先行させることを推奨しております。また、clodronateは乳癌の骨転移の際などに使用されることが多いですが、現在の貴女への使用は、不適格と思います。(文責 谷)

 

No.5286】 06年05月11日     T.A.
子宮体がんになりました

はじめて相談いたします。宜しくお願いいたします。乳がんの術後放射線療法を終えホルモン療法中ですが、ゾラデックスとノルバテックス1年目で子宮体がんになりました。30代後半ですが、まだ独身で結婚も子供もあきらめたわけではないので、子宮の摘出に抵抗があります。「命のほうが大事」だということはわかっていますが、摘出しないで治療する方法はないでしょうか?

乳癌術後1年目で今度は子宮体癌の診断をうけたとのこと、さぞかし心配でおられることとお察し申し上げます。挙児希望あり、子宮摘出に抵抗があることは充分にうなずけます。しかし子宮体癌の詳細な部位、進行程度にも影響されると思いますが、一般的には子宮摘出は免れないと思います。婦人科の主治医の先生とよくご相談ください。(文責 谷)

 

No.5285】 06年05月11日     K.A. 
ブースト照射について

ラジオ波で腫瘍を焼いた後の放射腺療法についての質問です。全体照射を50グレイ行った後、ブースト照射をすすめられています。そこの病院では若めの人(私は37歳です)には勧めているとのことですが、したほうが良いか迷っています。ブースト照射自体は効果が認められているのでしょうか。また、副作用などはないのでしょうか。

乳癌に対しラジオ波で焼灼する方法は、最近注目されている治療法のひとつです。ラジオ波使用の後、放射線照射施行するようですが、若年者にさらにブースト照射をすることの効果があるか否か、またその副作用については、この治療法自体歴史がまだほとんどないゆえ、なんともいえないのが現状だと思います。ぜひ主治医の先生によくお聞きになってください。(文責 谷)

 

No.5284】 06年05月09日     M.H.
再々発後の抗ガン剤使用について

8年前にVbで片側乳房の全摘出をし、放射線治療を行いました。3年後に鎖骨上部への転移(手術で摘出後また放射線治療)、また3年後にろく膜への転移疑い、そのまま現在までホルモン療法をしてきました。今年1月胸膜・ろく膜に複数の転移が見られ、別のホルモン剤を内服しましたが、効果がみられないので、今回抗ガン剤をすすめられました。種類はタキソールかタキソテールでとりあえず始めて、ハーセプチンが使えれば、後から併用するという説明だったと思います。その中の説明で、再々発の治療のため、今後抗ガン剤は休みなく使い続けると言われました。何クールで終わりということではないので、脱毛もずっと続き、もう髪は生えてこないでしょうとのことです。

1) ハーセプチンは後から使っても良いものなのでしょうか? 最初に単独で使ったり出来ないのでしょうか?
2) 抗ガン剤は休みなく使い続けなければならないのでしょうか? ガン細胞の縮小等が見られれば、しばらく様子を見るという風にはならないのでしょうか?
3) 再々発の治療に抗ガン剤を使い始めたら、髪が生えるのを期待してはいけないのでしょうか。

通常タキソールなどは12週間投与するようですので、その後はしばらく抗ガン剤治療をお休みして経過観察し、その間に髪も生えてくると思っていたので、医師の説明にショックを受けました。その方法しかないならば、受け入れなければなりませんが、いかがでしょうか。よろしくお願いします。

1) 8年前の手術以降いくどとなく再発と戦ってこられ、さぞかし大変であったこととお察し申し上げます。タキソールとハーセプチンは相性がよいことが知られており、同時投与がしばしば用いられます。しかし、それぞれ重篤な副作用の可能性が少なからず存在しており、まずタキソールを投与し、様子を見てからハーセプチンを追加するといった方法がよくとられます。単独でハーセプチン使用することも選択肢の一つであると思いますが、現在の症状に対しできれば前述のごとく二剤を併用したいという主治医の先生のお考えなのだと思います。
2) 術後の補助療法としてのタキソール(毎週投与)の使用の際には、仰るとおり12回投与が一般的ですが、再発治療としての化学療法の使用法については、その効果を見ながら投与回数を決定してゆくので、効果が見られればむしろ延々と施行してゆく可能性もあると思います。その背景には、治療によって一度かなりよくなったように見えても、後にすぐ悪化してくるケースもあり、効果があるのであればそれを最大限に利用したいという考えがあるからです。
3) 医療者として非常につらいご質問ですが、前述のごとくタキソールを続けて使用してゆくのであれば、髪が生えることは期待できないと思います。(文責 谷)

 

No.5283】 06年05月09日     K 
妊娠について

約半年前に右乳房にしこりがみつかり、3月になって病院に行ったところ、細胞診の検査をし、乳がんであると診察されました。今現在約3.2cmの大きさとのことで、温存療法を行う予定で、術前に化学療法をする予定です。ただ、今35歳で独身ですが、将来結婚して子供も生みたいと思っています。化学療法を受けても妊娠することは可能でしょうか。CMFとCAFでは妊娠の可能性と再発の可能性等、かなり違うのでしょうか。子供が好きなので、産めなくなるのがとても不安です。

術前化学療法により閉経(化学閉経)となってしまう可能性はあります。CMF療法やCAF療法などで術後療法として標準的である6クール施行すると、30〜70%程度の閉経の可能性があるとされております。まだ35歳と若くていらっしゃるので、それよりやや頻度は低いかもしれませんが、強い挙児希望があるのであれば、術前化学療法自体を検討する必要があると思われます。ただしLH-RHアナログ(ゾラデックス、リュープリンなど)で卵巣を保護しつつ化学療法施行すると、閉経になる頻度が下がるという報告があり、この方法も含め、主治医の先生とよくご相談なさってください。(文責 谷)

 

No.5282-1】 06年05月09日     Y 
手術方法について

平成18年3月下旬、CNBで左乳がんの診断を受けました。石灰化が乳管に沿ってあり、画像的には非浸潤ガンでよいとのことですが、最終判定は病理結果をみないと分からないとのことでした。がんの広がりは7mm×2cmでした。心配で最近ネットを調べたところ、「非浸潤がんでも乳管のなかを広がっている場合は全摘の対象になる」とありました。先生からは、乳房円状部分切除+センチネルリンパ節生検で1cm余裕をもって切除し、断端陽性の場合はさらに切除していくとのお話でしたが、取りきれるのか不安です。術後は放射線照射を予定しています。最初から全摘にしてもらったほうがよいのか、今迷っています。5月9日手術予定です。 

この回答をお読みになるころには手術が終わっておられることと思いますが、非浸潤がんの際の術式の決定はとても困難と思われ、しばしばわれわれも迷います。乳房温存術後に必ず放射線施行するべきであるというのは、少しの乳管内への癌の残存であれば十分に放射線でコントロールできるという事実に基づいており、実際に取りきれたように見えても細胞レベルでの取り残しの可能性はいくらか残ると思われます。一般に温存術では放射線施行しても5〜10%程度の局所再発率は存在しており、より確実な局所コントロールという観点に立てば全摘が必要ということになりますが、5〜10%程度という再発率と乳房を残すという大きなメリットとの比較で術式を選択するということになると思います。(文責 谷)

 

No.5282-2】 06年06月21日     Y 
手術後のホルモン療法

HPNo.5282でお世話になりました。非浸潤ガンの診断を受け、当初温存の予定で手術を受けましたが、断端陽性で、しかもコメドタイプとのことで、約3週間後に乳房切除を受け、先週退院してきました。病理結果はおとなしいガンで、殆ど浸潤はなく乳管にとどまっています。リンパ節にも転移していません。グレード1です。「来週までにホルモン治療を受けるかどうかを決めてきて下さい。数パーセント生存率があがりますが、数字的には、そう大きくはありませんが・・・」というお話でした。確か50歳代が一番ホルモン治療により子宮ガンになりやすいと、どこかで読みましたので、現在52歳でありますのでメリットとデメリットを考えると迷っています。私のようなガンでも対側にガンが発生する確率は高いのでしょうか?お忙しい中すみませんが、ご回答よろしくお願いいたします。

ホルモン療法はあなたが閉経後であれば、現在ではアロマターゼ阻害剤(アリミデックス、アロマシン、フェマーラなど)を使用することになると思います。この場合、子宮癌になり易いということはありません。閉経前であればタモシキフェンということになります。確かにタモキシフェンを長年服用する場合、子宮癌リスクも考えなければなりません。しかし、あなたの年齢では2年位でアロマターゼ阻害剤に変更することが多いと思いますので、子宮ガンのことは気にしなくても良いでしょう。対側乳癌の発症は、一般の乳癌の発症に比べ2倍位とされております。あなたの乳癌がホルモン感受性のある乳癌であれば、ホルモン療法を行ったほうが良いと思います。(文責 吉田)

 

No.5282-3】 06年11月12日     Y 
タモキシフェンの服用について

HPNo.5282でお世話になりました。非浸潤ガンを全摘後、アドバイスのようにホルモン療法を開始いたしました。3年間の予定で、途中でノルバデックスから次のホルモン剤に変更になります。初めは何ともなかったのですが、服用して4ヶ月程過ぎた頃から貧血のようにクラっとして身体がとてもだるく、倦怠感を覚え、横にならないといられなくなりました。(次の検診が1月の為相談が出来ないので)勝手ですが、1日1錠にしてしまいました。これでいいでしょうか? こうして20日過ぎましたが、今は特別気になることはなく、落ち着いています。ここで教えていただきたいのですが、落ち着いたら又2錠に戻さないとなりませんか。1錠では効果がないのでしょうか。服用法として、体調が悪くなったら減らし、落ち着いたら2錠に戻す方法では駄目ですか。ローリスクで長期間なので、体調が悪くなるとめげそうになります。よろしくお願いいたします。

ノルバデックスは一般的には一日20mgで40mgまで増量可能と言われています。お飲みの錠剤が一錠10mgと20mgがありますので、どちらかによります。1日量が10mgというのであれば、効果は期待できない可能性があります。だるさが更年期様症状という副作用であれば、ある程度飲んでいれば慣れる事もあります。採血で肝機能はチェックしているのでしょうか。肝障害は中止あるいは休薬しないといけません。 (文責 石山)

 

No.5281】 06年05月09日     N・K
抗がん剤の投与順序、回数について

昨年12月に41歳で左乳房全摘手術を受けました。病理結果はT2(2センチ1個、1センチ1個、石灰化有り)、N1(23個中4個転移有り)、M0でホルモン感受性ER,、PRともに陽性でした。術後補助療法で、タキソール4クール後アドリアシン、エンドキサン併用を6クール行う予定です。現在タキソール4クール終えたところで、主治医から「タキソールをあと2クールやってからACにいったほうがいい」と言われました。投与期間が長いのではと思い、インターネットで抗がん剤について調べたところ、タキソールの後にアドリアシンを投与すると骨髄抑制、心毒性が増強する恐れがあるとの記述がありました。また回数もT、ACともに4クールが標準回数のようです。このまま予定通り抗がん剤を投与するのは副作用等とても不安です。予定している薬、回数は行わない方がいいのでしょうか? また、それに替わる療法(薬、回数)は他にどのようなものがありますか?先生のお考えをお聞かせ下さい。

術後補助療法としてタキソールを先行させ、その後AC施行の予定とのことですが、タキソールは毎週投与でなく、3週1回投与の方法なのでしょうか?だとすると一般的には4クールまでの施行が多いように思いますが、4クール施行の後にさらに2クール追加と仰っておられるところをみると、施行し終えてみてさらに追加したい理由があると思われますので、主治医の先生によく質問してみてください。また、タキソールとアドリアシンを同時投与する際には、タキソールを先行させるとアドリアシンの心毒性が出やすいのでアドリアシン先行が好ましいとする旨はお聞きしますが、順次投与の際にアドリアシン先行がよいのか否かは私にはわかりません。しかし、一般的にはAC療法を先行させ、その後タキソール施行という順次投与がよく行われており、当院でも原則的にそのように施行しております。ぜひその点についても、主治医の先生のご意見をよくお聞きになってください。何より納得されて治療をお受けになられることが最重要です。(文責 谷)

 

No.5280-1】 06年05月09日     H
肺転移について

骨転移ありで、手術はしていません。左胸治療中です。2004年8月に退院以来、3ヶ月〜6ヶ月の間隔でCT検査をしています。胸の腫瘍に関しては、増大したり縮小したりを繰り返しています。昨年6月から7月に放射線を30回かけました。その後8月下旬に胸部CTをとりました。その時のCTと今回4月27日に撮ったものを比較しての結果の中で、『左肺下葉S9の胸膜直下に直径3ミリ大の結節は変化なし』『右肺下葉S8の胸膜直下に直径5ミリ大の結節は変化なし』というものが見えてしまいました。医師からはずっと、肝臓、肺は大丈夫です、としか聞かされていなかったので、戸惑っています。結節とはなんなのでしょうか。転移ですか?昨年8月の撮影の分から映っているということは、もうすぐ1年近くになるわけですが、薬も全く変更していません。大丈夫なのでしょうか?(マーカーは基準値内です)

胸部CTにて小結節がみられていますが、メールの内容から推測するに、主治医の先生は良性の結節と判断されているように思います。ただ100%転移を否定することはできませんので、定期的にCTを施行し、大きさに変化がないことで更に裏づけを行っておられるのだと思います。(文責 谷)

 

No.5280-2】 06年05月14日     H
これからの治療

先日、肺転移のことでお伺いしました。続けてで申し訳ございません。原発は左胸です。昨年放射線をかけて以来、しばらくは服用しているゼローダとともに効果があり、腫瘍は縮小していましたが、また大きくなっています。現在乳腺科の主治医と放射線科の主治医のお二人に診察をして頂いています。放射線科の先生は、入院からずっと見て頂いている先生で、乳腺科の先生は5月から新しく代わった先生です。どちらもベテラン医師で信頼していますが、次の治療で意見が違い、迷っています。乳腺科の先生は「優しい治療から始めましょうか」ということで、ホルモン剤はどうかと言われています(ホルモンは効くタイプです)。放射線科の先生は、「ナベルビンがいいと思うな」といわれています。自分としては、もちろん腫瘍の縮小が一番の希望ですが、あとは、最近ようやくカツラを取りました。仕事もしている関係で、できれば脱毛のないものがいい、ということです。ハーセプチンは心機能低下の為、現在休薬していますが、徐々に回復しているようですので、心機能が戻ったらハーセプチンはやる予定です。腫瘍は皮膚を破って出ている状態なので、自分でもはっきり腫瘍増大を確認できます。大きさもあるので、ホルモン剤のような緩やかなもので果たしてよいものか?という不安があるのです。が、「先にメインのものを使ってしまうとあとがなくなるから」ともよく言われるため、それもそうだし・・・と、自分では決断がつかないでいます。その他の症状としては、骨転移(はっきりしているのは4箇所、痛みがあるのは胸椎とお尻の骨、その他うっすら映るものは多数)、先日ご相談した肺の結節3ミリと5ミリ(ご回答頂いた通り、主治医はあの位は心配していない、定期的に経過観察していれば大丈夫。あなたは今、心配する場所が違いますよ、今は胸の腫瘍の治療に集中しましょうと言われました。)、右胸に結節あり(←しばらく変化なし)と言う状況です。アドバイスを頂けたらと思います。宜しくお願い致します。(その他アレディアとリュープリン使用)

現在は、原発(乳房)の腫瘤が皮膚に浸潤し、確実に転移のある場所は骨のみですね。Her(3+)で、ホルモン感受性もあるということですね。肺の転移が?ということですが、仮に肺転移があるのだとしても、早急に生命の危険を脅かす状態ではないようです。 HER2陽性で、 ホルモン感受性もある乳がんの患者さんに対してハーセプチン、化学療法、ホルモン療法をどのように使っていくのが一番よいかに関しては、一定の結論は得られておらず検討がすすめられているところです。Hさんの場合、薬物治療としては、ハーセプチン単独、抗がん剤とハーセプチンの併用、ホルモン療法単独、ホルモンとハーセプチンの併用などが選択肢にあがってくると思われます。奏功率が最も高いと思われるのはハーセプチンと抗がん剤の併用(第一選択はタキサンですがナベルビンもよいと思います)だと思います。Hさんは「カツラ」がとれたということは、タキサンは以前行ったことがあるのでしょう。Hさんの病状は現在早急に生命に危険を及ぼすような状況ではないので、現在心機能が悪いこと、脱毛が気になるということを考えあわせ、主治医はホルモン療法をすすめられたのだと思います。胸の腫瘍に関して根治的な意味はないですが、皮膚潰瘍などのコントロール目的で切除も検討してもよいかもしれません(大きさや皮膚浸潤のていどによりますが)。Hさんの体力と心機能、そして脱毛の問題をどう考えるかをもう一度整理なさって、主治医とよく相談されてください。(文責 俵矢)

 

No.5280-3】 06年11月01日     H
骨髄抑制に伴う抗癌剤の投与量について

宜しくお願い致します。5月9日に「今後の治療」についてご相談させて頂きましたHです。今回はナベルビンの量、効果についてご相談させて頂きたく思います。
その後、錠剤の抗癌剤を試しましたが、さほど効果もなく、9月からナベルビン(+ハーセプチン)を始めました。現在投与5回目終了です。腫瘍自体への効果はまぁまぁで、マーカーも下がりつつありますが、白血球低下がひどく、全く予定通りに投与できないことに悩まされています。今までは38ミリグラムで投与。一度白血球が1500になった時は、ノイアップ注をして、その際は減量して32ミリグラムでやりました。しかし相変わらず低いことが多く、一時は500まで下がりました。主治医も「ちょっと量を減らさなければいけないですね」と言われ、「白血球が戻ったら20ミリグラムでやりましょう」と、かなりの減量を提案されました。20ミリグラムだと、毎週やったとしても月80ミリグラムで、通常38ミリグラムの約2回分にしかなりませんが、そうなると効果はぐんと下がってしまうのではないかと心配しております。
主治医には「ナベルビンでここまで下がる人はめずらしい」と言われました。私はできるだけ予定通りにやりたいのですが、予定通りやるためには減量するしか方法はないのでしょうか。主治医は「白血球を上げる注射を何度も使用するのは、あまりすすめない」と言っています。また、私は身長がかなりあるのですが(体重は48)、薬の減量はどういった基準で決めるのでしょうか。

薬剤の量が多いほど効果が高いと考えられますが、逆に副作用も大きくなってしまうのが原則です。そこで最大限の効果、最小限の副作用を目標として、適量を決めたいのですが、なかなかむ難しいのが現状です。
予定の薬剤量を施行するためには減量するしか方法はないと思います。投与薬剤量は身長と体重から算出した体表面積で決めますが、薬剤の減量を決める基準はないように思います。今までの治療歴(化学療法歴)、個人の感受性、全身状態など、いろいろなことを考慮して決めていると思います。(文責 石川)

 

No.5280-4】 06年12月12日     H
心臓エコーについて

宜しくお願い致します。(HP No5280-2)でご相談させて頂いたように、ハーセプチンの心臓への影響を確認するため、何ヶ月かに1回、心エコーをお願いしています。前回7月の時はBNG65%、今回12月は63%との結果でした。問題は、私は皮膚に腫瘍が浸潤しているため、腫瘍が胸に出ている?状態なので、エコーを正しく当てることができません。腫瘍にあたらないようにギリギリのところではかっています。大学病院ですので、検査をして下さる方も毎回異なり、今回にいたっては、検査結果に「見づらい」「推測で」と、書かれていたそうです。主治医は「信用するしかないわね」と言いますが・・・。
腫瘍が邪魔をしているため、こればかりは物理的に仕方がないとは思うのですが、なんとかもう少し「正しい数値に近い」検査をする方法はないものでしょうか?「推測で」なんて書かれてしまうと、63%という数値もはたして正しいのかどうかわかりません。大変不安になってしまいます。また、検査技師さんが、とてもお若い方でした。途中で、なぜか別の人と交代したのですが、交代で来た方もお若い方でした。もちろん見た目で判断してはいけないとは思うのですが、こういうのって経験は関係ありませんか?例えばベテランのドクターや、ベテランの技師さんに(経験豊富な方に)お願いしてみると、また違ったりする、ということはないでしょうか。あと、63%という数値自体は、点滴の続行は可能でしょうか?

心臓の働きを正確に評価するためには、心臓カテーテルを使って心臓からの一回の拍出量を測ることが良いのですが、ご存知のとおり心臓カテーテルの検査は大変な検査です。そこでこれに代わる簡便な方法としてでてきたのが心エコーで、動いている心臓の断面を画像に捉えて心臓が収縮したときと拡張したときの面積の比を測定して心臓の働きを評価する方法です。ですから、もともと比較的大雑把な検査なので、現在の状況でも測定可能だと思います。測定はほとんど機械が自動的に行うので、技師の経験年数に大きく影響を受ける検査ではないと思います。63%であればハーセプチンは十分可能だと思います。検査の値もさることながら、心臓の働きは動悸や息切れといった症状にすぐに現れますから、ご自分で注意していてもわかります。例えば、2階までの階段を休まずに昇れるかとか、スーパーまでの距離を休まず歩けるかなど、自分の生活の中に何か指標を持っていると、自分の心臓の働きを評価できます。(文責 清水)

 

No.5279】 06年05月09日     E.N. 
タキソール継続か中止かの判断について(HPNo.4464-4)

いつもお世話になります。前回の細胞診ではクラスUということで、主治医からは「心配いらない」との回答をいただきました。今回はタキソールの継続か中止かについて相談させてください。その後タキソールを9回まで投与しましたが、8回目から右手の甲に発疹が出てきました。9回目の投与は予定通り実施しましたが、その後発疹がひどくなり、かゆみで夜中に目が覚めたり、とにかくかゆく、皮膚科を受診してステロイドの軟膏を塗っていました(10回目は発疹がひどく延期しています)。その皮膚科で、タキソールの副作用で発疹、関節の赤み等から膠原病になった症例があるとのことで膠原病の検査(血液検査)をしました。結果は膠原病にはなっていないが、タキソールを投与している間は継続して見ていく必要があると皮膚科では言われています(現在はかゆみはなく、皮膚がむけている状態です)。タキソールは残り3回なのですが、今回の発疹のかゆみ、手の皮がぼろぼろにむけて膠原病も心配する必要があるのと、もともと白血球がかなり低いので、体にはかなりの負担をかけているのかなと思うと、もう中止したほうが良いのかどうか、とても迷っています。そこでお聞きしたいのは、タキソールを12回投与するのと9回投与で終わりにするのとでは、生存率や再発率等にどれほど影響してくるのかということです。再発転移したときに後悔したくないので、12回やり遂げないとという気持ちと、体への影響を考えると中止すべきかなという気持ちの間で揺れ動いています(参考までにタキソールの後は放射線を予定しています)。以上、よろしくお願いします。

右手の甲の発疹がタキソールの副作用の可能性が強いこと、発疹自体増悪し自制内ではなくなっていることなどより、タキソールの中断はやむを得ずかと考えます。12回投与の予定が9回で終了ということになり、仰るとおり効果がやや減ずる可能性はありますが、それがどの位効果が減ずるのかは未知数です。(文責 谷)

 

No.5278】 06年05月09日     H.Y.
乳がん・再発の治療について

妻、56才。10年前に左乳がんの手術をしました。リンパ節転移もあり進行著明と言われましたが、手術後抗がん剤などの投与もあって改善し、安定して生活していたのですが、昨年夏より左背中痛が発生し、病院受診しました。CT、腹部超音波などで肺・肝・後腹膜に転移あり、頚部リンパ節生検でも転移を証明。このリンパ節でホルモンレセプター陽性だが、ハーセプタ抗体は陰性。アロマシン内服開始し、痛みなどの自覚症状は改善傾向なるも腫瘍マーカー改善せず。CEAが20から30、40、60にまで上昇。TS1も追加併用。骨シンチで骨への転移もあるためアレディア点滴も併用。しかし、CA15−3は60から一時50に下降するも再度60に。CEAも更に80、120にまで上昇しました。骨の放射線治療はまだしていません。以上ですが、自覚症状は軽いセキの持続のみで日常生活は何とかできています。担当医からは内服剤の効果が切れてきているので「治療方針の変更を」勧められていますが、本人は家庭の事情もあって当分はこのままの治療の継続を希望しています。今後の腫瘍マーカーの推移や自覚症状の進行次第では「治療方針の選択」にはどのような内容のものが考えられるでしょうか?

術後10年目の現在、肺、肝、骨、後腹膜、頚部リンパ節に転移がみられており、アロマシン、TS-1、アレディア使用中、治療効果は今ひとつといったところだと思います。まず、全身状態が化学療法を行うだけの状態であるかどうかが重要であり、もし全身状態が低下し体力的に強い治療は困難な状況だとすると、苦痛の除去を優先させた、緩和医療を実践してゆくことになるでしょう。化学療法に耐えうる体力が残っているのであれば、TS-1に変えてゼローダ(経口薬)、ナベルビン(注射剤)などが選択肢にあがってくることになると思います。いずれにせよ、今後は全身状態を常に把握しつつ今後の治療法を選択してゆくことが重要であるように思われます。(文責 谷)

 

No.5277】 06年05月07日     M 
タモキシフェンとラロキシフェン

乳がん術後のホルモン治療についてお尋ねします。現在46歳です。片側の乳房全摘術後の組織検査結果、DCIS + 一部に浸潤がん(径7mm周囲脂肪組織への侵襲あり + 疑い病変が他に1箇所)、gradeU、ER(+)、PgR(+)、HER(-)、センチネルリンパ節生検(-)、stageTでした。術後にホルモン療法(ゾラデックス+ノルバデックス)を開始し、1ヶ月がたちました。最近、閉経後の方にタモキシフェンとの比較でラロキシフェンの方が副作用の低減を認めたとの情報(NCI)を拝見しました。一方でラロキシフェンはDCISの抑制効果は見られなかったとも。私の場合、ラロキシフェンをお願いすることはいかがなものなのでしょうか。そもそも閉経前のデータではないとのことですが、少しでも副作用が少ない方をお願いしたいと思うのです。日本では時期尚早なのでしょうか。何卒よろしくお願いします。

ラロキシフェンは商品名エビスタといい、閉経後の骨粗しょう症に対する薬として使われております。この製剤は、骨に対してはエストロゲン作用を示し骨密度を増加させる働きがあり、一方乳腺に対しては抗エストロゲン作用を示し乳癌細胞の増殖抑制に働くと言われております。しかし、ラロキシフェンの乳癌に対する効果はまだデータに乏しく、現段階では乳癌術後の補助療法として使用するにはまだ疑問と考えます。今後トライアルが進むにつれ、効果や副作用についてさらに解明されていくと思われます。(文責 谷)

 

No.5276】 06年05月07日     t.m.
左胸乳頭より血液分泌物がでる症状

初めてお便りさせて頂きます。60歳の主婦です。今年4月19日に下着を見て初めて気づいたのですが、左胸乳頭より血液を伴った分泌液が出ており、外科(乳腺外科医)にてもろもろの検査をして頂き、結果は陰性との事でした。それと、マンモグラフィー及び超音波の検査をして頂き、結果は悪い病気ではありません、との事でした。主治医の先生は、三ヶ月後の経過観察との診断でした。しかし、その後も日々乳頭から血性分泌液が止まらず不安な毎日です。このまま3ヶ月後の受診を待つのみでよろしいのでしょうか? それとも、もう一度すぐに受診した方がよろしいのでしょうか? 私としましても不安な日々で、夜も眠れません。分泌物は、今後自然に止まるのでしょうか? そして、検査の結果陰性ということであれば、この病気(病名)は、何なのでしょうか? お手数ですが、お知らせいただけますでしょうか?宜しくお願い致します。

血性乳頭分泌が続いているとのことですが、乳腺外科にてもろもろの検査をされた結果問題なしとのことですので、癌の可能性は低いのだと思います。もちろん癌の際に血性乳頭分泌が出ることがありますが、それ以外にも乳管内乳頭腫や乳管拡張症などという良性の病変の際にも血性乳頭分泌が続くことがあります。しかし、不安が強いようですので、もう一度主治医の先生に病名や癌の可能性などをお聞きになったら如何でしょうか?(文責 谷)

 

No.5275】 06年05月07日     UD
脳腫瘍は、転位?(HPNo.5076-3)

HPNo.5076でお世話になりましたUDです。4月21日に血液検査をしたところ癌胎児性抗原の数値が、37.2と高くなっておりました。CA15-3、NCC-ST439の数値は共に正常値でした。骨シンチ検査の結果も異常なし、5月2日に再度の血液検査とCTでの検査を受ける予定になっておりましたが、頭痛、ふらつき感、吐き気がひどいので、脳外科にて検査をしていただいたところ、「左小脳の脳幹に近い部分にゴルフボール大の腫瘍があるのが原因と思われるので、サイバ-ナイフで腫瘍を小さくしましょう」と言われています。11日に治療予定なのですが、これは乳癌の転移による腫瘍と考えられるのでしょうか、今回この事で、CT検査および血液検査は延期となっております。医療機関も異なるのですが、11日の治療を受けるということに問題はないのでしょうか、お教え下さい。

今回脳神経外科に受診された際、乳癌の既往のお話をされていれば、脳神経外科の先生は乳癌の転移である可能性を考えになられて、乳腺外科の先生にご連絡をされていると思います。CEA(癌胎児性抗原)が37.2とかなり上昇しており、経過より推測するに脳転移の可能性は十分に考えられると思います。脳転移の場合、抗癌剤やホルモン剤の効果はあまり期待できず、サイバーナイフ等の治療を受けることになると思われますが、いずれにせよ11日の治療をお受けになる前に、必ず乳癌の主治医の先生によくご相談なさってください。(文責 谷)

 

No.5274】 06年05月07日     U 
放射線治療中の症状について(HPNo.5161-2)

HPNo.5161で相談させていただいた者です。術後の放射線治療25回のうち18回が終わったところですが、頻繁に微熱が出ることと、手術した方の腋の下がかなり腫れていること
が気になります。このような事は、よくある事なのでしょうか。気にせず放置してよいのでしょうか。

放射線治療の場合、できるだけ治療部分に照射野を合わせて行いますが、どんなに工夫しても照射野に治療対象外の臓器がやむを得ず入ってしまう場合があります。このような場合、有害反応が起こります。その一つとして、やむを得ず照射野に肺が入った場合、放射線肺炎を誘発することがあります。治療開始2ヵ月後頃より出現し、咳・発熱・息切れ等の症状が出ますが、胸部X線上、淡いすりガラス状、又は斑状陰影の所見がみられますが、ステロイドの投与で症状は回復します。また、腋窩の腫れについてですが、腋窩に近い部分のリンパの流れが、手術や放射線照射の影響によって悪くなっているのだと思われます。大部分は、放射線治療後6ヶ月程で落ち着いてきます。放射線肺炎かどうかのチェック、及び腋窩の腫れについて診察が必要ですので、放射線科を受診して、ご相談下さい。(文責 須田)

 

No.5273-1】 06年05月06日     T  
乳頭からの出血について

10年前に健康診断で1センチの乳癌がみつかり、右側の乳房を切除しました(当時34才)。その時はまだ温存療法もあまり普及しておらず、右脇のリンパもとりました。幸いにリンパには転移しておらず、薬もホルモンをおさえるノルバディックスのみを5年間飲みました。その間再発も無く順調に過ごしていたのですが、今年1月の定期検診の際に反対側の左側の胸のマンモグラフィーの撮影中に、乳頭から出血してきました(強く挟まれたので痛かったです)。マンモには疑わしきものは写らなかったのですが、出血した事もあり、エコー検査をしてみたら、1.5センチほどの腫瘍が3個並んで見つかりました。先生は、「見た感じ悪いものではなさそうなので三ヵ月後に来るように」と言われ、先月受診して、またエコーをとりました。やはり腫瘍は3個あり、大きさに変化はありませんでしたが、前回触診では触れなかったのに、今回は触診でもわかり、触られると痛みます。先生は「3個のうち一つ、中が少し白くなっているので気になる」とのことで、今度は造影剤を入れてCTの検査をしました。その結果はやはり悪いものではなさそうだとの事で、良性の腫瘍なので様子をみましょうと、次回は半年後と言われ安心して過ごしていました。ところが今朝起きてみると、下着に血がついていて、びっくりして見ると乳首からでした。縦につまむと出ないのですが、横からつまむと出血し黒っぽい出血があります。一月位前にも乳首に血の乾いた後があり、少し出血していたみたいです。常に出血はしていないようなのですが、このまま様子をみていてもいいものなのでしょうか。この後の検査はどのようなものがあるのでしょうか。10年前の悪夢が蘇ってきて心配でたまりません。

前回エコー時3個あったというしこりが乳頭分泌と関連があるものなのかどうかが問題となりますが、まだ血性乳頭分泌が続くのであれば、再度受診された方がよいと思います。血性乳頭分泌をきたす疾患としては、乳管拡張症、乳管内乳頭腫、癌などがあり、乳汁内の細胞診やCEA(腫瘍マーカー)の測定、乳管造影、これでも診断がつきにくい場合は乳頭近くの乳腺を一部生検するなどの検査が考えられます。いずれにせよ主治医の先生とよくご相談なさってください。(文責 谷)

 

No.5273-2】 06年06月17日     T  
その後の乳頭分泌について

HPNo.5273で相談した者です。その後再度診察をし、エコー検査をしたら、1つの腫瘍の形が変わってきているとの事で、外来手術でその腫瘍を取り生検に出しました。検査の結果、非浸潤癌という事がわかり、後日入院し、周りをもう少し大きく取る手術をしました。先生のお話で、リンパにも転移しない早期の0期の癌ですとの説明でした。その大きく取り除いた所からもがん細胞は出なかったという事で、薬も放射線治療も何もいらないとの事で退院してきました。もちろん乳頭からの出血はもうないのですが、以前から気にはなっていたのですが、私は陥没乳頭のため昔から(10年位前から)断乳したにもかかわらず、よく乳首に白いカスがたまります。匂いを嗅ぐとミルクの匂いがします。毎日付いているわけではなく、しぼっても何もでてこないのですが、カスだけが付いています。手術後も同じ状態です。これって乳癌と何か関係があるのでしょうか。

断乳後にあったという乳頭からの白っぽい分泌物自体は今回の乳癌(非浸潤癌)と直接関係があるかないかは良く分かりません。が、それほど重大な問題ではないと思います。余り気にしすぎない様にして下さい。むしろ貴女のお話で気になったのは、「追加切除した部位にはがんがなかった」ので「薬も放射線治療も不要」のくだりです。最初に切除した部位に非浸潤癌があったのでしたら、通常は残存乳房へ放射線照射を行う事とタモキシフェンというホルモン療法の薬を服用して頂くのが、標準的な非浸潤癌の補助療法なのですが…。これを省略すると言う理由が良く分かりません。この辺りはいかがなのでしょうか? 担当医にもう一度良くお話を聞いてみて下さい。(文責 矢吹)

 

No.5272】 06年05月06日     T・N
放射線治療終了後について

初めてご相談します。私は35歳、既婚、出産1回有りです。3月に温存手術とリンパの生検の手術を受け、現在放射線治療中です。放射線終了後の治療を受けるか否かで悩んでいます。しこりは1.5センチ、ステージはT、悪性度は1(おとなしい)、ホルモン感受性あり、リンパ転移なし、年齢は35歳です。ホルモン治療(月1または3ヶ月に一回の注射を2年、経口剤5年)を受けるか、または無治療か、自分で決めなければならないのですが・・・。無治療でも再発・転移の可能性は低いといわれましたが、無治療でも大丈夫でしょうか。以前、パニック障害で治療を受けていたことがあり、ホルモン治療による不定愁訴によって再発が心配なので、できることならホルモン治療は受けたくありません。しかし本当に無治療でも大丈夫なのか・・・という不安はぬぐいきれません。無治療の場合の再発・転移の可能性、治療を受けた場合の再発・転移の可能性はどのくらいでしょうか。

ホルモン治療により生理が止まり、多かれ少なかれ更年期様症状が生じてきます。よって以前パニック障害で治療を受けていた既往があるとなると、ホルモン治療の継続は困難になってしまうかもしれません。貴女の場合術後の条件はとてもよいですが、35歳という年齢を単純に若年(通常35歳未満を指す)でないとするべきかどうかという問題は残ります。再発率は5〜10%程度(あるいはもう少し高いか?)ではないかと思いますが、ホルモン治療により、それらをさらに1/2から2/3程度に引き下げてくれると思います。(文責 谷)

 

No.5271】 06年05月06日      M.O. 
内視鏡手術について

36歳の主婦(子供1人)です。先日、超音波検査で乳腺症か非湿潤癌か区別しにくいしこり(1.5センチ)を針生検し、結果は「採ったところは良性だが、他の部分が良性とは言いきれないので、MRI後に内視鏡手術で採ったほうがいい」と言われました。内視鏡手術は「傷が目立たないが入院が必要」と言われました。手術時間はどのくらいかかるのでしょうか? デメリットはどんなことがあげられますか? メスで切る外科的生検は外来でできる(手術時間はどのくらいですか?)そうなので、どちらを選択するべきか悩んでおります。美容面より体にかかる負担で考えた場合、どちらが良いのでしょうか? どちらかというと美容面より、安全・確実性を優先したいので、良きアドバイスをお願いします。

乳腺疾患における内視鏡手術の経験が私にはありませんので適当なアドバイスができないかもしれませんが、内視鏡下手術は通常腋窩に小切開をおくため創が目立ちにくいというのがやはり最大のメリットであります。その反面手技的には多少の慣れや技術が要すると思われ、腫瘤の部位やサイズによっても異なると思いますが、時間的にも通常の切開に比べると多少長くなる可能性はあると思います。美容面より体にかかる負担を重視というのであれば、従来どおり外科的生検がよいのではないでしょうか?(文責 谷)

 

No.5270】 06年05月06日      H.K
閉経前再発治療について

以前にも相談させていただき、いつも参考にさせていただいております。ご意見を伺いたくメール致します。40歳、未婚、ホルモン陽性。9年前に早期だが場所が悪く右全摘、その後無治療のち2年前に肺、座骨仙骨に転移し、転院。ゾラデックス+ノルバデックス、アレディア(2週間おき)、骨盤内に放射線(当時の希望で卵巣温存)をしています。2年間はマーカー正常値内でしたが2,3ヶ月前よりCA15−3が26→25→33、CEAが1.6→2.0→2.7と上昇してしまいました。先月、エコーでリンパ節、骨シンチで背骨にも見つかりましたが、前の病院より性能の良いシンチ検査の為、前回写らなかったものが今回はっきり写っただけらしく、「肺も特に変化ないし 骨も前回検査した2年前からあまり変化していない。ホルモン治療で抑えられていた。リンパ節も今すぐ何とかしなければならないものでもない。次のマーカー値が上昇なら選択として ゾラ+アリミデックス(閉経前なので保険外かもと言われました)、もしくはゼロータ、生命にかかわる重要な転移がないなら、きついものでなくていい。」 とのことでした。私としては、まだ、できるだけホルモン治療を続けて欲しいのです。そこで伺いたいのですが
1)骨転移がある場合、骨粗そう症の副作用のあるアリミデックスで骨折しないのか。
2)その際、現在2週間おきのアレディアを、月1回点滴の、量の増えたタイプにした方がいいのか。
3)残してしまった卵巣機能を切除、もしくは放射線照射すると閉経扱いになるのか。
4)ゼロータにした場合、その後は抗がん剤になり、ホルモン治療に戻ることはないのか。

以上、お忙しい中、申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。

1)2) アリミデックスの副作用のひとつに骨粗しょう症に伴う骨折が有名ですが、アリミデックスが骨転移による骨折の頻度を増したという報告は聞いたことがありません。アレディアの投与法についてもまだ確立された方法は示されておらず、どちらがよいかは述べられないと思います。
3) 閉経扱いにするか否かはしばしば見極めが困難であったりしますが、通常血中のエストロゲンの値を調べ、それを参考に決定することになります。
4)ゼローダ開始となっても、再度ホルモン治療に戻ることは十分に考えられます。いずれにせよ現段階でこうするのが絶対によいといった確立された治療法はないと思われますので、今後の治療においても主治医の先生とよく相談し、自身のご意見もよくお話になった上で、今後も納得の行く治療法をお受けになってください。(文責 谷)

 

No.5269】 06年05月06日      S.T.
ホルモン療法について

またご相談させていただきます。48歳、今年2月に右乳ガンのため乳房温存手術(しこり2〜3cm)。リンパ節、他の臓器への転移なし。放射線療法(25回)終了。今後の治療として、ホルモン感受性陽性のため医師からホルモン療法(ゾラデックス4週間に1回2年、ノルバデックス1日1コ5年)を勧められています。この治療法が私にとり最も有効で、多くの患者さんが受けている治療法だということは理解しております。しかし正直なところ長い期間ですし、経済的なこと、副作用のこと、また婦人科検診のことなどを考えると、今後の治療に対して迷いがあることも事実です。質問ですが、放射線療法後、ホルモン療法を受けていない方は、ほとんどいないのでしょうか。またホルモン治療を全く受けない場合、再発の可能性はどのくらいでしょうか。もし低い数値であれば治療しないことも選択肢の一つにしたいのですが・・・。またホルモン治療を受ける場合、ノルバデックスだけの服用だけではあまり効果はないのでしょうか。お忙しいところ申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

腋窩リンパ節転移陰性乳房温存術後、放射線治療後、ホルモン感受性陽性とのことですが、病理学的悪性度、HER2感受性の有無によっても再発率は異なってきますので、貴女の再発の可能性を具体的に数字にお示しすることは困難です。ホルモン療法は化学療法と比較しても、副作用の頻度や程度が比較的軽いのに比して再発率の減少率等の恩恵は十分に認められており、ホルモン感受性陽性の方で特に問題がないのであれば、ホルモン剤の使用を私は強くお勧めしております。また、ノルバデックスだけでも再発率の減少は認められており、ゾラデックスが副作用等でお受けになれない場合でも、ノルバデックスだけでも使用するべきと考えます。そのあたりをふまえ、再度主治医の先生とよくご相談なさってください。(文責 谷)

 

No.5268】 06年05月06日      Y
MRIの結果について

2002年に温存手術を受けた45歳の患者です。宜しくお願いします。リンパに転移なし。放射線治療25回、ゾラデックス注射2年で終了、現在ノルバデックス服用中です。先日定期検査にてマンモグラフィに僅かな石灰化が映り、位置が2002年の手術の際、放射線治療の目印のために入れたクリップのところであった為、念のためということでMRI検査を受けました。この時エコーも受けましたが、エコーには何も映りませんでした。MRIでも疑わしいものは映らず、経過を見ることになりました。ごく小さな石灰化とのことでした。この石灰化は将来的に悪性に変化するものなのでしょうか。また経過を見ていく中で大きくなってきた場合は、どのような検査が必要になるでしょうか。ご回答、宜しくお願いいたします。

温存術後乳房内にマンモグラフィにて石灰化が見られることはしばしばあります。これは縫合糸に石灰が沈着するためと言われておりますが、放射線治療の際の目印のクリップとの因果関係もあるかもしれません。これらの石灰化は悪性の可能性を示唆する石灰化とは異種のものであり、基本的に悪性に変わることはありません。貴女の石灰化そのものを拝見していませんので詳しくお話しすることはできませんが、局所再発の可能性も100%否定することは困難と思われますので、定期的にマンモグラフィその他でフォローしていく必要はあると思います。もし悪性の可能性が高まったと判断した際には、穿刺細胞診等、病理学的な検査も必要になるかもしれません。(文責 谷)

 

No.5267-1】 06年05月06日      N.Y.
NCC−ST−439の上昇について

いつも参考にさせていただいております。2003年7月に温存手術をして、その後、ゾラデックスを開始し、同時に放射線治療→CEF6クール終了しました。ゾラデックスは術後2年打つ予定でしたが副作用がきつかった為、1年半で中断(2005年2月)し、その後はノルバデックス服用に切り替えました。私はNCC−ST−439については術前、術後の検査でいつも完全な正常値(常に1.0>)でしたので、定期検査ではCEAとCA15−3とICTPのみ測定していました(これまで、どの検査もほぼ正常値)。ところが、昨年夏に友人が乳癌肝臓転移により亡くなり、そのご家族から、彼女の肝臓転移が見つかった時点で異常値だった腫瘍マーカーはNCC−ST−439のみで、CEAとCA15−3とICTPは正常だったと聞きました。そこで主治医にそのことを伝え、1年半ほど検査していなかったNCC−ST−439を久しぶりに調べていただきました。結果は下記のとおりです。
2005年11月 10.4
2005年12月  9.7
2006年 1月 12.1
2006年 2月 10.0
2006年 3月 13.4
2006年 4月 23.1
このような上昇を見せています(CEAは1.0前後、CA15−3は20〜27の間、ICTPは4〜5)。常に1.0>であったNCC−ST−439が基準値を超えていたため、昨年末に骨・肺・肝臓・脳の画像検査をしましたが転移はみつかりませんでした。主治医は、目に見える転移はみつからなかったが、この上昇傾向から考えて、細胞レベルの増殖がどこかでおこっている可能性が高いとおっしゃり、治療方法の変更を勧められました。今月から現在服用中のノルバデックスに加え、ゾラデックスを再開しました。ノルバデックスとゾラデックスの併用により抗がん剤と同程度の効果が期待できるとのことです。この方法を2ヶ月試した後に、再度NCC−ST−439を調べ、上昇が抑えられていれば、この方法を続行。もし、上昇を抑えられなければ抗がん剤の服用を検討すると言われています。他の腫瘍マーカーが正常で、画像検査でも異常が見られず、NCC−ST−439のみ、この程度の上昇傾向にある場合、上記のような判断、治療方針は妥当であると思われますか? 他にふさわしい治療があるとすれば、どのようなものでしょうか? 抗がん剤の服用となると、どのような抗がん剤が考えられますか? よろしくお願いいたします。

術後の病理、ホルモン等の結果にも左右されると思いますが、NCC-ST-439のみ上昇で、他のマーカーが正常とのことであり、昨年末の画像検査でも明らかな転移・再発を認めていないとのこと、主治医の先生がお示しされている手段以外に、1)再度画像診断を行う、2)このまま次月にNCC-ST-439を再検してから判断する、などの選択肢もありそうです。ゾラデックスの副作用が許容範囲内であれば、主治医の先生がお示しされているゾラデックス+ノルバデックスも理にかなった治療法だと考えます。抗癌剤使用となると、以前にCEF療法を施行しておりますので、タキサン系抗癌剤(タキソール、タキソテール)またはCMF療法が考えられると思います。(文責 谷)

 

No.5267-2】 06年11月04日      N.Y.
ゾラデックス中止のタイミングについて

以前 HP No.5267でご相談させて頂いた者です。前回はご丁寧な回答ありがとうございました。
前回の補足:
2003年7月(この時点で33歳・未婚・妊娠出産経験なし)、右乳癌(tubular adenocarcinoma)乳房円状部分切除術(T2 N1 M0 U期B)リンパ節郭清術(レベルT、U)、乳頭側断端陽性のため術後放射線照射(30回)→その後CEF6クール終了。リンパ節転移 レベルT=4/11、レベルU=0/2、センチネル2/2、ホルモンレセプター ER(−) 測定値1.9 PR(−) 測定値4.3 しかしホルモンレセプターを染色法にて再検査した結果が陽性となる(測定値は不明)。術後からゾラデックス1年半(2年の予定が副作用がきつかったため1年半で中止)、その後、ノルバデックス服用に切り替え。術前術後いつ検査しても完全な正常値(常に1.0>)であったNCC-ST-439のみが上昇してきた為、2006年5月15日からゾラデックスとノルバデックスの併用を開始しました。その後、NCC-ST-439の値が下記のように変化しました。2006年5月 26.3、 2006年6月 15.7、 2006年8月 7.3、 2006年9月 7.2。このような下降傾向を示し、まもなく基準値(7.0以下)まで下がりそうな状態です。
元々常に1.0>であったことから考えると、まだ安心はできないかもしれませんが、主治医はノルバデックスに追加したゾラデックスの効果が出たのだろうとおっしゃっています。術後に2年打つ予定であったゾラデックスを副作用がきついために1年半で中断した経緯もあり、今回のゾラデックスの再開で副作用を心配しておりましたが、やはり倦怠感や頭痛、めまいやホットフラッシュや吐き気などの副作用がかなりあります(ツムラ当帰芍薬散を処方していただき少し楽になりました)。主治医は、副作用のこともあるので、NCC-ST-439が基準値に入ったらゾラデックスを中止してみようとおっしゃるのですが、私はゾラデックスの再開により腫瘍マーカーが明らかに下がってきているのであれば(今の治療に再発や転移防止の効果があるなら)できるだけ続けたいと思っています。
ホルモン療法は、がん細胞を攻撃して死滅させるというよりは、増殖をおさえるものだと読んだことがあります。この相談室の回答の中にも、この点に関して「乳癌があっても、それ以上に増殖・進展し続ける事をブロックして、大きくならないようにする」という記載があります。もしそうであれば、打つのをやめると、また元に戻ってがん細胞が増殖してしまうのではないかと不安です。もし副作用が対処できる程度のものであれば、NCC-ST-439が基準値に入ったとしてもゾラデックスを続けた方がいいと思われますか? それとも一度中止して、またNCC-ST-439が上がるようであればその時点で再開する方がよいのでしょうか?(ちなみに画像検査は術後3年半にあたる来年の年明けに予定しています)
お忙しい中申し訳ありませんが、ご意見をお聞かせいただけますでしょうか。よろしくお願い致します。

ゾラデックス中止のタイミングですが、とても悩ましいですね。一般に再発・転移などで薬剤を使用して有効であったと思われる場合、画像やデータが正常化した後、どの程度継続すれば良いのか、明確な指標はないと思います。年明けの画像診断でどこにも再発の疑いがないと納得されてから中止されるという方法はいかがでしょうか? 次回、万一再上昇した場合は、PETーCTなどで再度転移巣の検索が必要になります。
個人的経験ですが、NCC−ST439のみが上昇しても画像に問題がないため経過観察をしていると、また正常化する方もいらっしゃいます。いずれにしても治療のメリットと副作用などのデメリット、腫瘍マーカーだけにとらわれずに画像診断も駆使して総合的に判断してください。(文責 阿部)

 

No.5267-3】 06年11月28日      N.Y.
領域再発の治療方法について

HPNo.5267でご相談させていただいた者です。いつもご丁寧な回答ありがとうございます。その後11月にPET−CTの検査を受けたところ、「右鎖骨上窩近傍で3箇所のFDG集積を認め、右鎖骨上窩リンパ節転移と考える」との結果でした。その他の部位には今のところ転移を思わせる所見はありませんでした。転移がみつかったものの、腫瘍マーカーNCC-ST-439の11月の値は6.2まで下がりました。そこで、今後の治療方針ですが、主治医によると2006年5月には26.3まで上昇していたNCC-ST-439の値が確実に下がってきていることから、現在のノルバデックスとゾラデックスの併用の効果があると考えられるので、このまま治療方法を変更せずに、さらなる改善を目指すという方針でした。右鎖骨上窩リンパ節転移ということは領域再発の範疇に入るかと思うのですが、その場合の治療法について自分なりに調べてみたところ、「領域再発を遠隔転移と同じように考えて、局所療法ではなく全身療法をおこなう方がよく、その場合まずはホルモン療法などの副作用のおだやかな治療をおこない、その治療が効かなくなり癌の進行がみられた場合に抗がん剤治療に移行する。ただし転移巣の腫大により痛みや浮腫が顕著になってきた場合には、痛みや浮腫を改善する目的で手術や放射線治療をおこなう場合がある。」という見解と、「領域再発の場合には遠隔転移とは異なり、手術や放射線治療をすることによって治癒の可能性がある。」とする見解がありました。そこでご相談なのですが
1) ホルモン療法を継続することについては納得しているのですが、手術や放射線治療の有効性およびリスクについてどう思われますか? 温存手術後に放射線治療をおこなっていますが、その際には鎖骨上窩リンパ節までは照射していないと思うので、まだ放射線治療が可能なのではないかと思うのですが・・・。それともやはり領域再発の場合は遠隔転移と同じような治療方針がよいのでしょうか?
2) 右鎖骨上窩リンパ節に転移していることがわかるまで、自分で浮腫予防のリンパマッサージをしていたのですが、それはあまりよくないでしょうか? ちょうど転移している部分にリンパ液を送り込むような形でマッサージすることになるので、避けたほうがいいのか悩んでいます。
3) 肩がこるので今まではよく肩もみをしてもらっていたのですが、そのときに転移している部分を押したりもんだりして刺激するのは、避けたほうがよいでしょうか?

ご意見をお聞かせいただけますでしょうか。よろしくお願い致します。

1) 局所再発的な性格を持つ場合もありますので、他に遠隔転移が認められないのでしたら、局所療法も選択肢に入ってくるでしょう。
2)3) マッサージは予後にほとんど影響しないと思われます。(文責 加藤)

 

No.5266】 06年05月06日      N 
HER2について(HPNo.4523-2)

去年の検査HER2FISH法で、10月7、1月10、4月12と上がっています。 4月はNcc9.1でした。先生はNccは気にしなくていいとおっしゃいました。HER2の数値は何故上がっているかわからないそうです。来月もう一度血液検査をする予定です。二年前に乳房再建の手術を受けました。再建してからI−CTPやNccの腫瘍マーカーが基準より少し上がり、次回の検査(3、4ヵ月後)で基準内に戻ることがありましたが、今回のような上がり方は初めてです。それと、HER2が上がりはじめた去年の夏頃から、不正出血やおりもの異常があり、更年期障害と言われました。何か関係がありますか? やはり再発や転移を覚悟しなければいけないのでしょうか? お忙しいところ申し訳ございません。宜しくお願いいたします。

乳がんにおける腫瘍マーカーの意義は、再発の早期発見、治療効果判定の補助、臨床経過のモニターなどといわれ、CEA,CA15-3,NCC-ST-439などが主に用いられますが、あくまで絶対的なものでなく補助的な位置づけにあります。血清中HER2も腫瘍マーカーとして用いられることがありますが、まだまだ一般的とは言えず、臨床における参考値と考えるのが妥当ではないかと思います。乳房再建と腫瘍マーカーの上昇との間に因果関係は考えにくく、また、更年期様症状と血清HER2値にも関連があるのか否かわかりません。現状では再発、転移を強く疑う所見とは言いがたいと私は考えますが、そのあたりをふまえ主治医の先生とよくご相談なさってみてください。(文責 谷)

 

No.5265】 06年05月05日    Y.K. 
治療方法について(HPNo.5055-2)

いつも参考にさせていただいています(前回5055)。治療方法について、ご相談させてください。病理検査の結果、大きさ以外はすべて国際基準でのlowに該当するとのことでした。術前のお話で、私の癌はぱらぱらと広範囲にあるタイプということで2cmを超えていたのですが、転移性は低いけれど温存は難しいということで、全部とりました。術中のリンパ検査は0で郭清はせず、病理結果も(みなさんほど詳細なものではないのですが)、「血管侵襲なし、リンパ節転移なし、異型軽、ホルモン感受性効くタイプ、her2陰性」でした。この結果からホルモン剤を合わせた治療でもよいと言われました。自分としても抗がん剤はできれば使いたくないので、ホルモン剤治療をお願いしようと考えているのですが、大きさの点だけが Intermediate risk に属しているというだけでも、抗がん剤を合わせた方がより効果が期待できるという考えはあるのでしょうか。ホルモン剤は癌細胞が生存しにくい状態にするもので、抗がん剤は癌細胞に直接働きかけるもの、と思っているのですが、この理解は正しいですか。よろしくお願いします。

Intermediate risk グループに対する治療の考え方ですが、St.Gallen の治療方針に従うと、術後薬物療法の選択は、内分泌療法の反応性に基づいて、更に次の3つのグループに分けて考えます。
@ 内分泌反応性のグループは、ホルモン療法単独で治療することが前提となります。
A 内分泌反応性不確実なグループは、原則としてホルモン療法と化学療法を併用する事になります。
B 内分泌非反応性のグループは、化学療法を行います。

貴女の場合は、「ホルモン感受性効くタイプ」との事ですので、前記@のグループに属し、ホルモン療法単独での治療が前提となります。このグループに化学療法を併用するかどうかの具体的な基準は、St.Gallen の治療方針には明記されておりませんが、再発の相対的なリスク、年齢、忍容性(毒性)、社会経済的な問題、患者さんの希望を考慮して決める事になります。リンパ節転移が陰性であっても、腫瘍グレードが高い、或いはリスク因子が多数あってホルモン療法単独では充分な効果が期待できないと思われる場合は化学療法の併用となります。貴女の場合は、病理学的腫瘍径が2cm以上であるという以外はリスク因子がないので、ホルモン療法単独でも充分な効果が期待できると思いますが、あくまでも決定するのは患者さん自身ですから、不安点、疑問点を主治医の先生とご相談の上、納得のいく選択をしてください。
ホルモン依存性乳癌は、エストロゲン(女性ホルモン)が乳癌の増殖・進展に重要な役目を果たしています。ホルモン剤は、「癌細胞が生存しにくい状態」という事ではなく、「乳癌があっても、それ以上に増殖・進展し続ける事をブロックして、大きくならないようにする」という事です。(文責 須田)

 

No.5264】 06年05月05日    H.T. 
左右の乳房の大きさに違いがあります

18歳の娘のことで、ご相談します。数年前から気になっていたことですが、娘は左右の乳房の大きさがかなり違います。その違いは成長していく中で、徐々にできてきたものですが、今は左がCカップ程度あるのに比べ、右はAカップ程度しかありません。左右で全く同じ大きさの人の方が少ないと言う話を聞いたこともありますし、成長を続けていく中で、いずれ大きさもそろってくるかと思っていたのですが、もう18になり、体の成長も止まったようですので、最近はとても気になります。癌などという心配はあまりないのではとは思いますが、もし特別な異常がなくとも、今後の娘のことを考えると、手術などを考えるべきでしょうか?

メール内容から判断する限り、乳癌の心配はありません。放置していて問題はありませんが、美容的な悩みも含めて、乳房の大きさや形については形成外科で相談されるのが良いと思います。(文責 須田)

 

No.5263】 06年05月05日    M.O
乳輪について

私は現在26歳で、妊娠もしていません(子供もいません)が、左の乳輪が半年ぐらい前から大きくなってきています。乳がんと関係があるのでしょうか? このままにしていて大丈夫でしょうか?

メール内容から推察する限り、乳癌は否定的です。乳輪部に病変があるかどうかは、直接診察しなければ分かりません。不安を解消する為にも、一度乳腺外科を受診して、ご相談下さい。(文責 須田)

 

No.5262】 06年05月05日    T.H. 
マンモグラフィーの結果を聞きました(HPNo.5183-2)

【No.5183】で「2つの石灰化」について相談をさせて頂いた者です。回答ありがとうございました。その後乳腺科の先生にマンモグラフィーの結果を聞きました。カテゴリー3でした。マンモでは5つの石灰化がみつかり、いずれも丸くはっきりとした形で、大きさは1mm以上ありました。しかしエコーで写っていた5ミリと6ミリの石灰化は見当たりませんでした。先生は非常にのんびりとした口調で、「お母さんの事もあるから(乳がんで亡くなっている)気になるだろうけど、そんなに急いで生検しなくても良いと思う。取り合えず3ヵ月後に再度エコーとマンモグラフィーをしてみよう」と仰いました。「乳がんの可能性は高いですか?」と尋ねると「このマンモの画像を見たら、どの先生も白に近いグレーと言うだろうね」と答えられました。先日の回答では良性の石灰化とあったので安心してしまった私ですが、またまた不安な気持ちで一杯になっています。またマンモグラフィーでは、同じ左の乳房の別の場所に、白くうっすらとした丸いしこりらしきものも写っていました。先生は触診で「この辺りにある影だけれども触れないし、乳腺症の可能性の方が大だね」と仰いました。3ヵ月後のエコーとマンモグラフィーでも大丈夫でしょうか? そしてマンモグラフィーのカテゴリー3とは、どういう状態を示しているものでしょうか? 何度も質問して申し訳ありませんが、宜しくお願いします。

マンモグラフィーでカテゴリー3になった所見は、「白くうっすらとした丸いしこりらしきもの」によるものだと思いますが、主治医の触診では腫瘤がなかったということなので、おそらくFAD(局所性、非対称性陰影)でしょう。カテゴリー3とは、「良性、しかし悪性を否定できず」という事で、良性の可能性が非常に高いが、悪性も否定できないので、超音波などの追加検査を行う事になります。貴女の場合、すでにエコーでの検査を行っていて石灰化以外に所見がないという事ですので、3ヵ月後にエコーとマンモグラフィーを行う事でよいと思います。(文責 須田)

 

No.5261】 06年05月05日    O.T
術後療法について

昨年11月4日に乳癌温存手術を行いました。手術時は43歳、閉経前ですが、1月からは生理がありません。病理診断は次のとおりです。 「浸潤性乳管がん(充実腺管がん)、腫瘍径25×25mm、悪性度グレード3、リンパ節転移なし、ホルモン受容体 高陽性、HER2 0陰性」  術後は3週×4クールのEC療法を行う予定でしたが、肝機能障害(最高でGOT443 GPT970 )のため2回で中止、タキソテールに変更し、4クールが終了したところです。術後の療法について以下の質問をさせて頂きます。
1) このような薬剤性肝機能障害があってもECの効果はあったのでしょうか?
2) EC4回と、EC2回+タキソテール4回の場合とでは、どちらが効果があったのでしょうか? 
3) 術後6ヶ月過ぎてでも放射線治療を受けた方がよいでしょうか? 主治医は「どちらでもよい」と判断を任された状態です。
4) 放射線治療を受けなかった場合の局所再発率はどのくらいでしょうか?
5) ホルモン治療はどのようなものが効果的でしょうか?

長々と申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。 

1) EC4クールの予定が2クールで終わっているので、4クールに比べて効果は不確実だと思われますが、人様々で、一様に判断する事はできません。術後補助療法は、あくまでも予防の為に、効果と副作用のバランスを考えながら行っていきますので、重篤な副作用がある場合は中止して様子を見ることになります。
2) タキサンは、アンスラサイクリン耐性転移性乳癌に対して有効であるという臨床データーがあり、アンスラサイクリンとは交差耐性の少ないことが明らかになっています。アンスラサイクリン療法後にタキサンを順次投与する事によって、再発で17%、死亡で18%の有意な改善を認めています。リンパ節転移(-)の乳癌患者に日常診療で使用を推奨するだけの根拠は現時点ではありませんが、前述のように、タキサンの追加使用によって、ある程度の効果は認められると思います。
3)4) 温存術後の放射線治療は行った方が良いと思います。照射を行わなかった場合、乳房の再発率は18〜39%で、全てのトライアルにおいて照射群の方に有意な減少が認められています。生存率に関しては、両者の間に差はありません。
5) ホルモン感受性乳癌に対して、術後化学療法後にタモキシフェンを順次投与する事は有用です。また、閉経前ですので、LH−RHアナログの使用も選択肢の一つとなります。主治医と充分ご相談下さい。納得のいく治療を受ける事が大切です。(文責 須田)

 

No.5260】 06年05月05日     S 
術後の治療について

69歳の姉のことです。3/16に左側乳房温存手術をいたしました。4/28結果がでまして、組織型(硬癌)、リンパ節移転なし、ER(+)、PgR(+)、HER2 0、癌の浸潤径2cm以下、核異型度2。今後の治療プランとして、放射線治療とアルミテックス服用、抗癌剤も希望するようならしてもいいという事で、どうするか次回5/12に決めるように言われたそうです。どの方法をとったら良いのか、何もしなかったらどうなるのか、宜しくお願いいたします。 

乳癌術後の補助療法の治療方針については、一般に St.Gallen 2005 が広く知られています。それに従うと、再発リスクを決定する最も重要な因子はリンパ節転移であり、転移陰性は、再発リスクが低い事を示す第一条件です。更に「病理学的腫瘍径2cm以下、HERU/new の過剰発現遺伝子増幅がない、年齢が35歳以上」と続きます。腫瘍周囲の脈管浸潤については記載がありませんが、「腫瘍grade が2」という事ですので、intermediate risk になります。乳房温存術後の放射線治療を行う事は勿論ですが、薬物療法に関しては、intermediate risk 、内分泌反応性ですので、ホルモン療法単独か、アロマターゼ阻害剤+化学療法の同時併用療法を行う事になります。主治医の先生は、「ホルモン療法単独であればアリミデックスを、また、化学療法を希望するなら同時併用療法を行います」と提案なさっているのです。個人的には、リスク因子が幾つもないので、ホルモン療法単独でも充分効果が期待できると考えますが、主治医の先生とご相談の上、納得のいく治療法を選択してください。(文責 須田)

 

No.5259】 06年05月05日     R子
10年目の再発

平成8年8月左胸に3pのステージ2の癌が見つかり、全摘(筋肉も切除)しました。44才です。それ以後2年間は化学療法とホルモン療法を実施。定期的に検診を受け、最近は6ヶ月毎に行なっておりましたところ、3月に局所再発(左胸壁)の疑いの結果が出ました。10年目の再発ということで、とてもショックです。腫瘍マーカー(CEA・BCA225・CA15−3・ICTP)全てマイナス、超音波で腫瘤は見つかったものの異常なし、造影CTで腫瘍の内部に血流を認めるという事で生検をしました。1×1pと2×1pの二箇所。肉眼では柔らかく、しかし内部は血性だったとのことです。腫瘍は胸膜に達していたらしく、全部は取り切っていません。生検の結果はまだ出ていませんが、もし再発であるならば、どのような治療に進むべきであるか教えていただきたいと思いメール致しました。

転移性乳癌の診断がつくと、薬物療法の場合、一般的にはホルトバギーらの治療方針に従って治療を進めていく事になります(HPNo.5258 参照)。貴女の場合、術後補助療法としてホルモン療法も実施されているので、ホルモン療法より開始する事になりますが、3〜6ヶ月で効果判定を行ない、効果が認められない場合は、二次ホルモン療法へと移ることになります。また、ホルモン療法で効果が得られない場合の為に、ハーセプチンが使用できるかどうか、10年前の摘除標本及び今回の病変のHERU過剰発現遺伝子増幅の有無を調べておく必要があると思います。ハーセプチンが使用できない場合は、その後、一次化学療法を行ないます。一次の効果が得られない場合、又はハーセプチンの効果がなかった場合は、二次、三次の化学療法へと、順次手を尽くす事になります。また場合によっては、生検後、放射線治療を行った後、薬物療法に移る場合もあります。主治医の先生とご相談しながら、納得のいく治療法を選択してください。(文責 須田)

 

No.5258】 06年05月05日     UD
今後の治療法は?(HPNo.5076-2)

5076でお世話になりましたUDです。3月21日に骨シンチと血液検査をしたところ、骨シンチは異常なしだったのですが、血液検査で腫瘍マーカーの数値が、37.2と高くなっておりました。前回1月の検査では正常値だったのですが、5月2日に再度血液検査とCTを行う予定です。乳癌の再発の場合と、他の癌の場合とあると思うのですが、今後の治療は、どのようなものになるのでしょうか? 教えていただければ、心強く思います。

腫瘍マーカーの上昇という事ですが、乳癌転移の多くは、骨・肝・肺です。骨シンチでは異常は認められなかったという事なので、肺又は肝転移の可能性が高いと思われます。乳癌の転移再発に対する薬物療法は、基本的にはホルトパギーらの治療方針が一般に受け入れられています。転移再発が確認されると、転移臓器、転移の程度、ホルモンレセプターの有無、無病期間、年齢、閉経状況等のリスク評価を行ない、更にホルモン感受性あり&生命を脅かす転移がない場合は、一次ホルモン療法から開始、効果判定を3〜6ヶ月で行なって、効果が認められない時は二次ホルモン療法に移ります。同様に効果判定を行って、効果がない場合は、三次ホルモン療法、抗体療法(ハーセプチン)、化学療法と行っていきます。基本的な考え方はこのようになっていますが、ホルモン剤、化学療法剤の選択については、主治医と充分にご相談下さい。(文責 須田)

 

No.5257】 06年05月05日     E
術後補助療法について

初めて相談します。年齢は54歳です。左乳房の乳頭の下あたりに癌がみつかり(自覚症状:しこりと乳頭の陥凹)、3週間前に部分切除、その病理検査結果が以下のようでした。センチネルリンパ節に1mm以下の転移有り(手術当日には転移なしと言われていた。微小でめずらしいとのこと)、その他摘出した腋下部分のリンパ節11個には転
移なし、サイズは1.5×1.5×1.5、ただし乳頭の裏側までがん細胞が浸潤していた、浸潤性乳管癌、顔つきは中程度、ホルモンレセプターは両方+、HER2は−。術後療法として抗がん剤、その後ホルモン療法と放射線治療を勧められました。抗がん剤はアドリアシンを含むFEC療法(5Fu、エピルビシン、エンドキサン)で、3週毎×6回ということで、副作用の説明を聞き、抗がん剤に対してとても不安を感じました。抗がん剤を使うと体が弱ってしまうのではないか、脱毛も気になります。状況の説明に不足があるかもしれませんが、私の場合抗がん剤を受けた方が良いでしょうか? 一般的に勧められた場合、受ける方が多いのでしょうか? 抗がん剤を受けると受けないでは、差は大きいのでしょうか? 抗がん剤に期待される効果は大きいのでしょうか? 質問が多くて申しわけありません。よろしくお願いします。

センチネルリンパ節の微小転移についての考え方はHPNo.5161の通りですが、St.Gallen による術後補助療法の指針に従うと、「腫瘍径2cm以下、腫瘍グレイド2、脈管浸潤不明、HER−2(-)、年齢54歳」ですから、intermediate grade になります。内分泌反応陽性であり、微小転移、腫瘍gradeが2と、リスク因子が複数という事もあって、主治医の先生は、「化学療法(FEC)+ タモキシフェン、乳房照射」の提案をされたのでしょう。St.Gallen の治療方針では、 intermediate risk について「ホルモン療法単独」も推奨していますので、閉経後ですから、例えばアロマターゼ阻害剤であるアロマシンの単独療法でも大丈夫という事になります。この場合は脱毛はありません。ホルモン単独療法もあり得るという事は、抗癌剤に期待する効果はさほど目立って大きいものではないという事ですが、使ってみなければわからないという面もあります。効果と副作用のバランスを考えながら術後療法を進めていく事になりますので、主治医と充分にご相談の上、納得のいく治療を選択してください。(文責 須田)

 

No.5256】 06年05月05日     T  
経過観察中です

お忙しいところ恐れ入りますが、アドバイスをお願いいたします。昨年12月の検診で引っかかり精密検査を受けたところ、両乳腺症と診断されて経過観察をしております。37才、既婚、出産経験なしです。これまでの詳しい経過は以下の通りです。
1) 2005年12月:乳がん検診で超音波検査を受ける。年明けに結果が届き、「左乳腺腫瘤の疑いあり」として再検査となる。この時は小さな不定形の影がひとつありました。
2) 2006年2月:予約が込んでいたため2月に入ってから精密検査。乳腺外来にて、専門医による触診、マンモグラフィーと超音波検査を受ける。結果はマンモグラフィー異常なし(乳腺が非常に発達しているとの指摘を受けました)、超音波検査は「あきらかな腫瘤を認めず」とのことでした。超音波の画像は、12月の検診の際の画像とは全く違っていて影はなく、乳腺の一部が円形に凹んでいるように見えるものでした。乳腺が拡張しているとの指摘を受けました。触診でもはっきりとしたしこりとしては触れず、「しこりというものではなく、しこっている状態」と言われました。診断としては両乳腺症で、「半年後に経過検査を」との指示でしたが、不安を訴えると、「それでは2,3ヶ月後に経過を見ましょうか」ということになりました。
3) 2006年4月:3ヶ月後の経過検査。触診と超音波検査を行う。触診では前回指摘された「しこっている」部分は、大きさ(約1センチ)も状態も変わらないとのこと。超音波では今回は全く異常が見られませんでした。しかし、今まで異常の無かった右乳腺に影が写りました。形状は最初の検診で左乳腺に写ったのと良く似た不定形のもので、2つありました。触診では触れないとのことでした。診断結果としては、やはり前回同様、はっきりとしたしこりといえるものではないとして、半年後に再度検査ということになりました。乳房の痛みは最初の検診から再検査までの間の、特に生理前が激しかったです。その後は徐々に収まっていき、現在は生理前に多少痛む程度です。乳頭からの分泌物は、白い母乳状のものが両方から時々出ています(乳頭につまっている感じで、流れ出てきたことはありません)。

先生方に伺いたいのは、超音波の画像というのは数ヶ月の間にこんなに違ってくるものなのでしょうか。乳腺の状態というのは短期間で変化するものなのですか? 今回初めて見つかった右乳腺の影に関しては、カルテに「カテゴリー2〜3」と記されていましたが、現在の私の状態に対して、半年後の経過観察という診断は妥当と思われますか?
どうぞよろしくお願いいたします。

超音波検査では、乳腺の断面を超音波の反射によってモニター上に画像を作ります。前回の断層像と今回のものとでは、全く同じ断面を見ているわけではないので、画像が異なってくる事は考えられます。
カテゴリー2は良性、他の検査と一致すれば穿刺吸引細胞診は不要であり、6ヶ月以上の間隔での経過観察となります。カテゴリー3は良性の可能性が高いが、悪性も否定できないので、更なる検査(穿刺吸引細胞診、針生検、外科的生検など)による診断が必要です。また経過観察期間はカテゴリー2より短くなります。貴女の場合「カテゴリー2〜3」との事、また、現在はっきりしたしこりはないとの事ですので、6ヶ月毎の経過観察でよいと思いますが、ご心配であれば主治医の先生とご相談下さい。(文責 須田) 

 

No.5255-1】 06年05月02日     M 
乳癌骨転移について

母が乳癌の手術をすることになりました。肺と肝臓には転移は見当たらなかったのですが、骨転移があるようで、とても心配です。骨転移すると、どのような進行をしていくのでしょうか? 治療方法は、どんなものがあるでしょうか? つい余命を考えて、不安でたまりません。骨転移してしまっても、長く生きる事は可能でしょうか? どうか、どうかアドバイスお願いいたします。

骨転移は、乳癌では比較的多く見られる転移です。肺・肝に転移を伴わない場合や、ホルモン療法が奏効している場合は、予後が良好な症例も多くみられます。骨転移の部位としては、脊椎、肋骨、骨盤が多く、頭蓋骨に転移する事もあります。骨転移によって骨がもろくなり、骨折が起こる場合がありますが、これを病的骨折と言います。骨折が起こると、疼痛や神経麻痺を誘発し、日常生活における質の低下を招く事があります。
骨転移に対する抗癌剤以外の治療法としては、ビスフォスフォネイト剤が有効な場合がありますが、これは、骨転移における破骨細胞の機能を抑制し、病的骨折による疼痛の軽減や、その予防として使用いたします。お母様の状態をみながら、主治医と充分なコンタクトを取って、納得のいく治療法を選択してください。(文責 須田)

 

No.5255-2】 06年05月29日     M 
乳癌骨転移について(2)

以前、相談させて頂いたものです。母の乳癌手術も無事終え、これから治療を始めるところなのですが、骨転移に加えリンパも取りました。母は抗がん剤による副作用を恐れており、現時点で髪が抜けるのはかなり精神的にも受けられる状態ではないので、その事を主治医に相談しました。点滴の抗がん剤ではなく、錠剤などで、何か副作用の軽いもの・・・と相談したところ、母の場合「抗がん剤は点滴の抗がん剤(強い薬)になるでしょう。」と言われて落ち込んでいます。やはり主治医の言う抗がん剤しか選ぶ道はないのでしょうか? 錠剤の抗がん剤は、効き目が無いのでしょうか? そして、以前回答して頂いたビスフォスフォネイト剤を希望したい事を伝えると、治療ではなく予防ですから・・・みたいな事も言われてしまいました。やはり、がん細胞を減らす事ばかりに力を入れていて予防はしない感じが、とても疑問です。病院は、変更しようと考えていますが、ビスフォスフォネイト剤などのある病院は限られているのでしょうか? また以前、骨転移にはホルモン療法も良いと回答頂きましたが、どんな治療方法でしょうか? 受けれない場合もありますか? お手数をお掛けしますが、どうか回答を宜しくお願い致します。

ビスフォスフォネート製剤は、骨を溶かすような転移がある場合に使うのが標準です。病的な骨折や、痛みを減らす効果があります。骨転移予防の有用性は確立していません。この薬剤はどこの施設でも使用可能です。乳がん組織を調べて、ホルモン受容体が陽性の場合(ホルモンの影響を受けるタイプ)には、骨転移に限らず、ホルモン療法が有用です。閉経状態によっていろいろな薬剤があります。ホルモン療法の適応かどうかも含めて主治医にご相談ください。(文責 徳田)

 

No.5254】 06年05月02日     N 
頻尿について

いつも参考にさせていただいてます。31歳です。一昨年冬にステージ1、リンパ転移なし、ホルモン+、右乳房を温存手術後、抗がん剤治療をしています。去年8月からノルバを、秋からゾラをしています。一週間前くらいに右の太股の付け根のVゾーンのあたりがなんか痛いなと思い、膀胱炎になってはいけないと頻繁にトイレに行くようになりました。付け根の痛みはあったりなかったりで、排尿痛はありません。尿意を気にするからか、最近は絶えず尿意があるような感じがして、また残尿感がありスッキリしません。主治医の病院が休みなので別の病院に行って簡単な尿検査をすると、「尿が濁っているが塩分みたいな感じだ。蛋白も糖もないし、血尿もない。」と言われました。来週主治医のところへ行く予定ですが、どういうことが考えられますか? 何か黄色いおりもののようなものも今日はありました。

メール内容からの推測の域を出ませんが、乳癌との関連性はうすいように思います。泌尿器科を受診し、ご相談下さい。(文責 須田)

 

No.5253】 06年05月02日     Y.F. 
分泌液細胞診の結果について

一般検診のエコーで両乳房にしこり様の物が一つずつ確認されました。その後乳腺外来でマンモグラフィー、分泌液細胞診を行ったところ、悪性のしこりは無し、ただし右胸の分泌液検査結果が "ステージ3A"/2ヵ月後要再検査、左胸に関しては"ステージ1"で異常なし、とのことでした。比較的左胸のほうが乳首に痒みがあったり、稀にかさぶたが出来ていたりして心配だったのですが・・・。因みに、出産・授乳経験はありませんが、両乳房から黄色/乳白色の分泌液が見られます。
1) 今後どのような乳がん検査が必要になりますか。現段階でセカンドオピニオンは必要でしょうか。
2) 乳頭からの母乳等の分泌が不妊の可能性も示唆すると伺ったのですが、(脳下垂体異常など…)具体的にどのような検査を受けたらよいのでしょうか。 

ご教示頂けますでしょうか?宜しくお願い申し上げます。29才女性です。

細胞診の結果 ClassVA であった場合、マンモテック(分泌液中のCEA)、細胞診の再検、乳管内視鏡、乳管撮影、MRI等の検査が考えられます。セカンドオピニオンを求める前に、先ず今後の方針や検査の内容などについて、主治医の先生から十分な説明を伺う事が必要だと思います。また、脳下垂体異常等については、ホルモンの検査、CT等の検査がありますが、これについても、先ずは主治医に納得のいく説明を受けて下さい。それでも疑問点、不安点が残る場合は、セカンドオピニオンを考えるのも一つの選択肢かもしれません。(文責 須田)

 

No.5252】 06年04月30日     Y 
ジェネリック医薬品

いつも参考にさせていただいております。ただ今ホルモン療法真っ只中です。最近ジェネリック医薬品の事を耳にしますが、ノルバデックスに替わるお薬はあるのでしょうか? 何か違いはありますでしょうか? また担当医になかなか言い出しにくいと言う事もお聞きしますが、如何なものでしょうか? 不躾な質問で申し訳ございません。

ノルバデックスは商品名であり、薬剤名はクエン酸タモキシフェンです。他にタスオミン、アドバン、エルマック、エルバックス、ソシゲーン等がありますが、薬効については同等と考えられています。各病院毎に院外処方、院内処方等、多少異なる点がありますので、担当医にご相談なさってください。納得のいく治療を受ける事が最も大切ですから、遠慮なく申し出てください。可能な限りご希望に沿って対処してくださるはずです。(文責 須田)

 

No.5251】 06年04月30日     K.Y.
乳ガン検診で「要精検」と言われました

40歳以上は偶数年齢時に乳ガン検診(市民検査)ということで、マンモグラフィーと触診を受けたところ「要精検」という結果でした。「エコーで診てみましょう」と言われましたが、明日よりゴールデンウィークに入ることもあり、エコー検査は10日後になりました。触診の所見ではしこりではなく、「左に硬結あり。位置C(左上)大きさ2×2センチ。表面は平滑。圧痛、腋リンパ節なし。」マンモグラフィは左右共白い影が映っていました。痛みや分泌液などは全くありません。3月9日に子宮筋腫で子宮全摘手術を受けたので、生理はありません。先生は「急がないので」とおっしゃいましたが、心配でたまりません。調べた限りでは乳ガン以外で当てはまるとすれば乳腺症ぐらいだと思うのですが、痛みがないので、そういう場合もあるのでしょうか?

要精検の理由としては、「@触診所見での「左のC領域の硬結」を精査しましょう Aマンモグラフィーでカテゴリー3以上」の2つの場合が考えられます。先生が急がないと仰っているのであれば、おそらく触診所見で精検となったのでしょう。いずれにしても、Echo検査を行って、視触診、マンモグラフィー、エコーの所見を合わせて総合的に判断する事になると思います。乳癌と痛みとは、あまり関係はありません。痛みのあるなしに関わらず、少しでも乳癌を疑う要素があれば要精検となります。確率的には要精検と言われた方の大部分は乳腺症の診断となりますが、乳癌でないことを確認するためにも精査が必要です。(文責 須田)

 

No.5250-1】 06年04月30日     M 
右脇下の痛みについて

現在不妊治療中なのですが、2月後半から3月後半にかけてだと思うのですが、右脇下が腫れて痛みました。病院で先生に相談したところ(妊娠が判明した頃)、「妊娠が影響しているのかもしれないし、大きくなったり、激しく痛むようならまた相談してください」とのことでした。その後、流産というかたちになり、妊娠の影響が無くなるにつれ脇の腫れや痛みはなくなりましたが、今日また引きつるような感じがして痛み、少しはれているようなのですが、何か病気だと考えた方がいいのでしょうか? このまま不妊治療を続けない方が良いのでしょうか? 数年前にも小豆大のしこりのようなものを感じ(痛みは無かったと思います)、総合病院に行きました。その時は、皮膚科を受診するように言われ、受診したところ「心配するものでは無い」と言われました。「心配なら手術で取ることも」と言われましたが、そのまま経過をみていたら、いつのまにか消えていたのですが、これも関係あるのでしょうか? 宜しくお願いします。

直接診察しなければ分かりませんが、メール内容から判断する限り、おそらく副乳だろうと思われます。妊娠によって、乳房と同様に腋窩にある副乳も母乳を作るための準備で発達したのでしょう。その為に腫れとして認識されるようになり、流産と共に消失したのだと考えられます。不安を打ち消すためにも、一度乳腺外科の診察を受けてご相談下さい。(文責 須田)

 

No.5250-2】 06年05月15日     M 
右腋下の痛みについて(2)

HPNo.5250では、返答ありがとうございました。忙しくて、まだ乳腺外科の診察は受けていませんが、昨日から、また右脇がつっぱっているような感じで、腫れています。不妊治療の方は、ピルを飲んでリズムを整えている段階なので、妊娠は考えられませんが、やはり副乳なのでしょうか? 不妊治療先の先生にも相談し、脇の触診をしていただきましたが、「リンパには触れないし、もう少し様子をみても良いのでは?」と言われました。それでも、心配なときは乳腺外科を受診したほうがいいのでしょうか? 普通の外科ではなく、やはり乳腺外科のある病院を探して行った方がいいのでしょうか? 度々すみませんが、お願いします。

リズムを整えているということは二相性ピルなのだと思います。黄体ホルモンの薬を飲んでいる時期に決まって腋がはるならば、副乳の可能性が高いです。ただ腋のつっぱりに関しては、副乳腺や、もちろん乳がんがなくても同じような訴えをされる女性は多いです。しかし悩んでいるより、「大丈夫なことを確認しにいく」くらいのお気持ちで受診されてはいかがでしょう。乳腺外科と標榜している場合と、普通の外科のなかで乳腺を専門にしていらっしゃる先生が「乳腺外来」として診察日を設定している場合があります。このいずれかを受診されたらよいと思います。わかりにくければ、受診しようと思う病院に電話して聞いてみられるといいですね。(文責 俵矢)

 

No.5249】 06年04月30日     N.K
脳転移

いつも親切な回答ありがとうございます。私の妻ですが、転移が肝臓と肋骨にあったのですが、先日の検査で脳への転移がみつかりました(5〜6箇所)。現在肝臓への治療が優先ということで、ハーセプチン+タキソテールをしています。又、頭への放射線治療は抗がん剤の治療と相性が悪いそうなので、まだ何もしていません。脳転移してしまったら、どうしたらよいのでしょう。担当医も信頼していますし、不満もありませんが、心配で苦しいです。望みはありますか?どんな望みですか?少しでも希望を持ちたいです。お願いします。妻はまだ34歳です。お願いします。

脳転移に対しては、ガンマーナイフ、全脳照射等の放射線治療や手術が考えられますが、治療成績は充分満足のいくものとはいえません。また、残念ながら現段階では脳転移に対する抗癌剤の有用性は困難を極めています。ただ、メトトレキサートの髄腔内投与が奏効したという症例は散見されております。主治医の先生と充分ご相談の上、納得のいく治療を進めて下さい。(文責 須田)

 

No.5248】 06年04月30日     S 
癌の大きさと転移・非浸潤について

38歳、未婚、お産の経験なし。姉が乳がんで家族歴もあります。先月エコーでしこりがみつかり、念のため細胞診をした結果クラス4でした。マンモの結果は聞いておりません。その後、MRIをとり、先生からは「あまり写ってないから可能性は低くなった」とのことでしたが、また念のため組織検査をして結果待ちです。先生の話によると、「もし悪性だとしても7mmくらい(芯が7mmくらいで、全体的には1cmくらい)の小さいものなので、心配することはない」と言われました。そこでお伺いしたいことがあります。
1) 結果と関係なく最初からセカンドオピニオンを受けたいと思っていましたが、組織検査をして一ヶ月も経たないうちに、また針をさして組織検査をしたりMRIをとったりしても悪影響はないかということです。
2) 悪性の場合、大きさは例え7mmの小さいものだとしても転移は十分考えられるのでしょうか。
3) MRIであまり写っていないということは、もし悪性だとしても非浸潤性である可能性が高いということでしょうか。

この相談室は色々読んでとても勉強になりましたが、皆さんおっしゃるように検査も先生も状況も様々なので直接お伺いすることにしました。宜しくお願いいたします。

1) 細胞診で ClassW は、乳癌が疑わしいと言う事を意味しますが、乳癌と確定したわけではありません。そこで必要になってくるのが組織診です。次に、もし癌であった場合、術前に癌の大きさを把握するためにMRIの検査を行う事になります。MRIは悪性・良性に関わらず病変の広がりをみる検査です。組織検査もMRIも前述のような意味で必要な検査ですので、体に対する検査の利益、不利益を天秤にかけると、益の方が大きいという事で、必要に応じて行う事になります。
2) 小さな癌でも転移がある場合もあります。充分な検査が必要です。
3) 前述したように、MRIは悪性・良性に関わらず病変の広がりをみる検査です。写っていないということは、あまり広がっていないという事であり、癌の浸潤・非浸潤を区別しているわけではありません。(文責 須田)

 

No.5247】 06年04月30日    T 
良性悪性の診断の為の摘出生検

初めての相談です。よろしくお願いします。現在37歳です。人間ドックに入ったことから異常が認められました。右乳房に1cmのシコリらしきものが発見されました。マンモグラフィーでは異常は認められず、超音波エコーで見つかりました。その時の資料を全て持ち、近隣の県立がんセンターの門を叩いたのは3月初めです。その後改めて超音波エコー検査を受けました。その時点では主治医に「乳管が広がっているようで、乳腺症だと思う」と言われました。「確実でしょうか?」と尋ねると、「通常は悪性だった場合、血液が流れ込んだりしているのが画像でわかるんですが、それもないので違うと思います。念のため針を刺しましょう。」ということで、更に詳しくみることなりました。4月上旬に超音波エコーガイド下組織診(針生検)というのを行いました。中旬に結果を聞きに行ったらば、「悪性とは言い切れないが、かと言って良性とも言い切れない。」 要するに病理診断がつきませんでした。主治医の先生も予想外だったようで、「今電話で結果だけ聞いただけなので、手元に結果は来てないんですよ。・・・切った方がいいんじゃないかっていうんですが・・・どうしますか?」と言われて、困惑して答えは見つけられませんでした。その後の話では、「摘出して生検すれば良悪の診断ができるし、万が一悪性だったらば性質等全て判る」と言われました。診断もつかない状態で体を切ることに正直抵抗があり、他の選択肢の可能性の有無を尋ねると、「経過観察で3ヶ月ごとにエコーでみて、もし大きくなっていたら針を刺して状態をみるという方もいます。」ということでした。切ったら1.5cmほどの傷はできるとも。結局その日は先生も手元に詳しい検査結果がないので、次回ということになり、明日改めて話を聞きに行きます。まだ決心はつきません。摘出生検ほど体に浸襲のない病理診断方法は、もうないのでしょうか? 女性にとって、つらい決断です。良性だったら精神的にかなり落ち込むだろうし、又、万一悪性ならば、経過観察を選択すれば命が危険にさらされます。結局は自分で決めるしかないのは解っていますが、相談できる人がおらず困っています。ご助言、よろしくお願いします。また、万一悪性だった場合、針を刺したり、摘出生検をすることは、かえって進行させると聞きましたが、その点はどうなのでしょうか? 私も組織診のため、約2−3mmの針を局部麻酔の上、刺しました。その場合悪性だったことも考慮に入れて、摘出して生検を受けたほうがリスクは少ないのでしょうか? 摘出生検をした場合、術後体に何か深刻な副作用的症状はでますか?

どのような病気でも、検査をする時は、体に侵襲が少ないものから行う事になります。従って、心臓の検査でも、触診、聴診、心電図、Echo検査等、体に侵襲のないものから行ない、入院でのカテーテル検査と進めるのが一般的です。乳腺疾患の場合、視触診、マンモグラフィー、超音波、CT、MRI等の侵襲のないものから、吸引細胞診、針生検、外来生検、入院での迅速診断と進めていきます。貴女の場合、「診断もつかない状態で体を切ることに正直抵抗があり・・・」とありますが、主治医の先生は、検査の原則通り、針生検で診断がつかないので、次の検査として生検、迅速診断を勧めているわけです。生検を行なわず、針生検を繰り返す事も一般に行われている事ですが、何もしないて経過を見ていても診断がつくわけではありませんので、原則論通り診断をつける為に生検を行うのが良いと思いますが、あくまでも決定するのは貴女自身です。通院でできる検査ですから、一般にはそれほど深刻な副作用はありませんが、検査の必要性、それに伴う利益・不利益を充分に主治医に伺い、納得のいく選択をしてください。(文責 須田)

 

No.5246】 06年04月27日    I.M 
細胞の検査について(HPNo.5175-2)

No.5175で相談させていただいた者です。あの後すぐに乳腺外来の予約をとって診察していただき、細胞をとって検査しました。鶏卵程の腫瘍が見られ、中に水がたまっているとの所見でした。かなり水がたまっているらしく、検査の時、針をさしたらサラサラした液体が流れました。本日、検査結果を聞きに行ったところ、一応良性だが、前回採れた細胞が少なかったので(少ない細胞で良性とするのは不安だということらしいのですが・・・)再検査となり、また細胞をとりました。少ない細胞で良性でも、たくさん細胞を採って再検査したら悪性ということは有り得るのでしょうか? また1週間、不安な気持ちで過ごさなければなりません。宜しくお願いいたします。

もともと細胞診の検査は、どこの施設(病院)で、どんな先生が行っても、一回の検査で確実に腫瘍細胞が取れるわけではありません。まして、のう胞性の病変では、内容液の中の細胞成分は少なく、たくさんの細胞は採れません。従って何回か細胞診を行って、何回細胞診を行っても良性であれば、その病変は癌ではない確率が高くなるという事です。1回めの細胞診で良性との結果ですので、次回の結果も悪くない確率は高いと考えられますが、決定ではありません。ご不安な気持ちはわかりますが、癌でない事を確認するためにも結果を待って判断するしかありません。(文責 須田) 

 

No.5245】 06年04月27日    H 
胸のしこり

私は男性ですが、両方の胸の乳首周りに0.5センチ〜1センチのシコリが出来ました。最初は右、その次が左です。シコリが出来る前に熱が出て胸がチクチク痛みました。これは乳線の異常でしょうか? 乳癌でしょうか?

直接診察していないので、はっきりした事は申し上げられませんが、メール内容から判断する限り、おそらく女性化乳房だろうと思います。男性乳癌の場合は、しこりは乳輪と同心円ではなく、偏心性で、つれている場合が多く、年齢的にも壮年以降です。不安を取り除く意味からも、念の為に乳腺外科を受診して、ご相談下さい。(文責 須田) 

 

No.5244】 06年04月27日    H.O.
乳房温存手術について(HPNo.5189-2)

前回はご返答ありがとうございました。今回は手術の整形的な事についてお願いします。I期で、円状に切除するらしいのですが、胸のサイズは小さいほうです。ある病院では切り取ったあとのへこみを修正するために上下の脂肪を縫い付けるのだそうです。やせているほうなので、背中の脂肪は持ってこれないみたいです。ある病院は、あとで肉が盛り上がってくるので、切った後は何もしないほうが引きつれがなくて良い」ということでした。引き攣れは日にちが経てばどうしても出てくるものなのでしょうか? また術後疼痛に苦しむ方がいると聞きました。手術方法によって痛みの出方に違いがあるのでしょうか? 以上、よろしくお願いします。

乳房円状切除の場合、腫瘤から安全域を2cm取った場合、直径が [2cm + 腫瘍径 + 2cm]となり、少なくともφ4cm以上の欠損が大胸筋の前面まで出来ます。従ってサイズの小さい方では、「へこみ」が出来る事になり、乳腺欠損部に周囲の脂肪組織を補填して美容的再建を行う場合があります。整容的な面に関しては、腫瘤(癌)の大きさ、発生している場所、乳房の大きさ等により、それぞれの患者さんで異なってきますので、主治医によくお話を伺って下さい。創の引きつれ(創傷の治癒)、術後の疼痛に関してもケースバイケースで、様々です。患側の腋窩から上腕にかけての疼痛及び知覚障害については、腋窩リンパ節を郭清した場合、知覚神経である肋間上腕神経を切断するために発生しますが、神経を温存しても大差ないという報告もあります。ただし、センチネルリンパ節生検によって腋窩郭清をしなくてすむ場合は、このようなことが避けられます。いずれにせよ主治医の先生に充分お話を伺い、納得のいく治療を受ける事が大切だと思います。(文責 須田) 

 

No.5243-1】 06年04月27日    K.M.
術後の治療について

いろいろな方の相談内容を見ました。3/14に日帰りで右胸上部のしこりを取り、検査の結果乳癌であることがわかりました(針生検では取れなかった為)。その後設備のある大学病院にて温存方法で追加切除をし、その際にセンチネルリンパ節生検をしました。結果は、腫瘍の大きさ1x0.7x0.6・リンパ節移転の個数0個・腫瘍悪性度3・ER陽性・PgR陽性・HER2陰性・脈管への侵襲あり・追加切除に癌はなく、ステージ1でした。現在46歳、既婚、子供2人(16歳・12歳)です。主治医の先生からは、今後の治療は「ホルモン療法と放射線治療でいいのでは」とのことですが、腫瘍の悪性度3が自分の中でひっかかっています。追加で化学療法をした方が、再発リスクが大幅に下がるのでしょうか? ご意見をお聞かせください。宜しくお願いします。

術後の治療法選択に関しては、2005年のSt.Gallen のコンセンサスレポートが広く受け入れられています。それに従うと、先ずは内分泌反応性の評価をし、次いで再発リスク(リスクカテゴリー)の評価を行う事になっています。リスクカテゴリーに関しては、low risk、intermediate risk、high risk の3段階に分類されますが、貴女の場合、「腋窩リンパ節転移陰性、病理学的腫瘍径2cm以下、HERU陰性、年齢35歳以上、腫瘍悪性度3、脈管浸潤(+)」から総合的に判断して intermediate risk という事になり、治療方針としては、内分泌反応性がありますので、@内分泌療法単独、A化学療法 + 内分泌療法 のいずれかが推奨されています。
内分泌反応陽性の患者さんについては、intermediate riskであっても、内分泌療法単独で治療することが前提となります。内分泌反応陽性の患者さんに化学療法を併用する具体的な基準は、コンセンサスレポートには明記されておりません。「内分泌療法に対する反応性が確実か、不確実かの程度、或いは再発の相対的なリスク、年齢、忍容性(毒性)、社会経済的な問題、患者さんの希望などを考慮して決める」と記載されており、これに従って治療方針を決める事になります。更に、化学療法→内分泌療法については、タモキシフェンと化学療法を併用する場合は、化学療法終了後に投与を開始(順次併用)する方が有効であることを示唆するエビデンスがあることから、タモキシフェン、トレミフェン等は同時併用ではなく、順次併用という事になります。ただし、ホルモン剤でもアロマターゼ阻害剤やLH−RHアゴニストに関しては、化学療法と同時併用する事で有効性が低減するというデータはなく、同時併用しても問題はないと考えられています。
以上の事柄を考慮して、今後の治療方針を決定する事になりますが、悪性度が3である事、脈管浸潤(+)である事を考慮して、念の為に化学療法を加えるという選択肢もありますので、主治医と充分相談し、納得のいく治療を選択して下さい。(文責 須田) 

 

No.5243-2】 06年05月18日    K.M.
放射線治療

前回HPNo.5243で質問しました。回答を参考に本を読んだり、インターネットで調べたりして、ホルモン治療をしていくことに決め、5/9より治療を開始しました。今回の質問は、放射線治療のことです。主治医の先生のお話では、「最初の手術で癌が取りきれていて、追加切除した中には癌が見つからなかったため、放射線治療はしてもしなくてもいいです。」とのことでした。放射線治療は、癌のあった周りにしか有効性がないとも言われました。温存であるのなら、やはり放射線治療を受けたほうが再発率が下がるのでしょうか。

手術標本の検査結果や手術年齢などによっては、放射線治療を省略する場合もありますが、一般的には「乳房温存治療=乳房温存手術+放射線治療」と考えられています。海外での臨床研究では、乳房温存術後の放射線治療によって乳房内再発率(多発乳癌が再増殖してくる場合も含めて)は、おおよそ1/2から1/3に減少できると報告されています。日本乳癌学会から発行されている「乳癌診療ガイドライン」においても、早期乳癌における乳房温存術後の放射線照射は、「強く推奨するグレードA」と記載されています。(文責 千島)

 

No.5243-3】 06年07月10日    K.M.
ホルモン治療中の市販薬の使用について

以前に2回メールさせていただきました(HPNo.5243)。いつも大変参考になっています。ホルモン治療中の市販薬の使用について、ご意見お聞かせください。18年5月から月1回のゾラデックスの注射と、朝・夜1錠ずつのノルバデックスを服用しています。まだ2ヶ月ちょっとですが、沢山の汗とのぼせに悩まされています。疲れもなかなか取れず、朝起きるのもつらい毎日です。その症状を緩和するのに市販薬(たとえば命の母Aとか)を服用しても、治療中の薬の効き目には影響がありせんでしょうか。ご意見、宜しくお願い致します。

服用しても治療中の薬の効き目には影響がないと考えます。(文責 石川)

 

No.5242】 06年04月27日    N子
漢方について(HPNo.5146-2)

No.5146でホルモン療法中の手指の痺れについて相談したものです。更年期障害の症状のひとつということなので婦人科を受診して相談したところ、当帰しゃく薬散を処方されましたが、注意書きをよく読むと、『排卵を誘発し、排卵障害を治療するお薬です』と言う記述がありました。ホルモン療法中であることはお話し、処方していただいたのですが、気になります。このまま飲み続けても大丈夫でしょうか?

当帰しゃく薬散が更年期障害の症状を改善するのは、プロゲステロンの分泌をマイルドに促す作用によるものですが、エストロゲンに対する作用は良くわかっていないようです。“ツムラ”の医薬品に関するお客様相談窓口は 03-3221-9700 です。不明な点は、ご相談下さいとのことです。(文責 須田)

 

No.5241】 06年04月25日     R
生検後の痛みについて

前回「HPNo.5104 06/03/25 脇の痛みについて」で相談させて頂いたものです。その節はお世話になり、ありがとうございました。あれから安心して生検まで待つことにし、無事生検も終了しました。結果は良性の線維腺腫でした。4月7日に生検をし、今はガーゼも取れて通院も二ヵ月後となったのですが、4月15日辺りから生検をした方に痛みがあります。傷から下方向にかけて神経痛の様な痛みです。肋骨辺りまで伸びています。朝起きてすぐは痛くないのですが、日中、腕を上げたり、体をそらしたりするとピキーッっと痛みが走ります。皮膚のすぐ下辺りなので、その部分を押さえても打ち身したときのような痛みがあります。まだ生検から日が浅いせいでしょうか。今までこんなことはなかったので気になります。次の外来は2ヵ月後なのですが、様子を見たほうがいいでしょうか。仮に生検後に神経痛を引き起こす可能性などは、よくあることなのでしょうか? お忙しい中申し訳ございませんが、お返事いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

生検部分の痛みは、とても敏感なところに手術を受けられたわけですし、訴えられるかたが多いです。基本的には日がたつにつれ良くなってきますが、ご心配なようでしたら、次回予約前に診察をお受けになることをお勧めします。(文責 首藤)

 

No.5240】 06年04月25日      Y.Y.  
フェアストンとノルバディックスの副作用について

初めてご相談します。最近、コンタクトレンズがかすむようになり、買い替えに目医者に行ったところ、白内障だと言われました。年齢が若いのにと言われ、薬の副作用や、ストレスなどで若い人もなりますと言われました。薬の副作用といえば、思い当たるところ、1999年に40歳で乳がんの手術をして以来、フェアストンとノルバディックスを飲み続けていました。ノルバディックスは20mgを1錠ずつ5年間、フェアストンは40mgを3錠ずつ2年と1錠ずつ1年です。幸い主だった副作用も再発もなく、薬は2004年春からは飲んでいません。白内障の手術は10分少々ですぐ終わるものだと知っていますが、できれば今のまま進まないようにしたいと思っています。目薬を使用するのに、コンタクトレンズは使用できないと言われてショックを受けています。60歳を超えたら白内障もありかなと思っていますが、私の家族に誰も白内障の者はおらず、考えたこともなかったです。健康診断の結果、他に糖尿などの病気もなく、いたって元気です。薬の副作用について調べようとしたところ、このサイトに出くわしたので、ご報告がてら、ご相談です。乳がんのホルモン剤を飲んでいらっしゃる方で、どれぐらいの方が白内障になるのでしょう。私の場合がホルモン剤の副作用としたら、まれなケースでしょうか?

ノルバデックスでは0.1%程度(千人にひとり程度)と少数ですが、副作用として視力障害、白内障などがみられるようです。ホルモン剤との因果関係は頻度的に薄いと思いますし、ほかの原因でも白内障の発生は考えられるので、一度主治医にご相談されることをお勧めします。小生の経験としては、明らかな「ホルモン剤による白内障」は経験がありません。(文責 首藤)

 

No.5239】 06年04月25日      A.B  
DCISについて

先日お医者様からDCIS(Ductal carcinoma in situ)−非浸潤性乳管ガン−だろうと宣告されました。昨日もう少し精密検査が必要だと言うことで、胸のしこりの細胞を取られました。結果は4−5日後に分かるそうですが、初日に先生が言うには、私のしこりは大きいので、多分乳腺を左胸全部取る事になるだろうと・・・。私は33歳で、1歳になる娘を授かったばかり。これからもう一人くらい子供をつくろうと思っていた矢先に、こんな言葉はショックでした。私の周りで乳がんの人は乳房切断すらしていないのに、どうしてガンまで発達していない私が乳房切断なのかとやりきれません。6ヶ月ほど前に(その時はまだ授乳をしていました)、地元の先生に同じしこりを見てもらった時は、お乳がつまっているので大丈夫と言われたので全然気にもしていなかったのに、今ではこんな状態。悔やんでも悔やみきれません。乳房切断は逃れられないのでしょうか? 将来子供に両方のお乳をあげることはできなくなるのですか?

DCISは浸潤癌とちがって、リンパ管や静脈に癌細胞に入り込んで転移を起こす可能性がまずありません。その点早期乳癌としてそれはそれで良いのですが、乳房内の乳管の中で広く広がってしまうことがよくあります。この場合、広範囲にDCISが分布している場合には残念ながら乳房を切除しなければ取りきれないことが多いのです。あなたのDCISがどの程度の広がりなのか分かりかねますが、そのあたりを主治医にしっかり説明を求められてはいかがでしょうか。(文責 首藤)

 

No.5238】 06年04月25日      M.N.  
乳房のしこりについて

はじめてメールさせていただきます。私は現在26歳の男です。気づいたら(昔から?)右の乳房の奥?にしこりがあります。2cmくらいでしょうか。触ると少し痛みます。しこりのせいか、右胸だけ肥大して膨らんでいます。これは何かの病気でしょうか?

おそらく女性化乳房だと思いますが、一度乳腺専門医を受診されることをお勧めします。(文責 首藤)

 

No.5237】 06年04月25日      S.E. 
ホルモン療法の副作用について(HPNo.4745-2)

以前HPNo.4745でご相談させていただいたものです。その節はありがとうございました。結局全摘手術をし、ホルモン受容体が+だった為、現在ゾラテックスとノルバテックスを行っています。ゾラテックスは三回打ちました。現在副作用と思われるホットフラッシュが結構でています。ホットフラッシュが出るのは覚悟していましたが、お聞きしたいのはそれ以外の症状です。
1) 体温を測ってみているのですが、平熱が以前は36.7度位と少し高いほうだと自分では思っていたのですが、最近36度を切る事も多くなり、これも副作用の一つでしょうか?
2) ここ数日右下腹が、座っていると全然なのですが、歩いたり体重をかけると、突っ張ったような感じで鈍い痛みがあります。左も今日は似たような症状が出てきました。婦人科を一度受診したほうが良いのでしょうか? (あまり大きくない筋腫は10数個持っていますが、ホルモン療法でこれも減ってくると思っているのですが・・・)
3) デパス錠0.5mmを寝る前に服用していますが、常用しても大丈夫ですか?(主治医に眠剤をお願いしたら、デパスの方が良いと言われ、出してもらいました)

以上、お忙しい所お手数ですが、よろしくお願いします。

1) やはりホルモンの状態が変わりますので副作用の可能性はあります。ゾラデックス単独でも約1/3の方でほてり感を認めていますし、実際に発熱(平熱以上)される方も報告されています。 
2) 問題ないと思いますが、ご心配ならば一度婦人科を受診してください。 
3) 問題ないと思います。(文責 首藤)

 

No.5236-1】 06年04月25日    k
検査法について

43歳。2年前からカテゴリー4の石灰化があり、1年前(その時エコーで影なし)、マンモト−ムで中程度異型の過形成あり、乳腺症と診断。最近その同じ近辺に、エコーで5ミリ程度の影がみつかりました。「細胞診 : Atypical cystic lobuleの可能性がある異型細胞を一部認める。結晶状石灰化小体が採取される。 MRI : 染まりは不均一、結節状に染まりの強い部分もみられるが、前回(約2年前)のMRIとあまり変化はみられないが、malignancyか否かの鑑別は容易ではない。」という結果が出ています。5ミリの影が奥深く、筋層と近い為コアニードルやマンモトームは無理で、生検するとすれば手術になるそうです。とりあえず2ヶ月後にエコーで経過を見て、それから生検するかどうか考えるということになりました。
1) 2ヶ月待たずに生検するべきですか?
2) 生検で先に組織(腫瘍)をとってしまったら、もし癌であった場合、後からセンチネルリンパ節をみつけることは出来るのですか? 乳頭より下方に病変があります。
3) 5ミリくらいの小さな病変は内視鏡で手術するのは無理ですか?
4) malignancyとは癌という意味ですか?    

よろしくお願い致します。

1) 2年前からの病変であれば、変化をみるために2ヶ月待つことは妥当だと思います。
2) 見つけることは可能ですが、切除後は同定率(センチネルを見つけ出す率)は下がります。
3) 5mmの病変が何らかの要因で周囲とはっきり区別できるのでしたら可能かもしれませんが、実際は非常に困難だと思います。
4) 悪性、という意味です。殆ど癌と同意語です。(文責 首藤) 

 

No.5236-2】 06年04月30日    k
検査法について(2)

お返事ありがとうございました。切除後はセンチネルの同定率が下がるということですが、組織を調べる方法が手術しかないような場合、先にとってしまうということより他、何か方法は考えられますか? 主治医の説明で、病院としては最近やるようになったらしいですが、「もともと乳頭の方から同定する方法でしているので、先に摘出しても問題はない」というようなお話でした。しかしそれは本来、不十分だということなるのですね? やはり結果が癌であった場合、同定率が下がるのは不安だと感じるのですが…。それとも、その病院がそういう方法でやっているということは、一般的にいずれの方法も気にするほどの低下率ではないと考えていて良いものなのでしょうか? 何度も申し訳ありません。

センチネルリンパ節生検では、肥満患者、高齢患者、腫瘍の占拠部位が内側領域で、同定率が低下します。また切開生検施行症例でもトレーサーの注入の部位量を工夫しないと同定率は低下し、正診率に影響します。そこで外来生検に代わる方法としては、入院での迅速診断が考えられます。病変部を摘除後、病理診断を行ない、癌であれば引き続き治療のための手術を行いますが、その時にセンチネルリンパ節生検も行います。主治医と充分ご相談下さい。(文責 須田) 

 

No.5236-3】 06年05月05日    k
センチネルリンパ節生検について

分かりやすい回答をいただきありがとうございました。センチネルリンパ節生検を検索していて、ひとつ疑問に思った事があるので、申し訳ありませんが質問させて下さい。主治医の説明では、転移があった場合いったん乳頭に集まり、それから脇の下のリンパ節に行くと考えられているので、乳輪下に色素を注入する方法でセンチネルを同定するということでした。しかしそういう方法は私が調べたところでは書かれてないようで、一般的な方法ではないのでは…と疑問に思ってしまうのですが、そのようなやり方も認められた方法 なのでしょうか?

乳腺のリンパ管は3つの系があり、2つは浅系、1つは深系のものです。これらのリンパ流は乳輪下リンパ叢に集まり、そこから1〜2本の太いリンパ管が腋窩へ向かっています。その為にセンチネルリンパ節を同定する時、トレーサーとして様々な色素やアイソトープが乳腺組織内(腫瘍周囲)、皮下(腫瘍直上)、或いは乳輪下に注入される事になります。当初は腫瘍周囲にトレーサーを注入していましたが、最近では腫瘍直上の皮下注入や乳輪下注入が注目されています。これらの注入部位にはリンパ管が豊富にある為、トレーサーが用意に取り込まれることになり、特に乳輪下注入ではセンチネルリンパ節を高率に同定できるという利点があります。しかし、頻度は低いのですが、皮下注入や乳輪下注入によって同定されるリンパ節が腫瘍周囲注入と一致しない事があり、今後の検討課題となっています。(文責 須田)

 

No.5235】 06年04月25日    Y.Y
レトロゾールの適応基準について

いつも拝見しており、先生方には感謝の気持ちで一杯です。No.5173の質問に関連しての質問です。現在53才、今年9月でノルバ5年服用を終える予定です。化学療法開始から生理はずっとありません。左乳房全摘、リンパ節転移2コ、ステージW。主治医は今後の治療はあまり考えていないようですが、経過順調でも私自身は迷っています。ノルバ5年後、ホルモン療法を続けるなら、どんな選択肢がありますか? 副作用など含めて、よろしくお願い致します。主治医と話し合ってみようと思います。

ステージIVというところが問題なのですが、タモキシフェン5年後のホルモン療法としてはレトロゾールの有効性が指摘されています。よく主治医の先生とご相談なさってください(文責 首藤)

 

No.5234】 06年04月25日     I 
局所的非対称性陰影という診断結果について

ご相談させて頂きたく、メールさせて頂きました。妻(39歳)が健康診断を受け、その結果、「乳腺X線検査で局所的非対称性陰影(LL)」を認めるといった内容の結果が届きました。触診、エコー検査では異常なしとの事でしたが、40歳を前に一度検診を受けるべきと勧めて受けさせた結果にこの様な記述がありましたので、正直驚き、今後の対策を考えねばと悩んでいるところです。この言葉を調べているうちに、こちらのメール相談室を発見し、メールさせて頂いた次第です。取りあえずは専門医で精密検査を受ける事が先決である事は百も承知なのですが、この言葉の意味(素人でも判る様に)をお知らせ頂けないでしょうか? また、この様な結果が現れた場合は、可能性として、どの程度最悪のケース(乳がん)の可能性があるのでしょうか? また、精密検査を受診すべきと記述されているのですが、どの様な検査を受診すべきでしょうか? ご面倒をおかけ致しますが、ご回答頂ければ幸いです。宜しくお願い申し上げます。

基本的に乳房は左右対称にできていると考えると、マンモグラフィで左右比べたときに局所的に反対側と比べてより白っぽく写るところ(局所的非対称性陰影)には何か腫瘤があるかもしれないから要注意、ということです。実際には完全に左右対称な乳房というのはなく、どうしても左右非対称な部分が出てきます。それがマンモグラフィ上顕著な状況ならば、そこに腫瘤がひそんでいるか、あるいは正常だけれども左右差があるだけなのかを見極めるために要精査としてチェックし、更にその部分に超音波検査などを行うわけです。触診、エコーで異常なしであれば正常な乳腺の左右差かもしれませんし、ひとまずご安心いただいて結構だと思います(文責 首藤)

 

No.5233】 06年04月25日      M.I. 
乳頭腺管癌

はじめてメール致しました。よろしくお願い致します。43才閉経前、昨年12月に右乳ガン温存手術を致しました。浸潤性乳ガン、マンモグラフイーカテゴリー5、ER(+)、PGR(+)、腫瘍1.5センチ HER−2、+2陽性だが感受性なし、リンパ節転移なし。化学療法FEC75の6クールを5回終了し、残り1回終了後、放射線療法を25回する予定。終了後ホルモン療法に変わると言われています。「術後の検診は年1回でいい」とも言われています。お伺いしたいのは、主治医の先生は、ハーセプチン投与はしなくていいとの事でしたが、やはりそうでしょうか? 私の場合、閉経まで飲み続けた方がいいとも言われましたが、その場合どういう薬の組み合わせが理想でしょうか? やはり、閉経まで飲み続けた方が理想でしょうか? 術後の検診は年1回と言われて、すごく不安なのですが、年1回の検診で大丈夫でしょうか? 転移が心配です。たわいもない質問で申し訳ありません。宜しくお願い致します?

Her2陽性だが感受性なし、というところで術後補助療法としてのハーセプチン療法は治療の選択肢からはずれたのだと思います。閉経前内服ホルモン療法としては、タモキシフェンの5年間投与が第一選択になると思います。術後の検診(CTや骨シンチ、マンモグラフィなど)は一年に一回行う施設が多いと思います。温存乳房の触診などは、もう少し短い間隔で行うと思います。(文責 首藤)

 

No.5232-1】 06年04月24日       y y
線維腺腫について

43歳です。3月に会社の健康診断の超音波検査で、しこりが発見され“FAの疑い”ということで再検査通知がきました。病院名とお医者様名の入った紹介状も同封されており、先日受診しましたが、この時も超音波検査のみで“線維腺腫”という診断がつきました。40分ほどかけての丁寧な検査ではありましたが、女性技師の方が撮影終了後、先生を検査室に招き入れ、「ここに3つありますが、大丈夫ですよね。」の技師の問いに対し、「そうだね。線維腺種だね。」「石灰化が認められますが、以前より乳腺症があったようですし、OKですよね。」「そうだね。OKだね。」 2人のやり取りの最後に、私の方に向かって、先生が「あの検診の画像は実は私が見てるんだよ。年齢からしてもう大きくならないだろうし、来年の健康診断まで放っておいて大丈夫。はい、終了。」 確かに10年ほど前にマンモグラフィーにより乳腺症と診断され、現在に至るまで放っておいた経緯はありますが、今回は超音波だけで簡単に診断はつくのでしょうか。先生の私に対する説明が1分にも満たず、着替えを終えて検査室から出た時には先生はもういらっしゃいませんせんでした。FAとは何かの質問もできず、結果が良好だったにも拘わらず、不安を拭いきる事が出来ません。長々と申し訳ありません。1年間放っておいても大丈夫でしょうか。丸い形と粗雑な形とあったように見えました。ちなみにその病院にはマンモグラフィーはないようです。

FAとは Fibroadenoma、つまり線維腺腫の略です。検診の画像は、おそらくマンモグラフィで比較的粗大な石灰化をみているのでしょう。線維腺腫に伴う典型的な良性の石灰化ではないかと推察します。その部分を超音波でみても線維腺腫として矛盾しない画像だったので、両者を併せて線維腺腫・良性として一年後にもう一度みましょう、ということになったのだと思います(文責 首藤)

 

No.5232-2】 06年04月27日       y y
線維腺腫について(2)

HPNo.5232では、ご回答有難うございました。説明が下手で申し訳ありません。10年前のマンモの検査は、乳頭より透明な液が出ていた為、婦人科を受診したところ外科を紹介され、さいたま市内の病院で検査したものです。その際乳腺症と診断されましたが(しこり無し)、ずっと放っておりました。今回は会社の検診でしこりが見つかり、紹介状が入っておりましたので、その紹介状の都内病院にて超音波検査のみ受け、線維腺腫と診断されたものです。よって、今回初めての病院で超音波検査のみで、視診も触診もマンモ検査もありませんでした。このような経緯となっておりますが、乳がんの疑いはないでしょうか。お忙しい所申し訳ありませんが、お願い致します。

画像上、線維腺腫と似た像をとる乳癌もあります。乳癌でない事を確認するためにも、細胞診、又は腫瘍径が2cm以上あるようでしたら、生検を含めた検査を考慮したほうがよいと思います。主治医とご相談下さい。(文責 須田) 

 

No.5231】 06年04月24日      JM
のう胞について

のう胞について教えてください。年齢は40歳、子供ありです。乳がんの検査をして、のう胞に気になる石灰化があるということで細胞検査をしましたが、「大丈夫でしょう」との事で、しばらく様子を見るように言われました。私も気になり、しこりを触っていたからか、ここ半月でしこりがはっきりわかるくらい大きくなりました。急に大きくなった感じです。下記について教えてください。
1) のう胞は大きくなりますか?
2) 心配しているのなら切り取ってしまいたいのですが、悪性と決まっていない場合、取る人は少ないですか?
3) のう胞は安心できるものでしょうか?

どうぞよろしくお願いします。

のう胞は液体の貯留したものですから、内容物が何らかの原因で増えた場合、大きくなることはあります。良性か悪性かの判断が画像診断や針生検などでどうしても困難な場合、切除して調べるという選択肢もあります。水のような液体が貯留した単純なのう胞であれば心配はいりません。(文責 首藤)

 

No.5230】 06年04月24日    TI 
細胞診について

39歳です。初めてマンモグラフィとエコーを受けました。結果、右に脂肪17ミリ、左に乳腺症と言われました。「95%大丈夫、心配なら細胞診をしますか」と聞かれました。細胞診をした方が良いでしょうか? 細胞診をして細胞に傷ができ、悪性になるということはないのでしょうか? 乳腺症を治すには、どうすればよいでしょうか?

ご心配ならば細胞診をされた方がよいでしょう。細胞診をしたからといって悪性になることはありません。(文責 首藤)

 

No.5229】 06年04月24日    K.Y
石灰化について

私は初めての乳がん検診にて、両胸の石灰化がみつかりました。「カテゴリー4」の診断で、すぐ近くのがんセンターで精密検査をしてもらいました。悪性の可能性があるということで、すぐに「マンモトーム生検」をいたしましたが、幸い「良性の石灰化」と診断されました。質問なのですが、一度良性と診断された石灰化が、その後悪性に変化することはあるのでしょうか? また、新たに悪性の石灰化ができる可能性もあるのでしょうか? それとも、良性と言われたならば、石灰化については今後一切心配しなくていいのでしょうか? 初歩的な質問で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

カテゴリー4と診断された石灰化の部分がしっかりとれていて組織検査で良性であるならば、その部分に関しては悪性に変化することはないでしょう。しかし同じ乳房に将来的に悪性腫瘍ができる可能性は今回のエピソードとは無関係にあると考えた方がよいでしょう。(文責 首藤)

 

No.5228】 06年04月24日     A.Y.
病理結果及びホルモン治療について

相談室いつも参考にさせて頂いております。40才、2児あり、9月に右乳房に3箇所の癌がみつかり、6ヶ月の術前化学療法(EC4クール+Tウィークリー12回)を終え、1ヶ月前に右乳房温存手術+リンパ節郭清を受けました。これから放射線治療の予定です。主治医より、「病理結果は組織型普通、腫瘍径2cm以下、脈管侵襲なし、組織異型軽度、ホルモン剤感受性あり、Her-2陰性、腋窩リンパ節転移1個」と説明を受けました。
1) 病理組織検査報告書のコピーを頂いたのですが、
A領域 Invasive ductal carcinoma, papillotubular carcinoma, INFγ, g(+),f(+),s(-),ly(-),v(-),EIC(-),ICT(+),NCAT(-)
D領域 Invasive ductal carcinoma, papillotubular carcinoma, INFγ, g(+),f(+),s(-),ly(-),v(-),EIC(-),ICT(+),NCAT(+)

INFγ、EIC、ICT、NCAの意味がわかりません。またその+、-の意味を教えて頂けたらと思います。

2) 術後のホルモン療法について、40才閉経前ということで、LH-RHアナログ2年とタモキシフェン5年の併用を勧められました。ただし、手術前の抗がん剤の影響と思われますが、現在4ヶ月間無月経です。もしかすると本当に閉経しているのではないかとも思われるので、エストラジオールの血中濃度を測定してもらい、その結果が出る1月後に決めることにしました。検査結果が閉経前のレベルであれば、主治医の勧めに従おうと思います。もし、エストロゲンが閉経後レベルまで低下していればLH-RHアナログなしでタモキシフェンまたはアロマターゼ阻害剤と考えていますが、これで良いでしょうか。また、再発予防の効果では、どちらが勧められますか? よろしくお願いいたします。

1) INFγ、癌の浸潤の形を示しています。臨床的にはあまり役に立ちません。EIC、乳管内伸展 癌細胞が乳管内の中に存在するかどうかです。ICT、NCAはわかりません。主治医の先生に直接お聞きください。
2) 閉経前リンパ節転移陽性、ホルモン感受性乳癌に対してはLH−RH+タモキシフェンの組み合わせが有効です。エストロゲンレベルが閉経後であるならば、アロマターゼ阻害剤が有効と思います。(文責 首藤)

 

No.5227】 06年04月24日     K.T.
乳がんからの骨・肝転移

71才になる母の事でご相談したい事があります。昨年末から背中・股関節などに激痛があり、歩行も困難になりました。以前から肝臓が悪く、近所の内科に通院しておりましたが、今年に入って検査入院を勧められ、CT・MR・骨シンチをした結果、乳がんが分かりました。しかし状態は非常に悪く、肝臓・肩や脊髄などの骨に転移しています。乳腺外科のお医者様に診て頂いた結果、乳首近くの「小葉」にゴルフボール位の腫瘍があり、手術で取り除いた方がいいとの事でした。母も一緒にお話を聞いていたので、私の方であまり詳しくお伺いする事が出来なかったのですが、先生は、「日常生活が困難にならないように、手術では筋肉やリンパは取り除かない」とおっしゃっていました(リンパには腫れが出ているそうです)。肩や股関節の痛みがひどいので、手術を受けるまでは、「オキシコンチン5」を出して頂いていたので服用していますが、あまり痛みはひかないそうです。手術後は「アレディア」や「抗がん剤」、「ホルモン療法」も考えていますと言われていました。本人はあと5年は生きていたいと切望しています。なんとか力になってあげたい一身なのですが、ここまで病状が進んだ乳がんに対して、効果的な治療法はありますでしょうか。

メールの内容を推察するかぎり、残念ながらステージ4、つまり全身に癌細胞が広がった状態と思います。乳腺腫瘍を取ることは、根治(癌を完全に治す)というよりも乳癌細胞の性質(ホルモン感受性があるか、癌遺伝子に異常があるか)を知ることに役立ちます。癌細胞の性質によっては今後、より有効な治療を重点的に選択できるかもしれませんのでがんばってください。(文責 首藤)

 

No.5226】 06年04月20日     C 
乳輪のしこり

突然のメール失礼いたします。早速ですが相談させてください。26歳未婚女性ですが、乳輪のまわりに毛がはえていて、中学生頃より毛抜きなどでずっと処理していました。18歳ごろに左乳房の乳輪の毛穴の下に5ミリ程度のコロコロした丸いしこりができてしまい、押すと毛穴より白い脂肪のようなものがでてきてました。そのまま放置してしまっていたのですが、1週間ほど前より急にしこりが大きくなり、1.5cmほどの乳輪から乳首につながるようなかたちの楕円形もの大きさになってしまいました。痛みはほとんどありませんが、抑えると少し痛いような気がします。押すと出てきていた脂肪のようなものがほとんど出なくなりました。悪性の可能性はあるのでしょうか? とても不安です。

メールから推察するに乳輪腺の炎症だと思います。癌ではないでしょう。とても不安とのことですので、一度乳腺専門医を受診されることをお勧めします。(文責 首藤)

 

No.5225】 06年04月20日     S 
母の状態について

母の件でお尋ねいたします。61歳です。数年前に乳房温存手術を施行しましたが、このときは恐らく腋窩郭清はしておらず、昨年再発し、残存乳腺をすべて切除しました。腋窩を郭清し、リンパ節に十数個の転移を認め、術後補助化学療法(AC−T)を施行しました。その後、胸壁に対して、放射線照射を施行したということなのですが、これは胸壁にまで再発していたということなのでしょうか? またその場合、一般的には予後はどれぐらいなのでしょうか? お忙しい中、大変申しわけありませんが、よろしくお願いいたします。

米国NCCNガイドラインという乳癌治療のガイドラインでも、リンパ節転移の数が4個以上の場合は乳房切除後の胸壁照射を勧めています。状況としてかなりの癌細胞が乳房、筋肉、皮膚内のリンパ管を通った可能性があるためです。予後に関しては、そのほかの因子(ハーツー、グレード、ホルモン感受性など)をふまえて、お母さまの状況を一番把握している主治医にお聞きになるほうがよいと思います。(文責 首藤)

 

No.5224】 06年04月20日     Y.T.   
マンモグラフィに写る白いもの

初めて質問です。温存にて、手術して4年目です。リンパ転移ありです。ひと通りの治療は終わり、ホルモン陽性で、今アリミデックスを飲んでいます。今回、マンモ検査で白く写っているものがありました。1年前の検査では写っていなかったのですが、とても気になります。今まで何もなく過ごせましたが、手術跡が痛いです。我慢できる痛さですが、手で触れば、しこりもあります。この痛みは3月ごろから出てきました。このままアリミデックスだけの治療でいいのでしょうか? 私のような場合は、普通どんな治療が予想されますか? 不安です。しばらく様子をみたほうがいいのでしょうか? 次の診察は半年後です。よろしくお願いします。

メールからはどのような所見がマンモグラフィにあったのか、しこりがどのようなものであるのかが分かりかねます。やはり疑問に思われた部分を担当の先生に直接お聞きになったほうがよいと思います。(文責 首藤)

 

No.5223】 06年04月20日      Y 
異常がみられなかった石灰化の経過観察について

41歳、既婚です。お忙しいところ申し訳ないのですが、教えていただきたいことがあります。私は1年間隔でずっと乳癌検診を続けてきましたが、2月の検診で石灰化(カテゴリー3-2)が見つかりました。1年前はほんのわずかだったものが増えたようです。しこりはありません。医師の勧めによりMRIとマンモトームの検査を受けました。結果、癌ではないとのことでした。その後の経過観察で、また3ヶ月後に超音波とレントゲンを撮った方がいいと言われましたが、癌ではないとの結果が出たのに、3ヶ月後の検査は早すぎるのではないかと疑問を持っています。先生でしたら、どのような経過観察をなさっていきますでしょうか。MRIの検査での異常が見つからなかったのにマンモトームの検査へ進んだことに対しても疑問をもっています。すみません。よろしくお願いします。

マンモトーム生検の結果、癌ではないとしても、たとえば「細胞増殖がみられる、異型性がある」「Atypical Duct Hyperplasia(ADH)」など注意が必要な細胞組織の所見があれば、やはり定期的な経過観察が必要だと思います。そのあたりを担当のDrにお聞きになられてはいかがでしょうか。MRI検査で異常が見られなくとも石灰化の所見がカテゴリー3以上になる場合、やはり生検を選択肢の一つとして考えます。特にご質問のように石灰化の所見に変化がみられた(数が増えた)場合はなおさらですね(文責 首藤)

 

No.5222】 06年04月20日     Y.Y
ホルモン療法について

ホルモン療法でリュ―プリンとゾラってクスの違いや、普及率はどちらが多いのでしょうか? 痛みの違いは? どういう基準で専門医は決めるのでしょうか? 又、リュ―プリンは一ヶ月と三ヶ月があるそうですが、効果に違いがあるのでしょうか? 副作用などのちがいは? 宜しくお願いします。 

データ的にはゾラデックスの方がはるかに豊富で、その有効性も確認されています。ゾラデックスはカプセル製剤で、比較的太めの注射針をお腹に刺して皮下脂肪内にカプセルを留置します。リュープリンは溶解剤で、やはりお腹の皮下脂肪内に注射します。エビデンス的にはゾラデックスの方の効果確認が注目されますが、端的に申し上げると、基本的にゾラデックスもリュープリンも脳の一部分に働きかけて女性ホルモンの分泌を止めることで効果を出すわけで、直接的に癌細胞に働きかけるものでないことから、おそらくゾラデックスもリュープリンも効果・副作用は一緒だと思います。あとはご指摘のごとく1ヶ月毎に注射するか、3ヶ月毎でよいか、また微妙に単価が違うことから経済的な比較をされて、かつ主治医とよくご相談のうえ、どちらかを選択されればよいと思います。(文責 首藤)
 

No.5221】 06年04月20日     H.M
前壁心筋虚血って何?(HPNo.4265-4)

HPNo.4765では有難うございました。主治医と何度も話をし、納得して子宮と卵巣全摘手術をすることに致しました(さんざん文句を言ってしまいましたが、バトルのできる主治医に恵まれ、感謝しています)。術前検査の心電図で、昨年6月に続き前壁心筋虚血の疑いと言われ、乳癌手術以前にはこのようなことはなかったので、放射線の影響なのか(左60グレイ)、それとも単に年令的なものなのか、今回の手術に際して何か気を付けることはありますか? 手術には平常心で臨みたいので、心配事は少しでも減らしたいと思います。よろしくお願い致します。

温存乳房への放射線は、照射の接線方向で、場合により肺の一部に放射線がかかることが稀ですが見られます。心臓は肺よりも深部にあり、心筋に直接放射線がかかることはまずありません。術前検査で心電図に異常があるのでしたら、心エコーやホルター心電図・負荷心電図などの精査を心臓専門医の診察のもとに行うのがよいと思います。(文責 首藤)

 

No.5220】 06年04月20日   U.I.
乳房に出来た豆粒大のしこりについて

不安が消えず毎日悶々としている為、相談させていただきます。私は22歳、女、病歴なしです。テレビ番組関連のホームページで乳癌のセルフチェック方法を見つけ、セルフチェックをさっそく行ってみたところ、左乳房の上部、わきの下に近い部分に豆粒大のしこりを見つけました。大豆よりも小さい位で、触ると動きます。乳癌かと思い怖くなり、近所の婦人科に駆け込み、エコーと触診による検査をしたところ、「乳腺やリンパには何もできておらず、しこりは皮膚にできた脂肪のかたまりであるから心配ない、特に治療の必要はない」とのことで、病名も特につきませんでした。しかし様々な本やネットの情報には、ただの脂肪のかたまりと誤診されたというような情報が載っており、非常に不安になりました。私が婦人科で言われた「皮膚にできた脂肪のかたまり」とは、一体なんなんでしょう? エコーだけで分かるものなのでしょうか? そしてこのしこりは消えることはないのでしょうか? 分かりづらい文章で申し訳ありませんが、回答願います。

エコーの画像で皮膚に付着した腫瘤のように見えるのであれば粉瘤という皮膚の腫瘤か、また皮膚の下にあって周囲の脂肪組織と同様のエコーレベルであれば、ご指摘のごとく脂肪腫が考えられます。ご心配でしたら、お近くの乳腺専門医を受診されることをお勧めいたします。(文責 首藤)
 

 

No.5219】 06年04月19日    t
今後の治療について(2)(HPNo.5182-2)

お世話になります。HPNo.5182で回答いただき、ありがとうございました。腫瘍の大きさは2.3cm。センチネルリンパ節生検を受け、転移なし、グレード1です。化学療法との事ですが、どのようなものを、どの程度(期間)になるのでしょうか?

アンスラサイクリン系という赤い薬剤を主体とした数種類の抗癌剤を3週に一回、計6回点滴投与するものなどが考えられます。主治医の先生とよくご相談ください。(文責 首藤)

 

No.5218】 06年04月19日    E.D.
線維腺腫について

36歳女性です。妊娠経験はありません。20代前半より両胸に複数の線維腺腫があり、専門病院にて1年に一度の触診、3年に一度の超音波検査で経過観察をしています(現在までは、当初より変化なしとのことです)。昨年から不妊治療を開始しましたが、今年に入って様々な注射(FSH製剤、HMG製剤、HCG製剤)、及び飲み薬等を使用するようになりました。知識の無かった私は何の質問もせず、投薬されるがままだったのですが、最近色々と調べていくうちに不安を感じるようになりました。婦人科の医師には「線維腺腫は確かに気になるけれど今は頑張らなくては」と言われました。しかし夫と話し合った結果、線維腺腫への悪影響の可能性が少しでもあるのであれば、高度な不妊治療は今後中止したいと思っています。乳腺の専門家から、これらの治療の線維腺腫への影響をどう考えられますか。次回の線維腺腫定期検診まで日があるので、是非ご意見をお聞かせください。どうぞ宜しくお願い致します。

線維腺腫は乳癌などと違い非上皮性成分主体の腫瘍ですので、女性ホルモンの影響はあまり受けません。しかし臨床的にみると、たとえば妊娠を契機にいままで変化の無かった線維腺腫が大きくなるといったこともあります。現在お受けになっておられるホルモン療法がどの程度あなたの線維腺腫に影響を及ぼすかは、もう少し様子を見ないと分からないと思います。徐々に大きくなったり、また固さや触った感じが変わるようでしたら、専門病院を受診されることをお勧めします。まったく変化がないようでしたら、定期検診までそのまま治療をお受けになってはいかがでしょうか。(文責 首藤)

 

No.5217】 06年04月19日    N.N.
左脇下の痛みについて(2)(HPNo.5199-2)

速やかなご返答、ありがとうございます。乳腺症は、このまま放置しておいても治りますか? 時々痛みを感じる程度なのですが、放っておくと悪化するのでしょうか。

乳腺症であれば基本的に加齢と共に症状が改善されていきますが、ご心配であれば乳腺専門医の診察を受けられることだと思います。鈴木先生と同意見です。(文責 首藤)

 

No.5216】 06年04月19日    H.Y.
大腿骨転移について

いつもお世話になっており、ありがとうございます。私は、手術後1年目から骨転移が始まり、今年で6年目になります。最近、新たに頭蓋骨、左上顎骨、胸椎、肋骨、左腸骨、仙骨、左大腿骨などに多数の転移が増えてしまいました。来週、大腿骨に髄内釘固定術をする予定ですが(放射線治療照射済み)、その後の治療法について相談です。大腿骨にはチタン製のものを入れますが、それを入れた後、抗がん剤治療、放射線治療、ホルモン療法、アレディアの投与は可能なのですか? また、チタンに対してのアレルギーなどはないのでしょうか? 担当医にも聞いてみようと思っていますが・・・、その後の治療に不安を覚えます。まだまだ癌に負けたくないし、命を諦めたくないんです。今のところ、内臓などの転移はありません。どうか宜しくお願いいたします。

髄内釘固定術後でも抗癌剤・放射線・ホルモン療法・ビスホスホネートなど全て可能と思いますので、がんばってください。チタンに関するアレルギーは、小生は経験ありませんが、この分野の詳細はご担当の整形外科Drに伺ってください。(文責 首藤)

 

No.5215】 06年04月19日    S 
乳腺の拡張

41歳です。以前より乳腺症と診断され、半年ごとに検診を受けています。前回10月に右胸外側真ん中あたりに、なんとなく触れる部分があり、エコーでみたところ乳腺(乳管)の張りとの診断でした。4月の検診では、その部分に拡張がありポリープのようにも見えますが、経過観察と診断されました。乳頭からの分泌物等はありません。このまま経過観察で大丈夫なのでしょうか? よろしくお願いします。

エコーで乳管が広がっており、そのなかにポリープのようなものがみられるのでしたら、いわゆる乳管内病変として良性、あるいは悪性の腫瘤である可能性もあるわけですから、針生検などの検査を行った方がよいと思います。(文責 首藤)

 

No.5214】 06年04月19日    S.M
ゾラデックス終了後の治療について(HPNo.5196-2)  

No.5196で質問した者です。ご回答いただき、ありがとうございました。「ゾラデックスとフェアストンの併用療法に関しては疑問ありです」とご回答いただきましたが、これまで1年半ほどこの治療をやってきましたが、効果が期待できないということでしょうか? これからでもノルバデックスなどに替えるべきでしょうか? また生理が戻ってからノルバに替えると言うのは治療上の効果はありますか? 何度も申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

ゾラデックスで閉経状況に持って行き、閉経後に用いるフェアストンを使用するというのは、理論上は合っているように思われますが、St.Gallenの会議でも、閉経前のホルモン療法は、ノルバデックスが推奨されていますので、フェアストンを閉経前に用いるのは疑問が残りました。ノルバデックスを用いていて、再発したとかであれば、オプションとしてのゾラデックス、フェアストンはあると思いますが・・・。効果に関しては、全くデータがなく不明確、不確実です。これからでもノルバデックスに変えるべきではないでしょうか? ゾラデックスを終了後に生理が戻って来た場合ですが、これに関しては、今一度、生理をしっかり止めた方がよいでしょう。これもはっきりしたデータはありません。再度、ゾラデックスを投与すべきか否か、もし投与するなら何年なのか・・・。実地の臨床では、生理が続く間は、ゾラデックスを投与し続けています。生理が戻ってから、ノルバデックスだけで投与するより、やはりゾラデックスと併用が良いと思います。(文責 鈴木)

 

No.5213】 06年04月18日    K 
化膿した乳腺症からくる腕の痛み

以前から片側にしこりがあり、乳腺症と診断されてました。急にパンパンに腫れて痛み、更にそちら側の腕まで痛くなりました。しこりにばい菌が付いたための炎症だと言うことで抗生剤を飲みましたが、胸の腫れは少し引いても腕は痛いままでしたので、手術でしこりを取りました。その後少しずつ胸の腫れは良くなっても、腕の痛みは取れず、3ヶ月ほどで重苦しい鈍痛から、肘関節と筋肉痛のような痛みが広がり、片腕から両腕、両足、筋肉の痛みが広がりました。医師は、胸はしこりを取ってよく消毒したから腕のことは不明だそうです。血液検査でも炎症反応や他の異常は見当たりません。胸はまだ一部痛みますが、赤くなったりしていません。神経内科、膠原病、整形外科でも異常なしです。抗生剤を飲むと一時的に改善しますが、重苦しさは復活します。胸のばい菌が腕や筋肉に飛び火することはありえますか?ばい菌が胸に残っていることはありえますか?感染のほかは何がありえるでしょうか? また何科に行けば良いでしょうか。教えてください。

乳腺の状態はばい菌が入ったことによる乳腺炎とも考えられますが、それ以降の両腕、両足、筋肉の痛みに関しては乳腺とは関連がないかもしれません。全身的な疾患であるならば膠原病なども考えなくてはならないかもしれません。(文責 首藤)

 

No.5212】 06年04月18日    S.A. 
抗がん剤治療について(HPNo.5127-3)

HPNo.5127でお世話になった者です。いつもありがとうございます。先日セカンドオピニオンを受けてきました。ハルステッド手術については疑問をもたれており、その医師からの提案として、「抗がん剤を6ヵ月して、その効果をみてから縮小手術をしたほうがいいのでは」と勧めれらました。その医師は抗がん剤の専門医であるそうで、また主治医のこともご存知でした。その医師の抗がん剤を用いての提案は、FEC(500/100/500/m2)×4を3週間ごとで3カ月、そしてTXT(75/m2)×4を3週間ごとで3カ月、又はTXL(80/m2)×12を毎週、効果を見て縮小手術(日帰り)ということでした。そこでFECですが、三種類の強力な薬剤の量ですが、見るからにちょっと多いのではと思いました。私は初めてなので副作用がどんなのかは想像できませんが、その医師も「○○医師、びっくりすると思いますよ」と言っていました。明日セカンドオピニオンの報告を、主治医に今後の相談もかねて予約をとりました。薬剤の量は調整することは可能なのでしょうか。その人によって違うとは思いますが、ご意見を賜りたくお願い申し上げます。

FEC療法はE:エピルビシンの量にしたがってFEC60,75,100と行われています。データ的にはエピルビシンの効果は、少ない量から始まって90〜100mg/m2までは投与量を上げるほど効果も上がることが分かっています。しかし100mgあたりからは頭打ちで、それ以上投与量を上げても副作用が強くなるばかりで効果は上がらないことも判明しています。したがって心臓疾患など、特別なリスクが無いかぎりFEC100が現状ではもっとも理想的な化学療法と思いますし、小生の施設に限らず、乳腺専門医のいるところでは一般的に行われつつある方法だと思います。実際に行う時は、治療の対象となるかたの血液・非血液毒性(副作用)の現れ方をふまえて薬剤量を調整することが基本です。(文責 首藤)

 

No.5211】 06年04月18日    T 
放射線治療について

右乳ガンのため18年2月に温存手術を受けました。現在放射線治療中(25回)で、15回目を終えたところです。放射線治療が進むにつれ、脇の下、特に手術した傷口付近がかたくなり、石が胸にバーンと入っているような感じで、とても気になります。右腕も普通に動かせていたのですが、放射線治療が進むにつれ、胸の硬さ、痛さが気になり、動かしづらくなりました。放射線科の先生からは、「放射線の影響で硬くなることがあります」と言われましたが、このような症状になる方は多いのでしょうか。また、この状態は、放射線治療が終われば、少しずつ良くなるのでしょうか。お忙しいところ申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

放射線を温存乳房にかけるときの特徴として、照射の角度的に、脇の下の皮膚のたるみの部分が他の部分よりも皮膚炎の程度がやや強くなる傾向があるようです。脇の下の皮膚はもともと伸展して腕の動きに影響するので、その部分が堅くなると腕が動かしにくい、と訴えるかたがいらっしゃいます。多くの場合、放射線療法終了後皮膚の炎症が治まるにしたがって、このような症状も軽減してゆきます。(文責 首藤)

 

No.5210】 06年04月18日    Y.I. 
術側の腕の痛みについて

私の年齢は31歳で、去年8月9日に乳癌で右乳房の全摘手術をして、リンパ節郭清もしました。リンパ節転移はありませんでした。術後の治療として、8月31日からACを4クール行って、11月の終わりに無事やり終えました。その後は12月の半ばくらいからホルモン治療を始め、ノルバデックスを毎日とリュープリンを3ヶ月に一度して、今も続行中です。そこで先生にお聞きしたいのですが、抗癌剤(AC)は全部術側の反対の左腕のほうで点滴していたわけですが、やはりその当時は副作用としてか、左腕の血管が痛かったのを覚えています。今はその左腕の痛みもひいて問題ないのですが、今度は、ここ最近なのですが10日くらいズッと術側の右腕が左腕の血管痛みたいな感じになって、日常生活に支障がでるほどではないのですが、腕を伸ばすと痛いです。気になるので主治医の先生に診せにいったら、「詳しい検査をしたわけではないけれども、特に血管に異常は見られないし、日常生活に問題があるわけではないので、様子をみてください。」と言われました。この術側の腕を伸ばすと痛い原因はなんだろうと思われますでしょうか? まさか転移? ホルモン治療の副作用? リンパ浮腫? どう思われますか? ご意見をお願いします。

メールをうかがった限りは軽度のリンパ管の炎症などかと思います。リンパの流れのうっ滞がおこるとリンパ浮腫の可能性もあります。転移などの可能性は低いと思います。(文責 首藤)

 

No.5209】 06年04月18日    R.M
低エコー腫瘤について

市の検診で乳房低エコー腫瘤と診断されました。どんな病気なのか分かりません。お忙しいところ申し訳ありませんが、教えていただけたらと思いメールしました。

「低エコー」とは、超音波像で内部エコーの強度が低いということです。画像とすると周囲(特に脂肪組織)と比較して黒っぽく写るものがある、ということです。このように写るものとしてはのう胞(水のたまり)、乳腺症、良性腫瘍、癌などさまざまなものが考えられます。腫瘤とみられる部分の内部構造や辺縁、腫瘤の後ろのエコー強度などを参考にして診断をつけていきます。低エコー腫瘤だからぜったい癌、というわけではありません。(文責 首藤)

 

No.5208】 06年04月18日    N.K
タキソールとタキソテールの違いについて

以前も何度か質問させて頂いており、ご丁寧なご回答ありがとうございます。私の妻(34歳・出産経験無し)が乳がん(ステージW・肝臓・肋骨に転移)で、タキソール+ハーセプチン(毎週1回)を8ヶ月行いました。効き目が悪くなり、ナベルビン+ハーセプチンに切り替えましたが効かず、今回よりタキソテール+ハーセプチン(タキソテール3週に1回・ハーセプチンは毎週1回)に切り替えました。効果は神様に祈る毎日ですが、この治療の流れで良いのでしょうか? 又、タキソールとタキソテールの違いや、どんな基準でタキソールとタキソテールを使い分けるのでしょうか? 担当医を信頼していますが、根拠を知りたく、質問させていただきました。どうぞ、宜しくお願いします。

タキソールと、タキソテールは、ひと言で言えば、大きな違いはありません。どちらも、進行・再発乳癌に対して、アンスラサイクリン系薬剤の耐性例に有効性が報告されています。従来、タキソールは、3週に1回の投与方法でありましたが、毎週投与の方が、副作用が少なく、また効果も高く、管理がしやすいということで汎用されてきました。タキソテールは、従来通り3週に1回の投与が行われていますが、こちらも毎週投与の有効性が報告されています。最近、アメリカの学会で、3週に1回のタキソール、タキソテール、毎週のタキソール、タキソテールの4種類の使い方で、どれが一番効果があり、副作用が少ないかを検討した試験の結果が明らかにされましたが、結局はどれも同じで、有効性、副作用もどれも大きな違いはありませんでした。つまり、どれを使うかは主治医の判断次第ということになります。ハーセプチンとの併用療法では、最初に成績の報告がされたのが、タキソールとの併用療法でしたので、タキソールとの併用が先を行きましたが、追随する形で、タキソテールとの併用療法も同等の効果が証明され、これもどちらも同じということになりました。どちらも蓄積毒性(長く投与を続けた時の副作用)が問題となりますので、注意が必要です。現在まで、あまり効果がないようですが、治療法に大きな問題はないと判断します。いずれにしてもハーセプチンは使いながら、抗癌剤の変更をしていくのがよいでしょう。(文責 鈴木)

 

No.5207】 06年04月18日    K・T
バジェット病でしょうか?

数ヶ月前より、乳首が痒く黄色い汁がずーっと出で、赤くただれています。今はヒリヒリして痛いです・・・。バジェット病なんでしょうか?また病院は何科を受診したら良いのでしょうか?

恐らく湿疹ではないかと思うのですが、乳腺外科の受診を勧めます。(文責 鈴木)

 

No.5206】 06年04月17日    Y
微小性浸潤ガンについて(3)(HPNo.5016-6)

いつもご協力頂いて本当にありがとうございます。すみませんが、先日、正式な病理の結果のコピーを頂いてきたので再度質問させて下さい。お忙しい所、すみません。組織所見で、核異型スコア2、核分裂スコア1(2個/10HPF)、核グレード1。HER2は強、中、弱陽性部全て0%。ここまではよかったのですが、Neuroendocrine feature:synaptophysina(‐)、chromogranin A(‐)。この単語は何を意味するのでしょうか? マイナスとプラス、どちらの方がいいのでしょうか? 腫瘍は乳管内をcribriform、papillaryに増生するDICS(広がり1.5×0.8×1.6cm)が大部分です。#30で筋上皮の確認できない数個の微小浸潤腺管がみられ、脂肪組織に入っています。以前、微小浸潤が0.1mmと言いましたが、0.1cm以下の間違いでした。数個の微小浸潤があると、生存率的にはどのように思われますか? 普通の浸潤がんと同じ位になってしまうのでしょうか? あと、組織診断でlymphocyte infiltrateと書いてあるのですが、これはプラスとマイナスどちらの方がいいのですか? そして、断端は‐だったみたいなのですが、微小浸潤ということもあり、しこりから離れて取ったのが1cmだけで大丈夫なのかなと心配しています・・・。「ごく小さながんが残っているのかな、もう少し広範囲に取った方がよかったのではないかな」と考えています。全体的に、年齢のこともふまえて10年生存率はどの程度かと思われますか? 何度もすみませんが、ご解答よろしくお願いします。

neuroendocrine features、chromogranin A、これは腫瘍の性格を診断するもので、通常は行いませんし、予後に関係する因子ではありません。我々も必要時のみに行いますので、主治医に行った意図を聞いてはいかがでしょうか?
Lymphatic infilyrateもリンパ管浸潤を示すものでマイナスの方が良いです。殆どがDCISであった訳ですから、あまり細かなことに悩まされないほうが良いのでは?それと、微小浸潤という言葉ですが、これは微小の癌が広がっているということではなくて、DCISの中に、小さな、微小な浸潤癌が存在していたということです。予後に関しては、DCISに微小浸潤癌が混在していた場合でのはっきりした10年生存率のデータはありません。浸潤癌のリンパ節転移なしでの10年生存率が90%ですので、それ以上ではないでしょうか?断端は1cmあれば充分です。(文責 鈴木)

 

No.5205】 06年04月17日    さくら
胸の痛みについて

はじめまして。ぶしつけながら質問させていただきます。41歳未婚のものです。先日、市の乳がん検査を受けました。近所のクリニック(婦人科併設)にて、触診時(2月24日)右側に微量の透明の分泌物がでていたので(私自身が申告しました)、血液検査と分泌物を取り検査をしました(確かではないのですが、つまみ出したら両方の乳輪から透明分泌物が若干でた様な記憶があります)。その結果では、(乳がん)異常なしと言われました。後日、また改めてクリニックで超音波検査(3月17日)と、検査機関のある別のところでマンモ検査(3月18日)を受けました。超音波の結果では、やはり右側から微量の分泌物が確認されたと聞きました。分泌物が確認されたことについては、それ自体たいしたことはないとも聞いております(超音波検査時、分泌物がでていたことは視触診等などでは未確認です)。が、結果を聞いている時の視診時に、乳輪が少しただれている様にみえるという事を医師から言われ(少し赤みを帯びている様に私自身は思います)、ぬり薬を毎日2回3週間近くぬっています。現在は少し治った様な気もしますが、いまだに赤みを帯びている様な気がしています。3/15にマンモの検査結果を聞きに行ったのですが、異常なしと言われました。しかしながら、私が生理後4〜5日たってから右胸が痛くなっている(右脇側の側面から真ん中にかけての上部と肩胛骨が痛い)旨を伝えたところ、マンモ検査結果において、二人の所見のうち、お一人は異常なし、またもう一人の方は、悪性の疑いはないとは思うが・・・との様なことを書いているようだとおっしゃいました(この場合でも異常なしという結果報告になるんですね)。気になる様なら「紹介状をかきます」と医師はおっしゃいました。右胸については、しこりもなく分泌物も現在はでていませんが、(たいしたことではないが)少しはれている様にも見えると医師はおっしゃいます。現在の自覚症状としては右肩胛骨が痛く、首や右肩がこっており 右胸脇側〜真ん中上部が痛いです。乳がんは胸が痛むものなのでしょうか? またこのような場合、乳がんの疑いは消えないのでしょうか? 今後また分泌物がでたら他病院で見て貰った方がよいのでしょうか? その場合、何科に行けばよいものなのでしょうか? 長々と失礼して申し訳ございません。よろしくお願いします。

総じて、異常なしと考えます。分泌物は、正常でも出ますし、必ずしも病的ではありません。乳輪のただれも、おそらく、分泌物などで湿疹になっているのではないでしょうか? 乳房の痛みに関しては心配ないことが多いので、ここまで検査したのであれば、問題ないでしょう。いろいろ心配がありそうですが、あまり心配であれば乳腺外科の受診を勧めます。(文責 鈴木)

 

No.5204-1】 06年04月17日    Y
病理検査と術後療法について

現在44歳の主婦Yです。閉経前です。
2006年2月9日、マンモトーム生検により右乳房乳癌の診断と、左乳房にも5ミリ程度のしこりがあることが判明。
2006年3月15日、右乳房胸筋温存切除術、腋窩リンパ節隔清の手術、左乳房は手術中に腫瘍摘出術により生検、術中診断でがんでない事が判明しました。
2006年3月17日、病理中間報告
@リンパ節 N-1a 0/11 N-1b 0/4 N-1c 0/0 Total 0/15(-)、 A腫瘍別取り Nuclear atypia Score2,Mitotic figures 3/10HPF (SWH10X) Score1,Nuclear grade1→Low risk、 B手術中採取標本肉眼所見( 触診2.0×2.0cm  割面 1.7×0.7cm  リンパ1a 0/8 1b0/4 1c0/1)

2006年4月13日 病理中間報告 口頭にて説明
CホルモンER PgRともに+で10%以上なので、ザンクトガレンのホルモン感受性ありに属するとのこと。 Dハーツ受容体は染色法で2+とのこと。主治医はあまり必要ないとのことでしたが、お願いしてFISH法の検査に出してもらうことにしました。2週間後くらいにわかるとのこと。

以上、経過報告です。あと、病理学的腫瘍経、脈管浸潤、病理組織学的分類、左乳房のしこりの最終報告が出揃っていません。質問なのですが、
1) リンパ節に転移がないとのことですが、上記@とBでリンパ節の個数が違いがあるのはどうしてでしょうか。
2) Aの記述の意味を教えてください。グレードTということは分かりますが後は、どういう意味でしょうか?
3) 割面で1.7×0.7なら、病理学的浸潤は、これより大きくなると予想されますか?
4) ホルモンレセプターは10%以上としか言ってくれませんでしたが、最終的にはちゃんとした数値がでるのでしょうか。100パーセントのうちの何パーセントなど?
5) ER(+)PgR(+)でも、染色細胞の割合が少ない、また染色強度が強いはホルモン不確実になり、あまりホルモン療法が効かないと聞きました。染まりの分布、濃さ薄さなどを考慮した病理報告は、どこの施設でもしてくれるのでしょうか? 願いでればしてくれますか? また、そういう形での病理報告の形式は、何か名前がありますか?
6) ハーツ染色法で2+ですが、FISH法で陽性の場合、この結果のみでザンクトガレンリスク分類で、中リスクになるのでしょうか? また、これを考慮してハーセプチン+タキソール抗がん剤などの必要がありますか。
7) ハーツ染色法で2+ですが、FISH法で陰性の場合、この結果のみでザンクトガレンリスク分類で、中リスクになるのでしょうか? 陰性でも0や1+の人より予後が悪いということですか。手がたくさんあるということは、いずれ陽性になりやすいのですか。
8) ザンクトガレンリスク分類でHER−2の過剰発現なしとは、具体的にどういう数値をさすのでしょうか。
9) ハーツ陽性の人は、陰性の人と比べるとタモキシフェンの効果が落ちると聞いたことがありますが、ほかのホルモン剤も効かないのでしょうか? 陰性2+でもホルモン剤は効きにくいのでしょうか?
10) 病理がすべて出揃ってなく術後治療ができず、とても不安です。ホルモン治療は術後いつまでにすべきですか。抗がん剤など4〜6週間にすると聞いたことがありますが、術後いつまでにしますか。
11) 湿疹がたくさん出て、副腎皮質ホルモン外用薬(マイザー軟膏リンデロンVG軟膏)を日常的に使用しています。ホルモン感受性があるのに、使用し続けてもいいでしょうか?予後に影響ないでしょうか?

すべての病理が出揃っていない状態での相談ですけれど、よろしくお願いします。5月まで待つのはとても不安です。

よくお調べになって関心しますが、主治医にすべての質問をぶつけてみてはいかがでしょうか? 最終診断は病理の結果が揃ってから行うので、中間報告での当方からのコメントは不十分になると考えますので、その点、ご理解下さい。やはり、これだけ詳細な質問になると、主治医とのやりとりが大事ではないでしょうか??
1) 手術中に調べたリンパ節(術中迅速病理診断)で13個調べて転移なし、最終診断で15個のうち転移なし
2) Nuclear atypiaは核異型度、mitotic fifuresは核分裂像、それを総合してnuclear gradeとしてscore化します。
3) 病理学的には割面より大きくなることが予想されます。
4) でません。10以上でプラスかマイナスかだけです。
5) St Gallenのホルモン不確実に関しては、まだ不明確で、その定義がはっきりしません。All red scoreというのがありますが、これもプラスかマイナスでの評価をします。不確実になってもホルモン療法はガイドラインに掲載されているので、ホルモン療法を受けた方がよいでしょう。
6) HER2陽性であれば、intermediate riskになります。Intermediate riskの場合は、ホルモン療法と化学療法になります。いずれにしても、病理の最終診断の結果が必要です。
7) FISH陰性であれば、それでHER2のことは考慮に入れず、他の因子で考えます。病理学的の浸潤径、脈管浸潤の有無により、riskが分かれます。0や1+の人より、予後は不良になります。手がたくさんある??ちょっと理解しにくい表現ですので、コメント控えます。いずれ3+になることはありません。
8) 数値で示すものではありません。
9) 結果が報告されているのはタモキシフェンのみです。他のホルモン療法との併用データははっきりありません。2+、FISH陰性はHER2陰性と考えて構いません。
10) 術後いつごろに始めればよいのかというデータはありません。抗癌剤が必要になれば、それが終了してからホルモン療法を行います。抗癌剤が不要であれば、一般的に、1ヶ月くらいのうちに開始できればよいのでは?
11) 外用薬は影響なしと考えましょう。(文責 鈴木)

 

No.5204-2】 06年05月07日    Y
術後療法について

激務の中、私たち患者のためにいつもありがとうございます。HPNo.5204でお世話になったYです。病理最終報告がでましたので、術後療法を含めて相談にのっていただきたく、よろしくお願いします。

病理結果
Right breast cancer,invasive ductal carcinoma,scirrhous carcinoma、UICC−AJCC:pT1b,pNO,pStage1、C,浸潤がんの大きさ 1.0×0.6cmEIC:なし、乳管内癌の広がり406×1.4cm、G,f,scirrhous ca,1y0(HE),v0(HE),CAT−II,SAT−2,INFβ,Nuclear atypia Score2,mitotic figures 3/10HPF(SWH10X):Score1,Nuclear grade1、乳管内癌組織型 comedo>papillary>cribriform,NG2,necrosis(+),comedo necrosis(+),HG2,石灰化:なし、UICC−AJCC:pT1b,pN0,cM0,pStage1,radical R1,Brt,Ax,乳腺症随伴:あり,Ductal hyperplasia:あり、リンパ節 N−1a0/11 N−1b0/4 N−1c0/0 Total 0/15(−) 、HAR2(2+)陰性 ホルモンER(3+)PgR(3+)

主治医は上記の病理を総合的に判断して、ノルバデックスDを5年でいいのではないかということでしたが、LH−RHアゴ二スト製剤についても希望があれば併用してもいいですよとアドバイスをいただきました。そこで質問なのですが、
1) 私はLH−RHアゴニスト製剤を併用する方向で考えています。するとしたらリュープリンを1ヵ月毎、リュープリンを3ヵ月毎、ゾラデックスを1ヵ月毎の3つの選択肢の中で、それぞれのメリット、デメリットはどうなのでしょうか。リュープリンは針が細くてよいのではということは聞いたことがありますが、1ヶ月と3ヶ月では副作用の出方で、3ヶ月の方が強く出るということはありますか。エビデンスを重視するのであれば、やはりゾラデックスでしょうか。
2) 2004年診療ガイドラインの薬物療法の解説で(p23)に、「@ゴセレリン3年間とタキシモフェン5年併用とCMF療法でOS差なし、RFSにおいて内分泌有意  Aタキシモフェン5年と卵巣機能抑制剤2年を併用でCMF療法で同等のDFS OS  BTriptorelin(未承認アナログ)とタキシモフェン併用療法3年とFEC療法でDFS OSに差なし。」とあるのですが、このことから強い抗がん剤であるFEC療法と同等の3)が良く効くホルモン療法ということですか? Triptorelinとは、なんと言う薬剤ですか?
3) タキシモフェンを5年はほぼ確定していますが、LH−RHアゴニスト製剤を2年or3年or5年の併用か?ソフトトライアル中のLH−RHアゴニスト製剤で閉経させておいて、アロマターゼを使用する結果がよければ、まずは、タキシモフェンとLH−RHアゴニスト製剤をしておいて、LH−RHアゴニスト+アロマターゼに変える方法もあると聞いたことがありますが、いかがなものでしょうか?
4) 私の病理結果から考えて、薬剤名や期間を含めてどのような治療がよいでしょうか。また、以下@〜Dの場合で、予後はどのように変化しますか? AdjuvantlOnlineを試しましたが、やり方がわからず、申し訳ありません教えていただけないでしょうか。それぞれのホルモン治療を入れることであまり予後に関係ないのであれば、副作用などと天秤にかけ今後のホルモン療法を考えていきたいと思います。私自身は、再発をしたくないという思いは強いですが、やみくもに強いホルモン療法をすることは、どうなのでしょうか?1%でも生存率を上げたいと考えるならば強いホルモン療法を選ぶことも一つの道なのでしょか? 「 @無治療  Aタキシモフェン5年  Bタキシモフェンを5年とLH−RHアゴニスト3年併用  Cタキシモフェンを5年とLH−RHアゴニスト5年併用  Dタモキシフェンを1年とLH−RHアゴ二スト1年併用途中でLE−RHアゴ二ストとアロマターゼ阻害剤を使用(この場合閉経まで?)」

よろしくお願いします。

1) LH-RHアゴニストとして、仰るようにリュープリンの1ヶ月および3ヶ月製剤、ゾラデックスの1ヶ月製剤があります。3ヶ月製剤の方に副作用が強く出たということはあまり聞きませんので、リュープリンを使用するのであれば、私ならば3ヶ月製剤をお勧めしたいと考えます。ただその前に、エビデンスが確立されているのはゾラデックスなので、私の施設ではLH-RHアゴニストとしては現在のところゾラデックスを使用しております。そのあたりをふまえ主治医の先生とよくご相談なさってください。
2) Triptorelinは日本で未認可の薬剤で、トリプトンと呼ばれ前立腺がんのホルモン治療として海外で使用されている薬剤のようです。
3)4) 貴女の場合術後病理の条件はかなりよいので、もともと再発率はかなり低いと考えられ、主治医の先生が仰るようにタモキシフェンのみでも十分に期待できると思います。さらにLH-RHアゴニストをかぶせるとすると、その使用法の差による期待値の差はおそらくほとんどなく、ほぼ同等といえるのではないでしょうか?(文責 谷)

 

No.5204-3】 06年06月12日    Y
生検後のしこりについて

以前HPNo.5204でお世話になりましたYです。今回は右乳房胸筋温存乳房切除術の際、術中生検した左乳房のことで相談にのっていただきたく、お願いします。
その時の病理結果は「アポクリン化生と軽度のductal hyperplasiaを認めるが悪性像はない」というものでした。入院中は傷口に触れることもなかったのですが、退院後、乳房にある傷口より少々上方にしこりがあることに気付き主治医に伝えましたが、傷口のあたりが固くなることはあるので、気にしなくてよいとのことでした。が、昨日再度不安であることを伝えると、細胞診を半年毎にするか、超音波で経過を見て大きくなるようだったら、ガンかもしれないので細胞診をするかのどちらかを選択する事を勧められました。主治医としては、細胞診をして欲しい感じを受けました。そこで質問ですが、よろしくお願いします。
1) ductal hyperplasiaとは、どういう意味、状態でしょうか。
2) 腫瘤摘出手術をした後に、手術痕の周囲にしこりが術後二週間でできることはあるのですか。
3) 生検の傷のためにできたしこりと、がんの可能性のあるしこりの見分けを超音波で確認できるのでしょうか。
4) 生検は3月15日に実施しましたが、本来であれば生検後のフォローアップ検査としてマンモグラフィー、超音波等、いつごろ、どのような形で行いますか。しこりが存在する間は一生細胞診をすることになり、体にとってよくないのではないでしょうか。
5) 手術前日超音波でしこりの位置を確認した際、しこりらしきものは確認できず、以前しこりを発見したときは生理中だった為、乳腺が大きくなっていたのではないかという主治との事でした。しかし、今思うと実際しこりのところを生検せず、取り残されたしこりが大きくなっているのではないか、と不安になっています。マーカーの位置がずれていても、メスを入れ、中を見ているので、そのようなミスはありえないでしょうか。主治医にも言い出せなくて不安です。

長々と申し訳ありませんが、宜しくお願いします。

まず、ductal hyperplasia は日本語では乳管過形成といいます。明らかな悪性病変ではありませんが、乳癌前駆病変とも言われています。生検を行なわれていらっしゃるようですので、今後は定期的な外来でのフォローがよろしいと思います。しかし決まった検査や通院期間はありませんので、各担当医により多少の違いはあると思いますが、半年ごとのエコー検査やMMG検査がよろしいかと思います。生検後の創部は創傷の治癒過程においてしこりのように硬くなることは珍しくありません。生検にて確実に病変部が摘出されていれば数週間で再発することは考えにくいですが、病変部の確実な摘出については担当医によくお聞きになるとよろしいと思います。(文責 西川)

 

No.5204-4】 06年09月21日    Y
生検後のしこりについて(2)

いつも的確なご回答をありがとうございます。以前、HPNo.5204-3で生検後のしこりについて相談したYです。その後、生検後のしこりは5mmであり、細胞診にてクラスTで、所見として『上皮細胞の小集塊と異物型巨細胞をみる』という結果でした。主治医は、そのしこりは、生検した際に乳房の形を良くする為に寄せ集めて縫った所で、瘢痕であるため消えることはなく、異物つまり糸が入って細胞が大きくなっている異物型巨細胞だと説明してくれました。また、病変部の正確な摘出については、「生検前日のエコーでは、しこりは確認出来なかったが、色素をつけて作図をして怪しい所を広く取ったので取り残しはありえない」という説明でした。今後は、「3ヵ月毎の超音波、半年毎のMRI造影で様子を見ていくことにしますか」と提案して下さいました。私自身も、検査は続いていくけれども納得し安心しておりましたが、先日、私のように細胞診で2年様子を見ていて念のためとった生検でリンパ節転移のある2センチの癌が発生していたという体験談を聞きまして不安になったので相談させて下さい。
1) 3月に生検、6月に細胞診と同じ箇所を検査していますが、さらに細胞診、マンモトーム、生検などの検査をした場合、同じ箇所の検査を重ねることで癌でないものが癌になりやすくなったり、新たなしこりができたりということは、あるのでしょうか? 体質的に生検後しこりが出来やすい人はいるのでしょうか? 不安で過ごすくらいなら、生検も考えていますが、又しこりが出来るのではないか?という不安もあります。
2) 細胞診は確定診断でなく、やはり私の場合マンモトームや生検で確定診断した方がよいのではないでしょうか? 現在5mmのしこりですが、その大きさならマンモトームと生検、どちらが確実に判定できますか? マンモトームでは、小さすぎて外してしまいそうだと言われたことがあります。
3) 生検して癌であった場合、生検により腫瘤が存在しなくて乳房温存の手術に支障がでますか?
4) マンモグラフィーは、昨年6月、12月、2月の三回とっています。今とることは、副作用の点では、どうでしょうか?

以上、よろしくお願いします。

1) 癌を誘発することはありませんが、前回のように、傷跡のしこり(肉芽)ができることはあります。
2) 不安が続くのであれば、確定診断をつけるしかありません。確実に組織がとれて安心するためには、切除生検のほうが良いと思います。ただし、皮膚の傷は大きくなります。
3) 支障はありません。
4) 副作用としては、許容範囲内です。(文責 徳田)

 

No.5204-5】 08年12月25日    Y
アポクリン化生としこりの経過観察について

以前HPNo.5204でお世話になりましたYです。先生方のご好意を何時もありがたく思っております。今回は、右乳癌のため手術をした際、左乳房の一部を生検した結果の病理と、その後の検査について教えてください。その病理は、「切除材料中に、アポクリン化生と軽度のductal hyperplasiaを認めますが、悪性像はありません」というものでした。先日、今年の乳癌学会の資料のなかで「アポクリン化生を呈す非浸潤癌については、明確な定義がなく非浸潤癌性アポクリン癌は、病理学的定義が未だ確立されておらず病理診断でも難渋しやすい」という記事を見ました。そこで、質問ですが、 
1) アポクリン化生を呈す非浸潤癌について今も判明されていないことがあるということは、3年前の私の病理結果も、今、病理標本を別の病理医が診断しなおすと診断が変わってくるということでしょうか?

2) 左乳房のしこりは、細胞診を一度した後は、マンモグラフィー、MRI造影、PETーCT、超音波の画像診断のみで経過観察しています。先日のMRI検査で、画像所見は「乳房に明らかなmassは指摘できません。CD領域にわずかに造影効果を認めますが、残存乳腺を疑います。no evidence of 1t.MmT」との診断結果でしたが、前回のMRIの画像が見当たらず比較していない事や、画像を実際に見ていないのですが、CD領域は、しこりがある位置と同じである事を考えるとやはり以前の画像と比べ診断していただきたいと思うのですが、いかがなものでしょうか? 造影効果を認めますというのは、どういった意味なのでしょうか?

3) 超音波診断では、三年前に5ミリの瘢痕といわれていたものが、3ミリに変化していました。担当医からは、瘢痕は消えることはなく、大きくなるようなら癌かもしれないので更なる検査が必要であることは聞いていましたが、小さく変化することは私も想定外でした。「後方エコー減弱する部位で形状不整、境界明瞭な低エコー域です。」カテゴリー2とありました。帰宅してから、左乳房には癌細胞が存在しており術後のホルモン治療により癌細胞が縮小しているのではないか?と不安になりました。そのような可能性もありうるでしょうか? 

4) また、3ミリのしこりの横に5・9ミリの「脂肪識に比し若干低エコーですが、脂肪織との連続ありそうです。」といった所見のしこりがあると超音波の医師に指摘されました。いつもは、担当医が診察室で見て下さいますが今回初めて超音波室での診断でした。(このしこりは、随分前から気づいておりましたが自分では、生検により摘出した部分が陥没し盛り上がっているところだと思っていました。おそらく、担当医もそのような認識だったと思います。)超音波診断の場合は、脂肪織です。とは、断言していなく連続ありそうです。と表現されていますが、断言しないものなのでしょうか?このしこりを細胞診や生検などで診断をつける必要はありますか? カテゴリー2とは、どういったことですか?

5) 生検前のMRIには、何も写っていないと説明されていましたが、前回のMRIの結果を探す際、生検前のMRIの所見に明らかなmassは認められなかったがnoduleが認められるという詳しい結果を最近知りました。noduleとは、癌をも想定する所見なのでしょうか?

前回、回答を頂き、私は、生検をも考えていましたが、担当医は、「生検をする事はやりすぎではないか?」と言ってくださり、画像上での経過観察で三年間過ごしてきました。私も担当医を信頼しており、納得しておりましたが、ここにきて不安感が強くなっています。時を同じくして、「乳房に存在するしこりは、画像上限りなく良性に近くても生検をして良性の確定診断をつけ、安心の更新をしていかなければならない。」と言う記事を読みました。不安な気持ちを払拭するには生検が一番なのでしょうが、また瘢痕が出来る可能性もあり、いたちごっこなのでしょうか? どうぞよろしくご教示くださいますようお願いします。

1) 貴女の生検組織の病理診断は“アポクリン化生と軽度のductal hyperplasia”を呈する乳腺症で、アポクリン化生を呈する非浸潤癌とは全く別のものですから、今標本を見直しても診断が変わることはありません。
2) 前回のMRIとの比較は大事だと思います。可能であれば比較してもらった方が良いと思います。“造影効果を認めます“というのは、文字通り造影剤を投与したときに、しなかったときに比べて濃く写っているということで、乳がんや乳腺症のときに診られる所見です。この所見だけでは乳がんとは診断しません
3) 生検の結果ガンでないことがわかっているのですから、そのような可能性はないと思います。
4) 超音波で一見腫瘤様に見えた低エコー域をたどっていくと、脂肪織に連続しているため、腫瘤でなく脂肪組織と考えるという意味だと思います。実際にそうかどうか中を見た訳ではないので、断定的には書きません。カテゴリー2は明らかに良性ですという意味ですから、私は生検の必要はないと思います。主治医の先生とよく相談してください。
5) massとnoduleの使い分けは、MRIを診断した先生に聞いてください。私にはわかりません。
6) 納得いくまで主治医の先生と話し合ってください。(文責 清水)

 

No.5203】 06年04月17日    N 
ゾラデックスの間隔について

いつも参考にさせていただいています。ゾラを始めて半年になります。一度だけ24日周期で注射をして、後は全て28日周期でしています。注射を早く終わらせたいと思っているのですが、最短で何日空けば注射をしてよいのか教えて下さい。24日?25日?それともやはり通常28日はあけたほうがよいのでしょうか?

最短で何日あけと良いというデータはありません。回数をこなせば良いのではありませんので、28日周期で投与すべきではないかと思います。(文責 鈴木)

 

No.5202-1】 06年04月17日    C.H.
リンパ節転移とタキソール

年齢31歳、第2子出産直後に右乳房にしこりを見つけ、摘出生検にて乳癌と確定されました。32×22o、7×5o、invasive ductal carcinoma,solid-tubular carcinoma、f,ly2,v0、断片ぎりぎり。核グレード3、核異型スコア2、核分裂像スコア3でした。ER,PgR,HER-2全てマイナスと言われました。後日皮下乳腺全摘術とlevelTのリンパ節郭清を受けました。手術後の病理組織所見は、「断端陰性、一番大きなリンパ節に一箇所、径2ミリ程度の転移を強く疑う結節を認めます(1/8)。転移陽性とすると最終的にT2N1M0、ステージUB。リンパ節転移については念のため免疫染色にて確認中。」とのことでした。後日の追加報告では、「今回の免疫染色の結果ではCAM5.2(±)EMA(±)vimentin(±)となり、あきらかな上皮性マーカー陽性所見が得られませんでした。さらに抗体を追加して検索予定ですが、形態的にはやはり転移を強く疑います。T2N1M0に変更ありません。」ということでした。
1) これは、やはりリンパ節転移だと思われますか?
2) リンパ節に転移がないのと1ケあるのとでは、全身再発率がどの位違いますか?
3) CEFを3週間に1回のサイクルで行い、2クール終了しました。白血球が下がりやすいので(1クール後3000 2クール後2000)、5回で終了して後は飲み薬でいいのではないかと言われました。化学療法開始前には、CEF後にタキソールをという話でしたので、やらなくてもいいのか尋ねたところ、中間危険度だからいいのではないか…という返答でした。自分はリスクが高いと思っているので、タキソールをやった方がいいのかなと思いますが、早く点滴の治療を終わらせたい気持ちもあります。私の場合タキソールをやった方が良いと思われますか?

以上よろしくお願いします。

そこまで深く追求して病理の先生に調べて頂いていることに頭が下がります。非常に難しいですが、形態的に転移を疑うとのことですが、形態で転移を診断するものではないので、抗体検査までして陰性でしたら、ひとまず陰性と考えて良いでしょう。リスク分類からすればintermediate riskuで、ホルモン不応性ですので、化学療法が必要になりますが、CEFだけよりは、その後のタキサン(タキソール、タキソテール)の追加効果がありますので、投与した方が良いと思います。再発率での明確なデータはありませんが、10年生存率ではリンパ節転移陰性で90%くらい、1個転移で82%くらいです。(文責 鈴木)

 

No.5202-2】 06年05月15日    C.H.
がんの種類

HPNo.5202でお世話になりました。リンパ節転移陰性と考えてもよいのではないかというご回答に気持ちが軽くなりました。迷っていたタキサン系の追加投与も、する決心がつきました。ありがとうごさいました。今回は、自分の病理組織所見に記載されている「solid-tubular carcinoma」について気になったのでご教授願います。日本語に直すと何ですか? ネットで「invasive lobular carcinoma」は浸潤性小葉癌で、転移しやすいというのをみて、スペルが似ているので不安に思ってしまいました。お忙しいところ誠に申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

日本乳がん学会編「原発性乳がん取り扱い規約」では、浸潤性乳管癌(invasive ductal carcinoma)の亜分類として乳頭腺管がん(papillotubular carcinoma)、硬癌(schirrhous carcinoma)にならんで、充実腺管がんを上げています。充実腺管がん=solid tubular carcinomaです。浸潤性小葉がんは、また別のカテゴリーに分類されています。組織型については、個々に検討すると、転移の仕方にそれぞれ特徴がありますが、それだけが転移のしやすさを決めるのではなく、リンパ節転移の状況や、HER2遺伝子発現、脈管侵襲などの他の因子も考えて総合的に判断します。また、たとえ「転移のリスクが高い」と判定された方も、だからといって必ず再発するわけではないのです。術後補助療法は、乳がんの再発予防のために行います。がんばってくださいね。(文責 俵矢)

 

No.5202-3】 06年06月24日    C.H.
術後補助療法について

5202、5301でお世話になりました。術後補助療法を頑張ってくださいという励ましのお言葉にとても感激しました。今回は、自分のしてきた抗がん剤治療に疑問がわいてきたのでご相談させてください。主治医よりCEFを薦められ、4クールで終了しました。その内容なのですが、1日目にシクロホスファミド、エピルビシンを静脈投与、UFTのカプセル剤を1日目から14日間経口投与でした。3週間1クールでした。終わった後に、本などに書かれているCEFの投与の仕方と違うと思いました。効果としても違ってくるのでしょうか? 現在、タキソール150を2週間に1回行なっています(身長157センチ、体重54キロ)。ウィークリー、3週間に1回というのはよく聞きますが、2週間毎というのも大丈夫なのでしょうか? 4回で終了予定と言われましたが、ウィークリーだと12回なのだから6回するのでは?と素人考えをしたのですが、どうなのでしょうか? 主治医に直接質問するべきなのでしょうが、以前違う質問をした時に明確に答えてくれず不信感が芽生えてきてしまいました。タキソールが終了したら、術後補助療法は終わりになるのでしょうか? 以上、お忙しいところ誠に恐縮ですが、よろしくお願いします。

確かに抗癌剤の使用方法は標準的な方法ではないと思います。しかしこの様な方法が標準的な方法よりも劣っているとも言えません。恐らくタキソールで抗癌剤は終わりでしょう。不安が残るようでしたら主治医と相談して、タキソールをもう少し追加した方が良いと思います(出来れば標準的な方法で)。(文責 吉田)

 

No.5202-4】 06年07月05日    C.H.
タキソールの投与方法

HPNo.5202でお世話になりました。私の場合のタキソールの標準的な投与方法を教えてください(回数、量など)。身長157センチ、体重54キロです。

投与量は患者さんの体表面積(身長と体重から割り出します。日本人では1.5u前後です。→/u)に応じて計算します。体表面積に関係なく投与量を決定する場合もあります(→/body)。海外における単剤での投与量は100mg/uですが、日本では1997年に投与量60mg/uで承認され、現在では70mg/uまで投与可能です。投与間隔も3週に1回、2週に1回、毎週など、いろいろ行われています。総投与回数も、施設や担当医によって、また患者さんの状況によって違ってくると考えられます。詳しくは、主治医にお尋ねください。(文責 石川)

 

No.5201-1】 06年04月17日    K  
ハーセプチンについて

いつも参考にさせて頂いています。2002年に右乳癌温存術を行ない、去年の10月に局所再発と肝臓に転移が見つかりました。局所再発は手術を行ない、その後FECをしていたのですが効果がなく、今年1月よりタキソール単独投与に変更になりました。初めは腫瘍マーカーが徐々に下降していたのですが、4月に3倍に上昇した為、ハーセプチンに変更になることになりました。多剤併用の方が効果があると思うのですが、単独でハーセプチンを行うのと、効果がなくなってきたタキソールと併用するのは、どちらがいいのでしょうか? それともハーセプチンと他の抗癌剤を行った方が良いのでしょうか?

HER2蛋白の過剰発現があるのであれば、ハーセプチンの効果はありますし、投与の適応はあります。ハーセプチンの投与は、早ければそれだけ効果があがります。やはり単独より、抗癌剤との併用効果の方が高いですから、副作用が強くなければ、併用療法の方がよいでしょう。そこで、タキソールに見切りをつけるか否かですが、非常に難しい選択です。上述したように、副作用が強くなければ、今一度、ハーセプチンとタキソールの併用療法でもよろしいかと思います。タキソールの継続を中止して、別の抗癌剤との併用も選択肢だとは思います。いずれにしても、ハーセプチンは継続しておいて、抗癌剤の変更をされていくのが良いでしょう。(文責 鈴木)

 

No.5201-2】 06年06月29日    K  
今後の治療について

以前HPNo.5201でお世話になり、有り難うございました。昨年10月肝臓に再発し抗癌剤を行なっていますが、なかなか効果がありません。先月からタキソーテルに変更になりましたが、今日検査すると先月CEA45だったのが、123に上がっており、全く効果がない事がわかりました。その為、本日からゼローダに変わりました。今までFEC、タキソール、ハーセプチン、タキソテール、ゼローダと変わっています。主治医はもう薬が後2つ(ナベルビン、TS1)しかないと言われ、驚きました。
1) 本当に薬はないのでしょうか?
2) こんなに薬が効かない人は珍しいのではないでしょうか? 予後が悪いということでしようか?
3) 肝動注が効果あると聞いたのですが、本当でしょうか? もし効果があるとしても、こんなに抗癌剤が変わっていたら効かないのでしょうか?
4) 他にどのような治療があるのでしょうか?

1) 薬の種類としてはそんなところでしょう。ただハーセプチンはFEC以外の抗癌剤のときには併用すべきものと思います。
2) だんだん薬は利きにくくなるので、このような経過をたどるものです。
3) 肝動注にする利点は特にありません。
4) そのほかの治療というと治験薬ぐらいでしょう。(文責 麻賀)

 

No.5201-3】 06年09月03日    K  
今後の治療について(2)

以前HPNo.5458でお世話になり、有り難うございます。ゼローダを開始して2クールでCEAは上昇。先生は、「ナベルビン、TSー1ではなく、ホルモン陽性なのでホルモン剤の内服と注射を同時にする方法に変更しましょうか?」と言われました。若いので癌細胞も活発なので抗癌剤が効かないのかもと・・・。「ホルモン剤では癌は小さくならないが、大きくならないかもしれないので、やってみましょうか。」と言われました。肝臓の腫瘍は5cm以上にもなっているのに、こんな事をしていてもいいのでしょうか? 私は抗癌剤の方が良いと思うのですが、アドバイス宜しくお願いします。 

多くの抗癌剤を使用し、頑張ってこられたことにまず敬意を表したいと思います。しかし、あなたが期待されたほどの効果が上がらず、残念な思いでおられることが伝わってまいります。貴女の場合、FEC、タキソール、ハーセプチン、タキソテール、ゼローダと、多くの抗癌剤を使用してきており、なおかつ現在5センチ以上の肝転移を認めるとのことです。TS−1,ナベルビンなどがまだ使用していない抗癌剤ということになりますが、今まであまり効果が上がらなかったことなどを考えあわせると、主治医の先生が仰るとおり一度ホルモン剤使用してみるのも一法かと思います。ときにホルモン剤(おそらくTAM+LH−RHアゴニストの組み合わせのことだと思います)も期待以上の効果を示してくれることがあり、また抗癌剤に比べ副作用は低いことが多いので、試してみる価値は高いように思います。再度主治医の先生とよくご相談なさって是非頑張ってください。(文責 谷)

 

No.5201-4】 08年05月19日    K  
今後の治療について(3)

以前HPNo.5702でお世話になったものですが、今後の治療方針で迷っています。アドバイスをお願い致します。今まで、FEC、タキソール+ハーセプチン、タキソテール+ハーセプチン、ゼローダ+ハーセプチン、ゾラ+ノルバテックス、TS-1と薬を使用してきましたが、現在ナベルビン+ハーセプチンを使っていますが効果がなくなってきて、腫瘍マーカーが3ケタにアップしてきたので薬を変えたいのですが、今度変える場合はどのような薬がありますか?
1) 初めにFECを使ったのですが、Fのファルモルビシンを使用したのですが、Aのアドリアマイシンの方が良かったのですか? 同じ、アンスラサイクリン系薬なので、どちらを使っても変わりないのでしょうか?
2) まだ閉経前なのですが、主治医は「抗がん剤と閉経後に使うホルモン剤を使うのもいいかもしれないね。」と言われていました。閉経前で、閉経後の薬を使っても問題ないのでしょうか? もし問題あるのなら、どのようなことが考えられますか?
3) 再発で、もう治療方法も限られているので、標準治療は難しいと思うので、標準治療とは違いますが肝動注も行いました。他に治療法があったら教えてください。

お忙しいところ恐縮ですが、ご意見をお聞かせください。

1) ファルモルビシンは一般名:エピルビシン塩酸塩(Epirubicin Hydrochloride)で、その頭文字をとってEとなります。心毒性の問題などから使用できる体表面積あたりの量がアドリアマイシンと異なりますが、効果は変わらないと思います。
2) アロマターゼ阻害剤のことだと思いますが、閉経前の年齢であっても化学療法の副作用などで生理がなく、血中の女性ホルモンの値が低値で閉経後のレベルであれば投与を考慮することもあります。LH-RHアゴニスト(ゾラデックスなど)とアロマターゼ阻害剤の併用療法が有用である可能性はあり、国内でも今年の初めから臨床試験が始まったところです。
3) ホルモン療法としてはヒスロンH(MPA)、化学療法としてはCMF が考えられます。(文責 片山)

 

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