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相談室(No.9601〜9700)

このページは乳がんに関する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。

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なお治療法は、患者さんと主治医がご相談されて決定されるものであり、この相談室でお答えできるのは、一般的な参考意見であることをご了解下さい。

当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。


 

目 次

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No

日 付

名 前

件  名

担 当

9700 10/06/27 B  生理の再開と今後の治療について 高橋
9699-1
9699-2
10/06/27
10/07/02
Y CA15−3 腫瘍マーカー
CA15−3の変動
高橋
9698 10/06/27 H.S 術後ホルモン療法(HPNo.9559) 高橋
9697 10/06/27 にゃんこ 検査結果がでません(HPNo.9592) 高橋
9696-1
9696-2
10/06/27
10/07/02
H.M. 今後の治療について
炎症性細胞浸潤を伴う間質反応について
高橋
9695 10/06/27 A.N. マンモトーム生検後の乳頭からの出血 高橋
9694 10/06/23 S.W. 関節痛について(HPNo.9488-2) 須田
9693 10/06/23 C.T. 薬の服用時間について 須田
9692-1
9692-2
10/06/23
10/07/17
T  腋窩リンパ節転移
腋窩リンパ節転移後の放射線照射
須田
須田
9691 10/06/23 O.H.  ノルバデックスで蕁麻疹 須田
9690 10/06/23 M.S 妊娠・出産はできるのでしょうか? 須田
9689 10/06/23 R  アリミデックスの副作用について 須田
9688 10/06/23 アキショルフ CTの検査3週間後の異変について 須田
9687 10/06/23 F.R センチネルリンパ節にITCを認める場合 須田
9686 10/06/23 SA 今後の治療法について 須田
9685 10/06/23 Y  マンモグラフィー 須田
9684-1
9684-2
10/06/23
10/07/21
N  再発治療について
再発治療について(2)
須田
徳田
9683 10/06/23 M 閉経とLH-RHアゴニストについて 須田
9682 10/06/23 EM 分泌型の石灰化とは?(HPNo.9665-2) 須田
9681 10/06/23 K リンパ節の腫れ?(HPNo.9262-4) 須田
9680 10/06/23 M・Y  抗がん剤感受性試験について(HPNo.9587) 須田
9679-1
9679-2
10/06/23
11/10/10
K.K.  現在の状況について
今後の治療と予後について
高橋
須田
9678 10/06/23 H.H.  術後の治療方針について 高橋
9677 10/06/23 T  抗がん剤の量について不安です 高橋
9676-1
9676-2
10/06/23
11/03/07
A  術後治療等について
抗がん剤の治療中の不安等について
高橋
徳田
9675 10/06/23 ホルモン剤服用期間について(HPNo.7970) 高橋
9674 10/06/17 A.G.  乳がん術後8ヶ月目、肋骨痛 首藤
9673 10/06/17 M 癌細胞の情報について 首藤
9672 10/06/17 U.M 乳房内再発(2)(HPNo.9663-2) 首藤
9671 10/06/17 T 今後の治療の選択について(2)(HPNo.9645) 首藤
9670 10/06/16 T  CA15-3 鈴木
9669 10/06/16 N子 抗がん剤治療 鈴木
9668 10/06/16 アサコ 胸の痛みについて 鈴木
9667 10/06/16 H 乳頭の痛みと違和感 鈴木
9666 10/06/16 T 増殖 ki67の検査結果について 鈴木
9665-1
9665-2
10/06/13
10/06/23
EM 乳がん検診結果:ductectasia とは?
分泌型の石灰化とは?
首藤
須田
9664 10/06/13 H.K. のう胞 首藤
9663-1
9663-2
10/06/13
10/06/17
U.M 乳房内再発
乳房内再発(2)
首藤
首藤
9662 10/06/13 TOTO 穿刺検査後 首藤
9661-1
9661-2
10/06/13
10/07/10
ポポ 骨転移
ゾメタについて
首藤
9660-1
9660-2
10/06/12
10/07/28
K・N 乳癌検診
乳がん検査について
首藤
吉田
9659 10/06/12 K K 放射線治療後の発汗について (HPNo.9458) 首藤
9658 10/06/12 Y.M. 術後補助療法の選択について 鈴木
9657 10/06/12 M.O. 今後の治療について 鈴木
9656 10/06/12 N子 骨シンチ 鈴木
9655 10/06/11 M  乳がんの手術について 首藤
9654 10/06/11 S 癌の大きさについて(HPNo.9478-3) 首藤
9653 10/06/11 M.K.  癌と診断されました 首藤
9652 10/06/09 S.S.  ゾメタの副作用について 首藤
9651 10/06/09 T・R  全摘後のホルモン療法について 首藤
9650 10/06/09 I.K.  穿刺検査の後の痛み 首藤
9649 10/06/09 C.A. 母の乳癌肺転移が心配です(HPNo.8401-4) 首藤
9648 10/06/09 Y.S. オンコタイプDX中間リスクの化学療法について 首藤
9647 10/06/08 M  2ミリのしこりについて 鈴木
9646 10/06/08 T.K.  セカンドオピニオン 鈴木
9645-1
9645-2
10/06/08
10/06/17
T 今後の治療の選択について
今後の治療の選択について(2)
鈴木
首藤
9644 10/06/08 M.I.  癌患者からの感染率について 鈴木
9643 10/06/08 にゃんこ 術後の腫れと痛みについて(HPNo.9592-3) 鈴木
9642 10/06/05 AAA ホルモン療法は妥当なものでしょうか?(HPNo.9638-2) 清水
9641 10/06/04 A 乳癌検診の結果に不安 鈴木
9640 10/06/04 T  術前化学療法か手術か(HPNo.9608) 鈴木
9639 10/06/04 M,K 乳癌転移について(HPNo.7786) 鈴木
9638-1
9638-2
10/06/02
10/06/05
AAA 今後の治療方針について
ホルモン療法は妥当なものでしょうか?
清水
清水
9637 10/06/02 T 検査の必要性(HPNo.9490) 清水
9636 10/06/01 A.U.  しこりの硬さ 清水
9635 10/06/01 Y  がん検診の結果 清水
9634 10/06/01 W  術後 5 年後のホルモン療法について 清水
9633 10/06/01 M.M. 術後のホルモン治療について 清水
9632 10/06/01 Y 硬化性腺症と硬がん 清水
9631 10/06/01 T  胸の痛みと違和感 斎藤
9630 10/06/01 にゃんこ やはり癌でしょうか?(2)(HPNo.9592) 斎藤
9629-1
9629-2
10/06/01
10/07/22
A.S.  invasive microapillary carcinoma
予後および今後の治療について
斎藤
浜口
9628 10/06/01 K 今後の治療方針 斎藤
9627 10/06/01 K  術後療法の方向性について 斎藤
9626 10/06/01 S.Y.  現在ホルモン治療中です 斎藤
9625 10/06/01 N  化学療法について(2)(HPNo.9577) 斎藤
9624 10/06/01 N.A. 乳癌診断について 斎藤
9623 10/05/30 T 今後の治療について(HPNo.9499-2) 清水
9622 10/05/30 K.N 放射線治療について 清水
9621-1
9621-2
10/05/30
10/06/30
S.S 再発骨転移の母について
再発骨転移の母について2
清水
須田
9620 10/05/27 T 微小浸潤 清水
9619 10/05/27 R.I.  ホルモン剤について 清水
9618-1
9618-2
10/05/27
10/11/22
T.I. 放射線治療
ビリビリ感
清水
吉田
9617 10/05/25 A 再発 加藤
9616 10/05/25 A.O.  左全摘後の右非浸潤ガン手術について 加藤
9615 10/05/25 H.I. 放射線治療後の痒み 加藤
9614 10/05/25 MTS 背中の痛みと腕のしびれについて 加藤
9613 10/05/25 H  急激な視力低下について 加藤
9612 10/05/25 T.N.  漿液が止まらない 加藤
9611 10/05/25 E・Y 乳がん細胞の病理について 加藤
9610 10/05/25 I  排卵への影響について 加藤
9609 10/05/25 R パジェット病の症状でしょうか? 加藤
9608-1
9608-2
10/05/24
10/06/04
T  手術までの待機時間
術前化学療法か手術か
斎藤
鈴木
9607 10/05/24 T  放射線治療中です 斎藤
9606 10/05/24 S.T. 今後の治療について(HPNo.8949-6) 斎藤
9605 10/05/24 A.S. 術後の再発について 斎藤
9604 10/05/24 H  葉状腫瘍 斎藤
9603 10/05/17 E  対側への転移について 久保内
9602 10/05/17 サラ 乳がん検診について 久保内
9601 10/05/17 S.S 両腋下リンパの張れについて 久保内

 

No.9700】  10年06月28日  B  
生理の再開と今後の治療について

以前ご相談にのって頂きましたBです。その節は大変お世話になり、ありがとうございました。
私は現在46才4ヶ月で、未婚、出産経験はありません。2006年10月に両側を温存手術し、グレード3で、リンパ節転移はなしでした。腫瘍は1.5cmで、ハーツーなし、ホルモン感受性ありでした。放射線治療後、2006年12月末からゾラ2年タモ5年の治療中で、ゾラは2008年の11月で予定通り終了しました。タモは現在3年6ヶ月めです。2009年の年始から不正出血が続いたために、婦人科を受診し、子宮内膜ポリープの切除手術を2009年3月に受けてからは異常ありませんでした。生理は2007年2月からずっと止まっていたので、閉経したものと思っていましたが、昨日から再開したようです。不正出血の時とは明らかに様子が違います。私の年齢で生理が再開することは、珍しくないのでしょうか。私としては、不安を感じつつも、少し嬉しい気持ちもあります。予定通りの治療を続けて良いのでしょうか。

ご質問どうもありがとうございます。ゾラデックスを止めれば生理が再開する可能性はあります。抗がん剤をおこなえば、閉経してしまう方が多いのですが、ホルモン治療だけでは必ずしも閉経はしません。しかし、平均閉経年齢は52歳前後ですので、それまでゾラデックスをまた再開し継続するかどうか、主治医の先生にもご相談くださいませ。通常は今の治療を継続で全く問題ないと思います。またお困りの時にはいつでもご相談くださいませ。(文責 高橋)

 

No.9699-1】  10年06月28日  Y 
CA15−3 腫瘍マーカー

いつも参考にさせていただいています。術後11年目になりますが、去年春から、CA15−3が30を中心に34から26くらいで、大きく変動(2ヵ月後との検査)するようになりました。ここ数年は上限いっぱいの28くらいでした。主治医は、『これがあなたの正常値で心配ない』とのことでしたが、気にはなります。術後7年以降アリミデックスを服用していて、2ヶ月ごとの診察と血液検査をしています。お聞きしたいのは、術後10年を越えてアリミデックスを服用したり、2ヵ月ごとの血液検査をする医学的な意味があるかということです。主治医にはどうしてもお聞きできませんので、アドバイスいただけると幸いです。また一般的に、CA15−3の数値は、こんなに変動するでしょうか?

ご質問どうもありがとうございます。特にご心配しなくてよろしいかと存じます。私たちが腫瘍マーカーの変動を見るときには、片対数グラフというものを用いて判断します。すなわち、左側の縦の目盛りを1、10、100、1000というように設定します。横が時間軸ですね。従って、26から30に上がっても、私たちはそれを上昇したとは考えません。変化なし、と受け止めます。数字が100から急に1000近くまで上昇すれば、それは増加したと判断します。従って今は変化なしです。10年を超えてアリミデックスを内服する効果は、まだこれから結果が出てくるものと思います。まだ、10年以上内服している方の再発率などが発表されていませんので、10年以上内服する方が、これからの乳がんの歴史を作っていくのだと考えます。2ヶ月毎の採血は、もしかしたら3ヶ月毎や半年ごとでもよいかもしれません。でも、何よりもまず「主治医の先生には聞けません。」ではいけません。気軽に何でも主治医の先生に聞けるようになってください。怖くても、威厳があっても、負けないでくださいね。またお困りの時には、いつでもご相談くださいませ。(文責 高橋)

 

No.9699-2】  10年07月02日  Y 
CA15−3の変動

HPNo.9699の再質問です。アドバイス、ありがとうございました。主治医には今度お聞きすることにします。恐縮ですが、もうひとつだけ教えてください。
先日の検査ではCA15−3が33で、2ヶ月前の26に比較して7も上がっており、変動の幅が毎回大きくなっていて不安が増しています。ある相談室では、10くらい変動することもあるということですが、いかがでしょうか? 次の検診まで待てば良いのはわかっていますが、どうも不安です。よろしくお願いします。

腫瘍マーカーであるCA15-3の値を評価することは意外に難しく、貴女と同様の心配を持っておられる方も少なからずいらっしゃいます。貴女の場合、数年前からCA15-3が28前後で経過してきたとのことですので、今回33といっても、ここ数年の値とほぼ変わらないと判断します。逆に、もしこれまでの間CA15-3が10前後と低い値を続けてきて今回急に33となったのなら、次回さらに上がる可能性があると考えられ、少し気をつける必要があると考えます。また10くらいの値の変動はしばしばみられ、まったく気にしなくてよいと考えます。やはりあまり心配なさらず、次の診察までお待ちいただきたいと思います。(文責 谷)

 

No.9698】  10年06月28日  H.S
術後ホルモン療法(HPNo.9559-3)

HPNo.9559.9589 でお世話になりありがとうございました。全乳房切除手術も無事終わり、病理検査の結果は、「」大きさ3cmの非浸潤癌、広がりは乳腺、脂肪、ly0,v0、リンパ節転移認めず、断端―、ER・PGRともに3+、ハーセプテストー、核グレード1」でした。医師より、ホルモン療法(LH−PHアゴニスト製剤、タモキシフェン)をどうするか決めるよう言われました。対側の乳がんの発生リスクを減らすことができる。ごく稀ではあるが、5mm間隔のスライス標本なのでその中に浸潤がんが隠れている場合もある。10数年乳腺症(両胸)で定期健診を受けていて、2年半前にMMGで石灰化が認められ、マンモトームでの検査も受けて、その時は白でしたが、今回の定期検診で黒となり手術を受けました。45歳で、閉経前です。全乳房切除術の場合、原則術後療法は不要とされていますが、ホルモン療法は、どのようなケースの場合適用となるのでしょうか。ホルモン療法を受けることにより、発生リスクをどれくらい減らすことができるのでしょうか? また、子宮体癌・骨粗しょう症以外のデメリットについても教えていただけたらと思います。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。 

ご質問どうもありがとうございます。まず大切なことは、たくさんの情報を集めて勉強し、最終的にはH.S.様と御家族様、そして主治医の先生みんなで治療法を決めることです。「わたしがひとりで決めなきゃ」って思う必要はありませんよ。おっしゃるとおり、非浸潤がんで乳房切除をされているのでしたら、予防としてのホルモン療法は不要であろうと考えます。今後発生するかどうか分からない乳がんの抑制率は未知数です。すなわちホルモン療法の適応は、はっきりしたものはございません。予防医学として、高額な薬剤を投与し続ける必要があるのか、何年続けるべきか、答えはありません。定期検査を今後も行っていくことが、何よりも大切です。人がかかる病気は乳がんだけではありません。今後は健康に留意し、それ以外の検診も積極的にお受けになることによって、がんの早期発見をおこなっていくことの方が、はるかに大切であろうと思います。(文責 高橋)

 

No.9697】  10年06月28日  にゃんこ
検査結果がでません(HPNo.9592-4

いつもお世話になっています。先月手術して5週間になりますが、組織の検査は、いまだ結果がでません。先生はグレーと言われるのですが、こんなに長く分からないものなのでしょうか? 手術前の検査とセンチネルも、すべて良なのですが・・・。宜しくお願い致します。

ご質問どうもありがとうございます。早く全ての結果がでて欲しいですよね。病院や施設によりますが、通常でも2-3週間は結果がでるのに、必要です。特に乳腺の診断は難しい場合があり、その時には病理の先生のセカンドオピニオンを病院がおこなっている場合もございます。また、特殊な液体で染めて、さらに精密検査をおこなっている場合もあります。中途半端な結果よりも、詳細に調べていただいた方が安心ですよね。今はあせらずに、「正確に、きちんと調べなさいよね!」なんて思いながらお待ち下さいね。催促して人を焦らせても良い方向には向かいませんからね。でもご心配な時には、またいつでもおいでくださいね。(文責 高橋)

 

No.9696-1】  10年06月28日  H.M..
今後の治療について

初めてご相談します。2週間前に左乳房切除術を受けました。最終病理検査の結果DCISとの判定でしたが、一部で非常に密に増殖していて、炎症性細胞浸潤を伴う間質反応が目立っているため、微小性浸潤癌の可能性も考慮されるとの事でした。手術前のコア針生検でも、間質反応を伴って浸潤性に増殖しているとのコメントでした。主治医には、ステージは0.5くらいと言われ、術後の治療は本人の希望との事で、「1.何もしない 2.ハーセプチンのみ 3.抗がん剤+ハーセプチン」での3パターンでした。正直再発が怖いので、抗がん剤+ハーセプチンでお願いしたいのですが、抗がん剤のデメリットのほうが大きいとも言われ、どうしたらよいか困っております。病理所見では、C領域全体に8.5X6.5cmほどの広がりがあり、DCIS intermediate grade ly(-) v(-) LN sentinel 0/4 ER, PgR 陰性、Her2陽性 です。年齢は38歳です。2週間後には答えを出さなくてはいけません。子供もまだ小さいので、後悔したくありません。どうぞよいアドバイスお願いします。

ご質問どうもありがとうございます。でも、ご自分で考えて答えを出すには、難しすぎる質問ですね。まず、病理診断はDCISとなっていても、微小浸潤の可能性があるということですね。もし、ホルモン治療が効果が期待できるのでしたら、その方が良いのですが、ER,PgRとも陰性とのこと。ハーセプチンは抗がん剤特にタキサン系との併用で効果が得られますので、行うとしたらハーセプチン+抗がん剤ということになりますね。後悔したくないということであれば、やはり今心に決めていらっしゃる「抗がん剤+ハーセプチン」というお答えでよろしいかと存じます。もう一度主治医の先生ともご相談くださいませ。お子様のためにもがんばってくださいね。応援しています。またいつでもおいでくださいね。(文責 高橋)

 

No.9696-2】  10年07月02日  H.M..
炎症性細胞浸潤を伴う間質反応について

ご回答、ありがとうございました。主治医の先生にはよくして頂いているので感謝していますが、抗癌剤のメリットについての話がなかったので、素人の私としましては、専門の先生に抗癌剤で大丈夫と後押しして頂きたかったので、とてもありがたいです。主治医の先生に話してみます。今後、もし再発しなかったのなら、まだ残りの人生を考えたら、治療も短い期間です。がんばって治療に専念したいと思います。
追加質問ですが、炎症性細胞浸潤を伴う間質反応とはどういう事でしょうか? また、今回のように、初めは浸潤癌で後から非浸潤癌という事はよくある事なのでしょうか? 逆はよく聞くのですが・・・。嬉しい結果のはずなのに、どうしてもDCISを疑ってしまい、素直に喜べません。次から次に気になる事が出てきてしまい、いくつも質問してしまい申し訳ございません。宜しくお願いします。

炎症性細胞浸潤を伴う間質反応とは、病理学的顕微鏡検査の際の軽い炎症性反応のひとつで、本来どこにでも見られるものであまり気にしなくてもよい所見です。しかし今回のようにDCIS近傍にあると浸潤所見との区別が難しいため、微小浸潤癌の可能性も否定できないとコメントされているのだと思います。一般にDCISと診断される中にも一部浸潤を疑うケースは多く含まれており、貴女のケースも決して特殊なDCISではないように思います。診断を信じて今後の治療に前向きに臨んでいただきたいと切に願います。(文責 谷)

 

No.9695】  10年06月28日  A.N.
マンモトーム生検後の乳頭からの出血

初めて相談させていただきます。年齢は30代前半です。先月、マンモトーム生検を行い、結果はがんではありませんでした。傷口のところのしこりも小さくなり、青あざも消えました。もう授乳は終わったのですが、まだほんの少し母乳がでるので、ふと乳頭をつまんでみると、マンモトーム生検をした左側の乳頭から黒茶色の血がでてきました。マンモトーム生検によるものかもしれませんが、もう一度診てもらったほうがいいでしょうか? また、この血は乳頭から搾ってだしたほうがいいのか、そのままでもいいのでしょうか? 割と大きな病院で診てもらったので、診察まで時間がかかり、小さいこどもがいるので、待たせるのも一苦労なので、こちらである程度わかればと思い、ご相談させていただきました。お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

ご質問どうもありがとうございます。おそらくは、マンモトーム生検でおきた内出血が、徐々にとろけて乳首から流れでているものと考えます。無理して絞らなくても、自然に吸収されていくと思います。あまりぎゅうぎゅうしぼると、逆にばい菌が入ったりすることもあり得ますので、そのまま気にしないようにしてください。あと1ヶ月ほど経過しても出血が続くようであれば、再度乳腺外来を受診してくださいね。またいつでもおいでくださいね。(文責 高橋)

 

No.9694】  10年06月23日  S.W. 
関節痛について(HPNo.9488-2)

いつも拝見させて頂いております。前回HPNo.9488で相談させて頂きました。肋骨に転移が発見されたため、ゾメタ4回目を終え、フェマーラを服用して約三ヶ月経過致しました。最近、関節の痛みが気になります。節々が痛むという感じです。朝晩、特に痛むようです。フェマーラの副作用かと感じておりますが、このような症状は、一旦出ると改善しないものでしょうか? ホルモン剤の服用が必要なため、副作用が強くなった時に困るので、痛み止めの処方を主治医にお願いしようと思いますが、次の診察まで期間があるので相談させて頂きました。又、関節の痛みにはビタミン剤も効果があると聞きましたが、本当でしょうか? 宜しくお願い致します。

フェマーラを使用した方の2.8%に関節痛が出現したという報告がありますが、特別な対処をしなくても、ほとんどの場合、症状は改善します。フェマーラの副作用として骨密度が低下しますので、その予防のために、一般にはビタミンDやビスフォスフォネート製剤を内服します。貴女が使っているゾメタもビスフォスフォネート製剤です。(文責 須田)

 

No.9693】  10年06月23日  C.T.
薬の服用時間について

アリミデックス錠は、朝食後か夕食後、どちらに服用した方が有効でしょうか?

通常は朝食後です。(文責 須田)

 

No.9692-1】  10年06月23日  T 
腋窩リンパ節転移

いつも拝見させて頂き感謝しております。昨日、腋窩リンパ節転移が確認され23日に摘出手術が決まりました。2006年12月、58歳で左乳房全摘手術。 病理結果は、「C領域を中心に、浸潤がん(硬がん)、乳腺から周囲脂肪組織への浸潤増生、 乳管内進展著明、E領域周辺にもDCIS。各断端にcarcinoma invasionは認めない。 (f) ly-1 v-1、NSAS−BCの結果は、NA score1 MC score1 NG 1。 ER(-) PR(+) MIB-1(-) P53(-) HER-2 score 0。 腫瘍径32×17mm、リンパ節転移なし。」 おとなしいタイプという事でした。その後、ホルモン治療(アリミデックス)のみで半年ごとに胸腹部のCTと血液検査(前回12月)の結果は、異常なしでした。今回、腰痛が続くので念の為PET検査をした所、1箇所に集積があり、昨日細胞診の結果、腋窩リンパ節転移である事が確認されました。
先生は、「PET上、他に集積箇所はないので、局所転移とみなし、即摘出しましょう。心配はいりません。」と言われました。当初、目に見えなかった摘出範囲外の細胞が成長してきたのではないかという事で、昨日は想定外の方向へ進み、あたふたと帰宅してしまいました。
そこで質問させて下さい。
1) アリミデックスは、効き目がなかったのでしょうか?
2) 昨日はアリミデックスを処方されましたが、効き目がないとなると、次はどの様な治療になりますか? 選択肢として、いくつかご教示戴けると有難いです。当初、最初に抗がん剤+ホルモン治療も言われたのですが、体力もなく、仕事もあったので、相談の結果、アリミデックスのみを選択しました。
3) 局所転移という事ですが、いずれ又今回のように、どこかで成長を始める細胞が既に存在しているのでしょうか?
4) 「摘出手術は局部麻酔で、日帰りできます。」と、言われましたが、通常の手術として適切でしょうか? 心配する後遺症もないでしょうか?
5) 摘出後は、又病理の検査があるのでしょうか? その結果、当初のおとなしいタイプが変異している可能性もありますか?

手術日まで日数がないのは有難いのですが、色々不安な事も出てきました。ご教示戴けますよう、よろしくお願い致します。

1) この病変に関しては、効果がなかったということになります。
2) ホルモン剤では、アロマシン、フェマーラ等のアロマターゼ阻害剤の他に、ヒスロン H 等があります。
3) 微小転移といいますが、存在すると考えたほうがよいと思います。
4) 心配なさるほどの後遺症はないと思います。念のために放射線治療を受けるという選択肢もあると思います。
5) 病理検査はあります。検査結果を待たないとなんともいえませんが、微小転移が腋窩にある可能性も否定できないので、念のため、創が治った後、可能であれば、転移のあった局所への放射線照射をお受けになったほうがいいと思います。主治医とご相談ください。(文責 須田)

 

No.9692-2】  10年07月17日  T 
腋窩リンパ節転移後の放射線照射

[No.9692]でご教示有難うございました。摘出術の結果、「周辺を探ったが、腫れたリンパ節は1個のみ」という事でした。病理検査の結果も、乳がんの転移と確認されました。ご教示を受け、前回受診時、放射線の事を主治医の先生に聞いた所、「現時点ではそこまで必要ありません。腫れるとか副作用のデメリットの方が大きい。薬は、次回から同じアロマターゼ阻害剤のもう少し強いのに変更します」との事でした。放射線照射を指示された場合、副作用で少し不安な事があり、聞くつもりだったのですが、不要との事で聞きそびれた事があります。今後の参考までに再度ご教示お願い致します。

1) 20年前、私の母が65歳の時、特発性間質性肺炎の為、入院後40日で亡くなりました。原因は不明だったのですが、放射線照射の副作用で起きる肺炎も、このタイプの肺炎と聞いた事があります(母は、放射線に関係していません)。そういう体質は、私にも受け継がれているのでしょうか?
2) その他の副作用等も考慮した上で、主治医の先生のおっしゃる通り、現時点での放射線照射は、不可欠の治療ではないと理解していいのでしょうか?

よろしくお願い致します。

1) 間質性肺炎では、酸素と炭素ガスを交換する働きのある「肺胞」の壁の構造が壊れてひきつれとなり、肺の働きが失われてしまいます。膠原病、薬剤じん肺、放射線、ウイルスなどが主な原因となりますが、お母様のように原因不明なものを特発性間質性肺炎といいます。その体質が受け継がれているかということに関しては明確なデータはありません。
2) 貴女の状態を一番よく把握してくださっている主治医が、放射線療法のメリット、デメリットを考慮した上で、デメリットが大きいとおっしゃっているわけですから、信頼していいと思います。いずれにしても納得のいく治療を受けることがたいせつですので、不安点、疑問点がある場合は、充分主治医とご相談ください。(文責 須田)

 

No.9691】  10年06月23日  O.H.
ノルバデックスで蕁麻疹

昨年の10月に乳がんT期と診断され、放射線治療も終わって、3月からホルモン治療を開始したのですが、ノルバデックスを服用し始めて2週間目から蕁麻疹がひんぱんにでるようになりました。主治医と相談した上で2ヶ月ほどホルモン治療をお休みし、先月からまた開始しました。アレグラもノルバデックスと一緒に服用しているのですが、最近夕方から就寝近くになると下半身に蕁麻疹がでてきて、かゆくて眠れないときがあります。蕁麻疹がでていても、ホルモン剤をのんでも大丈夫なのか不安です。ほかの副作用は今のところ出ていないです。主治医の先生は乳がんのスペシャリストだそうですが、私のように蕁麻疹のでる患者さんは初めてのようで、困惑しておられます。だから私も余計に不安なんだと思いますが・・・。蕁麻疹も一生治らないのでしょうか。教えてください。

ノルバデックスの重篤な副作用以外の、その他の副作用として皮膚の発疹があります。2ヶ月休薬した時は、蕁麻疹は出なかったのでしょうか。メール内容から推測する限り、ノルバデックスが原因かどうかはわかりませんが、念のため、主治医とご相談の上、皮膚科を受診してみてください。痒くて眠れないという日常生活でのストレスを少しでも軽減できれば、また、前向きにがんばっていこうと思えるのではないでしょうか。(文責 須田)

 

No.9690】  10年06月23日  M.S
妊娠・出産はできるのでしょうか?

初めて質問させて頂きます。30代前半にCMF治療を受けました。その後閉経状態が続いています。今は40歳になり、乳がんの方も落ち着いているので、妊娠を考えるようになりました。婦人科の先生は、生理を起こすためにホルモン剤を内服しないといけないが、乳がんの再発が心配のようです。ホルモン受容体陰性乳がんでしたが、生理を起こすことは、かなりのリスクを伴うのでしょうか? 妊娠・出産はできるのでしょうか? 教えてください。宜しくお願い致します。

エンドキサンを含むCMF療法を行った場合、恒久的に無月経になってしまう割合は、30〜39歳では30〜40%です。妊娠、出産ということになりますと、その人その人の人生の問題にもなってきます。ホルモン剤を使用することによって、理論的にはリスクを少し増加させることにはなりますが、子供を次世代に残したいというお気持ちも大切だと思います。婦人科の先生とご相談しながら、お決めになってはいかがでしょうか。(文責 須田)

 

No.9689】  10年06月23日  R 
アリミデックスの副作用について

初めて投稿させていただきます。62歳の母ですが、去年の3月末にしこりに気がつき、この辺りでは乳がん治療で有名な先生に手術していただきました。1センチ弱のしこりで、顔つきも悪くなかったという事で、術後の放射線や抗がん剤治療はなく、「アリミデックス」というホルモン剤を5年間程服用する事になりました。半年に一回定期健診を受け、薬は現在1年2ヶ月服用していますが、ここ最近不調を訴えるようになりました。気になる症状は主に以下です。

・目元、特に唇がひどく荒れ辛い。(昨年末くらいから。皮膚科のステロイドは効かず。)
・目がややかすむ。
・朝、顔がむくむ。(特に今月に入ってから)
・背中に少し違和感(油断すると、将来背中が丸まりそうだと)
・便が日に3回以上。(ただし下痢ではない)

遠方のため、先生に直接相談できませんが、電話で簡単に聞いてみたところ「止めずに飲んでいただきたい。念の為、近くの病院で血液検査を受けてみてください」という指示があったそうです。上記の症状で薬の副作用と思われるものはあるのでしょうか? 本人もある程度の副作用なら我慢しようと思っているようですが、「副作用は普通飲み始めで出るのでは?」と、気になっています。アドバイスいただけると幸いです。

ホルモン剤の主な副作用として、以下のようなことが知られています。
1)ホットフラッシュ(更年期症状としてよく知られるほてり、のぼせ)
2)生殖器症状として、性器出血、分泌物の増加、膣の乾燥、膣炎など
3)関節、骨の症状として、骨密度の低下、関節のこわばり、関節痛など
4)精神、神経症状として、気分が落ち込む、イライラ、不眠、頭痛など

メール内容から判断する限り、上記症状にあてはまるものはあまりないように思いますが、副作用の出現には個人差があります。日常生活にも支障が出るほどであれば、主治医と相談なさったほうがいいと思います。(文責 須田)

 

No.9688】  10年06月23日  アキショルフ
CTの検査3週間後の異変について

2009年10月末に乳がんの温存手術を受けた47歳の一児の母です。病理結果の結果は、左上腫瘍10mm、ステージT、グレード1、ホルモン受容体陽性(80%・60%)、Her2陰性、センチネルリンパ腺2箇所切除 転移ナシ。5月中旬に血液検査・マンモグラフィ・造影CT(背中の凝りが気になったので、追加で受けた)の検査を受け、異常なしでした。2週間前から左肋骨の一番下が触れると痛みます。触れないかぎり痛みは感じないのですが、左腕を上に伸ばすとひきつるような痛みを感じます。ホッカイロで暖めたり、お風呂に体を沈めたりするとかなり緩和します。実際にこの2~3日は痛みも和らいでいる気がしますが、肩こりの心配が少しおさまったばかりなのに今度は肋骨の心配と、手術後8ヶ月ということで心配は尽きません。ここで質問があります。

1) 3週間前の検査で異常なしということでも、骨転移などの可能性はあるのでしょうか。もう一度CTを受けるのは避けたいのですが、骨シンチを受ける方がいいでしょうか? ちなみに、乳がん発覚後の骨シンチやMR検査は全く受けていません。CT検査とレントゲンは受けていますが、いずれも異常なしでした。    
2) ホルモン治療を始めて半年ぐらいたちますが、ホルモン治療の副作用による痛みということは考えられますでしょうか?
3) 術後、腫瘍は10mmと診断されましたが、術前の検査では18mmということを告げられていました。術前と術後では、腫瘍の大きさはそんなに変るものなのでしょうか? 

よろしくお願いいたします。

1) 痛みの原因が骨転移によるとは限りませんが、骨転移で痛みが出現している場合の多くは、転移の部分の腫脹がみられ、CT上からも骨の溶解性変化が認められる場合が多いようです。従って、骨に変化が出現するほど転移の病巣が大きい場合は、CT上、所見として認められますが、小さい病巣の場合は描出されません。骨転移を心配なさっているのであれば、骨シンチを受けられたほうがいいでしょう。主治医とご相談ください。
2) ホルモン剤のうち閉経後乳癌に対して使用するアロマターゼ阻害薬では、関節や骨の痛みが出現することがあります。
3) 術前の検査での腫瘍の大きさは、画像上で判断します。術後は、取り出した病変部分を病理医が顕微鏡で検査し、実際の部分を計測します。術前の検査における画像では、どこまでを癌と読影するかによって、大きさが違ってきますので、実際に摘除されたものと比較して、大きさが異なることは珍しいことではありません。(文責 須田)

 

No.9687】  10年06月23日  F.R
センチネルリンパ節にITCを認める場合

44歳です。腫瘍は2個あり、いずれも2センチ以下です。術前検査では非浸潤で、5月18日に右全摘しています。実際は微少浸潤がありました。術後病理でも周辺組織に目立った浸潤がないものの、センチネルリンパ節の染色で1本リンパ管が染まり、センチネルリンパ節生検、迅速検査の免疫染色にて50μmのわずかな転移、微少転移の基準より更に小さいITCを認めました。主治医は、術中の判断で、他に転移はないだろうとリンパ節郭清は省略しています。術後病理の結果は、「核グレード1 ER(7) PgR(7) HRE‐2(−) Ki67(2+) 脂肪浸潤(−) 皮膚浸潤(−)リンパ管浸潤1y0 血管浸潤v0  乳管内進展(+)」です。今後の治療はホルモン療法のみと言われ、開始したところです。ITCの場合、リンパ節郭清をどうするかについては専門医でも議論が分かれているとのことで、主治医はホルモン治療だけでよいという意見ですが、「患者本人がリンパ節郭清をしたい、放射線照射をしたい、などの希望があれば、希望通り応じます。」と言われています。来週までに自分の結論を出すのですが、迷っています。ご助言をお願いいたします。

年齢が44歳で若いこと、腫瘍が2個あり多発癌であることを考慮すると、個人的には、リンパ節郭清を行ったほうがよいと思います。(文責 須田)

 

No.9686】  10年06月23日  SA
今後の治療法について

年齢51歳。浸潤性乳管がん、腺がん、HER2が3+、ホルモン系二つとも−。半年程前から、術前化学療法として、温存も可能性としてあり得ると抗がん剤治療と標的療法をすることになり、CF療法からタキソテールとハーセプチンを各6クール受けてきました。その結果、6.7×3.5が、MRIでほとんど分からなくなるくらいに小さくなってきました。現在リンパへの転移はありません。その場合でも、初めの病巣が大きければ、全摘することになるのでしょうか。術後はハーセプチンを1年だと言われていますが、これは標準的なのでしょうか。アドバイスいただけると助かります。

しこりが大きいために温存手術ができない人に術前化学療法を行うと、70−90%の割合でしこりが小さくなり、温存術が可能になる場合があります。貴女の場合も、MRIでほとんど分からなくなるくらいに小さくなってきたということですので、温存の適応であると思われます。また、術後の病理検査結果にもよりますが、術後のハーセプチン1年は、標準的な選択肢の一つだと思います。病理検査の結果が出てから主治医と相談することになりますが、納得のいく治療を選択してください。(文責 須田)

 

No.9685】  10年06月23日  Y 
マンモグラフィー

先日初めてマンモグラフィー検査を受けました。検査結果は、「左右乳腺評価 不均一高濃度 右カテゴリー分布c-1 局所的非対称性陰影 左カテゴリー分布c-3 」とありました。視触診は異常なしでした。これから検査を予約するのですが、乳がんなのかと、とても心配です。

マンモグラフィの読影医は、5段階に分かれたカテゴリー分類によって判定し(1 正常、2 良性、3 良性だが癌が否定できない、4 乳癌の疑い、5 画像上乳癌)、カテゴリー3以上の場合は精査が必要になります。貴女の場合は、右がカテゴリー1、左がカテゴリー3ということになりますので、左の局所的非対称性陰影を超音波等で精査することになります。ただしカテゴリー3の場合、9割以上は癌ではありませんので、「精査して、癌でないことを確認しましょう。」という意味合いが強いと思います。(文責 須田)

 

No.9684-1】  10年06月23日  N
再発治療について

局所再発の術後治療についてお伺いいたします。
2005年1月に左乳房の温存手術をうけました。ホルモン感受性  ER(-) PR(-) HER2(-) g(+) f(+) 充実性腫癌 腫瘍1p大 その後, トリプルネガティブということで放射線治療、抗がん剤治療を受けました。
2010年3月にマンモ、触診を受け両乳房とも問題なしの診断を受けましたが、4月末に受けた超音波で、手術を受けた反対側の右乳房に異常が見られ、5月10日に細胞診の検査を受けました。その結果、クラスVのグレーということで、6月1日にマンモトームではなく、しこりを取り除き生体検査を受けました。
昨日、主治医より、「浸潤している部分はごくわずかで、殆どが非浸潤癌でした。つまり、前回の乳癌の転移ではなく、新たに発生した乳がんと思われます。」とメールを頂きました。改めて、電話でお話をしたところ、手術が必要であること、前回同様ER(-) PR(-)であることを知らされ、また、担当医からは、殆どが非浸潤癌なので抗癌剤は必要がないと言われましした。現在、海外在住の為、電話で6月29日に手術の予約を入れて頂きました。 
5年前に左乳房トリプルネガティブの乳癌で抗癌剤が必要だったものが、今回、同様のER(-) PR(-) HRT2(検査結果が出ていません)であれば、わずかな浸潤であっても、私としては新たな癌ではなく再発と思っております。5年前の抗癌剤治療では、全ての既に散っていいるかもしれない癌を叩き切れず、今回、反対の右乳房に出てきたとのではないかと。

1) 私のように反対側の乳房に出来た癌は、局所再発とは考えないのでしょうか? 新たな癌と考えるべきでしょうか?
2) 主治医のおっしゃる通り、ごくわずかな浸潤であれば、まだHRT2の結果は出ておりませんが、トリプルネガティブであっても、抗がん剤治療は必要ないのでしょうか?

5年前、トリプルネガティブと分かった際、主治医より抗癌剤治療は必要なしと言われ、術後治療を放射線治療のみ受け帰国しました。その後、検査結果の内容が分からず、お聞きしたところ、決めるのは私自身ですが、現在の標準治療では抗癌剤治療が必要な癌であるとアドバイスを受け、通常とは反対ですが、術後半年後、放射線治療の後、抗癌剤治療を受けた経緯があります。このような経験から、手術が2週間後ですが、帰国前(6月24日)に是非、ご意見をお聞かせ頂きたくメール致しました。宜しくお願い致します。

1)ほとんどが非浸潤癌だということですので、新たな癌が発生したと考えるべきでしょう。
2)手術をすれば癌をコントロールできる確立が高いということです。ごくわずかな浸潤をどう考えるかですが、主治医は、抗癌剤のメリットどデメリットを考えると、メリットが小さいと判断なさったのだと思います。手術後の病理検査の結果をみると、ごくわずかの浸潤であるのか、更に多くの浸潤巣があるのかがわかりますので、その時点で、改めて主治医と相談してください。納得のいく治療を受けることが大前提です。(文責 須田)

 

No.9684-2】  10年07月21日  N
再発治療について(2)

9684で相談させていただいたものです。その際はありがとうございました。無事手術も終わり、この度、病理検査の報告書を医師よりもらいましたので、改めて、ご相談させて頂きます。生体検査、手術の検査報告書を少し長くなりますが書かせて頂きます。前回の質問では、医師から伝えられた検査結果を元に先生にお聞きしましたので、これらの報告書の内容から、判断が違ってくるかもしれませんが、率直な意見をお聞きできれば幸いです。

6月1日 生体検査
1) 臨床材料検査報告書  6月4日
病理組織学的診断: Breast right excisional biopsy - Ductal carcinoma
追記: 検体では拡張した乳管内には腫大核核を有する異形細胞の充実性の増殖を認めます。乳管癌の所見です。大部分は乳管内病変ですが、ごくわずかに間質侵潤を疑わせる所見を認めます。シャププターの染色については後日報告します。

2) 臨床材料検査報告書  6月8日
病理組織学的診断: Additional report
追記: シャプター染色結果は以下のとおりです。  ER(-) PgR(-)

3) 臨床材料検査報告書6月16日
病理組織額的診断: Additional report 2
          Breast right excisional biopsy - Ductal carcinoma
追記: 切除断端について、割がはいっている部分については評価困難です。他は明らかな断端陽性像(露出)は認めませんが、断端から1mmの部分に病変が認められる
HRE2/neuタンパク染色法(IHC)  スコア判断 1+ 過剰発現  なし
    
手術   6月29日
1) 臨床材料検査報告書  6月29日
病理組織額的診断: Frozen section
* Lymph nodes dentinel excision @ - No meastusis of carcinoma
* Breast right sargical margin excision @ 〜 D
         − No invasion of carcinoma
追記: @センチネル A上方 B乳頭側 C下方 D内側

検体1では癌の転移を認めません。 検体2〜5では癌の浸潤を認めません。

2) 臨床材料検査報告書  7月5日
病理組織学的診断:Breast right partical excision - State after excisional biopsy
(Inflammation and fibrosis with foreign body reaction)
No detihite ebidence of residual cancer cell. see description

追記: 検体を全割して検索しました。切除生検後の変化と考える異物反応を伴う炎症と繊維化が目立ちますが、明らかな癌の残存は認めません。迅速標本の断端部に良悪性の判断が難しいductsの出現があるため、follow-upが必要と考えます。

3) 臨床材料検査報告書   7月5日
病理組織学的診断: Paraffin section
* Lymph nodes sentinel excision @ーNo metastasis of carcinoma
* Breast right sargical margin excision A〜D
ーA small number of atypical ducts see description. see escription ! C
ーNo inbolvement of carcinoma A〜D
 
@センチネル A上方 B乳頭側 C下方 D内側

追記: 検体@では癌の転移を認めません。 検体Cでは Frozen section で明らかでなかった異形腺管が少数ながらも出現しました。 変性を伴っているため判断が難しいものの、DCIS の可能性を疑います。詳細は切除検体のレポートを参照ください。検体ABDでは癌の浸潤は認めません。

検査報告書は以上です。手術を執刀してくれた医師は、リンパおよび断端にも問題がないため、術後治療は放射線のみで十分とのことでした。2005年の手術の際、トリプルネガティブで抗がん剤治療は必要なしといわれ、放射線治療後に抗がん剤治療を受けた経緯があるため、そのとき、お世話になった腫瘍内科の医師にセカンドオピニオンを受けたところ、非浸潤癌なのでトリプルネガティブであっても、家族性があっても抗がん剤は必要ないといわれました。 

1) 上記の報告書から、私の術後治療について先生の意見をお聞かせください。私の母も同じ両乳房癌でした。
2) 今回、グレード、腫瘍径、癌の種類等の詳しい内容は記載されておりませんが、非浸潤癌の場合、必要ないとは本当ですか。
3) 7月5日の報告書の追記のところで − 「検体Cでは Frozen section で明らかでなかった異形腺管が少数ながらも出現しました。変性を伴っているため判断が難しいものの、DCIS の可能性を疑います。」とありますが、これはDCISではなく浸潤癌の可能性があるということでしょうか。

お忙しいところ、何度も申し訳ありません。宜しくお願いいたします。

1) 原発巣の”わずかな浸潤”というのが不明ですが、5mm以下であれば、抗がん剤は必要ないというのが標準です。
2) 抗がん剤の投与の必要性を検討するうえでは、影響しないと考えます。
3) 下方の断端近くまで、DCISがあるということと考えます。放射線照射+断端への追加照射を行ったほうがよいと思います。(文責 徳田)

 

No.9683】  10年06月23日  M 
閉経とLH-RHアゴニストについて

50才、Ub、ホルモン両強陽性、Her2陰性、FEC治療中です。主治医にリュープリンの提案をした所、「卵巣保護の為に使うもので、貴方には何の意味もない」と言われました。ですが、私は閉経しておらず、排卵は活発(子宮はないのでホルモン値)です。現在も偽閉経してるかどうかも不安で、今後のホルモン療法もきっとTAM単独になりそうです。本当にこれでいいのでしょうか。ちなみに主治医は乳がんでは有名です 。

化学療法剤の副作用として卵巣機能が失われることがあります。これを防ぐためにリュープリンを同時に使用する場合がありますが、これ以外は、一般的には同時使用は致しません。FECでの治療が終了した時点で、血中の女性ホルモンの状態を測定し、閉経かどうかを確認してもらってはいかがでしょうか。主治医と充分ご相談ください。(文責 須田)
 

 

No.9682】  10年06月23日  EM
分泌型の石灰化とは?(HPNo.9665-2)

No.9665】の質問をした者です。先日はご回答いただき、ありがとうございました。
「今後のご希望に関しては、担当医師に直接おたずねください。」とのことでしたので、医師に相談に行ってきました。今回の検診結果と去年の結果を見比べながら、また、参考までに、乳がんになるとどのような石灰化になるのかというサンプル画像と比較して、詳しく説明していただきました。
左側の「ductectasia calc」とコメントされていた箇所ですが、他の石灰化部分よりも、多少石灰化が集まっている感じでしたが、去年のデータと比べ、ほとんど変化がないので、分泌型の石灰化であろうと判断されたそうです。1年に一度の検診は必須だが、それ以上の検査は現時点では不要、この石灰化が癌化することは、100%とは言えないが高い確率でないと言える、とおっしゃっていただきました。ただ、「過去のデータを持っていないクリニックで検査すると間違いなく引っかかるので、同じクリニックで継続して検診を受けるか、検診場所を変える場合はうちのデータを持っていくとよいでしょう。」といわれました。
特にクリニックを変えるつもりはないので、そのまま帰宅してしまったのですが、なんとなく気になることがあり、またメールさせていただきました(気にしすぎかもしれませんが、家が乳癌はいないものの、癌家系なので・・・)。

1) 分泌型の石灰化とは何ですか?
2) 「ductectasia calc」該当箇所の説明を受けている際、複数ある石灰化のうち、2、3個ですが、線状になっている石灰化がありました。去年も同じような線状の石灰化がありました。医師からは、去年、私の乳腺がすごく発達しかつ太いので線状になっている、との説明を受けた記憶があります。ただ、そのうち1個が今年、少し長くなっていたのですが、これは大丈夫なのでしょうか。
3) 「今の時点では、心配するようなことはないです。」と言っていただけたのですが、「他の場所で検診すると間違いなく引っかかる」とも言われたのが気になります。そのようなことはよくあるのでしょうか。

以上、3点、どうぞよろしくお願いいたします。

1) 石灰化には、分泌型と壊死型があります。分泌型は、分泌物の結晶化による石灰化で、良・悪性両方の病変、正常な乳管、小葉内などに見られます。
2) マンモグラフィーのカテゴリー分類は、癌がどのくらい疑われるかを読影医が判定するものです。石灰化の場合は、石灰化の形と分布の状態で判定いたします。貴女のマンモグラフィーを見ていないので推測の域を出ませんが、石灰化像の全体として、形と分布が duct ectasia の calc.(cat 2 良性)と判定されたのだと思います。duct ectasia の石灰化にも線状のものがある場合がありますが、実際のマンモグラフィーを見ていないので何ともいえません。また、カテゴリー分類は5段階あり、「cat1 正常 cat2 良性 cat3 良性だが、悪性を否定できない cat4 悪性の疑い cat5 画像上癌」となります。cat3 以上を検査の対象とすると、貴女の場合は、おそらく cat3 と読影されるのではないかということです。
3) 多くはありませんが、珍しくもありません。(文責 須田)

 

No.9681】  10年06月23日  K
リンパ節の腫れ?(HPNo.9262-4)

いつも参考にさせていただいています。術後1年検診が無事に済みました(健側のマンモと血液検査、患部側のエコー)。体調はよく、食欲もあるのですが、脇の下でなく切除した胸の脇から背中にかけて腫れぼったいような気がしています。リンパ節の腫れは、どのような症状がでるのでしょうか? 患部側は神経が切れているようなので感覚があまりないです。定期健診の4ヶ月後を待たずに再度診察をしてもらったほうがよいでしょうか。宜しくお願いします。

リンパ節の腫れに気づく臨床症状は、「こぶ」です。あなたの場合、「はれぼったいような気がする」という事ですので、おそらくリンパ節ではないと推察されますが、不安を取り除くためにも、念の為、」エコーで確認してもらうとよいでしょう。(文責 須田)

 

No.9680】  10年06月23日  M・Y 
抗がん剤感受性試験について(HPNo.9587-2)

9587でお世話になりました、M・Yです。わかりやすい説明をありがとうございました。無事乳房MRIを撮ることができ、その結果、ガンはそれほど広がっておらず、乳頭方向へいくつかわずかな飛び地が見られるものの、術式は部分切除(基本は円状部分切除で、その飛び地部分だけを多く切り取る形)で大丈夫と言われました。ガンの大きさや性質等は、9587に書いたものと変更ありません。
今日うかがいたいのは、「抗がん剤感受性試験」についてです。今週末に手術で、その際、採取した組織に抗がん剤感受性試験をするかどうかで迷っています。現段階では、ホルモン感受性のあるガンなので、術後病理検査の結果で、抗がん剤を用いるかどうかはまだわかりません。しかし、ガンが2センチを越えていることや、脈管浸潤があるかもしれないこと、また今後の再発時の治療のことなどを考えると、今の段階で感受性試験を選んでおいた方がよいのではないかと思っています。この試験に関して病院のコーディネーターに尋ねたところ、「タイミングが重要な検査で、後からやりたいと思っても組織が残っていないのでできないから、それを考えて選択してください。ただし、これは今後の治療の参考にするということであって、この検査によって今後使う抗がん剤がすべて決定されるわけではありません」と言われました。この検査のことを知らされて以降、主治医にはまだ会う機会がなく、相談はしておりません。感受性検査は先進医療ということですが、実際にはどれほどの意味があるのでしょうか。お金はかかりますが、やっておくとよいことならば、しておきたいと思っております。金銭的なことは別として、勧められる医療でしょうか。どうかお教えください。

手術で摘出した癌の組織を培養増殖させた上で、いろいろな抗癌剤を投入し、「効く」「効かない」を事前にチェックする方法を、抗癌剤感受性試験といいます。この試験で有効と判定された薬剤が、臨床でも有効であったものを真陽性といい、真陽性率は46%です。また無効と判定された薬剤で、臨床でも無効であったものを真陰性といい、この真陰性率は93%でした。真陽性数に真陰性数を加え、全試験数で割ったものを正診率といい、これは74%でした。真陽性率46%とは、試験で有効と判定された薬剤が、実際の臨床では半分しか効かないということを意味します。また真陰性率93%とは、試験で無効と判定された薬剤が、実際の臨床でも9割は無効であるということです。抗癌剤感受性試験とは、効かない薬剤を、選択する薬剤から除外する検査ということになります。検査費用は3〜7万円です。主治医とご相談の上、納得のいく選択をしてください。(文責 須田)

 

No.9679-1】  10年06月23日  K.K. 
現在の状況について

53歳女性です。よろしくお願いいたします。2007年5月に右乳癌と診断され、CNBの結果、invasive ductal carsinoma、ER(+++)、PgR(++)、HER2(3+)でした。
しこりは5cm弱が2個、右脇の下と右鎖骨上のリンパ節が腫大していました。6月より、Herceptin+weekly taxolを12回、ACを4コースの術前化学療法を受け、エコー上右鎖骨上リンパ節はとらえられなくなったので、2008年1月に右乳房全摘出手術を受けました。
手術後の病理診断では、リンパ節転移の数は、「レベル1」8/26、「レベル2」5/12、ER(+++)、PgR(-)、HER2(1+)でした。
術後補助療法は、放射線とホルモン剤の服用と説明されたのですが、放射線は、手術後入院中に右腕が浮腫んだ事もあり、再度浮腫む事が心配で、私が断り、主治医が了承して下さいました。ホルモン剤は、タモキシフェンを飲みはじめたのですが、8ヶ月程経ったところ、ふいにめまいがして倒れてしまうと言う事が度々あり、脳MRIでは異常なく、ホルモン剤の影響かもしれないと、服用を中止したまま、今にいたっています(めまいは無くなりました)。ホルモン剤は、約1年7ヶ月服用していなく、診察以外は何もしていない状況です。
今までに2回、仙腸関節と恥骨の不全骨折を起こしましたが、回復し、「転移では無く、強めの運動をしているからでしょう。」という事でした。今年(2010年)3月に、右頚部(鎖骨の上辺り)に小さなしこりを感じたのですが、4月、5月と、だんだん、いくつかがくっついて硬く、動かなくなってきたように思いました(他の自覚症状は、乾いた咳が出るのが気になるのと、強かったアルコールをあまり受けつけなくなった事くらいです)。5月に診察を受け、頚部エコーでは「転移の疑い」、CTでは、「多発リンパ節転移(右頚部,右気管傍,右肺門)疑い、肝結節→要確認」、肝臓のエコーでは、「肝内に病変を2ヵ所指摘できる→転移と考える」との検査結果でした。頚部の穿刺吸引細胞診をしたのですが、「異型細胞を認めるが、乾燥変性が強く、良悪の鑑別は困難」で、「総合判定3」でした。3週間ほど経ってから、再び頚部の穿刺吸引細胞診をしたのですが、「総合判定2」でした。(素人の思った事ですので、本当に失礼な事だと思うのですが、2度目の穿刺吸引細胞診の時、「なんでこんな所に針の跡が有るのだろう?」と思った事を記憶しています。すみません。)
以上の検査結果から、主治医(がん専門病院の化学療法科)は、「検査に慣れている頭頚科のDr.が2回もはずすとは思えない。」「頚部のしこりは、5月よりも小さくなってきたような気がする。とげも触らないし…。転移では無いような気がする。」と言うことで,「肝臓の細胞を見るか…PETをするか…」と、少し考えていらっしゃいましたが、転移では無い方向で、このまま様子見をする事になりました。「頚部のしこりは、何かの病気とかではなく、単に腫れたのでしょう。肺のリンパは、もしかしたら生まれつき腫大していたのかも知れない。肝臓は、画像判断が違うのかも…。」との説明でした。主治医のことはとても信頼しているのですが、ずっと無治療で来ている事や、画像の結果を考えると、「タモキシフェンでは無いホルモン剤を服用しても良いのでは…」等と、不安に思ってしまいます。今の私の状況をどのように判断されるのか、ご意見をお聞きしてみたいと思って、メールさせていただきました。長文になってしまい申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

ご質問どうもありがとうございます。私たち医師は物事を楽観的に考えるのではなく、どちらかというと慎重に受け止めて対処していく方が良いと考えます。リンパの吸引細胞診ではしっかり診断がつかない場合に、私たちは針生検や摘出生検をする場合もあります。総合的に判断すると、やはり頚部と肺のリンパ節再発、肝臓への転移と考えて対応する方が、KK様も安心なのではないでしょうか。もし確定できないのでしたら、PETをおこなっていただいてもよいと思います。KK様はどのように思われますか。KK様のご希望をおっしゃっていただいたほうが、良いと思います。治療についてもKK様の仰る通り、他のホルモン治療を開始してもよいと思います。主治医の先生とご相談の上、またお分かりにならなければご相談くださいませ。今後ともよろしくお願い申し上げます。(文責 高橋)
 

 

No.9679-2】  11年10月10日  K.K. 
今後の治療と予後について

昨年6月に、当時の状況についてご相談させていただいたものです。ご回答をいただいた後、CTの結果などからも転移と確定し、昨年7月から治療に入りました。治療にあたっては、随時、私の考えや気持ちを主治医に伝えるようにしました。主治医もそれを尊重しながら最適な治療を勧めて下さり、とても信頼して治療に臨んでいます。疑問や希望などをきちんと主治医にお伝えすることは、とても大事な事と実感し、背中を押していただいた温かいご助言にとても感謝しています。ありがとうございました。今回は、今後の治療と予後についてお尋ねしたくて、再度ご相談させていただきました。お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。転移後の、これまでの病状と治療は次のような経過です。
・2010年 7月 CT 多発リンパ節転移(右頸部、縦隔・肺門)増悪、肝転移(3p・1cm)増悪
・    7月 タスオミン服用開始
・    9月 CT 多発リンパ節転移(右頸部、縦隔・肺門)著変なし、肝転移(3.5pp・1.3cm)増悪
・    10月 CT 多発リンパ節転移(右頸部、縦隔・肺門)著変なし、肝転移(3.7pp・1.5cm)増悪
・    10月 ナベルビン+ハーセプチン(4コース)開始
・    11月 CT 多発リンパ節転移・肝転移 著変なし
・2011年 1月 PET 多発リンパ節転移(右頸部、縦隔・肺門、肝門部)、肝転移、骨転移(両側恥骨)
・    2月 ゼローダ+ハーセプチン開始
・    3月 恥骨の痛みが強くなり、ロキソプロフェンを服用しても、立つ・座るがつらくなる。放射線治療を勧められる。 (術後半年の時に恥骨の不全骨折をし、その時は強めの運動を続けているせいではとの事でした。運動をしている状況は同じなので整形外科を受診してみたく、放射線治療は受けませんでした。)
・    4月 両側恥骨の放射線治療を受ける。ゼローダ+ハーセプチンは2ク−ルで終了。(痛みがさらにひどくなり、歩けなくなる前にと強く勧められて放射線治療を受けました。痛みは改善しました。)
・    4月 PET 多発リンパ節転移(両側頸部、縦隔・肺門、胸部下部食道、肝門部、傍大動脈領域、両側腸骨領域)増悪、肝転移 増悪、骨転移(両側恥骨、L4棘突起)増悪
・    5月 アドリアシン+ゾメタ開始(5月から8月は、恥骨の放射線治療の副作用(陰部の粘膜炎・膣炎・腸炎のような症状etc.)がひどく、アドリアシンの脱毛も有って、精神的に大変でした)
8月 アドリアシン+ゾメタ 4回を終了。 PET 多発リンパ節転移(両側頸部、縦隔・肺門、胸部下部食道、肝門部、傍大動脈領域、両側腸骨領域)、肝転移、骨転移(両側恥骨、L4棘突起)いずれも改善傾向
・    9月 アリミデックス+ゾメタ開始

昨年7月の治療開始からなかなか好転しなかったのですが、やっと「改善傾向」となり、主治医も私もほっとしました。この間、特にアドリアシンを選択する時には、難しい状況に加え、脱毛する薬は避けたかったと落ち込む私を強く説得して下さり、また、放射線の副作用も加わってさらに落ち込む私を精神的にも支えて下った主治医には、本当に感謝しています。9月からは「肝臓などには効果が期待できないかもしれないけれど、少し体を休めましょう」と、アリミデックスを服用していますが、服用を始めて2週間あたりから指のこわばりや肩痛、悪心、頭痛が続いています。確かに抗がん剤のような体の辛さは無いのですが、ずっと体調不良なので、我儘なのではと思いながらも、しばらくの休息(?)ならば、アリミデックスは服用せずに、休薬してみたいと思い始めています。ここで休薬することについては、どう思われますでしょうか。それから、これからの見通し(治療と予後)は、どのように思われますでしょうか? 主治医にも、予後はどうでしょうかとお尋ねしてはいるのですが、私に配慮して下さるのか、はっきりとは言われず、会話の中から「こんな感じかな」と察しています。治療に関しては、次の治療を選択する時に、考えられる治療を示して下さり、私のお話も聞いて下さって、相談しながら決めてきました。なので、その状況によって、示される治療が変わる事もあります。ちなみにホルモン剤で維持できなかった場合は、カンプトになると思うとの事でした。(タキサン系は、術前で使用したタキソールの副作用が強く、またステロイドの副作用も強く出て、とても大変だったので、今は選択肢から外れています。) 実は、主治医が数か月後に退職される事になり、担当Dr.が変更になります。もちろん新しいDr.には十分引き継いで下さるとの事ですが、これから厳しい状況も予想されるなか、また新しい信頼関係を築いていかなくてはとの気持ちの動揺もあり、改めて今後の治療や病気の状況を知っておきたいと思ってご相談させていただきました。まとまらない文章になってしまい申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

人の顔がそれぞれ異なるのと同様に、病態についても個々によって異なり、今後の経過や予後に関しても様々です。従って、臨床に携わる一人として申し上げると、貴女のお気持ちを配慮してくださっているというよりも、はっきりとはわからないのです。ホルモン療法を少なくとも3ヶ月続けてみて、現在の病勢が進まなければ、そのまま継続することにると思います。主治医が代わることによるご心配、ご不安を取り除く1つの手段として、現在の主治医に引き続き診ていただくことも一案かと思います。通院が可能な範囲であれば、お願いしてみてはどうでしょうか。乳癌の治療は長期にわたりますので、同じドクターに診てもらいたいという患者さんはたくさんいらっしゃいます。(文責 須田)

 

No.9678】  10年06月23日  H.H.
術後の治療方針について

初めて投稿させていただきます。術後の治療方針について教えていただけると幸いです。乳房部分切除、センチネルリンパ節生検し、腋窩温存手術を受けました。病理検査の結果は、以下のとおりです。「浸潤性乳管がん(充実腺管がん)、腫瘍の大きさ1.2cm、リンパ節転移なし、脈管侵襲なし、切除断端マイナス、異型度1ki67低値、HER2:マイナス、ER陽性(10%)、PgR陽性(10%)」とのことでした。年齢は41歳です。主治医は、病理検査の結果からはホルモン療法単独でも良いのではと考えつつ、ER陽性、PgR陽性の値が低いことから、ホルモン療法に入る前に化学療法を加えるかを、悩んでいらっしゃるようでした。そこで以下の点について教えてください。
1) 病理検査の結果からは、ホルモン療法はあまり効果がないと考えたほうが良いのでしょうか。また、化学療法は副作用が心配なのですが、積極的に化学療法を受けたほうが良いのでしょうか。その場合に、一般的に再発リスクはどの程度抑えられるものなのでしょうか。
2) オンコタイプD]の検査を受けることにより、抗がん剤の効果や再発リスクをより詳しく調べることができるのでしょうか。また、化学療法が効くのかどうか、事前に調べる方法はあるのでしょうか。

お忙しいところ申し訳ありませんが、アドバイスをいただけますよう、よろしくお願いいたします。

ご質問どうもありがとうございます。
1) ホルモン療法は、ERが1%でも陽性であれば有効であると判断するようになっています。ですからホルモン治療の効果は期待したいと思います。ただし、おっしゃるとおり反応が低いので、抗がん剤の追加も考慮してもよいかもしれません。核グレードは分かりませんが、言明されていませんので特に再発リスクが高まるような要素はないかと存じますが。Adjuvant onlineというソフトでは、10年無再発生存率81%となっております。再発率は17%あります。そして、ホルモン治療で6%の再発率改善、抗がん剤により6%の再発率改善となっています。両者の併用により、10%の改善が見られます。これを考慮して選んでいくしかありません。
2) 現在、特に日本において、OncotypeDXなどで有効性を調べてから抗がん剤を行うようなスタイルでは行っていません。

主治医の先生とご相談の上、またお分かりにならなければご相談くださいませ。今後ともよろしくお願い申し上げます。(文責 高橋)

 

No.9677】  10年06月23日  T  
抗がん剤の量について不安です

いつも大変お世話になっています。母62歳、乳房に3センチ程の乳癌があり、腋窩・鎖骨・胸骨のリンパに転移があります。現在、CEFでの術前化学療法中(4クール中1クール終了)なのですが、一回投与量が、エンドキサン400mg、塩酸エピルジン92mg、5FU400mg(mg/uではありません。あくまでも一回の総投与量です。)であり、少ないように感じて、主治医に質問したところ、「副作用を少なくして、スケジュール通りにいけるようにしています。この量で大丈夫です。」とのことでした。本人は、高血圧があるくらいで、いたって元気ですが、私が気にしすぎであり、主治医が正しいのかなぁとも思っていますが、いかがでしょうか? 量を増やすのか問うと、「この量でいきます。」とのことでした。セカンドオピニオンをとも思うのですが、今回も主治医に対して、しつこく聞いているので、主治医との関係も悪化してしまうような気もしますし、現在の病院は転院した病院であり、また、抗がん剤治療中でもあるため、転院もしにくい状況です。

1) この量で大丈夫であり、効果はあるのでしょうか? 抗がん剤に賭けるしかない状況ですので、とても不安です。
2) 私の聞き間違いかもしれませんが(何度も尋ねましたが)、例えば上記の抗がん剤量が、mg/uであれば、この量でもおかしくはないでしょうか?
3) 主治医は量を増やすつもりはないようなので、たとえセカンドオピニオンをしても増やすことはないように思いますので、転院覚悟でいなくてはいけないのかと思うのですが、抗がん剤の治療途中で、受け入れてくれる病院があるのか、また、受け入れてくれたとしても、抗がん剤の間隔がかなり空くような気がして、どうしていいのか分かりません。難しい状況ではありますが、何か良い方法がありましたら教えていただけないでしょうか。お忙しいところ申し訳ありません。

ご質問どうもありがとうございます。
1) 仰る通り通常投与量の半量程度であり、効果は弱いかと存じます。主治医の先生は副作用を気にして設定されているのだと思いますが、次回からは通常量になるのかどうかのご確認はしてもよろしいかと思います。
2) mg/m2でも少ないかと思われます。
3) セカンドオピニオンをする時間はあると思います。

どうか迷った場合には、あせらずに立ちどまって考えてみましょうね。時間はございます。何度でも、納得できない場合には、主治医の先生の気持ちを確認するべきです。その薬剤の投与量の理由がはっきりしているのなら、全く問題ないと思います。以上、少しでもお役にたてましたら幸いです。主治医の先生とご相談の上、またお分かりにならなければご相談くださいませ。今後ともよろしくお願い申し上げます。(文責 高橋)

 

No.9676-1】  10年06月23日  A 
術後治療等について

相談内容に対するご回答について、参考にさせていただいています。ご質問させていただきます。40才の閉経前です。今年3月に針生検4でした。そのため5月に左乳房温存切除手術(センチネルリンパ節生検の結果、リンパ節も切除)を行いました。病理結果は、次の通りでした。
充実腺管ガン(組織 大きさ2×1.5×1.4センチ)、リンパ節転移5/18、核(異型度+分裂像)グレード2、リンパ管侵襲ly2、脈管侵襲v1、UICC StageVA、ホルモン感受性有り。
医師から、抗がん剤(CEF8回終了後タキソールを予定)→放射線→ホルモン治療の順に治療を勧められました。
※CEF(エンドキサン、5FU、ファルモルビシン)を3週間に1回。

1) 生存率、再発率、死亡率は、どのくらいでしょうか。
2) 医師に勧められた治療を行うと、どのくらい(1)の数値が変わってくるのでしょうか。
3) 上記治療方法、薬の種類以外にないでしょうか。標準治療ということでしたが、私の場合はそれが最善の治療でしょうか。
4) 再発した場合、早期発見するために、どのくらいの頻度で、どのような検査をしたら、発見できる可能性が高いでしょうか。

お手数をお掛け致しますが、何卒、ご見解等をお聞かせいただきたく、お願い致します。

ご質問どうもありがとうございます。Her2は陰性と判断してお話します。
1)2) adjuvant onlineというプログラムに単純にデータを打ち込んでみると、10年生存率 68%、10年無再発生存率 46%、再発率 53% 。ホルモン治療により再発率が17%改善し36%となります。抗癌剤治療により再発率が15%改善し38%となります。両方を行うと再発率が28%改善し25%となります。従ってホルモン治療と抗がん剤治療を組み合わせると、10年無再発生存率は71%となります。これらの数字はあくまでも統計学的にでてきた数字であって、参考程度です。
3) CEFの回数は病院によって異なりますが、基本的な方針は大きな違いはないと思います。
4) 基本的には、半年ごとにCT検査や超音波検査などで経過をみていくと思いますが、3ヶ月ごとに経過をみて欲しいとおっしゃる方もおいでになりますので、患者様のご希望で良いと思います。

以上、少しでもお役にたてましたら幸いです。主治医の先生とご相談の上、またお分かりにならなければご相談くださいませ。今後とも、よろしくお願い申し上げます。(文責 高橋)

 

No.9676-2】  11年03月07日  A 
抗がん剤の治療中の不安等について

病気について不安になる度に、相談の掲載を拝読させていただいています。前回相談No.9676です。現在、なんとか抗がん剤のCEF8回が終了し、ウイークリータキソール12回のうちの2回目が終了したところです。抗がん剤を始めてから、病気や仕事や家族などのことで、少しでも不安になると、2日位全く寝れないことがあります。また、以前より仕事のスピードが遅くなり、判断力も格段に落ちた気がします。やらなければと思っているため、やる気はあるのですが、周りに迷惑をかけてしまっていて、困っています。それに加え、やらなければいけないことを忘れたり、家の鍵はかけたか、電気は消したか、家を出ても不安になり、何度も家に戻ることがあります。ご質問です。

1) 抗がん剤の治療中に、判断力が落ちたり、記憶力が悪くなったり、不安で眠れなくなることはあるのでしょうか。
2) 抗がん剤が影響していた場合、抗がん剤の治療が終われば、戻っていく可能性はあるのでしょうか。
3) 上記のような相談をする場合、何科に受診したらいいのでしょうか。

お忙しいところ、お手数をお掛けいたしますが、よろしくお願いします。

1) 抗がん剤の精神面に関する副作用は、あまり報告されていません。評価が難しいからだと思います。不眠、倦怠感や不安などは報告されていますが、判断力などは、評価がむずかしいと思います。
2) 一般的に抗がん剤が原因であれば、中止により改善します。精神的な面で、不可逆的な副作用を起こす可能性は、きわめて低いと思います。
3) 仕事や日常生活に支障があるような状況であれば、治療をつづけるか、休止するか、まず、主治医に相談しましょう。支障の原因となっている副作用の種類や状況により、専門医を紹介されることもあります。(文責 徳田)

 

No.9675】  10年06月23日  L
ホルモン剤服用期間について(HPNo.7970-4)

いつも参考にさせて頂いております。HPNo.7970で相談させて頂いた者です。39歳、未婚です。2007年11月に乳房温存手術を受け、DCISと診断され、2007年12月下旬よりノルバデックスを服用しております(放射線治療は2008年1月から30回受けました)。ノルバデックスの服用期間については、当初、2年の服用期間でよいとの主治医のお話でしたが、昨年2009年4月に主治医が転勤されました。今の主治医は、当初は「副作用が強くなければ5年」とおっしゃっていましたが、先日3ヶ月の定期検査(採血)を受けたところ、「診察の度に無月経やのぼせ、ほてりなどの症状を気にしているようだから、既に2年服用したから、今後服用をどうしますか?」と聞かれました。その場で決断できなかったので、とりあえずは3ヶ月分のお薬を頂いてきましたが、今の主治医曰く「ノルバデックス服用5年は浸潤癌の方対象で、非浸潤癌については、明確なデータがない。再発危険のピークである術後2年を経過し、昨年のCT検査、骨シンチでも異常がなかったので、ここでホルモン剤を止めるのも一つの選択肢。ホルモン剤を飲まなくても、放射線治療を受けているので、再発率はほとんどゼロに近い」とのことでした。私が一番気にしている点は、生理が全く無いことです。将来結婚、出産も考えていますので、このままノルバデックスを5年服用となると、41歳までということになり、もうこの辺りで服用を止めてもいいかなと思う反面、再発が怖く、やはり服用を続けた方がいいのかと、非常に迷っています。次回の9月の診察までに自分なりの考えを今の主治医に伝えなければと思っていますが、何卒ご回答の程、よろしくお願い申し上げます。

ご質問どうもありがとうございます。非浸潤がんにたいして手術を行って、再発予防のためにノルバデックスを内服されているのですね。主治医の先生のおっしゃるとおり、必ずしもホルモン治療は必須ではございませんので、あくまでもL様のご出産のご希望を叶えてさしあげるのが一番だと思います。胸の定期検診は引き続き慎重に行っていただいて、ノルバデックスは終了として、赤ちゃんを授かるのが最もL様にふさわしい選択肢かと存じます。主治医の先生とご相談の上、またお分かりにならなければご相談くださいませ。今後ともよろしくお願い申し上げます。(文責 高橋)

 

No.9674】  10年06月17日  A.G.
乳がん術後8ヶ月目、肋骨痛

左上の乳がん温存手術を、去年2009年10月末に受けました。腫瘍の大きさは1cm(術前は1.8cmと診断)で、センチネルリンパを2個取った結果は陰性で、ステージTと診断されました。病理検査の結果は、グレード1、ホルモンレセプター 80%と60%で陽性、HER2は陰性でした。 放射線治療を終えて、ホルモン治療(タモキシフェンとゾラデックス)を始めて6ヶ月目です。心配なのは、この一週間前から左胸肋骨(肋骨の一番下)が脇側に向かって触ると痛みます。触らないと特に痛みは感じないのですが、左腕を上に上げると吊るような痛みを感じます。息子(18kg)を抱き上げると触れたところが痛みます。実は3週間ほど前にCT(肩こりがひどかったので追加で受けました)とマンモグラフィー、血液検査を終えたところで、結果はすべて異常なし(腫瘍マーカー正常)でした。CTを頻繁に受けることは避けたいですが、骨転移が心配です。

1) CTで異常なしと3週間前に出たとしても、骨シンチの検査をした方が良いでしょうか?
2) ホルモン治療の副作用としては考えられますでしょうか? ホッカイロなどで患部を温めたり風呂に体を沈めたりすると、痛みはかなり和らぎます。
3) 術前の検査では18mmとされていた腫瘍の大きさが、術後の病理結果では10mmとなっていました。術前抗がん剤治療をしたわけでもないのですが、術前と術後では腫瘍の大きさが変更されることは通常多いのでしょうか?

アドバイスをお願いいたします。

骨転移に関しては骨シンチの方が有用でしょう。骨転移を疑うのであればCTとは別にシンチ検査を行った方がよいとおもいます。メールの内容からは、ホルモン療法の副作用とは考えにくいようです。「術前の検査」が何か分からないのですが、触診(触れてノギスなどで計測した)の場合の腫瘤の大きさは、腫瘤そのものの大きさに皮下脂肪や皮膚の厚みが加わったものですから、実際の大きさ(浸潤部の広がり)よりも大きく計測されることは納得の行くところですね。(文責 首藤)

 

No.9673】  10年06月17日  M
癌細胞の情報について

いつも大変勉強になります。ホルモンの陽性率の考え方が1%以上になったとか、ki-67、P53など、日々新しく細かく個別に対応するべく、非常にありがたいことと思います。最近の患者は、自分の癌細胞のその情報は、皆調べているのでしょうか? 過去の患者は調べる方法はありますか? よろしくお願いいたします。

乳腺専門医のいる病院では手術標本を少なくとも10年、場合によっては20年間保存していますので、遡っての検索は可能でしょう。(文責 首藤)

 

No.9672】  10年06月17日  U.M
乳房内再発(2)(HPNo.9663-2)

HPNo.9663で質問させて頂きました 貴重なご意見ありがとうございました。たびたびの質問で申し訳ありませんが、またいくつかご意見をお聞かせ願います。私は22歳の時に乳がんになり(8年前)、右乳房温存しました。
病期:T 2 N 0 M 0  UA
浸潤癌(充実腺管癌) ER:陰性 PGR:陰性 HER2:− 大きさ:7×3 リンパ:1個/21個中
抗がん剤 アドリアマイシン 3週ごと4回 パクリタキセル 3週ごと4回
放射線  30回
現在30歳 右側乳房内再発のため4月に全摘
ER:陰性 PGR:陰性 HER2:1+ (皮膚などへの転移なし)

PET・マンモ・エコー・肺レントゲンなどの検査をして局所のみの再発だとわかり、手術前から、外科の先生は、「全摘して放射線は出来ないから、抗がん剤をしましょう。」との話でした。しかし抗がん剤を始めるにあたり内科の先生に変わり、提案された治療方針では、「1.そのまま経過をみる 2.希望があるなら考慮して抗がん剤 (タキソテール×エンドキサン 3週ごと4回) 3.遺伝相談(叔母が46歳の時に乳がん)」でした。抗がん剤をしても・しなくても、20年後の生存率はかわらないとの話でした。8年間、外科の先生とは定期的にお会いしていて、信頼関係が出来ていたので、内科の先生からの抗がん剤をしないという提案が信じきれず、抗がん剤をしますと言いました。8年前抗がん剤をした時、副作用が強く(白血球減少による感染で親知らずを抜いたり・発熱・喉が膿む・白血球が足りず白血球を上げる注射・胃炎・通いで抗生物質の点滴など)、アドリアマシンもパクリタキセルも標準量を点滴することが出来ず、3週毎の点滴も出来ませんでした。そして今回5月20日に1回目の抗がん剤開始 白血球5100 5/23に38度以上の発熱が続き、5/27喉が膿み近所のフォローアップの病院へ緊急受診、白血球600で数日間40度以上の熱が出て7日間入院しました。炎症を抑える点滴、抗生物質点滴、白血球を上げる注射などをしてもらいました。

1) 抗がん剤の量を減らしてでも続けるべきでしょうか?
2) 点滴3日後での発熱、もう辞めるべきでしょうか?
3) 骨髄抑制が強いと、将来なんらかの悪影響はありますか? 
4) 上の情報から5年、10年、20年生存率はわかりますか?

自宅、外ではマスク着用・人ごみへは行かないなど徹底していたので、入院する程ダメージが出たのは驚きました。2回目6/14を予定していますが、内科の先生ともう一度相談して、14日は抗がん剤はしないつもりでいます。外科の先生に相談したところ、意見が変わり、「抗がん剤しても・しなくてもいいし、量を減らしてみては?」とも言われています。今回見つかった再発がんは、HER2の結果が1+と変化したのも気になります。ご意見お聞かせ願います。遺伝子治療についてもお尋ねしたいのですが、検査は自費で数十万円かかりますが、調べる意味はありますか? 今後反対側の乳がんに気をつけなければいけないのと、卵巣がんリスクが高いので検診を受ける様にと話は聞きましたが、遺伝子検査を受けて新薬などあるのでしょうか? 長くなってしまいましたが、貴重なご意見が頂けると幸いです。 

抗がん剤の使用について、極めて選択の難しい状況なのでしょう。メールの内容からはどちらがよいのか、生存率はどうかといった具体的示唆は困難と思います。化学療法を完遂した場合と完遂しなかった場合の再発率の差などの比較を出してもらいし、もう一度外科担当医、腫瘍内科医としっかり向き合って今後の方針を決めていただきたいと思います。遺伝子検索に関しては、ご親族に乳癌のかたがおられること、また遺伝性乳癌には若年発症の場合が多いことなどから、すすめられたのではないでしょうか。遺伝性乳癌に対する方針ですが、本邦においては確立されたものはないのが実情です。(文責 首藤)

 

No.9671】  10年06月17日  T
今後の治療の選択について(2)(HPNo.9645-2)

No.9645で回答いただいた者です。もう少し質問をさせていただきたいと思いメールさせていただきました。化学療法後に生理が再開時にリュープリンを打ち始めたときと、そのまま継続してリュープリンを打つ場合とで、どの程度リスクが違うと考えられるでしょうか? また、化学療法後に生理が止まった状態でリュープリンを打ち続けた場合と、打たないで生理が止まった状態とで、生理が止まった状態という点では同じなので更年期症状等は想定できるのですが、リュープリンを念のため打ち続けた場合のリュープリン自身の副作用というものは、何か考えられるでしょうか? たびたびで恐れ入りますが、よろしくお願いします。

化学療法によって閉経となる可能性もあり、その場合リュープリンは不要となりますから、生理再開時にリュープリンを開始するという考えではいかがでしょうか。リュープリン自身の副作用というよりも、女性ホルモンが低下した状況としての更年期障害などが問題となるでしょう。(文責 首藤)

 

No.9670】  10年06月16日  T
CA15-3

2年半前に温存手術、9oリンパ転移なし、ステージ1、グレード2、ly0、V0、ホルモン陽性、Her2陰性、現在48歳です。今まで特に異常なしでしたが、CA15-3の値が少し気になります。08/6 5.9 以後3ヶ月毎の数値 7.3→6.6→6.4→6.4→7.0→7.7→8.5で、微妙に上がってきている気がします。CEAは、ずっと1若しくは1未満です。CA15-3は加齢により上昇するという情報も目にしますが、気にしなくてよい範囲でしょうか? 値は体重の増減に比例している気もします。

腫瘍マーカーというのは、特に再発してしまっている方には、少しでも下がれば嬉しいし、逆に少し上がっても、不安な気持ちになるものです。ご相談の内容ですが、正常値の中で動いているのであれば、さほど気にしなくてもいいのではないでしょうか?あくまでも目安にして、両方のマーカーが揃って上昇傾向にある時、正常値を超えて上昇する時に気にしてみたら良いと思います。再発のリスクが高い方ではなさそうですし、きっと大丈夫かと。何かあればまたご相談下さい。(文責 鈴木)

 

No.9669】  10年06月16日  N子
抗がん剤治療

H22.1/8に乳癌温存手術、46歳。
病理結果 →リンパ管への道筋にがん細胞有(中程度)、顔つき:グレード3、ハーツー +3 
3/5〜 抗がん剤治療をしていました。CAF療法 3週サイクル×6回の予定でしたが、副作用が強く(赤血球・白血球低下著しく、痔核・口内炎・倦怠感・全身痛・体重7k減等々)、抗生物質服用、好中球UP注射、輸血等し、何とか4回が終了、6/4の診察で、残り2サイクルの抗がん剤中止=終了との診断になりました。投与続行、これ以上はリスクのほうが大きいと判断したとの事でした。私自身も納得し、(これ以上は体が持たないのではと思っていましたので)次に続く放射線治療・ハーセプチン・ホルモン治療を頑張ろうと思っていますが、やはり頭の片隅には不安を残したままです。再発の可能性が大きくなってしまうのでは??と。こういうケースも結構あるのでしょうか? ケースバイケースでしょうか? 宜しくお願いいたします。

抗がん剤の治療・・・せっかく頑張ったのに・・・という思いでいっぱいだと思います。お気持ち察します。抗がん剤にしても、ハーセプチン、ホルモン療法にしても、再発予防で行う治療は、あくまでも再発予防ですから、安全に行うのが何よりです。イケイケドンドンで治療をして、寝たきりになっては元も子もありません。元気が何よりです。あなた自身が頑張れるところまで頑張ったのですから、結果はついてきますよ、きっと。頑張ったところまでの効果はありますし、全く無駄になるわけではありませんから。自分の患者さまでも、頑張ったけど、途中で・・・という方はいらっしゃいます。あなたが特別ではありませんから、これからの治療へ気持ちを切り替え、安全に続けられるよう頑張って下さい。陰ながら応援申し上げます。(文責 鈴木)

 

No.9668】  10年06月16日  アサコ
胸の痛みについて

術後6年になりました。手術時、しこりは3センチ、リンパ転移なし。グレード1、トリプルネガティブでしたので、治療は抗がん剤AC4回のみ。生理は、1回目の抗がん剤治療を受けてからは閉経状態です。実は2、3日前から、胸の中心、どちらかといえば右より(全摘したのは左側)にチクチクとした痛みがあります。一日中、ずっと痛いわけではなく、時々感じる痛み。表現が難しいのですが、下着がこすれるような感じです。これは、どのような原因が考えられますか? 転移によるものなのでしょうか? 5年過ぎてから、定期検査も一年に一度となってしまったので、ものすごく不安です。次回の検査は、来月の終わり頃の予定。それまで待っていていいものなのか・・・すぐに検査した方がいいのか迷っています。どうぞよろしくお願いします。47歳 子供二人。

お返事が遅くなり恐縮です。術前、術後にかかわらず、痛みというのは患者さまを振り回すものですね。自分の患者さまも、痛みを感じる方は多いように思います。まず、手術をした場合、傷の大小、病気の有る無しにかかわらず、痛みはつきものです。これは何年経っても感じるようです。特に触った感じで、しこりも無いようであれば、少し様子をみて、それでもおかしければ検査を受けましょう。実は、早く検査をしても、1ヶ月後でも、検査結果に大きな変わりはないことと、治療内容(薬の内容、投与期間)も変わらないと言われています。不安な気持ちはどうしようもありませんが、来月の検査を待ってみてはいかがでしょうか?(文責 鈴木)

 

No.9667】  10年06月16日  H 
乳頭の痛みと違和感

初めて投稿させていただきます。36歳で結婚はしていますが、出産経験はありません。
数日前より、右の乳頭の痛みと、手をあげた時につっぱる感じがあります。しこりはないのですが、今までに乳房にこのような違和感を感じた事がありません。受診するとしたら、個人の病院でも検査は可能ですか? 又、どんな検査をするのでしょうか?

お返事が遅くなり恐縮です。恐らく、質問の内容からしてあまり心配な状況ではないと感じます。しこりが無い場合、痛む乳房というのは、女性ホルモンの影響で乳腺が、張ったり、しぼんだりするために、痛み、ひきつれを感じることが良くあります。乳腺というのは、女性ホルモンの影響で大きな変化をするものです。一方、しこりっぽく感じる乳腺も、女性ホルモンの影響で、固くなったり、軟らかくなったりします。このような場合、まず、2週間経過を見てみましょう。それでもおかしければ、もう2週間、そこでも何か変な感じであれば、受診して下さい。約1ヶ月で、月経の周期が1周することと、女性ホルモンは、その時、その時で分泌にばらつきがあります。少し忙しかった、少しいやなことがあった、などでも大きな変化をします。そのばらつきのある女性ホルモンの影響を見てみましょう。乳腺は、そんな女性ホルモンの影響を直に受けているのです。この4週間の間に、仮に悪いものがあっても、極端に変化することはありません。逆に、この4週間の間に、変な感じが無くなったり、しこりっぽく感じた部分が軟らかくなったりすれば、とりたてて急ぎで受診する必要はないと思われます。
また、受診するのであれば、できましたら乳腺外科を受診しましょう。個人の病院でも乳腺外科であれば問題ありません。検査はエコーとマンモグラフィが必要になるかと思います。(文責 鈴木)

 

No.9666】  10年06月16日  T 
増殖 ki67の検査結果について 

いつも参考にさせていただいてます。本日はご相談させていただきたくてメールさせていただきます。
2010.1.08 右乳がん :A領域 T2N0 病変はMRMMGで極限していることを確認後、外来日帰り局部麻酔手術:Bp+SLNBを受けました。
病理検査結果
23mm*21mm 2al f ly+- v- Gr2 comedo+ ew:<5mm SLN(0/7) ER:80-90% PgR:70-80% HER:2+ y→FISH −
温存乳房照射 50グレイ+局所10グレイ (2/1〜3/16)終了

この時点では、内分泌療法単独で、アリミデックスを処方されました。でも最後の増殖検査の結果 ki67が高(40−50%)と出ました。主治医より、これが「高い」と出ると微妙な所だけれど、化学療法TC療法4-6クールを勧めると言われ、すごく迷いましたが、後悔しないために受けることにして、ただいま4クール終わりました。ここまで来たら、私としては6クール完遂したいと思ってます。TC療法中は、アリミデックスは一旦中止しております。

1) ki67が高いと再発しやすいと言われており、今までの治療後、今後どれくらいの割合で再発するのか、お聞きしたいと思います。
2) 増殖が「高い」と、癌が再発した時のスピードが速いと言うことでしょうか?
3) 「検討方法の信頼性は、地理的状況により異なる。」と書かれていますが、どういうことでしょうか?

お忙しいところお手数かけますが、ご解答宜しくお願い致します。

Ki67はもともと白血病患者の血液中の自己抗体として発見された抗体で、これが認識するKi67抗原は、細胞増殖周期の、主に、G1、SからM期という細胞の増殖が盛んな時期に陽性率が高くなるので、この陽性率が、細胞増殖能の指標とされています。漠然としたニュアンスですが、細胞増殖が早いということで、再発した時のスピードだけの話ではなく、細胞の増殖能力が高いということになります。この測定値は、判定基準が不明確で、何%以上を陽性、陰性とするかが、施設毎に曖昧な部分があります。したがって、現在の状況での再発率云々は、明確な答えがありません。ご容赦下さい。恐らく、この辺が地理的状況・・・ということでしょうか? 主治医の先生にお聞きになってはいかがでしょうか?
化学療法でTC療法をされていますが、TC療法の有用性は、TC4サイクルとAC4サイクルの比較試験の結果から報告されているもので、TC療法は、6サイクル行うことの有用性、副作用などのデータがありませんので、現在では4サイクルで十分だと考えます。(文責 鈴木)

 

No.9665-1】  10年06月13日  EM
乳がん検診結果:ductectasia とは?

40歳、既婚、出産経験なし、です。近い親族に乳がんを患った人はいません。先日受診した乳がん検診の結果について、教えていただきたいことがあり、メールさせていただきました。年に一度、触診、超音波、マンモによる乳がん検診を受けています。超音波の結果、両胸に複数の嚢胞が、マンモの結果、複数の石灰化が見つかりました。この所見は、乳がん検診を受け始めた5年前から変わっていません。(2年前から同じクリニックで検診を受けています)。
マンモによる所見ですが、
乳腺の評価:右) 高濃度、左) 高濃度
腫瘤:右) − 左) −
石灰化:右) 良悪性の鑑別を要する 左) 良悪性の鑑別を要する
分布:右) 散在性 左)今年は散在性、去年は領域性
となっています。総合判定は、左右とも「2」でした。

今回、結果が郵送されてきましたので、結果について医師に直接聞くことができませんでした。こちらでお聞きした上で、必要であれば医師に聞きに行きたいと思っています。

1) 乳腺の評価で、「高濃度」とあるのですが、これはどのような状態 なのですか?
2) 左胸の石灰化分布が、今年は散在性、去年は領域性だったのですが、 年によって変わることはあるのでしょうか。
3) 左胸の所見で、コメントとして「ductectasia calc」とあるのですが、 これは何でしょうか。
4) 「ductectasia calc」が将来がんに変わることはあるのでしょうか。
5) 両胸とも「良悪性の鑑別を要する」となっているのですが、 まだ一回も鑑別検査を受けたことがありません。 おととしから同じクリニックで検診を受けているので、前回(前々回)の データと比較していただけたようで、所見欄に「前回と変化なし」と書かれてあったのですが、実は、40歳という年齢もあり、年齢的にも最後のチャンスかなと思い、できれば妊娠・出産を希望しています。 妊娠する前に、良悪性を鑑別するための検査を受けた方がよいでしょうか。

1)乳腺組織がしっかりしていることです。
2)石灰化の分布状況です。散在性と領域性の区別が困難なことは多くみられるものです。
3)、4)おそらく「石灰化をともなう乳管拡張」でしょう。 癌の直接的所見ではありません。
5)おそらくは「良悪性の鑑別を要する」石灰化であるが、分布状況や形態からは良性と判断されるものとして、カテゴリー2(良性)と最終的に診断されていると思います。今後のご希望に関しては、担当医師に直接おたずねください。(文責 首藤)

 

No.9665-2】  10年06月23日  EM
分泌型の石灰化とは?

No.9665】の質問をした者です。先日はご回答いただき、ありがとうございました。
「今後のご希望に関しては、担当医師に直接おたずねください。」とのことでしたので、医師に相談に行ってきました。今回の検診結果と去年の結果を見比べながら、また、参考までに、乳がんになるとどのような石灰化になるのかというサンプル画像と比較して、詳しく説明していただきました。
左側の「ductectasia calc」とコメントされていた箇所ですが、他の石灰化部分よりも、多少石灰化が集まっている感じでしたが、去年のデータと比べ、ほとんど変化がないので、分泌型の石灰化であろうと判断されたそうです。1年に一度の検診は必須だが、それ以上の検査は現時点では不要、この石灰化が癌化することは、100%とは言えないが高い確率でないと言える、とおっしゃっていただきました。ただ、「過去のデータを持っていないクリニックで検査すると間違いなく引っかかるので、同じクリニックで継続して検診を受けるか、検診場所を変える場合はうちのデータを持っていくとよいでしょう。」といわれました。
特にクリニックを変えるつもりはないので、そのまま帰宅してしまったのですが、なんとなく気になることがあり、またメールさせていただきました(気にしすぎかもしれませんが、家が乳癌はいないものの、癌家系なので・・・)。

1) 分泌型の石灰化とは何ですか?
2) 「ductectasia calc」該当箇所の説明を受けている際、複数ある石灰化のうち、2、3個ですが、線状になっている石灰化がありました。去年も同じような線状の石灰化がありました。医師からは、去年、私の乳腺がすごく発達しかつ太いので線状になっている、との説明を受けた記憶があります。ただ、そのうち1個が今年、少し長くなっていたのですが、これは大丈夫なのでしょうか。
3) 「今の時点では、心配するようなことはないです。」と言っていただけたのですが、「他の場所で検診すると間違いなく引っかかる」とも言われたのが気になります。そのようなことはよくあるのでしょうか。

以上、3点、どうぞよろしくお願いいたします。

1) 石灰化には、分泌型と壊死型があります。分泌型は、分泌物の結晶化による石灰化で、良・悪性両方の病変、正常な乳管、小葉内などに見られます。
2) マンモグラフィーのカテゴリー分類は、癌がどのくらい疑われるかを読影医が判定するものです。石灰化の場合は、石灰化の形と分布の状態で判定いたします。貴女のマンモグラフィーを見ていないので推測の域を出ませんが、石灰化像の全体として、形と分布が duct ectasia の calc.(cat 2 良性)と判定されたのだと思います。duct ectasia の石灰化にも線状のものがある場合がありますが、実際のマンモグラフィーを見ていないので何ともいえません。また、カテゴリー分類は5段階あり、「cat1 正常 cat2 良性 cat3 良性だが、悪性を否定できない cat4 悪性の疑い cat5 画像上癌」となります。cat3 以上を検査の対象とすると、貴女の場合は、おそらく cat3 と読影されるのではないかということです。
3) 多くはありませんが、珍しくもありません。(文責 須田)

 

No.9664】  10年06月13日  H.K. 
のう胞

いつも参考にさせていただいています。二年前に左乳癌。左腋リンパ節、左大たい骨転移ありで、手術はしていません。3ヶ月に一度のリュープリンとノルバデックスの治療中です。痛みや自覚症状は全くありません。三ヶ月に一度の超音波検査、半年に一度のCT検査などで経過をみています。先日、CTの検査結果を聞きに行ったところ、肝臓と腎臓に1センチ以下ののう胞が多数あるとのことでした。定期的にのう胞の大きさを検査していきましょうとのことでしたが、腫瘍なのかのう胞なのか、はっきりと検査する方法はないのでしょうか? のう胞はよくあるものなのでしょうか?

嚢胞自体はよくみられるものです。嚢胞の診断には、CTよりも超音波検査の方が有効な場合が多いと思います。(文責 首藤)

 

No.9663-1】  10年06月13日  U.M
乳房内再発

8年前に温存手術をしました(リンパへの転移1コ、癌タイプ:トリプルネガティブ、抗がん剤&放射線治療をしました)。今年4月に乳房内再発がわかり、全摘出しました。
1) トリプルネガティブは予後不良と言われていますが、8年後の再発なので完治は期待できますでしょうか?
2) 5年後、10年後、20年後の生存率を教えて下さい
3) 乳房内再発の場合(トリプルネガティブ) 術後の基本治療があれば教えてください。

宜しくお願い致します。

1) 完治は充分期待できるでしょう。
2) トリプルネガテイブ、リンパ節転移1個の情報だけで生存率は推定できません。
3) 局所再発後としては、定期的経過観察、診察が大切です。(文責 首藤)

 

No.9663-2】  10年06月17日  U.M
乳房内再発(2)

HPNo.9663で質問させて頂きました 貴重なご意見ありがとうございました。たびたびの質問で申し訳ありませんが、またいくつかご意見をお聞かせ願います。私は22歳の時に乳がんになり(8年前)、右乳房温存しました。
病期:T 2 N 0 M 0  UA
浸潤癌(充実腺管癌) ER:陰性 PGR:陰性 HER2:− 大きさ:7×3 リンパ:1個/21個中
抗がん剤 アドリアマイシン 3週ごと4回 パクリタキセル 3週ごと4回
放射線  30回
現在30歳 右側乳房内再発のため4月に全摘
ER:陰性 PGR:陰性 HER2:1+ (皮膚などへの転移なし)

PET・マンモ・エコー・肺レントゲンなどの検査をして局所のみの再発だとわかり、手術前から、外科の先生は、「全摘して放射線は出来ないから、抗がん剤をしましょう。」との話でした。しかし抗がん剤を始めるにあたり内科の先生に変わり、提案された治療方針では、「1.そのまま経過をみる 2.希望があるなら考慮して抗がん剤 (タキソテール×エンドキサン 3週ごと4回) 3.遺伝相談(叔母が46歳の時に乳がん)」でした。抗がん剤をしても・しなくても、20年後の生存率はかわらないとの話でした。8年間、外科の先生とは定期的にお会いしていて、信頼関係が出来ていたので、内科の先生からの抗がん剤をしないという提案が信じきれず、抗がん剤をしますと言いました。8年前抗がん剤をした時、副作用が強く(白血球減少による感染で親知らずを抜いたり・発熱・喉が膿む・白血球が足りず白血球を上げる注射・胃炎・通いで抗生物質の点滴など)、アドリアマシンもパクリタキセルも標準量を点滴することが出来ず、3週毎の点滴も出来ませんでした。そして今回5月20日に1回目の抗がん剤開始 白血球5100 5/23に38度以上の発熱が続き、5/27喉が膿み近所のフォローアップの病院へ緊急受診、白血球600で数日間40度以上の熱が出て7日間入院しました。炎症を抑える点滴、抗生物質点滴、白血球を上げる注射などをしてもらいました。

1) 抗がん剤の量を減らしてでも続けるべきでしょうか?
2) 点滴3日後での発熱、もう辞めるべきでしょうか?
3) 骨髄抑制が強いと、将来なんらかの悪影響はありますか? 
4) 上の情報から5年、10年、20年生存率はわかりますか?

自宅、外ではマスク着用・人ごみへは行かないなど徹底していたので、入院する程ダメージが出たのは驚きました。2回目6/14を予定していますが、内科の先生ともう一度相談して、14日は抗がん剤はしないつもりでいます。外科の先生に相談したところ、意見が変わり、「抗がん剤しても・しなくてもいいし、量を減らしてみては?」とも言われています。今回見つかった再発がんは、HER2の結果が1+と変化したのも気になります。ご意見お聞かせ願います。遺伝子治療についてもお尋ねしたいのですが、検査は自費で数十万円かかりますが、調べる意味はありますか? 今後反対側の乳がんに気をつけなければいけないのと、卵巣がんリスクが高いので検診を受ける様にと話は聞きましたが、遺伝子検査を受けて新薬などあるのでしょうか? 長くなってしまいましたが、貴重なご意見が頂けると幸いです。 

抗がん剤の使用について、極めて選択の難しい状況なのでしょう。メールの内容からはどちらがよいのか、生存率はどうかといった具体的示唆は困難と思います。化学療法を完遂した場合と完遂しなかった場合の再発率の差などの比較を出してもらいし、もう一度外科担当医、腫瘍内科医としっかり向き合って今後の方針を決めていただきたいと思います。遺伝子検索に関しては、ご親族に乳癌のかたがおられること、また遺伝性乳癌には若年発症の場合が多いことなどから、すすめられたのではないでしょうか。遺伝性乳癌に対する方針ですが、本邦においては確立されたものはないのが実情です。(文責 首藤)

 

No.9662】  10年06月13日  TOTO
穿刺検査後

5/29に初診。マンモグラフィ、超音波、造影CT、穿刺検査を行い、6/3に右乳房右上方に2センチ大の乳がんと宣告。ただし、クラスなど詳しい話はなし。限局化しているので温存療法が可能とのこと。この病院は地元では乳がんの手術を多数行っていることで有名ですが、放射線治療は別の病院となるとのこと。先生がご高齢(80歳代)であることもあり、大学病院へ転院。6/7に紹介状とデータをもって受診。超音波検査で、腫瘍は2センチ大だが、乳頭に向けて腫瘍から癌が8ミリ程度伸びているようにみえるとのこと。穿刺検査を行い、次回、マンモグラフィとMRIを受ける予定に。その穿刺検査の際、細胞を採取するのに非常に時間がかかり、数回やり直しを行いました。未経産婦であるために、乳腺が硬いから、との説明でした。出血はなし。その後の痛みが約1週間経った今もあり、乳房自体も熱をもっており、腫れている状態なのような気がします。ただ、しこり自体が、最初に受診した際よりも明らかに大きくなっており、穿刺検査のせいなのか、不安を感じています。穿刺検査のせいで、癌が広がるということはないのでしょうが、それでは今の状況はどう判断したらいいでしょうか。手術の予定は、先生が有名な方なために、予約でいっぱいで、7/7になりました。最初の病院の先生は、準備が整い次第、すぐにでも手術をと言われました。1日2日がどうということはないが、早い方がいいだろうとも言われていました。急激に癌が巨大化することがあるのでしょうか? 次の受診は、6/14マンモグラフィとMRIのため、診察を受けるのは、その後となります。この痛みをもったままでマンモグラフィを受けるのは、非常に苦痛を感じます。検査を受ける前に担当の先生に話しをした方がいいのでしょうか。また、手術まで時間があいているのですが、この間に癌が急に進行する心配はないのでしょうか。乳房を触るたびに、乳房上半分にしこりがあるような触覚があり、不安です。よろしくお願いします。

穿刺後に痛みがあり、かつ大きくなった感じがするとすれば、あくまで推定ではありますが、穿刺による後出血が原因ではないかと思われます。マンモグラフィで乳房を圧迫すれば痛みが増強する可能性も否定出来ないところですので、検査前に担当医にご相談されてはいかがでしょう。穿刺の刺激により癌組織自体が急激に大きくなることはまず無いと思います。(文責 首藤)

 

No.9661-1】  10年06月13日  ポポ
骨転移

ゾメタについて教えてください。
1) ゾメタを使い始めると、ずっと続けないといけないのでしょうか。
2) ゾメタは3週間に一度の点滴とききましたが、骨の痛みが軽減した場合、2か月に一度など、間隔をあけて使うことは意味がありませんか。
3) 骨の痛みがずっと続いていない場合、ゾメタを使う必要はありませんか。
4) ゾメタを使うタイミングを教えてください。 (早めに使い出したほうが良いですか)
5) ゾメタを使った治療は、何年くらい有効でしょうか。

よろしくお願いいたします。

転移に対する治療としては、がんを完全に死滅させることはおおよそ不可能であり、もってご自身の生活の質を維持しながら、がんと共に生きることが重要と思われます。その意味で下記のごとくお答えいたします。
1)効果があるのであれば継続するのがよいでしょう。
2)間隔をあけても効果が薄れないのであれば、かまわないのではないでしょうか。
3)途中休薬は、あなたが希望・納得されるのであれば「あり」でしょう。
4)骨転移の診断がなされた段階で開始することが多いと思います。
5)人によります。一概にはいえません。(文責 首藤)

 

No.9661-2】  10年07月10日  ポポ
ゾメタについて

ゾメタについて、もう少し教えてください。
1) ゾメタの点滴は、3週間に一度なのでしょうか。それとも4週間に一度なのでしょうか。
2) ゾメタの点滴が「4週間に一度」でも可能な場合、同じ日に、ゾラデックスを投与しても可能でしょうか。
3) Aが可能な場合、副作用(熱など)は強いのでしょうか。

よろしくお願いいたします。

1)2)3) ゾメタは乳癌などの骨転移に対して使用する薬剤であり、通常3〜4週間ごとの投与が推奨されております。また同時にゾラデックスなどのホルモン剤や抗ガン剤などとも併用して用いられます。併用しても副作用が増加して問題となるケースはほとんどありません。(文責 谷)

 

No.9660-1】  10年06月12日  K・N
乳癌検診

私自身のことで相談します。
乳がん検診は毎年受けていますが、マンモで2回ほど引っかかっています。そのつどエコー検査をしていますが、両方の乳房に多数のう胞があります。昨年11月に受けた時もマンモで引っかかり、忙しかったため、エコーは今年の1月末になってしまいました。結果は、「多のう胞と乳腺症がありますが、いつもの健康診断の時でいいでしょう。」との事でした。5月の初旬に乳頭をつまんでみた所、血性分泌物がありました。調べた所、血性の分泌物は乳がんを疑うとあり、下旬に病院へ行きました。当日は分泌物の細胞診とマンモテックを検査しました。マンモテックの結果は〜100の数値でがんの可能性はないと言われ、「念のためマンモと超音波は撮りましょう。」という事で、今週結果が出ました。マンモは所見なし、でもエコーには気になる腫瘤14oがあるとの事で、「大学病院でマンモトームを受けましょう。」ということになりました。腫瘤は触ってもわかりません。分泌物の細胞診の結果は、「クラスVa、グレーだけど白より」と、説明を受けました。
私が見ても、のう胞とは違うことがわかりました(影が白くまばらな感じ)。マンモトームを受ける前ですが、以上のことから悪性を覚悟しておいたほうがいいのでしょうか?
マンモテックは正常値、細胞診はグレー、腫瘤はあるが触ってもわからない、乳輪近くの内側を押すと、今も血性分泌物あり、時々痛みありです。よろしくお願いします。

あくまでメール内容からの推定ですが、嚢胞の中に腫瘤性病変が存在する状況と思われます。具体的には嚢胞内乳頭腫(良性)や嚢胞内癌(悪性)などが考えられますが、どちらの可能性が高いかは何ともいえません。(文責 首藤)

 

No.9660-2】  10年07月28日  K・N
乳がん検査について

以前HPNo.9660で質問させていただき、ありがとうございました。乳頭の血性分泌物でエコーを撮りました。そのとき、腫瘤らしきものがあるので大学病院でマンモトームを受けるよう言われ、紹介されました(腫瘤は触ってもわかりません)。分泌物は、同じ部位を押すとそこから出てきます。初診日にマンモトームが受けられるものだと思い行きましたら、診察と触診だけで、新たにマンモグラフィとエコー、MRIを撮ることになりました。前回と同じでマンモには写らず、エコー、MRIには腫瘤らしきものが写っていました。MRIには乳腺拡張も写っていました。腫瘤らしき物があるので、次の検査マンモトームに進むことになりました。そこで質問なのですが、MRIだけでは良、悪の判断はつきにくいものなのでしょうか? 他の方の質問に、MRIは乳がんが確定していて広がりなど見る為?に行う検査とありましたが、私の場合、MRIの所見でほぼ悪性ということで、次のマンモトームに進み悪性を確定させる為なのでしょうか?
先生に、「今の所(MRI)悪性の可能性が高いのでしょうか。」とお聞きした所、「なんとも言えない。マンモトームでもはっきりしなければ、腫瘤を摘出しての検査になる。」と言われました。先生は、乳頭分泌物の場合は良、悪の判断が非常に難しいとおしゃっていました。自分で調べても、先生のおしゃっている事と同じでした。かたや、マンモやエコーだけで良、悪の判断がつく場合もあるのに、私のように検査が続いても、まだ良性の場合があるのでしょうか? マンモトーム検査まで行ったら、ほぼ悪性と思って検査に臨んだ方がよいのでしょうか? 検査も結果も来月なので、あまり考えないように過ごしてはいるのですが、いろいろなこと頭から離れません。長々とすみません。色々な方の質問を拝見させていただいているうちに、何だかまた不安を感じてきたので、よろしくお願いします。

乳腺腫瘤の良、悪性の診断は最終的には組織検査によります。マンモトームは太い針生検ですので、小さな組織が採れます。これで殆どは診断が付きますが、ごく稀に腫瘤を切除しないと診断がつかない場合もあります。MRIなどは悪性らしいことは判っても、それだけでは決定できません。典型的な癌はマンモやエコーだけでもほぼ診断を確定できますが、非典型的なものである場合は、いろいろ検査をしても判らず、マンモトームや腫瘤を切除しての組織検査によってはじめて診断が付きます。あなたの場合はどちらかと云うと後者でしょう。(文責 吉田)

 

No.9659】  10年06月12日  K K
放射線治療後の発汗について (HPNo.9458-2)

いつも拝見して参考にしています。HPNo.9458でご相談して、ご丁寧な回答をありがとうございました。2006年8月末、左全摘出、浸潤癌2cm、ホルモン−、悪性度3で、術後FEC治療を4回受け、その後、無治療でした。2009年10月、右に新たな初期(0.8×0.9)の悪性腫瘍が見つかり、温存手術を受けました。ホルモン−、両胸ともリンパ節(センチネル検査)の転移はなく、取っておりません。その後放射線25回を受け、現在は無治療、放射線後の肺炎チェックに、月一回通院と、乳腺外科定期診察をしています。2月中旬、放射線照射は終わり、順調な日々を送っていますが、思ったより汗をかきます。更年期のホッとフラッシュはすでに経験済みなのですが、右胸(照射)をのぞいて、額、からだ部分です。照射後、なにか発汗に作用することはあるのでしょうか。よろしくお願いいたします。

照射と全身的発汗との関係は薄いと思います。(文責 首藤)

 

No.9658】  10年06月12日  Y.M.  
術後補助療法の選択について

お世話になります。表記の件で質問させていただきます。
5月19日、乳がん温存手術。術後病理結果は以下の通りでした。
浸潤がん、乳頭腺管がん、リンパ節転移なし(ほぼセンチネルのみ摘出検査。転移の可能性が低いと思われたので郭清はしていないとのこと)、ER:100%+、PgR:50%+、HER2:−、がん浸潤径3×2p (CT、エコーでは1.5p程度と思われ、摘出した時には1.8程度とのことでしたが、病理結果で意外に大きくでたとのこと)、脈管侵襲なし、核異型度2、断端マイナス、ステージUa。
年齢49才。乳がん診断時まで、三相性低容量ピルを10年以上服用していたため、月経は規則的。健康状態:良好、術前まで更年期障害の兆候なし。子宮筋腫数個ありですが、やや経血量が多い程度で他に症状がないため、精査の結果、年齢、大きさからみて経過観察でよいとの判断(1年前)。今後の治療についてですが、放射線+ホルモン治療でいこうと言われています。現状、手術時にできた腋窩皮下血腫が大きいため、放射線治療は今月下旬頃からの予定。閉経前ということで、ノルバデックス5年が選択され、放射線治療に入る前から飲み始めました(現状2日目のため副作用は未確認)。年齢的にリュープリンorゾラについては、なしでも良いかもしれないと言われましたが、それを行うことでリスクが下がるのなら希望すると伝えたところ、考慮しましょうとのことになりました。切除した腫瘍による現在のリスクと、注射を行った場合のリスクの下がり方(それほど大きなものではないと思いますが)と、副作用(特に骨系)などを考えあわせると、注射併用についてはいかが思われますでしょうか。なお、本人は、化学療法については、QOLを考え、リスクが多少下がるとしても希望しておりません。ご意見をうかがえれば幸いです。

術後療法のホルモン療法に関して、年齢的にLH-RHアゴニストを追加するか否かですが、月経が規則的で、更年期症状もないのであれば、LH-RHアゴニストの追加は行ったほうが良いでしょう。さらに、血液中のエストラジオール、LH、FSHを測定し、エストラジオールの値が高ければ、LH-RHアゴニストの追加投与は必要です。これらのホルモン値は、基準値の判断が難しいので、施設毎に判断することになります。(文責 鈴木)

 

No.9657】  10年06月12日  M.O.
今後の治療について

初めて相談させていただきます。四月に癌が見つかり、5月中旬に部分切除(円形部分切除)の手術をしました。30歳、既婚、子供はいません。
・T1 N0 M0:stageT
・センチネルリンパ節生検 n=0/3
・PT=15×15o
・ER(+) PgR(+) 強陽性
・HER2(-) score0
・核グレード 2
・ly 0、u 0
ということでした。いま現在、放射線治療中です。そこで質問なのですが

1) 放射線治療回数は25回ですが、年齢を考慮して局部にだけプラス5〜8回やってもいいと言われました。多めにやってもやらなくてもどちらでもいいそうなのですが、プラス5〜8回照射するメリットとデメリットは何でしょうか?
2) 放射線治療後はLH−RHアゴニストを2年間と、タモキシフェンを5年間使用する予定だそうです。今後の治療方法として、薬の種類や期間はこれでいいのでしょうか? また抗がん剤治療は必要ないのでしょうか? 出来れば治療後に子作りしたいと思っています。
3) 治療後となると、年齢的な意味でも子供が出来にくくなる気がするのですが、その時には不妊治療を受けても大丈夫なのでしょうか?

どうぞよろしくお願いします。

術後の治療方針に関してですが、腫瘍の大きさを始め、ホルモン感受性、HER2タンパク、核異型度など、再発リスクがとりわけ高いわけではありません。以前では、化学療法も選択されていたタイプの病理結果ですが、最近は、ホルモン療法の良さが見直され、一時よりホルモン療法が多用されているようです。ホルモン療法が良く効くタイプの場合、化学療法の効果が乏しいことも言われています。したがって、LH-RHアゴニストの2年投与、タモキシフェンの5年内服が一般的かと存じます。
放射線治療に関しては、1回に2Gyで25回、計50Gyを乳房全体に照射し、その後、追加で5回、計10Gyを腫瘍のあった部分に集中的に照射する方法をブースト照射といいます。ブースト照射を加えることにより、遠隔転移率、生存率に差は認めないものの、明らかに局所再発の頻度が減少しますので、追加でブースト照射は行った方が良いでしょう。ただし、現在までのブースト照射の有用性が示されているデータは海外のもので、日本の場合より小さな切除範囲で手術が行われた症例に対する研究結果です。したがって、日本の状況より、ブースト照射のメリットが大きいと考えられています。また、ブースト照射を加えることにより、肺に線維化が起こることもあり、注意が必要です。切除断端についての記載がありませんでしたのでわかりませんが、もし切除断端の近くに腫瘍が存在する・・、切除断端に腫瘍が一部露出している可能性がある・・などの場合は、特に追加の照射が必要です。
乳癌治療後の不妊治療に関しては、特に乳癌の再発率を高めるという報告はありませんが、少数例での検討であるため、明確にお答え出来ません。尚、タモキシフェンを内服中、および、内服終了後は少なくとも2-3ヶ月は妊娠を控えたほうが賢明です。また、再発する方の多くは、術後2-3年にみられますので、この時期の妊娠も避けた方が良いかもしれません。(文責 鈴木)

 

No.9656】  10年06月12日  N子
骨シンチ

術後10年目の検査結果で、3年ぶりにした骨シンチで左鎖骨の関節の部分が少し黒く写っていました。主治医にぶつけた覚えがあるか聞かれましたが、ありません。主治医によると、「老化でもなるし、大丈夫だという事を確認するために鎖骨の部分を重点的に3枚レントゲンを撮りましょう。」と言われ、撮りました。マンモ、腹部の超音波、胸のレントゲン、血液検査では問題なしでした。今まで腫瘍マーカーで参考値を超えた事は1度もありません。主治医は大丈夫とおしゃるのですが、心配でたまりません。急に鎖骨が痛むようになりました。61歳です。

検査は、受けなければ不安ですし、受ければ結果が不安ですし、自分が担当している方たちもドキドキして検査を受けていらっしゃいます。あなた様と同じように、検査でどこかが気になり、「何ともないと思いますが、念のため、経過を見ましょう」なんて言うと、ほとんどの方が、その部分に痛みがくるようです。恐らく、かなりの方が神経質になってしまうのだと・・・。そんなわけで、痛みはあまり心配されませんように。さて、ご心配の鎖骨の関節の黒く写る部分ですが、これはあまり心配しなくてもいいでしょう。関節の部分は、時に骨シンチで黒く写るものです。関節そのものに病気が飛んでくることは少ないものです。そうは言っても、乳癌の術後ですから、転移の可能性は全くゼロではありませんから、ひとまず、検査結果を待ってみましょう。(文責 鈴木)

 

No.9655】  10年06月11日  M
乳がんの手術について

初めてメールさせて頂きます。40代半ばの出産経験がある者です。3月にがん検診(触診・マンモ)を受け、気になるので再検査(エコー・針生検)が必要との事で受けました。結果、レベル?が3で、良いとも悪いとも判断がつかない上、エコーに気になる影があるという事で、胸を4,5p切開して生体を採る手術を受けました。結果、悪性の乳がんとの診断を受け、乳房全摘出が必要との事でした。がん細胞などの写真を見せもらい、乳房いっぱいに広がっている可能性が高いとの事で、場合によっては、リンパの方も切除する場合もあるとの事でした。2週間程で退院出来るとの事ですが、やはり温存は難しいのでしょうか。他の病院での診察も考えてみた方がいいのでしょうか。その場合、カルテなどの貸出みたいなものは、出来るものなのでしょうか。一応、2週間後に手術になりますと、日程も決まってしまっているのですが、変更などは出来るものでしょうか。初めての事なので、不安でいっぱいで、どうしていいのか、わかりません。アドバイスありましたら、お願いします。現在、母子家庭で、まだまだ手がかかるので、なるべくリスクの少ない方法で考えています。

温存の可否はメールでは分かりかねますが、セカンドオピニオンを受ける権利はすべての患者さんにあるわけで、納得のゆく説明を受けられた後に治療されてはいかがでしょうか。(文責 首藤)

 

No.9654】  10年06月11日  S
癌の大きさについて(HPNo.9478-3)

No.9478、No.9576でお世話になったものです。現在放射線治療中です。いつも丁寧なご回答、ありがとうございます。追加照射を始めるにあたって、放射線のお医者様にもう一度必要性などを伺うと、断端陰性だけれども、これもいろいろ考え方があるからとかで、詳しくは話されませんでしたが、追加照射をしたほうが良いとのことで、現在治療中です。外科手術をした主治医から腫瘍切除後の病理診断の結果を伝えていただいたとき、「がんの大きさ 8×8×5ミリ、グレード1、脈管浸潤なし、センチネルリンパ節陰性、ホルモン受容体陽性など」でしたが、主治医の先生が、「癌からとげのようなものがいくつか(たくさんとおっしゃったか忘れました)出ていて、長いものは2,1センチで、乳頭のほうに伸びていたが、ぎりぎりのところで大丈夫でした。」とおっしゃったのが、急に気になりだしました。このように腫瘍からとげのようなものがいくつか出ているという場合、腫瘍の大きさというのは、最初教えていただいた8×8×5ミリと考えてよいものでしょうか。それともとげの末端まで腫瘍の大きさと考えるべきなのでしょうか? このように、とげが出ているというのは普通のことなのでしょうか? よろしくお願いいたします。

推察するに、とげのようなものとは乳管内がんの伸展でしょう。また、がんの大きさとしては浸潤癌の部分の大きさだと思います。再発率などに関係するのは浸潤癌部分の大きさであり、これは、あなたの場合8mm大ということでよいのではないでしょうか。(文責 首藤)

 

No.9653】  10年06月11日  M.K. 
癌と診断されました

34才独身です。初めて投稿します。半年近く前から、右の乳首の外側2〜3cmくらいの場所に2cmくらいのしこりがありました。生理周期にあわせて大きくなったり小さくなったりするので、ガンとは思わず経過を見ていましたが、なくなる気配がなく、心配になり、乳腺専門のクリニックを受診しました。マンモは若いせいであまりはっきりとしたものが写らず、エコーでは境界がギザギザしていて、ガンの画像と似ている(1.1cm×1.9cm)。細胞診を行い、結果グレード4で、「ガンでした。今後の検査は大きい病院で・・・」と説明を受け、簡単な術式、術前抗がん剤などの説明をされました。頭が真っ白になりましたが、症状が乳腺症にとても似ていて、本当に癌なのかと毎日考えています。先生に、「細胞診で陽性で、針生検で癌ではないということはないですか?」と聞いたところ、「ないです。癌だとハッキリさせるための検査です。」と言われました。検診時、私もしっかり全ての症状を言えばよかったのですが、しこりが大きくなったり小さくなることは伝えましたが、「感覚的なものです」といわれ、それ以上言えなくなりました。生理周期にあわせて、しこりの大きさは変わり、しこりは動きます。痛みも生理にあわせて強くなり、生理が終わると痛みもなくなります。圧痛はしこりが大きい時はありますが、小さくなるとなくなります。セカンドオピニオンで針生検になると思いますが、予約がまだ先で、不安な毎日です。ちなみに細胞診を施行したときは生理2日前で、少ししこりは大きくなっていました。もし針生検をするなら、しこりが小さい時がいいですか? 今の時点で、ここまで説明(告知や術式など)されることは普通なのでしょうか? 助言をお願いいたします。

細胞診の結果は、クラス4ではないでしょうか。この段階はがん疑いの状況ですし、細胞診のみでは確定診断とはいえません。やはり針生検での診断が必要と思われます。(文責 首藤)

 

No.9652】  10年06月09日  S.S. 
ゾメタの副作用について

以前、母(74歳)の再発について相談させていただきました。その際は丁寧なご回答をくださりありがとうございました。今回も母についての相談なのですが、骨転移の治療を始めて5年近くになります。現在は抗ガン剤を使いながら毎日普通の生活をしております。3年ほど前からゾメタを始めたのですが(4週間に1回)、その最中なのに母が歯医者で抜歯をしてしまいました。主治医から歯医者に行く際はこれを渡すようにと言われたメモ(『現在ゾメタをやっています』と書かれた紙)を、初診の際に受け付けに渡したそうですが、歯医者さんからは、そのことについて特になにも言われず、抜歯となったそうです。すでに約3週間経っていますが特に異変はないと言っています。
質問です。ゾメタの副作用による顎の骨の壊死が非常に怖いのですが、3週間経っても異変がないということは大丈夫ということなのでしょうか。また、ほとんど入れ歯で、自分の歯はあと2本しかないそうですが、それもすでにグラグラしているということです。これらもいずれ抜くことになると思うのですが、大丈夫なのでしょうか。それともグラグラしている段階ですでに副作用を考えるべきなのでしょうか。もし壊死となってしまった場合、それに対する治療などはあるのでしょうか。私達子供とは同居していないため、歯医者に行くことくらいは子供に迷惑をかけないようにしたいと、今日まで内緒にしていたようです。分かっていれば一緒に歯医者にいって、きちんとゾメタのことを先生に説明したかったのにと、残念でなりません。乳癌の方の診察は今月末のため、主治医に聞くこともできず、心配でこちらにご相談しました。どうかよろしくお願いいたします。

3週間経過とのことですが、一度歯科医師の診察を受けた方がよいでしょう。抜歯してから1ヶ月以降に顎骨壊死の状況が顕著となる場合もあります。また、今後抜歯の場合は基本的にゾメタは休薬とし、その間に抜歯をした方がよいと思います。(文責 首藤)

 

No.9651】  10年06月09日  T・R 
全摘後のホルモン療法について

52歳主婦です。昨年1月に温存手術をしました。
病理の結果は「浸潤性乳頭腺管がん」腫瘍は1cm弱、センチネルリンパ節(0/4)、切除断端−、リンパ管・血管侵襲−、悪性度1、HER2−、ER・PgR+でした。手術後、放射線治療25回、その後ノルバデックスを服用しております。最近、卵巣膿腫が見つかり、筋腫もあるので、子宮卵巣全摘の手術を受けることになりました。月経は4月に5ヶ月ぶりにありました。完全に閉経していませんので、卵巣を取った後の更年期の症状や動脈硬化への不安があり大変迷いましたが、婦人科の先生に、乳がん再発の予防にもなると言われ、全摘の決心をしました。全摘した後のホルモン療法について教えていただけますでしょうか。
1) 卵巣からの女性ホルモンの分泌がなくなるので、薬は止める。
2) 閉経状態になるので、閉経後のホルモン剤に変更する。
3) 今までどおりノルバデックスを続ける。

副腎から出る男性ホルモンが女性ホルモンになり、脂肪から女性ホルモンが分泌されるそうですが、(大変痩せていますので脂肪からは殆どないと思いますが・・)薬は飲んだ方がよいのでしょうか? 閉経後のホルモン剤に変更する方が再発率は下がるようですが、骨粗しょう症が心配ですし、逆にノルバデックスは骨量を増やすと聞きました。私としては薬を止めたい気持ちがあるのですが、難しい選択で悩んでおります。乳腺外科の主治医も迷っていらっしゃるようです。どうぞ宜しくお願いいたします。

難しいところです。閉経後と判断してアロマターゼ阻害剤を開始するのが一般的選択と思われますが、ノルバデックスの継続、あるいは休薬も間違ってはいないでしょう。ホルモン療法を行った場合のメリット(再発率の低下)とデメリット(骨粗鬆症など)をふまえ、よく主治医と相談して納得の行く方針を打ち出すしかないと思います。(文責 首藤)
 

 

No.9650】  10年06月09日  I.K. 
穿刺検査の後の痛み

二ヶ月前に穿刺検査を受け、グレーだと言われ、二ヵ月後に再検査ということで、今回受けました。二ヶ月前も流血して痛かったのですが、今回は我慢できないほどの痛みで、また流血しました。一週間後に結果が出ます。しかし検査後、ずっと針を刺した内部が痛みます。もう五日経ちますが、痛いです。結果を聞きに行ったときに、その旨、伝えますが、何か良くないことが起こっているのでしょうか。ちなみに私は五年前に右乳房を温存手術しています。今回は左乳房です。五年前にはこのような痛みはありませんでした。よろしくお願いいたします。

穿刺や生検後の持続する痛みは、その部分での出血がある場合によくみられます。今回のグレーの部分の近隣に血管があり、ために穿刺によって出血しやすく、それが痛みの原因となっているのかもしれません。(文責 首藤)

 

No.9649】  10年06月09日  C.A.
母の乳癌肺転移が心配です(HPNo.8401-4)

No.8452にて質問させていただいた者です。 再び、現在62歳の母のことで質問させてください。 その後、乳癌の確定診断を経て、去年5月に右乳房の温存手術を受けました。2センチ程度の硬癌、センチネル陰性・リンパ節転移なし、グレード1、断端(-)、ly(-)、v(-)、HER2タンパク(-)、ER(++)、PgR(-)、10%以下のローリスクと言われました。
術後の放射線治療を経て、現在はホルモンを服用しております。先日、手術後1年の検診で行ったCTにて、肺の一部に1.5センチ位の丸い影が写ったようで、気になるからと、再度、肺のCT(縦隔ルーチン)をすることになったそうです。(私は同行しておらず、怖がって主治医に何も聞けなかった本人は、右の肺の下のほう、お腹?とも申していました。また本人が見せられた写真は、よくある、肋骨なども写り込んだレントゲン写真のようなものだったそうです。) センチネルも陰性で安心しておりましたし、手術後の病理検査の結果でガンの性質的にもこわいものではないとのことでしたので、1年後にまさかこのような結果がでるとは思っておらず、大変ショックを受けております。先生は、よくわからないから再検査するのだとおっしゃっていたそうですが、やはり肺転移の可能性が高いのでしょうか? 少しでも分かる事を知りたいと思っておりますので、お力をお借りできればと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。

ローリスクであったことからは、肺転移の可能性は低いとも思われますが画像判断のできない状況においては何ともいえません。CTなどによる経過観察が必要でしょう。(文責 首藤)

 

No.9648】  10年06月09日  Y.S.
オンコタイプDX中間リスクの化学療法について

乳がんのオンコタイプDX中間リスクの化学療法についてお伺いします。50歳女性です。2月末に部分切除をし、病理検査の結果、浸潤硬癌1.8cm、ステージ1、各異型度3、脈管侵襲軽度あり、リンパ節転移なしでした。術後、オンコタイプの結果がでるまでの期間、何も治療をしないよりもホルモン治療を始めましょうということで、4月末よりノルバデックスを服用、ゾラデックスを接種しました。オンコタイプの結果は、中間リスク再発スコア25、ERスコア8.8、PRスコア7.6、Her2陰性8.0でした。主治医より、今後、ホルモン治療を中断して、抗がん剤に切り替えることをすすめられておりますが、迷っています。私のスコアと年齢からホルモン療法のみでよいのか、初期治療として抗がん剤の投与を追加したほうがいいか、お伺いいたします。

中間リスクに対しては、海外で化学療法を行う群と行わない群との比較試験が実施されていますが、結果が出るのは先のことです。臨床試験の結果のない現時点では、米国では中間リスクに対してはとりあえず化学療法を行う傾向が強いようです。(文責 首藤)

 

No.9647】  10年06月08日  M
2ミリのしこりについて

私は昨年11と12月に非浸潤癌0期 コメドータイブで、断端陽性のために温存手術を二度しました。 術後五ヶ月で術側乳頭から分泌物が出たためエコー検査をしたところ、それに関しては大丈夫だったのですが、別の場所に2ミリのしこりがあるとのことでした。 放射線治療も終わり、現在ノルバデックス服用中ですが、術後五ヶ月で再発なのでしょうか? 術前のマンモグラフィーでは乳腺症がある場所でしたので、乳腺症ではないかとの主治医の見解ですが、乳腺症でもしこりになるのでしょうか? 三ヶ月後エコー検査しますが、悪性か良性かは細胞を採らないとわからないのでしょうか? 術前マンモグラフィーの乳腺症の見解が、しこりと間違いだったということはないでしょうか?

術後間もないところで2mmのしこり・・・、不安な気持ち察します。ただ、2mmの部分が本当に腫瘤(しこり)なのか、まだらな乳腺の一部なのかがはっきりしません。特に乳腺症の場合、マンモグラフィ、エコーではまだらな乳腺(固い部分、軟らかい部分が混ざり合う、白黒と混ざり合う)として写りますので、2mmのしこりは、慌てず3ヶ月後のエコーで判断すれば良いでしょう。乳腺症は、最終的に画像で診断するものではなく、病理学的に診断します。画像上、乳腺症に特徴的な写真だから、乳腺症だろう・・・ということです。乳腺症は、乳房の一部分に起こるものではなく、乳腺全体に起きる話です。そんな訳で、術前のマンモグラフィで、乳腺症と診断したところというのは、まだらな乳腺として写り、その所見が強かった部分ではないかと思われます。また、乳腺症でもしこりになるのか?ということですが、固い部分、軟らかい部分が混在しますので、しこりのようにごつごつ触れるのが乳腺症の特徴ですが、乳腺症が癌化することはありません。 2mm・・・に振り回されちゃいそうですが、落ち着いて。あまり心配な状況ではないと思いますよ。また何かあれば、お尋ね下さい。(文責 鈴木)

 

No.9646】  10年06月08日  T.K.
セカンドオピニオン

市の乳がん検診で要精検となり、市内の病院で、マンモグラフィー、エコー、細胞診、MRI、エコー下での針生検、CT、骨シンチの検査をうけました。マンモでは2・3個の石灰化、1cmほどのしこりがみつかり、いろいろ検査したのですが、細胞診では白、針生検では硬化性乳腺線維腫? 聞き間違いかもしれないのですが、もう一度、針生検をして、結果待ちの状態です。先生は、早い段階で乳がんと・・・。また同じ結果が出た時、このしこりがなんなのか、はっきりさせる方法は他に無いものでしょうか? 線維腫の場合、摘出しなくていいのか? がん化しないか、気になります。 セカンドオピニオンをしたほうがいいのか、その場合、どのように先生に切り出したらいいのか教えていただきたいと思います。 よろしくお願いします。

最初に乳癌を疑われて、CT、骨シンチまで行ったのに、硬化性乳腺線維腫(←恐らく、硬化性腺症ではないかと、もしくは線維腺腫か)という診断で、今一度、針生検をしている・・・、そんな状況と察しました。針生検をして、十分の組織量が採取されており、乳癌の診断が出ないのであれば、その診断結果を信頼して良いと思います。あくまで、画像診断は補助的ですので、最終的には組織学的に判断することになります。さらに突っ込んで診断をするのであれば、腫瘤を摘出して判断することになると思います。 硬化性腺症も線維腺腫も癌化しませんので、摘出の必要はありません。
セカンドオピニオンに関しては2回目の結果で考えれば良いのだと思います。結果が不確実であったり、説明に不安が伴うようであれば、躊躇せず、セカンドオピニオンの希望を申し出て下さい。画像、組織診と難しいケースなのかもしれません。その際、2回行った組織診のプレパラートを拝借するのが良いでしょう。不安が大きい時は、なかなか言い出しにくいかもしれませんが、大切な部分ですから、家族に強力してもらうのも良いでしょう。(文責 鈴木)

 

No.9645-1】  10年06月08日  T 
今後の治療の選択について

3月に右皮下乳腺全摘、38歳、病理結果で、ホルモン陽性、HER2陰性、浸潤部最大1cm以下、グレード2、センチネル生検にて1/8で、検討の上、現在、TC療法4クール予定で1クールを終えたところです。TC療法の1週間前に卵巣機能保護目的でリュープリンの3ヶ月製剤を注射しました。 さて、化学療法終了後にホルモン療法を行うにあたり、タモキシフェン5年は確実だと思うのですが、リュープリンを続けることはいかがでしょうか?自分としては効果が少しでもあるのなら続けたいと思うのですが、主治医の先生に何気なく聞いたところ、「化学療法後はタモキシフェンだけで十分ではないか?」ということでした。化学療法で止まるからだと思うのですが、確実に止めておくには続けた方がいいのでは?という考えは、あまり意味のないことなのでしょうか?  また、ホルモン療法を開始する前に、CYP2D6検査をする意味はあるでしょうか?  以上、お忙しい所恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

閉経前の患者さまに、化学療法を行った際、その後のホルモン療法に関しては、いくつかの問題があります。ひとつは、LH-RHアゴニスト製剤(リュープリン、ゾラデックス)の至適投与期間に関しては、明確な答えがなく、長期投与における、骨粗鬆症、心血管系の問題、費用と効果のバランスなど、明らかにされていない点が多く残されていること。また、現在は閉経前ですが、38歳で、TC療法を行った場合、そのまま閉経となる可能性もあり、その際に行うホルモン療法は、閉経前の治療をするのか(LH-RHアゴニスト製剤+タモキシフェン)、閉経後の治療をするのか(アロマターゼ阻害剤)もはっきりしたデータが無いのが現状です。 さらに、化学療法前に行う、卵巣機能保護目的でのLH-RHアゴニスト製剤の有用性も明かではありません。
前二者について解説を加えます。一つめの点では、現状は2年ないし3年投与が一般的で、その後、月経の再来があれば、血中エストラジオール値を測定し、閉経前と判断されれば、再度、LH-RHアゴニスト製剤を追加するというのが一般的ではないかと思われます(ただし、ここでの至適投与期間も明かではありません。仮に2年投与したとして、また月経が再来→また投与再開、などと繰り返せば、38歳前後からずっと閉経状態になり、骨粗鬆症、心血管系の問題が心配となる恐れがあります)。二つめの点は、主治医の間でも違いが出る部分かもしれません。一般的に化学療法終了後の血中の女性ホルモン値で、閉経前か閉経後かを判断し、どちらの治療を行うのか判断することになると思います。化学療法後にタモキシフェンに加えて、LH-RHアゴニスト製剤を追加するか否かは、現在、海外で大規模な試験が行われていますので、その結果を待つことになります。
タモキシフェンはCYP2D6という酵素により、活性代謝物質に変換されるわけですが、この酵素の遺伝子異常があると(遺伝子多型を持っていると)、タモキシフェンが効きにくいとの報告があり、気にされているのだと思いますが、いずれも、試験結果をあとから解析したデータで、またこの遺伝子多型は人種差もあるといわれており、現状ではCYP2D6の遺伝子多型で、タモキシフェンの効果予測をすることは推奨されません。(文責 鈴木)
 

No.9645-2】  10年06月17日  T 
今後の治療の選択について(2)

No.9645で回答いただいた者です。もう少し質問をさせていただきたいと思いメールさせていただきました。化学療法後に生理が再開時にリュープリンを打ち始めたときと、そのまま継続してリュープリンを打つ場合とで、どの程度リスクが違うと考えられるでしょうか? また、化学療法後に生理が止まった状態でリュープリンを打ち続けた場合と、打たないで生理が止まった状態とで、生理が止まった状態という点では同じなので更年期症状等は想定できるのですが、リュープリンを念のため打ち続けた場合のリュープリン自身の副作用というものは、何か考えられるでしょうか? たびたびで恐れ入りますが、よろしくお願いします。

化学療法によって閉経となる可能性もあり、その場合リュープリンは不要となりますから、生理再開時にリュープリンを開始するという考えではいかがでしょうか。リュープリン自身の副作用というよりも、女性ホルモンが低下した状況としての更年期障害などが問題となるでしょう。(文責 首藤)

 

No.9644】  10年06月08日  M.I.
癌患者からの感染率について

48歳の主婦です。6年ほど前から、健康診断で乳腺症と診断され、針生検もしたのですが、1cm程度の良性の核が両胸にあります。そのほかにも小さな乳腺症が複数あり、乳がんにならないかと、とても心配しています。実は、先日私の父が食道癌になり、内視鏡で手術をしたのですが、SM3というステージということで、転移はしているとのことでした。まだ他の臓器への転移は見つかっていませんが、よく癌の人の介護をすると介護者が癌になるという話を聞きます。それについての質問ですが、やはり乳腺症があったりすると、すぐに癌に侵されやすいのでしょうか? 親子間だと癌が移りやすいと聞いたことがあるのですが、父の介護をこれからも続けなくてはならず、父と一緒に癌になってしまうのではないかと不安でなりません。もし、癌を発病しない為の予防方法などがあったら教えてください。宜しくお願いします。

子宮頚癌などは、その原因としてウイルス感染も言われていますが、食道癌、乳癌を初めとして、他の癌はウイルス感染、細菌感染により発症するものではありませんので、人から人へ移るものではありません。癌患者さんの血液を注射しても、癌細胞を皮膚につけても、免疫力が正常の人には、感染しません。介護者に・・・という話は、根拠が無いかと思いますのでご安心下さい。 また、乳腺症そのものは、病気ではありませんし、前癌病変でもありません。従って、乳腺症を放置しても癌化しません。もちろん、お父様から癌が移ることもありませんので、ご心配なく、介護を続けられて下さい。
発病しないための予防・・・あれば、苦労しないのですが(笑)。最近では、子宮頚癌のワクチンが言われていますが、他には特に明確なものはありません。いろいろな癌で、リスク因子が言われていると思います。肺癌、食道癌における喫煙、乳癌と女性ホルモンとの関係などです。それらのリスク因子を持たないようにすることが良いかと思います。乳癌であれば、未出産、未授乳、高齢初産、早い初潮、遅い閉経、閉経後の肥満、経口避妊薬(長期使用)、喫煙、飲酒などです。それよりは、食事も運動も、何事もバランス良く、くよくよせずに前向きに・・・が一番のような気もします。(文責 鈴木)

 

No.9643】  10年06月08日  にゃんこ
術後の腫れと痛みについて(HPNo.9592-3)

ご回答、どうもありがとうございました。手術を済ませ、退院して3日目です。 センチネルリンパ生検も異常なしでした。今は、とった細胞の調査中です。ゴルフボールぐらいの白い丸いものだったようです。腋と上腕が痛いです。腫れてはないですが、どんな注意が必要でしょうか? 宜しくお願い申し上げます。

まだ、術後3日目であれば、痛いのも無理はないですね。痛くなると心配になりますが、傷の周囲が赤く腫れている、熱を持っている、などの症状が無ければ、日柄なものですので、無理の無い範囲でリハビリを続けましょう。お風呂に入って、温まったりすれば、筋肉もほぐれ、リハビリも進むと思います。痛さのあまり、リハビリが進まないと、肩の関節が硬くなりますので、頑張って下さい。(文責 鈴木)

 

No.9642】  10年06月05日  AAA
ホルモン療法は妥当なものでしょうか?(HPNo.9638-2)

ご意見ありがとうございました。本日、主治医とも改めて相談を行い、「化学療法は行わない。ホルモン療法と放射線療法を行う。」ということで決めてきました。本日さっそくリュープリン皮下注射(1回/月) 経口剤のノルバデックス 20mgの服用を開始しました。長い付き合いになりそうですがとにかくは治療方針も決まり、治療に専念していきます。放射線療法は手術の傷口が完全に治ったのを確認してから・・・ということで、もうしばらくしてからのようです(と言ってもおそらく6月中旬にはスタートになりそうです)。5月21日に悪性腫瘍確定、24日温存手術、6月2日1回目のホルモン療法開始と、スピーディに進んでおり、またそれが良いのかどうか不安になってきますが、頑張って治療していきます。ところで上記、ホルモン療法は妥当なものだと思っているのですが間違いありませんか? 宜しくお願いします。

9638にてご相談させていただいたものです。内容に下記間違いがありました。病理検査でp53が陰性(No Reactive)となっています。先のご相談でReactive(陽性と誤記してしまいました)。先ほどある報告を見たのですがStage1でp53が陰性でVEGFが陰性だと再発・転移の発症例がないとの研究報告を見ました。残念ながら私の病理報告にはVEGFの記載が無いのですが、仮にp53が陰性でもVEGFが陽性の場合は再発率というのはあがってしまうのでしょうか? またERが陽性ならp53が陰性であれば再発率が低いというように読める報告もあります。これらが信頼できる報告なら、術後の病理検査でp53、VEGFの確認というのは、術後の治療方針を決める上で大きなファクターになってくると思うのですが、いかがでしょうか? 宜しくお願いします。

リュープリン+ノルバデックスは標準的な治療法と考えます。
p-53、VEGFについては、日本では標準的に行われていない検査なので、その意味付けは難しく、それぞれが発現していることは悪性度が高いことに結びつくであろうことは想像できますが 、現時点で正確な回答はできません。申し訳ありません。(文責 清水)

 

No.9641】  10年06月04日  A 
乳癌検診の結果に不安

乳癌検診マンモグラフィで精密検査と通知がきました。
病院に行き超音波で検査したところ、怪しい影があり、『乳癌の可能性』を指摘されました。大きさは5oと小さなものでした。次にMRIで検査、結果は『悪性の可能性が高い』と言われました。悪性は良性のものより造影剤を吸収する速度が早いとグラフも見せられました。いくつかの石灰化の中で、1つだけ、造影剤を入れた後急速にグラフが上へ伸びていました。『これは悪性って事です』『確定するために外科手術でしこりを取り除き、細胞検査に出しましょう』。後日、外科手術となり、8針も縫う検査になりました。先生に『良性の可能性もあるんですよね?』と聞くと、『医者の立場から言わせてもらうと、9割以上悪性です。覚悟した方がよいです。MRIで結果は出てますからね。』と、乳癌手術の流れから後遺症の事まで説明されました。
10日後に結果…『乳腺症です。良性でした。』。私はア然!喜ぶべきなんでしょうが、ここまで約2ヶ月『乳癌の可能性』ばかりを指摘され続けていましたので、複雑な思いでいっぱいでした。その後の指示が、2ヶ月後にまた精密検査と言われました。乳腺症って診断されたのに何故また検査?と思いましたが、そのまま帰宅しました。
今までの検査から最終診断に至るまでの事を考え疑問が…。生検までの先生の発言と生検結果の相違、過剰診断されたのでしょうか? 生検結果は間違いないのなら、もしかしたら外科手術の際小さなしこりだった為、他のしこりの取り間違い?そんな事はあるのでしょうか? 手術の際にエコーも使わず、たぶんここだろう的に切開をしたと記憶します。先生も不安に思い2ヶ月後に精密検査をするのではないか? 私の考え過ぎでしょうか? 生検の際にしこりを取り除いているし、乳腺症と診断されたのに精密検査では何を見るのでしょうか? ちなみに検査はマンモと超音波、MRIをするそうです。近々セカンドオピニオンを予定してますが、『良性』と診断されたのに他病院に行くのは変でしょうか?

医者の言葉って大切だな・・・と改めて考えさせられる質問にびっくりしています。画像診断は補助的に用いて、確定診断は病理学的に行うものです。その病理学的診断も、「5mmで乳がんの可能性」だったとしても、すぐ切除ではなく、細胞診、組織診といった針で刺して調べる検査が先行されるべきで、それでも判定がつきにくい・・などの時に局所の切除を行うものです。今回の場合、切除が行われ、さらに「良性」だったとのこと。であれば、半年後、一年後に検診・・というのが一般的だと思います。2ヶ月後というのは、ご本人が心配していらっしゃるように、しっかりと病変が切除できているのか?という疑問がわきます。5mmは触診ではわからないでしょうし、術前にエコーでマーキングなどを行っていなければ、しっかりと切除できていない可能性もあると思います。だからこそ、2ヶ月・・なのかと。否定ばかりでもしょうがないので、もしかしたら、2ヶ月後に再検査というのは、親心かもしれない・・とも思われます。「乳腺症であったが、MRIで血流の豊富な、乳がんによく見られる所見があったので、十分注意して経過を見ましょう。」という考えもあるかと思います。ただし、今までのそちらの先生の対応から、個人的には、病理標本を持って、セカンドオピニオンを勧めます。そこで、病理を確認してもらい、エコー、MMG、場合によりMRIを行い、疑い病変が残存していないかをチェックしたほうがいいのではないでしょうか? 私たち乳腺外科医は、乳房に対して、女性に対しての思いが人一倍強いと思いますので、負担の少ない検査で、早期に病気を発見し、乳房に傷がつかないように・・と、常に考えています。大きく切られて、結果は良性、確かに喜ぶべきなのかもしれませんが、いままでのそちらの先生の対応には、納得し得ないものを感じます。良性でセカンドオピニオンも悪くはありません。取り残し、見過ごしのないように、納得できる検査をお受け下さい。何かあれば、またお手伝い申し上げます。(文責 鈴木)

 

No.9640】  10年06月04日  T 
術前化学療法か手術か(HPNo.9608-2)

お世話になります。以前HPNo.9608の手術までの待機時間でご相談した者です。母の乳がんですが、その後の諸検査で、状況がかわりました。胸骨の下のリンパにも転移があるとのことで、主治医の話では、「この部位は昔の手術では取っていたが、現在では、ここにあるのでは他の部位にも転移しているとみなして取らない。」とのことでした。そのために、まずは術前の化学療法を先にするという方針のようです。癌については、分かる範囲では、左乳房に2〜3cmの癌グレード3、ステージVc(Wに近い)、左腋下リンパにも転移があり、PETの結果、肋骨に集積があるとのことで、明日胸部の造影MRを予定しています。そこで、お聞きしたいのは、確かに、現在ではこのような場合には化学療法が先行するようですが、化学療法で手術ができる程度まで改善するのか不安で、このような場合には手術はあまり意味がなく、現在の治療方針でいったほうが良いのかどうかが知りたくてご相談しました。どうかよろしくお願いします。

MRIの結果によると思いますが、もし、胸骨の裏のリンパ節、肋骨への転移が確実である場合、手術は行わないというのが一般的です。遠隔転移ですので、局所の乳房を切除しても、完治が期待できないからです。ただ、化学療法が非常に良く効いて、乳房のしこり、骨、リンパ節ともに小さくなったとき(特に、骨、リンパ節の病変が消失し、乳房のしこりのみ、残存するとき)は、手術を行うこともあります(この場合の手術は賛否両論です。理由は以下に。) お母様の病変のホルモン感受性が不明ですので、明確には答えられませんが、化学療法が効果的であったが、副作用も少しきつい・・などの場合、ホルモン療法でメインテナンスという治療法に移行します。化学療法後に手術の有無にかかわらずホルモン療法は行うことになるわけで、乳房のしこりは、ホルモン療法の効果判定の為に残しておいた方が良いということになります。であれば、手術は行わずに、ホルモン療法を行ったが効果が乏しい・・、腫瘤が大きくなってきた時などに、局所コントロールの目的で手術という選択肢もあり、何も今、切除しなくてもいいであろう、ということです。ホルモン感受性が陰性の場合は、化学療法の効果と副作用を考えながら、化学療法を継続することになります。要約すると、遠隔転移を伴う病変であれば、局所の手術ではなく、全身の治療が大切ですので、手術は二の次ということになります。(文責 鈴木)

 

No.9639】  10年06月04日  M,K
乳癌転移について(HPNo.7786-3)

先日、術後2年半の定期検診で、マンモグラフィー、超音波、CT、骨密度の検査をいたしました。 結果は、転移などの疑いもみられずホットしていたのですが、血液検査(CA15-3 44,9)で腫瘍マーカーが気になると言われ、骨シンチグラフィーの検査を受けることになりました。腫瘍マーカーが高いと、転移、再発の疑いがあるというのですが、高くなる原因は他にも考えられますか? 例えば食べものとかは関係しますか? ちなみに、半年前からリンパ浮腫の治療をしております。気になるのは、脇の下、背中、骨盤にかけて、持続性は有りませんが鋭い痛みが有ります。骨に転移した場合は痛みなどがあるのでしょうか? 現在はノルバデックス錠20rのみを服用中です。アドバイス、宜しくお願いいたします。

乳がんにおける腫瘍マーカーは、CEA、CA15-3、NCC-ST-439などを測定することが多いのですが、乳癌学会のアンケート調査では、特に前二者を測定する施設が多いようです。ご質問のCA15-3は、乳がんにおいて特異度(乳がんの病状の変化に関連して上昇し、他の腫瘍では上がりにくい)が最も高いと言われています。CEAは喫煙により上昇することが知られていますが、CA15-3は、食事、他の疾患などの影響は受けにくいようです。リンパ浮腫の治療も関係ありません。ただ、病気も無いのに腫瘍マーカーが上昇することも、時に経験します(そのうち、何もしないで下がったりします)。まずは、骨シンチの結果だと思いますが、肝臓、肺などと違い、骨の転移は、病変の存在診断が難しく、何cmの大きさとか、測定も難しいので慎重に判断することが必要です。骨に転移した場合は、現在感じていらっしゃる痛みとの関連は不明ですが、痛みを伴うことが多いと思います。逆に体重の負荷がかからない部位では痛みの伴わないこともあります。仮に、骨転移と診断されたとしても、様々な治療法がありますので、何かわからないことがあれば、いつでもお尋ね下さい。(文責 鈴木)

 

No.9638-1】  10年06月02日  AAA
今後の治療方針について

初めてメールさせていただきます。術後の治療方針を決めないといけないのですが、海外(シンガポール)に在中で、言葉の問題、治療方針の違いなど(あるのかどうか判っていませんが)の不安もあり、お問合せさせていただきます。48才、既婚、子供1人です。今年5月に乳房温存手術を行いました。 術後の病理検査で、 The wide excision extended left breast lumpectomy specimen with sutured radial resection margins noted. measured 5.3x3.3x2.5cm and overlying small strip of breast skin 2.0x0.2cm On sectioning, there was small gritty tumor mass 1.2x1.1x1.0cm. The nearest resection margin was towards the anterior skin border, with a clearance of 0.5cm. Well differentiated invasive duct carcinoma of the Brest(modified Bloom and Richardson score-3 out of 9 points) Resection margins Clear All 4 sentinel axillary lymph nodes Clear TNM classification (2009) pT1cN0MX (Stage 1A) 70% of Breast Cancer cells show nuclear staining for oestrogen receptor 50% of Breast Cancer cells show moderate nuclear staining for progesterone receptor C-erb-B2 No reactivity P53 reactivity という報告書をもらっています。 もちろん日本語での記述はなく、細かいところが専門医学用語のためわかりにくく、申し訳ございませんが
1) 具体的な癌の詳細
2) 今後の治療方針(放射線治療だけで良いのか?化学療法も必要か?)など、アドバイスいただければ助かります。宜しくお願いします。

1) 翻訳すると、
切除した乳腺の大きさ: 5.3x3.3x2.5cm(2.0x0.2cmの皮膚がついている)
組織型:浸潤性乳管癌(海外では日本のような乳頭腺管がん、充実腺管癌、硬がんという亜分類はしません) 
腫瘤型: 1.2x1.1x1.0cm 
組織学的悪性度(グレード):1 
マージン(切除断端までの距離):最も近いところで 0.5cm 
腋窩リンパ節(センチネルリンパ節):0/4(転移なし)
病期:T1cN0M0で第1期
ER(エストロゲンレセプター):陽性(70%)
PR(プロゲステロンレセプター):陽性(50%)
Her2(ハーツー):陰性
p53(日本ではあまり行われない検査):陽性

2) Adjuvant Onlineであなたの再発死亡率を計算すると、手術のみで全身治療を行わない場合の10年後の他病死:11%、乳がん再発による死亡率3%、生存率:86%です。ホルモン療法の効果は1%で、再発死亡率3%を2%に(生存率を86->87%に)することができますが化学療法の効果は1%以下です。乳房内再発を抑えるためには放射線治療は行った方がよいと思いますが、全身治療はなしでも大丈夫そうです。どうしても心配ならば、1%の生存率の向上を目指しホルモン療法を加えても良いかもしれません。(文責 清水)

 

No.9638-2】  10年06月05日  AAA
ホルモン療法は妥当なものでしょうか?

ご意見ありがとうございました。本日、主治医とも改めて相談を行い、「化学療法は行わない。ホルモン療法と放射線療法を行う。」ということで決めてきました。本日さっそくリュープリン皮下注射(1回/月) 経口剤のノルバデックス 20mgの服用を開始しました。長い付き合いになりそうですがとにかくは治療方針も決まり、治療に専念していきます。放射線療法は手術の傷口が完全に治ったのを確認してから・・・ということで、もうしばらくしてからのようです(と言ってもおそらく6月中旬にはスタートになりそうです)。5月21日に悪性腫瘍確定、24日温存手術、6月2日1回目のホルモン療法開始と、スピーディに進んでおり、またそれが良いのかどうか不安になってきますが、頑張って治療していきます。ところで上記、ホルモン療法は妥当なものだと思っているのですが間違いありませんか? 宜しくお願いします。

9638にてご相談させていただいたものです。内容に下記間違いがありました。病理検査でp53が陰性(No Reactive)となっています。先のご相談でReactive(陽性と誤記してしまいました)。先ほどある報告を見たのですがStage1でp53が陰性でVEGFが陰性だと再発・転移の発症例がないとの研究報告を見ました。残念ながら私の病理報告にはVEGFの記載が無いのですが、仮にp53が陰性でもVEGFが陽性の場合は再発率というのはあがってしまうのでしょうか? またERが陽性ならp53が陰性であれば再発率が低いというように読める報告もあります。これらが信頼できる報告なら、術後の病理検査でp53、VEGFの確認というのは、術後の治療方針を決める上で大きなファクターになってくると思うのですが、いかがでしょうか? 宜しくお願いします。

リュープリン+ノルバデックスは標準的な治療法と考えます。
p-53、VEGFについては、日本では標準的に行われていない検査なので、その意味付けは難しく、それぞれが発現していることは悪性度が高いことに結びつくであろうことは想像できますが 、現時点で正確な回答はできません。申し訳ありません。(文責 清水)

 

No.9637】  10年06月02日  T 
検査の必要性(HPNo.9490-2)

先日ステレオガイド下マンモトームの結果がでて、悪性ではないとのことでした。でも、石灰化が増える場合があるという説明で、6ヵ月後のマンモグラフィーの予約をとるように言われました。その結果、またマンモトーム検査になることもあると言われました。何度も検査受けることに不安を感じています。市民検診、精研のため、マンモのためと、何度もレントゲンをとっています。また、6ヵ月後に撮らなければいけないのでしょうか? もう少し間隔をあけて、1年後ぐらいではいけないのでしょうか? 被爆量のことや、そのたびに精神的に不安になってしまいます。お忙しいところ申し訳ありません、後になっていろいろ不安になってきます。よろしくお願いします。

まずは、マンモトーム生検の結果が悪性でなく良かったと考えてください。マンモトーム生検後、マンモグラフィでfollowしようというのは念のための検査と考えていると思います。マンモグラフィーの被爆は必要な検査で受けているので心配しなくてもよいと思います。(文責  清水)

 

No.9636】  10年06月01日  A.U. 
しこりの硬さ

初めて相談させていただきます。以前から右の乳頭の上にしこりがあり、気になっていたので、乳がん検診を受けたところ、マンモグラフィでは異常なし、超音波で左右ともに乳頭の上にしこりが発見されました。エラストグラフィで調べていただいたところ、硬さが左1.3、右1.2と言われました。その後細胞診をしていただいたのですが、細胞が取れなかったとのことで、良性・悪性の判断ができませんでした。先生は「脂肪と同じぐらいの硬さの癌はほとんどないし、画像上もおそらく乳腺症だと思うので、3ヵ月後にまた超音波をしましょう。」とおっしゃられたのですが、細胞診ができなかったことが気になっています。エラストグラフィでしこりが軟らかいと判定されれば、良性の可能性が高いのでしょうか? もし癌だった場合、3ヶ月の間にどんどん進行してしまったら・・と思うと不安です。よろしくお願いします。

エラストグラフィーの診断精度について詳細は知りませんが、硬さを見ているだけですから、硬いか柔らかいかしかわからないと思います。細胞診で、悪性であれば細胞がとれますから、細胞がとれなかったということは、まず良性と考えて良いと思います。がんであったとしても、3ヶ月でどんどん大きくなるということはめったにありません。主治医の先生の指示に従うのが良いと思います。(文責 清水)

 

No.9635】  10年06月01日  Y
がん検診の結果

初めてご相談します。5年程前から、両側乳房にのう胞があると診断され、年に2回検診を受けています。今年の2月22日に病院で受けた超音波検査では、両側にのう胞が有るが心配は無い、との結果でした。いつもは半年あけての市の乳がん検診を受けているのですが、今年はその時期が早くなったため、5月6日に超音波の検査を受けました。 今回の結果は、「左 時間軸 1、部位M, D 4.8 W 6.3 DW 0.76 INF カテゴリー3、  右  多発性のう胞  カテゴリー2」と出て要精密検査と連絡が来ました。考えられることは何でしょうか?  大学病院へは、検診にひっかかってからくるようにといわれ、経過を見ていました。前回は2年前に行き、のう胞との診断です。精密検査までの間の心の準備としてお伺いできれば、と思いご相談します。よろしくお願いします。 49才既婚、2回の出産です。

超音波検査の所見が謎めいていて私にはよくわかりません。申し訳ありません。まずは精密検査を受けてください。(文責 清水)

 

No.9634】  10年06月01日  W 
術後 5 年後のホルモン療法について

38歳で左乳房温存術。硬癌ステージ1(1,8センチ・5ミリ)、リンパ節転移なし、ホルモン(中等〜高度)、脈管浸潤軽度、Her2(+1)で、放射線後、ホルモン治療タスミオン、リュープリンとも5年間続けています。先日 CTやシンチなどの検査を受けて、無事転移もなく経過して一安心しています。現在43歳で、これからの治療を継続するかどうか悩んでいます。治療するとしたら、どのような治療を選択したらよいでしょうか? 特に副作用もなく経過してます。主治医が一般外科の先生ですので、乳腺専門の先生のご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。

標準的には治療終了だと思います。タスオミンを5年以上続けると、若干5年以降の再発が減少するようですが、子宮体がんのリスクは高まりますし、それ以外の副作用については検証中です。リュ−プリンを5年以上続けたという臨床試験はありませんから、その功罪はわかりません。どうしても何か治療をしたいというのであれば、子宮体がんに気をつけながらタスオミンを続けることでしょうが、貴女のがんの状況からは、副作用を考えるとあまりお勧めできません。(文責 清水)

 

No.9633】  10年06月01日  M.M. .  
術後のホルモン治療について

3月上旬に温存手術をし、放射線治療を経てホルモン治療を始めます。46歳 閉経前です。病理の結果は、「乳頭腺管がん、浸潤径0.6×0.6cm(非浸潤部分も含めると2.5×0.7×0.6cm)、断端陰性、脈管侵襲なし、リンパ節転移なし(センチネル0/2)、ホルモン受容体ER+、PgR+、HER2:1+、グレード1、ステージ1b、ルミナールA」です。 
他に、今回の腫瘍の近くに以前よりあった腺維腺腫と思われていたものを一緒に切除したところ、葉状腫瘍(1.5cm)でした。以上の結果、主治医からはノルバデックスを5年と考えるがリュープリンを追加する事もかまわないと言われ、リュープリンを追加するかしないか迷っています。
1) リュープリンを併用する事による再発率を下げる効果は、どのくらいあるのでしょうか?
2) リュープリンを併用する事によって、子宮体がんや内膜症のリスクはどう変わりますか?
3) 閉経前ですが、基礎体温の2相も乱れが出てきており、1〜2年のうちに閉経する事も充分考えられると思っています。その時リュープリンを使っていた場合のデメリット、あるいはその場合は使用が無意味であるなど、ありますでしょうか?
4) 私のケースの場合ノルバデックスのみとリュープリンとの併用とどちらがすすめられますでしょうか?

お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

1) ノルバデックス単独とノルバデックス+リュープリンの比較のデータでは、再発率は若干後者の方が低いが有意差はないという結果です。
2) リュープリンの併用で子宮体がんのリスクは変わりません。子宮内膜症が現在あるなら、リュープリンを使った方が内膜症の治療としては良いですが、リュープリンを使うことで内膜症のリスクが高くなるということはありません。
3) 特にデメリットはありません。閉経すれば使う意味はありません。
4) 私であれば、治療効果はあまり大きくないわりに、骨粗鬆症のリスクが高くなるので、ノルバデックス単独をお勧めします。(文責 清水)

 

No.9632】  10年06月01日  Y    
硬化性腺症と硬がん

初めての投稿です。乳がんの疑い大ということで針生検をし、結果がでる予定がまにあわず、がんはほぼまちがいないという結果のみで入院の手続きだけをさきにすすめています。じつは、しこりがたいへん硬く、針がなかなか入らず、その針をひけないぐらいでした。細胞診では乳腺症といわれましたが、念のため組織診となったという経過をたどっています。不安なので、色々私なりに調べたところ、コアの検査もガンとまぎらわしく、注意しないといけない病けんとして細胞の写真があり、こちらのサイトも知り、お聞きしたくなりました。やはり組織診にだしても硬化性腺症と硬がんは判定が難しいのでしょうか?  

硬化性腺症の診断が難しいのは、マンモグラフィーで硬癌との区別が難しいことが問題で、組織診をすれば硬化性腺症と硬がんの鑑別はそれほど難しくはありません。(文責 清水)

 

No.9631】  10年06月01日  T   
胸の痛みと違和感

31歳未婚です。10年程前に、左胸に乳線症の診断を受けました。それから数年後に、右胸にも(自己判断)シコリのような痛みが出来ました。生理前などに激痛が走る時もあります。ここ最近、脇の下のリンパ腺に違和感があります。これはやはり癌の転移なのでしょうか? 近々病院に行きますが、恐くてなかなか…。

ご相談頂きありがとうございます。お胸にいろいろな症状が出てしまうと、心配になってしまいますね。私のお返事で少しでも不安が減ればうれしく思います。乳腺症をお持ちの方に、お胸に痛みが出ることは珍しくありません。また脇のリンパ腺は乳癌以外の多くの理由で腫れる事があります。従って「お胸の症状=乳癌」と考えずに、まずお胸の異常の有無をよく調べて頂くのがよろしいと思います。病院では触診、マンモグラフィ、超音波検査を行うのが一般的です。マンモグラフィはご存じのようにお胸をはさんで撮影するレントゲンなので、このときに痛むことがありますが、他に体の負担となる検査は少ないと思います。ぜひよく調べて頂き、不安を解消して下さい。(文責 斎藤)

 

No.9630】  10年06月01日  にゃんこ  
やはり癌でしょうか?(2)(HPNo.9592-2)

先日は、どうも有り難うございました。検査の結果、「わきの下・腫瘍マーカー・細胞診二回・白血球」のいずれも、何も異常が認められませんでした。明後日、確定診断のための手術ですが、良性の血腫のみとも考えられるでしょうか? 宜しくお願い致します。

ご相談頂きありがとうございます。検査がすべて悪性を否定する結果で良かったですね。前回の相談内容も拝見させて頂きましたが、私にも内容からは診断が思いつきません。もしかしたら「のう胞」(=お水のたまり)の中で出血したのかもしれません。細胞診を多く行っていると、時々のう胞のお水に血が混ざっている方がいらっしゃいます。またご本人がお考えのように、原因は不明ですが、出血し血腫が出来たのかもしれません。確定診断のために手術をお受けになるようですので、その結果を良くお聞きになって頂きたいと思います。また手術後もぜひ定期的に乳房検診をお受けになって下さい。(文責 斎藤)

 

No.9629-1】  10年06月01日  A.S.  
invasive microapillary carcinoma

先月末に乳房温存手術を受け、先日病理検査の結果がでたのですが、invasive micropapillary carcinomaとのことでした。悪性度が高く、予後不良とのお話で、リンパへの転移もあったため、乳房全摘の再手術、抗がん剤治療(一番強力なものを使うとのこと)、放射線治療、ホルモン療法と、すべて行うことになり、ショックを受けてきました。invasive microapillary carcinomaに関しては、調べてみても詳しい情報を見つけられず、抗がん剤は有効なのか、上記のような治療で効果はあるのか、どの程度の生存率が得られるのか、教えてください。

ご相談頂きありがとうございます。私のお返事で少しでも不安が解消されればうれしく思います。ご担当の先生がお話しされたようにinvasive micropapillary carcinomaは通常の浸潤癌と比較し、やや悪性度が高いと言われています。その理由は、リンパ管へ潜り込みやすく、小さくてもリンパ節転移をおこしやすいからです。しかし病理組織の違いで術後の治療方針や内容を変えることは、現在一般的ではありません。また抗がん剤が効きやすいかどうかは、ホルモン受容体の状態や組織の活発度である程度予想することが出来ます。生存率も腫瘍の大きさやリンパ節転移の個数など、いくつかの項目からある程度計算できますが、さらに病理組織の違いで生存率を予想する方法は無いのではないかと思います。ご担当の先生から悪い結果をお聞きになった時は、どなたでもショックをお受けになります。しかし必ず再発すると決まったわけではありません。ぜひ今後の治療方針についてしっかりとご相談され、納得されてから治療をお受けになって下さい。(文責 斎藤)

 

No.9629-2】  10年07月22日  A.S.  
予後および今後の治療について

HPNo.9629 再投稿です。前回の相談では、ご丁寧な回答ありがとうございました。現在は納得して、予定通りの治療を受けているところです。 今回は改めて、治療及び予後について伺いたいので、よろしくお願いいたします。
温存手術後の病理検査の結果は、「・大きさ:18×11×35 ・組織型:micropapillary type ・組織学的異型度:Grade2 ・リンパ管侵襲:marked 3+  ・血管侵襲:negative ・リンパ節転移:LevelT(3/34) ・HER2:1+ ・ER:陽性(80〜90%) ・PR:陽性(50〜60%)」です。 悪性度が高いとのことで、乳房全摘の再手術を受け、抗がん剤治療(FEC4クール、タキサン系4クール)を行っているところです。抗がん剤終了後に放射線、ホルモン療法も行う予定です。そこで、ご質問したいことは、
1) micropapillaryについては、悪性度が高く、予後不良としか情報が得られません。もう少し詳しい特徴があれば教えていただきたいと思います。
2) 現在遠隔転移はありませんが、このタイプはかなりの確率で再発してしまうのでしょうか。進行が早いとの記述も見かけました。予後はどのようなものでしょうか。
3) 治療について、これ以外の選択肢はありますか。

以上、よろしくお願いいたします。

1) 浸潤性微小乳管癌(invasive micropapillary carcinoma)は、乳癌の浸潤癌の特殊型に分類される組織型で、1993年に初めて提唱され、日本乳癌学会の乳癌取扱規約にも2008年に追加されたばかりの比較的新しく認識された組織型です。リンパ管侵襲やリンパ節転移が多く、予後不良な組織型として注目されるようになりましたが、詳細はまだまだ解明されていません。比較的まれであること、歴史が浅いことより、その治療法については組織型で治療を変えるというのではなく、浸潤性乳管癌に準じて治療をしていくということになります。
2) 浸潤性微小乳管癌は頻度が少ないことより、組織型のみで予後を予測することは困難ですが、おそらくはリンパ管やリンパ節に入りやすいことが予後の悪い原因となっていると考えられ、通常の浸潤性乳管癌に準じて、再発リスクに関わる因子から再発リスクを予測するAdjuvant! Onlineで予測してみますと(年齢が不明でしたので仮に50歳で調べました)、手術のみで、術後の再発予防治療をしない場合のリスクは52%、現在の治療方針で再発リスクは29%減り、23%となります。
3) 先ほどの繰り返しになりますが、浸潤性微小乳管癌だからこの治療というものは確立されておらず、今後もおそらく確立は困難であり、治療感受性に応じて、また再発リスクに応じて、浸潤性乳管癌に準じた治療をしていきます。ホルモン感受性、HER2陰性ですが、再発リスクは比較的高いと考えられますので、やはり現在の治療がよいと考えます。(文責 浜口)

 

No.9628】  10年06月01日  K 
今後の治療方針

4月に右乳房の皮下乳腺全摘手術を行った50歳の主婦です。術後の病理検査の結果は、「浸潤癌(乳頭腺管癌)、癌浸潤径8mm、リンパ節転移なし、ホルモン感受性ER+PgR+、Her2遺伝子なし、脈管浸襲なし、核異型度1、Ki67(10〜20%)」でした。主治医より、ホルモン療法が良く効くタイプだと言われました。今後の治療方針は、「無治療、もしくは、ホルモン療法」と言われました。ホルモン療法を行なうと、再発率が10%から5%になるとのこと。しかし、主治医は、「僕が患者だったら無治療を選ぶかも」とも言われました。自分としては選択に迷っています。アドバイスを頂けませんでしょうか。

ご相談頂きありがとうございます。乳がんは小さく、また性質はおとなしいタイプで良かったですね。今後の治療方針について、私のお返事で少しでも整理できればうれしく思います。ご担当の先生からご説明があったように、ホルモン治療を行うことで再発する可能性を下げることが出来ます。しかし薬物療法には効果がある反面、副作用も存在します。治療を最終的に決定する場合は、Kさんご自身が副作用が受け入れられるかどうかでお決め頂ければよろしいのではないかと思います。また治療は途中で中止することも可能ですから、一度ホルモン治療を開始してみて、どうしても受け入れがたい副作用が出たら治療を中止するのも一つの案かと思います。ぜひご担当の先生と良くご相談して、納得されてから今後の方針を決めて頂きたいと思います。(文責 斎藤)

 

No.9627】  10年06月01日  K 
術後療法の方向性について

42歳閉経前です。ご相談させてください。
先月、乳頭腺管癌で右胸温存手術を受けました。大きさ11mm、グレードT(核異型2、分裂像1)、脈管浸襲なし、切除断端(-)、リンパ転移なし(0/1)、Er(+)100%、PgR(+)100%、Her2 score2→現在Fish法にて検査中。
「Her2陰性なら、放射線治療+ホルモン治療。ノルバデックス単独にするか、ノルバ+ゾラデックス」 「Her2陽性なら、FEC+ハーセプチン+放射線+ホルモン。 ただし、FECを受けないという選択もあり」と言う事で、結果が出るまでにどうしたいか考えるように言われています。また、アントラサイクリン系とハーセプチンは心臓障害の副作用もあると聞いていますが、ここ半年以内に一度、夜中に胸が痛くて目が覚めたことがあり、症状から心臓ではないかと考えています(病院行ってないので断定はできませんが・・・)
そこで、ご相談です。
1) ホルモン治療についてですが、乳がんのことだけを考えるとゾラデックスを使う方がいいが、使うとおそらくそのまま閉経してしまい、動脈硬化や骨粗しょう症等の可能性がかなり高まるので、病理結果を踏まえ、ノルバデックス単独という選択もあると言われました。こちらの先生はどうお考えですか? 自分の勝手な想像ですが、Er100% PgR100%と、ホルモン受容が高陽性だと、ノルバだけでもよく効くということはあるのでしょうか?
2) Her2陽性の場合、私の病理結果を踏まえて、抗がん剤を使わず、ハーセプチンと放射線+ホルモンだけでも効果があるのでしょうか? 転移しているかどうかわからない、病理結果からも転移の可能性が低い状態なので、できたら抗がん剤の利用は避けたいと考えています。

どうぞよろしくお願いします。

ご相談頂きありがとうございます。手術後の乳癌のHER2のFISHの結果待ちなのですね。私のお返事で少しでも不安が解消されればうれしく思います。ご質問にそれぞれお答え致します。
1)現在までにノルバデックス単独とノルバデックス+ゾラデックスの併用を直接比較した大きな試験はありません。しかし今までのホルモン治療などに関する多くの試験をまとめて解析すると、併用した方が良好な傾向があり、また副作用には大きな差は無いと報告されています。従って一般的には併用して治療することが多いです。
2)2009年に改訂された乳癌の術後治療の方針でも、抗がん剤を使用しないでハーセプチンとホルモン治療だけを行うという方法は根拠が無いと記載されています。理論的には効果はあると考えられていますが、現時点では研究的な治療とされています。

今後の治療に関して選択枝が多く迷われてしまうと思いますが、ぜひご担当の先生とよく相談して、納得してから今後の治療を選択して頂きたいと思います。(文責 斎藤)

 

No.9626】  10年06月01日  S.Y. 
現在ホルモン治療中です

昨年5月に左乳がんの全摘出をしました。46才で、現在ホルモン治療中です。
1) 今年に入り右の手足の浮腫みがあり、太股で3センチの差です。術側とは違います。原因として何が考えられますか? 
2) 右乳房にも、のう胞があり、経過観察中です。先月エコーを胸と脇と撮りましたが、心配ないとの事でした。右手足に違和感を感じ、辛いです。受診するとしたら、何科にかかっつたらよいでしょうか? 
3) インプラントでの再建を考えていますが、左脇にシコリがあります。主治医の先生は画像でみる限り悪いものではないとのお話です。今後リンパ節転移となる事もあるのでしょうか? 再建して悪化したりするのでしょうか?

ご相談頂きありがとうございます。私のお返事で少しでも不安が軽減されればうれしく思います。ご質問にそれぞれお答え致します。
1) 術側とは異なるとの事ですし、特に大腿部での浮腫のようですので、乳がんの手術やホルモン治療の影響の可能性は低いと思います。 
2) 手足の違和感との事ですが、ご相談内容からだけでは私も何科の受診をお勧めしたら良いか判断がつきかねます。
3) 再建により悪化したり、悪化するまでの時間が短くなることはありません。左脇のしこりに関しては、ご担当の先生が画像上悪くないとご判断されていらっしゃるので心配ないと思いますが、S.Y.さんの不安が解消されないのであれば、組織学的に診断をつける検査をお願いするのも一つの方法と思います。

手術後やその後の治療中に色々な症状が出てくると、皆さんご心配・ご不安になられますので、特別な事ではございません。ぜひご担当の先生によく相談して解消して頂いて下さい。(文責 斎藤)

 

No.9625】  10年06月01日  N 
化学療法について(2)(HPNo.9577-2)

先日はありがとうございました。恐れ入りますが、もう2点ご質問させて下さい。
1) 抗がん剤と放射線療法を両方受ける場合、先に抗がん剤を投与する方から行うという記述を良く目にしますが、その理由はなんでしょうか? 順番を変えてもあまり効果は変わらないとも聞きますが、実際のところどうなのでしょうか? 
2) オンコタイプDXという遺伝子検査を勧められているのですが、アメリカでは容認されているようですが、日本では、どのくらい信頼度があるのでしょうか?

お忙しいところをすみませんが、よろしくお願いいたします。

ご相談ありがとうございます。私のお返事で今後の治療についてさらに御理解が深まって頂ければうれしく思います。
1)抗がん剤治療は全身治療であり、手術や放射線治療は局所治療に分類されます。まず手術で乳癌の性質をよく把握します。抗がん剤が必要な乳がんは微小転移の可能性がやや高いために、抗がん剤を投与し微小転移を抑制して治癒を目指すことが重要になります。従って全身療法である抗がん剤を先に使用し存在するかもしれない微少な転移に対する治療を早期に行います。その後放射線で局所の治療を行う、この順番が一般的となっています。
2)オンコタイプDXは日本でも検査可能ですが保険適応ではないため、約48万円の検査費用をお支払い頂きます。ご質問のお返事ですが、人種間で結果に大きな差を認めるような報告はありません。

手術が終わって、これから抗がん剤に放射線治療と、治療終了までの期間は長いですが、ぜひ頑張って頂きたいと思います。(文責 斎藤)

 

No.9624】  10年06月01日  N.A.
乳癌診断について

4月末に、右の乳頭からの分泌物と左胸のチクチクした痛みから、総合病院の乳腺外科を受診しました。触診ではしこりはなく、念のためとエコーとマンモグラフィをしたところ、マンモで左のみ乳腺がひきつれているおり、「もともとそういった乳腺の人もいるけれど、悪いものの可能性もあるので」と、MRIを実施しました。結果、染まっている部分が認められ、確定診断をするためにマンモトーム生検をすることになりました。マンモトーム生検は1週間後です。
1) マンモの画像を見たのですが、素人目でも分かるくらい左右の乳腺の違いがありました。乳腺がひきつれているということは、悪性の可能性が高いのでしょうか。
2) MRIをとる前に、「悪いものは染まるので」と、先生よりお聞きしたのですが、結果染まっているということは、悪性ということではないのでしょうか。
3) 左胸の痛みを感じるのと同時に、3週間前より背中が痛みます。それは乳癌だった場合、関係性はあるのでしょうか。骨転移などで背中が痛むと読んだことがあります。整形外科でとったレントゲンでは、特に異常はありませんでした。背中とあまり関係性がないのであれば、内科も並行して受診するべきか悩んでいます。
4) 乳頭と乳輪の痒みが1年ほど前から断続的にあります。先生の視診では、特に腫れているわけではないということでしたが、最近乳頭を触ると痛みを感じることがあります。これも乳癌の症状と関係はありますか。

28歳女性、未婚、出産歴なしです。長々と申し訳ありませんが、お答えいただける範囲で構いませんので、ご返信お待ちしております。

ご相談ありがとうございます。検査で左右差が大きいとの結果で、さぞご心配の事と推察いたします。私のお返事で少しでもご安心頂ければうれしく思います。頂きましたご質問についてお答え致します。
1)悪性の可能性が高いのではなく、悪性を否定出来ない状態とご理解下さい。
2)MRIでよく染まる部分は悪性の可能性もありますが、悪性でないこともじばしば経験します。最終診断には組織を見る必要があります。
3)乳がんと診断された場合完全に関連性は否定出来ないかもしれませんが、現時点では乳がんと診断されてはいないのですから少し悪い方に考えすぎな印象を受けます。
4)あまり関係ないと思います。

まだ診断がついてないため乳がんではないかとご心配になられるお気持ちはよく分かりますが、あまり悪い方へ考えるのはよろしくないと思います。しっかりと診断をつけて頂くことが最優先だと思います。(文責 斎藤)

 

No.9623】  10年05月30日  T
今後の治療について(HPNo.9499-2)

HPNo.9499で質問をしましたTです。前回は、大変ありがとうございました。来月から一旦、タキソテール(1年6ヶ月16回)の投与を休薬してホルモン療法で様子をみてみようか悩んでいます。
1)  まだ肝臓に転移している腫瘍は、CTでは、縮小傾向とはいえ、集積が写っています。主治医は、癌が生きているのか死んでいるのか、わからないとのこと。それを判断する方法は、ないのでしょうか? ちなみに腫瘍マーカーは、全て正常範囲内です。 3ヶ月ごとにCTを撮っているのですが、その度に縮小しています。縮小しているというのは、癌が生きていてるから抗がん剤が奏効して縮小しているのでしょうか? それとも癌はすでに死んでいて、抗がん剤とは関係なく、自然治癒により縮小しているとは考えられますか?

2) 前回の質問と重複しますが、このまま治療を続けて順調にいけば腫瘍が消滅するのに後、1年くらいかかる計算になります(だいたい、6ヶ月で6ミリ縮小しています)。今、1センチくらいですから・・・。そうなると、タキソテール28回ということになります。タキソテールは、体内に蓄積されると聞いていますが、投与回数が多くなれば肝臓への負担が気になります。タキソテールの最大投与期間(回数)の目安とかは、あるのでしょうか? ちなみに4週に1回20mg0.5mlと80mg2ml投与しています。やはり、このまま、抗がん剤の治療を続けた方が良いのか、ホルモン療法で様子をみるのか、どちらが良いのか分からないですか? 主治医も悩んで決めかねています。

3) ホルモン療法で様子を見る際に、放射線治療をして肝臓にある腫瘍を強制的に消失させるという方法は、いかがでしょうか? もし、放射線治療をするとしたら、トモセラピーだったら近所の病院で受けられます。後、肝臓の場合、ラジオ派での治療もあるみたいですが、予後を考えると、どの方法がいちばんよいのでしょうか? まとめると、抗がん剤継続 or ホルモン療法 or 放射線治療とホルモン療法の併用のいずれがよいでしょうか?

宜しくお願いいたします。

1) 基本的には化学療法が効果を示して縮小していると考えます。ガンが生きているかどうかの判断は難しいです。強いていえば、PET検査を行えばわかることもあります。
2) 副作用が問題なければ、効果のあるうちは使い続けた方がよいと思います。タキソテールに特に上限使用量はありません。縮小が止まったら中止で良いのではないでしょうか。ちなみに縮小は半減期でみますから、単純な引き算ではありません。
3) 現在行っている治療は、見えている肝転移の治療を目的としているのではありません。現在見えていない、体の他の部分に潜んでいるかもしれないがん細胞を殺すために治療をしています。肝転移巣に対する効果をみているのは、今使っている抗がん剤が貴女のがん細胞に効くかどうかをみているのです。ですから、この肝転移巣だけを放射線で叩くというのは意味のないことだということがおわかりいただけるでしょうか。私の推奨は、縮小が止まるまで現在の治療を続け、その後ホルモン療法です。(文責 清水)

 

No.9622】  10年05月30日  K.N.
放射線治療について

いつも勉強させていただいております。よろしくお願いいたします。39歳 結婚妊娠暦なしです。今年の1月に非浸潤性乳管癌と診断され、3月に左乳房の温存術を受けました。病理の結果、非浸潤性乳管癌だが、切除断端が陽性(+)ということで、放射線治療を受けることに決まり、放射線担当医師より、治療効果は同じなので来週までに以下のどちらかを選択するようにと言われています。
1) 標準照射(50 Gy/25分割/5週間での全乳房照射)
2) カナダ式(42.5 Gy/16分割/3週間での全乳房全照射)

仕事が忙しいため(2)の選択を考えているため、以下よろしくお願いいたします。
1) (2)のカナダ式は、切除断端が陽性でも問題はないのでしょうか? 
2) 放射線担当医師によると、(2)の副作用は(1)と大差はないが、乳房の萎縮が(1)より大きくでることがあるということでしたが、副作用が大差がないという正式なテ゛ータがあるのでしょうか?
3) 手術(3月初旬)から放射線治療の開始(6月中旬)まで3ヶ月あるのですが、切除断端が陽性ということもあり、治療開始までこんなに期間が空いても問題ないのでしょうか?

お忙しいところお手数ですがアドバイスをよろしくお願いいたします。

1) カナダ式は、NCCNのガイドラインでも標準的な方法の一つとして推奨されています。現在は、もっと短期間でできないかという臨床試験が行われています。断端の状況等の詳しい検討については不勉強で知りませんが、ガイドラインで推奨されている治療なので、断端の状況による差はないと考えて良いと思います。
2) 短期間(3〜5年)の副作用のデータでは問題ありません。しかし、長期(10年後以降どのような問題がでてくるか)のデータはありません。
3) 治療開始までの時間が短いにこしたことはありませんが、3ヶ月程度は問題にならないと思います。(文責 清水)

 

No.9621-1】  10年05月30日  S.S 
再発骨転移の母について

74歳の母についてご相談いたします。20年前左摘出した乳癌が再発し、現在骨(ほぼ全身)転移の治療を受け4年8ヶ月になります。2月末にタキソール12回終了し現在はヒスロンで休んでいる状態でしたが、先週の検査で腫瘍マーカーが激増したため来月半ばの診察で主治医と今後について相談する予定です。母と一緒に診察室に入るため、あまり露骨なことも話せませんので、事前にこちらで今後についてのアドバイスをいただいて、スムーズに話し合いができればと思っています。ご指導よろしくお願いいたします。
1985年頃左摘出手術 資料がほとんど残っていないためハーセプチン等はしていません。2005年10月よりアロマシン→2006年12月フェアストン(ゾメタも始め現在に至る)→2008年4月フェマーラ→7月ゼローダ(7クール)→2009年3月ナベルビン(2投1休で6クール)→8月ノルバデックス→(9月半ばより大腿骨転移のため放射線20回)→10月タキソール(3投1休で4クール)→2010年3月よりヒスロン→先週の診察で骨シンチには変化はみられないが、腫瘍マーカーがCEA4.8 CA15-3が131となり、来月の診察で薬の変更ありかも。ちなみに2009年の9月に腫瘍マーカーが増加しCEA9.7 CA15-3が428でタキソールになりました。タキソール12回終了した翌月末でCEA2.3 CA15-3は50.9になっています。
高齢ですが、大きな副作用は白血球とヘモグロビンが減少することで、何度か輸血をしています。またゼローダの頃から現在まで、抗ガン剤をするとすぐ激しい味覚障害があり、そのため体重が激減します。現在はホルモン剤なので、元気いっぱいで食欲も旺盛です。普通に歩いて家事をこなしています。幸い骨以外の転移がありませんので、現状をできるだけ維持し長生きしてくれたら、というのが希望です。なので、できるだけ体力を保ちながら残った武器を大切に使っていきたいのですが、今後どのような抗ガン剤が考えられるでしょうか。アドバイスをよろしくお願いします。

基本的にな骨転移の治療は、1)ガンに対する治療 2)骨折の予防 3)痛みの治療です。2)については、ZOMETAをきちんと使うこと、骨折の危険性が高い部位の放射線治療を行うことですから、できていると思います。3)については現在痛みがないようなので経過観察ですね。問題の1)ですが、今までの経過から考えると、かなりゆっくり増殖する乳がんなので、やはりホルモン療法が優先されると思います。化学療法については副作用が強いこと、延命効果があまり期待できないことから、お母様の場合は症状が強く、早期にその症状を改善したいとき、生命を脅かすような内蔵転移が出現したときに使うことをお勧めします。もう一点は、あまり腫瘍マーカーの値に振り回されないことも大事かと思います。印象では、お母様の場合かなり腫瘍マーカーが鋭敏に反応していて、自覚症状もなく、骨シンチでも増悪がみられないにもかかわらず、腫瘍マーカーが変動しています。このような場合に何を目安に薬を代えていったらよいのでしょう。再発乳癌治療の目的は根治ではなく、よりよいQOLの基での延命ですから、痛みがなく、骨シンチで新病変が出現して来なければ、腫瘍マーカーの変動に一喜一憂しない方がよいのではないでしょうか。現時点で考えれば、Paclitaxel(タキソール)が副作用もなくよく奏功しているので、手足のしびれに注意しながらこれをできるだけ長く使うのが良いのではないでしょうか。個人的な経験ではタキソールがよく効いて2年以上使っている方も何人かいます。その後は再びホルモン療法に戻ることをお勧めします。使っていない化学療法剤もいくつかありますが、たとえ飲み薬の化学療法剤でも70歳代方にはきついかもしれません。(文責 清水)                                                      
 

 

No.9621-2】  10年06月30日  S.S 
再発骨転移の母について(2)

5月30日にご回答いただいたHPNo.9621『再発骨転移の母について』のS.Sです。その際は、ありがとうございました。状況に変化があったため、再度質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
5月半ばの検査でCEA、CA15-3ともに上昇した母ですが、6月16日の検査でCEA11.5で CA15-3は325と倍増したため、主治医から再度抗ガン剤を始めるという話がありました。その時「体調はどうですか。大丈夫であればまた抗ガン剤を始めたいと思います。」と言い、「今度の抗ガン剤は2週続けて投与して1週お休みというパターンで、副作用は前回(タキソール)のと同じような感じです。」とだけ言われました。これまで注射による投与のナベルビン、タキソールの時は事前に同意書のような物が渡され、抗ガン剤の名前、副作用等の説明を受け、体重を聞かれ、同意書にサインをするというような形でしたが、今回はこのようなことは一切なかったので、とても不安です。ただ、パソコンに『トポテシン』という文字を打ち込むのを見たので、おそらくトポテシンなのかな、と思っています。
そこで質問です。

1) トポテシン(カンプト)を調べてみたところ、副作用が非常に重いような、また、いろんな抗ガン剤をやり尽くした最後の薬というような印象を受けました。母は、抗ガン剤としてはゼローダ、ナベルビン、ウィークリータキソールの3種類しか使っていないのですが、ここでトポテシンを使うというのは、妥当なのでしょうか。また、74歳の母でも耐えうるのでしょうか。投与する時に主治医にも確認しますが、特に注意するようなことはありますか。 
2) タキソールを4クール終え、腫瘍マーカーも下がった状態で終わっていたので、再度タキソールを投与してくれるものと思っていたのですが、そうでない理由というのは何か考えられますか。今後違う抗ガン剤を投与した後、またタキソールを使うことはできるのでしょうか。

再発から5年近く高齢の母を診てくださった主治医を全面的に信頼していますが、やはり今度は不安が多くあるので、ぜひアドバイスいただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。                  

遠隔転移とは、全身に散らばった癌の一部が氷山の一角として再び活動を始めたと考えると、癌の芽をすべて取り除くことは困難な状況になります。従って、遠隔転移の治療の考え方は、癌の治癒を目指すのではなく、進行を抑えたり、症状を和らげたりして、日常の生活の質が低下しないように、癌と共存することを目指します。

1) 前回まで、ゼローダ、ナベルビン、タキソールを使用しても腫瘍マーカーが上昇しているので、これらの薬ではコントロールできていないということになります。タキサン系薬剤を転移再発乳癌の一次薬として使用しているわけですから、次はアンスラサイクリン系薬剤が考えられます。トポテシンも転移再発に対する治療薬として、約20%の奏功率を示し、効果の持続期間は約5ヶ月です。副作用として、6人に1人の割合で下痢がおこります。早発型の下痢は投与中又は投与直後に起こりますが、一過性のものであり、一般にこの治療薬としては、ブスコパンを使用します。遅発型の下痢は、腸管粘膜の損傷によって起こります。トポテシンの活性代謝物(SN−38)が腸管粘膜を損傷させる場合がありますが、予防としては、ウルソ、アルカリイオン水等によって経口のアルカリ化をはかることです。また、漢方薬の半夏蕩心湯が有効であるとの報告もあります。

2) 一次薬としてタキソールを4クール使用しても腫瘍マーカーが上昇してきているので、もう一度タキソールを使うという選択肢はないと思います。

お母様の状況をよく把握してくださっている主治医と充分ご相談し、納得のいく治療を選択してください。(文責 須田)

 

No.9620】  10年05月27日  T 
微小浸潤

いつも拝見させて頂いております。針生検の結果乳頭腺管がんとの診断で、先月に全摘手術を受けました。針生検では、非浸潤がほとんどで、微小浸潤があるとのことでした。手術後の病理診断によると、5cmほどあったしこりから浸潤は認められなかったとのことです。リンパ節も陰性でした。ほとんど0期に近い1期だと言われました。頂いたコピーには、「Invasionは針生検標本のみにみられる」とのことです。
1) 微小浸潤とは実際にどれくらいのサイズのことを言うのでしょうか?
2) たまたま、生検で取った部分に浸潤が見られたということでしょうか? 針で採取する際に浸潤した可能性はありますか?
3) 微小浸潤であれば、再発率は低くなるのでしょうか?

グレードなどの提示はありませんでした。漠然とした質問で申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。

1) いくつかの定義がありますが、TNM分類では浸潤している部位の大きさが0.1cm以下のものをT1micとしていわゆる微小浸潤癌と定義しています。一方、WHOの組織分類では、浸潤部の大きさが腫瘍全体の四分の一以下の場合、乳管内成分優位の浸潤性乳管癌として、通常の浸潤性乳管癌より予後のよい群と定義しています。
2)たまたま針生検をした部位に浸潤があったということです。針を刺して浸潤するということはありません。手術後の標本も通常は5mm程度の幅で切って、その面を検査をしますから、最終診断が非浸潤癌であってもその5mmの幅の中に浸潤部が隠れている可能性はあるのです。
3)通常の浸潤癌より微小浸潤癌の方が予後がよい(再発率が低い)ことは知られています。(文責 清水)

 

No.9619】  10年05月27日  R.I.
ホルモン剤について

以前もお世話になりました。現在53歳、右乳房全摘後、ホルモン剤服用治療で4年目を無事迎えようとしております。2年目でホルモン剤タスオミンからフェマーラに切り替えた6ヶ月後、肝機能異常でフェマーラが直接的な原因とは特定できないとしながら、3ヶ月治療後、再度タスオミンに戻しました。ホルモン剤服用が後1年なのですが、この歳ですので恐らく閉経していると思いますが、自分的にはフェマーラの方が効くぞ感があるのですが、症状が安定しているので、このままでということなのですが、後1年タスオミンでいいのでしょうか。

53歳で卵巣の働きが完全に止まっているかどうかはわかりません。しかし、以前6ヶ月内服したときに生理が再開しなかったならば、閉経の可能性は高いように思えます。もし貴女の乳がんがリンパ節転移陽性の乳がんであったならば、タスオミン5年内服後フェマーラを内服することで、5年以降の再発(頻度として多くはないのですが)のリスクを低くすることが証明されています。しかし、副作用として、肝機能もさることながら、骨粗鬆症の問題がありますから、骨密度を検査してから総合的に考えることをお勧めします。(文責 清水)

 

No.9618-1】  10年05月27日  T.I. 
放射線治療

お世話になります。65才です。4月に温存術(扇状)を受けました。結果は、「 リンパ節転移なし、腫瘍の大きさ0.7×0.1、非浸潤性乳管癌、核異型度1、HR(+)PgR(+)、脈管浸潤なし、HER2(2)、切除断片(陰性)」でした。術後の治療は、「99%だいじょうぶ。経過観察」と言われました。温存術の場合は、放射線治療が必要というのが当たり前と聞いていましたので、びっくりしました。私の場合は、しなくても再発率は低いのでしょうか。

乳房温存手術の後で放射線治療を行う目的は、乳房内にもう一度できるかもしれない新しい乳がんの発生頻度を少なくすることです。新しい乳がんの発生頻度は、ガンの大きさ、ガンの性質、ガンから切除断端までの距離など様々な因子によると言われています。そして、最近では温存術後の放射線治療が不要な群はどのようなものかが検討されています。現在の標準治療としては、放射線治療を行うことが推奨されますが、貴女の場合、扇状に切除して中にあったガンの大きさが0.7x0.1cmですから、印象としては十分すぎる切除をしたように思えますし、ER,PR陽性の乳がんですから、放射線治療を行わないというオプションも考えられると思います。(文責 清水)

 

No.9618-2】  10年11月22日  T.I. 
ビリビリ感

No9618(5月17日)にお世話になった者です。4月に左乳房温存手術後無治療で7ヶ月になりましたが、びりびり感で不安です。手術前からあった左脇の下側胸部分のびりびり感が次第に強くなり、鎖骨にも拡がり、今は左首の真ん中付近がびりびりとし、顎の方に拡がっています。担当医に話しても 「乳がんと関係がない」といいます。とても気になるので、耳鼻咽喉医に見てもらったところ、「咽頭は異常なし。乳がん細胞が神経に沿っていくことがある。そのせいで、ビリビリ感がすると考えられる。リンパのしこりに注意しなさい」と、言われました。『乳がんガイドライン』 によると、癌は小さくても微小転移が存在するとのこと。不安です。やはり、このビリビリ感は、がん細胞の存在ですか? ずっと続くのでしょうか?

実際に診察してみないと何とも言えませんが、癌細胞の存在ではないと思います。この様なことは、術後全く感じなくなった創部において感覚が戻ってくる時によく経験いたします。何時までも治らない様でしたら、やはり担当医に相談してください。(文責 吉田)

 

No.9617】  10年05月25日  A
再発

乳ガン全嫡後 、抗ガン剤二種類4クール、4クール。 局部再発手術後、ハーセプチン治療が有効ということで18回接種。 治療後の検査で、局部再発・・ハーセプチンが効かなかったということですか? ハーツー蛋白マイナス+3 です。局部手術と脇の下リンパ節手術と言われています。ハーツー蛋白マイナスは、ハーセプチンが効かないのでしょうか? ハーツー蛋白を持っている人はハーセプが有効と言われ、術後すぐに治療を受け、3週間おきに18回終わりましたが、検査で再発。「ハーセプ治療中は、再発したらすぐ1週間おき治療にします。」と話されていたのに、今回再発したら、手術後、ハーセプチンは効かないので違う薬に替えると、治療法が変わりました。なぜでしょうか。手術しないようにしたいのですが、それは無理ですか?

ハーツー蛋白は+3ということはプラス(陽性)と考えます。ただ、残念ながらハーセプチンが効くとは限りません・・・。ハーセプチン治療中に再発してきたということは、これから効果を期待することは難しいでしょう。すぐ手術ではなくて、他の治療をまず行う選択肢もありますので、相談なさってみてはいかがでしょうか?主治医は貴女の病状に応じて、よりよい治療方針を立てているのだと思われます(途中で方針が変わることもあります)。(文責 加藤)

 

No.9616】  10年05月25日  A.O.
左全摘後の右非浸潤ガン手術について

1月末、多発性乳がんで左乳房全摘手術を受け、最大の浸潤巣1.4×1.0×0.9p(DCISを含めると10.5×6.0×1.5p)NG1,ER+,PgR+,HER2−,ly+,v―,Sentinel n(0/2 ) Margin negativeと病理診断されました。現在、タスオミンとリューブリンをしています。今回、右の針生検をしたところ、非浸潤ガンと診断され、またもや全摘を勧められました。やっと、左の傷も癒えたところだし、手術をするにしても、もう少し後でもよいのではないかという思いもあり、ガンが動き出してからではだめなのかと質問しました。すると、主治医は、「一生このまま乳管内に留まって悪さをしないで終わる可能性だってあるが、見つかった以上は全摘すべき。」「針生検したところが、非浸潤ガンでも、他の所は浸潤している可能性だってある。」とおっしゃいました。そう言われると、ますます頭が混乱して、手術に立ち向かう元気が出てきません。左は自分でも触れると、しこりが小さいながらわかったので、納得もいったのですが、今回の右は、しこりはないし、前回同様に全くの無症状で、頭ではわかっていても、気持ち的には受け入れることが難しいのです。そこで質問なのですが、
1) やはり見つかった以上は、なるべく早く全摘する方がよいのでしょうか? 経過観察するというのは無意味でしょうか?
2) タスオミン、リューブリンの副作用なのか、今回の手術は気持ちが滅入ってしまい、どうやっても前向きに考えられません。何かよいアドバイスをいただけるとありがたいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

1) 絶対手術を受けなければならないという訳ではありません。ホルモン療法中であり、経過観察も一つの選択肢であると思います。
2) 主治医に御希望(経過観察)を率直に伝えられてみてはいかがでしょうか? おっしゃるように、がんが動き出してからという考え方も大切であるように思います。(文責 加藤)

 

No.9615】  10年05月25日  H.I. 
放射線治療後の痒み

初めて相談させていただきます。49歳女性です。7年前に左乳がん温存手術を受け、放射線治療も30回受けました。しばらくしてから、左乳輪の放射線照射部位に痒みが生じるよになり、特に夏よりも乾燥の時期、冬期がひどかったように思いますが、女性ホルモンの減少に伴ってか、ここ3年ほどは更に酷くなっています。医師処方のステロイド軟膏や、尿素入りのクリーム、ベビーオイル等試しましたが、なかなか効果の高いものがありません。最近は、皮膚表面が赤く硬化してきています。皮膚科で診てもらうべきでしょうか。

放射線施行後しばらく経ってからの皮膚症状は、おっしゃるようになかなか改善がみられないこともあります。様々な療法を試されたようですので、一度皮膚科医に相談なさってもよいと思います。(文責 加藤)

 

No.9614】  10年05月25日  MTS
背中の痛みと腕のしびれについて

44歳です。検診のマンモグラフィーで石灰化を指摘され、マンモトームの結果、左胸の非浸潤性乳がんと診断されました。来月、手術を予定しております。検診のずいぶん前から、左肩のひどい肩こり、胸の反対側あたりの背中の骨の痛み、左腕のしびれや筋肉痛のような痛みがあり、いまだに続いております。医師に相談したのですが、非浸潤がんのため(それも非常に小さい)転移は考えられないと言われました。それでも心配になったので、胸部CTと血液検査をしてもらいました。CTでは特に異常は見られなかったのですが(石灰化もうつりませんでした)、血液検査の結果の腫瘍マーカーがCA15-3が25.3、NCC-ST-439が7.1と高めで、非浸潤性癌で、この数値がでるのは珍しいが、問題はないでしょうとのことでした。今の時点でのPETなどの検査も必要はないとのことですが、相変わらず腕や背中の痛みなどが続いているので心配しております。非浸潤がんと診断されて、既に転移している可能性もあるのでしょうか? 手術後の病理の結果を待つしかないのでしょうか? 手術では、センチネルリンパ節生検をしていただくことになっています。お忙しいところ恐れ入りますが、アドバイスいただけると幸いです。

お話の内容からは、転移の可能性は大変低いように思います。手術の結果を待ち、症状が続くようであれば、追加の検査等を考慮していけばよいでしょう(非浸潤がんであるかどうかも判明します)。(文責 加藤)

 

No.9613】  10年05月25日  H 
急激な視力低下について

43才、昨年7月に温存手術を受けました。浸潤径1.2  ER+PgR−  HER2 0  核異型度1。放射線治療なし、ホルモン療法で治療という事になり、7月よりノルバデックス20を服用しています。今まで、イライラする事や眠気、月経不順はあったのですが、副作用をあまり感じることなく過ごせていました。先月末、突然、視力に違和感を覚え、検査をしたところ、右目のみメガネ矯正で1.2が0.3になっていました。2月に健康診断で検査したときは1.2でした。視力が落ちてから20年近く視力の度に変化がなかったのですが、急激な視力低下で、眼科にいっても近視ですと言わてしまい、パソコンを見るのも辛い状況で、やっと、こちらの相談室をみつけました(感謝です)。眼科で度を強くすると多少は良く見えるのですが、二重に見えている違和感がどうしても拭えず、光が今までよりとても眩しく、左は1.2のままのメガネでいるので、左右差があり、とても疲れます(度を入れ替えても、遠くも近くも見えにくいです)。この症状は、薬の服用によるものでしょうか? ただの近視でしょうか? また、薬を中止したら視力は元に戻るのでしょうか? そして、薬を中止した場合、再発のリスクはどの位あるのでしょうか? 子供が小さい為、リスクを避けて薬を服用し続けた場合、視力はもっと悪くなるのか、教えて頂けますでしょうか。宜しくお願い致します。

副作用の可能性もあるため、一旦中止を考慮すべきかもしれません。休薬は長期間でなければ、ほとんど再発率には影響を与えないでしょう。担当医に早めに症状をお伝え下さい。(文責 加藤)

 

No.9612】  10年05月25日  T.N.
漿液が止まらない

2月にセンチネルリンパ生検、転移なし。乳癌部分切除による温存手術を受けましたが、術後2日後の退院日の夕方から毎日通院し、湿潤液の穿刺を続けています。液量は200から300ccです。先生にドレーンをつけて下さいとお願いしましたが、漿液をある程度乳房の形成に使うため、ドレーンを入れると術痕がへこみ、温存の意味がなくなると反対されました。2か月以上、この漿液は止まりません。量も一日最大380ccです。本当にこの漿液は止まるのでしょうか。原因はどこにあるのでしょうか。止める薬も手段もなく、待つしかないと言われておりますが、本当に他の手段はないのでしょうか。教えてください。部分切除とパックの放射線もできない状況です。48歳です。

まれに持続性の漿液排出がみられることがあります。多くの場合時が経てば自然に治まりますが、長期に及ぶ場合は、おっしゃるようにドレーンをつけたり、処置を施す場合もあります。担当医の言うように、あせらず、ここはもう少し待ってみるのがよいかもしれません。(文責 加藤)

 

No.9611】  10年05月25日  E・Y
乳がん細胞の病理について 

失礼な質問をお許し下さい。
1) 乳汁分泌物や、細胞診のプレパラート作成時などに、手や髪などに付着したり、こぼれたりしたとする乳がん細胞は、大気中で、どのくらい生きているのでしょうか。(調べたのですが、乾燥すると変性するとあるだけで、死滅するという言葉が出てきませんでした。)
2) 普通の細胞のように、乳がん細胞も水分がないと生きてゆけないのでしょうか?
3) 癌細胞には、栄養がないと休眠して待つなどの特殊能力があると聴きました。癌細胞は、分裂するときのみ死滅するのでしょうか。栄養不足に陥っても、分裂の時まで生きているのでしょうか。
4) 妻がノイローゼ気味になってしまったので、私(夫)がかわりにメールを打っております。実は、以前かかっていた先生が、新たに仮診療所で診察を始めたのですが、妻の前の患者さんにいきなり針生検と乳汁分泌物さっか針を始めたのですが、手袋もなく、薬品なども足りず、看護師さんに揃えるよう大きな声で言っていました。また、「針は14Gだよ」と言っているのが聞えました。次に妻が診察室に入ったところ、机の上に顕微鏡があり、素手で、とれたばかりのプレパラートをみていました。そのままの手で診察してもらったり、また、院外処方箋を書いてくれたのですが、マチガイが多々あり、印もなかったので、何回も訂正したり、その都度サインをするなど、かなり何回もいじることになってしまいました。いやだなと思ったのですが、結局薬局で薬をもらって飲みました(妻は以前開局薬剤師をしていました)。癌細胞が間接的にあちこちについてしまったかと、気になってしまいました。また、気になるところに食品(中華丼などの栄養のあるたれなど)をこぼしてしまい、またそれを栄養として生き延びてしまうようなことがあるのでしょうか。他のかたの癌細胞はHLAが異なるので、健常人なら免疫が直ちに攻撃してくれるのはわかったのですが、妻自身、乳がん術後、3b期なので、免疫に余計な負担がかかって進行しやすくなったり、末期に免疫不全となった時、他人のがん細胞が体内に入ると余計に苦しむのかしらなどとも考えてしまいます。自分もがんなのに我儘な考えかと思いますが、以前神経症などの病歴もあり、知らないかたの癌細胞が自分の身のまわりにあることがすごく気になってしまいます。この先生は以前も素手で血液に触るなどすることがあり、看護師さんともめていました。まわりのかたに相談したのですが、普通は、手袋をしたり、手を洗うなり、先生が気をつけてくれるはずだから、そんなことは起きないから、いくら調べてもわからないんだよと言います。もちろん、それ以来、その先生のところには行っていません。長くなり、また失礼な質問で申し訳ありません。外出もできなくなり、体重も20キロ以上減ってしまいました。現在の担当医は、とても相談できる雰囲気ではありません。以前質問をしたところ、親切な御回答をくださったので、思い切って聴くしかないと思い、メールさせていただきました。現在わかっている範囲で結構です。どうぞ無礼な質問をお許しの上、妻をお救いくださいませ。

1) 変性し、長時間は生きていけません。
2) その通りです。
3) 分裂のときだけでなく、栄養不足のときなどにも死滅します。
4) 他の方のがん細胞が、体内に簡単に入り込んで増殖することはありませんので、あまり気にされないことが一番だと思います。(文責 加藤)

 

No.9610】  10年05月25日   I 
排卵への影響について

2年前に、左乳がん、リンパ節転移あり。左胸全摘出しました。抗がん剤治療、ハーセプチン治療も終わり、現在は経過をみています。検査のため、『骨シンチグラフィ』しました。検査日の夜に性交渉をしました。現在妊娠していることがわかり、卵子には、この時の薬や検査が、子供に何かしら影響はあるのでしょうか?

核医学検査による被爆量は100mGyを超えることはなく、胎児に影響を及ぼす可能性は低いと考えられています。(文責 加藤)

 

No.9609】  10年05月25日   R
パジェット病の症状でしょうか?

不安なので教えて下さい。パジェット病の症状でしょうか? 17歳のから19歳の時は、ただれと猛烈な痒み、黄色の汁が出て、膿んだりしていました。20歳から21歳の今は、猛烈な痒みと乳首のただれ(皮が剥けたり)と、凸凹した感じになっています。少し赤くなって、硬くなっています。治りかけても、お風呂に入るたびにまた皮がぐじゅぐじゅした感じになってしまいます。近くに乳腺外科がないので、普通の外科でみてもらったら、塗る薬を処方されたのですが、まだ不安が除ききれなくて、不安で仕方ありません。これはパジェット病の症状でしょうか?

お話を伺う限りでは、パジェット病の症状である可能性は低いように思います。処方薬で様子をみて、改善しないようなら再度受診をお勧めします。(文責 加藤)

 

No.9608-1】  10年05月24日   T 
手術までの待機時間

母が乳がんになりました。4/28日にかかりつけ医から紹介され、市の病院に行き、5/6に告知。乳房には2センチほど、左脇のリンパが一個触れる。本日、造影CTで、「胸骨下のリンパに炎症あり、骨転移なし」でした。今の病院は外科医が二人しかおらず、あまり大きな病院ではなく、少し離れた地域の乳腺専門医もいる中核病院への転院を希望し、紹介状は「今日は手術があって書けない。今週中には書きます。」とのことで、頼み込みましたが、ダメでした。母は、時間が延びると進行するのではないかと、不安で不安でたまらないようです。その気持ちも痛いほど分かります。大きな病院は待ち期間が長く、3ヶ月持ちも普通にあるし、そんな短期間では進行しませんなどの書き込みもありますが、実際にはどうなのでしょうか? 多少遅れて治療開始しても効果はあるのでしょうか? どうか教えてください。

ご相談頂き有り難うございます。御母様が乳がんと診断されて、さぞご心配の事と思います。私のお返事で少しでも安心して頂ければうれしく思います。さて乳がんと診断されてから治療開始までの期間ですが、施設により差はありますが、一般的に全身の検査などで1〜2ヶ月を要することが多いです。診断がつくと1日でも早く治療をお受けになりたいという気持ちはよくわかりますが、まずよく調べてから治療方針を決めることが大切です。また治療開始までの間に治療方針を変更する程極端に進行することは、無いとは申しませんが非常に少ないです。(文責 斎藤)

 

No.9608-2】  10年06月04日   T 
術前化学療法か手術か

お世話になります。以前HPNo.9608の手術までの待機時間でご相談した者です。母の乳がんですが、その後の諸検査で、状況がかわりました。胸骨の下のリンパにも転移があるとのことで、主治医の話では、「この部位は昔の手術では取っていたが、現在では、ここにあるのでは他の部位にも転移しているとみなして取らない。」とのことでした。そのために、まずは術前の化学療法を先にするという方針のようです。癌については、分かる範囲では、左乳房に2〜3cmの癌グレード3、ステージVc(Wに近い)、左腋下リンパにも転移があり、PETの結果、肋骨に集積があるとのことで、明日胸部の造影MRを予定しています。そこで、お聞きしたいのは、確かに、現在ではこのような場合には化学療法が先行するようですが、化学療法で手術ができる程度まで改善するのか不安で、このような場合には手術はあまり意味がなく、現在の治療方針でいったほうが良いのかどうかが知りたくてご相談しました。どうかよろしくお願いします。

MRIの結果によると思いますが、もし、胸骨の裏のリンパ節、肋骨への転移が確実である場合、手術は行わないというのが一般的です。遠隔転移ですので、局所の乳房を切除しても、完治が期待できないからです。ただ、化学療法が非常に良く効いて、乳房のしこり、骨、リンパ節ともに小さくなったとき(特に、骨、リンパ節の病変が消失し、乳房のしこりのみ、残存するとき)は、手術を行うこともあります(この場合の手術は賛否両論です。理由は以下に。) お母様の病変のホルモン感受性が不明ですので、明確には答えられませんが、化学療法が効果的であったが、副作用も少しきつい・・などの場合、ホルモン療法でメインテナンスという治療法に移行します。化学療法後に手術の有無にかかわらずホルモン療法は行うことになるわけで、乳房のしこりは、ホルモン療法の効果判定の為に残しておいた方が良いということになります。であれば、手術は行わずに、ホルモン療法を行ったが効果が乏しい・・、腫瘤が大きくなってきた時などに、局所コントロールの目的で手術という選択肢もあり、何も今、切除しなくてもいいであろう、ということです。ホルモン感受性が陰性の場合は、化学療法の効果と副作用を考えながら、化学療法を継続することになります。要約すると、遠隔転移を伴う病変であれば、局所の手術ではなく、全身の治療が大切ですので、手術は二の次ということになります。(文責 鈴木)

 

No.9607】  10年05月24日   T 
放射線治療中です

右胸の温存手術後、放射線治療中です。治療の際、週に1回の血液検査があり、診察では「白血球など何も問題はありませんので、そのまま治療を続けましょう。」と、言われています。何も問題ないとは、転移や再発はないととらえていいのでしょうか?  

ご相談頂き有り難うございます。私のお返事で少しでも安心して今後の治療をお受け頂く事が出来ればうれしく思います。放射線治療を行うことで、骨髄抑制が起こり白血球が減少してしまうことがあります。診察で「白血球など問題ありませんので・・・」の部分は、この骨髄抑制が出ていない事を確認しているのであって、転移や再発の確認とは異なるのではないかと思います。しかしこの白血球の採血と一緒に「腫瘍マーカー」という、がんがあるかどうかの目安になる検査も測定しているかもしれません。この値も測定しているかどうかは、ご担当の先生に直接お尋ね頂き、確認して下さい。(文責 斎藤)

 

No.9606】  10年05月24日   S.T.
今後の治療について(HPNo.8949-6)

以前8949で相談させていただいた者です。お世話になっています。35歳の姉ですが、FEC×6クール、タキソール4クール終了後に、4月5日に右乳房全摘出を受けました。その後の病理検査で、完全奏功という、とても嬉しい結果でした。ただ、6月に見つかった当初、トリプルネガティブ、鎖骨か,胸骨ぼうリンパ節、腋窩にも転移があり、腫瘍の大きさも3.6センチと大きかっため 主治医の先生とも相談し、あと2クール、タキソールをする事にしました。完全奏功の結果は、予後も良い方が多いと聞いているのですが、姉の場合も、再発の危険は少ないと考えてもよいのでしょうか。あと2クールの治療後は定期検診のみになってしまいますが、他にできる治療は、やはりないのでしょうか。まだ子供が小さいため、再発の危険をできる限り少なくするため、できることはやりたいのです。

ご相談有り難うございます。お姉様が術前化学療法により病理学的に完全奏効を得られて良かったですね。さてご質問の今後の見通しですが、今までの臨床試験の結果からは、完全奏効を得られた方は、得られなかった方と比較して生存率が明らかに良いという結果がでています。すなわちS.T.さんがおっしゃるように「再発の危険は少ない」のですが、全く再発しないわけでは無いという点をご理解頂きたいと思います。またトリプルネガティブの方は、化学療法終了後は定期検診のみとなり、残念ながら他に行う治療はございません。治療をしていないというのはご不安かもしれませんが、今まで頑張られたのですから、少しのんびりされるのもよろしいのではないかと思います。(文責 斎藤)

 

No.9605】  10年05月24日  A.S.
術後の再発について

はじめてメール投稿します。よろしくお願い致します。術後の再発についてですが、私の友人が先月初め乳がんの摘出手術をしました。左胸全摘出だったようです。私もあまり詳しい内容はわからないのですが、術後1ヶ月もしないうちに左胸脇が炎症を起こし、検査で悪性だと判断されました。しかも肺にも転移していたようです。全摘出するにあたって、乳がんの大きさが大き過ぎたので、半年以上抗がん剤治療をし、大きさを小さくしてからの摘出となりました。そのころの検査では、骨や他の臓器に転移はなく、リンパには少しあるようでした。術後しばらくよかったようですが、連休前くらいから左胸脇が赤くなり、以上な早さで腫れてきたようです。以前とは比べものにならないくらいのスピードで・・。こんなに早く再発することはあるのでしょうか? また、術後「ホルモン治療が合う」と言われ、治療を始めましたが、間もなく「合わないので違う薬に変えましょう」と言われ、薬を変えるのに1週間期間をおいたりしていました。この薬を試して、しばらく様子をみて・・・の繰り返しです。すぐ効果が現われるとは思いませんが、時間ばかりかかって、その間にもどんどん癌細胞が大きくなっています。これは仕方のないことなのでしょうか? また去年から検査や治療をしてきて、薬が合う合わないというのは、ある程度わからないものなのでしょうか? ご返信の程、宜しくお願い致します。

ご相談頂き有り難うございます。お友達のご病状心配ですね。私のお返事で、少しでもご心配が解消して頂ければうれしく思います。A.S.さんのお友達は、術前化学療法施行後に乳房切除術をお受けになり、術後1ヶ月で脇の再発と肺転移が見つかってしまったのですね。ご相談の内容からは、術前化学療法の効果や乳がんの性格がわからないのですが、1ヶ月で再発した点から悪性度が高い印象を受けます。悪性度の高い乳がんの場合、時としてお友達のように術後すぐに再発してしまうことがあります。ホルモン治療は、内服してから効果が見られるまでには、月単位の時間を要することは一般的です。現在内服しているお薬がホルモン剤なのか抗がん剤なのかわかりませんが、投与前にお薬の効果(合う合わない)を調べる方法は、一般臨床では残念ながら無く、投与して効果を見ていくしかありません。お友達は、冷静にサポートして下さるA.S.さんがそばにいらして心強いのではないかと思います。(文責 斎藤)

 

No.9604】  10年05月24日   H
葉状腫瘍

去年健康診断でしこりが見つかり、細密検査を受けて、クラスVだったため、経過観察となっていました。先日1年ぶりに近くの病院の乳腺外科で、エコー、マンモグラフィ、造影剤使用MRI検査を受けました。腫瘍の大きさは、10mmから15mmになっていました。今回腫瘍の周りに石灰化が見られるなど、乳癌の所見があるということで針生検を受けました。組織を採取するときにバチン!と音がするやつです・・・。病理検査の結果は「葉状腫瘍」とありました。担当医師からは、悪性かどうかはっきりさせるためにマンモトーム生検を薦められ、6月7日に予約をしました。しかし家に帰ってネットで調べたところ、葉状腫瘍は摘出して全部しらべてみないと悪性かどうかの判断は難しいとありました。針生検で葉状腫瘍と診断されているのに、さらにマンモトーム生検を受ける必要はあるのでしょうか?

ご相談頂き有り難うございます。私のお返事で少しでも今後の方針に関する不安が軽減して頂ければうれしく思います。Hさんがおっしゃるように、葉状腫瘍は摘出をしなければ良悪性の判断は困難です。針生検やマンモトームの重要な目的は、乳がんを見逃さないことが大切です。ご担当の先生が何を目的としてマンモトーム生検を行うのかをもう一度よくお聞きになり、納得されてから検査をお受け頂くのがよろしいのではないかと思います。(文責 斎藤)

 

No.9603】  10年05月17日   E
対側への転移について

再発炎症性乳がんで植皮を伴う右全摘手術をして、今はホルモン治療のみです。

1) 対側の左の胸が、右の再発時と同じように硬く腫れています。以前、主治医に左胸に転移することもあると聞きましたが、炎症性乳がんは、対側に転移する可能性は高いのでしょうか?
2) 右のリンパ節はレベルVまで郭清していますが、リンパが腫れているとは、どのような症状でしょうか?
3) 左の脇から胸にかかるすじのような場所に、比較的やわらかい、こりこりしたしこりが沢山ありますが、これは脇の下のリンパが腫れているということなのでしょうか?
4) 右鎖骨上リンパまで転移があり、全身転移をいつしてもおかしくない状態の為、検査を今後しても意味がないと、通院もあまりしなくていいと言われています。左胸に転移があっても、主治医は、さほど気にされないと思います。次に今の病院にいって診てもらうのは1ヶ月後ですが、私のような場合は、気にせずに今の生活を送ることが一番いいのでしょうか?

1) 炎症性乳がんは皮膚・皮下のリンパ管を通って広がる傾向があり、皮膚の場合そこが赤く見えるので、炎症のように見えてその名があります。いきなり反対側の乳腺には転移しないと思いますが、皮膚・皮下のリンパ管を伝って反対側に転移する可能性はあると思います。硬く腫れているのが乳腺(深い部分)ではなく、皮下の乳房内リンパ節なら可能性は有るのではないかと思います。
2) ご質問の意味が良く判りません。右のレベルVを超えた部分のリンパ節が(何らかの理由で)腫れることは考えられますが・・・。
3) これも診察をしてみないと判りません。(何でもないことを含め)いろいろな場合が考えられます。是非主治医にご相談ください。
4) 身体の変化があった場合、治療の変更をする可能性があると思いますので、気になる症状があれば受診された方が良いと思います。治療の変更につながらない場合は、診療を受ける意味が少ないので、少々バツが悪いかもしれませんが、心配があるなら受診される方が良いと思います。(文責 久保内)

 

No.9602】  10年05月17日   サラ
乳がん検診について

先日、乳がん検診を受けました。年齢が若く、乳腺が多いとのことで、マンモグラフィーには何も写りませんでした。しかし、超音波検査で、しこりが見つかりました。先生曰く、「悪性には見えないし、おそらく良性でしょう。」とのことでした。すこし気が動転していて、先生の説明をしっかり覚えていませんが、よくあるものだそうです。母が乳がんをしているので、がんに対する知識は少しあり、細胞検査はしなくていいのかな?と思いましたが、その先生は特になにもおっしゃらず、また検診うけてくださいね〜と軽い感じでした。母のこともあり、あとから不安になりメールさせていただきました。超音波検査のみで良性と判断し、ほおっておいてもいいものなのでしょうか?

マンモグラフィで所見が無く、超音波だけで見える乳癌は有り得ます。しかし、あなたの超音波検査で見つかったしこりが、どのような所見だったのかによって、乳癌や他の乳腺疾患の可能性が異なると思います。超音波検査で明らかに良性所見(カテゴリー2と言います)なら細胞検査も必要ないでしょうし、全体に紛れる乳腺症やのう胞症の場合は経過観察も不要と思います。1/50~1/100位癌の可能性が有る場合(カテゴリー3a)で小さければ経過観察でしょうし、1/10~1/20の可能性(カテゴリー3b)が有って患者さんが嫌がらなければ細い針での細胞診をするかもしれません。所見により良性と判断し放置する場合があることは事実ですが、あなたの場合がそれに当てはまるかどうかは、この場では判断できません。(文責 久保内)

 

No.9601】  10年05月17日   S.S
両腋下リンパの張れについて

34歳です。現在4ヶ月の赤ちゃんの授乳中です。他に6歳 3歳の子供がいます。出産直後、左胸にしこりを見つけ乳腺外来を受診しました。マンモグラフィー、エコー、触診でしこりは問題ないとの事でした。その後三ヶ月後位に両方の腋下にグリグリとしたリンパを1センチ弱触れました。内科受診し、CTもとりました。採血でも異常なしでした。CTの結果も他の臓器からの転移でもないようだとの事で、経過をみています。乳腺外来を受診した時の触診よりも、更に深い所のリンパにも思うようですが…。乳癌検査では問題なかったので安心していましたが、急激に乳癌の転移とかになるのかと不安になり、質問させていただきました。授乳中のためでしょうか、胸から脇の下に通る血管が皮膚表面に浮き出て、脈打つ感じもあります。漢方のサイトなどには血液の滞りがシコリとなる時もあると書いてありましたが…。お忙しい中、申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

乳腺外来と 内科を受診されて異常なしとのことですので、問題はないかと思いますが・・・ ご自身で「触れる」という「腋のしこり」が何なのかをしっかり診断してもらってください。よく受診される方が、「乳房や腋窩のしこり」を訴えますが、その部位を(表在プローブの)超音波検査で何も見られないことや、乳腺だったらのう胞のような治療を要しない所見・腋窩だと正常のリンパ節であることが多く、「触れると感じていても病気ではないから問題なし」と言ってお帰しできることが多いものです。ちなみに、腋窩から発生する(乳房に何の所見もない)乳癌はゼロでは無いけれど学会での症例報告という発表ができるほど少なく、リンパから発生するリンパ腫の場合は乳腺外科ではなく血液内科で治療される疾患です。(文責 久保内)

 

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