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相談室(No.8601〜8700)

このページは乳がんに関する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。

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なお治療法は、患者さんと主治医がご相談されて決定されるものであり、この相談室でお答えできるのは、一般的な参考意見であることをご了解下さい。

当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

目 次

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No

日 付

名 前

件  名

担 当

8700 09/02/10 C  術後の治療法について 俵矢
8699 09/02/10 Y.I. ホルモン治療について 俵矢
8698 09/02/10 V 骨転移を心配しています(HPNo.8692-2) 俵矢
8697 09/02/10 O  NCCST439上限値超について 俵矢
8696-1
8696-2
09/02/06
09/06/14
S  非浸潤癌の術後治療について
術後の痛みについて
俵矢
吉田
8695-1 09/02/06 AYY 術後5年のホルモン療法について(HPNo.4438-2) 俵矢
8694 09/02/06 Y  病理組織結果について 俵矢
8693 09/02/06 n o 再発から3年(HPNo.7524-2) 俵矢
8692-1
8692-2
09/02/03
09/02/10
V  骨転移を心配しています
骨転移を心配しています(2)
清水
俵矢
8691 09/02/03 M.O. 要精密検査 清水
8690 09/02/03 A  今後の術後治療について 清水
8689 09/02/01 MK 今後の治療方針について 清水
8688 09/02/01 T どうしたらホルモンバランスを正常に戻せますか? 清水
8687 09/02/01 M.N. 腫瘍マーカーについて(HPNo.7559-5) 清水
8686 09/02/01 Y.O. LH−RHアゴニストについて 須田
8685-1
8685-2
09/02/01
09/02/10
N  進行が早いのでしょうか?
放射線設備について
須田
俵矢
8684 09/02/01 しずく アリミデックス 1mg 須田
8683 09/02/01 M.N.  右脇下のしこり 須田
8682 09/02/01 M.M. アロマターゼ阻害剤副作用について 須田
8681 09/02/01 H・T 腫瘍マーカーの上昇 須田
8680 09/02/01 M  乳がん疑い 須田
8679 09/01/29 M.K. 母のこと 清水
8678 09/01/29 ゆぅ  タスオミン(HPNo.7915-8) 清水
8677 09/01/29 C.K. 術後の補助療法について(HPNo.8667-2) 清水
8676 09/01/27 P  生存率などをおしえてください 高橋
8675 09/01/27 S  線維腺腫 高橋
8674-1
8674-2
09/01/27
09/03/11
S.T.  断端0.1cm
子宮筋腫と乳癌のホルモン療法
高橋
石川
8673 09/01/27 M  再発(転移)と考えるべきでしょうか? 高橋
8672 09/01/27 N  10歳の子供の胸のしこりについて 高橋
8671 09/01/25 Y  腰の痛みについて 高橋
8670 09/01/25 JUNE 線維腺腫について(HPNo.8203-3) 高橋
8669 09/01/25 M 化学療法の選択について 高橋
8668 09/01/25 C.Y. 術後の化学療法について(HPNo.8402-3) 高橋
8667-1
8667-2

8667-3
8667-4
8667-5
09/01/23
09/01/29
09/02/10
10/07/26
13/02/12
C.K 手術後の補助療法について
術後の補助療法について(2)
抗がん剤による早期閉経について
ホルモン治療について
ホルモン治療について
高橋
清水
俵矢
浜口
吉田
8666 09/01/23 S  ホルモン治療と妊娠について 高橋
8665 09/01/23 T  経過観察で大丈夫でしょうか? 高橋
8664 09/01/23 ゴン太 化学療法中です 高橋
8663 09/01/23 S  リュープリン治療について 高橋
8662 09/01/22 D.S.  母のしこりについて(HPNo.8394-4) 高橋
8661 09/01/22 A  薬の副作用について 高橋
8660 09/01/22 K 乳輪及び乳首のかゆみと出血について 高橋
8659-1
8659-2
09/01/21
09/03/23
Y 再発後の治療について
点滴の抗がん剤と内服の抗がん剤の効果の違いや、現在の治療の妥当性について
須田
石山
8658 09/01/21 K.I. 薬剤の変更について(2)(HPNo.8650-2) 須田
8657 09/01/21 Y  術後の治療方針について 須田
8656 09/01/21 T.A.  経過観察でいいのでしょうか? 須田
8655 09/01/21 H.M. アロマシンとイソフラボンの摂取 須田
8654 09/01/21 T  乳がんの再発・転移について 須田
8653-1
8653-2
09/01/21
11/01/16
T.O.  ホルモン剤の効力と変更について
ホルモン剤終了後について
須田
斎藤
8652 09/01/13 T  術後化学療法と生存率について 首藤
8651 09/01/13 H  8歳の娘の胸のしこりについて 首藤
8650-1
8650-2
09/01/13
09/01/22
K.I.  薬剤の変更について
薬剤の変更について(2)
首藤
須田
8649 09/01/12 KM アロマシンについて(2)(HPNo.8645-2) 首藤
8648 09/01/12 M ホルモン療法の期間 首藤
8647 09/01/12 Y 乳がん検診について 首藤
8646 09/01/09 H.K. ホルモン剤の副作用について 鈴木
8645-1
8645-2
09/01/09
09/01/12
K、M アロマシンについて
アロマシンについて(2)
鈴木
首藤
8644 09/01/09 M  タスオミン服用中の妊娠の可能性について 鈴木
8643 09/01/09 C  脇のシコリについて 首藤
8642 09/01/07 N.T.  心配のない状態でしょうか? 首藤
8641 09/01/07 K  乳頭出血について(HPNo.8600-2) 首藤
8640 09/01/07 Y.N. ホルモン療法について(HPNo.8609-2) 首藤
8639 09/01/05 M  脇の下のしこり(HPNo.8614-2) 鈴木
8638-1
8638-2

8638-3
09/01/05
09/03/13
10/11/15
S  病理結果と術後治療について
抗がん剤とホルモン治療について
ホルモン治療の切り替えについて
鈴木
石川
浜口
8637 09/01/05 M.H. 今後の治療方針について(2)(HPNo.8445-2) 鈴木
8636 09/01/05 Y.T. 肝転移の場合の治療について 鈴木
8635 08/12/30 K.I. 主人の胸のしこりについて 清水
8634 08/12/30 N 局所再発の疑いと摘出生検について(2)(HPNo.8601-2) 清水
8633 08/12/30 N  治療施設について 清水
8632 08/12/30 S.N.  非浸潤癌術後のホルモン剤内服について 清水
8631 08/12/28 M.K. リュープリン治療について 淺川
8630 08/12/28 C  術後5年の治療について 淺川
8629 08/12/28 N.H 線維腺腫 淺川
8628 08/12/28 S.N. 非浸潤がんの取り残しに対して 淺川
8627 08/12/28 MK 予後が悪いのは? 淺川
8626 08/12/28 Y  放射線治療について 清水
8625 08/12/28 I・T 術後の化学療法について 清水
8624 08/12/28 M  術後の補助療法について 加藤
8623 08/12/28 S.M. ホルモン治療について 加藤
8622-1
8622-2
08/12/28
09/02/18
R.M.  3ヶ月の再検査
他医師での検査後
加藤
浜口
8621 08/12/28 S  授乳中でも検査した方がいいでしょうか? 加藤
8620 08/12/28 S  左乳腺腫癌の疑い 加藤
8619 08/12/28 C.I. 今後の治療と検査について(HPNo.8056-4) 加藤
8618 08/12/28 T  乳首からの出血 加藤
8617 08/12/28 A  しこりの小さな補助療法について 加藤
8616 08/12/28 OK NCCST439上限値超について 加藤
8615 08/12/28 KW しこりの硬さ 加藤
8614-1
8614-2
08/12/28
09/01/05
脇の下にあるしこり
脇の下のしこり(2)
加藤
鈴木
8613 08/12/28 h.s 経過観察中のしこりについて 加藤
8612 08/12/28 T.H. ゾメタ投薬治療中の歯科治療について 加藤
8611 08/12/28 K  骨転移の治療について(HPNo.8446-3) 加藤
8610 08/12/28 K  ビリルビン上昇について(HPNo.7563-7) 加藤
8609-1
8609-2
08/12/28
09/01/07
Y.N. ホルモン治療の再発率について
ホルモン療法について
加藤
首藤
8608 08/12/28 MY 胸の痛みについて 加藤
8607 08/12/25 M.M. ゾラテックス 清水
8606 08/12/25 Y  アポクリン化生としこりの経過観察について(HPNo.5204-5) 清水
8605 08/12/25 Y  薬剤変更について 清水
8604 08/12/25 MG 生検を何度も受けるとガンが転移し易くなるのでしょうか? 清水
8603 08/12/25 E  ハーセプチンについて 清水
8602 08/12/25 C.A. 穿刺吸引細胞診の精度について(HPNo.8401-3) 清水
8601-1
8601-2
08/12/25
08/12/30
N  局所再発の疑いと摘出生検について
局所再発の疑いと摘出生検について(2)
清水
清水

 

 

 

No.8700】  09年02月10日  C 
術後の治療法について

46歳女性、今年1月に乳がんの手術を受けました。腫瘍の大きさは、1.5センチと1センチ、ふたつとも右側のみ。脇窩リンパ節に2つ転移。ステージ2A、グレード2、ホルモン反応90%、HER2陰性です。日本で手術を受けた先生によると、術後の治療は放射線とホルモン治療が効くと言われ、ほっとしたのですが、現在住んでいるところでは、抗がん剤のあと放射線、そしてホルモン治療といわれました。できれば抗がん剤は避けたいですが、必要であれば受けたいと思っています。どちらがいいのでしょうか。回答よろしくお願いします。海外在住より。

リンパ節転移が二つあるということなので、抗がん剤を追加するメリットはありそうです。ただし、ホルモン療法もよく効きそうな方なので、多少再発リスクの軽減効果が下がることを認識したうえで、抗がん剤をやらないという選択肢もあると思います。主治医に相談してみてください。(文責 俵矢)

 

No.8699】  09年02月10日  Y.I. 
ホルモン治療について

ホルモン治療について質問させてください。34歳女性です。半年前に温存術を行い、ホルモン陽性と出ました。その後、化学療法を実施したため生理が止まってしまい、最後の化学療法終了から約二ヶ月半が経過していますが、未だに無月経です。先日採血を行い女性ホルモンの状態が50〜60代レベルまで低下しており完全な閉経状態だと言われました。しかし、年齢的に生理が戻る可能性は80%であることや、半年くらい経たないと戻らないとの説明でした。しかし現在は閉経状態であるためリュープリン注射は生理が戻ってから行い、今後は飲み薬のみを行うことにすると主治医から説明されました。
1) 30代中頃が、化学療法終了後二ヶ月半で閉経状態となるのは一般的かどうか。
2) 生理が戻る可能性は本当に80%あるのか。
3) リュープリン注射は二年間行うことにエビデンスがあるが、たとえば半年後に生理が戻ってから注射を始めた場合、注射は一年半でよいのか。
4) 飲み薬は閉経後を対象とした薬とするべきか。生理が戻った後は閉経前を対象とした薬に変更してもよいのか。

以上の4点です。よろしくお願いします。

1) 化学療法の内容によって、無月経になる確率も多少異なりますが、珍しいわけではありません。
2) 化学療法の内容によって異なりますが、まだ2か月しか経過していないので、もう少し待ってみましょう。
3) リュープリンやゾラデックスを何年やるのがよいかについては、意見の分かれるところです。現時点では2年-5年が推奨されていると思います。再発リスクの大きい方ならば、5年間やることもあると思います。期間については主治医とよく相談してください。
4) とりあえずは、年齢がまだ30歳代なので、タモキシフェンを行うのが一般的と思います。生理が戻るようならリュープリンを追加することになると思います。(文責 俵矢)

 

No.8698】  09年02月10日  V
骨転移を心配しています(HPNo.8692-2)

丁寧な回答ありがとうございました。よくわかりました。もう一点だけ、骨転移についてお聞かせください。アメリカのこちらの病院では腫瘍マーカー検査等一切なく、3年前の手術後、今回が始めてのレントゲン検査、MRI検査でした。痛みがあった腰骨の転移はMRIで問題ないようですが、例えば痛みのない他の骨転移のチェックのために骨シンチも一度は受けた方がよいでしょうか。それとも特に痛みなどの自覚症状がないのに骨転移を心配して骨シンチ検査を受けるのは意味がありませんか?今の病院では、こちらからかなりアグレッシブに言わないと、何の検査もありませんので、今回のチャンス(?)に骨シンチをやってもらおうかどうか迷っています。現在、42歳、1.4cmの腫瘍で温存手術後、化学療法、放射線治療、タモキシフェンを服用しています。

症状がない場合、術後の骨シンチグラムは特に必要なものではないと、日本乳癌学会のガイドラインでも明記されております。「意味がない」というのは、骨転移の発見率と、経済的負担、肉体的負担を考えるとつりあわないということです。一回の骨シンチグラフィが体にそれほど負担をかけるわけではないので、悩んでいるより、ご心配ならば主治医にやってみてほしいと話してみてはいかがでしょうか。(文責 俵矢)

 

No.8697】  09年02月10日   O
NCCST439上限値超について

腫瘍マーカーが、上限値越えしている件でご相談しました。PETをうけたところ、胸骨の右リンパ節にがんが転移していました。早速1月28日にファルモルビシントエンドサキン、5−FUの3薬剤の併用療法を実施しました。3週間毎に6回実施予定です。その後、タキソテール(またはタキソール)の化学療法に変更して継続予定です。また放射線も30回予定しています。以上の治療で、どのくらいの効果があるのか、完治が見込めるのか、お知らせ願います。

化学療法と放射線療法を行っているので、十分な治療が行われていると思います。他の情報が少ないので、どのくらいというのは難しいです。具体的な情報をもっている主治医の先生におたずねください。(文責 俵矢)

 

No.8696-1】  09年02月06日   S 
非浸潤癌の術後治療について

H20年12月11非浸潤ガンで部分切除して、今年1月始めの診察で、病理結果がはっきりしました。その結果、しこりは、9X5ミリ、Tis N0 M0 で、intermediate Grade とのことでした。センチネル生検も念のためしたのですが、1個とって、調べたら陰性だったとのことで、リンパ転移もなしです。ホルモン受容体は、ERが+であったので、タスオミン10mgを朝晩2回、現在飲んでいます。患部の傷もきれいになったので、2月中ごろより、放射線をやってはどうかといわれました。断片陰性で十分に取りきれているのですが、副作用の件で迷ってしまっています。それと、現在飲んでるホルモン治療薬も、子宮ガンのリスクが上がったり、肝臓が悪くなるなどの副作用があるので、5年飲み続けるか否か迷っています。(飲んで、1ヶ月になりますが、自分で感じる副作用は今のところありません。)
主治医も、ご自分で判断してもらっていいと思うというようなことをいわれるのですが・・・。放射線治療は受けて、ホルモン治療はなしといった選択はできるのでしょうか? また、免疫力をあげる漢方を飲んで再発防止をしたら、副作用はないように思うのですが、どうでしょうか? ご回答、よろしくお願いします。

温存療法なので、放射線療法については行っておいたほうがよろしいかと考えます。ホルモン療法については、再発リスクが低いグループになるので、なくてもよいかもしれません。この場合、いわゆる「遠隔転移再発」のリスクはほとんど考えなくてもよいので、ホルモン療法の主な目的は、「新たに発生する乳癌」を予防することになります。非浸潤がんの術後にタモキシフェンを行うかどうかは専門家の間でも意見の分かれるところであります。
免疫力を上げる漢方?というのがどれをおっしゃっているのかが不明ですが、現在のところ癌を予防できるという根拠のある漢方薬はありません。また、漢方薬であっても西洋薬であっても副作用の全く出ない薬はありません(出現頻度は個々の薬によって異なりますが)。(文責 俵矢)

 

No.8696-2】  09年06月14日   S 
術後の痛みについて

HPNo.8696で回答いただいた者ですが、あの時は有難うございました。タスオミンを2ヶ月半ほど飲んだのですが、寝汗がひどくなったり、下腹部が痛んだり生理がとまったりしたので、主治医と相談したところ、副作用と天秤にかけて考え、「非浸潤で、余裕をもって大きめに切除してるし、やめますか・・・。」ということで、薬を中止することになりました。その後、25回の一日2グレイの放射線治療も終わり、半年後の検診(9月)まで、無治療ということになり、生理も順調に戻り、放射線後の胸も綺麗に白くもどりかけて元気にすごしていたのですが、ここ10日ほど前から、手術した右胸のセンチネルリンパ1個を切除した付近が痛くなり、反対の胸と比べて少しふくらんでいるようにも見えます。痛みは激痛ではなく、チクチクっとしたり、付近を押さえると痛いといった状態で、日中は、「あっ、痛っ」と、たまに思うくらいですが、術後で一番痛いと思うので、ちょっと気になっています(普通、痛みは徐々におさまるものだと思うので・・・)。あまり、神経過敏になるから、痛みが気になるのかとも思ってみたりもするのですが、次回の診察が9月なので、こちらにご相談させていただきました。再発か何か考えられるでしょうか? ご回答よろしくお願いいたします。

何が原因なのか判りませが、非浸潤癌であったことより再発は考えにくいです。痛みが強いことより炎症を伴ったものと思いますが、早めに受診することをお勧めします。(文責 吉田)

 

No.8695】  09年02月06日   AYY
術後5年のホルモン療法について(HPNo.4438-2)

2005年9月にNo.4438でご相談させていただいた者です。その節はありがとうございました。2009年3月に術後5年となり、今後のホルモン療法を検討する時期となりました。今後どのような選択肢が考えられますでしょうか。アドバイスをお願いいたします。2004年7月よりノルバデックスを服用。2006年6月にゾラデックス終了。2007年3月ノルバデックスをアロマシンにスイッチすることを検討していましたが、骨密度検査により骨粗鬆症(Tスコア マイナス3.3)であることがわかりスイッチせず。2008年6月骨密度(Tスコア)はマイナス2.7でした。2009年2月現在ノルバデックスを服用中。ボナロン錠も服用中。閉経しています。骨粗鬆症のリスクがあるため、このままノルバデックスを継続する方が良いでしょうか? その場合は、今後何年くらいを目安に服用することになりますでしょうか? アロマシンにスイッチすることは考えられますか? この場合も何年くらい服用することになりますでしょうか? または、ホルモン薬の服用を終了ということになりますでしょうか? ホルモン療法の継続で再発が少しでも押さえられるのであれば、前 向きに検討したいと思います。どうぞよろしくお願いします。

閉経していらっしゃるということなので、お薬を今後継続するならば、ノルバデックス継続よりもアロマターゼ阻害剤に変更して5年間がよろしいかと思います。ただし、骨密度が低めなので、骨粗鬆症のお薬を併用しながらのほうがよさそうです。(文責 俵矢)

 

No.8694】  09年02月06日    Y 
病理組織結果について

お世話をおかけします。54歳です。平成18年10月、入浴中に右胸にしこりを発見しました。乳輪から5cmくらい上(私は痩せ型で、かなり上に感じます)にあり、こりこりしてよく動きました。翌日、近くの外科にてエコーを受けました。右胸にしこりが3個あり、内、2個はのう胞で(水がたまっているだけ)心配ない、1個が中にもやもやしたものが写っているので腫瘍の可能性があるが、小さいので(7ミリくらい)様子をみましょうと、その後、半年に1回のエコー検査を受けていました。昨年6月の検査では、最初に受けたときと同じ大きさで変化がないので、また半年後に…とのことでした。10月くらいに、しこりが大きくなったような、以前はよく動いていたものが根が張ったように感じるようになりました。11月にいつものクリニックでエコーを受けると、急激に大きくなっているため(11ミリ)、癌のつもりで大きな病院で手術を受けるようにと、M病院(個人病院)を紹介され、12月初旬に針生検を受けました。結果は癌でした。ホルモン受容体ER+80% PGR+70%。手術をして、後は放射線とホルモン治療でいけるとのことでした。
昨年6月から更年期にてホルモン補充療法を始めました(エストラーナという貼り薬)。外科では、ホルモン補充が腫瘍を刺激して大きくなったのでは、と言われました。(ホルモン補充は、わずか5ヶ月間ですが私もそんな気がします) M病院でも、初診のとき、気になったのでホルモン補充のことを伝えましたが、ぜんぜん気にされていないようでした。手術前にホルモン治療(フェマーラ37日間)をして、今年1月19日に手術しました。センチネルリンパ節生検で、小さなリンパ節1個を5分割した、うちの1個についていたからと(癌?)、「ちょっとでね、たいしたことないけど・・・」と言われました。腋のリンパ節10個をかくせいされました。その10個からは癌細胞は検出されず。腫瘍はグレード1、組織の周りに浸潤せず、きれいでしたとのこと。癌の種類は代表的な3種類には属さず?まれな種類とのこと。
病理組織については、術前の針生検では、ホルモン受容体2種類とも+だったものが、術後の病理組織ではホルモンは2種類とも− HER2− トリプルネガティブという性質の悪いものだと言われ、しこりが4個あり(手術当日の朝、MRIで見落としていた腫瘍が1個みつかったとかで計4個)、全摘になってもいいから、すべて切除するということでしたが、2個残して温存となりました。(癌は1個のみ 12ミリ)(1個は良性だから残したとのこと、術前は、良性ならくりぬきますと説明あり、3ミリの癌は放射線でいけるので残したとか、切り方も術前は横と聞いていたのに縦切になっていました。

1) 病理組織とは、みるたびごとに違うものなのでしょうか。そのために、患者は振り回されるのは辛いです。そして、再検したら、ホルモン受容体ERのみ+40%とのことでした。同じ組織で、そんなにころころ変化するものなのでしょうか?それにより治療方針が変わります。
2) ホルモン補充療法の影響で病理組織に影響がでているのでしょうか。
3) フェマーラを37日間飲んだだけで、ホルモン受容体ERが+40%になるのでしょうか。PGRはマイナスになっていました。

長々と書いて申し訳ありません。どうぞ、何卒よろしくお願い致します。

1)3) 針生検では、病変のごく一部を採取して、とれたところを診ています。手術では、がんの病変を全部切除してみていますから、針生検の結果と手術検体での病理組織検査の結果が多少くい違うこともあり得ると思います。病理検査結果のことは、どういういきさつなのが主治医に確認してみてください。
2) 婦人科で行ったエストロゲン補充療法の影響はどうか?というご質問でしょうか。ホルモン受容体陽性のがんだと増大することはあり得るかもしれません。ただし、数か月の短期間で増大しうるかといわれると、ちょっとよくわからないというのが正直なところです。(文責 俵矢)

 

No.8693】  09年02月06日    n o
再発から3年(HPNo.7524-2)

またお世話になります。ちょうど一年前に母について相談させていただきました(HPNo.7524)。メールをいただいた後、当時の治療(ノルバデックス)を中止しました。主治医からは「次は抗癌剤」と言われたのですが、私も母もホルモン剤にこだわって、なんとか(フェマーラ)にしてもらいました。
あれから1年、マーカーは一時下がりました。しかし2週間前の検査結果、また少し上がり始めたらしく、「今度は抗癌剤」と言われました。骨転移の方は(ゾメタ)のおかげか、小さくなっています。他の臓器への転移としては、胃に少しあるらしいですが、大した事はないと言われました。今すぐ何かしなければいけない状況ではないようですが、マーカーの上昇が気になるので、「次の段階へ」という事らしいです。以前使った抗癌剤は、体への負担が大きかった事もあり、母は躊躇しています。これまで再発後に使って、合わずに中止したのは(TS-1)(ゼローダ)です。これからの選択肢としては何があるのか、教えていただけたらと思います。よろしくお願い致します。

まず、腫瘍マーカーが上がり始めたとのことですが、骨転移のほうは落ち着いていて、他の転移が増大していないのであれば、同じ薬をもう少し続けてみる選択肢もあると思います。ただ、明らかに病状が増悪しているのであれば、まだ使っていないホルモン療法剤(たとえば、フェアストン、黄体ホルモン剤など)を考慮するか、抗がん剤に移行ということになると思います。抗がん剤はTS-1,ゼローダが使用済みであれば、他のもの アンスラサイクリン系抗がん剤、タキサン系抗がん剤、ナベルビンなどなどあります。ただし、抗がん剤は、ご高齢であったり合併症があると使いにくい場合もあります。主治医の先生とよくお話になってください。(文責 俵矢)

 

No.8692-1】  09年02月03日    V 
骨転移を心配しています

3年半前に温存手術をし、化学療法、放射線治療のあと現在タモキシフェンを服用しております。腫瘍は1.4cm、ステージIでした。数ヶ月前から背骨の一箇所に押すと痛みがあり、最近その痛みがひろがったような感じがあり、先日MRIを受けました。MRIでは特に以上はありませんでした。念の為骨シンチも受けたいと思うのですが、MRIで転移がみつからず骨シンチでみつかるということはあるのでしょうか? 現在アメリカ在住で、こちらの病院では腫瘍マーカーの検査などはありません。アドバイス、よろしくお願いいたします。

骨シンチは痛みもなく腫瘍マーカーが上昇した場合とか、骨転移が見つかった時に他の骨に転移がないかどうかを調べるのに有用な検査で、痛みがあってその原因が転移かどうかを調べるならばMRIが適当だと思います。MRIで異常なしと言われたならば、転移の心配はしないで、整形外科の先生に診てもらったら良いのではないでしょうか?骨シンチは転移以外にも様々な原因(骨折、打撲、変形性疾患等)で異常集積を起こします。ですから、MRIで異常なく骨シンチで異常ある場合は転移以外の原因を考えます。(文責 清水)

 

No.8692-2】  09年02月10日    V 
骨転移を心配しています(2)

丁寧な回答ありがとうございました。よくわかりました。もう一点だけ、骨転移についてお聞かせください。アメリカのこちらの病院では腫瘍マーカー検査等一切なく、3年前の手術後、今回が始めてのレントゲン検査、MRI検査でした。痛みがあった腰骨の転移はMRIで問題ないようですが、例えば痛みのない他の骨転移のチェックのために骨シンチも一度は受けた方がよいでしょうか。それとも特に痛みなどの自覚症状がないのに骨転移を心配して骨シンチ検査を受けるのは意味がありませんか?今の病院では、こちらからかなりアグレッシブに言わないと、何の検査もありませんので、今回のチャンス(?)に骨シンチをやってもらおうかどうか迷っています。現在、42歳、1.4cmの腫瘍で温存手術後、化学療法、放射線治療、タモキシフェンを服用しています。

症状がない場合、術後の骨シンチグラムは特に必要なものではないと、日本乳癌学会のガイドラインでも明記されております。「意味がない」というのは、骨転移の発見率と、経済的負担、肉体的負担を考えるとつりあわないということです。一回の骨シンチグラフィが体にそれほど負担をかけるわけではないので、悩んでいるより、ご心配ならば主治医にやってみてほしいと話してみてはいかがでしょうか。(文責 俵矢)

 

No.8691】  09年02月03日    M.O.
要精密検査

はじめて、相談させて頂きます。
昨年、10月に区の検診l(マンモグラフィー)で、右胸の外側にしこりが見つかり、所見は、「形状・・・多角形、辺縁・・・境界不明瞭、濃度・・・等濃度、石灰化・・・なし、乳腺分類・・・乳腺散在」。要精密検査との事で、エコーの検査をしました。結果、「線維腺腫でしよう。念のために、半年後に、もう一度見せて下さい。」との事でしたが、パソコンで調べると、40歳を過ぎたら、細胞の検査をした方が良いと知り、癌研へ。マンモグラフィー、エコーの検査の結果、「細胞診をした方が良いでしょう」との事で、細胞診をした結果、良悪性の診断がつかないとの事で、針生検組織診をしましたが、「悪いものは出ていないんだけど、しこりがなんだかわからないから、もう少し良く調べましよう。」との事。8割、9割は、細胞診で良性、悪性の診断がつくと聞きました。ここまで検査をして診断がつかないのは、特殊な悪性の乳癌なのでは・・・と不安でなりません。検査をして頂いている病院は、乳腺科もある癌研です。ちなみに、しこりは、触診では確認できず、21*17*8mmとの事。次は、2月19日にMRIの検査を予定していますが、MRIは、悪性の場合に行う検査なのでは・・・なぜ、この時期なのか?細胞診、組織診の後に、MRIの検査なのが、とても気になります。年齢、43歳、出産経験はあります。ご多忙とは思いますが、ご意見をお聞かせ頂きたく、よろしくお願い致します。

確かに細胞診、針生検では90%以上の診断率がありますが、臨床所見と一致しない場合は慎重になります。しかし、貴女のような場合、どちらかというとおとなしいガンもしくは異型の強い良性腫瘍の場合が多く、たちの悪いガンであることは稀だと思います。一方MRIについては、おっしゃる通りで、この時点でのMRIは意味がないように思われます。細胞診や、針生検で良性と診断されたが画像(MMG, US)からはどうしてもガンの可能性が否定できない場合は摘出生検の適応だと思います。(文責 清水)

 

No.8690】  09年02月03日  A
今後の術後治療について

初めてご相談させて頂きます 43才の主婦で、子供が1人おります 先週温存手術を受けました。病理の結果は、「浸潤性乳癌(硬癌)、断片−、脈管浸潤+、乳管内進展+、核異形度3、ER+、PgR+、HER2は0、腫瘍の大きさは3cm×1,8cm、リンパ節転移SLNB 5個中1個(2mm)、遠隔転移無し、ステージUbで中リスク」でした。医師のほうから、FEC100療法×4、TXT療法×4、その後に放射線とホルモン療法を薦められています。お尋ねしたいのは、この治療法(特に化学療法)以外の治療法はあるのか、あるのならこの治療法と別の治療法の予後の違い、副作用の違いです。担当医によると、この治療法がベストと考えているとの事で、他の治療法の有無や、またこの治療法の予後についての説明はありませんでした。今回は治療法は1つしか説明を受けませんでしたので、もしほかにも方法があるのでしたら色々な方向から考えてみたいと思いますので、宜しくお願いいたします。なお、家族に癌患者はおりません 。

基本的には化学療法+放射線治療+ホルモン療法でよいと思います。問題はどの化学療法を選択するかですが、リンパ節転移のある中リスクであれば、一般的にFEC->ドセタキセル(TXT)、AC?>パクリタキセル、TACなどのアンスラサイクリン(AC, FEC等)にタキサン(ドセタキセル、パクリタキセル)を加えた治療が推奨されます。この三つのどれが最も再発を抑える力が強いかは、比較試験がないのでわかりません。ですから、通常はその先生が使い慣れた治療を薦めると思います。副作用の違いはある程度わかっています。ドセタキセル(タキソテール)に特異的な副作用は倦怠感が強いということと、あとは浮腫み易いことです。一方パクリタキセル(タキソール)に特異的な副作用は手指、足の裏のしびれです。あとは点滴内に若干のアルコールを含むのでアルコールが全く飲めない方には厳しいかもしれません。骨髄抑制(白血球減少)はドセタキセルが強くでます。脱毛は既にアンスラサイクリンで発現していますから、その後のタキサン投与中はどちらも同じように生えてきません。TACはその名の通り、アンスラサイクリンとタキサンを同時に投与しますから、骨髄抑制、消化器症状等の副作用が強く出て、時には入院が必要になります。しかし、18週間で終了するのでFEC->TXTやAC->パクリタキセルの24週より早く終わるという利点があります。厳密にエビデンスにこだわると、ドセタキセルは良い治療成績をおさめた欧米での臨床試験は日本で認められている薬の量より多い量で行なわれた結果であって、日本で認められている投与量でも同じように有効であると証明されていないという問題があります。(文責 清水)

 

No.8689】  09年02月01日  MK
今後の治療方針について

家族(45歳女性)が2週間前に乳房全摘手術を受けました。腫瘍と考えられる部分が大きく、マンモグラフィで広範な石灰化が認められたことから術前化学療法行わず、全摘となりました。センチネル生検も陰性でしたが、医師の薦めにより腋窩リンパ節レベル1 まで郭清しました。
病理結果
癌細胞の大半は乳管内に留まっているが数カ所に侵潤部分あり(浸潤径:2mm)、腫瘍径:7.5×5.5cm、浸潤径:2mm、組織学的悪性度:グレード3、リンパ管侵襲:なし、血管侵襲:なし、リンパ節転移:なし、ER:陰性、PgR:陰性、HER2:1+

結果として病期は1期、再発の可能性は低いと考えられるので、今後の治療としては、何もしないか、するとしてもUFTの内服を2年間行うぐらいではないかとのことでした。今後の治療方針について、ご意見お聞かせいただければ幸いです。よろしくお願い致します。

私ならば、無治療をお勧めします。薬がないとどうしても心配という方には漢方をお勧めしています。(文責 清水)

 

No.8688】  09年02月01日  T 
どうしたらホルモンバランスを正常に戻せますか?

40歳、1年半前に左胸全摘出手術をしました。ホルモン治療がダメでHEAR2(3+)なので、FEC後現在ハーセプチンを投与しています。ちょうど乳がんを患ったあたりから顔中に吹き出物が尋常でないほど出続け、この1ヶ月には体中に出来る様になりました。食べ物でもなく化粧品でもなく、やっぱりホルモンのバランスが悪いのだと思います。ホルモン治療していないのに次から次に出てくるので、かえってそれがストレスにもなってしまいます。どうしたらホルモンバランスを正常に戻せますか? これもひとつの更年期障害ですか?

“ホルモン治療がダメ”というのはER、PRがどちらも陰性でホルモン療法の効果がないという意味ですか。それとも治療をしたが副作用が強かったので内服を辞めたという意味ですか? 答えが前者であれば、女性ホルモンの影響を受けないのですから、産婦人科へ行ってホルモン補充療法をしてもらうのがBESTだと思います。後者の場合は女性ホルモン依存性の乳がんですから、ホルモン補充療法はできません。漢方や安定剤などで、調子を調えては如何でしょうか。(文責 清水)

 

No.8687】  09年02月01日  M.N.
腫瘍マーカーについて(HPNo.7559-5)

いつも大変参考にさせていただいています。母の治療に変化がありましたので、またご相談させていただけますと幸いです。2008年2月から10月までACを3週間毎に11回続けました。抗がん剤の治療により、下記の通り腫瘍マーカーの値もさがり(ピンク部分)、肝臓にあった転移の影も見えなくなりました。よって、2008年10月下旬より、ホルモン剤のヒスロンに変更して治療を続けております。しかし、ACをやめてすぐにマーカー値に上昇がみられるようになり(08/11/11)、CEAについては12月の検査にて再び100を超えてしまいました。主治医は、マーカーがあがっていても、臓器への転移なく、身体の症状に何も変化がないので、当面は現在のホルモン剤を続けた方がいいとのことです。転移や症状が見られてから、タキサン系等の抗がん剤を検討するとのこと。今回、今後の治療を考える上で、下記ご相談させていただけますと幸いです。

1) 今後の治療の進め方
家族としては、この腫瘍マーカー値の上昇が気になるのですが、主治医の言うとおり、CT等での転移や・身体の症状に変化が見られるまではホルモン剤を続けた方がいいのでしょうか。腫瘍マーカーの上昇によって、今後転移がまた現れる可能性もあると思うので、その前に次の治療に切り替えた方がいいのかなと思うのですが、アドバイス頂けますと助かります。
2) 他ホルモン剤
これまでの治療のなかで、多くのホルモン剤(ノルバデックス・アリミデックス・フェアストン・アロマシン・フェマーラ等)を使っています。現在のヒスロン以外に、他に使えるホルモン剤はあるのでしょうか?また、ない場合ですが、ノルバデックスは発症時の使用です(1990年)。しかし、今利用しても効果は期待できないでしょうか。
3) 内服抗がん剤
副作用が軽く、長期間利用可能な(効いている限りは、数年利用可能?)内服抗がん剤を検討することは妥当なのでしょうか?その場合、どういった抗がん剤が利用可能かアドバイス頂けますと幸いです(調べたところ、TS-1やゼローダがあるようですが、違いが分からず・・・) また、どういった副作用がみられるのでしょうか?
4) PET
CT/MRIでは転移は見られないとのことですが、マーカーの上昇もあるため、PETで検査したいと主治医に話したところ、PETよりもCTのほうが正確にわかるので不要とのことでした。母のような状態の場合、PETでの検査は不要なのでしょうか。
5) 脳への転移
特に症状が現れているわけではありませんが、マーカー上昇のなかホルモン治療のみですので、脳への転移も気になっています。CTでの検査は可能でしょうか。主治医は、症状がないため調べる必要はないとのことなのですが、次の治療方針を決める前には確認したいと希望しています。


長文となり申し訳ありません。お忙しい中たびたび恐縮なのですが、アドバイスいただけますと幸いです。どうぞ宜しくお願いいたします。

1) 私も主治医の先生の意見に賛成です。転移再発乳がんの治療の目的はQOL(生活の質)を維持しながら延命をはかることです。言い換えると、厳しいようですが、お母様の乳がんが治る可能性は極めて低いのです(ゼロではありませんが)。ですから、元気なときに副作用のある治療を行なうことはQOLを下げることになりませんか?
2) 確かにほとんどのホルモン剤を使っていますね。ヒスロンHまでいったら、もう一度ノルバデックスを試してみてはどうでしょう。
3) TS-1とゼローダは基本的には同じ薬です。ただし、副作用が多少異なります。さっきも述べたように、内服抗がん剤でも副作用はあります。ですから現在使うのはもったいないと思います。まだ今後出番があると思います。
4) 全身のどこにガンがあるかを探すならばPETの方が優れていますが、そこの病変がどうなっているかを見るためにはCTの方が優れています。但し、痛い辛いがない転移巣を探し出しても意味がないのではないでしょうか。これから何か治療するというのであれば、治療の評価のためにPETで再発部位を同定して、CTで評価する必要があると思います。
5) 主治医の先生がおっしゃるように、脳転移は比較的小さい時期から様々な神経症状を呈してきますので、無症状のときに頭の検査をする必要性は低いです。でも、検査をご希望ならば遠慮なくしてもらってください。(文責 清水)

 

No.8686】  09年02月01日   Y.O. 
LH−RHアゴニストについて

現在47歳です。3年4ヶ月前に乳房温存術で手術しました。腫瘍径2.5cm、グレードV、リンパ節転移なし、ホルモン+、ハーツー−でした。化学療法→放射線→ホルモン療法をしています。化学療法後、生理が戻りゾラデックスを追加して今月で丸2年なので止めたいと思います。今後、また生理が戻ってきても、閉経までゾラデックスを追加したくありません。あと2年はノルバデックスを飲みます。そこで質問させて下さい。
1)ゾラデックス2年と3年とでは再発率が変ってくるのか。
2)今後もし生理が戻ったとしても、ゾラデックスは再開せず、ノルバデックスのみの治療にしたら再発しやすくなるのか。

以上です。どうか、よろしくお願いいたします。

1) 卵巣でのエストロゲンの合成を抑えるLH−RHアゴニスト製剤(ゾラデックス)の使用法については、2〜5年間治療を継続するとする考え方や、閉経する年齢(通常52歳)まで継続するといく考え方がありますが、治療期間については定まった見解がありません。この治療で再発を抑制する効果は20〜30%というデータがあります。
2) タモキシフェン(ノルバデックス)は閉経前・後の乳癌に標準的に使用されてきた薬で、5年間の内服で40%再発を減らす事ができますので、ゾラデックスを再開せず、ノルバデックスにするのも一つの選択肢となります。主治医と充分ご相談の上、納得のいく治療を選択して下さい。(文責 須田)

 

No.8685-1】  09年02月01日   N 
進行が早いのでしょうか?

はじめて相談させていただきます。よろしくお願い致します。42歳の妻のことです。1/28に乳がんであることを告知されました。経緯は以下のとおりです。10/25定期健診のマンモにて石灰化が判明。一次読影所見は明らかな良性石灰化との判定であったが、その場で超音波で診断してもらい一年後の経過観察で良いでしょうと言われました。その後、11/11に二重読影所見が自宅に郵送されてきました。判定は良悪性の鑑別必要な石灰化と判定されていました。妻は一次での医師の言葉通り経過観察のつもりでいましたが、年明けに違和感を感じ、自分でしこりを発見しました。1/13近くの総合病院で細胞診、1/15に造影CT、1/20に造影MRI後、1/28の総合診断結果でステージ1の乳がんであることが確定しました。
質問です。
1) いくらステージ1の乳がんでも、早急に手術を行い、病理結果をいち早く知るほうが、生存率は確実に上昇すると思うのですが、この考え方は間違いでしょうか?
2) 標準治療が確立されているから、どこの病院に行っても治療方針はほとんど差異がないと思うのですが、やはり有名病院の方が最新の医療設備が整っているのでしょうか?
3)1 0/25の石灰化発見から2.5ヶ月で、しこりの大きさ1.1cmになっていますが、進行が早いのでしょうか?
4) 早期乳がんの治療で一番重要なのは、外科医の手腕、それとも病理医の手腕でしょうか?
5) あるのでしょうか?

以上よろしくお願い致します。

1) ステージ1の乳癌の10年生存率は92%です。1−2ヶ月早く手術を行っても、生存率に変化はないと思います。
2) たとえば標準治療として乳房温存療法を行うとすれば、「乳房温存術+乳房照射」という事になりますので、外科以外に放射線科のある方が、同じ施設で治療を行えることにはなります。但し、あくまでも医師との信頼関係を築く事の方が大切になってくると思います。
3) 直接診察していないので推測の域を出ませんが、2.5ヶ月で、しこりの大きさ1.1cmになっているとすれば、成長速度は速いと言わざるを得ません。
4) 「治療で大切な事は、病気を見るのではなく、病気で苦しんでいる患者さんをみる」という観点に立てば、乳癌は、手術したら終わりではなく、手術してからが始まりということでもあります。患者さんを中心に、看護師・薬剤師等のコメディカルを含めた医療スタッフがチームを組んで、サポートすることが大切です。医師には、このチーム医療のリーダーシップをとる役割があります。同じ病気・病態であっても、一人ひとり背景や人格が異なっている事を理解し、全人的に対応する事が大切であると考えています。
5) 病理医の資格にランクはありません。(文責 須田)

 

No.8685-2】  09年02月10日   N 
放射線設備について

No.8685で相談させていただいたものです。その節は誠にありがとうございました。セカンドオピニオンの結果、治療方針に差異がなく、また、手術は2ヶ月待ちとのことで地域の乳腺専門医がいる総合病院で温存手術を受けることに決めました。質問ですが、ステージ1と言われており、温存手術+放射線療法が基本であると聞いています。手術を受ける病院では放射線設備がないため、近くの提携病院で放射線療法を受けるようですが、病院によって設備の差異(新旧)があると思うので、是非、最新設備の病院で放射線療法を受けさせたいのですが、提携病院外でも受けることは可能なのでしょうか?また、神奈川県内で最新設備はどの病院に完備されているのでしょうか?日本放射線腫瘍学会認定技師または認定医がいる病院のほうが安心でしょうか?それから、腫瘍内科医がいない病院では、化学療法となった場合に処方を実施するのは、乳腺専門医が行うのでしょうか?以上、よろしくお願い致します。

現時点では、腫瘍内科医は非常に少なく、乳癌化学療法の多くを乳腺専門医が担っています。通常の定型的な化学療法であれば、乳腺専門医師に任せて大丈夫と思います。
放射線の施設の個々の施設名に対しては、お答をもっておりません。現在の主治医の先生にお聞きになってみてください。すみません。(文責 俵矢)

 

No.8684】  09年02月01日   しずく
アリミデックス 1mg

私は、2年前に左乳癌で左胸全摘 +3、リンパ郭清し、抗がん剤点滴(5FU、タキソ−ル(3ヶ月)とハ−セプチン(1年 +3の為))が終了、アリミデックスを毎朝食後に飲み始めて4ヶ月が過ぎました。土曜日と日曜日は薬の飲み忘れがあります。アリミデックスでお聞きしたいのですが、ホルモン受容レセプタ−陽性の場合は陰性の人より飲んでいる5年間は再発転移率が少なく、飲み終えてからの方が陰性の人より再発転移率が高いと聞きましたが、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

乳癌には女性ホルモンで発育が早まるもの(ホルモン依存性乳癌)と無関係な発育をするもの(ホルモン非依存性乳癌)があります。乳癌患者さんの約60〜70%がホルモン依存性で、この場合はホルモン受容体を持っているので、ホルモン療法の効果が期待できます。
世界的に見ると、年間およそ100万人が乳癌を発症し、そのうちの60%にホルモン療法が行われていますが、再発リスクを50%、死亡のリスクを30%減少させています。内服は5年間がスタンダードです。従って、5年間は、ホルモンレセプター陽性の乳癌患者さんは陰性の患者さんより再発率が低くなります。現時点では5年がスタンダードですが、10年と長期に継続すると更に再発率が減少すると推測され、まだエビデンスはでておりませんが、長期内服の可能性が期待されています。(文責 須田)

 

No.8683】  09年02月01日   M.N.
右脇下のしこり

34歳既婚女性です。半年ほど前から、右脇の下に2センチ程のしこりがあります。触わると痛みがあり、手を上げた時にも痛むことがあります(生理前に多い)。何科を受診すれば良いのでしょうか? ちなみに、2年前から甲状腺ホルモン剤チラージンを毎日服用しています。

皮下腫瘤は一般には外科又は皮膚科で取り扱います。不安を取り除く為にも、外科又は乳腺外科を受診してご相談下さい。(文責 須田)

 

No.8682】  09年02月01日   M.M.
アロマターゼ阻害剤副作用について

現在50歳です。44歳時、左乳房切除、レセプターはE,Pともに陽性、リンパ節転移三個あり抗癌剤についでノルバデックスを五年間服用しました。これに次いで、フェマーラ服用を五年間勧められ、この一月から服用開始しましたが、ホットフラッシュや頭痛、頭がふわりふわりとする感じ、倦怠感が強く、服用が一日おきになっています。主治医の説明では、ノルバデックスについでフェマーラ五年間服用することで3%程度の再発予防効果があるとのことですが、気分がめいり、このまま服用を続けることについて迷っています。今のところ関節痛はでていません。予後改善効果と副作用について、どの程度のことが指標となるのでしょうか? ご教示ください。よろしくお願いいたします。   

アロマターゼ阻害剤はフェマーラの他にアリミデックス、アロマシンがあります。ホットフラッシュや頭痛がひどいとの事ですので、薬剤の変更も含めて、主治医と充分にご相談下さい。(文責 須田)

 

No.8681】  09年02月01日   H・T
腫瘍マーカーの上昇

私は45歳の主婦です。3年前に左胸乳房全部摘出手術を受けました。現在、ノルバテックスを一日朝20mg服用しています。術後の経過は順調に来ていましたが、先日の腫瘍マーカー検査において、CA15−3の値が2.9から5.5へ、NCCST439の値が3.2から8.7へと上昇してしまいました。主治医の病院での検査ではありませんでしたが、どこかに転移してしまったのかと、とても不安です。一度主治医に相談したほうがよいのでしょうか。また、今回の数値で転移を不安がる必要はありますでしょうか。

腫瘍マーカーの値が上昇しているので、全身のチェック、特に肺・肝・骨等を、CT・MRI・PET-CT等で調べたほうがよいと思います。主治医とご相談下さい(文責 須田)

 

No.8680】  09年02月01日    M 
乳がん疑い

39歳女性。母が右胸29年前、左胸2年前に乳がんになりました。毎年、同一病院にて、マンモグラフィ、超音波、触診の検査を受けています。2008年1月に「左胸 微石灰化、のう胞。右胸 異常なし」の所見でした。今年も受診したところ、「左胸 微石灰化の変化は認めず。右胸 超音波上に2.5cmの影が3個あり、触診は触れるものはなく、異常なし」という結果で、影の形からすると悪性の可能性が高いので、要生検となりました。2週間後に月経予定で、現在、おすと両胸に痛みがあり、右胸は乳頭の下と脇の下側がしこりではなく、塊としてふれます。1年でこんなに進行してまうものなのでしょうか。

画像の読影及び診察をしていないので、これだけの情報では何ともいえません。不安を解消する為にも、生検を受けて確認する必要があります。乳癌は一般には進行が遅いといわれていますが、ケースバイケースで、短期間で大きくなるものもあります。(文責 須田)

 

No.8679】  09年01月29日    M.K. 
母のこと

ご多忙のことろたいへん恐縮です。はじめて相談させていただきます。よろしくお願いします。56歳の母のことです。今から、1ヶ月前くらいから胸が張り出し、2週間前に痛みを感じ、触ってみると、1センチくらいのしこりができているのに気づきました。そして、しだいにしこりが2センチくらいに大きくなり、痛みも増してきたので(皮膚のただれやくぼみ、血性の液などはありません)、1/14に地元のかかりつけの医院を受診しました。診てもらったところ、癌の疑いもあるので、専門医のいる病院を紹介していただきました。1/19に紹介してもらった病院で、まず医師による視触診を受けたところ、精密検査をしてみないと、なんとも言えないが、たぶんしこりは平滑なのでのう胞ではないか、という説明を受けました。その後、マンモグラフィー、エコーの検査をうけました。検査の結果は翌週とのことでした。そして、1/22に検査の結果が出て、検査結果の用紙には、@マンモグラフィー:Class-V、Aエコー(放射線科の先生):腫瘍2センチ、乳がん・リンパ節転移の疑いが濃厚、生検をお願いします、というようなことが書かれておりました。そして、主治医から良性か悪性かを確定診断するために、腫瘍の摘出生検をしたほうがよいと言われました。私が、「これらの検査の結果を見る限りでは、やはり悪性であることが濃厚ですか」と質問したところ、「確定ではないけど…、マンモグラフィーの画像だけをみれば、良性と判断できるし、エコーに写っている疑わしい不整形な腫瘍もはっきりと癌と断定できないところもあるので、生検をしてみないと分からない。」という話でした。そして、その場で主治医と相談した結果、1/29に局所麻酔にて腫瘍の摘出手術を受けることになりました。また、摘出した腫瘍を癌センターで病理診断してもらい、良性であれば、それで治療は終わり、悪性の場合は、入院して、さらにもう一度、その周辺を切除する手術をおこなうことになるということです。その場合2度メスを入れることになるので、精神的にも負担がかかるのでは、またがん手術のときになにか支障をきたすおそれはないのかと心配です。
 
1)  今の時点で可能性の高低の話をしても、意味のないことは承知しておりますが、やはり、総合的に判断すると、癌の可能性が濃厚なのでしょうか?
2) もし、濃厚であれば、摘出生検ではなく、別の方法で確定診断する方法はないのでしょうか?細胞診も受けておりません。
3) セカンドオピニオンはどの時点で受けるのがいいのでしょうか?

なにしろ突然のことなので、乳がんに対するちゃんとした知識もないまま、あれこれ考え、不安が募るばかりです。よろしくお願いいたします。

1) 年齢と経過からは良性のものより悪性のものの可能性が高いと思います。画像については見ていないので何とも申し上げられません。おっしゃるとおり、今の時点で可能性の高低を論じてもしょうがないと思います。
2) 摘出以外に細胞診という方法もあります。主治医の先生に尋ねてみてください。
3) 何についてセカンドオピニオンをご希望ですか?摘出生検を受けるべきかどうかについて他の先生の意見を聞きたいのであれば、摘出生検前に受けなければ意味がありません。診断について意見を聞きたいというのであれば、摘出生検して診断が確定してから受ければ良いでしょうし、治療法について意見を聞きたいのであれば、主治医の先生の治療法の提示を受けてからセカンドオピニオンを受けることになります。(文責 清水)

 

No.8678】  09年01月29日    ゆぅ
タスオミン(HPNo.7915-8)

No.8473で質問をさせていただきました、ゆぅと申します。いつもいつもこの相談室を励みに頑張っています。昨年4月告知、すぐに抗がん剤8クール(FEC4回、タキソテール4回)、10月手術、しこりは画像上もなく、術後の細胞結果は死滅状態だとのこと。リンパ郭清、(1/11)HER2:0、ホルモン感受性陽性。術後放射線を30回、現在タスオミン20mgを朝1錠飲んでおります。タスオミンを飲み始めて2ヶ月くらい経過しますが、朝手足がこわばったり、ホットフラッシュと寝汗がすごいです。我慢できないことはありませんが、今は気温が低いので我慢できているように思います。この症状が夏場だったら耐えられるのか?と心配です。この症状は時間がたてば落ち着いてくるものなのでしょうか?また、これほど症状が出ているということはタスオミンの効果が有効なのか?逆に効いていないのか(拒否反応?)心配です。また、万が一遠隔転移していたとしても、タスオミンの効果で抗がん剤のようにがん細胞を押さえ込んだり、死滅させたりできるのでしょうか?タスオミンの効果がある無しは、どのくらいで判定されるのでしょうか? 私は、抗がん剤2回目くらいから閉経状態ですが、閉経前と閉経後と薬の処方が違ってくると思いますが、自分が閉経したかどうかはどのような検査をしてもらえば分かるのでしょうか?それか、術後には閉経かどうか分かっているものなのでしょうか?

一般に抗エストロゲン剤の副作用は3ヶ月頃が一番ひどいと言われていますが、貴女の場合、年齢、化学療法による卵巣機能障害、抗エストロゲン剤(タスオミン)の副作用等が混ざって今の症状が出ていると思われますので、もう少し長引くかもしれません。しかし、徐々に収まってくる方が多いです。最近、抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤については副作用(のぼせ、関節症状)が強い人ほど効果が大きい(再発が少ない)というデータが発表されています。耐えられる程度であれば頑張った方が良いと思います。術後の投与する薬の効果の有る無しは判定できません。唯一判定できるのは、再発した場合効果がなかったということだけです。術後に使う薬は、過去の臨床試験で使わない場合より使った方が再発が少なくなるというエビデンスに基づいて使います。完全に閉経(生理が止まるだけでなく、卵巣の働きが止まるという閉経)したかどうかは、女性ホルモンを測定します。ちょっと専門的になりますが、エストラジオール(E2)、卵胞ホルモン刺激ホルモン(FSH)の2項目を測定して判断します。(文責  清水)

 

No.8677】  09年01月29日    C.K.
術後の補助療法について(HPNo.8667-2)

HPNo.8667で質問させていただいたものです。丁寧な回答、本当にありがとうございました。主治医の先生に、「HER2が3+の時点で高リスクになり再発の可能性が高いということと、HER2が3+の方の補助療法の標準はわからない」と言われたことで、気持ちが不安定になっていたのですが、回答をいただいて少し落ち着くことが出来ました。ありがとうございます。化学療法の種類についても、主治医の先生と再度相談します。お忙しい中申し訳ございませんが、再度質問させてください。

1) 知り合いの看護師さんが医師に補助療法について聞いてくれたのですが、HER2:3+なら全摘手術をしていても放射線治療をした方がいい(化学療法+ハーセプチン+ホルモン療法に加えて)と言っていたと聞きました。今まで温存する場合には放射線治療をするが、全摘の場合にはしなくていいと聞いていたので、選択肢にありませんでした。全摘をしていても放射線治療をした方が再発しにくくなるのでしょうか。
2) 化学療法やハーセプチンの副作用で免疫力が落ちて、他の癌などになりやすくなったりすることはあるのでしょうか。乳がんだけでなく他の癌にも同じ化学療法やハーセプチンは効果があるのでしょうか。
3) 補助療法をしながら年に一回マンモグラフィと血液検査をする方針なのですが、術後すぐでも検査は年に一回でいいのでしょうか。もう少し短い期間で検査をするものだと思っていたのですが、標準でしょうか。

的外れな質問があったら申し訳ございません。よろしくお願いいたします。

1) 乳房切除(全摘)後の放射線治療はリンパ節転移がたくさんあった方には推奨されますが、リンパ節転移がない方には推奨されません。そればかりか、照射をすると上腕のリンパ浮腫の発生率が高くなるので、悪いことがあっても良いことはありません。
2) 化学療法+ハーセプチンで他のガンが増えたというエビデンスはありません
3) 一年に一度のマンモグラフィー検査というのは標準的な考え方です。(文責 清水)

 

No.8676】  09年01月27日    P 
生存率などをおしえてください

Pと申します。いつも拝読しています。45歳、閉経前、出産経験ありません。温存手術をしました。病理検査の結果では、「硬がん、腫瘍1.7センチ、グレード3、リンパ節転移なし、断端陰性、ハーツー・エストロゲン・プロゲステロンすべて陰性」とのことでした。いわゆるトリプルネガティブですが、その後の治療はACを4クール投与しただけで、放射線治療が終了しました。グレード3及びトリプルネガティブは相当の覚悟が必要な状況でしょうか。再発率または10年後の生存率など、おわかりのことをお教えてください。このまま不安定な気持ちでは、心までネガティブになりそうですので・・・。よろしくお願いします。

ご質問どうもありがとうございます。ホルモンレセプター陰性およびHER2が陰性の乳がんをトリプルネガティブ乳癌とよび予後が悪いものが多いとされています。しかし、トリプルネガティブでも必ず再発するわけではありません。ザンクトガレン2007の再発リスク分類に照らし合わせるとP様の場合には、腋窩リンパ節転移陰性で、グレード3ということで、中間リスクにあてはまりますので、化学療法をされているのだと思います。再発率の算出に関しては、主治医の先生によくお聞きしてみてください。また、その数字自体はあくまでも統計学的な数字であって、P様にそのままあてはまるわけではありませんので、深く考えすぎないようになさってください。インターネット上は、不安材料がたくさんございます。本当に信頼のできる情報にだけ目を向けるようにしておいてくださいね。私たちもできる限り正確な信頼できる情報をお伝えするように努力いたしますからね。また、何かございましたらご質問くださいませ。(文責 高橋)

 

No.8675】  09年01月27日    S
線維腺腫

前もお世話になりましたSと申します。今回、7ミリぐらいのシコリが見つかり、マンモトームをやりました。検査結果で良性の線維腺腫という事で一安心していたのですが、線維腺腫というものを詳しく知りたくなりネットで調べていましたら、この病気は10〜20才代に多く見られるものと書かれていました。39才の私でもこういう事はありますか? ご回答のほうよろしくお願いいたします。

ご質問どうもありがとうございます。しこりに対して針生検をされたのですね。お疲れ様でした。そして、検査結果がしっかりでても、また新たな不安が生まれてしまいましたね。なんとか、そのご不安が解消できますようにお力添えさせていただきます。線維腺腫の好発年齢は20歳から30歳代ですので決してこの範囲から外れているわけではありませんからご心配には及ばないと思います。ただし、注意点としては針生検での正診率が100%ではありませんので、ご心配であれば3ヶ月後ぐらいに念のため、しこりのサイズに変化がないかどうかをエコーで再検査していただいても良いかもしれません。また、お分かりにならないことがございましたらご質問くださいね。(文責 高橋)

 

No.8674-1】  09年01月27日    S.T. 
断端0.1cm

はじめてメ−ルさせて頂きます。宜しくお願いいたします。
年齢40歳 既婚。昨年12月24日 左乳房温存手術をし、今年1月中旬に以下の病理組織診断が出ました。
病理診断・・・invasive ductal carcioma, papillotubular carcinoma
組織学的・・・乳管内で充実性胞巣を形成しつつ増殖するcarcinomaのin-situ coponentが切除標本に広範囲に広がり、comedo necrasisも目立つ。標本一部 1mm前後の微小浸潤が散見する。(4箇所)
tumor size: invasive componentで1mm前後(pTla), in-situ component size は約5.5cm。癌浸潤波及度: f 乳管内進展:(+)
断端: carcinomaの露出はなし。ただin-situが1箇所(乳頭側断端)に認められる。 切除断端2箇所から0.1cm内外の部分に乳管内進展している部分認める。
脈管侵襲: ly 0 v 0
grade: 2

以上のように診断を頂き、最初ホルモン療法と放射線で治療を受けるつもりでしたが、断端0.1cmと非浸潤部が5.5cmと大きい事、また微小浸潤もある事から全摘をした方が良いのでは???と思うようになりました。主治医は”ご本人がその気なら!”と言ってくれます。が、主人が納得してくれず、どうても最後の決断が出来ないまま今に至り、こちらの相談室にご相談させて頂きました。私のような病理結果で、ホルモン療法・放射線での治療を受けた場合、再発の可能性はどのくらいなのでしょうか?全摘をすれば完治は望めるのでしょうか? お忙しいところ申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。

ご質問どうもありがとうございます。重大な決断を迫られているのですね。今一番大事なことは、御本人と御主人のご意見をあわせていくことだと思います。少しでもお力添えできますと幸いです。まず、病理診断に関しては切除断端から5mm以内にがん細胞が存在することから断端はがん細胞陽性と判断し対応することが必要と考えます。乳房内再発に関しては、断端陰性であれば術後の50-50.4Gyの放射線照射のみで、12年局所再発率は6.3%、断端陽性であればこの通常の放射線照射に、20Gyのブースト照射を加えても12年局所再発率は16.6%という報告があります。また、断端陽性のまま放射線治療をおこない結果的に乳房内再発した場合には生存率も下げてしまうという報告もあります。なお、今後の選択肢としては追加乳腺切除あるいは全乳房切除がありますが、断端が陰性であることが確認できればどちらを選ばれても良いかと思います。また、浸潤癌ですので乳房切除をしても根治するとは断言はできず、他臓器やリンパ節への転移再発の可能性は残ります。つらいお話が続いておりますが、以上の内容をもういちど御主人と主治医の先生にもご確認いただき、再度今後の方針についてご相談くださいませ。そしてまた、ご心配なことがございましたらいつでもご相談くださいね。私たちはいつでもここでお待ちしていますからね。(文責 高橋)

 

No.8674-2】  09年03月11日    S.T. 
子宮筋腫と乳癌のホルモン療法

以前相談させていただいたHPNo.8674のS.Tと申します。前回は大変ご親切なアドバイスを頂きましてありがとうございました。その後色々と考えた結果、全摘をしました。その病理の結果では、新たに切除した組織に非浸潤癌が1片見つかりました。それで新たに相談させて頂きたいと思います。
私としては万全を期すためにも微小浸潤もあったため、今後ホルモン療法(タモキシフェン)だけでも受けたいと思っていますが、主治医から”無治療で良い!”と言われました。今 私は子宮筋腫(4cm)があり、タモキシフェン投与は筋腫を悪化させる要因にもなるそうです。先生のお考えでは、このまま無治療でも良いと思われますか? タモキシフェンを受けるべきか?それとも 何らかの治療法があるのでしょうか? お忙しいところお手数をお掛けいたしますが、アドバイスを宜しくお願い致します。

非浸潤癌で、全摘なので無治療で良いと考えます。(文責 石川)

 

No.8673】  09年01月27日    M 
再発(転移)と考えるべきでしょうか?

初めてご相談させていただきます。現在45歳、2001年7月、右乳房全摘出の手術を受けました。病期は、U期Bでした。その後7年半の間無事に過ごしてきましたが、先日腫瘍マ―カ-CA15-3が41.8になり、胸部レントゲンの肺の下部が引き攣れたよう」に映っており、医師からは、「水がたまっているのか・・・、検査をしましょう。」とのことで、CTを撮ってきました。やはり、再発(転移)と考えるべきでしょうか?

ご質問どうもありがとうございます。術後7年半経過し、そろそろ大丈夫かなと思い始めていた矢先の今回のできごとに、きっと不安な気持ちがどんどん大きくなってしまっているのですね。何とかお力になれたらと思います。今回指摘された異常は、腫瘍マーカーの上昇と肺のひきつれですね。一般的に医療の世界は身体に起きていることをすべて一元的に、すなわち関連づけて考えるところから診断を開始します。従って今回はやはり転移の可能性を疑って検査を進めていかざるを得ないと思います。胸部CTのみで診断がつくかどうかは非常に難しいですが、状況によってはPET検査も含めて施行し、転移再発を否定しておきたいですね。今後の検査予定については、CT検査の結果を待って主治医の先生とよくご相談くださいませ。今、検査結果をひとつひとつ確認していく時間が最も不安な時期だと思いますが、またご不安な時にはいつでもこちらでお待ちしておりますので、ご相談くださいね。(文責 高橋)

 

No.8672】  09年01月27日    N 
10歳の子供の胸のしこりについて

10歳になる女の子ですが、おふろに入っていて、おっぱいの下にくりくりしたものがあって押さえると痛いといいます。見てみると右の乳首の下にこりっとしたしこりがありました。圧痛があるようです。身長143cm、体重31kgで、最近少しふっくらしてきました。乳房が大きくなる前兆なのでしょうか。それともがんなどを疑って、病院へ行った方がいいのか迷っています。教えて下さい。

ご質問どうもありがとうございます。お子様のこととなると御自分のことよりもご心配になってしまいますよね。できる限りご不安が解消されますようにご説明させていただきます。一般的に10歳の女の子であれば徐々に正常な乳房肥大が始まっている時期で、しこりや圧痛はその影響と考えますのでまずご心配には及ばないと思われます。もしどうしてもご心配な場合には、乳腺外来にてエコー検査をおこなっていただいてください。その結果、経過観察をしましょうという結論となるかと思いますが、そのほうがご安心であれば一度乳腺外来を受診されてみてください。通常は時間経過と共にしこりや圧痛は自然に消失することがほとんどです。またご心配なときにはご相談くださいませ。(文責 高橋)

 

No.8671】  09年01月25日    Y 
腰の痛みについて

35歳、6年前に温存手術をして、その後ホルモン療法としてタモキシフェン・ゾラデックス5年と、現在はゾラデックスとアロマシンと、骨租そう症のカルシウム剤を服用中です。3年位前から左骨盤に違和感があり、痛む度に担当医に伝えて検査をしていますが、異常はなし。先週の血液検査の結果は、CA15-3が4.4でCEAが2.2で、I型コラーゲンCテロペプチドが3.3でした。ですが、先日から左骨盤の他に左腰背部の辺りが痛くて気になっています。感覚的には骨か内臓が原因で痛んでいるようにも感じますが・・・。先週の血液検査の結果から考えると、この痛みは転移とは関係ないと思われますか?

ご質問どうもありがとうございます。痛みがあると「転移かも?」と思ってしまう乳がん治療中のの患者様はたくさんいらっしゃいます。もしどうしてもご不安な場合には、整形外科を主治医の先生にご紹介していただき、腰椎から骨盤にかけてのMRI検査を予定していただいてはいかがでしょうか。その結果、もし転移の可能性が疑われる、あるいは原因がはっきりしないので転移を否定するという目的でPET検査を予約していただくのはいかがでしょうか。血液検査の数字だけでは分からないこともたくさんございますので、心配を解決するためにできることはすべてやっておきましょう。また、ご不安な時にはご相談くださいね。(文責 高橋)

 

No.8670】  09年01月25日    JUNE
線維腺腫について(HPNo.8203-3)

No8203で質問させて頂きました。先日3ヵ月後の検査として再度エコーを受けました。 結果は乳管拡張内にある陰影は前回と同じ大きさ、のう胞は2個増えておりましたが、問題はないでしょうのこと。そのうちの1ケは、前回しこりとして見えたものだろうとのことです。今回、右乳房八時方向に5mmのしこりがあり、充実しているそうです。形状からすると線維腺腫だろうとのことで、半年後の再検査となりました。分泌はまだ続いており、血性ではありませんが、オレンジ色のものが時々下着についたりしております。心配なのは、前回なかったしこりがみつかったことで、しかも3ヶ月の間に5mmになっているのは早いのではないか(つまりがんの可能性があるのではないか)ということです。線維腺腫ががんと区別されるには細胞診を申し出た方がいいのか、このまま半年後のエコーまで待ってもいいか不安です。よろしくお願い致します。

ご質問どうもありがとうございます。検査をお受けになるたびに新たな不安材料がでてきてしまう。乳がん検診でよく経験することです。一般的には乳がんは3ヶ月の間にみるみる成長してくるというようなタイプの細胞ではありません。一方、乳腺症にともなう変化であれば、3ヶ月の間に出現したり消退したりすることがあり得ます。しかしもし不安で次回検査までの半年間お待ちになれない場合には近いうちに再度乳腺外来を受診されて、細胞診や組織診の検査をお受けになってみてください。診断精度は組織診の方が優ります。しかし、病院によっては5mmと小さいので針生検が難しいので経過をみましょうと言われることもあると思います。その場合には皮膚切開して腫瘤を摘出する場合もあります。いずれにしても解決できないことはございませんので、何でも不安に思ったら主治医の先生にしつこくご質問ください。そしてそれでもご心配なときは、またこちらにご質問くださいませ。(文責 高橋)

 

No.8669】  09年01月25日    M
化学療法の選択について

いつも大変勉強させていただいています。最近、化学療法がその癌細胞の個性に合わせて細かく選択されるようになる、という話を聞きます。Her2―、ER+の人は、アンスラサイクリンや、タキサンがあまり効かないかもしれない、とか、今後はACよりTCが主流になるかもしれないとか。この意味がよくわからないのですが、TCが効果が高いとしたら、タキサンがあまり効かないHer2−、ER+の人は何を使うのでしょうか?(この理解の仕方、間違っていますか?) Her2−、ER+というグループは一番多いのではないかと思うのですが…。ちなみに、Her2―の人はTOPO2はー、Her2+の人がTOPO2+の人とーの人がいる、でもそれを調べるのは、数十万円という誰もができる金額ではないので、その情報はわからない人が多いと思いますが、実際にはどの薬剤を選択することが多いのでしょうか。適切な薬が本当に必要な人へ使用できることを望んでいます。

ご質問どうもありがとうございます。おっしゃるとおり現在の乳がん治療はたくさんの課題がございます。理想としては、患者様個人個人の遺伝子検査をおこない、感受性のある薬剤のみを選択し治療をおこなうこと、これが究極の目標です。しかしながら、現状では高額な医療費をかけて遺伝子検査をおこなうことができたとしても患者様それぞれに本当に感受性のある薬剤を選ぶことができるのかという問題が残されています。TopoU遺伝子異常やtopoU蛋白過剰発現ならびにDNA修復障害がアンスラサイクリン系薬剤奏効の予測因子と報告されています。そして、これらアンスラサイクリン系薬剤奏効の予測因子がHER2陽性乳がんのみで認められるわけではないため、HER2陰性乳がんでもアンスラサイクリン系薬剤が臨床的にきわめて有益な患者様がいる可能性があります。このように、現在の乳がん治療の指標としている項目と薬剤の感受性の評価項目が異なっているために情報が錯綜し混乱しているのだと思います。しかし、今の時点ではこういった検査結果が出せないまま化学療法の必要な患者様ほぼ全員にアンスラサイクリン系薬剤を投与することが標準治療となっております。そして、アンスラサイクリン系薬剤投与の後にはタキサン系を追加投与するのも標準治療となっております。今後TCが主流となるということよりも、アンスラサイクリン系薬剤による有害事象(副作用)が重すぎるためにこの薬剤を避ける傾向もみられるとお考えください。
一刻も早く視界がクリアとなるような画期的な予後予測因子の分類と薬剤感受性を特定できるような分子予測因子の同定が期待されます。未知の部分が多い領域のご質問で納得できないこともあるかもしれませんが、こういった現状です。(文責 高橋)

 

No.8668】  09年01月25日    C.Y.
術後の化学療法について(HPNo.8402-3)

以前にもHPNo.8402にて相談にのっていただき、親身にご回答いただき感謝しております。
37歳の妹ですが、平成20年10月初旬に左乳房に乳がんが判明、11月初旬に乳房温存+リンパ節郭清で手術を行いました。約3cmでリンパ節転移はなく、ホルモンレセプター陽性、Her2強陽性(3+)とのことで、その時点では「ホルモン剤がよく効くタイプなので、放射線30回+タモキシフェン5年+LH-RHアゴニスト製剤(注射)2年、ハーセプチンを使うかは放射線終了までに考えましょうと」と説明され、術後8日目からノルバデックス10ミリグラムを朝晩服用し、12月下旬より大学病院で放射線を開始しました。退院後、主治医よりホルモンレセプターはER、PgRともに70%、核異型度がグレード3、断端は陽性と聞きました。脈管侵襲は不明です(次回聞く予定)。先日の定期受診の際、主治医から急に「放射線終了後、ハーセプチンに抗がん剤を加えた方がよいと思うがどうしますか」という話が出てきました。確かに、再発リスク分類では中リスクの項目をほぼ満たしており、ザンクトガレンの2005の治療ガイドラインでも(化学療法)が( )付で書かれていたので心配な面はあったのですが、主治医は当初抗がん剤は使わないと言っていたので、その方向でよいと考えていたのです。しかし、今回の医師の説明で改めて調べてみると、2007年にガイドラインが変更になり、最新版では化学療法も標準治療に入っているとわかりました。妹としては、手術前は化学療法も覚悟していたのですが、術後は抗がん剤はやらないと聞いていたため2月から仕事復帰の予定が、その矢先に抗がん剤の話でショックを受けています。再発予防の効果が高いなら受けるが、最初から言ってくれればというのが率直な気持ちです。抗がん剤で免疫力が落ちることが逆に再発や転移につながるという話も聞き、強い治療に若干不安もあるようです。

そこで教えていただきたいのですが、
1) ホルモン治療のみの場合、ホルモン療法+ハーセプチンのみの場合、ホルモン療法+抗がん剤+ハーセプチンの場合の再発率の違いについて教えて下さい。(Adjvant Onlineで調べようと思いましたが、うまくいきませんでした)
2) ホルモンレセプター(+)で核異型度3やHer2(+)は珍しい症例ですか。ホルモン療法が効きづらいケースなのでしょうか。
3) 通常は抗がん剤→放射線→ホルモン療法という順番のようですが、放射線を先に行ったことで再発リスクに違いはありますか。
4) すでにホルモン療法を行っていますが、抗がん剤やハーセプチンと併用できますか。ノルバデックスを休止することになっても、これまでの2ヶ月の服薬が悪影響や無駄にはなりませんか。
5) 希望すれば、ハーセプチンだけ使うという選択はありますか
6) ハーセプチンと抗がん剤を組み合わせる場合、どのような組み合わせや順番が考えられますか。(できれば期間を短くしたい)
7) 抗がん剤を行った場合、当初のLH-RHアゴニスト製剤の計画はどうなりますか。
8) 乳腺クリニックでは抗がん剤治療ができないため、新たに腫瘍内科医がいる病院を紹介されました。現在、放射線に通っている大学病院でも可能だと思うので、こちらで一緒にみてもらったほうがよいようにも思うのですが、化学療法だけでもセカンドオピニオンは可能ですか。
9) 5)6)はどれくらいの費用がかかりますか。保険適用になりますか。ハーセプチン+抗がん剤は保険適用にならないとどこかで読みました。
10) 肝機能(γーGTP)の値が、手術前30前後から、現在110まで上昇しています。ノルバデックスの影響も考えられますが、今のところ服用を続けて様子を見るようです。γーGTPがどれくらい高くなったらノルバデックスが使えなくなりますか。ノルバデックスが使えなくなることも考慮して化学療法をすすめたということも考えられるでしょうか。
11) 現段階でホルモン療法、ハーセプチン、抗がん剤と何種類も使って治療を行っても万一再発・転移してしまった場合、がんが耐性を持ってしまい再発後の治療の選択が狭められることも考えられますか?今回は抗がん剤は使わず、万一再発の時に残しておくという考えも成り立つのでしょうか。それより、今できうるあらゆる方法でとにかく再発・転移を防ぐことをまず第一に考えるべきでしょうか。

色々質問してしまい申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

ご質問ありがとうございます。全ての治療ひとつひとつに完璧なお答えを求めてしまうお気持ち、よく分かります。何か一つ疑問が解けても、また新たな疑問がでてきてしまう。これは、真剣に病気と向かい合っているかたにはとてもよくあることです。少しでもご不安が解消されますと幸いです。
1) ザンクトガレン2007では、おっしゃるとおり中間リスクです。推奨治療は、ホルモン療法+ハーセプチン+抗がん剤治療となっております。年間再発抑制率は、AC-T療法 37%、FEC100療法 45%、FEC-T療法 54%となっております。ホルモン療法とハーセプチンは必ずおこなう前提でお考えになった方が良いと思われます。以上のお話をふまえて、再度抗がん剤治療に関して主治医の先生とご相談ください。副作用がご心配なお気持ちはとてもよく分かりますが、再発率を下げるために是非とも抗がん剤治療をお受けになっていただきたいと思います。
2) 決して珍しくありません。ホルモン療法は有効であると考えます。
3) 通常は確かに抗がん剤→放射線→ホルモン療法の順番ですが、1ヶ月程度の放射線治療による大きな再発リスクの違いはないと考えます。
4) ルモン療法と抗がん剤の併用が良いというエビデンスはありませんので、ホルモン療法を一旦中止して抗がん剤をおこなうことになると思います。なお、アンスラサイクリン系薬剤とハーセプチンは日本では心毒性を考慮し同時投与はおこなっていません。タキサン系とハーセプチンは同時投与をおこなって予後の改善が見られています。決して無駄な治療はありません。
5) 御希望であればハーセプチン単独投与は可能ですが、タキサン系との併用をお勧めします。
6) AC療法やFEC療法を3ヶ月おこなったのちに、タキサン系とハーセプチンの併用となります。パクリタキセルであれば毎週投与、ドセタキセルであれば3週間ごとの投与となります。ハーセプチンの投与間隔はタキサン系の投与間隔に合わせれば良いと思います。タキサン系との併用3ヶ月ののちにハーセプチンを9ヶ月投与(全部でハーセプチン投与は1年間)となります。
7) 抗がん剤治療終了後にノルバデックスとLH-RH アゴニストを併用します。
8) もちろんセカンドオピニオンはご質問内容に制限はありませんので可能です。
9) 保険適応になります。また高額医療の申請をすれば、規定額以上の金額は戻ってくることになっています。
10) 抗がん剤投与開始の時点での肝機能は、主に総ビリルビン、GOT、GPTを指標にしています。γ―GTPの数字だけで、特に治療を行わないということはありません。
11) 再発が起きないように予防の治療にできうる治療はすべておこなっておくのが最近の考え方です。あとに使えるように治療方法を残しておいても、再発時にその治療が効くという保証はありません。再発がご心配な場合には、何が何でも再発しないように今提示された治療をすべてしっかりとお受けになることをお勧めします。今一度主治医の先生とご相談下さいね。また、ご不安な時にはご相談ください。(文責 高橋)

 

No.8667-1】  09年01月23日    C.K
手術後の補助療法について

初めて相談させていただきます。よろしくお願いします。28歳、未婚です。昨年の12月に右胸全摘手術を受けました。病理検査の結果は、乳頭腺管癌、センチネルリンパ節転移なし、脈管侵襲なし、腫瘍は不明瞭(10月の検査では16mmでした)、断端陰性、HER2:3+、ER:陽性(0%〜80%程度幅があり全体的には40%程度)、PR:陽性(0%〜80%程度幅があり全体的には30%程度)、グレードはまだわかりません。

1) 手術後の補助療法でハーセプチン単独+ホルモン療法とハーセプチン+化学療法(FEC療法)+ホルモン療法では、再発率はどれくらい変わってくるのでしょうか。リンパ節転移のないHER2:3+の方の術後療法ではどちらの方が標準的なのでしょうか。
2) HER2陽性と陰性では癌の進行はどれくらい違うのでしょうか。個人によって違うとは思いますが、HER2陽性では癌の進行は年単位とはいかないのでしょうか。早い場合にはどれくらいで進行するものなのでしょうか。
3) PET検査はどういう場合に保険適用で受けることが出来るのでしょうか。少し前に乳癌の手術後に再発の検診としてPET検査を受けている方がいらっしゃったのですが、腫瘍マーカーに異常がないと今は保険適用で受けることは出来ないのでしょうか。

ご質問どうもありがとうございます。乳がんのステージはT1(2cm以下)N0M0 stage1で、得られた情報を合わせますと年齢35歳未満で、HER2陽性ですので、再発リスクは中間リスクとなります。この場合、ザンクトガレン2007で推奨されている治療は、ホルモン療法陽性で、HER2陽性でありますので、化学療法+ハーセプチン+ホルモン療法が最も推奨されると考えます。ただし、リンパ節転移が陰性であればFEC療法のような強力な治療までは行わないことが多いと思います。リンパ節転移陽性であれば、FEC療法+タキソール療法(FEC-T)を行います。リンパ節転移陰性であれば、AC療法+タキソール療法(AC-T)となると思います。
1)年間再発抑制効果は、AC-T療法 37%、FEC-T療法 54%です。どちらが良いと思われるかは、主治医の先生と再度ご相談くださいませ。
2)リンパ節転移陰性患者様の10年生存率は、1997年のデータではHER2陰性であれば約90%であるのに対し、HER2陽性であれば約60%というデータがあります。しかし、ハーセプチンの登場により無病生存率がAC-T療法単独で73%であるのに対し、AC-Tおよびハーセプチン投与により85.9%と有意な改善がみられています(N9831/NSABP B-31合同解析)。
3)乳がんの転移再発の検査は、PET検査の保険適応になっています。ただし、前もって腫瘍マーカーやCT検査などをおこない、何らかの再発を疑う所見があった場合に保険適応になります。きちんと保険適応になるかをその都度主治医の先生にご確認いただきながら、定期検査をしていただいてください。

いかがですか。ご満足いただけましたでしょうか。それではまた、ご質問をお待ちしております。(文責 高橋)

 

No.8667-2】  09年01月29日    C.K
手術後の補助療法について(2)

HPNo.8667で質問させていただいたものです。丁寧な回答、本当にありがとうございました。主治医の先生に、「HER2が3+の時点で高リスクになり再発の可能性が高いということと、HER2が3+の方の補助療法の標準はわからない」と言われたことで、気持ちが不安定になっていたのですが、回答をいただいて少し落ち着くことが出来ました。ありがとうございます。化学療法の種類についても、主治医の先生と再度相談します。お忙しい中申し訳ございませんが、再度質問させてください。

1) 知り合いの看護師さんが医師に補助療法について聞いてくれたのですが、HER2:3+なら全摘手術をしていても放射線治療をした方がいい(化学療法+ハーセプチン+ホルモン療法に加えて)と言っていたと聞きました。今まで温存する場合には放射線治療をするが、全摘の場合にはしなくていいと聞いていたので、選択肢にありませんでした。全摘をしていても放射線治療をした方が再発しにくくなるのでしょうか。
2) 化学療法やハーセプチンの副作用で免疫力が落ちて、他の癌などになりやすくなったりすることはあるのでしょうか。乳がんだけでなく他の癌にも同じ化学療法やハーセプチンは効果があるのでしょうか。
3) 補助療法をしながら年に一回マンモグラフィと血液検査をする方針なのですが、術後すぐでも検査は年に一回でいいのでしょうか。もう少し短い期間で検査をするものだと思っていたのですが、標準でしょうか。

的外れな質問があったら申し訳ございません。よろしくお願いいたします。

1) 乳房切除(全摘)後の放射線治療はリンパ節転移がたくさんあった方には推奨されますが、リンパ節転移がない方には推奨されません。そればかりか、照射をすると上腕のリンパ浮腫の発生率が高くなるので、悪いことがあっても良いことはありません。
2) 化学療法+ハーセプチンで他のガンが増えたというエビデンスはありません
3) 一年に一度のマンモグラフィー検査というのは標準的な考え方です。(文責 清水)

 

No.8667-3】  09年02月10日    C.K
抗がん剤による早期閉経について

HPNo.8667で質問させていただいたものです。丁寧な回答ありがとうございました。お忙しい中何度も申し訳ありませんが、再度質問させてください。先日まだ出ていなかったグレードが2とわかりました。抗がん剤の種類についても主治医の先生と相談したのですが、その病院ではACはあまり使用しておらずFECを主にしていることと、若年性であることからFEC−Tを受けることになりました(抗がん剤後にハーセプチン+ホルモン治療)。抗がん剤の副作用による早期閉経の予防について医師の間でもう一度話し合いを行うとのことで、まだ化学療法を受けていません。

1) 補助療法は術後どれくらいまでに始めるのが適切なのでしょうか。手術をしてから2ヵ月程経過するので、早い方がいいのではないかと気持ちが焦っています。
2) 主治医の先生に抗がん剤の副作用によって早期閉経する可能性があるが、腹部に注射を打てば確実に卵巣を守る事が出来ると言われました。その後に調べたのですが、LH−RHアゴニスト製剤の事かと思います。でも早期閉経予防で抗がん剤と併用するのはまだ十分な検証結果がなく、安全性も十分保証されてないとありました。早期閉経予防にLH−RHアゴニスト製剤を使用する事はあまりないのでしょうか。(予防しなくても生理が戻る確率は高いのでしょうか。)また他に閉経を予防する方法はありますでしょうか。
3) 抗がん剤の種類や抗がん剤を打つ期間によって早期閉経しやすいなど違いはあるのでしょうか。また20才代でどれくらいの割合で早期閉経するのでしょうか。(FEC-T療法などで)
4) FEC6クール+タキソール12回と一年近く抗がん剤を受けた後にハーセプチンを受けるのですが、ハーセプチンは抗がん剤の後に受けた方が効果が高いのでしょうか。HER2が3+なのでハーセプチンを受けるのが一年近く後になるのは、もし抗がん剤があまり効かなかったらと思うと不安です。
5) FECは出来れば6クール受けて、続けられなければ4クールと言われたのですが、やはり6クール行わないとあまり効果が得られないのでしょうか。4クールでも効果が得られるものなのでしょうか。

長文で大変申し訳ありません。命には変えられませんが、出来れば卵巣の機能を残したいと思っています。素人が調べたことなので間違っている事、的外れな事等ありましたら申し訳ありません。主治医の先生もあまり外来にいることが少なく、聞く事が出来ずにいます。どうぞよろしくお願いいたします。

1) 術後2か月ということなので、そろそろ抗がん剤治療を開始する時期と思います。
4)5) 少なくとも、FEC療法とハーセプチンを同時併用するのは、心臓に対する副作用の点からあまりおすすめできません。後半のタキソールと併用するのは可だと思います。FECのEの量がどのくらいかにもよりますが、タキソールを併用するのであれば、4クールでもいいかもしれません。
2)3) 20歳代に限定しての無月経の確率はわかりませんが、40歳代以下で、アンスラサイクリン+タキサン併用方法では、いったん無月経になる方は15-40%程度と報告されています。ホルモン受容体陽性のがんであれば、無月経期間が長いほうが、がんの再発は少ないことは確かです。しかし、早めに生理がなくなってしまう弊害(妊娠のことや、骨粗鬆症など)とのバランスをみて考える必要があります。そのあたりに関しては主治医とよくお話になってください。(文責 俵矢)

 

No.8667-4】  10年07月26日    C.K
ホルモン治療について

No.8667とNo.8677で相談させていただいたものです。いつもお世話になっています。こちらで相談後、FECを6クールとハーセプチンを一年間受けることが出来ました。次にホルモン療法でリュープリン(初回月に1回、2回目から3カ月に1回のもの)とノルバデックス1日1回服用を5年間の予定なのですが、副作用で子宮体がんになりやすくなると聞きました。ホルモン治療中は、子宮体がん検査を定期的に受けている方が多いと思うのですが、自分は性交渉の経験がなく、かなり辛い検査になると聞き悩んでいます。いくつか婦人科の先生にもお話を聞いたのですが、現在乳がんの治療を受けている病院の婦人科では、なる人はなるので半年に1回くらいした方がいいと言われました。他のところでは、肛門からのエコーで内膜の厚さを測って、厚くなっているようだったら、MRIなどで検査をして、細胞診は最終段階でいいのではないかとのことでした。膣からのエコーも試みたのですが、膣が狭く、入れることが出来ませんでした。婦人科によっても、生理を止めることで子宮体がんの確率は下がるという考え方の先生もいて、よくわからなくなってしまいました。治療を五年間続けていけるか不安です。

1) ホルモン療法では、どれくらい子宮体がんになりやすくなるのでしょうか?(ノルバデックスの副作用によって子宮体がんになりやすくなり、リュープリンで生理を止めることによって子宮体がんになりにくくなる作用の両方があるのでしょうか?)
2) 子宮体がん検査ではなく、肛門からのエコーやMRIを定期的に受けながらホルモン療法を続けても大丈夫でしょうか?

何度も申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。

確かに、閉経後の乳がん患者さんがタモキシフェンを内服することにより、子宮体がんのリスクがあがることは事実で、発生リスクは3倍程度になるとの報告がありますが、乳がんの再発リスクを47%低下させ、また対側乳がんの発生リスクも47%低下させることもわかっており、タモキシフェン内服のメリットがデメリットを上回ることは間違いありません。閉経前については、十分なデータはなく、閉経後に準じて判断するということになりますが、また、リュープリンとタモキシフェンを併用するとどうなのかはわかりませんが、少なくともタモキシフェン単独より子宮体がんのリスクが高くなる可能性は低いと思います。現在の治療を続行してよいと考えます。
タモキシフェンは子宮体がんリスクをあげるということで、定期的な子宮体がんの検診をお勧めすることが多いですが、出産経験のない女性にはかなり苦痛を伴う検査です。更に、症状がない患者さんに子宮体がんの検診で細胞診をすることが有用であるかについては賛否両論があるようです。細胞診の苦痛が強いようであれば、他の検査で代用したり、不正出血等の症状があった時に調べるという方法も選択してよいと思います。(文責 浜口)

 

No.8667-5】  13年02月12日    C.K
ホルモン治療について(2)

No.8667、No.8677、No.9769で相談させて頂いたものです。いつもお世話になっています。こちらで相談後、リュープリンとノルバデックスのホルモン治療を受けています。現在ホルモン治療を続けて2年半になります。途中で主治医の先生が変わったのですが、前の先生は、「2年でリュープリンは終わりにしましょう。」と言われていて、今の先生は、「長くリュープリンは続けていた方がいい。」と言われています。ノルバデックスは5年服用の予定で同じなのですが、このままリュープリンもなるべく続けた方がいいのか悩んでいます。

1) リュープリンをなるべく続けて、乳がんの再発予防と子宮体がんのリスクを上げないようにした方がいいのでしょうか?
2) 標準では、リュープリンはどれくらい続けるのが平均的なのでしょうか?
3) リュープリンを長く続けることによって起こる副作用にどんなものがあるのでしょうか?
4)  リュープリンを続けることで卵巣の機能が低下したり、月経が戻りにくくなったり、老化が進んだりということはあるのでしょうか?

的外れな質問がありましたら申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。

1) その様に思いますが 再発のリスクにもよります。
2) エビデンスはありませんが、2〜3年が標準的と思います。
3) 骨塩量が低下して、骨が脆くなることが挙げられます。
4) 卵巣機能低下し生理が戻りにくくなることはあると思いますが、年齢によると思います。3)のこと以外、老化が進むことはないと思います。(文責 吉田)

 

No.8666】  09年01月23日    S  
ホルモン治療と妊娠について

いつも拝見させていただいてます。ホルモン治療と妊娠について教えてください。私はノルバデックスの治療をしています。ゾラデックスが07年12月に終わり、08年6月には生理が戻ってきました。それからはちょっと不順ですが、生理がちゃんときていました。遅くても1ヶ月半遅れとかで、きていました。しかし、08年10月に生理がきてから3ヶ月以上もきていません。ノルバを服用中は妊娠しないと聞いたのですが、本当にしないのでしょうか? ノルバ服用中は避妊をした方がいいのでしょうか? ノルバ服用だと生理不順になったりするのでしょうか?(私はもともと不順ではなかったです。) 教えてください。お願いします。

ご質問どうもありがとうございます。閉経前の乳がん患者様に抗がん剤を使用した場合、抗がん剤による卵巣機能障害から、治療中・治療後に無月経となる患者様は少なくありません。年齢が40歳未満の患者様が無月経に至る割合は平均40%とされているのに対し、40歳以上の患者様では平均76%とされています。また、乳がん治療後に妊娠をすることによって再発しやすくなるわけではありません。しかし、タモキシフェン(ノルバデックス)などのホルモン剤を内服中の場合には、タモキシフェンに催奇形性の問題があるので妊娠は避けるべきです。タモキシフェンの代謝産物が体内から検出されなくなるまでには、内服終了後約2ヶ月かかると言われております。従って、もし妊娠を御希望の場合には、タモキシフェン終了後2ヶ月は妊娠を避けたほうがよいと考えられます。また、ノルバデックスは生理を止める働きはありません。どちらかというと、抗がん剤治療による卵巣機能障害で生理不順になっている可能性が高いです。お役に立てましたか。またご不明な点はご質問くださいね。(文責 高橋)

 

No.8665】  09年01月23日    T 
経過観察で大丈夫でしょうか?

12月に健康診断で、初めてマンモグラフィを行ったのですが、左乳房腫瘤ありとの結果が出ました。精密検査が必要とのことだったので、レディスクリニックで超音波検査を受けました。その時にはマンモのフィルムを持参出来ず、特に問題はなさそうとの診断でしたが、後日フィルムを持参して再度受診したところ、フィルム上には悪いものが写っているように見える、ということでした。しかし、同日に超音波検査を受けたのですが、超音波では何も写らないということで、3ヵ月後にもう一度診察をしましょう、ということで終わりました。悪いものが写っているのに3ヶ月も様子を見ていていいのだろうか、と思うのですが。マンモで写り超音波で写らないという乳がんもあるのでしょうか。こういった場合、他の病院でも受診したほうがいいのかと悩んでいます。悪いものなら早く治療をしたいと思いますが、3ヶ月後の診察という言葉を信じていいのかどうか、とても不安です。

ご質問どうもありがとうございます。ドクターの一言ですっかり不安になってしまったご様子ですね。この場合、ドクターは、数字できちんとマンモグラフィーはカテゴリーいくつで、乳腺エコーはカテゴリーいくつで、と伝えていただけたら良かったなと思います。実際には、マンモグラフィーで写るようなしこりは、エコーでもはっきりとらえることができると思います。逆に、石灰化については、マンモグラフィーでは写るけど、エコーでは見つからないことが多いと思います。もしどうしてもご不安であれば、別の乳腺外来で再検査を近いうちに行なって、もう一度お話を伺ってみてください。不安を感じたらすぐに行動を起こしてみる。それも、解決方法の一つですからね。また、ご不安な時にはご連絡をくださいね。(文責 高橋)

 

No.8664】  09年01月23日    ゴン太
化学療法中です

私は現在乳癌の化学療法をしています。昨年10月よりFECを始め、今回5クール目が終了しました。頭髪は1クール目でほとんど脱毛してしまいました。ところがここ2.3日の間に発毛し始めたのです。喜び半分、薬が効かなくなったのではないかと不安半分です。次の治療は1月28日なので、その時には先生に聞いてみようとは思っていますが、最近右顎のえらの辺りが触ると痛いので、そのことも少し不安でメールしました。乳癌は右胸でステージVです。脇のリンパ節にもしこりがありましたが、今は胸のしこりも脇にもしこりはありません(手で触った限りでは)。化学療法の途中で発毛し始めることもあるのか、顎のリンパ節への転移は考えられるのか、教えていただきたいと思います。

ゴン太様、ご質問どうもありがとうございます。同じようにご心配される方はたくさんいらっしゃいます。結論から申しますと、抗がん剤の副作用はない方が良いのです。副作用が無いから効果がない、というのは間違いです。抗がん剤治療中に発毛が始まるのは珍しいことではありません。顎のリンパ節については、主治医の先生に超音波検査などを施行していただいてご評価をお願いしてみてください。心配しすぎなだけのことが多いですから、まずはきちんと評価を受けてみましょう。でも、どうしてもご心配なときには、いつでもまたご相談くださいませ。(文責 高橋)

 

No.8663】  09年01月23日    S 
リュープリン治療について

51才、主婦、二人の子供がおります。約半年の抗がん剤治療の後、一昨年の8月に左乳房の全摘、リンパ節郭清をしました。現在はノルバデックスの服用、3ヵ月ごとにリュープリンを注射しています。
リュープリンは8回の予定で、今月6回目が終了しました。その際主治医が、「8回が通常で、殆どの人はそれで止めるが、回数を増やせばより再発の危険性は少なくなるかもしれない。必ずとは言えないが…」という主旨のお話がありました。決めるのは私で、考えておくようにということだと思いますが、一人では結論を出せずにいます。生理は抗がん剤治療の際に止まりました。その後2年もリュープリンを注射するのですから、年齢から見てもそのまま閉経するだろうと、私は思っていました。単純にリュープリンが生理を止めるためのものなら、8回で止めて良いと思うのですが、乳がん発見時Va期だったことを考えると、少しでも再発の危険性が減るのなら、それ以上続けた方が良いようにも思います。8回で一応止めて、もし生理があるようなら、その時に再開しても良いのかなとも思ったりします。正直言って、けっして安価な薬ではないので、とても迷っています。続けるべきか、続けるのなら何年が適当か、どうか参考意見をお聞かせ下さい。

ご質問をどうもありがとうございます。閉経前の乳がんに対して、術前化学療法ののち左乳房切除および腋窩リンパ節郭清をおこない、その後リュープリン(LH-RH アナログ)による卵巣機能抑制およびノルバデックス内服を併用されていらっしゃるのですね。ご質問にございますように、LH-RH アナログの治療期間は臨床試験においては2年、3年、5年があり、その至適投与期間については明らかにされておりません。なお、渡辺亨先生は論文の中で次のようにおっしゃっています。「ホルモン受容体陽性の乳癌患者に対するLH-RHアナログの投与期間は、特に高再発リスクかつ/またはHER2陽性の場合は5年間投与を選択する傾向にある。一方、LH-RHアナログの投与期間を、年数で限定するのではなく、患者の年齢に応じ本来閉経するまでの期間(time to menopause)、卵巣機能を抑え続けるという考え方も根強い。たとえば、35歳で治療を開始した場合、本来閉経する年齢である52歳あたりまでの17年間にわたり、LH-RHアナログを投与し続けるという考え方である。」
このように、LH-RHアナログを何年続けるかは状況により、主治医と患者様で相談して決めていってよいことであると思います。十分にご相談の上、不安や後悔のない選択をされてください。 また、お分かりにならないことがございましたらご相談くださいませ。(文責 高橋)

 

No.8662】  09年01月22日    D.S. 
母のしこりについて(HPNo.8394-4)

(HPNo.8394-2)にて、先日質問させていただいたものです。先日はご丁寧な回答ありがとうございました。昨年12/9に母の左乳房の全摘手術を行い、先日病理の結果が出ました。今後の治療法と、病状についてご相談させていただきたいと思います。手術の際、センチネルリンパ節に転移があったので、リンパ節をすべてとりました。病理の結果、しこりは20mm×15mm×28mmで、リンパ節転移は0/25で、センチネルのみ陽性でした。「細胞の悪性度グレード1、細胞断端?マイナス、ER+、PR+-(陽性)、HER2(+1)」と言う結果でした。今後の治療法としましては、FECを4回、その後タキソールを4回、その後ホルモン剤治療になるとの事でした。放射線治療は、リンパ節の転移が1個ということだったので、しないとの事です。

1) 以上のことから、病期はどのぐらいになるのでしょうか? ステージ2Bでよいのでしょうか?
2) 主治医の先生は、HER2が1+は、そんなに悪くないようなことをおっしゃっていたのですが、しこりの大きさが大きく、リンパ節に転移があり、HER2が陽性の場合は、予後があまりよくないと言うようなことを目にしたことがあります。やはり予後は楽観視出来ないのでしょうか? (再発リスクが高いと言うことでしょうか?)
3) 今後の治療としては、抗がん剤がFECとタキソール、その後ホルモン剤治療で大丈夫なのでしょうか? ハーセプチンは必要ないのでしょうか?

リンパ節の転移が1つだったことと、顔つきも悪くなくホルモン感受性陽性だった為、ホルモン治療が出来るなど、母は少し安心しているようですが、私としては、HER2が陽性という点が気になっています。インターネットで私が調べたことなので、的外れな質問があるかもしれませんが、教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。

いつもご質問をどうもありがとうございます。一生懸命お母様のために知識を増やし、一緒に病気と闘おうという強いお気持ちが伝わってまいります。少しでもお力になれると嬉しいです。
1) 原発巣が2-5cmで、腋窩にリンパ節転移(センチネルリンパ節のみ)陽性でしたのでステージUbとなります。
2) HER2(1+)であれば、HER2は陰性の判断となります。腋窩リンパ節転移が1個陽性で、ER陽性、HER2陰性であることから、ザンクトガレン2007においては再発リスクは中間リスクとなります。
3) 中間リスクに対しては、抗がん剤治療、特に腋窩リンパ節転移陽性であることからFEC療法選択は妥当、その後タキサン療法(パクリタキセル毎週投与12回、あるいはドセタキセル3週間毎投与4回)、その後ホルモン療法でよろしいかと存じます。
 
以上をふまえて、再度主治医の先生ともご相談ください。またご心配ごとがございましたら、ご質問くださいませ。(文責 高橋)

 

No.8661】  09年01月22日   A 
薬の副作用について

昨年、術後疼痛症候群についてご相談させて頂いた者です。トリプタノールを処方していただき、服用しています。この薬で、便秘(これは便秘薬を処方して頂き服用中)、そして口の渇きが強いです。以前テレビを見ていたら、口の渇きに対するお薬があると言っていらしたのですが。薬名までは放映されませんでしたが、口渇に対して良いお薬がありますでしょうか。お忙しい所申し訳ございません。ご回答の程宜しくお願いいたします。

ご質問ありがとうございます。お薬には色々な副作用がありますね。あまりに口渇が強い場合には内服薬を中止するしかありませんが、軽度であればお水でつねに口を潤したりいつもガムを噛んだりするのが良いと思われます。ただし、どうしても口の渇きが強い場合には、人工唾液(サリベート)などを使用することもご考慮に入れても良いでしょう。ただし、人工唾液は一般的にはシェーグレン症候群などの時に保険適応となる薬ですので、副作用対策のときには自費購入となると思います。(文責 高橋)

 

No.8660】  09年01月22日   K 
乳輪及び乳首のかゆみと出血について

32歳主婦です。6歳になる子供がおり、その子が3ヶ月までは母乳で育てていました。4ヶ月に入る時期に、急40度からの高熱が出て、3日後に熱が引くと同時に母乳がぱったりと出なくなりました。その頃から時折ある症状だったのですが、以前は何となく生理前などに乳首が痒いな〜程度だったのですが、ここ1週間ほどは、生理前でもないのに胸全体(と言ってもいい範囲特に乳輪と乳首)が痛痒く、お風呂に入ると、必ず乳首の付け根からうっすらと出血しています。出血と言っても、ティッシュに滲む程度で、下着にも付着しません。消毒液をつけ、次の日には「どこから血にじんだっけ?」という程度です。数日前からは、日中にもなんとなく痛痒い・・・?ような症状が出ています。かかりつけの産婦人科に相談した方がいいのか、皮膚科に相談した方がいいのか、それともこのまま気にせずいててもいいのかが判断付きません。アドバイスをお願いいたします。

ご質問どうもありがとうございます。お話のなかで難治性の乳輪の湿疹があることから、パジェット病の可能性があります。パジェット病は乳頭や乳輪の湿疹を伴う比較的性質の穏やかな乳がんのことです。パジェット病はとてもおとなしい病気で死に至ることはまずありませんが、早めに乳腺外来を受診され、そうではないことの証明をいただいてください。乳腺外来では、細胞診あるいは組織検査をおこなって診断をつけます。できるだけ早く受診されて、より早期に安心を得てください。またお分かりにならないことがございましたら、ご質問くださいませ。(文責 高橋)

 

No.8659-1】  09年01月21日    Y
再発後の治療について

57歳の母の乳がんの再発後の治療について悩んでいます。2006年の12月に右乳房と一部転移が観察されたリンパ右リンパを切除しました。その後、CMF両方を6クール受け、2007年7月より(ホルモン受容体がプラスであったことから)アルミデックスの服用を開始しましたが、2008年6月の骨シンチ検査で@下位腰椎右側、A右仙腸関節上端、B右大腿骨頚部に集積増強部位ありと診断されました。その後の12月の2年目検診(CT、MRI、骨シンチ)で、再度胸骨と腰骨への転移の可能性を指摘されています。痛みがあることから同年10月末よりビスホスホネート(ゾメタ)も服用し、また同時期より宝石岩盤浴マットを購入し、1日2回の施術を家で行っています。血液検査の結果、ガンマーカー(CA15-3)の値が2008年9月の16.1から上昇(10月26.7、12月47.6)してきました。12月の結果を踏まえ、アルミデックスとは作用の仕方が異なるアロマシンの服用を開始しましたが、1月に入り、同値が95.2へと上昇しています。ホルモン療法の効果には時差がみられるといった情報や、温熱療法によるがん細胞の弱体化によりガンマーカーが一時的に上昇する、抗がん剤による免疫細胞の破壊といった話を聞き、抗がん剤(CMF両方は既に実施済みなので、アンスラサイクリン系かタキサン系、もしくはゼロータやティーエスワン)へのスイッチを躊躇しています。一方、抗がん剤の時機を逸することで取り返しがつかないことにはなってほしくないというのが家族の思いでもあります。アドバイスを頂けると助かります。

生命にかかわる転移ではない場合、ホルモン療法が優先されますが、アリミデックスに代表されるAI剤や、タモキシフェンに対し抵抗性があるもの(効かない場合)は、わが国では、MPA(ヒスロンH)が最後に選択するホルモン療法薬となります。その次に抗がん剤を考えることになると思います。まだホルモン療法剤の選択肢も残っていますので、主治医と充分ご相談下さい。(文責 須田)

 

No.8659-2】  09年03月23日    Y
点滴の抗がん剤と内服の抗がん剤の効果の違いや、現在の治療の妥当性について

お世話になっています。先日は、母の件で、ご回答を頂き、ありがとうございました。
結局、アルミデックス、アロマシンの後、フェマーラを試しましたが、上がり始めたガンマーカー(CA15-3)の値が3月初めに、400(16.1(2008/09)→26.7(2008/10)→47.6(2008/12)→90(2009/1)→400(2009/3))まで上昇してしまいました。骨転移が進んでいるようで、最近は昨年夏移行に転移が観察された胸骨、腰骨に加え、喉や背骨にも痛みを感じるようになっているようです。主治医からは、今後の治療についての明確な方針はなく、”次はどれにしたいですか?”といったスタンスで突き放されているように感じ、家族としても不安を感じています。今週より、今回の値の急上昇を受け、ゼローダという内服抗がん剤の服用を開始しています。ところがその後、一部の本で、”抗がん剤は内服のものよりも点滴のものの方が効果が大きい”、という記述を見つけ、ゼローダを選択することが良かったのかどうか、心配になっています。点滴の抗がん剤というと、アントラサイクロン系かタキサン系のものになるかと思うのですが、前述の通り、主治医からは明確な治療方針が提示されなかったため、”副作用が小さい”という点からゼローダを選択するに至った経緯があります。点滴の抗がん剤と内服の抗がん剤の効果の違いや、現在の治療の妥当性について、ご意見を頂けると大変助かります。どうか、宜しくお願い申し上げます。

年齢や臓器機能によって点滴の抗がん剤は副作用のために投与できないこともあります。その辺の状況からゼローダというのは悪くないと思います。(文責 石山)

 

No.8658】  09年01月21日    K.I. 
薬剤の変更について(2)(HPNo.8650-2)

HPNo-8650で薬剤の事で相談させてもらった者です。新しい主治医に閉経前であることを告げたところ、アリミデックスの服用を2週間やめて、その後2週間ノルバデックスを服用して血液検査をするという事になりました。良ければ後1年半ノルバデックスを服用すると言われました。しかし、生理を止める事なくノルバデックスだけの服用というのも不安です。効果があるものでしょうか? 3年半のアリミデックスの服用は私にとって意味の無いものだったのでしょうか? 生理が不順になったのも最近の事です。良い事も悪い事も自分自身に納得させてから前向きに考えたいので教えて下さい。宜しくお願いします。

LH-RHアナログ+ノルバデックスという選択肢もあります。主治医とご相談下さい。閉経前女性の場合、アロマターゼは卵胞の顆粒膜細胞に高濃度に存在し、卵巣からのエストロゲン産生はコナドトロピン刺激によりフィードバック調節を受けています。そのためアロマターゼ阻害剤は閉経前女性のエストロゲン濃度を閉経後のレベルまで抑制する効力が常に認められるわけではないとのデータがあります。従って、血液中のエストロゲンの濃度を測定しないと個人個人については不明です。(文責 須田)

 

No.8657】  09年01月21日    Y 
術後の治療方針について

10月に健康診断で乳がんが発見され、12月11日に乳房温存手術(腋か郭清含む)を受けました。1月5日にでた病理検査は以下のとおりです。
腫瘍径;2×1.4cm、がんの種類:浸潤癌(硬癌)、切除断端;陽性、波及度;脂肪、リンパ管押侵襲;Iy0、エストロゲンレセプター;陽性、プロゲステロンレセプター;陽性、組織学的悪性度;グレード2、HER2:陰性、リンパ節転移:0/10
以上の病理検査結果をふまえ、担当医師からは、抗がん剤投与(タキソテール+エントキサンを三週間ごとに4回投与)→再手術(温存)→放射線→ホルモン療法の流れで治療をするのがベストであるが、抗がん剤と再手術はリスクも高いので自由意志によるものとする。抗がん剤をやらない場合はホルモン療法を内服のみでなくLH-CHの注射を追加し、再手術をやらない場合には放射線療法を追加することにより、それらを補うこととすると言われています。再手術は二度目なので、変形はまぬがれない上、二度目が再び断端陽性であれば、三度目は全摘と言われ不安を感じています。そもそも断端確認というのは、術中にできないものなのでしょうか。医師から抗がん剤投与後、取り残しの癌がなくなる可能性もあるが、それを確認するためにも再手術をする必要性があると言われていますが、手術以外に確認する術はないものでしょうか。それから変形に不安を感じているため、医師に可能かどうかまだ未確認なものの、皮下乳腺全摘同時再建を希望したいと思っていますが、皮下乳腺全摘同時再建と温存手術を比較した場合のメリットデメリットを教えてください。どうぞよろしくお願いいたします。

断端については術中に確認するしかありませんが、現在治療されている病院に病理医がいれば、術中に断端確認は出来ると思います。手術に関してですが、乳癌の存在した場所・テザイン等の具体的なことについては、直接診察していないのでわかりません。詳しい情報をお持ちの主治医の先生にお聞きください。疑問点・不安点を抱えたままにせず、充分説明を受けて、納得のいく手術を受けてください。(文責 須田)

 

No.8656】  09年01月21日    T.A. 
経過観察でいいのでしょうか?

いつも参考にさせていただいております。私の妻のことで御相談させていただきたいのですが、以下は妻の供述です。
56才。2008年9月上旬に左乳房温存手術を実施。大きさ1.8cm、センチネルリンパ生検(−)、断端陽性で追加手術はせず、放射線治療30回、後はホルモン剤でいきましょうと言われ、現在そうしています。術後2週間して左の乳房がムズムズし、丸く点々としたものが表面に出来たり(これはすぐ消えましたが)、時々チクチク痛んだりしていました。背中の痛みもありました。10月からは放射線治療を開始。10月中旬の診察では、主治医から、「背中の痛みは術前に骨シンチで異常はなかった。このまま様子を見ましょう。」と言われました。10月中旬から乳房がチクチク痛んだり、時々背骨を中心になにかがうごめいているような感じの不快感がありました。だんだん背中全体に広がり、今月初めには背骨を中心として今まで以上に恐ろしいような、うごめいている気持ち悪さがありました。その不快感のあった背骨のあたりが一日数時間痛み、ロキソニン(鎮痛剤)もききません。ここ3日間は腰も痛くなってきました(背骨、腰に関しては今月から整形外科に行っています)。乳房のチクチク痛みも、時々鎖骨の下あたりまであります。このごろは右乳房もチクチクすることがあります。
12月中旬、「背中の痛みはすい臓がんかもしれない」と、他医院で内臓を全部診てもらいましたが異常なし。念のためPETーCTを撮ることになりました。今月初め PET-CTを受けた結果、報告書には、「すい臓がんの疑いなし。左乳房内に軟部組織構造を認め、軽度の集積亢進部を認めます。経過観察して下さい。両側後頚部、両側鎖骨上、両側傍錐体領域に多数の集積亢進が目立ちます。鎖骨上 リンパ節転移がマスクされる可能性も残るため一定の注意を要します。」とありました。主治医は、「はっきり再発したという結果でなければ抗がん剤はしません。」と言われます。私としては、耐え難い背骨、腰の痛み、乳房のチクチク痛みの広がり、背中のなにかがうごめいている感じなど、毎日、毎日不安で仕方ありません。このまま経過観察でいいのでしょうか。ご回答よろしくお願いいたします。

両側後頚部、両側鎖骨上、両側傍椎体領域にFDGの集積亢進が目立つとありますが、骨転移を考え、念のために骨シンチ、MRI等の検査を進める方向で、主治医にご相談してみてはいかがでしょうか。不安要素をそのままにしておくのは精神的なストレスにもなりますし、前向きに病気と向かい合うためにも、納得のいく治療を受けることが大切だと思います。(文責 須田)

 

No.8655】  09年01月21日    H.M. 
アロマシンとイソフラボンの摂取

乳がんの再発で、アロマシンを服用しておりますが、イソフラボンが多いとされている大豆、豆腐、黄な粉などを多く摂取してもよいでしょうか? 70歳で閉経後の再発で、エストロゲン依存の癌なので、エストロゲンと似たイソフラボンの摂取は控えたほうが良いのでしょうか? イソフラボンは乳がんを抑えるという情報もあり、迷っています。どうか、よろしくお願いします。

大豆イソフラボンはエストロゲンとよく似た構造をしており、「植物エストロゲン」と呼ばれています。体内でエストロゲンと同じような作用を持ちますが、その作用はエストロゲンよりかなり弱いと言われています。乳癌の細胞は、エストロゲンの作用で増殖し大きくなる可能性があるので、大豆イソフラボンを多くとることで、乳癌細胞も増殖が活発になるのではないかという心配をされているのだと思いますが、適量の摂取で乳癌の治療薬タモキシフェンと同じような効果をあげる可能性もあります。食品の形でたくさん食べても、まず心配はありません。(文責 須田)

 

No.8654】  09年01月21日    T  
乳がんの再発・転移について

初めてご相談のメールを差し上げます。現在51歳の妻についてご相談いたします。2007年6月に乳がんのため右乳房部分摘出手術(センチネル リンパ節生検)を受けました。病巣は、12ミリ程度の早期発見でした。術後はホルモン療法を行い、定期検診を行いながら異常もなく推移してきました。ところが昨年12月の大学病院の定期検診で、「 腫瘍マーカー:すべて正常 ・ 骨シンチ:肋骨1箇所に疑わしいスポットあり、要CT検査」という結果となり、現在3月予定のCT検査待ちです。主治医の所見は、骨シンチ画像から骨転移というより、過去に骨折等で治癒した部位に見受けられる、と言われ、妻に「過去に骨折、打撲などしていないか?」と質問されましたが、妻としては覚えがなく、結局、念のためにCT検査を行うことになりました。平常の姿勢では痛みを感じることはなく、また、部位を手で圧迫しても痛みを感じません。前記の状況では、乳がんの再発・転移を強く疑うべきでしょうか。よろしくお願いいたします。

骨シンチでの疑わしいスポットについては、過去に骨折等で治癒した部位に見受けられるような画像であるとのことですから、このニュアンスは、乳癌の再発・転移を疑ってCT検査を行うのではなく、肋骨の転移ではないことを確認するための検査だということです。従って、「再発・転移を強く疑うのではなく、再発・転移でないことを確認する」と考えるべきです。(文責 須田)

 

No.8653-1】  09年01月21日    T.O. 
ホルモン剤の効力と変更について

私は55歳の時手術をし、現在58歳です。本人の希望により、硬癌で、大きさ1.3×1.4の1期にもかかわらず右胸を全摘しました。細胞診の結果は、「ホルモン受容体がERは強度の陽性・PgRは中度の陽性で、Her2は+1」でした。センチネルにより、リンパ節に転移無し(0/3)・ 脈間侵襲無し・グレード1(主治医は、1と2の間の感じだが、1と言う医者もいるので1で良いとの事)で、術後治療はホルモン剤服用のみでした。最初の2年はノルバデックスを、その後アリミデックスに変えて1年経ちますが、先日読みました本にアロマターゼ阻害剤でもアリミデックスとフェマーラは服用しているときだけ阻害するが、アロマシンは服用後も効果は持続するとの記述が有り、これが本当なら、私は今からでもアロマシンを服用したいと考えています。
1) 抗エストロゲン剤(2,3年服用後)→アロマターゼ阻害剤との事なので、変えても構わない?
2) タモキシフェン→アリミデックス→アロマシンと薬を変えるのは落ち着かず、薬の効き目にマイナス?(薬の副作用などで変えることはよく耳にするので、構わないのかな?と判断していますが・・・)
3) 5年服用の時、タモキシフェン→アリミデックスより、タモキシフェン→アロマシンの方が効果が期待出来る?
4) 私の場合は10年飲む必要が無い?
5) 先生の患者だとしたら、今からでもアロマシンに変更を奨める?

以上ですが、宜しくお願いいたします。神経質とお笑いになるかも知れませんが、どの薬を服用しても私はかなりの副作用があるのですが、再発・転移しましたら完治は望めませんので頑張って服用を続けています。腫瘍マーカーが、今のところ正常の範囲内ですが、じわじわと右肩あがりで下がることなくきていますので、おちこんでいます。出来るだけ効果のある薬の服用がしたくて、ご相談いたしました。お忙しいでしょうが、宜しくお願いいたします。

アロマターゼ阻害剤は、アロマターゼに対する選択肢の違い(効果の違い)により、第1世代・第2世代・第3世代に分類されますが、第3世代の方が第1世代より効率がよく、副作用が少なくなっています。現在、第3世代の薬剤は、非ステロイド系の薬剤としてアリミデックス、ステロイド系の薬剤としてアロマシンがありますが、効果は同等であると認識されています。しかし統計的には同等であっても、個人個人によって差があるのは勿論のことです。
1) 変更しても大丈夫です。
2) 個々の場合によって差があるので、タモキシフェン→アリミデックス→アロマシンもあり得るし、タモキシフェン→アロマシン→アリミデックスもあり得ます。
3) 直接比較したデータはありません。
4) ホルモン療法で出来るだけ長期に続ける方がよいと考えられる傾向にありますが、アロマシン10年内服のデータは現時点ではありません。
5) アリミデックスとアロマシンの効果は同等と考えられていますので、個々については、それぞれの患者さんと相談しながら決めていくということになります。貴女の状態を最もよく把握してくださっているのは主治医ですから、納得のいくまで充分ご相談ください。(文責 須田)

 

No.8653-2】  11年01月16日    T.O. 
ホルモン剤終了後について

何時も的確な説明を有難うございます。おかげさまで1月16日で術後5年が過ぎ、6年目に入ります。主治医に「アリミデックスは終了、貴女の場合は、その後の再発は3%」と言われ、嬉しいような不安なような、複雑な気持ちで、少々落ち着きません。また2たつ教えて下さい。

1) 最近、講演を聴いたり患者会の専門医がホルモン剤の延長を言われますが、私の主治医は「リンパ節転移が無かったので飲む必要無し」と言われます。1期で低リスク、ホルモン感受性強の私は、5年終了でいいのでしょうか?
2) 検診時に主治医から「あなたの場合は5年後からの再発は3%」と言われましたが、乳癌のガイドラインなどの表では、1期の10年生存率が89%になっていますので、「よく解らない」と悩んでいます

以上ですが、その通りに理解し喜ぶべきなのでしょうか?素人にも解る様に本当のところを教えて下さると助かります。お忙しい時期に申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。

御相談ありがとうございます。 私のお返事で少しでも疑問が解消されれば嬉しく思います。
1)現在アリミデックスでの治療5年終了後にさらに延長して投与した方が良かったというはっきりとしたデータはありません。海外のデータでも、5年までは信頼性の高いエビデンスがありますが、5年以上の投与に関しては、記載はありますが信頼性に乏しいエビデンスとなっています。このため治療の継続が有効なことも予想されますが、それに伴う副作用(特に骨粗しょう症)も考慮して決めていかなければなりません。
2)再発率とは乳癌が治療により一度消失した後に再び出現した割合のことを示しています。生存率とは治療開始から死亡するまでの割合を示しています。従って再発率と生存率は全く別のものであることをご理解下さい。そして今回ご質問の再発率3%と生存率89%はおそらくもとのデータが異なるため、比較することはできません。あくまでも統計上の数字ですから、あまりこの数字にとらわれない方がよろしいかと思います。(文責 斎藤)

 

No.8652】  09年01月13日    T 
術後化学療法と生存率について

76歳の母についての相談です。よろしくお願い致します。昨年11月下旬に右乳房全摘の手術を受けました。病理結果は、「浸潤性乳管癌、リンパ節転移 陰性、大きさ(浸潤型) 2cm、範囲 2cm、核異型度 3、ホルモン感受性 なし、Her2/neu なし」とのことでした。今後の治療については内科の先生と相談することになっていますが、『”化学療法を受ける、頑張る” と言うならやめなさいという医師はいないけれど、年齢的に・・・』のようなことを外科の先生には言われました。お聞きしたいのは 以下の点です。
1) 腫瘍の大きさが2cm、異型度3 ならば、既に全身へ微小転移していると考えていいのか。
2) 「ルモン感受性&Her2/neu なし」というのは、 トリプルネガティブと言われる予後の悪い乳癌で、抗がん剤の効果は期待できないのか。
3) 再発するとしたら、おおよそ何年(何ヶ月)後くらいか。
4) 癌のタイプ、母の年齢から見て、最も標準的な術後の治療は どういうものか。
5) 化学療法を受けた場合と受けなかった場合の5年生存率は、どのくらいか。

1) 微小転移の可能性は否定できません。
2) トリプルネガテイブですが、トリプルネガテイブは、そうでない場合と比較して抗がん剤の効果が高いことも事実です。
3)4)5) 「今後の治療については内科の先生と相談」ということですので、おそらくは腫瘍内科などの専門医による治療が開始されると思いますので、治療効果予測や再発率などの個人データに関しては担当医より直接説明してもらうのが良いと思います。(文責 首藤)
 

 

No.8651】  09年01月13日     H 
8歳の娘の胸のしこりについて

8才の娘ですが、右側の乳房に1.5センチほどのしこりがあるのを本人が見つけました。触ってみると、硬くて動きます。外から見ても若干腫れているように見えます。痛みや痒みも無いそうです。左側の乳房は柔らかく、何もありません。子供が乳がんになることはあるのでしょうか? また、他にどんな病気の可能性がありますか? 病院で診てもらうなら、小児科でよろしいですか? よろしくお願いいたします。

おそらく乳腺組織が正常に発達してきているものと考えられます。基本的に問題ないと思いますが、一度乳腺専門医に診てもらいましょう。(文責 首藤)

 

No.8650-1】  09年01月13日     K.I.
薬剤の変更について

現在50歳です。3年半前に温存手術を受け、放射線を23回受けました。その後現在に至るまでアリミデックスを服用しています。幸い今に至るまで再発や婦人科系の方も大丈夫です。 しかし私は閉経前です。閉経前だと効果が無い事を、このサイトで知りました。前の主治医に、「アリミデックスを服用していると生理が止まる」と言われましたが、止まりませんでした。その旨、報告すると、薬の事は詳しくないと言われ、現在に至ります。今主治医が変わりましたので、相談して薬を変えて貰った方が良いような気がするのですが・・・。その場合ノルバデックスとゾラデックスに変えてもらった方が良いのでしょうか? しかし3年半も経っているのに効果はあるのでしょうか? どういう療法が効果的なのか教えて下さい。ちなみに、生理は年のせいか不順になっています。長くなってしまいましたが、宜しくお願いします。

閉経前のかたにアリミデックスを補助療法として使用することは標準的ではありません。しかしながらあなたの場合、すでにアリミデックスで3年以上経過していることや、生理不順となり、おそらく前閉経状態にあることから、あと1年半アリミデックスで補助療法を完遂することも選択肢の一つでしょう。新しい主治医とよくご相談ください。(文責 首藤)

 

No.8650-2】  09年01月22日     K.I.
薬剤の変更について(2)

HPNo-8650で薬剤の事で相談させてもらった者です。新しい主治医に閉経前であることを告げたところ、アリミデックスの服用を2週間やめて、その後2週間ノルバデックスを服用して血液検査をするという事になりました。良ければ後1年半ノルバデックスを服用すると言われました。しかし、生理を止める事なくノルバデックスだけの服用というのも不安です。効果があるものでしょうか? 3年半のアリミデックスの服用は私にとって意味の無いものだったのでしょうか? 生理が不順になったのも最近の事です。良い事も悪い事も自分自身に納得させてから前向きに考えたいので教えて下さい。宜しくお願いします。

LH-RHアナログ+ノルバデックスという選択肢もあります。主治医とご相談下さい。閉経前女性の場合、アロマターゼは卵胞の顆粒膜細胞に高濃度に存在し、卵巣からのエストロゲン産生はコナドトロピン刺激によりフィードバック調節を受けています。そのためアロマターゼ阻害剤は閉経前女性のエストロゲン濃度を閉経後のレベルまで抑制する効力が常に認められるわけではないとのデータがあります。従って、血液中のエストロゲンの濃度を測定しないと個人個人については不明です。(文責 須田)

 

No.8649】  09年01月12日     KM
アロマシンについて(2)(HPNo.8645-2)

回答有難う御座いました。昨日病院に行って来ました。「薬をやめて様子を見ましょう」と言われましたが、「微熱は違う。他の病気だ。」と言われました。アロマシンで微熱が出る方もおられるでしょうか? 内科でもお困りのようです。又お返事頂きたいと思います。72歳です。

アロマシンの直接的副作用とは考えにくいと思います。(文責 首藤)

 

No.8648】  09年01月12日   M
ホルモン療法の期間

現在45歳で、44歳の時に、DCISということで、右乳房部分切除をしました。「ER+、PGR+HER2SCORE1、切除断片(ー)」でした。センチネルリンパは陰性。放射線は、なしでした。ホルモン療法として、リュープリン注射を二年、飲み薬を三年と言われましたが、注射を二年だけではいけないのでしょうか? 更年期のような症状が辛いです。12月にマンモグラフィーやCT等しましたが、なにも問題はありませんでした。よろしくお願いいたします。

リュープリンなどのLH−RH製剤は2年間、内服(タモキシフェン)は5年投与が本邦では標準的です。LH−RH製剤2年間と内服ホルモン療法5年間においてどちらが優れているかといった優越性は定かではありません。また非浸潤がん温存術後の温存乳房に対しては放射線療法をおこなうのが標準的です。よく主治医とご相談ください。(文責 首藤)

 

No.8647】  09年01月12日   Y 
乳がん検診について

よろしくお願いします。以前、右胸のしこりが気になって乳がん検診を受けたところ、「しこりはあるがマンモで異常がないので大丈夫でしょう。年に1度は検診をうけるように」と言われました。その後すぐに妊娠し、ただいま授乳中です。右胸のしこりは今もあり、少し大きくなったような気がします。今回、夫の会社の健康保険組合で人間ドックを受けられるのですが、エコーとマンモを選択しないといけません。「授乳中は乳腺が発達しているのでエコーの方が良い」とか、「マンモでないと癌は発見できない」とか、色々噂を聞きます。どちらを受けたらいいでしょうか? 自費でも両方受けたほうがいいでしょうか?

明らかに触ってしこりがあるのでしたら、超音波検査を行ってしこりの有無やしこりの形状をみきわめることと、超音波下に少なくとも細胞診を、場合によっては針生検などの組織診を行うことをお勧めします。(文責 首藤)

 

No.8646】  09年01月09日   H.K.
ホルモン剤の副作用について

現在49歳。3年前46歳で手術、その後、抗がん剤および放射線の治療を受け、現在ホルモン剤を服用中です。初めの2年半はノルバデックス、そして昨年7月からアロマシンを服用しています。変更した理由は、抗がん剤治療中生理が突然無くなり、その状態が続いたため、完全に閉経したとみなされたためです。薬の変更による体調の変化は半年間無かったのですが、先月から手の指がこわばり、体中に次々できてしまう乾燥による湿疹のような皮膚炎、体のだるさ、倦怠感、特に疲れた場合には、飲食時ののどの通過の困難などの副作用が出るようになりました。このような副作用はよく出るものなのでしょうか。仕方がないと諦めて我慢すべきなのでしょうか。それとも薬を変更してもらうべきなのでしょうか。閉経後用の薬は他にもあるようですが、変更した場合、効果および副作用が異なってくるということなのでしょうか。 

指のこわばりは良く経験します。それ以外のものは、あまり一般的ではありません。ただ、アロマシンに変更してからの副作用なので、その影響は高そうです。薬剤は、効果と副作用のバランスで成り立っています。日常生活を送る上で、副作用がつらければ、身体に合っているとは思えませんので、別の薬剤への変更、もしくは中止を検討したほうが良いでしょう。他のものへの変更に関してですが、効果はどれが一番なのかは、答えがありません。副作用の指のこわばりは似ているかもしれませんが、他のものは違ってくると思います。(文責 鈴木)

 

No.8645-1】  09年01月09日   K、M
アロマシンについて

乳がん術後3年になります。アロマシン25rを3年間服用してきました。何ごとも無く過ごしましたが、昨年11月から高血圧・ホテリ・微熱、今年に入ってから両足のシビレもあります。血液検査では、がん 炎症反応で、肝臓・腎臓には異常がないと言われました。私立病院の外科で手術したのですが、先生に伝えても、内科に行くように言われ取り合って頂けませんでした。近くの診療所で見て頂いております。先生もお困りのようです。どうすれば良くなるのか、良い方法があればと思いMailさせて頂きました。(やはりアルマシンの副作用でしょうか?) 困っております。メール頂きたいです。

術後アロマシンを内服されているので、閉経後であると察しますが、アロマシンにより、頻度は少ないものの、更年期症状が出現することがあります。また、手指のこわばり、しびれなどを自覚することもあります。今の症状は、アロマシンの影響の可能性は十分あると思います。何かの病気の症状でもないように感じます。ここは、症状があまりにきつければ、一時中止して、症状の変化をみるのが良いのでは?(文責 鈴木)

 

No.8645-2】  09年01月12日   K、M
アロマシンについて(2)

回答有難う御座いました。昨日病院に行って来ました。「薬をやめて様子を見ましょう」と言われましたが、「微熱は違う。他の病気だ。」と言われました。アロマシンで微熱が出る方もおられるでしょうか? 内科でもお困りのようです。又お返事頂きたいと思います。72歳です。

アロマシンの直接的副作用とは考えにくいと思います。(文責 首藤)

 

No.8644】  09年01月09日   M 
タスオミン服用中の妊娠の可能性について

タスオミン服用中の妊娠で、教えて頂きたくメール致しました。現在、リュープリンの注射を終えて、タスオミン服用のみしています。生理は、昨年の6月に戻りました。その後生理は来たり来なかったり、来ても量がすごく少ない事もあります。試しに基礎体温を測っていますが、いつもバラバラで、生理中なのに高温期が続いたり(1週間経ってから低温に戻りましたが)、排卵しているのか、排卵日も一体いつなのか分からないような状態です。このような場合でも妊娠する可能性はあるのでしょうか? 万が一妊娠した場合は、子どもに影響が出るのでしょうか? どうぞ宜しくお願い致します。

基礎体温、排卵日・・などと、妊娠の可能性については専門外ですので、産婦人科の先生にお聞き頂ければと思います。恐らく、タスオミンにより生理不順になっているのではないかと思われます。いずれにせよ、一度、産婦人科の受診を勧めます。タスオミンはご存じのとおり生理を止める薬剤ではありませんので、正常の卵巣機能が保持されていれば、内服中の妊娠は可能です。タスオミン内服中は、胎児に奇形が発生する可能性がありますので、内服中の妊娠はさけるようにしましょう。タスオミンはその代謝産物が、体内に2ヶ月は残存しますので、最低でも内服終了後、2ヶ月は妊娠を避ける方がよいでしょう。(文責 鈴木)

 

No.8643】  09年01月09日   C 
脇のシコリについて

脇のシコリについての相談です。お願いします。33才。1才8ヶ月の子供に夜のみ授乳をしています。10ヶ月前に、乳腺外科にて触診とエコーで乳癌を診てもらいましたが、大丈夫でした。7ヶ月前から、腕を上げた状態で片脇の真ん中に5ミリ程の動かないシコリを確認し、両腕を下げた状態では、両脇の奥に平たいシコリと丸いシコリを確認しています、共に大きさは変化していません。良く乳腺炎になる事があり、その影響でシコリが出来るというはあり得るのでしょうか? また胸にシコリが見当たらない場合の脇下に出来るのシコリ原因と、また病院で診てもらうとしたら何科になるのでしょうか? 宜しくお願いします。今現在、シコリが出来始めた頃から、不正出血が原因で体調を崩し、ストレスなど自律神経が乱れているのではないかと、病院では言われています。

乳腺炎の状況としても矛盾しませんが、一度専門医に診てもらいましょう。乳腺外来を標榜している病院・施設を受診されることをおすすめします。(文責 首藤)

 

No.8642】  09年01月07日   N.T. 
心配のない状態でしょうか?

1年2ヶ月前に46歳で左温存手術 病理結果は 硬がん 石灰化で浸潤径9ミリ ホルモン感受性2つとも+ HER2- Ly0 V0で、放射線治療後リュープリン摂取中です。11月の術後1年検診では異常なしでした。ところが、12月中頃に手術した左乳房の下の方(膨らみの下の方なので見えづらいところ)に、虫に刺されたようなふくらみができ、中に芯があるような感じで、赤くなっています。何気なく触るときづかない程度で、ギュッと押すとつぶれる感じです。12/20の診察の際主治医に見てもらったところ、「皮膚に何かできてるみたい、乳がんとは関係ないと思うよ」と言われたのですが、3週間近くたつのに治らないので、とても心配になってきました。石灰化で見つかったので、しこりがどんなものかよくわからず、まさか再発じゃないだろうと思いながらも、1/15の診察まで待てず、ご相談させていただきました。よろしくお願いいたします。  

直接診察していない状況では何ともいえません。(文責 首藤)

 

No.8641】  09年01月07日   K 
乳頭出血について(HPNo.8600-2)

HPNo.8600で相談させていただいた者です。ご丁寧なお返事ありがとうございました。もう一つ教えて頂きたいのですが、組織検査後の出血の場合、どのくらいの期間、出血することが考えられますか? 血液の色は、鮮血ではなく黒っぽいような茶褐色です。出血する場所も決まっているのですが、検査での出血も考えられますか? 血は出ない日もあるのですが、二週間後ぐらいにつまんだ時にも出できました。なんとも言えず、不安な毎日です。宜しくお願い致します。

組織検査後の出血はおおよそ数日で無くなることがほとんどです。二週間後につまんで茶褐色で、かつ出てくる場所も決まっているのでしたら、乳管内病変からの浸出の可能性が高いと思います。(文責 首藤)

 

No.8640】  09年01月07日   Y.N.
ホルモン療法について(HPNo.8609-2)

いつもご丁寧なご回答誠にありがとうございます。 度々申し訳御座いませんが、下記ご回答頂ければ幸いです。

1) タモキシフェン5年が基本となるとのことですが、 私の様な場合タモキシフェン5年が標準的な治療となりますでしょうか?
2) LH-RHアゴニスト製剤 2年のみを主治医より推奨されておりますがタモキシフェン5年を追加した方が宜しいでしょうか? LH-RHアゴニスト製剤 2年のみでも良いかどうか 、ご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。

何卒宜しく御願い申し上げます。

1) タモキシフェン療法でしたら、5年が現状では標準となります。
2) No.8609での回答以上のものはございませんので、内容をご理解の上よく主治医とご相談ください。(文責 首藤)

 

No.8639】  09年01月05日   M 
脇の下のしこり(HPNo.8614-2)

HPNo.8614で回答いただいたものです。再度相談させてください。前回の相談後、乳腺科を受診してきました。やはり、脇の下のしこりは何も写っていないと言われ、特に異常なしと言われました。そして、乳房のしこりですが、超音波エコーにて12mmのしこりが確認されました。おとなしめの腫瘍で、横長であることから、乳腺線維腺腫であろうと診察されましたが、念のため、細胞診をしてもらいました。先日、結果を聞きにいったのですが、クラスVでした。先生もびっくりしていたようです。組織診に回され、また後日結果を聞きに行く予定なのですが、エコーの写りも、針を刺した感じも乳腺線維腺腫の可能性が高いのに、乳がんであることは、よくあることなのでしょうか? そして、もしこれが乳がんであった場合、脇の下のしこりは、やはりリンパに転移しているとしか考えられません。それに、もう10年以上前から脇の下にしこりがあるのだし、そうとう転移しているのでは、と考えられます。

クラスVというのは、良悪性の診断がつかない、つまり「良性ではあるが、細胞分裂の盛んな病変」、「悪性だが、非常におとなしい病変」などが含まれます。画像はあくまでもポラロイド写真ですので、画像で良性のようにみえても、悪性と診断されることは時に経験しますから、最終的には病理診断が必要になります。仮に乳癌であっても、脇の下のしこりが転移である可能性は少ないと思います。10年も前から乳癌があって、今、自覚症状もなく経過しているのは考えにくいように思われます。組織診の結果を待ちましょう。(文責 鈴木)

 

No.8638-1】  09年01月05日    S 
病理結果と術後治療について

母ですが、現在52歳、閉経前です。今月、右全摘でリンパ節郭清をしました。病理結果は以下の通りです。stageIIA、C-area、腫瘍経:2.2×1.8、組織型:硬性癌 f ly0 v0 ski(-) n(-)、核異型度:grade1、切除断端:negative 、リンパ節Level-1:0/12、ER(+)10%以上中等度、PgR(+)10%以上高度、HER2(1+)過剰発現なし、異型細胞が充実性胞巣状、索状、小型腺管などを作りながら個々バラバラになって浸潤性に増殖している。核の大小不同や多形性があり、核分裂像は強拡大10視野0〜1個程認められる。管内進展が見られる。脈管侵襲は明らかではない。  
1) 結果から転移はなかったと考えていますが、浸潤は乳房内のみだったのでしょうか。
2) 脈管侵襲は明らかではないというのは、リンパ管内にがん細胞があるか分からないという事なので不安なのですが・・・。
3) 抗がん剤治療はFEC療法を薦められましたが、AC・CMF療法より強力なので、やるべきでしょうか。
4) ホルモン療法もする予定ですが、長期間服用すると子宮ガンになる可能性が出てくると聞いたので心配です。またホルモン療法は、どのように進めていったら良いのでしょうか。
5) 上記の結果で全摘は適切だったのでしょうか。
6) 再発率、生存率を教えていただけますか。

お忙しい所申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。

1) 乳癌は、乳汁の通り道である「乳管」や乳汁を分泌する「腺房」の集まった「小葉」から発生し、この「乳管」「小葉」を破って周囲の脂肪組織に広がったものが、「浸潤がん」となり、一般的に「しこり」を自覚するようになります。ご質問の「浸潤」というのは、乳腺の中、それも乳癌の特徴を言っているので、他の臓器に「浸潤」ということではありません。

2) 「ly-」という表現で、リンパ管内にもがん細胞のないことが記載されています。

3) 実際、抗癌剤を投与するのか、投与する場合のメニューは、最も悩む病理結果です。FECとACは、ほぼ同じ効果と考えます。それらEやAといったアンスラサイクリン系薬剤にタキサン系薬剤を加えるのが、最も効果的であるのですが、リンパ節転移陰性であれば、タキサン系薬剤まで追加する必要は無いという報告もあります。これらのアンスラサイクリン系薬剤をベースとした治療法に比べ、CMFは若干ではありますが、効果の面で劣ります。あくまでも、海外のデータですが、10年生存率は、86.9%で、これにホルモン療法を加えると、89.6%、化学療法を加えるとCMFで88.2%、ACなどで89.4%です。この1.2%のメリットをどのようにとらえるかです。アンスラサイクリン系薬剤では脱毛は必発ですし、CMFは脱毛の頻度は多くありません。ただ、吐き気に関しては、アンスラサイクリン系薬剤のほうが、短期間であるのに対し、CMFの方が、弱いながらにだらだら続く傾向があります。一方、ホルモン療法だけでも、化学療法に匹敵する効果は得られそうですので、今後の生活、やる気、などと相談しながら治療法は決めればよいでしょう。

4) ホルモン療法は、抗癌剤を行う場合は、抗癌剤の治療が終了してから行います。閉経前、閉経後で使用する薬剤が違いますので、その時点で、閉経しているかどうかを、採血データで確認をしてから、ホルモン剤の選択を行います。ホルモン剤の中には、子宮体がんのリスクが増えるものもありますが、内服して子宮体がんになるリスクより、内服しないで再発するリスクや、内服することで再発を抑えられるメリットの方が大きいので、婦人科検診を受けながら内服を続ける方がよいでしょう。

5)6) 乳がんはこれまで、ある一定の段階までは局所にとどまり、乳房の周囲のリンパ節を通って、全身に広がると考えられてきました。このため、手術で乳房と周囲のリンパ節を広く切除してしまえば、がんの全身への転移を食い止めることが出来ると考えられ、小さなしこりであっても乳房と周囲の組織を広く切除する方法がとられてきました。しかし、手術範囲を拡大しても、良好な成績は得られず、逆に手術範囲を縮小しても、拡大手術の成績と差がないことがわかってきました。このため、乳がんには、患者さんそれぞれに適切な大きさの手術があると考えられるようになり、手術の縮小化に向けて研究が進められ、その結果、乳房温存療法(乳房温存手術+放射線療法)と乳房切除術(乳房全摘術)の長期生存率に差がないということがわかり、乳がんは、局所から全身に進展するのではなく、小さな病変でも、顔つきの悪い、細胞分裂の盛んな乳がんは、比較的早い時期に全身に広がっている可能性があるという考え方に変わりました。つまり、手術で局所の病変が取り切れたと思われても、目に見えない微細な病変が全身に広がっている可能性があり、乳がんの治療が成功するか否かは、手術で広範囲に切除することではなく、いかに全身に広がっている可能性のある細胞(微少転移)を根絶させるかに関わっています。
まとめると、全摘も部分切除も生存率は同じ、部分切除では、残った乳房に5-20%程度の確率で乳癌が局所に再発する恐れがあり、それを抑える手段として放射線が必要になる。放射線治療を行っても、局所再発の頻度は5-7%くらいは残り、それを差し引いても、生存率は同じです。従って、術前に広範囲に広がっている病変であれば、全摘を考慮しますし、局所にとどまっているようであれば、部分切除を行うのが一般的です。全摘が必要そうな広がっている病変でも、最近では、術前化学療法を行って、病変を小さくしてからの部分切除も盛んに行われています。病理結果からは部分切除でも可能だったのかもしれませんが、全摘が必要だったかどうかに関しては、術前にどれだけ広がっているかを的確に診断する事にかかってきます。(文責 鈴木)

 

No.8638-2】  09年03月13日    S 
抗がん剤とホルモン治療について

前回は回答ありがとうございました。HPNo.8638で相談させていただきました。病理検査の結果をふまえ、FEC(3週毎1度を2回)→ECに切り替え、3週毎1度を2回終えた所です。先生からは、今後の予定として、本人の意思でECを残り2回するか、ホルモン療法(5年の予定)に切り替えるかと言われました。ECを2回するべきでしょうか? また、その後のホルモン治療で抗エストロゲン剤かアゴニスト製剤にするか悩んでいます。以前の相談で病理検査の結果が書いてありますが、この治療法で打倒ですか・・・? 今月で担当医が変わってしまうという事と重なり、余計に不安になっています。お忙しい所申し訳ありませんが、宜しくお願いします。

私はそれが標準的なので、さらにECを2回すべきと考えます。この治療法で妥当と思います。(文責 石川)

 

No.8638-3】  10年11月15日    S 
ホルモン治療の切り替えについて

以前、No.8638で相談させていただきました。あれから2年程経ち、現在はホルモン治療のみをしています。閉経前という事でノルバデックスを服用していましたが、生理も止まり、ホルモンの数値が10以下になったとの事で、2ヶ月程前からアリミデックスに切り替わりました。副作用としては、頭痛や関節痛がある程度です。最近骨密度を調べる機会があったのですが、骨粗しょう症と診断されてしまい、今のままアリミデックスを服用しているのが心配になってきました。アリミデックスは骨粗しょう症や骨折の心配もあると担当医から聞いているので、定期的に検査するという事ですが、もし副作用が酷いようならノルバデックスに戻すと言われています。ノルバデックスに戻すべきか、このままアリミデックスを服用していくべきか、他の方法が良いのか、アドバイスをいただきたいです。お忙しい所申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。

閉経前後で骨粗しょう症ということは、もともと骨密度が低めと考えられ、アリミデックスを内服されると、更に骨密度が低下する可能性があります。フェマーラやアロマシンといった、他のアロマターゼ阻害剤もほぼ同様です。骨粗しょう症に対しては、まずはカルシウムを多く摂取するようなバランスのよい食事と、適度な運動が勧められますが、アリミデックス内服中はリスクが高くなりますので、カルシウム製剤、ビタミンDやビスフォスフォネート製剤の服用を考慮したらいかがでしょうか?それでも骨粗しょう症が進むようであれば、ノルバデックスに戻すことを考慮したらいかがでしょうか。(文責 浜口)

 

No.8637】  09年01月05日    M.H. 
今後の治療方針について(2)(HPNo.8445-2)

HPNo.8445で相談させていただきました。ありがとうございます。大変参考になり、次に進めたと思います。エンドキサン・アドリアシンを4回、タキソールを6回で化学療法を終了して、乳房温存手術をしました。化学療法前ステージU、化学療法後ステージT、浸潤ガンの大きさ1.5cm、リンパ節転移無し、ホルモン受容体 陽性、エストロゲンレセプター:+3、プロゲステロンレセプター:−。切除した部分の切除断端に近いところに5mm×3mmのガンが1つあり、今後の治療はノルバデックス20mg服用、放射線25回+5回(5回の時に切除断端部分に集中して照射すると、5mm以下のガンなら消えるという病院のデータがあるとのこと)をするのですが、再発の危険性とかはないのでしょうか? 最初の説明では切除部分を小さめに取って、ガンが残っていた場合は再手術と言われていたので、心配しています。切除断端に近い所にガンがあった、ということで、自分の体に残っているともいないとも分からないので、放射線を多くかけるとのことですが、再手術の必要性はあるのでしょうか?

切除断端の近いところ・・というのが、施設により解釈が様々です。断端に露出していても、放射線を追加で照射する施設もありますし、追加で切除することもあります。一般的には、切除断端に露出していなければ追加切除は行いません。文面からすれば、断端に露出はしていないようなので、放射線をプラス5回というのが良いと思います。追加で切除するにしても、一度手術をすると、どのあたりに腫瘍の残っている可能性があるのかが難しくなり、結果どの部分を切除して良いかも難しくなりますので、術前にしっかりと治療していますので、結果を信じ、放射線治療とホルモン療法を行いましょう。(文責 鈴木)

 

No.8636】  09年01月05日    Y.T.
肝転移の場合の治療について

初めて相談させていただきます。現在43歳の主婦です。乳がん以前に子宮内膜症で子宮摘出、卵巣のう腫により左卵巣を摘出しています。2006年1月に右乳房全摘手術、しこりは2cm×2.2cm、硬がん、悪性度1、HER2陰性、ホルモン療法プラス。リンパ17個中、3個転移有。乳管内に約8cm程広がっていました。近くの小さい総合病院で、標準治療ではなく、術後タキソテール6クール。その後ゾラデックス・タスオミン・フルツロンを続けていましたが、先日3年目のCT検査で肝臓に怪しい影ありとのことで、年明けに造影MRIの検査を予定しています。元々太っていましたが(体重の増加は1〜2kgです)、ここ最近急激に脂肪肝が悪化しており、今回は画像上でもかなり肥大気味で、血液検査でもGOT、GPT、ALPなど肝臓関係がすべて基準値をオーバー。中性脂肪も高かったので、リピディルをだいぶ前から服用していたものの、今回これもオーバーしました。腫瘍マーカーはずっと正常値です。まずは体重を少しでも減らすべく、注意し始めましたが、もし肝転移が確定した場合、今後の治療方針として
1) ホルモン治療より抗がん剤を先に使う事になるのでしょうか? その場合は使用していないアンスラサイクリン系等の抗がん剤になるのでしょうか?
2) フルツロンを3年近く服用していましたが、今後ゼローダの使用は可能でしょうか?

お忙しいところ申し訳ありませんが、アドバイスをよろしくお願いいたします。

まず、本当に肝転移か否かが問題です。脂肪肝がベースにある場合、肝臓の一部に脂肪の沈着が強くあると、時に腫瘍のように見えることがあります。やはりMRIの結果を待ってからが良いと思います。そこで、肝転移だった場合ですが、やはりアンスラサイクリン系薬剤がベースになるのではないでしょうか? その場合、肝転移の大きさ、進行状況などを勘案して考えます。もし、肝転移が大きくなく、1つとかであれば、ホルモン療法、ゼローダなども選択肢になりますが、ホルモン療法、フルツロンを行っている最中の再発ですので、それらの効果は少ないかもしれません。ただ、ホルモン療法、ゼローダを併用で行っていますので、どちらの効果が有る、無しに関しては不明ですので、どちらかが効く可能性は残されていると思います。
再発乳癌は、「治癒(完治)」が難しいと言われますので、病気による症状、治療の副作用、効果、ご本人のやる気などを総合的に合わせて治療方針は決定します。アンスラサイクリン系薬剤は、脱毛、吐き気などがありますし、それに比べれば、効果は少ないかもしれないものの、副作用の少ないホルモン療法は、治療は継続しやすいでしょうし、ゼローダに関しても、アンスラサイクリン系薬剤に比べれば副作用は一般的に軽微です。前向きに、あせらず、頑張って下さい。(文責 鈴木)

 

No.8635】  08年12月30日    K.I.
主人の胸のしこりについて

34歳の夫のことですが、2,3日前に左乳首に白〜ピンク色のにきびの少し大きめのようなできものがぽつんとできていました。その時は大して気にも留めなかったのですが、昨日の夜お風呂上りに再び胸を見ると、そのできものができていた部分全体が、遠目からでもわかるぐらい赤くなり、範囲も広がっていました。そして、触ってみたところ直径2〜3cmぐらいのしこりのように硬くなっていました。男性でも乳がんになることはあると聞いて心配になり、ご相談させていただきました。これは一体何の症状なのでしょうか? 悪性のものではないでしょうか? また病院にいくとすれば、何科を受診すれば良いのでしょうか? よろしくお願いします。

Mailの内容からは男性乳がんではなさそうですが、外科か皮膚科を受診してください。ただし、年末なので、救急対応してくれる病院を探さないといけないのですが、放置すると、痛みが出て、熱がでて、膿みが出てきそうな感じがします。(文責 清水)

 

No.8634】  08年12月30日    N
局所再発の疑いと摘出生検について(2)(HPNo.8601-2)

この度はお忙しいところ丁寧な回答本当に有難うございました。主人が寝られず仕事をしていたところ、夜中に突然メールが入りビックリしたそうです。「あんな遅い時間まで患者に一生懸命向かい合っていらっしゃる姿に頭が下がる思いです。本当に感謝致します。」と言っておりました。私も送信時間を拝見し、同じ思いでおります。改めて感謝致します。一つ教えて下さい。回答の(1)にあります「ガンの可能性はあまり高くないのではないと思います」。これは「がんの可能性が低い」と考えてよろしいのでしょうか。こちらの医師に再度確認に行きました所、生検の日程が変更され(セカンドオピニオンを聞きに行った時は29日か31日と言われたのですが)、1月7日と言われたので、細胞診を受けた日本の病院で1月15日に受けることに決めました。大学病院のような大きな病院ではありませんが、15日しか空いていないというのであれば、長く待つのは辛いのですが待つしかないと思っています。でも、今回、このように詳しく回答頂いたおかげで、先週、聞かされた際の動揺が嘘のように今では落ち着いてきております。出来れば生検で良い結果が出る事が望ましいのですが、もし、悪い結果であっても「あるがままに受け入れよう」と思っております。今年もあと数日になってしまいましたが、神奈川乳癌治療研究会の皆様にとって、そして、病を背負い闘っていらっしゃる皆様にとって来年は穏やかに過ごせる良い年になりますよう、お祈り申し上げます。

生検をすると決められたのですから、あまり可能性の高低を議論しても仕方がありません。あとはその結果を待つしかないと思います。(文責 清水)

 

No.8633】  08年12月30日    N 
非浸潤癌術後のホルモン剤内服について

お忙しい中、申し訳ございませんが、助言をいただきたいと思いましてメールを送らせていただきます。姉の話になるのですが、乳がん検診で影があるとのことでひっかかり、市立病院へ受診したところ、乳癌とのことでした。そちらの先生は、「少し切れば大丈夫だから。他も聞いてみたかったらそちらでもいいよ。」とおっしゃっていただいたので、県の総合病院へ受診しました。すると、乳癌の5〜10%の割合の小葉癌とのことで、「エコーや、MRIでも細かいため、部分か全摘出かどうかは開いてみないとわからない。」とのことでした。知人で、最近がんセンターで手術された方がいて、薦めていただいたのですが、場所的に少し遠いのがひっかかっています。しかし、あまり症例がないとのことでしたので、専門のセンターでお願いしたほうがいいのか、県の総合病院でおっしゃられたとおりにしたほうがいいのか悩んでいます。お願いします。

小葉癌というのは確かに頻度は少ないガンなのですが、治療法は普通の浸潤性乳管癌と大きな違いはありませんから、特殊なガンであると考えることはありません。どの病院が良いかは、それぞれの医師の話しをよく聞いて、お姉さんが納得できた病院を選ぶしかないと思います。(文責 清水)

 

No.8632】  08年12月30日   S.N.
非浸潤癌術後のホルモン剤内服について

42才。今年8月に、右乳癌温存手術を受けました。超早期の非浸潤癌でしたが、5cm×2.8cmあり、扇形1/4切除を行いましたが、術後の検査で断端陽性2カ所あり、全摘再建をすすめられ、12月に全摘と一時再建を受けました。ホルモン陽性なので、ノルバデックスを飲んでいますが、「非浸潤癌を、すべて取り切れば100%完治。その後の治療はない。」とのお話に、温存へのこだわりはありましたが、完治を目指して全摘いたしました。退院後の受診で、再発の心配は無いが、対側乳癌の発生の可能性が6倍から2倍に減るので、ノルバデックスは飲み続けた方がよいとの説明に、ちょっと納得がいきません。再発予防ということは、これから何十年も飲み続けなければならないのでしょうか? 主治医は5年とおっしゃっておられましたが、その後は、どうなるのでしょうか? 一生、ホルモン剤を飲んで予防するより、体質改善など別の方法を探した方が、いいような気もしています。非浸潤癌は再発しやすいとも聞いたことがありますが、非浸潤癌のまま、大きくならずに経過するケースもあると聞きます。いずれは、新しい治療法が確立され、手術以外の治療法がみつかることを願っています。せっかくの早期発見なのに、全摘になってしまうなんて思いもしなかったです。お忙しい中、長々とすみません。非浸潤癌の術後、対側乳癌の予防のために、ホルモン剤を飲み続ける必要があるのでしょうか? お教えくださいませ。

非浸潤ガンに対して乳房切除(全摘)を行なっているので、この乳がんの再発は、ほぼゼロと考えてよいと思います。反対側乳がんの予防のためにノルバデックスを内服するかどうかの判断は難しいところです。主治医の先生がおっしゃるように、ノルバデックスの内服で反対側の乳がんになる確率が減少することは確かですが、反対側の乳がんの確率は年0.7%程度、10年で7%程度ですから、主治医の先生の計算でもそれが2?3%になるということです。その差が大きいと感じるでしょうか? 一方でノルバデックスの副作用として、更年期障害様の症状がでたり、体調が悪くなることもありますし、また、子宮体がんになり易いという問題もあります。それでも反対側の乳がんの予防のためにノルバデックスを内服するのか、何も内服せずに毎年マンモグラフィー検診を受けるのか(ノルバデックスを内服していても基本的には毎年のマンモグラフィー検査は必要ですが)、メリットとデメリットを秤にかけて判断してください。(文責 清水)

 

No.8631】  08年12月28日   M.K.
リュープリン治療について

初めて相談させていただきます。53歳の主婦です。月経は乳癌手術前、半年間ありませんでいた。H20年8月21日に乳癌手術を行いました。右胸全摘出・左胸は5cm部分摘出です。9月20日からアルミデックスを内服し、9月24日から左胸の放射線治療を25回+5回追加を始めました。アルミディックスを内服しはじめてから6日後に生理になり、出血は薬によるものか生理なのか調べるため、婦人科を受診。生理の出血と分かり、主治医の指示によりアルミディックスをストップ。治療方法をアルミデックスから、リュープリン治療に切り替え、10月29日に1回目の注射をしました。リュープリン治療はエストロゲンを抑えるはずですが、今月12日に生理になってしまいました。放射線治療は追加を含めて30回は11月6日に終了しました。この症状はリュープリン治療では、ありうる事なのでしょうか? 不安です。どうかよろしくお願いいたします。

まず、正しくは「アリミデックス」です。リュープリン投与が始まってもしばらくのうちは月経が続く事はあります。しかし継続していく事で閉経状態になっていくと思われます。閉経前のホルモン療法としては、現在の治療は適切なものではないかと思われます。詳細は主治医にもご相談なさってみて下さい。(文責 淺川)

 

No.8630】  08年12月28日   C
術後5年の治療について

5年前に同時両側性乳がんで、皮下乳腺全切除のちに3年前にインプラント再建をしました。現在47歳です。病理結果は左は1,2センチ、右は4ミリでともに硬がん。左右ともリンパ節転移なし、核異型度1〜2。ホルモン感受性は左がERのみ+、右は両方+でした。ゾラデックスとタモキシフェンの治療中で、まもなく5年になります。ご相談は今後の治療についてです。医師からタモキシフェンの10年服用の効果を聞き、それが遠隔転移にも有効というデーターが出たとお聞きしました。やっと5年で終わると思ってしぶっていたためか、医師は、「ゾラデックスも5年やったことだし、タモキシフェンも一緒に終了してもいい。」と、言われました。ところが1年前から経過観察中だった右鎖骨下(上?)のリンパのしこりが、今回のエコーの検査で数ミリ大きくなっており、左右ともに多発していました。医師は、「悪性なら1年たつと形が丸くなるはずなので、経過観察でいい。」と言われました。

1) 数ミリの大きさは計測誤差という話を知人から聞きましたが、良性と考えて、このまま経過観察でいいのでしょうか。数ミリというのは、ゾラデックスとタモキシフェンの併用により大きくなるのが抑制されていたという考え方は成立しないでしょうか。  
2) 右は摘出生検後、ベッド待ちで3週間後の手術でしたが、こういう場合がん細胞が散らばる恐れがあると本で読みました。今回の検査結果もふまえると、悪性の可能性もありとして、タモキシフェン10年を選択したほうがいいでしょうか。
3) 医師が図示したしこりの位置は鎖骨下(周辺?)でしたが、もしこれが転移だとしたら、私のように左右とも皮下乳腺全切除した場合、局所再発と遠隔転移と、どちらととらえるべきなのでしょうか。   

1) その通りだと思います。しかしリンパ節が転移かどうかは、主治医の先生の言うとおり、経過を見なければわからないと思います。
2) ゾラデックスも5年使用したという事ですので、十分なホルモン療法を受けられてきたのだと思います。またタモキシフェンを5年以上内服することが再発を抑制した報
告はありますが、最新のものでははっきりとした差は出なかったとする報告もあります。現在ゾラデックス使用中との事ですので、現時点での判定は難しいですが、今後は閉経後のホルモン療法としてアロマターゼ阻害薬の適応もあるかと思われます。よく主治医と相談なさって下さい。
3) 両側乳癌という事ですので、両方の可能性があるとしかお答えできません。(文責 淺川)

 

No.8629】  08年12月28日   N.H
線維腺腫

私は現在46歳です。出産経験は一回、31歳のときです。授乳経験はありません。不妊治療を10年ぐらいしました。22歳の時、線維腺腫の摘出手術を受けています。現在、線維腺腫(左3個、右1個)は、石灰化しているがあります。左右共に乳管の拡張がみられ、右は淡い内部エコーがあり、針による細胞診を受けましたが、小さすぎて細胞が取れませんでした。右は淡い充実性エコーがあるとの診断でした。左については、今年3月頃から黄色い分泌物があり、現在は、血性の強いものから、茶色の分泌物があります。分泌物の検査では悪性のものは見つかりませんでした。7月に乳管内視鏡も受けましたが、見える範囲では異常はありませんでした。今回MRIの検査を受けたところ、low papillary or flat type のDCISの可能性もあるとの診断でした。半年後の定期観察か、超音波マンモトーム生検の適応はあるかもしれないと言われました。マンモトーム生検で、私の場合、乳管の壁を取る事になるのだと思いますが、仮に悪性だった場合、乳管を切ってしまって癌が散ってしまわないでしょうか? 又、乳管を切ってしまって、分泌物は乳房の中に出っ放しにはならないのでしょうか? 内視鏡手術をやっている病院で検査を受けた方が良いでしょうか? 石灰化等が見られるまで生検を受けず、経過観察のみでも大丈夫でしょうか? 長くなってしまいましたが、よろしくお願いします。

まず、生検によって癌が散らばる可能性は完全には否定できませんが、マンモトームで生検した空間は、その周囲を十分な余裕を持って切除する事になるわけですから、心配はいらないと思います。また切断された乳管は一時的に分泌物が組織内に出るでしょうが、瘢痕化(組織の修復です)とともにふさがります。内視鏡手術のメリットは、創が目立たない事などがあります、必ずしもそこで受ける必要性は無いと思いますが、そういった美容的なご希望がおありでしたら受診をおすすめします。またMRI検査は、感度の高い検査ですので、そのままその所見を鵜呑みにすることはできません。その他の検査と合わせて判断していきます。実際の画像を見れませんので何とも言えませんが、経過からみると現在の方針はリーズナブルなものなのではないかと思います。詳しくは所見もみながら、主治医の先生とご相談なさって下さい。(文責 淺川)

 

No.8628】  08年12月28日   S.N.
非浸潤がんの取り残しに対して

8月末に温存手術を受けました。非浸潤がんでしたが、5cm×2.8cmで、2カ所に断端陽性(右胸の乳首側2mm、内側0.1mm)で、取り残しの可能性があり、全摘か追加切除が必要と言われました。主治医からは、乳首の近くまできているので、乳首は残せないので、全摘し再建を勧められました。友人から、免疫を高めて癌を治すというトランスファー・ファクターを紹介され、手術を行わなくても癌は消えると言われました。いろんな癌患者の例をあげ、癌が消えていたとの事でした。私は、1ヶ月後に全摘手術を予定しているのですが、トランスファー・ファクターを飲んでみようと思っています。手術の前に、取り残しの癌が消えているのか、残っているのかを確認する方法はあるのでしょうか?それともそのまま手術になるのでしょうか?もしかしたら、手術で全摘したら、癌が消えていると言うこともあるのかなと思い、主治医の説明で、手術がベストと納得したのですが、手術を延期して様子をみた方がいいのか、ゆれています。

残念ながら「トランスファーファクター」という治療法はガイドラインにあるような一般的な治療法でなく、私たちはお答えしかねます。術前に癌が消えているのかどうかについては、おそらく残っていたとして微少な領域である事が予想されますので針生検等の検査は使えず、まして画像診断で確認する事は不可能です。従って確認する方法は手術しか無いと思います。実際に病理検体をみることは出来ませんのでなんとも言えませんが、初回手術の病理検査で、広範に非浸潤癌の広がりがあるようで、断端も近いようですから、その病理所見を見て主治医の先生が薦められるのでしたら全摘はリーズナブルな治療といえると考えます。そのあたりの詳しい確認は、主治医に相談なさるのが良いかと思います。(文責 淺川)

 

No.8627】  08年12月28日   MK
予後が悪いのは?

私(30歳)は、術前病理「非浸潤性乳がん(乳管内伸展7cm)一部微小浸潤」の診断で、全摘同時再建手術(分泌物があったので乳頭は切除)を受けました。術後「浸潤性乳管癌、断端陰性もギリギリか?、リンパ節転移(2o以下の微小数個)あり、ホルモン感受性なし、HER2強陽性(3+)」で、主治医よりFEC4回、タキソール4回、ハーセプチン1年と同時進行で放射線、という治療プランをもらいました。同じ医師にかかっている友人(29歳)は、多発性の硬癌で、同じように全摘同時再建(乳輪乳頭温存)をうけ、術後病理はトリプルネガティブでしたが、リンパ節転移がなく、断端がはっきり陰性だったようで、AC4回、タキソテール4回の治療プランです。同じ若年性で、リスクが高い同士ですが、再発率、生存率で言ったら、やはり私の方が進行が早いような気がするのですが、彼女が「トリプルネガティブ」を非常に気にしているので、予後に差は出てくるのか気になり、質問させていただきました。といっても、どっちもどっちでしょうが・・・。うまくなぐさめたいので、よろしくお願いいたします。

予後については、ホルモン受容体の状況やHER2タンパク発現状況の他、腫瘍の大きさ、グレード分類(細胞の顔つきの悪さ)、リンパ節転移の個数、などによって変わりますので一概には言えません。ですからトリプルネガティブだからといって、イコール再発率が高いかといわれたら、必ずしもそうは言えないと思います。またリンパ節転移については、微小転移であればリンパ節転移が無い場合と予後は変わらないという報告があり、必ずしも悲観的になる必要は無いと思います。(文責 淺川)

 

No.8626】  08年12月28日   Y 
放射線治療について

初めて投稿させていただきます。Yと申します。12月に左乳房温存の手術をうけました。結果は、「乳頭腺管ガン、しこりの大きさ 1.4cm、リンパ節転移(センチネル)なし 0/2、ホルモン受容体 ER 陽性 PgR 陽性 HER2 0、核異型度 2、切除断片 −、脈管侵襲 +−」です。今後の治療についてですが、放射線治療は必要ないでしょうと言われ、ホルモン治療のみの予定です。一般的には、放射線治療をしてから、ホルモン治療のように思いますが、私がアトピー体質のため、放射線治療はやらないほうがよいとのことでした。この結果の場合、放射線治療による再発予防より、アトピー悪化の心配を優先させたほうがよいのでしょうか? 初歩的な質問だとは思いますが、不安なため、よろしくお願いいたします。

ガイドラインでは、乳房温存手術の術後には病理に関係なく放射線治療を行なうことが推奨されていますから、原則は放射線治療をすべきだと思います。アトピー性皮膚炎と放射線治療の関係については、私には知識がありません。主治医の先生が放射線治療を勧めない理由がアトピーならば、一度放射線科の先生に相談してみてはどうでしょうか。(文責 清水)

 

No.8625】  08年12月28日   I・T 
術後の化学療法について

サイトをあちこち見ていたらたどり着きました。51歳です。10月に左胸の温存手術をしました。術後タキソテールとエンドキサンの化学療法の化学療法4クールのうち、現在3クールが終了しました。2クール後あたりから排便のときに切れ痔で出血があり、かなり気になります。看護師さんに聞いたところ、座薬等を使って良いというので使っているのですが、化学療法すると今回も切れ痔がひどくて心配です。もともと痔の傾向にはあったのですが、私の癌は術後、浸潤性小葉癌とわかったので心配でしかたがありません。なにかアドバイスをよろしくお願い致します。

浸潤性小葉癌と切れ痔の間には特別な相関はありません。一般的には抗がん剤治療で便秘する方、下痢になる方がいますが、貴女は前者なのでしょう。また、抗がん剤治療に使われる吐き気止めの注射によっても便が硬くなることがあります。主治医の先生に相談して、便を柔らかくする薬か、緩下剤を処方してもらうとよいのではないでしょうか。(文責 清水)

 

No.8624】  08年12月28日   M 
術後の補助療法について

いつも拝見しています。38歳独身・出産経験なしです。術前に組織診しER(5)PR(5)、PETでリンパ転移なしだったため、術前ホルモン療法を行い、先日温存手術をしました。センチネルをしました。術中にリンパ転移が発見、リンパ節を11個取りました。後日の病理検査の結果、リンパ節に1個、1mm以下の微小転移あり、ER(5)PR(3)、悪性度Uの診断でした。術後の補助療法はゾラデックスを毎月+化学療法ACを4回、の後、放射線とホルモン療法5年といわれました。

1) リンパを11個も取らなければならなかったのでしょうか?
2) 術後の補助療法はこれで正しい(と言うかこれで標準?)なのでしょうか。化学療法をプラスする理由は、当初見込んでいたよりホルモン療法の効き目が弱かったから、との説明でした。

1) センチネルリンパ節転移陽性の場合の追加摘出数として一般的な数です。
2) 標準であると考えます。化学療法の追加理由も、まさにその通りでしょう。(文責 加藤)

 

No.8623】  08年12月28日   S.M.
ホルモン治療について

はじめてご相談させていただきます。43歳閉経前、11ミリの浸潤癌、低リスクとのことで、ノルバテックスを服用中です。低リスクでの再発率は、どれくらいなのでしょうか? ノルバテックス単独、ゾラテックス+ノルバテックスでは、再発率の違いはどれくらいなのでしょうか?

現在adjuvant onlineがアクセスできず、具体的な数字はお伝えできませんが、低いと思います。大きな違いはないですが、ゾラデックスを付加したほうが若干よい可能性があります。(文責 加藤)

 

No.8622-1】  08年12月28日   R.M.
3ヶ月の再検査

お世話になります。前回は、ご回答して頂き有難うございました。本日の再検査も前回同様に、@超音波AマンモグラフィーB医師による触診、診断結果を聞いて来ました。初回の検査は9/27 5.6x5.0x6.0 、小さいので針生検 はできないので3ヶ月後に再診、今日の再検査 12/20 7.9x5.7x6.5も小さいので、針生検はうまく刺さらないと言われました。変化もあまりなく、超音波の測定方法によってサイズも前後すると言っておりました。また 同じ右胸に別の3mmのものがあると言われました。前回の医師による触診はしこりの場所が分からなかったのですが、今回は、恐らくここであると言う場所を教えてくれました。診断結果は、6ヵ月後(3ヶ月では変化がない為)に同様の再検査と言われましたが、何か別の検査はできませんか? 先生の今までの乳癌についての診断結果で判断をお任せしますと問いかけましたら、1ヵ月後に手術をして腫瘍を取り検査をすることになりました。超音波でマーキングをしてからの手術と言っていました。確か腫瘍マーカーと言っていたような気がします。外科外来で、午後に超音波の来診後に手術、術後(同日帰宅)1週間後に抜糸予定です。仕事には行ってもよいと言われました。検査結果により、悪性の場合でも、腫瘍を取り除いたら病院に来る事は無いみたいなことも言っていましたが、
1) 腫瘍マーカーについて 
2) 手術の時間、麻酔方法等
3) 術後、気をつけること等

ありましたら教えて下さい。また、この検査方法でよいのかもお知らせ下さい。以上 よろしくお願い致します。

1) 腫瘍マーカーは血液検査にて測定します。ただ、初期のがんであれば通常上昇しません。
2) 30分程度で、局所麻酔になると思います(状況によっては、もう少しかかります)。(文責 加藤)

 

No.8622-2】  09年02月18日   R.M.
他医師での検査後

毎回ご返答をして頂き有難うございます。
その後、摘出生検をする前に別の医師に診断をしてもらおうと思い、別の病院(乳腺専門医のクリニック)に行きました。今から1か月前の事です。医師に今迄の経過を説明、触診、マンモ、超音波をして位置を確認して頂きました。超音波で画像を見ながら触診で位置確認をして、直ぐに針を刺して(注射器ですくい上げる)細胞診の検査をしてくれました。別の3mmは嚢腫、又、しこりが8mmと小さいので取れてないといけないとの事なので2度針を刺しました(2回分)。
一週間後の検査結果は線維腺腫で、クラスU、良性だった(1月中旬)と言われましたが、3か月で5.6mmから8mmに大きくなるところが気になるとの事と、針に当たらない部分に悪性腫瘍がある場合もあるとの事で、2月初旬に摘出生検を行いました。術後、部分麻酔で摘出した腫瘍を拝見後、部分的に触ってみると下の方に硬い部分がありました。
今週火曜に術後1週間の検診と検査結果を聞きに行き、悪いものがあったと言われました。クリニックの医師より紹介状を頂き、2日後の昨日、総合病院に行き、紹介をされた医師より初期の癌と言われました。
「手術の予約は3ヶ月先の5月まで予定が決まっているが、その間に予定を組む。その術前にCT検査、MR検査、呼吸機能検査をして他に転移がないか調べる。取ってしまった悪いもの8mmをどのようなタイプかを調べておく。」と言ってました。入院期間は1週間で、翌日から職場復帰OK(デスクワーク系の仕事なら)と言われました。癌のステージ、タイプによって治療方法は異なると思いますが、私のような場合の治療方法、術後、病院に行く回数、期間 (放射線等で通院回数、又は日数及び かかる時間等、)を目安で構いませんので教えて下さい。また日常生活で気を付ける事などありましたら教えて下さい。よろしくお願いします。

8mmの浸潤癌で他に転移がなく、早期癌で乳房内にも広範に広がる病変がなければ、乳房部分切除(生検した場所の周囲を切除)及び、センチネルリンパ節生検が可能ではないでしょうか。術後経過良好で化学療法が必要なければ、術後4週間前後で約5週間で25回の放射線療法が必要で、その後は徐々に通院頻度は減り、5年目までは3-6ヵ月毎の通院、10年目までは6-12ヶ月毎のfollow upが一般的と考えます。傷が落ち着けば、日常生活ではそれ程制約はなくなります。(文責 浜口)

 

No.8621】  08年12月28日   S 
授乳中でも検査した方がいいでしょうか?

現在32歳です。2年前に健康診断にてエコーで「乳腺腫瘤あり」とでまして、再検査をし、再びエコーとマンモをとり、先生の触診をしたところ、特に心配するようなものではないと診断されました。「心配であれば定期的に検診を受けてください」と言われましたが、それ以来受診しておりませんでした。今年は現在授乳中のため、健康診断は出来ないと言われました。特に変わりはないのですが、授乳中でも検査した方がいいでしょうか? 2年前に受けた際から特に変化もないので、「癌であれば、とっくに何かあらわれているだろう」と、周りはあまり心配しなくていいという感じですが、自分的には心配です。受けるべきでしょうか?

授乳中でも検査は可能ですので、心配な点があれば一度受診をお勧めします。できれば同じ所で診てもらうのがよいと思います。(文責 加藤)

 

No.8620】  08年12月28日   S
左乳腺腫癌の疑い

先日、健康診断での結果が届きました。マンモグラフィ-と触診を受けたのですが、結果が、「D判定、左乳腺腫癌の疑い」と書かれていました。去年も一昨年も(検査はエコーと触診ですが)大丈夫だったのですが、初めての事なので、どうしていいか分かりません。再検査に行かなくちゃいけないと思いますが、2週間ほど前に、陥没乳頭の手術を受けたので、マンモグラフィ-の再検査は避けたいのですが、どうしたらよいのでしょうか?

あせらずに、まず病院を受診されることをお勧めします。その際手術を受けられたことは、きちんと医師に告げたほうがよいでしょう。(文責 加藤)

 

No.8619】  08年12月28日   C.I.
今後の治療と検査について(HPNo.8056-4)

HPNo.8056で、抗癌剤の選択についてご相談させていただきました。いつもご丁寧にご説明いただき救われています。40歳、0.2mmの浸潤癌、センチネルリンパ節(−)、核異型度2、リスク分類 中、ly(−)、ER: 4+1=5、PgR: 3+2=5、HerceptTest 0。4月、6月に温存手術、7月に全摘手術をし、今月初め、9月末から始めたEC4クールを終了しました。

1)全摘の傷跡のすぐ下側、胸の中心から5cm入ったところに1cm大のグリグリが、傷跡の上2cmあたりに2cm大のグリグリを感じます。全摘後の再発は考えられますか? 全摘後の検査は、マンモはできませんので、エコーで行うほかないと思うのですが、エコーで癌かそうでないかを判別することは容易ですか?

2)一年前にマンモグラフィー、10ヶ月前にマンモトームをして以来、検査をしていません。乳がんが見つかって1年になるので、これを機会に検査をお願いしようと思うのですが、検査の内容としては、「 1 対側マンモグラフィー  2 エコー  3 血液検査  4 造影剤CT  5 骨シンチ  6 PET 」をお願いしたいと思っているのですが、過剰ですか? 今後の検査の時期と内容について、先生のお考えをお聞かせください。

3)もし、今全摘跡のしこりが再発だとすれば、ECの効果が無かったということだと思いますが、今からタキサンを追加することには意味がありますか? この相談室の他の方の質問の中に、ホルモン陽性でHER2陰性の人は、アントラサイクリン系の抗癌剤よりタキサン系の方が効きやすいと初めて知って、抗癌剤の選択を謝ったのではないかと不安に思っています。たとえ、そのしこりが癌でなくても、タキサン系の抗癌剤治療を追加した方がいいのでしょうか?

不安に駆られる度に、ご相談させていただいて申し訳ありません。お忙しいと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

1) エコーで判別が難しい場合もあります。
2) しこりが局所再発でない場合は、1−3の検査で十分なように思います。
3) しこりの病理結果、遠隔転移の有無などにもよりますが、局所再発ということであれば局所治療、化学療法(タキサン)は一つの選択肢になり得るでしょう。再発でなければ一般的には勧められません。(文責 加藤)

 

No.8618】  08年12月28日   T 
乳首からの出血

49歳の既婚者です。出産歴2回で、2回とも、授乳中に乳腺炎で高熱が出ました。6ヶ月くらい前に乳首からの出血があり、乳腺外来を受診しました。血液は鮮やかな赤色で、右側1箇所から出ていました。量は下着に1〜2ミリの染みがつくくらいでした。マンモとエコー、分泌物を取っての検査をし、「癌ではない。半年後にまた検査しましょう。」ということでした。その後1ヶ月位で出血は止まりました。先日エコー検査のみしたところ、前回写っていた影もなくなり、「心配ない。次は1年様子を見ましょう。」と言われました。ところが、2週間ほどたった今日、また同じところから出血がありました。心配です。1年待たずに受診したほうが良いでしょうか? また、どのような検査をするのが良いでしょうか。どうか宜しくお願いいたします。

出血が続く場合は、予定より少し早めに受診された方がよいかもしれません。以前受けられた検査の他に、必要であれば造影検査や他の画像検査を追加する場合もあります。(文責 加藤)

 

No.8617】  08年12月28日   A 
しこりの小さな補助療法について

しこりの小さな(2センチ以下)補助療法について教えて下さい。年齢61歳。トリプルネガティブ・グレード3です。リンパ節転移はありませんでした。手術も終わり、EC療法をやっている最中です。
1) 初期のトリプルネガティブには、EC療法とAC療法のみが一般的なのでしょうか?
2) 「初期の乳がん治療は、AC療法よりTC療法の方が優れる」という記事を目にしました。これは、トリネガの人も当てはまるのでしょうか? エビデンスとしては高く、もう一般的に始められていることなのでしょうか?
3) 上記2)の方法が予後の生存率に効果が高いのなら、治療を始めている私がTCと同等の効果を得る方法は、今の治療のECの後にタキサン(4クール)を加えるのが良いのでしょうか? それとも、一度今の抗癌剤を中止して、TCのみに変更すべきなのでしょうか?
4) やはり、いくらしこりが小さくても、トリプルネガティブ・グレード3は相当予後が悪いのでしょうか? 上記の方法以外の補助療法があれば教えてください。

主治医の先生ともお話しましたが、迷っておられているようで、判断は自分に任されました。知識不足で、ご面倒な質問ばかりで申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

1) 一般的だと思います。
2) エビデンスとしてはまだ充分なものではないと考える意見もあり、日本ではまだそれほど一般的には始められていないようです。
3) 現在の状況でタキサンの追加をお考えなら、ECの後に追加するのがよいでしょう。
4) しこりが小さいほど、予後はよくなります。現在日本で行える補助療法としては上記の方法となります。(文責 加藤)

 

No.8616】  08年12月28日   OK
NCCST439上限値超について

7年前に乳癌手術をして経過は良かったのですが、今年1年に一度の定期健診の際に、腫瘍マーカーNCCST439が、上限値超えで40となりました。再検査を5ヵ月後にしたところ、82のため、又2ヵ月後再度検査をしましたら、今度は、120です。骨シンチ、マンモグラフィ、エコーに問題はないので、年明けにCTをとります。再発ではと心配です。再発の場合、CTでどこの部分なのか分かるのでしょうか?

CTでは胸腹部を撮影した場合、主に肺、肝臓、リンパ節などをチェックします。マーカーが上昇しても、画像検査で異常所見が認められない場合もあります。(文責 加藤)

 

No.8615】  08年12月28日   KW
しこりの硬さ

現在33歳、未婚、出産歴はありません。右側乳首あたりに急に3つのしこりができ、今月初めに乳腺専門の検査機関を予約いたしました。大きさは米粒ほど〜1センチくらいのものです。検査日は12/24で、検査内容は 視触診・マンモグラフィ・超音波検査、悪性が疑われる場合は 針生検、細胞診も行うそうです。しかし、1週間ほど前に、今回検査の予約を入れるきっかけになった右側とは反対の左側乳房の上方内側に硬さのあるしこりが触れました。大きさはおそらく2センチ弱で、ころころとよく動くものではありません。押すと痛みがあります。硬さは、「石」ほどではないと思いますが、押してしこりがつぶれるというか、へこむ感じではありません。ちなみに、右側のしこりは、現在はころころとしたものに変わっています。現在、そのしこりは周りも含めて大きな「塊」のような感じで触れ、しこりそのものを摘んで触ることはできなくなっています。硬さは変わらないような気もしますが、よくわかりません。腕を上げたときにしこりがひきつれることもなく、しこりをつまんで上に押し上げてみましたが、「えくぼ」もできません。5月に会社の健康診断で、マンモグラフィと視触診を受けていますが、その際は「所見なし」でした。見つけた時期が生理前で、今日現在では生理まであと8日です。しかし9月に子宮内膜ポリープ(現在経過観察中)が見つかったこともあり、若干生理が早く来そうな感じです(11月の生理は、通常より1週間近く早く、27日でした)。もし癌だったとしたら、こんなに短期間で大きくなるものでしょうか? また、しこりの大きさや硬さが変わるものなのでしょうか? この左側がかなり気になるため、24日を待たずに、会社の近くにある乳がん検査をしている婦人科(予約不要)にかけこもうとも考えています。長くなりましたが、どうぞよろしくお願いいたします。

がんであれば、しこりの大きさや硬さが短期間で急に変化することは一般的ではありません。あまり心配なさらずに検査結果をお待ち下さい。(文責 加藤)

 

No.8614-1】  08年12月28日   M 
脇の下にあるしこり

脇の下にあるしこりで悩んでいます。約12年くらい前(高校生の頃)に、脇の下に小豆より小さい大きさのしこりを発見しました。怖かったのもあって、以後ずっと気にしないように今まできたのですが、現在、脇の下全体にグリグリした、とても大きなしこりのようになっています。5センチ近くになるでしょうか・・・。先日、婦人科で超音波で見てもらいましたが、小さなしこりのようなものが写っていたようで、専門医に見てもらうよう、言われました。腕をあげると、しこりがぼっこりと分かります。来月、乳がんの精密検査の予定ですが、10年以上前からあるしこりが、乳がんということはあるのですか? ちなみに乳房にもコリコリしたしこりを先日発見。婦人科の先生は、『これは乳腺だと思う』との事です。

乳がんということはないように思いますので、来月の検査を心配せずにお待ち下さい。(文責 加藤)

 

No.8614-2】  09年01月05日   M 
脇の下にあるしこり(2)

HPNo.8614で回答いただいたものです。再度相談させてください。前回の相談後、乳腺科を受診してきました。やはり、脇の下のしこりは何も写っていないと言われ、特に異常なしと言われました。そして、乳房のしこりですが、超音波エコーにて12mmのしこりが確認されました。おとなしめの腫瘍で、横長であることから、乳腺線維腺腫であろうと診察されましたが、念のため、細胞診をしてもらいました。先日、結果を聞きにいったのですが、クラスVでした。先生もびっくりしていたようです。組織診に回され、また後日結果を聞きに行く予定なのですが、エコーの写りも、針を刺した感じも乳腺線維腺腫の可能性が高いのに、乳がんであることは、よくあることなのでしょうか? そして、もしこれが乳がんであった場合、脇の下のしこりは、やはりリンパに転移しているとしか考えられません。それに、もう10年以上前から脇の下にしこりがあるのだし、そうとう転移しているのでは、と考えられます。

クラスVというのは、良悪性の診断がつかない、つまり「良性ではあるが、細胞分裂の盛んな病変」、「悪性だが、非常におとなしい病変」などが含まれます。画像はあくまでもポラロイド写真ですので、画像で良性のようにみえても、悪性と診断されることは時に経験しますから、最終的には病理診断が必要になります。仮に乳癌であっても、脇の下のしこりが転移である可能性は少ないと思います。10年も前から乳癌があって、今、自覚症状もなく経過しているのは考えにくいように思われます。組織診の結果を待ちましょう。(文責 鈴木)

 

No.8613】  08年12月28日   h.s  
経過観察中のしこりについて

いつも参考にさせていただいています。今回はじめて相談いたします。31歳、未婚、子供なしです。10代の頃から両方の乳房に多数の線維腺腫があり、そのうち大きめの腫瘍を二回手術で摘出しています(計3ヶ所、3個)。以来、一年〜半年に1回の間隔で、視触診、マンモグラフィー、エコーの検査を続けてきました。線維腺腫は相変わらず多数あり、他に乳腺症もあります。何年か前(二十代半ば頃)に左側の乳頭から褐色の分泌物がありましたが、乳腺症によるものだろうと言われています。分泌物は数日で治まり、受診した時にはすでに止まっていたため、細胞診はしていません。一年前に受けた検査で、左乳房にエコーのみで確認できる新たなしこりが見つかりました。6〜7mmのもので、「強くがんを疑う」とのことでした。細胞診を2回して、1回目がclassV、2回目はclassUと出ましたが、手術でしこりを少し大きめに切り取って、確実な診断をつけた方が良いと言われています。しこりが小さいので、針で正確な診断をつけるのは難しい、ということでの手術の勧めではありますが、すでに3ヵ所切っているので、これ以上傷が増えることに抵抗があります。そこで3ヶ月ごとに経過観察を続け、一年が経ちましたが、しこりのサイズや形に今のところ変化はないようです。

1) 2回の細胞診で悪性と出なくても、このような場合摘出生検をした方が良いのでしょうか?
2) 今のところ一年間しこりに変化がありませんが、悪性なら何らかの変化があると聞きました。この場合、悪性の可能性は低いと考えられますか? また、どれくらいの期間変化がなければ安心と考えられますか?
3) 仮にしこりが悪性だったとして、このまま経過観察を続けた場合、変化がない限りは病状は進んでいないと考えても良いでしょうか。
4) 仮にしこりが良性だったとして、良性でもこのような良悪性の判別の難しいようなものができた乳腺は、今後も同じような別のしこりができたり、以前よりがんができるリスクが高くなることはありますか?

今後の身の振り方を考える参考にしたいと思いますので、アドバイスよろしくお願いいたします。

1) 一年変化がないのであれば、経過観察も選択肢の一つになるでしょう。
2) 低いと考えられます。今後も長期間変化がなければその可能性はさらに高くなるでしょう。
3) 良いと思います。
4) 良性であっても、おっしゃるようにリスクに関連してくる場合もあります(ただ、組織による確認がされた場合です)。(文責 加藤)

 

No.8612】  08年12月28日   T.H.
ゾメタ投薬治療中の歯科治療について

現在ゾメタによる骨転移の治療を18回済ませた状況で、歯の治療が必要となりました。ゾメタの合併症として顎骨壊死が随分と問題視されているようですが、どうしても抜歯が避けられない状況です。主治医からは、「最終投薬後一ヶ月を過ぎれば抜歯をしても問題はないだろう」と言われてはおりますが、本当に大丈夫なのだろうかと不安を抱えております。休薬はどのくらい必要なのでしょうか?このような場合は、歯科口腔外科のある病院にかかっつたほうがいいのでしょうか? どうぞよろしくお願いします。

明確な基準はありませんが、2−3ヶ月間必要だという意見もあります(抜歯後の休薬も必要と言われています)。病院に関しては、今お掛かりの歯科にまず相談されるのがよいと思います。(文責 加藤)

 

No.8611】  08年12月28日   K 
骨転移の治療について(HPNo.8446-3)

お世話になっております。HPNo.8446及びHPNo.8589で骨転移の治療について相談させていただいたものです。本日病院に行ったところ、腫瘍マーカーCA15-3が57と、また上がってしまっておりました。9月は27、10月は41、11月は51でした。薬は昨年12月の手術後からフェマーラを、マーカーが上がったこの10月からアロマシンを服用しております。他は術後の放射線治療を行ったのみで、術前の抗がん剤治療等は行っておりません。この度、アロマシンは効果がないとみなし、12/20から抗がん剤のゼローダと放射線による治療に移行すると医師に言われました。また、本日私からの要請でゾメタの投与(初めて)を行ってまいりました。恐れ入りますが、以下の点についてアドバイスをいただけますでしょうか。

1) アロマシンを服用して2か月で、腫瘍マーカーの値だけで効果がないと判断してよいのでしょうか。本日、画像チェックを依頼してCTを撮ってまいりました。その結果を待って、抗がん剤に移行するかの判断では遅いのでしょうか?(画像確認結果が分かるのは、次の外来の1/13です。)
2) 他に適用可能なホルモン剤はありませんでしょうか? 高齢(60歳越え)であるため、抗がん剤の使用はなるべく先延ばしにしたいと考えております。
3) 抗がん剤に移行する場合、いきなりゼローダから始めるというのは一般的なのでしょうか? 本ページでもアドバイスいただきましたが、ゼローダは、CAF等の一次療法、タキサン系の二次療法で効果がなかった場合に、最終手段として適用されるイメージを持っておりまして・・・。
4) 本日(12/16)から現在服用しているアロマシンは飲まなくて良いと言われました。抗がん剤の服用開始が12/20からで予定されておりますが、その間薬を何も飲まないのは予後に影響はないのでしょうか。

昨年12月手術時の状況は以下の通りです。「・大きさ:1.3cm ・ステージ:1 ・グレード(顔つき):2 ・リンパ転移:0/3(センチネルリンパ生検) ・ER:陽性、PgR陰性 ・Her-2発現:1+ ・断端陽性であったが、追加切除は実施せず。」 度々の相談にて申し訳ございませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

1) 結果を待ってからでもよいと思いますが、骨病変の画像評価は難しいことがあります。
2) ノルバデックス、ヒスロンHなどがあります。
3) 実地臨床ではゼローダから開始することもあります。
4) 影響はありませんので、あせらずにお待ち下さい。(文責 加藤)

 

No.8610】  08年12月28日   K
ビリルビン上昇について(HPNo.7563-7)

HPNo.7563で相談したものです。今回血液検査によりビリルビンの上昇がみられました。総ビリルビン 0.8(7/22) 0.8(8/19) 0.6(10/14) 1.5(12/16)、非抱合ビリルビン 0.7(7/22) 0.7(8/19) 0.5(10/14) 1.4(12/16)となっていました。ビリルビンの上昇は肝臓に癌が転移した為のものでしょうか? 他にも原因があるのでしょうか? 血液検査の蘭に黄色という項目がありますが、今までは「なし」だったのが、「弱い」になっているのも気になります。よろしくお願いします。他のLD等の項目は基準値内です

若干のビリルビン値の上昇は、特に異常が無くても時々みられることがあります。肝臓転移によるものとは限りませんので、ご安心下さい。(文責 加藤)

 

No.8609-1】  08年12月28日   Y.N.
ホルモン治療の再発率について

度々の御質問で大変恐縮です。 来年よりホルモン治療を始める予定ですが、下記それぞれの場合の再発率について、参考までに教えて頂けないでしょうか。

@LH-RHアゴニスト製剤 2年のみ  A抗エストロゲン剤 5年のみ  B上記両方

乳頭腺管癌(半分は粘液癌)、腫瘍径:1cm以下、ステージT、リンパ節転移なし(センチネル)、ER:+80%、PgR:+60%、HER2:-、 異型度:3、脈管浸潤なし、年齢32歳 。何卒宜しく御願い申し上げます。

タモキシフェン5年が基本となり、10年での再発率はadjuvant onlineによると19%となります(ただ、さらに長期間の内服も選択肢としてでてくる可能性があります)。LH-RHのみがタモキシフェンより優れているというエビデンスはありません。両方投与が、若年の方においてタモキシフェンより若干優れているかもしれないというエビデンスがいくつかあります。現在臨床試験(SOFT)が行われています(タモキシフェン5年 vs LH-RH+タモキシフェン5年 vs LH-RH+エキセメスタン5年)。(文責 加藤)

 

No.8609-2】  09年01月07日   Y.N.
ホルモン治療について

いつもご丁寧なご回答誠にありがとうございます。 度々申し訳御座いませんが、下記ご回答頂ければ幸いです。

1) タモキシフェン5年が基本となるとのことですが、 私の様な場合タモキシフェン5年が標準的な治療となりますでしょうか?
2) LH-RHアゴニスト製剤 2年のみを主治医より推奨されておりますがタモキシフェン5年を追加した方が宜しいでしょうか? LH-RHアゴニスト製剤 2年のみでも良いかどうか 、ご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。

何卒宜しく御願い申し上げます。

1) タモキシフェン療法でしたら、5年が現状では標準となります。
2) No.8609での回答以上のものはございませんので、内容をご理解の上よく主治医とご相談ください。(文責 首藤)

 

No.8608】  08年12月28日   MY
胸の痛みについて

お忙しい中、恐縮です。初めてメールをさせて頂きます。30歳既婚者です。妊娠経験はございません。4日前から、右の肩胛骨と背骨の間が痛み、特に首を前に倒すとスジが突っ張るような痛みがあります。同時に腋のすぐ下と右胸にかけて囲むように痛みがあり、若干熱を持っていて腫れているような気がします。痛みを感じるのは常時ではないのですが、刺すような痛みです。また、同じ背中から胸にかけて痒みがあります。皮膚に異常は無くどこを掻いても手が届かないというか、むずむずとした内側から疼くような痒みです。痛みは朝の起き抜けが一番強く、痒みは起きてしばらく経つとずっと続きます。また、ここ2週間微熱がありましたが、喉が痛んだので4日間風邪薬を飲み、熱は下がっています。29日に健康診断でマンモを受けるので、現時点で内科に行くべきか整形外科に行くべきか悩んでおります。ネットで調べたところ、胸椎の病状と似ているようですが、痒みについてはあまり情報が無かったので、こちらにご相談させて頂きました。どうぞ宜しくお願い致します。

感冒症状もあるようですので、まず内科かもしれませんが、もう少し様子を見られてからでもよいと思います。すみませんが痒みとの関連性は何ともいえません。(文責 加藤)

 

No.8607】  08年12月25日   M.M.
ゾラテックス

現在49歳5ヶ月 温存手術、放射線療法の後トレミフェンを飲んでが、生理がまだあり、主治医に相談した所、ゾラテックスの注射が追加になりました。主治医はゾラテックスは少し様子を見て判断する予定だったようです。薬は飲んで4ヶ月程、ゾラテックスの注射はまだ1回目です。閉経する年齢に近く生理も2日間程で終わる為、今後ゾラテックスは続けた方が良いでしょうか。少し様子を見て生理がまだ続くようであればゾラテックス再開する事でも問題ないか回答よろしくお願いします。

病理等の所見がわからないのでトレミフェン単独が良いのか、トレミフェンとゾラデックスを併用した方がよいのかはわかりませんが、主治医の先生はトレミフェンで生理が止まればゾラデックスは必要ないと考えたのではないでしょうか。そうだとすれば、トレミフェンを内服しても生理があるのですから、最低2年は続けるべきでしょう。(文責 清水)

 

No.8606】  08年12月25日   Y 
アポクリン化生としこりの経過観察について(HPNo.5204-5)

以前HPNo.5204でお世話になりましたYです。先生方のご好意を何時もありがたく思っております。今回は、右乳癌のため手術をした際、左乳房の一部を生検した結果の病理と、その後の検査について教えてください。その病理は、「切除材料中に、アポクリン化生と軽度のductal hyperplasiaを認めますが、悪性像はありません」というものでした。先日、今年の乳癌学会の資料のなかで「アポクリン化生を呈す非浸潤癌については、明確な定義がなく非浸潤癌性アポクリン癌は、病理学的定義が未だ確立されておらず病理診断でも難渋しやすい」という記事を見ました。そこで、質問ですが、 
1) アポクリン化生を呈す非浸潤癌について今も判明されていないことがあるということは、3年前の私の病理結果も、今、病理標本を別の病理医が診断しなおすと診断が変わってくるということでしょうか?

2) 左乳房のしこりは、細胞診を一度した後は、マンモグラフィー、MRI造影、PETーCT、超音波の画像診断のみで経過観察しています。先日のMRI検査で、画像所見は「乳房に明らかなmassは指摘できません。CD領域にわずかに造影効果を認めますが、残存乳腺を疑います。no evidence of 1t.MmT」との診断結果でしたが、前回のMRIの画像が見当たらず比較していない事や、画像を実際に見ていないのですが、CD領域は、しこりがある位置と同じである事を考えるとやはり以前の画像と比べ診断していただきたいと思うのですが、いかがなものでしょうか? 造影効果を認めますというのは、どういった意味なのでしょうか?

3) 超音波診断では、三年前に5ミリの瘢痕といわれていたものが、3ミリに変化していました。担当医からは、瘢痕は消えることはなく、大きくなるようなら癌かもしれないので更なる検査が必要であることは聞いていましたが、小さく変化することは私も想定外でした。「後方エコー減弱する部位で形状不整、境界明瞭な低エコー域です。」カテゴリー2とありました。帰宅してから、左乳房には癌細胞が存在しており術後のホルモン治療により癌細胞が縮小しているのではないか?と不安になりました。そのような可能性もありうるでしょうか? 

4) また、3ミリのしこりの横に5・9ミリの「脂肪識に比し若干低エコーですが、脂肪織との連続ありそうです。」といった所見のしこりがあると超音波の医師に指摘されました。いつもは、担当医が診察室で見て下さいますが今回初めて超音波室での診断でした。(このしこりは、随分前から気づいておりましたが自分では、生検により摘出した部分が陥没し盛り上がっているところだと思っていました。おそらく、担当医もそのような認識だったと思います。)超音波診断の場合は、脂肪織です。とは、断言していなく連続ありそうです。と表現されていますが、断言しないものなのでしょうか?このしこりを細胞診や生検などで診断をつける必要はありますか? カテゴリー2とは、どういったことですか?

5) 生検前のMRIには、何も写っていないと説明されていましたが、前回のMRIの結果を探す際、生検前のMRIの所見に明らかなmassは認められなかったがnoduleが認められるという詳しい結果を最近知りました。noduleとは、癌をも想定する所見なのでしょうか?

前回、回答を頂き、私は、生検をも考えていましたが、担当医は、「生検をする事はやりすぎではないか?」と言ってくださり、画像上での経過観察で三年間過ごしてきました。私も担当医を信頼しており、納得しておりましたが、ここにきて不安感が強くなっています。時を同じくして、「乳房に存在するしこりは、画像上限りなく良性に近くても生検をして良性の確定診断をつけ、安心の更新をしていかなければならない。」と言う記事を読みました。不安な気持ちを払拭するには生検が一番なのでしょうが、また瘢痕が出来る可能性もあり、いたちごっこなのでしょうか? どうぞよろしくご教示くださいますようお願いします。

1) 貴女の生検組織の病理診断は“アポクリン化生と軽度のductal hyperplasia”を呈する乳腺症で、アポクリン化生を呈する非浸潤癌とは全く別のものですから、今標本を見直しても診断が変わることはありません。
2) 前回のMRIとの比較は大事だと思います。可能であれば比較してもらった方が良いと思います。“造影効果を認めます“というのは、文字通り造影剤を投与したときに、しなかったときに比べて濃く写っているということで、乳がんや乳腺症のときに診られる所見です。この所見だけでは乳がんとは診断しません
3) 生検の結果ガンでないことがわかっているのですから、そのような可能性はないと思います。
4) 超音波で一見腫瘤様に見えた低エコー域をたどっていくと、脂肪織に連続しているため、腫瘤でなく脂肪組織と考えるという意味だと思います。実際にそうかどうか中を見た訳ではないので、断定的には書きません。カテゴリー2は明らかに良性ですという意味ですから、私は生検の必要はないと思います。主治医の先生とよく相談してください。
5) massとnoduleの使い分けは、MRIを診断した先生に聞いてください。私にはわかりません。
6) 納得いくまで主治医の先生と話し合ってください。(文責 清水)

 

No.8605】  08年12月25日   Y 
薬剤変更について

何度かお世話になっております。いつもご意見頂き大変ありがたく思っております。妻35歳、31歳で右全摘で術後1年半で肺・脳転移で再発。ホルモン−、ハーセプ3。10月末に頭に再々発しましたので、以前、全脳照射してるので他院を紹介頂き、ガンマナイフを施行してもらいました。前回、完全消滅したので感受性は強いと思われ、現在経過観察中です。薬剤変更検討中ですが、現在までハーセプベースでタキサン2種(タキソールタキソテール)・5F−U2種(TS−1,ゼローダ)・ナベルビン・ジェムザールと併用してきましたが、ジャムザールも直近CEAが26まで上昇。次の薬剤が難しく、大学病院で相談予定。それまで今まで一番効果のあったTSー1に戻して年明けまで様子を見ることにしました。アバスチン・タイガーブなど承認降りるまでご意見頂ければ幸いです。

かなり厳しい状況ですね。タイカーブへの期待が大きいですね。それまでとなると、あとはプラチナ系でカルボプラチンでしょうか。日本では乳がんへの保険適応ありませんが、海外では比較的良いデータが出ています。(文責 清水)

 

No.8604】  08年12月25日   MG
生検を何度も受けるとガンが転移し易くなるのでしょうか?

初めての相談です。宜しくお願い致します。10年以上前から両胸に「しこり」があり、定期的に「がん検診」を受けていましたが、 「乳腺症」という診断でした。今年の9月のがん検診の結果「要精密検査」ということになり、10月末に近くの総合病院で受診しました。エコーを見た先生が「(右胸に)悪性の疑いがある」ということで、すぐに「細胞診」と「組織診」を行ないました。その結果は、「良性」ということでしたが、経過観察ということになり、11月に再度受診しました。念のためもう一度ということで、「細胞診」と「組織診」を行い、その結果「浸潤がんと認める」という診断でした。大きさは最大2.4センチだということです。現在かかっている病院は地方の総合病院で、担当の先生は乳腺外科の専門の先生ではありません。そのため、施術数の多い病院で手術すべきか迷っていたのですが、とりあえず、現在の病院でMRI、CT、腫瘍マーカー、骨シンチの検査を受けることになっています。年末年始でお休みをはさむため、すべての検査が終わるのが2週間後の予定です。検査後、(別の病院の)乳腺外科の専門の先生のところへ行って、セカンドオピニオンを受けてから手術する病院を決めようと思っていました。乳腺外科専門の先生がいる病院は遠方しかありませんので、「セカンドオピニオン受診 → 改めて別の病院を受診 → 手術」となると更に時間がかかります。本日、がんの電話相談で乳腺外科の専門の先生に電話相談したところ、「あなたは一回目の生検で良性だったのだから、まだ進行していない可能性が高い。しかし、2回も生検を受けているから、その際にがんが広がって(またはこぼれ落ちて?この表現の記憶が曖昧です)、他に転移する可能性がある。とにかく早く手術をした方が良い」と言われました。
現在の主治医の先生は、週1回しか外来診察をしていないため、主治医の先生に確かめることもできませんので、現在非常に焦っています。とにかく早く手術をしなければ、がんが転移する可能性が高いのでしょうか? 年末までに動くべきか、このままの日程で検査がすべて終わるまで待つべきか、悩んでいます。ご回答を宜しくお願いします。

一昔前はガンに針を刺したり、切り込んだりするとガンが広がるとか、もたもたしているとガンが広がってしまうから早く手術をすべきだという考え方がまことしやかに囁かれていましたが、現在はそのような考え方は否定的です。現在は、手術を急ぐより、治療に納得がいくかどうかの方が大切であると考えられているので、少し時間がかかってもセカンドオピニオンを受けることが推奨されています。だからといって何ヶ月も放置して良いということにはなりませんが、現在の貴女の状況であれば、検査が終わってから行動しても問題ないと考えます。但し、一つ気になるのは、主治医が乳腺専門でないというだけでセカンドオピニオンを受けるのは如何なものでしょうか。主治医と治療についての話しをして、納得できない、もしくは納得するために別の医師の話しを聞いてみたいというのがセカンドオピニオンの趣旨です。ですから検査後にまず主治医の話しを聞いて、主治医の話しのどの点が納得いかないのか、わからないのかをはっきりさせてからセカンドオピニオンにいくべきだと考えます。(文責 清水)

 

No.8603】  08年12月25日   E 
ハーセプチンについて

私、34歳、今年9月に右温存手術をしました。非浸潤癌が7cm×4.5cmで、その中に1つ浸潤癌が0.3×0.4cmありました。ホルモンは両方強陽性、HER2陽性、グレード1、リンパ転移なし。現在は、ホルモン治療のゾラテックス+タモキシフェン。ホルモン治療については強く勧められましたが、抗がん剤の副作用が怖く、主治医からも強く勧められなかったこともあり、抗がん剤を選ぶことは今も難しいです。色々調べて、ハーセプチンについては副作用が少ないということで、受けておこうかと思ってきました。将来何か起こったときに後悔のないようにしておきたいのですが、主治医にハーセプチンを受けたいと話しをしたら、「腫瘍が小さいのに効果があるかどうか・・・」という感じに言われ、決めていた気持ちが揺らいでいます。高価な治療でもあるので、どうしたらいいものか・・・。「年齢的に35歳以下ですし、HER2陽性だから中間リスクになるのなら、抗がん剤はしないけど、ハーセプチンだけでも受けておけば多少違うのかな」と、素人考えですが、思っての考えでした。

1) 浸潤癌4mmでも、標準治療は抗がん剤+ハーセプチン ホルモン治療なのか?
2) ハーセプチン+ホルモン治療でも効果はあると考えるか?
3) 10年生存率の%が分かれば教えてほしい。無治療→ホルモン治療→ハーセプチン+ホルモン治療

お忙しいところ申し訳ありませんが、宜しくお願いします。

1) 標準治療を決めるときに、腫瘍の大きさは再発の有無に影響を与えないのであまり考慮されません。ですから、ガイドラインに従えば、たとえ4mmでも、浸潤ガンであって35才以下であれば、標準治療は抗がん剤+ハーセプチンです。しかし、医師は実体験として4mmの乳がんで抗がん剤を使わなかった患者さんで再発したという経験をほとんどしていませんから、実感として抗がん剤は不要ではないか、ましてER,PRが陽性であればホルモン療法だけで十分ではないかと考えます。多分その考え方に間違いはないのでしょうが、それを証明するエビデンスはありません。
2) 手術後の治療でハーセプチン+ホルモン療法という臨床試験はないので、答えはわかりません。
3) 現在、有名なAdjuvant onlineにアクセスできなくなっているので正確な数字はお示しできません。予想では無治療で85?90%程度、ホルモン療法追加で3〜4%程度リスクが軽減されるのではないでしょうか。ハーセプチン追加のデータはありません。(文責 清水)

 

No.8602】  08年12月25日   C.A.
穿刺吸引細胞診の精度について(HPNo.8401-3)

No8401にて二度ほど質問させていただきました。その節はご回答いただき、ありがとうございました。穿刺吸引細胞診の精度について教えていただきたいのですが、本来は癌であるものについて癌ではないという結果の出る可能性はどの程度あるのでしょうか。私の母は穿刺吸引細胞診を2度行い、2回とも悪いものは出てこなかったため経過観察となっているのですが、乳癌の体験談等で、「最初の検査では大丈夫だったが、再度検査をしたらやはり癌だった」という話をよく耳にします。エコーで確認しながらの穿刺吸引細胞診を二回行っている点で、精度は高まっているとは思うのですが、マンモやエコーではしこりがあり、触っても確認できるので、心配は払拭しきれません。母は59歳ですので、年齢から乳腺症ということはあまり考えられないのではないかと、素人ながら考えてしまいます。アドバイスいただければ幸いです。宜しくお願いいたします。

穿刺吸引細胞診でガンがガンと診断できない確率は5%程度です。但し、この数字は正しく穿刺できて、十分な細胞が採取され、すばやく固定できて、スクリーナーの資格のある検査技師が標本を作製しスクリーニングして、細胞診診断の資格のある医師が診断した場合の数字ですから、これらの条件の一つでも欠けると、診断率は下がります。95%大丈夫だから心配ないと考える医師は少ないと思います。細胞診でも5%の診断不能例があるのだからと考え、マンモグラフィーやエコー検査の結果と細胞診の所見が一致しない場合は細胞診を繰り返すか、積極的に生検を行なうと思います。お母様の場合は、エコー下に2回穿刺して良性ということであれば、単純に考えてガンである確率は5%x5%で0.025%となります。それでも、マンモグラフィーの所見やエコー検査の所見が、しこりがあるというだけではなくて悪性を示唆する所見であるならば生検すべきだと思いますが、そうでなければ、このまま様子を見ても良いのではないでしょうか。いずれにしても少しでも不安があるようなら、主治医の先生とよく話すべきだと思います。(文責 清水)

 

No.8601-1】  08年12月25日   N
局所再発の疑いと摘出生検について

3年半前に術後治療について相談させて頂き、精神的にも落ち着いた状態で最良の治療が出来たこと、本当に感謝しております。本当に有難う御座いました。今回、局所再発の疑いが有り、摘出生検をすすめられております。現在でも海外在住の為、4年前と同様、日本で検査を受けるべきか海外で受けるべきか? もし、摘出生検で癌と判断された時、その後の治療はどうなるのかを相談させて頂きたいと思います。宜しくお願い致します。
4年前、温存手術をうけ、病理組織の内容は、病理組織所見の中に細胞異型度についての記載は見当たらず、所見中のg(+)、f(+)、大きさが1.2cmでリンパ節転移がなし、ER(−)PR(−)充実腺、HER2(−) センチネルリンパ節生検(−) 癌の大きさ径1cm大でした。術後放射線治療30回、抗がん剤は必要ないと手術後帰国しましたが、病理組織所見の内容が分からず相談させて頂いたところ、病期1の初期癌であるが、ホルモン受容体が両方とも陰性の為、現在では再発予防のために抗癌剤の使用を勧めていること、ただし、私自身の人生設計と照らし合わせ、最適な治療法を選択するよう回答を頂き、納得の上で抗がん剤治療ECを4回受けました。
今回、マンモ検査で、癌摘出したところとその上部に石灰化が見つかり、細胞診の検査をしました。その際、注射器で取れたものは白いカスみたいなものとジェル状の液体であったことを、その時伝えられました。そのまま帰国した為、1週間後の昨日電話で聞いたところ、検査結果はクラス3でした。グレーゾーンであること、異型細胞がある為、摘出生検をすすめられました。ただ、年末を控えていること、年明け手術が入っている為、2009年1月15日と言われました。1週間の結果待ちでも辛く、来月の15日までこの辛さをどう受け止めてよいか分からず、こちらの乳腺外科の専門医に診て頂いたところ、こちらの専門医も同じ摘出生検の意見でした。そして、こちらの先生にクラス3で異型細胞があるのであれば「それは癌よ。この石灰化は癌の死骸よ」と言われてしまいました。以上の状況でご意見を聞かせて頂ければ助かります。

1) 細胞診の結果クラス3で異型細胞がある場合、癌である可能性が強いのか、どの位の確立なのか。
2) 摘出生検の結果が癌であった場合、治療法としては全摘出手術になってしまうのか、全摘出手術後、私の場合、抗がん剤治療は必要になるのか。それとも、全摘出手術のみか。
3) 一度、放射線治療を行った場合、同じ場所には放射線治療は出来ないと聞いたことが有ります。今回、癌と結果が出た場合、全摘出手術後、抗がん剤治療同様に必要になる場合があるのでしょうか。また、出来るのでしょうか。
4) こちらで摘出生検を受けた場合、保険がきかないので50万ほどかかりますが、1週間後に検査が出来、結果は1週間から10日程です。日本で検査を受けた場合4週間後、結果が分かるまで2週間と言われました。もし癌であった場合、日本では検査結果が分かった後、さらに最低でも1か月は待たされる可能性がありますが、そんなにほっておいても良いものでしょうか。
5) 局所再発の場合、私の生存率は変わるのでしょうか。
6) 4年前の手術の際、センチネルリンパ節生検をしました。もし癌と結果が出て全摘出手術をした場合、もう一度センチネルリンパ節生検を手術中にするのでしょうか。それとも、リンパ節郭清をするのでしょうか。
7) 全摘出手術の場合非定型的乳房切除術か定型的乳房切除術か、どちらになるのでしょうか。

長々と文書が纏まらず申し訳ございません。早急に摘出生検を何処でするかを決めなければいけないのですが、(4)の問題で決めかねております。お忙しいところ申し訳ございませんが、宜しくお願い致します。 

1) 細胞診でのclass3というのは “この標本から良悪性の判定ができません”という意味で、その解釈にはいろいろな意味が含まれています。例えば、細胞も十分にとれている標本で、悪性としては異型度が低く、良性と判断するには異型度が高く、本当に良悪性の鑑別ができない場合、基本的には良性細胞が多いのだが、一部異型の強い細胞がありclass2とは診断できない場合。異型の強い悪性を疑う細胞があるのだが、数が少なく、これだけでclass4以上はつけられないという場合等等。ですから、class3であればどのくらいの確率で悪性であるという基準はありません。貴女の場合“白いカスみたいなものとジェル状の液体であった”ということなので、ガンの可能性はあまり高くないのではないと思います。
2) 同じ乳房内に二度乳がんができた場合は、多発の傾向が強いと考えて、原則として乳房切除が勧められますが、乳房温存の希望が強く、次にまたできるリスクを了解してもらえれば、部分切除で済ます場合もあります。
3) 放射線治療は原則として同じ部位に二度かけられませんから、今回の結果がガンであって、乳房温存した場合でも、今回は放射線治療はできません。乳房切除した場合も、通常は放射線治療を行ないません。行なうとすれば、腋窩郭清を行なって腋窩リンパ節転移があった場合は放射線治療を考慮するかもしれませんが、メリットとデメリットの判断が難しいと思います。
4) そんなに時間がかかるのは日本でも大きな病院だけです、通常の病院ではそんなに日数はかかりません。よく長時間待つことが問題になりますが、現時点ではそれが治療成績に影響を与えることはないと考えられています(エビデンスはありません)。どちらで検査するのがよいかと考えると、コストの問題を考えなければ、1月15日に予定が入っているなら、細胞診も行なっている現地の病院の方が良いのではないでしょうか?
5) 貴女の場合、摘出後これがガンであると診断された場合、前回のガンの再発なのか、新しくできたガンなのかが問題になります。前回のガンの再発であれば、いわゆるtriple negativeのガンの再発ですから、生存率は低くなると考えた方が良いと思います。新しくできたガンであると診断されれば、その新しいガンの予後によると思います。しかし、現実には前回のガンの再発と新しくできたガンを区別するのは難しいことが多いのです。
6) 理論的には再度のセンチネルリンパ節生検が可能です。しかし、私の経験では、乳房内再発例でセンチネルリンパ節生検を行なった場合、RIが腋窩に流れずにセンチネルリンパ節を同定できない例が多くなるような気がしますし、放射線治療後の乳房内再発例で行なったセンチネルリンパ節生検で、正しくセンチネルリンパ節が同定できるというエビデンスもありません。ですから、安全性を考えると郭清をお勧めしますが、郭清による合併症をできるだけ避けたいということであれば、センチネルリンパ節生検を試してみます。
7) 乳房切除の術式は、間違いなく非定型的乳房切除術です。(文責 清水)

 

No.8601-2】  08年12月30日   N
局所再発の疑いと摘出生検について(2)

この度はお忙しいところ丁寧な回答本当に有難うございました。主人が寝られず仕事をしていたところ、夜中に突然メールが入りビックリしたそうです。「あんな遅い時間まで患者に一生懸命向かい合っていらっしゃる姿に頭が下がる思いです。本当に感謝致します。」と言っておりました。私も送信時間を拝見し、同じ思いでおります。改めて感謝致します。一つ教えて下さい。回答の(1)にあります「ガンの可能性はあまり高くないのではないと思います」。これは「がんの可能性が低い」と考えてよろしいのでしょうか。こちらの医師に再度確認に行きました所、生検の日程が変更され(セカンドオピニオンを聞きに行った時は29日か31日と言われたのですが)、1月7日と言われたので、細胞診を受けた日本の病院で1月15日に受けることに決めました。大学病院のような大きな病院ではありませんが、15日しか空いていないというのであれば、長く待つのは辛いのですが待つしかないと思っています。でも、今回、このように詳しく回答頂いたおかげで、先週、聞かされた際の動揺が嘘のように今では落ち着いてきております。出来れば生検で良い結果が出る事が望ましいのですが、もし、悪い結果であっても「あるがままに受け入れよう」と思っております。今年もあと数日になってしまいましたが、神奈川乳癌治療研究会の皆様にとって、そして、病を背負い闘っていらっしゃる皆様にとって来年は穏やかに過ごせる良い年になりますよう、お祈り申し上げます。

生検をすると決められたのですから、あまり可能性の高低を議論しても仕方がありません。あとはその結果を待つしかないと思います。(文責 清水)

 

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