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相談室(No.4301〜4400)

このページは乳がんに関 する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。

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なお治療法は、患者さんと主治医がご相談されて決定されるものであり、この相談室でお答えできるのは、一般的な参考意見であることをご了解下さい。

当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

目 次

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No

日 付

名 前

件  名

担 当

4400 05/09/17 yuka タキサン+ハーセプチンについて 徳田
4399 05/09/15 K 第4期乳がんの治療について 徳田
4398 05/09/15 M.W. 術後経過と内分泌療法について 徳田
4397 05/09/15 H   マンモグラフィについて 徳田
4396 05/09/15 Y.Y 石灰化について 徳田
4395 05/09/15 M.S. 右胸乳頭先端からの分泌 徳田
4394 05/09/14 ステージWの治療について  千島
4393 05/09/14 Y.T. 術後の治療と腫瘍マーカーについて(HPNo.4178-3) 千島
4392 05/09/14 Y.N.  乳がんでしょうか? 徳田
4391 05/09/14 H 粘液癌について(HPNo.4271-2) 徳田
4390 05/09/14 K.K ホルモン療法の副作用について 徳田
4389 05/09/14 K   転移した乳癌の治療法について 徳田
4388 05/09/14 JJ 経過観察(HPNo.4294-3) 徳田
4387 05/09/14 SN 術後の病理の結果について 徳田
4386 05/09/14 T.M.  妊娠中のガンの進行について 徳田
4385 05/09/14 N.Y. 乳頭から出血について 徳田
4384-1
4384-2
05/09/14
05/09/18
N 術後療法について
術後療法について(2)
徳田
徳田
4383 05/09/13 M.A. 乳管内乳頭腫について 千島
4382 05/09/13 S  母の術後経過について 千島
4381 05/09/13 M  ホルモン療法について 千島
4380 05/09/13 Y.I. 細胞診は必要ですか? 千島
4379 05/09/13 N.F.  母の乳癌治療について 千島
4378-1
4378-2
05/09/13
05/09/15
M.N. 術後の経過について
術後の経過について(2)
千島
徳田
4377 05/09/13 術前化学療法、投与量の変更について 千島
4376 05/09/11 N.T. 乳管内乳頭腫切除しましたが・・・ 千島
4375 05/09/11 Y.U.  アリミデックスの副作用について 千島
4374 05/09/11 A アリミデックスについて 千島
4373 05/09/11 Y.K. 62 歳の母について 千島
4372-1
4372-2

4372-3
4372-4
4372-5
4372-6
4372-7
05/09/11
05/11/04
05/11/06
05/11/20
06/01/01
06/02/24
06/06/12
B  手術を受けるべきか迷っています
術後に分かった針生検の影響と今後の治療について
放射線治療とホルモン治療について
抗癌剤について
リュープリンについて
腫瘍マーカー上昇
フェマーラへの変更について
千島
石山
石山
石川

麻賀
西川
4371 05/09/11 N.K 腹水が溜まるとどうなるのですか? 千島
4370 05/09/11 Y  左胸乳輪の痒み 千島
4369 05/09/11 S 病理組織診について(HPNo.4239-2) 千島
4368 05/09/11 SU  組織診をすることになりました 千島
4367 05/09/11 N.A. ノルバデックスについて 千島
4366 05/09/11 Y.T. 外科的生検の不安 千島
4365-1
4365-2

4365-3
4365-4
05/09/11
05/10/30
05/11/20
06/05/31
乳がん告知から手術までの間について
補助療法について
肺の影について
放射線治療について
千島
片山
石川
浜口
4364 05/09/11 M・M 経口抗癌剤について(HPNo.4287-2) 千島
4363 05/09/10 A,Y 乳房のしこりについて 千島
4362 05/09/10 腫瘍マーカーの値について 千島
4361 05/09/10 M.T. 細胞診の結果について 千島
4360 05/09/10 H.S. ゾラデックスについて 千島
4359 05/09/06 K 悪性腫瘍禁忌について 俵矢
4358 05/09/06 K  しこりを切除しましたが… 俵矢
4357 05/09/06 OK 石灰化について 俵矢
4356 05/09/04 手術時につけたクリップについて 俵矢
4355 05/09/04 Y  アリミデックス服用による肝機能障害 俵矢
4354-1
4354-2

4354-3
4354-4
05/09/04
05/09/10
05/09/17
05/10/29
IH 検査結果による再発率について
検査結果による再発率について(2)
術後の治療法について
手術後の治療方法について
俵矢
千島
徳田
片山
4353 05/09/04 KO 細胞診をした後の症状について 俵矢
4352 05/09/04 N.N 細胞診で悪性と言われました 俵矢
4351 05/09/04 N  左胸の痛みについて 俵矢
4350-1
4350-2

4350-3
05/09/04
05/10/26
05/12/25
S.A 術後の化学療法について
喉の痛み、口腔内の違和感について
脇の下の変化及び血管炎について
俵矢
片山
須田
4349 05/09/04 J.J. 経過観察、1年前との比較(HPNo.4294-2) 俵矢
4348 05/09/02 JD 抗がん剤の副作用とデパス錠 俵矢
4347-1
4347-2
05/09/02
05/09/06
この補助療法は適していますか?
補助療法について(2)
俵矢
俵矢
4346 05/09/02 A.O.  外科的生検後の胸の変形について(HPNo.4187-2) 俵矢
4345 05/09/02 Y  妊娠中のマンモグラフィー撮影について 俵矢
4344 05/09/02 E.H. 乳首周りの痛みや痒み等について 俵矢
4343-1
4343-2
05/09/02
05/09/10
「多分乳癌です」と言われました
針生検
俵矢
千島
4342 05/09/02 S   乳管乳頭腫 俵矢
4341 05/09/02 K  リンパ腺の石灰化 俵矢
4340 05/08/31 Y.F. 血性乳頭分泌 俵矢
4339 05/08/31 M  乳頭からの分泌物 俵矢
4338 05/08/31 MY 食道に転移することがありますか? 俵矢
4337 05/08/31 A.U. 術後治療法の順番について 俵矢
4336-1
4336-2
05/08/31
05/09/06
N  放射線腺内照射、その他について
病理検査結果について

俵矢
4335 05/08/31 Y.M. 胸の痛みとしこり
4334 05/08/31 Y.K.  粘液癌の再発治療について
4333 05/08/31 N.M. 検診で乳腺内微細石灰化と言われました
4332-1
4332-2

4332-3
05/08/31
05/10/24
05/10/29
S.S 化学療法(CEF)について
タキソールの投与間隔について
脳転移について

清水
片山
4331 05/08/31 Paget病について
4330 05/08/29 N  術後の化学療法について
4329-1
4329-2
05/08/29
05/09/18
K・T 乳癌の手術について
ラジオ波での治療について

徳田
4328-1
4328-2
05/08/29
05/09/02
F  乳癌検診について
再建手術について

俵矢
4327 05/08/29 T.N. 手術後の治療法について
4326 05/08/29 N.K.  ゾラのみで良いのでしょうか?
4325 05/08/28 T   乳管内乳頭腫でしょうか?
4324 05/08/28 T.H. 乳頭からの分泌液
4323 05/08/28 S.K しこりについて
4322 05/08/28 N.F  乳頭分泌について
4321 05/08/28 半年後(HPNo.3642-3)
4320 05/08/28 M.I. 乳頭の膿
4319-1
4319-2
05/08/28
05/12/30
N.T 今後の治療について
転移の可能性について

須田
4318-1
4318-2
05/08/28
05/09/02
M  しこりの細胞診の結果
抗ガン剤、手術前か手術後か?

俵矢
4317 05/08/28 R.M. パジェット病の不安と乳腺線維腺腫
4316 05/08/28 T.S 再発について
4315-1
4315-2

4315-3
05/08/28
05/09/13
06/03/31
M.T. 再発・転移への不安
術後の治療に対する質問
右手のしびれ

千島
片山
4314 05/08/28 M.Y. 術後の治療について
4313 05/08/28 K  再発・転移の可能性(HPNo.4122-3)
4312 05/08/28 F.Y. 病院名について
4311 05/08/28 K.D. 細胞診検査結果待ち
4310-1
4310-2
05/08/25
05/10/12
KY 卵巣保護について 
ホルモン療法について
須田
吉田
4309 05/08/25 H・K 食事について 須田
4308 05/08/25 HNひろ ゼローダについてお尋ねします 須田
4307 05/08/24 Y・K かゆみについて
4306-1
4306-2
05/08/24
05/08/31
K.N. 術前化学療法の効果について
術前化学療法の効果について(2)

4305 05/08/24 K.K. 新しいザレクトガレンのリスク分類について
4304 05/08/24 乳癌の皮膚転移について
4303 05/08/24 Y.S. 血性乳頭分泌&痛み
4302 05/08/24 A.O. ホルモン治療との併用は? 須田
4301 05/08/24 Y.W. 「マンモトームで再検査」の意味 須田

 

 

No.4400】 05年09月17日    yuka
タキサン+ハーセプチンについて

以前も(4ヶ月ほど前)書き込みさせていただいたものです。52歳女性、閉経は48歳です。10年ほど前からのしこり(乳腺炎を放置したものと考えます)が1年半ほど前から痛み出し、硬くなってきました。今年2月ごろから乳頭を引き込むような形で乳りんの周りに浸潤が見られました。そこで今年4月に乳腺専門医の先生のところに受診し、乳がんと診断されました。原発の大きさは4〜5cm、リンパ節転移は触診上軽く触れる、MRI・エコーでは確認できない、CT上淡く移っているかもしれないという状態でした。コアニードルでの生検で、ER(+)、PgR(+)、HER2(3+)でした。5月のはじめからACを4クールしましたところ、原発4〜5cmであったのが1cm弱、リンパ節は触診上ほとんどふれず、CTでも前写っていた淡い影も消えていました。そこで質問ですが、このあと、もう十分大きさが減ったので手術をするべきか、それともタキサン+ハーセプチンの化学療法を4ヶ月やってから手術をするべきかで迷っています。ハーセプチンが保険適応外であることは承知しておりますので、その点は大丈夫なのですが、心配なのは先に手術をするより化学療法をすることによって発生するかもしれないデメリットです。化学療法中にせっかく小さくなったものが、また大きくなったり、重篤な副作用が出たりということは考えられるのでしょうか?再発率をできるだけ低くしておきたいと考えています。どうぞお考えをお聞かせください。よろしくお願いします。

術後に行う化学療法と同じものを術前に行っても、予後は変わらないということが示されているので、術前化学療法が行われるようになりました。それを、効果がでたから、途中でやめることでもよいのかどうかは、根拠がありません。また、術後の補助療法での成績から、タキサン+ハーセプチンは、タキサン単独より有効と考えます。ただし、心毒性が増加する可能性がありますので、心臓の機能は定期的に調べる必要があります。(文責 徳田)

 

No.4399】 05年09月15日    K
第4期乳がんの治療について

第4期乳がんの治療中です。初めてお便りします。51才の主婦です。第4期左乳がんの治療中です。エコー、マンモグラフィ、細胞診、肺のCTスキャンにより、3cm大の腫瘍が認められ、浸潤性乳管がんで肺に遠隔転移と診断されました。ホルモンの感受性はなく、HER2が陽性が陰性かは、恐くてまだ聞いておりません。7月から抗がん剤治療をはじめています。CEFを2週間投与し、2週間休みの4週間1サイクルで、6回の予定です。現在、2サイクル終了しました。7月1回目の抗癌剤投与時より、乳房全体が赤くなり、痛みと痒みが続いています。左の脇下から上腕まで網状に赤くなっており、左手のむくみが出てきました。1回目の投与時はせきとタンが軽減しましたが、2回目の投与後、タンがからんで、咳がひどくなった気がします。9月10日より熱が38度6分あり、12日まで続きました。現在37度4分程度です。ウィルス性のカゼと診断され、解熱剤(ロキソニン)を飲んでいます。タンを出すためにせきがひどく続き、右肺の後ろから腰にかけて痛みがあります。息苦しくて、少しだけ動いても呼吸をするのがどんどん辛くなって来ました。9月14日は3サイクル目の投与の始まる日でしたが、熱で延期になりました。主治医は3サイクルしてから検査し、効きが不足の場合は、処方を変えると言われております。抗がん剤は効いていると考えられるでしょうか? 息苦しいのは、肺の転移が進行しているのではないかと、心配しています。このまま3回目を続けても効果があるのか否か疑問を持っております。続けている間も進行して、肝臓や骨に転移しないか心配です。3サイクルが終了するまで効果が分からないものでしょうか? 頼んででも早めにしてもらった方がいいのか、ご意見をお願いします。

治療効果については、肺の転移は、CTスキャンでないと分からないかもしれませんが、原発巣は、触ってみればわかると思います。大きくなっていれば、効果がないということになります。乳房全体が赤くなったり、腕のむくみなど、病勢が進行しているように思われます。早めに評価して、進行していれば治療薬を変更すべきです。(文責 徳田)

 

No.4398】 05年09月15日    M.W. 
術後経過と内分泌療法について

30歳主婦です。今年2月に手術をし、その後、抗がん剤・放射線治療を行い、現在はゾラデックス+ノルバデックスによる内分泌療法を行っています。通常、閉経後の人にはアリミデックス等を使うようですが、ゾラデックスで閉経させている場合には、アリミデックスではなくノルバデックスで良いのでしょうか? それと、術後7ヶ月経ちましたが、時々胸や肋骨付近が痛みます。触ってみても、触れるものはありません。それは手術をすれば仕方の無い痛みなのでしょうか? 1ヶ月前の診察のときは、異常はありませんでした。よろしくお願いします。

ゾラデックス+ノルバデックスが標準です。ゾラデックス+アリミデックスのほうが良いという根拠はありません。手術創の痛みは、長く続きます。手術創との位置関係がよくわかりませんので、ご心配なら、予定外でも主治医の診察をうけましょう。(文責 徳田)

 

No.4397】 05年09月15日    H 
マンモグラフィについて

41歳既婚、子供1人です。BMI18、東京在住。先日人間ドックの乳房超音波検査で、「右乳腺腫瘤の疑いー乳腺外来で精密検査(マンモグラフィ等)を受けて下さい」と言われました。腫瘤は1cm未満のかなり小さいものらしいです。早速、某国立病院の乳腺外来でマンモグラフィを受けました。結果は何にも映っていないと言われ、後日超音波検査をするという事でした。超音波に疑いが認められても、マンモに全く何にもうつらないという事はあるのでしょうか? レントゲンの写し方等の問題なのでしょうか? それから次の超音波検査まで3週間近くあるのですが、大丈夫でしょうか? ドックは毎年同じ時期に同じ所で受けていますが、去年までは全く問題なしでした。検査までに時間がある事もあり、不安感が強まるばかりです。

超音波で見えても、マンモグラフィで見えないことはよくあります。もともと質の違う検査法ですので、そういうことが起こるのです。3週間でどうこうということはありません。(文責 徳田)                                

 

No.4396】 05年09月15日    Y.Y
石灰化について

31歳・子供が1人おります。生理以外の時も、胸が張って痛かったり、気になることがあったので、先日、乳腺外来を受診しました。マンモグラフィーを撮ったところ、右胸の上あたりに、1ヵ所石灰化が見つかりました。先生に、「ガンが出来る場所ではないので、大丈夫です。」と言われたのですが、母親の乳がんが出来た場所が胸の上の方だったので、気になってしかたがなくなり、でも、再度先生に聞きに行く勇気もなく、こちらのホームページを見て、質問させていただきました。先生からは、「毎年1回は検査を受けた方がいいです。」と言われました。1ヵ所ある石灰化が広がったり、悪性になることがあるのでしょうか? 石灰化でも、心配ない場所などあるのでしょうか? 診察のときに聞いておけばよかったと、今更思うことばかりです。よろしくお願いします。

やはり、画像診断に関しては、実物を拝見しないとなんとも言えません。石灰化にも心配のないものから、がんに関係するものまで様々です。悪性にかわるのではなく、良性のものか、悪性のものかどちらかです。悪性のものは、数が増えたり、広がったりします。(文責 徳田)

 

No.4395】 05年09月15日    M.S.
右胸乳頭先端からの分泌

26歳既婚、出産経験はありませんが、半年前に5週初期流産を経験しています。今後はすぐにでも妊娠を希望しております。先日右胸の乳頭先端から透明のような、黄色っぽい半透明のような分泌物がでる事に気づきました。自然に出るというよりは、乳房を強く圧迫すると出てくるように思います。私の母が3年前乳がんの手術をし、左乳房を全摘出しました。娘である私のリスクは多少高いと聞いていたので心配なのですが、乳腺外科で詳しい検査をしたほうが良いのでしょうか? ちなみに今年6月、その時は特に気になる症状はありませんでしたが、市の乳がん検診で触診とマンモグラフィーの検査をし、異常はありませんでした。生理後8日目くらいだったと思います。しかし、検査技師の方の話だと、若い私にはマンモグラフィーはあまり意味がなく、エコーのほうが確実だと聞きました。 

いくつもの場所から出てくる場合は、問題ありません。一ヶ所のみから出てくる場合、詳しく調べたほうが良いと思います。自分で分からない場合は、専門医に相談しましょう。(文責 徳田)

 

No.4394】 05年09月14日    A 
ステージWの治療について 

以前よりご相談させて頂いている妻(41歳)のステージW治療で相談です。半年前にホルモン療法を開始し、先日、乳部/肺の腫瘍が、次のように消失したことを確認できました。このまま、肝についても消失させ、完治できるよう努めたいと思っております。「完治」に向けた今後の治療について、ご意見を賜りたく存じます。(ステージWでも完治は期待できるものなのでしょうか? そのために最適な治療はどのようなものでしょうか? また、今後の経過予測についてお聞かせください)
1) 現在までの治療 : ホルモン療法を2005年2月より開始。ゾラデックス (月一回、腹部に注射)。ノルバデックスD20(毎日服用)
2) 治療開始時(がん告知時)のがんの特性と腫瘍(2005年2月)
 (がんの特性)→ ・悪性度:3 ・エストロゲン:+ ・プロゲステロン:+ ・HER2:− (1.29)
 (腫瘍の大きさ)→ ・乳部:小豆大のしこりが数箇所、あわせて4cm以上、・肺:5mm程度の腫瘍が右肺外側に数箇所(CTとPETで確認)、・肝臓:5mm程度の腫瘍が数箇所(他に4cm×2cmの腫瘍もあったが、後日、良性の血管腫と判明)
3) 腫瘍マーカー  → ・CEA:0.9 ・CA15-3:5.3 ・NCCST439:7.5
4) 約半年後の腫瘍(2005年8月)
 (腫瘍の大きさ)→ ・乳部:MRIで確認できず ・肺:CTで確認できず ・肝臓:5mm程度の腫瘍が数箇所(2005年6月にMRIにて前回と変化無しを確認)
  (腫瘍マーカ)→  ・CEA:0.9 ・CA15-3:5.7 ・NCCST439:1.4

よろしくお願いいたします。

再発乳がんの治療では、薬物治療でがん細胞が「完全消失」してから、10年以上乳がんが再々発してこない場合を「完全治癒」と考えます。薬物治療によってがん細胞が「完全消失」する確率は10%程度、「完全治癒」まで持ち込める確率は3〜5%程度と考えられています。このように再発乳がんの治療では「根治=完全治癒」まで持ち込むのは容易でないため、治療の第一目標は「乳がんを大きくさせないように共存すること」となります。ホルモン剤が効果を示す乳がん(ホルモンレセプター陽性)に対しては、ホルモン療法を中心に治療メニューを組み立てます。ホルモン療法は乳がん細胞に対する「兵糧攻め」に相当するため、抗がん剤のような殺細胞性はありませんが、副作用も比較的少なく長期間にわたり乳がん細胞の増殖を抑えることができます。ただし、比較的大きい多発肝転移や、胸水を伴うような肺転移などを伴っている時は、生命に危険が及ぶ可能性があるために抗がん剤治療も検討して治療メニューを作ります。抗がん剤治療はがん細胞に対する「大規模空爆」に相当し、正常細胞に対するダメージも大きいため長期間にわたる大量投与は難しくなります。また、がん細胞は6ヶ月位で抗がん剤耐性を獲得し、同じ種類の抗がん剤では効果がなくなってきます。さて、貴方の奥様の場合は、乳房や肺の腫瘍と比べて肝臓の腫瘍だけが薬剤に対して反応性が異なっており、肝臓に関しては乳がんの転移ではなく、他の良性疾患である可能性も考えられます。乳房腫瘤、肺転移に対してはホルモン治療が奏効しているようなので、現在の治療を維持しながら「完全消失」に到達できるかもしれません。 (文責 千島)

 

No.4393】 05年09月14日     Y.T.
術後の治療と腫瘍マーカーについて(HPNo.4178-3)

お世話になっております。HPNo.4178でご相談させて頂きました。こちらのHPや主治医の先生に勇気をいただき、8/18に右乳房切除の手術を致しました。結果、腫瘍径:2センチ、脂肪と乳頭皮膚に一部浸潤、リンパ節転移:無し(0/12)、核異型度:1、リンパ管浸襲:0、静脈内浸襲:0、ER:+、PGR,HER2:-、8/30よりアリミデックス(5年間)の服用が始まりました。
1) 一般的な治療として抗癌剤は必要ないのでしょうか?
2) アリミデックスの副作用(骨量減少以外)はどのようなものがありますか? 飲み続けるに際しての注意はどのようなものがありますか?
3) 手術前の腫瘍マーカーが、CEAが2.7、CA15-3が7.5でした。癌を持っている状態でも健康な値が出るのでしょうか? もしそうなら、今後の腫瘍マーカーの数値はどのようにみていけば宜しいのでしょうか? 3ヶ月毎に採血のうえ腫瘍マーカーを調べるとの事ですので、判断の目安を教えて頂ければと思います。

宜しくお願い致します。

1) 日本では抗がん剤を投与しない施設が多いと思いますが、一部の施設や米国などでは抗がん剤を投与する可能性もあります。
2) アリミデックスで一番問題となる副作用は、手指を中心とした関節痛です。特に朝起き掛けに強く出現し、しばらくすると改善してきます。アリミデックスが服薬中止となる主原因はこの関節痛です。ホルモン剤とはいえ、いろいろな副作用がありますので、詳細については主治医から説明を受けるようにしてください。
3) むしろ手術前の乳がん患者さんで腫瘍マーカーが高値を示すことの方が少ないと思います。乳がんの再発時には腫瘍マーカーが高値となることもありますが、再発初期で腫瘍マーカーの上昇を認めるのは、全再発患者さんのうち50%前後です。(文責 千島)

 

No.4392】 05年09月14日     Y.N.
乳がんでしょうか?

3年前、乳首の上の乳房に痛みとしこりを感じ、受診。マンモグラフィーで石灰化がみつかり、細胞診をうけました。結果は乳腺症とのことで治療はせず、一年後に受診し、異常はありませんでした。その後は、しこりも小さくなり、生理前に痛むくらいでした。今回、40歳を過ぎたので、マンモグラフィーをうけたところ、また石灰化があった為、昨日マンモトームを受けました。エコーでは、しこりなどは認められず、乳腺症の症状でした。がんの確率はどれくらいあるのでしょうか。

石化化の所見がどのようなものかにより、確率が違います。マンモトーム検査をすでに受けておられるのですから、その最終結果を待ちましょう。(文責 徳田)

 

No.4391】 05年09月14日     H
粘液癌について(HPNo.4271-2)

先月HPNo.4271で相談させていただいたHです。8/26に右乳管腺葉区域切除をしました。術中の迅速では病理検査は行わず、先日結果が出て、「乳管内癌がほとんどを占めていたが、断端は陰性、内部に粘液癌(4×7mm)あり、リンパ・静脈侵襲(−)」との事でした。粘液癌は術前のエコーでも確認できなかった程小さいものであるから、追加手術は行わずに、今後放射線治療30回+ホルモン療法5年必要と説明を受けました。幸い傷跡は小さく目立たず、救われた気持ちでおりましたが、粘液癌もあったという事が気にかかっています。エコーでも確認できなかったという事でしたが、浸潤癌ということを考えると、術前に「MRIでは乳頭分泌がある病変部位の他にも全体的にまばらに白く染まっており判断できない」と言われたことについても画像現像条件の問題ではなく、病変の可能性への不安もあります。粘液癌についての知識がなく想像になりますが、術中の迅速病理などで診断がつけば、本当はもっと広範囲の手術になっていたのでしょうか? 他にも残っている可能性を考えると、放射線+ホルモン療法の選択で良いのでしょうか? よろしくお願い致します。

断端にがんがないということは、その病変については、取りきれたと考えてよいと思います。術中迅速病理診断をしたとしても同じ結果です。しかし、残った乳腺にも、前がん病変などの可能性があるため放射線を照射するわけです。放射線+ホルモン療法で十分と考えます。MRIの所見は、かならずしもがん病変とはいえません。(文責 徳田)

 

No.4390】 05年09月14日     K.K
ホルモン療法の副作用について

リュープリン+タモキシフェンの治療を始めて20日程になります。開始直後より、微熱、腹痛、首のこり、気分の落ち込みなど、副作用がみられます。特に気になるのは、胃のむかつきで、つわりのような状態が続いていて、体重も3キロ程落ちました。この状態はずっと続くのでしょうか。市販の胃腸薬を飲むのは不安です。胃の薬など処方して頂けるのでしょうか。精神的にも不安です。よろしくお願いいたします。

このホルモン療法による消化器症状は、5%以下と、あまりありません。ストレスによる胃炎などもありますので、主治医に相談して胃薬を処方してもらいましょう。(文責 徳田)

 

No.4389】 05年09月14日     K 
転移した乳癌の治療法について

患者の家族です。患者は年齢35歳、出産経験あり。2004/11に乳癌の告知、2004/12 温存手術。乳頭腺管癌、腫瘍径2.5cm、リンパ節への転移あり(1個)、リンパ管侵襲2T(0〜2T)、ホルモン療法不可、転移はなし。再発防止のため2005/1より放射線2GY×25回、2005/4よりEC4クール+ドセタキセル4クール終了。2005/5末より腫瘍マーカーの増加(2005/7 CEAは65)、腹部CT検査の結果、肝臓と両方の腎臓に転移(2005/9)。肝臓は2〜5mmの粟粒大のしこりが無数。今後の治療方針としては、手術、放射線は効果がないため、他の抗がん剤(候補としてナベルビン、ゼロータ。ハーセプチンの効くタイプではない)を試すが、効果があるかどうかはやってみないとわからない・・・という極めて悲観的な状況です。最新の治療方法はどのようなものでしょうか。免疫療法など他の治療法の選択肢はないのでしょうか? 時間的にもあまり余裕のない状況で、どなたに、どのようにお聞きすればいいのかわからずに悩んでおります。ご意見をいただきたく、お願いいたします。

やはり,抗がん剤が第一選択です。ナベルビン、ゼローダが候補と考えます。現在のところ、これらの抗がん剤の効果を上回る免疫療法など、他の治療はありません。抗がん剤にもいろいろありますし、新しい薬もこの領域ではどんどん開発されています。(文責 徳田)

 

No.4388】 05年09月14日     JJ
経過観察(HPNo.4294-3

HPNo.4294でお世話になっています。いつもありがとうございます。先日、乳腺外科のある専門病院でセカンドオピニオンを受けてきました。これまでの病院では、細胞診の結果、クラス2で経過観察と言われていましたが、確定診断ではないとのことだったので、(もともとのエコーの画像が少し疑わしいとのことです)専門の病院に紹介状を書いていただき、外科的生検あるいはマンモトーム生検希望を含めて受診しました。が、今回受診した病院では、細胞診で良性の結果なら、エコーが怪しくとも経過観察の必要もないと言われました。
1) これについてどうお考えになりますか? 専門病院でのこの言葉は喜ぶべき事なのですが、ネットから得た知識からすると、今回言われた事は少し一般的でないような気がして、逆にまた混乱してしまいました。私のような状況の場合、判断としては経過観察が妥当なのかな?とは私にも理解できるのですが、どうしても精神的に落ち着きません。
2) 私のようなケースで、本人の強い希望で生検をしていただける病院(東京近辺)はないでしょうか? 乳房に傷がつくことに躊躇はありません。私としては、それよりも、確定診断で精神的に落ち着く事、また、乳がんだったとしてもできるだけ早くに治療に入る事のほうが重要なのです。しかし、この要求は通常、お医者様の立場からしたら、かなり無理矢理な要求になるのですか?
3) マンモでは、「乳腺であまりよく見えないが、明らかに悪いものは写っていない」と言われています。石灰化があっても乳がんとはかぎらないそうですが、では乳がんで石灰化というのは必ずみられるものなのでしょうか? 石灰化がないということは、乳がんではないといえますか? 

何度も何度も申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

1)精神的に落ち着かないのであれば、マンモトーム生検や針生検をしていただくしかないと思います。
2)あると思います。
3)乳癌でも石灰化がないことがあります。(文責 徳田)

 

No.4387】 05年09月14日     SN
術後の病理の結果について

はじめて相談させていただきます。今年1月に、母(61歳)の右乳房に腫瘍径約8センチ(皮膚浸潤有)の乳がんがみつかりました。術前化学療法にてAC4回+タキソール12回を行ったところ、腫瘍が約8センチから約1.5センチに縮小したため温存可能となり、非定型温存術式にて先日手術をしました。今後は放射線治療、ホルモン剤治療の予定です。術後の病理結果は、「腫瘍径1.5センチ ・核異型度2 ・ER(+++) ・PGR(++) ・HER2(-) ・リンパ節転移なし ・脈管侵襲なし ・断端(-)・皮膚の浸潤部分はなくなっている」とのことでした。術前化学療法前はT4N0or1M0で、ステージ3bでしたが、術後はT1N0M0でした。術後のステージは聞いていません。術前の抗がん剤がとてもよく効いたとのことでしたが、元の腫瘍が大きく皮膚に浸潤があったため、とても心配です。リンパ節の転移も抗がん剤によってなくなっているだけで、元はあった可能性もあります。以下の点、ご質問いたします。
1) 予後を考える場合は、抗がん剤の治療前と手術後のどちらの診断結果に重きをおけばよいのでしょうか?(治療前T4N0or1M0、術後T1N0M0)
2) 生存率などを考える場合、ステージは治療前と変わらず3bでしょうか?
3) リスク分類はどの程度でしょうか?

以上、宜しくお願いします。

予後は,手術前の進行度で判断します。リンパ節転移などは、手術しないとわからないので、正確ではありませんが、十分な化学療法はされていると思います。(文責 徳田)

 

No.4386】 05年09月14日     T.M.  
妊娠中のガンの進行について

30代前半の既婚、子供なしです。現在4×8mmの腫瘍があります。検査の結果(細胞を注射器で採取しました)、小さくて取れなかったのか、白黒という結果は出ませんでした。半年後に再検査です。担当の先生には、「多分大丈夫だと思います」と言われています。私の質問ですが、これから子供がほしいと思っているのですが、
1) 腫瘍がガンだった場合、妊娠中のガンの進行度合いはどのようなものですか?
2) 腫瘍がガンだった場合、妊娠していると子供はおろす事になりますか? また、子供が21週以上だった場合はどのような対応になりますか?

以上の2点です。よろしくお願いいたします。

1) がんであるとすると、ホルモンによる増殖刺激で、進行がすすみます。
2) がんが見つかった時点での状況によります。中絶可能な時期であれば、それを勧めます。また、胎児が人工保育可能な状況まで成長していれば、帝王切開ということになりましょう。(文責 徳田)

 

No.4385】 05年09月14日     N.Y.
乳頭から出血について

生理が終わって5日目の9月1日より右乳頭の2箇所より出血(私には血に見えました)、かなりの量でした。4、5日でおさまったと思っていましたが、6日目に乳腺専門の検診施設で医師が触診して下さったら、またかなり出血しました。「古い血のように見える」と医師に言われました(意味がよくわかりません)。マンモグラフィー、エコー、血液の細胞診、造影剤を入れてのマンモグラフィーの検査をしました。エコー、マンモグラフィーの結果は、「ターゲット(癌)と思われる箇所はない」との事でした。「だから、今、内視鏡を入れることはできない」ともおっしゃいました。血液の「細胞診」の結果も、「悪性のものは見つからない」でした。「何か問題があったとしても、かなり深いところにあるから、今はまだ経過観察しか方法がない」という結論でした。本当にそうでしょうか? とても心配です。現在は出血は止まり、乳房や肩や背中、二の腕が張っています。出血していない左側の乳房まで、気のせいか、張っています。乳頭から出血というのは、乳癌以外の病気でも、よくあることなのでしょうか? それとも「乳癌の可能性が高い」と考えて、別の専門医の意見をあおぐべきでしょうか? 現在45歳で、今夏、すごく首周りと胸に寝汗をかきます。1年前の検診で、両乳房、肝臓、膵臓、卵巣にのう胞があると言われました(関係ないですかね)。また、母親の姉であるおばが乳癌で、全摘手術を経験しています。宜しくお願いいたします。

血性の乳汁分泌の最も多い原因は、乳癌ではなく、乳管の中のポリープで50%をしめます。乳癌は、20%程度です。今まで行われた検査の結果から判断すると、経過観察でよろしいと思われます。(文責 徳田)

 

No.4384-1】 05年09月14日     N
術後療法について

38歳、3歳と6歳の子供を持つ母です。何回もの検査の末、大きな乳腺症の中に乳がんが見つかり、8月に右乳房温存手術を受けました。センチネルリンパ生検で、リンパ節転移が一つ見つかり郭清しました。先日、病理検査の結果が出て、腫瘍径2cm、リンパ節転移:1/18、ER+、PgR+、HER1+、悪性度NG1とのことでした。術後療法として、抗がん剤(AC+TまたはEC+T)を薦められました。子供が小さく、生活のことを考えると、脱毛はあまりにもきついです。私の場合、ホルモン療法ではだめなのでしょうか? また、抗がん剤とホルモン療法では効果が歴然と違うのでしょうか? どちらにしても勇気のいる選択で、悩んでいるというか、まいっています。お忙しいところ恐縮ですが、教えてください。

10年間の再発率は、なにもしなければ20−30%ですが、ホルモン療法(卵巣機能抑制とタモキシフェンの併用)でそれを40%減らします。A(E)C+Tの抗がん剤は、60%減少させます。両方を行うと、75%減らすことができます。脱毛は永久ではなく、治療が終れば、元に戻ります。また、少し効果は落ちますが、脱毛の少ない抗がん剤の組み合わせもあります。(文責 徳田)

 

No.4384-2】 05年09月18日     N
術後療法について(2)

お返事、ありがとうございます。この内容について更に確認の質問ですが、よろしくお願いします。
1) この10年間の再発率というのは、『私の場合』でしょうか?
2) 抗がん剤とホルモン療法、両方行うというホルモン療法は、卵巣機能抑制とタモキシフェンの併用のことでしょうか?
3) 実は主治医から聞き漏らしていたのですが、A(E)C+Tの抗がん剤の後タモキシフェンを内服しましょうと言われてました。この場合はどうなのでしょうか?
4) 脱毛の少ない抗がん剤とは具体的にどのような組み合わせがあるのでしょうか?その効果とは何%くらいですか?

1) お知らせいただいたあなたの予後因子から推定しました。
2) ホルモン療法は、卵巣機能抑制とタモキシフェンの併用の場合です。
3) AC+Tで閉経すれば同じですが、そうでなければ、多少弱いと思います。
4) CMFです。おそらくAC+Tより数%程度劣ると思います。(文責 徳田)

 

No.4383】 05年09月13日     M.A.
乳管内乳頭腫について

29歳、未婚です。乳管内乳頭腫と診断され、手術をすることになっていますが、事前に知っておきたいことがあってメールしております。ご返答お願いいたします。まず、将来授乳することになった場合どうなるのでしょうか? 今のところ出血は止まっており、造影撮影で、1.2ミリのものが2つ確認されています(左のみ)。また、手術せずに放って置くとどうなるのか教えてください。今手術を見送っても、いずれはしなくてはならないものなのかどうか・・・。

乳管内乳頭腫、特に多発性乳頭腫の場合は前癌病変として扱われます。早急な治療は必要としませんが、細胞診や画像所見で乳がんが否定できない場合には手術で摘出します。通常は乳頭直下の乳管を含めて乳頭腫のある腺葉(乳腺の区域)を切除します。切除範囲が大きくなる場合は、授乳期に乳腺炎の原因となる可能性があります。乳がんを疑うような乳管内乳頭腫の診断・治療経験がある人は、正常人に比べて4〜5倍程度の発癌リスクがあると言われています。(文責 千島)

 

No.4382】 05年09月13日     S 
母の術後経過について

乳癌と診断され、今年の7/5に右を全摘しました。7/8 リハビリ、7/14 胸の管を抜く、7/16 水が溜まり針で水抜き、7/25 退院、7/27 水抜き、7/28 よりアリミデックス 一日一錠、8/1〜10 約1日おきに水抜き、8/15 胸に管を入れ自分で投げる(この間毎日約45ccの水が溜まる)、8/31(水が止まらないので) 水止め薬を入れる、9/2 管を取る、9/5 針で水抜き、9/7 針で水抜き。医者はそのうち止まるだろうしか言いません。水が溜まれば痛みもあるし、水止め薬を入れてもすぐに水が溜まり、いつまでこの治療を続けるのか、先が見えず不安になっています。術後同じように水が溜まって何度も抜くのは正常で、このまま安心していていいのかわかりません。このままの状態で水が溜まるようであれば、今後どのような治療方法があるのでしょうか。違う病院へ行ったほうがいいのでしょうか。

術後2ヶ月が経過してもリンパ漏が続いているのであれば「正常な術後経過」とは言いかねます。術創部や周囲組織に細菌感染があると、リンパ漏が遷延することがあります。この場合は感染源を治療しなければリンパ漏も治癒しません。また、リンパ節郭清の範囲にも因りますが、術中に比較的太いリンパ管を損傷している可能性もあります。リンパ管造影検査なども原因解明への選択肢だと思います。一度、乳腺専門医以外の皮膚科や血管外科の医師に診察してもらうのも良いのではないでしょうか。(文責 千島)

 

No.4381】 05年09月13日     M 
ホルモン療法について

2003年3月に乳房全摘手術をしました。ステージ1でリンパ節に転移がなく、術後療法としてゾラテックスの注射を2年、経口薬ノルバデックスを現在で1年半続けております。子宮ガン検診のため訪れた産婦人科で、リュープリの注射とノルバデックスの併用を勧められました。ゾラが終わってやっと落ちついたのに、又新たにホルモン剤を投与することに不安を感じます(先生はノルバッデクスの副作用で生じる子宮体ガンに対する抗癌のためとおっしゃいます)。よろしくお願いします。

基本的にゾラデックスとリュープリンは同じ作用を示す薬剤です。閉経前乳がんのホルモン治療は、@ゾラデックス(またはリュープリン)の2年間の単独投与とするか、Aゾラデックスの注射と同時にノルバデックスの内服を開始して、ゾラデックスを2年間、ノルバデックスは5年間投与とするという、いずれかの方法が推奨されています。一般的にはゾラデックスとノルバデックスを同時に使うほうが効果は高く、2年間でゾラデックスからノルバデックスへ順次切り替えていく治療法は一般的とはいえません。ちなみにリュープリンには、ノルバデックスの副作用である「子宮体癌の誘発」を抑える効果はありません。貴女の中で、ホルモン治療に対する情報が錯綜しているようなので、もう一度主治医から説明を受けるようにしてください。(文責 千島)

 

No.4380】 05年09月13日     Y.I. 
細胞診は必要ですか?

先週、右胸にしこりをみつけ、不安な気持ちのまま過ごすのが嫌なので、すぐに乳腺外科に行きました。その日は触診のみで、やはり手に触れるものがあるのですが、しこりとも言えないので、エコーとマンモを予約しました。先日受けてきましたが、結果は、特に腫瘍の兆候も無く、石灰化も見られませんでした。「乳腺の循環が余り良くなく、左より右の上の方が少し白くなっているが、エコーもマンモも見る限り問題ない」と言われました。今後は定期的にエコー検査をし、2年に1度くらいはマンモをと勧められました。友人からは、「細胞診はしてもらった方がいいよ」と言われ、先生に、「細胞は調べなくても平気ですか?」と尋ねた所、「必要ない」と言われました。カルテの記入を覗いていると、C-1と記載していましたが、クラス1かもと、いまだに疑っております。「しこりに変化や気になることがあったらいつでも来ていいですよ」と言われ、帰って来ましたが、しこりが小さすぎたりすると経過をみるのでしょうか? また小さすぎると、しこりという診断はないのでしょうか? いまいち心が晴れないので、ご意見お願いします。

C−1というのは、想像するに「カテゴリー1」という意味だと思います。「カテゴリー1」はマンモグラフィの検査結果を表すもので、「1」は正常乳腺を表しています。ちなみに評価は5段階で行われ、明らかな乳がんは「5」と表現されます。文面から判断する限り、貴女の精密検査の結果は「生理的変化の範囲=乳腺症」と考えられます。(文責 千島)

 

No.4379】 05年09月13日     N.F.
母の乳癌治療について

はじめまして。60歳になる母親が乳癌と診断されたものです。全く知識も無く、すごく不安でいろいろ調べていたところ、このページを知り相談させていただきました。少し長くなりますが、すみません。左の乳房で、検査の結果、悪性でリンパにも転移しており、リンパの腫瘍は3センチぐらいの大きさです。ただ乳房の癌がかなり進行していて大きく、8センチ大あり、手術はもうできないと言われました。皮膚に癌が顔を出しているとの事で、皮膚の色も紫色になり、膿が出たり、出血も少しあります。余命1年と宣告されました。他の肺や胃などには転移はなく、普段の生活はいつも通りしています。骨盤が痛いようですが、骨への転移は今検査中です。抗がん剤治療で癌が小さくなれば手術の可能性もあるが、可能性はかなり低く、ほとんど無理だろうと言われました。糖尿病もあります。どうしてここまでほおっていたのかと責められるかもしれませんが、それは母親本人が隠し続けていたこと、気づいてあげられなかった事、経済的な事情などいろいろあります。本人はもう受け止めていますが、家族としては少しでも長生きしてほしいです。周囲の人から、先にすぐ手術して切除すればなどと言われ、困惑しています。まだ簡単な説明しかできませんが、母の今の状態では、やはり切除手術は出来ないのでしょうか? 出来ないとすれば、なぜ出来ないのでしょうか? 大きすぎるからと言われても、知識が全く無いので、なぜなのかわかりません。大きすぎると手術したら何か他に影響があるのでしょうか? 抗がん剤治療はまだ少し先で、家族としては1日でも早くと思いますが、あまり緊迫しているような感じではないので、不安で仕方ありません。もう全く駄目なのでしょうか? 抗がん剤の副作用も心配です。何かアドバイスがあれば、よろしくお願い致します。知識がないので、失礼なメールだとしましたら申し訳ありません。深夜にメール、申し訳ありません。

乳がんが皮膚に顔を出していたり、脇の下に大きな転移を形成しているような場合は、「病期Vの乳がん」に分類されます。このような乳がん患者さんでは、手術に先行して抗がん剤やホルモン剤を使用することが多くなります。これは「手術不可能」という意味ではなく、薬を使って手術で切除する範囲を小さくしたり、がん細胞の薬への反応性を見るために行うものです。薬によって腫瘍が順調に小さくなれば、時期を見て手術を受けることも可能です。このような治療法は術前化学・内分泌療法と呼ばれ、最近の乳がん治療では標準的な方法となっています。だから安心して治療に臨むようにしてください。あなたのお母様の乳がんは、おそらく数年かかって大きくなってきているので、治療をするのにも数年間、もしくはそれ以上の時間が必要になってきます。「今まで未治療の乳がん」の場合は、抗がん剤などの治療に非常に良く反応する場合が多く、お母様の場合は、肺や肝臓などの重要臓器への大きな転移を認めていないことから考えても、主治医が「余命1年」と判断した根拠が私には良くわかりません。
「どうしてここまでほっていたのか?」。おそらくお母様自身が一番強く感じていることだと思います。お母様は何年もの間、早く病院へ行かなくてはいけないと判っていたに違いありません。ただ「乳がんであったらどうしよう」、「治療には時間とお金がかかる」などのことが心配で、病院を受診できなかったのだと思います。今はお母様も家族の方も「どうしてここまでほおっていたのか?」と考えるのではなく、これからは「今までの時間を取り戻すつもりで一生懸命治療するぞ!」と考えるようにしてください。比較的長期にわたる乳がん治療で一番大切なのは、「過去を後悔する」ことではなく、「未来への希望を持つ」ということだと思います。「もうダメだ」という気持ちではなく、「これからが勝負だ」という前向きな気持ちで治療を開始してください。(文責 千島)

 

No.4378-1】 05年09月13日     M.N.
術後の経過について

はじめまして。母(70歳)が8月上旬にステージTで、左乳房の全摘出を行いました。8月下旬に、傷口の状態が良くないため局部麻酔で再度手術を行いました。その際、内部が化膿しているとの事で、内部も洗浄しました。その後、「胸、脇、脇の後ろにかけて痛みがある。水がたまり、注射器で抜くと上記の痛みが強くなる。水がたまると痛みが和らぐ。微熱が続く。37度で、術前より1度ほど高い。」という状態です。一般的に、術後はこのような症状が生じるものでしょうか。順調に回復しているのでしょうか。また、痛み、水のたまり、微熱、各々に対して、何かよい手立てはないものでしょうか。御教示お願い致します。

糖尿病がある人では傷の治りが遷延したり、術創部に細菌感染を起こしやすくなりますが、健常人ではあまり多くありません。術後一ヶ月以上が経過しても発熱や痛みを伴うというのであれば、現在も細菌感染が続いていると考えられます。持続的に膿汁を排液するための「管」を再挿入する必要があるかもしれません。難治性の場合は、MRSA(抗生物質が効きにくい細菌)が原因細菌となっている可能性があるので、細菌検査の結果次第では特殊な抗生剤物質が必要となります。病状経過について主治医から説明してもらうことをお勧めします。(文責 千島)

 

No.4378-2】 05年09月14日     M.N.
術後の経過について(2)

HPNo.4378でお世話になりました。御回答ありがとうございました。母のその後ですが、先日9/13に退院致しました。水の量は減り、痛みも徐々に和らいできています。その際の説明では、「体温は特に高いわけではなく、退院して日常生活をすれば気にならなくなる」と言われました。また「、皮膚側と筋肉側がついていない(癒着していない)が、体質的なもので特に問題はなく、時間が経てばつくでしょう」と説明されました。どうしても早く癒着させたいならば、もう一度傷を開いて刺激を与え(ゴシゴシ洗浄する)、故意に炎症を起こすことで促進しなければならないが、効果があるかどうかは何ともいえないと言われました。傷口自体は炎症もなく塞がっています。水については、時間が経てば治まり、溜まっている分は吸収されるとのことでした。
1)内部がつかない(癒着しない)ということはあるのでしょうか。
2)癒着を促進するために上記のような処置をすることは妥当なのでしょうか。
3)細菌感染の有無を調べるには、どの診療科目の病院に行けばよいでしょうか。

お手数ですが、御回答、アドバイスいただけます様、お願い致します。なお、母は糖尿病ではありませんし、特に持病もありません。

1)まずありません。
2)時間がたてばつきますので、行いません。
3)感染の兆候はないようですが、ご心配なら、主治医に相談すべきです。(文責 徳田)

 

No.4377】 05年09月13日     S
術前化学療法、投与量の変更について

温存を希望し、術前化学療法を始めた者です。ECを3週間毎に4クール後、タキソールを3週間毎に4クールの予定で、ECを1クール終了いたしました。主治医より、「副作用もそれほどきつくなく、白血球も4.98なので、エビルビシンの量を75mlから90mlに増やしましょうか」と言われました(増やす理由は説明なし)。今のところ腫瘍はほとんど縮小になっておらず、量を増やすことによって効果が期待できるのであればとも思いますが、体への負担も気になります。量を増やしたことにより腫瘍の縮小は期待できるのでしょうか? また、副作用がひどくなることはあるのでしょうか? 一般的に投与からどのくらいで腫瘍の縮小はみられるのでしょうか? よろしくお願いいたします。

術前化学療法のメニューには問題ないのですが、投与量がやや少ないと思います。特にエピルビシンは用量依存性で効果が高くなるので90mg/m2(標準体型の人なら一回投与量は130−140mg程度)が推奨されています。白血球減少が高度で発熱を伴うような場合は70mg/m2程度(標準体型の人なら一回投与量は100−115mg)まで減量します。一般的には標準量から開始して副作用の具合で減量することはあっても、少ない量から開始して徐々に増加させるということはありません。術前化学療法を施行した場合、2回目を投与するころには効果が発現してきますが、腫瘍が明らかに増大しなければ予定の治療を継続して様子をみます。(文責 千島)

 

No.4376】 05年09月11日     N.T.  
乳管内乳頭腫切除しましたが・・・

はじめまして。36才の女性です。2年程前に左乳頭より血性分泌があり、検査したところ乳管内乳頭腫との診断をうけ、経過観察しています(乳管ごと摘出する検査はしておりません)。医師からは、「良性である為、乳頭腫を切除する必要は特に無い」と言われておりましたが、血性分泌が普段より多い為、先日内視鏡にて切除を行いました。その時、内視鏡の画像で乳管の壁が少しボコボコするようにみえる部分があり,その事を先生も指摘しておられました。現在細胞・組織診の結果待ちですが、このボコボコしたようにみえる部分は悪性(乳管内の癌)である可能性がやはり高いでしょうか? 又、良性の場合でも乳管がそのようにみえる事もあるのでしょうか? 定期検診を1ケ月前に行っており(超音波)、その時は乳頭腫以外で何か他に変化があったとは言われなかったのですが、その時に発見できなかったということなのでしょうか。その時は細胞診を行わなかった為、心配です。先生のご意見をお伺いしたく、宜しくお願い致します。

乳管内視鏡でやっと発見されるような乳管壁の不整であれば、超音波で発見するのは難しいと思います。細胞診、組織診の結果で悪性を疑うようであれば、外科的切除で検査をすることをお勧めします。(文責 千島)

 

No.4375】 05年09月11日     Y.U.
アリミデックスの副作用について

お世話になります。58歳、主婦。今年3月、右全摘手術後、アリミデックスの投薬治療のみ受けています。アリミデックスから、タモキシフエンに変えるということは、できますか。集中力がない、疲れやすい(テレビを見ていて寝てしまう)、節々が時々痛い、から咳が出る、朝起きる時、体が重い等の症状があり、薬のせいと思えます。叉、アリミデックスは骨量を減らすと聞いていますが、現在、2人の母の世話をしていて、歩ける、歩けないは、一日、一日の死活問題なのがよく分かり、心配です。元来、健康そのもので、体調の不調を感じたことは殆んどありませんでした。更年期も全くない家系です。毎日が、ただ漠然と過ぎて行くようで、辛いです。3ヶ月検診の時、主治医に話しましたが、特に返事はありませんでした。10月に検診があります。その時に良い話しをしたいと思います。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。 

右、2ミリの浸潤癌、4×4位の範囲に非浸潤癌。硬癌。比較的おとなしいグレードと聞いている。全摘は私から希望する。3年前に、左乳がん、非浸潤癌。ホルモン受容体なし。温存+放射線、投薬等なし。

ホルモン剤治療は比較的副作用が少ないと考えられていますが、人によっては辛い副作用が出現します。アリミデックスで問題になることが多いのは、手指を中心とした関節痛です。これらの副作用が日常生活の妨げになるようならば、薬剤変更を考慮しなくてはなりません。確かに臨床試験の結果では、タモキシフェンよりもアリミデックスのほうが再発予防効果は高いと考えられています。しかし、貴女の場合は浸潤部が2mm(1箇所のみ?)でリンパ節転移も陰性であれば、再発の可能性はそれほど高くないと考えられるので、アリミデックスをタモキシフェンへ変更しても、それほど大きな不利益はないと思います。ただし、注意しなくてはいけないことは、タモキシフェンにも副作用があるということです。特に1%弱の確率で子宮体癌を誘発することが問題になっています。(文責 千島)

 

No.4374】 05年09月11日     A
アリミデックスについて

この度、4月下旬に温存手術を受けました。年齢31歳、腫瘍形1.2、ホルモン陽性、乳腺断端(ー)、リンパ節転移0/2、Her2(ー)、組織グレード2、細胞核グレード1という病理の結果でした。ホルモン療法終了後、妊娠希望のためリュープリンとノルバデックスともに2年間となりました。ご質問なのですが、ノルバデックスよりもアリミデックスの方が効果があり、閉経前でも偽閉経状態にすればアリミデックスが使用できると聞きました。
1)その場合のメリット、デメリット
2)リュープリンによる偽閉経状態はどのくらいの期間が必要なのか?
3)アリミデックスに変えてからは何年間の服用なのか?
4)アリミデックス使用後の妊娠は可能なのか?

わからない事がたくさんあるのですが、よろしくお願いいたします。

まず、日本の保険診療上はリュ―プリンで偽閉経状態を作っても、アリミデックスの併用は原則的に認められていません。また偽閉経状況下でのアリミデックス使用に関して、理論上はノルバデックスよりも効果が高い可能性はありますが、実際の臨床試験ではまだ証明されていません。また、31歳という若年者がリュープリンとアリミデックスで完全に女性ホルモンをブロックした場合、10年、20年後にどのような弊害(心臓や骨に対する副作用、卵巣機能に関する問題)が起こるかは全く未知数です。特に妊娠希望があるような方に対しては、安全性が確保されていないこの治療法を一般臨床で使用するにはまだまだ問題が多いと思います。(文責 千島)

 

No.4373】 05年09月11日     Y.K.
62 歳の母について

はじめまして。早速ですが、62歳になる母の病状について、専門的にお話をお願い致します。8月に左胸を全摘出いたしました。昨日組織検査結果がでました。リンパへの転移はみられないが、癌の性質がハーセプチンが効くものであったとのこと。ホルモン療法は効かず。傷口が癒えたら、3ヶ月サイクルの抗がん剤投与を勧められて帰ってきました。母のこの段階は、まだ間に合うものと考えて宜しいのでしょうか? 家族皆、不安でいっぱいです。ハーセプチンが効かないこともあるのでしょうか? 昨日の今日で、上手く文章になっていないかもしれませんが、お返事頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。

病理組織検査の情報が少ないために適切な治療法の選択が難しいのですが、乳がんのホルモンレセプターが陰性であれば、リンパ節転移の有無に関わらず抗がん剤治療が選択されます。特にHER2発現陽性(ハーセプチンが効くタイプ)乳がんでは、アンスラサイクリン系抗がん剤を含む治療を3週間毎に点滴することが勧められています。また、現段階では術後にハーセプチンを投与することは推奨されていません。お母様の乳がんは進行・転移しているような重大な状況ではなく、リンパ節転移も認めない比較的早い段階のようなので、将来も乳がんが再発しない(治癒する)可能性も十分に考えられます。ご家族の方の心配もご尤もなので、一度お母様と一緒に病理結果、投与予定の抗がん剤、治療によって得られる効果・副作用、治療しなかった場合の不利益などについて、主治医の説明を聞くようにしてください。それでも不安が解消されない場合は、主治医に紹介状を作ってもらって他の専門医の意見を参考にされてはいかがでしょうか? セカンドオピニオンを申し出ても「主治医に対して失礼」ということにはならないので、積極的に申し出るようにしてください。(文責 千島)

 

No.4372-1】 05年09月11日     B 
手術を受けるべきか迷っています

はじめまして、45才の主婦です。先日町の乳ガン検診を受診し、異常なしとの結果を受け取ったのですが、エコーの時に左乳房だけやけに時間がかかり(右の4〜5倍くらい)、写真も左だけ随分撮っていたことが気になって、後日、近くの病院を受診してみました。するとマンモでは分からないが、エコーで左乳房に小さな腫瘤があるとのことで、細胞診をしてくださいました。その結果、癌である可能性が高いということで、今度は切開して組織を取る検査をするそうです。腫瘤自体は3ミリ程の大きさなので、その組織診で腫瘤自体を摘出してしまうことになるけれども、もし癌であったことがわかった場合は、安全のために後日腫瘤のあった場所の周りを広く(半径2センチ程)切除する手術をすると説明していただきました。
この話を友人(彼女は大腸癌Vを内視鏡下で摘出した経験があり、その後も定期検診に通っています)に話したところ、「定期検診の度に新たにできているポリープを焼き切ってもらっているけれど、焼き切れないほどの小さな物は、ほうっておいて成長したら取りましょうと言われるの。でも半年後には消えていることの方が多いのよ。乳ガンと大腸では違うのかもしれないけれど、そんな小さな腫瘤のためにテニスボールほども取ってしまう必要が本当にあるのか調べたほうがいいんじゃないの?」と言われました。それでネットで探してみたら、こちらのサイトに出会うことができ、アドバイスを頂けたらとメールした次第です。お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。

詳しい検査結果(画像データや細胞診での所見)が判らないのでコメントが難しいところですが、超音波検診で見つけた3mmの腫瘤が乳がんであるならば、極めて早期の乳がんということになります。生検手術の前にCT(できればMD-CT)やMRIで「乳腺内の広がり診断」を受けておくことをお勧めします。外科的切除に迷いがあるようならば、マンモトームという検査機器を用いれば5mm程度の切開創だけで良悪性の診断が可能です。この検査の結果、不幸にして追加切除をすることになっても、検査前のCTやMRIを参考にすれば、半径2cmもの乳腺を切除しなくても済む可能性が高いと思います。いずれにしても、3mmの腫瘤であれば「早急な治療」が必要というわけではないので、セカンドオピニオン(主治医に紹介状を作成してもらう)を受けて、他の乳腺専門医の意見を聞いてみてはいかがでしょうか?(文責 千島)

 

No.4372-2】 05年11月03日     B 
術後に分かった針生検の影響と今後の治療について

先日HPNo.4372で質問させていただきました。ご回答ありがとうございました。その後の経過ですが、ご回答がネット上に掲載される前にその病院で組織検査を行ってしまい、組織検査の結果待ちの間にご回答を読ませていただく形となってしまいました。検査の結果はVB、腫瘤は乳頭側ギリギリで切除したため、乳頭側の断端プラスということでした。治療方針は追加切除の後、ホルモン療法と放射線療法をするというものでした。ここで、乳腺専門医にセカンドオピニオンを求めたい旨を主治医にお話しし、所見と検査データを提供していただきました。乳腺専門医の先生のお話では、「非浸潤性小葉癌はとてもたちが良く心配ないです。術後のホルモン療法も放射線治療も必要ないと思われます。手術自体もとても簡単なものなので、せっかくこんなに小さい腫瘤を見つけてもらったのだから、そちらの(地元の)病院で手術されるのがいいんじゃないですか。」とのことで、先生の所見を申し送ってくださいました。主治医の先生は「その先生がそうおっしゃるのなら、切除部の断端がマイナスなら放射線治療はなしにしましょう。ホルモン療法はやります。」とのことで手術を行いました。
術後の傷の経過は順調でしたが、今日(術後2週間)組織検査の結果を聞いてびっくりしました。「乳頭側の断端はマイナスで、今回切除した腫瘤については綺麗に取れているのだが、反対側皮膚に向かって約15mmにわたり、浸潤というのではなく、ほぼ直線上に癌細胞が点在しており、これは細胞診の時の針生検の針の経路に沿っているので生検時、針に付いた癌細胞が、針を抜いてくる時に付いたのでしょう。放射線治療でほぼ完全に死滅させられるので大丈夫です。」とのこと。こういうことは普通によくあることなのでしょうか?針生検時の技術的な問題ではないのでしょうか?乳腺専門医の先生にお話を伺った時、放射線治療をしないほうが良いのは、今回の腫瘤の影響より放射線による副作用のリスクの方が大きいからだとのご説明をいただいており、本当ならしないで良かったはずの放射線治療をこういう形でせざるを得なくなったことについて釈然としない気持ちでいっぱいです。今後の治療についてもどこまで先生を信じていいのか不安でいっぱいです。アドバイスを頂けたら幸いです。よろしくお願いいたします。

これは非常に稀なケースで、そのような事を診断できる病理医にも余りお目にかかった事がありません。本当にそのような事を顕微鏡検査で診断できる事はすごい事ですが、いずれにしてもそのようなケースは非常に稀で、検査の手技の問題でなく、むしろその事を病理学的に診断されたこと自体珍しく、そういった事が理論上考えられても、顕微鏡で証明できる事は困難な事ですので、その通り放射線はされた方が良いと思います。(文責 石山)

 

No.4372-3】 05年11月06日     B 
放射線治療とホルモン治療について

HPNo.4372で二度にわたりご回答をいただいた者です。ご回答ありがとうございました。お忙しいところ申し訳ありませんが、また不安に思うことがあり質問させていただきたくメールいたしました。今回の経過については前向きに捉え、主治医の治療方針通り放射線治療を受けることにしました。そこで質問ですが、
1) 放射線の副作用について、前に“放射線照射は何年も後に癌を発症するリスクファクターになると考えられている。”と聞いたことがあるのですが、現在の医学ではそのようなことはないのでしょうか。また皮膚の炎症症状の他には、吐き気等の全身症状はおきないのでしょうか。
2) 主治医より今回放射線治療をお願いする病院(手術した病院には放射線治療の設備がないので、委託病院が決まっているようです。)の標準的な治療期間は5日/週、5週間と伺っていたのですが、実際治療をしていただく放射線科の先生にお話を伺ったところ、「あなたの場合は5週間では足りませんね。6週間しましょう。」と言われました。私の症例が標準の照射では足りないのは、どのような理由なのでしょうか。また5週間で足りないと考えられるものが、6週間なら十分と言えるのでしょうか。不安です。
3) 放射線治療の期間中、スポーツなどはしても大丈夫でしょうか。体に残っているかもしれない発育を始めている浸潤性癌の成長がスポーツの刺激で促進したり、もっと他の部位にも飛んだりとかはしないのでしょうか。私のしているスポーツはテニスなのですが、癌が右側なので心配です。癌が見つかる前は1日に3〜4時間、ウエアの汗が絞れるくらいやっていましたが、やめたほうがいいのでしょうか。
4) 服用している薬はノルバデックスD20mg1日1錠です。これは妥当と思われますか。

お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

前回の質問がわからないので詳しくは書けませんが、放射線が適応であり、副作用があることも事実ですが、最新の機器を用いた照射で副作用は減ってきていると思いますので、これまでの治療経験から、詳しい副作用の頻度や治療期間は現在かかっている放射線科医に良く聞いて下さい。運動と再発については関係ないと思います。治療薬の妥当性は、主治医にもう一度確認し、St. Gallenなどの治療指針にあっているのか、不安があれば資料を借りてsecond opinionを求める事も大事です。納得して治療を受けるのは、大事です。(文責 石山)

 

No.4372-4】 05年11月20日     B 
抗癌剤について

HPNo.4372でご相談させていただいた者です。繰り返しの質問にご回答いただき、ありがとうございました。お手数をおかけし大変申し訳なく思っているのですが、化学療法をしなくていいのかどうかが不安で、先生の見解を伺いたくメールいたしました。45才、出産2回です。右乳房に3ミリの非浸潤性小葉癌が見つかり、温存手術を受けました。病理検査の結果、先の小葉癌の浸潤としての断端はマイナスでしたが、少し離れたところにポツリポツリと小さな癌が見つかりました。偶然、針生検の経路に沿っていて、針を刺した皮膚の方向で断端プラスとなっていることから、主治医の先生は、「針生検時、針を抜く時に途中で残ったのでしょう。放射線治療でほぼ完全に死滅させられるので大丈夫です。」とご説明下さいました。手術前にもセカンドオピニオンをお願いした先生に再び受診し伺ったところ、こちらのサイトでご回答いただいた見解と同じく、「理論的には可能性はあるが、それを病理学的に検証するのは困難なこと。」とのことで、点在する癌の一部は浸潤性発育が見られるものもあることからも、「生検とは関係なく、もとから存在していたそれぞれが原発の癌の可能性が高いと思われます。」とのことでした。現在30回予定の放射線治療を受けておりますが、今になって化学療法をしないで大丈夫なのだろうかと不安になってきました。原発癌が多発しており、小さいながらもまだ癌が体に残っている可能性があるという状況で、抗癌剤を考えなくても大丈夫なのでしょうか? 現在、放射線治療の他はノルバデックス服用のみです。説明不足で分かりにくいかとは思いますが、よろしくお願いいたします。

生検とは関係なく、それぞれがもとから存在していた原発の癌の可能性が十分有り得ると私も考えます。しかし偶然に見つかった微小な癌だったようで、予定の放射線治療で制御できそうに思います。放射線治療の他はノルバデックス服用のみで、一般的には良いと考えられます。ただ、どうしても心配ならば化学療法を受けることも決して悪くない選択です。(文責 石川)

 

No.4372-5】 06年01月01日     B 
リュープリンについて

No.4372で質問させていただいたものです。再三の質問で申し訳ありませんが、術後治療についてもう1度お聞きしたくメールいたしました。45才、3ミリの非浸潤性小葉癌を外科生検で摘出後、温存手術を行いました。手術の組織検査では先の小葉癌の浸潤としての断端はマイナスでしたが、少し離れたところにポツリポツリと小さな癌が点在しており、こちらの断端はプラスという事でした(リンパ節転移(−)、ホルモン感受性(+))。術後すぐにノルバデックスの服用を開始し、ノルバを服用しながら放射線治療30回を終了しました。放射線終了後初めての主治医への受診時、このままノルバ服用で経過観察とのお話しで受診を終え、帰り際に何気なく、「ところで先生、生理が止まると言われましたが、止まっていませんが…」と伝えると、「そうですかぁ、生理は止めておいたほうが良いからね、今日から月1回注射に来てください。」と言われ、皮内中をしました。処置処方箋にはリュープリンとありましたが、説明は何もありませんでした。受診中生理の事は何も質問されず、たまたま私が思いついて口にしなければ出されなかった処方であり、オマケのような感じを受けました。会計時、その値段にびっくりし、してもしなくてもあまり大差ない処置であれば、無理にやる必要はないのではとの疑問が湧きました。ホルモン療法についてのこちらのサイトの過去の質問を拝見させていただきましたが、私の場合適応なのかどうかがよく分かりません。ただ生理を止める目的ならばもっと値段的に手頃なものはないのか。また、月1回のリュープリンが最善の選択だとしたらノルバデックスもこのまま併用した方がよいのか、先生の見解をお聞かせいただければ幸いです。お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

3ミリの非浸潤性小葉癌術後とのことですが、他の部位にも病変があったとのこと、その多発していた他の部位の癌をどの程度重要視するかが問題だと考えられます。放射線療法は行っておりますので、ノルバデックスのみでよしとする意見もあると思いますし、前回の回答でもお答えされていますように化学療法施行もひとつの選択だと思います。今回のようにLH−RHアゴニストという種類に分類される薬であるリュープリンをノルバデックスに上乗せするのも、充分に効果の期待できる方法のひとつと考えられ、どれが一番よい方法かと申し上げにくいのは、貴女のケースがいわゆる応用問題であるからだと思います。再度主治医の先生とよく話し合って、納得の行く治療をお受けになっていただきたいと考えます。(文責 谷)

 

No.4372-6】 06年02月24日     B 
腫瘍マーカー上昇

No.4372 からお世話になっているものです。いつも丁寧なご回答をいただき、ありがとうございます。2005年10月、3ミリの非浸潤性小葉癌で温存手術を受けた際の病理組織内に小さな癌が多発しているのが見つかりました(中には浸潤性発育を始めているものもあった)が、追加手術はせず、30回の放射線治療(12月21日終了)を行いました。術後1週間目からノルバデックス服用開始、12月27日から月1回のリュープリン注を開始しました。腫瘍マーカー検査は2回行っており、術前の9月の検査では CEA=2.8 CA 15-3=18 NCC-ST-439=5.6 でしたが、12月27日の検査で CEA=2.0 CA 15-3=15 NCC-ST-439=60 と NCC-ST-439の値が著しく上昇していました。これは 再発、または転移の可能性が高いということでしょうか。今日(2月21日)再検査をし、結果を見てCT等の諸検査を行う予定だそうですが、こんなにも短期間での大きな変化は異常な進行の早さを示しているのではと、とても不安です。主治医は「放射線とかの影響で一時的に上がっただけかもしれない。」とはおっしゃいましたが、癌以外でこんなに数値の上がることはあるのでしょうか。お手数をおかけし申し訳ありませんが、ご回答よろしくお願いいたします。

腫瘍マーカーの上昇が認められますので再発の可能性があります。マーカーの推移を見ることと、CTや骨シンチなどを行い全身のチェックを行うことがよいと思います。(文責 麻賀)

 

No.4372-7】 06年06月12日     B 
フェマーラへの変更について

HPNo.4372でお世話になっているBと申します。いつも丁寧なご回答をいただき、ありがとうございます。何度もお手数をおかけし恐縮しておりますが、今回はホルモン剤についてご見解をいただきたく、お願いいたします。45才。3ミリの非浸潤性小葉癌の温存手術を行い(ホルモン感受性+)、切除片の病理検査にて先の小葉癌の他に微細な癌が点在しているのが見つかり、断端+でした。術後すぐノルバデックスの服用を開始し、約半年後ジェネリックのタスオミンに変更していただきました。また、追加切除はせず、術後3週間目から放射線治療30回を行い、術後2ヶ月目から月1回のリュープリン注を続けています。化学療法は行っておりません。今回主治医からタスオミンをフェマーラに変えたほうが良いとのお話しがあり、「アロマターゼ阻害剤は閉経後乳癌に適応なのでは」と伺ったところ、「リュープリンで止めているので閉経と同じ状態ですし、2年後にリュープリンをやめても、そのまま閉経に移行すると思われるので問題ないです。あなたの場合、断端がプラスだったことでややリスクが高いため、こちらを勧めます。」とのお答えでした。タモキシフェンよりも臨床成績がよく、副作用(子宮体癌の発症等)も少ないとのことで、変更したい気もしますが、タモキシフェン5年服用後フェマーラ5年が一般的なのかなと考えると、今フェマーラを開始したら5年後はどうするのか、フェマーラは5年を越えてずっと服用してもいいのか、それとも5年後にタモキシフェンに戻すというのはどうなのか、分からず迷っています。主治医の先生は「それとも、リュープリンの期間中はこのままタスオミンでいって、終了時(今から1年半後)にフェマーラに変えることにしますか?」ともおっしゃってくださいますが、どうしたらよいでしょうか。ご判断を仰ぎたく、よろしくお願いいたします。なお、前回ご相談しました腫瘍マーカー値ですが、その後の検査(2月、5月)は正常値でした。12月のNCC-ST-439=60 という値が擬陽性だったと考えて本当にいいのでしょうか。

フェマーラは最近日本でも認可されたアロマターゼ阻害剤です。ご存知のように閉経後乳癌に対し使用する薬剤です。タモキシフェンよりも成績がいいことも知られております。いままでの経過を拝見する限り現行の治療方法の継続でもよろしいと思われますが、もう一度主治医とご相談下さい。腫瘍マーカーの値については、この半年間正常範囲であれば、12月の60は疑陽性であった可能性があります。リュープリンとフェマーラの併用に関しては閉経前と閉経後の適応薬剤ですので、使用上の問題も生じて参りますので担当医とよくご相談下さい。(文責 西川)

 

No.4371】 05年09月11日     N.K
腹水が溜まるとどうなるのですか?

いつも明確なお答え、参考になり助かっております。妻がW期の状態で、抗がん剤+ハーセプチンの治療をして2ヶ月になります。最近下腹がポッコリとしてる感じで、張っているようです。食事がしっかりと出来るようになった為だと思っていたのですが、まさか腹水が溜まっているのでは・・・と、考えてしまいます。最近些細な変化にも悪い方へと考えてしまいます。心配なので、教えてください。腹水が溜まると、どうなるのでしょうか? 又、腹水が溜まる症状というのは、どのような状態なのでしょうか? お願いします。

まず、その症状が本当に腹水によるものかどうかを診断することが必要です。抗がん剤+ハーセプチンの点滴では、ステロイドホルモン剤を併用していることがあるので、それにより「中心性肥満=顔や体幹部に脂肪が多くなる」という副作用が起こっていることも考えられます。通常、腹水は下腹部だけではなく腹部全体が張ってきます。(文責 千島)

 

No.4370】 05年09月11日     Y 
左胸乳輪の痒み

年齢29歳、未婚、出産歴なしです。先月中頃から左胸の乳輪がとても痒くなりました。汗疹が出来やすい体質ということもあり、そのまま皮膚科で処方してもらった薬を続けていました。9月に入ってから下着に膿のような半透明のものが付着するようになり、更に左胸に今まで感じたことのない重みを感じるようになりました。私は胸が大きいため自分で触ってもよくわかりません。今現在、乳輪部分がかさぶたのように盛り上がっている状態です。分泌物はその付近から出ています。汗疹と乳房の異常とを見分けるにはどうしたらよいでしょうか。また子宮筋腫も持っているのですが、それも何か関係しているのでしょうか?

半透明の分泌物が乳頭の先端から出ているようならばあまり心配はないと思います。ただ、一度乳腺科で分泌物の検査と乳がん検診を受けることをお勧めします。分泌物が乳輪から出ているのであれば皮膚科医の指示に従ってください。子宮筋腫は今回の病変と関係ありません。(文責 千島)

 

No.4369】 05年09月11日     S
病理組織診について(HPNo.4239-2)

前回HPNo.4239で相談に乗ってもらったものです。石灰化と言われ大学病院で精密検査を受けてから、一ヶ月半が経過し、ようやく乳腺専門の先生の意見を聞くことが出来ました。エコーやマンモグラフィ、CTを撮った結果、「しこりはないが群集している石灰化があるので、MRIを撮って詳しく調べたい」と言われ、検査しました。その時点ではカテゴリー4と言われました。先日、MRIの検査結果を聞きに行きましたら、「MRIでもはっきりわからないので組織診をしたい」と言われ、約一ヶ月後に2泊3日入院し全身麻酔をして一部を取ることとなりました。どうも、私の胸が小さいのでマントモームは出来ないらしいです。その場ではショックのあまり承諾してしまったのですが、胸が小さい上に傷がつくのが心配で、「違う方法は無かったのか?セカンドオピニオンすれば良かったのか?」と迷っています。やはり、最終的には組織を取って調べるべきなのでしょうか。教えていただきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

両側乳房ともにカテゴリー4なのでしょうか? カテゴリー4の石灰化部分には50%程度でがん細胞が存在していると考えられます。理想的にはマンモトームによる生検が良いと思いますが、貴女の場合はマンモトームが適応にならないということなので、次の手段としては外科生検も考慮することになります。通常は局所麻酔で行う手術ですが、両側生検の場合や、乳がんが発見された場合は、リンパ節生検も同時に行うのであれば、全身麻酔の方が良い場合もあります。マンモグラフィやMRIを見ていないので判断が難しいのですが、どうしても手術に不安があるようならば3〜6ヶ月後に再検査を行って、石灰化に変化を認めれば手術を受けるという選択肢もあります。いずれにしてもセカンドオピニオンは受けておくほうが良いと思います。(文責 千島)

 

No.4368】 05年09月11日     SU 
組織診をすることになりました

温存手術後、放射線治療を終え、現在化学治療中(EC4クール+Wタキソール12回)です。44歳です。手術後、病理組織診の結果を渡して頂きましたが、いまひとつ見方がわかりません。以下結果による病期、リスク、再発率などを教えてください。初歩的な質問で申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
組織診断:
Invasive ductal carcinoma,scirrhous carcinoma, of the left breast(Bp+SNB+Ax),C area, pT1c(1.9x1.8x1.0),pN1(total:3/6),margin(very close,skin-to lateral-side, in situ ca),nuclear grade 1, ER(+++),PgR(+++),HER2/neu(0),g(+),f(+),ly2,v1,neuroendocrine feature(+/-)
所見:
組織学的には、索錠ないしは小〜中型胞巣状に浸潤するductal carcinomaであり、solid patternを主体とするin situ lesionsを伴っています。Scirrhous carcinomaの像であり、細胞はlobularに似るところもあります。脂肪組織内に、概して中程度の浸潤所見を示しています[前方境界線の断裂(++)]また、クーパー靱帯内へのin situ ca. の進展像も部分的に認められます。皮膚側〜側方(尾側)にて、in situ ca が一部で切除段端のごく近傍まで及んでいます(明らかな露出所見は、切片上ありません)。核異型:score 1, 核分裂:score 2(5個/10HPF)、nuclear grade1. Intraductal spread (+) ,EIC(-), daughter  nodule(-),comedo(+/-),calcification(+), Lymphocyte infiltrate(+)
免疫染色の結果:
ER(++to+++),PGR(+++),HER2/neu:Herceptest(SCORE 0:強陽性部0% 中等度陽性部0%  弱陽性部5%),Neuroendocrine marker stain: synaptophygin(+,小範囲)、chromogranin A(-)
センチネルリンパ節2個[5x4x2mm(3分割)および2x1x1mm(そのまま包理)]に、adenocarcinomaの転移所見を認めます。Level 1リンパ節4個中1個に、adenocarcinomaの転移がみられます。Level Uリンパ節として提出された検体は、結合織のみであり、リンパ節は含まれていませんでした。

1) 貴女の場合、左乳房円状部分切除術+センチネルリンパ節生検を施行した結果、リンパ節転移を認めたため腋窩リンパ節郭清を施行された症例のようですね。外科的手術の所見で気になるのは、切除断端が陽性(ごく近傍)、郭清したリンパ節の数が少ない(6個のみ)ことです。乳腺切除断端が5mm以下である場合は、残存乳腺内にがんの一部が残っている可能性があり、断端陽性と定義されます。また、リンパ節郭清は10個以上のリンパ節を検索することが望ましいとされています。
2) 乳がんの組織型は硬癌タイプで、核異型は軽度、ホルモンレセプターは陽性、HER2発現は陰性です。比較的おとなしいタイプの乳がんと考えますが、気になるのはリンパ管浸潤が2+ということです。最近はリンパ管浸潤が高度な場合は再発高危険群に分類されるようになっています。
3) 術後補助化学療法は標準的な治療法と考えられますが、放射線治療よりも先に化学療法を行うのが一般的です。
4) 上記化学療法終了後にホルモン剤治療を受けることを前提として考えると、貴女の乳がん転移再発率は10年間で8.7%(Adjuvant! Onlineという計算ソフトを使用)と考えられます。(文責 千島)

 

No.4367】 05年09月11日     N.A.
ノルバデックスについて

ノルバデックスについて教えて下さい。飲み始めて二週間ほどになりますが便秘気味です。薬と関係がありますか? どうぞよろしくお願い致します。

薬の説明書(添付文書)にある5%未満の副作用として、悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛などの消化器症状がありますが、便秘については記載されていません。あまり長く続くようであれば主治医に相談してみてください。(文責 千島)

 

No.4366】 05年09月11日     Y.T. 
外科的生検の不安

38才独身です。このページを見つけ、とても力になりました。乳頭からの血液分泌があり、乳管内視鏡、MRI、CTなど、半年の検査の結果、良性悪性の判断の為に外科生検が必要だと、手術日も近くに決まっています。しかし、私の場合はエコーでもマンモグラフィーでも特にとらえるのが難しく、針生検ではとれないほど小さいもののようです。私としては、そんなに小さなものなのに、これ以上の検査が必要なのかと、とても迷っています。逆に身体を悪くしてしまうのではないかと不安です。非浸潤の場合でもメスを入れないで検査する方法はないのでしょうか? また、生検により乳腺の一部が無くなってしまうのも、とても不安です。一部を切ってしまっても、残りの部分で乳腺の機能は大丈夫なのでしょうか。また切ってしまった乳腺の残された袋の部分はどうなってしまうのでしょうか? 主治医は、本にも載っている、とても有名な病院の名医と言われる先生です。確かに分泌物の中にはグレーの部分があるそうです。外科生検をするべきでしょうか? 針生検ができるくらい、もう少し大きくなるまで経過をみているのは危険なことなのでしょうか?

乳頭血性分泌物に対して乳管内視鏡検査まで行っているようなので、小さいながらも分泌物の原因となっている「腫瘤の存在」は確認されているのだと思います。乳管内視鏡を用いて細胞診や生検を行った結果、良・悪性の判断が難しいのであれば、やはり乳腺腺葉切除(外科生検)の適応だと考えます。ただし、悪性細胞が確認されていないのであれば「緊急を要する病変」ではないので、今回の手術を受けることに迷いがあるならば、一度手術をキャンセルして、もう一度手術の時期や方法、検査結果の詳細について主治医から説明を受けるのも良いのではないでしょうか。(文責 千島)

 

No.4365-1】 05年09月11日     F
乳がん告知から手術までの間について

先日、乳がんを告知されました。その後の手術の日程は決めたのですが、手術前に行った検査は、乳がんとしての検査(触診、マンモグラフィ、エコー、細胞診、MRI)のみです。私は、しこりがかなり大きいので転移していないか心配なのですが、CTや骨シンチはいつするものなのでしょうか? 先日聞いたところ、CTは手術前日、骨シンチは手術後と聞きました。これらの転移に関する検査は、乳がん手術後に行い、異常が発見されたらその処置をするものなのでしょうか? なお、細胞診ではクラスVが出ているのですが、細胞診ではクラス以外にわかることはあるのでしょうか? たとえば、がんの悪性度を知るための核異型度などもわかるのでしょうか? もし、事前にわかっているのであれば、それをすべて受け入れた状態で手術に望みたいと思っていますので、再外来し、聞きたいと思っています。私の受けた検査内容で医師はわかっている内容があれば教えてください。よろしくお願いします。

触診、マンモグラフィ、超音波、MRIは「乳腺腫瘤の存在や乳房内の広がり」を診断するための検査です。細胞診は「乳腺腫瘤の質」を診断します。ClassXというのは細胞レベルで乳がんが強く疑われる(大体98%以上の確率)ということを意味しています。組織型、細胞異型度、ホルモンレセプター、HER2発現については組織診断(太い針で組織を採取)が必要となります。CT、骨シンチグラムは「乳腺腫瘤の多臓器への広がり」を診断します。リンパ節、肺、肝臓に関してはCTで、全身骨に関しては骨シンチグラムで診断可能です。理想的には手術前に行うべきと考えますが、骨シンチグラムは検査日の制限、予約状況から手術後になることも少なくありません。貴女の場合は「腫瘤が大きい」ということなので、術前化学療法などの選択肢も視野に入れながら、CT検査などの結果説明を受けてから治療法を選択するのが望ましいと考えます。(文責 千島)

 

No.4365-2】 05年10月30日     F
補助療法について

先日、HPNo.4365で質問させていただきました。その後、9月13日に右胸の全摘手術を行いました。病理結果では、ほとんどが非浸潤性であり、浸潤部はごくわずか(浸潤部の大きさを聞きましたが、ごくわずかとしか教えてもらえませんでした)。病理結果は、リンパ節転移1/39、ER陽性 PgR陽性、HER2判定保留、切除断端 陰性(ただし、断端から非常に近い位置に非浸潤性癌あり)、また、手術前日にCTをとったところ、1枚の画像に小さいが薄い影があったとのことでした。今後の治療としては、抗がん剤、ホルモン療法、放射線療法を薦められ、現在抗がん剤(CEF)投与を始めたところです。そこで、今後の補助療法および肺の影について質問をさせてください。
1) 私のように全摘出を行った場合でも放射腺療法は効果があるのでしょうか? 主治医は、断端に近い箇所に非浸潤性といえども癌があったため、行ったほうがよいといわれました。
2) ホルモン療法についてですが、ER,PgRが陽性だった場合、ホルモン療法を行うか行わないかで再発率というのはどのくらい変わるものなのでしょうか? 現在36歳で癌告知前まで子供が欲しかったため、ホルモン療法について行うかどうか悩んでおります。
3) 主治医は、どうしても子供が欲しい場合、化学療法→放射線→出産→ホルモン療法を行うことになると説明されました。もし、ホルモン療法を行う前に妊娠、出産した場合、再発率が高くなったり、体内に残っていたがん細胞の進行速度が速まったりというリスクはありますでしょうか? 素人感覚で妊娠や出産はホルモン分泌が活発になるイメージがあり、リスクが高まることを恐れています。
4) 肺にあった影についてですが、主治医は現在の段階で転移なのかどうかわからない。2ヶ月後に再検査を行い判断するとおっしゃっているのですが、一般的な診断方法でしょうか? 他の検査方法などあれば教えてください。
5) 現在まだ骨シンチを行っていません。主治医はあまり急いでいないようなのですが、早めに検査したほうがよいでしょうか?

長文となってしまいましたが、よろしくお願いいたします。

 

1) 1998年にEBCTCGが出したそれまでの大規模試験のまとめの報告では、乳房切除術後に局所に放射線療法を加えることで局所再発は減るが、生存率には差が出ないという報告がなされました。その後1997年には生存率も改善するという報告もありますが、非照射群で局所特にリンパ節再発が多かったことから、手術療法の不十分さを疑問視する意見もあり、難しいところです。断端に非常に近くに癌が存在していても、尚且つ手術で取りきれていると考える場合は放射線療法をしなくても良いかと考えますが、私自身、癌が明らかに露出していたり、かなり広範囲に断端ぎりぎりであった症例で照射をお願いしたこともあります。やはり個々の症例の病理結果に応じて対応していくということになると思います。
2) EBCTCGが1992年に発表した7万例を超えるデータ(ただし閉経前後や化学療法併用群も含まれます)によれば、何もしなかった人を1とすると、タモキシフェン服用例では再発の危険性を0.87に、つまり13%ほど引き下げてくれることになります。また、閉経前のホルモン療法であるゴセレリン(ゾラデックス)の2年間投与はCMFという化学療法6クールと同等といわれていますので、年間の再発率を24%前後改善してくれると考えられます。
3) 妊娠、出産により、やはり若干再発のリスクが高くなる可能性があります。最低でも2〜3年は何もないことを確認してから考えるほうが良いと思います。また化学療法の副作用によって閉経状況になってしまう可能性もあります。
4) 今の段階で診断のつかない小さく淡い影を2−3ヶ月後に再検査をするというのは、診断上も重要だと思います。
5) 後日比較する意味で、今現在の骨シンチグラムを撮っておくのは、それなりに意味のあることだと思います。(文責 片山)
 

No.4365-3】 05年11月20日     F
肺の影について

先日HPNo.4365で質問させていただきました。いつも丁寧なご回答、ありがとうございます。今回は、前回少しお聞きした肺の影について質問させていただきます。CT検査で見つかった肺の影についてですが、手術前日の9月12日にCTをとったところ、1枚の画像に小さい薄い影(1cm未満)が1つありました。その時は、何かわからないため2ヶ月後に再度CTをとって判断したいとのことでした。去る11月11日に2回目のCTをとったところ、前回と同じ影があり、サイズは前回と同じであるとのことで、主治医は炎症性の影の可能性が高いとの診断でした。あらゆる可能性を列挙するならば、炎症性、肺がん、乳がんの転移で、7対2対1の確率ではないかといわれました。この腫瘍に対して、今後どのように対処していけばよいか悩んでいます。主治医は2、3番目を考えた場合、この腫瘍を手術で切除し、病理を確認した方がよいのではないかと言われました。また、手術以外に確認する術は今のところはないとも言われました(もう少し腫瘍が大きければ、乳がんのように針生検ができるともいっていました)。そこで、質問なのですが、本当にこの腫瘍が何であるか診断するには手術して切除するしかないのでしょうか? もっと他に検査方法はないでしょうか? また、この腫瘍が大きくなったときに対処するとしたならば、予後のリスクは高くなってしまうのでしょうか? 恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

CTなどの画像検査では良悪性がはっきりしないことも少なくないので、腫瘍を切除して病理組織学的に調べる検査が一番信頼できます。細胞診(針生検)では、悪性であっても出ないことがあります。無駄な手術はできるだけ避けたいので、経過を見て大きくなっていなければ良性・炎症性のものと判断する場合があります。経過を見ていて腫瘍が大きくなったとき、それが悪性ならば、予後のリスクは高くなってしまう可能性があります。このジレンマで悩むわけです。(文責 石川)

 

No.4365-4】 06年5月31日     F
放射線治療について

以前にHPNo.4365 、4578などで質問させていただいたFと申します。いつもご丁寧な回答、どうもありがとうございます。何度も恐縮ですが、放射線治療について質問をさせていただきます。昨年9月に右乳房の全摘手術をしたのですが、断端が陰性であったものの、断端から0.2mmの位置に非浸潤性癌あったため、放射線治療を薦められています。そこで質問です。
1) 通常、温存療法などでは6週間内にうける放射線治療をすすめられるのに、8ヶ月もたった後に放射線治療をすることに意味はありますか?
2) 放射線治療を行った場合のメリット/デメリットは何ですか? この治療を行うことによって再発時に行う治療方法の選択肢が少なくなることはありますか?
3) 今、放射線治療を行う場合と、再発時に行う場合を比較した場合、予後は変わりますか?
4) 全摘後の放射線治療照射の量および回数の標準を教えてください。

以上です、よろしくお願いいたします。

1) 温存療法後の照射については厚生労働省の班研究に基づくガイドラインによれば8週間以内に開始することが望ましいということになっていますが、術後化学療法を先行して行い、その後に照射を行った場合でも局所再発率が増加しないとの報告もあります。8ヶ月たった後に放射線治療を行っても意味が無いとは言えないと考えます。
2) メリットは局所再発率を低下させることが期待されます。デメッリットは皮膚、心血管、肺、骨髄など照射野に入る臓器の障害が考えられます。再発時の治療には影響しないと考えます。
3) 予防的な照射と再発時の照射では対象患者さんの背景が異なりますので、単純な比較は困難です。
4) 機種や施設により多少違いはあると思いますが、50グレイ/25回程度が標準的と考えます。(文責 浜口)

 

No.4364】 05年09月11日     M・M
経口抗癌剤について(HPNo.4287-2)

HPNo.4287 で以前質問させていただきましたM・Mと申します。母、57歳。しこり約3センチ(正確な大きさはわかりません)。左乳房全摘。前回はリンパへの転移の可能性をお伺いしましたが、病理検査の結果、切除したリンパ節には転移はなかったとの結果が出ました。先日、退院後初めての外来に母が行き、検査の結果と今後の治療方法を伺ったところ、「まずは経口抗癌剤(比較的マイルドな抗癌剤だそうです)を1年ぐらい続けましょう。」とおっしゃられたそうです。詳しい検査の結果は、母本人が乳癌に対しての知識がない為、ホルモンレセプターなど、必要な情報が頭に入らなかった様で、覚えていることは、「@リンパへの転移なし(多臓器への転移もなし) Aホルモンの関係で癌を増殖する為のものがマイナス(私が推測するにはHar-2の事では?と思います)、 B Aの為、ホルモン剤の必要もなし。経口抗癌剤(比較的マイルドな)のみ。」という事です。まだ薬が処方されていないので、詳しい薬名が分からないのですが、先生が上記の様な状況から推測される、病理検査の結果(ホルモンレセプター等)や、どういう場合に経口抗癌剤で治療をするのか、教えていただければと思います。もっと効力のある点滴での抗癌剤は必要なかったのかと、少し心配をしています。情報量が少なくて申し訳ございませんが、推測の範囲で結構ですので教えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

お母様の病理組織診断を推察するに、大きさ3cm、リンパ節転移陰性、ホルモンレセプター陰性の乳がんということになると思います。HER2に関しては不明です。ホルモン剤内服の有無を決めるポイントはホルモンレセプターの発現であって(Aの部分)、HER2発現ではありません。通常、57歳で3cmの乳がん、ホルモンレセプター陰性であれば、リンパ節転移の有無にかかわらず、点滴の抗がん剤による治療が勧められています。最近、一部の経口抗がん剤でも「術後補助療法に関する有用性」を示す臨床試験結果が発表されていますが、現時点での標準的治療は点滴による抗がん剤投与となります。もう一度主治医に病理結果を確認(メモに記載してもらって保管しておくと良いでしょう)して、経口抗がん剤を選択した理由について聞いてみるようにしてください。(文責 千島)

 

No.4363】 05年09月10日     A,Y
乳房のしこりについて

34歳、2児あり、授乳経験ありです。左乳房にしこりがあり、両乳頭から血性ではない分泌があり、受診したところ、マンモではしこりは写らず、エコーで、境界が不明瞭な5.9x8.9の腫瘤が写りました。触診では表面がつるっとした良く動くしこりと言われました。注射針での細胞診の結果は、細胞数が少ないとのことで、医師は繊維質の多い良性の腫瘤か、腺癌(繊維質の多いタイプの癌だから・・・と説明されました。)の可能性もあると言いました。MRIでは、120秒以内のピークが無かったそうです。たぶん、乳腺症のしこりでしょうと診断されたのですが、再度エコーを行ったら、今度は境界が鮮明なしこりと言われ、困惑しています。
1)これらのデータから、乳腺症と受けとめて大丈夫ですか?
2)細胞針の結果は、どう理解すればいいのでしょうか?
3)しこりの治療法はありますか?

癌に対する不安がぬぐえません。ご助言ください。

記載されている情報から考えると、乳腺線維腺腫が最も考えられます。もし心配ならば、超音波で腫瘤に針が刺さっていることを確認しながら細胞診を行うことをお勧めします。基本的に貴女の腫瘤が線維腺腫ならば治療の必要はないと思います。線維腺腫の癌化は極めて稀で、閉経後にはほとんど大きくなりません(むしろ萎縮してきます)。線維腺腫の手術基準は、1)腫瘤径が3cm以上、2)半年くらいで急激に大きくなる場合、3)強い痛みを伴う場合、4)40歳以上になっても大きくなり続ける場合、5)癌が否定できない(細胞診でV・W・X)場合などが考えられます。(文責 千島)

 

No.4362】 05年09月10日     A
腫瘍マーカーの値について

今年2月、2.6cmの悪性腫瘍が見つかり、即、温存で手術しましたが転移はなく、以後25回の放射線治療を受け、その治療が終了した4月からノルバテックスを飲んでいます。主治医によると経過も癌の状態もよく、きわめて再発の可能性は低いとのことで、今後2年間服用することになっています。薬の副作用もなく、日々元気でいますが、腫瘍マーカーの値が腑に落ちず、ご相談させていただこうと思いました。 まず手術直前のCEAが、0.5以下、手術1か月後も全く同様の値で、5月に0.8と少し増え、8月には0.6となっています。そしてCA15−3の方は、手術直前が3.5以下、手術1か月後が7.7と上がり、5月は6.8に減って、8月は7.9と再度上がっています。どの値も基準値よりはるかに下であるし、腫瘍の取り残しがないことも確認済みであるため、主治医は問題にされていませんが、単純に考えてCA15−3については、悪いものを取る前に3.5以下だったものが取った後に2倍に増えたり、また直近で最高の7.9になっていることが気がかりです。癌以外の病気が値に出ることもある等、マーカーだけでは判断しがたいため、触診も併用して診ていただいていますが、この値の不思議はどういう理由なのでしょうか。また術後数年は、こういう値の動き方も珍しくないのでしょうか。

腫瘍マーカーが基準値以下の場合は、諸々の因子による測定誤差範囲と考えられます。腫瘍マーカーは一回ごとの測定値を基準値と比較するのではなく、基準値を超えて持続的に上昇する場合のみ異常と判定します。(文責 千島)

 

No.4361】 05年09月10日     M.T.
細胞診の結果について

35才、出産経験なしです。よろしくお願いします。
[経緯]
08/09、人間ドックにてエコー検診の結果、左胸に1cm程度のしこりが認められ専門医の受診を進められました。08/11、乳腺外科にてマンモグラフィー、エコー検査を受診。マンモグラフィー 異常を認められず。エコー、やはり1cmほどのしこりが認められ「乳腺線維腺腫」の疑いで、細胞診をすすめられる。08/20、細胞診実施。09/03、細胞診の結果Class3とのこと、再度、細胞診をすすめられる。09/06、細胞診再実施予定。09/15、細胞診の結果を聞く予定。
[質問]
1) 再度Class3がでた場合、先生なら次のステップとして「摘出生検」「経過観察」のどちらをとりますか。
2) 次の結果がClass1またはClass2の場合はいかがですか。
3) 摘出生検の場合、針を刺してサンプルをとるのと、メスで切り開いてサンプルをとるのでは、結果の精度/信頼度に違いはあるでしょうか。素人にはサンプルは大きいほど精度が高いように思いますが・・・。
4) 針でもメスでも摘出生検を行った場合、ガン細胞が拡散する可能性が言われていますが、この点はどうお考えですか。もし、拡散があるのであれば、ガンだった場合、摘出後どの程度の期間内に手術すればガン細胞の拡散を防ぐことができると考えられているのでしょうか。

私の中では、一度Class3が出たからには、次の結果を問わず、生検に進みたい気持ちです。また、心情的には針で部分的にというよりも、多少の傷は残っても全部とって調べてもらいたいと思います。ただ、針でもメスでも100%精度が同じ、ガン細胞の拡散のリスクも同じであれば、無駄に傷を残す必要もないかとも思います。質問が長くてすみません。よろしくお願いします。

次に細胞診でClassT・Uが出ても、最初の細胞診でVが出ていれば、こちらの結果を重要視します。一般に「V=良性と考えられるが悪性も否定できない」ということなので、状況によっては組織診による確定診断が必要になってきます。針生検はあくまで診断目的で行うものです。傷の大きさにこだわらないのであれば、治療と診断を兼ねた外科生検を選択するのも良いと思います。(文責 千島)

 

No.4360】 05年09月10日     H.S.
ゾラデックスについて

浸潤ガン2A期と診断され、先日手術しました。30歳、未婚です。センチネルリンパ節生検で、腋への転移はありませんでした。組織検査の結果ER−、PGR−、HER2−でした。今後の治療は初めにゾラデックスで生理を止めてから抗がん剤、放射線治療と言う事なのですが、ゾラデックスの説明書には女性ホルモンの産生を抑え、がん細胞の増殖を抑える薬と書いてありました。私の場合、組織検査においてホルモン受容体陰性という結果ですが、このような場合でもゾラデックスを使う事は有効なのでしょうか? 副作用で閉経してしまう事もある、と書かれており、とても不安です。ご意見、お聞かせください。よろしくお願い致します。

貴女の場合は30歳、未婚ということなので、将来の妊娠・出産の可能性を考えて、「卵巣機能保護目的」にゾラデックスを使用するのだと思います。ホルモンレセプターが陰性の場合、乳がん細胞の増殖を抑えるという目的での効果はあまり期待できません。ゾラデックスでどの程度卵巣機能を保護できるかは確実なデータはありませんが、卵巣保護目的で使用する場合には化学療法開始3週間位前から使用することが望ましいと考えられています。ただし、化学療法の効果を減弱させる可能性もあるので注意が必要です。もう一度ゾラデックスの使用目的、効果と弊害について主治医に相談してみることをお勧めします。(文責 千島)

 

No.4359】 05年09月06日     K.
悪性腫瘍禁忌について

昨年手術をしました。温泉が好きでよく出かけるのですが、効能書きのところに「悪性腫瘍禁忌」と書かれている所が多く、とても気になります。どうして駄目なのでしょうか。やはり控えた方が良いのでしょうか。

温泉に表示されている「悪性腫瘍禁忌」にどれだけの根拠があるのかはわかりません。どうしてそのような表示があるかは私も正直よくわかりませんが、傷に膿がでているとかでない限りは問題なかろうと思います。術後でお元気な方だろうとお見受けしますので、特に問題はないかと思います。ストレスの解消や傷の痛みにもよいと思われますので、控える必要はないかと思います。(文責 俵矢)

 

No.4358】 05年09月06日     K 
しこりを切除しましたが…

ご相談したいことがございます。8月半ばに、左の乳房の上部に出来たしこりを切除する手術をしました。しこりの大きさが3cmということと、エコーでも疑いをかけられるような結果が続いた為、お医者さんと相談して、手術をすることにしました。結果、良性だったので、癌の心配は無いということで安心したのですが、傷に関しては不安な日々が続いています。手術から8日後に抜糸をしましたが、それから4日後に傷口から出血してしまい、病院へ行ったら、また縫うことになりました。それから、また4日後、縫っているにも関わらず、今度は傷の両端から、ずっと出血が止まりません。量が多いわけではないのですが、ガーゼを3・4時間おきに変える位の量です。このような状況は、普通にありうる事でしょうか? それとも、手術があまりうまくいってない、ということなのでしょうか? ご回答を宜しくお願いいたします。

傷の状態を実際に拝見してみないと判断できかねる部分があります。通常は出血に関してはせいぜい1―2日で止まるのが普通ですが、しこりが3cmと少し大きめだったということなので、浸出液と少量の血液の混じったものが出ているのかなと思われます。
乳腺を切除量が大きめだと浸出液も多くなるのでありえることかもしれません。おそらく処置のため病院に通院していらっしゃると思いますので、主治医の先生に心配していることをお伝えになったらいかがでしょうか。きっといろいろ説明してもらえると思いますよ。(文責 俵矢)

 

No.4357】 05年09月06日     OK
石灰化について

この度、市の乳癌検診のマンモグラフィーで石灰化が見つかりました。右乳房に2箇所不明慮で集族性でカテゴリー3です。触診とエコー検査では異常がありませんでした。不妊症の治療でホルモン剤も飲用してると言う事で、2ヵ月後にまたマンモグラフィーをして変化なく、エコーと触診をしましたが異常はありませんでした。おそらく大丈夫という事で、今度は半年後に来院するように言われました。ネットとかで調べると、カテゴリー3以上になると細胞を採って調べるのが普通みたいなのですが、私の場合、そういう検査をしなかったのですが、大丈夫なんでしょうか? 癌家系なので、人より敏感で心配になるのですが、宜しくお願い致します。

カテゴリー3の中でも「がん」の疑いがある一定以上ある場合は針を刺す検査を行いますが、カテゴリー3の中でも「良性」の可能性のほうがずっと高いと思われる場合は、経過観察を行います。患者さんのご希望があれば針を刺す検査をお勧めすることもありますが、病変の場所や、性質、乳房の大きさなどによっては針を刺しにくい場合もあります。今一度主治医の先生にご心配なお気持ちを伝えて、御相談なさったらいかがでしょうか。(文責 俵矢)

 

No.4356】 05年09月04日     M 
手術時につけたクリップについて

初めまして、私は5年前に中期に入った段階で温存手術を受けました。その後、放射線、抗がん剤、そしてホルモン剤での治療を行い、現在は、2,3ヶ月に1回くらいの割合で検診に行っております。ずっと気になっているのですが、手術した個所にクリップのようなものが入っています。レントゲンをとると1.5pくらいのクリップが写ります。現在検診していただいている先生と、手術をした病院、先生は異なりますが、一度、クリップについて質問した所、「手術した個所がわかるようにマークしてあるもので、問題ありません」と言われました。このクリップは、乳がんの温存手術を受けた人はみんな入っているのでしょうか。一生、このクリップは体に中にあって大丈夫なのでしょうか。とても不安です。返信をお待ちしております。宜しくお願いします。

クリップは放射線照射や、経過観察時に切除部分がよくわかるように付けてあるものだと思います。施設によって、また症例によって、つける場合とつけない場合があると思います。クリップは乳癌の手術だけでなく、いろいろな手術でも使われますが、通常特に問題となることはありません。どうしてもご心配ならば、手術をなさった先生にお聞きになるのがいいかもしれません。(文責 俵矢)

 

No.4355】 05年09月04日     Y 
アリミデックス服用による肝機能障害

54歳の主婦です。2002年9月にステージVで左乳房全切除術を受け、その後ホルモン剤(アリミデックス)を服用しています。アリミデックスは肝機能障害の副作用があると聞いてておりましたが、確かに体がだるくて疲れやすく、γGTPも108と高くなっています(8月検査結果。尚、普段から飲酒はしません)。再発が心配なので、ホルモン剤の服用はやめたくないのですが、以下のことについてアドバイス下さいますようお願いいたします。
1)服用の仕方(食事の時間とのタイミングや、何かと一緒に飲む方がよいとか)
2)肝機能を改善するための食生活での注意点 
3)肝機能を改善するためにアリミデックスと併用してもよい薬、又は一緒に飲んではいけない薬

お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。  

1)アリミデックスは朝食後に出されることが多いかと思いますが、食事時間とのタイミングはとくに関係ありません。
2)肝機能がもしお薬の副作用であるならば、食生活上の注意は特に不要です。
3)しかし現在の肝機能障害がアリミデックスの副作用であるかは、肝機能障害の経過、服薬歴、既往症などから判断されるもので、ここではそうであるともないともお答えすることはできません。仮に肝機能障害がアリミデックスの副作用であるならば、その程度によってはお薬を中止したり、変更したりする必要があります。いずれにせよ主治医の先生によく御相談なさってください。(文責 俵矢)

 

No.4354-1】 05年09月04日     IH
検査結果による再発率について

初めまして、私は31歳の主婦で、子供はまだです。8月9日に乳ガン全摘手術をして、病理検査の結果は、硬ガン、腫瘍1.5cm、グレード2、リンパ転移無し、ホルモンセレプター ER陰性 PGR陽性、HER2(+1)でした。主治医の先生との相談により、治療法はACを4クールした後にゾラデックスにより2年間生理止めとタモキシフェンを5年間やることになりました。主治医の先生は中間リスクだといわれました。そこで質問です。
1) 私の検査結果では、「ホルモン感受性は一応PGRが陽性だからホルモン治療が有効だと思うけれど、ERが陰性だから少し効果が弱い」と先生が言われますが、ホルモン治療をやめて抗癌剤による追加治療がよいのでは? と思うのですが、どうでしょうか?
2) 抗癌剤は使用しても効果がないこともあると聞きましたが、それはどれくらいの確率で効果が無いのでしょうか?
3) 私の癌のタイプの硬ガンとは、どういった性質で、リスクの高いものなのでしょうか? 
4) 以上の私の病理結果にて、上記の治療法でやっていくと、だいたい再発率はどれくらいでしょうか?

3) 乳癌の中で最も多い組織型は浸潤性乳管がんですが、浸潤性乳管がんは更に乳頭腺管がん、充実腺管がん、硬がんの3つのタイプに分かれます。硬がんは他のタイプに比べ分化度が低く、リンパ節転移も高率であるといわれていますが、現在では独立した予後因子とはされておらず、リンパ節転移の有無、異型度などの因子をそろえると、おそらくあまりリスクは変わらないと思います。
1)2)4) 確かにEGR陽性 PGR陽性の方に比べると、EGR陰性、PGR陽性の方はホルモン感受性が低く、ホルモン療法の効果も劣るということは言えると思います。抗がん剤による追加治療とはACに引き続いてタキサンを追加するという意味でしょうか? 抗がん剤による治療にしても、ホルモン療法にしても、がんの再発を100%防げるわけではありませんが、一定の確率では防ぐことはできます。この場合タキサンを追加するかどうか、ホルモン療法をするかしないかに関して、どの方針が間違っていて、どの方針が明らかに優れているということはなく、ケースバイケースだと思います。まず主治医の先生と今一度よくお話になってみるほうがよいかと思います。(文責 俵矢)

 

No.4354-2】 05年09月10日     IH
検査結果による再発率について(2)

HPNo.4354にて質問させていただいた31歳の主婦です。アドバイス、ありがとうございました。また更に追加質問させていただきたいのですが、よろしくお願いします。私の病理結果では、次の3パターンでは、どれが一番適して再発率を下げられると思いますでしょうか?(年齢31歳、硬ガン、腫瘍1.5cm、グレード2、ER−、PGR+、HER2+1、リンパ転移なし)
(1) AC+ホルモン治療(ゾラデックス+タモキシフェン)
(2) AC+タキソール
(3) AC+タキソール+ホルモン治療
私の病理結果程度なら、(3)のAC+タキソール+ホルモン治療はやりすぎでしょうか? 自分的にはホルモン感受性が弱いので、(2)のAC+タキソールがいい気もしますが、一応弱いながらも感受性があるので、(1)のAC+ホルモン治療 でもいいような気もして迷います。すみませんが、先生なりの回答と、その訳を教えていただけませんか? それと気になるのですが、AC+タキソール治療をして再発したときは、再発治療にて使う抗がん剤はありますでしょうか? ガン細胞には耐久性があると聞いたので、切り札を使って再発したときが怖いきもします。

この前は硬癌についてお尋ねしたところ、硬癌はリンパ節に転移しやすい性質のタイプだと回答をいただいたのですが、私はリンパ節に転移が無かったのですが、無かった場合は硬癌の性質によるリスクは低いのでしょうか? それと、硬癌患者の10年生存率を見たら他のタイプに比べると低いのは、やはりリンパ節転移しやすいため、それが原因になっているものなのでしょうか? それともう一つ質問なのですが、抗癌剤による生理機能停止の心配ですが、8日前にAC4クールの一回目を投与したのですが、主治医の先生の話だと、「ACを投与した場合、40歳の人なら40%くらいの確率で生理機能がとまるが、絶対に戻らないわけではない。」と聞きました。まだ出産をあきらめきったわけではないので、そこらへんのことを実際どうなのかお聞きしたいのですが・・・。それとゾラデックスをしてから抗癌剤を使うと、確証はないが、卵巣防止することがあると聞きましたが、私の場合、すでにACを一度投与したわけですが、今からでもゾラデックスを使えば卵巣機能防止効果はあるのでしょうか?

1) AC療法にゾラデックスを追加した場合に、「どの程度上乗せ効果があるか」についてのエビデンスはありません。また、ER(−)、PgR(+)症例でのタモキシフェンの効果も40%程度です。年齢も31歳なので、貴女ができる限り再発予防効果の高い治療を望むのであれば三番目の選択肢となります。その代わり、ある程度の副作用や高額医療費などの弊害は受け入れなければいけません。最終的には自分自身で治療法を選択することになりますが、各治療法の効果(利益)と副作用(弊害)のバランスについて、主治医と良く相談してから治療法を選択してください。
2) 最近はカペシタビン(ゼローダ)やビノレルビン(ナベルビン)などの再発治療に用いる抗がん剤も増えてきています。ただし、乳がんが再発してから「根治」するのは非常に困難と考えられているので、再発した時のために「抗がん剤を温存しておく」ということはありません。術後治療でエビデンスのある抗がん剤ならば、再発した時のために温存しておくよりも、術後にしっかりと使用しておくことをお勧めします。
3) 前回の回答にもあったように、再発リスクに「硬癌」という組織型自体は直接関係していません。再発リスクに最も関係が深いのはリンパ節転移の有無と考えられています。
4) ゾラデックスでどの程度卵巣機能を保護できるかは確実なデータはありませんが、卵巣保護目的で使用する場合には化学療法開始3週間位前から使用することが望ましいと考えられています。ただし、化学療法の効果を減弱させる可能性もあるので注意が必要です。(文責 千島)

 

No.4354-3】 05年09月17日     IH
術後の治療法について

HPNo.4354にて質問させていただいた31歳の主婦です。現在の私の治療法について今一度不安になったので、また相談させていただきたいと思います。とりあえず私の解るだけの病理結果は、「右乳房全摘手術、硬ガン、腫瘍1.5x1.0、リンパ節転移なし、ER− PR+、HER−2(+1)、グレード2 」です。主治医の先生は、中間リスクだと言われました。予定の治療法は、「ACを3週間空けの4サイクル+ホルモン治療(ゾラ2年+タモキシフェン5年)」になっております。8月31日にACの一回目の投与をして、二回目は9月21日の予定になっています。こちらの相談室や他の質問箱などを見ていると、私に似たような病理結果でも、もう一つ抗癌剤をふやしたり(AC+タキサン+ホルモン 、またはAC6サイクル+ホルモンなど)しておられる方が意外と多いので、自分の治療法が不安になってきました。ましてや私のホルモン感受性は、ERー PGR+で、少し弱いため心配です。私の病理結果をみたかぎり、「AC4サイクル+ホルモン(ゾラ+タモ)」は適しているでしょうか? 私的には少しでも再発率は下げたいと思っていますが、抗癌剤による副作用も心配なので、自分の病理結果に適した程度の平均的な治療法が知りたいのです。先生、ぜひアドバイスをお願いします。 

腋窩リンパ節転移陽性では、AC4サイクルよりもタキサンを追加したほうが、再発が少ないことが示されています。タキサンによる副作用は、ACに比較すると軽いので、少しでも再発率を下げたいとお考えであれば、タキサンを追加してはいかがでしょうか。再発予防なのですから、つらければ、途中でやめればよいのです。(文責 徳田)

 

No.4354-4】 05年10月29日     IH
手術後の治療方法について

いつもこのHPの先生方にはお世話になっております。術後の治療についてアドバイスをいただきたく思いメールをさせていただきました。私の病理結果を先に紹介しておくと、「年齢31歳、右乳房全摘、硬癌、腫瘍1.5x1.0、リンパ転移なし、ERマイナス、PGRプラス、グレード2、HER2+1、脈管侵襲は不明」です。術後治療として、ACを4クール3週間毎にした後、ホルモン治療(ゾラ2年+タモキシフェン5年)をやっていくことになっていて、今現在3クールが終わり4クール目を11月5日に行う予定になっております。前から気になっていたのですが、私のホルモン感受性は、ER−、PGR+で、ホルモン治療をするのに効果が弱いと思うので、AC4クールが終わる前に他の先生の意見も聞きたくてセカンドピニオンをしました。すると、セカンドピニオンの先生が言うには、「肝心のERが陰性だからホルモン治療をしても全く効果がないわけでは無いが、治療効果は薄く、やってもやらなくてもそんなに再発率に大差ない」との事でした。私の病理結果から考えると、「そんなに悪くないから別にAC4クールだけでも良いのではないか?」と言われました。
1)実際、ER−、PGR+の感受性でホルモン治療をしても、やってもやらなくても大差ないくらい治療効果がもてないものでしょうか? やるとどれくらい再発率が下がるものでしょうか?
2)私の病理結果から考えると、もしAC4クールだけで終わると10年再発率はだいたいどれくらいが予想されますでしょうか?
3)もしホルモン治療以外の治療をするなら、どういった治療が良いでしょうか? ACを6クールにしてもらうとかはどうなのでしょうか?

ばたばたと質問させていただいて申し訳ないのですが、アドバイスを是非いただきたく思い、メールさせていただきました。先生方、お忙しいところすみませんが、お願いします。

INT-0101トライアルでは、CAF(6クール)、CAF+Zoladex(5年間)、CAF+Zoladex(5年間)+TAM(5年間)の3群比較で、Zoladex単独ではなく、TAMを上乗せした群で、再発までの期間を有意に延長させたとあります。ただし生命予後では差は出ていません。また、Zoladexは化学療法にて閉経しなかった、あるいは血中エストラジオールが高く保たれている群では効果があったとされています。(文責 片山)

 

No.4353】 05年09月04日     KO
細胞診をした後の症状について

はじめまして。先日ドックで、母が乳ガンのステージ1と診断されました。大きさは8ミリ程度で初期だと言われ、形もくっきりとした丸で、初めは良性の腫瘍と思われたほどですが、すぐに細胞診をしていただいたら乳ガンと診断されました。そして一週間後に手術はお願いしたのですが、細胞を取った翌日(今日です)、乳首の両側が紫色に変色していました。細胞診は乳首の3センチくらい下でしたが、離れたところが鬱血する事は心配ないのでしょうか? そして、その事が原因で他へ再発するという心配はないのでしょうか? とても心配で、お伺いしたいと思います。宜しくお願いいたします。

細胞診では乳房に針を刺すので、たまたま細い血管にあたったりすると「血腫」という血の塊をつくることがありますが、自然に吸収されます。針を刺したところと少し離れたところにできることもありますが、心配ありません。針を刺すと他の転移が早くなるのではと心配されていらっしゃるようですが、最近ではあまり関係がないと言われています。安心して治療を受けてください。(文責 俵矢)

 

No.4352】 05年09月04日     N.N
細胞診で悪性と言われました

はじめてメールさせていただきます。37歳、未婚です。今日細胞診の結果、悪性と言われ、非常にショックを受けております。病院では即入院・手術と言われました。決して先生を疑うわけではないのですが、まだ信じられない気持ちでいっぱいです。色々調べたところ、細胞診は100%信用出来るものではないとあるものが多かったのですが、組織診(生検?)を行わないで間違いなく悪性と診断されるものなのでしょうか? ほんの少しでも間違いの可能性があるならと、つい思ってしまいます。また今後のことがとても不安でたまりません。入院まで10日以上あるので(まだ入院日は決定していません)、毎日が不安でいっぱいで、精神的にまいってしまいそうです。今後気持ちをどう立て直していけばいいのか、何か良い方法等があれば教えて下さい。

確かに細胞診だけで100%の診断をつけることはできません。しかし画像診断と細胞診を組み合わせることによって、かなりの精度で診断をつけることが可能です。また針生検などの組織診も厳密にいえば100%とはいえないのです。実際の所見をみていないので診断そのものが間違っているかどうかはここではお答えできませんが、少なくとも診断方法として間違っているわけではないと思います。診断や治療の選択に関しては、納得がいかなければまず主治医ともう一度お話いただくのが一番よいと思います。またセカンドオピニオン(他の医師の意見をきく)もよいと思います。突然「がん」といわれたら誰でも不安になると思います。心中お察しいたします。しかし周囲の方の支えや「時間」が必ず不安を少なくしてくれるものと思います。あせらず、急がず、一呼吸おいて、十分納得されて治療をお受けになってください。(文責 俵矢)

 

No.4351】 05年09月04日     N 
左胸の痛みについて

先日、左胸に痛みを感じ、触ると上部分が硬くなっていたため、マンモグラフィとエコー検査を受けました。結果は特に問題はなく、ホルモンのバランスで痛みが出たのでは?とのこと。また、左右の乳腺の大きさが違い、痛みのある左のほうが小さめでした。左右の大きさに違いがあることに何か問題はないのでしょうか? 検査を受けて1ヶ月がたちますが、痛みが消えることがないのですが、もう一度受診するほうがいいでしょうか。1年前まで授乳をしていました。宜しくお願いします。

「胸」が痛む場合、乳腺そのものが痛む場合と、その奥の肋骨や大胸筋などの筋肉骨格の痛みのことがほとんどです。生理のある女性ならば、生理の1週間くらい前から生理が始まってしばらくまで乳腺が張って痛みます。これは決して「病気」ではなく、「正常」の反応です。周期によって、また人によって痛みが強い、弱いはありますが、ほとんどは心配いらないと思います。また乳腺の奥の肋骨や筋肉の痛みも、通常は特に心配いらないことがほとんどです。乳房の大きさに関しては、ある程度の左右差があるのは普通です。1ヶ月前にマンモグラフィやエコー検査を受けられたのであれば、まず心配ないと思います。乳房の検査で異常がない場合は、「乳房の痛み」によって日常生活に支障をきたすような場合にのみお薬を処方することがありますが、ほとんどの方は治療不要です。ただ、しこりや乳頭の分泌、皮膚の変化などがある場合は早めに受診されることをおすすめします。(文責 俵矢)

 

No.4350-1】 05年09月04日     S.A
術後の化学療法について

はじめまして。いつも勉強させていただいております。母の乳がんについて質問させてください。母(60歳、閉経後)の乳がんが7月頭に発覚、8/9に右乳房温存療法、センチネルリンパ節生検を行ないました。結果は、リンパ節転移なし(3個採取)、断片陰性、ステージ1(大きさ1.1cm)、Her2 (2+)、ホルモン受容体(−)とのことでした(現在分かっているのはこの情報のみです)。主治医より、放射線療法と抗がん剤(ACを4サイクル)の投与を言われました。ただ、抗がん剤に関しては年齢的に微妙なこともあり、判断をゆだねられました。主治医曰く、「もう少し年齢が高ければ薦めないのですが、60歳という微妙な年齢なので念のためにやったほうがいいいと思う。おそらく、どの専門家に聞いてもそう答えると思います」とのこと。母も家族も一番安全な方法を希望しているので、その場では抗がん剤を行う判断をしました。しかし、投与予定の抗がん剤について調べてみると、かなり副作用の強い部類のものとあり、とても心配になりました。
1) 母は、やはり抗がん剤は必要でしょうか。また、AC療法は母にとって最適なものなのでしょうか?
2) 抗がん剤を行った場合、行わなかった場合の再発率の違いは?

以上、どうぞよろしくご回答お願い致します。

St Gallennのコンセンサス会議(乳がんの治療に関する国際会議)のガイドラインでは、再発のリスクを低リスク群、中等度リスク群、高リスク群に分けています。お母様の場合は一部不明の項目もありますが、おそらく中等度リスク群に入るものと思われます。ホルモン受容体がマイナスということですので、ホルモン療法の効果は期待できないため、ガイドラインではAC療法などの術後補助化学療法を推奨していますので、AC療法は治療法としては妥当であると思われます。
ただし、ガイドラインはあくまで推奨治療であり、実際の治療は患者さんの体力や持病の具合、年齢、ご希望などを考慮した上で総合的に考えて選択されるものです。ですから本当に化学療法が必要かについては、ご本人、ご家族の不安やお考えを主治医にお伝えになり、よく相談されたらよいかと思います。(文責 俵矢)

 

No.4350-2】 05年10月26日     S.A
喉の痛み、口腔内の違和感について

前回HPNo.4350でご相談させていただいたものです。現在AC療法中です。もうじき2回目の注射をひかえております。現在の母の症状で気になる点がありますので、再度、こちらでご相談させていただきたいと思います。8月末の放射線治療開始より(10月頭に終了)、喉の痛み、口腔内の違和感(舌の両端のぴりぴり感、赤み)が現在までずっと続いています。当初、放射線科医に症状を述べても放射線による副作用ではないとの回答。あまりに長く症状が続くので、先日耳鼻咽喉科にて相談したところ、おそらく放射線での副作用ではないかとの診断。現時点で舌癌等の心配はないとのことでした。とりあえず、一安心したものの、やはり不安をぬぐえません。
1) 胸部への放射線で喉や口腔内の痛み等は発生するものでしょうか。
2) 放射線の副作用の場合、時間とともに改善しますか。
3) 副作用でない場合は、どのような状態が考えられますか。再度、検査の必要があるでしょうか。
4) このような状況で、抗癌剤治療を進めても大丈夫でしょうか。
 
お忙しいところ大変申し訳ありませんが、ご回答よろしくお願い致します。

1) 温存された乳房への放射線照射ですので、照射野からはおそらく外れており、今回の口腔内の痛みなどは、おそらく抗癌剤の副作用の可能性のほうが高いと考えます。
2) どちらにしても時間とともに改善していくと思われます。
3)4) 症状がこれ以上悪化しなければ治療を続けながら様子を見て、終了後も症状があるようならば再度耳鼻咽喉科での検査も考慮されると思います。また中途で症状がさらに悪化するようであれば、休薬や薬剤の減量、治療の中断、中止なども考えねばならなくなる可能性もあります。(文責 片山)

 

No.4350-3】 05年12月25日     S.A
脇の下の変化及び血管炎について

いつも拝見して勉強させていただいております。前回HPNo.4350でも質問させて頂いております。今回も気になる症状について書かせていただきます。よろしくお願い致します。現在、AC療法の最後4サイクル中です。途中、白血球が800に下がるなど苦労しましたが、なんとか最後までスケジュール通りに終えることができ、後は薬の副作用がなくなり、母の体力の回復を待つのみの状態です。気になる点というのが、2回目の注射ぐらいから点滴を打つ側(左の手の甲)の手首が腫れ、つる様な痛みが出はじめたことです。主治医にもその旨を告げましたが「抗癌剤の投与で、血管炎を起こしている。これに対しての治療はないので、数ヶ月単位で様子をみるように」と言われました。注射を打つたびに手首の骨辺りが腫れ、発疹ができ、痛みがあった様子。注射をすべて打ち終えた現在、小さな紫斑が出来ており、痛み腫れもあるようです。素人ながら調べたところ、これは薬による過敏性血管炎と考えてよろしいでしょうか? それであれば、色々な臓器に影響がある場合が考えられるとあり、心配でなりません。現時点では、我慢が出来ないような痛み等ではないようなのですが、抗癌剤による血管炎の場合、きちんと完治するものなのでしょうか。それとも、専門医(この場合、リウマチ科でよろしいのでしょうか?)に、きちんとみてもらうべきでしょうか? また、最後の4回目の注射の日に、主治医にエコー、触診してもらい問題なし、次回は3ヵ月後と言われたのですが、次の日、母が自分で手術側の脇の下を触ると今までなかった筋の腫れ(血管のような筋が腫れているような)のようなものを発見。前日に主治医に確認をしてもらったばかりだし、抗癌剤中でもあるので、まさかとは思うのですが、これも不安が拭えません。やはり、もう一度主治医に診てもらうべきでしょうか。このような症状はどのように考えられますか? お忙しい中、何度も質問して大変恐縮ですが、どうかご意見よろしくお願いいたします。

抗がん剤による血管炎だと思います。静脈炎によって血管がつぶれてしまい、同じ場所で点滴を打つ事ができなくなりますが、しばらく点滴を休むと、再び静脈のネットワークで、残っている部分がある程度太くなり、点滴が出来るようになります。つぶれた血管に対する治療はありませんが、血液は静脈のネットワークのバイパスを通って流れますので、心配はありません。腋窩に触れる新しい腫れについては、診察しなければ分かりませんが、転移が心配ですので、不安を取り除く意味からも、もう一度主治医に診察してもらう必要があります。(文責 須田)
 

 

No.4349】 05年09月04日     J.J.
経過観察、1年前との比較(HPNo.4294-2)

HPNo.4294で相談させていただきました、細胞診クラス2の経過観察中のものです。その節はありがとうございました。その後、エコーの結果を聞いてきました。1年前に細胞診で良性と言われたしこり(1.2×0.9センチ)が大きくなったような気がしていたのですが、エコーの結果は逆に2〜3ミリほど縮小傾向にあると言われました。こういう事はめったにないので、ちょっとよくわからないとのことで、どの程度喜んでよい事なのかどうかお聞きしたいのです。また、顔つきが悪いと言われた画像は、しこりの部分が真っ黒く写っていたものが、今回は薄く白い線が何本か入っているような画像になっていて、先生曰く「顔つきが前回より良くなったような感じだ」との事でした。顔つきが良くなるとはどういうことですか? そういうこともあるのでしょうか? 形は楕円に近かったものが、自分では明らかにひょうたんのように真ん中がくびれてきた感じがするのですが、エコーでは「うーん、どうかなあ?」という程度のようです。また、仮に悪性であった場合は、1年間でしこりは通常5mm〜1cmは大きくなるはずと言われましたが・・・。
1) 通常ということは、どのような場合が例外なのでしょうか? 今回の結果から、悪性の可能性が消えたと捉えていいのか、それとも悪性の可能性が低くなったと捉えるべきなのか、また別の捉え方が必要なのか、よくわかりません。
2) この変化に対して、どのようにお考えになりますか? また、実は同じくらいの大きさのしこりがもうひとつあって、そちらのほうは大きくも小さくもなっていないようです。これ以上経過観察で気をもみたくないと、お願いして乳腺外科のある病院に紹介状を書いていただいたので、いずれにせよ専門病院も受診してみる事にしました。
3) 乳房が普通より小さい人は、素人考えだと物理的な距離など考えると(転移のしやすさなど同じ種類の癌で比較した場合)、大きな人より早いような気がするのですが、それとは別問題ですか?
4) 担当医には気にしすぎといわれましたが、胸に脂肪自体があまりないのでしこりが胸壁側にくっついている感じがするのですが、数年前から軽い咳と痰が続いています。ひどいものではありませんが、もともとが咳や痰なんてあまりでたことがないので・・・。肺に転移なんてこともあり得ますか?

突拍子もない質問ばかりで申し訳ありませんが、またよろしくお願いいたします。

1)2) 乳房のしこりに対しては、視触診、マンモグラフィー、エコー、細胞診、針生検などの検査を必要に応じて組み合わせて行います。これらの検査でしこりの「かげ」や「ごく一部の細胞や組織」を診て全体を想像して、診断を下しているわけです。これまで良性であったしこりが、ある日突然「がん」に変わるわけではありませんが、画像や細胞、組織の検査で良性と判断されていたものが、あとで大きくなったり、形が変化して(がんの特徴がでてきて)がんと診断されることはあります。今回の場合は、経過観察してもあまり「がん」の特徴をだしているわけではなさそうと主治医の先生は判断なさったのだと思います。今回の画像の変化をどうとらえるかについては、実際にみていないので答えることはできませんが、相談者さんがおっしゃるようにあれこれ気をもむよりも、紹介状もいただいているようなので他の先生の意見を聞くのはよいことだと思いますよ。
3)4) この乳房腫瘤は今「がん」だと診断されているわけではないので、「がん」でなければ「転移」はありえません。がんであれば「転移」の可能性は否定はできないけれど、お伺いしている症状では可能性は低そうです。咳や痰が数年間続くということであれば、癌などの病気よりアレルギーや喘息などを調べたほうがよいと思いますので、一度呼吸器内科の先生に診てもらうのがよいと思います。また小さい乳房にできたがんの転移のしやすさについてですが、大きい乳房の方にくらべると物理的距離が近いので皮膚や筋肉への直接進展はしやすいことは否定できませんが、血行性転移(内臓への転移)やリンパ節転移については、おそらくあまり変わらないと思われます。(文責 俵矢)

 

No.4348】 05年09月02日     JD
抗がん剤の副作用とデパス錠

ご相談したいことがありますので、メールさせて頂きます。初めてです。よろしくお願いします。温存手術後、放射線治療を終え、現在抗ガン剤治療をしています(EC+T)。副作用のための薬を処方してもらっていますが、3クール目で、初めてデパス錠0.5mgを処方されました(それまでのセロトーンとデカドロンに加えて)。精神安定剤と聞きました。薬局では「通常はあまり抗ガン剤治療には処方しない」とのことでした。看護師さんの説明は、吐き気を押さえてくれるとのことでした。この薬を処方することは、よくあるのでしょうか。現時点では不安感もないのに、なぜそのような薬が処方されたのかよくわからず、また、精神安定剤と聞き、なんとなく飲んでよろしいものなのかどうか迷っています。よろしくお願いします。

抗がん剤治療による吐気には抗がん剤による直接的な影響のほかに、「予測性嘔吐」と呼ばれるものがあります。何回か抗がん剤治療による吐気を経験すると、次に抗がん剤を投与したときに、「くるぞ、くるぞ」といった感じで吐気がおこるというものです。抗不安剤はこの予測性嘔吐を軽減するために、セロトーンやデカドロンなどのお薬とともによく使われています。デパスは抗不安剤の一種ですので、この目的で使用されているものと思われます。看護師さんの説明通り、抗がん剤の吐気を軽減するために投与されているお薬なので服用してみてください。お薬の性質上、人によっては眠気が異常に強くなるようなこともあります。そのような場合は主治医に御相談なさってください。(文責 俵矢)

 

No.4347-1】 05年09月02日     M 
この補助療法は適していますか?

宜しくお願い致します。43歳、閉経前です。7月に左乳房温存手術を受けました。病理結果はER、PR陽性、グレード1(核異形2、核分裂1)、リンパ節転移1(10サンプリング)、最大5.5と範囲が広かったが断端陰性で、追加切除なしでした。補助療法は、抗がん剤、ホルモン治療、放射線の予定で、現時点では、CMFを2回点滴済、ノルバテックD20mg一日一錠服用中です。私の病状で、この補助療法は適していますか?  既に始まっていますが、CMFは効き目が弱いと耳にし、不安でなりません。また、ホルモン剤を抗がん剤と同時に始めているのですが、よいのでしょうか? ご回答をお願いいたします。

確かに、最近の報告では術後療法としては、アンスラサイクリン系抗がん剤を含む治療がCMFと同等かそれ以上の効果があるとされています。しかし、CMFは脱毛、嘔気、白血球減少などの副作用がアンスラサイクリン系抗がん剤より少ないという利点があります。HER2遺伝子発現や、脈管侵襲の程度などの記載がありませんが、もしこれらの因子が陰性だと仮定すると、St Gallenのコンセンサス会議によるリスク分類では、再発のリスクは中等度になります。比較的再発リスクが少ない場合は、副作用などを考慮したり、患者さんの体の状況などを考えてCMFを選択することも十分に考えられます。治療はいわゆる「ガイドライン」と、患者さんの体力、社会的状況、ご希望などを考慮して総合的に判断して選択されるものですので、主治医の先生と今一度よく御相談なさることをお勧めいたします。(文責 俵矢)

 

No.4347-2】 05年09月06日     M 
補助療法について(2)

9/2にご回答を頂きましたMです。(補助療法)についてのアドバイス、有難うございました。大変恐縮ですが、再度お願い致します。脈官侵襲ly1、v0と記載されています。ハーツー検査についてですが、病理結果に無記載でしたので主治医に質問したところ、保険適応外の検査なので、やっていないと言われました。普通、必ずやるべきものなのでしょうか?(個人病院なので、他で病理検査を依頼しているようです) 上記の結果もふまえて、
1) 今2回めの点滴済みのCMFを続行してよいでしょうか? それとも変更するべきなのでしょうか?
2) 抗がん剤治療中にノルバテックを服用していますが、よいのでしょうか?(先日と重なりすみません)

近日3回めの点滴を予定しておりますので、お忙しいところ大変恐縮ですが、今一度先生のお考えをお聞かせ頂けますでしょうか? 宜しくお願いします。

Her2検査は「トラスツツマブ(ハーセプチン;商品名)」というお薬との相性を調べるという側面と、術後の再発リスクを見積もる際の参考になるという側面があります。「トラスツツマブ」というお薬は、現在のところ「進行再発乳がん」にのみ使用しているお薬ですので、その場合は「トラスツツマブ」を使用したほうがよいか調べるために、必須と考えてもよいと思います。しかしMさんの状況は進行再発乳がんではなく、現在「術後」状態ですので、参考にはなりますが、必ずしも必須とまではいえないと思います。ホルモンについては最近、化学療法終了後に始めるケースが多いように思います。現在の治療が決して「間違っている」わけではないと思いますが、やはり主治医に何が疑問かをお話しして相談なさるのが一番よいかと思います。(文責 俵矢)

 

No.4346】 05年09月02日     A.O. 
外科的生検後の胸の変形について(HPNo.4187-2)

以前HPNo.4187で相談したものです。その後、当初の予定通り、昨日定期検診に行ってきました。触診の後レントゲンとエコーで検査したのですが、明らかな悪性の感じではないが、レントゲンの画像に少し気になるところがあるので、3cmぐらい切って、直径2cmぐらい取り出して詳しく検査してみようと言われました。そのほうが確実で、良性なら検診もある程度期間をのばせるということと、今のままではずっと気になるままなのとで、来週その検査をする予約をして帰ってきました。傷ができることと、形が少し変形するという説明をうけて納得したのですが、変形はどの程度なのか、今になって心配になってきました。傷に対してのイメージはなんとなくわかるのですが、変形のほうはどのぐらいなのでしょうか? 年月がたてばわからなくなる程度なのですか? なんだか聞きそびれてしまって・・・。よろしくお願いします。

穿刺吸引細胞診や針生検などの何らかの針を刺す細胞/組織検査はなさったでしょうか。通常これらの検査を経て、悪性病変の可能性を否定しきれない場合は切除生検(しこりの切除)を行うことになります。ただし病変の性質によっては、針の検査では分かりにくいものもあります。また切除後の変形の程度は乳腺をどのくらい切除するかということと、患者さんの乳房の大きさのバランスによって決まりますので、一概には申し上げられません。「明らかな悪性の感じはない」ということなので、時間的余裕はありそうです。もう一度主治医の先生とお話になって、納得されてから切除を受けられてはいかがでしょうか。(文責 俵矢)

 

No.4345】 05年09月02日     Y 
妊娠中のマンモグラフィー撮影について

はじめまして。家内が妊娠初期7〜8週時に、乳がん検査ということでマンモグラフィーを受けました。そのときは、あまり気にしませんでしたが、今になってとても心配です。当初不妊科を受診していて、妊娠が発覚した時に胸の痛みを覚えて申し上げたところ、同院の乳腺外来を紹介していただきましたが、妊娠の申告をしなかったため、そのままマンモグラフィーで撮影したようです。胎児への影響はさほどないとは同院の医師の説明にもありましたが、どの程度なのか不安です。どうぞよろしくお願いいたします。

基本的にマンモグラフィの撮影時には、X線をあてる場所は乳房のみであり、子宮を含む下腹部にはX線はかかりませんので、胎児への影響はないと考えてよいと思います。
マンモグラフィでは「乳房だけ」に約1-3ミリグレイの放射線を照射します。国際放射線防護委員会の勧告によれば、子宮内胎児被爆時に影響が懸念される放射線量は100-200ミリグレイとされています。したがって、(実際には考えられませんが)仮にマンモグラフィで浴びる放射線量全量が下腹部に照射されたとしても、その影響はほとんど考えなくても良いと思いますので、ご心配なく。元気な赤ちゃんが生まれることをお祈りしています。(文責 俵矢)

 

No.4344】 05年09月02日     E.H. 
乳首周りの痛みや痒み等について

以下のような症状があります。
1)2年前くらいより乳首からいぼのようなものが一つできて、乳首の上にもう一つ肉腫があります。気になっているので、乳がん検診の時に聞いたら、「イボのようなもので心配ない」と言われました。
2)昨晩からそのイボがある左側の乳首が痛痒くてたまりません。乳首に触れると痛い箇所があります。つまんでみても、特に分泌物は出ません。乳首を中心に乳房が熱を持っているような状態です。生理終了後1週間です。
3)そういえばなのですが、1ヶ月前から背中が痛み、今日はちょうど痛い乳首の裏側あたりが痛むような気がします(これはあくまでそういえばという感じです)。この症状は何でしょうか? またイボは放っておいても問題のないものでしょうか?

お忙しい中すみませんが、ご教示くださいませ。35歳、未婚、妊娠経験はありません。

乳首のまわりが痒かったり、痛むような気がするといった症状は乳腺外来をやっているとかなりの頻度でみられますが、たいていは異常のない方が多いと思います。背中の痛みや乳首のいぼも、おそらくは心配ないものだとは思いますが、一度(乳腺)外科を受診されて、みてもらうとよいでしょう。乳首中心に熱をもっているとのことですが、赤く腫れているような場合は化膿していることもあるので、早めの受診をおすすめします。(文責 俵矢)

 

No.4343-1】 05年09月02日     m
「多分乳癌です」と言われました

初めてメールを致します。よろしくお願いします。先日、市の検診でマンモグラフィーをした結果、精密検査の必要ありとのこと。すぐにそのフィルムを持って大学病院の乳腺外科にいきました。マンモの写真には、微細石灰化が十数個乳首の上に集中していました。先生は、「これは多分乳がんです」とはっきり言われました。また来週マンモを再度撮りますとの事。石灰化がまばらの場合は心配ないが、集中している場合はまず間違いなく癌だとのこと。子供は2人、47歳です。その石灰化の細胞検査はできるものでしょうか? しこりになる前に手術でとることは可能でしょうか? このまま放置することはあまりしたくありません。 

まず、乳がんであるかどうかの診断をつけることが大切です。主治医の先生は、すでに「乳がん」を疑っているわけですから、細胞診や組織検査など診断するための適切な検査をしてくださると思います。一般的にいってしこりをつくる前の段階でマンモグラフィでの石灰化だけで見つかる乳がんは早期のものが多いので、慌てることはないと思います。検査結果をまって、主治医の先生と最適な治療を受けられるよう、十分お話になるとよいと思います。(文責 俵矢)

 

No.4343-2】 05年09月10日     m
針生検

先日は回答ありがとうございます。その後乳癌の疑いとの事で、次の段階の検査をしました。針生検です。12時の方向と1時の方向に石灰化が多く診られるとのことで、6箇所の組織をとり検査しましたが、結果は石灰化がとれなかったとのこと。「こういう場合は石灰化が少なく、良性の場合が強くなってきた。」と言われましたが、私としてはマンモを撮った時点で、「多分悪性でしょう、こういうのは悪性だね!」など、悪性と決め付けた説明だったため、今良性の可能性が高いと言われても、信じたいけれど、運悪く採れなかっただけなのではと思ってしまいます。「もう一度とってください」といったら、「もう同じ検査はしませんよ!次は石灰化の部位を切除して組織をとり検査する方法だ」というのです。現時点で良性の可能性は6割との事、私としては先生のお話がよくわかりません。次の検査をする前にセカンドオピニオンも考えています。明日夕方先生と今後の検査をするかどうか話す予定ですが、大学病院の先生方は、はじめ悪く話すものなのでしょうか? 困惑しているのは事実です。

X線装置で石灰化の部分を確認しながら生検する方法にマンモトームがあります。ただし、この設備がある病院は限られているので注意が必要です。最寄の施設は主治医が知っていると思いますので、次回の外来で相談してみてはいかがでしょうか?(文責 千島)

 

No.4342】 05年09月02日     S 
乳管乳頭腫

1年前から水溶性の分泌物が2箇所から出ており、定期検診を受けておりました。先日血性の分泌物が出てきたので、細胞診、分泌物の検査を受け、CLASSUとの事でしたが、乳管造影をして、乳管乳頭腫のようなので、稀にガンが隠れていることがあるとの事で手術を勧められました。しかし、5センチほど切ることと、形が変形するとの事で躊躇しています。最近内視鏡での手術もあるようで、傷口も小さくすむなら、できたら内視鏡での手術を受けたいのですが、内視鏡では完全にとりきれない可能性があるそうで、内視鏡手術をしている病院も少ないとの話でした。やはり、全身麻酔で切除手術を受けたほうがよいのでしょうか? ご返事お待ちしております。よろしくお願いします。

血性乳頭分泌があり、乳管造影検査で乳管内乳頭腫が疑われたということであれば、腺葉切除をお勧めされたのだと思います。このような場合、確定診断をつけるために腺葉切除がよく行われます。腺葉切除は通常のしこりを取り除く手術や、乳がんの手術とちがって内視鏡補助下手術では難しいかもしれません。いずれにせよ、腺葉切除であれば切除範囲は通常そんなに大きくないので、変形はもちろんありますが軽度だと思います。この手術は、急いでやらなければいけない手術では通常ないので、主治医の先生にあなたのご希望をお伝えになって、納得されてから手術を受けられても遅くはないと思います。(文責 俵矢)

 

No.4341】 05年09月02日     K 
リンパ腺の石灰化

先日、尿管結石で病院に行きました。幸い石は残っていないようでしたが、レントゲンの膀胱の下あたりに白い塊が写っていました。医者はリンパの石灰化だろうと言っていましたが、気にする様子もないので、ほっとしています。しかし、どんな状態の時に石灰化するのか疑問に思っておりますので教えてください。

骨盤内の白い塊はリンパ節の石灰化のほかに小静脈壁の石灰化のこともよくあります。石灰化がおこる理由は様々ですが、リンパ節の石灰化の場合は、炎症のあとに起こることが多いようです。いずれにせよ心配するような病態ではないので、主治医の先生のおっしゃるとおり放っておいてかまわないと思います。(文責 俵矢)

 

No.4340】 05年08月31日     Y.F.
血性乳頭分泌

はじめまして、34歳、3児の母親です。1ヶ月ほど、安定剤、抗うつ剤を服用しています。それ以前にも乳汁が出ることがあり、この時は、黄色〜白〜半透明で、気にしていなかったのですが、しこりがあるような気がして、半年ほど前に乳がん検診(触診、エコー)を受けました。結果は、「軽い乳腺症でしょう」ということで、問題なしでした。昨日、乳頭が痛痒く、きれいに洗って絞ってみたところ、濃い赤茶色の乳汁が出てきました。量は少量ですが、今日も出ます。乳がん以外でも血性の乳汁が出ることはありますか? 血性=すぐに病院へ行ったほうがよいのでしょうか? よろしくお願いします。

血性乳頭分泌を起こす可能性のある病気は、乳管内乳頭腫や乳腺症など、乳癌以外にも考えられます。血性分泌=乳癌ではありませんが、血性分泌があるのであれば一度診てもらった方がよいと思います。早めに「乳腺外科」「乳腺科」「乳腺外来」とある病院を受診されることをお勧めします。(文責 俵矢)

 

No.4339】 05年08月31日     M 
乳頭からの分泌物

はじめまして。30歳、出産経験無しの女性です。今年の3月から月経困難症のため、低用量ピルを服用しています。そのため乳がんの自己検診を度々行っていたところ、2週間前くらいに乳首を絞るようにした際、右の乳頭から真っ赤な血のようなものが少し出てきました。出たのはその時だけで、あとは乳頭を軽くつまんでも出てきません。今までも白いミルクのような分泌物が時々出ることがありましたが、血が出たのは初めてです。すぐにかかりつけの婦人科でみてもらい、「しこりもなく、分泌物も出てこないから大丈夫だろう」と言われましたが、念のため紹介状をもらって別の検査機関でマンモグラフィーとエコーの検査を受けました。結果は、右の乳房に微細円形石灰化が二箇所ほどみられるが、良性パターンでカテゴリー2とのことでした。この結果は婦人科で聞いたのですが、婦人科の先生は心配ないねの一言ですっきりしません。本当に心配ないのでしょうか? 一度乳腺外科に行ったほうがいいのでしょうか? またカテゴリー2というのは、ほうっておいて大丈夫なものなのでしょうか? それから今年のはじめぐらいから右乳房の上、鎖骨の指三本下ぐらいに5ミリくらいのこりこりした小さなしこりのようなものがあります。皮膚のすぐ下のようで、つまむとおできのように形が浮き出ます。痛みは全くありませんが、これも調べてもらったほうが良いのでしょうか?

鎖骨の指3本くらい下のしこりですが、前回受診された際に気づいていなかったのであれば、調べてもらったほうが安心できると思います。またマンモグラフィーでの石灰化は、カテゴリー2であれば通常あまり心配要りません。血性乳頭分泌に関しては、必ずしも乳癌というわけではないけれど、あれば精密検査の対象となります。
マンモグラフィー、エコーを受けられたとのことですが、「乳腺外科に行ったほうがいいか」という相談内容からすると、精密検査を受けられたところはいわゆる乳腺科や乳腺外科ではないのでしょうか。もし乳腺外科であれば、もう一度相談なさるとよいと思いますし、そうでなければ「乳腺外科、乳腺科」を受診なさるとよいのではないでしょうか。(文責 俵矢)

 

No.4338】 05年08月31日     MY
食道に転移することがありますか?

62歳です。12年前に左全摘出手術を受け(リンパに転移なし)、2年前に左脇寄りのリンパに転移が見つかって摘出を受け、以後ホルモン剤(アルミデックス)を服用しています。2週間程前から喉に痰がからで気持ちが悪いので、いつも血圧で診てもらっている近くの内科で薬を飲んでいたのですが、まだすっきりしません。咳とか食べ物が通りにくいとかはありません(痰の通りをよくする薬)。外科の検査は7月にあり、異常なしでした。10月にまたエコー、血液検査の予約があります。食道に転移することがあるのか、気になっています。よろしく回答をお待ちいたします。

乳がんが食道に転移することは、非常にまれだと思います。痰がからむという症状はかなりの頻度でみられ、何か重大な病気がひそんでいるということも少ないように思います。乳がんの転移というより他の病気がないか調べるという意味でも、耳鼻咽喉科や消化器科を受診されてはいかがでしょうか。いずれにせよ主治医にも「乳癌の転移ではないかと心配」ということを御相談なさるとよいと思います。(文責 俵矢)

 

No.4337】 05年08月31日     A.U.
術後治療法の順番について

34歳女性。8月4日に乳房温存手術(1/4扇状切除)+センチネル生検で手術しましたが、リンパ節転移が認められ、結果リンパ節郭清(レベル1、レベル2)をしました。病理結果は、腫瘍径1.4×1.2(主腫瘍、浸潤性、硬がん)と0.7×0.7(娘核、一部浸潤あり)の二つ、切除断端(−)、リンパ侵襲(−)、静脈侵襲(−)、ホルモンレセプター(+)、HER2(1+)、リンパ節転移1/18、組織学的悪性度グレード2でした。治療法は、放射線照射25回のち、抗がん剤(EC+Tを6ヶ月〜8ヶ月)、その後ホルモン療法LH+RHアナログを2年と抗エストロゲン剤を5年いたします。そこで質問したいのですが、
1) 放射線のあとに抗がん剤をうつのですが、病院の都合上、放射線が9月7日からスタートし、9月は祝日も多いせいで週3日〜4日しかできず、終わるまで2ヶ月近くかかってしまいますが、こんなに少しずつの照射で長くかかっても効果は下がらないのでしょうか?
2) 抗がん剤が手術後3ヶ月近くたってからのスタートとなりますが、どの本を見ても全身療法は手術後すぐの方が効果が高いと書いてあり、私も先に抗がん剤をした方がいいような気がしてきてなりません。放射線を先にしてもいいのでしょうか?

お忙しいところ申し訳ございませんが、ご返答のほどよろしくお願いいたします。 

1)2005年に出版された日本乳癌学会編「乳癌診療ガイドライン 放射線療法編」でも乳房温存術後の放射線治療の照射法としては、総線量45-50.4Gyを4.5-5.5週で分割して行う方法が推奨されています。多少休日をはさんでも、だいたいこの期間内におさまるのではないかと思います。またガイドラインは、「この程度の量をこの程度の期間で」という目安とされるものであって、この期間を数日間オーバーしたからといって効果を損なうことはないと考えます。
2)術後補助化学療法は確かに手術後早い時期に開始するべきとされています。しかし放射線照射と化学療法はどちらを先行させても、再発率や再発による死亡率に差はないという報告もあり、どちらを先行させるべきかということについては一定の結論は出ていません。

放射線療法を先行させること自体は間違った方法ではないと思いますが、主治医に御相談なさって、十分納得されて治療をうけられるとよいと思います。(文責 俵矢)

 

No.4336-1】 05年08月31日     N   
放射線腺内照射、その他について

皆さんのメールや先生方のご意見で、いつも勉強させていただいております。初めてメールさせていただきます。43歳、独身(出産経験なし)です。今年7月13日に、ステージTで、右乳房1/4切除の温存手術を受けました(センチネルリンパを2つだけ摘出)。8月9日の病理検査の結果は、しこりの大きさ1cmと、それ以下のものが計4つ(あと微小なものが数えられないが、あったとのこと)、リンパ節転移なし、リンパ管・血管浸潤なし、乳頭腺管癌、グレード1 (核異型スコア2、分裂スコア1、腺管形成度1)、切除段端 一部陽性(2mm・1mmの 箇所あり)、ホルモン感受性 Er 80%以上、 PgR 80%以上、 HeR2 2+でした。8月10日より、ノルバデックスDを毎日1錠服用しております。
1) 働いているため毎日の放射線治療は困難な状況にあるため、9月5日に入院して放射線の腺内照射の手術を受ける予定です。9月5日にチューブを埋め込み、翌日より3日間照射すると聞いております。ただ、この腺内照射は、まだ研究段階であるため希望する人にのみしておられるとのこです。インターネットなどで色々と調べて見ましたが、1回目の温存手術の際にチューブを埋め込み、入院期間中に照射するという方法しか見受けられません。その病院も最初はその方針でしていたそうなのですが、術後の傷口が感染したり、化膿する場合があったので、今は傷口が治ってから、新たに1週間入院して手術(局部麻酔)をするという方針に変えたとのことです。腺内照射の情報があまりなく、よく解らないままに手術を受けますが(放射線の先生からは、外部照射との比較などちゃんと詳しく説明をしていただきましたが)、腺内照射に関してと、約2ヵ月後に放射線治療をするということ等に関して、先生のお考えはいかがでしょうか? 外科の先生に手術の前にマーキングをしていただき、放射線の先生が手術をされると伺いました。また、切除断端が一部陽性である場合や、HER2が2+でも、この治療方針(ホルモン治療と放射線治療)でよいと思われるでしょうか?
2) ノルバデックスDを服用し始め、4日目くらいから両手指の第一関節(最初は人差し指だけでしたが、最近他の指も)が痛くなってきました。手のひらもジンジンとしているような感じで、見た目ではわかりませんが、むくみ感があるような感じがします。これは薬の副作用でしょうか? ほおっておいても大丈夫でしょうか? もうすぐ経過観察で血液検査をしますが、それまで心配なので・・・。
3) 背骨が手術の2ヶ月くらい前から痛く、乳癌だと判ってから骨転移をひどく心配したのですが、骨シンチでは異常なしと診断されました。手術をしてから2週間くらいは痛みはなかったのですが、その後又、痛みがあります。この骨と痛い骨は判っていて、触ると痛みます。骨転移もやはり疑われるでしょうか? そうでなければ整形に行こうと思うのですが、その場合、骨シンチの写真で整形の先生は異常がわかるものでしょうか? それとも新たに普通のレントゲンをとったほうが良いものでしょうか?
  
専門外の質問もあるかと思いますが、お解かりになる範囲で結構ですので 宜しくお願いいたします。お忙しい中、長々と申し訳ございません。何卒ご回答いただきたく、宜しくお願いいたします。

1) 放射線の腺内照射は経験がありませんので詳しくは存じませんが、アメリカなどでは比較的よく行われており、治療の効果といった面からは問題ないように思います。また温存術後2ヶ月後の術後照射は、照射の時期としても問題ないと思います。HER2(2+)の約25%はHER2遺伝子過剰発現ありといわれており、これを過剰発現ととるか否かによってもリスク分類が異なって参りますが、切除断端に対しては放射線照射が効果的だと考えられます。放射線照射に加え、ホルモン療法単独か化学療法のあとホルモン療法施行するかの比較となりますが、私見としては今の治療法で十分と考えます。
2) ノルバデックスD(タモキシフェン)の副作用に、むくみ、ほてりなどはよく指摘されておりますが、この症状が副作用か否かは難しい問題です。主治医の先生とよくご相談なさってください。
3) 背部痛が持続しているのであれば、整形外科を受診されるのがよいと思います。骨シンチでは異常なしとのことですので、骨転移の可能性はそれほど高くないようにも思えますが、追加検査が必要かどうかは、整形外科の先生が診察の際にご判断されると思います。(文責 谷)

 

No.4336-2】 05年09月06日     N   
病理検査結果について

先日HPNo.4336で質問をさせていただいた者です。その際には丁寧なご回答、有難うございました。明日 放射線の組織内照射の手術を受けます。その後、病理検査のコピーをいただき、又、質問がございます。
所見: 
f、ly0、v0、EIC+ comedo-、ductal spread ++、Tis +、G (1,2,1)、B&R 1, N-SAS 1, n- 0/2, cut end + , DCIS at #9,10,11,12 の内側、#12の外側、Her2 2+、ER 80%以上、PgR 80%以上。
肉眼的には明瞭な腫瘤は認識できず、複数の硬結を触知します。組織標本では #6-18に広範囲に cribriform, low papillary, flat type の像を示すDCISが広がっており、#7,9,10,11,12,13に複数の浸潤癌が散在しています。浸潤癌は最大のものが径約7mmです。軽度に大小不同を示す核をもつ細胞が単純腺管を形成し、浸潤増殖する腫瘍です。一部は脂肪織への浸潤を示している。脈管侵襲は指摘できません。入管内成分は広範囲にみられ、#9,10,11,12の内側、#12の外側に近接している。断端陽性と判断します。

と記入されていました。主治医は、リンパ節転移、脈管侵襲がないことや総合的な要素などから、低リスクとで、放射線とノルバ5年間服用で問題ないとおっしゃっています。HER2が2+というのも、重きをおいていないとおっしゃっています。でもいただいた結果を見て、EICが+で、断端も陽性で、一部脂肪浸潤があり、浸潤増殖する腫瘍と書かれていたりで、心配になっています。上記結果をご覧になり、先生のご意見はいかがでしょうか? 再発の可能性は高くないのでしょうか? 主治医の先生を信用していないようで、あまりしつこく聞けません。心配ばかりしていては余計に病気には良くないと思ってはいるのですが。何卒ご回答の方、宜しくお願いいたします。

乳がんの多くは、「乳管」というお乳を生産したり運んだりする部分から発生するといわれています。その後の進展経路として「乳管」の壁の中を「乳管」に沿って増えていく経路と、「乳管」の壁を破って増える経路があります。壁を破っている部分を「浸潤」と表現し、壁を破らず乳管内にあるがんを「非浸潤」と言っています。がんの全ての部分が乳管内にある場合は「非浸潤がん」と呼ばれ、少しでも「浸潤」がある場合は「浸潤がん」と呼ばれますが、多くの癌はこれらの二つの部分が種々の割合で混在しているのが普通です。Nさんの場合は「浸潤」の部分が小さく、「非浸潤」の部分が多いがんのようです。こういうタイプのがんは同じ大きさでも「浸潤」の多いタイプに比べると予後がよいといわれています。
放射線とノルバデックス5年間という治療は妥当だと私も思います。主治医の先生からお話いただくのが、Nさんにとって最も納得できるのではないかと思いますので、「しつこく」聞いてもよいと思います。また主治医の先生とお話になってみてください。(文責 俵矢)

 

No.4335】 05年08月31日     Y.M.  
胸の痛みとしこり

一週間ほど前から、おっぱいが張って痛みます。下着を着けていないと、おっぱいの重みで痛いのです。いつも生理3日前くらいから張ってきて、生理が終わる頃まで続きますが、その生理中の時と同じ痛みです。前回の生理開始日は8/6、おっぱいが痛みだしたのは8/21頃からです。痛みが続くので、心配になり乳がんの自己検診というネット情報を見て、おっぱいをさわってみたところ、左側の乳房下部に、何となくしこりのような、硬くなっている部分がありました。触ると痛いのです。ちゃんと病院に行って診察してもらうつもりですが、希望日に予約をすると、一週間後になってしまいます。それくらいの日にちは空いても大丈夫なのでしょうか? 明日にでもすぐに行かないといけないのでしょうか。アドバイスをお願い致します。

近日中に(乳腺)外来を受診することをお勧めいたします。もちろんそれほど緊急の症状とは思えませんので、1週間の余裕は十分にあると思います。(文責 谷)

 

No.4334】 05年08月31日     Y.K.  
粘液癌の再発治療について

再発の抗癌治療について再度質問があります。
「 2001年2月に右胸全摘約6センチの粘液癌でリンパの転移なしということでした。術前タキソール約3カ月投与しましたが 大きさの変化はなく術後もタキソールの投与しました。半年ごとの定期検査でCEA腫瘍マーカーが上がった(17だったと思います)ということで全身検査の結果肺に転移ありということでした、検査期間に水も溜まってしまったということでその場で抜くことになりました。(思ったほど溜まってはいなかったようです)ホルモンレセプターはマイナスなので、抗癌剤治療になるということなのですが、粘液癌は抗癌剤が効きにくいといわれ治療に不安があります、粘液癌の再発の治療方法は抗癌剤しかないのでしょうか、あまり例のない癌だということなので解らない事ばかりなのでよろしくお願いします。 」

以前上記の相談をした者です。ありがとうございました、ご回答ではアトラサイクリン系の化学療法が良いと頂いたのですが、現在の治療は注射でエンドキサンの投与を3週間に一度と言う事になりました、7月19日に一度目を終わり、今週3度目の投与になります。エンドキサン単独の投与って聞かないのですけど、一般的な抗癌剤投与なのでしょうか? 副作用止めの薬もかなり出ていて、髪もほとんど抜けましたので、かなり強い抗癌剤という気がするのですが・・・。今回の質問ですが、この抗癌剤が効果がなかったときの見極める回数ですが、エンドキサンの投与量にもよると思うのですが、何回位でしたら良いでしょうか? 私としては、抗癌剤が効きにくい癌と言われた上に、抗癌剤が効かない人は他の抗癌剤も効きにくいと言われた事が、常に頭に有ります。再発でも第二、第三の抗癌剤治療があると言いますが、手術とも思っています。3年以上経過した再発の場合は手術も出来ると聞いた事が有りますが、その場合体力がある内、抗癌剤で弱ってしまっては無理だと思うので、何度も抗癌剤を試す前に手術の事を考えておきたいのです。なお主治医からは具体的な肺の転移個所の説明はなく、肺の一部が怪しいという説明でした、現在は痛みも息苦しさもなく過ごしております。何か質問にまとまりがありませんが、宜しくお願いします。

私もエンドキサン単独の投与は経験がなく、またそのような例をお聞きしたこともなく、お答えしかねます。手術の可能性、今後の具体的な治療法など、主治医の先生とよくご相談なさってはいかがでしょうか?(文責 谷)

 

No.4333】 05年08月31日     N.M. 
検診で乳腺内微細石灰化と言われました

今年の検診で初めてマンモ?の検査をしたのですが、上記の結果が来て「精密検査要」となっています。4月末で、1歳半で断乳をした直後からおっぱいがつまり気味で、マッサ−ジに定期的に通っているのですが、肩こりや背中の張りを今でも感じています。授乳中は食事に気を抜くと軽い乳腺炎を繰り返していました。昨年までの検診はエコ−で、今まで異常を指摘されたことはありません。今現在自分で触る限りでは、しこりは見当たりません。断乳後のおっぱいがつまり気味なことで乳腺内微細石灰化と言われることは考えられますか? また、乳腺外来に行って精密検査をしていただくことになるのですが、乳がんではない場合、この背中の張り等を楽にしていただける治療法はあるのでしょうか?

断乳後に限らず乳腺炎が石灰化の原因となることはよく指摘されておりますが、いずれにせよ乳腺外来を受診し、診察をお受けになるのがよいと思われます。一方、肩こりや背中の張り感は乳腺疾患とは無関係なことが多く、症状の強いときは整形外科を受診されるのがよいと思います。(文責 谷)

 

No.4332-1】 05年08月31日     S.S
化学療法(CEF)について

過日、乳癌手術を受け、これから放射線療法、化学療法に移ります(ホルモン療法は受容体の結果待ち、別の病院では針生検で陰性との診断)。医師からは、ステージUa、乳頭腺管癌(コメドタイプ)、断端陰性、リンパ管浸潤あり、静脈浸潤あり、悪性度3、リンパ節転移なし、遠隔転移なし、年齢35歳なので、ハイリスクと言われました。リンパ節転移なしとのことで、放射線を先に受け、その後CEF(抗がん剤)を受けるように言われました。抗がん剤は、3週おきに5回(5クール)と言われました。書籍やネットで調べてみると、CEFは6クール行うとばかり書かれています。悪性度も高いし、年齢が若いとのことですが、5クールで良いものなのでしょうか? 5クールでも1回分の薬を多くするとか、そういうこともあるのでしょうか。また、私のような患者は、通常CEFで良いものなのでしょうか。教えてください。

仰るとおり、ホルモン感受性が陰性(結果待ち?)、脈管(静脈、リンパ管)浸潤あり、悪性度3などが再発リスクを高めると判断され、化学療法の使用が勧められます。化学療法はアンスラサイクリン系を含むレジメンを推奨となっており、これにはCEF、CAF、EC、ACなどいくつかのレジメンがありますが、これらの中でどれがよいかはまだ論じられておりません。従って、現段階では色々な投与法があることになります。通常6サイクルの使用が一般的といわれるCEFは4週間が1サイクルであり、主治医の先生の提示されたレジメンとは少し異なりますので、薬剤の投与量も含め、主治医の先生に化学療法についてご質問をされてはいかがでしょうか?(文責 谷)

 

No.4332-2】 05年10月24日     S.S
タキソールの投与間隔について

以前、HPNo.4332「化学療法(CEF)について」で質問しました際にはお世話になりました。その時お伝えしました病理の詳細がわかりましたので、改めて質問させていただきます。病理:ステージT(しこり1.5cm×1.5cm×1.0cm)に変更。リンパ管浸襲(+1)血管浸襲(+1)ホルモン受容体(−)HER−2(+3)リンパ節転移なし(0/3)放射線療法25回+追加8回後、11月から化学療法を予定しています。CEF4クールの後、タキソール+ハーセプチン(4クール)と考えています。ハーセプチンは毎週投与となりますが、タキソールついては、3週間間隔投与という選択と1週間間隔投与という選択があるようです。主治医は、3週間間隔投与を勧めているようです。ハーセプチンの補助療法についての結果は出ていないのだと思いますが、「タキソール(パクリタキセル)を3週間間隔で投与する日本の標準治療に対し、量を減らして1週間間隔で投与する方が奏功率(がんが半分以下に縮小し、1カ月以上継続)が倍近くアップすることも、ASCOで報告された。」という記事を見つけました。
1) これから主治医に相談するにあたり、3週間間隔投与と1週間間隔投与と、どちらをお願いしたら良いか悩んでいます。この記事を読むかぎり、1週間間隔投与が優れていると思わざるを得ません。どちらが良いのでしょうか?
2) HER−2が高い場合は、CEFなどの抗がん剤は効きにくいということを噂で聞きました。本当にHER−2陽性患者は、抗がん剤が効きにくいのですか? CEFを受けずに、タキソール+ハーセプチンだけという選択もあるのでしょうか。
3) この化学療法終了後に無治療になることが不安です。ハーセプチンを単独投与し続けるというのはどうですか? ハーセプチンの耐性についても気になります。

どうぞよろしくお願いします。

1) タキソールを3週間に一回投与する方法(3週法)と 、一回の量を1/3にして毎週投与する方法(毎週法)の比較はいくつか行われ、結論から言うと効果はほぼ同じ(やや毎週法の方が良さそうだが、統計的な有意差はない)で、副作用は毎週法が少ないという結論で、日本では毎週法が好まれます。米国のように飛行機で通院するような大きながんセンターでは3週法が主流です。あなたの通っている病院も相当外来化学療法の患者さんの数が多いのではないでしょうか?可能であれば毎週法をお勧めします。
2) Her2が陽性の場合、CMFは効きにくいのですが、CEF、ACといったアンスラサイクリン系の抗がん剤は効きやすいのです。
3)乳癌術後補助療法におけるハーセプチンの有用性が高いこと(再発が半分になる!)が今年のASCOで報告され、10月20日号のNew England Journal of Medicineに論文が掲載されました。その報告によるハーセプチンの使い方は、AC(CEFでも同じと考えてください)4コースの後で、タキソール(パクリタキセル)とハーセプチンを同時に投与開始して、タキソールは12週、ハーセプチンは一年間投与するという方法でした。ですから、タキソール終了後40週ハーセプチンを続けるというのが現時点でのevidenceです。ただし,高価なこと、毎週点滴に通わなければいけないことなど、厳しいところも有ります。(文責 清水)

 

No.4332-3】 05年10月29日     S.S
脳転移について

HPNo.4541についての回答、ありがとうございました。主治医と相談して前向きに検討したいと思っています。ハーセプチンの単独使用をすると脳転移を促進させるということを知りました。ハ−セプチンは、転移性乳がんの治療薬として使用されているとのことですが、脳転移例が問題となっているようで、不安を感じています。
1) ホルモン陰性ということで無治療に入るのも不安ですので、ハーセプチン単独(1年)投与をする場合、脳転移が心配です。どのくらいの率で起こるものなのでしょうか? 他の部位の遠隔転移は防げても、脳転移は防げないということなのでしょうか?
2) アンスラサイクリン系の抗がん剤は、HER−2陽性に効くということですが、CEFやタキソールは、脳の微小ガンにも効きますか?

お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いします。 

ハーセプチンに限らず、他の抗癌剤(アントラサイクリンやタキサン系など)で長期間治療してきて、最終的に脳に転移が見られたということは時に経験します。まるで他の部位にいた乳癌細胞が最終的に脳に逃げ込むようにも見られ、これはBBB(Blood Brain Barrier)を薬剤が通過しにくいためと考えられます。(文責 片山) 

 

No.4331】 05年08月31日     S 
Paget病について

はじめまして。昨日、町の産婦人科で、「Paget病の疑いがあるので、大きい病院で検査をしないといけません」と言われました。5年ほど前から乳首の周りがただれて、なかなか治らずにいたのですが、皮膚科で薬をもらい、すぐに治るだろうとほおっていました(あまり赤みがなかったので、皮膚科の先生には、Paget病ではないと言われていました)。なかなか治らないのですが、1年に1回受ける(しこりがあるため)乳がん検査で何の異常もないし、先生からも指摘されなかったので、そのままでいました。陰部も同じころからとてもかゆくて、心配です。どこの病院がいいのか迷っています。できれば次の中からとは思っているのですが・・・。 1)長崎原爆病院 2)長崎大学付属病院 3)長崎大村国立病院 4)健保諫早病院
Paget病に詳しい専門医が長崎にいらっっしゃるか教えていただけないでしょうか? Paget病って膠原病の一種なのでしょうか? また、Paget病の場合、温存手術は無理ですよね。全摘? 先生に急に言われて動揺しています。右も左もわかりませんので、よろしかったら教えてください。よろしくお願いします。

Paget病とは、乳頭や乳輪の湿疹を伴う比較的性質のおだやかな乳癌のことで、膠原病とはまったく異質なものです。貴女の場合も、難治性の乳輪の湿疹でありPaget病の否定はできませんので、病院で診察をうけることに私も賛成です。Paget病に詳しい専門医の存在は私は知り得ませんが、乳腺外科を標榜している病院を受診されるのがよろしいかと思います。Paget病の進行程度に応じ、乳頭を含めたくりぬきのかたちでの温存手術は行なわれております。(文責 谷)

 

No.4330】 05年08月29日     N 
術後の化学療法について

40歳、閉経前です。よろしくお願いします。8月10日、左胸の温存手術をして、今日病理の結果がでました。
充実腺管癌、 大きさ:2.5×1.5(T2)、 断端陰性、 核異型度:G2、 リンパ節転移はセンチネルリンパ節1ヶ(リンパ節レベルUまで郭清)、 ホルモン受容体:+。
主治医には、CE+ドセタキセルの化学療法、放射線、ホルモン療法の順での治療を提示されました。リンパ節転移が1ヶでもあれば、大きなリスクと受け止めたほうがいいのでしょうか。一度CEでの治療をすると、今後の再発時にはもう使えないとのこと。再発時にもっと強い薬を使うことになると考えると、今化学療法をすべきなのか迷っています。

腋窩リンパ節転移の有無は、今後の経過を予想するうえで非常に重要な意味をもっています。貴女の場合1個とはいえリンパ節転移が認められたということになりますので、主治医の先生が提示されているように化学療法、放射線療法、ホルモン療法をこの順番で施行することに私も賛成です。確かにCEなどアンスラサイクリン系を含む抗癌剤はその心毒性のため使える総量が決まっております。しかしまず再発率を少しでも抑えることが重要であり、もしそれでも不幸にも再発してしまったときはその再発の状況に応じた治療法がありますので、主治医の先生の提示された治療法で頑張ってみてはいかがでしょうか?(文責 谷)

 

No.4329-1】 05年08月29日     K・T
乳癌の手術について

私は検診でマンモグラフィーの石灰化が見つかり、8月8日大学病院で再検査して頂きました。医師は「乳癌でしょう」と、マンモの映像を見て直ぐに言われました。そして、注射針による穿刺細胞診の結果classDと診断されました。医師の説明では、私は非浸潤癌で、0期か1期で、リンパへの転移もないだろうということですが、石灰化の部分が広がっているので、温存は無理かも知れないということです。ラジオ波での手術も可能性としてはあるのですが、石灰化の癌には効果的ではないのでしょうか? インターネットで調べていて、FUS という乳房を傷つけない手術があることを知りました。まだ、臨床試験段階で手術を受けることは不可能なのでしょうか? 私は医師から(どの様に治療するかは自分で決めて下さい)と言われていますので、色々と悩んでいます。出来るだけ乳房を残したいと考えているのですが、石灰化が広範囲にある場合は難しいのでしょうか? これからは、MRI、 CT、骨シンチグラムの検査をすることになっています。もし、乳房を全摘する事になれば、再建したいと思っていますが、その場合、どの様な方法がベストでしょうか? 色々と沢山の質問をして申し訳ございませんが、宜しくお願い致します。

ラジオ波、FUS(MRガイド下集束超音波手術)などは、まさに乳癌における低侵襲の最先端の治療法であり、まだ現段階では確立された治療法とはいえませんが、今後有用な治療法のひとつになるかも知れません。ただ貴女の場合、マンモグラフィで広範な石灰化が認められるということは、乳管内を広い範囲にわたって癌が進展していることが予想されます。このことより、その広がりの程度にもよりますが、ラジオ波、FUSなどの適応はないかもしれません。全摘か否かも石灰化の広がりの程度で決定されますので、主治医の先生とよくご相談なさって、納得のいく方法を選択なさってください。乳房全摘後の再建にも癌の手術と同時に行う場合と、少し時間をおいてから行う場合の大別して2通りあり、同時再建のほうが簡便と思えますが、その反面局所再発を見つけにくくなるといった欠点も有することになります。(文責 谷)

 

No.4329-2】 05年09月18日     K・T
ラジオ波での治療について

8月にご相談させて頂き、お返事有難うございました。その後、MRI・CT・骨シンチグラムの検査をして、リンパや骨等に転移なしと結果が出ました。私の場合石灰化が広範囲に及んでいる為、温存は無理なので、全摘出して再建すると言うのが標準の治療のようです。多分非浸潤癌だということなので、全摘出すれば治るのでしょうけれど、出来れば乳房を残したいという希望を医師にお話ししたところ、ラジオ波の治療も可能だと言ってくれました。ただ、広範囲に石灰化が及んでいる為に、何度かに分けて焼くことになりそうです。ラジオ波で焼いた後にどの様な治療をするか調べるために、昨日マンモトーム生検をしました。その結果次第で、癌細胞の悪性度が低ければラジオ波での治療をと考えていますが、私の様な患者は、やはり命を第一に考えて全摘出をした方が良いのでしょうか? ラジオ波で焼いて乳房を残した場合の再発率は何パーセントくらいでしょうか? 色々とインターネットや本で調べている内に(非浸潤癌の治療は確立されていない)と言うことを知りました。自分で治療法を決定すると言うことは、本当に不安で一杯です。どうか、アドバイスを宜しくお願いいたします。

切除せずにすべてが非浸潤癌である、どこにも浸潤しているところがないということは証明できません。ラジオ波の治療は、まだ確立していません。特に、どこまで癌が広がっているのかを切除以外の方法で正確に評価する手段がない現状では、完全に癌が焼けたかどうか判断できません。ラジオ波の後の再発率は低いようですが、新しい治療法ですので、観察期間がまだ不十分で、評価できません。癌が再発しても局所であれば、またラジオ波などで焼けば、予後には影響しないと理論的には考えられますが、根拠はありません。たとえば、乳房温存術後の放射線照射は、局所再発を減らす方法ですので、放射線を照射しないと局所再発率は上がりますが、予後は変わらないと思われていました。しかし、無作為化試験を集めて解析してみますと、最終的には予後にも差がでるようです。(文責 徳田)

 

No.4328-1】 05年08月29日     F 
乳癌検診について

はじめまして。38歳既婚、出産経験無しです。先日ブラジャーの代わりに胸に密着させるシリコンタイプの物《ヌーブラと言うブラジャーです》を使用しましたところ、貼り付きが良すぎて、メリメリと外す際に乳首が痛く、右の乳首から茶色の分泌液が出てきてしまいました。その晩に乳房が痛く感じたので、気になり寝室で仰向けになり胸に触れていると、たまたま右乳房の上脇にゴロゴロするしこりのような物に触れ、あれ何だろう・・・!!と思い、乳癌などの心配をしています。最近の症状として感じていたのは肩こりと背中のこりです。ただ乳房の痛みは生理前に来る痛みと張りに似ているので、判断できません。健康組合の婦人科検診をこの秋に予定して申し込んであるので、そちらで検診しても遅くはないでしょうか? もしも検診を早く受けるようでしたら、検診から治療(手術)までみて頂ける病院にしたいのですが、県央地区でどちらが良いでしょうか。教えて下さい。こちらのサイトを見つけて気持ちが楽になりました。大変丁寧な回答の数々に救われる気持ちです。よろしくお願い致します。

乳頭分泌および乳腺腫瘤を自覚されているわけですので、婦人科検診を待つのでなく、是非一度(乳腺)外科を受診していただきたいと思います。県央地区にも多くの病院があると思いますので、受診しやすい病院に、まずお電話にて乳腺外科があるか、または乳腺疾患を扱っているかなどを確認されてから受診されてはいかがでしょうか?(文責 谷)

 

No.4328-2】 05年09月02日     F 
再建手術について

回答有難うございました。乳腺外科に診察へ行ってまいりました。疑いは濃厚のようです。温存は出来ない場所にしこりがある様で、覚悟してくださいとの診断でした。明日から詳しい検査が始まるようです。続きで申し訳ないのですが、全摘出の場合、再建手術をあらかじめ考慮してして頂けるのでしょうか? それとも望まないと、その方向は論外なのでしょうか? 教えて下さい。結果を親しい者に伝えるときの事を考えると辛いです。これからも心の力になってください。よろしくお願いします。

再建手術に関しては、もちろんご希望に応じて考慮することになります。おそらく全摘のご説明をする際には再建術のお話も一緒にしていただけるものと思います。しかし早い段階で一度主治医の先生に全摘するならば再建術を希望したい旨をお伝えいただくと、より話しはスムーズに進むと思います。いろいろ大変ですが、頑張って治療を乗り越えてくださいね。応援しています。(文責 俵矢)

 

No.4327】 05年08月29日     T.N.
手術後の治療法について

2005年8月4日に右乳房温存手術をしました。なお、センチネルリンパ節生検の結果により、リンパ節郭清は行いませんでした。大きさは2cm未満で、手術時の診断結果として渡された文書には以下のことが記載されていました。なお、現在51歳で、33歳にて第2子出産後ずっと生理がありません。
1)臨床経過: 本日温存術施行しました。迅速で断端陰性、SLN:0/2
2)臨床診断: 右乳房下内側部乳癌 リンパ節転移・部位不明の疑い
3)臓器名: 1:乳腺 2:リンパ節
4)診断結果:悪性
5)病理診断:#1 breast,partial resection:breast cancer,invasave ductal carcinoma.scirrhous carcinoma,see comment
#2 lymphnode,resection:no metastasis
6)病理所見:#1 f(+),ly(++),v(-),管内進展(+)  SBR分類:grade2(2+2+2=6)  Her−2(-),ER(+),PgR(-),p53(-) Cの一部でmarjinがぎりぎりと考えます。術中迅速の結果も合わせてご検討下さい。またリンパ節浸潤が目立ちます。 #2 N−level1 0/2

手術前の説明では、「可能であれば温存術をし、センチネルリンパ節生検の結果、転移がなければリンパ節郭清は行わない。手術後には、放射線照射と、適合すればホルモン療法を行う。ただし、手術時の検査により抗ガン剤治療の可能性もある。」ということでした。手術後の治療法の説明では「ホルモン療法として、アロマターゼインヒビターが適合すると思われる。ただし、子宮ガンの発生率が高まるが、検査は続けていく。抗ガン剤については、絶対に必要であるという訳ではないが、希望があれば、CMF×6、またはAC×4orFEC+Tf(?)をしても良い。抗ガン剤については、保険の上に保険を重ねるようなものだ。次回(8/31)の診察で返事をください。」ということでした。抗ガン剤については、転移がなければやらなくてもよいと(勝手に?)考えていたものですから、とまどっています。抗ガン剤のことを話されたのは、転移の可能性(心配)があるからなのか、ガン細胞のgrade等、病理診断の結果の問題なのか、または、温存をしリンパ節郭清をしなかったから抗ガン剤の必要性が高くなったのか、よくよく考えてみると心配が大きくなります。抗ガン剤治療を行うことの身体への負担と、行わないことによる再発の可能性への不安とを、どのように考えたらよいのか結論がだせません。抗ガン剤治療についてのご意見をお聞かせください。

2005年のザンクトガレン会議の分類に当てはめると、悪性度、脈管侵襲の2点が高リスクということになり、中等度リスクに分類されることになります。よってタモキシフェンまたはアロマターゼインヒビターの使用が推奨されることになりますが、抗癌剤の使用はオプションということになっております。抗癌剤の使用にはある程度の副作用は覚悟しなければなりませんが、これを使用することで数%の方の再発を抑制する可能性はあるかも知れません。このあたりを踏まえて主治医の先生とよくご相談なさってください。(文責 谷)

 

No.4326】 05年08月29日     N.K. 
ゾラのみで良いのでしょうか?

患者本人です。年齢40歳、04年11月に乳癌の告知、リンパ転移有、11月よりEC4クール+ドセタキセル4クール後、05年5月温存手術後、放射線25回終了。現在ホルモン療法ゾラ2年後、内服3年の予定。術前 3cm(T2−T3)、脇リンパ1cmのしこり。術後 浸潤1.5X1.0X0.6 、脈間侵襲なし 、リンパ管1/6転移 、ホルモンER2+,PgR(+1) 、ハーセプテスト 0(グレード不明)。主治医は、「@ゾラ+ノルバとゾルバ単独でも再発率が変わらない。Aノルバを5年服用すると子宮ガンになる確率が高くなるので、ゾラ2年ノルバ3年でOK」というのですが、いろいろ調べると、ゾラ+ノルバ併用というのが多いように思います。最新の治療方法はどのようなものでしょうか。身長152cm、体重51kgで、肥満ぎみなので余計ノルバデックスも併用したほうが良いかと思うのですが・・・。ゾラ+ノルバ併用した場合の副作用は大きいのでしょうか。ご意見をお願いいたします。

転移性乳癌においてはゾラデックス単独よりもゾラデックス+ノルバデックスの方が無増悪期間、全生存期間のいずれも良好であることが知られておりますが、術前化学療法、温存手術、放射線療法を施行の後の補助療法としてということになると、しっかりとしたエビデンスに基づいた話ということはできません。貴女のケースでは、ゾラデックス(2年)+ノルバデックス(5年)の併用を私はお勧めしたいと思いますが、ゾラデックス単独2年の後ノルバデックス3年でも大差はないのかも知れません。またノルバデックス2年投与に比して5年投与では子宮体癌の発生が2倍になるというデータがありますが、そもそも子宮体癌の発生率は低く、逆に対側乳癌発生の抑制率が子宮体癌の発生率を上回るとされておりますので、投与期間を5年でなく3年にする理由に根拠が薄いような気もします。また副作用に関しては個人差が大きく、hot flash、性器出血、静脈血栓症などが子宮体癌以外にも知られておりますが、ほとんど副作用のないケースも多く見られます。(文責 谷)

 

No.4325】 05年08月28日     T
乳管内乳頭腫でしょうか?

はじめまして。現在34歳で、3人の子供を出産しました。3日前から左の乳首だけが腫れて、触れると少し痛みが出るようになりました。生理前なので気にはしていなかったのですが、3日目になると熱を持ったようになってきました。出産前から乳頭が痒くなり、黄色い膿みの様なものが出ていました。3人目の出産の時に相談したことはあるのですが、首をかしげて、「気になるようでしたらまた相談してください」と言われました。気にはしていなかったので、そのままにして現在に至ります。受診しないとはっきりわかりませんが、乳管内乳頭腫でしょうか。乳管内乳頭腫とはどんな病気ですか。治療方法は? それから、受診する乳腺専門医とは、普通の産婦人科で構わないのでしょうか。大きい病院のほうが良いでしょうか。耳も難聴になってきて受診しようと思った矢先で、不安でいっぱいです。よろしくお願いします。

直接拝見してみないとお答えは難しいですが、分泌液が乳管孔から出るのか乳頭の表面から染み出すのかによっても病態は異なります。乳管内乳頭腫でも乳管孔より分泌がしばしばみられますが、乳管拡張症や乳管周囲炎でも同様の症状が起きえます。またもし乳頭のビランも伴っているとすると、湿疹やパジェット病なども鑑別に入ってくると思います。また乳腺専門医はほとんどが外科医ですので、産婦人科でなく一度乳腺外科を受診してみるのがよいと思います。(文責 谷)

 

No.4324】 05年08月28日     T.H.
乳頭からの分泌液

こんにちは。25歳の女性で、ご相談したいことが2つあります。先月、何気なく乳頭をつまんでみたところ、透明、もしくは白っぽい分泌液が両方の乳頭から出ました。あとで、前に一週間くらい内服していた精神安定剤の副作用で、ホルモンバランスをくずすことがわかりました。 もしかしたらその影響で分泌物があったのかもしれませんが、心配だったので乳腺外来を受診したところ、左胸が乳腺症と診断されました。念のため分泌液を採取して検査をしたところ、何も異常はなかったのですが、最近乳頭をつまんでみたら、まだ両方からほんの少し透明な分泌液があります。このように分泌液がでるのは、乳腺症からでしょうか? 今は何も薬は飲んでいないのですが、まだ分泌物(ごくわずかな)が出るので少し気になっています。何もしないと分泌物はでないので、そんなに心配することはないでしょうか?
乳首のかゆみについてもお聞きしたいことがあります。4,5年くらい前から、たまに左の乳頭、乳輪部がかゆくなることがあり、かさついて皮がむけてしまったりもします。 乳首がただれていたりということはないのですが、パジェット病?と、少し心配しています。また、乳首やその周辺がかゆいときは、どういう薬を使ったらいいのでしょうか?

透明〜白色の乳頭分泌が両側にみられるとのことですが、ご指摘の通り精神安定剤の副作用の可能性は十分にあると思います。これは乳腺症とは別の病態と考えた方が自然だと思われます。休薬後も少量の分泌がしばらく続くこともよくみられますので、まず心配要らないと考えられます。また、左の乳輪や乳頭にかゆみやが時々生じるとのことですが、ただれが続くわけではなく、パジェット病の可能性は低いように思われます。しかしご自身の安心のためにも一度乳腺外科または皮膚科を受診なさったらいかがでしょうか?(文責 谷)

 

No.4323】 05年08月28日     S.K
しこりについて

こんにちは。以前母のことで相談させていただいた時は大変お世話になりました。お忙しいところ申し訳ありませんが、今回は私自身のことで相談させていただきたくメールしました。現在26歳、1歳8ヶ月の子供がいます。2週間前に右胸に1センチもないくらいの丸く平べったいような感じのよく動くしこりを見つけ、乳腺外来に行きました。触診、マンモ、超音波の検査をしてもらったのですが、触診では確かに触れるものはあるのですが、画像にはしこりとして写るものはありませんでした。先生が言うには、授乳していたこと、もしくは2ヶ月前に卒乳したことが関係しているのではということでした。両胸とも母乳が詰まっていることもなく、悪いものもないそうです。ここまでは良かったのですが、右脇のリンパが腫れていると言われました。リンパが丸く腫れているのが気になるということです。稀に乳房には異常はないのに、いきなりリンパにがんができることがあるということなので、3ヵ月後にもう一度来て下さいと言われました。後で調べたのですが、リンパにいきなりできるがんとは悪性リンパ腫のことでしょうか? リンパが丸く腫れているのは、そんなに異常なことなのでしょうか? だいたいが平べったく腫れるそうですが・・・。リンパが腫れている=胸のしこりは悪性かもしれないということも考えられますか? 3ヶ月様子を見るとのことですが、大丈夫でしょうか。もう一度検査するべきでしょうか? しこりは授乳、卒乳に関係しているかもしれないということ、リンパが丸く腫れていること、先生ならどう思われますか? 母も乳がんで現在治療中なので、とても不安です。ただただ不安で質問してしまいましたが、どうぞ宜しくお願いします。 

右腋窩のリンパ節腫脹ありとのこと。これを悪いものに結びつけて考えると、(非触知)乳癌の腋窩リンパ節転移か、ご指摘の悪性リンパ腫などが考えられます。いずれにせよ悪性を強く疑っているのであれば、そのリンパ節の細胞診またはリンパ節生検などを行う必要があると思われますが、そのまま経過観察の指示を考えると、主治医の先生は悪性を強く疑っているわけではなさそうです。もちろん炎症性のリンパ節腫脹、または炎症の名残で腫脹したまま残ったものなど、特に心配のないリンパ節腫脹も数多くみられます。今後乳腺に変化がないかどうか、また首や対側の腋窩、鼠径リンパ節などに新たに腫れてきたリンパ節はないかなどをご自身でチェックされて、3ヶ月後には再度受診されるのがとよいかと思います。(文責 谷)

 

No.4322】 05年08月28日     N.F
乳頭分泌について

初めてメールさせて頂いております。25歳です。乳首から滲出液のようなものが出て、赤くただれている状態です。6月ごろから続いており、一旦は治っても、今度は反対側の乳首からと、交互にただれたり、両方が同時にただれたりしています。ただ痛みはなく、時々かゆくなる程度です。しこりは、成長期の時に固くできるしこりが、いまだにありますが、胸全体にあるので乳がんの兆候ではないように思うのですが・・・。検査に行くにしても、皮膚科に行くべきか乳腺科に行くべきか迷っています。どうしたらいいのでしょうか?

アトピー性皮膚炎と言われたことはないでしょうか? いずれにせよ両側の乳頭のただれであり、まず皮膚科受診をお勧めいたしますが、乳腺外科でも問題ないと思います。(文責 谷)

 

No.4321】 05年08月28日     M.A. 
半年後(HPNo.3642-3)

HPNo.3642で相談した者です。半年待てずに2件目に受診した病院で、3ヵ月後にエコーを受け、「大きさにほとんど変化なし」と言われました。なかなか映らないようでした。それから更に3ヵ月後(一軒目の最初の受診から半年後)、最初の病院を受診しました。こちらも検査はエコーのみで、ドクターに「分泌物がありますか」という質問をうけました。何もでないので、そう答えたところ、「母乳みたいなものが溜まっているのでしょう」と言われました。以前より少し大きくなったようです(数字は聞きませんでした。写真をちらと私が見たところ、形がいびつに見えました)。半年後に、また経過を見ていただきます。次回に来院する際は、先日のようにエコーの予約ではとらず、先生の診察という予約になりました。私のような症状の場合、半年後、どういう診察や検査があると考えたら宜しいでしょうか。エコーで、母乳みたいなものかどうか分かるのでしょうか? 癌の可能性はありますか? どういうことが起きたら半年待たずに相談すべきでしょうか。どちらのドクターからも、乳腺症があると言われています。まとまりませんが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

半年後に今度はエコーでなく診察という予約になったというのは、おそらくマンモグラフィを次回は施行しようと先生はお考えになったのだと考えられます。前回からの経緯より乳瘤を形成しているのかも知れません。いずれにせよ癌の可能性はそれほど高くないように思えますが、直接拝見しておりませんので、あくまで推測であることはご了承ください。自己検診で明らかに変化があった場合(腫瘤が大きくなった、痛みが強く発赤してきたなど)、早々に受診されるのがよいと思います。(文責 谷)

 

No.4320】 05年08月28日     M.I. 
乳頭の膿

初めて相談します。よろしくお願いします。3ヶ月ほど前から生理の予定日前後に右の乳頭が痛いほど硬くなり、まるでにきびや腫れ物がパンパンに腫れているような状態です。痛いのを我慢して押し続けると、中の膿袋が割れたかのように乳頭からふき取るぐらいの膿がでて、その後同量の血液が出てきて、痛みも落ち着きます。先月、外科で膿の出た後診てもらいましたが、レントゲンも超音波も問題ないとのこと。でもまた今月も同じ症状で、とりあえず自分で押して中の膿と血液をだして痛みを回避しています。このままで良いのでしょうか。心配です。どのようにしたらよいか教えてください。よろしくお願いします。

直接拝見しておりませんので病状が今ひとつ想像できませんが、乳輪下膿瘍、乳管拡張症、乳管周囲炎等が考えられます。次回また同様の症状が生じたら、自分で膿を出さず腫れた状態のままで乳腺外科を受診されてはいかがでしょうか?(文責 谷)

 

No.4319-1】 05年08月28日     N.T
今後の治療について

いつも拝見し、勉強させていただいています。今後の治療について、ご相談にのっていただきたくメールしました。私は33歳、もうすぐ1歳になる子供がおります。今年の7月1日に右乳房全摘+センチネル生検を受けました。病理の結果、腫瘍径:24×15mm、リンパ節転移:0/4、グレード1、ホルモンレセプター:ER+ PGR+、HER2:−でした。乳腺外科の主治医からは、「腫瘍径と年齢でハイリスク群に入るので、抗がん剤+ホルモン療法を行う」との事で、本日化学療法科を受診しました。化学療法科の先生は、「ハイリスクと言っても、どちらも境界域。抗がん剤を使うとすればCAF6クールの予定。しかし、リンパ節転移もないので、抗がん剤は使わなくてもいいのではないか」との見解です。可能ならば治療終了後に妊娠を希望しているので、抗がん剤のメリットよりデメリットの方が大きいとの配慮のようです。また、ゾラデックスによる卵巣機能保護の説明も受けましたが、この方法はまだ確立されておらず、勧めないとのお話でした。私の場合、ホルモン療法単独とCAF+ホルモン療法とでは、再発率はどの位変わるものでしょうか? また、先生ならば、どの治療方法を勧めてくださいますか?

2005年のザンクトガレンのリスク分類に当てはめると、貴女の場合中等度リスクということになり、ホルモン療法単独か、化学療法の後ホルモン療法施行が推奨されております。ホルモン療法としては、ゾラデックス+タモキシフェンの使用が一般的かと思います。ホルモン療法の前にCAFを加えるか否かで再発率がどのくらい変わるのかは、データがなくお答えしかねますが、個人的にはそれほど大きな差にはならないと考えております。ただ大事な点は、貴女が治療の後に強く妊娠を望んでおられるのであればCAFの使用は薬理学的閉経となる可能性が十分ありますので、ホルモン療法単独が好ましいと考えます。一方で、妊娠をそれほど強く望んでいるわけではなく、よりしっかりとした再発予防をしたいと望まれるのであれば、CAFの後ホルモン療法を選択されればよいのではないかと思います。ただCAFの前にゾラデックスを1回使用するという卵巣機能保護に関しては、まだしっかりとした根拠に乏しく、私もお勧めはいたしません。(文責 谷)

 

No.4319-2】 05年12月30日     N.T
転移の可能性について

以前HPNo.4319でお世話になったものです。その節は丁寧なご回答ありがとうございました。こちらでのご相談の結果、CAFを選択し、現在5クール目を終えた所です。あと一頑張りと思っていたところ、数日前より術側の肩が痛み出しました。最初は寝違えただけかと思ったのですが、徐々に痛みが増している気がします。そこで質問なのですが、
1)通常、転移は脊椎や骨盤が多いと言われていますが、肩の骨から始まる事はありますか? また、私のケースの場合、転移の可能性は高いと考えられるでしょうか?
2)骨転移を調べる時に、単純X-Pで分かるものでしょうか?
3)次回の診察が1月半ばなのですが、日常生活に支障のない痛みなら、その時に検査のオーダーをしていただくことでよいでしょうか? それとも、早めに受診した方がいいですか?

こんなに早く転移してしまったのかと不安で一杯です。お忙しいところ申し訳ありませんが、ご回答お願いします。

1)貴女が仰るように、骨転移の場合、一般には脊椎や骨盤が多いですが、他の部分の骨にも多発している事が少なからずあります。鎖骨等の肩の骨の転移も稀には見られます。
2)多発しているかどうかも含めて、おおよその見当をつける為に、スクリーニングの検査として骨シンチを行ない、更に病変がある場合は、その部分、部分の検査を行います。単純X-Pも、この検査に含まれますが、他にCT、MRIを行う事になると思います。
3)痛みが増しているとの事ですので、不安を取り除く為にも早めに受診したほうがよいと思います。(文責 須田)

 

No.4318-1】 05年08月28日     M 
しこりの細胞診の結果

こんにちは。突然のメールで申し訳ございません。ご相談にのってもらいたくメールしました。先日、乳ガン検査を受け、悪いと指摘されて色々悩んでおります。私は昨年12月末に出産し、その前に乳房マッサージをしていて、左胸(脇下のあたり)にしこりを発見しました。その時はそのしこりはだんだん移動していたし、妊娠中もあって乳腺だろうと思い、先生にも言わずに過ごしておりました。その後出産し、母乳をあげていたらしこりも小さくなり、気持ちも落ち着いていましたが、母乳が出なくなる一方で、しこりはだんだんと大きくなり、先日病院へ行きました。最初の病院では、触診、エコーをし、乳腺の関係で良性だろうと言われ、念のためにと大きい病院へ紹介で行きました。そこでは、触診、エコー、マンモグラフィーをしました。そこで石灰化されたものが見つかり、細胞診をし、その日とりあえずは「悪いようだ」という結果で、最終結果は1週間後でした。しかし、その間に手術に向けての検査が次々と入りました。もしかしたらその石灰化した所から今のしこりへと来て、大きくなっているかもということでした。悪ければ全摘と言われています。細胞診というのは30分以内に結果はわかるものなのでしょうか? それまでに手術の検査ということは、もう手術で間違いないと思っていていいのでしょうか? 私はとても憂鬱になり、そこらへんが気になっています。

育児の真っ只中に乳癌の可能性を指摘されているとのこと、さぞかし心身ともに大変なことであろうとお察し申し上げます。さて、このたびの経過について私が直接拝見しておりませんので推測でのお話になりますが、2度目の病院で一通り検査した後「悪いようだ」と言われたとのことですので、細胞診だけでなく触診、エコー、マンモグラフィなど総合的に判断されたのだと思います。その後一週間後の最終結果までに術前検査を色々と組まれたのは、もし悪いものであった場合、手術までのロスタイムを少しでも減らすための主治医の先生の計らいだと思います。ただいずれにせよ最終結果を待つよりなさそうです。(文責 谷)

 

No.4318-2】 05年09月02日     M 
抗ガン剤、手術前か手術後か?

4318でご相談したものです。ありがとうございました。その後、ガン細胞だったことが分かり、全摘手術を勧められました。全摘がどうしても受け入れられなかったのでセカンドオピニオンで他の病院に行ったところ(癌では昔から有名な所)、しこりと石灰化の部分が近いため温存手術(乳首は残せてあとは再建)が可能かもしれないということで、そちらで治療をすることに決めました。そこは温存手術をするというのが方針で、「無理なら全摘をしましょう」という事で、とりあえず全摘は少しは免れましたが、今度は、抗ガン剤治療をして(癌が小さくなる可能性があるため)手術をするか、手術をして抗ガン剤治療をするか選択をしなくてはならなくなりました。先生は、「しこりがまだ2pくらいで、これが5pくらいあると先に抗ガン剤治療を勧めるが、どっちとも言えないから本人の意志だ」と言われました。先に抗ガン剤治療のデメリットは、「術後の抗ガン剤治療で、もしかしたら使わないでいい抗ガン剤を使ってしまうかも」という事でした。治療期間や本人の体の苦痛等は同じだと言っていました。私は、癌が小さくなるのに賭けてみようかと先に抗ガン剤治療にしましたが、最後まで悩み昨日夕方に決めたときは、先生は、「手術を先にする方を選択するのかと予想していた」と言っていました。どちらがいいとかっていうのは本当にないのでしょうか?

大規模な臨床試験により術前に化学療法を行っても、術後に行っても基本的にはその後の再発率や生存率は変わらないということが分かってから、最近は術前化学療法が広く行われるようになりました。術前化学療法の最大のメリットは、現時点では全摘をしなくてはいけない患者さんが化学療法を行って「がん」を小さくすることで、温存療法を受けられることにあります。手術をしてから化学療法を受ける場合には、手術で切除した乳房のしこりの性質とリンパ腺の転移の状況をよく調べることができ、その豊富なデータをもとに術後の薬物療法の内容を選択できるということが利点となります。したがって、主治医の先生がおっしゃるように、2cmくらいの乳癌の患者さんの場合、リンパ節転移がなければ、しこりの性質によっては抗がん剤をしなくてもよい場合もありうるということになります。しかし、文面から拝見するかぎり、Mさんは「乳房を温存したい」という希望が強い方のようですので、術前化学療法を受けることによって温存療法ができるかもしれないという可能性に賭けるというのもよいと思います。
乳がんの治療を決める場合、病状や効果と共に患者さん自身が何を望まれるかということが大きな要素となるため、患者さん自身に治療法を選択してもらう場面が最近多くなってきました。「がん」と言われただけでも大変なのに、治療法を選択していかなくてはいけないのは大変だろうと思います。しかしご自分の納得した治療を受けることが一番です。不安に思う気持ちは主治医の先生にもお話されるとよいと思います。(文責 俵矢)

 

No.4317】 05年08月28日     R.M.
パジェット病の不安と乳腺線維腺腫

39才、未婚女性です。6月中旬から右乳頭〜乳輪より分泌液が続き、下着のスレや汗によるかぶれが悪化し感染したものと思い、ゲンタシン塗布しましたが改善せず。7月中旬近医外科にて、「乳頭は単なるただれ」とのこと。ステロイド処方され、塗布していたら改善傾向でした。一方、乳房触診で同じ右外側上部のしこりを指摘され、大学病院で、マンモグラフィー、エコー、腫瘍マーカー等を受けた結果、乳腺線維腺腫と診断され、ひとまず安心したのですが・・・。
1)乳頭〜乳輪のただれが治りきらない様子。乳輪周囲のうっすらした発赤、左乳輪にくらべ全体にふっくらしている。若干のかゆみあり。浸出液はないのですが、反対に乾燥ぎみで薄く皮膚がむけていることもあります。(ステロイドは一週間程で中止しています)
2)乳房上部や右背部〜側胸部の圧痛や神経痛が断続的にある状態が気になっています。

担当医は、1)に関しては、パジェット病の可能性もあるが、だとしても進行は緩慢なので、半年後疑いが濃ければ穿刺検査をしましょうとのこと。2)については、線維腺腫は痛みはないはず・・とのこと。
@ パジェット病だったとして、半年も放置して問題ないのでしょうか?
A 2)との関連でウイルスや真菌感染、肺がんなどの可能性は? とすれば乳腺外来ではなく、皮膚科や呼吸器、胸部外科で相談すべきなのでしょうか?

長々と書いてしまいましたが、ご意見よろしくお願い致します。

@ 主治医の先生が仰るとおり真のパジェット病は通常進行が緩慢なため、もしそうであったとしても6ヶ月後ではそれほど進行しないと思われます。
A 右背部〜側胸部の圧痛や神経痛は乳腺の疾患との関連は薄いように思われます。整形外科、呼吸器科などにも一度受診されたらいかがでしょうか?(文責 谷)

 

No.4316】 05年08月28日     T.S
再発について

私は温存手術をして1年たちました(初期でリンパ節転移なし、放射線治療50グレイ、ホルモン感受性陽性)。術後に患部のあたりにしこり、くぼみがあります。「細胞診では、がんは見られない、放射線治療副作用のため」との主治医の診断でした。質問ですが、再発の場合、1年前後で、どのくらいの大きさになるのでしょうか? また必要な検査は今後どのような種類、時期にあるのでしょうか? 考えられることを知りたいと思います。よろしくお願いいたします。

温存手術後放射線療法施行しており、局所再発率は5%前後と考えられます。一般に術後手術創の近傍はしばしば固い硬結を形成しており、再発との鑑別に難渋するケースもあります。実際局所再発といっても多種多様におよび、再発の時期やその際の大きさも千差万別だと考えます。主治医は毎回の診察のたびによく触診をし、再発の疑いを感じると超音波検査等追加の検査を施行することとなります。またご自身でも時々触診をなさって、もし自分なりに異常をお感じになったら、すぐ主治医にご相談いただくと、お互いにより安心かと思います。(文責 谷)

 

No.4315-1】 05年08月28日     M.T.
再発・転移への不安

はじめまして。3週間前に右側乳房全摘出した27歳です。癌が発覚したのは今年の3月で、しこりの大きさが74×67×33cmあり、複数のリンパ節への転移もありましたが、温存を目指す為、術前抗癌剤ECを3週間に一回を4クール行いました。ところが残念ながら温存に至るまでしこりの大きさが小さくならなかったようで、この度全摘手術を行いました。病理検査の結果は以下の通りでした。
癌の種類:硬癌/主病巣:3×3.5×2cm/リンパ節転移:1/27個/リンパ管侵襲:1+/悪性度:Grade 2/エストロゲンレセプター:20%陽性/プロゲステロンレセプター:10%陽性、Her-2:陰性/他臓器への転移:なし/病期診断:III期

「抗ホルモン剤もハーセプチンも効かないので、タキソール一本でやろう」と主治医には言われ、来週から毎週投与タキソールを12回行う予定です。そこで質問なのですが、
@ 現在の段階で再発・転移の可能性は何%ぐらいでしょうか? そしてタキソール投与後ではリスクはどれだけ減るものでしょうか?
A 抗ホルモン剤も、ハーセプチンも効かない、術前にやったECももうこれ以上効かない、ということは、それだけ使用できる薬が少ない、つまり再発・転移のリスクが高いということなのでしょうか?
B 発見当時はリンパ節への転移が複数あるとのことでしたが、術前抗癌剤投与後は1/27個に減っていました。これは、癌が消えた分のリンパを通って全身へ散らばっていったがん細胞に関しては、全て消えたと考えていいのでしょうか? 1/27個と聞いて思わず喜んでしまいましたが、よく考えてみたら元々はもっと転移していたんですよね。抗癌剤が効いて1個に減ったということですもんね? ぬか喜びだったのでしょうか・・・。
C どこかで、「抗癌剤投与していて生理が止まる人程予後がよい」と聞きました。私は抗癌剤を投与しているのに生理が順調に来てしまっています。実際のところどうなのでしょう?
D 術前にEC投与をする理由として、「抗癌剤への感受性が目で見て分かるから」と言われました。その言葉通り「ECはある程度は効いたけど、これ以上は効果はないと思われる」ということが、しこりの大きさの変化からはっきりと知ることができました。ところが、しこりを全て取り除いてしまった今、これから投与するタキソールが効いているかどうかを判断する基準がないと思うのですが、タキソールの効果は将来再発・転移してからでしか分からないということですか? 再発・転移を防ぐためにタキソールをやるのに、再発・転移してしまってからでは遅くはないのでしょうか? ちなみに、EC4回終了後、「タキソールを術前にしなくて効果が分かるのか」と主治医に聞いてみたところ、「出来なくもない」と言いつつも、結局手術を先にするよう勧められました。
E 私と同じぐらいの大きさ、もしくはもっと小さいしこり(5cm以上)で、同じく全摘手術を終えた方で、術前の抗癌剤をやらず、いきなり手術で術後はタキソール、という方が結構いらっしゃるのですが、ECをやるやらないの基準はどこでしているのですか? ECの副作用が私はちょっとキツかったので、やらない人がいて「うらやましいな」、と思う反面、やったのに温存が出来なくて、「どうせ効かないんだったら最初から取っちゃえば良かった」と、どうしても後悔してしまいます。人は人、自分は自分と分かっているつもりではいるのですが、どうしても抗癌剤の辛さから神経が過敏になってしまっているのでしょうか、悲観的になってしまう自分がとても嫌です。

以上、長々とすみませんが、ご回答の程宜しくお願いいたします。

@ StageVaに対するECによる術前化学療法施行後の健存率ということになり、年齢が27歳と若いことも含め、ある程度高率の再発率と考えなければならないと思いますが、この正確な数字はわかっておりません。またタキソール投与がこれらの再発率をいくらか下げることが十分期待できますが、やはり同様に具体的な数字をお示しすることはできません。
A これらが再発率のリスクを高めるとはいえませんが、もし再発した際の選択の余地は限られてくると思います。(ただエストロゲンレセプター20%陽性ということはER(+)ではないでしょうか?)
B 術前化学療法により腋窩リンパ節転移が減少したということは、全身に散らばっていたかもしれない細胞レベルの癌にも効果があった可能性が十分にあると思って差し支えないと思います。しかしどの程度効いたのかは調べようがありません。
C ホルモン感受性陽性乳癌の場合、抗癌剤の作用で生理が止まることにより、効果が増強する可能性はあると考えます。
D 確かに現時点ではタキソールの効果を評価することは困難です。よく効くはずだと信じて頑張っていただきたいと思います。
E 術前化学療法施行の基準に統一された見解はまだなく、各施設またはドクターがそれぞれの基準を設けているのが現状です。貴女の場合、残念ながら全摘となってしまいましたが、EC療法により、明らかな腫瘍の縮小とリンパ節転移の減少がみられており、前述のように全身に散らばっていた目に見えない癌細胞が死滅できているかもしれません。是非前向きに今後の治療に臨んでいただきたいと思います。(文責 谷)

 

No.4315-2】 05年09月13日     M.T.
術後の治療に対する質問

HPNo.4315でお世話になりましたM.T.です。早々のご回答、どうもありがとうございました。本日、またご相談に乗っていただきたくメールさせて頂きます。本日は術後初めてのタキソテール投与の日でした(私はお酒に弱いので、タキソールからタキソテールに変更してもらいました)。アレルギー防止、吐き気防止用の薬が入り、タキソテール投与開始10分くらい経ってからでしょうか、体中が痒くなり始め、背中の右下辺りにでっかい発疹が3つ。その他にも体中のあちこちがチクチクしだし、痒くてたまらなくなりました。喉もヒリヒリしてきて、顔も段々赤く腫れてきてしまいました。看護師さんを呼んだら何だか大騒ぎになってしまって、ついには主治医まで駆けつける始末となり、結局タキソテールは中止となってしまいました。恐らく、今後もタキサン系の薬はもう怖くて使えないとのこと。ECも、もうこれ以上効かないらしいし、使える薬が段々少なくなってきていることが、とても不安になっています。今後の治療としては、ゾラテックス5年+5FU2年となりそうです。
1) 初めて目にする新しい薬に対する効果、副作用が心配でたまりません。ECと比べて、またはタキソテールと比べて、効果・副作用、また再発・転移に対するリスクの違い等、教えていただければ幸いと思います。
2) 生理が止まるとのことでしたが、それは一時的なものなのでしょうか、それとも、もう閉経ということになってしまうのでしょうか? ということは、将来子供を産むことが出来なくなってしまうのでしょうか?
3) EC+タキサン系で効果が上がると言われているので、どうしてもタキソール、またはタキソテールをやりたいのですが、アレルギー反応というのは体調によって左右されるものなのでしょうか? 我慢して投与し続けたら改善していくようなことはないのでしょうか? 「ECよりも吐き気が少ないのにECよりも効果があるかもしれない」と言われてきたので、今回の中止がとても残念でなりません。
4) 標題からはちょっと離れるのですが、前回のメールでは私の癌の悪性度はGrade2と書きましたが、実際にGrade2か分からなくなってきました。病理診断報告書に書いてある、『Grade1bの効果』とか『効果をGrade2とする。Grade 2+1b(d)+1b(n)』というのは悪性度のことではないのでしょうか?

何だか話が前後して大変申し訳ございません。ご回答の程、どうぞよろしくお願いいたします。

1) 貴女の症状は典型的なタキサン系薬剤に対するアレルギーだと思います。抗がん剤の補助療法は打ち切りということなので、今後はホルモン剤による補助療法ということになります。ここで記載されているゾラデックスという選択肢は問題ないのですが、5FU系経口抗がん剤よりはタモキシフェンを同時に服用するほうが一般的な治療だと思います。
2) ゾラデックスは「生理を止める」ためのホルモン剤です。27歳という年齢を考えると、ゾラデックス投与を中止すれば半年以内に生理が再開すると思います。
3) 貴女が経験したアレルギー反応は、初回投与時で特に強く現れます。我慢して投与していると徐々に改善していくこともあるようですが、一歩間違えれば命に関わる重大症状が出現するので、おそらく今後もタキサン系薬剤は投与しないほうが良いと思います。
4) この場合のGrade2は組織学的悪性度のことではなく、乳がん細胞に対する化学療法の組織学的効果判定を表しています。貴女の場合は、「2/3以上の乳がん細胞は抗がん剤によるダメージを受けていた(Grade2=かなり有効)が、乳管内病変やリンパ節転移に関して1/3以上2/3未満(Grade1b=中等度有効)のダメージであった」ということを意味します。(文責 千島)

 

No.4315-3】 06年03月31日     M.T.
右手のしびれ

HPNo.4315で質問させていただいた者です。2006年2月にタキソール4クールを終え、その後ホルモン治療が始まりました(ゾラデックス/リュープリン注射+タスオミン剤服用)。1ヶ月前にゾラデックスを打ち、つい先週リュープリンに変えてもらって打ったばかりなのですが、リュープリン注射4〜5日目くらいから手(特に右)がしびれるようになりました。ずっとしびれているわけではなく、パソコン操作等でマウスをいじるなど、手を使っている時に特に強く感じるように思います。程度は、しびれて動かせないというわけではなく、ピリピリしてヒンヤリ冷たい感じがします。しびれが始まったのと同時期に右脇下も少し痛みを感じ始めたので、もしかしたら浮腫かとも思ったのですが、腕が腫れているような様子はありません。更年期障害による血行不良であれば仕方ないのですが、一番の心配は、再発・転移です。次回のCT検査は6月なので、それまで時間があり不安になりましたので、こちらで質問させて頂きました。どうぞご回答の程、よろしくお願いいたします。

添付文書によれば、ゾラデックスやリュープリンの神経系の副作用として、しびれなどの知覚異常が5%未満あり、あなたの症状もその可能性はあると思います。ただ手のしびれは、血行障害や頚椎症など他の原因がある場合もありますので、主治医の先生に相談してみてください。(文責 片山)

 

No.4314】 05年08月28日     M.Y.
術後の治療について

今日、術後の外来があり、病理の結果を聞きました。8月5日左温存手術をしました。しこりの大きさは0.6センチ、リンパへの転移はなし、病理の結果はグレード1、ホルモンレセプター{−}でした。明日から放射線治療を30回受けることになりましたが、その後は抗ガン剤もホルモン剤(マイナスなので無意味ですが)も必要ないと言われ、内心よかったと喜んだのですが、放射線のあとは無治療ということで、かえって不安になりました。私のようなケースもあるのでしょうか?再発・転移の心配はないのでしょうか?よろしくお願いします。

年齢、脈管侵襲、HER2/neuなど他の情報が不明ですが、ホルモンレセプター(ER,PgRともに)が陰性の場合、通常術後の補助療法として化学療法を施行することが推奨されております。ただしこりの大きさも0.6センチと極めて小さく、グレード1、リンパ節転移陰性など他の条件はよく、今一度主治医の先生と今後の補助療法についてよく相談されることをお勧めいたします。(文責 谷)

 

No.4313】 05年08月28日     K 
再発・転移の可能性(HPNo.4122-3)

HPNo.4122で質問させて頂いたものです。その節はありがとうございました。本日は、再発・転移の可能性についてお伺いしたいことがございます。よろしくお願いいたします。5月に左乳房全摘手術を受けました。病理検査の結果は、@浸潤部腫瘍径・・2cm、A乳管内進展・・5cm×8cmの範囲、B乳頭部表皮内に浸潤あり、C組織学的悪性度・・2、Dリンパ節転移・・なし、E脈管浸潤・・不明、FERマイナス、PgRマイナス、G HER2/neu 3+、でした。現在術後の化学療法を受けていますが、再発・転移の可能性をどのように考えたらよいのか悩んでいます。ホルモン感受性がないので、ザンクトガレンのリスク分類では中リスクに入ると思うのですが、リンパ節に転移がないとはいえ、乳頭部で皮膚浸潤していて、 HER2/neu 3+。HER2/neu 3+は何を見ても”予後が悪い”と書いてあります。”HER2/neu 3+はそれだけでハイリスクと言える”と聞いたこともあります。術後の補助療法終了後半年や1、2年など、早い時期に再発・転移されている方はHER2/neu 3+の方が多いので、怖いです。中にはリンパ節に転移がない方でも、早くから再発・転移されている方がいらっしゃいます。 HER2/neu 3+の場合、病院のHPや本に載っている病期別の予後に関するグラフはそのまま当てはまらないような気がします。再発・転移の可能性について教えてください。私は治癒する可能性はあるのでしょうか?

前回や今回の貴女の質問を拝見し、非常によく勉強され、知識をたくさんお持ちでいらっしゃることにまず敬服いたしました。貴女の場合、2005年のザンクトガレンの分類に照らし合わせた際、組織学的悪性度、ER、PgRともに陰性、HER2/neu 3+の3項目がリスクを高めるfactorとなり、ご指摘の通りintermediate risk(中等度リスク)に分類されることとなります。一方で、HER2/neuが3+の方は20〜30%にみられ、これらの方は陰性の方に比して予後が悪いとされております。ただ貴女の場合、あくまでも腋窩リンパ節転移なくstageTであり、しかも術後補助療法として化学療法までお受けになっておられるわけですから、具体的な数字はお示しできませんが、決してそれほどまでに再発率が高いわけではありません。必要以上に再発を気にされず、やるだけのことをやり、あとは再発しないと信じることも、時に重要だと私は考えております。是非悲観しすぎずに頑張ってください。(文責 谷)

 

No.4312】 05年08月28日     F.Y. 
病院名について

初めてメールさせていただきます。乳癌との診断を受けて以来、よく「相談室」を閲覧させていただいている者です。No 2551-2 (2004年6月23日 質問者Y.O.さん)への谷先生のお答えに、「現在ある病院で、術前化学療法にこのピンポイント照射を併用し、その後通常に手術をして、これらの効果を調べる臨床試験が始まっております。」とありましたが、この「ある病院」とは具体的にどちらの病院なのでしょうか?お教えいただけると有難いのですが・・・。と申しますのも、実は、現在、手術待ちの状態なのです(予定としては9月半ば頃、日にちは未定です)。後で後悔のないよう、放射線治療についても念の為もう少し詳しく知っておきたいと思いまして、思い切ってメールさせていただきました(その病院にセカンドオピニオンをお願いするのもひとつかしらと思ってのことです)。お忙しい中お煩わせすることになりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年6月にお答えした、「術前化学療法に放射線療法を併用した後、手術をしてこれらの効果を調べる臨床試験」というのは、国立がんセンターが主体となって行っていると聞いております。もちろん現段階ではまだエビデンスのある治療法ではありませんが、今後乳癌の程度や種類によっては選択の一つに数え上げられるようになるのかもしれません。(文責 谷)

 

No.4311】 05年08月28日     K.D.
細胞診検査結果待ち

初めてメールをさせて頂きます。7月に受けた人間ドッグの結果で右乳房腫瘍の疑いで要精検となり、近くの総合病院の外科でマンモグラフィと超音波検査を受けました。その結果、腫瘍が2.6cm、石灰化も見られるとのことで細胞診検査を行いました。結果は今週金曜日には出るのですが、大変不安な毎日です。ドックのその他の結果としては肺CTで影が見られ、経過観察で6ヶ月後に再度CTを撮るということです。右乳房腫瘍が悪性だった時、肺の影もこれに関係ある可能性は高いでしょうか?

ご返事遅くなり申し訳ありません。細胞診の結果はもう聞いておられることと思います。肺のCTの結果、呼吸器系の精査をすぐにはせず6ヶ月後のCTの再検ということは、主治医の先生はそれほど強く悪性を疑っているわけでないが、まったくの悪性の否定はできない、といったスタンスだと思います。もし乳癌であったとすると、もちろんその転移の可能性も考えなければなりませんが、それがどのくらいの可能性なのかは、やはり直接拝見してみないとお答えしかねます。主治医の先生に率直にお尋ねになるのがよろしいかと思います。(文責 谷)
 

 

No.4310-1】 05年08月25日     KY
卵巣保護について 

以前何度か質問させて頂いております。ご回答ありがとうございました。今回HPNo.4087の方の質問と回答を拝見しまして、自分に該当するのかとお伺いしたくて質問させて頂きます。3月に全摘手術をし、抗癌剤AC3ケ月とタキソテール3ケ月、その後ホルモン療法の予定で、今現在タキソテール2回目が終了したところです。抗癌剤で閉経する可能性があるとの事で、最初にお腹に注射を1本打っておいて卵巣を休ませておくと必ずという訳ではないが生理が戻る可能性があると言われました。今のところ妊娠の予定はありせんが、36才未婚の為、一応その注射を最初に1回だけ打ったのですが、それが抗癌剤と卵巣機能保護を併用したという事になり、抗癌剤の効果を弱める事になるのでしょうか?ご回答よろしくお願いいたします。

化学療法剤が卵巣機能障害を引き起こす時は、一次、二次卵胞の障害が主体であり、原始卵胞は比較的保たれていることになっています。そこで化学療法剤の使用前からLH−RHアナログを使用すると、一時的に下垂体から性腺刺激ホルモンの過剰分泌が起こり、卵巣を過剰刺激する事になり、今度は逆に性腺刺激ホルモンの分泌にブレーキがかかり、卵巣からの女性ホルモンの分泌を抑制します。この時、卵巣では卵胞の成熟が阻害され、成熟卵胞が減少、原始卵胞が増加し、化学療法剤による障害が軽減できる事になります。性腺刺激ホルモンは投与3日後で上昇し、女性ホルモンは3週間後には閉経レベルまで減少するので、4週間ごとにLH−RHアナログを投与することによって、女性ホルモンは閉経レベルに維持される事になります。従って化学療法を行っている間、卵巣機能障害を軽減するためには、4週間毎のLH−RHアナログ投与が必要になります。LH−RHアナログが化学療法剤の効果を妨げないという文献的な裏付けはなく、同時使用に全く問題がないかどうかは分かっていないようです。貴女の場合(AC−T)、LH−RHアナログ1回投与では、抗がん剤の効果を弱める事にはならないと思います。今後については、ホルモン療法を行うことになると思いますので、主治医と充分ご相談の上、納得のいく治療を選択してください。(文責 須田)

 

No.4310-2】 05年10月12日     KY
ホルモン療法について

HPNo.4310にて相談させて頂きました。回答ありがとうございました。抗癌剤は9月で終わり、これからホルモン療法の予定です。結局生理は8月迄あり、9月からはきていません。初歩的な質問かもしれませんが、36才という年齢でも、この場合ゾラデックスは打たないのでしょうか?

抗がん剤の影響で卵巣機能が低下して生理がとまっている可能性があります。年齢的にやがて生理はもどってくることが多いと思います。再発の可能性が高い場合には、当然ゾラテックスも併用すると思いますが、可能性が低い場合はタモキシフェンの服用だけでも十分でしょう。よく主治医と相談して下さい。(文責 吉田)

 

No.4309】 05年08月25日     H・K
食事について

乳がん再発のため、現在ホルモン療法をしています。ノルバデックスと月一回のリュープリン注射です。ホルモン療法のため更年期の症状があるのですが、大豆など更年期にいいといわれる食事をしてもいいのでしょうか?エストロゲンをつくり更年期の症状を和らげるような食事をするとホルモン療法の妨げにならないのでしょうか?乳がん自体の質問ではないのですが、食事は毎日のことなので質問させていただくことにしました。よろしくお願いします。

HPNo.1351-2でも回答いたしましたが、大豆に含まれるイソフラボンは植物性のエストロゲンで、理論的にはエストロゲン受容体ではエストロゲンと競合しますので、ノルバテックスと同様の効果がある可能性があります。閉経前の女性で、大豆の摂取による血中エストラジオールの変化は、「上がる、下がる、変わらない」と、色々な報告があり一定ではありません。植物性エストロゲンと乳癌の発癌リスク、予防効果に関しては、臨床研究で明らかにされていません。豆乳でも豆腐でも同様に、理論的には悪くありませんが、実際には、はっきりした事がいえないというのが現状です。ただし、日常の生活の中で、普通に食べる量では、問題ないと思います。(文責 須田)

 

No.4308】 05年08月25日     HNひろ 
ゼローダについてお尋ねします

現在54才の主婦です。いつもこのHPを読ませていただいています。今日はゼローダの使用についておたずねします。2000年6月に温存手術を受けました。2.5×2.5、リンパ転移は0でした。ホルモンは+でしたがHER2も3+でした。
術後の治療として、放射線を受けタモキシフェンを処方していただきました。2002年の12月よりCEAの値が上昇し、その時受けたCTで肝臓に影が写り、肝転移の疑いがあると言われました。CA15-3の値は上昇が見られず、現在も9前後をいったりきたりです。CEAの上昇が緩やかなこともあり、まずホルモン療法ということでゾラデックスが追加になりました。それでも上昇は止まらず、このHPのご意見を参考にし、主治医にタモをアリミデックスに代えていただきました。その後CEAの値は徐々に5.4まで下がりましたが、2.003年の暮れから再び上昇し始めました。アリミデックスをアロマシンに変えても効果はなく、2004年の11月にはCEAの値が167にまで上昇しました。それでハーセプチンを単独で始めることになりました。その効き目のおかげで今年の4月には10まで下がりました。CTでも影が半分になっていました。残念なことに現在また徐々に上がり始めて33まで上昇しています。私自身、化学療法(抗がん剤)に非常に抵抗があり、それをいつも主治医に訴えていたせいもあるのかもしれませんが、まず副作用の少ないゼローダを始めることになりました。ハーセプチンと併用です。主治医のお話では、体に薬を慣らせたり副作用をおさえるために、3週服用1週休薬ではなく、2週・2週ではじめる事になりました。2クール目もそれで行くそうです。そこで質問なのですが、少ない量で使用しても効き目に変わりはないのでしょうか?副作用が少ないのは非常にありがたいことなのですが、効き目のことが心配ですし、また素人考えですが弱い薬で耐性ができ易くなるのではないかと気にしています。また、まず初めはハーセプチン+タキソールの使用が一般的だとも聞きますが、ゼローダのあとにタキソールは使えるのでしょうか?また効き目は変わらないのでしょうか?
長々と質問してしまいましたが、転移箇所が肝臓ということもありQOLを第一に考えればいいのか、つらくても強い抗がん剤治療を受けたほうがいいのか・・・。また転移箇所は一ヶ所なのですが、外科的手術(動注とか言う方法もあると聞きました)は無理なのでしょうか? いろいろ考えて、少々焦り気味です。どうかよろしくお願いします。

乳癌で2週投与、2週休薬というトライアルはないようですが、3週目あたりから出現する副作用のハンドフット症候群を防ぐ目的で行っている事が考えられます。また、耐性についてですが、海外で低容量のトライアルが実施されていますが、少量によって耐性が出たという報告は今のところないようです。
ハーセプチン+ゼローダのトライアルに関しては、転移性乳癌の1stラインで治療し、77%の奏効率があったとの報告があります。その後の2ndラインは、ハーセプチン+その他の化学療法剤が考えられ、当然タキソールも選択肢の一つだと思います。また、転移が一箇所である事が確認された場合、手術的に切除する事も考えられます。主治医から充分な説明を受け、それぞれのメリット、デメリットを充分検討の上、納得のいく治療を選択してください。(文責 須田)

 

No.4307】 05年08月24日     Y・K
かゆみについて

初めてメールさせていただきます。2ヶ月前から左の乳房の乳首より上の方がかゆみだし、赤くなっています。少しボツボツした感じです。乳がんの初期に痒みがあることもあると聞いたことがあり、心配しています。7月の初めに市で行ったエコーでの乳がん検診を受けて、今、結果を待っているところです。痒みはあるものなのでしょうか? 乳首からなどの分泌物などはありません。排卵日などに少し乳房が痛むことがあります。よろしくお願いします。

メールの内容から拝察する限りでは乳癌の可能性は低いように思いますが、乳癌検診の結果を待つのでなく、近日中に皮膚科または(乳腺)外科を受診されるのがよいと思います。(文責 谷)

 

No.4306-1】 05年08月24日     K.N.
術前化学療法の効果について

妻は50歳、3ヶ月前3.6cmの乳がんで脇の下のリンパと鎖骨の下、胸の部分に転移している。そして、骨や内臓に転移なしと言われました。「エストロゲン陰性なのでAC療法4回とタキソールで治療する。そして、がんが小さくなったら手術を」と言われ、5月始めより治療が始まりました。私はサイコセラピストなので、心理的免疫療法のサイモントン療法と生き方を改善し、食事などもがんに良いと言われる食事やバランスを考えた食事にして、フコイダンを飲ませてきました。妻は何よりも病院や手術が嫌いなので、二人で話し合ってタキソールが1クール終わるまでに、医者から「がんがなくなってるよ」と言わせることを目標にやってきました。そして2ヶ月後、AC療法3回終了後のMRI、エコー、マンモの検査の結果、「しこりはどんどん小さくなって、胸のがんはほとんど無くなっている。リンパにはまだ残っているが、転移の数も減っている」と驚いておられました。一瞬データを間違えたのかと、エコーの結果やMRIのフィルムをチェックし直していました。その2週間後に胸のしこりの太い針による細胞診の結果、「生きているがん細胞はなし」と言われました。リンパの細い針による細胞診は白血球が下がっていたためにしませんでした。現在は、予定通りタキソールに入り、今日2回目です。そこで質問なのですが、この後はどのような治療になっていくのか? そして、胸のしこりのがんは無くなっているのに、小さくはなっているがしこりはまだある。そしてそのしこりが大きくなった気がすると言うのです。ただ、体全体が少しむくんでいて、しこりの周りもむくみの影響で大きく感じられるのか、良く分かりません。これは、またがんができて、大きくなったということなのでしょうか? このしこりは、がんがなくなっても、なくなることはないのでしょうか? もしがんがなくなってもしこりが残る場合、手術で取り除いた方が良いのでしょうか? タキソールの1回目の際、1日だけ入院しているときの回診の際、他の医師に「僕はまだあるような気がするんだよね」とがんがなくなったことに疑いを持っておられるようでした。長々と書きましたが、よろしくお願いします。

進行乳癌に際して、まず手術でなく放射線療法や内分泌化学療法を施行するケースが増えてきております。奥様の場合もまず化学療法施行がベストと主治医の先生は判断されて、AC+タキソールが始まったのだと思います。私は心理学は不案内なので心理的免疫療法等の効果については言及できませんが、抗癌剤に感受性のよい乳癌の場合、奥様のようにどんどん腫瘤が小さくなるケースはしばしば経験します。ただタキソールをいつまで続けるのかに決まった考えはなく、ケースバイケースであると思っております。治療が非常によく効いて腫瘤が完全に消えたように思えても、実際にその後手術で切除すると癌細胞が残っているケースは十分にあり、そのことも踏まえて主治医の先生と、今後の治療法についてよく話し合われる必要があると思います。(文責 谷)

 

No.4306-2】 05年08月31日     K.N.
術前化学療法の効果について(2)

ご回答いただいた内容で、逆に少し不安になった部分があるので今一度お尋ねしたいのですが・・・。「腫瘤が完全に消えたように思えても、実際にその後手術で切除すると癌細胞が残っているケースは十分にあり・・」ということなのですが、太い針の細胞診で生きているがんはないと言われても安心できないということですね。どういう結果を持って完全に消滅と言えるのでしょうか? また、腫瘤がなくなっても手術をするということなのでしょうか? 申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

抗癌剤や放射線療法の効果を判定するのは難しく、これらにより一時的に腫瘍が消失したように思えても、数ヵ月後あるいはそれ以降に再び腫瘍が増大してくることは珍しくありません。ですから仮に太い針の細胞診を行い癌細胞がなかったからといって、刺した部位以外のところに癌が細胞レベルで残存している可能性は常にあるといわざるを得ません。よって手術をせずに完全に消滅ということは通常難しいということになります。もし手術をしないで経過をみる前提で治療を行うのでしたら、腫瘤が消失したと思えた時から更に何度か追加治療を行い、より癌細胞死滅の可能性を高めることが望ましいのですが、これでもやはり完全とはいえませんので、慎重に経過観察をしてゆく必要があります。(文責 谷)

 

No.4305】 05年08月24日     K.K.
新しいザレクトガレンのリスク分類について

以前も沢山の質問に丁寧にお答え頂き、本当にありがとうございます。病理の結果が「低リスクである。」と聞き、元気が出て毎日楽しく過ごしておりました。が、ザレクトガレンのリスク分類に変更があり、自分の病理が「HER2受容体2+」であることにより、「中程度のリスク」に分類されることを知りました。現在タモキシフェン服用のみです。しかし、この治療は中程度リスクの中にはありません。HER2は染色法ですが、FISH法をお願いして確定させ、治療を見直さなければいけないものなのでしょうか。次回の受診は十月末の一年検診なのですが、早く相談した方がいいのでしょうか。 
それから以前にカルテにCOMEDO++・・という文字を見て、「コメド壊死」をインターネットで調べると「予後がよくない」とありました。コメド壊死、とはどういうものですか? 予後が良くない・・というのは本当なのでしょうか?

ザンクトガレンの会議は2年に1度開催され、そこで乳癌術後の補助療法の基本指針について話し合われます。毎回少しずつ指針が変更されますので、ご質問の通り2003年の指針と2005年の指針で推奨の治療法のズレが生じることがあります。IHC法(ハーセプテスト)にて2+の結果が出た場合、ハーセプチン使用の場合はFISH法にてHER2遺伝子の過剰発現を調べることが推奨されておりますが、現段階ではFISH法まで施行する意義はそれほど多くない思います。近いうちに主治医の先生に一度ご相談なさってはいかがでしょうか? 貴女の具体的な病状がわかりませんので詳しいお答えは難しいですが、私見としては、タモキシフェンの治療をすでにお続けになっておられるのであれば、現時点から補助療法の変更をすることはあまり好ましいとは思えませんので、このまま経過をみたいと思います。また、comedo typeとは面庖癌とも言われ、乳管癌の病理組織の中で、周囲に癌細胞があり中心部が壊死に陥っているタイプのものをさしていっておりますが、これだけで予後を述べられるものではありません。(文責 谷)

 

No.4304】 05年08月24日     K
乳癌の皮膚転移について

はじめてご相談させていただきます。私は乳癌W期で、肺と左鎖骨上部のリンパ節への転移がある者です。現在二の腕と背中(左の肩甲骨のあたり。乳癌は左乳房です。)に薄い茶色のそばかすのような物がたくさん出来ています。どちらも5センチ四方くらいで、触るととても小さく、細かいごま粒がたくさんのような感じです。背中の物は腕より濃い密度です。これは皮膚への転移ではないでしょうか? 皮膚科で診てもらった方が良いのでしょうか? どうしても不安がぬぐえないので、ご相談させて頂きました。

もちろん直接拝見しておりませんので推測でのお答えになりますが、乳癌の皮膚転移とは少し形状が異なるように思えます。しかしこのままでは心配も増幅してゆきますので、ぜひ早々にまず主治医の先生にご相談なさって、その指示に従っていただくのがベストかと思います。乳癌W期で頑張っていらっしゃるとのこと、今後もぜひ前向きにお過ごしください。(文責 谷)

 

No.4303】 05年08月24日     Y.S.
血性乳頭分泌&痛み

初めてご相談させていただきます。31年前に双子を出産、翌年に左乳房に異常を感じ受診。「乳腺症です。今後は年に一度、受診することをお勧めします」と言われ、以後、乳腺外科で、年に一度の検診を続けておりました。しかし、2年前の7月頃から左乳房に乳房痛と腋の下の痛みが1か月以上続いたので8月と昨年の2月にも受診しましたが、触診、マンモグラフィー、エコーによる診断はやはり乳腺症でした。痼りはありません。痛みを抱えながらもそのまま日を送っておりましたが、昨年の12月3日の夜、入浴時に乳頭からの出血に気づきました。以前から乳汁様の分泌物はありましたが、出血は初めてでした。元来、乳頭は小さかったのですが、2年前くらいから陥没乳頭になりましたため乳頭全体が血液に覆われていました。色は赤褐色でした。乳房外側の斜め下が痛く、その箇所を押すとじわーと出て来ました。12月8日に上記の乳腺外科を受診しました。触診、マンモグラフィー、エコー、分泌物による細胞診検査をしました。更に12月13日に再度受診。医師から「念には念を入れて」と言われて、乳房に針を刺しての細胞診検査。12月27日に結果を伺うため受診しましたが、医師からは 「いいでしょう。3ヶ月後においで下さい」とだけ言われました。細胞診の結果のコメントはありませんでした。今回も痼りはありませんでした。乳房痛、腋窩痛、それに加えて左肩から背中にかけての痛みが生じました。乳房痛、腋窩痛、出血は続いていましたので、不安で他の医師の診察も受けたいと思い、3月に他の病院の乳腺外科でエコーと乳頭の血液分泌物による細胞診検査をしました。痼りはありません。その結果は「ガン細胞は検出されません。しかし、出血が続いているので経過をみていきましょう。半年後に受診を。その間に何か異常を感じたらいつでも連絡を」と言っていただきました。その後も乳房痛、腋窩痛、肩、背中、上腕部痛が持続しておりました。出血は4、5月に1回。7月7日にまた出血がありました。しかし、今回は出血場所が分かりません。乳房痛、腋窩痛、肩、背中、上腕部の痛みも増していたので、診ていただきました。症状を申し上げましたが、エコーの検査のみでした。痼りがないし、3月に撮ったエコーとの変化はないので半年後の受診をと言われました。数日前、友人の知り合いの方が私と同じような症状で「潜在性乳ガン」だったとお聞きしました。乳房の痼りは見つからず、やはり出血と腋窩痛、背中と肩の痛みが続いていたそうです。私が現在診ていただいている医師は有名な乳腺外科専門医でおられるので、当然、私の症状から、痼りが見つからなくても炎症性乳ガンや潜在性乳ガンについても視野に入れて診察をして下さっていると思うのですが、私の方から「もっと精密検査をして頂きたい」とお願いしても良いものか思案しております。なお、申し忘れましたが、現在62才でございます。以上、長文になってしまいましたが、ご教示頂ければ幸いに存じます。よろしくお願いいたします。

血性乳頭分泌に同側乳房、およびその周囲の痛みが続いているようですね。昨年12月に詳しい検査をお受けになっておられますが、3ヵ月後の来院指示ということは癌の可能性があまり高くないと判断されたのだろうと思います。ただその際に、乳頭の分泌孔より造影剤を注入しマンモグラフィを撮影する乳管造影を施行していないようですが、陥没乳頭等で乳管孔が確認できなかったからなのか、乳管造影までは必要なしとの判断なのかは、私が直接拝見したわけでないのでわかりかねます。ただ間違いなく言えることは、この症状では乳腺外科医は乳癌を念頭に置き診察を進めますので、癌が視野に入っていないということはありません。乳管造影施行の是非も含め、主治医の先生に一度おたずねになられてはいかがでしょうか?(文責 谷)

 

No.4302】 05年08月24日     A.O.
ホルモン治療との併用は?

1ヶ月ほど前、実母の粘液癌の件ではお世話になりました。結局左乳房を全摘し、リンパも少しとりましたが、結果、リンパに転移なしということで、「アリミデックス」というホルモン剤を1錠飲んでいるようです。 乳ガン関係の本も買って読み進めていると、「アガリスク」を癌とわかった時点から飲んでいましたが、本にアガリスクを飲んで「劇症肝炎になった」という行を見つけ、悩んでいるようです。アガリスクを飲んでいることは主治医(担当医)には伝えていないようで、遠縁の医者から「イムノデディックピュアタイプ、AHCC細粒ピュアタイプ(担子菌抽出エキス)」を勧められて飲んでいるけれど、この「アリミデックス」といっしょに飲んでいて大丈夫なのか、このサイトで聞いてみてほしいと頼まれました。 親戚で、やはり癌(肺ガン)の叔父がいて、このアガリスクと他の漢方も、抗ガン剤との併用をして、医者も驚くほど回復をしたので、私個人としては免疫力を高めるためのものだから大丈夫ではないか、と思っているのですが、劇症肝炎なんて書かれていると、少々心配です。どうなのでしょうか?よろしくお願いします。 

アガリスクに関する情報がないので、アリミデックスとの併用については、申しわけありませんが、明確な回答ができません。科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドラインによりますと、「乳癌治療において、代替療法を推奨するだけの根拠はない」ということになっています。
代替療法には、身体介入(瞑想・催眠など)、生物学に基づく療法(薬草・食事療法など)、肉体的療法(カイロプラクティックなど)、120種類以上あるといわれており、その普及率は48〜87%と、がん患者の多くが何らかの代替医療を取り入れているのも現実です。2003年のHyodoらの臨床腫瘍専門家に対するアンケートでは、82%の専門医が、「代替療法は効果なし」と判断し、その理由に、信頼できるデータがない事を挙げています。また、がん患者さんに代替医療の使用を尋ねられた場合、80%の専門医は、「推奨しない」と答えています。私自身も、「乳癌術後follow中に肝障害で入院し、原因を調べてみると、アガリクスを大量に内服していた」という症例を経験しています。代替療法を行いたい場合は、患者さん自身の判断にゆだねられる事になりますが、少なくとも使用しているというを主治医に伝えておく必要はあります。(文責 須田)

 

No.4301】 05年08月24日     Y.W.
「マンモトームで再検査」の意味

はじめまして、私は現在28歳女性です。乳がんのことで不安を覚え、質問をさせていただきます。針生検(core needle biopsy)で判断がつかないので、マンモトームで再検査をすることになりました。針生検で判断がつかないのはどんな場合なのでしょうか。(なお、超音波の画像から、脂肪がほとんどない乳房と判断されています。) 針生検をした先生は若くて慣れていなかったためか、結果を聞きに行った2回目の受診から担当の先生が変わりました。なぜ、針生検で判断がつかずマンモトームで再検査するのかわかりません。よろしくお願いします。

針生検(core needle biopsy)で採取できる乳腺組織の範囲が小さく、同一場所付近の組織を多く取れないことがあります。例えば、石灰化像があり、それを検査する場合、マンモトームは吸引をかけて組織を採取しますので、針を動かさずにすみ、周囲を連続的に何回も採取できます。
針生検では、採取されてくる組織の量が少なく、ねらったところが取れていない可能性があるため、マンモトームで採取量を多くしたという事だと思いますが、具体的には、主治医に伺ってください。疑問点、不安点を解消して、納得の行く治療を受ける事が大切です。(文責 須田)