会員紹介 手術後のページ 乳癌関連情報 公開市民フォーラム 相談室HOME


相談室(No.9001〜9100)

このページは乳がんに関する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。

ご相談メールの投稿はこちらからお願いします。

なお治療法は、患者さんと主治医がご相談されて決定されるものであり、この相談室でお答えできるのは、一般的な参考意見であることをご了解下さい。

当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

目 次

[前のページ] [次のページ]

No

日 付

名 前

件  名

担 当

9100-1
9100-2
09/08/20
09/08/30
D 抗がん剤はやはり受けた方がいいでしょうか?
化学療法の必要性
俵矢
徳田
9099 09/08/20 K.H.  右胸にしこりがあります
9098 09/08/20 Y  抗がん剤費用&癌手術について(HPNo.9085-2)
9097 09/08/17 M ごく初期の癌について(HPNo.9047-3) 高橋
9096 09/08/17 H.K 炎症性乳がんの可能性もあるのでは? 高橋
9095 09/08/17 T  再発について 高橋
9094 09/08/17 S  今後の治療について 高橋
9093 09/08/17 S 病理結果について 高橋
9092 09/08/17 M.S 今後の治療と出産について 高橋
9091 09/08/17 A・K 葉状肉腫の術後検診について 高橋
9090 09/08/17 A ゾラデックス 高橋
9089 09/08/17 H.K.  骨転移 高橋
9088 09/08/17 A.S. 全身麻酔について 高橋
9087 09/08/17 A  右乳房の痛みについて 高橋
9086 09/08/17 K 術前ケモ後の術後ケモについて 高橋
9085-1
9085-2
09/08/15
09/08/20
Y  臨床治療について
抗がん剤費用&癌手術について

9084 09/08/15 M.S.  腫瘍マーカーの微増と薬の変更について
9083 09/08/15 T 術後の検査治療について
9082 09/08/15 S 乳癌と母乳について
9081 09/08/15 Y・F 再発率・生存率について(HPNo.9073-2)
9080 09/08/14 ゆめ 病理結果について 加藤
9079 09/08/14 S  妊娠時の検査について 加藤
9078 09/08/14 M.T. 再精密検査 加藤
9077 09/08/14 左胸の石灰化について 加藤
9076 09/08/14 T 術後の全身療法について 加藤
9075 09/08/12 M.T Her2の検査 高橋
9074 09/08/12 E.T. ホルモン療法について 高橋
9073-1
9073-2

9073-3
09/08/12
09/08/15
09/12/09
Y・F 乳がん再発率について
再発率・生存率について
今後のホルモン治療について
高橋

徳田
9072 09/08/12 H.S. 今後の経過観察について 高橋
9071 09/08/12 C  術後の治療と不妊治療 高橋
9070 09/08/12 SO  リンパ節の転移について  加藤
9069 09/08/12 T.M.  乳癌転移後の化学療法について(HPNo.8906-2) 加藤
9068 09/08/06 M.O, 術後治療について 高橋
9067 09/08/06 TM 継続的な乳房の痛み 高橋
9066 09/08/06 K.S.  一度ガンと診断されたらもうダメ?再診断の方法は? 高橋
9065 09/08/05 ym UFTについて 須田
9064 09/08/05 ポリープの手術について(HPNo.9057-2) 須田
9063 09/08/05 SK 放射線照射後の痛みと今後の検査について(HPNo.8920-2) 須田
9062 09/08/02 T.H 右胸乳首の外側にある1.5cm位のしこりについて 須田
9061 09/08/02 乳腺からの白い固形物 須田
9060-1
9060-2
09/08/02
09/11/17
Y・H  今後の治療について
今後の治療について(2)
須田
高橋
9059 09/08/02 I パジェット病の可能性は? 須田
9058 09/08/02 O S 多発性のう胞について 須田
9057-1
9057-2
09/08/02
09/08/05
ポリープの手術について
ポリープの手術について(2)
須田
須田
9056 09/08/02 エンドキサンについて 須田
9055-1
9055-2

9055-3
09/08/02
09/11/03
11/02/25
肺転移後の治療について
肺転移後の治療について(2)
息苦しさを解消する方法はないのでしょうか?
須田
須藤
9054 09/08/02 異型乳管過形成について(HPNo.9047-2) 須田
9053 09/08/02 R.I. 腫瘍マーカー上昇について(HPNo.4047-4) 須田
9052 09/08/02 N  術後とタバコ 須田
9051 09/08/02 C.T. 再発の治療について 須田
9050 09/08/02 更年期症状? 須田
9049 09/07/28 T.K. 乳がんの転移の場合の治療について 首藤
9048 09/07/28 Y 乳がんの病理検査について 首藤
9047-1
9047-2

9047-3
09/07/28
09/08/02
09/08/17
M  異型過乳腺形成と診断されました
異型乳管過形成について
ごく初期の癌について
首藤
須田
高橋
9046 09/07/28 K  術後の治療方針 首藤
9045 09/07/28 予防的手術のリスク及びリンパ節切除について 首藤
9044 09/07/26 C.T. 再発の治療について 首藤
9043 09/07/26 E 今後の治療について(HPNo.7022-3) 首藤
9042 09/07/26 K.Y. ゾラデックスでの治療について(HPNo.8907-2) 首藤
9041 09/07/26 Y.H. 再検査 首藤
9040 09/07/23 KU 非浸潤 全摘後 病理診断について 鈴木
9039 09/07/23 E.O.  ハーセプチン治療について 鈴木
9038 09/07/21 K・S 扁平上皮癌と紡錘細胞癌のミックス 首藤
9037 09/07/21 Y アリミデックス服用のみで大丈夫でしょうか? 首藤
9036 09/07/21 Y子 今後の治療について 首藤
9035 09/07/21 術後の治療の必要性について 首藤
9034-1
9034-2
09/07/21
10/09/24
S.T. AC後の治療方針について
肺転移の治療について
鈴木
鈴木
9033 09/07/21 O.S. ラパチニブの投与の方法について 鈴木
9032 09/07/21 N.Y. 早期乳がんの術後治療について 鈴木
9031 09/07/21 腫瘍マーカーの上昇について 鈴木
9030 09/07/18 母の症状について 鈴木
9029 09/07/18 N.K 化学療法及びハーセプチンについて 鈴木
9028 09/07/16 胸骨傍リンパ節への放射線照射について 清水
9027 09/07/16 副作用? 清水
9026 09/07/16 C.T. センチネル生検について 清水
9025 09/07/16 タスオミン 清水
9024 09/07/16 R.I. ホルモン剤の効果 清水
9023 09/07/13 F.H. マンモの結果について 清水
9022 09/07/13 Y.T. 術後の治療について 清水
9021 09/07/13 A  ナボバンの服用について (HPNo.8995-2) 清水
9020 09/07/13 S.T.  トリプルネガテイブの今後の治療について(HPNo.8949-4)  清水
9019 09/07/13 H.K. 肝臓への転移が心配です 清水
9018 09/07/12 腋窩リンパ節転移について 清水
9017-1
9017-2
09/07/12
11/06/09
タモキシフェンとアリミデックスについて
タモキシフェンを止めて3ヶ月で出血がありました
清水
高橋
9016 09/07/12 k  パジェット病の治療について 清水
9015 09/07/10 術後の治療について 清水
9014 09/07/10 T 代替療法について 清水
9013 09/07/10 「6-7割方がん」と言われました 清水
9012 09/07/10 ki67 について 清水
9011 09/07/10 ハーセプチン治療 清水
9010 09/07/10 ノルバテックス 清水
9009 09/07/10 ななみ 「アポクリンがん」とは? 清水
9008 09/07/10 MY 再発後の治療の選択 清水
9007 09/07/10 H.T.  術後ホルモン療法について 清水
9006 09/06/29 Y.K. ホルモン剤について 石山
9005 09/06/29 肝転移の治療方針(HPNo.8993-2) 石山
9004 09/06/27 非浸潤ガン 石山
9003 09/06/27 K.Y. 子宮内膜の厚さについて 石山
9002 09/06/26 TT 造影剤の体への影響について 石山
9001 09/06/26 右胸にしこりを見つけました 石山

 

No.9100-1】  09年08月20日   D 
抗がん剤はやはり受けた方がいいでしょうか?

44歳女性です。3年前に左胸石灰化の指摘を受け経過観察を受けてきました。2年前に専門病院受診、左胸石灰化、右胸の腫瘍を指摘され、マンモトーム、細胞診の結果、両方とも良性と言われました。昨年も変化なく、今年になって2cm弱の腫瘍が右胸に多発していると言われ、検査の結果乳癌と言われました。右胸全摘の手術と同時再建を受けました。リンパ転移なく、ER+PgR+、癌の大きさ2cm、脈管浸襲なし、核異型度2、HER2は1に近い2と言われ、再検査中です。年齢と核異型度を考えて、抗がん剤を勧められました。2年前の腫瘍が癌だったかどうかはあいまいです。その為の転移だったのか、最近になって癌の強さで多発したのかよくわからないみたいです。医師たちの判断も曖昧です。抗がん剤はやはり受けた方がいいでしょうか? リスクと生存率をどう理解したらいいのかわかりません。また再建は抗がん剤を受けたとして、どのくらいでできるものなのでしょうか? ご教示ください。よろしくお願いします。

2年前の腫瘍が現在のがんであったかどうかは、ここではわかりませんが、初診時にがんの診断ができず経過観察をして診断がつくことは、しばしばあることです。診断の難しい症例もあるでしょうし、小さい軽微な所見のときにはわからないことがあります。現在、術後化学療法(抗がん剤)が必要かどうかですが、この場合絶対必要ともいえないし、絶対ホルモン療法のみで十分ともいえないところだと思います。抗がん剤をしたほうが再発率は少し下がりますが、副作用も必ずあります。ホルモン療法のみの場合は副作用は軽度ですが、化学療法を加えたときより再発率は少し高いでしょう。その判断は、個々のケースによって異なるのでここで「どっちがよい」と答えられる問題ではありません。主治医の先生ともう一度よくお話になって、きめたらよいと思います。(文責 俵矢)

 

No.9100-2】  09年08月30日   D 
化学療法の必要性

HPNo.9100で相談差し上げたものです。再度ご相談させてください。
44歳独身で働いています。浸潤癌一般型と言われ、6月に手術を受けました。病理の結果は、リンパ転移なし、ER+ PgR+ 癌の大きさ2cm×1.8cm 脈管浸襲なし。癌異型度2。HER2が1に近い2ということで再検査し、結果が0でした。乳腺科の先生は、HER2が0とリスクが減ったので、ホルモン治療だけでも十分かもしれないと言って下さったのですが、化学療法科の先生は、リスクを少しでも下げるために抗がん剤のCAF療法を勧めて下さいました。
私の乳癌は、ルミナールAとあり、このタイプは抗がん剤の効果も弱い?と、うかがったような気がします。2009年の学会では、抗がん剤をしない方向にあると知人から聞きました。実際はいかがでしょうか? 病理の結果や、再検査を待って、化学療法を受けるのが術後3か月近くになってしまっても効果は変わらないのでしょうか? 少しだけでもリスクを下げるために、抗がん剤を受けようという気持ちと、独身で働いていて、休職や、欠勤による仕事への影響も気になり、ホルモン治療だけの効果を期待しようという気持ちで揺れてしまいます。化学療法をしないと、リスクはやはり高いでしょうか? 悩んでいます。どうかご教示下さい。

化学療法の追加効果は、10年間で7%程度の再発率の減少です。この効果を副作用や、仕事への影響などのマイナス面と天秤にかけて判断してください。(文責 徳田)

 

No.9099】  09年08月20日   K.H. 
右胸にしこりがあります

先月、乳がん検診をうけました。半年くらい前にしこりに気づき、あっという間に2センチ位になりました。触診で再検査の必要があると言われました。マンモグラフィも受け、先週、再検査の通知が届き、予約をいれましたが、28日に診察をして頂くことになりました。しこりは固く、ビー玉のように丸く、ころころと動きます。気のせいかもしれませんが、時々突っ張る様な痛みを感じます。癌の可能性は、ありますか? 先月から、ずっと気になっています。宜しくお願い致します。

残念ながらメールの内容だけではがんの可能性を言及できません、受診した際に主治医の先生にご確認ください。(文責 谷)

 

No.9098】  09年08月20日   Y
抗がん剤費用&癌手術について(HPNo.9085-2)

先日は、ありがとうございました。少し安心致しました。46歳。未婚。出産経験なし。HER2陽性乳がん30mmmの診断です。術前臨床試験の治療にしょうかと考えています。ところで、抗がん剤費用ですが、私の場合、ハーセプチン+エンドキサン+タキソテール術前化学療法なのですが、3週回に1回を半年投与という事です。1回どれくらいかかるのでしょうか? 今までも、検査費用等々、かなりかかっており心配です。社会保険適用だと思うのです・・・。あと、事前にハーゼプチン適応検査というのもあるそうなのですが、こちらもいくらぐらい、かかるものなのでしょうか? この治療は、術後も続くのでしょうか? また、摘出する時に癌が空気に触れると分散するらしく転移する可能性があるらしいと聞きました。これは、本当ですか? よろしくお願いします。

臨床試験の場合、保険適応でない治療もしばしばありますので、患者さんの負担金額に関しても各々事前に取り決めされているものと思います。よって、主治医の先生かコーディネーターの方にお聞きになるとよいと思います。また貴女の場合HER2陽性が既に証明されているものと思われますので、ハーセプチン適応検査が何を指しているのかはよくわかりませんが、もし必要な検査であれば、やはりそのコストに関しても取り決めされているものと思います。術後その治療を続けるか否かも同様です。また、摘出の際癌が空気に触れると転移しやすいということはありませんが、癌が露出するとそこから周囲に癌細胞が散ってしまう可能性がありますので、一般に手術中は癌ができるかぎり露出しないように留意することは外科手術の基本事項になります。(文責 谷)

 

No.9097】  09年08月17日   M
ごく初期の癌について(HPNo.9047-3)

No.9054では丁寧に教えていただいて本当にありがとうございました。実は病院から連絡があり、異型乳管過形成だと診断されていたものが、詳しい病理検査の結果、ごく初期の乳癌だとわかりました。 そこでまたお尋ねしたいのですが、 まだはっきりした病名は聞いていないのですが、前回の診察時に担当の先生が、もしも切除生検をして癌が見つかったとしても、多分ほんの初期の非浸潤癌だとおっしゃっていたので、そう仮定して質問させていただきます。
1) 初期の非浸潤癌の場合、乳房温存をすすめられる事も多い様ですが、私は再発の可能性がほとんどなく、放射線やホルモン剤治療などがない可能性が高い全摘を希望したいと思っています。これは担当の先生が温存と言っているのに、全摘を申し出てもいいものでしょうか?
2) そもそも温存は患者のためを思いやる治療で、医学的な事のみ考えた場合には、全摘がもっとも望ましいと考えていいのでしょうか? 逆に全摘をしてしまうとデメリットみたいなものはありますか?
3) 全摘プラス乳房再建という考え方もあるようですが、この術式はいかがでしょう? また乳房再建は、体への負担や何か副作用、その後何かの病気の引き金になったりしませんか?

お忙しいのに申し訳ありませんが 次の来院時までにこちらの専門医の先生にもお話を伺ってから、担当の先生との話し合いにのぞみたいと思い、メールさせてもらいました。どうぞよろしくお願い致します。

ご質問どうもありがとうございます。あくまでの仮定のお話ですので、このお答えが全く見当違いになる可能性もございますことを前もってお伝えしておきます。
1) 初期の非浸潤がんの場合には、乳管内をがん細胞が進展するので逆に乳房全摘になることが多いです。一方、浸潤がんであれば乳管の途中で乳管外にがん細胞があふれ出しそこで腫瘤を形成していきますので、その部分だけを切除する温存手術が可能なわけです。それに対し、乳管を破らずに乳管内を進んでいく非浸潤がんは、がん細胞の存在する乳管を全て摘出すれば、再発や転移の可能性はまずあり得ないのです。
 以上より、非浸潤がんで乳管内進展の範囲を造影MRIなどで見極めて、切除範囲を決めることになると思います。温存療法のガイドラインでは、患者様が温存を希望されていることが温存手術の必須条件になっています。
2) あくまでも患者様のニーズと医学的な根拠に基づいて手術方法は決定されます。温存手術を望まれる方が多いのは事実ですが、温存療法後には必ず放射線治療を約1ヶ月お受けにならないといけませんから、条件の見合う方が温存療法を行うことになります。
3) 乳房全摘+再建も最近は増加してきています。特に非浸潤がんであれば、根治手術と同時に再建手術が可能なわけですから、良い方法であると思います。ただし、インプラントによる再建であれば、乳がんの手術も含めて自費になります。また一般的には、乳がんの手術をおこなって病理検査の結果を確認して必要な追加治療をおこなって、創部が完全に落ち着いてから再建をするという考えが、まだ主流であろうと思われます。主治医の先生にもお尋ねくださいませ。(文責 高橋)

 

No.9096】  09年08月17日   H.K
炎症性乳がんの可能性もあるのでは?

現在1歳4ヶ月の子供をもつ1児の母です。半年ほど前から右胸の乳首の周りがあれてきて、ブツブツ、カサカサになり、かゆみもあります。左胸と比べると色もくすんできたような気がします。ただのあせもだと思っていましたが、なかなか治らず、不安になっています。乳首の下に痛みのないしこりのようなものもあります。病院で検査しようと思ったのですが、現在まだ授乳中なのでエコー検査は断られました。自分なりにいろいろ調べていると、炎症性乳がんの可能性もあるのでは?と思い始めました。これに関して、アドバイスいただけたらと思います。よろしくお願いします。

ご質問どうもありがとうございます。炎症性乳がんは真っ赤に腫れ上がることが多いので、症状からは可能性は低いと思いますが、お話からだけでは何とも言えません。まずは、皮膚科での診察をお受けになって、解決することも多々ございます。また、授乳中でも乳腺エコーやマンモグラフィーは不可能ではありません。皮膚科と乳腺外来でもう一度ご相談してみてください。また、ご不安がございましたら、いつでもどうぞ。(文責 高橋)

 

No.9095】  09年08月17日   T 
再発について

去年七月にしこり1.2センチの乳房温存手術をして、センチネルリンパ節生検はマイナスでした。ただ胸筋まで0.1ミリと、皮膚側切断面まで0.1ミリ浸潤性要素#3と不安な所が二箇所あります。電子線はしていません。現在手術を考えています。この場合についてお尋ねいたします。
1) 全摘をすれば大丈夫でしょうか?
2) 腋窩リンパ節についても、とって検査すれば安心と思っていますが、浮腫を考えると迷ってしまいます。 全摘をするとして、せっかく全摘するのなら、腋窩リンパ節をどこまでとっ て病理検査をした方が良いと思われますか? 腋窩リンパ節だけとか、その一部とか、なるべく少なくすめばと思うのですが・・・。一部とることは可能でしょうか? また、癌の部分をいじっているので、転移するとか転移しやすいとかあるのでしょうか? それとも全摘だけで大丈夫だと思われますか?
3) 全摘だけした場合、リスクはどんな事が考えられますか?
4) 全摘だけした場合、リンパ節は残る訳ですが、今後どんな定期検査をしていくことになるのでしょうか? 今後の検査や治療に何か支障はでるのでしょうか?
5) また、全摘した上に腋窩リンパ節の一部か全部をとった場合、今後どんな定期検査をしていくことになるのでしょうか? 今後の検査や治療に何か支障はあるのでしょうか?
6) 乳房に放射線50グレイあたっているので、全摘した上に、腋窩リンパ節の一部または全部をとった場合、浮腫のおきる可能性は高くなるのでしょうか? それとも重くなるのでしょうか?
7) 癌がエコーなどで確認できるような大きさになった時には、リンパ節に転移している可能性はどうなんでしょうか? 再発は癌の悪性度が増すと聞きますが、転移していることが多いのでしょうか? よろしくお願いいたします。

ご質問どうもありがとうございます。お話から推測すると、昨年7月に乳房温存手術をされて、術後放射線治療をされているのですね。そして、今は再発しているわけではないと。それでよろしいでしょうか。
1) もし、今後乳房切除が必要となるとしたら、残存乳腺に腫瘍が再発した場合になると思います。その場合には、乳房切除が必要となります。今おこなう意義は低いと思います。
2) リンパ節郭清も今は必要ないと思います。ただし再発した場合に、おっしゃるとおり次回はセンチネルリンパ節生検はできませんので、腋窩リンパ節郭清をおこなうことになると思います。放射線治療後の腋窩リンパ節郭清はリンパ浮腫が高率で起こりますので、郭清をしないで経過をみるかの相談は主治医の先生とされた方が良いと思います。
3) 切除面積が多くなれば、術後出血の危険性が大きくなることが考えられます。
4)5) 術式によらず、おこなっていく定期検査は同じです。今現在再発されているわけではないのでしたら、このまま乳腺エコーや乳腺造影MRIや胸腹部造影CTなどで経過をみていただいていて問題ないと思います。
6) 前述のとおりです。
7) 浸潤がんは1cm以下でも転移し始める可能性があります。大きさは関係ありません。
 
以上、お答えはご期待にお応えできていますでしょうか。また、ご相談くださいませ。(文責 高橋)

 

No.9094】  09年08月17日   S 
今後の治療について

先日、左胸の胸筋温存乳房切除術をしました。組織診の結果、非浸潤癌だったことで、今後の治療はしなくていいと言われました。ほっとした反面、それでも癌だったのに本当にそれでいいのか不安になります。他の方の見解も聞きたくてメールしています。それと組織診の報告書ですが、主治医からはざっと内容を言われただけで、後で自分なりに調べたのですが、英語であるため何が書かれているのかわからなく不安です。自分の体のことなので内容の意味が知りたいと思います。長くなり大変申し訳ないのですが、どういったものか説明が知りたいです。ご迷惑をおかけしますが、どうか宜しくお願いします。次回の外来は3ヵ月後です。右胸については1年に1回のマンモということです。

組織診断
◇Left simple mastectomy−
ductal carcinoma in situ of the breast(1tAB)
g, n0,
intraductal spreading:remarkable
pTis, pN0, pM0
pL0(-), pV0

Nuclear Grade(Nuclear atypia+Mitotic counts) 1(2+0=2),
Nuclear atypia 2 Mitotic counts 1 (0/10 fields of400×)

◇left axillary lymph node, dissection-
No submitted axillary nodes are involved by the cancer.

Estrogen receptor : 90%positive
Progesterone receptor : 90%positive
HER2 : Score 0

組織所見
左乳房AB領域には広範囲にわたってNC比が高い小型細胞が腺管内で、一部は腺管を形成し、一部は充実性に増殖しています。腫瘍は標本3,7,8,9,13,14,15,16,17で認められ広範囲に広がっています。特に標本3,8では明瞭なcribriform patternを呈しています。浸潤を示す部分はなく、ductal carcinoma in situ の像です。郭清リンパ節に転移は認めません。免疫染色の結果を追記しました。HER2の浸潤部がないので参考値です。

ご質問どうもありがとうございます。診断は非浸潤がん。一般的には超早期がんと言われているものです。手術でしっかりと残すことなく切除すれば、転移・再発することはありません。従って、手術後の追加治療を行わないのが一般的です。病理結果を拝見しても、リンパ節転移もありませんし、乳管内進展はあるものの、全て切除されていますので、今の方針でよろしいのではないでしょうか。ただし、今後も定期検査は必要です。手術後ですので、少なくとも半年に一度の定期検診はおこなっていただいてくださいね。それでは、また何かございましたらご相談くださいませ。(文責 高橋)

 

No.9093】  09年08月17日   S
病理結果について

病理結果について相談させて下さい。当初4cmほどあった乳がんを術前化学療法し、乳房温存、リンパ切除を行いました。このような病理結果の場合、再発リスクなどはどの程度あるものなのでしょうか。脈管侵襲のv03というのが、v3という意味なのかがわからず不安に思っています。
HER2 スコア1、ER positive、Pgr negative、大きさ:浸潤部22×10mm 、乳管内進展:5mm以内、Pt:Pt2 、形状:限局、組織型:solid tubular arcinoma+scirrhous and mucinous、 grading:Nottingham gradeU(2+2+T)、浸潤範囲:f 、脈管侵襲: ly0、v03、断端:negative、リンパ節:pn0 n1(-)、level I(0/13)、comments:sol-tubを中心に一部scirrhous、一部mucinousとなっている。
よろしくお願いします。

ご質問どうもありがとうございます。おっしゃるとおり、v0なのかv3なのかわかりませんね。v 3であれば高リスクということになります。病理検査の先生にもう一度ご確認いただいてください。それにより、リスクは大きく異なります。良く主治医の先生にご確認いただき、その上で年齢なども入力いただいてadjuvant onlineでデータを出していただいてくださいね。またお困りの時にはご訪問下さいませ。  (文責 高橋)

 

No.9092】  09年08月17日   M.S
今後の治療と出産について

7月に温存手術をし現在放射線治療中です。放射線治療後、標準ではLH-RHアゴニスト製剤(2〜3年)+抗エストロゲン剤を5年と言われました。既婚(37歳)ですが、まだ子供がいないので、今後出産を希望するかどうか、よく考えるよう言われています。
術後の病理検査結果: 乳管内の広がり4.5×3p、浸潤経3o、リンパ脈管への転移無し、腫瘍の悪性度1、ER+、PgR+、HER1+
低リスク群だと言われましたが、出産を希望してホルモン療法を受けないと、再発転移のリスクはどの位あるのでしょうか? またホルモン療法を途中お休みして出産し、その後残りのホルモン療法をする人もいると教えてもらいましたが、この場合、再発転移のリスクは上記に書いた標準的な治療後と同じ程度に下がるのでしょうか? 子供を持つ事、それよりもリスクを減らすことに専念した方がいいのか悩んでいます。どうぞよろしくお願いします。

ご質問どうもありがとうございます。ザンクトガレン2009でも、ホルモン感受性のある方はホルモン治療は必須であるとパネリストたちは申しております。ホルモン療法は必ずお受けになってください。もし、無治療で妊娠を御希望された場合には、その後再発されたときに育児などをどうするかも含めて、旦那様、御家族様と良くお話合いになってください。まずは、あなたのお体の健康が第一だと私どもは考えます。まずは標準治療をおこなっていただいて、5年後に再度お子様のことをお考えになるのが良い選択肢ではないかと思います。途中でホルモン治療をお休みして妊娠してまた再開してという方法が良いのかどうかのエビデンス(研究による証明)はないので、それで結果的にうまくいった、という結果論でしかないと思います。まずは、御家族の皆様とご相談されて、主治医の先生に組織型なども考慮して再発率などをadjuvant onlineにて評価していただいてみてください。それでは、またお困りの時にはご訪問くださいませ。(文責 高橋)

 

No.9091】  09年08月17日  A・K
葉状肉腫の術後検診について

初めてメールさせて頂きます。38歳、未婚・性別・女です。良性腫瘍で3年検査通院ののち、葉状肉腫で平成17年に手術。葉状肉腫(悪性のもの)と病理診断され、4年と2ヶ月経ちます。前回4月の局所検診も変化なしです。主治医は、外科ですが乳腺の専門医ではないのですが、私の希望もあり通院していました。その医師の友人の大学病院の専門医師に術後に聞きに行きました。その際は一緒に聞いてくれましたが、いろいろと相談はしているようで、転移の恐れがあるので定期的に検診はした方がいいと、その専門医は言っておられました。2年間は3ヶ月に1度、2年前からは、半年に一度、エコー検査をしています。先日、ささいなことから喧嘩をしてしまい、「もう大丈夫そうなので行きません!」と言ってしまいましたら、「はい。」と言われ、怒ったように電話を切られました。2ヶ月後の10月に行く予定になっていました。信頼をしていて、聞いたこともなかったのですが、病気の検診は、どれくらい行き続ける方がいいのか解りませんし、葉状肉腫の再発、転移について、4年の歳月は、どのようなものなのか、このまま、放置してもいいものか解らずに困っています。ただ、遠方から通っていた為、もし検診が必要なら、今後のことも考えると近い病院で専門医に診て頂きたいという気持ちもあります。大学病院へ紹介してもらう方がいいのか、通常、どのような病院で見てもらうのがいいのでしょうか?電話もしづらく、どこの病院に行けばいいか解らなくなって、一人で悩んでいます。よろしければ、ご意見をお教えいただきたく、メールさせて頂きました。お手数お掛けしますが、どうぞよろしくお願いします。

ご質問どうもありがとうございます。主治医の先生と喧嘩して、相談する方がいなくなってしまったのですね。こちらで良い方法が見つかりますように御一緒に考えていきましょう。
まず葉状肉腫に関しては、最も再発が多いのが2年以内と報告されています。局所再発する場合、遠隔転移する場合と様々です。今は4年2ヶ月経過しており、一安心というところでしょうが、もう絶対に再発しないとは誰にも断言はできません。やはり、少なくとも半年に一度の定期検診は大事だと思います。通常の乳がん検診を考えても、一年に一回を一生続けないといけないのですから、4年経過したからもう検診は受けなくていいとは思わないでください。
主治医の先生と喧嘩をされたとのこと。是非、初心にかえってみてください。手術を決意された時のこと、手術が終了したときのこと、定期検査のたびに合格と言ってくれたこと。色々お考えになってみてください。それでも、主治医の先生が許せないのであれば、病院を変えるしかありませんが、売り言葉に買い言葉的な喧嘩であれば、どちらかが「ごめんなさい」するしかないと思います。主治医にとって、あなたは大事な患者様です。今もきっと心配されていると思います。もう一度、直接お会いになってお話をしてみてください。今まで見てくださっていた先生に引き続きみていただくことが最も良い選択肢ではないでしょうか。それでもどうしても納得できない場合には、どちらの病院でも構いませんので、CTやエコー検査ができる乳腺外来のある病院で定期通院をなさってください。ただし、その際にも紹介状は必ず必要です。御自分で今の主治医の先生にお願いしにくければ、次の病院の先生から今の主治医に連絡していただく方法もございます。解決できないことはございませんので、前向きにお考えください。お答えはみつかりそうでしょうか。また、お困りの時にはご訪問くださいませ。(文責 高橋)

 

No.9090】  09年08月17日  A
ゾラデックス

いつも丁寧な回答をありがとうございます。トリプルネガティブ、乳癌治療後、妊娠を希望しています(39才)。これから化学療法の予定ですが、後で生理が戻るよう、ゾラデックスで卵巣を保護すると聞きますが、ゾラデックスはホルモン(+)の人の場合でしょうか? (−)の場合はどうしたらよいのでしょうか? 何か良い方法はありますか? お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

ご質問どうもありがとうございます。おっしゃるとおり、ゾラデックスは閉経前ホルモンレセプター陽性の方に使用する薬剤となります。また、ゾラデックスで卵巣機能を保護するという考え方は、ザンクトガレン2007でも過半数の医師が行っている方法でしたが、エビデンス(臨床研究による根拠)はまだ確立されていません。一つの報告としては、乳がん手術後に抗がん剤投与を行った場合の1年後の卵巣機能の回復についてのデータでは、35歳以下では、ほぼ1年で100%回復、35歳から40歳では50-60%まで回復、40歳以上では25-30%まで回復するというデータが、2008年の日本乳がん学会で発表されておりました。明確に卵巣機能を保護する方法はありませんが、一番大事なことは御病気の再発を治療に、よりしっかりと抑えていくことだと思います。まずは化学療法を行い、その後卵巣機能を確認しながら妊娠の可能性を主治医の先生ともご相談してみてくださいね。また何かございましたら、ご訪問くださいませ。(文責 高橋)

 

No.9089】  09年08月17日  H.K.
骨転移

いつも参考にさせていただいています。2007年11月に乳癌と診断され、左胸全摘手術を予定していましたが、術前の検査で左腋リンパと左足大たい骨頭部に転移が見つかり(骨シンチ、PET-CT、MRI検査)、手術はキャンセルとなりました。3ヶ月に一度のリュープリンとノルバデックスの治療が一年半続いています。定期的に超音波やCTなどで検査していますが、腫瘍は小さくなっています。33歳です。
1) 大たい骨に転移していても、この一年半、全く痛みがありません。骨に転移していて一年半も痛みが全くないことはよくあるのでしょうか? 骨転移ではないということは考えられますか?(骨転移は左足大たい骨のみです)
2) 先日のCTの検査結果で、「骨転移巣に相当して骨硬化縁が認められます」とありましたが、骨硬化縁とはどういったものなのでしょうか? 主治医の先生にお聞きする時間がなかったので、教えていただきたいのですが・・・。よろしくお願いします。

ご質問どうもありがとうございます。なかなか疑問点をすべて主治医の先生に確認することって難しいですよね。すこしでもお役にたてましたら幸いです。
1) 骨転移も病状が落ち着いていて、進行していない場合には痛みは感じないと思います。今の治療が有効なのでしょう。
2)がん細胞が骨に転移したときに、骨を破壊するタイプと骨を硬くするタイプがございます。乳がんでは骨を硬くするタイプのことが多いです。すなわち骨硬化が画像では認められます。骨が硬いと柔軟性を失い骨折しやすくなります。

また、ご心配なときにはご訪問くださいませ。(文責 高橋)

 

No.9088】  09年08月17日  A.S. 
全身麻酔について

全身麻酔についてお聞きしたいのですが、
2004年10月に乳がんのため左全摘出手術(全身麻酔)、抗がん剤治療の後ノルバディクス錠を服用。
2007年9月乳房再建の為エキスパンダー手術(全身麻酔)
2008年3月乳房再建手術(全身麻酔)
2008年8月に右胸に癌が見つかり2008年10月に右胸乳がん温存手術(全身麻酔)、抗がん剤治療の後2009年2月16日から3月23日まで放射線治療後、現在はアリミデックス錠を服用中です。
以前にした再建手術の修正手術がまだ残っていて、今年の10月頃の予定なのですが、全身麻酔が続きますので、体に悪い影響が出るのではないかと心配です。再建手術は部分麻酔でも出来るそうですが(修正手術が数回になる)迷っています。全身麻酔は危険でしょうか、宜しくお願いいたします。

ご質問どうもありがとうございます。現在全国で行われている全身麻酔が体に与える影響は、何度手術をおこなっても通常ほとんど心配ありません。手術前に、きちんと採血をおこない、腎臓の働きや肝臓の働きをチェックし、レントゲンで肺に問題ないことを確認し、心電図や心エコーで心臓の働きを確認していれば、問題ないと思います。ただし、医療には100%安全、絶対大丈夫ということはありません。再度、主治医の先生、麻酔の先生に、全身麻酔の危険性についてのお話を良く聞かれて、納得されてから手術をお受けになってくださいませ。応援しています。(文責 高橋)

 

No.9087】  09年08月17日   A
右乳房の痛みについて

7月半ばから右乳房が痛くなり、現在も続いています。痛みの感じは、 ジンジン ズキズキ ガンガン します。2000年に脊髄の病気をし、現在も右に麻痺があり、その痛みのせいかもしれませんが(右腕などもズキズキしますので)、右側の胸が1サイズくらい小さくなってきました。冷やすと楽になるのですが、何か大きな病気でしょうか。もしわかるようでしたら宜しくお願い致します。

ご質問どうもありがとうございます。右のお胸が、ジンジン、ズキズキ、ガンガンするのですね。かなり痛そうですね。右半身の麻痺があると、大胸筋が萎縮してくると思われますので、右胸が小さくなったのは筋肉のためかもしれませんね。痛みについては、乳腺症によるものや、おっしゃる通り神経的な影響かもしれません。こういう場合には消去法で考えるしかありません。乳がん検診で問題なければ、神経的な影響でしょう、という感じです。ですから、もしどうしてもご心配なときには一度乳腺外来を受診されてくださいね。これからもお体を大切になさってくださいね。(文責:高橋)

 

No.9086】  09年08月17日   K
術前ケモ後の術後ケモについて

33歳、術前ケモ前の検査で、ER+、PgR+、Her2:1+、腫2.1cmと1.6mの計2つ、CTにて腋リンパに転移ありで、術前ケモ(ECx4->Dx4)と手術を行いました。手術後の病理結果は、以下でした。
------------------------------------------------------
肉眼的に腫瘍は明らかでなく、浸潤部消失
腫瘍の広がり:4.0x1.6で断端陽性
リンパ管浸潤:-, 静脈浸潤-
intraductal spreading:+、EIC:-,comedo:-,puncture:-,石灰化:-
組織学的異型度
Tubular formation:1,Mitosis score:1,Nuclear grade:2
Total Score:4
リンパ節転移 Level1 2/12,Leve;2:0/1
------------------------------------------------------

断端陽性なので放射線はしますが、セカンドオピニオン先で追加ケモを考えると言われました。根拠として、「・浸潤巣pCRでよく効いているが、腋リンパ残存により全身転移の可能性を考えるため、追加の抗がん剤が効くのではないか。 ・ホルモン陽性 ・Her2陰性でもLuminalBタイプであればホルモンだけではあまり効かず化学療法メイン。」とのことでした。術前ケモをし、術後にもケモをするのはデータ的にもそろっていないと思いますが、私自身は、「・無効である根拠もない ・pCRでも腋リンパ残存例は予後不良(5年RFS87%vs60%、10年RFS87%vs38%!!)との報告もある ・せっかく術前ケモをして抗がん剤の効果判定ができたので、その情報を有効に使いたい。」との理由で、追加抗がん剤をやったほうがよいような気もしています。

1) 術後もケモをしたほうがよいでしょうか? するなら、どんな抗がん剤をするのが妥当でしょうか?(セカンドオピニオン先では、無難なところでタキソール、それ以外にゼローダや術前にやったものの数クール追加もありとおっしゃっていました)
2) ki67が調べられれば一番よいのですが、ケモ前CNBの組織量が十分でないので、ki67も組織学的異型度もわかりません。年齢が若いことに加え浸潤巣pCRで抗がん剤がよく効いたことから考えると、LuminalBの可能性を考えたほうがよいでしょうか?
3) 腋リンパの状況が2個転移しているのはわかりますが、それ以外の情報(微小なのかどうか等)が何もわからないのですが、病理に追加で腋リンパの状況を報告してもらうよう依頼してもらうことはできるものでしょうか?(腋リンパに対する術前ケモの聞き具合を知り、術後ケモをする場合は抗がん剤選択の参考にしたいので)

病理結果では、肉眼的に腫瘍は明らかでなく、組織学的に浸潤部消失で、非浸潤癌のみ残存でした。よろしくお願いします。

よく勉強されていらっしゃいますね。またセカンドオピニオンもされているとのこと。私どもが言葉だけの情報で、どこまでお話すればよいのか難しいですが、少しでもお力になれますようにお伝えいたします。
1) まず、腋窩リンパ節転移陽性とのことで術前化学療法を行われたのですね。最終的には切除乳腺の断端ががん細胞陽性となっているとのこと。まずは、どういった断端陽性なのかをご確認いただきたいと思います。通常であれば、断端陽性であれば追加手術が妥当であり、放射線治療が断端陽性を解決できる方法ではないと考えます。また、最終的にリンパ節転移2個で抗がん剤治療がさらに必要であるかについては、先生によって考え方は異なってまいります。ザンクトガレン2009に照らし合わせると、術後治療に関しては、化学療法および内分泌療法併用よりも内分泌療法単独の相対的適応となります。どうしても抗がん剤を御希望される場合には、有効であったドセタキセルの継続が良いのではないでしょうか。
2) おっしゃるとおりluminal Bであれば、抗がん剤治療が大事になってきます。しかし、Ki 67を調べないと、luminal Bであるかどうかの判断はできません。Luminal Bの可能性はゼロではありません。
3) 腋窩リンパ節転移が2個あるという情報だけで十分で、それ以上の情報はないと思います。

以上、乳がんは深く学べば学ぶほど、答えを出すのが難しい御病気です。でも、再発予防のために何をするべきかを決めないといけませんよね。一番納得できる方法を見つけるしかありません。例えば、自分はluminal Bの可能性がありそうで心配、と思われるのであれば、追加の化学療法を納得できるまで継続するのがよいでしょう。しかし、内分泌療法でしっかりと予防していこうと決めれば、それを継続していきましょう。ご不安がいっぱいだと思いますが、必ず答えはみつかるはずです。また、主治医の先生にもよくご相談くださいませ。非常に難しいご質問だと思います。少しでもお力になれましたら幸いです。(文責 高橋)

 

No.9085-1】  09年08月15日   Y 
臨床治療について

46歳未婚。本日、スコア3(HER2)陽性乳がん 30mmの結果が出ました。治療方法なのですが、標準的な術前治療か臨床治療かということで、臨床治療を進められたのですが、今ひとつ悩んでいます。素人なもので、比較しようがなく、悩んでいます。臨床という事は悪までも実験ですよね? 抗がん剤で小さくしてから、手術するとういう話のなのですが、大丈夫なのでしょうか? 効果がなければ、標準治療に戻らないで、手術すると言われました。説明文を読んでも、今ひとつわかりません。リスクはないのでしょうか? これで、大丈夫なのでしょうか? よろしくお願い致します。

「臨床治療」というのは「臨床試験」という意味でしょうか?臨床試験という言葉はおっしゃるように「実験」ということばにも受け取れますが、いま現在行われている標準治療もそのほとんどが臨床試験の結果生まれてきたものであり、いわば「何年か先の標準治療」の候補と考えていただければよいと思います。試験とはいっても、効果や副作用に関して十分に検討されてすべて決められておりますので、効果やリスクは標準治療と大差ないと考えてよいと思います。しかし、それでも納得いかない場合は、標準治療を希望たいという旨を主治医の先生にお伝えすればよいと思います。(文責 谷)

 

No.9085-2】  09年08月20日   Y 
抗がん剤費用&癌手術について

先日は、ありがとうございました。少し安心致しました。46歳。未婚。出産経験なし。HER2陽性乳がん30mmmの診断です。術前臨床試験の治療にしょうかと考えています。ところで、抗がん剤費用ですが、私の場合、ハーセプチン+エンドキサン+タキソテール術前化学療法なのですが、3週回に1回を半年投与という事です。1回どれくらいかかるのでしょうか? 今までも、検査費用等々、かなりかかっており心配です。社会保険適用だと思うのです・・・。あと、事前にハーゼプチン適応検査というのもあるそうなのですが、こちらもいくらぐらい、かかるものなのでしょうか? この治療は、術後も続くのでしょうか? また、摘出する時に癌が空気に触れると分散するらしく転移する可能性があるらしいと聞きました。これは、本当ですか? よろしくお願いします。

臨床試験の場合、保険適応でない治療もしばしばありますので、患者さんの負担金額に関しても各々事前に取り決めされているものと思います。よって、主治医の先生かコーディネーターの方にお聞きになるとよいと思います。また貴女の場合HER2陽性が既に証明されているものと思われますので、ハーセプチン適応検査が何を指しているのかはよくわかりませんが、もし必要な検査であれば、やはりそのコストに関しても取り決めされているものと思います。術後その治療を続けるか否かも同様です。また、摘出の際癌が空気に触れると転移しやすいということはありませんが、癌が露出するとそこから周囲に癌細胞が散ってしまう可能性がありますので、一般に手術中は癌ができるかぎり露出しないように留意することは外科手術の基本事項になります。(文責 谷)

 

No.9084】  09年08月15日   M.S. 
腫瘍マーカーの微増と薬の変更について

母について質問です。タキソールを投薬したり休んだりして3年半、その後タキソテールを2年少しやっております。副作用もほとんどなく、今でも体調は良好なようです。マーカーが微増しているようで、「次の薬を検討しましょう。」と言われたようです。微増でも次にいった方ががいいのですか? 逆にマーカー等、どのくらいになったら次に移行すればいのでしょう。タイミングが分かりません。まだアントラサイクリンはやっていないのですが、HER2陰性患者に効き目がないと聞いたので、ゼローダやTS-1といった経口抗がん剤がいいのでしょうか? なんだか質問攻めになってしましい申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

タキソール、タキソテールあわせて5年半使用していることから考えると、乳がん術後の再発治療なのでしょうか?メールの内容からは情報量が少なくお答するのが困難です。しかしHER2陰性とはいえ、もし使用するならゼローダ、TS-1のまえにアントラサイクリン系を使用するべきだと思います。主治医の先生に一度よくご相談なさってください。(文責 谷)

 

No.9083】  09年08月15日   T 
術後の検査治療について

乳がんの手術後の検査治療についてご質問いたします。今年6月に集団検診で乳がんと診断され手術をうけました。術後の病理検査で、「ステージT・硬癌・グレード2・腫瘍の大きさ1.2cm・ly(−)・v(+)・N(リンパ節)因子 陰性・ホルモンレセプターER(3+) PGR(3+)・HER2(1+)」と診断されました。ホルモンレセプターが陽性だったため、現在ホルモン療法と放射線治療を受けています。(ホルモン療法はリュープリン注射2年。ノルバデックス内服5年です。)

1) ホルモン療法を選択するとき抗がん剤も選択肢の一つとして示されましたが、抗がん剤をプラスすることで再発リスク等、どれくらい抑えられるものなのでしょうか?
2) 手術後の検査として今は特に何もしていません。病院によっては腫瘍マーカー検査をしているところもあるようなのですが、手術後間も無い時期のこういった検査などは必要なのでしょうか?

ご回答よろしくお願いいたします。

1) Adjuvant Online!によると、年齢が40歳前後とした場合ホルモン療法に抗がん剤を上乗せすることで約7%再発リスクを減少させることになります。
2) ステージ1の早期乳がんにおいては術後数か月で腫瘍マーカーが上昇することはまれであり、通常その時期の測定の意義は薄いものと考えられます。(文責 谷)

 

No.9082】  09年08月15日   S
乳癌と母乳について

31才、現在妊娠中です。母乳マッサージの際、血乳がでたため乳汁の組織検査をしたところ、疑陽性という結果がでました。エコー検査ではしこりのようなものはなかったのですが、出産後にマンモ及びMRI(造影)をする予定となっています。
1) マンモ及びMRI(造影)は、母乳に影響があるのでしょうか?(出来ることなら母乳育児を希望しています)
2) 乳がんだった場合、その母乳は飲ませられないのでしょうか? 乳児に与える影響は、どういったものがありますか?

情報があまりにも少なく、とても不安です。お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

1) 通常マンモグラフィの被爆量は非常に少なく、母乳への影響はほとんどないと考えております。しかし全くないとは言えず、必要な際には、その影響の可能性と撮影の必要性とで判断するべきであると考えます。MRIは磁石を用いた検査であり放射線は使用しませんので、母乳には影響ないと思われます。
2) もし乳がんであった場合は、その治療が必要となりますので、母乳を飲ませることは困難です。(文責 谷)

 

No.9081】  09年08月15日   Y・F
再発率・生存率について(HPNo.9073-2)

ご丁寧な回答ありがとうございました。病理検査の結果、がん細胞が消失しているとの話を担当医より確認致しました。そこで再度ご相談させて下さい。
1)再発率・10年生存率はどの程度になりますか?
2)今後の治療はハーセプチンのみの予定ですが、ホルモン非感受性であるのでホルモン治療は必要ありませんか? また、リンパ節への放射線治療もする必要はないでしょうか。

以上、お忙しいところ申し訳ありませんが宜しくお願い致します。

1) ハーセプチンを術後の補助療法として使用した際の長期の成績はまだデータが取れていないため、10年生存率、再発率は算出できません。adjuvant online!によると、3年での再発率は約16%、死亡率は約10%となっております。しかしこの調査では、pCR(前回の高橋先生の回答をご参照ください)についての検討はできず、貴女の場合pCRであったとすると、実際には再発率、死亡率ともに、もう少し低いと考えられますが、それがどれくらい低くなるかはまだわかっておりません。
2) ホルモン治療は効果が期待できません。またセンチネルリンパ節の転移の個数が3個以内なら、放射線治療の適応は、ガイドライン上ないことになります。(文責 谷)

 

No.9080】  09年08月14日   ゆめ
病理結果について

2007年に、浸潤性乳管がんで温存手術を受けた者です。術後、病理結果について説明は受けましたが、病理報告書は見せてもらっていませんでした。最近になって病理報告書を目にする機会があ  り、「断端(+−)尾側断端部材料にわずかなcancer胞巣が認められました」という記述があり、ショックを受けました。術後の説明では、断端については何もふれられなかったので、迅速検査と同様に(−)であったものと思っておりましたから。断端(+−)というのは私はあまり目にしないのですが、その後の主治医の説明で、「切断面そのものではなしに、少し入った5mm以内にがん細胞が存在するという意味」とのことでした。
放射線は25回+ブースト5回計60グレイを勧められ受け始めましたが、10回くらい済んだ時点で、断端(−)と思っていましたので、私の方からブーストはお断りしました。放射線は、手術をした病院とは別の病院で行っており、その紹介状には断端(−)と記してあったため、放射線医のチェックも入りませんでした。
そこでお伺いしたいと思います。
1) このような場合、乳房内再発の確率はやはり少し高くなるのでしょうか? その他の病理結果は、浸潤径1.2x0.8x0.0cm、リンパ節転移(−)、脈管浸潤リンパ・血管ともに(−)、HER2(0)、 グレード2(手術当時55歳)です。  
2) 長くなり申し訳ありませんが、もう一つお伺いします。浸潤径の最後のところ(x0.0cm)となっていますが、0.0cmというのは奇異な感じがするのですが、どういう意味でしょうか?

どうぞ よろしくお願いいたします。

1) ブースト追加により若干効果を期待できますが、メールの内容から判断しますと、確率はさほど変わらないと思います。断端陽性の定義は国、病院間で様々ですが、+−という結果はあまり気にされなくても宜しいかと思います。
2) おっしゃるように奇異な感じがします。ミスプリントでしょう(あるいは測定していないという意味かもしれません)。(文責 加藤)

 

No.9079】  09年08月14日   S
妊娠時の検査について

現在妊娠33週です。出産予定日は8/18です。先日、母乳マッサージの際血乳が出たこともあり、産婦人科で紹介状をいただき県立の総合病院外科で乳汁の検査をしたところ、疑陽性という結果が出ました。その後のエコー検査ではしこりのようなものは見られず、出産後に、マンモグラフィーとMRIともう一度エコーで検査をする方向となりました。妊娠中はマンモグラフィー及びMRIは避けたほうが良いということは納得できているのですが、今後の検査や治療を考えると、専門のガンセンターで改めて検査していただく方が良いのか、現在診ていただいている県立のままが良いのか迷っています。
出産は、今のところ個人の産婦人科の予定です。出産自体を県立病院に移り、入院中に検査を受けたほうが良いのか(少しでも早く検査が出来る)、出産後がんセンターで検査を受けるべきか悩んでいます。ガンセンターへは、片道1時間強かかります。県立病院については片道30分ほどです。出産後、乳児のことを考えると少しでも近い病院を選ぶべきか、少しでも症例の多いガンセンターを選ぶべきか決めかねています。また、母乳育児を希望しているのですが、出産直後からマンモグラフィーとMRI検査までの間に母乳を与えて良いのかどうか。またマンモグラフィーとMRI検査後の母乳に影響がないかも、あわせてお聞きできればと思います。妊娠中、出産後の対応がまったくわからない状態で毎日不安です。どうぞよろしくお願いいたします。

疑陽性は異常なしという結果になる場合も多く、エコーでしこりも見られないのでしたら、あわてることなく検査を受けていかれるのが宜しいかと思います。MRIは造影剤を使用するため、検査後24-48時間は授乳を避けたほうがいいでしょう(検査のとき説明があるかと思います)。(文責 加藤)

 

No.9078】  09年08月14日   M.T.
再精密検査

初めて相談させて頂きます。現在41歳です。先日、市の乳癌検診を受けたのですが(触診・マンモ)、触診異常なし、マンモ・右胸非対称性陰影カテゴリー3で精密検査の結果でした。その後、乳腺外科専門の病院にて検査を行い、触診とマンモは前回と同じ結果が出て、エコー検査では右胸に4箇所の黒く丸い陰が確認されました。それに関する医師からの詳しい説明も無く、「もう少し詳しく検査しましょう」ということで、針での検査とMRI検査をすすめられました。その時点で、もしかして妊娠の疑いがあったので、まだ検査は行っておりません。
1) エコー検査で見つかった黒い陰については、「判断がつかないため詳しく説明できず、さらに検査した時点で判断しましょう」という医師の考えだと思っても良いものでしょうか?
2) 現在妊娠している事が判明しました。この際、MRI検査は出来ないので、針での検査だけでも結果は得る事が出来ますか?
3) 妊娠の疑いがありながらマンモを撮影してしまいましたが、大丈夫でしょうか? (撮影時は鉛のエプロンを着用しました)
4) もし、黒の結果が出た場合、妊娠継続で治療は可能なものでしょうか?

長々と質問させて頂き済みませんが、回答宜しくお願い致します。(昨年も乳癌検診を受けておりますが、その時は異常は有りませんでした)

1) 検査結果がはっきりしてからの説明を考慮しているのだと思います。
2) 多くの場合、結果を得ることはできます(MRIが必要な場合は限られます)。
3) 大きな影響はありませんので、大丈夫です。
4) 妊娠の週数、病状などを考慮しつつ、継続で治療を行っていくことも可能です。(文責 加藤)

 

No.9077】  09年08月14日   M
左胸の石灰化について

私は42歳の主婦です。健康診断のマンモグラフィーで左胸に石灰化が見つかり、マンモトームをしました。その結果がグレーというもので、担当の先生の話では、「癌ではないが正常でない細胞も認められる」という事でした。 「経過観察をして、半年後にまたマンモをしてもいいし、心配なら今すぐ患部を切除手術しましょう。」と言われました。その際に、「今なら癌ではないので、術後に放射線治療やホルモン剤投与などの治療もいらないし、切除も小さく済む。」と言われました。このまま半年おいておいても癌化しないかもしれないし、癌化するかもしれないし、この先が読めないとのこと・・・、こんな曖昧な病状は、何と受けとめれば良いですか? 前癌病変ですか? 他の病院も受診しようと思いますが、マンモトームなどの検査後は症状が進んでしまうことが多いと聞きました。担当の先生は、「すぐに切除しましょう。」とおっしゃっていますが、他で受診検査などをしていても、症状がぐんと進んでしまう心配はありせんか? 私の気持ちとしては、切除は全然かまわないし、すぐにでもしたいのですが、もう少し大きくて、たくさんの症例数をこなしている病院で、診察、手術をお願いしたいと思っています。とても不安で、モヤモヤした気持ちです。専門の先生から、もう少しわかりやすいお話が聞きたいと思いメールしました。どうぞよろしくお願いします。

きっと担当医も悩んでいることと察します。おそらく、がんではないが正常でない細胞があり、様子をみようか、切除まで行うかという判断になると思います。病理検査の結果、画像所見、御年齢などを考慮し、総合的に判断する必要があります。マンモトーム後に急に進行することはないですし、おっしゃる様な病理結果であれば、時間的猶予は十分ありますので、じっくりあわてないで判断していくのが宜しいかと思います。(文責 加藤)

 

No.9076】  09年08月14日   T
術後の全身療法について

術後の全身療法について質問させていただきます。よろしくお願いいたします。39歳閉経前、出産経験あり。乳房温存術施行。
病理結果
○浸潤癌:充実腺管癌 1.4mm×1.0mm 広範囲にわたり非浸潤癌認める、広いductul spread
○皮膚側で断端陽性:in situの成分が残存
○進達度:f ly(−) v(+)
○腋下リンパ節:(−:0/1)
○組織学異型度:2
○ER:(+30%)、PgR:(−)、HER2:(1+)

上記結果より
○術後補助療法(中間リスクから):AC→T+放射線療法+抗エストロゲン剤
○皮膚側が断端陽性だが追加切除はせず(剥離した皮膚剥離面の為)、放射線対応。→局所再発の可能性は0に近くなる。それほど心配する必要はない。
といった治療方針になりました。

上記状況から質問です。
1) 断端陽性ですが、放射線治療で局所再発に差はないのでしょうか?万が一局所再発した場合、浸潤癌の可能性が高いと思われますが、その時に全摘がベターな選択なのでしょうか?
2) PgR(−)、HER2(1+)、ER(+30%)だとトリプルネガティブに近い状態との理解が正しいのでしょうか? また、HER(1+)だと陰性確定でしょうか?FISHは無用でしょうか?
3) AC−Tの治療となりましたが、中間リスクとはいえ、上記状況から考えると、再発リスクが高いとの考察からTも入れることになったと考えていいのでしょうか? PgR/ERの状況からTを追加したのでしょうか?

長文になり、恐縮ですが、よろしくお願いします。

1) 局所再発率はやや高くなりますが、担当医のコメントを考慮すれば、あまり心配はないように思います。浸潤がんで再発した場合でも、状況によって必ずしも全摘がベターとは限りません。
2) 低発現ながらもER陽性となりますので、いわゆるトリプルネガティブとは異なります。1+の場合、通常FISHは行わず、陰性となります。
3) 質問内容の確認になりますが、浸潤部は1.4mmであったのでしょうか?(cm?)。だとすれば微小浸潤がんに近い状況となり、化学療法は過剰治療となる可能性があります。cmであれば、おっしゃるようにER、PRの状況からTの追加を考慮した可能性があります。ただ、追加投与のメリットはあったとしても僅かなものでしょう。(文責 加藤)

 

No.9075】  09年08月12日   M.T
Her2の検査

Her2の検査は保険適用でできますか? もしHer2の検査をしてもらう場合、私の検体は術前化学療法前のCNBか、浸潤部以外の癌(手術後、浸潤巣消失、非浸潤部、リンパ(2/13)に癌残存)しかないのですが、これらでHer2の検査は可能でしょうか?

ご質問どうもありがとうございます。もちろん術前CNBの検体、手術検体いずれもHER2は保険適応です。乳がんの診療をされている病院であれば、すでに検査済みではないかと思われますが、主治医の先生にご確認くださいませ。また、浸潤部でなければHER2の結果が得られない可能性はございます。また何かございましたらご相談くださいませ。(文責 高橋)

 

No.9074】  09年08月12日  E.T. 
ホルモン療法について

昨年12月末に左胸を温存手術しました。40歳代半ばです。腫瘍径1.3×2.1×1.2cm リンパ管浸潤− 静脈浸潤− リンパ節転移0 グレード3 ER+ PgR弱+ Hercep3+。1月より、抗がん剤CE4回、DOC+ハーセプチン4回、終了後ハーセプチンを3週間毎に点滴治療中です。少しのむくみ、だるさ、味覚異常があります。1年間のハーセプチン終了後、放射線治療を30回、ホルモン療法を5年の予定です。
1) ホルモン療法はハーセプチンと同時に今から始めるのと、ハーセプチン終了後に始めるのとでは、どちらが効果がありますか。
2) ゾラデックスとリュープリンの選択について 
リュープリンは12週に1度で、注射の針も細く痛みが少ないと聞きましたが、効果、副作用の違いはありますか。
3) ノルバデックスとフェアストンの選択について
フェアストンは閉経後の人が使う薬と思っていましたが、友人が閉経前で使っています。閉経前でも同様の効果がありますか。ノルバデックスは少ないとはいえ、子宮がんの心配があるようなので、できればフェアストンを使いたいのですが、どうでしょうか。

ご質問どうもありがとうございます。乳がんの温存手術後着実に予防の治療をお受けになっていらっしゃるのですね。病院の先生ごとに多少考え方は異なる可能性がございますので、一つの考え方としてお聞きくださいませ。
1) 一般的には、温存療法後の治療の流れとして、抗がん剤およびハーセプチン投与をおこなう場合には、半年の抗がん剤治療(ハーセプチンの投与も含めて)の後、放射線治療を約1ヶ月施行、その後ホルモン治療を開始しながらハーセプチンを同時におこなっていく方針としている施設が多いと思います。ホルモン療法とハーセプチン療法は治療の作用機序が異なりますので、ハーセプチン終了を待たずして同時にホルモン療法を開始されるのが良いのではないかと思います。
2) ゾラデックスもリュープリンも患者様のニーズにより選択いただいております。大きく異なる効果、副作用を認めた経験はございません。閉経前ホルモン療法の標準はノルバデックスあるいはタスオミンです。薬剤それぞれに副作用はございますので、副作用をおそれる余り標準治療から離れる必要はないと思います。
 
以上、少しでもお役に立てましたら幸いです。なお、このお答えが絶対ではございません。主治医の先生のご意見をまず尊重し、このような考え方もあるようですが、とお話くださいませ。E.T.様のために主治医の先生も一生懸命治療方針を考えてくださっているのですからね。またご不安な時には、ご質問くださいませ。(文責 高橋)

 

No.9073-1】  09年08月12日  Y・F
乳がん再発率について

31歳女。昨年、左乳房2.1cmの腫瘍と石灰化が見つかり、充実腺管癌と診断されました。センチネルでリンパ節転移あり、核グレード3、組織グレード3、ホルモン非感受性、HER2 +3、ステージUb。術前化学療法として、FEC4クール、ウィークリータキソール+ハーセプチン(4ヶ月間)を行い、その後左乳房全摘術、リンパ節ステージ2まで切除、今後はハーセプチンのみで(残り8ヶ月間)治療をしていく予定です。抗がん剤治療後、腫瘍は縮小し、18×8mm大の星ぼう状の「enhancing area」が抽出されました。病理検査の結果は、リンパ節転移も0個/14個、グレード3で、抗がん剤がよく効いたとのことでしたが、私の場合、元々の悪性度が高いのと、年齢が若いので、再発の不安があります。またMRIで右乳房にも「enhancing mass」が見られたとのことでしたが、マンモグラフィーでは写っていなく、ガンではないだろうとのことで、右乳房の手術は行いませんでした。しかし抗がん剤治療で消失したとの報告があり、やはり悪性ではなかったのかと不安です。前置きが長くなりましたが、質問をさせて下さい。

1) 先生からみて治癒率・再発率は、どうお考えになりますか。病院からは、抗がん剤の効果(数値)が“10”あるので、とてもよく効くとも言われていました。(正確な名称が分からなくて、すみません)
2) 右乳房の「enhancing mass」は、やはり悪性だったのでしょうか。良性である可能性はあるのでしょうか。
3) 左のリンパ節は、当初の触診とエコー診断では転移はなさそうとのことでしたが、その2週間後に別の医師に触診してもらった時に、少し腫れていると言われ、結局センチネルで転移が認められたのですが、2週間足らずで転移をし、腫れてしまうことはあるのでしょうか。
4) 抗がん剤治療後の左乳房、星ぼう状の「enhancing area」抽出とは、まだガン細胞が残っていたということですか? 病院からは、腫瘍はカスカス状態でガン細胞は認められないというニュアンスで伝えられたのですが・・・。
5) 抗がん剤治療が約2ヶ月前に終わったのですが、ここ2週間ほど前から手のこわばりと関節の痛みがあり、日に日に増しています。特に朝は片手では指が伸びず、両手を使って伸ばさないと開かなくなってしまいました。また現在、生理も止っていることと、性器が萎縮してしまっており、まったく性交ができない状態です。生理がくれば、手のこわばりや性器の萎縮は改善されていきますか? 特に萎縮に関しては病院で何人かに伺ってもそのような症例をあまり聞いたことがないとのことで、将来子供も考えているので不安です。これらの考えられる原因はホルモンバランスでしょうか。なにか治療法は考えられますか?

長文になってしまい申し訳ありません。どうぞ宜しくお願い致します。

ご質問どうもありがとうございます。乳がんの治療中は様々なご不安がございますよね。御一緒に解決していきましょう。
1) adjuvant online(アジュバントオンライン)では、Y.F.様のデータを入力すると抗がん剤による効果は13%期待できるとでております。
2) 右乳房については、その時に検査をしていなければ何ともお答えできません。難しいご質問です。
3) 短期間でリンパ節に転移することはございません。エコーなどの検査だけでは転移の診断が難しいので、センチネルリンパ節生検をおこなって転移の診断を行うのです。
4) 術前化学療法中に、しこりは消失していく過程でひきつれをおこしながら治癒していきます。そこにがん細胞が残っているのかどうかは、手術で摘出した乳腺を調べた病理検査結果を主治医の先生に再度ご確認下さいませ。完全に、がん細胞が消失しているのであればそれは病理学的完全奏効(pCR)といって、非常に喜ばしい結果です。
5) タキソールの影響で手足がしびれる可能性はあります。そうであれば、漢方薬などを内服します。また、抗がん剤治療により閉経状態になるかたはいらっしゃいますが、徐々に生理が戻ってくる可能性はあります。現在の症状は、おっしゃるようにホルモンバランスによるものかもしれません。時間の経過と共に改善してくるかと思いますので、今はあせらずにお待ち下さいませ。
 
以上少しでもお役にたてましたら幸いです。詳しくは、主治医の先生にもご確認くださいませ。また、ご不安がございましたらご訪問くださいませ。(文責 高橋)

 

No.9073-2】  09年08月15日  Y・F
再発率・生存率について

ご丁寧な回答ありがとうございました。病理検査の結果、がん細胞が消失しているとの話を担当医より確認致しました。そこで再度ご相談させて下さい。
1)再発率・10年生存率はどの程度になりますか?
2)今後の治療はハーセプチンのみの予定ですが、ホルモン非感受性であるのでホルモン治療は必要ありませんか? また、リンパ節への放射線治療もする必要はないでしょうか。

以上、お忙しいところ申し訳ありませんが宜しくお願い致します。

1) ハーセプチンを術後の補助療法として使用した際の長期の成績はまだデータが取れていないため、10年生存率、再発率は算出できません。adjuvant online!によると、3年での再発率は約16%、死亡率は約10%となっております。しかしこの調査では、pCR(前回の高橋先生の回答をご参照ください)についての検討はできず、貴女の場合pCRであったとすると、実際には再発率、死亡率ともに、もう少し低いと考えられますが、それがどれくらい低くなるかはまだわかっておりません。
2) ホルモン治療は効果が期待できません。またセンチネルリンパ節の転移の個数が3個以内なら、放射線治療の適応は、ガイドライン上ないことになります。(文責 谷)

 

No.9073-3】  09年12月09日  Y・F
今後のホルモン治療について

以前、No.9073でお世話になりました。その節はありがとうございました。今後の治療についてのご意見を頂けたらと思い、宜しくお願いいたします。また、下記の内容は正確な用語や表現ではない部分があり、わかりづらく申し訳ありません。ご理解いただける範囲で結構ですので、宜しくお願いいたします。
元々、ホルモンについては非感受性ではなく、エストロゲンが4点で陽性、もう一つのホルモンが陰性(−4点?)で 、±0になってしまうので、ホルモン治療はあまり期待できないということでした。抗がん剤の治療&手術をした後の病理の結果、2つのホルモンはどちらも陰性になったので、ホルモン治療はしないと言われ、現在はハーセプチンのみの治療を続けていましたが、先日、半年ぶりの生理が再開したことを報告したところ、担当医から、「ホルモン治療を行ったほうがいいかもしれない」と言われました。私の総合的なガンの性質と、治療前はエストロゲンが4点で陽性であった為だそうです。ちなみにホルモン剤は10個のガン細胞があったとしたら、そのうちの1個に効くぐらいのイメージと言われました。
病理結果はpCRでグレード3という結果が出ており、ハーセプチンもあと4カ月ほどで終わり、ホッとできると思っていましたが、ホルモン治療をお勧めすると言われ、副作用もあると思いますので、また5年間頑張らなくてはいけないのかと、少し落ち込んでいます。来年に結婚、できたら子供も欲しいと思っていましたので、今後のホルモン治療をするべきかどうか悩んでいます。

1) ホルモン治療を受けたほうがいいのでしょうか?
2) ホルモン治療した場合には、どの程度の効き目が期待できますか?
3) 治療をした場合としなかった場合とでは、再発率などにどのぐらいの差が出てきますか?
4) ホルモン治療のほかに、副作用が少なく、子供も作れる治療法はないのでしょうか?

以上、長文・わかりづらい文章で申し訳ありません。どうかご意見をお聞かせいただければと思います。宜しくお願いいたします。

1) ホルモン感受性は、低いですが、ないわけではないので、再発のリスクを少しでも減らそうと考えるのであれば、行うべきです。その場合、副作用とのバランスが問題ですが、一般的には副作用は軽いです。
2)3) ホルモン低感受性なので、データは乏しいです。しないよりは良いという程度でしょう。
4) 現在のところありません。どんな薬物療法でも、胎児に対する安全性は問題です。(文責 徳田)

 

No.9072】  09年08月12日  H.S.
今後の経過観察について

2004年5月に、2a期の乳がんで左胸全摘した者です。病理の結果は、「腫瘍サイズは13ミリ×45ミリ、ただし浸潤部は10ミリ×10ミリ×13ミリ、リンパ節転移なし(0/9個)(センチネルは実施していない病院)、組織型:硬がん、グレード:1」ということでした。ホルモン感受性が両方とも強陽性ということで、抗がん剤は使わず(抗がん剤適用の対象にもなると説明を受け、セカンドオピニオンの結果自分で選びました)、術後ゾラデックス2年、ノルバデックス5年間の治療を終えたところです。今のところ明確な転移・再発はないため、今後は1年ごとに検診を受けるのみだそうです。ノルバデックス服用期間中、生理がなかったため、閉経しているかと期待していたのですが、今年7月3日に最後のノルバデックスを飲み、7月31日には生理が再開してしまいました。(量は多く、期間は短めでした。)閉経状態かと思って乳腺外科を受診したあとのことなので(つまり次の受診は1年後)、ホルモン感受性も高いため、このまま1年間放置していていいものかどうか、心配になりました。1個でもがん細胞が残っていたら・・とイメージしてしまいます。1年後の受診で良いのか、一度近いうちに受診して状況を伝えておいた方がよいのか、あるいは別の方法があるのか、教えてください。よろしくお願いいたします。

ご質問どうもありがとうございます。生理が再開したことが、乳がんを再発させるのではないかとご不安なのですね。閉経前乳がんに対する術後ホルモン療法についてですが、ノルバデックス5年間内服治療後の治療については確固たる方針はございません。基本的には内服終了となります。ノルバデックスは閉経をおこす薬剤ではありませんので、内服終了すれば当然生理は再開します。それをご不安にお感じになるかたは、平均の閉経年齢である52歳頃までノルバデックスを継続したり、あるいはアロマターゼ阻害薬に変更して継続したりすることもあります。ご不安はそのままにせず、近いうちに主治医の先生を受診されて、ご相談してみてくださいね。また、ご心配ごとがございましたら、ご相談くださいませ。(文責 高橋)

 

No.9071】  09年08月12日  C
術後の治療と不妊治療

お世話になります。現在39歳です。昨年08年2月の健康診断で受けたマンモグラフィで石灰化が見つかり、二人の先生に良性だと思うと言われましたが、4月に念のため受けたマンモトーム生検にて乳がんと判断、5月に温存術にて手術を受けました。エコーには写らない小さいもの、5ミリ以下だと記憶しています。粘液癌、病期T、T1、N0、M0、潤侵性、リンパ節には転移なし。HER2は微量すぎて調べられなかったとのこと。摘出手術のみで放射線治療はしないとのことで、そのときはしなくてすんだと喜んだのですが、後になって手術と放射線治療はまずセットで行われると知り、不安になっています。癌ではなかったのではとの疑いも持つようになりました。
そして今年4月より、主治医の了解を得て不妊治療を受けております。不妊治療で使う薬には、乳がん患者は使用不可と書かれている薬がたくさんあり、とても不安になっています。妊娠と乳がんのリスクはつながりがあると考える先生と、そう考えない先生がいらっしゃり、その考え方によって不妊治療の仕方も違います。どの先生に診て頂くか散々迷い、結局、乳がん治療後でも不妊治療は問題ないとおっしゃった先生に診ていただいています。
お聞きしたいことは、
1) 術後に放射線治療はしない場合もよくあるのでしょうか? 今からでも受けたほうがいいのでしょうか?
2) 不妊治療で使われる薬での乳がん再発リスクについて

よろしくお願いします。

ご質問どうもありがとうございます。乳がんの治療もしっかりとしなければいけないし、お子様も授かりたいですよね。御一緒に考えてまいりましょう。
まず乳がんの治療についてですが、手術そのもので治そうという考えではなく、今後の再発をいかに予防するかが最も大切になります。手術の目的は、一つは病変部をしっかりと取り残さないように切除すること、もう一つは乳がんの性格を調べて、有効な薬剤を決定することです。ホルモン治療が有効であればホルモン剤投与を行います。抗がん剤が必要になる場合もあります。また、おっしゃるように乳房温存療法と放射線治療は必ずペアで行います。放射線治療をしなければ、手術した側の残存乳腺に約30%の確率で乳がんが再発するというデータがあるからです。なお、不妊治療と乳がん再発に関する明らかなエビデンスはありません。従いまして、
1)乳房温存手術後に放射線治療は必須です。
2)不妊治療と乳がんの因果関係は確かなものはございません。(文責 高橋)

 

No.9070】  09年08月12日  SO
リンパ節の転移について 

5月末に、乳房左上あたりに1センチくらいのしこりがみつかり、ガンと診断されました。6月16日に乳房温存、センチネルリンパ節生検はしないで、最初からリンパ節1は取るという手術をしました。昨日外来に行ったところ、リンパ節に転移が1つ見つかったと言われました(ただ本当の詳しい検査結果は今のところ出ていない)。7月半ば過ぎより、10日ほどの入院による抗がん剤治療を行うということになっています。(その前に結果を見て、抗がん剤治療の内容を詳しく話すとは言われています。)
1) 主治医は、リンパ節をこれ以上取るとは言いませんでした。わたしとしては、リンパ節2までは取ってもらわないと非常に不安です。取らないまま抗がん剤治療に入ることは、この場合、通常と言えますか。
2) 抗がん剤の最初の治療は、大体どこの病院でも入院すると言われました。外来だけでやる方法もあるのでしょうか。子供が小さいため、できるだけ外来でと思っています。

よろしくお願いします。

1) リンパ節1=レベルTのリンパ節、2=レベルUと解釈してお答え致します。主治医は適切な手術範囲と判断して、必要以上のリンパ節を摘出しなかったのであろうと推測します。リンパ節は摘出すればするほど、後遺症の確立が高くなります(レベルUまで絶対に取らなければならないということはありません)。このまま抗がん剤治療に入っても特に差し支えないと思われます。
2) 病院によって方針が異なりますが、外来通院にて投与希望の旨を伝えてみてはいかがでしょうか?(文責 加藤)

 

No.9069】  09年08月12日  T.M.
乳癌転移後の化学療法について(HPNo.8906-2)

HPNo.8906で質問させていただいた者です。その際は有難うございました。先般メールしましたとおり、骨転移であることにほぼ間違いないとのことでした(主治医およびセカンドオピニオン同意見でした)。このため、化学療法の治療をすることとなりました(妻の癌は、ホルモン療法および分子標的治療はできないとのことでした)。しかしながら、タキサン系の抗がん剤タキソテールを点滴したところ、息苦しくなり、アレルギー反応(アレルギーをおさえる薬を事前に投与しています)がでたということで中止となりました(ゾメタは4週間おきに投与する予定です)。
そこで質問ですが、同じタキサン系のタキソールは、投与可能でしょうか。アレルギー反応を再度確認してみたほうがよいのでしょうか(妻が少しでも効く薬を希望しています)。なお、主治医はタキサン系の抗がん剤でアレルギーがでたので、ゼロータの使用ををすすめられました。化学療法しかきかない乳癌の治療方法は、タキサン系が使用できないと、ゼロータしかないのでしょうか。それとも何か他の治療方法はあるのでしょうか。再度の質問で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

一般的には投与しないことが多いですが、どうしても必要な場合には慎重に投与を行うということになるでしょう。ゼローダ以外にもアンスラサイクリン系、ナベルビン、トポテシンなど他に治療法はあります。(文責 加藤)

 

No.9068】  09年08月06日  M.O,
術後治療について

術後の治療についてアドバイスをお願いします。36歳、既婚、子供なし。乳頭腺管癌、大きさ1.1cm、核異型度2、リンパ節転移無し、脈管侵襲は軽度、ER+(7/8)、PgR+(6/8)、Her-2:2+(フィッシュ)。主治医からは、脈管侵襲は軽度、核異型度2の結果から、抗がん剤→ホルモン治療も検討したほうが良いとのことでしたが、化学療法の担当医からは、ホルモンが良く効くタイプなのでと、ホルモン治療単独を薦められました。抗がん剤をしても2%ぐらいの違いしかなく、副作用を考慮するとあまりメリットがないとのことでした。ご意見をお聞かせいただければと思います。

ご質問どうもありがとうございます。おっしゃるとおり2009年のザンクトガレンにおけるミーティングでは、ホルモン感受性があるかたに対する治療では、ホルモン治療単独という選択肢がより積極的に選ばれる傾向となっております。すでにお感じになっていらっしゃるように、医師により判断は変わってきますし、どれが正解というものはございません。結局は、再発しなかった場合に初めて正しい選択であったと言えるのです。従って、現在できることは、ご自分が後悔しない選択肢を選ぶことです。すなわち、“無再発を目指してできる治療を全ておこなうべき”なのか、あるいは“とにかく副作用だけは避けたい。できるだけ副作用の無い治療を選んで、その結果再発したとしても後悔はしない。”とっても難しいことと思います。でも、医師たちと相談しながらも最終的には御自分がお決めにならなければいけません。ただし、最近はホルモン治療のみを選ばれる方も増えてきております。また、お困りの時にはご相談くださいね。いつでもお待ちしております。(文責 高橋)

 

No.9067】  09年08月06日  TM
継続的な乳房の痛み

30代半ば、未婚、出産歴なしの女性です。去年8月より半年間の抗がん剤治療と同時にゾラデックス治療。今年2月に左乳房全摘手術。3月よりゾラデックスに加えノルバデックスにてホルモン治療中。4月初めから健側(右胸)の乳頭下あたりがズキズキ、ビリビリ痛み、それがずっと続いています。手で触ると、硬い乳腺があるような感じがします。基本、乳がんに痛みはないので大丈夫だと言われましたが、この継続的な痛みは、やっぱり気になって気になって仕方ありません。これはホルモンバランスの崩れからくるものでしょうか? 何か対策はあるのでしょうか? よろしくおねがいします。

ご質問どうもありがとうございます。乳がん手術後の反対側の胸の痛みに関するご質問ですね。どきどきしてしまいますよね。少しでもご不安を解決する方法を御一緒に考えてみましょうね。まずは、乳腺エコーやマンモグラフィーでご確認いただき、問題なければホルモンバランスによる痛みであると考えて良いとも思います。硬い乳腺は正常でも触知することはしばしばございますので、それだけで危険なサインではありません。どうかご不安を抱え込まずに、積極的に主治医の先生にご相談いただき、解決してしまいましょうね。お役に立てましたか。また、何かございましたらご質問くださいませ。今後ともよろしくお願い申し上げます。  (文責 高橋)

 

No.9066】  09年08月06日   K.S.
一度ガンと診断されたらもうダメ?再診断の方法は?

初めてご相談させていただきます。まず私の状況ですが、3月頃に健康診断で石灰化あり、再検査と診断をうけ乳腺外科を受診しました。マンモグラフィー、エコーを再度とりました。マンモグラフィーでは石灰化が散らばっている状況でしたが、エコーではしこり等画像は確認できないぐらいの状況でした。「多分この位置にあると思うけれど、小さいのでエコーで探すと、角度により写るときも写らないときもあり、探すのに苦労するような状況だ」と、先生より伺い、念のため造影剤を利用したMRI検査をした方がよいとの診断でした。MRI検査の結果細胞をとってみることになり、「今ならエコーで写っているので、やるなら今・・・」ということで、マンモトーム生検をしました。結果は非浸潤性乳管ガンで、ステージは0、乳房部分切除→センチネルリンパ節切除→放射線治療を勧められました。
お尋ねしたいのは、ガンと診断後、ガンの状況を再検査する方法はないでしょうか。健康診断と検査の時点ではストレスがピークで体調が最悪だったが、現在は環境を改善し、ストレスをまったく感じず、精神状態、体調も万全となったこと、また自分で可能な東洋医学(気功やハンドパワー等、加えてガン克服の食事療法)等を多数試してみたので、その結果変化が起こることはないのかが知りたいと思います。自分の試した治療で変化が少しでもあればと期待し、セカンドオピニオンではなく、あえて別に2つの病院で検査をしました。どちらの病院でも、マンモグラフィーでは多数あった石灰化が2-3個に減少していました。またエコーでは、以前も角度によって見つけることは困難といわれましたが、今回の病院では細胞をとった後の部分の画像しかみつからないとのこと。造影剤を使用したMRIもして異常なしとの診断結果がでたのですが、両病院とも、一度ガンと診断をされたのであれば、念のため手術をして(乳房温存手術でたまご大くらいの大きさ切除)切り取った細胞を調べるべきだと言われました。
私としては目に見える画像が(マンモグラフィー)よくなっていることもあり、画像としてガンが再確認できない状況での手術は納得できないのですが、どうしても手術以外に方法はないのでしょうか? たとえば、経過観察し、状況が悪くなるようであれば切除ということはできないかと、先生に相談したのですが、「今ならば100%の可能性で完治するので、手術をこばむ理由がわからない。経過観察しているうちに、今のところ非浸潤性乳管ガンでも浸潤性に変わり、リンパ→血液→全身にという可能性も否定できない。」と言われました。再度細胞をとっても、意味はなく、たまたまガン細胞にあたらない場合もあるから切除が望ましいとのことでしたが、私はできる限り切除は避けたいと考えています。
素人考えなのかもしれませんが、以前に比較すれば私の体の中の免疫力は格段にあがっていると思います。もしかするとガン細胞が消滅?したという可能性はまったくないのでしょうか? 現在乳ガンがあるかどうかの診断というのは、どのようにつければよいのでしょうか?

ご質問どうもありがとうございます。まずは、超早期で乳がんを発見できたことの幸運をお感じになってくださいね。検査によって乳がんの細胞が確認されているのであれば、必ず手術による治療が必要です。お話からすると、温存手術も可能であるとのこと。今の乳がんの状況を調べる検査こそが手術なのです。乳がんにおける手術の役割は、がん細胞を切除する治療の目的と、がん細胞の広がりや薬剤の感受性などを検査する目的があります。体にメスを入れることに対する抵抗があるのはとても良く分かります。でも、せっかく免疫力を高めていらっしゃるのでしたら、その体力で手術を乗り越えてください。世界中の補完代替療法に関する研究でも、免疫力を高めてがんを治すことに関する成功データは揃っておりません。あなたが掴んだ超早期の発見を大事になさってください。私は、あなたがより良い選択肢を選ばれることを祈っております。また、何かお困りの時にはご訪問くださいませ。今後ともよろしくお願い申し上げます。  (文責 高橋)

 

No.9065】  09年08月05日   ym 
UFTについて

以前に妻の治療についてご相談させて頂きました。その節は、大変ありがとうございました。今回ご相談させて頂きたいのは、UFTの服用についてです。
2008年11月に、右乳房切除し、病理診断の結果が以下のとおりでました。妻(33歳)乳がん診断時(32歳)です。

1. Breast,left, mastectomy
INVASIVE DUCTAL CARCINOMA, SCIRRHOUS
Fat+,Skin-,ly3,v0,EIC(+)comedo(+),Nuclear grade3(3+3=6) Margin:1mm>
2. lymph nodes, biopsy
METASTATIC DUCTAL CARCINOMA(9/10)
n(センチネル):1/1, n(levelT):8/9
HER2neu(2+) Fish法(+)
※ホルモンは2種類とも陰性

化学療法は、術後1週間後からFEC4クール、ウィクリータキソールを12回、タキソール開始時より、ハーセプチンを3週毎に行っています。タキソールは6月中旬に終了したのですが、主治医の先生より、リンパ節転移があったことから、効果の程はわからないが、副作用もほとんどないし、UFTを2年間服用したらどうかとの提案を頂きました。UFT服用により、再発率が下がるのであればと思いますが、標準治療から外れているような気もします。最近、閉経後でER陽性の場合、CMFと同等の効果があるというのをネットで見ましたが、妻の場合は、ホルモンも陰性、年齢も33歳いうこともあり悩んでいます。長くなりましたが、お伺いしたい点は、UFTを服用することにより、再発率をさらに低減させることができるのでしょうか?宜しくお願い致します。

UFTの乳がん術後補助療法としての効果は、5つの試験のメタアナリシスの結果、再発軽減率は21±11%と報告されています。主治医とご相談下さい。(文責 須田)

 

No.9064】  09年08月05日   b
ポリープの手術について(HPNo.9057-2)

早速のお返事ありがとうございます。再度質問させていただきます。
しこりの影とポリープは同一の病変です。先生からは、日帰りの手術でポリープを切除できると聞いていますが、マイクロドヘクトミーも日帰り手術で行うことができるのでしょうか? ポリープのみを切除する手術と思っていたので、乳管や末梢の小葉まで摘除するとなると、私の考えている手術より大きなものになると思うので、心配です。引きつる感じは、日常生活に影響する程でしょうか? よろしくお願いいたします。

乳頭分泌は、基本的には主乳管から末梢の小葉までのどこかの病変ですので、組織検査は原則としてマイクロドヘクトミー(日帰り)により検査を行う事になると思います。明らかに病変が分かり、それが乳頭分泌の原因であると分かる場合はこの限りではありません。貴方の状態については、直接診察をしてくださっている主治医が一番よく分かっていますので、もう一度生検内容の説明をしてもらい、納得のいく検査を受けてください。いずれにしろ、引きつる感じについては、日常生活にはほとんど影響しません。(文責 須田)

 

No.9063】  09年08月05日   SK
放射線照射後の痛みと今後の検査について(HPNo.8920-2)

前回HPNo.8920で相談させていただきました。ゾラテックス続行中、53歳です。
1) 手術後すぐ放射線治療を25回行いました。それから1年4ヶ月たちますが、照射した側の乳房の下部や肋骨の1番下あたり、乳房の脇の肋骨などが痛みます。先生は放射線のせいだから大丈夫とおっしゃいますが、照射後の肋骨の痛みはどのくらいの期間あるものでしょうか? 以前とは痛みの感じが変わってきているようで心配です。
2) 術後1年2ヶ月目に両乳房の超音波検査をしましたが、再発や転移は、痛みとか何らかの自覚症状がでてから検査すれば大丈夫なのでしょうか。

1) 乳がん術後の照射の際には、ほぼ全例に皮膚炎が見られるほか、乳房の硬さの増加、発汗、皮脂分泌の低下、乳房痛などが、照射後2年間ほど見られる事があります。全て自制の範囲内です。放射線肺炎の頻度は1%など、他の有害事象の頻度は低いようです。晩期の有害事象の中に肋骨骨折がありますが、1.8%程度です。肋骨の痛みが以前と異なるとの事ですので、念のため主治医に骨シンチ、PETーCTなどを行ってもらい、遠隔転移のない事を確認してください。
2) 現在、「痛みとか何らかの自覚症状」として、肋骨の痛みが以前と異なるとの事ですので、再発や転移のことを考え、念のため主治医に骨シンチ、PET-CTなどを行ってもらい、遠隔転移のない事を確認してください。(文責 須田) 

 

No.9062】  09年08月02日   T.H
右胸乳首の外側にある1.5cm位のしこりについて

今月45歳になります。誕生月に集団検診を受けるようにしており、一年前の乳がん健診(マンモ・触診)では異常なしでした。しかし、7月25日に右胸乳首の外側に1.5cm位のしこりを発見し、昨日31日にマンモトーム生検ができる個人病院の乳腺外科を受診しました。マンモと超音波検査・触診の結果、しこりは乳腺から脂肪部分に飛び出ていて、良くないもののようだと言われました。一年前にマンモを撮っていて異常なしだったことに驚いておられました。また、触診でリンパ節に触れるけれども、痩せた人(私は162cm、52kg)にはあることなので、今週8月7日に総合病院でMRI検査をし、17日に結果説明、その結果により18日検査(生検?)をするという流れになっています。結果が出るまで長く待つことと、癌だった場合の治療や仕事のことなど不安が募って、この相談室に辿りつきました。前置きが長くなりましたが、皆さんの体験を見ると、最初の診察で疑いがある場合には、細胞診も一緒に受けておられるようなのに、私は細胞診をせずにMRI検査となっています。細胞診で良性か悪性かを判断するのではないのでしょうか。悪性の可能性が高ければ、先にMRIで広がり具合を診ることがあるのですか。主治医に直接聞くべきことかもしれませんが、初めての病院で悪い所見を出され、内心酷く動揺していた私には、ドクターもスタッフも割とそっけなく、今後受診するのにも不安を覚える雰囲気でしたので、こちらで何か見解をいただければと思い、ご相談しました。よろしくお願い申し上げます。

主治医の先生は、触診・超音波検査・MMG検査を行って、画像上、乳癌と判断した為、先にMRIで広がり具合をみようと思っているのだと推測できます。貴女の仰るとおり、マンモトームのない施設では、最初に細胞診も一緒に行うところが大部分ですが、細胞診より組織診の方がより正確に診断できますので、おそらく18日に生検をして、癌の確定診断、組織型、ER、PGR、グレード、HERU、脈管の浸潤等について、病理学的な情報を調べる予定だと思います。今後病気と前向きに闘っていくためにも、納得のいく治療を受ける事が大切です。不安や疑問がある場合は、遠慮せず、主治医にご相談下さい。(文責 須田) 

 

No.9061】  09年08月02日   O
乳腺からの白い固形物

相談にのってください。子供は6歳になりましたが、何年か前から、乳首から白い固形物が出ます。液体ではないです。両方の乳首からですが、乳首を見ると、乳腺から?何箇所も白い斑点のようなものが見え、ニキビをつぶすように爪で押し出すと、白い固形物が出てきます。でも、取っても取っても白いものはなくなりません。まだ病院で診てもらったことはありません。何かの病気の可能性はありますか? 現在、妊娠中でもありません。よろしくお願いします。

乳頭からの分泌については、この相談室の中にも類似した質問がありますので、参考にして下さい。授乳期以外の分泌は異常と考えてよいと思いますが、その分泌物が乳癌と関係があるかどうかについては、細胞診を行って、癌細胞の有無を調べる事になります。ただし、癌の場合、血性の分泌物が多いのですが、貴女の場合は、白い固形物ということですから、おそらく乳癌の心配はないと思います。不安を取り除く為にも、乳癌でない事を確認する必要がありますので、乳腺外来を受診して、ご相談下さい。(文責 須田) 


 

No.9060-1】  09年08月02日   Y・H
今後の治療について

いつも拝見して勉強させていただいています。ありがとうございます。55歳です。今年1月に右乳がん温存手術を受けました。浸潤がん。腫瘍サイズ12ミリ、グレード1、センチネルリンパ節1個を5分割した内の1つにがん細胞があったとのことで、右腋リンパ郭清しました(12個中、がん細胞は0)。病理組織検査の結果で、術前の針生検でER80%、PGR60%、HZR2(−)、手術検体の病理組織はER、PGRともに(−)でした。再検した結果も(−)でした。

1) 針生検と、手術検体でこんなに結果が違うものなのでしょうか。(術前にフェマーラを37日間飲んでいますが、その影響でしょうか?)
2) 術後は放射線治療を30回受けました。その後の治療について、主治医からアジュバントオンラインの結果をみせられ、「このままだと10年後、生存していられるのは74%になる。どうする?」と聞かれました。この74%というのは、残り26%が、がんが再発して亡くなるという意味でしょうか?
3) ここでは書けませんが、主治医とはいろいろあって、信頼関係がないので、これ以上の治療は何もしませんと答えました。主治医も、僕も何もしなくていいと思うよ…とのことでした。その後、不安になって、私のほうから「ホルモン治療を受けようと思いますが・・・」と相談しました。ホルモン治療はホルモンがバッチリでている人でないと効きは悪いが、といいながら、ノルバデックスを3カ月分いただきました。ノルバデックスの副作用は更年期障害をひどくした感じで辛かったのですが、2ヵ月を過ぎたあたりから急に視力がおち、すりガラスが入ったようになりました(元は視力はよいほうで、老眼も乱視もありませんでした)。視力の問題と、不整脈が出て苦しいので、先月の診察の際、そのことを主治医に話すと、「初めから飲まなくてもいいと思っていたのに、あなたが飲みたいというから出した。薬は中止する。」と言われて、ほっとしました。ところが昨日、診察に行くと、先月とはうって変わったように薬を飲むように言われました。「術前の針生検でホルモン受容体がバッチリ出ていても、手術検体がトリプルネガティブ、こういうことはよくあることだ。1回でもプラスに(ホルモン受容体が)出た人は一生プラスなんだから、絶対に飲むように。」と言われました。薬を飲む意味はよくわかるのですが、手術検体でER、PGRともに(−)でも飲んだほうがよろしいのでしょうか。ホルモンがバッチリ出ている人でも半分の方にしか効果はないと、聴いたことがあります。薬を飲んだ場合、生存率はどれくらいのびるのでしょうか? フェマーラは術前に飲んだ際、関節痛、倦怠感、鬱状態で、ずっと寝たきりのようになったので飲みたくないのです。
4) ノルバデックスの視力の問題はよくあることですか? 飲み続けても支障ないのでしょうか?

私は他にC型肝炎も患っており、肝臓のほうも心配です。長々と申し訳ありません。よろしくお願い致します。

1) 術前の組織検査を行った小さな組織の範囲では、「ER80%、PGR60%」であり、手術検体では、「ER、PGRともに(−)」についてですが、ホルモンレセプターは、現在10%以上の染色率があれば陽性と判断していますので、貴女の場合は、おそらく全体の染色率は10%以下ですが、術前の検査では、たまたま染色率のよい一部の組織がとれたのだと思います。2009年のザンクトガレンのコンセンサス会議では、1%以上あればホルモン療法を開始するということになりましたので、貴女の場合は、ER、PGRともに(−)ですが、0%ではなく、1〜10%未満の染色率があり、それでホルモン療法を行う方向になったのだと推測されます。
2) 生存に関しては、仰るとおりです。
3) 内服したほうがよいと思います。ノルバデックス、フェマーラの副作用が出るとの事ですので、アロマシン、アリミデックス等に変更する事も選択肢の一つです。主治医と充分、ご相談下さい。ノルバデックス内服で、再発がおよそ半分に減りますが、アロマシン、アリミデックス、フェマーラでは、ノルバデックス5年間内服に比べて、再発する可能性を更に17〜19%改善する事が報告されています。
4) ノルバデックスで白内障が進む場合があります。主治医とよくご相談下さい。(文責 須田)

 

No.9060-2】  09年11月17日   Y・H
牛乳と乳製品の摂取について

いつも拝見しております。感謝いたします。2度目のご相談です(前回HPNo.9060)。よろしくお願い致します。
今年1月、温存手術を受け、放射線治療を経て、現在はノルバデックス10ミリを朝、夕と飲んでいます(計20ミリ)。再発予防のため、いろいろな本を読みました。その中でジェイン・プラントさんの「牛乳と乳がん」という本が一番気になりました。現在の酪農は妊娠中の牛から搾乳しているため、高濃度のエストロゲンがはいっていること。子牛の体重を1日に1キロ増やすくらいの、成長ホルモン因子が含まれていて、悪性腫瘍の細胞を増殖させること。牛乳はもちろん、加工してもその能力が失われることがないので、乳がん患者はチーズ、ヨーグルト、バター、クリーム、お菓子にいたるまで絶対に摂取してはいけないとありました。それを守って、手術以来、一切の牛乳、乳製品を排除する食生活に切り替えました。肉もよくないとのことで、玄米菜食を続けています。途中から他の食品の添加物、農薬も気になりはじめ、お腹が空いても食べられるものがない状態になりました。
上記のようなことを続けていると、まったく普通の生活が送れなくなります。仕事に復帰するにも、周囲と同じ食事ができません。主治医からは、自分で調べなさいと言われるだけですし、多忙で食事療法まで相談できません。

1) 乳がん患者は、どんな食生活をするのがよいのでしょうか(私は身長153cm、体重45キロ)。 乳製品を避けようとしても、パン、その他、いろいろなものに加工されて入っています。珈琲も避けたほうがいいでしょうか。毎日ストレスがたまります。
2) ノルバデックスで疲労倦怠感、鬱状態がひどい日が多くてしんどいです(フェマーラは術前に使いましたが、鬱と関節痛がひどかったので、ノルバデックスに変えていただきました)。体重80キロの人も同じ量のようですので(1日に20ミリ)、10ミリでは効果はありませんか? 10ミリでは飲まないほうがましでしょうか? ご意見をお伺いできれば幸いです。

よろしくお願い致します。

ご質問どうもありがとうございます。いろいろなことがご不安なのですね。病気の予防のために様々なことに挑戦なさっている姿、とてもすばらしいと思います。ただ、ストレスがたまってしまうことは一番良くないことだと思います。

1) 通常量の乳製品や肉類、白米など、全くご心配する必要はありません。添加物については、あらゆる病気の原因となりうるので、摂取しないに超したことはありませんので、表記のチェックは続けてください。乳がんの危険因子は食生活だけが主な原因ではありません。肥満は、閉経後においては乳がんのリスクを高めると報告されていますので、若いうちから規則正しい食生活を送り、肥満傾向にならないように努めることは大切だと考えます。ただし、あまりにも食事に関して神経質になってストレスで胃潰瘍になって倒れてしまったり、栄養失調になってしまうことの方が命の危険につながります。肥満にならない程度の必要十分な食生活を送っていただき、ご不安であれば半年に一度定期検診をお受けになることのほうが安全に暮らすことができると思います。
2) ノルバデックス、フェマーラがおつらいのでしたら、漢方薬(加味逍遙散など)をお試しいただいてもよろしいかと思います。なお投与量は臨床試験で効果が認められた量ですので、減量して効果があるかどうかは証明できていないと思います。飲むか、飲まないかしかないと思います。

どうか、自分らしさを失わず、笑顔でお過ごしください。病気に勝つためには健康的な笑顔が一番ですからね。応援しています。

 

No.9059】  09年08月02日   I
パジェット病の可能性は?

32歳、既婚です。正確には分からないのですが、恐らく10年ほど前から年に1〜2回(時期は特定でない)、左乳首・乳輪部分に強い痒み・かさぶたのような黒っぽい皮むけ・時々少量の浸出液と出血が起こります。右側はおこったことがありません。たいていはゴシゴシ洗わないようにしたり消毒するだけで、1週間ほどで治っていました。20代後半からやや治りにくくなり、皮膚科でステロイドをもらって塗り、治るを繰り返してきました。しかし、2008年秋〜2009年早春まで長く治らず、ステロイドもあまり効きませんでした。春にはまた治り、それから今までは特に皮むけは起こっておりません。見た目がきれいな状態でも、日頃から左乳首だけは刺激に弱く、痒みを感じることも多いです。主人との夜の生活も、唾液等がつくと痒みと皮むけが起こることが多いので、触らないようにしています。子供の頃から乳首の根本部分にニキビのような、乳輪回りにある毛穴のブツブツと思われるものとは違う吹き出物があります。痛み、痒みはありません。絞るとよくニキビのように白っぽい油の塊のようなものが出てきましたが、ここ数年はなく、少し大きくなりました。ここ数年、少し両方とも色が濃くなったのですが、このニキビ状も部分は少し色が白いです。他には、両方とも陥没乳首であること(刺激で、ある程度出ます)、20代後半以降からですが、食物や植物の数多くのアレルギーを持っています。アトピーはありません。
私はパジェット病の可能性はあるのでしょうか? パジェット病は、このように何度も完全治癒(に見える皮膚の状態)に戻ることを繰り返すのでしょうか? どうぞ宜しくお願い致します。

直接の診察が必要ですが、パジェット病は、乳頭乳輪部の病変で、湿疹様から皮膚糜爛まで様々です。糜爛(皮むけ)については治癒を繰り返す事はありませんので、貴女の場合、おそらくパジェット病ではないと思います。不安を取り除く為にも、念の為に一度乳腺外科を受診して下さい。(文責 須田)

 

No.9058】  09年08月02日   O S
多発性のう胞について

31歳女、既婚、子供なし、乳がんの家族歴もありません。平成19年7月、乳がん検診の超音波検査で要精検となり受診したところ、線維腺腫(のう胞?)と乳管拡張やのう胞がいくつかあり、結果的に乳腺症ということで、経過観察となりました。その半年後に超音波検査して変化なし、またその半年後超音波検査して変化なし、次は1年後に検査と言われて、先日検査を行いました。マンモグラフィ検査と視触診では異常なしでした。超音波検査で、のう胞が1年前より増えており、また乳管拡張もみられるため、両側性多発性のう胞と言われました。のう胞は、以前あったものは小さくなっていましたが、新たにできたものもありました。次は半年後、また超音波検査をして、その結果により細胞診を行うかもしれないと言われました。そこでお聞きしたいことがあります。
1) のう胞が増えたということは、乳がんがこれからできる可能性が高いでしょうか?
2) 月経周期によって、のう胞が多い時期や少ない時期などあるのでしょうか?
3) 細胞診は、痛みが強く、傷痕が残ったりするものでしょうか? また細胞診をする時に、のう胞がたくさんある場合、どののう胞の細胞を取るかは、どのように決めるのでしょうか?

お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

1) のう胞を外来でフォローするのは、のう胞内に癌が発生する場合があるからです。そのような意味では、のう胞の増加によって、のう胞内癌発生の確率が高くなる可能性はないとは言えません。
2) 月経周期とのう胞の数は、関係ありません。
3) 細胞診は注射針を使用しますが、痛みが強いという表現にはなりませんし、瘢痕も残りません。細胞診は、穿刺が可能なすべてののう胞を行うことになります。(文責 須田)

 

No.9057-1】  09年08月02日   b
ポリープの手術について

初めて相談させていただきます。片方の乳頭から出血があり、乳腺科を受診しました。マンモグラフィとエコーで、石灰化としこりの影がみつかりました。乳頭からの分泌物、しこりの細胞診、マンモトームをしていただき、結果は悪性ではありませんでした。生理前になると一カ月おきに出血があり、その後も分泌物、ポリープの細胞診を行い、結果は前回と同じでした。ポリープをとってみないと完全に良性かどうかはわからないとのことで、手術をしようかと考えています。乳頭の近くにポリープがあり、先生からは、切ったところの傷が残るのと、その部分がへこむと言われました。他に、この手術を受けた場合に考えられるリスクはありますか? 傷口がひきつる感じが残るとか、出産した場合、授乳に影響が出るのかなどが気になります。ポリープは8mmで、最初から大きさは変わっていません。よろしくお願いいたします。

マンモグラフィ及びエコーでのしこりの影は、ポリープと同一の病変でしょうか? 乳管乳頭腫又は乳管内に突出したポリープ様の病変と考えると、おそらくマイクロドヘクトミー(乳管腺葉区分切除術)を行う事になります。血性の分泌がある主乳管を含め末梢の小葉まで一塊として摘除することになりますので、どうしても引きつる感じは残りますが、授乳には影響はないと思います。マイクロドヘクトミーで切除した標本は連続する切片を作り、詳しく病理検査をして、病変を調べる事になります。(文責 須田)

 

No.9057-2】  09年08月05日   b
ポリープの手術について(2)

早速のお返事ありがとうございます。再度質問させていただきます。
しこりの影とポリープは同一の病変です。先生からは、日帰りの手術でポリープを切除できると聞いていますが、マイクロドヘクトミーも日帰り手術で行うことができるのでしょうか? ポリープのみを切除する手術と思っていたので、乳管や末梢の小葉まで摘除するとなると、私の考えている手術より大きなものになると思うので、心配です。引きつる感じは、日常生活に影響する程でしょうか? よろしくお願いいたします。

乳頭分泌は、基本的には主乳管から末梢の小葉までのどこかの病変ですので、組織検査は原則としてマイクロドヘクトミー(日帰り)により検査を行う事になると思います。明らかに病変が分かり、それが乳頭分泌の原因であると分かる場合はこの限りではありません。貴方の状態については、直接診察をしてくださっている主治医が一番よく分かっていますので、もう一度生検内容の説明をしてもらい、納得のいく検査を受けてください。いずれにしろ、引きつる感じについては、日常生活にはほとんど影響しません。(文責 須田)

 

No.9056】  09年08月02日   W
エンドキサンについて

現在、術後4年半。去年2月に肺転移が発覚し、ゼローダを1日10錠内服していたのですが、今年4月から1日8錠服用中(3投1休)です。3日前のCT検査で、僅かに増大が認められたため、ゼローダを2投1休にしてエンドキサン(1日2錠)を追加することになりました。術前化学療法でECを点滴投与していて、病理結果では効果は軽微とあったのですが、エンドキサン(点滴)で効果が軽微だったのにエンドキサン錠を服用しても効果はあるのでしょうか? また、エンドキサン錠では脱毛はありますか?
よろしくお願いします。

ゼローダは、チミヂンフォスフォリラーゼによる代謝で腫瘍選択性に効果を得て、腸管毒性(下痢)と骨髄毒性を克服する方向で開発され、単剤でも使用し得るパワーを持った薬剤です。再発又は転移性の乳癌に対して、タキサン、アンスラサイクリン既治療症例に対する成績では奏効率20%前後です。代謝酵素チミヂンフォスフォリラーゼが、タキサン、エンドキサンなどで活性化されることが示されているので、ゼローダとこれらの薬剤との併用は理にかなっているといえます。また、ゼローダ単独群と併用群を奏効率で比較すると、併用群が有意に良好であると報告されています。このようなことから、主治医の先生はゼローダの併用療法を考えているのだと思います。
脱毛に関しては、ゼローダにもエンドキサンにも注意すべき副作用として記載されていますが、アドリア系、タキサン系ほどではありません。疑問点、不安点は主治医によく伺って、納得のいく治療を選択して下さい。(文責 須田)

 

No.9055-1】  09年08月02日  C
肺転移後の治療について

はじめて相談させていただきます。現在38歳、8年前、30歳で1.2センチの腫瘍が見つかり部分切除、脇のリンパ切除、リンパ節転移なし、トリプルネガティブとの診断。術後CMFの後、放射線治療を受ける。その後は定期健診のみ。手術から5年後にレントゲン・CTで、肺転移(最大1センチ程度で数個)が見つかる。CPF6クール、ウイークリータキソール3クールで消失・縮小した為、ゼローダに切り替え1年半服用。耐性ができ(腫瘍の増大)、TS-1に切り替え半年服用。耐性ができ(腫瘍の増大)、現在ベプシド9ヶ月服用。保険適用外だが、半年で大半の腫瘍が消失する効果があった。

1) CPFの後、生理が止まった状態。未婚ではあるが、妊娠の可能性も捨てたくはないので、主治医にホルモン治療などで生理が来るようにすることはできないかと聞いたが、トリプルネガティブとはいえ、女性ホルモンの影響がゼロだとは言えず、腫瘍が育つ可能性もあるから、薦められないと言われた。やはり、自然に生理が戻るのを待つしかないのでしょうか?
2) 肺転移後も咳き込むなどの症状はなく、フルタイムで仕事をし、通常の生活を送っている。現在は副作用もなく、通院も月1回で体力的な負担も軽く助かっているが、ベプシドの耐性ができた後は、どのような手があるのでしょうか? 一生何らかの治療から開放されないことも辛いですが、トリプルネガティブゆえに、そのうち治療法がなくなるのではないかという不安にさいなまれ、人生設計もままならない状況です。

どうぞ宜しくお願いします。

1) エンドキサンは卵巣機能障害を起こす可能性のある代表的な薬剤ですが、40歳未満の方の場合、抗癌剤治療中に生理が止まってしまっても、70%程度は治療後に回復します。自然に生理が戻るのを待つことになります。
2) トリプルネガティブ乳癌に対して今後検討される薬剤の候補として、「@プラチナ系薬剤 Aマイトマイシン Bエトポシド Cシスプラチン(カルボプロラチン)・マイトマイシン・ビンプラスチンの併用療法 Dイキサペピロン(チューブリン阻害剤) Eアルブミン結合型パクリタキセル」等がありますが、 これからの研究課題です。今いえることは、治療を順次行っていくことです。とりわけ乳癌治療薬の進歩はめざましく、治療を続けているうちに、もっと有効なものが出てくる可能性もありますので、希望を捨てず、前向きに頑張っていただきたいと思います。(文責 須田)

 

No.9055-2】  09年11月03日  C
肺転移後の治療について(2)

No.9055(09年08月02日)でご回答いただいた者です。関連して再度お願いします。
現在38歳。8年前、30歳で1.2センチの腫瘍が見つかり部分切除、脇のリンパ切除、リンパ節転移なし、トリプルネガティブとの診断。術後CMFの後、放射線治療を受ける。その後は定期健診のみ。手術から4年6ヶ月後にレントゲン・CTで、肺転移(最大1センチ程度で数個)が見つかる。CPF6クール、ウイークリータキソール3クールで消失・縮小した為、ゼローダに切り替え1年半服用。耐性ができ(腫瘍の増大)、TS-1に切り替え半年服用。耐性ができ()、現在ベプシド(保険外)1年目。←ここまで前回記述。
当初はかなりの効き目があったが、先日のCT画像で腫瘍の増大(2cm大くらいが2個、他小さいものが数個)がみられた。腫瘍マーカーの上昇はみられない。主治医は、「使える薬がなくなってきた。まだ使っていないのは、ナベルビンくらい。ただ、マーカーが上がっていないので、ベプシドを止めてナベルビンに変えて、効果がなく、急に悪くなることは避けたいので、副作用がなければ併用という方法もあり。もしくはベプシド継続。検討してみる」とのこと。さらに「1年後くらいには咳など自覚症状が現れる」と言われ、これまで抗がん剤治療の辛さはあったものの、症状が全くないため、初めて余命を告げられたようで、かなりショックを受けています。

1) ナベルビンとベプシド併用可ならば、併用に変えたほうがいいのでしょうか? 併用不可の場合は、ベプシド継続でナベルビンをもう少し後にとっておいたほうがいいのでしょうか? その他に良い方法はないでしょうか? 当方の希望は、これまでどおりフルタイム勤務の生活を送ることです。
2) 前回の下記のご回答いただきました。
「トリプルネガティブ乳癌に対して今後検討される薬剤の候補として、「(1)プラチナ系薬剤 (2)マイトマイシン (3)エトポシド (4)シスプラチン(カルボプロラチン)・マイトマイシン・ビンプラスチンの併用療法 (5)イキサペピロン(チューブリン阻害剤) (6)アルブミン結合型パクリタキセル」等がありますが、これからの研究課題です。」 
主治医からは、これらの薬剤は挙がらなかったのですが、現時点では保険適用がないなど、一般的には使えない薬剤なのでしょうか? もう使える薬がないという主治医の話とはかなり差があるので、次回、これらが使えるか主治医に聞いてみるのは差し支えないでしょうか? 現時点で一般的に使えないならば、他に使える薬を教えて下さい。

どうぞ宜しくお願い致します。

1)再発乳癌に対する化学療法は単剤投与を原則とする立場が主流ですが、XC療法など、併用療法を行う場合もあります。副作用やご自身のLife Styleなどを考慮して治療選択してゆくのがよいかと存じます。
2)ご指摘の薬剤は、マイトマイシン単独使用以外は保険適応外となります。よく主治医とご相談ください。(文責 首藤)

 

No.9055-3】  11年02月25日  C
息苦しさを解消する方法はないのでしょうか?

No.9055-1,2でご回答いただいた者です。関連して再度お願いします。
2010.5.7〜2010.10.22 ナベルビン2w1休 9クール半。2010.7首リンパ1ヶ所小さい腫れ見つかる。マーカー上昇のため、薬剤変更。2010.11.4〜タキソール6w1休 現在、2クール−2まで終了。マーカーは1ヵ月後正常範囲に下がったが、2ヶ月後は上昇。1月の超音波で、首リンパは画像では見えるが、かなり小さくなり、主治医が触っても触れないくらいになった。1月末に、急に呼吸が苦しくなって早朝に目覚め、緊急で主治医に肺のレントゲンを撮ってもらう。前回12月の撮影時と比較して、腫瘍の大きさ、胸水の量も若干量で変わらず、この胸水の量で苦しくなることは、まずないと言われる。気管が若干腫れており、咳もあった為、2ヶ月前に喉カゼをひいたときに効いた薬をもらって、その時は苦しさも収まった。利尿剤ラシックスも処方された。2月半ばから、階段の昇りや坂道が息苦しくなり、一気には上がれなくなった。ゆっくり歩いたり、安静時でも、時々苦しくなる時もあり。咳はたまに出る程度。3月上旬に肺のCTを撮る予定なので、主治医はそれを見て判断するとのことですが、息苦しさを解消する方法はないのでしょうか? お忙しいところ恐れいりますが、宜しくお願いします。

長い経過で治療にあたってこられて大変であったこととお察し申し上げます。ここ最近階段の上りや坂道がつらくなったとのことですので、肺病変の進行が懸念されます。胸水が増加する場合、肺内病変が進行する場合のいずれも考えられますが、いずれにせよ息苦しさは我慢しづらく、また自分での対処の困難な症状ですので、早急に受診することをお勧めいたします。(文責 谷)

 

No.9054】  09年08月02日  M
異型乳管過形成について(HPNo.9047-2)

お世話になります。先日はHPNo.9047で異型乳管過形成について教えていただいて、ありがとうございました。お忙しい中、早速質問にお答えいただきまして本当にありがとうございます。定期的な診察が大切とのこと、お話はよくわかりました。ただもう少し質問させていただきたいのですが、いろんなサイト等でこの病気に対して調べてみると、もっとも理想的なのは、断面にとり残しがないように切除して、その後半年毎くらいに経過観察が良い・・・と書いてあります。私は既婚者で子育ても終えており、どうしても乳房を残しておきたいわけでもありません。最善の治療方法が知りたいのです。もしお答いただいている先生が私の主治医の先生でしたら、どのような治療法を選択なさいますか? 例えば、この異型乳管過形成にもグレードみたいなものがあって、「あなたのは、まだまだ経過観察をしていても全然大丈夫で、もう少し異型が進んでから切除しましょう!」というのなら納得できるのですが、今のうちに切除してしまった方が安心できるのならその方がいいのですが・・・。今通院している大きな乳がん専門の病院では、「私のような症例は、切ることはまずなく、みんな経過観察です。」と言われました。でも、その後の浸潤癌等の発症率がとても高いように感じて不安でたまりません。今病気がわかっているのに、このまま様子を見ていて、いざ切ってみたら思いのほか病気が進んでいた!! という手遅れな感じにだけはなりたくないのですが・・・。この同じ病名で切除になる人と経過観察の人の違いは、先生の考え方(治療方針)の違いと受け止めればいいのでしょうか? このまま温存していて10年後に一割の人が浸潤癌を発症する可能性があるのに対し、もし今切除しておいたら、部分切除だと何割くらい発症し、仮に乳房全摘出何割(0なのか)なのか、おおよそでかまわないので教えていただけますか? 難しいかと思いますが、数字にしていただくとわかりやすいです。お忙しいのに何回もお聞きして本当に申し訳ありません。でもぜひ専門の先生にお話を聞かせてほしくて、また図々しくメールしてしまいました。どうかどうかよろしくお願いします。

非浸潤癌と異型乳管過形成については、病理医が顕微鏡でみても区別が難しいことがありますが、病気については、基本的には癌は治療の対象になりますが、それ以外のものは治療の対象にはなりません。もう少し分かりやすくいうと、現時点で乳癌ではないのに、乳癌になる可能性が高いということだけで手術をすることにはなりません。乳腺外科医の考え方に違いはなく、定期的な診察をお受けになる事が原則です。(文責 須田)

 

No.9053】  09年08月02日  R.I.
腫瘍マーカー上昇について(HPNo.4047-4)

お世話になります。以前HPNo.4047&4449で相談したものです。術後骨転移などの疑いがありましたが、骨手術を行った結果、陰性で順調に過ごしておりました。しかし、今年の4月末に腫瘍マーカー(NCC-ST-439)が基準値7を超えてしまい(1ヶ月に3〜5上昇しています)、7月で23.7ありました。ノルバデックスは4年半くらい服用中、LH-RHアゴニストを5月から再開し、ホルモン療法の様子をみていますが、今のところ上昇を続けています。並行してPET検査&頭のCT&MRI検査なども受けていますが、今の所、画像上で転移は確認できておりません。そこで質問ですが、
1) 腫瘍マーカー(NCCST439)の上昇だけで抗がん剤治療をすすめてもよいか?(主治医からはすすめられています)
2) ホルモン療法の効果は、どのくらいの期間様子をみたらよいか?

正直、抗がん剤を使うタイミングについて悩んでいます。タキソールの予定で、一度始めれば、基本、治療はエンドレスと聞かされましたので、かなり慎重になります。マーカー値がいくらになったらやるか、画像に確認できてからやるか、抗がん剤治療はいつ始めても予後に変わりはないと思いますが・・・。いつ始めるべきかという判断をするためにご意見頂けないでしょうか? よろしくお願い致します。

1) モノクロナル抗体NCC-ST-439は、当初胃癌を免疫原として作成された為、胃癌のスクリーニング検査としての有用性が期待されましたが、実際には膵癌(60%)・胆道癌(50%)・乳癌(40%)・大腸癌(30〜40%)・肝癌(30%)・胃癌(20%)など、消化器系を主とする腺癌で陽性となり、臓器特異性は乏しいとされています。従ってNCC-ST-439の数値が上昇する乳癌患者さんの場合、乳癌の再発・遠隔転移も充分考えられますが、他の場合もないとは言えません。主治医と充分ご相談下さい。
2) 骨などの遠隔転移がある場合の治療方針は、癌の根治を目指すのではなく、癌の進行を抑えたり、症状を和らげたりして、生活の質を保ち、癌と共存する事を主眼とします。従って、ホルモン剤の効果が認められなくなった場合は、一般的には抗癌剤治療に移るということになります。

貴女の病状については、主治医が一番よくご存知ですので、1)2)の考え方を踏まえて、貴女の場合は、どのように考えるのがベストであるのかという事を、納得のいくまでご相談下さい。病気と前向きに取り組むためにも大切な事だと思います。(文責 須田) 

 

No.9052】  09年08月02日  N
術後とタバコ

4月に温存手術をしてから3ヶ月、閉経前ですが、激しい更年期障害とともに ホルモン治療をしています。生活習慣も徐々に改めていますが、タバコは減らすことが出来ても、やめられません(手術前後は止められました)。やっぱり害がありますし、予後にも影響大でしょうか?

2006年の厚生労働省研究班が、日本人における疫学研究をまとめて検討した結果、喫煙は乳癌の発症リスクを高める可能性があるとの結論を出しています。ただし、乳癌術後の予後に影響するかどうかは不明です。予後に影響する、しない、いずれにしろ、喫煙は、肺癌や心疾患などの生活習慣病のリスクを高めますので、強い意志を持って禁煙の努力をすることも大切かと思います。(文責 須田)

 

No.9051】  09年08月02日   C.T. 
再発の治療について

1) 乳房温存手術で、断端陽性で電子線治療しないで癌が残っていた場合、一般的にどのくらいの期間で再発が確認されるのでしょうか? 二年ぐらいで再発するというのは本当でしょうか?
2) それで再発した場合、リンパ節に転移している可能性は、どのくらいあるのでしょうか?
3) 断端陽性で癌が残っている可能性がある場合に、術後一年後に予防的手術をするとしたら、どんな手術をしたら良いでしょうか? 乳房全摘はして、リンパ節切除は、どこまで取ったら再発が防げますか? センチネルリンパ節はとってしまっている場合、腋窩リンパ節の一部をとって検査できないのでしょうか? センチネルリンパ節がない場合、腋窩リンパ節は全部とることになるのでしょうか?
4) 癌が胸筋まで0.1ミリで浸潤性要素+3の場合、電子線治療してなくて、術後一年してから、予防的手術として乳房全摘の際に胸筋を少し取って、病理検査の結果癌があった場合、どんな治療が考えられますか?

よろしくお願いいたします。

1) 全て再発するわけではありませんが、2〜3年で再発が認められる場合もあります。
2) 乳癌ができ始めた初期の頃から体のどこかに潜んでいる癌細胞の芽が後になって出てくることを「再発」といいます。更に、手術をした側の乳房や、その周囲の皮膚やリンパ節に出てくることを「局所再発」といいます。乳房温存療法での乳房内再発は10%前後ですが、センチネルリンパ節生検は1990年頃より導入された技術で、長期的な生存率、最適な薬剤と注射部位等、はっきりわかっていない部分もいろいろあります。申し訳ありませんが、センチネル陰性の人が再発した場合の腋窩リンパ節転移陽性率の統計は、見つけることができませんでした。
3) 直接診察していないので推察の域を出ませんが、乳房温存手術時の断端部がどの位置になっているのか、1年後に判定し、追加切除をすることは、かなり困難です。実際には、乳房切除をお勧めする事になると思います。乳房温存療法や乳房切除術を行っても、目に見えないほどの小さな癌細胞が血液やリンパの流れに乗って体の別の場所に運ばれ、再発を予防する初期治療もすり抜けて何年か後に目に見える様になって現れるのが再発です。従って、乳房を全摘して、リンパ節を広い範囲でとっても、再発を完全に防ぐ事はできません。センチネルリンパ節をとっている場合、リンパのネットワークが前回の手術で寸断されているので、次のリンパ節がセンチネルかどうか分からないと思います。腋窩を郭清する場合は全部とることになると思います。
4) 今まで行っていた術後の補助療法を続ける事になります。(文責 須田)

 

No.9050】  09年08月02日   H
更年期症状?

いつも丁寧なご回答をありがとうございます。2005年2月温存手術、2006年6月両側卵巣切除後閉経し(45才)、その後体重も増えずに安定して体調良く、おかげさまで元気にしております。
1) 今年5月頃から、いつもより非常に汗が多く、一人で暑い気がします。閉経させた時も多少汗は多かったように思いましたが、3年たった今年の方が全く多くて体がだるく、今頃更年期症状ということはありますか(現在49才)? 
2) 来年2月でホルモン療法(タスオミン→アロマシン)5年になり、無治療になるのも不安なので、その後の飲み薬も飲みたいと思っているところですが、一応low risk、先生はどのようにお考えになりますか? 

よろしくお願いいたします。

1) 現在アロマシンを内服中ですので、これによる副作用の可能性もないとは言えません。心配ないとは思いますが、念の為に、主治医に報告し、意見を聞かれるほうがよいと思います。
2) アロマターゼ阻害剤の使用については、タモキシフェンを2〜3年服用後、アロマターゼ阻害剤に変更し、合計5年間服用する方法や、タモキシフェン(タスオミン)を5年服用後にアロマターゼ阻害剤に変更、2〜5年服用する方法などがあります。貴女の場合、「タスオミン→アロマシン」で5年間服用する事になりますので、条件をクリアーしており、その後は無治療でもよいと思いますが、更に内服を希望される場合は、主治医と充分ご相談下さい。いずれにしても、納得のいく治療を選択することが大切です。(文責 須田)

 

No.9049】  09年07月28日   T.K. 
乳がんの転移の場合の治療について

最近、母(60代)の乳がん(1センチ)が判明しました。今、転移の状況を調べるための検査を行っているところです。8月上旬には検査結果が判明し、8月下旬に手術を行うことになっています。私は転移を心配しています。というのは、がんが判明する数か月前に、母がエステに行ったところ、鎖骨のリンパにしこりがあると言われていたのです。しかも、今回、しこりが見つかったのと同じ側のリンパにです。他にも、風邪でもないのに咳をするようになりました。そこで、もし鎖骨リンパや肺に転移していると仮定したら、今後の治療はどのようなものになるのでしょうか。手術はおこなわれるのでしょうか。また、1センチ程度の腫瘤でも、すでに転移が起きてしまっていることはよくあることなのでしょうか。検査結果が出る前につき、詳細なデータを提示しておりませんが、それでも、何か参考になることをご教示ください。よろしくお願いいたします。

1cmの腫瘤でも転移を有することはありえますが、現状は検査結果を待ちましょう。(文責 首藤)

 

No.9048】  09年07月28日   Y
乳がんの病理検査について

ほぼ毎日こちらを拝読してます。大変勉強になります。今回 病理検査について 質問させてください。
術前 広汎な非浸潤癌とのことで 皮下乳腺全摘手術を受けました。44歳 閉経前です。病理検査は 摘出したものの一部を1CM間隔で切出して調べたそうです。(切出した端には癌がないことを
確認済み) 結果は以下の通りです。
Extensive DCIS with microinvasion( extensive DCIS の一部に 2MM大の microinvasive ducal carinomaを見ます)
浸潤部;NG1 ,g, ly 0, v0 HER2陰性、 ER・PgRはそれぞれ強い陽性

非浸潤部分は8CMほどもあったそうです。またセンチネルリンパ節生検は陰性でした。NCCNのガイドラインによれば、私のケースは術後無治療も選択できるとのことだったので、再発率やホルモン療法の効果を主治医にきいたうえで 無治療を選択したいと思っています。

1) 1cmの間隔での切出しは一般的ですか? 私が手術を行った病院では、温存術の場合は5mmで、全摘の場合は 1cmで と決まっているようです。
2)  「この1cmの間に他に浸潤癌があって脈管侵襲が実はある」など、治療方針決定の前提条件が上記と異なる可能性はどのくらいありますか? 
3)  病理の先生にもセカンドオピニオンをお願いできるそうですが、その場合は、すでに出来ているプレパラートでの診断になるのでしょうか? 他の病院の先生に、例えば5ミリでのスライスをして、診断して頂くことは一般的ではないですか? もちろん、それが可能でも、私の癌を100%確実に調べられるわけではないし、主治医に対して、セカンドオピニオンのことは、なかなか言いづらいので迷っています。  
  
以上です。事情がありホルモン療法を受けたくないのですが、もう少し納得して選択をしたいと思っています。宜しくお願いします。  

1)  切り出しの間隔は病理診断医の考え方によって各施設でまちまちです。1cm間隔の切り出しでも、特に問題はないのではないでしょうか。
2)  どの程度の可能性は知る由もありません。標本の広範囲を鏡検して非浸潤癌であり、かつ脈管侵襲が無かったということでしたら、可能性は低いのではないでしょうか。
3)  温存の場合は5mm間隔で、全摘の場合は1cm間隔で調べるのは、基本的に断端の陽陰性を正確に診断することが目的であると思います。その観点から申し上げると、浸潤や脈管侵襲の有無を正確に把握するために、あえて5mm間隔に切り直すことにどれだけの意味があるのか疑問です。1cm間隔では浸潤癌を見逃すことがあり、5mmならOKということが旧知であれば、どこの施設でも既にそのようにしているはずでしょうね。(文責 首藤)

 

No.9047-1】  09年07月28日   M 
異型過乳腺形成と診断されました

お世話になります。42歳の主婦です。6月にマンモで石灰化が見つかり、マンモトームとMRIをしました。マンモトームの結果、異型過乳腺形成と診断されました。今は癌の可能性は低く、このまま半年ごとにマンモを撮って、経過観察をすれば問題ないと言われ、 一度は安心しました。 でもその後色々と自分で調べてみたら、異経過形成と診断された1割の人が10〜15年後に浸潤癌を発症する可能性が高いとのこと ! ここで私が一番気になるのは、今なら異経過形成で、もし切除して小さな癌が見つかったとしても、非浸潤癌であることがほとんどとか・・・、それなのに、それを温存しておく間に転位性の浸潤癌になってしまうということ、これは半年ごとに検査をしていても、見つかる時に、非浸潤癌を経てではなく、いきなり浸潤癌として発症してしまうのでしょうか? だとしたら、まだほとんど心配のない今のうちに、怪しい部分を全部切除してしまった方がいいのではないのでしょうか? このまま温存しておいて、 まずあんまり悪性でない非浸潤癌から発症し始めるのなら、何も心配はないのです。でも、そうでなく、いきなり浸潤癌として発症するなら、切除生検をしながら怪しい部分を充分に切除してしまった方がいいような気がします。 切除を勧められる人と私の様に経過観察を勧められる人の違いは何でしょう? 逆に切除してしまうことにデメリットはあるのでしょうか? 切除しなくて済むというのは嬉しい診断でしたが、今のままで本当に安心してていいのか、気になって夜も眠れません。どうかよろしくお願いします。

いわゆるADHというものですが、リスクという面からは通常の約3-5倍の割合で乳癌発癌の可能性があるというもので、決して全てのかたが乳癌に至るものとも断定はできません。基本的には定期的な診察をお受けになることが重要だと思います。(文責 首藤)
 

 

No.9047-2】  09年08月02日   M 
異型過乳腺形成について

お世話になります。先日はHPNo.9047で異型乳管過形成について教えていただいて、ありがとうございました。お忙しい中、早速質問にお答えいただきまして本当にありがとうございます。定期的な診察が大切とのこと、お話はよくわかりました。ただもう少し質問させていただきたいのですが、いろんなサイト等でこの病気に対して調べてみると、もっとも理想的なのは、断面にとり残しがないように切除して、その後半年毎くらいに経過観察が良い・・・と書いてあります。私は既婚者で子育ても終えており、どうしても乳房を残しておきたいわけでもありません。最善の治療方法が知りたいのです。もしお答いただいている先生が私の主治医の先生でしたら、どのような治療法を選択なさいますか? 例えば、この異型乳管過形成にもグレードみたいなものがあって、「あなたのは、まだまだ経過観察をしていても全然大丈夫で、もう少し異型が進んでから切除しましょう!」というのなら納得できるのですが、今のうちに切除してしまった方が安心できるのならその方がいいのですが・・・。今通院している大きな乳がん専門の病院では、「私のような症例は、切ることはまずなく、みんな経過観察です。」と言われました。でも、その後の浸潤癌等の発症率がとても高いように感じて不安でたまりません。今病気がわかっているのに、このまま様子を見ていて、いざ切ってみたら思いのほか病気が進んでいた!! という手遅れな感じにだけはなりたくないのですが・・・。この同じ病名で切除になる人と経過観察の人の違いは、先生の考え方(治療方針)の違いと受け止めればいいのでしょうか? このまま温存していて10年後に一割の人が浸潤癌を発症する可能性があるのに対し、もし今切除しておいたら、部分切除だと何割くらい発症し、仮に乳房全摘出何割(0なのか)なのか、おおよそでかまわないので教えていただけますか? 難しいかと思いますが、数字にしていただくとわかりやすいです。お忙しいのに何回もお聞きして本当に申し訳ありません。でもぜひ専門の先生にお話を聞かせてほしくて、また図々しくメールしてしまいました。どうかどうかよろしくお願いします。

非浸潤癌と異型乳管過形成については、病理医が顕微鏡でみても区別が難しいことがありますが、病気については、基本的には癌は治療の対象になりますが、それ以外のものは治療の対象にはなりません。もう少し分かりやすくいうと、現時点で乳癌ではないのに、乳癌になる可能性が高いということだけで手術をすることにはなりません。乳腺外科医の考え方に違いはなく、定期的な診察をお受けになる事が原則です。(文責 須田)

 

No.9047-3】  09年08月17日   M 
ごく初期の癌について

No.9054では丁寧に教えていただいて本当にありがとうございました。実は病院から連絡があり、異型乳管過形成だと診断されていたものが、詳しい病理検査の結果、ごく初期の乳癌だとわかりました。 そこでまたお尋ねしたいのですが、 まだはっきりした病名は聞いていないのですが、前回の診察時に担当の先生が、もしも切除生検をして癌が見つかったとしても、多分ほんの初期の非浸潤癌だとおっしゃっていたので、そう仮定して質問させていただきます。
1) 初期の非浸潤癌の場合、乳房温存をすすめられる事も多い様ですが、私は再発の可能性がほとんどなく、放射線やホルモン剤治療などがない可能性が高い全摘を希望したいと思っています。これは担当の先生が温存と言っているのに、全摘を申し出てもいいものでしょうか?
2) そもそも温存は患者のためを思いやる治療で、医学的な事のみ考えた場合には、全摘がもっとも望ましいと考えていいのでしょうか? 逆に全摘をしてしまうとデメリットみたいなものはありますか?
3) 全摘プラス乳房再建という考え方もあるようですが、この術式はいかがでしょう? また乳房再建は、体への負担や何か副作用、その後何かの病気の引き金になったりしませんか?

お忙しいのに申し訳ありませんが 次の来院時までにこちらの専門医の先生にもお話を伺ってから、担当の先生との話し合いにのぞみたいと思い、メールさせてもらいました。どうぞよろしくお願い致します。

ご質問どうもありがとうございます。あくまでの仮定のお話ですので、このお答えが全く見当違いになる可能性もございますことを前もってお伝えしておきます。
1) 初期の非浸潤がんの場合には、乳管内をがん細胞が進展するので逆に乳房全摘になることが多いです。一方、浸潤がんであれば乳管の途中で乳管外にがん細胞があふれ出しそこで腫瘤を形成していきますので、その部分だけを切除する温存手術が可能なわけです。それに対し、乳管を破らずに乳管内を進んでいく非浸潤がんは、がん細胞の存在する乳管を全て摘出すれば、再発や転移の可能性はまずあり得ないのです。
 以上より、非浸潤がんで乳管内進展の範囲を造影MRIなどで見極めて、切除範囲を決めることになると思います。温存療法のガイドラインでは、患者様が温存を希望されていることが温存手術の必須条件になっています。
2) あくまでも患者様のニーズと医学的な根拠に基づいて手術方法は決定されます。温存手術を望まれる方が多いのは事実ですが、温存療法後には必ず放射線治療を約1ヶ月お受けにならないといけませんから、条件の見合う方が温存療法を行うことになります。
3) 乳房全摘+再建も最近は増加してきています。特に非浸潤がんであれば、根治手術と同時に再建手術が可能なわけですから、良い方法であると思います。ただし、インプラントによる再建であれば、乳がんの手術も含めて自費になります。また一般的には、乳がんの手術をおこなって病理検査の結果を確認して必要な追加治療をおこなって、創部が完全に落ち着いてから再建をするという考えが、まだ主流であろうと思われます。主治医の先生にもお尋ねくださいませ。(文責 高橋)

 

No.9046】  09年07月28日   K 
術後の治療方針

7/1に左乳房全摘し、昨日、病理診断結果が出ましたが、術後治療について教えてください。年齢50歳、硬癌、癌の大きさ2.8cm、癌の顔つき:中間(2)、リンパ節転移無し、リンパ管浸襲++、脈管浸襲−、ER+、PgR+、Her-2:1+ 。主治医から、FEC療法6クール後、ホルモン療法5年との治療方針を示されました。8/7に1クール目の予定です。癌の大きさと顔つきだけなら、ホルモン療法だけにできるが、リンパ管浸襲2+が有るので、FEC療法とホルモン療法を勧めると言われています。再発を避ける為の初期治療として、抗がん剤が重要だとは思いますが、抗がん剤の副作用のことを考えると不安があります。私の場合、抗がん剤は必要と考えられますか? 宜しくお願いします。  

リンパ管侵襲を再発リスクの一つと考えるならば化学療法もよいのではないでしょうか。また、あなた自身が化学療法の効果を期待して、できる治療は全て全うしたいのか、それとも、もともとなるべくきつい副作用は回避したいのか、といったところも選択の重要な要素ですね。主治医を信じてがんばってください。(文責 首藤)

 

No.9045】  09年07月28日   T
予防的手術のリスク及びリンパ節切除について

1) 「nipple周囲特に頭側の低エコー域」という文章の「低エコー域」とは、どの部分を指すのでしょうか?
2) ホルモン受容体・Her2たんぱくの検査は、癌を調べる時以外に、検査方法はあるのでしょうか?
3) 放射線治療の影響で、肺に白い影があるのですが、今後癌化する可能性はありますか? また、何か症状は出てくるのでしょうか? だるさや微熱は、この影響でしょうか?
4) 肺に5ミリ大の腫瘍があるのですが、乳癌の転移か転移でないかは、どうやって分かるのでしょうか? また、どのくらいの期間で、どのような検査をしていくのでしょうか?
5) 予防的に乳房全摘・リンパ節切除をした場合、リンパ浮腫以外に何かリスクはあるのでしょうか?
6) 予防的手術で乳房全摘をして、リンパ節切除をする際、前回の手術でセンチネルリンパ節を取ってしまってある場合、腋窩リンパ節を全部取らなければ意味がないのでしょうか?
7) 腋窩には、リンパ節群が幾つかあると聞きますが、全部を取らなくても、その中の一部の群を切除して病理検査することは可能でしょうか?
8) リンパ節切除は、浮腫以外に今後の治療にリスクがあるのでしょうか?
9) リンパ節を残すことにより、今後全身への転移が確認できるとかいうようなことがあるのでしょうか?
10) 乳癌摘出手術後一年では、リンパ節を病理検査する際、癌があっても検査ではまだ出てこないというようなことはあるのでしょうか?

1) 超音波の反射が弱い傾向の部分です。画像的には周囲と比較して黒いところです。
2) 基本的には手術切除検体に対する検査となります。
3) 放射線による肺臓炎の可能性はあるのではないでしょうか。この場合は咳がでることが多いです。
4) CTなどによる定期検査か、気管支鏡を使用した生検などが行われるでしょう。CT等による経過観察は3〜6ヶ月ごとでしょう。
5) 全身麻酔を行うことに対するリスクは無視できないでしょう。
6) 予防的乳房切除自体が、本邦ではほとんど行われていません。予防的乳房切除術は、基本的には乳房内における乳癌発生を回避する事が目的ですから、同時腋窩リンパ節郭清は行われないと思います。
7) 可能かどうかといえば可能でしょう。
8) 浮腫やリンパ管炎などが合併症でしょう。
9) リンパ節転移は確かに遠隔転移の一つの指標でしょう。
10) リンパ節転移があれば病理組織学的にはかなりの精度を持って発見できると思います。(文責 首藤)

 

No.9044】  09年07月26日   C.T.
再発の治療について

1) 乳癌手術で、断端陽性で癌が残っていた場合、一般的にどのくらいの期間で再発が確認されるのでしょうか?
2) その際、リンパ節に転移している可能性は、どのくらいあるのでしょうか?
3) 断端陽性で癌が残っている可能性がある場合に、予防的手術をするとしたら、どんな手術をしたら良いでしょうか?乳房全摘とか、リンパ節切除は、どこまで取ったら再発が防げますか?
4) 癌が胸筋まで0.1ミリで断端+3陽性の場合、乳房全摘の際に胸筋を少し取って、病理検査の結果癌があった場合、どんな治療が考えられますか?
5) 乳房全摘場合、肋間神経は取りますか?
6) リンパ節郭清の場合、リンパ浮腫があると聞きますが、浮腫が起こる確率と、症状、治療について教えてください。

1) 断端陽性というのは、温存術における切除断端のことでしょうか? 断端陽性の場合は電子線による放射線療法がおこなわれることが多く、残存癌組織の量にもよりますが、通常局所再発率は5%程度と考えられます。
2) 断端の陽性とリンパ節転移の有無は、おおよそ無関係な因子です。
3) 断端陽性部分を中心に追加切除を行うことが通常でしょう。リンパ節切除は無関係です。
4) 追加的放射線療法は選択肢の一つでしょう。
5) 乳房温存術か乳房切除術かということと、肋間神経切除との関係はありません。肋間神経切除はリンパ節カクセイにおいて通常話題になるところです。
6) カクセイの程度やカクセイ部位によって浮腫発生の確率は異なるものですが、個人差もあり、何とも言えません。リンパ浮腫に対してはマッサージなどがある程度有効です。(文責 首藤)

 

No.9043】  09年07月26日   E
今後の治療について(HPNo.7022-3)

HPNo.7022でお世話になったものです。いつも相談ありがとうございます。肝臓転移して2年半経ち、現在ホルモン療法のゾラテックス注射、アルミデックス服用しています。注射はホルモン依存性の体質が強いせいか、2年半経った今でも続けております。長年のせいか、いろいろ副作用に悩まされています。最近、頭痛、めまい、吐き気、手のしびれ等あり、体調がすぐれません。更年期症状になっているのか、副作用なのか、脳の検査をした方が良いのか、いろいろ考えています。6月にPET-CT検査をしましたが、異常はありませんでした。2ヶ月に一回の腫瘍マーカー値もしており、安定しております。よろしくお願いします。

更年期症状である可能性が高いでしょう。しかしながら、それ以外の可能性は文面からだけでは何とも言えません。よく主治医の先生にご相談ください。(文責 首藤)

 

No.9042】  09年07月26日   K.Y. 
ゾラデックスでの治療について(HPNo.8907-2)

No.8907でお世話になった者です。回答をいただき、大変心強く感じました。ありがとうございます。再びの相談ですが よろしくお願いいたします。
1回目の出血の後、70日後に、また生理のような出血があったため、婦人科を受診しました。子宮がん検査は異常なし、ホルモン検査の結果、LHが8.81、FSHが39.67、E2が24。完全な閉経ではないと診断されたので、主治医にAI剤の中止をお願いしました。アリミデックスからノルバデックスに変更になりました。ゾラデックスについては、初期治療から時間が経っているので不必要と言われました。 「こんなケースは初めて」と、おっしゃったので、私のような事例はあまり扱っていらっしゃらないと思われます。
そこで、うかがいたいのですが、前回の相談で教えていただいたゾラデックスによる治療を加えた方が、より確実な治療であるなら、主治医にゾラデックス治療を希望しようと思っておりますが、いかがでしょうか? よろしくお願いいたします。

臨床試験の結果からは、リンパ節転移陽性で、かつ化学療法による閉経を見なかった場合において、LHRH Agonisit併用の上乗せ効果があったとされています。よく主治医の先生とご相談ください。(文責 首藤)

 

No.9041】  09年07月26日   Y.H.
再検査

初めて投稿させて頂きます。 現在45歳、母が乳ガンを患ったこともあり、40歳から定期的にマンモグラフィーと触診の検診を受けています。今月初めに定期検診を受け、マンモグラフィー撮影後の医師の触診時、撮影した写真を見ながら、「乳腺が発達しているので、マンモグラフィーの写真だけではなんとも言えない」と言われました。触診でしこりは確認されていません。今までは、「マンモグラフィーと触診で異常なし」と言われていたので気になりましたが、やはり後日、超音波で再検査の通知が届きました。再検査は来週受けますが、それ以上の説明がなく、どういう状況なのか不安です。現時点でどのような可能性が考えられるのか、ご教授いただけると幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。

乳腺の厚みがあり、そのためにマンモグラフィーでは高濃度陰影となるために判定の制度が低くなることがあります。あなたの場合、そのようなことであったと推定されます。(文責 首藤)

 

No.9040】  09年07月23日   KU
非浸潤 全摘後 病理診断について

家内の非浸潤性乳管癌、病理結果について相談させていただきます。
家内は、広範にわたる右側の非浸潤性乳管癌と診断され、全摘出手術を受けました。同時センチネル生検 0/1、一ヵ月後の病理結果でも、微細浸潤は見つからず、断端も陰性。よって追加的治療の必要なしということで、家族一同ほっと胸をなでおろしております。
ただ一点、病理検査報告書では HR -, PgR -, HER-2 - となっており、後日ネットなどで報告書内容の勉強をしていると、悪性度が高いといわれるトリプルネガティブと思われる記述になっていることに気づきました。報告書では、亜型も低乳頭〜平坦(low papillary 〜 flat)となっており、比較的異形度も低いタイプと勝手に考えておりましたので、この結果がどのような意味合いを示すものか、戸惑っております。また、参考所見として記載されているAllred scoreも含めた免疫染色結果は、「ER: - 全体:PS 5 1S 2,in situ: PS 5 1S 2PgR: - 全体:PS 5 1S 3,in situ: PS 5 1S 3」であり、私の浅薄な知識からは、Allred scorに関しては、陽性を示しているのではないかと思われ、こちらもどう理解すべきか考えあぐねております。(なお、ER,PgRの+/ーは「陽性細胞の割合10%cutoffで判定」となっておりました。)
全摘ですので、どうであれ根治に近い状態とは考えておりますが、対側乳房での発症可能性も皆無ではありませんので、一抹の不安でも整理はしておくべきと考え、ご相談させていただきました。ご教授のほど、宜しくお願い申しあげます。

非浸潤癌に関するホルモン療法は、手術側と反対側の乳癌の発症を抑えるという報告と、効果的ではないという報告とがあります。非浸潤癌で用いるホルモン療法剤はタモキシフェンですが、子宮体がんの発症リスクを高めるため、非浸潤癌でのタモキシフェンの投与に関しては一定の見解が得られておりません。毒性と効果のバランスをよく考えてということになります。
また、非浸潤癌の亜分類に関しても、いろいろな亜分類の方法があり、亜分類の判定方法も様々で、まだ一定の見解が得られておりません。従って、現状は、この亜分類に振り回される必要は無いものと思います。
Allred scoreの判定に関しては、陽性となりますが、日本乳癌学会のcut-off値10%というところも含めて、浸潤癌に対するホルモン療法の効果予測として考えられていますので、これらを非浸潤癌のホルモン療法・・・云々に結びつけては考えない方がよろしいかと思われます。上述したように、非浸潤癌のホルモン療法そのものが、一定の見解が得られておりません。ですからトリプルネガティブに関しても浸潤癌でのはなしですので、奥様の病気の性格とは離して考えましょう。何より、非浸潤癌だったのですから・・・。(文責 鈴木)

 

No.9039】  09年07月23日   E.O.
ハーセプチン治療について

初めて相談いたします。61歳の主婦です。平成19年11月左胸温存手術をいたしました。病理結果は大きさ1.1cm、リンパ節転移なし、悪性度 1、ER、PgR陰性、HER2+2、断片・脈管への侵襲なし。術後 CMF 6クールを20年9月に終了し、今は経過観察中です。ハーセプチンが術後補助療法保険適用になったのを最近知りました。今、担当医にお願いし、FISH法の検査をしてもらってます。もし陽性であれば今からでもハーセプチンしたほうがいいでしょうか? 再発の心配は常にもっています。よろしくお願いいたします。

ハーセプチンの術後補助療法に関してですが、投与開始までの期間がどれくらい空いてから投与しても効果的か否かは不明です。1年であれば、今からでも・・と思いますが、なんとも明確な答えがありません。主治医とよくご相談の上、ということになります。個人的には1年くらいを目処に・・と思っていますが。(文責 鈴木)

 

No.9038】  09年07月21日   K・S
扁平上皮癌と紡錘細胞癌のミックス

初めて相談いたします。昨年7月に全摘手術をしました。

・ 病理結果は特殊型の化生癌 (扁平上皮癌と紡錘細胞癌のミックスで扁平上皮癌の割合が多い)
・ トリプルネガティブ
・ 年齢は36歳
・ 複数のしこりが連なって広がりが5センチ以上(しこりの大きくなるスピードが早い)
・ リンパ節転移なし
・ リンパ節にいくまでの通り道に軽度の癌がある

とのことで、抗がん剤治療をすることになったのですが、その直前に1センチくらいのしこりが出来てきて、局所再発とわかり、術後3カ月足らずだったのですが再手術(胸壁切除術)しました。そして、今は抗がん剤CAF6クールが終わったところです。

1) CAF療法の効き目は腫瘍を先に手術で取ったので確かめられないのが不安ですが、このまま、あとは定期健診になるみたいです。他に何か治療は必要ですか? 例えばタキソールかタキソテールはしなくていいのでしょうか?
2) 扁平上皮化生癌の治療法というものはあるのですか?
3) 局所再発の原因がわからないのですが(手術では取り残していないとのことです)、何だと思われますか?
4) どの本を見ても、たいてい特殊型は情報が少ないように感じるのですが、化生癌とはどんな癌ですか? 扁平上皮癌と紡錘細胞癌のミックスというのは、転移や再発しやすいのですか? 予後はどのような感じですか?
5) 6年前くらいにエステで脇の下の永久脱毛をしたのですが、永久脱毛が癌の原因にもなると聞いたのですが、本当ですか?

よろしくお願い致します。

1) タキサン系薬剤を追加することによる再発率低下は、ある程度期待できるところでしょう。
2)4) 化生とは、細胞や組織が、もともとあるべき細胞・組織と質的に異なった別の分化を示してしまうことですから、たとえば通常の乳腺組織には無い扁平上皮の方向に乳腺細胞が進んでしまい、かつそのような化生を起こしながら細胞が癌化してしまった状況といえます。化生がんにおいては化生性または混合成分によって予後(再発率など)が変わることはありません。あくまで乳管成分に基づく悪性度診断(たとえばグレードなど)において判定されるものです。したがって扁平上皮化生癌においても通常の乳癌治療と変わりません。
3)メールの内容からはわかりません。
5)永久脱毛は無関係でしょう。(文責 首藤)

 

No.9037】  09年07月21日   Y
アリミデックス服用のみで大丈夫でしょうか?

3ヶ月前に右乳房切除手術をしました。詳しい病理検査結果データを持っておらず、先生から口頭でお聞きしたことのみですが、宜しくお願いします。
 ・腫瘍の大きさは2センチを超えていた(手術のとき、家族は2センチ弱だったと言われたようです)
 ・エストロゲン受容体陽性
 ・リンパ節転移なし(腋窩リンパ節は切除)
 ・HER2(2+)だが1+に近い(数値が10とか18とか言われました・・・)
 ・年齢51歳

放射線も抗がん剤もやらないと言われ、アリミデックスの服用のみの治療をしています。先生には、「再発リスクは10%で、ホルモン剤によりそれを更に40%減らせる。」と言われました。これだけでは判断できないかとも思いますが、ご意見いただければありがたいです。次回の診察で詳しいことを聞こうと思っているのですが、皆さんの投稿を読んでいると、なんだか心配になってしまい、メールさせて頂きました。

アジュバンドオンラインなどを使用して、化学療法とホルモン療法における推定再発率をもとに説明がなされたのでしょう。あなたの場合、ホルモン療法における効果が化学療法の効果よりも勝っている状況なのかもしれません。よく主治医の先生に伺ってください。(文責 首藤)

 

No.9036】  09年07月21日   Y子
今後の治療について

一年ほど前に貴相談室のホームページをみつけ、以来毎日のように色々な症例や先生方のアドバイスを参考にさせていただき、大変感謝しております。今回私の症状と治療につきご意見を伺いたく、メールをお送りします。デンマークに30年来住んでおります。67歳です。
1994年に右乳首4cm上方に出来た良性のしこりと、同時に検査で見られた石灰化の削除の手術を受けました。1998年に右鎖骨の下10cmの肋骨上に出来たしこりは乳ガンで、大きさは7mm、浸潤性、ホルモン感受性マイナスと、当時のカルテが残っております。手術の際に右脇下のリンパ節14ヶを取り除き、転移はゼロでした。術後29回の放射線治療を受けました。その後は大変元気でガンのことはすっかり忘れて暮らしておりましたが、2007年秋に前回の手術に近い胸骨のほぼ真ん中がピンポン玉大にふくらんでいることに気づきましたが、ガンと結びつけて考えることなく過ごしておりました。2008年になって、皮膚下の組織に出たガンで、骨に浸潤しているとの診断でした。前回と違いホルモン感受性はプラスなので、当初は新しいガンかもしれない、とのことでしたが、後に再発と診断されました。5月に手術、幸い骨には深く浸潤しておらず、約7cm四方を浅く削る手術でしたが、胸骨裏に微小なガンが取り切れずに残ったとのことでした。HER2はマイナスで、4月からアリミデックスを服用し、11月に副作用により、フェマーラに変わりました。暮れにひいた風邪が長引いているうちに、手術あとに近い胸骨左側にシコリが発生し、今年2月に再発とされた時には3cmになっておりました。他に右鎖骨上のリンパと右脇下リンパに腫れがみられました。直ぐにタキソテール治療となり、7回を終わったところです。先月のCTスキャンの結果では、「シコリやリンパの腫れは全て縮小」とあります。タキソテールは、この国ではミニマムの120gから始まりましたが、途中白血球減少や貧血などの副作用があり、90mgに減らされています。

1) タキソテールを9回終えたところでCTスキャンを受け、その評価で今後の治療が決まります。再発には、まず抗ホルモン剤、効かなければ次は化学治療という標準のメニューに沿って私の治療が決められているように思います。今回タキソテールが有効だったということで、次の再発まで無治療になるのでしょうか。アリミデックス、フェマーラが効かなかったことから、抗ホルモン剤でしたらどのお薬になるのでしょうか。
2) 乳がんでありながら、乳房は全く健全という状態ですが、胸骨のみに出ているという私の症例に、リンパによる転移がしやすいといった特徴があるでしょうか。 
3) 治癒することは無いと思ってください、と言われています。初発から10年と長かったので進行は遅いタイプではないかと考えますが、今後の予後について、また再発はどのように予期すればよいのか、統計的に判ることがありましたら、教えていただけると幸いです。

長いメールになり大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。皆様のますますのご清祥をお祈りいたします。

1)アリミデックス後、フェマーラ内服中において右鎖骨上、腋窩リンパ節転移が出現してきており、かつタキソテールが著効を示しているわけですから、基本的にはホルモン療法の追加効果は低いと推定されます。
2)そのような特徴も推定されるところです。胸骨のものは傍胸骨リンパ節転移であった可能性も否定できないものです。
3)再発乳癌において完全治癒率は5%程度といわれています。再発の場合、基本的に「がんと共に生きる」というスタンスで臨まれることが大事ではないかと思います。(文責 首藤)
 

 

No.9035】  09年07月21日   K
術後の治療の必要性について

初めて相談させていただきます。よろしくお願いいたします。
母(64歳)が、5月に乳癌の乳房全摘手術を受けました。以下は、術後の医師からの説明です。「組織型:浸潤性乳管癌 1%、非浸潤癌 99% リンパ節転移:陰性 転移リンパ節数:0 摘出リンパ節数:3 大きさ(浸潤型):0.2cm、範囲:5.0cm 核異型度:2、術前化療なし、ホルモン感受性:あり HER2/neu:なし 断端:陰性」
上記は右側乳房で、左側は乳管のつまりのみだったのですが、念の為に両方の乳房を全摘しました。医師からは、タモキシフェンの5年服用か、何も治療しなくて良いと言われたようで、本人はどちらを選択するべきか悩んでおります。非浸潤癌の場合は全摘すれば再発の可能性は低いようですが、浸潤性乳管癌1%というのが気になります。ホルモン療法のリスクなどを考えると、どちらを選んだらよいのでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。

NCCNガイドラインからは、浸潤径が0.5cm以内、リンパ節転移無し、ホルモン感受性陽性において術後補助療法は必要ないようです。よく主治医の先生とご相談ください。(文責 首藤)

 

No.9034-1】  09年07月21日   S.T.
AC後の治療方針について

妻の今後の治療方針について相談させてください。妻は38才。今年の1月中旬に乳がんと診断され、全摘出手術を受けました。病理の結果は、「細胞異型大、浸潤性乳管癌、腫瘍の広がり5cm以上、リンパ節転移なし、脂肪内への広がり+、ホルモン感受性2種ともにー、HER2(3+)」ということでした。現在、アドレアマイシン+エンドキサン4回が終了したところで、妻が、「次はハーセプチンの治療を行うのか?」と聞いたところ、主治医から、「今後は定期的に腫瘍マーカーの値を確認しながら様子をみましょう。」とのことでした。私たちは、HER2(3+)ということでハーセプチンの治療を引き続き、行った方が再発リスクを下げれるのではと思っているのですが、最近の乳がん治療のトレンドとしては、妻のようなケースではどういう選択がベターなのでしょうか? お手数ではございますが、アドバイスをいただけたら幸いです。よろしくお願い致します。

ホルモン感受性がなく、腫瘍型も大きい、さらにHER2が3+ということですので、アドリアマイシンを中心とした化学療法を4-6サイクル、その後にタキサン系薬剤を投与する(タキソールであれば、毎週の12回、タキソテールであれば3週毎4回)のが一般的ですが、リンパ節転移はありませんので、タキサン系薬剤を追加するか否かは、われわれの間でも少し温度差があります。われわれの施設では、少しの上乗せ効果でも、一般的に再発してから治すのは大変ですので、再発予防の治療で治そうということで、タキサン系薬剤の上乗せを行っています。その後は、ハーセプチンの投与を1年間行いましょう。HER2がプラスの場合、ハーセプチンの投与で再発率が2分の1になります。よほど、心機能が悪いとか、金銭的にとかいうのでなければ、奥様の再発率を減らしてくれるのはハーセプチンの投与です。主治医にしっかりと申し伝えるか、そうでなければ別の病院を紹介して頂いてもいいのではないでしょうか?(文責 鈴木)

 

No.9034-2】  10年09月24日   S.T.
肺転移の治療について

No.9034で、一度妻の治療方針について相談させていただいたものです。その節は迅速なご回答を頂き、ありがとうございました。その後、残念ながら肺転移が認められ、治療継続中です(AC4クール→ハーセプチン単剤→ハーセプチン+パクリタキセル→ハーセプチン+ドキタキセル4クールまで終了)。ただ、コントロールできていない模様で、腫瘍マーカー上昇(ca15-3)、腫瘍増大、気管支への浸潤があり、先日、腫瘍からと見られる一回30mlほどの吐血が断続的に続いたため、出血を止める薬で抑えている状況です。ここで質問なのですが、主治医の先生からは今後の治療として、1)ハーセプチン+ナベルビン  もしくは、2)タイケルブ+ゼロータ の2つが提示されています。1)を先に開始することを勧められていますが、今までハーセプチンがあまり効いてないようであることから、2)の方がよい気もします。相談室の先生がたのご意見はいかがでしょうか? お手数ですが、ご助言のほど宜しくお願いします。

ご質問ありがとうございます。再発乳がんに対して薬剤を選択する際は、使い漏れのないように、5種類なら5種類、10種類なら10種類の薬剤を、順序は関係なく使い切るというのが基本的な考え方です。ですから、副作用の種類や、ご本人のライフスタイル、体力などを勘案しながら、薬剤を選択することになり、医師によって、患者様によって、治療の順序は様々です。
ご質問の件のハーセプチン+ゼローダとタイケルブ+ゼローダに関しては、どちらが良く効くかという科学的な正解はありません。したがって、前者の効果が少なければ後者に、後者の効果が少なければ前者にという具合で使います。ただ、ご指摘のように、ハーセプチンを使っていて、効果がないのでタイケルブ+ゼローダという考え方はリーズナブルなように思います。現在のところ、タイケルブの相手で用いる薬剤は、ゼローダしかありませんが、ハーセプチンの相手で用いる薬剤は、種々のものがあり、これからも新しい薬剤が使える様になるでしょうから、主治医、患者様ご本人とよく相談の上、治療を続けて下さい。
もう一点、質問の主旨からずれますし、主治医からは聞かれているかもしれませんが、気管支への浸潤があり、出血をしているとのこと・・・。時に大量に出血することがあります。出血が起こると患者さまの不安も強くなりますので、力になってあげて下さい。(文責 鈴木)

 

No.9033】  09年07月21日   O.S.
ラパチニブの投与の方法について

49歳の妻の件です。20年1月に乳がんが分かり、都内の大病院で20年3月よりCAFを4クールやり、20年7月に右乳房全摘。病理でVC、グレード3、リンパは2まで転移あり、ホルモン陰性、HER2+3。20年8月よりタキソール3ウイークを8クールやり終了。また20年9月よりハーセプチンを毎週点滴しています。21年3月にけいれん発作で倒れ、脳転移が発覚。21年4月に3か所をサイバーナイフ照射。この時点で骨や他の臓器への転移はなし。21年6月の検査で、脳転移の3か所は縮小しているものの、新たに2か所に脳転移発覚。2か所もサイバーナイフ照射。21年7月現在では、ハーセプチンだけ続けています。また、副作用か脳腫瘍の影響か分りませんが、人が怖くなるという症状で精神科も受診。主治医にも、今後の治療でラパチニブ投与の相談をするも、病院ではまだ使っていないとのことで余り肯定的ではありません。ハーセプチンが効かなくなってきた患者で脳転移のある人には、4月に保険適用になったラパチニブとゼローダの投与はいいかと思うのですが、このような場合、どこで治療を受ければいいのでしょうか。

確かに、脳転移に関してはラパチニブとゼローダの組み合わせの効果が高いと言われていますので、HER2陽性乳癌の脳転移に関して、ハーセプチンを使用していたのであれば、これを変更してラパチニブを投与するのが良いと思われます。考え方によってはハーセプチンで首から下をコントロール出来ているので、頭は放射線で治療をするというのも選択肢になるかと思います。ラパチニブの効果と副作用との相談かと思われます。さて、ラパチニブはすでに市販されていますので、その病院が採用しているか否かだけです。通常、乳腺外科としてしっかりしているところであれば、どこでも使用できるようになっているはずですが・・・。主治医と相談の上、近隣の病院を紹介して頂くなどしてもらってはいかがでしょうか?(文責 鈴木)

 

No.9032】  09年07月21日   N.Y.
早期乳がんの術後治療について

はじめてご相談させていただきます。現在44歳です。6月に乳房部分切除術とセンチネルリンパ節生検を受けました。
「腫瘍径:1.0×1.2×0.8、腫瘍の広がり:2.2×5.2×0.8、浸潤度:g +,f + 、切除断端、リンパ管浸潤、静脈浸潤いずれも−のTumor grade:1 」の早期がんでした。ER +partial / PgR +partial、 HER2は2+です。FISH法では調べていません。「今後の治療については、放射線治療をし、その後抗がん剤+ハーセプチンをやってからホルモン治療をしていくのか、ホルモン治療だけにするのか決めて下さい。」と、言われています。私も、本やネットの情報などで勉強はしましたが、決められずにいます。8月の下旬ごろには放射線治療が終わります。それまでに決めて下さいと言われています。ご意見をお聞かせ下さい。よろしくお願いします。

1) ハーセプチン単独での治療はできないのでしょうか?
2) 私の場合、抗がん剤+ハーセプチンの治療はやったほうがいいのでしょうか?
3) ホルモン治療だけだと、再発率、生存率にかなりの差があるのでしょうか?

腫瘍型も大きくなく、ホルモン感受性もありますので、大多数の意見は、ホルモン療法ということになると思います。HER2に関しては2+ですので、FISH法という検査で遺伝子の増幅(増えているか否か)を調べ、プラスかマイナスを判断して頂きましょう。HER2が2+でもFISH法でプラスであれば、ハーセプチンの適応になりますし、マイナスであればハーセプチンの必要はありません。さて、そこで、抗癌剤を行うか否かですが、HER2がFISH法でプラスだった場合を想定してお話しします。逆にFISH法でマイナスであればホルモン療法のみで問題ないと思います。抗癌剤を行っても、ホルモン療法だけに比べて、プラスの再発の抑制効果はほとんどありません。ただ、ハーセプチン単独で再発予防の治療というのは行うべきではありませんので、抗癌剤を終了後に行うこととなります。ですので、抗癌剤を行うとしても、CMFなどの脱毛の少ない治療法が選択になるかと思います。何も治療を行わなかった場合、10年生存率は87%で、ホルモン療法を行うと90%になります。これに化学療法を加えても、この数字に大きな変化はありません。上乗せ効果が大きければ、化学療法+ハーセプチンと勧められるのですが、あまり上乗せ効果がありませんので、あとは、個人個人の判断ということになります。(文責 鈴木)

 

No.9031】  09年07月21日   Y
腫瘍マーカーの上昇について

いつも参考にさせていただいています。ご多忙の中での対応については頭が下がる思いです。
腫瘍マーカーの上昇についてのご相談です。術後10年になりますが、CA15−3が、ここ4年ほど28前後で、年明けに34に上昇、5月7月の2回は29に戻りました。術後すぐは15前後でしたので、じわじわ上がっており、近いうちに40、50に上昇して再発にいたるような気がして不安です。主治医は、「29前後があなたの正常値だから問題ない」と言われますが、いかがでしょうか? また3年ほど前からアリミデックスを服用していますが、これからも飲み続けたほうがいいでしょうか? アドバイスいただけると幸いです。

腫瘍マーカーは、よく上下しますので、その数字だけで振り回されない方が良いかもしれません。正常値よりも高い方、低い方、様々ですし、実際、今回も上下していますよね。上昇傾向なのか、それも毎月、毎月とかいうのであれば、どこかに病気が潜んでいる可能性はあるかもしれませんので、画像診断を行ったほうがいいでしょう。また、アリミデックスに関してですが、術後10年でアリミデックスを内服している根拠はよくわかりません。最近、ノルバデックスを5年内服した後に、アリミデックス、アロマシン、フェマーラといったアロマターゼ阻害剤の内服をさらに5年行うほうが良いとのデータが出ていますので、10年までは内服したとしても、それ以降の継続は不要だと思います。それも、ここ3年内服をしているとのことですので、アリミデックスの必要性に関しては、主治医とよくご相談下さい。(文責 鈴木)

 

No.9030】  09年07月18日   M
母の症状について

71才になる母のことですが。一ヶ月前に右乳房が痛みだし、産婦人科で診てもらったところ、右の脇下から外側の乳房にかけて6p×3.5pの水のう胞があると診断されました。発熱、発赤があり、皮膚は綺麗ですが炎症数値が25でした。その後紹介状をもって、がんセンターで、マンモ・超音波・CTの検査の結果、がんの可能性は低いだろうとのことでした。心臓の持病があり、ワーファリンを使用しているので、細胞診検査はできませんでしたし、する必要もないだろうと言われました。その間もずっと産婦人科で入院し、一日3回の抗生物質の点滴治療を続けていますが、炎症数値がやっと8まで下がりましたが、それ以上なかなか下がりません。母は、私が赤ん坊の時の授乳期に激しい乳腺炎にかかっています。その後遺症のため、50才の時にシコリを4つ摘出しました。その時のシコリの検査結果はシロともクロ(がん)とも言えないグレーだと言われました。現在は熱は下がり、腫れと痛みは微かなのに、炎症数値だけが下がりません。炎症性乳癌なのでしょうか?

炎症性乳癌の可能性は少ないと思います。あくまでも炎症性と名前はついていますが、特に炎症が強いわけではありません。今回のお母様に起こったのは、嚢胞に感染して、炎症の数値が上がったのだと思います。ワーファリンを内服しているので、嚢胞の中に出血が起きたのかもしれません。嚢胞そのものは、そのまま放置して構いませんので、あまり心配されずに経過を見てはいかがでしょうか。(文責 鈴木)

 

No.9029】  09年07月18日   N.K
化学療法及びハーセプチンについて

初めて相談いたします。よろしくお願いします。44歳 未婚 閉経前です。
6月10日に右胸温存で手術しました。病理結果がでまして、「硬癌、腫瘍は1cm×0.8cm、リンパ転移なし、ER陽性、PgR陽性、断片ー、リンパ管侵襲ー、HER2+2」です。HER2の結果待ちで、主治医は先週まで、「放射線+ホルモン療法で治療します。」との事でしたが、今日HER2の結果がでて、陽性だったので、追加で化学療法+ハーセプチンと言われました。木曜に返事をすることになっています。そこで質問です。
1) 私の場合、化学療法+ハーセプチンをせず放射線+ホルモン療法のみの場合、再発率&生存率はどのくらいでしょうか?
2) 化学療法+ハーセプチン、放射線+ホルモン療法全てした場合の再発率&生存率はどのくらいでしょうか?
3) 出来れば、ホルモンのみで治療したいのですが無理があるでしょうか?
4) 化学療法+ハーセプチン、放射線+ホルモン療法全てした場合と放射線+ホルモン療法だけの場合の差はどのくらいでしょうか?
5) 主治医は、放射線+ホルモン療法でいいかも?とぽつりと言っていました。
6) 私のようなタイプの癌で化学療法+ハーセプチンをやらない人はいますか?

私としては、7月1日より会社に復帰しておりますので、出来ましたらホルモン療法で治療をしたいと思っております。

まず、放射線は局所の治療であり、ハーセプチン、ホルモン療法、化学療法は全身の治療であることはご理解下さい。すから、質問の内容に明確にお答え出来かねますが、化学療法+ハーセプチン+放射線+ホルモン療法という選択枝と、放射線+ホルモン療法という選択枝の2つになるかと思います。また、ご質問の内容のように、細かに生存率、再発率、云々というデータはありませんので、概略、一般論でお伝えします。
www.newadjuvant.comというサイトで生存率の計算が出来ます。ただし、一般の方にはややこしいかもしれませんので、データを入力した結果をお伝えします。あなたの場合、何も治療をしなかった場合(この場合、放射線はやるものと考えます)、10年間での乳癌による死亡率は4%です。それに化学療法を加えれば、2-3%(行う化学療法の内容による)は減らす事ができます。ホルモン療法だけでは1%の死亡率の減少です。3年での死亡率は1%くらいですが、これにハーセプチンを加えることで0%にすることが可能です。
この1-2%の差を求めて、化学療法を行うかどうかということになりますので、これから先はご本人の選択になりますし、意見の分かれるところで、医師の間でも温度差があるかもしれません。個人的には、術後補助療法で治療し、完治を目指すので、化学療法+ハーセプチン+放射線+ホルモン療法という選択を勧めます。化学療法を行わずにハーセプチンだけというのは、有用性がはっきり証明されていませんのでお勧めしません。(文責 鈴木)

 

No.9028】  09年07月16日   A
胸骨傍リンパ節への放射線照射について

36歳、FEC→タキソールの術前化学療法、乳房部分切除&センチネルリンパ節生検を受けました。病理結果は、硬癌、断端陰性、ER陽性、PgR陰性、HER2陰性、リンパ節転移なし(0/1)、リンパ管&静脈浸襲なし、最大サイズ1cm(化学療法前2.7cm)です。これから放射線治療を受けることになっているのですが、腫瘍のあった場所が右乳房の乳頭のすぐ内側やや下方であり、リンパの流れが胸骨傍リンパ節へ流れている可能性があるとのことで、念のため胸骨傍リンパへの放射線照射を薦められました。
1) この場合、胸骨傍リンパへも放射線を照射した方がいいのでしょうか?
2) 胸骨傍リンパへ照射することのメリット、デメリット(副作用)はどのようなものがありますでしょうか?

お手数をお掛けしますが、よろしくお願い致します。

1) 通常の接線方向の乳房への照射で傍胸骨リンパ節領域も照射範囲に入ることが多いので特に意識して照射することはないように思います。また、古い話しですが、通常の腋窩リンパ節郭清と、腋窩郭清に傍胸骨リンパ節郭清を追加した手術の比較試験が行われ、生存率に差がなかったという歴史的な臨床試験があります。その意味では無理にかけることはないと思います。
2) メリットは、傍胸骨リンパ節領域の再発を減少させることができることで、デメリットは、肺や心臓に近いので無理をすると、放射線性肺炎を併発したり、将来心臓の働きが悪くなることが懸念されています。(文責 清水)

 

No.9027】  09年07月16日   N 
副作用?

いつも大変勉強させて頂いております。 またいつもご丁寧なご回答に感謝申し上げます。 昨年の11月に左胸温存手術をしました。センチネルリンパ節生検の結果、転移なしでした。乳頭腺管癌(半分は粘液癌)、腫瘍径:1cm以下、ステージT、リンパ節転移なし(センチネル)、ER:+80%、PgR:+60%、HER2:-、 異型度:3、脈管浸潤なし、年齢33歳、現在ホルモン治療中(ゾラのみ)。術後すぐには手術した側の腕のしびれ違和感(圧痛)等が数週間ありましたが、その後はなくなり、通常通りに生活出来ておりました。しかし術後8ヶ月が経過した先日、同様に腕のしびれ、違和感が再び始まりました。

1) この様に一度治った症状が、また始まることはありますでしょうか?
2) 手術の後遺症によるものでしょうか? 転移で、この様な症状はありますか?
3) 今のところむくみ等の症状はわかりませんが、リンパ浮腫の兆候ということもあるでしょうか?
4) 違和感をなくす為の方法はありますでしょうか? マッサージ等をした方がいいでしょうか?
5) また上記とは別で、手の指のこわばり、ひざ付近の違和感がたまにありますが 、これはホルモン治療の副作用でしょうか?

以上、宜しくお願い申し上げます。

1) あり得ることです。
2) 手術の後遺症の一つと考えます。転移でそのような症状はあまり経験しません。
3) リンパ浮腫の症状とも違うと思います。
4) 基本的には時間が解決してくれるとしか言いようありません。同じ症状の方に伺うと、ゆっくりお風呂に入ると気持ちよいという方が多いように思います。
5) 内分泌療法の副作用の可能性があると思います。(文責 清水)

 

No.9026】  09年07月16日   C.T. 
センチネル生検について

センチネル生検について、詳しく教えてください。

1) センチネルリンパ節は全部でいくつあって、手術中に病理を調べるときには、そのうちのいくつを取って調べるのでしょうか? それとも、全部のセンチネルリンパ節の一部(一個の半分ずつとか)を調べるのでしょうか?
2) その後、残りのセンチネルリンパ節を詳しく時間をかけて調べると聞きますが、この時に癌が見つかった場合は、どのような治療をすることになるのでしょうか? 脇の下のリンパ節を全部取ったり、抗癌剤とか放射線とか聞くのですが・・・。
3) リンパ節郭清とは、どこのリンパ節をいくつ取ることをいうのでしょうか?

宜しくお願いいたします。

1) センチネルリンパ節は平均で1-2個くらいと言われています。手術中には全てのセンチネルリンパ節を検査します。検査の仕方は病院によって差がありますが、平均的な方法は最大割面(リンパ節の断面が最も大きくなるように半分に切った面)を術中迅速診断で調べます。
2) 原則は再手術で腋窩リンパ節郭清をするということになっていますが、手術中の検査で転移陰性のリンパ節が術後の検査で転移陽性となる例は微小転移のことが多いので、追加郭清をしない病院が増えています。その代わり、転移陽性という事実を考慮して術後の補助治療を考えます。具体的な治療法は、ER, PR, Her2 ,Grade, 年齢等様々因子を考慮するので様々です。
3) 乳がんの手術でいうリンパ節郭清とは腋窩(脇の下)リンパ節郭清のことで、脇の下にあるリンパ節を全てとってきます。脇の下のリンパ節の数は、個人差がありますが平均で十数個くらいです。(文責 清水)

 

No.9025】  09年07月16日   K
タスオミン

以前相談させていただいたことがあります。その折はたいへんありがとうございました。心の折れている時、このような相談室があり、大変支えになりました。ありがとうございます。
今回の質問は以下です。宜しくお願いいたします。45歳、術後3年になります。タスオミンを服用しておりますが、HPNo.9010のMさんと同じように、術側の目のかすみがあります。眼科に行ってみましたが、特に問題ないと言われました。このような症状は、副作用の更年期症状ということなのでしょうか。そのほかに、健側の手のこわばり(起床時)、軽いうつ状態がありますが、我慢できる程度です。それから手術時センチネルリンパ節に微小転移がありました。当時その意義は確立しておりませんでしたが、その後、微小転移(0.7ミリ)の意義が解明されていたら教えていただければと思います。

タスオミン(タモキシフェン)の副作用にかすみ目というのがありますが、これは視神経炎によるもので、眼科の先生に診てもらって問題なければ薬の副作用ではありません。こわばり、鬱状態は薬の副作用と考えられます。現時点では微少転移(2mm以下の転移)は転移陰性として扱ってよいのではないかという意見が多いようですが、転移陰性として扱うか、転移陽性として扱うかの議論の答えはまだ出ていません。(文責 清水)

 

No.9024】  09年07月16日   R.I.
ホルモン剤の効果

52歳、又、ホルモン剤の相談です。タスオミン2年〜フェマーラ1年服用で、まる3年無事経過という矢先、血液検査の肝機能異常で、胆汁うっ帯ということで投薬治療を3ヶ月いたしました。肝機能治療中3ヶ月はホルモン剤の服用を中止し、今回の血液検査結果で、ホルモン剤を再度開始するのですが、この3ヶ月のホルモン剤中止というのは、ホルモン剤治療の成果に影響するものでしょうか。よろしくお願いいたします。

基本的には影響しないと考えてください。しかし、厳密な意味で影響があるかどうかは、5年間のうち3ヶ月間内服を休んだ人ときっちり内服した人を何万人単位で比較した臨床試験を行わなければわかりません。それでは答えにならないので、影響しないという根拠を探して屁理屈をこね回すと、通常臨床試験では内服率が90%以下の場合は脱落例として試験の評価には用いません。言い換えれば治療効果を評価した群では90%以上内服していればOKということです。そうすると60ヶ月x 0.9 = 54ヶ月になり、5年間で6ヶ月の飲み忘れや休止期間が許容されているということです。このような屁理屈が成り立つかどうかはわかりませんが、血液検査の異常で内服を休止することはやむを得ない事情ですから、影響があるかどうか考えない、というか、影響ないと考えていた方が良いと思います。(文責 清水)

 

No.9023】  09年07月13日   F.H. 
マンモの結果について

この度はよろしくお願いいたします。
現在35歳で、3度の出産経験があります。数年前から右胸に2センチ程のしこりがあり、エコー、マンモ、細胞診(2回)をし、現在経過観察中です。先月、出産後9ヶ月の時に市の健康診断でマンモを受けました。結果は異常なしで一安心したのですが、いくつか疑問があります。
「異常なし」という結果は、年齢や授乳中ということを考えると、乳腺の関係でマンモに何も写らなかったのでしょうか。その頃には、ほとんど母乳は出ていなかったのですが・・・。それとも、しこりは写っていたけれども悪い形ではなかったということでしょうか。2センチ程の大きさなら、写らないのはおかしいかな、と勝手に考えたりもします。今回のマンモの結果をどうとらえればよいのか、先生のご見解をお聞かせいただければ幸いです。

マンモグラフィ検診の結果が“異常なし”というのは、正確にはカテゴリー1、もしくはカテゴリー2だったということです。カテゴリー1というのは“全く異常所見がない”ということで、カテゴリー2は、“腫瘤の陰や石灰化があるが、明らかに良性と判断できるものでがんの可能性はない”という所見です。ちなみにカテゴリー3というのは“腫瘤や石灰化の所見から多分良性と考えるが、がんの可能性が完全に否定できない”となり、カテゴリー3以上が要精検となります。ただし、マンモグラフィーの診断率は100%ではありません。マンモグラフィーに映らないがんもありますから、マンモグラフィーで異常なくとも自分でしこりに気づいているようであれば、乳腺の専門医を受診することをお勧めします。(文責:清水)

 

No.9022】  09年07月13日   Y.T.
術後の治療について

4月に乳房温存手術を受けました。センチネルリンパ節生検によるリンパ節転移はありませんでした。病理の結果は、腺管がん、腫瘍径9mm、断片陰性、組織学異型度3、ホルモン感受性あり、HER2(―)で、年齢は60歳です。今後の治療として、「放射線治療とホルモン治療5年」ということでした。異型度3ということもあり、抗がん剤治療は必要でしょうか。また、アロマシンとフェマーラでは、どちらを選択した方がよろしいですか。不安がつのり、ご教授いただきたくメールいたしました。よろしくお願いします。

貴女のデータをAdjuvant Onlineに入力すると、手術後無治療で10年までに死亡する確率が5%、ホルモン療法(アロマターゼ阻害剤でもタモキシフェンでも)を行うとそれが4%に減少し、化学療法(どのような抗がん剤でも)とホルモン療法を加えると2%減少して3%になります。ちなみに、他の病気で死亡する確率は11%です。この数字を見ると、化学療法はいらないように思いますが、いかがでしょうか。そしてホルモン療法でさえ副作用と天秤にかけて、副作用がなければホルモン療法を行うというところでしょうか。副作用があるようなら無治療でもよいと思います。そして、他の病気の死亡率を下げることを考えた方が良いのではないでしょうか。また、もし貴女の骨密度が低いようであれば、アロマシンやフェマーラというアロマターゼ阻害剤よりノルバデックスの方が良いかもしれません。アロマシン、フェマーラ、アリミデックスの3剤は第3世代のアロマターゼ阻害剤と呼ばれ、薬の効果はほぼ同じと考えて良いと思います。同じ効果の薬なのですが個人差があって、Aでは副作用があったがBではなかったとか、またその逆だったりするので、自分に合う薬であれば、どれでも大丈夫です。(文責 清水)

 

No.9021】  09年07月13日   A  
ナボバンの服用について (HPNo.8995-2)

先日はご丁寧に、ご返答をいただきましてありがとうございました。7月10日に抗ガン剤治療の第1回目を行いました。EC療法です。10:00頃から点滴し、その後何もなかったのですが、19:00にナボバンを服用し、9時半と10時半に嘔吐しました。すぐに病院の当直に電話しましたところ、すぐに診ますと言っていただいたのですが、1時間以上距離があるので、様子を見ているところです。2時間おきに、嘔吐があるようです。体温は36.9度です。調べてみると、ナボバンは、抗ガン剤を点滴した日のみ使用する薬であると書いていました。治療を受けている病院では、ナボバンを4日分処方されました。これは、服用しても大丈夫ですか?

ナボバンは抗がん剤投与前に投与すると有効な吐き気止めです。投与後の吐き気にも効く事を期待して投与されたのだと思いますが、通常はあまり効果ありません。まして内服して吐いているようであれば中止した方が良いと思います。最近は吐き気止めのガイドラインに従った治療をしていればEC療法で吐く人は少なくなっているように思いますが、デカドロン等のステロイド剤は内服されていらっしゃるでしょうか?(文責 清水)

 

No.9020】  09年07月13日   S.T. 
トリプルネガテイブの今後の治療について(HPNo.8949-4) 

HPNo.8981で、36歳の姉について相談させていただいたものです。
6月22日よりFEC×4〜6クールの予定で、術前化学療法が開始になりました。その後、FISH法にて詳しく調べていたハーセプチンについてはマイナスとわかり、トリプルナガテイブといわれました。現在、1クール終了後、治療前にあった腫瘍のサイズは、3.6から2.4センチにまで縮小し、この腫瘍のすぐとなりにあった腫瘍自体はエコー上画像では消えているそうです。腋かリンパ節も縮小しているそうです。
今後の治療についてお聞きしたいのですが、このまま術前化学療法後、手術をすると言われていますが、トリプルネガテイブの場合、術後の治療として、選択肢はどのようなものがあるのですか。ホルモン、ハーセプチン適応がないことを考えると、放射線療法のみということになるのですか。また、術前に化学療法をした場合、術後に使用することはないのですか。また、再発率、生存率についてもお聞きしたいのでお願いします。充実腺管癌、腋かリンパ節転移あり、胸骨肪リンパ節転移あり、トリプルネガテイブです。

術前の化学療法はFECのあとTaxanを加える予定でしょうか。そうであれば、術後に行う化学療法を全て術前に行ってしまう訳ですから、術後は放射線治療のみです。グレードを不明、リンパ節転移個数を1−3個としてAdjuvant Onlineを叩くと、10年後までに死亡している確率は無治療で48%, 化学療法(FEC->Taxan)を加えることで22%の死亡率の減少が得られ、10年後までの死亡率は26%になり、裏返すと10年生存率は74%になります。再発率の計算は反対側の乳癌や乳房温存した場合の同側の乳房内再発を含めますから高く出ます。10年後までに再発している確率は無治療で56%、同じ化学療法を行った場合、それが29%に減少します。トリプルネガティブ乳癌の特徴として、抗がん剤がよく効くタイプと効きにくいタイプがあることがわかっています。お姉さんの場合効きやすいタイプのようですから、しっかり抗がん剤治療を行うことが強く推奨されます。(文責 清水)
 

No.9019】  09年07月13日   H.K.
肝臓への転移が心配です

いつも参考にさせていただいています。2007年12月に左乳癌と診断され全摘出手術を予定していましたが、術前の検査で左腋リンパ節、左大たい骨の転移が見つかった為、手術はキャンセルとなり、3ヵ月ごとのリュープリンの注射とノルバデックスの治療を今日まで続けています。33歳女性です。心配があって相談にのっていただきたくメールしました。先日、右足首内側のくるぶし前方に、くるぶしよりも大きなしこりがあることに気がつきました。足首のリンパ節に転移したことによって、しこりになっているのでしょうか? それと前回のCTの検査で肝臓に多数ののう胞があることが分かりました。この年齢で肝臓にのう胞があるのは、よくあることなのでしょうか? ホルモン剤の影響によるものなのでしょうか? 肝臓への転移が心配です。よろしくお願いします。

足首にリンパ節はないので、足首のリンパ節転移はあり得ません。また足首の骨への転移という話は聞いたことがありません。足首のしこりが転移である可能性は極めて低いと思います。次回診察時にしっかり診察してもらってください。肝臓の嚢胞は検査をすれば年齢を問わずよく見つかるもので、珍しくありません。また診断も転移とは明らかに違うので、間違えることは少ないと思います。ですから、肝臓の転移の心配はないと思います。(文責 清水)

 

No.9018】  09年07月12日   S
腋窩リンパ節転移について

腋窩リンパ節転移についてです。転移は1個で、大きさ0.14ミリ。私は小さい方がいいのかなぁと思うのですが、大きさは予後に関係しますか? 以前、どなたかの相談で、微小転移は転移していないのと同じくくらいの結果報告がされていると見ました。ちなみに、「浸潤性乳管ガン、浸潤部4ミリ、ホルモン−、ハー2+3、顔つき3、リンパ節1/17」でした。

最近は2mmより小さい転移は微小転移と呼んで、転移がない状況と同じかもしれないという考え方がありますが、明確なEvidenceはありません。確かに浸潤部4mm、リンパ節転移0.14mmであれば、限りなく非浸潤癌に近い浸潤癌で、再発のリスクは低そうに思います。しかし、最近の考え方ではリンパ節転移の有無や、浸潤部の大きさより、ER,PR,Her2といったがん細胞の特徴を重視する傾向があります。貴女の場合もわずか4mmの浸潤癌なのに既にリンパ節に転移していると考えると、Her2陽性、ER陰性というHer2タイプのたちの悪い癌がたまたま早く見つかったとも考えられます。となるとガイドラインに従って化学療法+ハーセプチン1年という治療選択肢も十分考慮すべきだと思います。同じ大きさの癌でも逆にER陽性、Her2陰性であれば、リンパ節転移があってもホルモン療法だけという選択になると思います。(文責 清水)

 

No.9017-1】  09年07月12日   V 
タモキシフェンとアリミデックスについて

43歳、アメリカ在住です。4年前に温存手術を受け、化学療法(AC)、放射線治療後タモキシフェンを3年5ヶ月服用しています。腫瘍サイズは1.4cm、グレードIで、ER、PRは+、HER2は−です。3回目のAC投与から生理は来ていません。タモキシフェンを飲み始めて半年後と、つい先日に不正出血がありましたが、細胞診等の検査で、ガンの心配はないが出血の原因はわからないということでした。先日の血液検査では、FSHの数値が34mIU/mL、そしてLHが20pg/ml(3年前の不正出血の際の検査ではFSH28、LH26mIU/mL)でした。今回のFSHとLHの数値を見る前に、オンコロジーDRから、タモキシフェンからアリミデックスへの変更してみようかと言われました。
前置きが長くなりましたが、質問させてください。
1)実際3年と7ヶ月生理はきていないのですが、この数値のみで閉経と判断できるものでしょうか?
2)アメリカではFSH値が17以上だと閉経と考えられるようですが、ネットでみると日本では34.8以上という数字を見つけました。とすると、FSH34というのは微妙な数値だと思うのですが?
3)アリミデックスは閉経後の患者のみ有効なのでしょうか?
4)「アリミデックスへ変更する、このままタモキシフェンの服用を続ける、あと1年7ヶ月(5年間)はタモキシフェンを服用しその後アリミデックスに切り替える」の、3つの選択では、どの方法が一番だとお考えでしょうか?

母を乳がんで亡くしており、遺伝子検査でも高い確率で持っている事がわかり、1%でも2%でも再発の可能性が減らせるのならば、どんな治療も受けたいと思っております。お返事お待ちしております。

1)2) “この数値”というのはFSHのことでしょうか。たしかにFSHの値からは微妙と思います。
3) はい、その通りです。
4) リンパ節転移の有無がわかりませんが、2cm以下、グレード1、ER(+)、Her2(-)ですから再発リスクは低いと考えます。私なら、今の年齢、ACによる薬物閉経状態、E2,FSHの値を考慮すると、5年タモキシフェン内服、その後アロマターゼ阻害剤(アリミデックスなど)をextendして内服する治療をお薦めします。(文責 清水)

 

No.9017-2】  11年06月09日   V 
タモキシフェンを止めて3ヶ月で出血がありました

以前、No.9017で相談させていただきました。ありがとうございました。
45歳、アメリカ在住です。約6年前に温存手術を受け、化学療法(AC)、放射線治療後タモキシフェンを5年間服用し、今は無治療です。腫瘍サイズは 1.4cm、グレードIで、リンパ転移なし、ER、PRは+、HER2は−です。3回目のAC投与から生理は来ておらず、タモキシフェン服用中、飲み始めて半年後と、3年後に不正出血がありましたが、細胞診検査で体ガンではないとの結果でした。タモキシフェンを飲まなくなってから3ヶ月少し経ちましたが、数日前出血があり、量は少なく3日ほどで止まりました。

1)  やはり早急に体ガン検査をするべきでしょうか?
2) それとも例えば来月にまた出血があれば生理だと考えられるでしょうか?
3) 化学療法やタモキシフェン服用で止まっていた生理が戻ってきた場合も、以前のように毎月あるものなのか、それとも閉経近くのように不規則なものなのでしょうか?

前回の体ガン検査は2年前に、約半年前にはPET検査を受けております。回答お待ちしております。

ご相談どうもありがとうございます。出血があると心配になってしまいますよね。抗がん剤により、月経(生理)が止まるのは一般的ですが、終了後再開される方もたくさんいらっしゃいます。またタモキシフェンそれ自体には月経を止める働きはありませんが、それでも月経が止まってしまう場合もございます。この場合、再度タモキシフェンを中止にすれば、生理が回復する可能性があるのです。今回は、そのような事が起こったのではないでしょうか。子宮がん検診は早めにおこなってくださいね。念のため婦人科の先生にもお尋ねくださいね。応援しています。(文責  高橋)

 

No.9016】  09年07月12日   k 
パジェット病の治療について

母の事で相談致します。2月頃から乳首がただれ、黒くかさぶたのようなものが出来てしまいました。かゆみや痛みなどはありません。なかなか治らないので心配になり、ガンではないかと思い、乳腺科にマンモとエコーの検査を受けました。その検査では異常はなかったので、皮膚科にまわされ治療を受けましたが改善されず、最近になって、別の大きな病院でMRI検査を受けたところ、ガンとの診断を受けました。ガン細胞は乳房にはなく、乳首の周辺に発見されたのですが、手術が必要と言われ、手術は、乳房全摘出と医師より告げられました。最初の病院の皮膚科の医師から、「もし、ガンだとしても乳首の周りから2pくらいを切除する」と言われていたし、乳房にはガン細胞がなかったので、本人も乳房の全切除と言われ、相当戸惑っています。
近年では、乳房を温存する手術も多いと聞いているので、出来れば、乳房を温存出来ないものかと思っているのですが、医師には聞きにくい雰囲気があり、本人は医師の気分を損ねてしまってはと言いだせずにいます。素人考えで、あれこれ意見するのも失礼な気がして我慢しているようなのですが、あまり進行していないガンならば、全切除しなくてもという気持ちが消えないようです。他の病院とも考えましたが、紹介状がないと診察頂けないとの事・・・。また、もし全切除となった場合、リンパ節などを切除するのでしょうか? もし、切除した場合、腕に後遺症なども残らないのでしょうか? 相談出来る方もなく、とうしたら良いか悩んでいます。パジェット病の場合、全切除が必要なのか、部分切除は可能なのか? また全切除となった場合の後遺症などについて、ご意見を伺いたく、宜しくお願いします。

Paget病とは乳頭の表面にできる特殊な癌で、乳頭の表面をゆっくり広がると同時に乳管の中にもゆっくり広がります。通常は浸潤しない、おとなしい癌です。日本では乳管の中の広がりを正確に診断できないということで単純乳房切除術(乳房は全摘するが腋窩リンパ節は郭清しない)が標準術式とされていますが、欧米では乳房温存手術+放射線治療が主流のようです。乳房温存のメリットは乳房が残ることですが、デメリットは温存乳房にもう一度癌ができるリスクが少しですが残ります。二度目にできた癌が浸潤癌であれば、今度は再発の危険性が生じます。言い換えれば乳房全摘をすれば乳房を失う代わりに根治性が高まります。乳房全摘しても腋窩郭清はしませんから、後遺症は乳房がないということだけで、上肢の機能には問題ありません。また乳房切除+再建という選択肢もあると思います。今、どうしたら良いかだけでなく、将来のことも考えて、より良い治療を選択してください。(文責  清水)

 

No.9015】  09年07月10日   I 
術後の治療について

6月初旬に、乳癌温存手術をした65歳です。癌の種類は粘液癌でした。「脈管侵襲なし、リンパ節転移なし、断端陰性、ER陽性、PgR陽性、FISH陰性、癌の悪性度1、最大サイズ2.3(初診では1.5)、広がり脂肪、リンパ管侵襲なし」との病理結果です。
術後の治療ですが、8月から放射線治療を5週間と、ホルモン阻止剤アリミデックスを5年飲む事になりました。「放射線治療はどうしますか?」と担当医から聞かれたときに、当然と思いお願いしましたが、粘液癌で他に転移がなければ、放射線治療はリスクを考えてやめようと思うのですが、やはりするほうが良いのでしょうか? ホルモン阻止剤アリミデックスは、もともと骨密度は少ない自分には心配です。どちらも私には必要なのでしょうか? 他の方の考えもお伺いしたく、質問させていただきました。よろしくおねがいいたします。            

放射線治療は原則として行なうべきです。現時点で、何かの理由で放射線治療を省略できるというエビデンスはありません(現在研究中ですが)。放射線治療をしなければ乳房内再発のリスクが6倍になります。そのリスクを飲み込めれば照射しないという選択肢もあるかもしれません。貴女のデータをAdjuvant Onlineに入力してみると、10年後の生存の確率は76%、他病死16%、乳がんの再発による死亡の確率が8%、アリミデックスを5年間服用した場合の乳がんによる死亡率は2%減って6%になります。確かに2%のリスクの減少がありますが、他病死が16%ということは他の病気、事故による死亡のリスクの方が乳がんによる死亡のリスクより遥かに高いことになります。アリミデックスは必要でしょうか?(文責:清水)

 

No.9014】  09年07月10日   T
代替療法について

地方にいるため情報も少なく、いつも大変参考にさせていただいております。直接治療にかかわることではありませんが、代替療法について質問させていただきます。現在39歳、ステージTで、術後化学療法を施行中です。AC→Tで1コース終了したところです。化学的根拠のある治療が第一であることはいうまでもありませんが、藁にもすがる思いで、少しでもプラスになればと、アガリスクやフコイダンを服用しようか迷っています。あくまでも健康食品で、エビデンスがないのは承知していますが、アガリスク・フコダインを服用した場合、抗がん剤の効きが悪くなるとか、現在の治療を阻害することはあるのでしょうか? 主治医からは「好きにしてください」といわれていますが、不安もあり、質問させていただきます。

おっしゃる通りエビデンスがないので、抗がん剤治療に悪影響があるかどうかもわかりません。しかし、一般論からして、食品ですから悪いことはないだろうと考えて、主治医の先生も好きにしてくださいとおっしゃっているのだろうと思います。(文責:清水)

 

No.9013】  09年07月10日   I 
「6-7割方がん」と言われました

乳がんについてご相談させていただきたくメールさせていただきました。お忙しい中申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。
私ですが、32歳独身の女性です。7月1日起床時に左胸乳頭より出血があり、Tシャツに親指大の黒っぽいしみがありました。また、しこりらしきものが乳頭より2cm上の方に触ったため、本日7月7日に検査を受けて参りました。検査自体は触診、エコー、生検であり、マンモの方は取扱者不在などからせず、結果発表の18日に行い、最終的な結論を出すとのことでした。ちなみにエコーでは幅2cmほどの腫瘍(長さが最大で2cmほど、幅は忘れてしまいました)がみつかり、形が不均一ということで、かなり乳がんの可能性が大きいようで、「6-7割方がん」と言われました。
1) もしがんであった場合、その後手術までの検査などの流れを教えていただけないでしょうか?
2) 検査の結果発表が18日、しかも6-7割方がんということで、その間何もしないこと、それから手術までの日数を考えると、ひと月以上放置することになるので不安に感じます。がんであった場合、ひと月で、どこまで大きくなるでしょうか?
3) がんにも種類がありそうなので一概に言えないとは思いますが、もし転移がない場合、これは乳がんのステージでいうと、どこにあたるのでしょうか?
4) 予定はまだありませんが、がんであろうとなかろうと、第一の希望は結婚と出産です。可能でしょうか?
5) 生検結果は14日にもわかるそうですが、マンモを受けない限り、そこでの結果がどうであれ、まだ判断できないと言われました。担当医ではないので想像の域を出ないとは思いますが、なぜなのかお答えできる範囲でお願いできないでしょうか?
6) 生検結果は通常どのくらいで出てくるのでしょうか?

質問事項が多くて誠に申し訳ありません。さすがに不安がつのり、メールさせていただきました。なにとぞよろしくお願いいたします。

1) 生検で癌が確認されれば、次はMRI(MMGがまだならMMGも)で広がりの診断をして、時間があればCT、RIで肺、肝、骨の転移の有無を調べます。
2) 通常の乳がんであれば、ひと月では大きさはほとんど変わりません。
3) 大きさが2cm以下で脇の下のリンパ節が触れなければ第一期です。
4) 可能です。しかし、乳がんの多くの治療が妊娠出産に悪影響を与えます。ですから、そのことは早めに主治医の先生にお話しして、その前提条件で治療計画を立ててもらう必要があります。
5) 生検結果は組織検査ですから最終検査です。それに比べ、エコーもマンモグラフィーも画像検査といって、影絵の診断です。その精度は100%ではありません。ですから不確かな話しをするより、生検が済んでいるのなら、その結果を待つのが一番だと思います。その間、貴女は癌という結論が出ることを想定して、乳がんに関する勉強、治療法の勉強をして、主治医の先生に聞かなければいけないことを整理しておく必要があります。
6) 病院による差がありますが通常は1−2週間です。(文責:清水)

 

No.9012】  09年07月10日   M 
ki67 について

33才、ステージ2b、ホルモン陽性、Her2 1+、現在術前化学療法中です。セカンドオピニオン先で、ki67を調べることを薦められたのですが、
1) ki67とは増殖スピードを調べるマーカーのようですが、具体的に何がわかるのでしょうか?
2) どのように調べるのですか? 核グレードのように、術前化学療法をしていると正確に測れないという問題はありますか?

以上です。よろしくお願いします。

KI67というのは、ERやHer2(免疫染色法)と同じように、がんの組織標本を特殊染色するもので、細胞周期(一つの細胞が二つに割れる過程 M->G1->S->G2->Mと回る)の細胞分裂をしている細胞(主にG1)が染色されます。通常プレパラート上の100ないし1000個の細胞を数えて、染色された細胞の数を100分率で表します。KI67が染まった細胞が多いということは、分裂している細胞が多い=増殖スピードが早いと解釈されます。今年のSt,GallenのConferenceで取り上げられてspot lightが当たりました。測定の精度等、まだ問題の多い検査法ではありますが、ER, PR, Her2に次ぐ、癌の個性を調べる指標の一つとして期待されています。しかし、保険で認められている検査ではないので、どこの病院でもできるという検査ではなく、できたとしても研究として測定することになります。術前化学療法の場合は、ER、PR、Her2等と同じで、術前の針生検か生検の標本があれば測定可能です。(文責:清水)

 

No.9011】  09年07月10日   H 
ハーセプチン治療

昨年6月にエコーで2.5cmしこりを発見、生検、浸潤癌 3.5cm広がり、7月からFEC回を4回後、6mmに縮小しました。温存可能とのことでしたが、私の希望で全摘手術をしました。センチネル検査でのわきの下リンパ節に転移なし0個でしたが、見えない癌があるかも知れないので半分切除しました。採取したリンパから、がん細胞なしとのことでした。(−)(−)(?)で、6月の生検で摂取した細胞からでは、HER2+−不明<二回>。 結局、手術後の細胞HER2検査結果(+)実費。主治医は、「あなたはFECが効くタイプなので追加でFECを2回やりましょう」との事で、追加2回、タキソール12回。現在ハーセプチン(3週間に1度18回)3回目終了。一回目のハーセプチン投与日のDrは担当医では無かったのですが、「HER2(+)は、がん細胞が身体の中にあるからハーセプチン治療をする」と言われ、担当医からは、「まず転移が無かった事、FECがとても良く効いている。タイプが(+)でも再発を防ぐ薬」と、説明を受けました。癌細胞があり、いつ増殖し、再発・転移するのかと思うと不安で、安定剤、眠剤を服用していますが 眠れぬ夜が続いています。どちらを信じていいのか? インターネットで調べると、HER2+は、たちの悪い癌と書いてあって心配です。これについて、よいアドバイスがありましたらお願い致します。

“がん細胞が身体の中にあるからハーセプチン治療をする”と、“再発を防ぐ薬”は同じ意味です。貴女の体の中にがん細胞が残っているかどうかは神様しか知りません。貴女がそれを知るのは再発した時に手術後にがん細胞が残っていたのかと知るか、再発せずに10年20年すぎた後で、手術後にがん細胞が残っていなかったのだと知るかのどちらかです。現在わかることは、貴女と同じ大きさで同じリンパ節の状況の方の過去のデータです。そのデータにもとづいて貴女の再発のリスクを考えてもらいます。貴女の場合、浸潤径2cm未満でリンパ節転移がなかったのですから、古い考えかたであれば再発のリスクは低く、抗がん剤治療無しになるかもしれません。しかし、最近の考え方では、リンパ節転移がなくともHer2陽性であれば、抗がん剤とハーセプチンの投与が推奨されています。言い換えると、貴女の場合、再発のリスクはあまり高くないのですが、抗がん剤 + ハーセプチンの治療で更に再発のリスクを減少させることができるということです。これから約一年間がんばってハーセプチン治療を行なって下さい。(文責:清水)
 

No.9010】  09年07月10日   M
ノルバテックス

52歳。2月に温存、放射線を終え、ノルバテックスを始めましたが、軽いうつ状態になり、視力の低下と曇っていても眩しくて、涙が出るときがあったので、主治医に相談して一ヶ月前からいったん薬をやめています。硬癌、1.1cm、ステージ1、リンパ転移なしで、ホルモンに反応するものだったそうです。先生はノルバをやめてもいいとおっしゃっていますが、万一を思うと続けるべきかと、迷っています。ご助言お願いします。

グレード、Her2がわからないのですが、グレードが3でなく、Her2が陰性なら私も無治療で良いと思います。(文責:清水)

 

No.9009】  09年07月10日   ななみ
「アポクリンがん」とは?

先日、母親が乳がんと診断され、説明を家族で受けに行きました。その際、ガンの種類が、「アポクリンがん」という種類だと聞きました。特殊な種類であるとは説明を聞きましたが、もっと詳しく知りたいと思いました。「アポクリンがん」とは、どういう種類のモノなのでしょうか? よろしくお願いします。

アポクリン癌は、乳がんの特殊型に分類される癌の一つです。顕微鏡的には特徴があるのですが、臨床的には通常の浸潤性乳管がんと変わらないと言われています。細かいことをいうと、人間の汗の腺にはアポクリン腺とエックリン腺があって……という難しい話しになるので辞めますが、基本的に普通の乳がんと同じと考えて良いと思います。(文責:清水)

 

No.9008】  09年07月10日   MY
再発後の治療の選択

私は現在53歳です。平成17年9月9日に左右の温存施術を受けました。左は石灰化の非浸潤でした。右はしこり1.4p、ハーツ(−)、PR(+)、ER(−)、リンバ節転移なし、硬ガンでした。術後は、放射線を25回受け、ゾラデックスを2年と、ノルバデックス20rの治療を受けていました。H20年11月28日、右胸にしこりが出来き、腫瘍摘出手術にてガンの局所内再発がわかり、H21年1月7日に、全摘出とリンパの一部かくせい手術を受けました。 リンパ節および他への転移はありませんでした。術後すぐ、1月22日〜4月15日 抗がん剤治療(TC療法)を4クール受け、4月16日からアリミデックス1rを服用しています。先日6月25日の骨シンチ検査で、右5、6肋骨に異常が出ました。骨転移だったら、抗がん剤とアリミデックスのどちらも効果が無かったということになるのでしょうか? ホルモン療法は延命が期待できると聞いており、黄体ホルモンの効果は低そうなので、なんとかアリミデックスを続けたいのですが、他への転移など進行させてしまう危険が大きすぎるでしょうか。 どうしたらよいでしょうか。

最初に行なうことは、骨シンチの異常が骨転移によるものかどうかを確認することです。MRI, PET/CTなどで検査をすることをお薦めします。それまではアリミデックスを続けて内服してください。それから考えても手遅れにはなりません。(文責:清水)

 

No.9007】  09年07月10日   H.T. 
術後ホルモン療法について

現在40歳、出産経験はありません。3月下旬に左乳房の温存手術を受けました。その後、追加切除を経て病理の結果以下の通りです。

・浸潤性乳管癌(硬癌)
・14x14x10mm(浸潤部)/32x25mm(DCIS成分も含めた広がり)
・核異型度スコア2、分裂像スコア(1-2/10HPF程度)で核グレード1、ly0、v0、
・免疫組織学的にHER2:1+、ER+(80%、moderate),PgR+(90%、moderate)
・センチネルリンパ節生検:0/8

以前に質問させて頂いた時、右乳房のシコリもの悪性の疑いがあったのですが、その後の摘出生検で良性病変だったことが分かりました。術後治療の放射線25回+追加照射5回が先週終わりました。その後は、主治医からはタスオミンの服用を5年(?)と言われています(すでに飲み始めて1ヶ月経ちました)。ホルモンが陽性の場合は、飲み薬と注射を併用すると思っていたのですが、主治医の説明では、「飲み薬と注射を併用した場合にどれだけ効果が上がるかが分かっていないので、もし希望するならば注射もします」との説明でした。(飲み薬は飲まずに、注射だけをするという選択肢もあります、とのことでした。) 私は積極的治療をするほどではないのですが、子宮内膜症とチョコレートのう胞があります。つまり、ホルモンの影響をとても受けている体質だと思うのです。

1) 病理の結果から、グレード(癌の顔付き)はいくつになりますか?
2) リスクはどのようになりますか?(中リスク、低リスクなど)
3) 私のリスクですと、タスオミンとリュープリンを併用した場合、タスオミンだけの場合より再発率は少しでも下がるとお考えになりますか? その場合、どれほどの違いがあると思われますか?
4) このような病理結果の患者に対して、先生でしたらどのような術後治療をおすすめになられますか?
5) 逆に、どういった場合に注射と飲み薬を併用するのでしょうか?

注射を受けることで新たな癌の発生や再発転移を少しでも抑えることが出来るのなら、受けようと思うのですが、主治医の先生が特にすすめる分けでもなく、明確なエビデンスもないのに、本当に注射まで必要なのだろうか?と、なかなか決断出来ずにいます。以上ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

1) グレード1と書いてあるので、1だと思います。
2) 2007年のSt,Gallenのリスク分類では、35才以上、リンパ節転移なし、グレード1、ER陽性、著名なリンパ管侵襲がない、Her2(-)ですから、低リスクです。
3) ほとんど変わりないと思います。
4) 無治療かタモキシフェン(タスオミン、ノルバデックス等)です。
5) リンパ節転移がある場合で化学療法を拒否された場合、化学療法を行なっても閉経しなかった場合等です。(文責:清水)

 

No.9006】  09年06月29日   Y.K.
ホルモン剤について

以前にお世話になった50歳主婦です。2006年12月、12ミリの浸潤癌を手術しました。低再発リスクで、ノルバとリュープリンで治療を始めましたが、ホットフラッシュ等の副作用が酷く、7キロ痩せて中断しました。その後、主治医の判断で、フルツロンとエンドキサンを半年服用し、閉経しました。先日、2年半検診に行ったところ、主治医から、「閉経しているんだったら、アリミデックスかフェマーラを5年服用した方が良い」と言われましたが、今でもホットフラッシュで不眠が続いているのに、また女性ホルモンを抑える薬を飲む事に不安を感じています。やはりホルモン剤を飲んだ方が良いのでしょうか? こんなに期間があいてからのホルモン剤でも再発予防効果はあるのでしょうか? 宜しくお願い致します。

いずれにしても再発予防はエビデンスがあるのは最初に行ったもので、その後はエビデンスはなく主治医の裁量で行うものですので、フルツロン+エンドキサンで閉経させて、アリミデックスなども良いとは思いますが、副作用を心配するのではなく、まず短期間飲んでみて、副作用を見てみればいかがでしょうか? それと、本当に閉経状態であるか、血中エストロゲンやFSHなどを調べ、閉経を確認してから開始することが重要だと思います。(文責 石山)

 

No.9005】  09年06月29日   B
肝転移の治療方針(2)(HPNo.8993-2)

No.8993で相談いたしましたB です。お忙しいところ非常に丁寧なご回答を頂き、誠にありがとうございます。転移ガンについて、病勢がコントロールできていれば(=進行していなければ)、化学療法は休止したほうがよい、と理解しましたが、素人としては、化学療法が効いているから病勢が抑えられている、と考えてしまいます。進行がどの程度の期間抑えられていれば化学療法を休止する、という目安がありましたら、ご教示頂きたく、お願い致します。

使える抗がん剤の種類にもよりますが、副作用の強いものでは半年くらいしか投与できないものもあり、2年くらいは投与可能なものもあります。ホルモン剤のように、副作用がなければ一生飲める可能性があるものとは異なります。評価をするのに2,3ヶ月間隔で行うことが多いので、半年進行がなければ休薬する場合があると思います。(文責 石山)

 

No.9004】  09年06月27日   S
非浸潤ガン

私は44歳で、5歳になる双子の子供がいます。2週間後に左胸の全摘出手術を予定しています。昨年11月に人間ドックのマンモグラフィーで石灰化が見つかり、半年経過観察後再検査したところ、石灰化が他の場所でも見つかりました。針生検で組織を調べたところ、陰性と疑陰性の非浸潤ガンといわれました。その後CT,MRI,骨シンチと検査したところ、石灰化の範囲が広いこともあり、全摘出をすることになりました。今通院している総合病院は自宅から近いため、子供が小さいので今後の治療を考えても適しているのですが、相談させていただきたくメールしています。

1) まだ疑わしい段階では、陰性でも非浸潤ガンのところの乳管を取れば97,8%完治するという話でしたが、結果は全摘出となってしまったことと、リンパへの転移の不安です。手術中センチネルリンパ生検を行うため、常に不安が消えません。
2) 乳がんはゆっくり進むガンだと言われますが、半年の間に石灰化が広がっているということは、進行が早いものではないかと不安です。
3) 病院からいただいた乳がんについて書かれている冊子に、「あるものは比較的早い段階で全身へ広がっている可能性のある全身病である」と書かれていました。 『早期の発見だったからまだ良かったんだ』と、そうやって一生懸命気持ちを保っていたのですが、これを読んだときは、早期でも全摘出なうえに再発や転移の不安で押しつぶされそうです。
  
本などを読んでも、どんな場合でも100%の完治はわからないとありますので、担当の先生も楽観的なことが言えないくて仕方ないことだと思うのですが、説明がとても慎重になってきているため不安です。非浸潤ガンでも、リンパや他への転移などはあるのでしょうか? 非浸潤ガンといわれていても、浸潤ガンになっている可能性は高いのでしょうか? それから手術ですが、執刀医がまだわからないのですが(前日の18時に説明があります) 、私としては外来の時と同じ先生にお願いしたかったのですが、総合病院ではよくあることなのでしょうか?

宜しくお願いします。

「陰性と疑陰性の非浸潤ガン」の意味が分かりませんが?何が「陰性と疑陰性」なのか、「非浸潤ガン」の診断自体は間違いないのか、まずその点を確認しないといけないと思います。石灰化で見つかる場合は範囲が広ければ乳房切除になることもあり仕方がないのですが、術後に再建などの方法もあります。当院でもそうですが、上手な形成外科医にやってもらうと、中途半端な温存よりきれいに作ってくれます。非浸潤か浸潤巣があるかは、手術標本をすべて検査しないと分かりません。非浸潤であれば再発はほとんどないと思います。執刀医については病院ごとの事情があるので、われわれには判断がつかないので、少なくとも希望を言えば通るのではないでしょうか。(文責 石山)

 

No.9003】  09年06月27日   K.Y. 
子宮内膜の厚さについて

ご相談させていただきます。非浸潤の粘液癌です。32歳で手術をして、ノルバデックスを飲み始めて3年4ヶ月ほど経ちます。現在35歳です。子宮内膜の厚さについてお伺いいたします。先日婦人科で、内膜が1cmと言われました(生理後に測りました)。外科の主治医は、「1cmは厚いほうなので、ホルモン療法をどうするか考えるように。」と、言われました。体がんの検査では異常はなかったのですが、ホルモン療法を中止したほうがよろしいでしょうか。それとも半年に一回ほど体がん検査をして内膜の厚さをチェックしながら、ノルバデックスを続けたほうがよろしいでしょうか。生理は毎月ありますが、もしかして毎回全部剥がれ落ちていないのではと、婦人科の先生はおっしゃっていました。

非浸潤性乳管癌であれば、再発予防のために無理に飲む必要はないように思いますが、対側乳癌のリスクを減らすメリットはあります。対側乳癌の検査(マンモグラフィーなど)を定期的に受けるのであれば止めても良いと思いますが、内膜の厚さだけで決めていいものか規定はないと思います。組織診断で異型性があるとかの所見があれば、すぐに止めることにはなります。(文責 石山)

 

No.9002】  09年06月26日   TT
造影剤の体への影響について

私の妻(58)が乳がんの疑いで、6月30日と7月2日に、それぞれMRIとCTで造影剤を使うそうです。間が1日しかありませんが、立て続けに使っても身体に影響はないでしょうか。ちなみに造影剤のアレルギーはないようです。ご多忙中のところ大変恐縮ですが、お返事頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。

造影剤の種類が違うので問題ないと思います。(文責 石山)

 

No.9001】  09年06月26日   V
右胸にしこりを見つけました

16歳の女子高生です。私は1ヶ月前くらいから右胸にしこりを見つけました。白濁色、または黄色い透明な汁が出てきたので、乳腺炎かなとも思ったのですが、親に言い出すことができず、自分で汁を絞り取ってしまいました。現在ではしこりも小さくなり、痛みもあまりないのですが、乳首の下と奥に直径1センチくらいのしこりが2つあります。これは乳がんなのでしょうか?押しても痛みはありません。また、汁を絞りだしたことによる何らかの炎症なのでしょうか。どうか教えて頂けますでしょうか。

16歳で乳癌はないと思いますが、乳腺炎や乳頭分泌、乳頭部湿疹など色々な可能性があるので、一度乳腺外科医にかかられたほうが良いと思います。(文責 石山)

 

 

↑ ページ先頭へ戻る