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相談室(No.9801〜9900)

このページは乳がんに関する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。

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なお治療法は、患者さんと主治医がご相談されて決定されるものであり、この相談室でお答えできるのは、一般的な参考意見であることをご了解下さい。

当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

★ 過去にさかのぼって相談内容が検索できるようになりました。ご参考になれば幸いです。ご利用下さい。
 

 

目 次

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No

日 付

名 前

件  名

担 当

9900-1
9900-2
10/10/17
10/10/29
N.M.  術後の治療
術後の治療(2)
高橋
高橋
9899-1
9899-2

9899-3
9899-4
10/10/17
10/10/23
11/02/22
11/03/03
K.T. 今後の治療について
今後の治療について(2)
再発転移後の治療について
今後の治療について
高橋


徳田
9898 10/10/16 M.K.  術側乳房および腋の下の痛みについて 加藤
9897 10/10/16 ポポ リュープリン 加藤
9896 10/10/16 K グレードと再発(2) (HPNo.9810) 加藤
9895 10/10/16 術後治療について (HPNo.9841-2) 高橋
9894-1
9894-2

9894-3
10/10/16
11/01/13
11/09/11
J.M. 術後治療について
経口抗がん剤、ホルモン剤と飲酒について
腫瘍マーカー
高橋
久保内
清水
9893-1
9893-2
10/10/16
10/10/23
肺転移ではないかと大変心配に思います
トリプルネガティブ
高橋
9892-1
9892-2
10/10/14
10/11/29
H.M 炎症性乳がんの治療について
病理検査と抗がん剤の効果について
高橋
石川
9891 10/10/14 肺や骨転移は痛みはないのでしょうか? 高橋
9890-1
9890-2
10/10/14
10/10/19
再発率、生存率
ハーセプチン上乗せ効果
高橋
高橋
9889 10/10/12 AYY フェマーラと骨粗鬆症(HPNo.4438-3) 加藤
9888 10/10/12 C.Y. 潜在性乳がんの姉について 加藤
9887-1
9887-2
10/10/12
10/11/18
A 今後の治療について
同時再建手術
加藤
吉田
9886 10/10/12 PP ホルモン剤服用中のサプリメント 須田
9885 10/10/12 F  ホルモン療法 須田
9884-1
9884-2
10/10/12
10/11/21
R  病理検査について
術後薬物治療について
須田
吉田
9883 10/10/12 H  栄養補助食品 須田
9882 10/10/12 薬の副作用について 須田
9881 10/10/12 K.K. 予後について(2)(HPNo.9876) 須田
9880 10/10/12 M いくつか質問させてください 須田
9879-1
9879-2

9879-3
9879-4
9879-5
9879-6
10/10/12
10/10/19
10/10/25
10/11/29
11/01/12
11/10/13
S  病理検査の疑問と再発リスク
今後最適な治療を受けるために
再発という可能性はありますか?
母の乳癌について
母の乳癌について(2)
定期検査
須田
高橋

石川
斎藤
高橋
9878 10/10/12 R.S.  乳首の肥大、痒み 須田
9877 10/10/12 M.S. FUS(MRガイド下集束超音波治療)について 須田
9876-1
9876-2
10/10/06
10/10/12
K  予後について
予後について(2)
首藤
須田
9875 10/10/06 Y  水の袋について 首藤
9874 10/10/06 M  乳がんの精密検査を受けました 首藤
9873 10/10/06 Y.A 薬の飲み合わせについて 首藤
9872 10/10/06 H.I.  乳腺前がん病変について 首藤
9871-1
9871-2
10/09/30
10/12/26
K 母が乳癌と診断されました
抗癌剤の必要性
首藤
川本
9870 10/09/30 M  ようやく入院が決まりました 首藤
9869 10/09/30 Y  再発後の治療について 首藤
9868 10/09/30 R  CA15-3の上昇について 首藤
9867 10/09/29 H.S. 腕の痛(2) (HPNo.9861) 鈴木
9866 10/09/29 C.N  結果結果の数値について 鈴木
9865 10/09/29 K 薬の効果について 鈴木
9864 10/09/26 M.K.  子宮けい癌ワクチン 鈴木
9863 10/09/24 I 乳がん再発の今後の治療方法について 鈴木
9862 10/09/24 K.Y.  リンパ節再発の治療 鈴木
9861-1
9861-2
10/09/24
10/09/29
H.S.  腕の痛み
腕の痛(2)
鈴木
鈴木
9860-1
9860-2
10/09/24
10/11/15
M  放射線治療について
ホルモン療法について
鈴木
浜口
9859 10/09/24 N.T. 左乳房からの出血 鈴木
9858 10/09/24 H  ホルモン療法 鈴木
9857 10/09/24 T  骨に転移しているのではと心配です 鈴木
9856 10/09/24 A,U, P53異常数値について不安です 鈴木
9855 10/09/24 S.T.  肺転移の治療について(HPNo.9034) 鈴木
9854 10/09/23 S  乳首の痛みについて 清水
9853 10/09/23 B  転移後の治療 清水
9852 10/09/23 M.T. 乳がんの骨転移の治療について 清水
9851 10/09/20 M.K. 浮腫について 清水
9850 10/09/20 ホルモン剤の変更について 清水
9849 10/09/20 S.A 炎症性乳がんの疑いはないのでしょうか? 清水
9848 10/09/20 M.I. 妻の治療法について(2)(HPNo.9832) 清水
9847 10/09/20 M.K.  子宮頸がんワクチン 加藤
9846 10/09/20 H  のう胞内にポリープが発見されました(HPNo.5607-4) 加藤
9845 10/09/19 トト 皮膚再発ではないかと心配です 加藤
9844 10/09/19 H  乳房内再発、術後治療について 加藤
9843 10/09/18 M.Y. 今後の治療について(HPNo.9587-3) 清水
9842 10/09/18 S.H 左胸に2つのしこりは全摘出ですか? 清水
9841-1
9841-2
10/09/18
10/10/16
M   両乳房癌になって
術後治療について
清水
高橋
9840 10/09/18 JM ホルモン治療について 清水
9839 10/09/18 A.U. 乳がん手術後の治療方法について 清水
9838 10/09/17 H.Y. ホルモン剤の継続について 斎藤
9837 10/09/17 Y.Y.  ホルモン療法と生理  斎藤
9836 10/09/17 R.N.  水泳 斎藤
9835 10/09/17 T リュープリン 斎藤
9834 10/09/16 N.M.  手術方法について 清水
9833 10/09/16 M 痛み止め 清水
9832-1
9832-2
10/09/16
10/09/20
M.I 妻の治療法について
妻の治療法について(2)
斎藤
清水
9831 10/09/16 KK リュープリンの使用期間に関して 斎藤
9830 10/09/16 O  今後の治療について 斎藤
9829 10/09/16 I.M.  今すぐホルモン療法を開始した方が良いでしょうか? 斎藤
9828 10/09/16 M マーカー&ホルモン療法 斎藤
9827-1
9827-2
10/09/16
10/11/29
S/K 今後の治療について
抗がん剤の選択について
斎藤
石川
9826 10/09/06 ポポ リュープリンについて 久保内
9825 10/09/06 T  胸のしこり 久保内
9824 10/09/06 Y.H.  手の指の痛みについて 久保内
9823 10/09/06 U  肩およびリンパ周辺の鈍痛について 久保内
9822 10/09/06 H 乳房からの分泌物 久保内
9821 10/09/06 I ノルバデックスとアリミデックス 久保内
9820 10/09/06 トト 皮膚再発ではないかと心配です 久保内
9819 10/09/04 K.T.  治療方針について 久保内
9818 10/09/04 M 今後の治療について 久保内
9817 10/09/04 I   葉状腫瘍。細胞診・針生検の精度について 久保内
9816 10/09/04 M.N. 腫瘍マーカー 久保内
9815 10/09/04 T  胸のしこり 久保内
9814 10/09/04 M  ホルモン療法について 久保内
9813 10/09/02 O.K. 術後の抗がん剤について 上島
9812 10/08/31 Y.T. ホルモン療法後の治療について 土屋
9811-1
9811-2

9811-3
10/08/29
11/06/23
11/09/05
R.T. 再発率について
再発でしょうか?
ゾラデックス
西川
俵矢
斎藤
9810-1
9810-2
10/08/27
10/10/16
K  グレードと再発
グレードと再発(2)
川本
かとう
9809 10/08/27 ベル 要精検 矢吹
9808 10/08/27 S.W 骨シンチについて 矢吹
9807 10/08/23 N.Y.  乳癌と妊娠 緒方
9806 10/08/18 ST ハーセプチンによる治療を休止することについての相談 石山
9805 10/08/18 R.T.  術後の治療について 石山
9804 10/08/18 K・Y 肺転移(HPNo.8966) 石山
9803 10/08/15 K  再発・転移治療の開始時期と生存率(HPNo.9419) 石山
9802 10/08/15 S.S. エストラジオール値が高い 石山
9801 10/08/14 乳がんの骨転移について 石山

 

No.9900-1】  10年10月17日   N.M.
術後の治療(1)

初めてご相談します。45歳、閉経前、子供有り。22/3月 右乳房全摘、浸潤性小葉癌、腫瘍2、リンパ節転移3個、両ホルモン強陽性、ハーツー0、術後CMF療法6クール(タキサン系、アレルギーのため中止)。22/9月よりホルモン療法タスオミン

1) リュープリン注射は必要ないですか? (CMF3クール目より無月経となりましたが)
2) CMF療法は、他の化学療法に比べて効果が低いようなので、私の病期での再発がとても心配です(タキサン系が無理なので・・・)。5年、10年無再発率を教えていただけますか?
3) もし再発した場合、タキサン系が使えないとなると、治療が困難になりますか?
4) 血液検査で肝機能値が高いということで薬を出されました。正常値に戻らないとホルモン療法が休薬というこもありますか?

お忙しい中、大変恐縮ですが、宜しくご指導お願いします。

ご相談どうもありがとうございます。少しでもお力になれましたら幸いです。
1)CMFで完全に閉経したかどうかは分かりませんので、通常はリュープリンやゾラデックスを追加すると思います。
2)さらに情報として、腫瘍の大きさと核グレードが必要ですが、腫瘍2と書かれているので核グレード2とすると、adjuvant onlineでは腫瘍2cm以下で無再発率は64%、腫瘍が2cmより大きければ無再発率45%となります。
3)できればタキサンを使用したいので、アレルギーを抑える薬を使用しながら、タキソテールを使用するなど工夫する必要はあります。
4)余程の異常がなければ、ホルモン治療はやめなくて良いと思います。

以上、お役にたてましたでしょうか。またいつでもご相談をお待ちしています。(文責 高橋)

 

No.9900-2】  10年10月29日   N.M.
術後の治療(2)

早速のご回答、心より感謝申しあげます。頂いた回答の中で確認です。
1)、3)についてですが、主治医よりその様なお話はないのですが、こちらから希望をすればよいのでしょうか?
2)の無再発率は無治療の場合ですか?それとも私が受けた治療後の率ですか?

お忙しい中、度々で恐縮ですが宜しくお願い致します。

言葉が足りず申し訳ございませんでした。(1)(3)について、主治医の先生におたずねくださいね。先生がどのようにおっしゃるかは、わかりません。ひとつのご意見ですからね。無再発率は無治療の場合です。治療効果は、情報の詳細がわからないのでお答えできません。ご了承下さいませ。こちらも主治医の先生にお聞きしてみて下さいね。ご相談どうもありがとうございました。(文責 高橋)

 

No.9899-1】  10年10月17日   K.T.
今後の治療について

いつも参考にさせていただいています。母の再発後の治療についてお聞きしたいことがあります。
2005年6月右乳がんにより全摘、リンパ節転移2個 ホルモンレセプター共に+ HER2 1+、術後補助療法として、CEF2週投与2週休み4クール アリミデックス。
2010年1月アリミデックス服用中に右鎖骨上下リンパ節転移、胸骨側リンパ節転移、FEC3週ごとに投与9クール行う。転移後もホルモンレセプター等変わりなし。
今月に入りPETの結果により、鎖骨下リンパ節、胸骨側リンパ節は画像上消えたそうですが、新たに肝臓に転移がみつかりました。

1) 肝臓への転移についてですが、腫瘍マーカー値も特に異常なく、鎖骨下や胸骨側のリンパ節は消えていて、抗がん剤が効いているように思えるのですが、このように新たに転移が見つかることは、よくあることなのでしょうか? 主治医は、この結果に納得していないようで、CTをもう一度とってみるそうですが、CT上異常なければ、肝転移はないと考えていいものなのでしょうか?
2) 今後の治療は、タキソール1週投与2週休むをする予定でいますが、いろいろ調べてみると、タキソール毎週投与のほうが、奏効率が倍以上上がるというのを目にしました。毎週投与に変更すべきでしょうか? 毎週投与と1週投与、他にどのようが違いがあるのでしょうか? (母は、白血球が初発の抗がん剤治療により、なかなか上がらなくなってしまいました。今回のFECでも1800くらいにおちてしまうことがほとんどで、普段でも3000くらいしかありません。)
3) HER21+という結果ですが、ハーゼプチンは、やはりききにくいのでしょうか?

まとまらず、読みにくいですがよろしくお願いします。

ご相談どうもありがとうございます。お母様のお力になれますよう、お答えさせていただきます。
1) 肝臓への転移は起こり得ます。起きるはずがないとは断言できません。CTではっきりしない場合には、造影肝臓MRI検査もお受けになって確認する必要はあると思います。あとは、肝臓のしこりが乳がんに関連するものなのかどうかは、採血で肝炎を調べたりして確認する必要はあると思います。肝臓のしこりは超音波の方がはっきり見えることが多いので、そちらもご確認くださいませ。
2) タキソールを12回で終了するのであれば、毎週投与が望ましいと思いますが、ずっと長い間続けるのであれば、それは間隔をあけながら長期間投与した方が、副作用が少なくて済みます。タキソールの治療効果は術後補助化学療法としての予防効果についてのデータです。転移再発後については、患者様の状態を確認しながら、投与回数や頻度を決定していきます。先生とご相談くださいね。
3) Her2 1+であれば、ハーセプテスト陰性ですので治療の効果は望めませんし、保険適応もございません。

以上、もしご不安がございましたら、またご相談くださいね。お待ちしています。(文責 高橋)

 

No.9899-2】  10年10月23日   K.T.
今後の治療について(2)

丁寧な返答、ありがとうございました。前回投稿させて頂いたHPNo.9899です。主治医との相談の結果、本日よりタキソールを1週投与2週休むで開始することになりました。 ただ、CTの結果、肝臓に大きいもので2センチ、ほか確認できるもので4から5か所、転移がみつかりました。心配なのは、前回8月のCTには写っていなかったのですが、今回、これだけの転移がみつかったことです。たったの2カ月弱で急激に進行しているように思います。

1) このような進行のペースは、かなり悪性度が高いと考えられるのでしょうか? 進行が速いと、抗がん剤が効きにくくなるのでしょうか?
2) 再発、転移の場合、手術はせず、薬物療法が標準的治療と理解していますが、肝臓に対して何か他に治療法があれば可能な限り教えて下さい。

肝臓の進行が進み、治療が継続できなくなってしまうのではと、心配しています。よろしくお願いします。現在、母は60歳です。

1) お母様の病状に対し一生懸命に調べておられる貴方の姿勢に敬服いたします。乳癌術後の多発肝転移ですが、手術してからリンパ節への初再発までに4年7カ月の比較的長い期間が経っており、通常は比較的緩徐な進行の癌と考えますが、途中で癌の性質が変わることもありますので、今回のCTの経過を考えると確かに進行のとても速い肝臓転移の可能性はあると考えます。しかし進行の速さと抗癌剤の効果とは関係ありません。
2) 仰る通り乳癌の再発・転移に対しては薬物療法が主体であり、肝転移に対する手術や焼灼療法などの局所療法では効果があまり望めません。タキサン系(タキソールまたはタキソテール)抗癌剤の使用が標準的ですが、ゼローダ、TS−1,ジェムザール、ナベルビンなどの抗癌剤やフェマーラ、アロマシン、タモキシフェン、トレミフェンなどのホルモン剤などが選択肢に挙がると考えます。(文責 谷)

 

No.9899-3】  11年02月22日   K.T.
再発転移後の治療について

いつも、参考にさせていただいております。前回も丁寧な回答をありがとうございました。今後の治療法について、また教えて下さい。
去年の10月の肝多発転移後、タキソールを1週目投与、2週休むを6クール終わったところです。
ここ数カ月の間、CA15−3のマーカー値がすこしずつ上がってきているとのことで(今月に入ってからの数値は40)、CT検査をして、今週結果がでます。
そこで、がんの広がりなどで、また治療法を選択しなければならないと思うのですが・・・。

1) 肝臓のがんが増える、あるいは他臓器に転移がみられた場合は、次に選択すべき治療法、薬は何でしょうか?
2) 前回のCTの結果、画像上みえるのは、鎖骨上リンパ節と肝臓の4,5個の転移ですが、どのくらい減るとホルモン療法にきりかえても大丈夫と判断できるのでしょうか? 主治医は外科医ですが、最初の転移がホルモン療法中の転移だったからか、ホルモン療法には消極的です。素人の考えですが、抗がん剤はいい細胞もダメにしてしまいすので、副作用の少ないホルモン療法に切り替えられるのならば、切り替えられたらと思うのですが、そのタイミングがわかりません。母は肝機能も今のところ問題なし、食欲もあり、とても元気です。
3) 治療法の選択の表が本などにのっていますが、そこに書かれている「生命を脅かす危険がある」という状態は、具体的にはどういう状態のことをいうのでしょうか? 母の肝多発転移はそれにあたるのでしょうか?

まとまりのない文章で申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

1) 今までに化学療法としてはCEF、FECを、ホルモン剤としてはアリミデックスを使用してきており、今回はタキソールを使用しているとのことですので、もし今の治療法で病状の増悪がみられるようでしたら、タキソテールまたはジェムザールまたはナベルビンなどの注射抗癌剤か、ゼローダまたはTS−1などの経口抗癌剤のいずれかに変更するのが一般的ですが、ホルモン剤ならば、アロマシン、フェマーラ、ノルバデックス、フェアストンなどが選択肢に挙がります。現時点では、その中のいずれが勝っているとの証拠はなく、主治医の先生とよく相談して決定するべきであると思います。
2)3) とても的確なご質問です。現在のわれわれの再発乳がんに対する治療の基本指針の礎となっているのが、Hortobagyiのアルゴリズムといわれる考え方であって、それはまずlife threatening(=生命を脅かす状態)でなければホルモン療法を選択するべきであり、life threateningであれば化学療法を選択するべきである、というものです。しかしこのlife threateningには実はきちんとした定義はなく、それぞれの医師の判断で決定されております。重度でない骨転移やリンパ節転移などはlife threateningではないと判断し、お母様のような多発肝転移や多発肺転移、あるいはがん性胸膜炎などは一般にlife threateningな状態と考えることに異存はないと思われますが、単発の肝転移など軽度の肝転移や肺転移に対してホルモン剤の適応がないかといえば、case by caseであると私は考えます。それゆえ今のお母さまに対しても、もしホルモン剤をtryしたいと思うのであれば、私は決して間違った選択肢ではないと考えます。是非再度主治医の先生とよく話し合ってみてください。(文責 谷)

 

No.9899-4】  11年03月03日   K.T.
今後の治療について

9899、9918、10090で相談させて頂きました。迅速な回答をありがとうございました。先週、CTの結果を聞きに行ってまいりました。結果としては、鎖骨上リンパ節は画像上は消えたとのこと。肝臓は新たながんは発現していないが、去年10月にみつかったものは、うすかったものは濃くなってきており、さらに、15ミリ×24ミリだったものが23ミリ×27ミリに、まるく大きくなっているとのこと。もうひとつ10ミリくらいのものも、少し大きくなっていているようです。今後の治療としては、新しいがんが出てきていないので、タキソールが全く効いていないわけではないので、少しこのまま続けてみる。もしくはアブラキサンはどうか?とのことでした。アブラキサンについては副作用が弱まるので量を増やせれば、もっと効くのではないかとの主治医の考え。その他の抗がん剤については、切れ味があまりよくないとのことで勧められませんでした。この時は、母も私も治療法をはっきりとしたものをきめられず、この日は今まで通りタキソールを点滴して帰りました。しかし、疑問が残ってしまい、相談させて下さい。

1) 今、肝臓にあるがんは着実に大きくなっているのに、このままタキソールを続けることは意味のあることなのでしょうか? 主治医の言うように、タキソールは効いているのでしょうか?
2) 母のようにタキソールを使用して、がんが大きくなってしまったものでも、アブラキサンは効くのでしょうか? 同じ薬なのであれば、量を増やしても、耐性ができてしまい効かないのでは?と思うのですが・・・。
3) アブラキサンを使用している患者さんが、今のところ主治医の担当にはいないそうです。母のようにタキソールを使用して、アブラキサンに変えた例の効き目など、効き目は個々に違うと思いますが、教えて頂けたらと思います。
4) アブラキサンの副作用は、タキソールとほぼ同じと考えていいのですか?
5) タキソールを続けて、また急激に転移が進んでしまうのではないかと心配になります。私個人の考えでは、抗がん剤を他のものに早めに変えたいと思うのですが、先生の考えを聞かせてください。

今回もまとまりなくすみません。よろしくお願いします。

1)厳密には、タキソールを開始して一番小さくなったときに比較して、肝臓の転移巣の長径の総計が20%以上大きくなっているのであれば、無効と考えます。
2)〜5) アブラキサンは、タキソールが無効であった症例でも腫瘍に薬剤が届きやすいので、効果が見られる場合があります。しかし、一般的には、タキソール以外の使用していない薬剤があるのであれば、そちらを選択すべきです。(文責 徳田)

 

No.9898】  10年10月16日   M.K. 
術側乳房および腋の下の痛みについて

いつもお世話になっております。58歳、女性。平成21年1月に右乳房に癌発覚し、同年2月に温存手術+センチネル生検施行。腫瘍径2センチ、リンパ節転移なし、ホルモン受容体陰性のトリプルネガティブ。その後EC化学療法+放射線治療を行い、現在経過観察中です。4月中旬にマンモ・超音波検査、5月中旬にCT検査、6月中旬に血液検査を行い、それぞれ異常なし。しかし、ここ3〜4週間くらい術側乳房および腋の下(特に切除した乳房部分とセンチネルの傷口の間と腋の下の背中側)に、今まであまりなかった鈍い痛みや腫れぼっさをかなり感じ、不安を覚えております。これは疼痛症候群といわれるようなものなのでしょうか? あるいは再発を疑うものなのでしょうか? よろしくお願いいたします。

治療後にそのような症状は時々みられます。ほとんどの場合治療の影響によるもので、心配ないものですが、そうでない場合もあります。続くようであれば、受診の際に担当医へお伝えになったほうが宜しいかと思います。(文責 加藤)

 

No.9897】  10年10月16日   ポポ 
リュープリン

ゾラデックスからリュープリンに変更したところ、今まで一度も痛みのなかった股関節が痛み始めました。痛みがひどいときは、熱も出続けています。足をかばいながら(ロキソニンを飲みながら)の生活に悩んでいます。アリミデックスを併用した治療を続けるには、どうしたら良いですか。ゾメタの治療の前に、少しでも改善できればと思っています。アドバイスをよろしくお願いいたします。

アリミデックスを使用するためには、閉経していることが条件となります。そうでないのであれば、現在されているようにゾラデックスまたはリュープリンの併用が必要となります。(文責 加藤)

 

No.9896】  10年10月16日   K 
グレードと再発(2) (HPNo.9810-2)

HPNo.9810で質問しましたKです。支離滅裂な質問にお返事ありがとうございます。グレード1、2とグレード3の生存率に差があるので気になって、自分のグレードが2なのか3なのか悶々としていました。
3+3+1=7だとグレード2
3+3+2=8だとグレード3

私はリンパ節郭清しているので、当てはまるかどうか分かりませんが。お返事を読み、均一に存在する訳ではないと知り、良くも悪くもホッとしました。均一ではないので残りはスコア3ばかりかも知れませんが、少なくともスコア1があったということです。気になる様ならKi67検査を受けて納得するのも良いのかもと思いました。金銭面が問題ですが・・・。これから2年間タモキシフェンのみの治療になるので、CYP2D6検査を受けてみようと思っています。しかし結果が出ても治療に反映出来るかははっきりしないので、改めて自分の細胞の性質を知りたかったのです。しかし再発するかどうかは、そればかりで決まる訳では無いですし、不安と言いつつ、今までやって来れたので、これからも頑張っていきたいと思います。変な話しですが、癌になり色々な事を知るにつれ、恐ろしさ反面、とても興味を持ちます。細かい事を聞きますが、検査は癌組織の一部を取り、フォーメーションを診て、核異型を診て、核分裂像を診る・・・という様に、1度取った細胞で診ていくのですか?

おっしゃるとおり採取した組織で調べます。将来的には採取せずとも可能な時代がくるかもしれませんが・・・。(文責 加藤)

 

No.9895】  10年10月16日   M 
術後治療について (HPNo.9841-2)

前回投稿しましたHPNo.9841です。御親切な回答有難うございました。9/29に右胸全摘術をしました。病理検査の結果、0.8×0.5cm浸潤径0.8cm 腫瘍の細胞グレード1 核異型グレード1 ER陽性90〜100% PgR陽性40〜50%でホルモン反応ありでした。 ハーツ1+ 脈管侵襲:陰性 血管侵襲V:陰性 腋かリンパ節転移個数0個でした。全摘でわかったのですが、他に2つ癌がありました。0.3×0.2cmのLCISと、0.2pのDCISです。そこで、ホルモン療法をするか、又は無治療という選択肢を与えられました。生理が二ヶ月ぐらいきていないので、注射でホルモンの状態を検査しました。まだ結果はわかっていませんが、それによりtamaoxifenのみになるかもしれません。子宮筋腫が5年位は少し小さくなり、3cm未満位です。出来れば、子宮がんの心配をしながら治療するより無治療でいきたいのですが、迷っています。年齢42歳です。あと食べ物なのですが、乳製品、ヨーグルト、大豆食品は控えたほうがいいのですか? よろしくお願いします。

御質問どうもありがとうございます。乳房全摘を選ばれたのですね。結果的に、超早期の乳がんも他に発見されて、正しい選択であったと思います。さて、8mmの浸潤がんに対する追加治療ですが、もし非浸潤がんのみであれば追加治療は必要なかったと思います。しかし、浸潤がんが見つかったことからホルモン治療はおこなった方が良いと思います。原則は、卵巣機能抑制の注射2年と、内服タモキシフェン5年間になると思います。無治療にするかどうかは、はじめてみてつらければそういう選択肢を選ばれてもよいとは思います。よく先生とご相談くださいね。食事は気になさらなくて結構です。また御質問をお待ちしています。(文責 高橋)

 

No.9894-1】  10年10月16日   J.M. 
術後治療について

左乳房の温存法手術を終え 約一ヵ月が経つ65歳の女性です。この相談室を見て、早速お尋ねさせていただきますが、よろしくお願いいたします。
術後三週間が経った先日、病理検査の結果を主治医の先生からお聞きしたばかりです。

「大きさ・・・1.6センチ ステージ・・・1 センチネル生検により、リンパ節転移なし  組織グレード・・・3 脈管侵襲・・・血管リンパともに0  ホルモン感受性に高い反応あり(ホルモン治療に期待あり) ハーセプチン反応+ (ハーセプチン治療効くタイプ)」 という以上の結果から提案された今後の治療方法は

1) 化学療法(抗がん剤FECを三週間おきに4回+DOC三週間おきに4回・・・計8回、その後、すぐハーセプチン投与を一年間
2) 放射線治療・・(抗がん剤投与終了後5週間)
3) 内分泌治療(ホルモン剤の内服をハーセプチンと同時に始める)

病巣も小さく、初期の発見で(定期健診でたまたま発見したのです)安心していたのに 、顔つきの悪いガンだということで、これ程過酷で沢山のことをしないといけないとは・・・。正直ショックでした。主婦業ではなく社会的に仕事をしているので、脱毛等、抗がん剤によるリスクを避けたいので、相談したところ「経口抗がん剤ならば脱毛の心配はありません。」と言うことでした。 経口抗がん剤とハーセプチンとの組み合わせで、果たしてどれくらいの効果が出るか、まだデーターが出ていないので、効果のほどははっきりは申し上げられないとの事でした。脱毛しなくても効果がないなら無駄なような気もします。かといって、今後放射線治療とホルモン剤投与だけで良いものかどうか・・・。またハーセプチンの単独治療を加えるのはいかがでしょうか? それと脱毛しない点滴の抗がん剤もないのでしょうか? 経口抗がん剤とハーセプチンの組み合わせ、やらないよりは ましだろうという気持ちでするにしては、これも長期にわたるリスクの多い治療ですし、本当に悩んでいます。
点滴抗がん剤を経口抗がん剤に替え、ハーセプチンと組み合わせた場合、はっきりしたデーターが無いまでも、大体どれくらいの%で再発リスクを抑えることが出来ると思われますか? 個人的意見で結構ですので、率直な意見をお聞かせ願えないでしょうか?

ご相談どうもありがとうございます。たくさん不安がでてきていまいましたね。少しでもお力になれましたら幸いです。
確かに手術前には、初期の発見と言われていたのに、術後に治療法の追加があると心配になってしまいますよね。おっしゃるとおり、経口抗がん剤とハーセプチン併用の効果を証明できた研究は、まだありません。副作用がつらくても、今の標準的な治療は、先生のおっしゃるとおりですからね。どうしても、内服抗がん剤がよろしければ、データのない状態での治療となってしまいます。抗がん剤の副作用と闘いながら、お仕事をなさっているかたもいらっしゃいます。先生ともう一度ご相談くださいね。おわかりにならなければ、またご相談くださいね。(文責 高橋)

 

No.9894-2】  11年01月13日   J.M. 
経口抗がん剤、ホルモン剤と飲酒について

昨年9894でご質問させていただいた65歳の女性です。その後猛烈に悩んだ末、結局 先生ご提案の標準的治療である点滴抗がん剤を経口抗がん剤服用に変更していただきました(どうしても脱毛を受け入れがたかった私のわがままからです)。ただし、ホルモン受容体が非常に強いという事、Her2が+3という事から、放射線25回終了後は、フェマーラとユーエフティを毎日服用しながら、三週間に一回ハーセプチン治療を受けています。これらを服用し始めてまだ一ヵ月ではありますが(ハーセプチンは一回目が終了)、副作用らしいものは全く自覚していません。それとも副作用というのは今から始まるのでしょうか?
今回のご質問なのですが、仕事柄、飲酒機会が多いのです。これらの薬を服用するようになって、アルコールは控えるようにしていますが、それでも全くと言うわけにも行かず非常に苦慮しています。経口抗がん剤とホルモン剤を二つ服用していて、飲酒は大丈夫でしょうか? 酒量は一日置き、日本酒に例えれば一合程度ですが、これぐらいでも駄目なのではないかと心配です。今までの経過から主治医の先生には非常に聞きづらく、お尋ねするしだいです。どうかよろしくお願いいたします。

前回のご相談の答えは小生ではないのですが、術後治療として開始された由、完遂され効果があるることを期待します。また副作用は、短期のものは出なかったようですが、長期にわたるとなにがしかの症状が出る場合が有りますので、今後も主治医の先生とご相談なさって投与を続けてください。
抗癌剤やホルモン治療薬投与中のアルコールに関しては、基本的には問題ありません。抗癌剤の中にはアルコールで溶解して点滴しているものも有り、アルコールに弱い人に投与しづらい場合すら有ります。ただし、飲酒は適量に制限されることをお勧めします。(文責 久保内)

 

No.9894-3】  11年09月11日   J.M. 
腫瘍マーカー

以前二度質問させていただいたものです(9894-1/9894-2)。いつもこのサイトを見させていただき、大変参考になりありがたく思っています。
今回の質問ですが、先日術後一年経過という事で、血液検査、CT,骨シンチを行いました。主治医の先生からは、「転移は今のところありません」という結果報告で、あまり詳しくおっしゃらないのですが、家に帰り、血液検査表を見て大変気になったことがあり、ご質問させていただきました。CEAが、今年1月が3.2 2月が3.0 今回8月が3.2でした(正常値5)。素人の私が不審なのは、術前の昨年8月の検査では、CEA2.8と、今より低かったのです。 なお、CA15-3は、今年1月から同じく6.5 翌2月が急に7.9 そして今回8月末日が9.4と推移しています(正常値28.0)。このCA15-3も、術前のほうが7.0と、今より低いのです。それで私の疑問と質問ですが、手術前のいわゆる癌組織が体内にあるときのほうが、癌を取り除いた後より、マーカー数値が低かったのはなぜでしょうか? いずれの数値も正常値より低いのに、れっきとした乳がんであったという事にもまず単純な疑問を持ちます。それから、この一年の数値表を見ても、CEAが術前より上がっている。CA15-3にいたっては、術前7.0で、今は9.4と確実にかなり上がっています。それもわずか7ヶ月の間に6.5から9.4も上がってるのですが、これで転移はないと言えるのでしょうか? 私的には、数値そのものの値より、術前に比べ術後もそして治療開始後も、このように徐々に数値が上がって来ていることが、とても不安で、いたたまれません。次回主治医にお会いするまで3週間ありますが、この間も心配でたまらず、こうしてご相談させていただきました。現在朝晩UFT、毎朝フェマーラの服用、3週間置きのハーセプチンと、きちんと決められた治療をこなしているつもりですが、この結果から行くと 治療は効果を上げてないのでしょうか? (心配の一つには、私の選択で、放射線治療はしましたが、抗がん剤はしていません) 本当にいつも色々ご相談させていただき感謝申し上げております。何卒よろしくお願いいたします。

CEA, CA15-3等の乳癌の腫瘍マーカーの値は、がん細胞の量に応じて鋭敏に動くものではありません。再発後のように腫瘍量が相当多い時の変動はある程度あてになりますが、手術前、手術後のように腫瘍量が少ない時の値の変動は、あまりあてになりません。ですから、手術後のfollow upのガイドラインでは、定期的な腫瘍マーカーの採血は推奨されていません。基準値(正常値ではありません)内の値の変動は測定誤差と考えられます。ですから、手術前の腫瘍マーカーの値が手術後の腫瘍マーカーの値より低いという現象も決して珍しい事ではありません。腫瘍マーカーの値にあまり振り回されないようにしてください。(文責 清水)

 

No.9893-1】  10年10月16日   K
肺転移ではないかと大変心配に思います

39歳の時に、右乳房に1.2センチの乳がんが見つかり、病理検査の結果トリプルネガティブと診断されました。ステージ1で、リンパ転移なしとの結果でした。その後、放射線治療・抗がん剤CEFを白血球が下がった為、八掛けで七回投与しました。その後は検診のみで、術後一年検診で 肺のろっ骨のところに小さな腫瘍が見つかり再検査したところ、主治医が軟骨と診断したが、その三ヶ月後の検診で腫瘍が少し大きくなっていました。この5ヶ月間で肺腫瘍も少し大きくなり、肺転移ではないかと大変心配に思います。腫瘍は手術で取除くことになっていますが、もし肺転移だとしたら、次の抗がん剤が効いてるかどうかの目安がわからない為、不安なんですが・・・。

御質問どうもありがとうございます。乳がん手術後に、肺にしこりが見つかってしまったのですね。不安な気持ちでいっぱいだと思います。ただ、今は本当の正体がわからないので、まず手術で病気を摘出し、効果の期待できる薬を調査するところから始めましょう。ご不安は強いと思います。でも、あわてず一歩ずつ確認しながら進んでいきましょうね。またいつでもご相談を、お待ちしています。(文責 高橋)

 

No.9893-2】  10年10月23日   K
トリプルネガティブ

昨日は、お忙しい中、ご相談・ご回答いただきありがとうございました。昨日のメール案内通り、ステージ1、リンパ転移なし グレード2、再発率中リスク・トリプルネガティブです。術後1年検診で肺に腫瘍が1つ見つかり、大きくなった経過もあり、11月中旬頃、手術予定です。その後、先日の検診で、首左右に2つの腫瘍が発見され、検査の結果待ちの状態であり、もしこれが乳ガンからの転移であるならば、肺の腫瘍も同様に乳ガンの転移である確率がたかいでしょうか? 又、反対側の乳房にも少し異常が見られ、経過観察であり、体中に転移してるかと心配です。首の腫瘍が乳ガンからの転移であれば、肺の手術はやめて、すぐに抗癌済治療をすべきか? 肺の手術を行えば、抗癌済は体に負担がかかる為すぐには治療できないとの医師の判断であり、体中にガン細胞がひろがり、又骨まで進行しないか、トリプルネガティブゆえに大変心配です。トリプルネガティブに効く薬・抗癌済はあるのでしょうか? 

まず首の腫瘍が乳がんの転移であるとの診断となれば、トリプルネガティブとのことですので、治療を行うのであれば、化学療法を施行するべきであると思われます。肺の腫瘍に関しては画像も見ておらず意見を述べにくいですが、肺原発の(新たに肺に生じた)腫瘍の可能性もあると思われますので、手術がお受けいただける状態ならば腫瘍を摘出して、どのような腫瘤かをはっきりしたほうが、今後の治療方針が立てやすいと考えます。現時点では特にトリプルネガティブに効く抗癌剤というのは使用されておらず、通常乳癌に用いる抗癌剤を使用することとなります。(文責 谷)

 

No.9892-1】  10年10月14日   H.M
炎症性乳がんの治療について

乳がんの妻についてお伺いします。昨年、検診で乳がんが見つかり、その後の検査で炎症性乳ガンの診断との診断でした。抗がん剤治療(AC+T)を半年ほど行い、6月に乳房切除術(リンパ節も取り、リンパ節に転移していました)を受け、8月からホルモン療法(リュープリン)を行っています。手術後3か月のCT検査で、手術した部分の近くに腫瘍が見つかり(大きさ2cm弱)、放射線治療を行う予定です。妻は38歳閉経前、2人子供がいます。
病理検査結果は、HER2陰性、核異性度(グレ−ド?)は2、HRとPR陽性、摘出腫瘍の大きさは2cm×2cm×3cm、リンパ節転移ありとの事でした。

1) 手術後3か月で2cm弱の大きさに成長するのは、とても速いと思うのですが、特別なのでしょうか?
2) あらたな腫瘍が見つかってから、左上腕部や腋の下が痛い(鈍痛?疼痛?)があるようです。主治医の先生は腫瘍の影響ではないとの事ですが、とても気になります。検査時には見られなかった腫瘍の増大(さらに転移)の可能性は考えられるでしょうか? 抗癌剤治療は放射線治療の後ですが、それでは遅いということはないでしょうか?

本人がとても気にしているので、何とかしてあげたいと思うのですが・・・。何卒よろしくお願いいたします。

御質問どうもありがとうございます。炎症性乳がんの治療に関する御質問ですね。炎症性乳がんは、手術や抗がん剤、ホルモン治療、さらには放射線治療も併用し、治療していくことが大切です。

1) それでも再発率がとても高いのが炎症性乳がんの特徴です。再発の理由は切除した部位の皮膚に一部がん細胞が残りやすいことによります。そこから再発してくるのです。また短期間で大きくなってくる可能性もあります。ですから奥様の乳がんが特別成長が早いとは言えないと思います。
2) 左上腕部や脇の下の痛みは、リンパ節郭清による神経痛の可能性はあります。安定剤などで改善することもありますので主治医の先生にご相談してみてくださいね。抗がん剤治療や放射線治療は順番におこなっていくことが大切です。あせらずにひとつひとつ順番に治療をしていきましょう。

旦那様とともに私たちも奥様を支えていけたら幸いです。また何かございましたら、いつでもご相談くださいませ。今後ともよろしくお願い申し上げます。(文責 高橋)

 

No.9892-2】  10年11月29日   H.M
病理検査と抗がん剤の効果について

ご丁寧なご回答ありがとうございました。また、私どもへのお心遣い本当にありがとうございます。放射線治療も無事に終了し、手術の傷付近にあったしこりが消失しました。鎖骨下付近の腫瘍についてはCTでの検査をしていないので分かりませんが、良い方向に向かっていると信じております。今後は、経口抗癌剤を服用していくことになりそうです。先日、インターネットで検索していたら、乳がんの病理検査と抗がん剤の効果について、次のようなの記述がありました。
 Her2陽性 アントラサイクリン系 有効
 Her2陰性 アントラサイクリン系 大半無効
 Her2陰性・ホルモンプレセプタ−陽性 タキサン系有効
 Her2陰性・ホルモンプレセプタ−陰性 タキサン系 多くは無効
  http://2nd-opinion.jp/index2.htm

妻は病理検査の結果はHer2陰性、ホルモンプレセプタ−陽性でした。 抗がん剤の効果はアントラサイクリン系有効、タキサン系無効?(3クールで腫瘍増大)でした。術後リュープリンを注射していますが、3か月で再発しホルモン療法の効果があまりないのでしょうか・・・? インタ−ネットの情報と治療の効果などを組み合わせると、もしかしたら病理検査結果に不備があったのでは?と不安になってしまいます。病理検査でHer2陽性と陰性の結果が入れ替わるような事があるでしょうか? 陽性ならば、ハーセプチンなどの抗がん剤も使用できるとの事でしたが、陰性なので使えません。トリプルネガティブならば、白金製剤が有効とも聞きました。少しでも長く、元気に過ごしてもらいたいのであまり余計な心配は避けたいのですが、どうにも気になってしまい、再度質問させていただきました。何卒よろしくお願いいたします。

腫瘍の部位や検査方法の違いで、Her2の病理検査結果がかわることは有り得ます。病理組織型、Her2,ホルモンリセプターなどの状況で、その腫瘍に合った有効な薬剤がある程度推察されるようになりました。この予測に基づいて、奏効しそうな療法から選択していくわけです。(文責 石川)

 

No.9891】  10年10月14日   E
肺や骨転移は痛みはないのでしょうか?

2年半前に左乳房温存手術をしました。がんは3×5センチ、グレードUa。術後放射線治療をし、その後ゾラテックスを2年間やり、そのあとフェマーラを服用しています。半年前くらいから左の肺のあたりが痛く、特に肋骨の1番下の近くが痛く、押すとかなり痛いのですが、先生は、「肺や肋骨は転移しても痛みはないから、更年期障害かフェマーラの副作用だ。」といって、とりあってくださいません。肺や骨転移は痛みはないのでしょうか? CT検査は2年前にやったきりですが、やってみたほうがいいでしょうか?    

ご相談どうもありがとうございます。骨の転移は痛みで見つかることが多いです。ですから、肺の転移は痛くないけど、骨の転移は痛いです。先生がとりあってくださらないのですね。どういたしましょうか。整形外科を受診し、MRI検査や骨シンチグラムをやっていただきましょうか。痛みも痛み止めで抑えていただきたいと思います。もう一度先生に痛みのことをご相談し、整形外科受診をお願いしてみてくださいね。それが解決の第一歩かもしれません。またご相談くださいね。(文責 高橋)

 

No.9890-1】  10年10月14日   C
再発率、生存率

いつもありがとうございます。38才。今年8月に左乳房全摘手術をしました 治療計画は、抗ガン剤半年(アブラキサン3ヵ月+CEF3ヶ月)後、ハーセプチン一年、そのあとノルバデックス5年の予定です。病理結果はm腫瘍3.8×3×2.5センチ、invasive ductal carcinomia 硬癌、 核グレード1(核異形スコア2核分裂スコア1 1/10)、ER8 PGR4 allred、 ハーツー陽性2(フィシュで陽性)、リンパ節転移2/10 (SNB1/1 レベル1 1/7 レベル2 0/3) 波及度 g f ly+ v− 。リンパ節転移やハーツー陽性などの悪因子があるので厳しい状況だと思っています 。

1) 無治療の場合の再発率と、抗ガン剤ハーセプチンホルモン治療をした場合の上乗せ効果はどのくらいになるか、計算していただけませんか? 10年無病再発率はどのくらいでしょうか。
2) ハーツー2で陽性は、3+よりハーセプチンの効果が低いという情報をみたのですが、どうなのでしょうか?
3) 私の場合、低中高リスク分類では、やはり高リスク群に入るのでしょうか?
4) ホルモン陽性は抗ガン剤が効きにくいようですか、私もそうなのでしょうか?

よろしくお願いします。

御質問どうもありがとうございます。手術が終わったばかりで、次の治療に向けてご心配ですよね。少しでもお力になれましたら幸いです。
1) Adjuvant Onlineで計算いたしました。無治療の場合の再発率は51%です。ホルモン治療により35%の再発率へ改善(上乗せ16%)、抗がん剤により36%の再発率へ改善(上乗せ15%)、併用では24%の再発率に抑えられます(上乗せ27%)。10年無病生存率は無治療では48%です。上乗せ効果を考えると、ホルモンと抗がん剤の併用で10年無病生存率は75%へ改善いたします。がんばったら効果が得られるのですね!
2) ハーツー陽性に変わりはありません。
3) リンパ節転移1~3個陽性で、ハーツー陽性ですので高リスクになります。
4) お伝えしたとおり、抗がん剤もホルモン治療も有効であるとお考えくださいね。

それではまた治療がはじまって、ご相談がございましたらいつでもおいでくださいね。(文責 高橋)

 

No.9890-2】  10年10月19日   C
ハーセプチン上乗せ効果

HPNo.9890でお世話になりました。治療により生存率がだいぶ上がることが分かり、治療を頑張る励みとなりました。ありがとうございました。あともう2つだけ質問させて下さい。
1) ホルモン治療+抗がん剤の上乗せ効果がかなり期待できるようで、安心しました。私の場合、ハーセプチンも一年するのですが、そちらの上乗せ効果はどの位なのでしょうか? 10年無病生存率75%ということでしたが、それよりよくなりますか? それとも75%に入っているのでしょうか? もし10年分のそのようなデータがない場合、先生の分かる範囲でいいので、教えていただけませんか?
2) 再発率とは局所再発と遠隔転移の両方が含まれると過去の解答にありましたが、 例えば再発率20%と出た場合、命に関わる治癒の望めない再発とは、この中でどの位を占めるのでしょうか?

何度もすみません。よろしくお願いします。

1)ハーセプチンは再発率を半減させます。ですから、10年再発率25%を約12%に半減させると考えます。これは理論上の数字であり、そのように考えてください、という考え方です。
2)再計算いたしますと、無治療の場合の10年後の死亡率は26%となります。再発した方の半数が亡くなっていることになります。

以上は、あくまでも過去のデータをもとにした数字です。これをご参考になさって、より良い治療を主治医の先生とともにお決めになってくださいね。またご相談くださいませ。今後ともよろしくお願い申し上げます。(文責 高橋)

 

No.9889】  10年10月12日   AYY
フェマーラと骨粗鬆症(HPNo.4438-3)

2009年にHPNo.8695でご相談させていただいた者です。その節はありがとうございました。術後5年となった2009年7月よりフェマーラを服用開始し、1年がたちました。間接痛などは特にありません。骨密度が低いためボナロン錠を服用中ですが、念のため7月に骨密度を計ってもらったところ、骨密度(Tスコア)がマイナス3.5になっていました。(2009年フェマーラ服用開始時はマイナス2.8/ 2010年1月はマイナス2.6でした。) 骨粗鬆症のリスクが心配です。このままボナロン錠を服用しながらフェマーラを続けてよいものでしょうか。2Aで、リンパ節転移はありません。アドバイスをお願いいたします。

続けてもよいと思いますが、手術結果から考慮すると、再発率の差はそれほど大きくありません。副作用のリスクが御心配であれば、中止も選択肢の一つになるでしょう。(文責 加藤)

 

No.9888】  10年10月12日   C.Y. 
潜在性乳がんの姉について

乳がん(潜在性乳がん)の姉の事に関して、相談させて頂きますが、どうぞよろしくお願い致します。
去年、左脇にしこりを感じ、検査。潜在性乳がんの告知後、リンパ節10個摘出。病理検査、ステージU。その後、抗癌剤点滴エピルビシン(三週間に一回)・内服エンドキサン(二週間飲んで一週休み)×6回。終了後から一ヶ月後、抗癌剤点滴タキソテール×6回。終了後、二ヶ月経ってホルモン療法が始まる。アルミデックス一日一錠(夕食後)。この副作用なのか、全身に痒みの伴う発疹が出る。たまたま、一日飲み忘れた翌日に発疹が治まっていたため、病院に連絡して休薬を許可してもらう(内服から二ヶ月過ぎ頃)。その後の診察日に、主治医ではない先生に診て頂いた時です。看護師さんから先生にきちんと伝言(休薬の件)してもらっているものと思っていたら、「治す気がないんですか?」と言われ、「もう、あなたには薬は出しません」と、話も聞かず、一方的に、しかも怒鳴られてしまったそうです。実は、その前の抗癌剤治療の途中に、CTを受けるように言われ、「副作用で体調が良くないのと、閉所恐怖症もあり、副作用だけでも少し治まってから受けたいのですが」と相談すると、許可してもらえなかったそうです。さらに、個室で看護師さんから『精神安定剤』を勧められたため、随分、誤解されていると思いながら、患者の気持ちに沿っていない医療に、多少の疑問を感じたそうです。

1) 上記の治療後、ホルモン療法を5年間。そして2年〜4年の間に強化療法×6ヶ月の計画だそうです。これは、標準治療なのでしょうか? 再発もしていないのに、抗癌剤治療を受けることに姉も私も疑問です。
2) 患者を診ないで病気ばかりを診る診療は、癌だからしょうがないのでしょうか? 全て任せるしかないのでしょうか?

姉は、今の病院と同じ治療方針であっても、患者に寄り添った病院であれば転院したい考えのようです。先生のお考えを是非お聞かせ頂きたいと思います。

1) 強化療法?の内容によりますが、抗がん剤治療だとすれば、標準から少し離れた治療となるかもしれません。
2) 相性もあると思いますが、疑問点を解決するためにもう一度担当医と相談なさってみてはいかがでしょうか?(文責 加藤)

 

No.9887-1】  10年10月12日   A
今後の治療について

47歳。今年7月に右胸(0期、非浸潤ガン、断端陰性、リンパ節転移なし)の温存手術を受け、その時受けたマンモトーム生検で、左胸にもガンがみつかりました。非浸潤ガンですが、「3箇所点在しているので、全摘になるが(皮膚は温存)、同時再建してはどうか?」という主治医の勧めで、形成外科もある病院を紹介していただきました。初めての乳腺外科の診察でノルバデックスを処方されたのですが、右胸の手術の時の主治医からは、「ホルモン療法も放射線療法も必要ないでしょう。」と聞いていたので、何か飲むことに抵抗があり、またこの先5年も飲み続けなければいけないという、私にとっては大変大きな治療なわけですが、その薬に対して何の説明もして頂けず、質問もできず仕舞いでした。いろいろ自分なりに調べてみたのですが、なかなか結論にたどり着けません。非浸潤ガンは摘出すれば再発率はゼロだから術後治療の必要もないという意見やら、放射線とホルモン治療はするべきだという意見もあったりで、素人の私にはまったくわかりません。再発は避けたいですが、副作用もかなりあったりするようなので、エビデンスを自分でちゃんと理解してから飲みたいのです。私のような症例では、何もしなければどれくらいの再発率なのでしょうか。またノルバデックスを服用すると、どれくらい再発率は下がるのでしょうか。放射線治療のことは先生からはまだきいておりませんが、もし受けるとしたらノルバデックスとの併用での再発率もお教えくださると助かります。どうぞよろしくお願い致します。

温存術後はノルバデックス服用により、放射線治療との併用で再発率が13%から8%へ減少したとの報告もあります。ただ実際の所、治療を追加するかどうかは手術結果や御年齢、治療の負担等を考慮した上での決定になります。全摘後はもちろん放射線治療の必要はなく、ノルバデックスの服用も一般的ではありません(対側の発生率は下がるとされています)。(文責 加藤)

 

No.9887-2】  10年11月18日   A
同時再建手術

二度目の質問になります。よろしくお願いします。前回【No.9887】で質問させてもらった者です。
10/18に左胸全摘とリンパ節郭清、後背筋皮弁法で同時再建手術を受けました。手術直後から左肩、腕の筋肉が麻痺というのか激しい痛みや突っ張り感があり、術後一週間は三角巾で固定されていたこともあり、左腕と左手指が動かしにくくなり生活に支障をきたすようになりました。今リハビリには通っています。手がしばらく上げづらくなることはわかっていましたが、まさかこんなことになるとは思ってもいなかったので、こんなことになるのなら同時再建なんて受けるんじゃなかったと後悔しています。執刀してくださった外科、形成外科の先生とも、「神経はさわってないから大丈夫です。」とおっしゃいますが、整形外科の先生は、手術の時に神経を損傷したのが原因かもしれないとの事。でも「神経は再生するので大丈夫ですよ。」と言われましたが、本当に元通りに治るのか不安です。お尋ねしたいのは、このような症状は後背筋皮弁法ではよく起こることなのでしょうか。形成の先生にお尋ねしてもはっきりした返事をしてくださらないのが現状です。どうぞお教えくださいますようお願いします。治療はホルモン療法のみ。抗がん剤治療などはしていません。

実際に診察をしないと判りませんが、上肢を一週間固定すると非常に痛みが強く関節が動かしにくくなる方がおり、元に戻るのに半年以上かかる人います。後背筋皮弁法の後は、上肢の固定は必須ですので 程度の差はありますが起こると思います。しかし記載されている様な程度の激しいのは稀だと思います。(文責 吉田)

 

No.9886】  10年10月12日   PP
ホルモン剤服用中のサプリメント

4年前温存手術をし、現在通院中(最近は6ヶ月毎)、フェマーラ服用3年2,3ヶ月目です。サプリメントとして、シナモン錠剤やにんにく錠剤を飲むのはいかがでしょうか? ホルモン剤使用中に弊害がありますか? TVで、にんにくを毎日食べるとががん細胞を減らすことや、シナモンが毛細血管や皮膚の若さを保つのにいい(一説でしょうが)と知りました。抗がん剤の副作用で足先の痺れがまだ少しあるので、気休め?でも試したいのですが・・・。診察が数ヶ月先なので、お聞きできれば助かります。どうかご意見をよろしくお願いいたします。

国立健康栄養研究所の「健康食品の素材情報データベース」によると、ニンニクの摂取量が多い人は、大腸癌、胃癌の発症リスクが低いという疫学調査研究が複数あります。しかし、経口摂取で乳癌や肺癌の予防に対しては、効果が認められないと示唆されています。サプリメントで摂取した場合の有効性については充分なデータはありません。
シナモンについても、癌に対する科学的文献情報はないようです。(文責 須田)

 

No.9885】  10年10月12日   F
ホルモン療法

ホルモン療法を始めて6年が経ちます。先日、鏡を見て驚きました。頭の形がわかるぐらいに、前髪が少なくなっているのです。よくよく見ると、針金のように太かった髪が、ものすごく細くなっています。これは、女性ホルモンを抑えているからでしょうか。(男性ホルモンが多い男性にみられる、前髪またはトップがなくなるのと同じ症状でしょうか。) 対症療法があれば教えてください。よろしくお願いいたします。

女性型脱毛症では、多くの場合、生え際は後退せずに軟毛化し、いわゆる薄毛や髪やせといった症状がみられます。一般には女性ホルモンの分泌が減少する更年期に進行が促進すると考えられていますが、加齢によるびまん性脱毛と区別が困難な場合もあります。貴女の場合は、ホルモン療法による影響も充分考えられます。再成長が医学的に証明されている薬にリアップがありますが、詳細につきましては、専門の皮膚科でご相談ください。(文責 須田)

 

No.9884-1】  10年10月12日   R 
病理検査について

初めてご相談させて頂きます。47歳主婦です。乳がん疑いにて9月12日に乳腺腫瘍摘出術で病理診断して頂きました。病理検査の結果を頂いたのですが、理解できないので解説をお願いいたします。

【病理診断・所見】
組織片は4分割。Tumorは結節性であり、大きさは12mm大。Micro.では線維増生した中にTumorCellの増生があり、その中心部に硝子化あり(gf)。Tumor cellは大小のNestを形成し、Solid patternやTubular patternもしくはCribriform patternを呈している。腫瘍細胞としては小型でMonotonousでありMitosisは少ない。一部で石灰沈着あり。又周囲浸潤とともにDuctal spreadあり。組織型はInvasive dactal carcinoma、solid-tubular carcinomaです。脈管浸潤は不明瞭。断端は一部でPositive?です。

【ER・PR・HER2判定】
ER:陽性:90% PR:陽性:80% HER2:2+(再検査) 組織型:Invasive ductal carcinoma with invasive micropapillary pattern.

以上宜しくお願いいたします。

病理検査結果を解説すると以下のようになります。

【病理診断・所見】
組織片は4分割しました。腫瘤は結節性であり、大きさは12mm大です。顕微鏡的には、線維の増生した中に腫瘤細胞の増生があり、その中心部に硝子化(変性)があります。腫瘤細胞は大小の巣(状の塊)を形成し、充実 性や管状、もしくは篩状を呈している。腫瘤細胞としては小型で単一的(細胞で構成されている)であり、癌細胞の悪性度は比較的低い。一部石灰沈着があり、周囲への浸潤と共に、乳管内進展がある。組織型分類では、浸潤性乳管癌、充実腺管癌です。脈管浸潤は不明瞭で、切除断端は一部、癌細胞が陽性?です。

【ER・PR・HER2判定】
エントロゲンレセプター 陽性90%、プロゲステロンレセプター 陽性80%、HER2:2+(再検査)(2回チェックしてあります)
ホルモン療法を行ったほうがよい。ハーセプチンも使用可能。  (文責 須田)

 

No.9884-2】  10年11月21日   R 
術後薬物治療について

【No.9884】でご相談させて頂いた者です。その節は有難うございました。勢いで乳房全摘しましたが、センチネルリンパ節生検で済んだ為、術後合併症もなく順調に回復しております。病理検査の結果が出揃いましたので、今後の薬物治療について改めてご相談させて頂きます。宜しくお願いいたします。

・閉経前 47歳 血縁者に乳がんなし  ・浸潤性乳管癌、充実腺管癌  ・腫瘍の大きさは12mm大 ・ Nuclear grade1 ・ Ly(-)、V(-)、pn(-) ・ Sentinelリンパ節や腋窩リンパ節転移なし ・ ER:陽性:90% PR:陽性:80%  ・ HER2(2+) → FISH法:判定(-) 増幅認められず ・ Ki67:13.8%   ・現病歴として IDDM があります。

主治医からは、術後薬物療法として「リュープリン+ノルバデックス」を勧められておりますが、IDDMがあるのでリュープリンに少し抵抗があります。それで、ホルモン療法しない場合、ノルバデックスのみ行う場合、主治医の勧め通りにリュープリン+ノルバデックスをする場合の再発・転移のリスクをアジュバントオンラインで計算をお願いできますでしょうか?
又、標準療法ではないようですが、以下の治療法も効果があるのではないかと思っております。
 1、UFTを2年間、ノルバデックスに併用する療法。
 2、ゾメタを5年間、ノルバデックスに半年毎に1回併用する療法。

先生の率直なご意見をお願い致します。

アジュバントオンラインではリュープリン+ノルバテックスのデータはありませんので計算できません。ちなみに無治療の場合の再発・転移のリスクは11%、ノルバテックスを行った場合は4.4%です。おそらくリュープリン+ノルバテックスであれば、これよりも1−2%再発のリスクは低くなるはずです。1は効果は閉経後に有効と思われます。2も良いと思いますが、ゾメタは骨転移のない場合は保険適応外です。(文責 吉田)

 

No.9883】  10年10月12日   H 
栄養補助食品

乳がん術後、胸膜転移、AC6回、現在ホルモン療法中(アロマシン)です。栄養補助食品で、免疫力をたかめるペプチド主要成分(+乳酸菌生産物質)を実母に勧められています。原宿クリニックかかわりなので大丈夫と言われますが、飲みあわせが心配です。大丈夫でしょうか?

健康食品に関するデータベースを作成する取り組みが、国立健康栄養研究所のホームページで行われつつありますが、補完代替医療の効果や、健康食品が他の薬の働きに影響を及ぼすかどうかを含めた安全性についてのデータは、まだないのが現状です。(文責 須田)

 

No.9882】  10年10月12日   Y
薬の副作用について

ホルモン療法5年間いたしました。現在乳がん定期検査では異常ありません。昨年から精神的な悩みがあり心療内科に受診。今回初めてパキシル錠5mg処方あり。徐々に増加予定。副作用の中に乳汁漏出とあり、心配です。ご意見、お願いいたします。

パキシルの副作用として、高プロラクチン血症があり、これによって乳汁漏出が起こることもあります。厚生労働省のH18年9月〜H21年2月の副作用情報の中に、乳房の硬結・乳房痛は含まれていますが、乳癌発生の報告はありません。しかし、長期に高プロラクチン血症が続くと、プロラクチンが乳癌の中等度から強度の独立したリスクファクターになるとの報告もみられますが、定期的に検査をしているようですので、過度な心配はなさらなくても良いと思います。(文責 須田)

 

No.9881】  10年10月12日   K.K. 
予後について(2)(HPNo.9876-2

情報不足で申し訳ありません。リンパ節転移の個数は4個です。温存手術後4年経過し、現在40歳です。術前術後化学療法、放射線、ノルバテックス服用中です。自分自身元気ですし、しっかり治療しているので、すぐに再発はないだろうとあまり気にしていませんでしたが、年数を重ねるほど不安になってきます。再発なく治癒と言える、20年越せる可能性はどのくらいありますか?

リンパ節転移の個数別の生存率についてですが、がん研付属病院の1990年以降のデータでは、10年生存率で、リンパ節転移なしの場合 89%、1〜3個で79%、4〜9個 58%、10個以上で36%となっています。あくまでも仮定で、参考になるかどうかわかりませんが、この表で、リンパ節転移4〜9個の生存率曲線を直線と考え、20年まで延長すると40%を示しました。あまり数値にとらわれることなく、前向きに日常生活を送ることが、いい結果につながるのではと思っています。がんばってください。(文責 須田)

 

No.9880】  10年10月12日   M
いくつか質問させてください

いつもありがとうございます。おかげさまで術後5年、ホルモン剤を5年飲み、現在無治療、薬を飲まずにいることが良いような悪いような、どうも不安な気持ちでいます。

1) センチネルリンパ節に転移があった場合、多くは化学療法をすることになるので、リンパ郭清はしなくなるかもしれないという話は、なるほどと思います。癌と診断されて、まだ理解が十分でない時期の患者に治療を選択させるのは、とても難しいことかと思いますが、現在もうすでにこのように進められているのでしょうか?
2) ki−67が50%ということを最近聞きました。ルミナルAで50%だと、高いと判断したほうが良いのでしょうか?
3) p53が(−)で、ki−67が50%の意味が、どう解釈したらよいのかよくわかりません。

勝手な質問ばかり申し訳ありません。よろしくお願いいたします。

1) センチネルリンパ節転移陽性の場合、リンパ節郭清が標準治療です。
2) ルミナルAは、一般的にER(+)PGR(+) HERU陰性で遺伝子をみると、他の腫瘍と比較すると、正常な乳腺組織に似ており、再発のリスクは低いとされています。また、他のタイプと比べると早期乳癌に多いタイプであるとされています。ki−67蛋白質は、細胞が増殖しない時には細胞核内に産生されず、増殖するときにのみ産生されるので、癌細胞の増殖度を示す指標になっています。ki−67 50は陽性値であり、従って、ルミナルAの中でも、増殖度が高い可能性がある癌ということになります。
3) p53抗体は、主に癌細胞に起こっているp53遺伝子の変異に対して、体内で作られる抗体量を測定するもので、比較的早期の癌で陽性になります。従って、p53抗体(-)であっても、p53遺伝子の変異が起こる癌以外の遺伝子変異で起こる癌については情報が得られませんので、癌が存在しないとはいえません。(文責 須田)

 

No.9879-1】  10年10月12日   S
病理検査の疑問と再発リスク

初めて投稿させていただきます。今からちょうど3年前に母がStageUAの乳がんと診断され、手術の後、抗がん剤タキソール使用、現在はホルモン療法を続けており、幸いにも再発や転移は見つかっていません。先日母と病理検査の結果を話していたのですが、病理検査の紙を誤って処分してしまったらしく、覚えている限りの情報を聞き出したところ、診断当時47歳、腫瘍は大きさ約2cm、リンパ節に転移が19分の1(恐らく1つ)、HER2は1+(陰性扱い)、ホルモン感受性は手術時陰性との診断だったが、後に「若干」の感受性があるということで、ホルモン療法可ということでした(陽性扱い?)。核悪性度は不明ですが、2か3だと思います。

1)HER2は陰性と陽性の場合で、無視できない予後の違いがあるのですか?
2)ホルモン感受性があまり無いということで、やはりホルモン療法の効果もあまり期待できないと考えられますか?
3)母の場合、10年生存率と、再発してしまう可能性は、どのくらいでしょうか。

術後3年目・今月下旬に検査が控えており、再発・転移のピークは2〜3年目だそうで、とても不安です。よろしければ、ご回答お願いいたします。

1) 乳癌の約1/4が HERU陽性です。HERU陽性の乳癌は、癌細胞が増殖するのに必要な物質を取り込む受容体が癌細胞膜にあり、ここをピンポイントで攻撃するので、癌以外の細胞には打撃を与えないという特徴があります。抗癌剤と一緒に使用すると、50%以上の患者さんに治療効果が認められます。また、癌の増殖に関与するので、HERU陰性の場合に比べて、陽性の方が悪性度が高いことがわかっています。
2) アロマターゼ阻害剤のレトロゾールは、少しでもホルモン感受性があれば効果が期待できると考えられています。
3) stage Uの10年生存率は約80%、また10年間で、およそ1/4の方にに再発が認められます。 (文責 須田)

 

No.9879-2】  10年10月19日   S
今後最適な治療を受けるために

HPNo.9879で質問させていただいたものです。今月21日に3年目の定期検査があるということで、また質問させていただきます。
1) センチネルリンパ節というものは腋の下のリンパ節とは全くの別物なのですか? それと、母の病理検査ではリンパ節転移は1/19とだけ書いてありましたが、それはセンチネルリンパという場所と腋の下をまとめて、全部で1/19ということでよろしいのですか?
2) リンパ節転移は少数、HER2過剰発現無しで中間リスクということで間違いないですか?
3) 最後に、前回の質問で病期ごとの10年生存率、再発率を教えていただきましたが、後にadjuvant onlineというサイトを知り、調べようと思ったのですが、恥ずかしながら使い方がわかりませんでした。そこで、adjuvant onlineにて母の10年生存率と再発率を計算していただけないでしょうか? 以下は、わかる限りの病理の結果です。
手術当時47歳、ステージUa、腫瘍約2cm、リンパ節転移1/19、ホルモン感受性 弱陽性(ERなどの詳細は不明)、HER2 1+ 核悪性度 不明、術後療法として抗がん剤タキソール、ホルモン療法でノルバデックス服用中です。

お手数おかけして申し訳ありませんが、ご回答お願い致します。

ご相談どうもありがとうございます。御参考になさってくださいませ。
1)センチネルリンパ節は腋の下のリンパ節の中で、がんが初めて流れ込むであろうリンパ節です。これを、手術中に色素などを用いて調べて、その中にがん細胞がいないかどうかを調べるのです。通常は、がん細胞の存在したセンチネルリンパ節以外のリンパ節で病理検査の結果は届くと思います。これは施設によって異なるかもしれませんので、先生にご確認くださいませ。
2)中間リスクで良いと思われます。
3)核グレード不明ですと曖昧な数字になります。無治療の場合には、10年生存率79%、10年死亡率18%です。ホルモン治療単独により、10年生存率85%へ、抗がん剤治療単独により10年生存率84%へ、両者併用により10年生存率88%へ改善します。無治療の場合の10年再発率は39%です。ホルモン治療により10年再発率は26%へ、抗がん剤治療により10年再発率は27%へ、両者併用により10年再発率は18%へと改善します。

以上、ご不安はつきないと思いますが、今の治療を信じて頑張ってくださるようにお伝えくださいませ。また何かございましたらおいでくださいませ。(文責 高橋)

 

No.9879-3】  10年10月25日   S
再発という可能性はありますか?

HPNo.9879で質問したものです。前回の質問では、ご回答ありがとうございました。前回からすぐの質問で恐縮ですが、母の検査で気になることがありましたので、再度質問させて頂きます。21日、母が3年目の定期検査で超音波検査を受けていたときのこと。検査技師の方が、母の右腋の下のリンパ節郭清した傷跡周辺に「出っ張りみたいなものは無い?」と聞いてきて、母が触っても特にそんなものは感じなかったらしく、技師の方も「傷のところだからかな…」と、不思議そうに言っていたそうです。検査の合間に帰宅し、そんなことがあったと私に話してくれました。私もその郭清部分を触ってみましたが、特に出っ張りというようなものは感じられません。術後放射線治療はしませんでした。

1) 腫れのような症状も全く無いそうなのですが、この様な場合は腋窩リンパ節への再発という可能性はありますか? 再発ではないとすると、他に原因は考えられますか?
2) これがもし実際に再発だったとしたら、局所再発で、治療が可能で予後に影響はないのですか? それとも遠隔転移になり、末期となってしまうのでしょうか?

今までなかったことなので、母は不安そうにしていました。私もとても不安です。情報が少ないのですが、よろしくお願い致します。

1) リンパ節郭清後の腋窩の超音波検査は、手術の瘢痕など手術の影響による変化も見受けられるため、判断が難しいことがしばしばあります。もちろん再発の可能性を考えて検査をされているわけですので、直接拝見していない私が再発である可能性を否定はできません。
2) case by caseであると思いますが、腋窩リンパ節に局所再発したものの他の部位に転移が認められない場合は、再度そのリンパ節を摘出することも有力な選択肢になります。その場合は治癒が十分に望めると思います。(文責 谷)

 

No.9879-4】  10年11月29日   S
母の乳癌について

No.9879で質問した者です。今月22日に母の乳がんで3年目終了・4年目スタートの検査があり、幸い結果は異常なし。2〜3年の再発ピークを過ぎたことで、ひとまず安心しましたが、新たに疑問が出ましたので質問させていただきます。前回の質問でエコー検査時、腋窩に「出っ張り」があると技師に言われましたが、傷跡の変形でしょうとの診断でした。MRIで背骨にも変形がみられましたが、何度かギックリ腰をやった場所で、それと年齢が原因で、いずれもがんとは関係ないということでした。以下が質問です。

1) 術後何年か経ち、今になって傷跡や骨の変形が見られるのは、将来、転移や再発など良くないことが起こる前兆であったりするのでしょうか?
2) 腋窩リンパ節を郭清した後にその部位に再発するのは考えにくいと思うのですが、確率としてはどれくらいあるものなのでしょうか。
3) 術後の抗がん剤治療は、リンパ節転移ありの症例では複数抗がん剤を用いるのがスタンダードのようですが、母はタキソールを毎週投与で半年間行ったそうなのです。一般的な意見としては、こういった治療は適切と言えるのでしょうか?


ご回答よろしくお願い致します。

1) 検査で問題がないので、術後の傷跡や骨の変形が転移や再発などの前兆である可能性はまずないと考えます。
2) 腋窩リンパ節郭清後の同部位再発は稀で、あっても数%以内と思われます。
3) タキソールだけの治療方法もあり、不適切とは言えないと思います。(文責 石川)

 

No.9879-5】  11年01月11日   S
母の乳癌について(2)

HPNo.9879で質問した者です。昨年の10月で3年目が終わり、現在4年目に入った母のことで、再度質問させていただきます。
1) 母のがんは発見時2cmだったのですが、どうやら発見する6〜7年ほど前から小豆ほどのしこりは認識していたそうなのです。一般的に、腫瘍が2cmに成長するのに6、7年かかるのは、進行が速いと考えるべきでしょうか?
2) 病理結果が、「腫瘍径…2cm、リンパ節転移…1/19、HER2…1+、核悪性度…不明、ホルモン感受性…微弱陽性(詳細は不明)」ですが、差し支えなければadjuvant onlineにて、この病理で核悪性度2と3では生存率・再発率にどれほど差が生じるのか、お調べいただけないでしょうか?

よろしくお願いいたします。

御相談ありがとうございます。ご質問に対してお返事させて頂きます。 

1)乳癌手術前の癌進行のスピードをご心配なさっておられるようですが、6〜7年前の自覚なさっていたしこりが今回の乳癌なのかは不明だと思います。また仮に乳癌であったとしても、そのスピードが速いか遅いかは、比較対象するものがはっきりしないため、不明としかお答えができません。
2)Adjuvant! Onlineでの再発や生存率ですが、これにはご本人の健康状態を入力する項目があり、ご質問の内容からでは正確にお返事することができません。またAdjuvant! Onlineの目的は、術後補助療法の治療を選択する際に、選択した治療がどの程度の効果をもたらすかの指標とするものであり、術後補助療法が終了して数年経過してから施行した治療の事を評価することは目的から外れると考えます。このようなお返事しかできず申し訳ございません。御母様の乳癌治療について多くの心配をお持ちのようですので、ぜひ御母様の診察にご一緒に行かれて、術前や術後の治療や今後のことなどを主治医の先生にご質問をして頂き、不安を解消されることをお勧め致します。また主治医の先生以外のご意見をお聞きになりたい場合は、セカンドオピニオンをお受け頂く事をお勧め致します。(文責 斎藤)

 

No.9879-6】  11年10月13日   S
定期検査

NO.9879で質問させていただいた者です。本日、母の乳がんの術後4年半定期検査の結果が出たのですが、どうも腑に落ちないことがありましたので質問させていただきます。
結果発表時、母が主治医とCT画像を見ていた(以前までは画像を見ることはなく、結果を聞くのみ)らしいのですが、CT画像に少し濃淡のある場所があったということで、主治医は「肝臓転移の初期はこんな感じだけどなぁ・・・」と言ったそうなのです。そこで、母がこれまでの検査時からずっと脂肪肝有りと診断されているというと、主治医は「ああ、じゃあこの影は脂肪肝だね。」と言い、結局検査結果は異常なしとなりました。しかし、このような診断では、本当は問題があるのに見落とされているのではないか・・・と、マイナスに考えざるを得ません。母に詳しく追及しても、癌のことを考えたくないらしく、全く取り合ってもらえません。今回も腫瘍マーカーはどちらも基準値を大きく下回っており、特に変化はないですが、CT検査では、脂肪肝と肝転移は写り方が似ているというような理由で、判断が難しかったり、見間違えたりすることなどあるのでしょうか? 4年半という時期に入って、このような問題が発生しとても不安です。よろしくお願いいたします。

ご不安なお気持ちなのですね。少しでもお力添えできましたら幸いです。確かに肝転移はCTだけでは判断が難しい場合がございます。その場合には、腹部エコーや肝臓造影MRIで判断いたします。一度先生にお願いしてみてはいかがでしょうか。ご不安は迅速に解決なさるのがよろしいかと存じます。応援しています。(文責 高橋)

 

No.9878】  10年10月12日   R.S. 
乳首の肥大、痒み

私は25歳、9歳の一児の母です。少し前から乳房に気になる症状が出始め、心配になり、こちらに投稿させていただきました。夏の終り頃に初めて右側の乳首の付け根が切れ、酷い痒みがありました。原因になるようなことに思い当たる節はなく、不思議に思っていましたが、しばらくしたら完治するだろうとほっといていました。すると、症状がある方の乳首が、左の乳首に比べ、明らかに肥大し、今では小指の先くらいあります。いじったり、掻いたりすると悪化すると思い、なるべく触れないようにしていたのに、未だに症状が良くなることはなく、1回は付け根の切れ目は治りかけていたように思えたのに再び付け根が切れ始めたり・・・。なぜですか? 場所が場所だけに恥ずかしくて誰にも相談できず、片側だけ肥大した乳首は不格好で、かなりショックです。病院に行って診てもらった方が良いのでしょうか? 完治すれば、肥大した乳首はもとに戻りますか?

直接診察していないので推察の域を出ませんが、おそらく乳輪部の湿疹等、皮膚科の病気ではないでしょうか。稀に乳頭、乳輪部の湿疹様の病変で、特殊な乳癌であるバジェット病であることがあります。不安を取り除くためにも、一度乳腺外科を受診してください。(文責 須田)

 

No.9877】  10年10月12日   M.S.
FUS(MRガイド下集束超音波治療)について

1cmほどの乳癌が見つかりました。温存手術を勧められています。色々な情報を見ていますと、宮崎のブレストピアで、超音波での治療に興味を持ちました。しかし、臨床試験の最中ということで、取り残し、再発などのデータがありません。その前の段階として、治療後に手術をし、治療の成績をみるという臨床試験は泡っています。29例で平均98.5%だったそうです。超音波で治療後、局所放射線治療を実施し、定期的にMRI検査を行って経過を見るそうです。標準治療でない上に、この病院以外の取り組みはないようです。また、1cmの浸潤がんで、あちこちと治療法を検討する余裕はあるのでしょうか。よろしくお願いします。

何ヶ月も放置するわけではないと思いますので、治療法を検討する時間的余裕はあると思います。納得のいく治療を受けることが大切ですので、乳癌の状態や特徴を知った上で、主治医とコミュニケーションをとりながら、最適な治療を選択してください。納得がいかなかったり、疑問が残ったりした場合は、セカンドオピニオンを求めることも選択肢の一つです。(文責 須田)

 

No.9876-1】  10年10月06日   K 
予後について

いつも参考にさせてもらっています。 予後についてですが、リンパ節転移ありの場合、再発なく治癒と言える20年経過できる割合は、どの位ありますか?

リンパ節転移の個数などにより予後が異なるため、何ともいえません。(文責 首藤)

 

No.9876-2】  10年10月12日   K 
予後について(2)

情報不足で申し訳ありません。リンパ節転移の個数は4個です。温存手術後4年経過し、現在40歳です。術前術後化学療法、放射線、ノルバテックス服用中です。自分自身元気ですし、しっかり治療しているので、すぐに再発はないだろうとあまり気にしていませんでしたが、年数を重ねるほど不安になってきます。再発なく治癒と言える、20年越せる可能性はどのくらいありますか?

リンパ節転移の個数別の生存率についてですが、がん研付属病院の1990年以降のデータでは、10年生存率で、リンパ節転移なしの場合 89%、1〜3個で79%、4〜9個 58%、10個以上で36%となっています。あくまでも仮定で、参考になるかどうかわかりませんが、この表で、リンパ節転移4〜9個の生存率曲線を直線と考え、20年まで延長すると40%を示しました。あまり数値にとらわれることなく、前向きに日常生活を送ることが、いい結果につながるのではと思っています。がんばってください。(文責 須田)

 

No.9875】  10年10月06日   Y 
水の袋について

数年前から、乳癌検診で、半年に一回定期検診に通っています。マンモグラフィーでポツポツと石灰化が見られ、エコー検査では水の袋みたいなのが何箇所かあるため、定期的に検査をしています。今回受診した所、一つ気になる物があると言われました。水の袋はエコーでは黒く見えるという事ですが、その中に白いものが見えると言われました。「多分、袋の大きさも変わってないし、良性でしょう。」と、言われました。経過は診ていかないといけないので、また半年後に来て下さいと言われました。今まで水の袋の中に白くうつる物があれば悪性の可能性があると言われてきたので、今回の事を不安に感じました。こういう状態で良性だというのは、珍しくないのでしょうか? 割とはっきりとした白でした。よろしくお願いいたします。

水の袋の内部が濃縮したりした場合に、超音波上白く反射することがあります。このような状態かもしれません。(文責 首藤)

 

No.9874】  10年10月06日   M 
乳がんの精密検査を受けました

2歳と5歳の子どもがおります。35歳の主婦です。1か月前に市の集団検診でエコー検査のみを受けました。右の乳房に1センチほどのしこり(充実性腫瘤像)がみつかり、カテゴリー3で、要精密となりました。先週、精密検査を総合病院の乳腺外科で受けました。通常のエコー、断層まで映るとかいう特殊なエコー、マンモグラフィ2方向の検査をした後に診察でした。診察では、マンモには、エコーでしこりがあった部分には石灰化やしこりといった症状は写っていないと言われました。でも、エコー像は良性とも悪性とも判断がつかないので、細胞診をすることになりました(形は楕円形でしたが、しこりのまわりが少しいびつだったようです)。そこで、初めて担当医が実際にエコーの機械を操作しました。他人の撮った写真では悪性度は半々だと思ったけど、自分で操作してみるともう少し悪性に見えるといわれました。また、しこりが硬くて、細胞が適量とれたかどうかわからないと言われました。細胞診の結果がきちんと出るかわからないので、30日に針生検をすることになりました。35歳という年齢、出産後2年から5年以内のガン発症は予後が悪いという情報を、ネットで知りました。まだ小さいわが子の成長を見届けられるのか、不安で不安で、気持ちが張り詰めています。前置きが長くなりましたが、質問です。

1)  二人の子供を2歳まで母乳で育てました。今回見つかった右側の乳房は、授乳中4,5回乳腺炎となり、ひどく腫れました。二人目断乳の時にも乳腺炎となりました。もう断乳して1年ほどたつのですが、そのしこりが今回エコーに写ったということは考えられますか?
2) もしも癌だったとしたら、初期といえますか?

乳腺炎との関係はないでしょう。1cmのしこりが乳癌だった場合、Stage I(病期 I期)である可能性は高いと思われます。(文責 首藤)

 

No.9873】  10年10月06日   Y.A
薬の飲み合わせについて

現在乳がんのホルモン療法として、タスオミン錠にゾラデックス注射を受けております。薬の副作用なのか、最近肩こり・関節痛・朝のこわばりがひどく、知り合いに相談したところ、「アリナミンが効く」と勧められ、早速購入して1回分(2錠)飲んでみました。飲んでしまってから薬の注意書きをよく読んでみたところ、「生理が予定より早くきたり、経血量がやや多くなったりすることがある」と書いてあり、せっかくのホルモン療法に影響が出てしまうのではと、心配になってきました。市販薬だから大した薬ではないだろうと、説明書を読む前に安易に飲んでしまったこと、後悔しています。ホルモン療法中に、このような薬を服用することは禁忌なのかどうか、ぜひお教え下さい。よろしくお願い致します。  

アリナミンはビタミン複合剤であり、基本的には大きな問題はないと思います。(文責 首藤)

 

No.9872】  10年10月06日   H.I. 
乳腺前がん病変について

私は現在74歳ですが、55歳の時、右腎がんで1991年に腎臓を摘出しました。その後、経過観察という事で時々泌尿器科の医師の指示で体躯CTの検査をしておりますが、本年8月5日に検査したCTの結果で、左腋窩のリンパ腺が3か所前回より大きくなっていました。乳腺のエコー検査で調べたらどうかとの指示があり、エコーで調べましたが写らず、マンモグラフティーで検査したところ、左:C領域に1cm大の腫瘤影(+)。そのあとMRIの検査で、大きさ約7×9mmの境界明瞭、辺縁平滑な楕円形の小腫瘤がありましたので、その後マンモトームで組織検査を行い、結果、「前癌病変異型上皮」との説明を受けました。半年後の3月にまた何かの検査をすることになって居りますが、私としては「前癌病変とか異型上皮」のリスクの意味が判らず、このままで癌に変化するのをみすみす待っていていいのだろうかと不安でなりません。インターネットで調べると、「前癌病変」イコール非浸潤性乳管癌とか、非浸潤性小葉癌と同意義のようなことにも取れる説明もあり、このまま何もしないで経過をみていていいものかどうか不安でなりません。主治医に対しては信頼感は持っておりますが、主治医に対し異議を唱える勇気も自信もなく、どうか御医師様の御意見を賜りたく、お願い申し上げます。尚、MMGとMRIの検査レポートを添付して送る用意はあります。

前癌病変ということは未だ癌になっていないわけですから、少なくとも腋窩のリンパ節が乳癌の転移であることはありませんし、非浸潤性乳管癌とも明らかに異なるものとお考えになって良いのではないでしょうか。しこりの大きさも1cm程度とさほど大きくないようですので、数ヶ月ごとに継続的に診察してもらうことが妥当でしょう。(文責 首藤)

 

No.9871-1】  10年09月30日   K
母が乳癌と診断されました

初めてご質問させていただきます。先日母が市の健診で要検査となり、針生検の結果、乳癌と診断されました。9ミリ程度のしこりと、近辺に4ミリ程度のものが多数あるとのことで、来月センチネルと、しこりが多数あることから全摘の予定です。最初4ミリのほうは、まだ小さすぎてわからないので経過観察で、という話だったのですが、念の為針がさせるようなら調べて下さいとお願いして、細胞診で何とか摂取できたところ、それもクラス5で悪性だったそうです。(お医者さまは境界もはっきりしているし、小さいポツポツあるものは乳腺症にも似ているので全部が全部癌とはいえないが、可能性はあるので全摘が望ましい。が、まだ小さいし、取り残してでも温存したいという方もいるので、判断はご自身で、というお話でした。)
9ミリの癌も4ミリの癌も非常に似たタイプとの事です。乳管を這うようにして進むタイプといわれました。今分かる範囲ですと、 ER+、HER2+2、顔つきグレード1で、比較的大人しいタイプだそうです。骨シンチ、CT、MRI、PETなどの転移はなく、腫瘍マーカーなども普通だそうです。これは多発性の乳癌なのでしょうか? 9ミリを原発として、乳管内進展して娘結節を作っている状態なのでしょうか? そうなると、リンパへ浸潤している可能性もでてくるのでしょうか? このタイプは再発などのリスク、グレード的にはどうでしょう? とりあえずエコーなどでリンパへの浸潤はなさそうという話だったので、安心していたのですが、なんだかややこしくなってきてしまい不安です。よろしくお願いします。

一つの連続した癌なのか、あるいは周囲に複数の独立した癌の集合なのかというところですが、基本的には切除して、全体を顕微鏡的に検索しないと分からないと思われます。メールの内容からは非浸潤癌が主体で、転移しにくいタイプではないかと推測されます。(文責 首藤)

 

No.9871-2】  10年12月26日   K
抗癌剤の必要性

以前9871ではお世話になり、ありがとうございました。以下前回ご質問させていただいた内容です。

先日母が市の健診で要検査となり、針生検の結果乳癌と診断されました。
9ミリ程度のしこりと近辺に4ミリ程度のものが多数あるとのことで来月センチネルとしこりが多数あることから全摘の予定です。
最初4ミリのほうは、まだ小さすぎてわからないので経過観察で、という話だったのですが、念の為細胞診で摂取したところそれもクラス5で悪性だったそうです。(お医者さまは境界もはっきりしているし、小さいポツポツあるものは乳腺症にも似ているので全部が全部癌とはいえないが、可能性はあるので全摘が望ましい。)9ミリの癌も4ミリの癌も非常に似たタイプとの事です。乳管を這うようにして進むタイプといわれました。今分かる範囲ですと、 ER+、HER2+2 顔つきグレード1で比較的大人しいタイプだそうです。骨シンチ CT MRI PET などの転移はなく、腫瘍マーカーなども普通だそうです。以上前回の内容です。

おかげさまで手術も無事終わり、先日病理の結果がでました。センチネルリンパ生検 2/2 でリンパ郭清しました。その後の手術ではレベルT 0/12 レベルU0/9という
ことでした。 「 乳頭線管がん 腫瘍計1.5×1.0 脈管侵襲は リンパ管+1 血管+1 ER全面?強陽性 PgR− HER2− 核グレード1 左乳房全摘」との結果でした。リンパに入っていたということで、抗がん剤は必須と思っていましたが、主治医の先生は、「ホルモンが非常に効くタイプなのと、結果から総合的に判断して、ホルモンだけの選択もあり。」と、おっしゃりました。ただ確実にしたいのであれば、抗がん剤をと言うお話でした。
できれば抗がん剤はやりたくありませんが、抗がん剤を使用した場合ホルモン療法単独と比べるとどのくらい再発、転移のリスクを下げられるのでしょうか? 母は現在60歳なので、やはり先を考えるとやっておいたほうが良いのでしょうか? 先生からは、ご自身で決めてきてくださいといわれており、悩んでおります。ご助言よろしくお願いいたします。

病理結果が、センチネルリンパ生検 2/2 でリンパ郭清しました。その後の手術ではレベルT 0/12 レベルU0/9という ことでした。 「 乳頭線管がん 腫瘍計1.5×1.0 脈管侵襲は リンパ管+1 血管+1 ER全面?強陽性  PgR− HER2− 核グレード1」で、気になるのが脈管侵襲リンパ管+1 血管+1です。確かに腫瘍径も小さく、ERはほぼ100%陽性の結果だけみればホルモン治療だけでも良いとおもいますが、脈管侵襲リンパ管+1 血管+1であれば、抗癌剤をお勧めします。 脈管侵襲陽性の乳癌は再発、転移の確立が多少なりとも上がってくるので、それを抑えるためにも抗癌剤をお受けになった方がよいのではないかと考えます。抗癌剤の種類は多数有り、それに関しては主治医とご相談してください。(文責 川本)

 

No.9870】  10年09月30日   M 
ようやく入院が決まりました

8/2に初めて相談させて頂いた者です。 7月に実母がお医者様から「しこりの大きさは1センチくらいで、今のところリンパへの転移はしていない。転移し重篤な人から手術は優先なので、とりあえず手術は10月過ぎに」と言われたそうで、その後、8月中にMRIとCTを受けただけで進展はなく、ようやく10/2に入院が決まりました。大病院なので3ヶ月も待たされる事もあるのかと思いますが、最近、左の腕が少し痺れる事があるそうで不安でなりません。リンパに転移はしていないと言われてはいたものの、長く待たされている間に悪化したのではないかと心配で心配で・・・。どうぞ宜しくお願い致します。

メールの内容からは、3ヶ月で急激に悪化する状況ではなさそうです。気をしっかり持ってお母様を支えてあげてください。(文責 首藤)

 

No.9869】  10年09月30日   Y 
再発後の治療について

去年再発後の化学治療で辛い時期にご相談し、ご助言をいただいた海外居住者68歳 です。その節は有難うございました。今回HPNo..9863へのご回答に関しお尋ねします。昨年のタキソテールで胸骨上のしこり、鎖骨、腋下のリンパの腫れは消滅し、気がつくと、思いがけず長年悩まされていたリンパ浮腫まで消えています。8月のCT検査でも変化は見られなかったのですが、最近鎖骨下5cm、手術跡に近い胸骨がわずかに盛り上がっているのが、指にふれるようになりました。シャワーの後、その近辺が赤くなります。気のせいかしらと迷っていたところ、9863を拝読し、再発では早期発見してもその後の治療に特に影響がない、様子を見てから診察を受けても遅くはない、と理解しました。ただ、気になりますので、今回また再発であった場合の治療について助言いただけますと幸いです。

1) 2008年5月の胸骨の再発手術後、アリミデックスからフェマール服用中にまた再発。2009年タキソテール、12月よりタモキシフェン服用中です。もしやの場合、今後の治療は何が考えられるでしょうか? 2008年の再発も胸骨が盛り上がったのですが痛みがなく、骨転移ではないとされました。今回も痛みはありません。
2) CT検査でも腫瘍が1cmくらいにならないと映像に出ないと聞いています。疑われれば超音波、細胞検査ですが、現段階でCT以外にどの検査が考えられるでしょうか。骨やリンパについてCTの検査の効能はどのようなものでしょうか。腫瘍マーカーの検査はなく、受けておりません。
3) CTは3ヵ月ごとに受けて2年半近くになりますが、最近になって造影剤注入後数秒ですがショックの感覚があり、怖くなっています。次回注意すべきことはありますか。なお初発は1998年、温存手術と放射線治療を受けました。

よろしくお願いいたします。

今後の治療としてはアロマシンなど、ホルモン剤を変更することも選択肢の一つでしょう。現段階ではPET-CTなどが選択肢として考えられます。ショックの感覚、ということが、実際にいわゆるショック状況であるのかが分かりかねますので、何ともいえません。(文責 首藤)

 

No.9868】  10年09月30日   R 
CA15-3の上昇について

術後7年、現在無治療です。T期で全摘、グレード1〜2、リンパの転移はなく、5年間ホルモン療法(ゾラデックスとタモキシフェン)をしました。先日の定期検診でCA15−3が1年前と比べて7→18に上がっていました。その場ですぐに再検査すると、更に上がっていて、35ありました。医師のすすめでペットCTをすることになりましたが、これはもうほぼ転移乳癌ということでしょうか。調べてみると、卵巣がんや良性疾患(胸の?)でも上昇することがあるそうですが・・・。親の入院とちょうど重なったので、疲労なのではないかと家族から言われましたが、結果を信憑性のあるものとして、転移の方向で考えていくべきでしょうか。現在の自覚症状は、腹部の違和感と脇痛のみ、腹部および胸部エコー、胸CTは異常ありませんでした。

ご指摘のごとく、乳癌転移以外にも他の疾患でも上昇することは事実です。その意味で、PET-CTを施行することは腫瘍マーカー上昇の原因を検索する上で重要と思います。まずは検査結果を待ちましょう。(文責 首藤)

 

No.9867】  10年09月29日   H.S. 
腕の痛(2) (HPNo.9861-2)

もう一点ご助言いただけると幸いです。再発してからフェマーラに切り替え一年がたちましたが、腕の痛みもそうですが、、肩こり、関節痛、手のこわばりもあり神経痛、筋肉痛、関節痛、手足のしびれ、眼精疲労に効果があるアリナミンEXと同等の製剤を服用してみようかと思っているのですが、フェマーラのさまたげにはなりませんでしょうか。それとも、そういうものにたよらない方がいいでしょうか。服用して軽減できるのであれば、服用してもかまわないでしょうか。癌細胞に悪影響になることはありませんか。

ご質問ありがとうございます。とくに治療の妨げにはなりませんから、内服してかまいません。ただ、特効薬のある症状ではありません。効果同様、副作用も個人差の強い部分です。フェマーラが症状強くても、別のホルモン剤は症状が少ないかもしれませんので、選択できるのであれば、別の薬剤に変更するのも一考だと思います。副作用少なく、治療が継続できればいいのですが・・・。副作用も治療の妨げになりますので、自分の身体と、よく相談しながら続けて下さい。(文責 鈴木)

 

No.9866】  10年09月29日   C.N  
結果結果の数値について

46歳 独身女性(C.N)です。2009年10月の会社での人間ドックで、胸の超音波検査で要検査となりました。2010年1月に乳腺外科にかかり、超音波と触診で乳腺症とのことで、経過観察となりました。乳腺症は良性のしこりであり、これが悪性となることはないと言われました。2010年8月に再度胸の超音波で悪性の疑いありとして、針生検の結果で乳がんと診断されました。(乳房MRI、CTも実施)

1) しこりの場所としては1月時点でしこりのあった場所ですが、乳腺症から乳がんとなったのでしょうか? (生検をしていれば、乳がんであった可能性もあるでしょうか?)
2) 検査結果の値ですが、これらの値はしこりが大きくなるにつれて数値があがるものでしょうか? それとも、もともとの数値でしょうか?(もっと早くわかれば数値が低いのでしょうか?)

<検査結果>
エストロゲンレセプター(ER)陽性(+)90%、プロゲステロンレセプター(PgR)陽性(+)90%⇒ホルモン療法が効果あり、HER2/Neu 陽性(+++)⇒ハーセプチン、MIB−1(Ki−67)細胞増殖能 5-10%  低

治療メニューとして、術前化学療法+ハーセプチン(4回)、乳房部分切除、放射線療法、ホルハーセプチン(残り14回)ホルモン治療を提示されております。化学療法をするにあたり、抗がん剤の副作用のことも考えて、仕事との両立が難しいと判断して、治療に専念するため仕事も思い切って退職しましたが、治療メニューとしては標準的なものと思われますが、抗がん剤の薬代が高いこと、治療期間が長くかかり、治療費の高さに正直頭を痛めています。10月から治療を開始する予定です。よろしくお願いします。

ご質問ありがとうございます。乳腺症は、基本的に癌化はしませんが、癌は発生します。したがって、当初、しこりのあった部分から乳癌が発生・・ということですが、これは難しい問題です。もしかしたら、最初に針生検をしていれば、乳癌の診断はついたかもしれません。乳腺症は非常に多彩な画像を示し、時に乳癌と区別がつきにくいこともあり、経過を見ている中で、乳癌が・・ということはよく経験します。しかし、疑いのある病変に全て、小さなものも含め針生検をして・・ということはなかなか出来ることではありません。最初の画像で、主治医がどれだけ、悪性を疑うか、ということにつきます。だれが見ても乳癌の画像は乳癌とわかるのですが、疑う病変というのは、見た人間の主観的な判断になります。そのような訳で、ご指摘の乳腺症の病変も、医師により、針生検をする医師もいれば、経過をみる医師もいただろうということはご理解下さい。検査結果の数値は、その方の乳癌の特性を示しますが、これは時期によって変化するものではありません。ER、PgRの数値がご心配なのだと思いますが、これは大きなほど、悪性度は低いということになります。今までの治療としては、十分な治療を受けているように思われます。過去に振り返ることなく、自信をもって生活を続けて下さい。(文責 鈴木)

 

No.9865】  10年09月29日   K
薬の効果について

いろいろ読ませていただいています。転移後、ホルモン療法中(ひとつめ)です。お薬が効かなくなる時は急激に変化があらわれるでしょうか? 次のお薬になった時、ひとつめのお薬が効いていた期間と同じくらいは、効く可能性はあるでしょうか? また、ホルモン療法は短い場合、長い場合、どのくらいの期間効く可能性があるでしょうか?

ご質問ありがとうございます。ホルモン療法の効果についてですが、急激な変化は多くありません。ほとんどが、大きな変化なく、3ヶ月で何となく5mmくらい変化し、もう3ヶ月で何となく5mmくらい変化し・・・みたいな感じではないでしょうか? ただ、病気に勢いのある時は、もう少し大きな変化をしてきます。効果の持続期間では、次のホルモン剤の効果は、最初よりも乏しいかもしれません。これも、個人差が大きく、実際はひとつめがダメでも、次は効果あり・・ということもよく経験します。薬の効果は、化学療法、ホルモン療法ともに、個人差が大きいので、明確な答えがありません。(文責 鈴木)

 

No.9864】  10年09月26日  M.K. 
子宮けい癌ワクチン

術後2年半の検査を、異常なしでクリアーしました。腋のリンパ節に7個の転移と、年齢が35歳以下だったので、病期はVAです。グレードは1です。抗癌剤FEC4回.、タキソール4回、放射線25回。今はノルバテックスを飲んでいます。転移や再発が怖くて仕方ありません。最近話題になっています子宮けい癌ワクチンは、乳癌の患者が打てるものでしょうか? それと打っておくと、更なる癌を防げますか? 防げるものならしておきたいと思っています。よろしくお願いします。

ご質問ありがとうございます。正直なところ、あまり詳しいお答えはできませんが、このワクチンは、接種後の長期に渡り、HPV(子宮頸がんの原因ウイルス)の感染を防ぐ働きがあります。実際の投与に関しては、乳癌と子宮癌は別の病気ですので、通常の接種は可能だと思われますが、ノルバデックス内服中に、一緒に投与した時の副作用の問題とか、不確実な面もあります。婦人科の医療機関で相談して下さい。(文責 鈴木)

 

No.9863】  10年09月24日   I
乳がん再発の今後の治療方法について

私は、1953年生まれ現在57歳です。今年夏、横浜の友人を訪ねた時に、たまたま市民フォーラムが開かれており、パンフレットを頂いてきました。私の今後のより良い治療の為に、教えて頂きたいのです。乳がんの手術から8年後(2007.9月)に、左首の付け根のリンパが腫れて、細胞診で乳がんの再発と診断されました。乳がんの治療方法は確立されているということで、地元の総合病院の外科で治療を受けています。ホルモン療法でフェマーラ錠2.5mgを処方され、リンパの腫れが縮小しました。しかし、3年後の今年6月に、今度は左首付け根の中央寄りが腫れている(2.4cm)のが見つかりました。フェマーラが効かなくなったということで、7月から2ヶ月半アリミデックス錠1mgを服用しましたが、効果がありませんでした。現在は、CTで3cm位になっているとのことです。主治医の説明では、ホルモン療法の薬があと2種類あるので、それを試して、それでも効果のない時は点滴の治療、それでもだめならレーザー治療とのことです。CT検査では、他に転移は見られないそうです。今服用中の薬は、ノルバデックス錠10mg2錠です。現在服用から10日目になります。そこでご相談ですが、主治医の治療方法でやって行こうと思っておりましたが、腫瘍はだんだん大きくなっていくようです。CTで確認できる転移が見つかってからでは遅いのではないでしょうか? もっと違う治療方法があるのなら知っておきたいのです。今のうちに専門病院で見てもらった方が良いのでしょうか? 又、CT画像で、左首の静脈が腫瘍によって圧迫されて細くなった分、右の静脈が太くなっています。一年位前から寒かったり、車の運転をしたりすると気分が悪くなっていました。腫瘍の圧迫にによって、脳やその他に影響はないのでしょうか? 宜しくお願い致します。

下記は、最初の乳がん治療の内容です。
1999年3月に左乳房にしこりがあり、全摘手術を受けました。手術後の説明は、しこりは、1.8×1.8×1.5cm、乳管内進展あり、リンパ節転移 2/10で補助療法が必要、エストロゲンレセプター+でホルモン療法が効くでした。手術後に下記の治療を受けました。CMF療法4クール、卵巣の働きを止める注射2年間、ホルモン療法の薬を5年間(フェアストン)

ご質問ありがとうございます。リンパ節再発の治療ですが、ご自身のケースのように、肺、肝などに病変がなく、ホルモン感受性がある場合は、ホルモン療法から行うのが一般的です。いくつかのホルモン療法を行い、それで無効ならば、抗がん剤を使用します。その間、放射線を併用したりすることもあります。ご指摘のレーザー治療は、不確実な治療法だと思われます。リンパ節だけでなく、肺、肝などに病変があっても、病状の進行が遅いとき、ご本人の希望で抗がん剤がどうしても・・という時には、ホルモン療法を行います。その中で、効果が乏しい、進行が早いなどの時は、ホルモン療法に固執するのではなく、抗がん剤の必要性もあるかと思われます。また、一般的に、新たな薬剤を使用したときは、一時的に病状は悪化します。それはとくにホルモン療法で顕著に表れます。したがって、2-3週で大きくなった・・からといって、次から次に治療法を変更するのは賢明ではありません。ノルバデックスに変えて大きくなったようだ、というのは、まさにこの現象だと思いますが、今後の動きを見て、ホルモン治療(フェマーラ)→ホルモン治療(ノルバデックス)で大きくなってきているようであれば、ホルモン剤は無効であると考えます。
CTで見つかってからでは遅いのでは・・ということですが、患者様はやはり早く見つけて、早く治療を、と考えますが、上述のように、肺、肝に病変があっても、進行が遅い場合、ホルモン療法の適応にはなりますし、実際、他の病変を5mmで見つける場合と、2cmになってから見つかる場合と、行う治療内容、治療期間に大きな違いはありません。再発乳がんの治療は、6ヶ月とか、1年とか期限がある治療ではなく、効果があれば、さらに継続して6ヶ月という話ですので、早く見つけて早く治療をして・・という病態ではありません。したがって、小さな病変を早くに見つけて・・というのは、必ずしもプラスには働かないこともあります。
静脈の圧迫による症状ですが、これは頭の症状とは結びつきません。それこそ、圧迫が進み、閉塞するようなことがあれば別で、病変側のむくみ、手のむくみなどが現れます。
いずれにせよ、これからの大事な治療ですので、よく考え、いろいろ意見を聞いて、納得のいく治療をお受け下さい。場合によりセカンドオピニオンをうまく利用するのもいいのではないでしょうか?われわれも、気にかけております。頑張って下さい。 (文責 鈴木)

 

No.9862】  10年09月24日  K.Y.  
リンパ節再発の治療

2008年7月、44歳の時に左胸乳房温存手術を受けました。腫瘍の大きさは2センチ、リンパ節転移なし、ホルモン陽性、HER2+3。術後は放射線治療、ハーセプチン単独投与1年、LH−RHアゴニスト製剤2年、タモキシフェン5年の予定で治療をしていました。2010年8月に左わきの下にしこりを見つけ、細胞診の結果、悪性と診断されました。PET−CT検査をして、ほかに転移がないことがわかり、10月にリンパ節の切除手術をすることになっています。

1) リンパ節切除の手術をするのが最良でしょうか?
2) 術後は抗がん剤をすすめられています。副作用などがきついので、今の生活を維持できないと考えてしまいます。
3) ハーセプチンは効いていなかったことになるのですか?
4) 私の場合は進行性の転移乳がんになるのでしょうか?

解答、よろしくお願い致します。

ご質問ありがとうございます。
1)2) リンパ節を切除するか否かは難しい問題です。リンパ節だけとわかれば切除も一考ですが、追加で治療をしていく場合、効果判定の目安が無くなることです。例えば、切除して、抗がん剤を・・と考えた時に、いつまで行うのか、効果はどうなのか、という問題です。したがって、一般的に再発乳癌は手術を行わないで、全身治療を優先させます。その上で、治療効果が十分で、様子を見ていても、他に病変の出現が無い、そんな時には病変部(特にリンパ節や、皮膚病変など、局所の再発と考えられるとき。肝、肺などは通常、手術は行わない)の手術を行うこともあります。ですから、手術→抗がん剤というより、抗がん剤→手術という手段の方が理にかなっています。今後は、ハーセプチンを主体に、一緒に投与する薬剤の種類を変えて治療をすることが良いでしょう。仕事のこと、今の生活のことなどを考慮すると、抗がん剤の副作用が心配になるのは当然ですから、まずは、ハーセプチンと別のホルモン剤、それでだめなら、ハーセプチンと抗がん剤の組み合わせということになると思います。
3) ハーセプチンが効かなかった?との質問に関しては、一般的に投与後1年以内の再発はハーセプチンの効果が乏しかったと考えます。ご質問のケースでは、抗がん剤を投与せずにハーセプチンだけを単独で投与されています。術後のハーセプチンの有効性は、抗がん剤を投与後、もしくは投与途中から一緒にハーセプチンを投与することで初めて発揮されるものです。終わってからのことですので、深く言及することは避けますが、本当にハーセプチンが効かなかったか否かは難しい判断だと思います。
4) 「進行性の転移乳癌」か? これは、あまり使う言葉ではありません。乳癌は進行性ですし、今回のケースは転移性乳がん(もしくは、再発乳がんとも言う)です。進行が早いかどうかは、今後の病状の変化を見る必要があります。(文責 鈴木)

 

No.9861-1】  10年09月24日  H.S. 
腕の痛み

術後三年で局所再発し、全摘出しました。初発で、抗がん剤も済ませています。今はノルバからフェマーラに変更して一年になります。閉経前のためリュープリンを併用しています。最近二の腕から肩にかけて違和感があり、じんじんとしています。二の腕の外側の肉をつかむと痛いのですが、これはやはりリンパ節をかくせいした後遺症のようなものなのでしょうか。痛みは何もしていないとありませんが、物を持ったり左右に動かすと痛みます。幼児がいるので、利き手で重たいものをもったりしてしまいますし、どうしても無理をしてしまいます。やはり、しばらく腕を安静にしたほうがいいでしょうか。それとも骨転移などの検査をしたほうがいいでしょうか。

ご質問ありがとうございます。乳癌の治療をされた方は、身体のいろいろな症状を、病気の再燃、再発と考えてしまうことが多いようで、これは何年経っても、多くの方が感じていらっしゃるようです。仕方の無いことだとは思いますが、あまり過敏にならずに過ごしましょう。
さて、ご自身の症状ですが、これは、わきの下のリンパ節を取ったことが大きな要因でしょう。胸からわきの下を通り、二の腕の外側に回る神経があり、わきの下のリンパ節を取った場合に、その神経の血流が悪くなったり、どうしても神経を切らなくてはいけなかったりすることで、二の腕の外側に、ピリピリ、ジンジン、何か洋服の上から触られているような感じを自覚します。また、何かの動きでその症状は強くなることもあります。この神経は、腕、肩の動きを支配する神経ではないので、腕、肩の動きには関係ありません。また一般的に、病気の再燃とは関係ないので、上手に付き合うのが賢明です。そうは言っても、あまり心配されるのなら、検査をしてみてはいかがでしょうか? (文責 鈴木)

 

No.9861-2】  10年09月29日  H.S. 
腕の痛み(2)

もう一点ご助言いただけると幸いです。再発してからフェマーラに切り替え一年がたちましたが、腕の痛みもそうですが、、肩こり、関節痛、手のこわばりもあり神経痛、筋肉痛、関節痛、手足のしびれ、眼精疲労に効果があるアリナミンEXと同等の製剤を服用してみようかと思っているのですが、フェマーラのさまたげにはなりませんでしょうか。それとも、そういうものにたよらない方がいいでしょうか。服用して軽減できるのであれば、服用してもかまわないでしょうか。癌細胞に悪影響になることはありませんか。

ご質問ありがとうございます。とくに治療の妨げにはなりませんから、内服してかまいません。ただ、特効薬のある症状ではありません。効果同様、副作用も個人差の強い部分です。フェマーラが症状強くても、別のホルモン剤は症状が少ないかもしれませんので、選択できるのであれば、別の薬剤に変更するのも一考だと思います。副作用少なく、治療が継続できればいいのですが・・・。副作用も治療の妨げになりますので、自分の身体と、よく相談しながら続けて下さい。(文責 鈴木)

 

No.9860-1】  10年09月24日  M  
放射線治療について

43歳、子供が、3人おります。放射線治療について相談致します。浸潤性乳管癌。右乳房の上部に2.6センチ、リンパ節に転移あり。ステージU。昨年7月より術前の抗がん剤(タキソテール)治療後、10月に温存にて部分切除、リンパ節郭清手術。癌の大きさ 1.2センチ、リンパ節転移 22個中2個あり、ハーセプチンテスト 3、ホルモンレセプター 陽性、術後ハーセプチン治療開始(3週間毎-1年間)、16回で終了となりました。抗エレストロゲン剤服用中(5年間)です。今度は放射線治療を行う予定です。全身治療を行った後、手術より一年たった今、部分治療の放射線は必要なのでしょうか。お忙しいと思いますが、どうぞよろしくお願い致します。

ご質問ありがとうございます。ご指摘のように、ご自身の病気は、リンパ節転移があり、HER2陽性といった予後不良因子がありますので、今後、懸念するのは、乳房内の病変より、肺、肝といった全身への転移の心配です。その為の、全身治療として化学療法とハーセプチンの投与をされたわけです。ただ、そのままですと、乳房内への局所再発(この場合、本来の局所再発と、新たな乳癌の発症とが含まれる)が10から20%くらいあり、それを抑えるのが放射線治療です。全身、局所にかかわらず、病気の発症は少しでも抑えたいと考えています。つらい治療ではありませんので、放射線照射を受けられた方が良いと思われます。(文責 鈴木)

 

No.9860-2】  10年11月15日  M  
ホルモン療法について

以前に放射線の治療について、ご回答頂きありがとうございました。まもなく放射線の治療25回を終了する予定です。今日はホルモン療法について質問致します。現在、タスオミンを服用中です。放射線の開始と同時に抗がん剤投与から止まっていた生理がきて(放射線治療前に、数回不正出血あり)、 2週間目にまた生理が来ました。2回とも出血の量がかなり多く、体調も悪く、心配になりました。主治医の先生からは、生理が始まったら、LH-RHアゴニスト製剤をすすめられています。8月調べた血液検査では、FHS 24.7 エストラジオールE2 267.6。 私自身、更年期障害のような症状があり、数値からめても、閉経が近いのではと思いますが、LH-RHアゴニスト製剤の治療は必要でしょうか。よろしくお願いいたします。

閉経前の術後補助ホルモン療法は、NCCNのガイドラインでもタモキシフェン(ノルバデックス、タスオミンなど) 5年間投与が標準ですが、LH-RHアゴニストを併用することにより、有意差はないものの、再発リスクを下げる効果が期待でき、日本では併用療法が広く行われています。骨粗しょう症がなく、更年期障害の副作用が許容範囲内であれば、併用療法を考慮したらよいと考えます。(文責 浜口)

 

No.9859】  10年09月24日  N.T.
左乳房からの出血

69歳ですが、今月に入ってからブラジャー左側だけに微量の出血痕があり、気になり乳首を押すと、やはり微量の血が出ています。痛みとか腫れもなく、昨年乳がん子宮がんの検診では、異常なしでした(2年に一回は、うけています)。婦人科に受診するつもりですが、悪性なら癌の可能性があるのか、とても心配です。早期に受診するほうが、もちろんいいとは思いますが・・・。宜しくお願いします。

ご質問ありがとうございます。乳頭からの出血の80%くらいは良性病変によると言われています。しかし、年齢的に乳癌のことも考慮に入れる必要があります。この場合、婦人科ではなくて乳腺外科の受診をお勧めします。慌てる必要はありませんが、必ず受診して下さい。(文責 鈴木)

 

No.9858】  10年09月24日  H 
ホルモン療法

乳癌術後2年です。検査でも異常はありませんでした。抗がん剤治療もなかったので、術後よりホルモン治療をはじめました。リュープリンとノルバデックスでしたが、その後ひどい更年期障害になり、ホルモン治療を一時中止しました。その間はずっと生理がありました。7ヶ月後、症状もおさまったので、ノルバデックスのみの服用とし、また生理がとまりましたが、今日突然出血があり、驚いています。腹部の痛みも生理のときのような感じです。こういうこともあるのでしょうか? 多分、再び服用後、9カ月ほどだと思います。よろしくお願いします。

ご質問ありがとうございます。ノルバデックスそのものでは生理は止まりませんが、不順になることはよくあります。今回の出血も、不順な生理かもしれませんし、時々、聞く症状です。ただ、ご存じかと思いますが、ノルバデックスは子宮体がんのリスクがありますので、一度、婦人科の受診をお勧めします。(文責 鈴木)

 

No.9857】  10年09月24日  T  
骨に転移しているのではと心配です

初めてメールします。実母(68歳)が、昨年5月に右乳がんの手術をしました。1cm弱の大きさで、医師が「放射線治療はしなくて良い、抗がん剤とホルモン剤で良い」と言われ、術後は薬の服用のみで現在に至っています。手術は温存手術です。薬はフルツロン(ドキシフルリジン)とフェマーラ(レトロゾール)を服用しています。骨密度が80歳、骨粗しょう症と言われ、整形外科でMRIをとると、骨に黒い丸い影がありました。整形外科の医師より、乳がんの手術をした病院に紹介状を送ってもらったのですが、乳腺外科の医師は、「様子をみる」と言われました。その後、転移かどうかの検査をしたり、薬の処方もありません。

1) 医師の判断で放射線治療をしませんでしたが、乳がんの手術後、放射線治療をしないケースは、一般的な見解としてあるのでしょうか? 母は放射線治療をしなかったことに、不安を抱いています。
2) 手術後1年以上経過しても、放射線治療は可能ですか? また、可能である場合、それは有効ですか?
3) MRIの結果から、骨に転移しているのではと心配です。乳がんの手術をしたのは個人病院なので、設備の点でもセカンドオピニオンを受けるほうが良いのではと思いますが、どうして見つけたら?と思います。

どうぞよろしくご回答お願いします。 

ご質問ありがとうございます。骨に黒い影・・とのこと、ご心配と存じます。骨の転移は、MRIでかなりの精度で診断できますから、整形外科医が疑って紹介状を書かれているのであれば、精査は必要と思います。逆に念のため・・くらいの話であれば様子をみて、3ヶ月後くらいに再度MRIを撮影でも良いと思います。
放射線治療に関して、高齢者では術後の放射線治療が不要である、との意見もあり、海外ではそのような報告もされていますが、現状では、温存術後の放射線治療は必要な治療であると考えます。1年経過してからの照射に関しては明確なデータがありませんが、有効ではないでしょうか。
術後の補助療法に関して、経口の抗がん剤は、点滴に比べて効果は悪くはないものの、標準的な治療法ではないという位置づけです。高齢者、どうしても点滴の抗がん剤が受けられない・・方に投与を行うことがあります。
蛇足ですが、骨密度が低下しているとのことですので、今後、フェマーラを内服する場合、さらに骨密度の低下が懸念されますから、カルシウム剤、VitD製剤、などの内服は必要かと思います。さらに、骨粗鬆症の薬を使うこともありますが、もともとの乳癌の悪性度の高さから考えて、骨密度の低下が起こりにくい薬に変更することもオプションで考えられます。
長くなりましたが、いくつか、現在の治療に不確実な点もあるように思います。一度、主治医と話し合い、必要に応じてセカンドオピニオンも良いのではないでしょうか?(文責 鈴木)

 

No.9856】  10年09月24日   A,U, 
P53異常数値について不安です

初めてご相談させて頂きます。現在44歳、2009年1月左側乳がん温存手術後、放射線30回、ノルバデックスのみのホルモン療法治療中です。腫瘍形5ミリ、1ミリの2箇所、硬ガン、グレード3、ホルモン強陽性、Her2マイナス、リンパ節転移マイナス、でした。断端陽性でしたが、乳腺の端で切除箇所がもう無いとのことで、追加手術無しでした。 職場が個人病院だったため、個人的にP53を検査したら、1年前30の異常数値でした。乳がん主治医(別の病院)に相談しましたが、知らない検査のため分からないと、取り合ってくれませんでした。恐怖心より今現在検査しておりませんが、先日の相談室のご回答の中に、P53発現がある場合は予後が悪いとのこと、化学療法をした方が良いとの内容があり、やはり不安になりました。グレード3で悪いのですが、腫瘍形が1センチ未満で安心していました。P53発現数値が高いということは、再発率が高いということでしょうか? 治療は化学療法をした方が良かったと言うことだったのでしょうか? 乳腺専門の主治医を信じておりますが、不安でいっぱいです。今後のアドバイスを頂き、今何をすべきか、そして前向きに頑張りたいと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。

ご質問ありがとうございます。P53についてですが、確かに、p53遺伝子の過剰発現があると予後不良であるといわれていますが、その他のHER2、リンパ節転移の有無、ホルモン感受性などの予後因子に比べて、その存在意義は不確実です。実際、われわれも参考にはしますが、ご質問のケースのように、腫瘍径が小さく、ホルモン感受性あり、HER2陰性、リンパ節転移陰性、しかしp53が・・・という時に、それだけで化学療法を行う根拠にはしません。まだ、これから先の検討項目だと思います。今まで行ってきた治療がベストと考え、終わったことには振り返らないほうが良いと思います。
一点、閉経前、ホルモン感受性ありの乳癌術後であれば、LH-RHアゴニストという、生理を止めるホルモン療法を行うことが標準的かと思いますが、その点はどうでしょうか? 何か理由があったと察しますが。その点は、主治医とご相談されたほうが良いでしょう。(文責 鈴木)

 

No.9855】  10年09月24日   S.T. 
肺転移の治療について(HPNo.9034-2)

No.9034で、一度妻の治療方針について相談させていただいたものです。その節は迅速なご回答を頂き、ありがとうございました。その後、残念ながら肺転移が認められ、治療継続中です(AC4クール→ハーセプチン単剤→ハーセプチン+パクリタキセル→ハーセプチン+ドキタキセル4クールまで終了)。ただ、コントロールできていない模様で、腫瘍マーカー上昇(ca15-3)、腫瘍増大、気管支への浸潤があり、先日、腫瘍からと見られる一回30mlほどの吐血が断続的に続いたため、出血を止める薬で抑えている状況です。ここで質問なのですが、主治医の先生からは今後の治療として、1)ハーセプチン+ナベルビン  もしくは、2)タイケルブ+ゼロータ の2つが提示されています。1)を先に開始することを勧められていますが、今までハーセプチンがあまり効いてないようであることから、2)の方がよい気もします。相談室の先生がたのご意見はいかがでしょうか? お手数ですが、ご助言のほど宜しくお願いします。

ご質問ありがとうございます。再発乳がんに対して薬剤を選択する際は、使い漏れのないように、5種類なら5種類、10種類なら10種類の薬剤を、順序は関係なく使い切るというのが基本的な考え方です。ですから、副作用の種類や、ご本人のライフスタイル、体力などを勘案しながら、薬剤を選択することになり、医師によって、患者様によって、治療の順序は様々です。
ご質問の件のハーセプチン+ゼローダとタイケルブ+ゼローダに関しては、どちらが良く効くかという科学的な正解はありません。したがって、前者の効果が少なければ後者に、後者の効果が少なければ前者にという具合で使います。ただ、ご指摘のように、ハーセプチンを使っていて、効果がないのでタイケルブ+ゼローダという考え方はリーズナブルなように思います。現在のところ、タイケルブの相手で用いる薬剤は、ゼローダしかありませんが、ハーセプチンの相手で用いる薬剤は、種々のものがあり、これからも新しい薬剤が使える様になるでしょうから、主治医、患者様ご本人とよく相談の上、治療を続けて下さい。
もう一点、質問の主旨からずれますし、主治医からは聞かれているかもしれませんが、気管支への浸潤があり、出血をしているとのこと・・・。時に大量に出血することがあります。出血が起こると患者さまの不安も強くなりますので、力になってあげて下さい。(文責 鈴木)

 

No.9854】  10年09月23日   S
乳首の痛みについて

初めて質問させていただきます。 35歳、出産経験三回です。9歳・5歳・3歳の子供がいます。3人とも母乳はあまり出なかったので、ミルクと混合で育てました。母乳は3〜6ヶ月で足りなくなって、その後はミルクのみでした。 2ヶ月くらい前から左の乳首に痛みを感じます。普通に生活している分には何も感じませんが、おふろ上がりなど、タオルが触れると痛みを感じます。 また、乳首を上から下に押さえつけたりしてみても痛いです。あとは、乳首の上付け根あたりの皮膚中が白っぽくなっています。そこを押さえると痛みます。痛みといっても、我慢できないほどではありません。 また、しこりは、自分で確認する分には特に異常は感じません。皮膚のひきつれなど、見た目も特にありません。 毎年1〜2月ごろに乳がんの定期健診を、触診とエコーで受けています。昨年までの結果では異常なしです。 何か病気なのか不安です。病院も、とりあえず出産した産婦人科の方がいいのか、乳腺外科のある病院がいいのか、迷っています。 毎年の検診まであと4〜5ヶ月あるので、それまで待ってもいいものか、すぐに病院へ行った方がいいものなのか、悩んでいます。 お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。

Mailの内容からは悪性の病気の可能性は低いように思えます。大至急ではありませんが、4~5ヶ月待つというより、症状があるときに、どちらかと言えば産婦人科より乳腺外科があれば、乳腺外科を受診する事をお勧めします。(文責 清水)

 

No.9853】  10年09月23日   B 
転移後の治療

58才。6か月の術前化学療法後、H19年4月右温存手術。ホルモン+、ハーツー+3、リンパ19個中10個、放射線とハーセプチン1年とアロマシンの治療。1年後に骨転移が見つかり、ゾメタをプラスして治療。骨転移が消え、ほっとしていましたが、今年の5月に喉の違和感を感じ、胸腺に腫瘍があることがわかりました。生検の結果、乳癌からの転移とわかり、放射線25回受けました。今は、3週間隔でハーセプチンとゾメタ、アロマシンをフェマーラに変えました。今後、抗癌剤をするかどうか決めかねています。ママさんバレーボールや海外旅行も行ける体力はあります。主治医の先生は、「転移後の治療は、決まったものはないので、自分で決めていいですよ。」との事。10月1日にCTを見てから、はっきり決めるつもりです。先生のご意見をお聞きしたいと思います。

現在の体調が良く、急を要する転移巣がなければ、しばらくはゾメタ+ハーセプチン+ホルモン剤(フェマーラー>ノルバデックスー>アリミデックスー>等)を続け、どのホルモン剤も効かなくなったらハーセプチンをタイケルブ+ゼローダに変えるという考え方もひとつあると思います。参考にしていただいて、主治医の先生とよく相談して治療法を決めて下さい。(文責 清水)

 

No.9852】  10年09月23日   M.T. 
乳がんの骨転移の治療について

骨転移がみつかり、ゾメタと内服薬(悪性細胞の増殖を抑える)で治療をしています。1回目の治療で使った抗がん剤は、遠隔転移では使用できないのでしょうか? 免疫細胞療法も検討しておりますが、高額な治療費がかかるので、実際の効果はどのくらい期待できるのでしょうか? 東京・神奈川で、商業主義ではない良心的な免疫細胞療法をうけられる医療機関はどこでしょうか? 費用は、どのくらい準備したらよいでしょうか?

原則として一度使った抗がん剤は使いませんが、状況によっては再度使う事もあります。免疫細胞療法で保険適応の治療はありませんし、海外でもエビデンスのある治療はありません。ですから、今日本国内で行われている免疫細胞治療のなかで、治験(有効性を調べる)として行われているもの以外で、その有効性を証明できている治療はないということです。(文責 清水)

 

No.9851】  10年09月20日   M.K.
浮腫について

【病歴】
2007年6月46歳で左乳腺全体を占める乳癌(小葉癌)皮膚.乳頭浸潤伴う。腋窩リンパ節転移あり。 腫瘍大きさ5,5p×4,5p。リンパ節転移11個中8個。ホルモンレセプターER (+) PGR(+) HER2(−)。術前科学療法(FEC療法)6ヶ月間(腫瘍の大きさ変化無し)。2007年12月左乳房全摘+腋窩リンパ節郭清手術を行う。術後放射線治療、ホルモン療法(ノルバデックス)による治療。2010年5月腫瘍マーカーの上昇とPET検査の結果、左腋窩〜左鎖骨窩にかけての淡い集積あり。ノルバデックスからフェマーラに変更。フェマーラの副作用と腫瘍マーカー(CA15-3 44.9→58.7→64.9→80.0 CEAも上昇してきました)毎月上昇の為フェアストンに変更

1) 腫瘍マーカーは毎月調べ、上昇中です。先生からはホルモン療法が効かないようだと言われましたが、抗ガン剤は、術前に行い全く効かなかった経験から、不信感と恐怖感があります。転移していた場合、抗ガン剤しか無いのでしょうか?
2) フェアストンに変えてから、以前からあった腕のリンパ浮腫と、今まで無かった全身の浮腫が急にひどくなりました。ホルモン療法をしてから、カロリーに気をつけた食事をしていますが、突然3sも太ってしまいました。おそらく浮腫によるものだと思いますが、薬の副作用によるものでしょうか? 他に原因は考えられますでしょうか?
3) お腹に張りと痛みはないのですが膨れています。腹水がたまると痛みがあるのでしょうか?
 
11月に術後3年の検査をする予定です。検査結果を見てから今後の治療方法を決めることになっております。アドバイスをいただけると幸に思います。宜しくお願いいたします。

1) まず、どこに再発しているのか調べる事が先決でしょう。そして生検できる場所であれば、生検して腫瘍の性質をもう一度調べる事をお勧めします。それによって治療方針を考えるのが良いのではないでしょうか。その結果最初の乳がんと同じ性質であるか、生検できない場合は、自覚症状がなければ、もう少しホルモン療法(アロマシン、アリミデックス、ヒスロンHなど)を続けてみては如何でしょうか。もし、抗がん剤が必要になった場合は、抗がん剤にはいろいろな種類がありますから、怖いという先入観は捨てて、自分の治療に必要な効果と副作用について主治医の先生とよく相談して、より良い治療を選択してください。
2) 全身浮腫というのは、フェアストンの副作用としては非常に稀だと思います。他の浮腫の原因(心臓や腎臓の機能)を調べた方が良いのではないでしょうか。
3) 腹水が溜まって痛みが出る事はありません。お腹が腫れている場合は腹水か肝臓の腫大を疑います。いずれにしても今の状態で11月まで検査を待つというのは如何なものでしょうか(文責 清水)

 

No.9850】  10年09月20日   R
ホルモン剤の変更について

52歳主婦です。よろしくお願いいたします。
昨年1月に温存手術をしました。右乳頭腺管がん、腫瘍径1,2cm、切除断端−、波及度 脂肪、リンパ管血管侵襲−、ER・PgR+、悪性度1、HER2−、センチネルリンパ節0/4でした。放射線治療25回終了後、ノルバデックスを服用していました。今年6月下旬に、卵巣嚢腫になり卵巣を摘出しました(おそらくノルバデックスの副作用でしょうと)。 乳がんの再発予防にもなると言われ、全摘しました。7月よりアリミデックスに変更になりましたが、飲み始めた日から上半身に湿疹が出まして、足に水泡っぽい湿疹ができることもありました。夏だった事もあり、汗をかくと痒みがひどい時もありました。現在は痒みのない日もあり、急に痒みが出る事もありますが、飲み始めの頃よりは落ち着いてきたように思います。他の副作用は、ほてり以外ありませんし、体調も良いです。主治医の先生には、痒みがなくならなければ薬を変更しましょうと言われています。痒みがあるというのは、薬があっていないということで、変更した方がよいのでしょうか? フェマーラかアロマシンに変更になると思いますが、痒み以外の副作用も出現する可能性もありますし、アリミデックスは一番古い薬で安全で、フェマーラは副作用が強く出るからと、先生より最初に説明があったので、変更に消極的になっています。アロマシンはステロイド系ということですが、ステロイド剤が入っているのですか? 卵巣を摘出したので、薬を飲まなくてもよいのではと思いましたが、副腎や脂肪(痩せていてほとんど脂肪はないですが)からの女性ホルモンを抑制しなければ、予後に差が出ますでしょうか? もうひとつ教えていただきたいのですが、いただいた術後の病理の結果は5mmx5mmでしたが、ずっと後に先生から1cm以上あったと言われました。病理の結果が信じられないという事に驚きましたが、そうなのでしょうか。お忙しいところ申し訳ございません。どうぞ宜しくお願いいたします。

術後のホルモン療法は、閉経前であればノルバデックス5年が推奨され、閉経後であればノルバデックス5年よりアロマターゼ阻害剤(アリミデックス、アロマシン、フェマーラ)5年の方が再発を少なくし、ノルバデックス2−3年後にアロマターゼ阻害剤3−2年という投与法も、ノルバデックス5年より再発が少なくなる事がわかっています。ですから貴女の場合、卵巣摘出した事で完全に閉経した訳ですから、その時点でアロマターゼ阻害剤に変更した事は、再発の確率をより少なくすることにつながる(但し、貴女の乳がんの再発の確率はかなり低いと思いますが)と思います。アロマターゼ阻害剤に変更したばかりの時は、ホルモン環境の変化からいろいろな副作用が出やすいのですが、3か月以上続けているとおさまってくる事が多いように思います。ですから、症状が治まってきているのならば続けた方が良いように思えます。アロマシンはステロイド系ですが、ステロイド剤がはいっているわけではありません。アロマシンが男性ホルモン(ステロイド系ホルモン)の構造に似ていて、女性ホルモンの前駆物質である男性ホルモンの代わりにアロマターゼに結合してしまうことで正常な男性ホルモンがアロマターゼに結合できず、女性ホルモンが作られなくなります。このような作用機序から、ステロイド系アロマターゼ阻害剤と呼ばれています。病理の結果については事情がよく理解できません。主治医の先生にお尋ねください。(文責 清水)

 

No.9849】  10年09月20日   S.A
炎症性乳がんの疑いはないのでしょうか?

お世話になります。以前、下記の相談をさせていただきましたが、依然、腫れは引かず、むしろ更に腫れて来ています。この場合、炎症性乳がんの疑いはないのでしょうか? マンモや超音波検査では検出されないことが多いとありました。度々すみません。アドバイスよろしくお願い致します。

前回の質問内容
術後9年、右乳房温存、術後放射線は受けておらず、リンパ転移もなく癌の種類は髄よう癌でした。現在、60歳です。5、6ヶ月前頃より右乳房・乳輪が下の方から少しずつ腫れを増し今では、乳房の3分の2くらいが腫れて硬く、最近では少し痛みもあります。お風呂上りはいつもその部分がピンク色になります。マンモ検査、エコー検査の異常は認められず、医師も2年に一度、マンモ検査をするようにとの事ですが、心配です。ただ術後、右腕が上がらず右手を使いすぎると熱が出たり体調不良になり、5年くらいは回復しませんでした。

実際に拝見できないので何とも言えませんが、一般的には乳房温存手術後の乳房に発赤や浮腫が出現した場合は、皮膚生検が推奨されると思います。主治医の先生に皮膚生検の適応があるかどうかよく診てもらってください。(文責 清水)

 

No.9848】  10年09月20日   M.I.
妻の治療法について(2)(HPNo.9832-2)

ご回答ありがとうございます。ホルモン療法から行うことが一般的とのアドバイスに希望が持てました。妻も治療への意欲が出てくると思います。再度質問させていただきます。ホルモン療法で使える薬がなくなるまでホルモン療法を続けるとのことですが、現在ノルバデクスを服用しているのですが、持続性というのは、どれくらいの期間あるのでしょうか? 人それぞれ薬の効き方は違うとは思いますが、先生方のご経験のなかからでかまいませんので、ホルモン療法の継続期間を教えていただけないでしょうか? よろしくお願いいたします。

片方の乳がんの手術後に反対側の乳がんを発症した場合、それが最初の乳がんの転移なのか、異時性両側乳がんなのかの鑑別が重要です。一般的には転移より異時性両側乳がんの頻度の方が多いのですが、まずは主治医の先生にそこのところを確認してください。No.9832を拝見すると、奥様は異時性両側乳がんではないかと推察いたします。そうなると、今後の治療は今回の乳がんの病理検査結果をもとに、乳がん術後治療のガイドラインを参照して決める事になります。まずはきちんと手術(部分切除+センチネルリンパ節生検)を行うことが肝心と考えます。少なくともER陽性乳がんである事はわかっているのですから、ホルモン療法が有効な事はわかっているので、あとは化学療法を追加するメリットがどのくらいあるかの評価にかかってきます。術後補助療法としてホルモン療法を行なう場合は5年が原則です。万が一再発である場合はホルモン療法が第一選択になりますが、もし閉経前であれば、閉経させる事が最初の治療になります。ホルモン療法の奏効期間は、患者さんによって様々です。(文責 清水)

 

No.9847】  10年09月20日   M.K.
子宮頸がんワクチン

右脇のリンパ節に7個転移があり、レベル2までかくせいしています。充実腺癌でした。手術は温存術です。ステージ3Aです。34歳のときに、手術→FEC→タキソテール→放射線治療25回。今はホルモン治療中です(ノルバテックス)。 術後2年半の検査を異常なしでクリアーしましたが、再発や転移の不安でいっぱいです。予防できるものは、なんでもしたいと思っています。乳癌の患者でも、子宮頸がんワクチンを受ける事は、更なる転移予防になりますか? 予防できるものは、なんでも予防しておきたいのです。よろしくお願いします。

ワクチンが転移予防につながるというデータはありません・・・ので、婦人科医師と相談の上での投与になると思います。リンパ節にいくつか転移が認められても、10年以上再発しないで元気な方は沢山いらっしゃいます。予防という点からはホルモン療法のほかに、生活習慣(食生活など)も大切になってくると思います。(文責 加藤)

 

No.9846】  10年09月20日   H  
のう胞内にポリープが発見されました(HPNo.5607-4)

2006年9月に質問に答えていただいたHです。左側乳がんの手術を受け無事に4年が過ぎましたが、今度は反対側の右側に、のう胞内にポリープが発見されました。のう胞自体はかなり大きく、その中にできたポリープは、約1センチです(1年前のエコーではポリープはありませんでした)。現在検査中ですが、のう胞内乳頭腫ではないかと考えています。もしくは乳がんの疑い? 結果は待ってみないとわからないのですが、主治医は切除したほうがいいと言っています。

質問
1) 前回の乳がん切除時も良性のしこりという判断で、切除した結果が癌だったので、不安はあるのですが、やはりリスクの面からいっても、切除するのが妥当でしょうか?
2) 乳頭腫であった場合の選択方法は?
3) 乳頭腫であった場合、どれくらいの範囲で切除するのか。
4) 癌の疑いのあった場合、どれくらいの範囲で切除するのか。(非浸潤癌であるなら、切除範囲は大きくなるのでしょうか?)
5) 前回も、マンモにも、危険と判断されるような石灰化は、ほぼ写らなかったのですが、現在35歳ですが、マンモは切除の判断基準になるのでしょうか? (前回同様、エコー、血液検査、CTのみの判断で切除になると思います)
6) 経過観察するという選択肢はあるのか? 経過観察するなら、危険性はどれくらあるのか?

検査中の段階でこんな質問をして申し訳ないのですが、考える時間や主治医と相談するときにしっかりと話をしたいので、質問させていただきました。いつもお忙しい中、丁寧に質問に答えていただき、ありがとうございます。よろしくお願いします。

1)2)5)  画像所見、細胞(組織)所見、大きさ等を考慮して決定します。経過観察も一つの選択肢です(切除を勧めるという意見もあります)。
3)4)  良性であればその部分のみ、悪性であれば周囲への広がりを考慮して切除範囲を決定しますが、大きくなることはあまりありません。
5)  判断材料の一つとなりますが、頼りになる可能性は低いでしょう。(文責 加藤)

 

No.9845】  10年09月19日  トト
皮膚再発ではないかと心配です

22歳の時に乳がんになり、30歳の今年右乳房内再発をしました。PET検査の結果では遠隔転移はなかったので、4月に全摘しました。その後担当医からの抗がん剤の勧めはありませんでしたが、抗がん剤を3週間ごとに1回合計4回の抗がん剤を希望しましたが副作用がひどく、1回の投与で中止しました。手術した右鎖骨下に、赤くプツと蚊に刺された様な血豆のようなものが皮膚にあるので、皮膚再発ではないかと心配です。これは転移に関係ありますか? ご多忙の中申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。

大丈夫だと思いますが、稀にそのような皮膚再発もありますので、主治医に診てもらうことをお勧めします。(文責 加藤)

 

No.9844】  10年09月19日  H
乳房内再発、術後治療について

はじめて質問させて頂きます。私は22歳の時に乳がんになり、乳房温存術をしました(わきの下への転移1コ)。癌のタイプは、トリプルネガティブ。術後、抗がん剤アドリアマイシン4回・パクリタキセル4回、放射線30回をしました。抗がん剤のダメージがひどく(白血球減少)、発熱などがあったり、白血球が足りなかったりと、標準量の抗がん剤が打てなかったのと、3週間ごとの点滴スケジュールでは治療を進める事が出来ませんでした。今回は8年目にして乳房内再発をし、乳房切除しました。転移などはなく、局所再発のみ。癌のタイプは、トリプルネガティブ。外科の先生は、「放射線はもう出来ないから、抗がん剤をしましょう」と、術前から話していましたが、術後内科の先生からの提案は、「@そのまま経過をみる A希望があるなら抗がん剤 B遺伝相談」と言うことでした。抗がん剤をしても、しなくても、生存率は変わらないと言う説明も受けました。私は抗がん剤をするつもりでいたので、抗がん剤治療を選択しました。5月20日〜タキソテール+エンドキサン 3週間ごと4回です。これもまた、標準量に体が対応できず、抗がん剤をしてから3日後、5月23日に38度以上の熱。もらっていた薬で対応していましたが、どんどん体調が悪くなり、喉が膿んできたので、近所のフォローアップの病院に5月27日行ったところ、白血球600で緊急入院。40度まで熱が出ました。抗生物質の点滴、炎症を抑える点滴、白血球を上げる注射をして、7日後やっと退院できました。私は骨髄抑制を受けやすいのか、すぐに感染して発熱します(もちろん自宅ではマスク・人ごみには行かないという生活をおくっています)。
長くなりましたが、質問したいのは、これ以上無理して抗がん剤を続けないほうがいいでしょうか?
ネットなどで色々しらべていても、術後抗がん剤をするのが標準の様に書いてあるので、次の抗がん剤をやめるか、抗がん剤の量を減らしてあと3回頑張るか、悩んでいます。ご意見、お願いいたします。

おっしゃるように局所再発後の抗がん剤の有用性ははっきりと確かめられておりませんので、副作用がお辛いようなら、あまり無理をされなくてもよいように思います。抗がん剤の量は身長、体重などを元に決めますが、体質は考慮しておりませんので、量の調節も重要になってきます。もしお続けになるのでしたら、量の変更(あるいは種類の変更)を考慮した方がよいかもしれません。(文責 加藤)

 

No.9843】  10年09月18日  M.Y. 
今後の治療について(HPNo.9587-3)

HPNo.9587でお世話になった者です。わかりやすい説明をありがとうございました。その後、6月20日過ぎに手術(部分切除)を終え、少し遅れて8月半ばに病理検査結果が出ました。結果は以下の通りです。
・UA期の硬癌  ・リンパ節転移なし  ・癌の大きさ 1.5×2.1 ・ホルモン受容性 あり ・核異型度 1 ・Her2 陰性(0) ・脈管浸襲 なし ・断端 軽度陽性(断端から約2oのところにガンの飛び地あり)

これを踏まえて、今後の治療は抗がん剤ではなく、放射線治療とホルモン治療を薦められました(46歳でまだ閉経していません)。抗がん剤の件が心配になりましたが、私の状況で抗がん剤で再発が抑えられるのは100人中0.5〜1人という説明でしたので、なしで行くことにしました。なお、放射線治療は、明日9月17日からようやく始まります。ホルモン治療は、放射線と重ねると放射線の副作用が高まる可能性があるということで、主治医からは、11月上旬からにしましょうと言われています。今回伺いたいのは4点です。
1) まず、もう既に決まったことではありますが、放射線治療は通常術後2ヶ月内には始めると書物などにはありますが、私は3ヶ月過ぎての開始なので、少し心配です。あまり気にしなくてよいでしょうか。
2) 再発率について、主治医からは無治療の場合10%〜20%、ホルモン治療によって、だいたいこれが6%〜14%くらいまで下がると説明がありました。上記のような検査結果の場合、だいたいこのような数値が一般的と考えてよいでしょうか。adjuvant onlineというのがあるのを見つけて、自分でも調べようと思ったところ、やはり使い方がわかりません。お忙しいところ大変申し訳ないのですが、抗がん剤を使った場合と使わない場合の数値も含めて、もしお調べいただければ、本当にありがたく存じます。
3) ホルモン治療が11月まで遅れるのが不安ですが、これも余り心配する必要はありませんか。それとも、放射線とホルモン治療を平行して始めてもらうよう、主治医に相談した方がよいでしょうか。
4) 手術した左胸の、創部そのものは麻酔をした歯茎のような感覚で、ほとんど麻痺した状態ですが(これは術後の状態として了解しています)、創部の付近が時々痛み、夜目が覚めます。また、創部以外の左胸(創部は左脇下ですが、それとは反対側の左胸の右側付近)が、時々ずきずきと痛みます。術後3ヶ月経っていますが、これはよくあることなのでしょうか。

再診時に主治医にも聞いてみるつもりですが、再診がやや先のため、こちらで伺えれば大変助かります。細かいことをたくさん伺って申し訳ありませんが、どうかよろしくお願いいたします。

1) 放射線治療は、術後早く始めれば始める程乳房内再発のリスクが低くなると言われています。しかし、病理検査の項目が増え時間がかかるようになった現状で、術後2−3か月というのはやむを得ないのではないでしょうか。術後に抗がん剤治療を行なった場合の放射線治療は、術後6か月以上経ってから始める事になります。
2) Adjuvant Onlineをたたくと、術後無治療の場合の再発率8%、ホルモン療法の効果2%、化学療法(一番弱いもので)2%、併用で4%、化学療法(強いもので)3%、併用で5%と出ました。(添付PDF参照)
3) 貴女の場合、使うホルモン療法剤はTamoxifen(ノルバデックス)ですが、Tamoxifenと放射線治療の併用は放射線治療の副作用を強くするのでお勧めできません。ホルモン療法の開始時期は放射線治療後で問題ありません。
4) どのような痛みかは診察しないとわかりません。次回診察時に主治医の先生の診察を受けそこで聞いてください。(文責 清水)

 

No.9842】  10年09月18日  S.H
左胸に2つのしこりは全摘出ですか?

46歳、3回出産経験あり。左胸の外側に2cmのしこり+3mm程度のおまけ(こぶみたい)が付いています。 あと、内側上部に8mm位のしこりがあります。
1) 悪性かどうか今日検査しますが(針を刺す)、もし悪性なら全摘出と言われました。やはり温存手術は無理でしょうか? 
2) また、超音波検査でリンパも腫れていると言われましたが、転移しているのでしょうか?
3) セカンドオピニオンも勧められましたが、やはり受けた方が良いですか?
2歳下の妹が、4年前に3mmくらいの乳がんで、温存手術をしたのですが、私の場合、全摘出と聞いて、とても不安だし、もうすでに転移してるのではないかと恐怖です。どうぞ宜しくお願いします。

1) 両方悪性でも、それぞれ部分切除して乳房温存する事は可能です。ただし、単発の場合に比べて、多発の場合は若干乳房内再発のリスクは高くなると考えていた方が良いでしょう。もちろん生命予後(生存率)を左右するのは術後の薬の治療ですから、どちらの手術でも生命予後は変わりません。
2) 超音波検査でリンパ節が腫れているからといって必ず転移がある訳ではありません。転移の可能性があるということです。必要があれば、リンパ節に針を刺して細胞の検査をします。
3) セカンドオピニオンは受けた方が良いと思います。特に貴女のように、自分の望む治療と主治医が提示する治療法が異なっている場合は、第3者の意見を聞く事は、自己決定の役に立つと思います。全摘出する理由は、がんが進行しているからではなく、温存した乳房にまたがんができる(乳房温存手術と温存乳房への放射線照射で、乳房内にまた乳がんができる確率は約5%)事を防ぐことです。勘違いしないでください。(文責 清水)

 

No.9841-1】  10年09月18日  M 
両乳房癌になって

37歳の時に左乳房全摘手術をし、ステージ1、悪性度3、ハーツ3で、抗がん剤治療をしました。その後5年たった今、右乳房に新しい8mmの癌があり、転移もみられず早期だそうです。右に今後どうなるかわからないしこりが1つあり、まだ乳腺も活発だそうです。今度は温存手術にするか全摘にするか、迷っています。先では再建も考えています。身内に乳がんや卵巣がんの人はいません。2回なるということは、なりやすい体質なのでしょうか。2回なるということは、再発率や生存率も大きくかわるのでしょうか? 教えてください。
また、私が診てもらっている病院では、皮下乳腺全摘手術は実施していないのですが、乳房全摘手術との違いを教えてください。1回目と同じ手術をした病院のほうがいいのでしょうか? 色々質問しましたが、宜しくお願いします。

右の乳がんについてだけ考えれば、乳房温存療法が推奨されると思います。左全摘後を考慮すると、右も全摘して同じ大きさに再建するという選択肢もあります。これはあくまでも貴女の考え方によります。反対側の乳がんになる確率は年率0.7−0.8%程度と言われ、年数が経つにつれ、その頻度は高くなります。ですから、片方の乳がんになった人が反対側の乳がんになる確率は、一般の人が乳がんになる確率の約10倍と言われています。そういう理由で、術後経過観察のガイドラインでは一年に一度のMMGが推奨されています。両側乳がんの再発率、生存率が低いという事はありません。皮下乳腺全摘と乳房全摘の違いは、乳頭が残るかどうかです。組織拡張器(Tissue Expander)を挿入し、将来的にシリコンバッグによる再建を考えるのであれば、皮下乳腺全摘が勧められます。同じ病院で手術をする事で、左右の乳がんの病理を簡単に比較できるメリットがあります。病院が異なれば、前の病院から右の乳がんのプレパラートを借用する手間が生じます。逆に言えば、その手間を惜しまなければ違う病院でもOKという事です。(文責 清水)

 

No.9841-2】  10年10月16日  M 
術後治療について

前回投稿しましたHPNo.9841です。御親切な回答有難うございました。9/29に右胸全摘術をしました。病理検査の結果、0.8×0.5cm浸潤径0.8cm 腫瘍の細胞グレード1 核異型グレード1 ER陽性90〜100% PgR陽性40〜50%でホルモン反応ありでした。 ハーツ1+ 脈管侵襲:陰性 血管侵襲V:陰性 腋かリンパ節転移個数0個でした。全摘でわかったのですが、他に2つ癌がありました。0.3×0.2cmのLCISと、0.2pのDCISです。そこで、ホルモン療法をするか、又は無治療という選択肢を与えられました。生理が二ヶ月ぐらいきていないので、注射でホルモンの状態を検査しました。まだ結果はわかっていませんが、それによりtamaoxifenのみになるかもしれません。子宮筋腫が5年位は少し小さくなり、3cm未満位です。出来れば、子宮がんの心配をしながら治療するより無治療でいきたいのですが、迷っています。年齢42歳です。あと食べ物なのですが、乳製品、ヨーグルト、大豆食品は控えたほうがいいのですか? よろしくお願いします。

御質問どうもありがとうございます。乳房全摘を選ばれたのですね。結果的に、超早期の乳がんも他に発見されて、正しい選択であったと思います。さて、8mmの浸潤がんに対する追加治療ですが、もし非浸潤がんのみであれば追加治療は必要なかったと思います。しかし、浸潤がんが見つかったことからホルモン治療はおこなった方が良いと思います。原則は、卵巣機能抑制の注射2年と、内服タモキシフェン5年間になると思います。無治療にするかどうかは、はじめてみてつらければそういう選択肢を選ばれてもよいとは思います。よく先生とご相談くださいね。食事は気になさらなくて結構です。また御質問をお待ちしています。(文責 高橋)

 

No.9840】  10年09月18日   JM
ホルモン治療について

現在45歳です。4年前イギリスで乳がん手術、抗がん剤を経て、ホルモン治療でタモキシフェンの服用を始めましたが、副作用がきつく、血液検査で閉経状態にあるとのことだったので、ホルモン剤をアロマシンに変えました。アロマシンを服用してすぐ生理が来て、再度ホルモンの状態を調べたのですが、やはり閉経状態とのことで、そのままアロマシンを継続するように言われました。ドクターは不正出血を疑って子宮を調べましたが、子宮がんもなく、子宮に問題なしでした。また最近生理が来ました。ドクターは、血液検査は閉経状態なので、そのままアロマシンを継続するように言っています。血液検査で閉経状態なのに、どうして生理があるのでしょうか? 生理があるのにアロマシンを続けても効果があるのでしょうか? ドクターに聞いても「続けるように」と言われるばかりです。よろしくお願いします。

アロマシンを内服しながらの血液検査では、正確な閉経状況を確認できないのではないかと思います。私は、生理が戻ったならTamoxifenに戻すか、副作用が強いなら内服中止ではないかと思います。(文責 清水)

 

No.9839】  10年09月18日   A.U. 
乳がん手術後の治療方法について

7月下旬に乳房円状部分切除術+センチネルリンパ節生検を受けました。病理結果は以下のとおりです。
腫瘍径:1.0cm×1.0cm×1.0cm、広がり1.6×1.5×1.0cm、 がんの種類:浸潤がん(乳頭腺管がん)、 切除断端:陰性(−)、 波及度:乳腺、 リンパ管侵襲:−、 血管侵襲:−、 エストロゲン(ER):(+)10%、プロゲステロン(PgR):(+)10%、 組織学的悪性度(核異型度):グレード2、 HER2/neu:陽性(++)、 FISH 1.33、 MIB-1(Ki-67)細胞増殖能:70%、 リンパ節転移:1個中0個

このような結果で、術後治療法は、抗がん剤(3週間に1回、半年)→放射線治療(25回)→ホルモン治療(5年間)となりました。トリプルネガティブに近いということ、増殖能がとても高いということで、抗がん剤投与も行った方がよいということです。しかし抗がん剤治療を行うかどうかは私自身の判断とも言われており、抗がん剤治療、ホルモン治療全て行うべきなのかとの迷いもあります。迷いを払拭してから治療を受けたいと思い、ご相談する次第です。このような病理結果で、術後の治療方法について如何お考えか、お聞かせいただければ幸です。

あなたの乳がんの病理結果からは、化学療法+内分泌療法が勧められると思います。年齢がわからないのでAdjuvant Onlineはたたけませんが、2009年のSt Gallenのコンセンサスでは内分泌療法だけでよいという因子は大きさとリンパ節転移で、化学療法を推奨する因子はKi-67が高い事です。それ以外は選択に影響しない因子です。そうなると、やはり化学療法を併用する事が推奨されます。あとは、お金があればOncotype Dxを受けてみる事でしょうか。(文責 清水)

 

No.9838】  10年09月17日   H.Y. 
ホルモン剤の継続について

5年前の夏に1.3cmの乳癌の温存手術を受けました。センチネルリンパの検査は陰性(−)でしたが、浸潤がん、断端陽性だったため、2回の追加切除を受けました。その後、放射線治療を30回(25回+5回)、ホルモン剤(アリミデックス)を昨年夏まで飲み、その後アロマシンを今年夏まで飲み、5年が経過しました。主治医にホルモン剤の継続の件で伺いましたが、「10年服用のデータがまだ出ていないこと、骨粗鬆症が進むのでやめてもよいかな」とのことでした。あとは、半年ごとに経過を見て頂くことになります。現在腰痛や膝関節の治療で整形外科にかかり、「カルファーリードカプセル1.0μg」と「ボナロン錠35mg」服用していますので、もうしばらくホルモン剤を服用してみようとも思っています。ご意見をお伺いしたくよろしくお願いいたします。

ご相談ありがとうございます。術後の長い治療がやっと一段落したところですね。今後の治療方針のお悩みが、私のお返事で少しでも解消できれば嬉しく思います。さてホルモン剤(アロマターゼ阻害剤)5年間内服後の、さらに長期内服した場合の追加効果についてですが、現時点では一定の見解はございません。国内や国外のガイドラインにも内服を継続すべきであるという記載はありません。従って無理に継続する必要はなく、現在の骨粗しょう症の状態をご担当の先生と相談しながらお決め頂くのがよろしいと考えます。(文責 斎藤)

 

No.9837】  10年09月17日   Y.Y.
ホルモン療法と生理 

現在46歳。2007年10月に温存手術を受けました。病理の結果は、1.4cm×1.3cm 浸潤癌(硬癌) リンパ節転移なし 組織学的異形度 U ER90% PgR95% ハーセプ1+です。切除部分で採りきれているとの判断にて、25回の放射線後、ゾラディクス・ノルバデックスのホルモン療法を行っています。昨年12月にホルモン剤服薬のみとなり、治療開始よりずっと無月経でしたが、先日チョコレート色のおりものが出て、その直後から生理時のような腰痛・腹痛があり、5〜6時間のうちに普通の経血の色・量となりました。

1) 閉経状態で、そのまま閉経の可能性は高いと言われましたが、この状態は生理なのでしょうか?
2) 生理であるとすると、今まで通りホルモン剤服用のみで良いのでしょうか? 体の中で、どうなっているのでしょうか?
3) 妊娠の可能性はありますか?

ご相談ありがとうございます。お体に色々なことが起こってしまうと、やはり不安になってしまいますよね。私のお返事で少しでも不安が減ることが出来れば嬉しく思います。さて現在の状態が生理かどうかですが、これは一度婦人科の先生にご相談なさった方がよろしいかと思います。この際は内診以外に採血等も行うと思います。ホルモンの採血により、ある程度現在の生理の状態が予想できます。生理であった場合は、妊娠の可能性はあると思って頂いてよろしいと思います。現在ノルバデックスを内服されていらっしゃいますので、妊娠には注意が必要です。生理が戻った場合の
治療法ですが、術後3年しか経過していないことを考慮すると、ゾラデックスを再度使い始めるのも一つの方法ですし、ノルバデックスのみを継続するのも治療法の一つです。まずは婦人科を受診して頂き、生理なのか不正出血なのかを診断して頂く事が大切かと思います。(文責 斎藤)

 

No.9836】  10年09月17日   R.N. 
水泳

34歳です。リハビリを兼ねて、水泳を行いたいのですが、術後どのくらい期間をあけたらプールに入れるかを教えていただきたいです。今年の2月に、右乳房全摘出リンパ節かくせい。同時再建でエキスパンダー挿入しました。先月8月20日にシリコン入れ替え手術をしました。現在は抜糸もすみ、経過良好で、テープ両療法しています。水泳といっても水中ウォーキングや、マイペースにゆっくり泳ぐ程度です。ご享受願います。

ご相談ありがとうございます。手術が完全に一段落した状態ですね。創の詳細は分かりませんが、すでに抜糸も終了した状態であれば、運動は構わないと思います。ただし、まだテープを貼っていらっしゃる状態との事ですので、念のためご担当の先生にお聞き頂いた方がよろしいと思います。ぜひ水泳以外にも、気分転換として、様々なことに挑戦してみて下さい。(文責 斎藤)

 

No.9835】  10年09月17日   T  
リュープリン

3月に右乳腺を全摘しました。38才、リンパ転移1個、ホルモン陽性、HER2陰性で、中間リスク群でした。その後、TC療法を4クールし、8月よりタモキシフェンを服用しております。さて、卵巣機能抑制もすべきかどうかについて悩んでおります。TC療法開始前に、効果は不明ながらも卵巣機能保護目的で3ヶ月製剤のリュープリンを打ちました。TC療法終了直前に2回目のリュープリンを打ちました。ご質問させていただきたいのは、リュープリンを継続すべきかどうかです。抗がん剤終了後の血液検査では、薬で卵巣機能が抑制されている状態であると考えられるということです。主治医は、抗がん剤を行ったので、タモキシフェンだけで十分で、リュープリンも行うのは過剰ではないか、ということです。当方としましても、過剰(やっても効果なし)であれば、行いたくないのですが、術後2年間は行った方がいいのかな、とも考えおります。また、リュープリンが切れた後リバウンドでホルモン量が増えることがあるということもネットで拝見しました。先生はいかがお考えでしょうか? ご教示のほどよろしくお願いします。

ご相談ありがとうございます。私のお返事で少しでも疑問が減れば嬉しく思います。抗がん剤使用に伴う無月経状態に対するリュープリンの使用に関してお返事させて頂きます。最新の乳がん診療ガイドラインでは、「40才未満では化学療法で無月経になる頻度は低く、月経が回復する割合も低くないため、化学療法後にリュープリン等を使う意義は大きい」と記載されています。ただし十分な科学的根拠はないため、細心の注意のもとに行うことを考慮しなさいとランク付けされています。したがって、ご担当の先生とよくご相談の上、後悔のないような方法をご選択することがよろしいと考えます。(文責 斎藤)

 

No.9834】  10年09月16日   N.M.
手術方法について

5年前に左乳房全摘手術をし、ステージ1でした。そして5年目に新しい癌が右にでき、検査では早期の癌と言われました。皮下乳腺全摘手術か、乳房全摘手術か、温存か、迷っています。また、乳腺全摘と乳房全摘でしたら、どちらが再発の危険がないのか教えて頂きたいのですが・・・。42歳で、乳腺が活発と言われました。

再発という言葉が紛らわしいのですが、大きな意味での”乳がんの再発”には、肺や肝臓、骨などに転移する”遠隔転移”と、温存手術後の乳房内、もしくは乳房切除後の胸壁に再発する”局所再発”があります。手術の方法を考えるときに、乳房全摘(正確には乳房切除)でも、皮下乳腺全摘でも、乳腺部分切除でも、”遠隔転移”の危険性は同じなので、生存率に差はありません。しかし、局所再発の危険性は、残す部分が大きくなればなるほど高くなるので、乳腺部分切除であれば温存した乳房内にまたがんができる危険性があり、皮下乳腺全摘では温存した乳頭に再発する危険性があります。乳房切除なら温存した乳腺組織はないので、その危険性はゼロのようですが、実際は切除後の胸壁、皮下に再発する危険があります。このことをよく考えて手術方法を選択して下さい。蛇足ですが、貴女の場合なら、皮下乳腺全摘+両側再建(一期的に組織拡張器を挿入)という手術もオプションの一つとして考えられると思います。”乳腺が活発”という発言は、医学的な言葉ではありませんので意味不明です。(文責 清水)

 

No.9833】  10年09月16日   M 
痛み止め

乳がんのため、抗がん剤治療中です。先日、白血球を上げる注射をやった際に、「腰が痛くなったら痛み止めを、家にバファリンがあれば、それでもいいですよ。」と言われ、薬は出してもらいませんでした。しばらくして腰が痛くなったので、痛み止めなら何でもいいのかと思い、イブを飲みました。腰の痛みもなおり、何の異常もなかったのですが、抗がん剤関係の本にイブはだめとありました。バファリンにも今いろんな種類があります。どれを飲めばいいのでしょうか? 私は生理痛もひどいので、いつもイブを飲んでいるのですが・・・。それから、風邪薬も市販の薬は抗がん剤治療中は飲まないほうがいいのでしょうか? これから風邪の時期なので心配です。またインフルエンザの予防注射とかは、やったほうがいいのでしょうか?

イブというのは、調べたところイブプロフェンを主成分とする鎮痛薬です。病院で使われるブルフェンと同じ薬剤です。ブルフェンを抗がん剤治療中に使っていけないということはありませんので、イブを内服しても問題ないと思います。バッファリンはアセチルサリチル酸と緩衝制酸剤を混ぜた薬ですが、その後、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどを主成分とする鎮痛薬も作り、”バッファリン****”という成分の違うバッファリンがたくさん作られました。いずれの成分も抗がん剤との併用で問題になることはありません。主治医の先生の発言は、自分の使い慣れた痛み止めを使って下さいという意味だと思います。同じ理由で市販の風邪薬も問題ありませんが、抗がん剤治療中は風邪かどうかの判断が難しいので、基本的には主治医の先生に相談する事をお勧めします。またインフルエンザの予防接種も、問題ないから接種してインフルエンザを予防する事が大切という考え方と、抗がん剤治療中は抵抗力が下がっているので副作用が心配だから接種しないで、もしインフルエンザにかかったら抗ウィルス剤で治療しましょうという考え方があります。どちらの考え方が正しいかは、調べられていませんからわかりません。一般的には後者の考え方の医師が多いように思いますが、使っている抗がん剤の種類、抗がん剤の副作用の程度、抗がん剤治療とワクチン接種のタイミング、家族環境(老人や乳幼児と同居しているか)などを勘案して、主治医の先生とよく相談して決めて下さい。(文責 清水)

 

No.9832-1】  10年09月16日   M.I
妻の治療法について

はじめてメールさせていただきます.私の妻の治療法についてご相談があります.
私の妻は,2004年に乳がんを発症、手術いたしました。そのときは全摘出手術(リンパ節郭清)後、放射線治療、抗がん剤治療、ホルモン治療を行い、3年ほど前にホルモン治療も終了、その後は経過観察となっておりました。当時、抗がん剤治療による脱毛の副作用に拒絶反応を示していたため、脱毛の少ないCMFを選択しました。そして、今年反対側の乳房にがんが見つかり(他臓器への転移は認められておりません)、今後の治療法で悩んでおります。生検の結果、ホルモン受容体陽性、ハーツーは2+とのことで、フィッシュ法で検査しているところです。やはり、今回も脱毛に強い拒絶反応があり、脱毛の少ない抗がん剤を希望しております。先生からは、選択は出来るという話は頂いておりますが、話の中の言葉からは、出来れば脱毛のある抗がん剤を薦めたいという印象が強く感じられます。それでも悩んでいる妻を見て、とりあえずホルモン剤からはじめてみましょうということで、今はホルモン剤を服用しています。再発の場合、ホルモン治療が第一選択として妥当なものか? 抗がん剤は脱毛のあるものを選択するということが一般的なのか? ホルモン剤と脱毛の少ない抗がん剤との併用はありえるのか?等,分からないことだらけです。
今は薬も進んでいて、脱毛の少ない薬も出てきていると聞きました。私は、妻が元気になることだけを願っているのですが、本人の治療への意欲も重要ではないかとも考えています。今後どういう治療をしていけばよいのか、一般的なご意見で構いませんので、よきアドバイスをいただけると幸いでございます。よろしくお願いいたします。

ご相談ありがとうございます。奥様のご病状ご心配の事と推察致します。私のお返事で少しでも疑問が解消されれば嬉しく思います。
さて、乳がん術後6年の対側乳がんに対する治療に関してアドバイスさせて頂きます。今回の乳がんの大きさ等の状態が不明なのですが、一つは他の臓器転移が無ければ手術を行うことも一つの方法と考えます。また転移と考えて治療を行う場合は、ホルモン治療が行える場合は、ホルモン治療から行うことが一般的です。ホルモン治療が全く効かない場合は、直ぐに抗がん剤に変更しますが、ホルモン治療に少しでも効果があった場合は、ホルモン治療で使えるお薬が無くなるまでホルモン治療を続けます。またホルモン治療と抗がん剤の併用は一般的ではありません。これは効果があった場合、どちらのお薬に効果があったのか分からなくなってしまうからです。最近の抗がん剤には脱毛が起こりにくいお薬もございます。ご本人の希望を最優先にして、ご担当先生と治療に関して良くご相談してみて下さい。奥様は、このように心配して下さるご主人がいらして、さぞ心強いのではないかと思います。(文責 斎藤)

 

No.9832-2】  10年09月20日   M.I
妻の治療法について(2)

ご回答ありがとうございます。ホルモン療法から行うことが一般的とのアドバイスに希望が持てました。妻も治療への意欲が出てくると思います。再度質問させていただきます。ホルモン療法で使える薬がなくなるまでホルモン療法を続けるとのことですが、現在ノルバデクスを服用しているのですが、持続性というのは、どれくらいの期間あるのでしょうか? 人それぞれ薬の効き方は違うとは思いますが、先生方のご経験のなかからでかまいませんので、ホルモン療法の継続期間を教えていただけないでしょうか? よろしくお願いいたします。

片方の乳がんの手術後に反対側の乳がんを発症した場合、それが最初の乳がんの転移なのか、異時性両側乳がんなのかの鑑別が重要です。一般的には転移より異時性両側乳がんの頻度の方が多いのですが、まずは主治医の先生にそこのところを確認してください。No.9832を拝見すると、奥様は異時性両側乳がんではないかと推察いたします。そうなると、今後の治療は今回の乳がんの病理検査結果をもとに、乳がん術後治療のガイドラインを参照して決める事になります。まずはきちんと手術(部分切除+センチネルリンパ節生検)を行うことが肝心と考えます。少なくともER陽性乳がんである事はわかっているのですから、ホルモン療法が有効な事はわかっているので、あとは化学療法を追加するメリットがどのくらいあるかの評価にかかってきます。術後補助療法としてホルモン療法を行なう場合は5年が原則です。万が一再発である場合はホルモン療法が第一選択になりますが、もし閉経前であれば、閉経させる事が最初の治療になります。ホルモン療法の奏効期間は、患者さんによって様々です。(文責 清水)

 

No.9831】  10年09月16日   KK
リュープリンの使用期間に関して

37歳女性です。3年前に乳がんの手術を受けました。腫瘍の状況及び、これまでの治療は以下の通りです。

・腫瘍径:1.3×1.8×2.8 cm  ・乳頭腺管がん(主に乳頭管状がんで中心壊死部に面疱がんを含む) ・腋下リンパ節転移:2個/6個 ・ホルモン受容性  ER:+(ほぼ全ての腫瘍に陽性) PgR:+(ほぼ全ての腫瘍に陽性) ・核グレード:グレード2(核異型2 核分裂像の数:2) ・組織グレード:グレードII (腺腔形成度2 核異型度2 分裂像数2) ・Her2:陰性 score1+(ごく少数の腫瘍細胞の細胞膜に弱陽性) ・リンパ管浸襲:+  ・血管浸襲  :+

<治療>
・乳房温存手術 ・抗がん剤(CEF75→パクリタキセル) ・放射線(通常照射+ブースト) ・ホルモン療法(リュープリン+ノルバデックス)

リュープリンの皮下注射を始めて3年が経ち、主治医からは通常は3年で終了しているため、止めてノルバデックス(あと2年)だけにしたらどうかと提案されています。しかし、高リスク者に対しては、リュープリン5年という選択肢も取られているのではないかと思います。若年での罹患で、リンパ節転移もあったこと、また、後々後悔したくない気持ちもあり、私としましては、もうしばらくリュープリンを継続したいと考えています。リュープリンの使用継続の是非や適正な使用期間につきまして、ご意見を頂けましたら幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。

ご相談ありがとうございます。乳がん術後ホルモン治療中でリュープリンが3年間終了したところですね。これからも使用し続けるかどうか迷ってしまいますね。私のお返事で少しでも疑問が解消できれば嬉しく思います。
残念ながら、リュープリンの最も効果的な投与期間は現在分かっていません。今までの多くの試験が2〜3年間の投与期間であったため、現在私たちはこの期間を目安にしていますし、乳がん診療ガイドラインにもそのように記載されています。欧米の先生方には、症例によって5年間投与することを勧めている先生もいらっしゃいます。閉経状態を長期間維持することは、骨粗しょう症等の問題も出てきます。したがって、現在の自覚する副作用や骨密度等の副作用がリュープリン継続を許せる範囲内であれば、リュープリン継続も一つの選択肢になると考えます。現在ご担当頂いている先生とよくご相談の上、お決め頂くのがよろしいのではないかと思います。(文責 斎藤)

 

No.9830】  10年09月16日   O 
今後の治療について

初めてメールします。46歳です。8月の市民検診で、乳がんの疑いがあるので細胞検査ができる病院で検査するように言われました。一般外科の中に乳腺科のある病院で検査(MRI・CT・超音波・RI・病理組織)した結果、乳管がんであると診断されました。両方の胸に5p位のがんの広がりがあります。肺や骨などには異常がないのですが、リンパが腫れているようです。前にいったことのある病院だったということで再検査に行ったのですが、日本乳癌学会認定医・専門医関連施設とあるのですが、乳腺科の担当の先生は認定医や専門医ではないようです。全摘出の手術後、抗がん剤やホルモン治療ということをすすめられています。経験などがない病院で手術を受けるのがとても不安なので、ほかの認定医や専門医のいる病院に移りたいのですが、がんの広がりが広範囲なことや、リンパの腫れを考えると、他の病院で、これからまた1〜2カ月待つことになると思うと不安です。他に移るより、このまま治療に入ったがいいのでしょうか? もし他の病院に移るとすると、今までの検査はまたやり直しするのでしょうか? また、先生にはどのように切り出すのがいいのでしょうか?

ご相談ありがとうございます。乳がんと診断され、これからの治療の事をお考えになると、いろいろなご不安がおありと思います。私のお返事ですこしでも不安が減れば嬉しく思います。
さて、手術から術後の治療をどこでお受けになるのがよいのかは、大変悩んでしまうと思います。まずは単刀直入に、ご担当の先生に、どれくらい乳がん診療のご経験がおありなのかをご質問するのがよろしいのではないかと思います(私も時々質問を受けます)。また治療内容に関して不安であれば、セカンドオピニオンを受けてみるという方法もあります。この際はご自身でセカンドオピニオンを受ける病院の予約をお取り頂き、必要な資料をお聞きして、検査をして頂いた現在の病院にお願いして資料を用意して頂くという手間が必要になります。また自費診療であり、普段の診療よりも料金がかかります。他の病院に移る場合、いくらかの検査はやり直すことがありますが、全てやり直すことは少ないと思います。先生にどのように切り出すかは大変難しいご質問ですが、例えば「実は家族(や親戚)から聞くように言われたのですが・・・」などと切り出すのががよろしいのではないでしょうか。最終的には、Oさんご自身が一番安心して今後の治療を受ける病院を御選択することになります。この選択する要素としては、病院の規模や、ご自宅からの通院のしやすさ以外に、ご担当の先生との相性なども加味してお考え頂くのがよろしいかと思います。診断が悪性であると、どうしても早く治療を受けなければいけないという気持ちになりますが、今後の長い治療期間や通院のことを考えると、焦らずにじっくり病院を選択することは、とても重要なことだと思います。(文責 斎藤)

 

No.9829】  10年09月16日   I.M. 
今すぐホルモン療法を開始した方が良いでしょうか?

いつも拝見させて頂いております。今回初めて相談させていただきます。32歳女性です。Adjuvant Onlineで再発率を調べたいのですが、お恥ずかしながら使い方がよく分からず、メールさせて頂きました。今年1月に右乳癌(1.7cm)+リンパ節転移が発覚し、ステージ2Aと診断されました。そこから2月〜7月に術前化学療法(アントラサイクリン→タキサン)を行い、8月に温存手術+リンパ節廓清(Lv.2)しました。これから放射線治療→ホルモン療法予定です。病理結果は以下の通りです。
腫瘍径:0.9×0.7cm(1月1.7cm→4月1.4cm→8月0.9cmという経過です)、 種類:浸潤性乳管がん(硬がん)、 リンパ節転移:4個(切除数:21個)、 エストロゲン:強陽性(allred score:7)、 プロゲステロン:強陽性(allred score:7)、 組織学的悪性度:グレード1、 HER2蛋白:陰性(IHC:1+)
リンパ転移が4つもあって少しショックを受けています。ホルモン強陽性のために一刻も早くホルモン療法開始したいのですが、放射線治療後になるために11月開始予定ということで、不安と焦りを感じております。以下2点につきまして、ご教示の程お願いいたします。

1)  無再発率は何%でしょうか?
2)  主治医にお願いして、今すぐホルモン療法を開始した方が良いでしょうか?

お忙しいところ大変恐縮ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

ご相談ありがとうございます。術前化学療法後の手術が終わり、治療として体に大きく負担のかかる部分が終わったところですね。しかし、手術後に病理学的に色々な結果が出てきて、ご不安も多いことかと推察いたします。私のお返事で、このご不安が少しでも減れば嬉しく思います。

1) Adjuvant Online!ですが、これは乳がん術後患者さんの術後治療を行うことによって得られる効果を予想するために開発されたシステムです。従って術前化学療法を行ったあとの病理学的な結果を使用して、様々な効果を予想することは適当ではないと考えます。
2) ホルモン治療と放射線治療の併用についてですが、併用することで効果が高まるという報告は私の知る範囲ではないと思います。ご担当の先生は、おそらく併用することで予想しない副作用が起こることを心配され、放射線治療後にホルモン治療を予定されているのだと思います。大変丁寧に治療をなさっている先生だと思います。もしどうしてもホルモン療法を直ぐに開始したいとお考えであれば、ご担当の先生に申し上げてみるのも、一つの方法と思います。(文責 斎藤)

 

No.9828】  10年09月16日   M
マーカー&ホルモン療法

いつも大変勉強になります。2005年2月手術、1.5p粘液癌(pure)、リンパ節転移なし、放射線30回、タスオミン→アロマシンで通算5年飲み、その後は主治医の、飲まなくても良いだろうというご判断で、投薬なく4ヶ月経っています。
1) 最近、その当時聞いてなかったki67が50%、p53が(−)ということを聞きました。増殖力が早くて、p53が(−)というのは、どう解釈したらよいのでしょうか?
2) ホルモン療法も長くなっているようですが、担当医が代わり、また今からホルモン剤を飲むことは可能かお聞きしたら、飲むとしたらアロマシンとのお答え。私はフェマーラと思っていたので、保留にして帰ってきてしまいました。これは、「ノルバデックス5年よりもノルバデックスから途中でアロマターゼに変更して5年のほうが良い」、更に「ノルバデックス5年にフェマーラを5年追加すると良いと」いうことから、私が勝手に「ノルバデックス→アロマシン→フェマーラ」と思っていただけで、こういう式は成り立たないということでしょうか? 症状が落ち着いていればアロマシン継続で、何か変化があったらフェマーラに変える、または飲まなくても良い、という意味なのでしょうか? お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

ご相談ありがとうございます。私のお返事で少しでも疑問が解消できれば嬉しく思います。以前は乳がん術後の検査では一般的でなかった新しい情報が最近はどんどん出てきていますので、心配になってしまうこともあるかもしれません。
1) Ki67が高い事は、細胞の増殖能力が高いことを意味していると言われています。しかし、これは現在検査方法が統一されてなく、また何%以上を高発現とするのかは決定していません。p53に関しては、これが過剰に発現している乳がんでは組織学的悪性度が高く、予後が悪いという報告もあります。どちらも一般的な検査ではなく、術後の化学療法を行うか行わないか、迷ったときに参考にする項目の一つとお考え頂ければよろしいかと思います。術後5年6ヶ月が経過した時点でこれらが分かったとしても、治療方針が大きく変更することはないと思って頂いてよろしいと思います。
2) ご質問を要約すると、「タスオミン→アロマシンとお薬を途中で切り替えて5年間内服後の状態から、さらにアロマターゼ阻害剤を飲む意味があるか?飲む場合はどのお薬が良いのか?」というご質問と思います。ホルモン療法を切り替えて5年間内服した後に、さらにアロマターゼ阻害剤を5年間内服することは、理論的には再発を抑制すると予想されていますが証明されてはおらず、また副作用の程度も分かりませんので、お勧めはできかねます。また、このため飲み続ける際に、どのお薬が最も効果があるのかも不明です。骨粗しょう症等の問題もありますので、ご担当の先生と良くご相談してみて下さい。(文責 斎藤)

 

No.9827-1】  10年09月16日   S/K
今後の治療について

右側の胸に石灰化(壊死型)が広範囲にあり7月の半ばに乳癌の部分切除を行いました。リンパ節もレベルUまで取りました。8月末に病理結果をもらい、断片陽性でした。今後の治療について悩んでいます。私の癌の状態は以下のようです。
浸潤癌(一般型で硬癌)、リンパ節転移あり(1か所)、脈管浸襲→高度、核異型度→3、ER(−)、PgR(+)、HER2(0)、断片陽性の箇所は3か所ありました。乳頭直下で浸潤癌(浸潤径1,1×0,4p)、皮膚側で切離端直下に乳管内に進んでいる癌、内側で浸潤癌。
断片陽性の部分も多くリンパ節転移があったうえに癌の顔つきも悪いため、再手術(全摘希望)を先に行う方が良いのか、化学療法を先に半年間行う方が良いのかわかりません。今現在、治療はなにも行っていません。わからないことが多く、小さなことでも構いませんので細かい選択ポイントも教えていただけませんでしょうか。どうぞよろしくお願い致します。

ご相談ありがとうございます。私のお返事で少しでも不安が解消できればうれしく思います。
まず切除断端陽性への対応ですが、陽性の部位が3カ所ありますので、部分的な追加切除よりは全摘術をお受け頂くことをお勧め致します。とくに内側がどの範囲にまでがん細胞があるのかは、今後の再発を予想する上で重要な要素になると考えます。また全摘術を行う場合、病院によっては全摘と同時に再建術を行う方法を選択できる場合もあります。全摘の際には、これらをご担当の先生と良くご相談下さい。全摘術終了後にしっかりと化学療法をお受け頂ければよいのではないかと思います。治療はまだ始まったばかりですが、ぜひ頑張って頂きたいと思います。(文責 斎藤)

 

No.9827-2】  10年11月29日   S/K
抗がん剤の選択について

HPNo.9827(2010/9/16)でご相談させていただいた者です。本当にありがとうございました。断端陽性が3か所ありましたので、あれから主治医に再手術をお願いしましたが、すぐには出来ないとのことで、抗がん剤での治療を勧められました。今はAC療法が4回終了したところです。12月、次の抗がん剤に入りますが、使用する薬剤について悩んでいます。はじめはパクリタキセル(1週間に1回の方)と言われました。しかし私はアルコールに弱く、特に程度も聞かれぬまま、ドセタキセルにすると変更されました。

1) アルコールに弱いとパクリタキセルは使えないとは、どの程度弱い人に対してなのでしょか? どの程度飲めるなら、湿疹が出るような人でなかったら等、何か目安を教えていただけませんか?
2) 効果だけを考えるとしたら、私の病理検査の結果に対して一般的にどちらが良いのでしょうか? 私の病理検査の結果は以下になります。
 浸潤癌(一般型で硬癌)、リンパ節転移あり(1か所)、脈管浸襲→高度、核異型度→3、ER(−)、PgR(+)、HER2(0)、断片陽性の箇所は3か所(乳頭直下で浸潤癌(浸潤径1,1×0,4p)、皮膚側で切離端直下に乳管内に進んでいる癌、内側で浸潤癌)

3) 副作用は比較的どちらが強く出るのでしょうか?

どうぞよろしくお願い致します。

1) どの程度アルコールが飲めれば大丈夫かという指針はありません。飲酒で顔が真っ赤になる人でも平気な人もいます。試してみないと分からないので、危険には近寄らずということで、ドセタキセルにするのだと思います。
2) 一般的に効果はどちらでも大差ないと思います。 
3) 副作用もどちらでも大差ないと考えます。こちらも個人差に因ると思います。(文責 石川)

 

No.9826】  10年09月06日   ポポ
リュープリンについて

ゾラデックスからリュープリンに変更したところ、今まで一度も痛みのなかった股関節が痛み始めました。痛みがひどいときは、熱も出続けています。足をかばいながら(ロキソニンを飲みながら)の生活に戸惑いを覚えます。アリミデックスも服用しているので、体への負担が大きいのでしょうか。アドバイスをよろしくお願いいたします。

ゾラデックスとリュープリンは同じ効果をもち、同様の副作用がある薬剤です。HPNo.9824の質問でもお答えしましたが、閉経状態を作って、それによる閉経後のいろいろな症状(ホットフラッシュや関節痛)を出しやすいので、ゾラからリュープリンに代わったから起こった症状というより、これらの薬の副作用が変更時点で出始めたのだと考えます。アリミデックスの併用に関しても、HPNo.9824の方への答えと同様で、ごく微量産生されるエストロゲンを作らなくさせるAI剤を使用すれば、その症状は強く出るのは不思議ではないということです。本来ゾラやリュープリンとアリミデックス等のAI剤の併用は、保険では認めていないので、ビスフォスフォネート剤を併用して症状の軽減を図るか、アリミデックスをタモキシフェンに代えてもらうかの対処法が考えられます。主治医の先生と良くご相談になってください。(文責 久保内)

 

No.9825】  10年09月06日   T 
胸のしこり

先日、私の母が、病院で乳癌の疑いと医者から告げられました。大きさは、まだ1ミリちょいだと言われました。来週細胞をとり、検査などしてからじゃないとはっきり癌といいきれないが、今の段階で98%悪性癌だろうとのことでした。。私は頭の中が真っ白になり、不安でたまらなくて毎日眠れません。母の前で不安そうにしているのはよくないと思い、元気に振る舞うよに努力してますが、1人になると不安で涙がとまりません。乳癌のしこりを自分でみつけて、みつけたその日にすぐ病院に行ったのですが、しこりをみつける2週間くらい前から、しこりは左乳房ですが、右わきの下から横腹(肋骨というのでしょうか?詳しい部位の名前がわかりません)が動いたりするときに痛いと、湿布をはったりしていました。特に何をしたという覚えはないようですが、突然痛くなったようです。我慢できないほどの痛みではなく、立ち上がったりなどの動作の初めに痛いようです。今は以前ほどは痛みはないよですが、まだ少し痛みがあるようです。その痛みは乳癌と何か関係しているのか、とても不安です。乳癌のしこりは左乳房ですが、その乳癌の影響で反対側の部位が痛くなることは、あるのですか? 教えていただけたら嬉しく思います。よろしくお願いします。又、癌治療で必ずしも抗癌剤が必要とは限りませんか? 抗癌剤治療をしなくても大丈夫な時もありますか? 

1mm少々の病変で癌を疑うのは、大変困難なことだと思います。1mm位のしこりを自分で見つけられたとの事と考えます。閉経後の萎縮した乳腺組織でだったなら、1cmでも乳癌は強く疑われると思いますが、脇や反対側の胸の痛みとは関係ないだろうと類推します。腫瘍により、その「たち」が異なるので、一概には言えませんが、1cm程度の乳癌なら、かなり早期の乳癌だと思いますし、抗癌剤治療をしなくても治る確率は高いと考えます。思い悩んでいないで、まず癌かどうかの診断が先決です。そして癌だったら、その病気から治りきるような方法がどういうものかを見極めることが大切だと思います。(文責 久保内)

 

No.9824】  10年09月06日  Y.H. 
手の指の痛みについて

2007年10月に左全摘〈純粘液がん5センチ・リンパ節廓清はしていません〉、12月右温存〈乳管がん7ミリ・リンパ節廓清しました〉の手術を受け、抗がん剤、ゾラデックスの治療後、昨年7月からアリミデックスを服用しています。アリミデックスを服用後、すぐに指の関節痛は出たのですが、そんなに気にするものでもありませんでした。しかし、今年の7月から指のこわばりも朝だけではなく、一日中ずっととなり、指を曲げると凄い圧迫感を感じ、チクチクしたりピリピリしたりというのもあります。関節通もありますが、こわばり、圧迫感の方が凄いです。7月半ばに薬が切れて1か月半空いてしまいましたが、その間も痛みは無くなることはなかったです。それまでは薬を飲まないと痛みは無くなっていました。ほかには足の平が痛くなるくらいで、こちらは時間が経てば痛みは無くなります。5月の定期検診では異常なしです。ただ骨の検査はしていません。先日、主治医は、様子をみましょうということでしたが、整形外科などで一度見ていただいた方が良いのでしょうか。それから、荷物<3キロ弱ぐらい>を持ち歩くと、毎回全摘した方の左の鎖骨あたりに痛みが出るのですが、これは全摘と関係がありますでしょうか。荷物を持つと、凄く肩が下に引っ張られるような感じがあります。ちょっと酷いと、ご飯ちゃわんを持っただけで鎖骨あたりに痛みが出ます。お忙しい中、申しわけありませんが、よろしくお願いいたします。

ゾラデックスを使用したということは、閉経前のホルモン受容体陽性乳癌ということでしょう。現行の健康保険では、アリミデックス(等AI剤)は閉経後ホルモン受容体陽性乳癌のみに適応ですので、保険が通らないので、この両者の併用をしない施設が多いと思います。(大学病院やがんセンター等では保険の査定が甘く、使っているところも有るとは効きます:本来薬効上は良く効くはずでしょうが・・・)
ゾラデックスが閉経状態を作って、それによる閉経後のいろいろな症状(ホットフラッシュや関節痛)を出しやすい上に、ごく微量産生されるエストロゲンを作らなくさせるAI剤を使用すれば、その症状は強く出るのは不思議では有りません。@我慢をして投薬をつづけるのか Aビスフォスフォネート剤を併用して症状の軽減を図るのか Bやや有効率が落ちますが(でもゾラ投与前は閉経前だったので本来こちらの方が適応ですが)タモキシフェンに代えてもらうか、のいずれかの方法が考えられます。鎖骨の件は全摘の方に特有の症状ではありません。整形外科で一度見ていただいてもらった方が良さそうです。(文責 久保内)

 

No.9823】  10年09月06日  U 
肩およびリンパ周辺の鈍痛について

現在35歳、3年前に生検にてステージUaのガン摘出、ホルモン受容体陽性で、患部が乳房の下側だったためセンチネルリンパ節生検を行い、リンパ転移なし、CEFおよびタキソテール各3クール後、放射線25+部分5照射。その後2年間ホルモン治療(ゾラデックス+ノルバ)を続け、妊娠希望の為、現在は3カ月ごとに超音波検査のみの無治療中です。生理も復活し、今生理前です。今回相談したのは、術側の肩から背中にかけて鈍い痛みがあり、乳腺と思われるあたりを押さえると痛みがひどくなり、しこりのようなものさえ感じるようで、とても不安に思ったからです。左側の乳房は乳腺が張っているのが分かりますが、右側にはありません。以前にも一度こういった症状があったのですが、その時は差し込むような痛みで、ちょうど仕事でストレスを抱えていたので、肋間神経痛だと思っていました。これは単純に生理前の痛みなのでしょうか。もともと生理痛はひどく、生理前から気分的にも落ち込むタイプです。ご回答よろしくお願いします。

StageUAの乳癌に対して十分な初期治療を行っていると考えられ、治療を中断して1年経過した状態と考えてよいのでしょうか。
乳房の局所再発なのか、肋間神経痛なのか、肋骨付近の転移なのかは、検査して調べなければ早計に判断できないと思います。ただし、癌という病気は(骨や神経を直接侵さない限り)基本的には痛みを伴わない病気です。癌そのものが痛いなら、無治療でいるうちは増殖に伴って右肩上がりに進行性に痛みが増えるはずです。生理との関係があったり、周期があったり、痛みが一過性の場合は、癌とは関係ないことが多いと思います。しかし肋骨等への転移などが考慮されれば、検査をして診断してもらうのが良いでしょう。(文責 久保内)

 

No.9822】  10年09月06日  H
乳房からの分泌物

初めて相談させていただきます。40歳2児の母です。3年前に母乳をやめた後も、乳首をつまむと両側から白いおっぱいがでておりました。断乳後何も処置をしていないから、おっぱいが出ていると思っていましたが、今も出ている状態です。先日、つまんでみたところ、右のおっぱいは白いものが出たのですが、左からは黄色っぽいものがでてきました。毎年マンモとエコーで検査しており、今年もやる予定ですが、早く病院で検査したほうがいいでしょうか? 不安でいっぱいになりました。お願いします。

授乳後の方に限らず、成人女性なら約3人に1人はミルク状や透明な乳頭分泌があっても異常では有りません。その場合は左右ともであることが多く、分泌孔は多孔性のことが多いと思います。そういう場合は正常範囲と考えて、通常のマンモやエコーの検診を受けておけば良いと思います。異常分泌とは、血性または旧血性(赤・黒・茶色・透明な黄色で粘性の高いもの)で、単孔性の場合であり、そういう時は検診ではなく乳腺外来に受診された方が良いと思います。この方の場合は検診まで待っても大丈夫だと考えます。(文責 久保内)

 

No.9821】  10年09月06日  I
ノルバデックスとアリミデックス

術後3年になります。現在、52歳です。術後、すぐからノルバデックスを服用していました。昨年の10月に生理が止まり、今年の2月の検診時に「アリミデックス」に変えるよう指示があり、それ以降アリミデックスを服用しています。ところが、6月・7月に生理があり(8月はありませんでした)、今日の検診時に「ノルバデックスに戻す必要がありますか」と質問したところ、このまま「アリミデックス」をとの指示がありました。理由は、はっきりとおっしゃってくださいませんでした。「アリミデックス」は「閉経後」に使用するのが一般的だと思うのですが、今のように「閉経かどうか微妙な時期」に服用してよいのでしょうか? 先生のお考えを教えていただけませんでしょうか?

ノルバデックスは閉経前に用いることが多いですが、閉経後でも使用します。アリミデックス等アロマターゼ阻害薬は閉経後乳癌に限って使用する内分泌療法剤です。6月・7月の出血が生理なら、アリミデックスは使用するべきではないと考えます。生理かどうかの婦人科の先生の診断も必要とは思いますが、それを含めて主治医と良く話し合われた方が良いと思います。(文責 久保内)

 

No.9820】  10年09月06日   トト
皮膚再発ではないかと心配です

22歳の時に乳がんになり、30歳の今年右乳房内再発をしました。PET検査の結果では遠隔転移はなかったので、4月に全摘しました。その後担当医からの抗がん剤の勧めはありませんでしたが、抗がん剤を3週間ごとに1回、合計4回の抗がん剤を希望しました。しかし、副作用がひどく、1回の投与で中止しました。手術した右鎖骨下に赤くプツと蚊に刺された様な血豆のようなのが皮膚にあるので、皮膚再発ではないかと心配です。これは転移に関係ありますか? ご多忙の中申し訳ありませんが宜しくお願いいたします。

【22歳の時に乳がんになり、30歳の今年右乳房内再発をしました。PET検査の結果では遠隔転移はなかったので、4月に全摘しました。その後担当医からの抗がん剤の勧めはありませんでした】の部分までは問題が無いと思います。抗癌剤をなさって、副作用のため1回で中止されたとすると、施行しなかったことと同じと考えて良いと思います。ですから局所周辺の再発の可能性は否定できません。是非主治医の診察を受けてください。(文責 久保内)

 

No.9819】  10年09月04日   K.T. 
治療方針について

H22年6月 43歳 右温存手術(術部:乳首上部) / 右腋窩リンパ節郭生:レベル1〜2
病理結果→組織:98g 7.5×8.0×2.5cm大 / 浸潤癌径:2.6cm / グレード1
核分裂数:3/10HPF / 腺管形成:2 / 核の多形成:2 /核分裂数:1
DCIS:軽度陽性 / 脈管浸潤:陰性 / 切除断片:陰性
右腋窩リンパ節:レベル1+2(0/6) / レベル2(0/2) / センチネル(0/2) 陰性
ER:腫瘍細胞40% 中程度陽性(modified J-Score 3a)
PgR:腫瘍細胞80% 高度陽性(modified J-Score 3b)
HER2:Score0 陰性 / Ki67標識率:12.7%

主治医所見:
術前MRIで2か所リンパ節の腫れを認めたためにリンパ節転移を懸念したが、結果は陰性だった。腫瘍サイズの割にはリンパ節転移も無いので、悪性度が低いのではないか。抗がん剤治療は必要ないでしょう。
治療方針:
右放射線治療50グレイ / タモキシフェン5年(ノルバデックス) / LH−RHアゴニスト製剤2年(リュープリン)
先生が明るく断言したのでその場では納得しました。しかし、中間リスク再発率を知った後はどうなんだろう?との思いです。主治医は信頼していますが、他の先生の意見も聞かせてください。

1) 先生だったらどのような判断を下しますか?
2) 抗がん剤を使うならば、9月時点では遅いでしょうか?
3) 抗がん剤を使う場合の種類は何にするでしょうか?

1)再発リスクは浸潤癌径の2.6cmだけのLuminal Aのケースですので、貴女の主治医と同じ判断です。
2)抗癌剤を使う必要は無いと思いますが、9月で遅くは無いでしょう。
3)何が効くのかは神のみぞ知るです。そんなに化療に賭けるなら、効果のわかる術前化学療法をなさった方が良かったのにと思います。「HER2(-)だからアンスラサイクリンが効き難いのでタキサン」と言う先生もおられると思いますが、絶対ではないです。

40万円位かかるのですがoncotype DXという検査をしてもらって、化学療法をした方が良いかどうか決めるのも一つの方法です。(私の患者さんでジャーナリストの方は、この方法でホルモン療法のみに決めました)(文責 久保内)

 

No.9818】  10年09月04日   M 
今後の治療について

30歳、未婚です。しこり2.6cm。昨年9月 EC4回。12月に左胸温存+リンパ廓清手術。術後、タキソテール→放射線。病理検査の結果 pCR (しこり、脇共に)トリプルネガティブのため、今は無治療です。

1) 放射線が終了した時に(6月末)、マーカーチェックだけして問題ないと言われ、次は12月で良いとの事でした。なんなら1月でも良いと。本当に半年後で良いのかと不安に思っているのですが、いかがでしょうか? また、私自身怖い事から目を背けるタイプで、なかなか主治医に質問出来ません。「言われないと言う事は良いのか?」と、認識してしまいます。なんなら1月でも…っていうのは、いい方向だからと受け止めていて良いのでしょうか? 勿論再発しないという解釈ではなく、モチベーションとしてです。
2) 最近手術側の胸にしこりがあるような気がします。手術は外側ですが、 しこりは乳頭上あたりで、長細くあるように感じます。手術した周りは固くなっていて、その流れで固くなっているだけなのか、 局所再発なのか、不安に思っています。再発の可能性はありますか? 再発でないとすると、何で固くなっているのですか?
3) 生理についてですが、ECまではありましたが、タキソテールで止まったままです。将来妊娠したいと思いますが、戻るのでしょうか? または、止まったままの方が、予後としては良いのでしょうか?

pCRで嬉しい反面、トリプルネガティブですし、若年性のため、毎日不安が消えません。先生の経験上、私の様なケースでも元気でいらっしゃる方はいますか? お忙しいとは思いますが、よろしくお願いします。

1) 術後の照射後に1回診て、その次が6ヵ月後というのも少し長すぎる気はしますが、術前化療でpCRが得られると、その方の無再発率は95%になるので、また術後にタキサンまで追加しているので、先生としても安心されているかと思います。30歳という年齢を考えると、怖いことから背を向けるタイプなら、その間に1回位外来が有って良いかも知れません。主治医の先生の発言からは、大変混み合う乳腺外来のマネージメントに苦慮されているように感じますが・・・。
2) 何で硬くなったのかは、診察も検査もしていないので判りかねます。ただし術前化療→手術→pCR→術後化療→放射線の直後ですから、局所は最もコントロールされていて、再発の可能性が最も低い時期です。どうしても心配なら、6ヵ月後と言わず受診することをお勧めします。
3) 30歳と若いこと、普通なら1-2回のECで生理がなくなるのにその間は有った事から、戻る可能性は高いとは思いますが、化学療法が閉経を作る可能性は少なからず有ります。もう少し様子を見てください。トリプルネガティブなので、生理がなくとも予後には関係しないと思います。

31歳腫瘍径80mmのトリプルネガティブの方がいて、3年前に術前化療(EC4コース後タキサン3コースするも縮小が悪くECに戻して更に2コース)→手術→pCR→放射線をしている方がいます。まだ3年ですが全く再発の兆候有りません。受診までに、25mm→80mmになるのに3ヶ月という短期間に大きくなった腫瘍ですので、多分再発しないで済んだのだろうと思っていますが、過日妊娠して残念ながら流産したと言っていました。その方のときはLH-RH-agonistでの卵巣保護をしていなかったので、妊娠しただけでも大したことだと思っていますが、化療は卵巣に抑制的に働くので、不妊になったり流産しやすかったりする可能性は高いと思います。でも貴女の命はその化療で助かったのですよ!(文責 久保内)

 

No.9817】  10年09月04日    I  
葉状腫瘍。細胞診・針生検の精度について

いつも拝見させていただいております。私は、現在36歳です。数年前より両胸で合計6個のシコリを持っており、そのうち大きめな4個だけ細胞診し、3個は線維腺腫との診断で、半年ごとの経過観察中です。
右胸上部のしこり1個だけが、細胞診ではクラス3(擬陽性・異形細胞?が見られるので、経過観察でもいいが、念の為針生検をやられるといいかもしれません)との判定が出て、そのまま針生検(ガシャンと音のするばね式)をしました。その時(今から1年半前の2009‘3)のしこりの大きさは14mmで、エコーをあてながらの検査でした。先生からも説明があり、私の目でも、しっかり針がシコリの中に入っているのを確認しています。
結果は『線維腺腫』で、半年ごとの経過観察になっていました。
半年後(2009‘10)の検診、14mmだったものが18.6mmに成長しており、先生の経験上、2回目で検査結果が違うと出た事もあるから、念の為再度針生検をすることに。
エコーをあてながら、2回目と言う事もあり、今度は違う方向から針を刺し、確実にシコリ内から組織を採ってきたのも、私の目でもわかりました。結果は『線維腺腫。葉状構造は見られません』とのことでした。
ところが、そのシコリは7ヶ月後(2010‘6)21・5mm、更に1ヵ月半後(2010’8)24・5mmと、増大傾向にあり、ほかのシコリらは大きくなっていないのに、このシコリについては、性格の違うものと考えるべき。巨大線維腺腫か葉状腫瘍かもとのことで、2010‘8 2泊3日全身麻酔、摘出手術をしてきました。摘出後の病理結果が、『良性の葉状腫瘍』。そこで疑問に思った事があるので、教えてください。

1)  細胞診はまだしも、針生検は90%以上とかなり検査結果精度があるように先生から説明は受けていたのに、細胞診(擬陽性)→針生検(線維腺腫)→2回目の針生検(線維腺腫)と、こうも、葉状腫瘍と出てこない事はあり得るんでしょうか?
2) 病理結果を聞いた時、葉状腫瘍だった事に驚いて先生にあまり聞けなかったのですが、シコリ全体が葉状腫瘍だったのか、一部に葉状腫瘍があったのでしょうか?
3) 摘出自体は、先生は葉状腫瘍も見越していたので、24.5mmのシコリに周りの組織を付けて45mmほど摘出しました。取りあえずは今する事はないので、自己検診を心がけ、半年後経過観察とのことですが、今、私は自己検診だけ気を付ければいいのでしょうか?
4) 他にも今同じ右胸に2個(2個とも細胞診で線維腺腫と出ており、1年間増大傾向なし)、反対側の左胸に3個(大きい物1個だけ細胞診し、線維腺腫と。1個は1年間増大傾向なし。1個は最近見つかったばかりの腫瘤)と、合計5個ありますが、1個葉状腫瘍だったのなら、これらも葉状腫瘍の可能性が大きいのでしょうか?

お忙しい中、色々お聞きして申し訳ございませんが、よろしくお願いします。

1) 線維腺腫と多房性でない葉状腫瘍の鑑別は大変難しく、切除標本で線維腺腫とされたのに、再発を繰り返し3度目の切除で葉状腫瘍と診断されたという症例も有ります。ですから穿刺吸引細胞診や針生検では両者の間違いは起こりうると思います。
2) 多分しこり1個全部が葉状腫瘍だったのでしょう
3) 葉状腫瘍まで考えて、正常部分を十分付けて取られた貴女の主治医は素晴らしい慧眼だったと思います。
4) 多発線維腺腫の一つが葉状腫瘍だったのは稀だと思いますが、葉状腫瘍が多発するのはもっとずっと稀なことだと思います。十分な経過観察を行ってもらうと良いでしょう。(HPNo.9815の方には線維腺腫の経過観察は不要と申し上げたのに、矛盾したような言い方ですが、葉状腫瘍の切除後として経過観察必要と申し上げています)(文責 久保内)

 

No.9816】  10年09月04日    M.N.
腫瘍マーカー

昨日、人間ドックを受診し、乳がん検診を受けたところ、乳腺視触診検査で赤茶の分泌物が出ました。ドックの帰りに外来で診てもらったところ、マンモグラフィ、超音波検査や細胞の検査では問題がなかったのですが、腫瘍マーカーの値が1,000でした。2週間後に再度同じ検査を行うとのことでしたが、腫瘍っぽいものが見つからなくても、がんの可能性があるのでしょうか? 教えてください。よろしくお願いいたします。

マンモテックという乳汁中のCEA測定の事だと思いますが、1000なら乳管内乳頭腫等の病変が有る可能性が高いと思います。超音波で、孤立性の乳管の拡張や、乳管内乳頭病変が見られたり、細胞診がClassV位に出る可能性が有ると思います。検体の取り違いが無い限り、同じ検査をするより、超音波でもう一度しっかり見てもらった方が良いかなと考えます。分泌が血性で単孔性のようですので、再現性を持っていつでも分泌されているようなら乳管造影まで考えておいて良いかもしれません。(文責 久保内)

 

No.9815】  10年09月04日    T 
胸のしこり

20歳の女性です。5年前から胸にしこりがありました。知り合いの外科の人にエコーでみてもらうと、形が丸いので良性だろうと言われて放置しました。最近何気なく行った婦人科検診で、精査をすすめられ、近くの総合病院の乳腺外来で、触診、エコー、マンモグラフィーをし、1.7cmのしこりを確認しました。(ほかにも1.5cmのしこりがあり、また、小さいのもあると言われたので、しこりができやすい体質なのかなと思いました。)
1.7cmのしこりは他のものと違って分葉状だったので、『せっかく来たし…』という感じで細胞診をしました。今日、結果を聞きにいったら、『とれた細胞が少なかった。悪性所見はなし。正常な乳腺細胞しかなかった。』ということでしたが、乳腺線維腫なら乳腺線維腫の細胞がとれたはずなんでしょうか? もしかしたら、うまく細胞が取れなかったのかもしれないし、正常な乳腺細胞が腫瘍のようになってるのかもしれないと言われました。その先生はプロフィールをみると、特に乳腺専門ではありませんでした。細胞診を失敗したということでしょうか? それとも正常な乳腺細胞がしこりになっているのでしょうか? もう一度乳腺を専門にしているところで細胞診してもらうのは、ばからしいでしょうか? 一応半年後、大きさが変わってないか、もう一度診察してもらうことになったのですが…。

20歳の女性で5年前からあるしこりが、不変かやや大きくなっている程度の変化なら、多分線維腺腫でしょう。我々専門医が穿刺吸引細胞診を行っても、癌の正診率は70%位でしょうし、良性疾患の場合判定不能というレポートに終わることは珍しくありません。細胞診の技術差は考えられますが、専門医でもこのようなことは少なくありません。
私の所では、むしろ線維腺腫という細胞診断が出たなら、悪性化することが無いが右肩上がりに増大する腫瘍なので、医療機関での経過観察をせず、自己経過観察をしてもらい切除してもらいたいくらいの大きさになったら再受診してもらうようにしています。半年後に経過観察を入れてくれたのは、良心的だと思います。(文責 久保内)

 

No.9814】  10年09月04日    M
ホルモン療法について

50才、子宮全摘しています。抗がん剤直前、婦人科ではまだ閉経していないと診断されました。3ヵ月後FECも終わり、主治医に、「値が低すぎるので閉経しています。アリミデックスを開始します。」と言われたのですが、完全な閉経なのか、偽閉経なのか、一度の採血で判断できるのでしょうか。AIには排卵誘発作用があるので怖いです。それからアリミデックスよりフェマーラを使用したいのですが、適応に条件があったりしますか?

・化学療法の前に婦人科で閉経前と言われているので、本来なら閉経前でしょう。それにFECが後押しをして閉経状態になったからと言って、AI剤で良いかどうかは判断に困るはずです。小生なら、しばらくタモキシフェンを使ってみて、婦人科にコンサルトをして数ヶ月後に閉経かどうかを聞いてから、AIを考えると思います。このように石橋をたたいて渡るようなことをしても、過去に信頼できる婦人科医が真の閉経と診断された患者さんにAIを投与したら、3ヵ月後に生理が始まり、慌ててタモキシフェンに戻した経験があります。まず主治医の先生に婦人科と相談してもらうことが一番だと思います。
・アリミデックス・フェマーラ・アロマシンの3つのAI剤は、第3世代のAI剤と呼ばれ、(報告により多少の成績の違いが有りますが)どれを使用してもほぼ互角です。上記の件でAI剤にならない可能性は秘められているものの、Dr.による好みは有りますが、主治医の先生と相談してみても良いかも知れません。(文責 久保内)

 

No.9813】  10年09月02日    O.K. 
術後の抗がん剤について

術後の抗がん剤について迷っています。御相談させてください。
ER、PgR、ともに高陽性、HER2陰性、リンパ転移1個、腫瘍サイズ2×2×1.5 広がり4×4×1.5 核異型・核分裂像・核異型像すべて2 リンパ管、静脈への侵襲あり。
現在、FEC2回目、投与しました。今後の予定ですが、FCEを6回か、FECを4回→ウィークリータキソール12回か、どちらかで迷っています。セカンドオピニオンの先生は、FEC→タキソールとのアドバイスでしたが、主治医は、FEC6回をすすめるが、私本人の意思選択を尊重しますとのことです。どちらの選択が、よいと思われますか? 御意見をお聞かせください。それから、私はリンパ節をレベル1までしか郭清していないと、最近聞きました。センチに転移1個ということで、レベル1にはなかったということですが、レベル2まで、やってなくても心配ないものでしょうか? よろしくお願いします。

現在、乳癌の抗がん剤治療で効果が証明されているのが、アンスラサイクリン系とタキサン系です。アンスラサイクリン系はFECに含まれるエピルビシンやアドリアマイシン、タキサン系はパクリタキセル(タキソール)とドセタキセル(タキソテール)があります。FEC6回とFEC→タキソールの間に大きな差は、ないかもしれません。ただしリンパ節転移のある場合、タキサンの上乗せ効果がデータで示されているので、当院ではFEC→タキサン系を選択することが多いです。
リンパ節については局所治療の意味もありますが、現在は病期の評価の意味合いが強いため、レベル1に転移がなさそうの場合はレベル2まで郭清しないこともあります。結果的にレベル1に転移がなかったということなので、リンパ浮腫の合併症を考えるとレベル1のみの郭清で良かったのではないかと思います。(文責 上島)
 

 

No.9812】  10年08月31日    Y.T. 
ホルモン療法後の治療について

いつも読ませていただいて、励まされたり、参考にさせていただいております。

[今までの経過]
2006年乳癌Ua期、10年生存率80% 再発の可能性中間群と診断されました。
[病理の結果]
腫瘍径1.7p×1.4p、広がり8.5×4.8×1.5、リンパ節転移陽性1/6、断端陽性、ホルモン感受性(+)、異型度2、HER2 2+陽性、脈管侵襲 陰性
[治療の経過]
左乳房全摘手術、化学療法(CE)を受け、現在ホルモン治療(アリミデックス)中です。途中、関節痛に悩まされたり骨量がひどく下がってきたということで、ヴィタミンD、カルシウム剤、アクトネル等頂いています。1年に1度、局所再発、肺、肝臓、骨に転移がないか検査を受けています。

今後について
先日主治医から、「5年を経たら、一応ホルモン治療は終わる。年に1回の検査もなくなる。調子が悪いときは、いつでも来るように。」と、言われました。他の癌と違って、乳癌は10年は気をつけなくてはいけない、また6.7年で再発する人も多くいると聞いています。再発予防のアリミデックスをもう少し長く服用することや、年1回の再発チェックの検査をこれ以上続けることは、意味のないことでしょうか。私は続けて欲しいのですが…。相談室の先生のご意見を伺いたく思います。

1) アリミデックスを術後5年間以上続けることに意味があるのか?というご質問に対してですが、St. Gallenコンセンサス会議(2009年)では、 アロマターゼ阻害剤(アリミデックスなど)を5年以上服用することの安全性、有効性についてはデータがないとされています。5年以上服用した場合の再発率の差などについては現在、臨床試験が進行中です。また、アロマターゼ阻害剤の副作用として、関節痛や骨粗鬆症がありますが、ご質問者様は関節痛の症状や骨量の低下がみられるとのことですので、主治医の先生のおっしゃる通り、術後5年で終了するという方針が現在のところは妥当と思われます。
2) 次に、術後5年以降の再発、転移の検査は意味があるのか? というご質問に対してですが、日本乳癌学会編「乳癌診療ガイドライン」では、術後のフォローアップとしてエビデンスのあるものは、問診・視触診とマンモグラフィーの2つとなっています。それ以外の検査、すなわち腫瘍マーカー等の血液検査、肝臓や骨の転移検査(腹部超音波検査や全身骨シンチグラフィー)ついては有用性は明らかにされておりません。従って、こちらも主治医の先生のとよくご相談の上、体調に何らかの変化があった場合に受診するということでよろしいかと思われます。(文責 土屋)

 

No.9811-1】  10年08月29日  R.T.
再発率について

いつも参考にさせていただいております。ありがとうございます。現在43歳、閉経前です。7/20乳房温存手術を終了しました。現在放射線治療1回目終了したところです。病理検査の結果で、乳管浸潤がん(充実腺管癌)18×15mm 核グレード3 センチネルリンパ節生検の結果転移なし 脈管浸潤 ly+、v- Her2 − ホルモン受容体 Er90%、Pgr60% 断端陰性でした。今後、放射線治療を全部で25回受けた後、抗がん剤(TC)、ホルモン治療を行う予定です。核グレード3とly+がとても不安に思っています。しかし、抗がん剤治療はできれば避けたい気持ちが大きく、adjuvant onlineで、治療を行った場合とそうでない場合の再発率を調べたいと思ったのですが、使い方がよくわかりませんでした。大変お手数ですが、お調べいただければと思いまして、お忙しいとは思いますが、どうかよろしくお願いいたします。また、先生も私のような病理検査の患者には抗がん剤治療を勧めますか?

New Adjuvant onlineにて解析しました。10年生存率においては未治療で86%、ホルモン療法のみで4%の改善、化学療法のみで3〜6%の改善、併用で6〜8%の改善でした。再発率については未治療で約30%、ホルモン療法のみで11%の再発率減少、化学療法のみで10〜16%減少、併用では17〜21%の減少となりました。以上から生存率を考えますと化学療法におけるメリットは少ないと考えますが、再発率の改善には有用であると考えます。なお、最近はKi-67の発現率を計測してホルモン療法の効果について検討する施設が増えているようです。この結果を参考にして化学療法の併用について検討してもよいと思います。主治医にご相談ください。(文責 西川)

 

No.9811-2】  11年06月23日  R.T.
再発でしょうか?

昨年ご相談させていただいた折はありがとうございました。その後、放射線(50GRY)、TC療法(4クール)を終えて、3ヵ月ごとのゾラデックス+ノルバデックスのホルモン療法を、今年の1月から開始しております。つい2週間前の血液検査でも、腫瘍マーカーはすべて問題なしで安心しておりました。しかし、2,3日前から、手術した左胸の手術創の部分の下あたりに、平べったく硬くなっている部分があるのに気がつきました。もしこの部分が腫瘍であったなら、2cmくらいはあると思われ、こんなに急に大きくなるものなのかと不安に思っています。エコーやマンモは、来月の術後1年の検診で全身精査する際に、と言われました。手術後一度も診てもらっていません。放射線と抗がん剤とホルモン剤で治療をしていても、こんなに早く再発することはあるのでしょうか? 私の癌は、エコー検査実施4ヶ月後に1.8cmの大きさで発見されています。たった4ヶ月で急激に大きくなるということは、悪性度が高いということになるのでしょうか? またこれが再発であった場合、局所再発ということになるのでしょうか? やっと治療にも前向きに取り組み、立ち直ってきたのに、ここへきて1年前の悪夢が思い出され、不安で不安で仕方がありません。3週間ほど後に受診がありますが、そのときまで受診しなくてよいものでしょうか? 先生のご助言をお待ちしております。 

診察しないとなんともお答えしかねるところです。三週間毎日心配しているよりは、主治医に連絡して、早めにみてもらってはいかがでしょうか。いずれにせよ、それが一番安心できると思います。(文責 俵矢)

 

No.9811-3】  11年09月05日  R.T.
ゾラデックス

3ヶ月前のしこりは、エコーの結果、手術の傷が硬くなったものだとわかり、安心しました。ありがとうございました。今は4週毎のゾラデックスと、毎日のノルバテックスの服用で治療をすすめています。私の都合で、前回のゾラデックスから次回のゾラデックスまで5週間あいています。主治医の先生は全く問題ないといってくださいましたので安心していたのですが、実はその5週目の日が来週の木曜日なのですが、その日に外せない用事ができてしまいました。6週間あけるとさすがによくないのでしょうか? また、その場合ノルバテックスの処方もしていただけないことになるため、薬が一週間飲めない状況となってしまいます。これは治療効果としてはかなり下がると考えたほうがよいのでしょうか? 主治医の先生が水曜と木曜の外来のため、それまで連絡がとれずご相談できないため、先生にご相談させていただきました。お忙しいところ恐れ入りますが、どうかよろしくお願いいたします。

御相談ありがとうございます。術後の治療に対するご不安に対してお返事させて頂きます。
まず治療が予定日より1〜2週間延長してしまった場合の治療効果ですが、1〜2週間延長した場合と正確に規則正しく治療した場合との比較がありませんので、お返事はわからないとなってしまいます。しかしノルバデックスは内服後13日経過しても35%が体内に残っています。またゾラデックスは投与終了後6週間目の血中濃度ははっきりしていませんが、動物実験では投与4週間後に効果が無くなってしまうわけではなく、4週間後からさらに約10日は効果が持続している期間があるようです。したがって治療効果が多少は下がる可能性があるが、ほとんど変わらない可能性もあるとお考え頂いてもよいと思います。(文責 斎藤)

 

No.9810-1】  10年08月27日  K 
グレードと再発

グレードと再発について教えて下さい。宜しくお願いします。
ki67と核分裂像は相関する。核異型が3で核分裂像1はあり得ない(相関する)ように聞きました。私は腺型3、核異型3、分裂像1でした。ki67検査は受けていません。
核異型と分裂像、どちらがより再発リスクと関わっているのでしょうか。診てくださった結果、スコア1だと思うので素直に信じ、疑う必要は無いと思うのですが、「核異型3で核分裂像1はあり得ない」という言葉が気になっています。
核異型3なら、分裂像も2ないし3と(同等)心得ておくべきでしょうか?
現在40歳、3年前(2007年9月、37歳で)術前科学療法後、温存手術を受けました。EC4クール、タキソール15回プラス3回(手術待ちで)。

術前腫瘍径30ミリ 術後0.5ミリ、 リンパ節郭清0/12、 ly、0 V、0 、エストロゲン強陽性、HER2 2+ フィッシュ−

現在リュープリ3年が終わりタスオミン4年目です。術後3年で一つ山を越えた思いですが、5年7年、ちょうどタモキシフェンが終わった辺りに、また山があり、治療が終わっていく喜びと、反面、不安になることがあります。

核異型度と核分裂像をそれぞれスコア化して、その合計ポイントを3段階にわけて核グレードにしているので、核異型度と核分裂像どちらかを優先させるものではないと思います。核分裂像は10視野で5個未満の分裂像が1です。核分裂像は癌組織の全体に均一に存在するわけではなく、偏って存在することが多いので、10視野で5個未満となることも十分に考えられます。(文責 川本)

 

No.9810-2】  10年10月16日  K 
グレードと再発(2)

HPNo.9810で質問しましたKです。支離滅裂な質問にお返事ありがとうございます。グレード1、2とグレード3の生存率に差があるので気になって、自分のグレードが2なのか3なのか悶々としていました。
3+3+1=7だとグレード2
3+3+2=8だとグレード3

私はリンパ節郭清しているので、当てはまるかどうか分かりませんが。お返事を読み、均一に存在する訳ではないと知り、良くも悪くもホッとしました。均一ではないので残りはスコア3ばかりかも知れませんが、少なくともスコア1があったということです。気になる様ならKi67検査を受けて納得するのも良いのかもと思いました。金銭面が問題ですが・・・。これから2年間タモキシフェンのみの治療になるので、CYP2D6検査を受けてみようと思っています。しかし結果が出ても治療に反映出来るかははっきりしないので、改めて自分の細胞の性質を知りたかったのです。しかし再発するかどうかは、そればかりで決まる訳では無いですし、不安と言いつつ、今までやって来れたので、これからも頑張っていきたいと思います。変な話しですが、癌になり色々な事を知るにつれ、恐ろしさ反面、とても興味を持ちます。細かい事を聞きますが、検査は癌組織の一部を取り、フォーメーションを診て、核異型を診て、核分裂像を診る・・・という様に、1度取った細胞で診ていくのですか?

おっしゃるとおり採取した組織で調べます。将来的には採取せずとも可能な時代がくるかもしれませんが・・・。(文責 加藤)

 

No.9809】  10年08月27日  ベル
要精検

このページを見つけ、初めてメールします。8月2日に受けた人間ドックのマンモグラフィーの結果、局所的非対称性陰影で、精密検査が必要と診断されました。さっそく乳腺外来に行ったのですが、総合病院でなかなか予約がとれず、、エコー検査は9月22日、そしてその結果をドクターと話すのは10月5日になりました。「管状・・・なんとか・・・」と所見に書いてあり、レントゲン写真を見ると、左が右より白っぽい色がこくなっているようでした。早期発見が大事だというのに、そんな先に検査なので、この間に悪化しないか大変心配です。これからの1ヶ月あまりが不安です。ちなみに21年、19年、17年に受けた検査では異常がありませんでした。乳がんだったとしたら進行はどれぐらいなんでしょうか。53歳。

ベル様、初めまして。どこの乳腺外来も予約状況は一杯で、1ヶ月程度お待たせしてしまう事は珍しくありませんが、ご心配はお察し申し上げます。もしも乳癌が出来ていたとしても、進行の速度は人それぞれで、何とも申し上げられませんが、MMGのみで発見され、触診では異常がない場合、乳癌が存在しても、余り進行した状態ではない事が少なくないのですが、ご自身で触診してみて、左右に差はありませんでしょうか? もし左右の乳房を良く触診しても、余りハッキリした違いがないのであれば、そう急いでも、予後に余り違いはないと思います。私どもの施設でも、乳癌の診断が確定してから、手術治療を行うまでには、更に2ヶ月程度お待ち頂いておりますが、その程度の期間を待てないほど進行の早い乳癌は、非常に稀です。このようにご説明しても、どうしても心配が強いようであれば、
1) 最近は都市部では、総合病院に限らず、乳腺専門医による個人開業の乳腺専門クリニックなども増えています。そういった選択肢も探されましたでしょうか?
2) 予約制を敷いていない外科を標榜する医療施設で、乳腺専門医が臨時あるいは不定期に診療を行っている施設を探してみて受診されてみては如何でしょう。(インターネットのみに頼らず、個別に病院に問い合わせの電話を直接掛けて調べるのが一番です。)

焦る余り、専門医もいない病院に飛び込んでも、きちんとした見解を出して貰えなければ、結局心配を募らせるだけとも成りかねません。慌てずに、良く判断されてから受診行動に移してください。問題のない所見である事を祈っております。(文責 矢吹) 

 

No.9808】  10年08月27日  S.W
骨シンチについて

いつも拝見させていただいております。昨年八月に手術後、肋骨に転移が発見され、現在ゾメタとフェマーラの治療中です。私が心配症な性格のため、主治医に三ヶ月毎の頭頸胸腹部CT、腹部エコー、胸部レントゲン、血液検査、骨密度をお願いしております。骨シンチを二回受けましたが、二回目の結果では、ゾメタが効いているという所見でした。明らかな痛みの増加などがないならば半年毎でもよいのでは、と主治医から言われております。通常、骨に転移がある場合、骨シンチの検査は、どれくらいの頻度で受けるものでしょうか。宜しくお願い致します。 

S.W.さん、初めまして。貴女のご年齢や、乳癌の詳細なデーター、治療歴などを頂いておりませんので、何とも申し上げられませんが、主治医の先生のおっしゃる通り、病状が落ち着いているのであれば(比較的制御されており、治療により進行を遅く出来ている場合など)、私どもも、骨シンチは4ヶ月〜半年間位に間を開けています。更に、他臓器の転移検査は、もっと間隔を開けても大丈夫な場合があります。特に、現時点で転移が確認されていない部位については、過剰にCT検査を受けても、余りメリットはないと思われます。胸部単純撮影や肝エコー、頚部リンパ節については、乳房エコーなどと一緒にでも、触診などで疑わしい場合など、少し被爆の少ない検査に限定しても、恩恵は充分にあると思います。頭部CT検査も、症状が現れてから、或いは現在の病巣が拡大したり、他臓器への転移が確認されてから(治療効果がPDと判定された場合)等、節目の時に検査するのでも、予後に関して余り大きな違いがありません。これらの頃をご参照頂いた上で、主治医の先生と、検査内容と間隔を決めてゆかれては如何でしょう。不安が強い場合は、抗不安薬の処方を受けたり、専門の医師によるカウンセリングなどで対処して貰う方法も一案と思います。(文責 矢吹) 

 

No.9807】  10年08月23日  N.Y.
乳癌と妊娠

3年前(34歳)、乳がんになり、現在30代後半になります。乳がん治療も落ち着き、生理も再開したので、そろそろ子供が欲しいと考えています。
昨年秋に生理が再開し、数ヶ月順調だったのですが、ストレスも重なり、無排卵時もあるようになり、5月に婦人科で検査した所、抗癌剤の影響で卵巣機能が年齢より少し低下していると言われました。
基礎体温をつけていても、排卵が時々なかったりしていたので、排卵誘発剤を使用してみようと言われました。
乳腺の先生には、「ホルモン治療(排卵誘発剤)は婦人科の先生はあまり使いたがらないし、ホルモン感受性が低いけど、その中にはホルモンに影響されるものも無いとは言い切れない。」と言われましたが、婦人科の先生には、「排卵誘発剤を飲んでも飲まなくても再発しちゃう時はしちゃうから、あまり気にしなくても。」と、言われました。

1) 子供は欲しいですが、排卵誘発剤によって乳がんの再発率は上がるのでしょうか?
2) 乳がん患者でも大丈夫な排卵誘発剤に代わる薬はあるのでしょうか?
3) 排卵誘発剤と乳がんの関係は?

なかなか乳がん患者で妊娠を考えている方と知り合う事も少なく、先生たちは、抗癌剤の影響で妊娠を悩んでる患者さんを診たりもしていると思うので、何か参考に出来れば嬉しいので、ご意見・アドバイスをお願いします。お忙しいとは思いますが、宜しくお願いします。

<術前治療>
 抗がん剤CE療法4回・ドセタキセル4回 ゾラデックス
<術後結果>
 温存手術  
<結果>
 ER:focally positive,Pgr:negative,HER2:3+,リンパ管浸潤 :−,静脈浸潤:−,tumor grade:1,リンパ節転移2個,腫瘍径0.8×0.8×0.5,組織:invasive ductal
carcinoma,浸潤度g+ f- 
<術後治療>
 放射線治療を行い、ハーセプチン1年とゾラデックス1年

排卵誘発剤で再発率が上昇するというデータは、今のところ出ていないと思います。絶対数が少なく、はっきり因果関係があるとはこの先も言えないでしょう。ということで、大丈夫な治療薬があるわけではありません。それよりは、不妊治療を積極的に行うかどうかは、術後の再発が年を追うごとに減っていくということで決心されたらいかがでしょうか。ホルモン感受性の低い患者さんは3年くらいにまでに再発のピークがあって、それ以降は再発率がホルモン感受性陽性の患者さんより低いという事実があります。そう考えれば、そろそろ積極的に不妊治療を開始してもいい頃合いかもしれません。(文責 緒方)

 

No.9806】  10年08月18日   ST
ハーセプチンによる治療を休止することについて

2000年  右乳房全摘出 リンパ節転移数13 化学療法 AC 6クール
2003年  右鎖骨の上のリンパ節に転移(5〜13mm、3個) ハーセプチンによる治療開始
2006年  右ろっ骨への転移の疑いで、ハーセプチンにゼローダとゾメダを追加
2007年  PET・CTによる検査で異常なしと判定されたため、ハーセプチンだけの治療に戻す
2009年  PET・CTによる検査で異常なしと判定
2010年8月 PET・CTによる検査で集積が認められなかったため、ハーセプチンによる治療を休止してはどうか、と主治医に言われる。この間、鎖骨の上のリンパ節への転移は3個→2個→1個に減少、 3か月前のエコー検査では、最後の1個も確認できないと言われる。

以上が、これまでの経過です。腫瘍マーカーは、術後から今日まで1度も基準値を超えたことがありません。これまでも、主治医から休薬してはどうか、という提案はありましたが、再発の不安があることに加え、目だった副作用も無いことから、決断できませんでした。現在、治療を休止すべきかどうか迷っております。どのように考えればよいでしょうか。休止した場合の再発の可能性、治療を再開した場合のハーセプチンの薬効の持続性についても、知見をお聞かせください。

ハーセプチンの副作用で心毒性などがなければ継続も可能ですが、心エコーで評価されていますか? また再発の場合のエビデンスは少ないので、休止してからの再発の頻度は不明ですが、再発しても再投与で有効な事も多く、組み合わせる抗癌剤の工夫で再治療は可能です。当院でも7年投与であれば休止をお勧めすると思います。(文責 石山)

 

No.9805】  10年08月18日   R.T.
術後の治療について

いつも参考にさせていただいています。このような場を提供、運営していただくことで、とても心強く思います。ありがとうございます。初めてのご相談です。年齢43歳、10歳と7歳の子がおります。閉経前です。家族に乳がんはおりません。H.19.12の健康診断にて右胸にしこりを指摘され、乳腺外科を受診しましたが、細胞診の結果、良性のものとわかり、その後経過観察として3ヶ月に一回、6ヶ月に一回と乳腺外科を受診しておりました。今年2月のエコーにて特に問題なしのため、今後は1年に一回の受診で大丈夫だろうということになり、安心しておりました。しかし、今年の6月初旬の入浴中に左胸にしこりを感じ、6月下旬に乳腺外科を受診しましたところ、悪性と診断されました。その後、主治医の先生の計らいで、早々の手術が妥当とのことで、7月21日に乳房温存にて手術を行いました。術後の病理結果は以下のとおりです。

H.22.7.30報告分
【組織学的診断】
solid-tubular carcinoma(18mm,f,ly+,v-,Nuclear grade:3:A:3,B:3,cut margins:negative)
【組織学的所見】
7-10は乳腺組織よりなり、9-10では皮膚の縦断面組織を伴い、7-10には乳腺組織に最大長さ18×15mm、結節性の周囲との境界が不明瞭な充実性、胞巣状増殖を呈す乳癌の浸潤増殖巣を認め、核の異型性は高度で、核分裂を多数認め、リンパ管内浸潤像を伴う。周囲脂肪組織への浸潤を認め、段端側は深部に1mm以上、内側、外側に12mm以上のnon-tumor areaが存在し、non-tumor areaには乳腺症の像を認める。特染で再検討します。(9:(HER 2,ER,PgR)

H.22.8.5報告分
【組織学的診断】
solid-tubular carcinoma(Hercep test:-,ER:3+;90%,PgR:2+;60%)
【組織学的所見】
ER染色ではtumor cellの90%以上が陽性を呈す。PgR染色ではtumor cellの60%以上が陽性を呈す。HER 2染色ではtumor cellは陰性を呈す。

とあり、術後の治療としては、再来週より、放射線治療を25回、その後抗がん剤(タキソテールとシクロフォスファミド(TC)を3週間に1回投与を4週)、その後ホルモン療法(薬剤は聞いていません。生理を止める注射を2年間と、薬を5年間と言われています)の予定です。

1)  2月のエコーで何もなかったものが、たったの4ヶ月で2cm近くにまで大きくなることはあるのでしょうか? それとも何らかの兆候が見逃されていたのでしょうか?
2)  7/30の報告にある、「7-10は・・・」とか「9-10では・・・」の意味がわからず不安です。主治医に聞こうにも受診が半月先で、できればこちらでと思います。
3)  non-tumor areaとはなんでしょうか? 12mm以上もあると書かれてあるので、大変不安に思っています。断端が陽性ということではないのですか?
4)  ステージ1の乳がんで抗がん剤までを行うというので、とても驚きました。早期発見だと思っていたので、とてもショックでした。私の病理結果で、放射線とホルモン治療のみで抗がん剤を行った場合と行わなかった場合の再発率(できれば10年での)を教えていただければと思います。
5)  私がこれから受ける治療は、標準(妥当)と考えられますか? 放射線と抗がん剤の順序が逆でなくてもよいのか、少し不安に思っております。

以上、大変長文で申し訳ございません。どうか、よろしくお願いいたします。

エコーで左を見ているのかどうかも問題ですが、画像診断でも見つからない癌は確かにあるので、このようなこともあると思います。7−10というのは、病理標本のプレパラート番号ではないでしょうか。7から10番のプレパラートの4枚に、この所見があるという事でしょう。腫瘍のない部分という意味ではないでしょうか。外科医と病理医の間の手紙のようなものですから、主治医に良く聞いてください。「核の異型性は高度で、核分裂を多数認め、リンパ管内浸潤像を伴う」事から、抗癌剤を勧めているのだと思います。一般的に抗がん剤で再発率を半分から3分の一に減らせるはずです。当院ではTC療法は行っていないので、正確な数字は分かりません。また抗癌剤後の放射線が一般的と思いますが、施設の事情もあるのかもしれません。(文責 石山)

 

No.9804】  10年08月18日   K・Y
肺転移(HPNo.8966-2)

去年HPNo.8966で相談させていただいたものです。四年前、左乳房温存手術をし、5ミリ×8ミリ、トリプルネガティブ、グレード3、リンパ節転移なし、脈管浸襲なし、でした。術後タキソール週1回×12回、放射線25回、その後の検査でHDAC6が陽性だったため、ノルバテックスを服用しています。昨年6月のPET-CT検査で、2ミリだった右肺の結節が(その時は3か月後のCT検査で炎症性結節だろうという病理判断でした)、今年7月の同検査で6ミリに増大していました。新たに1ミリの結節もみつかっています。腫瘍マーカーの上昇なし、他は異常なし。はっきりさせるために、先日肺生検をして、結果待ちです。とても不安で落ち込んでいます。

1) 肺転移の可能性が強いのでしょうか?
2) そうだった場合、抗がん剤が第一の治療になりますか? トリプルネガティブのグレード3ですが、どの薬を選択されますか?
3) 抗がん剤の副作用を考えると、使いたくないという思いもあります。ノバリスなどのピンポイントの放射線治療のみで様子を見るという選択は、どう思われますか?
4) 無治療の場合、抗がん剤治療をした場合、放射線治療のみの場合、それぞれの余命は、どれくらいなのでしょうか?

回答、よろしくお願いします。   

1) 可能性はありますが結果次第です。
2) タキサン後ですので、アンスラサイクリンでしょうか? triple negativeの場合に症例が少ないので、これが良いというエビデンスはまだないと思います。
3) 肺転移に放射線はお勧めできません。
4) ケースバイケースですので判断は難しいです。(文責 石山)

 

No.9803】  10年08月15日   K 
再発・転移治療の開始時期と生存率(HPNo.9419-4)

HPNo.9419で、お世話になりました。早々にお返事頂き有難うございました。ご回答をふまえて、追加で質問させていただきたく、お願い申し上げます。再発高リスク分類なので、再発・転移の可能性は覚悟しております。

1)  エコーなどの画像検査で異常を指摘されてから再発・転移治療を開始する場合と、今の時点でPET-CTなどの、より精密な検査をして早期発見し、治療を開始するのとでは、その後の生存率に差がありますか?
2)  違和感・痛みなどに対して、ロキソニン等の鎮痛剤を服用してもよいですか? (症状があると、病気のことばかり考えてしまうため)

再発といっても局所再発ですから予後に影響はなことが多いですが、心配するよりは早く対処することをお勧めします。まず細胞診は簡単ですから。痛みが我慢できないならロキソニンで良いのですが、いずれにしても医師の処方がないと服用できないので、主治医にご相談ください。(文責 石山)

 

No.9802】  10年08月15日   S.S.  
エストラジオール値が高い

43歳女性、アメリカ在住です。4年前に温存手術を受け、化学療法(AC)、放射線治療後、タモキシフェンを4年6ヶ月服用しています。腫瘍サイズは 1.4cm、グレードIで、ER、PRは+、HER2は−です。3回目のAC投与から生理は来ていません。 数週間前の血液検査で、エストラジオールの値が933pg/ml(FSH値26mIU/ml)という結果が出て、タモキシフェンを服用しているからとの説明を受けたのですが、タモキシフェンがE2値をこれほどあげるということがあるのでしょうか? その後2週間ほどして再度採血したところ、439pg/ml(FSH29・LH13)まで下がり、今度は、超音波検査をオーダーした産婦人科医から、左の卵巣に2センチ以下の嚢腫があるので、その影響でE2値が高いのではと言われました。

1) タモキシフェンの影響でE2値が900代まで上がることがあるのか?
2) E2値を下げるために薬などの治療を受けたほうがよいのか? その場合どんな方法があるのか?

ちなみに昨年以前の数値は次の通りでした。2010年10月 FSH30 E2値 230、 2010年6月 FSH34 E2値 20
回答、どうぞよろしくお願いいたします。

タモキシフェンはSERMと言われエストロゲン様物質ですが、E2値に影響を与えるとは言われていないと思います。43歳ですから、月経周期が戻りつつあるのではないでしょうか。E2を下げるのであれば、LHRHagonistの投与があります。ゾラデックス、リュープリンなどの薬剤があります。(文責 石山)

 

No.9801】  10年08月14日   R 
乳がんの骨転移について

乳がんの骨転移についてのご相談です。現在49歳。2006年に乳がんで右乳房全摘の手術を受けました。リンパ節転移が4つあり、抗がん剤治療を受けました。放射線治療、ゾラデックスの注射による治療を経て、服薬はノルバデックスです。癌が発見される直前から、度々突然の腰痛に見舞われ、整形外科からは、痛みの具合から 「骨盤(仙腸関節)の弛み」 と診断されますが、レントゲンの画像からは、それ程の関節の弛みは確認されないのです。骨盤用ベルトの装着で、症状は1週間程度で緩和されるのですが、不定期ではありますが、度々同じ症状で痛みが現れます。しかし、何れも突然で、原因の心当たりがありません。

1) 骨転移であれば、痛みは不定期ではなく継続的に現れるのでしょうか。
2) 卵巣や子宮の病気を疑うべきでしょうか。

尚、骨の検査(RI)は、2010.3月 肋骨に集積はありますが打撲との診断でした。また婦人科検診は、2010.1月 異常無しでした。ご回答を宜しくお願い致します。

画像診断で骨崩壊像や溶骨性変化がなければ可能性は低いと思いますが、痛みが続くなら乳癌腫瘍マーカー(CEA,CA15−3)や骨転移マーカー(ICTP)などの採血やMR、あるいはPET-CTなどでチェックしたほうが良いかもしれません。(文責 石山)

 

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