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相談室(No.4701〜4800)

このページは乳がんに関 する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。

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なお治療法は、患者さんと主治医がご相談されて決定されるものであり、この相談室でお答えできるのは、一般的な参考意見であることをご了解下さい。

当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

目 次

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No

日 付

名 前

件  名

担 当

4800 05/12/30 M.M.  粉瘤について
4799-1
4799-2
05/12/30
06/01/05
E.K. 抗癌剤治療について
抗癌剤治療について(2)

俵矢
4798 05/12/30 K.S.  非浸潤癌の治療について
4797 05/12/30 MM 左脇・左乳房の鈍い痛みについて
4796 05/12/30 N.T. 転移の可能性について(HPNo.4319-2) 須田
4795 05/12/30 A 胸の気になる症状について 須田
4794 05/12/30 M  胸のしこりの痛み 須田
4793 05/12/26 Roko 友人のホルモン治療について 須田
4792 05/12/26 S.M. 内視鏡手術について 須田
4791-1
4791-2

4791-3
05/12/26
06/01/09
06/01/15
肝転移について
肝転移の治療について
脇の下の痛みについて
須田
俵矢
浜口
4790 05/12/26 腋のしこり 須田
4789 05/12/26 H.M. ホルモン治療について 須田
4788 05/12/25 N  肘の骨への転移 須田
4787 05/12/25 S.A 脇の下の変化及び血管炎について(HPNo.4350-3) 須田
4786 05/12/25 Y.S. 術後のむくみについて 須田
4785 05/12/25 M.O.  骨への転移について(3)(HPNo.4598-3) 須田
4784 05/12/25 H  乳腺腺腫の増加 須田
4783 05/12/25 F.N 乳輪下部から放射状にある皮膚の痒み 須田
4782 05/12/25 A  術後1年、頭痛について 須田
4781 05/12/25 N.H. 穿刺吸引細胞診の危険性について 須田
4780-1
4780-2

4780-3
4780-4
05/12/25
06/01/12
06/05/16
06/06/27
H.N. 治療方針について
針生検の結果について
生検について
微小病変の切除について
須田
浜口
俵矢
麻賀
4779 05/12/25 dcis と追加照射 須田
4778 05/12/25 乳房の痒み 須田
4777 05/12/25 YD 乳がん検診の診断について 須田
4776 05/12/25 Y  胸の痛みについて 須田
4775 05/12/25 K.H. 術後の方針 須田
4774 05/12/20 A.N 石灰化について 首藤
4773 05/12/20 ToT 胸の膨らみ 首藤
4772 05/12/20 KOBA www.adjuvantonline.comについて 首藤
4771 05/12/20 N.Y. 皮膚表面のしこり 首藤
4770 05/12/20 ひよこ 蜂窩織炎 首藤
4769 05/12/20 H.A. 血の混じるおりものについて 首藤
4768 05/12/20 K  妊娠中の血性分泌物 首藤
4767 05/12/20 リエくま CMFについて 首藤
4766 05/12/20 K.K. しこりのできない癌について 首藤
4765 05/12/20 H・M 乳癌再発予防と子宮筋腫について(HPNo.4265-3) 首藤
4764 05/12/20 aiko 乳管造影剤等の検査について 首藤
4763 05/12/16 Y.O 穿刺吸引細胞診について 首藤
4762 05/12/16 H.I 乳がんの疑いについて 首藤
4761 05/12/16 K  生存率 首藤
4760 05/12/16 H.F. マンモグラフィーの結果 首藤
4759 05/12/16 T  母の乳腺癌について 首藤
4758-1
4758-2
05/12/16
05/12/20
A.D. 術後の治療について
免疫療法・漢方について
首藤
首藤
4757 05/12/16 多発性骨転移との診断です 首藤
4756 05/12/16 T.C. 検査を受けましたが…(HPNo.4666-2) 首藤
4755 05/12/16 M.W. ホルモン治療中のイソフラボン摂取について 首藤
4754 05/12/16 AU ジェネリック薬品と血管炎について 首藤
4753-1
4753-2
05/12/15
06/01/09
OT 抗がん剤治療中の肝機能障害について
抗がん剤治療中の肝機能障害について(2)
首藤
俵矢
4752 05/12/15 S 左乳房石灰化について 首藤
4751 05/12/15 M.A. 検診の結果報告書の見方について 首藤
4750 05/12/15 Y.M. 胸の痛みについて 首藤
4749-1
4749-2
05/12/15
06/01/24
ねこ 乳がんの手術方法について
骨転移の不安
首藤
徳田
4748 05/12/15 ルル 術後の治療について 首藤
4747 05/12/13 T 細胞診後の検査について 清水
4746 05/12/13 S.K. 術後療法その他について 清水
4745-1
4745-2
05/12/13
06/04/25
S.E.  乳房温存術か乳房切除術か?
ホルモン療法の副作用について
清水
首藤
4744 05/12/13 S.Y. 石灰化 清水
4743 05/12/13 sin 化学療法について 清水
4742 05/12/13 H  乳がんの可能性 清水
4741 05/12/13 M.O. 乳腺症の経過観察 清水
4740 05/12/13 T.T フルツロン治療と妊娠時期 清水
4739-1
4739-2
05/12/13
05/12/16
K.T 術後補助療法について
術後補助療法について(2)
清水
清水
4738 05/12/13 C.E. 転移性乳がん(肺転移)について その5(HPNo.4454-5) 清水
4737 05/12/13 HK 乳腺のう胞症の疑い・再検査  清水
4736 05/12/13 Y 抗ガン剤投与の時期について 清水
4735 05/12/13 S・Y 線維腺腫 清水
4734 05/12/13 S.T. 胸の痒みと乳がんの可能性 清水
4733 05/12/12 MM 母の症状について 清水
4732 05/12/12 Y.I. 乳頭からの分泌物について 清水
4731 05/12/12 T  乳癌治療方法を選択するには(2)(HPNo.4535-2) 清水
4730 05/12/12 K  妊娠中の乳がん 清水
4729 05/12/12 Y.H.  ホルモン治療について 清水
4728 05/12/12 Y 乳房のはりについて 清水
4727 05/12/12 H.O 乳がん検診について 清水
4726 05/12/10 N.H. 非湿潤がんと診断されました(3)(HPNo.4682-3) 清水
4725 05/12/10 S  非浸潤癌の治療について(3)(HPNo.4688-3) 清水
4724 05/12/10 KK 今後の治療と骨転移について(HPNo.4596-2) 清水
4723 05/12/08 H.H 転移性乳がん(肺転移)について その4(HPNo.4454-4) 清水
4722 05/12/08 Y.U. 転移後の治療方法について 清水
4721 05/12/08 ひよこ ハーセプトスコアと術後の治療法との関係について 清水
4720 05/12/08 A 術後、乳房の硬化について 清水
4719-1
4719-2
05/12/08
05/12/13
M.A. 乳がん検査にて
乳がん検査にて(2)
清水
清水
4718 05/12/08 Y.H. リンパ節内の転移を知ることの患者のメリットは? (HPNo.4608-2) 清水
4717 05/12/07 m.o 胸のしこり 清水
4716 05/12/07 M.I. 手術方法、手術期間について(HPNo.4671-3)  清水
4715 05/12/05 S.M.  乳頭からの血性分泌について 鈴木
4714 05/12/05 A.Y.  早めの手術がどれほど重要なのか? 鈴木
4713 05/12/05 e.n 乳頭の白い出来物について 鈴木
4712-1
4712-2

4712-3
05/12/05
05/12/13
06/09/20
S.M. 早期発見について
早期発見その後
補助療法について
鈴木
清水
徳田
4711 05/12/05 Y・M リンパ節転移について 鈴木
4710 05/12/05 eco 病理組織診断報告書について 鈴木
4709 05/12/05 H・M 乳癌再発予防と子宮筋腫について(HPNo.4265-2) 鈴木
4708 05/12/05 A.U.  乳首のかゆみについて 鈴木
4707 05/12/05 H 放射線治療の副作用 鈴木
4706 05/12/05 まろん 肝臓転移他についての今後の治療法 鈴木
4705 05/12/05 K.W.  タキサン系の追加について 鈴木
4704 05/12/05 M 術後のホルモン療法について 鈴木
4703 05/12/05 Y.H 微細石灰化について 鈴木
4702 05/12/05 S.M. 石灰化影 鈴木
4701 05/12/04 M.K. 肋骨の影について 鈴木

 

 

 

No.4800】 05年12月30日    M.M. 
粉瘤について

初めまして。31歳で、7歳・5歳の子供を持つ主婦です。2〜3週間前より、左乳房の乳輪近くに1.5cm大のはっきりとしたしこりが触れ、少し圧痛もあり、本日乳腺外科を受診してきました。マンモグラフィーと超音波検査をしてもらいましたが、皮膚のすぐ下にしこりがあるだけで、乳腺には問題がないと言われました。それが何なのか聞いたところ、粉瘤であろうということでした。何度も化膿し、痛みが出るようであれば、切開して取った方がいいということですが、とりあえず3日間抗生剤を飲み様子を見る事になりました。家に帰り粉瘤というものを調べてみたところ、将来癌に移行するものもあるので取った方がいいという説明があるものもありました。何もなければ1年後に再受診する予定ですが、本当は切り取った方がいいのか悩んでいます。(1年前にも左乳房の似たようなところにに大きなしこりができ、その時は高熱と痛みもあり、別の病院ですが受診し、上記の検査+細胞診をやって乳腺炎と診断されたことがあります。それ以来時々しこりが触れるように感じることはありました。) お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。

粉瘤は全身のどこにでもでき得るしこりで、一般には悪性化することはありません。よって乳房にできることもしばしばありますが、粉瘤だと診断がつけば、たびたび炎症を起こすとか痛みが強いなどという症状がない限り切除しないことがほとんどだと思います。このまま暫時経過をみてよいと思いますが、今後上記のような症状が生じるようでしたら、再度受診する必要があると思います。(文責 谷)

 

No.4799-1】 05年12月30日    E.K. 
抗癌剤治療について

初めてご相談しますが、いつも拝見しております。11/30に左乳房がんで温存手術と左腋窩リンパ節郭清を受けました。結果が出まして、「浸潤性乳管がん・硬がん・異型度V・腫瘍径2.5p・センチネルリンパ節転移(2/3)・腋窩リンパ節(0/10)・ホルモンレセプターER(+)PR(+)。Her2:陰性」でした。抗癌剤の治療を受けることになりましたが、担当の先生はEC療法(ファルモルビシン+エンドキサン)を計画されました。その後タキソテールをやります。そこで質問なのですが、CEF(CAF)療法とどう違うのでしょうか。お話を伺ってもこちらがついていけなくて、よくわかりませんでした。お忙しいところ申し訳ないのですが、宜しくお願い致します。私について付け加えますと、出産経験なし、生理はあります。

EC療法もCEF(CAF)療法もいずれも「アンスラサイクリン系を含む多剤併用療法」と分類される抗癌剤療法のひとつであり、乳癌のガイドラインでもこれらを区別して扱ってはおりません。一度に使用する薬剤の量や1クールの期間などが多少異なることにより全体の投与期間や副作用なども多少異なることがありますが、効果としてはほぼ同等と考えていただいてよろしいかと思います。(文責 谷)

 

No.4799-2】 06年01月05日    E.K. 
抗癌剤治療について(2)

先日No.4799でお答えをいただきまして、ありがとうございました。1/5からEC療法で4回、その後タキソテールを4回やります。デカドロン16mg、カイトリル1Aの後ファルモルビシン136mg、エンドキサン900mg、リペラン1Aという計画です。ファルモルビシンの投入量が多いよう思いますが、いかがでしょうか。体表面積1.507uです(159cm51kg)。
いろいろ副作用は聞いていおり、初めてで不安も感じていますので、またご相談させていただきました。宜しくお願い致します。

ファルモルビシンの投薬量は体表面積当たりでは90mg程度なので、多すぎるということはないと思います。副作用に関しては、適切にコントロールされれば決して怖いものではありません。特に初めての抗がん剤の前は不安に思われることが多いですが、副作用対策も進歩していますので「案ずるより生むが安し」と思いますよ。頑張ってください。(文責 俵矢)

 

No.4798】 05年12月30日    K.S.
非浸潤癌の治療について

お世話になります。手術で切除した部分の病理検査の結果では浸潤癌はなく、全てが非浸潤癌だとわかりました。温存手術でしたので、今後は残った部分への放射線治療もセットになっています。放射線治療は毎日の事になるので、家の近くの病院でされますか?と質問されていますが、温存後の放射線治療というのはどの病院でも同じ処置、技術があるのでしょうか?「放射線科」を受診するということで、新たに病院を厳選する方が良いのでしょうか。

「外科医に手術の技術の差があるのと同等に、放射線医にも放射線治療の技術の差がある。」などと言われることがあり、治療内容によっては放射線医の違いで多少の技術の差は実際には存在すると思われます。しかしながら、温存術後の放射線治療ということになると、おそらくどの放射線医でも大差ないと私は考えております。よって通いやすさを基準に選ばれるのでよろしいかと思います。(文責 谷)

 

No.4797】 05年12月30日    MM
左脇・左乳房の鈍い痛みについて

お疲れ様です。HPで相談できるところを探しておりまして、早速メールをした次第です。以前から、生理前にはやや乳房が痛んだりすることがありましたが、その時には「乳腺症」と診断されたことがあります。それ以降は、特に病院に行くといったことはなかったのですが、最近、左脇・左乳房に時々じんじんとするような痛みがあったり(リンパのあたり)します。これは生理前と後に関係ないのですが・・・。41歳です。しこりとかはなさそうですが、心配ではあります(これまで未出産です)。これはどういう疑いがあるのでしょうか? よろしくご指導ください。

乳房痛の原因は色々と考えられますが、メールの内容から推察するところでは、以前指摘された乳腺症による痛みと考えるのが自然であるように思われます。逆に乳癌などの悪性疾患においては、痛みだけを主症状として来院される方は実はかなり少ないともいえます。しかしながら直接拝見したわけではありませんので、やはり是非一度近くの(乳腺)外科を受診されることをお勧めいたします。(文責 谷)

 

No.4796】 05年12月30日    N.T. 
転移の可能性について(HPNo.4319-2)

以前HPNo.4319でお世話になったものです。その節は丁寧なご回答ありがとうございました。こちらでのご相談の結果、CAFを選択し、現在5クール目を終えた所です。あと一頑張りと思っていたところ、数日前より術側の肩が痛み出しました。最初は寝違えただけかと思ったのですが、徐々に痛みが増している気がします。そこで質問なのですが、
1)通常、転移は脊椎や骨盤が多いと言われていますが、肩の骨から始まる事はありますか? また、私のケースの場合、転移の可能性は高いと考えられるでしょうか?
2)骨転移を調べる時に、単純X-Pで分かるものでしょうか?
3)次回の診察が1月半ばなのですが、日常生活に支障のない痛みなら、その時に検査のオーダーをしていただくことでよいでしょうか? それとも、早めに受診した方がいいですか?

こんなに早く転移してしまったのかと不安で一杯です。お忙しいところ申し訳ありませんが、ご回答お願いします。

1)貴女が仰るように、骨転移の場合、一般には脊椎や骨盤が多いですが、他の部分の骨にも多発している事が少なからずあります。鎖骨等の肩の骨の転移も稀には見られます。
2)多発しているかどうかも含めて、おおよその見当をつける為に、スクリーニングの検査として骨シンチを行ない、更に病変がある場合は、その部分、部分の検査を行います。単純X-Pも、この検査に含まれますが、他にCT、MRIを行う事になると思います。
3)痛みが増しているとの事ですので、不安を取り除く為にも早めに受診したほうがよいと思います。(文責 須田)

 

No.4795】 05年12月30日    A 
胸の気になる症状について

高校2年生の17歳です。最近、胸に気になる症状があって悩んでいるのでメールさせて頂きました。今年の夏(多分8月の終わりくらい)から胸がかゆくて仕方がないのです。表面がかゆいのではなく、中?がかゆい感じなんです。かゆいのは左の胸で、最近は黄色い斑点?(ぶつけた時とかに出来る痣のようなもの)が出てくるんです。ほっとくといつの間にか消えているのですが・・・。しかも胸がカサカサで、細かい皮が粉のようになって下着についてしまいます。クリームを塗っても効いている感じがないのです。元々肌が強い方ではなく、乾燥のせいかと思っているのですが、正直言って乳がんとか何かの病気ではないのかととても心配です。こういう事を姉やお母さんに相談する事も出来ずメールさせて頂きました。かゆいのも斑点が出るのは左胸で、カサカサで皮がむけるのは両方の胸です。これって何かの病気でしょうか・・・。説明が悪くてすみません。分かる範囲でこの症状が何か分かりましたら、ご回答下さい。

17歳という年齢を考えると、乳癌は否定的です。診察しなければ分かりませんが、メール内容から推測する限りでは、湿疹等の皮膚科の病気が考えられます。お母さんに話して、一度皮膚科を受診してみてください。(文責 須田)

 

No.4794】 05年12月30日    M 
胸のしこりの痛み

初めて相談させていただきます。宜しくお願い致します。34歳、3才の子供を持つものです。11年前に線維腺腫と診断され、ほぼ1年に1回の検診を受けております。今年の9月辺りから咳をしたり腕を大きく広げたりすると右胸の内側(肉の薄い部分)がチクッと痛むようになり、触ってみると5o程度のしこりがありました。10月の検診の際、それを伝えエコーの検査をしていただきましたが、「のう胞なので大丈夫でしょう」とのことでした。そこで安心したのですが、2ヶ月たった今でも、その痛みが残っております。生理前後とは関係なく痛みます。このような症状はどうしたらいいのでしょうか?

直接診察していないので、はっきりした事は分かりませんが、胸の痛みについては大部分は心配のないものです。生理と関係のない乳房痛の場合、のう胞内容が急速に溜まった時などに痛みを生じる事があります。 一般に痛みが日常生活に支障を来たさない場合(気にすれば痛いとか、痛みによる睡眠障害がない等)は、そのまま経過を見ることになります。貴女の場合、胸の痛みが乳房痛なのかどうかを確認するためにも、一度主治医の診察を受けてご相談下さい。(文責 須田)

 

No.4793】 05年12月26日    Roko
友人のホルモン治療について

いつもお世話になります。今回はPCをもっていない友人のことで相談させていただきます。細かな病状は聞いておりません。年齢は40代はじめです。この4月からノルバデックス服用。じきにへヴィーな生理や不正出血が頻発したので、婦人科で定期検査をして、8月までは、これという異常もなかったそうです。その後、不正出血などの症状は収まり、術後1年を迎えたので、節目として11月にまた婦人科で検査を受けたら、卵巣が腫れていました。12月2日に再検査したところ、卵巣腫大は続いていて5cmくらいの大きさで、圧迫痛もあり、茎捻転を心配しています。先日MRIの検査を受け、結果待ちの状態です。ノルバの副作用の場合、次に選択するホルモン剤にはどのようなものがありますか? 当人はラロキシフェンはどうかと言っていますが・・・。お忙しい中、恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

乳癌のホルモン剤には、「@乳癌細胞におけるエストロゲンの作用を阻害する選択的エストロゲンレセプター機能調節物質」と「A卵巣におけるエストロゲン産生を抑制するLH−RHアゴニスト(閉経前乳癌)」「B抹消組織におけるエストロゲン産生を抑制するアロマターゼ阻害剤(閉経後乳癌)」があります。ノルバデックスは上記@に属し、その他に、トレミフェン(閉経後乳癌に適応)やラロキシフェンがあります。その他のホルモン剤としては、閉経前なので、Aの卵巣機能抑制剤LH−RHアゴニスト(ゴセレリン、リューブリン)があります。術後療法の場合、効果と副作用を天秤にかけながら行っていく事になりますので、主治医と充分にご相談下さい。(文責 須田)

 

No.4792】 05年12月26日    S.M.
内視鏡手術について

乳がんの内視鏡手術についてお伺い致します。近隣の癌専門病院でステージTと診断されました。温存術をお願いするつもりでいましたが、内視鏡手術の熟練施設があると聞き、迷っています。乳癌は進行が遅いと聞きましたが、告知後2ヶ月近くたっています。早く決断した方が良いと思うのですが、時間にどの位の余裕と影響があるのか、大変不安です。以下につきましてお答え頂ける範囲でお教え頂きたく、お願い致します。
1) 内視鏡手術の歴史は浅いそうですが、手術の安全性と治療成績について
2) 内視鏡手術の病院が遠方である場合(所要時間4〜5時間)、術後を考慮すると困難でしょうか?
3) セカンドオピニオンを得た場合、日程上、手術を1度キャンセルさせて頂く事になり、現在の主治医にご迷惑をおかけしますが、再度お願いすることは出来るでしょうか? 又、癌の種類については詳しい説明が無かったのですが、悪性度が高いらしく、(それは針生検で診断が出ているのでしょうか?)再び手術の日程待ちになっても大丈夫でしょうか?
4) 通常の手術に於いても、施設により切除範囲や治療法にかなり違いがあるのでしょうか? 患者として適切な治療を受ける心構えをお聞かせ頂ければ幸いです。

1) 安全性、治療成績に関してですが、内視鏡手術の適応範囲内では差はないと考えてよいと思います。
2) 仮に内視鏡手術をする病院が遠方であったとしても、術後のfollowを自宅近くの病院でお願いすれば、問題はないと思います。
3) 納得のいく治療を受ける事が最優先事項ですから、セカンドオピニオンの希望がある旨を率直に主治医に話し、現時点で分かっている情報、及び貴女が相談したい内容を整理して、説明を受けて決断して下さい。その上でセカンドオピニオンをということになれば、快く紹介状を書いてくれるはずです。
4) 施設によって切除範囲や治療法に差があるかというご質問ですが、多少の差はあっても、考え方は同じはずです。「納得のいく治療を受ける事」と同様に大切な事は、「早く納得のいく治療を見つける事」だと思います。(文責 須田)

 

No.4791-1】 05年12月26日    K
肝転移について

3年半前に右乳癌と診断され温存術をしました。今年9月にCEAが8に上昇した為、10月にPET検査を施行し、局所再発と肝臓転移している事がわかりました。その後右乳房は全摘し、肝臓はMRIを施行、5ミリ大の腫瘍がある事がわかりました。全摘後CEAが14、11月には25になった為、FECが開始になりました。2クール終了後CEAが59に上昇しており、肝臓の腫瘍も2センチになっていた為、全く効果がみられませんでした。その為今度からタキソールに変更する事になりました。
<質問です>
1)毎月CEAが倍ずつに増えていくのは、肝臓だけではなく、他への転移も考えられますか?
2)PETは身体の全ての癌がわかるという事ですが、脳だけは解らないみたいなので脳の検査をした方がいいですか?
3)脳に転移するとどのような症状が出ますか?
4)10月にPET検査をしていますが、CEAが上昇してくるのならまた検査した方がいいですか?
5)次のタキソールが効かない時はハーセプチンをするみたいですが、それが効かない時はどのような治療があるのですか?肝臓に効く抗癌剤はあるのですか?
6)こんなにCEAが上昇すると他への転移も早く予後が悪いという事なんでしょうか?

長々とすみませんでした。よろしくお願いします。

1)CEAが上昇する場合、乳癌の転移・消化器癌(胃・大腸等)などが考えられますが、10月にPETで検査しているので、恐らく乳癌の肝以外への転移、消化器癌等は否定的だ思われます。
2)3)吐気・頭痛等の症状が無いので、恐らく脳転移はないと思いますが、不安を取り除く為にも、念の為にCTやMRIで脳の検査を行ってみるのも一法だと思います。 4)PETとCTを組み合わせたPET−CTが良いかもしれません。
5)ナベルビン+ハーセプチンの組み合わせが、肝転移に対して奏効する可能性があります。試してみる価値はあると思います。
6)腫瘍マーカーの上昇については、現在の治療に奏効していないか、又は別の臓器に癌がある場合などが考えられます。 貴女の状態を一番良く把握して下さっている主治医と充分なコンタクトを取りながら、納得のいく治療を進めてください。(文責 須田)

 

No.4791-2】 06年01月09日    K
肝転移の治療について

以前HPNo.4791でお世話になったものです。いつも参考にさせて頂いてます。有難うございます。去年10月右乳房は全摘し、肝臓はMRIを施行、5ミリ大の腫瘍がある事がわかりました。全摘後CEAが14、11月には25になった為、FECが開始になりました。2クール終了後CEAが59に、CA15-3が33、NCC-ST-4が18に上昇しており、肝臓の腫瘍も2センチになっていた為、タキソールに変更になりました。2クール終了後CEAが47に低下し、CA15-3が43に上昇していたのですが、今まで上がっていた数値がCEAは低下しているので、このままタキソールで様子をみようと言われるのですが・・・。ハーセプチンが2+なので使って欲しいと言ったのですが、今使うとタキソールが効いているのか、ハーセプチンが効いているのか解らないし、後になると使う薬がなくなると言われるので、何も言えなくなりました。   
<質問です>
1) CEAが、今まで上がっていたのが12程度低下しているので効果があると思いますが、他が上がっているのが心配なのですが大丈夫なのでしょうか?
2) 主治医にハーセプチンを使って欲しいと言ったのですが、使ってもらえませんでした。私は早く治療しないと命が…と思うのですが、慎重になっているのでしょうか?
3) 初めに薬を使ってしまうと後の薬がなくなると言われたのですが、選択する乳癌の薬は少ないのでしょうか?
4) ナベルビンが肝臓に効くみたいなのですが、話は全くでないのですが、私の方からお願いした方が良いのでしようか?
5) 今の病院は専門医がいるので安心していたのですが、セカンドオピニオンに行った方が良いのでしょうか?

アドバイス宜しくお願いします。

1) 抗がん剤の効果判定は、画像上の腫瘍の縮小や腫瘍マーカーの低下などを参考に、総合的に行うものです。タキソールは文面から推測するに、週一回投与が2回終了?といったところなのでしょうか。とするとまだ始まったばかりなので、もう少し経過をみて画像なども参考にしながら今後の治療を考えるということになるのだろうと思います。
2) ハーセプテストが(2+)の場合は、FISH(フィッシュ)検査を追加して、FISHでハーツー陽性ならばハーセプチンの効果があると考えられるので併用してもよいかと思います。ハーツー陰性ならば抗がん剤を中心の治療を続行したほうがよいでしょう。
3) 乳がんの治療薬は、少ないわけではなくかなりたくさんあります。一度にたくさんの薬を使用して効果があった場合、どのお薬が効果を現しているのかが分かりにくいことがあるので困ることがあります。このことを言っておられるのでは?
4) ナベルビンも効果がありますが、まずタキソールの効果をみて、タキソールの効果がなかった場合に使用を検討することになるかと思います。
5) 現在の主治医は乳癌の専門医とのことなので、まず現在の主治医とよく話しあってみることが大切だと思います。ここで質問されているような内容を主治医にも質問されていますか?限られた外来の時間ではなかなか聞きにくいかもしれませんが、主治医の先生はあなたの病状について一番お知りでしょうから、よくお話になることをお勧めします。セカンドオピニオンはその後のほうが、よりよい選択ができると思いますよ。(文責 俵矢)

 

No.4791-3】 06年01月15日    K
脇の下の痛みについて

以前HPNo.4835でお世話になったものです。いつも参考にさせて頂いています。有難うございます。3年半前に右乳癌と診断され温存術を行いました。PET検査にて去年9月に、局所再発と肝臓転移している事が解りました。その後右乳房全摘し、FECをしたのですが、効果がなくタキソールに変更になり、1クールが終了しました。去年10月ぐらいから左脇下に痛みがあったので主治医に相談したのですが、触診で左胸と脇を触り、「しこりはないし、癌は痛くないから大丈夫」と言われました。左の胸にはしこりはないのですが、最近脇の下の痛みが強くなり、しこりのようなものが出来ている気がします。
<質問です>
1) 左の胸ではなく脇だけに転移する事はあるのでしょうか? 転移すると痛みはあるのでしょうか?
2) どのような検査をしたら転移しているか解るのでしょうか?
3) また手術をしないといけないのでしょうか?
4) 痛みは去年の10月ぐらいからあったのですが、9月のPET検査では解りませんでした。リンパ節転移の可能性もあるのでしょうか?

1) 全身のリンパ節はリンパ管によりつながっていますので、多数のリンパ節転移を認める場合には対側の腋窩リンパ節に転移する可能性もあります。
2) 触診でわかるものであれば、細胞診や針生検で診断可能です。
3) 肝転移や局所再発があるのであればそちらの治療が重要であり、もしも対側の腋窩リンパ節が転移であったとしても治療方針は変わらないと考えますので、手術が必要になる可能性は低いです。
4) 小さいものであればPET検査でもわからないことがありますので否定はできません。しかし、3)にも書いた通り治療方針は変わりませんので、今はタキソールの治療を続行するのがよいと思います。(文責 浜口)

 

No.4790】 05年12月26日    M
腋のしこり

初めまして。36歳・未婚・出産経験なしです。同じような質問がいくつがあったのですが、私の場合は痛みを伴っていますので相談させて頂きます。4日ほど前に右腋に0.5mmぐらいのしこりがあるのを見つけました。ぐりぐりしていて大豆が皮膚表面に入っている感じです。そして昨日、腋の真ん中辺りに又しこりが出来ていました。このしこりをつまむと痛みを感じます。普通にしていても腋の下に痛みを感じています。腋の下の痛みの原因は、12/6頃よりかかった帯状疱疹だと思っていました。ひどくはなかったのですが、右腋横、二の腕、背中に疱疹ができたので、それからくる痛みだと・・・。でもしこりが出来たので心配です。乳がんのしこりは痛みがないとよく書かれているのですが、どうなのでしょうか? 又検査を受けるにしても、大病院は紹介状がないと受付てないですよね? やはり一度かかりつけの医院へ行って相談した方が宜しいのでしょうか? 宜しくお願い致します。

右腋窩の皮膚表面にある大豆大の有痛性のグリグリですが、メール内容から推測する限りでは、炎症性の粉瘤(良性)のような皮膚の病変が考えられますので、一度皮膚科でご相談下さい。乳癌と痛みとの因果関係はなく、ケースバイケースです。(文責 須田)

 

No.4789】 05年12月26日    H.M.
ホルモン治療について

シンガポールに在住の34歳主婦です。4月に約1cmのしこり2個が乳癌と診断され、右胸全摘手術をこちらで受けました。リンパ節転移は3本。ER,PR共に(+)、HER2は(−)です。5月よりAC療法4回、タキソール4回。現在放射線治療を全28回受けています(TOTAL50グレイ)。先日よりノルバデックスの服用も始めました。閉経前なのでノルバデックスを医師から処方されていますが、ゾラデックスやアリミデックスの方が再発防止により効果が高いというのをよく耳にします。両ホルモン剤の効果の差は、どの程度大きいのでしょうか? また、閉経前か否かの違いだけでホルモン剤の種類が違うのであれば、今後妊娠することはないので、生理を注射で止めるなどして、ゾラデックスやアリミデックスに変更するということも可能でしょうか? また、子宮および卵巣摘出するという選択肢はどう思われますか?(こちらの医師に相談した所、子宮や卵巣を摘出までする必要はないと言われました) ノルバデックスで子宮ガンのリスクが高まるので、5年間の服用が限度と言われました。子宮を摘出した場合、更に長く服用が可能なのでしょうか? 子宮、卵巣を摘出した場合のメリット、デメリットを教えていただけますか? 宜しくお願いいたします。

乳癌の進展には女性ホルモン(エストロゲン)が強く関与しています。従って乳癌細胞の増殖を抑えるには、「@がん細胞におけるエストロゲンの作用を阻害する事 A卵巣や抹消組織におけるエストロゲン産生を抑制する事」が必要であり、ホルモン療法の考え方の基本となっています。ノルバデックスは選択的エストロゲンレセプター機能調整物質で、乳癌細胞の中でエストロゲンレセプターに競合的に結合してエストロゲンの作用を抑えます。また、ゾラデックス(閉経前乳癌に対する治療)は卵巣機能抑制薬剤であり、卵巣摘出と同等の効果がありますが、両者の最も大きな違いは、ゾラデックスの場合、薬を止めると卵巣機能が回復する事です。アリミデックスは、エストロゲン産生を抑制する薬剤ですが、閉経後の女性に使われます。閉経後の女性では脂肪などの抹消組織が主なエストロゲン産生源になりますが、アリミデックスは、アンドロゲンが抹消組織でアロマターゼによってエストロゲンに変換されるの阻害するからです。以上より、ゾラデックスとアリミデックスを併用すると、理論的にはエストロゲン産生を完全に抑制する事になり、その効果はノルバデックスと同等以上という報告もあります。従って貴女の場合、現在34歳ですので、まずノルバデックス(5年間使用)で乳癌細胞中でのエストロゲンの作用を阻害し、増殖を抑えることとし、39歳以降にゾラデックスとアリミデックスを使用する方針ではないでしょうか。日本では、ゾラデックスとアリミデックスの併用は保険で認められていませんが、シンガポールでは使用可能だと思います。また、ノルバデックスを使用するためだけに、病気でもない子宮を摘除することは行われておりません。卵巣摘除術も、ゾラデックスやリューブリンと同等の効果であるため、ほとんど行われておりません。今後の治療方針については、主治医と充分に相談し、納得のいく治療を受けて下さい。(文責 須田)

 

No.4788】 05年12月25日    N
肘の骨への転移

肘の骨に転移することはありますか?

主として脊椎骨・骨盤等に多く転移します。肘の骨のみに転移病変が限局している事はめったにありませんが、絶対にないとは言えません。(文責 須田)

 

No.4787】 05年12月25日    S.A
脇の下の変化及び血管炎について(HPNo.4350-3)

いつも拝見して勉強させていただいております。前回HPNo.4350でも質問させて頂いております。今回も気になる症状について書かせていただきます。よろしくお願い致します。現在、AC療法の最後4サイクル中です。途中、白血球が800に下がるなど苦労しましたが、なんとか最後までスケジュール通りに終えることができ、後は薬の副作用がなくなり、母の体力の回復を待つのみの状態です。気になる点というのが、2回目の注射ぐらいから点滴を打つ側(左の手の甲)の手首が腫れ、つる様な痛みが出はじめたことです。主治医にもその旨を告げましたが「抗癌剤の投与で、血管炎を起こしている。これに対しての治療はないので、数ヶ月単位で様子をみるように」と言われました。注射を打つたびに手首の骨辺りが腫れ、発疹ができ、痛みがあった様子。注射をすべて打ち終えた現在、小さな紫斑が出来ており、痛み腫れもあるようです。素人ながら調べたところ、これは薬による過敏性血管炎と考えてよろしいでしょうか? それであれば、色々な臓器に影響がある場合が考えられるとあり、心配でなりません。現時点では、我慢が出来ないような痛み等ではないようなのですが、抗癌剤による血管炎の場合、きちんと完治するものなのでしょうか。それとも、専門医(この場合、リウマチ科でよろしいのでしょうか?)に、きちんとみてもらうべきでしょうか? また、最後の4回目の注射の日に、主治医にエコー、触診してもらい問題なし、次回は3ヵ月後と言われたのですが、次の日、母が自分で手術側の脇の下を触ると今までなかった筋の腫れ(血管のような筋が腫れているような)のようなものを発見。前日に主治医に確認をしてもらったばかりだし、抗癌剤中でもあるので、まさかとは思うのですが、これも不安が拭えません。やはり、もう一度主治医に診てもらうべきでしょうか。このような症状はどのように考えられますか? お忙しい中、何度も質問して大変恐縮ですが、どうかご意見よろしくお願いいたします。

抗がん剤による血管炎だと思います。静脈炎によって血管がつぶれてしまい、同じ場所で点滴を打つ事ができなくなりますが、しばらく点滴を休むと、再び静脈のネットワークで、残っている部分がある程度太くなり、点滴が出来るようになります。つぶれた血管に対する治療はありませんが、血液は静脈のネットワークのバイパスを通って流れますので、心配はありません。腋窩に触れる新しい腫れについては、診察しなければ分かりませんが、転移が心配ですので、不安を取り除く意味からも、もう一度主治医に診察してもらう必要があります。(文責 須田)

 

No.4786】 05年12月25日    Y.S.
術後のむくみについて

母が、8月末に左側の乳ガンの手術を受けました。検査結果はマイナスと言うことで、リンパへは流れていなかったのですが、退院してから左手の二の腕あたりのむくみと痛みがあるようです。主治医に相談した上でサポーターをしておりますが、痛みがひかないようです。11月初めの頃は、左腕全体がむくんでいたのですが、今は二の腕が痛いようです。血行障害で以前1週間程、入院治療をしたことがあります。むくみ・痛みがひくのは時間がかかるのでしょうか? また軽減する方法がありますか? 宜しくお願い致します。

リンパ浮腫に対しては、リンパマッサージやハドマー(空気の圧力による機械的マッサージ)等で軽減処置を行っていく事になりますが、完全にコントロールする事は困難です。痛みがなく腫れだけの場合、ヨガ・ラジオ体操等、長期間続ける全身の運動がリンパの側副路を発達させ、浮腫に対して有効な場合もあります。根気よく続けてみるのも一方かと思います。(文責 須田)

 

No.4785】 05年12月25日    M.O.
骨への転移について(3)(HPNo.4598-3)

お忙しい中、丁寧にご回答頂きありがとうございます。主治医に確認したところ、脳の骨に転移しているので、抗ガン剤で投与とのことでした。最近、瞼の奥が痛いと言っています。今、抗ガン剤は二回目になり、痛みを取る方法はこれしかないでしょうか。

骨転移による骨関連事象(病的骨折、疼痛など)に対しては、ビスフォスフォネート製剤で症状を制御できる可能性があります。また、放射線治療も疼痛のコントロールに有効です。主治医と充分にご相談下さい。(文責 須田)

 

No.4784】 05年12月25日    H 
乳腺腺腫の増加

いつも拝見させていただき、有難うございます。2年前、会社の検診(エコー)で乳腺線維腺腫と診断されました。それだけでは不安だったので、別の病院でマンモグラフィ・エコー・細胞を検査し、乳腺線維腺腫なのは間違いないとの結果でした。昨年も同じ会社の検診(エコー)で、「1年前と同じ乳腺線維腺腫で変化が認められないので、また1年後の検診との比較で良いでしょう」とのことでした。そして今回の検診で、「増加を認めますので乳腺外科専門医を受診してください」との結果になりました。「線維腺腫の周囲に乳腺症の局所変化が起こっている事も非常に多いことで珍しくはありません」との事でした。本当にその様な事が多いのでしょうか? 線維腺腫の周囲に乳腺症の変化が起こるとは、どのような事が考えられますでしょうか? 来年病院には行こうと思っておりますが、とても不安になりメ−ルさせて頂きました。よろしくお願いいたします。

日常診療において、「こぶ」を形成する病変の一つに線維腺腫があります。また、様々な病態により乳腺が固く触知するという症状があれば、乳腺症と表現します。貴女の年齢が分かりませんが、線維腺腫の多い年代である20代、30代、40代では、線維腺腫の周囲の乳腺が固く触知することは珍しい事ではありません。これ以上の事は、直接診察する必要がありますので、不安がある場合は、早めに乳腺外来を受診することをお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.4783】 05年12月25日    F.N
乳輪下部から放射状にある皮膚の痒み

未婚の25歳です。初めて相談させていただきます。約1年前から左の乳輪下部から放射状に皮膚が割れて痒みが伴うただれがあります。大きさは今では1.5cmくらいあります。1年位前は両方の乳房にそのような症状があったのですが、右のただれは痒みがなくなって皮膚の色も正常に戻りましたが、左の方は今も皮膚が割れてその周辺の皮膚がかさぶたのようになった色(薄い赤茶色)になってしまっています。痒みは治まったり、発生したりを繰り返しています。何の原因でこのような症状になるのか、乳がんと何か関係があるのではないかと、とても不安です。お手数ですが、宜しくお願いします。

直接診察しないとはっきりした事は申し上げられませんが、メール内容から判断する限り、おそらく乳癌とは関係ないと思います。乳輪部の湿疹でしょうか? 皮膚科を受診して、ご相談下さい。(文責 須田)

 

No.4782】 05年12月25日    A 
術後1年、頭痛について

昨年11月に左胸部分切除手術をしました。病理の結果は、転移3/16。術後はAC6クール。現在リュープリン(3ヶ月に1回)、ノルバデックス、UFT(1日3回)。11月の1年検査では転移はないと言われたのですが、1週間ほど前から、右頭部(耳の上あたり)に、夜寝る時鈍痛があります。がまんできる痛みなのですが、風邪の症状は全くなく、これがノルバデックスによる副作用なのかどうか不安です。念のため12月22日に造影剤をつかってCTの検査をしますが、結果は年明けです。ホルモン剤の副作用の頭痛と、転移による頭痛の痛みの違いを教えてください。不安で眠れず、更に頭痛が悪化しそうです。

痛みについては、頭痛に限らず、尺度がありませんので、人により感じ方が異なります。両者の違いはよく分からず、従ってCTにより脳転移が無い事を確認する事になります。「不眠」については、主治医と相談し、適切な対処をしてもらいましょう。納得のいく治療を受けるためにも、どんな症状も我慢するのではなく、主治医に話し、相談する事が大切です。(文責 須田)

 

No.4781】 05年12月25日    N.H.
穿刺吸引細胞診の危険性について

胸にしこりを見つけ、マンモグラフィとエコーをしました。マンモグラフィには何も写らず、結局しこりと思われたものは心配ないとのことでした。しかしエコーの結果、他の部分に黒い影が写りました。もやもやっとした感じで、『悪性』っぽい雰囲気を感じましたが、先生の診断もそうらしく『超音波下穿刺吸引細胞診』をすることになりました。家族にそのことを話したところ『ガンは刺激すると大きくなる』から、もっとよく考えてから検査を受けるように言われました。本当にそのようなことはあるのでしょうか?

例えば胃内視鏡の検査をして、胃壁の一部をかじりとってくる検査を胃生検と言いますが、胃癌かどうかを診断するために行うものです。大腸でも同様の検査がありますが、これらは吸引細胞診とは桁違いに大量の組織を取る検査ですが、必要であるからやむを得ず行うのです。吸引細胞診の場合も、「癌を刺激する」「癌細胞を散らす」可能性はあるかもしれませんが、乳癌であるかないかの診断をつける為に必要であるので、やむを得ず行っているのです。貴女のような場合、吸引細胞診を行う事が一般的ですが、どうしてもいやな場合は、生検・画像によるfollow等を行う事になります。主治医と充分相談し、納得のいく方法で検査を進めてください。(文責 須田)

 

No.4780-1】 05年12月25日     H.N.
治療方針について

昨年(H11)12月末に市民検診でマンモグラフィーを受診して精密検査となりました。H12,1,14 成人病センターでマンモ、超音波、細胞診を受け、異常なしで三ヵ月後受診との事。4.22 超音波、細胞診を受け、異常なしで六ヵ月後受診との事。10、21 超音波、細胞診を受け、良性の細胞と悪性になる可能性のある細胞が混在している。5ミリと小さいので太い針生検は出来ないので、注意深く観察するという事で三ヵ月後の受診とのこと。「まだ悪性ではありませんが」と言われました。現在私は52歳、30年くらい前に同じ場所に1pのしこりがあり、2年以上経過観察の後、結局ホルモン剤を一週間飲んで小さくなり、そのまま現在に至っています。当初私はてっきり、その残骸がずっとあったけれど、マンモのせいで発見されたと思っていました。今でもそれを祈っています。

1)そんな事ってあり得ませんか? でもやっぱり不安で、セカンドオピニオンを受けたいと思い、鏡視下乳房温存手術というのに惹かれ、大学病院の先生に経過をメールしました。紹介状も何もいらないので診察に来るようにと日にちまで提示され返事がきました。その先生のメールには、「私の診察を受けるのが一番の早道です。」とまで書かれていました。悩みましたが12月12日に受診しました。マンモ、超音波、そして細胞診をしますと言われ、コアニードル生検をしました。「5ミリでも私は出来ます。私が取れなければ関西で取れる人はいないでしょう。私の経験から硬がんだと思います。5ミリ×7ミリ。硬いのでいくら細胞診をしても取れないのです。」と言われました。
病理結果は26日なのですが、MRIとCTの予約を27日に取られました。(これは違う病院で撮る事になっています)
2)MRIとCTは、ガンと決まってから撮るのではないのでしょうか? 自信満々の先生で、もうガンと確信しておられるようで、「これで取れていなかったら、もう一回します。」とも言われました。硬ガンを調べれば、浸潤性で気短の転移しやすいガンとありました。12日以降、食欲もなく、大変心配です。成人病センターの先生の今度の予約は1月20日です。もし大学病院の先生がおっしゃる硬がんであれば、一日も早く手術するべきでしょうか? 最初の受診からすでに1年が過ぎているので不安です。
3)こんなに先生によって違うものなのでしょうか?
4)26日にもし異常なしであれば、先生ならどのような方針をとられますか?
5)経験豊富な先生は、マンモと超音波だけで診断がつくものなのでしょうか? 成人病センターの先生も経験豊富な色んな所から紹介状をもって来られるような先生です。
6)もし手術をするのなら傷の少ない内視鏡でしたいと思っていますが、それもどうでしょうか?

よろしく御指導お願いいたします。

「H12,1,14 成人病センターでマンモ、超音波、細胞診を受け、異常なしで三ヵ月後受診との事。」とありますが、これは異常なしということではなく、異常があるから3ヵ月後に受診が必要であると言われたのだと推測されます。「細胞診を行う必要のある病変があり、これについて細胞診を行った結果、病変があるという意味では、正常と異なり異常ですが、がん細胞のような悪性の細胞は見つからないので、悪くはありません。」という事だと思います。乳癌の検診又は検査を行っている時、良性の病変も含めて乳癌ではないという意味で「異常なし」と表現したのかもしれません。従って4月22日も「異常なし」ではなく、「異常はあるが、癌という証拠はない」ということになり、6ヶ月後に受診が必要という事になります。
1)乳腺外来では、あなたのように不安を抱えた方々が受診しているのです。乳癌でない事を確認する場でもありますが、乳癌が発見された場合は、治療を進めていくことになります。主治医とのコミュニケーションを密にして、納得のいく治療を受ける事が大切になってきます。
2)MRIやCTは、乳腺の病変についての広がりの診断の為に利用します。もちろん癌の場合も、広がりの診断について利用します。
3)直接診察をしていないので、コメントのしようがありません。
4)「異常なしではなく、異常があるのですが悪いという証拠が出ない場合、どのような方針をとるのか」という事だと思います。直接診察していないので、はっきりした事は申し上げられませんが、異常があるのですから、生検を勧めるかもしれません。
5)マンモグラフィー、超音波検査で診断がつくものもあれば、つかないものもあります。
6)診察をしていないので推測の域を出ませんが、術式に関しては、内視鏡手術も選択肢の一つかもしれません。(文責 須田)

 

No.4780-2】 06年01月12日     H.N.
針生検の結果について

昨年HPNo.4780で質問させていただきました。その後セカンドオピニオンのつもりの病院での針生検の結果を聞きに行きました。乳頭腫、papilloma→良性の病変と説明されたのですが、染色して詳しく調べるのでMRIを撮って1月16日に来るように言われています。良性の細胞を詳しく調べて、悪性の細胞(ガン)が出る事があるのでしょうか?CTとMRIは遠いのでどうしても撮らないとだめかとお聞きしたら、「CTはキャンセルしてもいいが、針生検がずれてとれていないと結果が出ないので、MRIも必要」と言われました。針生検で取れていなくてもMRIだけで判断がつくということなのでしょうか? 「細胞は取れていたのですか」とお聞きしたら、「取れています」とおっしゃいましたが、MRIのことをお聞きしたら、ずれていたら出ないとおっしゃいました。乳頭腫と言われたのですから、細胞は取れているということなのでしょうか?いずれにしても、今後は成人病センターでお願いしたいと思っていますので、MRIも必要なら成人病センターの方で撮りたいのです。針生検の染色後の結果の信用性は高いのでしょうか?とても遠い所までMRIを撮りに行きたくないので、聞きに行こうか迷っています。MRIも一緒でないと意味がないのでしょうか?先生のお考えをお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

乳腺に発生する腫瘍性病変は良悪性の鑑別が困難なこともあり、また良性病変の一部に悪性病変がみつかることもあります。標本の見直しや特殊染色により良性と考えられていた病変に癌が見つかるケースもあります。MRI検査により病変のひろがりや、多発病変の有無など診断にあたり有用な情報が得られると考えられますが、質的診断については針生検の結果の方が重要ですので、急がないのであればMRIは病理の結果を待ってから近医で撮ればいいのではないでしょうか。(文責 浜口)

 

No.4780-3】 06年05月16日     H.N.
生検について

HPNo.4780でお世話になりましたH.Nです。まず初めに最初の受診年が間違っていたので訂正しておきます。No.4780-1の昨年(H11)12月末は(H16),H12.1.14成人病C受診はH17.1.14の間違いです。済みませんでした。結局1月の大学病院でのコアニードルの免疫染色後の結果も乳頭腫と言うことでしたが、切除しておしまいと言われたので、家から近い元の成人病Cでしたい事を伝え、結果のコピーをいただき、すぐに成人病Cに行きました。すると、「こんな手で触れないような小さいのを取るのは難しい。しかもこの結果が正しいかも解らないし」と言われ、「綺麗に取れますと言えません。どうしますか」と聞かれたので、「じゃあ今まで通り経過観察をお願いします」と言う事になり、また穿刺細胞診をしました。結果何も出ず、3ヵ月後ということで4月末に受診した所、いきなり、「向こうの病院で切れと言われているんだから切りましょうか」と言われ、「前は切るのは難しいと仰いましたね」と聞くと、「かなり大きく取らないだめだけど、向こうの病院で責任を取ってくれるなら良いけど、こっちにも来てるんで責任があるし」と。私が、「じゃぁ標本をお借りしてきて、こちらでも調べてください」と言って、そうする事になりました。また穿刺細胞診をして帰りました。すぐに大学病院でお借りして標本を持参しました。次週行くと、標本の結果が成人病Cでは非浸潤癌の疑いと出たので、切って生検するしかないと。どれくらいの傷になるか尋ねると、「皮膚にマーキングしても切れば解らなくなるし、手で触れないから何処にあるかも解らないから、まあ、これくらは取らないと」と、両手で人差し指と親指で固まりを示されました。直径6〜7センチぐらいに見えました。「そんなに取れば、かなり凹んでしまいますね」とお聞きすると、「仕方ないでしょう」と言われ、ショックを受けました。標本をお借りした病理の先生の説明では、判断が付かない時は癌研の秋山先生に送りますが、それに至らなかったと言う事で、4人の先生の印が押してありました事をお伝えしたら、「そちらにそういうルートがあるなら、秋山先生に見てもらってから決めても良いです」と言われたので、「コピーを頂けますか」と言うと、「これは渡せません。非浸潤癌の疑いと言えば解ります」と言われました。幸い大学病院の病理医の先生の御配慮で今コンサルテーションしていただいていますが、
1) 5ミリのしこりを生検するのに、そんなに大きな傷をおわないとできないのでしょうか? 癌かどうかも解らない5ミリのしこりを調べるのに、そんな大きな傷を負う事に納得がいきません。別病院の友達の主治医に聞いてもらったら、しこりにマーキングをして5ミリのしこりなら2〜3cmの傷で凹みも無く取れるとか。
2) もしコンサルテーションの結果が癌ではなく乳頭腫であれば、もう少し経過観察を続けてもいいでしょうか? 30年前に同じ場所にあったしこりをホルモン剤で小さくした経緯があるので、私としてはその残骸ではないかという希望があります。それが乳頭腫と重なり、マンモの出現により、映っているなんてことは考えられないでしょうか?
3) 病理検査の結果を大学病院では頂けたのに、成人病Cでは頂けませんでした。強く希望すれば頂ける権利はあるのでしょうか? 正規のルートを通さないと渡せないような事を仰っていましたが、正規のルートって何なのですか? こんな時代だからとも言われていましたが、こんな時代だから情報開示がすすんでいるのではないのでしょうか?

長くなり恐縮ですが、不安だらけです。どうかよろしくお願いいたします。

病変自体は小さなもので、非浸潤性乳管がんと乳管内乳頭腫の鑑別が問題となっている病変のようなので、仮にこれが「乳がん」であったとしても進行は早くないので、ゆっくり考える時間はあると思います。
コアニードル生検と細胞診をして診断がつかないということであれば、切除生検にもっていくか、その前にコアニードルよりもう少し太い針のマンモトーム生検を行うかになると思います。非触知の病変を切除生検する場合は、やはり実際の腫瘤よりどうしても大きめにとることになります。乳房の薄い人で、浅いところにしこりがあれば小さくもとれますが、乳房の大きい人の奥のほうにあるしこりは大きく取らないととれないことがあります。また成人病の先生は、「乳がん」の疑いがあるので広めに切除するつもりなのかもしれません。納得いかないのであれば、遠慮せず担当医によくお話してみてください。経過観察という手もありますが、ここではっきりさせたほうが、相談者さんも安心されるかもしれません。病理のコンサルテーションの結果をお待ちになって決めてみたらいかがでしょう。
確かに情報開示は重要なことです。しかし病理のコンサルテーションに関しては、現在の診療報酬体系の中ではいわゆる「報酬」がつきません。
コンサルテーションもまさに大学の病理の先生、癌研の秋山先生の「ご好意」でしてもらっているのだと思います(おそらく無報酬でみてもらっていると思います)。きちっとしたコンサルテーションのシステムがないのが現状なので個々の病院の対応に違いがあるのです。その事情も汲んでいただけるとありがたいです。
いずれにせよ、遠慮せず担当医ともう少しお話されると不安な気持ちも解消されるのではないでしょうか。(文責 俵矢)

 

No.4780-4】 06年06月27日     H.N.
微小病変の切除について

HPNo.4780でお世話になっていますH.Nです。コンサルテーションの結果は、「癌研が、やはり乳管内乳頭腫、悪性所見なし。大医Cが、この標本には悪性所見は無いが、radial scar/complex sclerosing lesion の一部が採取されている可能性も十分考えられます。全体像を確認する必要があるので切除生検をすすめます。」と、また分かれてしまいました。大医Cでは、「しこりの周り1cmのところにマーキングして切除、乳房が大きく凹む事はないと思います。」という事なので、受診して調べてもらった結果、良性を示す所見と、低悪性度の乳管内癌を否定できない部分が見られるので切除生検すべきという事で、切除する事に決心したのですが、全身麻酔で行うので6日間の入院。もう少し簡単に考えていたので、驚いています。成人病ではマーキングはしないで、何処にあるか解らないので乳房の変形は覚悟で切除。針生検をしてもらった遠医の先生に問い合わせると、「乳頭腫なら局所麻酔で乳腺部分の切除で乳房の変形も無く、日帰り手術で可能。」という事です。遠医の先生にはコンサルテーションや大医Cでの病理結果を報告せず、前に乳頭腫、切除といわれた事だけを伝えたからなのでしょうか? PCで、最近は微小病変が見つかり、これは「エコー下でマーキングしながらフックをして取らないと、的確に病変を取る事は困難です」という文を見つけたのですが・・・。小さいしこりを日帰り手術で取ることは可能なのでしょうか? 教えていただきたく、よろしくお願いいたします。

低悪性度の非浸潤性乳管癌を否定できないところがあるというなら切除生検しておいたほうが無難でしょう。(文責 麻賀)

 

No.4779】 05年12月25日     F
dcis と追加照射

dcis領域の部分切除術後、放射線照射の治療を受けています(組織所見では断端陰性)。全33回の照射のうちの9回の部分照射の必要性について、ご意見をお聞かせ下さい。回復不可能な副作用(発汗低下、血管拡張、乳腺組織の硬化、萎縮等)をなるべく避けるよう、照射回数をできるだけ減らしたいのです。
所見内容:
腫瘍はcribriform、flat、papillaryに増生するDCIS。検索範囲内での乳管外への浸潤は見られない。#6で側方断端に、#7で深部断端にDCISが至近(約0.1mm)。背景乳腺にadenosisが見られる。以上です。

お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。

9回の部分照射については、おそらく線源を変えて効率よく、しかも副作用をできるだけ避けるように照射を工夫した放射線治療だと思われます。放射線科の主治医に疑問点、不安な部分も含めて充分お話を伺い、納得のいく治療を受けることが大切です。(文責 須田)

 

No.4778】 05年12月25日     S
乳房の痒み

私は30歳で結婚していますが、子供はいません。5,6年ぐらい前から乳房が痒くなり、掻いたあとに乳房を搾ると水みたいな液がいっぱい出てきます。今から4年前に子宮内膜症の手術をしたのですが、それと何か関係があるのでしょうか? 教えてください。ちなみに、左の子宮は訳あって機能していないまま子宮にまだ残っています。

直接診察していないので、推測の域を出ませんが、メール内容から判断すると、皮膚疾患(湿疹等)が一番考えられます。子宮内膜症とは関係ないと思います。一度皮膚科を受診して、ご相談下さい。(文責 須田)

 

No.4777】 05年12月25日     YD
乳がん検診の診断について

27歳女性です。乳がんについて検索していた所、こちらのサイトを発見しました。乳がん検診の診断に不安があり、相談させていただきます。先日、左胸がチクチク痛む症状が続いたので乳腺外科を受診しました。触診では特に問題なく、軽い乳腺症だろうと診断を受けました。念のためと、乳がん検診のエコーとマンモグラフィーを受けた所、痛みがある箇所とは別のところに、ごく小さな楕円のシコリがエコーで見つかり、たぶん良性でしょうと言われました。その際、もう一度触診を受けましたが、触診ではシコリは確認できず、「大丈夫、良性でしょう。良性が悪性に変化する場合もあるので、経過観察で年に一回検診を受けに来てください」と言われました。乳がんの知識が何もなかったので、シコリがあることに驚いてしまったのと、良性と言われて安心したせいもあり深く質問しないで帰ってきてしまいました。ネットで検索してみた所、シコリが発見された場合は穿刺吸引細胞診を行うとあったのですが、画像と触診のみで良性と診断されたので、不安になってメールさせていただきました。画像と触診だけで良性との診断はつくものなのでしょうか。経過観察で1年放っておくのも心配です。病院を変えて再度受診した方がよいのか迷っております。アドバイスよろしくお願いいたします。

小さな腫瘤では、画像と触診だけでは良悪性の診断はつきません。おそらく27歳という年齢も考慮すると、良性の確率が高いという事だと思います。あなた自身に不安が残る場合は、エコーガイド下で吸引細胞診を行って、良性である事を確認してもらってください。また、良性であってもしこりがありますので経過観察が必要になりますが、その期間についても、1年では心配というのであれば、6ヶ月毎にするか等、主治医と充分にご相談下さい。(文責 須田)

 

No.4776】 05年12月25日     Y 
胸の痛みについて

はじめまして、32歳、未婚です。ここ何日か、生理まで10日もあるのに胸が張って乳首もさわると痛いのです。今朝起きたら、左胸の上の方(胸の付け根?)がズキズキと痛くて・・・。しこりのような物はないのですが、一度病院で見てもらった方がいいですか? その際、ちゃんと乳ガンの検診をした方がよろしいでしょうか?

直接診察しなければはっきりした事は申し上げられませんが、恐らく月経周期に伴った乳房痛だと思います。乳癌でない事を確認し、不安を取り除く意味からも、一度この機会に乳癌検診を行っては如何でしょうか。(文責 須田)

 

No.4775】 05年12月25日     K.H.
術後の方針

私には、40歳の妻がおり、子供2人構成の家庭です。今回、来週の月曜日(12/19)午前中までに以下の判断を夫婦でしなくてはならなくなりまして、その判断をするにあたり、ぜひ、アドバイスをいただきたくメイルしました。今日、明日、明後日の午前中までの間に是非、このメイルを読んでいただきアドバイスをいただければ。
石灰化がマンモグラフィーに写り、腋の下も腫れているとの事が判明し、11月下旬に、「左乳房温存術とリンパ節郭清」の手術を受けました。切除した範囲は、5cmx3cmぐらいです。先日、術後の病理検査結果を聞きにいき、以下のような事を言われてきました。
●非浸潤乳管癌、リンパ節転移無し。加えて、コメドタイプだと言われました。
●切除したものについては、断端陽性とは言われなかったものの、断端の極めて近くに癌細胞があるとの事でした。もともと、しこりを形成するという性質ではなく、ごま塩のように散らばっているようなものだそうです。切除しなかった部分にも取り残しがあるのではないか

このような状況で、「全摘手術を行うか」または「温存のままで放射線治療を行うべきか」を今日入れて3日間のうちで、決断するように医師から言われました。はじめは、温存で放射線治療を選択しようかと考えておりましたが、コメドタイプが再発しやすい、との事を当相談室で知り、迷っております。整形的な問題よりも、予後を重視したい、いわゆる再発の可能性を一番低くしたいというのを選択するにあたっての基本と考えております。私どもの状況をうまく説明できませんでしたが、ぜひ、このメイルを読んでアドバイス等、返事をいただきたく思います。宜しくお願いします。

非浸潤性乳管癌は、その癌の進展範囲が浸潤性乳管癌に比べて予想以上に広い事が多いため、一般的には乳房切除術が行われています。この傾向は、日本に限らず欧米でも同様で、乳房温存術は、30〜40%程度との報告もあります。温存手術を行った場合、術後永久標本の病理結果から、断端陽性、又はその可能性があった場合は、追加切除を行うか、乳房切除を行うか、追加照射を含めた放射線治療を行い、厳重にfollowしていかなくてはなりません。再発の可能性を低くすることを重視するとすれば、乳房切除という考えになりますが、主治医の先生と充分に相談の上、納得のいく選択をしてください。(文責 須田)

 

No.4774】 05年12月20日     A.N
石灰化について

乳ガンと石灰化を探していてこのHPをみつけ、どうしても質問したいことがありメールしております。神奈川県におります。59歳になる母が人間ドックで左乳房の付け根、脇の下の方あたりに肉腫のようなものが感じられるといわれ、「線維腺腫の疑い」といわれました。触診でも判らず、エコー検査時のみ見つかります。そのため地元の病院に行き、マンモグラフィとエコー検査をしたのですが、指摘された場所に同様に小さな肉腫のようなもの(線維腺腫)が見つかり、左乳房に石灰化ありとの診断でした。石灰化はカテゴリとしては3の様なことを言われ、念のため線維腺腫と思われる部分と石灰化の部分をエコー検査下で注射針による細胞検診を行いました。「細胞診(と思われる)の結果では不明である。より詳しく細胞をとる検査をしましょう」と言われました。たぶんマンモトーム(組織診)のことではと思われます。いま行っている病院は乳腺関係の認定施設でもなければ、かかっている医師も外科の医師で乳腺専門医ではないのです。マンモグラフィの読影結果も「乳房の石灰化はよくあることです」と言われたようです。この場合、追加の検査なども、このまま同じ病院と医師で続けていいものでしょうか? それともマンモトームなど体に負担がかかる検査からは、専門医のいる施設で行った方がいいのでしょうか? 追加検査についても「もう少し多く細胞をとる」「太い針でやる」としか言われておらず、必ずしもマンモトームか不明です。また良性の線維腺腫だとして、触ってもわからない大きさのものを必ず摘出すべきなのでしょうか? 専用装置のある施設で簡単な局部麻酔で摘出のようなことを言われております。その病院では外科の医師はその医師1人でまかなっているようです。また乳ガンの手術はそれなりに手がけてはいるとのことです。また細胞診などの各種検査については病理部がないようで、すべて専門の外部検査施設に委託しているようで、結果がでるのも時間がかかります。自病院の施設で病理検査できる規模の病院にすべきでしょうか。状況としてわかる範囲をなるべく書きました。ご意見のほどを頂戴できましたら嬉しく思います。なにとぞよろしくお願い致します。

細胞診では診断がつかなかったことから、針生検など少し太い針を刺してより大きな組織をとって診断しようということで、標準的なステップだと思います。針生検はマンモトームでなければできない、というものではありません。針生検でしっかり組織がとれ、とれた組織の病理検査がしっかりと診断されるのでしたら現状のステップで特に問題ないと思います。(文責 首藤)

 

No.4773】 05年12月20日     ToT
胸の膨らみ

中学3年生の男ですが、中学1年のときから少しずつ胸が膨らみはじめて、3年になったら女性みたいな胸になってしまいました(乳首も)。この症状は治りますか? 教えてください。本当に困っています。

若年性の女性化乳房が考えられると思います。基本的には高校進学後ぐらいから徐々に治まってくると思いますが、一度乳腺専門医を受診されることをお勧めします。(文責 首藤)

 

No.4772】 05年12月20日     KOBA
www.adjuvantonline.comについて

何人かの方にお知らせされているwww.adjuvantonline.comですが、私もアクセスしてみました。日本語で読むにはどうすれば様でしょうか?
食事ですが、乳製品や大豆製品は控えた方がいいのでしょうか?

申し訳ありませんが日本語版はございません。これはあくまで米国のデータをもとにした平均値として再発率等がでてきますから、日本人女性にとってどれだけ正確なデータとなるかは分かりません。基本的に医療関係者が使うために便利にできているようです。可能でしたら主治医のDrにアクセスしていただいて、あくまでひとつの情報として今後「医師−あなた」の指標にしていただくとよいかもしれません。イソフラボンに関しては現状では乳癌との因果関係は不明です。(文責 首藤)

 

No.4771】 05年12月20日     N.Y.
皮膚表面のしこり

一昨日くらいから、左乳房の乳首より外側2cmくらいのところに皮膚の表面が虫刺されのように赤くなり、少々しこりのようなものが出来ております。だいたいいつも胸を見たり、触ってみたり気をつけていますので、本当に突然赤くなったりしこりが出来たのですが、今日になりアザのような色になり、シコリも若干軟らかくなりました。もしかすると水泳をしていて知らぬ間に胸に腕をぶつけていてそうなったのか、皮膚疾患なのか、それとも悪い病気なのか、分からずに悩んでおります。35歳、女性、未婚、出産経験なしです。

拝読する内容からは特に問題ないようですが、ご心配でしたらお近くの乳腺専門医を受診されることをお勧めいたします。(文責 首藤)

 

No.4770】 05年12月20日     ひよこ
蜂窩織炎

温存手術後1ヶ月目に患部が赤くなって熱を持ち、蜂窩織炎かもしれないと言われました。水を抜きましたが、黄色の透明で、膿が出ているという感じには見えませんでした。現在、抗生剤を飲んで様子を見ているところです。数日後に予定していた抗がん剤治療も延期になりました。蜂窩織炎については、ネットで調べても腕のリンパ浮腫に関する情報しかなくて困っています。患部は赤く、熱を持ち、固くなってきています。気をつけること、どうなったら危ない等等、どんなことでも結構ですので、知っておくべきことを教えてください。どうぞよろしくお願い致します。

患部というのが温存乳房なのか手術した上肢全体なのか分からないのですが、黄色の水を抜いているということから、おそらく温存乳房のゼローマという、温存乳房に浸出液がたまり、かつそこに軽度の炎症が起こっている状態ではないかと思います。リンパ液のうつ滞+炎症から手術した腕全体に赤くはれている(蜂か織炎)状態ではないようです。基本的にはあなたの状態は抗生剤と抗炎症剤の内服で徐々に治まってくると思いますので、続けてしっかりと受診しましょう。(文責 首藤)

 

No.4769】 05年12月20日     H.A.
血の混じるおりものについて

今年2月に温存手術をし、その後ゾラ(今回からリュープリンになりましたが)とノルバの治療を受けています。時々生理とまではいきませんが、血の混じるおりものが出たりします。ノルバの副作用でしょうか。1月に婦人科の検診を予約していますが、もっと早く行くべきでしょうか。体癌が気になります。

ノルバデックスの問題点として子宮内膜癌の発生が、高頻度ではないものの指摘されていますので、一度婦人科検診をお勧めします。実際にノルバデックスによる内膜癌発症はまれであり、かつ発見された内膜癌はほとんどの場合早期癌であることから、あなたの場合1月に予約された検診でよいのではないかと思います。1月には必ず婦人科を受診されてください。(文責 首藤)

 

No.4768】 05年12月20日     K 
妊娠中の血性分泌物

お忙しいところすみませんが、お願いいたします。現在31歳で妊娠9ヶ月、3歳の子供が1人おります。1人目は母乳で育てました。妊娠8ヶ月の頃、風呂に入り乳頭を絞ったところ、片側乳房の乳頭の一箇所の乳腺から血が出てきました。他の乳腺からは黄色から白色の母乳がでます。絞れば絞るだけポタポタと血が出てくる感じです。乳がんの兆候として、「血性分泌物が出る場合で、片側性、単口性は要注意」とありました。心配でかかっている産科に聞いたところ「妊娠中は血乳が出ることがあります」とだけ言われました。1ヶ月たっても絞ると血が出るので、乳腺外科に行き超音波検査と分泌物の細胞診をしました。結果は超音波は異常なし、細胞診もクラスUで、医師からは「妊娠、授乳中は乳腺の正確な検査がし辛いので、授乳が終わって乳房が元の大きさになってから検査をしましょう」と言われました。長々とすみませんが、超音波検査と分泌物の細胞診だけで乳がんの可能性は否定できるのでしょうか。万が一乳がんだった場合、今の状態で1年後くらいの検診でも手遅れになったりしないでしょうか。お願いいたします。

血性乳頭分泌の約30%が乳癌であるといわれており、決して血性乳頭分泌=乳癌ではありません。超音波検査と細胞診で問題なければ性急な検査が現時点で必要とは考えにくいです。(文責 首藤)

 

No.4767】 05年12月20日     リエくま
CMFについて

11月30日に温存術を受けました。結果は、「@センチネル 4個中0個 A2cm×1.3×1.3 Bグレード1 C37歳 Dホルモン感受性2つともにマイナス E非浸潤」でした。ホルモン療法が出来ないので、化学療法を・・ということです。ECが良いと思うが、CMFでも良いのではとないかということです。全く何もしないという方法もあるのかな?とも思っています。ホルモン療法とCMFが同じくらいの再発抑制効果と聞きました。ECをした時・CMFをした時・何もしない時の再発率・一度も乳がんのオペを受けてない人の自然発生率はどんなものでしょうか? 受けようが受けまいがあまり違いがないのであれば、受けない方がいいのかな?とも考えています。よろしくお願いします。

非浸潤癌であれば理論的には転移する可能性がないことから化学療法は必要ないと思います。しかし非浸潤癌と診断されても実際にはごく一部が浸潤癌で、後年再発が見られるケースもまれですが報告されています。あなたの場合、主治医の先生がそのあたりと、かつホルモンの感受性がマイナスであることを考えて、あえて化学療法を勧めたのかもしれません。そのあたりをもう一度主治医の先生に質問されてはいかがでしょうか?ホルモン療法と化学療法の効果が同じなのはホルモン感受性がプラスである方の場合です。(文責 首藤)

 

No.4766】 05年12月20日     K.K.
しこりのできない癌について

乳頭にぶつぶつができるしこりのない乳癌があると聞きました。しこりができていなくても、マンモグラフィーで癌だわかるものなのでしょうか。先日マンモグラフィーを撮り、石灰化像が2−3個写っていました。先生によれば良性とのことでしたが、視診がなかったので、乳頭に一つあるぶつぶつが気になっています。教えて下さい。

パジェット癌といって、乳頭の難治性のびらんの形であらわれる癌も稀ですがあります。ご心配でしたら、お近くの乳腺専門医を受診されることをおすすめします。(文責 首藤)

 

No.4765】 05年12月20日     H・M
乳癌再発予防と子宮筋腫について(HPNo.4265-3)

先日はHPNo.4709で、有難うございました。3日前から、また出血しています。多くもなく少なくもなくといったところですが、頭痛がひどく、市販の頭痛薬を3日も飲んでしまっていますが、良くないですか?(今朝もまだ痛いので、また飲んでしまいそうです)  普段からいろいろ考えて、科学的な結果から冷静に判断しなければいけないことは重々わかっています。自分でも矛盾していると思いながら手術を躊躇してしまっています。乳癌の再発予防を考えれば子宮を取ることなんてなんでもないことなんでしょうか? そういったケースはよくあることなのでしょうか? 何度も申し訳ありません。

前回担当された鈴木先生のごとくゾラデックス+タモキシフェンで女性ホルモンをなるべく抑制して二次的に筋腫を小さくするのも一つかと思いますが、現状でかなりの出血が続いているのであれば、手術も一つの有効な手段と思います。(文責 首藤)

 

No.4764】 05年12月20日     aiko
乳管造影剤等の検査について

初めてメールさせて頂きます。37歳の主婦、子供2人。しこりが見つかり、乳腺科を受診しました。しこりの細胞診でカテゴリー4、さらに針生検をして異型乳管過形成と診断ざれ、先生からは、「一週間の入院で全身麻酔して、しこり+5mmを切除しましょう」ということになりました。手術までにMRI等の検査をすることになり、その待機中に、それまで分泌液が出ていなかったのですが、突然透明の分泌液が出てきました。マンモテックでCEA1000、分泌液細胞診がプラスマイナス? との結果でした。そのために、先生からは「しこりを切除するのと同時に、分泌液の出た乳管を切除します」と言われました。疑問に思い、先生に「乳管造影剤等の検査をしてもらえませんか」とお尋ねしたのですが、「しこりから分泌液がでており、分泌液が乳管を通って出ているので、乳管の途中に癌が残っているとだめなので切除します」と言われました。
1)分泌液の細胞診でがん細胞が確定されていないのに、しこりからの分泌液が通った乳管を切除する必要があるのでしょうか?
2)手術をするときに、分泌液が出ていなくても、MRIで白く写っている部分から想定して特定の乳管を切除できるのですか?

お忙しいと思いますが、不安でこのまま手術を進めていいのか迷っています。よろしくご回答、お願い申し上げます。

1)分泌液の細胞診はなかなか感度が悪く、乳管内乳ガンの場合でも乳頭からの分泌液内にがん細胞があって確定診断に至るということはそう多くありません。従ってあなたの場合、針生検でえられた組織診断が最も重要だと思います。
2)受診された病院の設備が分からないのですが、一般に1.5テスラ以上の磁場を使用する最近のMRIの画像処理能力は圧倒的で、場合によっては乳管造影よりも乳管内病変が、そして乳房内構造がよく分かることがしばしばです。(文責 首藤)

 

No.4763】 05年12月16日     Y.O
穿刺吸引細胞診について

18歳の学生です。一ヶ月ほど前から乳房のしこり(おそらく2cm程)が気になり始めました。受診を考えているのですが、穿刺吸引細胞診というのは必ず行われるのでしょうか?また、痛みはあるのでしょうか?お忙しいこととは思いますが、返答宜しくお願いいたします。

診察・検査の結果、しこりの原因が腫瘍などであると考えられるときには穿刺吸引細胞診を行う場合があります。一度乳腺外来を受診されてください。(文責 首藤)

 

No.4762】 05年12月16日     H.I
乳がんの疑いについて

初めて相談します。33歳2児の母親です。約1ヶ月前頃より右乳房の痛み(鈍痛)があり、触ってみたところ、しこりらしきものがあり、受診をしました。診察の内容は、マンモグラフィー・エコーをしました。マンモグラフィー検査中に、母乳の様な分泌物(薄白黄色)が両方から出たので、検査したところ、CEA右200・左400と言う数値が出ました。現在、分泌物の細胞診の結果待ちです。エコーの映像は異常ないと言うことでしたが、マンモグラフィーでは、右側の乳房に5〜7o大の水の溜まった様な袋が5〜6個あると言われました。左側にも3〜4個同様なものがあると言われました。その診察の結果、確定ではないが、癌らしくはないが、乳菅内乳頭腫もしくは嚢胞内乳頭腫の疑いがある言われました。授乳は3年半前に終わっていますが、たまに搾ると母乳らしきものが出ていたので、母乳だと思っていました。
お聞きしたいのは、
1) CEAの正常値は200以下とDrに言われましたが、この数値が高いのは癌細胞があると言うことなのでしょうか?
2) もし乳菅内乳頭腫だとすると、Drには、ほおっておいて何もしなくてもよいと言われましたが、それで大丈夫なのでしょうか?
3) 検査は生理が始まる3日前でしたが、何か検査に影響等はないでしょうか。
4) 生理の周期が、29日周期だったのが、3ヶ月前頃より23〜25日周期に不安定に変わりましたが、何か関係あるのでしょうか。
5) 右乳房のしこりに気がついて今回の検査をしたのですが、結果CEA数値は左側の方が高かったのは、どういったことが考えられるのでしょうか。

とにかく不安でいっぱいです。アドバイスを頂けたらと思います。よろしくお願いします。

1)CEA値が高いと乳管内に腫瘍がある可能性があります。CEA200〜400は一般的にいってそれほど高い値ではありません。
2)乳管内乳頭腫は乳癌とは異なるものですから、それを放置していて癌になるということは理論的にはありません。しかし、それはしこりが「乳管内乳頭腫」であるという大前提にたっての話ですから、まず組織診(生検)などでしっかりと診断をつけることが必要だと思います。
3)影響はございません。
4)関係ございません。
5)数値的には有意なものではないと思います。 (文責 首藤)

 

No.4761】 05年12月16日     K 
生存率

始めまして。11月16日に浸潤性乳管癌で左乳房切除術、腋窩リンパ節切除術をしました。病理結果には、充実腺管癌、しこりの大きさ2.1cm。癌の悪性度G3、リンパ節転移4+1/26(全部で26個のリンパ節を取ったうち、乳房内のリンパ節に一個と腋窩に4個転移があったとの事)、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター共に+、HER2±、ly+と書かれており、今後の治療として、放射線照射(胸壁、Sc、Ps)、化学療法(EC−タキソール)、ホルモン療法(リューブリン+TAM)を勧められました。年は30歳です。小学一年生の息子が一人います。せめて10年は生きたいなと思っています。私の5年生存率、10年生存率はどのくらいあると思われますか? 自分のステージを知らないので、よくある生存率の表のどこに自分があてはまるのかわからないのです。色んな可能性を考えたら一概に何パーセントというのは難しいのかもしれませんが、ごく一般的な回答で構いませんので教えてください。どうかよろしくお願いします。

ご自身の@無治療Aホルモン療法単独B化学療法Cホルモン療法+化学療法を行った場合の効果予測として以下のHPがあります。ご年齢、ER、Grade、リンパ節転移などの項目を入力すると[あくまで一つの指標ですが]再発の可能性などがわかります www.adjuvantonline.com (文責 首藤)

 

No.4760】 05年12月16日     H.F.
マンモグラフィーの結果

一年前の人間ドックで左乳房にしこりが見つかり、検査をしました。あらゆる検査の結果、乳線線維腺腫と診断されました。それから半年ごとに定期検査を受けています。先月人間ドックでマンモグラフィーを受けたところ、しこりがあった左乳房は異常なしで、右乳房にしこりがあるとのことでした。10月に超音波検査を受けたときには、右乳房は異常なしでした。こういう場合は今後どのような検査をしていけばよろしいでしょうか。次回の検診は3月になっておりますが、早めに受診したほうがいいでしょうか。年齢は37歳です。

ご年齢からすると閉経前のかたであることから乳腺がしっかりとしており、マンモグラフィの精度がどうしても低くなっていることが考えられます。マンモグラフィで左乳房が異常なしであったのは、何らかの理由で(乳腺が厚いなど)腫瘤として認識できなかったのかもしれませんし、右乳房の「しこり」は正常な乳腺の重なりで一見しこりと見えたのかもしれません。あなたの場合、10月に行った超音波検査のほうがより正確に現状を示している可能性が高いと思いますので、次回は3月でよいのではないでしょうか。(文責 首藤)

 

No.4759】 05年12月16日     T 
母の乳腺癌について

お忙しいところ大変恐縮ですが、母の乳腺癌のことで質問があります。母は現在60歳で、11月の終わり頃に診察を受け、1ステージの乳腺癌と診断されました。その後、リンパ、骨の転移を調べるため、レントゲン等の検査を受けています。今月の27日に検査結果、手術の日取りが決まるそうです。乳腺癌は1週間でも進行し、転移の可能性があると聞きます。そのため、家族としましては、早く検査して、手術をしてほしいと思っているのですが、通常、乳腺癌は検査にどの程度時間がかかり、発見からどのくらいの時間で手術を行うものなのですか? また、1ステージでも転移の可能性は高いのですか? 1ステージと聞いて、少し安心していたのですが、最近とても不安です。お手数ですが、よろしくお願いいたします。

乳腺専門医の所属している病院では初診から手術まで平均1ヶ月くらいでしょうか。場合によっては2〜3ヶ月待ちの施設もあるようです。1ステージはその他のステージよりも再発の可能性は低いです。(文責 首藤)

 

No.4758-1】 05年12月16日     A.D.
術後の治療について

11月下旬に左全摘し、先日病理検査の結果が出ました。30歳、既婚、子供なし(出産経験なし)、硬がん、4×3cm、リンパ節転移17個中2個、リンパ管侵襲(+++)、静脈侵襲なし、ER,PgRともにマイナス、Her2(2+)、Grade3という結果でした。FEC-Tという抗癌剤と放射線治療をするとのことでした。また、将来子供を産みたいと思っているため、卵巣保護をする薬をお願いしています。
1) FEC(1週投与2週休薬×4コース)→放射線(25回)→T(3週投与1週休薬×4コース)という治療スケジュールなのですが、抗癌剤の種類も含めて標準的な治療なのでしょうか?
2) 1回目の卵巣保護する薬は抗癌剤の直前に打つ(同日)らしいのですが、ちゃんと保護されるのか不安なのですが大丈夫なのでしょうか? (その後は月1回のペースです)
3) 卵巣保護の薬を使用しない場合、不妊になる可能性はどれくらいなのでしょうか?
4) 卵巣保護の薬を使用することによって、抗癌剤の効き目が落ちるということはあるのでしょうか? 

以上、よろしくお願いします。

1) 再発リスクとして中〜高リスクと考え、アンスラサイクリン中心レジメンにタキサンを加えた治療と思います。放射線時期としては化学療法とのサンドイッチか化学療法終了後でよいと思います。
2) この方法の元になる臨床試験では化学療法の一週間前に投与することになっていますが、特に問題はないと思います。
3) FACで約33%、F:5−FUの代わりにタキサンを加えたレジメン、TACで52%が閉経しています。あなたの場合、このあいだの可能性でしょう。
4) タモキシフェン(抗エストロゲン剤)と化学療法の同時併用では抗癌剤の効き目が落ちることが分かっています。卵巣機能抑制剤と化学療法との併用がどの程度化学療法の効果に影響を及ぼすかは現状では分かりません。つまりそういう比較試験の結果がでていません。したがって絶対大丈夫とはいえません。うわさによると製造元(アストラゼネカ社)ではこの方法を推奨しない、ということになっているようです。(文責 首藤)

 

No.4758-2】 05年12月20日     A.D.
免疫療法・漢方について

NO.4758で質問させていただいた者です。丁寧なご回答、ありがとうございました。再度お聞きしたいことと、新たな質問がございますので、よろしくお願いいたします。
1) タモキシフェンと抗癌剤の同時併用は効きめが落ちるということが分かっているとのことですが、ゾラデックスとの併用ではいかがでしょうか?(卵巣保護のため使います)
2) Her2(2+)なのですが、遺伝子診断をしてタキソールを投与する時にハーセプチンを使用するかもしれないと主治医よりお話がありました。2+でハーセプチンを投与したときの効果はどれくらいなのでしょうか?
2) 最近免疫療法が第4の治療法として注目されているということを知ったのですが、化学療法と免疫療法を併用することは効果はあるのでしょうか?
3) 術後漢方薬(霊芝、当帰の入っているもの)を飲んでいるのですが、抗癌剤が始まっても飲んでいて問題ないでしょうか?

少しでも効果があるのならやってみたいという心境です。お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

1) NO.4758でお答えした通り、卵巣保護剤=ゾラデックスまたはリュープリンのことです。イタリアで行われた第II相臨床試験では、「この方法は化学療法のよる不可逆的な閉経の予防に有効である」ことが判明し、今後の第III層試験で「卵巣機能に対する保護効果の可否」が検討されると思います。併用による化学療法の効果ですが、卵巣保護剤はタモキシフェンと違ってがん細胞に直接作用するものではないので、併用しても問題ないのではないかという考え方が多いようです。しかし厳密に言えば「化学療法の後にゾラデックスを行った場合」と「化学療法と同時にゾラデックスを投与した場合」を比較して再発率に差がなかった、つまり併用しても化学療法の効果は落ちなかった、とする臨床データが現状では皆無なのも事実です。
2) 未だ中間報告ですが、IHCで3+、FISH法で陽性の場合、手術後ハーセプチン一年間投与を追加することで再発率は約半分になっています。
3)4) 免疫療法、漢方薬と化学療法の併用に関しては確固たるデータがないと思います。 (文責 首藤)

 

No.4757】 05年12月16日     T
多発性骨転移との診断です

65歳になる母のことですが、12月13日に多発性骨転移と診断されました。無知なせいか、言われていることがよく理解できずにいます。分かりやすく説明が欲しいです。
(病歴)
37歳の時に乳がんになり、右乳房を大きく切除しました。当時5年ほど病院に通い、もういいでしょうと言われたらしく、それからは、がんの検査はしたことがありませんでした。
(経緯)
55歳頃からメンタルの治療を受けています。今年春に体の痛みを訴え、顔の表情が無くなり、歩きがおかしくなってきたので、整形外科、整体、接骨院に通いました。どこも、これと言った診断は無く、湿布をくれるだけでした。その後、神経内科にかかり、パーキンソン症候群と診断され、メンタルの薬を変えたところ、症状が改善されてきました。ただ、頭(前のあたり)のレントゲンに白いもやがあるので、脳神経外科の先生に詳しく検査しましょうと言われました。結果、脳神経外科の先生は、骨にできものができていて、脳の骨だけではないと説明され、脳には進んでいないと言われ、外科に行くよう言われました。外科の先生は、「多発性骨転移で、首、腰が一番ひどく、他にも広がっている」と映像をみて言われました。私が見ても、全身に広がっていると思いました。「どこからきたものか分からない、余命はわからない」と言われます。ただ、こもままだと、首、腰の骨がぐしゃっといってしまうので、コルセットで固定して痛みをとっていく方法か、徹底的に調べて治療していく方法(母には無理?)と言われました。次までに(1ヶ月後)、家族で相談して下さいと言われています。もう手のほどこしようがないという事でしょうか? 余命はどれほどなのか分からないものなのでしょうか?これから、どのようになっていくのでしょうか?

多発性骨転移というのは、もともとどこかに癌があって(たとえば胃ガンとか乳ガンとか大腸ガンとか)、それが骨にたくさん転移してしまった状態です。いままで何ともなかった約30年前の乳ガンが突然骨にたくさん転移してきだした、というのはなかなか考えにくいですね。ほかの場所は検査されましたか?もともとどこからのガンなのかによって治療する薬や治療法も違ってくるので、まずそれを調べながら骨の治療も進めることが大切だと思います。(文責 首藤)

 

No.4756】 05年12月16日     T.C.
検査を受けましたが…(HPNo.4666-2)

11/19に「腋の症状が不安です」と相談し、11/23に回答を頂いた者です。「ホルモンの影響で痛みが腋の方まで放散しているのでは。症状が続く様ならもう一度病院へ」と回答頂きました。あれから痛みはほとんどなくなりましたが、何となく鈍痛を感じる時もあります(特にブラをしている時に感じます)。よく考えると、これくらいの痛みは左だけ20歳代からあった様に思います(現在38歳)。生理周期が不順なので、生理周期に合った痛みかもはっきりしません。腋の腺・管の膨らみも右にもある様な、でも左の方が大きい様な…もししこりだったらと心配で、12/12に検診を受けました。視触診で腋の気になる所を言いましたが、「異常がある様なものは触れません」との事。胸も異常なし。その後、マンモグラフィとエコーをしました。結果、異常なしとの事で一安心しましたが、質問したい事があったのに緊張していて、後になってまた心配になってきました。エコーでは説明を詳しくしてもらいながらでしたし、腋の方まで診てもらいましたが、もししこりの場所にエコーが当たってなかったら発見できない事もありますか? また「マンモグラフィでも特に異常はありませんね」とおっしゃって頂きましたが、マンモは胸が大きいと異常が写らない事があると受診後聞いたのですが、そんな時も異常がないと言う診断をされるんでしょうか? 石灰化がある場合、マンモで良性・悪性の判断がつくのでしょうか。良性の場合、異常なしと伝えられる先生もいらっしゃいますか? それとも良性であっても何か写っていれば本人に言うのが普通ですか? 後で電話などで聞いても教えて下さるでしょうか? 結果的に乳腺症とも言えない様で、「血管か何かがホルモンによって炎症を起こしているのでは」と言う事で、自然に治るのを待つとの事でした。この炎症が元で癌になったりしないでしょうか? 私の祖母・叔母が乳癌、35歳で初産、太めです。これだけでも乳癌リスク高いと思うのですが、実は二人目の子供がほしいと思いながらまだ授からず悩んでいた所の今回炎症でした。この炎症があるのに妊娠を考えるのは無謀でしょうか? 更に乳房に負担がかかり悪化し、癌になるひきがねになる様な事になるのでしょうか? 一人目の時は3ヶ月弱で母乳が止まりました。看護婦さんにマッサージをしてもらった時、左乳首から少し血がでました。お願いします。

お話をうかがう限り、特に心配な点は無いようです。検査の結果が後になって不安になったり疑問点がでてくることはよくありますし、一度あなたの疑問点をもう一度検査を担当された先生に聞いてみてはいかがでしょうか?(文責 首藤)

 

No.4755】 05年12月16日     M.W.
ホルモン治療中のイソフラボン摂取について

現在、ホルモン療法中です(ゾラデックス・ノルバデックス)。イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをすると聞いた事があるのですが、イソフラボン(豆腐、豆乳など)を摂取することで治療に影響が出たりはしないのでしょうか? よろしくお願いします。

イソフラボンは女性ホルモンと同様の作用(エストロゲン作用)と、女性ホルモンに反する作用(抗エストロゲン作用)の両方を持つことから、乳癌との関係は未だ不明です。(文責 首藤)

 

No.4754】 05年12月16日     AU
ジェネリック薬品と血管炎について

34歳女性。ただいまFEC100療法3回目を終えました(全6回予定)。一回目は先発薬品の抗がん剤を使い、血管炎は全く起こらず。二回目から値段が安くなるということでジェネリック薬品の抗がん剤を使ったところ、直後に血管炎を起こし、かなりの痛みを伴い、血管が硬くなり広範囲にあたって黒くあざになってしまいました。三回目は同じ腕に打てる血管がないということで、仕方なく反対側の左腕(今年8月に温存手術にて腋のリンパ節レベル2までとりました)に点滴したところ、また直後に血管炎を起こして痛くなり、後日主治医のところで診察していただいたところ、おそらくジェネリック薬品の酸性成分が体に合わなかったのではないか(血管を痛めた)?ということでした。ここ最近両腕の痛みが一段と増してきて、日常生活にも及んできた次第です。そこで質問したいのですが
1) 抗がん剤のジェネリック薬品には粗悪品があると聞きましたが、私の使った抗がん剤も粗悪品だったのでしょうか? また、そのせいでこんなにひどく血管炎をおこしてしまったのでしょうか? 粗悪品の抗がん剤も、がん細胞をたたく効力はあるのでしょうか?
2) わきのリンパ節をとった腕に採血や抗がん剤を打ち続けてもいいのでしょうか? 何年後かにリンパ浮腫を起こしませんか?
3) 二回打った右腕の血管炎の痛みとあざは一生消えないかもしれないと言われ、このまま腕が痛くて動かない障害が残るかもしれないことに、かなり不安を抱いています。何かいい血管炎の治療法はないものでしょうか?
 
次回四回目は先発薬品に戻すそうですが、右手がだめになった今、リンパを取った左腕に残り三回の抗がん剤を打てるかどうか心配です。もっと私の血管が強かったらいいのにと自責の念でいっぱいです。お忙しいところ申し訳ございませんが、ご返答のほどよろしくお願いいたします。

ジェネリックといえども厚労省の認可を受けた薬品であり、粗悪なものが存在するとは思えません。成分は後発も先発も同じですから効果に差はありません。酸性度はむしろ先発薬品(おそらくRTUのことでしょうか)のほうが強く、そのためステロイドを混注して酸性度を調整したりする工夫を行っています。あなたが受けられている先発と後発の違いは、すでに溶解してあるのが先発薬で、ブドウ糖などに溶解してから点滴するのが後発薬ではないでしょか? とすれば後発薬に問題があるとすれば、調合の際の溶解濃度が濃い、などの要素ではないかと思います。手術側の腕の点滴は、やはりリンパ管の状態からなるべくさけた方がよいと思います。血管炎から運動神経性の障害が起こることはないと思います。(文責 首藤)

 

No.4753-1】 05年12月15日     OT 
抗がん剤治療中の肝機能障害について

現在、43歳の家内が乳がんで抗がん剤治療中です。書籍にて貴HPを知り、早速、質問させて頂きたくメールいたします。治療の経過は以下のとおりです。
11/4 乳房温存手術(腫瘍径2.5cm、悪性度grade-V、リンパ節転移なし)
11/16 EC療法、1回目点滴
 1週間後より肝機能障害 GOT 86 GPT 99 γ-GTP 87
2週目 GOT130 GPT257 γ-GTP165 ALP517(白血球1100のため上昇する薬を注射)
 3週目 GOT 46 GPT121 γ-GTP227

以上のような肝機能障害のため、現在血液検査により様子を見ている状態です。そこで、以下の質問をさせていただきます。
1) 点滴4日目から5日間、医師からは許可を得ていたため飲酒を行いましたが、アルコールとの関係はあるのでしょうか?
2) 医師より2回目の点滴を来年1月に行うと言われましたが、予定より1ヶ月も遅れても問題ないのでしょうか?
3) 今後も同じように肝機能障害が現れる可能性があるのでしょうか? (治療予定は全部で4クールです)
4) 副作用として肝機能障害が現れるということは、肝臓に転移しやすいということしょうか?

以上、お忙しい中申し訳ありませんが、ご回答をよろしくお願いいたします。

1)  飲酒の量にもよりますが、2週目に肝機能悪化のピークがあることから因果関係は薄いと思います。
2)、3) GPTに関しては(通院されている病院のGPT値正常値範囲が不明なのですが)おそらくGrade2<3あたりの有害事象と考えられ、次回からは20%ぐらいの薬剤投与量の減量が適当かもしれません。3週目のデータではGPT値が未だ高く、2回目は3週目以降に延期が望ましいと思います。次回点滴時期や薬剤量に関しては主治医の先生とよくご相談されてください。
4) 化学療法による肝機能障害と肝転移には因果関係はないと思います。(文責 首藤)

 

No.4753-2】 06年01月09日     OT 
抗がん剤治療中の肝機能障害について(2)

昨年、12月13日に抗がん剤治療中の肝機能障害について質問させて頂いた者です。11月16日 EC療法1回目の点滴後、肝機能障害(GOT130 GPT257 γ-GTP165 ALP517)のため、2回目の点滴を見合わせていましたが、12月末になってようやく正常値に戻り、12月26日に2回目の点滴を行いました。ところが、1月5日の血液検査で再度1回目より激しい肝機能障害がわかりました(GOT443 GPT970 γ-GTP262 ALP455)。このため1月6日より入院となり安静加療中ですが、主治医の話では「ECを続けるのは無理」とのことです。そこで、今後の治療方針について以下の質問をさせていただきます。
1)EC療法にかわる適当な抗がん剤(治療法)はありませんでしょうか?
2)EC療法は通常4クール行うものとされていますが、これを2クールでやめてしまった場合、その効果はどれくらい望めるものでしょうか?
3)さらに期間をおいてEC療法を続けた場合、どのような肝臓疾患の危険があるのでしょうか?

以上、多くの質問で大変恐縮ですが、よろしくご回答をお願いいたします。

検査値を拝見すると、高度の肝機能障害ですので、これ以上の治療の続行は難しいと思います。肝機能障害がECによる薬剤性肝機能障害であれば、EC療法は中止せざるを得ないでしょう。EC療法を2クールでやめてしまった場合ですが、全く無駄にはならないと思いますが、どの程度の効果が望めるかは正直いってわかりません。EC療法のほかに乳癌に使える抗がん剤はいろいろありますが、現在の肝機能の状態ではすぐに次の抗がん剤を投与するのは無理ですので、まず肝機能の回復を待って考えることになります。いまはあせらず、しっかり療養してくださいね。(文責 俵矢)

 

No.4752】 05年12月15日     S
左乳房石灰化について

もうすぐ30歳になり、2歳の子がいます。先月(11月19日)、会社のドックでマンモグラフィーを受けました。先日郵送で、「B:現在のところ異常所見は見られません。症状があるときには受診をお勧めします」という結果でしたが、「左乳房石灰化」との記載がありました(触診は異常なし)。気になってマンモを受けた病院に話を聞きに行きましたが、内科の先生に、「ドックの結果が再検査でなければ大丈夫です。」とは言われたものの、専門ではないのでセカンドオピニオンを聞いてもいいのでは?と紹介状を書いてもらいました。マンモの写真を借り出すこともでき、近いうちにどこかいい病院があれば行きたいと思っています。今後私が受診時に注意をして話を聞くべき点はありますか? また外科よりも乳腺外科に受診したほうがよいですか? 良性のものであれば、どのくらいおきにマンモや超音波を受けるべきですか? 今年4月に断乳をしましたが、断乳して1年以内くらいは、このようなことが起きやすいということはありますか? 授乳は左乳房ばかり乳の出がよく飲ませており、昨年6月は乳腺炎を経験しました。授乳や乳腺炎による石灰化ということがあるのでしょうか? アドバイスお願いします。

おそらくあなたのマンモグラフィの石灰化は読影医師がカテゴリー2、つまり良性の石灰化(病的意味を持たないもの)と診断したものかと思います。ご心配でしたらお近くの乳腺専門医を受診されてはいかがでしょう。乳腺専門医リストは日本乳癌学会のHPより検索できます。(文責 首藤)

 

No.4751】 05年12月15日     M.A.
検診の結果報告書の見方について

35歳独身の会社員です。乳がん検診の結果報告書の見方について相談させて下さい。1週間程前に行われた健康診断の結果が今日届き、乳腺について、「触診:両側乳房乳腺腫瘤疑い(C判定の経過観察) 超音波:両乳腺嚢胞(B判定のわずかに異常認めるが支障なし)」との結果でした。検査当日は初めに触診が行われ、先生が「袋のようなものがあるので、この後のエコーでこの部分をよく見てもらって」と赤ペンで乳房に丸印を付けられ、エコーで検査してもらった状態です。マンモグラフィー検査は今回は行っていませんが、1年前、別の病院で検査して「異常なし」でした。知識がなく分からないのですが、これは乳腺嚢胞があるので、乳腺腫瘤の疑いがあると考えてよいのでしょうか? 触診で不明な点をエコー等で精密検査するのかなと思っていたので、エコー診断がB判定で、触診でC判定の乳腺腫瘤疑いというのが、どう解釈すれば良いのか分からないのです。また、「乳腺腫瘤疑い」というのは、乳がんの疑いがあるということでしょうか? 検診を行った病院で説明を受けるのがよいのでしょうが、すぐに行ける状態でもなく、また、腫瘤疑いという診断結果に少し怯えてしまって、ちゃんとした知識を得たいと思い、相談させて頂きました。多くの方の相談に大変でお忙しいところ申し訳ないですが、よろしければアドバイスを頂きたいです。よろしくお願い致します。

触診では正常な乳腺と異なる固さのある部分を認識することができますが、それが癌細胞の詰まった腫瘍なのか、のう胞のように袋状の中に液体がたまったものなのかの違いが確信できないわけで、一般的には正常乳腺の中で固さの違う部分を「乳腺腫瘤・腫瘤疑い」といった言葉で表現します。超音波検査はその堅いところの内部構造を知るのに優れており、堅いところが液体なのか腫瘍なのかの診断に大いに役立ちます。従ってあなたの場合は超音波の所見が、より大きな意味を持っていると考えられます。(文責 首藤)

 

No.4750】 05年12月15日     Y.M.
胸の痛みについて

一週間ほど前より乳房痛があり、ちょうど生理前だったので、その為かと思っていましたが、過去に生理前に強い痛みを感じたことはなく、なんだか別のもののような気がしてメールをさせていただきました。症状としては、左胸の下側に痛みを感じます(胸の下⇒肋骨ではありません)。痛みが落ち着いている時もありますが、触れると痛く、乳腺炎になった時と同じような痛みです。手を上げたり、走ったり、寝返りをうった時にも痛みを感じます。手を上げた時には、皮膚が突っ張る感じもします。生理が昨日より始まりましたが、痛みは変わりません。しこりは、よくわかりませんが、気になりだすとあるような気にもなってきます。このまま様子をみていても良いものでしょうか? 29歳、出産は19歳・23歳・25歳です。

お話の内容からすると乳癌の可能性は低いと思いますが、症状もあるようですし、ご心配でしたら一度乳腺専門医の診察をお受けになることをお勧め致します。(文責 首藤)

 

No.4749-1】 05年12月15日     ねこ
乳がんの手術方法について

初めてメールさせて頂きます。現在術前治療中の50歳です。最初の病院では、3cm程のしこりが乳頭の近くに有るという事で全摘を勧められましたが、現在治療中の病院で、術前治療を受け温存手術を目指すということになりました。6ヶ月の化学療法(AC-P)と30回の放射線療法を受け、しこりは触診では殆んど解らないくらいに縮小しました。が、MRIの画像では乳頭からまっすぐ奥の方向に向って、白い線のような形でがんが存在しています。このままではやはり温存は難しいと言われ、ショックを受けました。まだ放射線治療の効果は続くので、それを見た上での判断になりますが、私のようながんの縮小の仕方では、やはり全摘するようになるのでしょうか? 私は乳房が小さい方ですので、温存での変形や再発の可能性等も考慮の上、全摘も致し方ないとは思います。また主治医の先生を信頼しており、病院自体にも不満が有る訳ではありません。ただ、可能であれば温存したい気持ちも強く、相談させて頂きました。MRI下集束超音波手術や内視鏡手術など新しい手術法も含め、何か方法が有るでしょうか? また、更に化学療法を受ける事でもっと縮小する可能性は有るでしょうか? お忙しいところ申し訳ありませんが、ご意見を頂ければ幸いです。よろしくお願いします。

乳頭直下に最後まで癌が残ってしまうのならば、乳頭を一緒に切除する可能性があります。この場合、乳房の中心が空洞になってしまいますが、他の部分は残る可能性があります。乳頭を形成外科的に再建することもあります。FUSを行っている施設もありますが限られていると思います。(文責 首藤)

 

No.4749-2】 06年01月24日     ねこ
骨転移の不安

いつも拝見して参考にさせて頂いております。No.4749でご相談させて頂いた者です。昨年2月に病期UBの診断を受け、化学療法、放射線療法を経て、2月末の手術まで待機期間を過ごしています。その後の超音波診断で、しこりは1.6cmまで縮小したものの散らばっているがんの範囲が広い為、全摘手術になる可能性が強いとの説明を受け納得しました。ただ手術までの期間が長く、全身治療を3ヶ月行っていないことから転移に対する不安を訴え、術後に行う予定だったホルモン治療を前倒しで行うことになり、現在毎日ノルバデックスを服用しています。そのおかげで、精神的にはずいぶん楽になったのですが、時々背中から首あたりに痛みを感じ、不安になります。痛みは激しいものではなく、骨なのか筋肉なのか特定できません。また朝、起床時に手のこわばりを感じるときがあります。タキソールの副作用かとも思うのですが、足にしびれは残っているものの、手には普段は感じません。そこで質問です。
1) 私のような治療(AC4クール、ウィークリータキソール12回)を行っていても、転移の可能性はどの位有るのでしょうか?
2) 骨転移の初期症状とはどのようなものなのでしょうか? 肩こりや筋肉痛とは明らかに違うものなのでしょうか?
3) 転移の発見は早くても遅くてもあまり変わらないと聞きますが、術前の場合は治療法が変わってくると思います。手術前の転移の検査をお願いした方が良いでしょうか?
4) 次の診察は再度MRI撮影後、2月中旬になり、術前の血液検査・X線などもする予定ですが、転移が有れば、その検査である程度わかりますか? それ以前に診察、検査を受けた方が良いと思われますか?

お忙しいところ、長々と申し訳ありません。ご意見をお聞かせいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。     

1) 化学療法とホルモン療法を併用すると50%再発のリスクが減少すると予想されます。
2) 骨転移の場所により異なります。肩こりや筋肉痛と区別がつかないこともあります。
3) 原発巣に効果があるのであれば、転移が進行しているとは考えにくいです。
4) 原発巣のMRI検査と手術のための検査のようです。肝転移や骨転移については、わからないと思います。不安があるのであれば、主治医に転移の検査を依頼してはどうですか。(文責 徳田)

 

No.4748】 05年12月15日     ルル
術後の治療について

はじめまして。33歳既婚、将来的には妊娠を望んでいます。先月末に乳房温存手術を受けました。病理の結果、「腫瘍の大きさは1×1cm、リンパ節転移はなしで、ステージT、ホルモンレセプターはどちらも(+)、グレード3、Her2はスコア3」でした。主治医からは、放射線療法+ホルモン療法(ノルバデックス、LH−RHアゴニスト製剤)をすすめられています。抗がん剤については「しなくてよいでしょう」と言われましたが、悪性度が高く年齢的に見てもリスクが高いので、本当にホルモン療法だけでよいのか不安に思っています。私のような場合、この治療での再発の可能性はどのくらいだと思われますか。また、抗がん剤を加えることにより再発の可能性はどのくらい減少するのでしょうか。よろしくお願いいたします。

2005年 St Gallenのリスク分類ではIntermediate、ホルモン感受性としてTamoxifen、卵巣機能抑制(LH-RH Agonist)、化学療法後にTamoxifenなどの治療法が推奨されます。ご自身の「@無治療 Aホルモン療法単独 B化学療法 Cホルモン療法+化学療法」を行った場合の効果予測として以下のHPがあります。ご年齢、ER、Grade、リンパ節転移などの項目を入力すると[あくまで一つの指標ですが]再発の可能性などがわかりますので、これらをご参考によく主治医の先生と話しあってみてください。  www.adjuvantonline.com (文責 首藤)
 

No.4747】 05年12月13日     T
細胞診後の検査について

3年ほど前から乳がん検診で線維腺腫と判断され、年に1度の検診で経過を見ておりました。今年の検査でしこりが大きくなっているということで精密検査をするように指示されて、別の病院を紹介されました。新しい病院でマンモグラフィーとエコーと細胞診をしました。結果はクラス3ということでした。先生は、「太い針をさして調べる検査等があるが、やらないで実際にしこりを取り検査する生検しましょう」とおしゃいました。他の検査をしないで、いきなりしこりを取るというのは、やはり癌の疑いが強いからでしょうか。しこりの大きさは昨年までは2センチほどで、今年は3センチになっていました。私は39歳です。

マンモグラフィーとエコーの結果はどうだったのでしょうか?細胞診でクラス3であれば、癌の疑いありですから、太い針による針生検かしこりの全てを摘出する外科的な生検どちらかで白黒つける必要が有ります。他の検査は考えられません。(文責 清水)

 

No.4746】 05年12月13日     S.K.
術後療法その他について

初めてお便りさせていただきます。 今年10月始めに温存で手術を受けました。 46歳、閉経前です。病理結果は、「大きさ2cm(エコー診で1.5×0.9)、充実腺癌と硬癌の中間の浸潤癌、 切除断端 −、 リンパ管・静脈侵襲 ともに+1、 ER,PgR ともに+(高度)、 核異型 1、 HER2 +1、 リンパ節転移 レベルT 2/4、 レベルU 0/1」というものでした。現在放射線治療を受けています。乳管内進展も若干見られるとの事で、25回に更に5回追加となっています。放射線治療終了後の来年早々から化学療法に入るということしか、今は主治医からは聞いていません。
1) 私の場合、標準的な化学療法はどのようになるのでしょうか。
2) リンパ管・静脈侵襲 ともに+1、また、リンパ節転移や乳管進展もわずかにある、というのは、予後にどの程度、影響するものなのでしょうか。
3) 術前には、MRIはじめ、触診などでもリンパの転移は疑われず、主治医もマイクロレベルでの転移があったことに驚いておられましたが、結果として5つとった中で2つの転移がありました。もっと転移はあると思ったほうがいいのでしょうか。
4) ホルモン感受性が高度にプラスであるというのは、単にプラスであるということにくらべて、どういうことなのでしょうか。
5) 10月始めに手術をして、現在放射線による局所療法だけを受けており、3ヶ月ほどしてから全身療法が始まるのですが、体に無理はないとは思ってはいますが、全身療法は、このくらい期間があいてから始まっても大丈夫なものなのでしょうか。

いろいろ不安になることも多々ですが、どうぞよろしくお願いします。

1) St. Gallenのガイドラインでは、リンパ節転移(2個あり)、Her2(1+)であればIntermediate riskで、推奨治療はTAM(+/-OFS)(+/-CT ) or CT->TAM(+/-OFS)です。R,PgR高度陽性ということ考えると前者で化学療法なし(つまりTAM+OFS)という選択肢もあり得ますが、米国等ではリンパ節転移が有ったら全てアンスラサイクリン系抗がん剤を使う後者を推奨しています。化学療法としてはEC,AC,FEC,CAFなどが中心になりますが、今年のSt.GallenではAC->Pacli、TAC、FEC100->Doce等のタキサンを含む治療も正式に推奨治療になりました。どれが標準的かといえば、前者でしょうが、副作用は強くても少しでも再発のリスクを少なくしたいと考えればタキサンを含む治療がお勧めです。(TAM:タモキシフェン、OFS:卵巣機能抑制=ゾラデックスもしくはリュープリン、CT:化学療法)
2) このなかではリンパ節転移が有るということが最も大きく予後に影響しています。それ以外は予後への影響は小さいです。
3) 5個の中に2個有ったこと以外は分かりません。どのような検査を行っても術前にリンパ節転移の有無を正確に診断することはできません。
4) 主治医の先生の言葉なので正確な意味は不明ですが、一般的に考えるとER(3+)PR(3+)のことでしょうか。ホルモン療法の感受性が高いということで、場合によっては、術後治療は化学療法なしでホルモン療法だけでいけるかもしれません。どの程度高いのか判断が難しいところです。
5) 最近は放射線治療の前に化学療法を行うことが勧められています。しかし、放射線治療後でも十分効果はあると思います。ひとつの目安は術後3ヶ月以内に治療を開始することだと思います。(文責 清水)

 

No.4745-1】 05年12月13日     S.E.
乳房温存術か乳房切除術か?

よろしくお願いします。45歳既婚です。4年前に左側温存手術を受けました。リンパ節17個郭清転移なし。早期で粘液癌というおとなしいものだという事で、術後定期検診のみで来ました。今年10月の検診で右側乳房に異常がみられ針生検、MRI等の結果、乳管癌の疑いとなりました。私は両乳房にのう胞がかなりあり、MRI画像では全体が白く写っていました。先生から当初は温存術でとの事でしたが、結局、外科的生検を行い病理検査の結果をみて再手術の可能性があると言われました。結果は良くなく、癌と良性の腫瘍がいりまじっているとのこと。又浸潤癌で(今回摘出)、入管に広がっている可能性があるとのこと。再手術することにはなったのですが、先生からは全摘するか広範囲部分切除の選択を告げられました。後者の場合は、結果によっては再手術という事も聞いています。色々自分なりに考えてみたり調べて見たりしていますが、結論を出しかねています。やはり乳房を残したい気持ちは強いのですが、自分で納得出来て結論を出したいと思っていますので、どうかご意見をいただければ・・・と思っております。

話を整理させて頂くと、「右側にしこりができて、生検した結果浸潤癌で乳管内進展の部分で断端陽性だった。今後の治療として乳房切除か追加部分切除で乳房温存するか」というご質問かと思います。MMG、US等の画像診断での病巣の広がりはどうでしょうか?(MRIの広がり診断は偽陽性が多いので、あまり参考にならないと思います) それらで広範囲な広がりが考えられなければ追加切除で乳房温存が可能だと思いますが、その辺を主治医の先生に確認してもらってはどうでしょうか。但し、正確なガン細胞の広がりは手術してみなければ分かりませんから、あくまでも画像診断で分かる範囲でと考えてください。乳房切除と乳房温存では将来の遠隔転移に差がないことは分かっていますから、あとは将来の乳房内再発のリスクをどう考えるかです。放射線治療を行って5%程度の乳房内再発を高いと考え乳房切除するのか、乳房温存によるメリットが大きいと考えるかだと思います。(文責 清水)

 

No.4745-2】 06年04月25日     S.E.
ホルモン療法の副作用について

以前HPNo.4745でご相談させていただいたものです。その節はありがとうございました。結局全摘手術をし、ホルモン受容体が+だった為、現在ゾラテックスとノルバテックスを行っています。ゾラテックスは三回打ちました。現在副作用と思われるホットフラッシュが結構でています。ホットフラッシュが出るのは覚悟していましたが、お聞きしたいのはそれ以外の症状です。
1) 体温を測ってみているのですが、平熱が以前は36.7度位と少し高いほうだと自分では思っていたのですが、最近36度を切る事も多くなり、これも副作用の一つでしょうか?
2) ここ数日右下腹が、座っていると全然なのですが、歩いたり体重をかけると、突っ張ったような感じで鈍い痛みがあります。左も今日は似たような症状が出てきました。婦人科を一度受診したほうが良いのでしょうか? (あまり大きくない筋腫は10数個持っていますが、ホルモン療法でこれも減ってくると思っているのですが・・・)
3) デパス錠0.5mmを寝る前に服用していますが、常用しても大丈夫ですか?(主治医に眠剤をお願いしたら、デパスの方が良いと言われ、出してもらいました)

以上、お忙しい所お手数ですが、よろしくお願いします。

1) やはりホルモンの状態が変わりますので副作用の可能性はあります。ゾラデックス単独でも約1/3の方でほてり感を認めていますし、実際に発熱(平熱以上)される方も報告されています。 
2) 問題ないと思いますが、ご心配ならば一度婦人科を受診してください。 
3) 問題ないと思います。(文責 首藤)

 

No.4744】 05年12月13日     S.Y.
石灰化

35歳で昨年第一子を出産いたしました。3ヶ月ほどまで母乳で、あとはミルクで育てました。ちょうど出産1年が経ち、乳腺専門医の元で、乳がん検診(触診、エコー、マンモグラフィ)を受けました。乳腺症だけど問題ないとのこと、マンモで片方の胸にひとつだけ石灰化が見られるが、これは気にしなくて大丈夫といわれました。結果異常なしなので、「また年に1度定期検診に来てください」と言われました。不安そうな私の顔を見て、「大丈夫ですからね」と言われました。家に帰って、「石灰化がガンと関係」と聞いて不安になり、再度電話で乳腺症のことや石灰化についてと妊娠の希望があることを伝えたら、まったく問題ないし、石灰化も今の段階ではまったく気にしないで大丈夫といわれました。年に一回の検診で大丈夫でしょうか。生検しなくても大丈夫でしょうか。大丈夫といわれても心配で仕方ありません。

最近マンモグラフィー検診の普及に伴って石灰化という言葉が一人歩きしています。マンモグラフィー上の石灰化には“明らかに良性の石灰化”“良性と思うが悪性も否定できない石灰化”“悪性を疑う石灰化”の三種類有ります。ですから、石灰化という言葉だけで心配しないでください。主治医のお話からは、貴女の石灰化は“明らかに良性の石灰化”と考えられ、生検の必要は感じられません。どうしても心配であれば、MMGを借りてセカンドオピニオンを受けてください。(文責 清水)

 

No.4743】 05年12月13日     sin
化学療法について

7月にエコーで1.1cmののう胞があり、先生は「乳腺症なので、多分良性でしょう」と言われ、経過観察になりました。しかし10月に自分で手に触れるしこりを見つけ、針生検の結果癌と診断されました。乳癌に力をいれているセカンドオピニオンを主治医に選び、そこでマンモの結果、しこりまわりに少し石灰化があり、1/4扇状切除の温存で手術をしました。エコーでのしこりの大きさは2.1cmでした。術後の病理結果では、しこりは3.5cm、まわりに非浸潤ありグレード3、リンパ転移なし、ホルモンレセプター1個が陽性でした。今後の主治医の治療方針は、抗がん剤CE療法三週間1クールで4回投与、その後放射線、その後ホルモン療法5年と言われました。病理結果が出る前は、主治医も軽くすんでよかったといわれて、抗がん剤も可能性は少ないと言われていたのですが・・・。抗がん剤も色々あるみたいなのですが、この療法でいいのか、ご意見をききたいのです。抗がん剤は術後21日目から投与予定です。主治医は信頼出来るのですが、他のご意見もお聞きしたいのです。

腫瘤径3.5cm、リンパ節転移(-)、グレード3、Her2不明、脈管侵襲不明ですが、St.Gallenのガイドラインではintermediate riskで、推奨は主治医の先生の治療です。化学療法としては、ECの他に、FEC,CMF,A->CMF等が並列で列記されています。どれを選ぶかは主治医、患者さんの相談で決めることになるでしょう。どれでも効果には大きな差はないと考えてよいのではないでしょうか。(文責 清水)

 

No.4742】 05年12月13日     H 
乳がんの可能性

19歳、男です。1年前位から両方の乳首が荒れて、黄色い水みたいなものが出ます。運動などをしないで静かにしているとカサブタができるのですが、カサブタが取れるとまた同じ症状が出ます。一時期ステロイドを使っていましたが、一時的なもので、ステロイドの悪影響も怖かったので、今はやめています。乳がんの可能性もあるのかなあと、少し怖いのですが、放っておいても治りませんか?

Mailからは思春期の変化で心配ないと思います。ステロイドの軟膏が有効ですから、症状のひどいときは使ってください。乳癌の可能性は低いと思いますが、冬休みになったら一度乳腺外来か皮膚科を受診してみてください。(文責 清水)

 

No.4741】 05年12月13日     M.O.
乳腺症の経過観察

36歳、子供1人の主婦です。半年前に右乳房に2個のしこりがあったので、病院で検査をしてもらい、1つは細胞診で線維腺腫、もう1つは細胞診はしなかったのですが、大丈夫といわれ、経過観察となりました。その半年後の検査を先日受けたのですが(超音波のみを技師の方が実施、結果は外科医が説明)、変化がないので大丈夫ですといわれました。その時、先生の机にのっていた結果報告の資料が見えたのですが、「リンパ腺腫大」の項目が「あり」と右も左も確かに書いてあったのです。その時は異常ないとの言葉でほっとして家に帰ったのですが、日に日にあれは平気なのかな・・先生は見落としたのかな・・と不安が募ってきてしまいました。病院に電話しようとも思いましたが、失礼ではないかとできません。「リンパ腺腫大、あり」とは正常なことなのでしょうか? もし問題のあることなら勇気を出して確認してみようと思うので教えてください。

超音波検査の時には両側乳房から両側腋窩を検査します。その時に超音波で腋窩のリンパ腺が腫れていたのだと思います。腋窩(脇の下)のリンパ腺が腫れることにはいろいろな原因があり、それだけで癌だとは診断しません。乳房の所見、腫れているリンパ腺の大きさ、形等から判断します。主治医の先生はそれらの所見を総合して大丈夫と言われたのではないかと推察しますが、どうしても心配であれば先生をもう一度訪ねることも一つの方法(電話は個人情報の問題等で好ましくありません)だと思いますが、先生を信用するならば(見落としていないと)ご自分で乳房の自己検診のときに脇の下を時々触ってみて固いしこりがないかどうかをcheckして、次回診察時に先生に聞いてみるというのも一つの方法だと思います。(文責 清水)

 

No.4740】 05年12月13日     T.T
フルツロン治療と妊娠時期

お忙しいところ恐縮です。妻(38歳)の乳癌のことでお聞きしたいことがあります。妻は約4年前に乳癌にかかり、術後約4年抗がん剤フルツロンの経口剤による治療を受け、今年8月に終りました。幸いにして現在のところ転移再発もなく暮らしております。これから妊娠・出産を希望していますが、フルツロンの副作用などで胎児への影響が心配です。妊娠出産は可能でしょうか? たとえば「フルツロン治療後1年くらいはやめたほうがいい」など、具体的なアドバイスをいただけたら幸いです。また、1年に一度、骨シンチ検査を受けていますが、その影響も気になります。どうぞ、ご教授お願いいたします。

フルツロン投与中の妊娠はよくありませんが、終了して3ヶ月以上経っていて、きちんと月経周期が保たれているのであれば問題ないと思います。骨シンチも長くても3ヶ月くらいで薬は体外に排出されますから、妊娠を希望するのであれば、その旨を主治医の先生にお話しして検査のタイミングを考えてもらってはいかがでしょうか。(文責 清水)

 

No.4739-1】 05年12月13日     K.T
術後補助療法について

はじめてメールさせていただきますが、大変参考になる掲示板でいつも拝見させて頂いております。さて、私の母、65歳の乳癌術後の補助療法についてお伺いいたします。10月末に癌専門病院にて全摘手術後、昨日病理の結果を聞いてまいりました。術中にセンチネルを行い、リンパ転移なしです。乳頭腺管癌、グレード1、Her2 0、腫瘍径 1.3cm、ER(+)PR(−)。補助療法の選択肢としては、「1.ホルモン療法 2.抗がん剤+ホルモン療法 3.無治療」の3パターンを提示されました。ただし、無治療は勧められないとのことですので、1.か2.を考慮中です。「ホルモン療法についてはプロゲステロンが陰性なため、両方が陽性の場合より効き目が悪い。しかしながら、年齢、腫瘍径、グレードを総合判断すると、ホルモン療法でもよいのではないか」とのこと。(自分で調べた範囲では、ホルモン治療の有効率は、両方陽性の場合は約66%、プロゲステロンが陰性の場合は30%とのことですが。) 無治療の場合の非再発率は85%程度とのことで、これをホルモン療法の場合は何%あげることが出来るのか、抗がん剤を選択した場合は更に何パーセントあげることが出来るのか、お伺いしたくメールいたしました。また、具体的に、プロゲステロンがマイナスの場合、どのような作用によりホルモン療法の効きが悪くなるのか、理由をご説明頂けますでしょうか。当然のことながら、このケースでの一般病院での標準治療はホルモン治療とのお話でした。また、再発予防ということもあり、抗がん剤を希望する場合には、作用がマイルドと思われるCMFの選択についても伺ってみたのですが、癌系専門病院のためか、CAFなどの抗生物質系の抗がん剤の含まれているものを通常選択するとのこと。このレベルでの副作用のきついCAFの投与についてはいかがお考えになられますか。来週月曜日に、化学療法の専門医との面接が別途入っており、その際に詳細は伺う予定です。

☆今後の治療方針を左右するものになるとは思えませんがご報告のみ。病理の結果で、かなり珍しいパターンとのことでしたが、摘出したがん細胞は血流が阻害され、すでに死滅していたとのこと。僅かに死滅した細胞の周りに生きているがん細胞があったのみだそうです。実は手術直前に癌細胞の上の皮膚が炎症を起こし、赤くなっていたのですが、これが原因だったようです。(当初は乳頭より菌が入ったとのことでした。)

St Gallenのガイドラインによれば、腫瘤径2cm以下、グレード1、ER(+)、Her2(-)、リンパ節転移なしで後は腫瘍周囲の脈管侵襲がなければ、minimal riskで、無治療かホルモン療法が推奨されています。Minima riskではもともとの再発率が低いので、抗がん剤を加えても上乗せ効果はあまり期待できないので抗がん剤(化学療法)が推奨されないのだと思います。抗エストロゲン剤(ノルバデックス等)では確かにER,PRともに陽性の方がよく効くことがわかっていますが、ER(+)PR(-)の場合は抗エストロゲン剤の効果はあまりないのでアロマターゼインヒビター(アリミデックス、アロマシン)が推奨されます。ガイドラインに従えばアロマターゼインヒビターの内服か無治療ということになりますが、それでも再発の可能性を少しでも少なくするために抗がん剤投与をお考えであれば、副作用の少ないCMFが推奨されます。その理由は、たしかにCMFはAC,CEF,CAF等のアンスラサイクリン系の抗がん剤に比べて効果は少し落ちますが、無治療より効果は期待できますし、Her2(-)であればCAFよりCMFの方が効果を期待できます。お母様の無治療のときの再発率の低さを考え、CAFとCMFを副作用の強さを比較して考えると、どうしても化学療法を加えたいのであればCMFの方を私は推奨します。(文責 清水)

 

No.4739-2】 05年12月16日     K.T
術後補助療法について(2)

お忙しいところ、早速にご返答、心より御礼申し上げます。4739で御回答いただいたものです。
1) 「腫瘍周囲の脈管侵襲がなければ」とのことですが、これはどういう意味か私にはわかりません。血管への浸潤という意味でしょうか。或いは乳頭腺管癌ですので、乳管への拡がりはありましたが、それを意味されるのでしょうか。今回の病理結果は、執刀医及び化学療法医双方より低リスクの分類に入るとのお話でしたが、これは先生のおっしゃるminimal riskの分類に当たると思うのですが、そうであれば脈管侵襲はないと考えてもよろしいのでしょうか。
2) ER(+)PR(-)の場合は抗エストロゲン剤の効果はあまりないので、アロマターゼインヒビター(アリミデックス、アロマシン)が推奨されるとのご説明、大変参考になります。いずれにせよ、最近はタモキシフェン等の抗エストロゲン剤より閉経後乳癌の補助療法がアロマターゼ阻害剤に移行しているとは聞いておりましたが、PR(-)の場合にもアロマターゼ阻害剤ならば効果が出ないわけではないということですね。
3) 抗がん剤治療につきましては、低リスクであるため、行わなくても再発率は10%程度との化学療法医の先生よりお話がありました。これに抗がん剤治療を加えるとアンスラサイクリン系なら3、4%、MFなら2、3%程度の再発率を減らせるとのお話でした。これら僅かの数値をあげるための化学療法はあまり得策ではないというような見解を示されておりました。「どうしても化学療法を加えたいのであればCMF」とのご説明を頂きましたが、これは前述の化学療法医の見解とほぼ同一とみなして宜しいのでしょうか。

1) いきなり難しい表現をして申し訳有りませんでした。“腫瘍周囲の脈管侵襲”はSt Gallenのガイドラインにのった“peritumoral vascular invasion”を直訳したものです。学会期間中に用いられた表現は”extensive vascular invasion”で“かなりたくさんの脈管侵襲”でしたが、論文になったら上記表現に代わっていました。もう一つ、脈管というのは血管とリンパ管の総称で乳管は脈管では有りません。脈管侵襲というのは顕微鏡で見たときに小さい血管やリンパ管の中に腫瘍細胞が有るのが見えるかどうかのことで、血管侵襲(v)、リンパ管侵襲(ly)と分けて表記される場合も有ります。しかし、小さい血管とリンパ管の区別は通常の染色法(HE染色)では難しく、区別付きにくいことが多く、正確に区別するために特殊な染色をしないといけません。また区別したとしてもそれが直接予後に影響する強い因子ではないので、敢えて分けずに血管とリンパ管をひとくくりにして脈管と表現しているのです。Minimal riskは低リスクと同じ意味です。先生が低リスクとおっしゃったのなら“ひどくたくさんの脈管侵襲”はなかったと考えてよいと思います。
2) その通りです
3) はい。後はご本人がどのくらい再発を心配しているか、その再発率減少の効果を得るためにどのくらいの副作用を容認できるかだと思います。(文責 清水)

 

No.4738】 05年12月13日     C.E.
転移性乳がん(肺転移)について その5(HPNo.4454-5)

毎回、丁寧なお答え有難う御座います。No4454でお答え頂いている者ですが、続けて質問させて頂きたいので、宜しくお願い致します。
1)「【No.4722】 05年12月08日 転移後の治療方法について」のお答えの中で、「肺転移のある乳癌で2年半元気に生存しているということは、かなりいろいろな治療がされたことが想像されます。」と記されていますが、肺転移のある乳癌では、2年半元気に生存することは容易ではないという事なのでしょうか?  つまり、割と早く亡くなる可能性が大きいという事なのでしょうか? 5年又は10年と生存することは、並大抵な事ではないのでしょうか?
2)背中の中央辺りが、いつもジワーと(鈍痛)痛いのですが、これは何から来る物と想像されますか? 転移の可能性も考えられますか?
3)胸の中央からその左右にかけて、ずっと痛みが続いているのですが、何が原因と想像されますか? 転移の可能性も考えられますか? (うっすらとですが、膨らんでいる様な感じなので、胸水が溜まっているのでしょうか?)

再発後生存期間の中央値という指標があります。再発と診断された方が、どのくらい生存できるかを示す一つの指標ですが、実際の再発後生存期間は短い方(数ヶ月)から長い方(十年以上)まで様々なので、短い方から長い方を順番に並べて真ん中の方の生存期間を中央値として一つの指標にします。現在の中央値は約2年半と言われています。このデータは既に亡くなった方から得られたデータであり、現在の医療の恩恵を受けられている方は含まれません。ですから現在再発治療中の方ではもう少し長くなっていることが予想されます。また、この数字はあくまでも指標であり、一人一人異なることを理解してください。(文責 清水)

 

No.4737】 05年12月13日     HK
乳腺のう胞症の疑い・再検査 

ネットで検索し、いろいろ見させていただきました。ぜひ相談にのってください。昨年冬の健康診断(同友会)で「線維腺腫の疑い・要観察」、今年は同検診で「乳腺のう胞症の疑い・再検査」との結果が出ました。高校時代から生理前は走ると胸が痛くて走れないこともあり、生理前に胸が腫れるのは私にとってごく普通のことでしたが、気にし始めたせいか、ここ最近は胸の腫れがずきずき痛む気がします。よき検査機関があれば教えてください。

乳腺外来を標榜しているところか、なければ外科で診てもらってください。(文責 清水)

 

No.4736】 05年12月13日     Y
抗ガン剤投与の時期について

今年の9月に乳房温存手術をした者です。術後25回の放射線治療とホルモン治療(ノルバデックスDとリュープリン)を行っています。主治医から、「抗ガン剤は希望するならします」と言われましたが、悩んでいるうちに時間が過ぎてしまい、放射線が終了してから2週間が過ぎてしまいました。そこで、以下の点についてご返答をよろしくお願いします。
1) 今後抗ガン剤を希望して、途中で追加しても効果はあるのでしょうか?
2) 術後どのくらいの期間以内でやれば、抗ガン剤の効果が得られますか?
3) 現在ホルモン治療を行っていますが、もし抗ガン剤を追加する場合、いったんホルモン治療を止めてやるのがいいですか?そうした場合、抗ガン剤治療が終了してから、またさらに5年のホルモン治療になりますか?
4) Her2が2+だったのですが、fish法で+かーか確認してもらってから抗ガン剤の種類を選んだ方がいいですか?
  
お忙しいところすみませんが、よろしくご返答お願いします。

1)病理の詳細が不明ですが、抗がん剤の適応がある場合であれば、今からでも効果はあると思います。
2)特に決まりはありませんが、通常抗がん剤の臨床試験等では手術後3ヶ月以内に治療を開始するという規定がよく見られます(特に根拠はないのですが)。やると決めたら早くやるということではないでしょうか。
3)抗がん剤とホルモン療法を同時に行うことは原則としてお勧めできません。特にノルバデックスは抗がん剤と併用すると再発率が高くなるというデータがあります。リュープリンは卵巣を保護する目的(将来妊娠を希望される場合等)で併用することがありますが、それ以外の場合は併用しません。抗がん剤を行った場合は抗がん剤治療終了後から5年間がホルモン療法です。
4)抗がん剤の選択でハーセプチンを使う必要があるかどうかを見るためにはFISH法を追加した方が良いと思いますが、そうでなければIHC法だけで十分だと思います。(文責 清水)

 

No.4735】 05年12月13日     S・Y
線維腺腫

以前も相談にのって頂き、良きアドバイスありがとうございました。今回もよろしくお願いします。45才の独身です。一年半前より線維腺腫との事で、半年に一度、乳腺科で経過観察をしております。触診・エコー・マンモ・細胞診での診断です。先日5月から半年後のエコー診察で、新たにすぐそばに又しこりが発見されました。「経過観察中の物と同じ所見と考えられます。半年後に来てくだい。」との事です。細胞診をするようには言われなかったのですが、やはり自分から積極的に言って、してもらうほうが良いでしょうか?その場合、半年後の時で良いか、早めに行ってしてもらったほうが良いでしょうか?又、線維腺腫がすぐにいくつも出来ることはあるのでしょうか?よろしくお願いいたします。

線維腺腫が多発することは珍しいことではありません。しかし、気になるのは年齢で、45歳というのは線維腺腫の好発年齢ではなく、どちらかというと乳癌の好発年齢になっています。私の意見は、乳癌好発年齢の方に線維腺腫などの良性腫瘍を疑う腫瘤が新しくできた場合は、原則として細胞診まで行った方が良いと考えています。診察をした主治医の先生が半年後で良いとおっしゃっているので半年待ってからでも良いと思いますが、もし少しでも大きくなってくるようであれば、半年待たずに受診された方が良いと思います。(文責 清水)

 

No.4734】 05年12月13日     S.T. 
胸の痒みと乳がんの可能性

初めまして。17歳(もうすぐ18歳)です。今年夏ごろから胸がかゆくなるようになりました。本当にかゆくて、どうしても掻いてしまいます。夜中に痒みで目が覚めることもよくあります。両胸がかゆく、赤くただれたようになっています。黄色い汁(?)のようなものが沢山出るので、ブラジャーと胸の間にティッシュを当てたりしています。アトピーなので、よく行く皮膚科もあるのですが、場所が場所なだけになかなか言い出せません。婦人科に受診したことはありません。皮膚科、婦人科、どちらを受診すればよいのでしょうか。こちらのページをみていると、「乳がんの可能性もあるのかな」と思い、不安で仕方ありません。また、どうしてこのような症状になるのか・・・原因として考えられることも教えていただきたいです。よろしくお願いします。

基本的に乳癌の心配はありません。Mailの内容からすると乳頭の湿疹だと思います。月経のある10代の女性に時々見られる状態で、原因は乳頭からの分泌物に乳頭の皮膚がかぶれてしまうのです。アトピーによく似た状態で、アトピーの方がなりやすいようです。ステロイドの入った軟膏を少量付けることで、すぐ良くなります。つけすぎると後で色素沈着を起こしますから注意してください。皮膚科か乳腺外科がお勧めです。(文責 清水)

 

No.4733】 05年12月12日     MM
母の症状について

約1年半前に相談させて頂いた者ですが、気になる症状があります。よろしくお願いします。昨年7月に右乳房全摘手術を受け、リンパに3つ転移がありましたが遠隔転移は無く、術後抗ガン剤を各3週おきにCEF4回タキソール4回を投与し、その後アリミデックス錠を毎日飲んでいます。幸い1年後の検査でも何の異常もなく、その後の血液検査でもコレステロール値が高い事以外は指摘されたことがありませんでしたが、10日ほど前から胃に違和感を感じ、胃の内視鏡検査と腹部CT検査を受けたところ、胃の上部のヒダに異常があったらしく「細胞を取ったので1週間後に結果を聞きに来てください」と言われました。本人は血液、肝臓、大腸、体調等に何の異常が無い事もあって楽観しているようですが、心配です。どのような病気が考えられますか?今回は手術を行った病院ではなく、普段の掛かり付けの先生に乳ガンの手術を行ったことを伝えてから検査を行ったので、念のためということもあるのでしょうか?

乳癌の詳細が不明なので何ともいえませんが、一番心配なのは新しく胃がんができたのではないかということで、頻度が高い疾患としては胃炎、胃潰瘍などが考えられます。それについては、今回の細胞検査の結果で白黒つくと思います。乳癌に関連するとすれば、稀ですが、小葉癌は胃への転移が起こりやすいと言われています。(文責 清水)

 

No.4732】 05年12月12日     Y.I.
乳頭からの分泌物について

1年半ぐらい前から乳頭から分泌物がでるようになりました。昨年の内に3回分泌物を調べていただきましたが、異常なしとのことでした。その後、濃い黄色だった分泌物が鮮血にかわりましたので、もう一度先生を訪れたところ、分泌物の検査後〔異常なし)、血管造影によるMRI検査を進められ、他病院でいたしました。それを、申し付けられたように主治医に持ち帰りましたら、「怪しい影が一箇所あるが、しこりもないので様子を見よう」と言われました。その後、分泌物は薄い黄色になり、一安心していましたが、昨日、また薄い鮮血のものがでてきました。1年半前にはマンモグラフィー、超音波検査を受け、その時は異常がありませんでした。また、MRIの画像は造影後すぐに私が持ち帰ったため、主治医の先生にしかみていただいておりません。今後放置しておいてもいいものか判断しきれず、ご意見を仰ぎたく、よろしくお願いいたします。

腫瘤を触知しない乳頭からの血性分泌物の場合は、基本的には分泌物細胞診、分泌物CEA(マンモテックなど)、マンモグラフィー、超音波検査が必須で、あとは症例に応じて乳管造影、MRI等の検査になりますが、最も簡便で診断精度が高いのは分泌物細胞診です。血清乳頭分泌で乳癌が見つかる確率は十人に一人くらいで、一番多いのは乳管内乳頭腫です。一年前からの時々血性になる乳頭分泌で、いろいろな検査で異常ないというのであれば基本的には心配ないと思いますが、難しい検査をするより、定期的に分泌物細胞診を行なうことをお勧めします。(文責 清水)

 

No.4731】 05年12月12日     T
乳癌治療方法を選択するには(2)(HPNo.4535-2)

10月に相談させていただきましたが、その節は良いアドバイスを頂き有難うございました。その後、左乳房の全摘出手術を受けました (腋のリンパは切除しませんでした) 。切除した組織の病理検査などの説明を受けましたが、手術前の予測より癌の大きさは小さく、以下のとおりでした。 「・ステージT ・大きさは0.1cm(広がりは4cm)  ・遠隔転移…なし  ・リンパ節転移なし(0個/4個中)  ・癌の悪性度…1  ・ハーセプチンテスト…0  ・ホルモン受容体…エストロゲン/プロゲステロン 共に陰性」であり、今後の治療として、内分泌療法・放射線治療で、化学療法は、担当医師としては「やりましょうとは勧めない」ということでした。来週まで患者としての意志表明は保留としました。化学療法を安心の為にやるべきか、担当医師の勧めのように化学療法は行わない選択とすべきか、悩んでいます。
1) 化学療法を行ったときと行わなかったときの違いは、どのようなものでしょうか?(転移の確率の違いなど)
2) より安心ということで、化学療法を行ったほうが良いでしょうか?
3) 患者として選択するときの観点
など、アドバイスをお願いします。

閉経状況がわからないのですが、閉経前後いずれにしても、ST.Gallenのガイドラインではホルモン受容体が陰性なので内分泌療法の適応はありません。乳房切除してリンパ節転移が無いので放射線治療の適応もありません。化学療法については、ホルモン受容体が陰性であれば化学療法の適応です。適応ということは、治療効果だけからみたら化学療法を行なった方が再発の確率は明らかに低くなるということです。あとは、治療しなかった場合の再発率の高さと、治療によって得られる効果と、治療に伴う副作用を加味して化学療法を行なうかどうか決めることになります。大きさ0.1cmでリンパ節転移なしとなると、高く見積もっても再発率は10%くらいでしょうか。化学療法で期待できる効果は、高く見積もってCMFで2−3%、AC、CEFなど3−4%程度でしょうか。後者は脱毛、吐き気などの副作用がかなり強いので、何が何でも再発のリスクを少なくというのであればお勧めですが、効果の大きさと副作用のバランスを考えると、?でしょうか。そうなるとCMFを行なうかどうかということになると思います。CMFも抗がん剤ですから決して楽な治療だとは言いませんが、脱毛は軽い抜け毛くらいで、吐き気も吐き気止めをしっかり使えばひどくありません。トライしてみる価値はあるかもしれません。(文責  清水)

 

No.4730】 05年12月12日     K 
妊娠中の乳がん

はじめまして。妊娠24週、39歳です。乳房にしこりを見つけ、エコーと細胞診で乳がんが分かりました。大きさは3cm弱ほどです。場所は右乳房のあたりで、乳腺科の意見としては、先に手術(全摘)をして出産を待つほうがいいと言われました。「全身麻酔が胎児に影響することはありません」ということでしたが、それがどうしても心配で、先に帝王切開で出す場合はどうかというと、最低でも30週まではお腹におくほうがいいらしく、それまでは治療せず、赤ちゃんを出してから(または出産と同時に)手術してもかまわないとも言われました。ただし、乳がんは今の1.5倍ほどになるのではないかということです。
1) 全身麻酔は、本当に100%胎児には影響ないのでしょうか?
2) あと6週くらいで1.5倍にもなってしまうくらい、妊娠中の乳がんの進行は早いものなのですか?
3) 乳房温存はどうしても無理なものでしょうか?
4) 帝王切開で出すのと、乳がんの手術を同時にできるものなのですか?
5) 30週で帝王切開する場合のリスクと、全身麻酔が胎児に影響するリスクは、赤ちゃんにとってどちらが大きいものでしょうか?

最終的には自分でどうするか決めてくださいということなのですが、セカンドオピニオンする時間的余裕がなさそうなので、ご意見お願いいたします。

1) 全く影響がないと言えば嘘になりますが、24週を過ぎると原則的に胎児の主要臓器の形成は終わっているので麻酔薬による奇形の発生はなくなると言われ、必要があれば、全身麻酔をかけられるというのが麻酔科の意見だと思います。
2) 後6週で1.5倍になるかどうかはわかりませんが、原則として妊娠中の乳癌の発育が早いことは確かです。
3) 乳房温存できない理由はないと思います。ただし、出産後温存乳房に放射線治療を行わないといけないので、授乳を止める必要があるかどうか放射線科の先生の意見を聞く必要があると思います。
4) 同時の手術は可能だと思いますし、30週まで待つのであれば、その方が良いと思います。
5) 大変難しい判断だと思います。胎児のリスクは全身麻酔の方が高いと思いますが、母体のリスクは乳癌の手術を待つ方が高いと思います。誰もきちんとこのリスクの比較をできないのではないでしょうか。私の経験というか、私が診た患者さんは先に乳癌の手術をされ、その後出産し、現在子供さんは5歳になりますが、母子ともに健康です。このような実例があったとしかアドバイスのしようがありません。(文責 清水)

 

No.4729】 05年12月12日     Y.H. 
ホルモン治療について

いつもこのサイトにはお世話になっております。術後の治療についてご相談にのっていただきたく、メールさせていただきました。私は8月に乳癌にて右胸全摘手術をしました。病理結果として「 硬癌、腫瘍1.5x1.0、年齢31歳、リンパ転移なし、グレード2、HER2+1、ERマイナス、PgRプラス、脈管侵襲は不明」でした。術後の治療として、「AC4クール+ホルモン治療(ゾラ2年+ノルバ5年)」になり、AC4クールは11月半ばに終わりました。そしてホルモン治療に入る前に一度セカンドオピニオンを受けました。セカンドオピニオンの先生が言うには、「私の再発率は低くて10年、再発率も10%も無いくらいだから、AC4クールだけで大丈夫だと思います。ホルモン治療をやるにしても肝心のERが陰性だから、PgR陽性だけでは、何とか感受性はあるものの治療効果はとても弱いので、ACやっただけで10年治癒率は95%近くあると思うから、ホルモン治療はやってもやらなくてもどちらでも良いのでは」と言われました。そこでご相談したいのですが、
1)私の病理結果でAC4クール終わった場合、本当に治癒率90%以上ありますでしょうか?
2)PgRプラスだけの感受性で、どれくらいのホルモン治療効果が望めますでしょうか? 私の場合だと本当にやってもやらなくてもいいくらいの病理結果なのでしょうか?

以上がご相談したい内容です。よろしく意見お願いします。

治癒率は90%くらいだと思います。PgR(+)だけでも内分泌療法の適応はあります。どれくらいという数値は言えませんが、やらないよりやった方が少しですが再発率が低くなることは確かです。生存率が90%で良いというのであれば内分泌療法はやらなければよいし、もっと生存率を高くしたいと思えばやった方が良いと思います。後は副作用の問題で、メリットはあまり大きくありませんから、副作用がきつければやらない方が良いと思います。主な副作用は更年期障害様の副作用で、どの程度かは個人差がありますから、実際にやってみなければ何とも言えません。まずはトライしてみては如何でしょうか。(文責 清水)

 

No.4728】 05年12月12日     Y
乳房のはりについて

28歳、独身です。いつもなら生理後になくなる胸のはりが、今月はなくなりませんでした(少しひいた感じはしましたが・・・)。次の生理予定日は2週間後なのですが、普段なら生理前くらいの張り方です。特に上側を押さえると鈍痛を感じ、乳房が硬い感じがします。病院へ行ったほうがいいのでしょうか。教えてください。

Mailの内容からは心配なさそうですが、いつもと違う感じがしたら、病院を受診することをお勧めします。(文責 清水)

 

No.4727】 05年12月12日     H.O
乳がん検診について

はじめまして。33歳、3人の子持ちです。2週間前、左乳房の左上部にしこりがあるのを感じ、翌日乳がん検診を受けました。私の住む地域には乳腺科という科がなく、検診を受け付けている産婦人科に行きました。生理初日に受診したせいか、しこりも大きく感じました。超音波検査を受け、設備のある医療センターでマンモグラフィーを撮りました。本日その結果を伺ったところ、写真に白い塊があり、再検査しましょうと主治医に言われ、左部分の拡大写真を撮りました。生理が終ってからしこりも小さくなっていて、厚みが無くなった感じです。また、しこりはよく動きます。主治医も、「乳腺の確立が高いけど、一概に言えないので再検査です。」とおっしゃいましたが、結果が1週間後に出るとの事で、また不安な日を送るのかと思うと気が滅入ってしまいます。分かりづらい内容で大変申し訳ないのですが、乳がんであった場合、小さくなったりするのでしょうか? それから、マンモグラフィーだけの検査で良いのでしょうか? 宜しくお願いします。

乳癌であれば原則として小さくなることはありません。生理の後に小さくなったのであれば乳腺症の可能性が高いと思います。マンモグラフイーと超音波の検査で異常がなければ安心してよいと思います。まずは、検査結果を聞いてください。(文責 清水)

 

No.4726】 05年12月10日     N.H.
非湿潤がんと診断されました(3)(HPNo.4682-3)

いつもご丁寧な回答をありがとうございます。HPNo.4682です。先月25日に画像診断と針生検で「非浸潤癌である」との診断になりました。その後、血液検査、肺レントゲン、おなかのエコーなどの検査で転移は見られないということで、最初は今週に手術ということでした。しかし、胸を同時再建するのに形成外科との日程がなかなか合わず、まだ手術日は確定しておりません。どうやら19日の週になるようだということなのですが、こうしている間に浸潤してしまうのではないかと不安に思ってしまいました。そんなに急速に進行はしないとはいうものの、何せ素人ですので、今、非浸潤でも明日にはもう浸潤してしまうかもしれないなどと考えてしまいます。異変に気付いたのが先月初めで、検査から手術まで1カ月半以上も待つのかと思ったら、また不安にかられてしまいました。非浸潤から浸潤になってしまう可能性はいかがなのでしょうか。よろしくお願いいたします。

前回稲葉先生が回答しているように、非浸潤癌という診断は、切除した組織を隅から隅まで調べて、どこにもが浸潤巣が無いことを確認してから初めてつけることができる診断名ですから、針生検の結果が非浸潤癌だからといって全てが非浸潤癌とは言えません。ですから、待っていることで非浸潤癌が浸潤癌になるという心配より、現時点で浸潤があるかどうかが問題です。乳癌の手術で1‐2ヶ月の時間はあまり問題になりません。(文責 清水)

 

No.4725】 05年12月10日     S  
非浸潤癌の治療について(3)(HPNo.4688-3)

お世話になります。宮崎県のブレストピアなんば病院でされています「下集束超音波手術」は体にメスを入れずに癌を治療するようですが、私の「非浸潤癌」はこういう治療でも完治するでしょうか? 治療にはかなりの痛みを伴うような(熱いような)気がするのですが、いかがでしょうか? また この治療法は医学的にも認知され、再発はしないと思えるのでしょうか? 温存手術を受けようと思ってはいますが、こういう情報を耳にしてかなり動揺しています。ご意見をお聞かせ頂けるとありがたいです。(何度も申し訳ありません)

今の時点で大切なことは、病巣を全て切除して隅から隅まで顕微鏡で見てもらって、どこにも浸潤が無いかどうかを調べることで、その結果どこにも浸潤が無く、非浸潤癌と確定診断がつけば再発の心配は極めて少なくなりますが、浸潤があれば、術後の補助療法を考えなければいけなくなります。ですから、集束超音波手術で組織を焼いてしまうとそれがわからなくなるので、お勧めできません。「下集束超音波手術」はMRI下集束超音波手術のことだと思いますが、この治療法はまだ治験の段階です。どのような適応で治験が行なわれているか詳細は知りませんが、貴女のような例は多分対象にならないのではないかと思います。(文責 清水)

 

No.4724】 05年12月10日     KK
今後の治療と骨転移について(HPNo.4596-2)

すでにHPNo.4362・4596にて、お世話になっております。いつも不安をご相談させていただくことで安心を与えていただき、ありがとうございます。今年1月、2.6センチの腫瘍が見つかり、温存手術を受けました(44歳)。リンパ節郭清にて転移なしと判明。放射線照射後4月からノルバテックスを飲み始め、2年続けます。胸のレントゲンは6月頃撮りましたが異常なしでした。前回は薬の影響かは不明でしたが、それまで順調だった生理が遅れご相談させていただきましたが、半月後に始まり、婦人科の癌検査でも異常は見つかりませんでした。私の場合、予後がよいとのことで 薬も2年間のみ、また薬以外の治療は全くしていません。しかし、11月の検査にて肝臓の値が悪くなっていました。そして手術から1年後の1月に、初めて骨シンチを撮ることになりました。
1) 私のような経過では、薬のみの治療というのが一般的なのでしょうか。
2) 昔から肝臓障害は全くなく、薬の副作用が現れていると思っています。主治医の見解もその影響は否定できないとのことでしたが、ノルバテックスを持続することでの肝臓障害はよく見られるのでしょうか。手術時の郭清検査で転移がなく腫瘍マーカーも正常値ならば、肝臓転移の心配はないのでしょうか。( GOT43 GPT57 r-GPT113 ALPのみ正常)
3) 手術後一度も骨シンチを受けていませんが、もっと早い時期でなく、手術1年後のこの時期に初めて受けるのは一般的なのでしょうか。もちろん骨シンチの結果が出るまでは、はっきりしませんが、胸のレントゲンに異常はなく、腫瘍マーカーも正常値で、主治医も転移の可能性は低いので1月でよいとの見解ならば、さほど心配はないのでしょうか。(手術後1年経ち、心身の苦痛を乗り越え、生活が安定してきた時期だけに、肝臓障害や特に骨への転移の恐怖から抜け出せません。)

以上、よろしくお願い致します。

1) 術後の病理の結果が不明なので、現在の治療が一般的かどうかは不明です。ただ、一般的ということであれば、ノルバデックスは5年間内服が一般的です
2) ノルバデックスで肝機能障害が見られることはあります。薬を止めて肝機能が改善すればその可能性が高いと思います。肝転移については、エコーかCTで確認する必要があります。GOT,GPTが高いといって肝転移を疑うことはありませんが、だからといって、絶対無いとはいえません。
3) 手術後の骨シンチやCTを定期的に行なうかどうかは議論があります。欧米のガイドラインでは定期検査の意味はないから推奨しないということになっています。その訳は、早期に再発を発見しても、生存期間が延びることはないということが証明されているからです。ただし,再発が有るか無いかを知るためには一年一度くらいやってもいいのではないかと思います。転移再発の恐怖が検査することで和らぐなら検査をお勧めしますし、かえって不安感を増すだけだというのであれば検査しないことをお勧めします。(文責 清水)

 

No.4723】 05年12月08日     H.H
転移性乳がん(肺転移)について その4(HPNo.4454-4)

前回HPNo.4454でご相談させて頂いたものです。今回もよろしくお願いいたします。10月12日CT検査、10月21日結果次第でハーセプチン+(タキソール又はタキソテール)の予定の様です。
1) 9月7日からアリミデックスを服用していますが、11月29日から生理が4日間位きてしまいました。このままアリミデックスを服用していても問題はないものでしょうか? 問題があるとすればどんな事があるでしょうか?
2) ハーセプチンと併用する場合、タキソールとタキソテール、どちらが推奨されているのでしょうか?
3) アリミデックスが効いていない場合は、他のホルモン剤ではなく、ハーセプチン+(タキソール又はタキソテール)にすぐに移行した方が良いのでしょうか?
4) ナベルビンは、今日現在まだ保険適用外なのでしょうか?
5) ハーセプチンとナベルビンの併用は、ハーセプチン+(タキソール又はタキソテール)に比べ、奏功率はどちらの方が勝っているのでしょうか?

1) アリミデックスは閉経後乳癌の治療薬で、卵巣機能が残っていると逆に卵巣からのエストロゲンを増加させるというデータが有ります。ですから、生理が有ったことを主治医の先生にお話しして、ゾラデックスを再開してもらうか卵巣摘出することをお勧めします。
2) ハーセプチン+タキソール、ハーセプチン+タキソテール、どちらも単独の場合より有効であることが証明されていますが、両者の比較をしたデータはないので効果についてはどちらが良いか分かりません。後は副作用の違いで決めることになるのでしょうか。タキソールの特徴的な副作用は手足のしびれで、タキソテールは全身の倦怠感です。脱毛、白血球減少は共通です。
3) アリミデックスで一時的にでも効果があったのならばアロマシン、フェアストンの高容量投与、もしくは来年4月以降ならフェマーラ等の内分泌療法を使い続けることが推奨されます。しかし、アリミデックスが全く効果ないのであれば、内分泌療法には反応しないと考えてハーセプチンの出番になると思います。但し、アリミデックスの効果の有無を判定するには3ヶ月以上の投与が必要です。内分泌療法の場合、投与の初期にフレア現象といって一過性に増悪することが有ります。その場合は遅れて効いてきますので、焦って薬を代えないように注意してください
4) ナベルビンは乳癌に保険適応になりましたから、タキサンとハーセプチンの併用が無効になったときのハーセプチンの相棒として有用な選択肢のひとつになります。
5) ハーセプチン+タキサンとハーセプチン+ナベルビンの比較データは有りません。しかし、ナベルビン単独の効果はタキサンほど高くないので、タキサンの併用を先に行って、ナベルビンを後ろにまわす使い方が一般的です。しかし、ナベルビンの特徴に脱毛が少ないというのが有るので、脱毛がどうしても嫌だという場合に、ナベルビンを先行するという選択肢はあると思います。(文責 清水)

 

No.4722】 05年12月08日     Y.U.
転移後の治療方法について

母が先月半ばから乳がん・転移性脳腫瘍で入院しました。発見は2年半前、その時すでに肺にも転移が見られ、手術は不可能ということで、化学療法でやってきてました。先月、嘔吐、食欲不振が続き、入院し検査した所、脳に転移。30個近くあるらしく、足も歩けないぐらいなのでガンマナイフをやりました。しかし担当医は肝臓・肺にも転移、脳にも転移、骨にも疑いがあるとのことで、もうこれ以上できることはなく、また症状がでたら全脳照射して、後は苦しまないでいける方法を・・・と言われました。余命2〜3ヶ月と言われました。この前まで元気にピンピンしていたのに、本当にこれ以上手が無いものなのか悩んでいます。母はまだ55歳、何か情報があればお願いします。できることは全部、可能な限りやりたいのです。悔やまないように。

病理所見、今までの治療経過が分からないので、“これ以上の手”が有るかどうかお話しできません。しかし、肺転移のある乳癌で2年半元気に生存しているということは、かなりいろいろな治療がされたことが想像されます。悩んでいるのであればセカンドオピニオンをお勧めします。(文責 清水)

 

No.4721】 05年12月08日     ひよこ
ハーセプトスコアと術後の治療法との関係について

33歳女性です。今年8月下旬にしこりを発見し、11月中旬に乳房温存術にて手術を受けました。センチネルリンパ節生検の結果、腋下リンパ節への転移はありませんでした。他、目に見える転移は今のところないようです。種瘤の大きさは3cm強、ガンの種類は、「浸潤性乳管ガン」とだけ聞いています。病理結果はグレード2、ホルモン感受性は両方あり、HER2=2+ FISH検査の結果待ちです。術後の治療は、CEFもしくはEC4クール、放射線、ホルモン療法はゾラデックス2年とノルバデックス5年が最もおすすめだとのことです。
1) Her2強陽性の意味について
強陽性というのは、「再発したときハーセプチンが効くからラッキー!」と考えるのか、「転移しやすいのね、ガーン」と落ち込むべきことなのか、どちらなのでしょう?
2) ハーセプトスコアと術後の治療法との関係について
ハーセプスコアの値は、治療法の選択にどう影響するのでしょうか。妊娠・出産を希望しており、抗がん剤もしくはホルモン療法のどちらかをしなくてすむのであれば、早く術後の治療を終え、子どもをつくりたいと考えているのですが、私の状況で、そのような選択が可能と思われますか。

どうか、ご指南よろしくお願い致します。

1) 両方です。
2) 妊娠出産を希望している場合は術後の治療を決めるのが難しくなりますから、その希望は早めに主治医の先生に伝えた方が良いと思います。35歳以下なので術後化学療法の適応ですが、化学療法による薬物閉経(妊娠できなくなる)のリスクが有ります。一つの解決策として、ゾラデックスを投与して卵巣機能を停止させておいてから化学療法を行うことで薬物閉経の予防になることが知られていますので、考えてみてください。貴女の場合、Grade2でHer2(2+)ですから、決してminimal riskでは有りません。したがって、再発のriskを下げるためにはきちんとした術後補助化学内分泌療法(主治医のお勧めの治療)が必要だと思いますが、きちんと行うと向う5?6年間妊娠はできません。第一子の妊娠が38-39歳でもOKなら、きちんと治療を受けることをお勧めしますが、もっと早い時期に妊娠を希望されるとなると、どこかを省略しなければなりません。最初に省略できるのはノルバデックス5年を3ないし2年に短縮することでしょうか、それなら35歳くらいでの妊娠が可能です。がんの再発も防ぎたい、子供も欲しいとなるとゾラデックスを併用したCEFもしくはECの後ノルバデックス2年内服(もちろんゾラデックスと併用)というのがぎりぎりの選択ではないでしょうか。(文責 清水)

 

No.4720】 05年12月08日     A
術後、乳房の硬化について

お忙しい中、ありがとうございます。4月に温存手術、放射線を経て現在ホルモン療法中です(リュープリン、ノルバデックス)。放射線終了後1ヶ月くらいしてから、手術したほうの乳房全体が硬くなっていて、少し大きくなり、術後半年以上たっても治りません。反対側とは全く違う状態です。放射線により多少縮むことは聞くのですが、大きくなるのは稀なケースなのでしょうか。主治医に聞いてもみましたが、明確な答えは返ってきませんでした。このまま放っておいても問題ないのでしょうか。心配です。

乳房温存手術後に温存乳房へ放射線を照射すると、通常はその乳房はむくんで大きくなります。むくみは半年くらい過ぎた頃から徐々にひきはじめ、放射線治療終了後一年くらいでほぼ元通りになります。その後、組織の萎縮が起こり、元の大きさに比べて若干小さくなります。主治医の先生も心配していないようであれば、お話を聞く限りでは放射線後の変化と考えてよいのではないでしょうか。(文責 清水)

 

No.4719-1】 05年12月08日     M.A.
乳がん検査にて

母が大腸がんで手術終わり一年が経ちました。今癌検診をしてるところです。そこで、乳がん検診にてマンモで二つ白い影が映り再検査になりました。エコーをしましたが何も映りませんでした。でも先生は「映らないから大丈夫ということなんでしょうねぇ。」で自信なさそうだったようです。そもそも大腸がんの手術した病院では患者さんが多すぎて一般的に検査が人間ドックとしてしか受け付けてないらしく受けれず地元でマンモを受けたのです。あまりに不安だったためその執刀医の先生に話しに行くと(レントゲンもっていけなかったから内診のみ)内診では問題ないとのこと。マンモをまた受けるわけにも行かず(被爆)エコーに映らない、内診で大丈夫とおもっていいのでしょうか?せっかく今年は安心してお正月が迎えられるとおもったのに不安です。お願いいたします。

マンモで二つの白い陰というだけでは何ともお答えのしようが有りません。撮影したマンモグラフィーを借りてきてセカンドオピニオンを受けるか、再撮影してもらって診断を受けるしかないと思います。被爆のリスクと心配の程度を天秤にかけることになると思いますが、被爆のリスクはあまり大きく有りません。(文責 清水)

 

No.4719-2】 05年12月13日     M.A.
乳がん検査にて(2)

お忙しい中、ご質問にお答えくださりありがとうございます。おっしゃる通りだと思いますので、母を説得して心配のないお正月を迎えたいと思います(無事であるといいのですが)。母は骨髄異型性症候群なのでかわかりませんが、執刀医の先生にとめられているのです。マンモをお借りしてセカンドオピニオン受けてもらいます。この骨髄異型性症候群も骨粗しょう症、ビタミン剤、胃、増血剤の薬を服用してなのかわかりませんが、直腸がんの手術後、みるみる数値がよくなり、輸血どころか抗がん剤も服用したことないくらいです。その薬さえ減らす方向になりました。珍しい病気のようでネットで検索しても私にはよくわかりません。ただ、書き込みされてるかたがたとは母は違い、数値もほぼ人並みで、血液検査どこをとっても健康な数値なのです。おかげさまで元気にくらせています。本当にこの病気なのか・・・と思うほどです。3年〜5年と最初に受けた病院では言われました。現在の病院では決まってないとおっしゃいましたが、とても心配です。乳がんの質問なのに、また、お礼のメールさせていただいておりますのに、また余計なこと申しまして申し訳ございません。もしも、お時間が許されるならご教授くださいませ。

骨髄異形成症候群の原因の一つに内蔵悪性腫瘍があり、今回も直腸がんが誘因だったのではないでしょうか。その場合、直腸がんが切除されると良くなるようです。経過が良いことを喜ばれてお正月を迎えてください。(文責 清水)

 

No.4718】 05年12月08日     Y.H.
リンパ節内の転移を知ることの患者のメリットは? (HPNo.4608-2)

05年11月07日に【HPNo.4608】で手術先の変更についてご回答いただき、ありがとうございました。結局2番目の病院にて紹介なしで受診し、後日CT、骨シンチでも転移は見られないとの結果はでましたが、良性とは期待せずにいてくださいと言われました。センチネルリンパ節生検での手術を希望したところ、可能だとのお話だったのですが、医師の勧めもあり乳房温存手術とリンパ節の郭清をすることにいたしました。最初の病院の針生険で組織が取れず、事前の確定診断はついていません。今週末入院予定となりましたが、
1)確定診断がついていない状態でのセンチネルリンパ節生検は、専門の医師の方はどう思っておられるのでしょうか。
2)【HPNo.4244】の中で、「病理学的にリンパ節転移が明らかになることをたびたび経験します。」とありますが、これはセンチネル生検の手術中には見つからなかった場合でもということでしょうか?
3)担当の先生からはリンパ節の郭清後のケアーをきちんとすれば心配するような障害もないと思いますとの説明をしていただきましたが、リンパ節内の転移が部分的かどうかを知ることは、患者にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。同じがん細胞に対する抗がん剤の選択が違うことは、どのような目的のためなのでしょうか?

ご回答のほど、よろしくお願い申し上げます。

1) 確定診断がついていない場合は通常は術中迅速診断といって、手術が始まるとまずしこりを取り出して病理検査へまわし、しこりを急速に凍結し固めて顕微鏡標本を作製して、病理の先生に癌かどうか診てもらいます(30分程度)。その結果で癌と診断されると手術が再開されます。センチネルリンパ節を探すためには、術前にRIか色素もしくは両方をしこりの近傍に注射しなければなりません。ですから、術前に確定診断がついていない場合は、癌としての手術になっても良いように術前にRI、色素の注射を行なっておきます。癌であればそのままセンチネルリンパ節生検を行ない、癌でなければ何もしません。後者の場合、投与した色素、RIは時間と共に自然に尿に排出されます。
2) 【No.4244】の“病理学的にリンパ節転移が明らかになることを、たびたび経験します。”というのはセンチネルリンパ節生検(SLNB)でない手術での話で、術前に触診でリンパ節が腫れていないと思って手術したのに手術(リンパ節郭清)をして、病理で診てもらったら転移があったという状況です。SLNBというのはリンパ節転移がない人の腋かリンパ節郭清をしないという方法ですから、センチネルリンパ節(癌細胞が一番最初に流れ込むリンパ節)を摘出して、術中に顕微鏡で調べて転移があれば郭清をし、転移がなければ郭清を省略します。ですから【No.4244】の説明と異なる点は顕微鏡検査で転移を確認しているところです。しかし、この方法でも5%くらいの見逃しはあると言われています。
3)  腋の下のリンパ節を郭清すると、たとえケアーをしても、程度の差はあれ30%程度の方に腕のむくみが見られます。“リンパ節内の転移が部分的かどうかを知る”という意味がわかりませんが、大切なことは部分的であっても全体であっても、転移が起きているかどうか(リンパ節転移があるかどうか)が問題です。転移が起きていれば、全身への再発の危険性が高くなるということです。“同じがん細胞に対する抗がん剤の選択が違うこと”については、乳癌と診断がつけば全部同じ細胞だと思われるかもしれませんが、実は同じ乳癌であっても十人十色で一人一人の乳癌の形や性格は全て違っていて、抗がん剤の効き方も違うので、術後の治療薬の選択に苦慮するのです。ここからの先の話は手術後の話になりますが、大事な話なので少し書き加えます。抗がん剤の選択の目的は、できれば副作用が少なく、奥様の乳癌が再発しないようにすることです。しかし、現実には奥様の乳癌の再発を抑えることができる薬がどれなのかはわかりません。そこで、過去の治療経験者のデータをみて、病理の結果が奥様と同じような状況だった患者さんたちがどのような治療をしてどうだったかを調べることになります。いまAとBという治療法が有った場合、どちらがよいかを調べる方法はただ一つで、数千人の患者さんを二つに分けてそれぞれにA,Bの治療を行ない、5年後10年後にどちらの治療群に再発が少なかったかを調べるのです。その結果Bの方が再発が少なかったとすると、その差はどれくらいで、副作用の違いは何かなどを考えて奥様の治療を決めることになります。乳癌が再発するかどうか(乳房内再発は除いて)は手術ではなく、術後の全身への治療法に左右されるのです。(文責 清水)

 

No.4717】 05年12月07日     m.o
胸のしこり

今年4月、右胸(右側上部)にしこり(2センチくらい)があるのに気づき、病院に行きました。細胞診・マンモグラフィーと検査しましたが、良性と診断されそのままに。今もまだしこりはありますし、左右の胸の大きさが違って気になっています。
1)摘出した方がよいのでしょうか?
2)その前には、もう一度検査が必要でしょうか?
3)手術はどれくらいかかるものでしょうか(時間、入院が必要)?

1) 良性であれば原則として摘出の必要はありませんが、しこりが気になっている、癌かどうか不安だ、手術による小さい傷はいとわない、というのであれば摘出してもらった方が良いと思います。
2) 手術のために少量の血液検査が必要ですが、しこりについては手術をすれば全てがわかりますから検査は不要です。
3) 通常は局所麻酔による外来手術で、手術時間は30分くらいです。(文責 清水)

 

No.4716】 05年12月07日     M.I.
手術方法、手術期間について(HPNo.4671-3) 

ご返事ありがとうございました。 また、質問をさせて下さい。 本人は年内に手術をする事を決心したようです。手術ですが、腋のリンパだけを取るのと、リンパ・乳房ともに取るのと、どちらがよいのでしょうか? 検査をしても見つけられないガンであっても、乳房をとる必要があるのでしょうか? 乳房を取った場合と、とらなかった場合の5年生存率は違うのでしょうか? 転移・再発率も違うのでしょうか? 手術をした場合、手術時間・入院期間はどれくらいになるものでしょうか(一般的に)。わからないことばかりで、自分のこと以上に不安です。よろしくお願い致します。

私は腋の下のリンパ節だけを手術して、乳房に放射線をかけて、手術後にきちんと全身の術後補助療法を行なうことをお勧めします。その理由は、乳房を切除してもしなくても5年生存率は変わらないこと、転移再発も異ならないからです。もう少し説明すると、通常の乳癌の手術で乳房温存療法が可能なのは、しこりを切除しただけで完全にガンが取りきれているわけではないのです。それでも、放射線をかけて必要に応じてきちんと術後の補助療法を行なえば、乳房が温存されてしかも、全身への再発は乳房を切除した人と変わらないのです。お母さんの場合も、同じように考えれば乳房を切除する必要がないことは理解頂けるのではないでしょうか。ただし、乳房を温存した場合は、乳房内再発という心配がありますから、術後に定期的な乳房の検査(原則として一年に一回のマンモグラフィー検査)が必要になります。手術時間はリンパ節郭清だけであれば1―2時間くらい、乳房切除とリンパ節郭清で2‐3時間くらい。入院期間は術後1週間で抜糸して翌日退院というのが平均的ではないでしょうか。(文責 清水)

 

No.4715】 05年12月05日     S.M. 
乳頭からの血性分泌について

よろしくお願いします。72歳の母です。30年前に子宮ガン、10年前に胃がんを手術しました。両方とも検診で見つかり、初期でしたので完治しています。3年前に乳頭から血液がまじる液がでたので、エコー、レントゲン検査しましたが異常なしということでした。「がん細胞の数値がでている」と言われましたが、大丈夫ということでした。その後出血は時々ありました。1年ごとに検診をしていました。7月にエコーとレントゲン検査を受け、エコーは異常なしですが、レントゲン検査で再検査になりました。こちらの不手際で、この結果は12月になってわかりました。これからレントゲン検査を受けるのですが、もしがんなら3年前のこともあるし、進行しているのではと心配しています。今のところ時々出血はあるようですが、しこりはありません。よろしくお願いします。

もし3年前から乳癌があるのであれば、しこりを自覚するでしょうし、エコーでも写るはずです。あまり神経質にならず、しっかりと診察、診断してもらって下さい。出血のある時は、6割は良性の腫瘍が原因といわれています。年齢的にも乳癌が出来ておかしくはないので、必ず、良悪性の診断をつけてもらうまで、煮詰めたほうが良いと思います。(文責 鈴木)

 

No.4714】 05年12月05日     A.Y.
早めの手術がどれほど重要なのか?

早速で申し訳ないのですが、私の母(56歳)が乳癌になってしまいました。がんセンターで検査を行ったところ、乳頭下部に2cmぐらいの「硬癌」ができているらしいです。他の箇所への転移は、まだ検査をしていないのでよくわかりません。以下、相談内容を述べたいと思います。まず母は横浜在住です。11/25に癌センターにて検査を行ったのですが、予約の都合上、手術は1月から2月になるらしいのです。一方で私の知り合いのツテで、仙台でならすぐに治療ができることになりました。手術後の長期治療を含めますと、確かに母の家の近場である神奈川県がんセンターが望ましい気がするのですが、他の箇所への転移などを考えると仙台にて早めの治療が望まれる気がします。仙台での早めの治療と、家の近場である横浜での治療はどちらがよろいしいと思われますでしょうか? 癌の成長度はまだ分かっておりませんが、乳頭下部の「硬癌」を1〜2ヶ月ほおっておくのは非常に危険な気がするのですが、どうなのでしょうか? 一般的な意見をお願いします。お忙しいところすみません。

一般的に、乳腺外科での手術はよほどタイミングがよくなければ、1-2ヶ月先になることが多々あります。3ヶ月以上先になる施設もあります。では、そういった施設の治療成績が悪いかというと・・・そんなことはありませんので、3ヶ月くらいであれば、問題ないと思います。ただ、ご本人が腫瘤を抱えて生活するのは精神的にも悪いでしょうから、早く出来るにこしたことはありません。今後の長い治療を考えると、一つの施設で一貫して治療を受けた方がよいと思います。知らない土地で手術を受けるのも不安でしょうから、お母様と相談の上、判断されてはいかがでしょうか?(文責 鈴木)

 

No.4713】 05年12月05日     e.n
乳頭の白い出来物について

35歳、10ヶ月の子供の母です(完全母乳)。4ヶ月位から左のおっぱいがよく詰まっていました。最近、右の乳頭に白いものができ、よく詰まるようになりました。しっかり詰まった時は母乳相談室に行き、詰まりを取ってもらっています。2〜3回目までは乳頭の出来物も治っていましたが、今回は乳房中心部のしこりは取れず、白い出来物も治りません。母乳相談室では、白い出来物は何かわかりませんでした。白い部分に二つ乳腺があるらしく、片方は甘く母乳も飛びますが、もう片方はじわっと出るだけで味がないとの事。もう一ヶ月近くになります。子供は嫌がって、あまり飲んでくれません。乳がんなのでしょうか?受診した方がよいのでしょうか?

乳癌の心配はあまり無いように思います。乳瘤という、母乳のたまりではないでしょうか? 乳腺外科での画像診断をされて確認していただくのがよいでしょう。(文責 鈴木)

 

No.4712-1】 05年12月05日     S.M.
早期発見について

56才既婚。健康診断で異常(7mm)有りとの事で、乳腺外科を受診致しました。マンモグラフィでは異常が無く、超音波も5mmの水溜り(?)との事でした。6ヶ月後に再検査し、変化無しでしたが、念の為の乳房穿刺(超音波)の結果、悪性でした。その後、採血・採尿・胸部撮影・心電図・乳房撮影・表在リンパ節の超音波・再度乳房の超音波・骨シンチ・腹部超音波の検査結果は全て良好でした。喜ぶべき事とは存じますが、現在もマンモには撮らず、超音波結果も4mmに縮小(針で抜いた為?!)との事でした。年内に温存術(センチネルリンパ節生検)が決まっています。極小さくても、切除以外に方法は無いのでしょうか? 又、針生検は100%では無いとの書き込みもあり、大変不安です。皆様の事を思いますと贅沢な質問で申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。

残念ながら、どんなに小さくても、現在では手術以外に方法はありません。一部の施設で、超音波でみながら、電極を腫瘍に注入し、灼いてしまう治療法を試験的に行っていますが、まだ研究段階です。確かに、細胞診、組織診は100%でないこともあります。当初、水たまり(嚢胞)ということであれば、ごく初期の非浸潤癌である可能性もありますので、事前に局所麻酔で腫瘍を切除し、病理検査を行い、非浸潤癌であれば、腋窩のリンパ節に手を加える必要はありません。その病理結果が浸潤癌であれば、追加切除、センチネルリンパ節生検が通常の治療法かと思います。(文責 鈴木)

 

No.4712-2】 05年12月13日     S.M.
早期発見その後

No.4712でご回答頂きましてありがとうございました。MRIが終わり手術日が近付いて参りましたが、先日お教え頂きました様に、「腫瘍のみの切除で病理検査結果を待ってから・・ということが可能ですか?」と提案致しました所、「希望であればやりますが、@腫瘍の切除によって周りの細胞が壊れる可能性が高いので正しい判断ができなくなる。術中に病理検査は出来ない(癌専門センターです)。 A結果が後日再手術になった場合、センチネルリンパ節生検は不可能 BMRIの結果4mmの1.5cm隣に3mmの腫瘍らしきものがあるので、それも含めて切除したほうが良い。 C加えて、最初の針生検はクラス5ですよ!」との事でした。又、非浸潤癌であっても大き目の切除とセンチネルリンパ節生検が当然の様で、No.4712で通常の治療法と伺った方法が出来ない、又は避けた方が良い理由がよく理解できません。予定を組んで頂いている今、予定通りの手術を御願いするべきでしょうか? 又、その場合、変形は止むを得ないと思いますが、どの位の傷になるのでしょうか? 気が変わったら言って下さいとの事でしたが、判断が出来ません。現在早期発見に対する治療法はあまり重要視されていない様に感じてしまうのですが、是非ご判断頂けます様よろしく御願い致します。

通常の治療法とは何か? その患者さんにとって一番良い治療法が通常の治療法であるべきなのですが、現実的にはその病院の事情が複雑に絡んで治療法が決まるのです。例えば癌専門病院のように患者さんが多く後がつかえていれば、なんとか入院期間を短く無駄な手間を省き効率よく治療しようとします。それ自体間違いでは有りませんが、ひとつひとつ確認してから治療を受けたいという患者さんのニーズとは少し異なってきます。でも主人公は患者さんですから、ご自分の納得のいく方法を主治医の先生と相談して決めてください。主治医の先生がおっしゃる予定通りの手術というのは、前回のMailからは乳房温存+センチネルリンパ節生検(SLNB)だと思いますが、決して悪い選択ではないと思います。確かに、最初に病巣だけを切除して病理結果をみて、非浸潤癌であれば腋窩をいじらないという方法も有りますが、非浸潤癌であってもSLNBの侵襲は小さいのでSLNBは行った方が良いという意見も有ります。また、切除生検をするとSLNの同定率は低くなります(不可能ではありません)。その辺を考慮すると、乳房温存+SLNBは妥当な選択肢だと思います。“早期発見に対する治療法が重要視されていない”というのは誤解です。乳癌を早期発見すれば小さい手術でよく、進行した場合の手術が大きくなると考えるのが分かりやすいかもしれませんが、実は間違いで本当は逆です。乳癌は全身病だといわれています。ですから、浸潤癌の場合、手術は大きくても小さくても結果(全身再発、死亡の確率)が同じなので手術が小さくなってきたのです。しかし、早期ガン(非浸潤癌)でまだ全身病になっていないと判断されれば、逆に手術で原発巣をしっかり切除することが大事になってくるので、手術が大きくなるのです。そうすることで、全身の再発だけでなく、乳房温存療法の欠点である乳房内再発も防ぐことができるのです。わかって頂けるでしょうか?(文責 清水)

 

No.4712-3】 06年09月20日     S.M.
補助療法について

HPNo.4712で相談させて頂き、有難うございました。1月に温存手術を受けました(58才・閉経後)。充実線管癌、ER:−、PgR:− 、HER2:3+ 、MG3、センチネルリンパ節転移−で2ケ切除。切除の際、腫瘍際が残ったとの事で、放射線照射は30回・計60Gy受けました。その際主治医は「他の病院に行けば化学療法を薦められるでしょうが、私は3mmの腫瘍で再発は聞いたことが無いので様子を見ましょう。」との診断でした。先日(7/末)の採血・胸部X線・超音波 の結果は異常無しでした。現在も、乳房に少々の腫れと痛みがあり、術後何年かは続くものと覚悟していますが、このまま6〜12ヶ月の検診を続けるだけで良いのでしょうか? MG3は最も再発し易く悪性と聞きましたが、化学療法をしなくて大丈夫でしょうか? なるべく確率の低い事はしたくありませんが、私の場合の生存率、適した化学療法、又その必要性についてお教え頂きたく、よろしく御願い申し上げます。

HG3,HER2 3+ですが、腫瘍径が3mmであれば10年の生存率は、95%以上と考えます。したがって、化学療法は標準的ではありません。(文責 徳田)

 

No.4711】 05年12月05日     Y・M
リンパ節転移について

初めてご相談させていただきます。2年前に温存手術を受けました。腫瘍径2.5センチでしたが、周囲にもガン細胞が見つかり、7.5センチの摘出となり、かなり変形して固くなっています。リンパ節16個中10個に転移あり。核異型度3、ステージUB。放射線30回受け、その後CEF6クール受けました。ホルモン感受性は1つはマイナス、1つはプラスではないがマイナスでもないということで、アリミデックスを飲んでいましたが、今年夏ごろより右腕がリンパ浮腫を起こし、鎖骨下にしこりを見つけました。8月に肺と肝臓のCT、骨シンチ、血液検査の結果、異常なしということで、結局しこりはそのままになりました。その後患側の乳房に索条の発赤と痛みが出て、皮膚科でモンゴール病と診断されました。腕のリンパ浮腫は悪化はしていないのですが、痛みが出ています。11月になってからペット検査を受け、両鎖骨上〜腋リンパ節転移、両胸骨傍リンパ節転移、縦隔転移という診断を受けました。再来週からタキソール治療を受けることになりました。お聞きしたいのは、このタキソール治療(3週続けて1週休)が標準治療でよいのでしょうか。夏の時点で超音波やペットを受けていたら、もっと早く治療が開始されたと思うのですが、遅すぎるということはないでしょうか。痛みをいつも感じています。この痛みは転移によるものでしょうか。抗ガン剤治療とは別に治療をした方がいいのでしょうか。主治医の先生には痛みを訴えるのですが、痛みどめを出してくださるだけで、あまり相談に乗ってもらえないのです。よろしくお願いいたします。

治療法に大きな間違いは無いように思いますが、Herceptestの結果によっては、ハーセプチンという薬も適応になると思いますのでご確認下さい。HER2という癌細胞の持っている特殊なタンパク質で、これを調べる方法がHerceptestです。手術時に施行しているはずですので、主治医にご確認下さい。このタンパク質の働きをおさえる薬がハーセプチンです。もし、持っていることがわかれば、ハーセプチンとタキソールの併用療法が効果の高い治療法になります。現在、再発部位はリンパ節だけですので、ホルモン剤を変えてしばらく経過観察という考えもあるかと思いますが、術後2年ですので、ホルモン剤の効果は乏しいでしょう。タキソールの毎週投与という選択は良いと思います。夏に検査を受けたら・・・ということですが、超音波では特に異常がなかったのでしょうか? もし、超音波で異常がないのであれば、その時点で、病気の発見は難しかったかもしれません。早期に治療すれば、小さいうちですので、抗癌剤も効きやすい傾向にありますが、これからの治療をしっかりうけて、少しでも良い方向に向くことを願っております。
抗癌剤治療以外では、局所の放射線も効果があるかもしれません。ただ、術後に鎖骨上、鎖骨下、胸骨周囲も放射線をかけているでしょうから、照射範囲が重なるようですと、照射は難しいことになります。照射していないのであれば、選択肢です。言い方はきつくなりますが、局所のリンパ節ですが、やはり全身再発の一部ですので、局所の放射線照射でにごすのではなく、化学療法を主体にすることがよいでしょう。ご自身の出来ることは、身体は動かし、くよくよせず、前向きに生活するということです。頑張って下さい。(文責 鈴木)

 

No.4710】 05年12月05日     eco
病理組織診断報告書について

初期乳癌の術後感染の質問の折には、ご丁寧なご回答を頂きましてありがとうございました。現在本人(私の母/70歳)は退院し、胸からバックを下げ浸出液を抜きながら外来通院で過ごしております。さて、今回お聞きしたいのは「病理組織診断報告書」の内容についてです。所見を読みましても我々素人では専門用語を理解する事が困難です。どういった事が書かれているのかをもっと簡単に教えて頂けたらと思い、またこちらにメールを致しました。ご多忙中とは存じますが宜しくお願い致します。

【所見】
検体は部分切除で採取された9.2x4.4x3.2cm大の左乳腺B領域、3x0.7cm大の紡錐形の皮膚が切除されている。割面に既割された1x0.6cm大の乳白色、充実性の腫瘍が認められる。組織学的には腫瘍は充実腺管癌、癌の浸潤は乳腺脂肪組織に達している。皮膚への癌の浸潤は認められない。癌のリンパ管および静脈浸襲像は明らかではない。♯4の裏面に癌の浸潤が認められ、乳頭側断瑞陽性である。センチネルリンパ節に癌の転移はない。(0/2) Histological grading(遵ホottingham method):細胞分裂像は1/10HPF(1point)、腺管形成は認められない(3point)
核異型は中程度(2point)、合計6pointでgrade2に相当。免疫組織化学的に腫瘍細胞はER(+),PR(+),Hercep Test score 1+。

以上です。

これに関しては、主治医によく説明して頂いたほうが、わかりやすいように思います・・・。わかりやすく説明すれば、10x6mm大の乳癌で、充実腺管癌という組織像です。周囲の脂肪組織に癌は浸潤している。癌の周囲にあるリンパ管、血管への癌細胞の浸潤は認めないということですが、乳首側の切り口に腫瘍細胞が露出しているようです。Histological gradeは細胞の顔つきでgrade1-3に分類し、3の方が悪い事になります。これは、細胞分裂像、腺管形成、核異型の三つの因子で判定します。ER、PgRはホルモン受容体の有無を示しています。女性ホルモンの働きを抑えるような治療が効きやすい乳癌であるということになります。Herceptestは癌細胞がもっている、特殊のタンパク質をしらべる方法で、1+ですので、そのタンパク質は殆ど持っていないということになります。今一度、主治医に説明していただいた方が良いと思います。(文責 鈴木)

 

No.4709】 05年12月05日     H・M
乳癌再発予防と子宮筋腫について(HPNo.4265-2)

HPNo.4265、4278では有難うございました。9ー11月に生理が1ヵ月続き、大出血も2度あり、婦人科で子宮鏡、MRIをうけた所、癌は無いものの、粘膜下筋腫、筋巣内筋腫が複数個あることが判明し、ホルモン剤の影響もあり、出血を繰り返すのだろうと、子宮と卵巣の全摘出を勧められています。卵巣全摘後の更年期症状に乳癌患者はHRTはできないし、その際どうするのか不安があります。かといって卵巣を残すのは女性ホルモンで乳癌の再発を促し、出血も続き筋腫も増大するから考えにくいと、主治医も婦人科医も同意見です。手術する、しないのメリット、デメリットを考え、思い悩みます。閉経まで手術なしでガマンしていくのはムズカシイことなのでしょうか?長くなり、申し訳ありません。

手術時に閉経前であれば、ゾラデックス、リュープリンという注射剤で生理を止める薬剤と、タスオミン(タモキシフェン)の内服を併用するという選択肢もあるかと思います。そうすれば、閉経状態になりますので、筋腫に関しては縮小傾向になると思います。今からでも遅く無いと思いますが・・・。ただ、更年期症状の出現がありますので、その際にHRTをどうするか・・・ということになります。更年期症状に関しては一部の漢方療法も行われていますし、考えてみてはどうでしょう。(文責 鈴木)

 

No.4708】 05年12月05日     A.U.  
乳首のかゆみについて

始めまして。サイトを見てメールをします。お答え頂けると嬉しいです。過去ログでも同じ様な質問が有るのですが、乳首のかゆみについての質問です。今まで少し痒くなった事はあったものの、今回は酷く、皮が剥けたり(かさぶたっぽいです)少し切れてしまいました。また、2ヶ月ほど前なのですが、脇にしこりができ、赤く腫れて痛く、1週間ほどで消え、また違う場所にできを1ヶ月くらい繰り返しました(今はありません。両脇に出ました)。最近乳がんのサイトを見て、脇の下のしこりと乳首のかゆみの事も書いてあり、不安になってメール致しました。たくさん相談があり、お忙しいとは思いますが、お答え頂けると嬉しいです。

乳首の痒みに関しては、あまり心配ないことが多いようです。分泌物が少し出たり、粘膜が乾燥気味になったりして起こっているのではないでしょうか? 一度、乳腺外科の受診をされてはどうでしょう。脇のしこりも赤く腫れてということなので、何か炎症を起こしたのでしょう。これも乳癌とは関係ないと考えます。(文責 鈴木)

 

No.4707】 05年12月05日     H
放射線治療の副作用

いつも参考にさせていただいております。先生方には感謝しております。非浸潤癌で、9月に放射線治療が終了した者です。放射線治療の副作用の「肋骨骨折」について質問いたします。日常生活で重い荷物を持ち上げるなどの何かの負荷がかかると、骨折したり、骨が炎症をおこし痛みが出ることがあるのでしょうか? 先生の診療経験からはいかがでしょうか? 日常生活で骨に負担がかからないよう一生注意しなければならないのでしょうか? 今患側の肋骨が痛く、咳をするたびに激痛がはしります。思いあたる原因は、風邪で激しい咳をし続けたことと、少し重い荷物を上げ下ろしたことです。乳腺外科、放射線科、整形外科のどちらに受診したらよいのでしょうか? それとも受診せず様子をみても大丈夫でしょうか? ご回答よろしくお願いいたします。

放射線で骨が脆くなることはあまり聞きません。放射線照射も、できるだけ他の臓器に影響がでないように、接線方向に照射します。直接の放射線の影響は殆ど考えられないと思います。おそらく、風邪で激しい咳をしたことが原因であると考えます。乳腺外科の主治医に相談の上、整形外科の診察を受けるのが良いのではないでしょうか?(文責鈴木)

 

No.4706】 05年12月05日     まろん
肝臓転移他についての今後の治療法

45歳の本人です(子供3人)。1999年12月右側温存。リンパ転移1個。2005年1月より肝臓転移5cm以上、肺転移1.5cm、リンパ節転移(1個)のため、ハーセプチン(毎週80ml)+タキソール(3投1休)を行っています。なぜ5年間分からなかったかといいますと、腫瘍マーカーがCEAは1.85以下(一番高い2005.1月)、CA15-3は27(一番高い2005.1月)、現在もマーカーは低いです。CTと骨シンチは5年ぶりでした。4、6月とCT検査で肝臓のみ2cm。他は消えている?(表現がおかしいかな?) 9月エコー検査結果、肝臓も消えている。現在の治療は続行中。私は現在も常勤で働いており、副作用はありません。脱毛はありましたので、かつらですが・・・。主治医は現在の治療を途中で止めるつもりはないような言い方をします。次の治療法が私にはないようないい方もします。仕事も10年後なんて夢の世界で、5年が過ぎれば御の字のような・・・。ここで質問です。
1) 転移とは予後がかなり悪いのでしょうか?
2) タキソールは「薬剤耐性」ができてしまうと聞いたのでハーセプチンのみしたいのですが、無理なのでしょうか。
3) 次の抗がん剤は)ないのでしょうか?

文章が下手ですみません。よろしくお願いします。

転移、再発は、完治するのは難しいので、症状のないように、少しでもつらいところが取れるように、抗癌剤などの治療を行います。ただ、病気が消えて無くなってしまう方も、たくさんいらっしゃいます。ご本人の考え方にもよりますので、治療は無理強いできるものではありませんし、抗癌剤の治療の辛さはご本人が一番感じていらっしゃるところだと思います。幸い、現在の治療が効いているようですので、継続されるのが一番だと思います。ハーセプチン単独より、抗癌剤の併用の方が効果の高いことは明らかですので、薬剤耐性のことを考えるより、タキソールは併用で続けていた方が良いと思います。タキソールがだめでも、次の併用薬剤は種類がありますので、あきらめずに治療を継続して下さい。(文責 鈴木)

 

No.4705】 05年12月05日     K.W. 
タキサン系の追加について

いつも参考にさせていただいております。早速ですが、術後補助療法としてFEC4クール後タキソールウイークー12回を希望しておりますが、主治医が、「病理結果からFEC6クールで十分。タキソールのメリットはない。」とおっしゃり、迷っています。

病理結果: 腫瘍浸潤部 0.6X0.5、センチネルリンパ節に1個転移有り(13個中)、ly、v共に−、乳管内浸潤+、ホルモン受容体 ER+90% PGR−5%、硬がん HER2 2+ FISH(−)、悪性度1、ステージUA

中間リスクでありますが、最強の再発予防の治療を受けたいと思っています。主治医は「僕はリンパ節転移3個以上の患者にはタキサンを勧める。」と言うのです。リンパ節の個数はそれほど重要なのでしょうか? あるとないでは違いはわかりますが、転移していたのですから、強力な治療を積極的にしたいのです。私の病理結果からタキソールを追加するメリットはないのでしょうか? 現在FEC3クール目ですが、白血球減少、脱毛以外の副作用はなく元気に生活しています。再発転移リスクを減らすベストの方法を教えてください。また、再発率はゼロにはなりませんが、私の場合何%くらいになるのでしょうか。

術後補助療法で最も強力なのはアドリアマイシン、エピルビシンといったアンスラサイクリンを含む多剤併用療法であることはしっかりとしたデータがあります、そのメニューはFEC、FAC、AC、ECなどと様々で、Fを追加することはあまり意味がないとか、いや同等、それ以上の効果だとか、確立したデータがありません。ただ、ひとつ大きな試験で、AC4サイクルに、タキソールを加えるか、加えないかの検証がなされましたが、これはタキソールを加えた方が明らかに高い再発予防効果がありますので、FEC、FAC・・・などのメニューはさておき、タキソールを加えた方が、より高い効果が期待できるはずです。リンパ節転移の個数は重要な要素で、4個以上になると予後も悪くなり、中間リスクからhigh riskになります。補助療法での最強治療はアンスラサイクリンとタキサンの併用療法(それも先にアンスラサイクリン、終了後にタキサン)です。よって、FEC6サイクルより、タキサンを加えた方が、ご本人の要望にも当てはまるのではないでしょうか?(文責 鈴木)

 

No.4704】 05年12月05日     M
術後のホルモン療法について

ホルモン療法について、重複してしまうかと思いますが質問させていただきます。術前の化学療法後、先日温存手術を受け、病理の結果リンパ節転移1個、悪性度2、ホルモンレセプター+でした。年齢は37歳です。今後は放射線とホルモン療法となり、タモキシフェンを5年ということです。ゾラデックスについては、術前の抗がん剤により現在生理も止まっているので、とりあえず必要ないと言われました。一般的にはゾラデックス+タモキシフェンの治療だということなので、不安に思うのですが、ゾラデックスの必要性について、ご意見をお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いいたします。

抗癌剤により閉経された場合、ゾラデックスの投与に関しては必要という意見と、必要ないという意見があり、どちらもはっきりとしたデータがありません。採血で、女性ホルモンのレベルを検査して、閉経前レベルであれば、ゾラデックスの投与が必要となります。生理のあるなしでなく、採血を行うのも判断材料になります。蛇足ですが、生理を止める薬としては、リュープリンという薬剤(ゾラデックスと同じ作用機序)もあり、こちらは、1ヶ月に1回、もしくは3ヶ月に1回の投与です。3ヶ月製剤ですと、ゾラデックスを毎月投与するより、最終的には費用の面で、やすく済むというメリットがあります。(文責 鈴木)

 

No.4703】 05年12月05日     Y.H
微細石灰化について

40歳になり、乳がん検診の為、初めてマンモグラフィを受けたのですが、左胸に石灰化があるということで、「左微細円型石灰化区域性、カテゴリ3、良性、しかし悪性を否定できない、乳腺腫瘤、腋窩リンパ節 触知せず。乳頭異常分泌なし」と判断されました。同じ日、エコーを取ると、石灰化は写らず。2週間後、エコーを見ながら針をさして組織を調べようとしたが、エコーに写らず、何もせずに帰りました。今後の方針として、「マンモトームにより組織を調べる必要があるか?この方法はかなり体に負担がかかるし、MIRという方法もあるが・・・考えましょう。2週間後に来て下さい」とのこと。だが2.3日して胸の辺りが痛くなり、1週間後に受診。「胸の痛みは、石化化とは関係ないでしょう。癌の場合、痛みを伴うことは少ない。気にしすぎです。1週間前のエコーを見る限り心配ない」と言って、何も見てくれませでした。先生は、今後の方針として、「3ヵ月後にエコー撮ってみて変化を見ましょう。そこで何もなければ、また3ヵ月後にマンモグラフィを撮ってみましょう。」と言うことでした。癌家系の我が家、癌の可能性は高いのか心配で相談しました。10日ほどたちますが、今だに胸の痛みも取れません。どうか宜しくお願いします。

胸の痛みは石灰化とは関係ないと思います。精神的な要素が大きいと思います。診断の順序として、良悪性の区別が難しい石灰化に対しては、超音波で石灰化を探して、その部分を細胞診、マンモトーム(超音波下)、それで診断つかない、もしくは、超音波で石灰化がはっきりしないときには、マンモグラフィ施行下のマンモトームを行います。これで石灰化病変の殆どは診断がつくはずです。MRIでは、病変の存在はわかっても、それが良性なのか、悪性なのかは区別がつきませんので、細胞検査、組織検査が必須となります。時に、マンモトームを行うほどではないような症例は、3ヶ月後に経過観察のために再びマンモグラフィ、超音波を行って変化をみることはあります。(文責 鈴木)

 

No.4702】 05年12月05日     S.M.
石灰化影

職場の健康診断でマンモグラフィを受けたところ、石灰化影があるとの通知があり、乳腺外科で二回、診察を受けました。一回目は触診、エコー、穿刺吸引細胞診(?)、マンモグラフィを再度とり、昨日二回めの診察を受け、医師の話では、「乳房を四分の一と乳首も少しとる」と言われました。その後マンモトームもしました。石灰化影がでると必ず非浸潤がんなのでしょうか? 乳腺症の可能性はないのでしょうか?

穿刺吸引細胞診で乳癌の確定がされたのでしょうか?そうであれば、手術が必要となり、術式も考えなくてはいけませんが・・・マンモトームは、手術の説明がされた後に行ったのでしょうか? 通常は、細胞診、それで診断つかない場合や、超音波ではっきりと所見が得られず、マンモグラフィのみ所見が有る場合は、マンモトームとなるかと思います。なんとなく、順序が逆のような気もするのですが・・・。石灰化は良性でも起こりますし、ご指摘の乳腺症でも癌との区別が難しい石灰化は起こります。乳癌の確定がされたのでしょうか?(文責 鈴木)

 

No.4701】 05年12月04日     M.K. 
肋骨の影について

乳がんになり二年目となりました。Ua、リンパ転移なしでしたが、今回の検査で肋骨の第4、5、6、7に淡い影ありとのことでした。カルテには、外傷性の可能性が高いと書いてありましたが・・・。担当医は、再検査は来年の五月に何て・・・、つながって影があるかららしいのですが、心配でしかたありません。9月頃、同じ部分が一ヶ月近く痛かったんです。早めに受診したほうが良いでしょうか。

骨シンチだけでの判断は難しいので、MRI、レントゲン写真と総合的に判断するとよいと思います。途中、痛みがその部分に集中するのであれば、検査を早めてもらってはいかがでしょうか?(文責 鈴木)

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