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相談室(No.6101〜6200)

このページは乳がんに関する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。

ご相談メールの投稿はこちらからお願いします。

なお治療法は、患者さんと主治医がご相談されて決定されるものであり、この相談室でお答えできるのは、一般的な参考意見であることをご了解下さい。

当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

目 次

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担 当

6200 07/01/07 N.A. HER2について(HPNo.5882-2) 鈴木
6199 07/01/07 M  術後補助療法について(HPNo.6040-2) 鈴木
6198 06/12/30 R子 乳癌再発の可能性(HPNo.6148-2) 須田
6197 06/12/30 H  センチネルリンパ生検後の副作用 須田
6196 06/12/28 K アロマターゼ阻害剤の服用について(HPNo.6101-3) 金丸
6195 06/12/28 k m 肺転移後の治療選択について(2)(HPNo.6098-4) 金丸
6194 06/12/27 避妊について 須田
6193 06/12/27 C  抗癌剤の副作用 須田
6192 06/12/27 M  石灰化について 須田
6191 06/12/27 A  術後治療法での抗癌剤について 須田
6190 06/12/27 Y 骨シンチ右肋骨異常 須田
6189 06/12/27 P   19才です 須田
6188 06/12/27 J.K.   病理結果は切除断端陽性でした(HPNo.5974) 須田
6187 06/12/27 N 乳がんの可能性 須田
6186-1
6186-2

6186-3
06/12/27
07/07/05
07/11/24
K.H.  術後の治療法と妊娠について
経口避妊薬使用について
副作用の骨粗鬆症について
須田
片山
6185-1
6185-2

6185-3
6185-4
6185-5
6185-6
06/12/27
07/05/13
07/09/12
07/09/30
08/01/06
08/02/25
T.O. 予後の生存率と術後治療について
ホルモン剤について又教えてください
術後ホルモン療法について
ホルモン療法について
術後検診について
ホルモン剤について
須田
俵矢
浜口
吉田
浜口
加藤
6184 06/12/27 SS 抗がん剤治療の骨髄抑制について(HPNo.5897-2) 須田
6183-1
6183-2
06/12/25
07/01/25
M.M 術後の浸出液について
術後部位の腫れ
須田
千島
6182-1
6182-2
06/12/25
07/02/18
M.S. 確定診断について
術後の痛みと治療について
須田
川本
6181 06/12/25 M 腫瘍マーカーNSEの上昇について 須田
6180 06/12/25 M.O ノルバデックス服用における子宮癌発生のリスクについて 須田
6179 06/12/24 K アロマターゼ阻害剤の服用について(2)(HPNo.6101-2) 須田
6178 06/12/24 N   両脇の下に脹らみと痛み 須田
6177 06/12/24 R.T. 乳癌でしょうか? 須田
6176 06/12/24 A.H.  陽子線治療 須田
6175 06/12/24 Y  腕のしびれについて 須田
6174 06/12/24 K.H 肝臓のしこりについて 須田
6173 06/12/24 A.S.  検査について 須田
6172 06/12/24 M.N.  乳がん術後の腋下の痛み、つっぱりについて 須田
6171 06/12/24 Y.T. 内視鏡手術は可能でしょうか? 須田
6170 06/12/24 OK  局所的非対照性陰影 須田
6169 06/12/24 T・k 乳癌の手術について 須田
6168 06/12/22 Y.K.  センチネルリンパに1個転移あり
6167 06/12/22 K・K 5 年検診後のアリミデックス投与について
6166 06/12/22 S  石灰化と結節影について
6165 06/12/22 K.A.  乳癌治療について
6164 06/12/22 K・Y リンパ転移の数について
6163 06/12/19 N  潰瘍
6162-1
6162-2

6162-3
6162-4
6162-5
06/12/19
07/01/25
07/01/27
07/01/30
07/03/15
B   術後の治療について
術後の治療について(2)
術後の生活について(3)
再発率について
ホルモン療法の副作用について

千島
徳田
徳田
石山
6161 06/12/19 J.K 抗がん剤はもうしなくていいですよと言われましたが・・・(2) (HPNo.5974-3)
6160 06/12/19 乳がんの検査・疑いについて
6159 06/12/19 M.O.  大腸ポリープとの関連
6158 06/12/19 A   今後の治療法について教えて下さい
6157 06/12/19 M.S.   マンモグラフィーによる影響
6156 06/12/19 T.M.   乳房のしこり
6155 06/12/19 Y  腰痛について
6154 06/12/19 K  しこりの検査内容
6153 06/12/19 R.T. 乳首の周りのかゆみ・かぶれについて
6152 06/12/17 S   腫瘍マーカー
6151 06/12/17 T  乳癌でしょうか?
6150 06/12/17 M  ホルモン療法と余後
6149 06/12/17 M.M.  乳癌化学療法について
6148-1
6148-2
06/12/17
06/12/30
R子  乳癌再発の可能性
乳癌再発の可能性(2)

須田
6147 06/12/17 k m 肺転移後の治療選択について(HPNo.6098-3)
6146 06/12/17 N.A. 線維腺腫の悪性化
6145 06/12/17 O  ホルモン治療について教えてください(HPNo.5945-3)
6144 06/12/14 N.I.  再発について
6143 06/12/14 A 左乳房温存手術後の治療について(HPNo.6118-2)
6142 06/12/14 KY  術前の不安(HPNo.6102-2)
6141 06/12/12 術後補助療法について
6140-1
6140-2
06/12/12
07/03/11
T  肝障害
腫瘍マ−カ−について

石川
6139 06/12/12 悪性葉状腫瘍について(3)(HPNo.5500-3)
6138 06/12/12 Y・H 腫瘤があるのに… 清水
6137-1
6137-2
06/12/12
07/05/09
K.K.  確定診断について
三ヵ月後に現れたしこりについて
清水
6136 06/12/12 K  右胸のしこり 清水
6135 06/12/12 Y  生体組織検査(HPNo.6078-2) 清水
6134-1
6134-2

6134-3
06/12/12
06/12/19
06/12/24
Y.A.  再発と予後について
再発後のホルモン療法について
日本での受診について
清水

須田
6133 06/12/12 M.M.   乳癌なのでしょうか? 清水
6132 06/12/12 T. 再発について(2)(HPNo.6090-2) 清水
6131-1
6131-2
06/12/12
06/12/17
T  切除以外の治療方法はありますか?
FUS(MRガイド下集束超音波手術)
清水
6130 06/12/12 わきの下の腫れについて  清水
6129 06/12/12 非浸潤癌の治療について 清水
6128 06/12/12 U 細胞診について 清水
6127 06/12/12 心臓エコーについて(HP No5280-4) 清水
6126 06/12/12 Y   骨シンチ画像について 清水
6125 06/12/12 K  乳房の張りと痛み 清水
6124-1
6124-2
06/12/11
06/12/22
U   肝転移?
今後の治療について
清水
6123 06/12/11 T.I.  反対側のリンパの腫れについて 清水
6122 06/12/11 H.T.  pCRの再発率について 清水
6121 06/12/11 U 細胞診について 清水
6120 06/12/11 M   組織診断 清水
6119 06/12/11 A.H. 術後の治療について(2)(HPNo.6080-2) 清水
6118-1
6118-2
06/12/11
06/12/14
A   左乳房温存手術後の治療について
左乳房温存手術後の治療について(2)
清水
6117 06/12/11 k m 転移後の生存率について(HPNo.6098-2) 清水
6116 06/12/11 Y.A. 今後について(HPNo.5762-2) 清水
6115 06/12/11 M.Y.  術後検診について 清水
6114 06/12/11 H.M.  術後の検査について 清水
6113 06/12/11 J.K. 抗がん剤はもうしなくていいですよと言われましたが・・・(HPNo.5974-2) 清水
6112 06/12/08 K.K.   肝転移について 清水
6111 06/12/08 M 骨シンチとアルカリフォスファターゼについいて(HPNo.6043-3) 清水
6110 06/12/08 I.M 脇の下のしこりについて 清水
6109 06/12/08 R  人参養栄湯の服用について 清水
6108 06/12/08 U.K 乳頭からの分泌物 清水
6107 06/12/08 N.T.  乳癌の検診について 清水
6106 06/12/07 momo 病理結果による今後の治療について(2)(HPNo.6095-2) 清水
6105 06/12/07 K.K.  治療の順序について 清水
6104 06/12/07 H.M 転移と原発 清水
6103 06/12/07 M.S. タキソールからタキソテールに 清水
6102-1
6102-2
06/12/07
06/12/14
KY  マンモトーム生検後の出血
術前の不安
清水
6101-1
6101-2

6101-3
6101-4
06/12/07
06/12/24
06/12/28
07/07/26
K アロマターゼ阻害剤の服用について
アロマターゼ阻害剤の服用について(2)
アロマターゼ阻害剤の服用について(3)
アロマターゼ阻害剤の服用について(4)
清水
須田
金丸
鈴木

 

 

 

No.6200】  07年01月07日  N.A.
HER2について(HPNo.5882-2)

HPNo.5882でご相談したものですが、今回お伺いしたいのは、主治医からHER2検査の方法として、採血からも分かるということで、保険外で外部に検査に出しました。それに対して納得はしているのですが、検査の確定率はどのくらいのもなのでしょうか? よろしくお願いします。

血中のサンプルからHER2の判定をすることはあっても、まだ明らかなデータが揃っていませんので、それは参考にとどめるべきで、それを根拠にハーセプチンを使用、不使用の判断をするのは止めた方がよいと思います。やはり、前回の解答のように、骨生検、胸膜生検をしてHER2を判定する事を勧めます。それが無理であれば、ナベルビンの単剤の治療ではないでしょうか?(文責 鈴木)

 

No.6199】  07年01月07日  M
術後補助療法について(HPNo.6040-2)

HPNo.6040でお世話になりました。12月中旬に胸筋温存左乳房切除しました。病理の結果、非浸潤がんで、センチネルリンパ節生検は3個中0個、遠隔転移なし、病期0、悪性度1、ハーセプチンテスト0、ホルモン受容体はエストロゲン・プロゲステロン共に陽性でした。今後の治療方針は無治療で、6か月毎の検診を提案されました。主治医はホルモン療法のデメリットとメリットから考えると、この方針でいいのではと考えていらっしゃるようでした。
1) 全摘をした非浸潤がんの場合、術後無治療は標準的なのでしょうか?
2) 転移・再発の心配はどの程度なのでしょうか?
3) ホルモン療法を追加した場合、生存率はどのくらいアップするのでしょうか? 
4) 6か月ごとの検診では間隔が長い気がするのですが、問題ないでしょうか?

以上4点について教えてください。よろしくお願いします。

転移、再発の心配は殆ど皆無といっていいと思います。非浸潤癌のホルモン療法に関しては、温存術後に内服することによって、同側の乳房内再発、対側の乳癌発生を抑えることは明らかですが、非浸潤癌の特徴と掛け合わせて考えてみても、絶対的なメリットは少ないと考えられています。今回、全摘されていらっしゃるので、同側の再発の事は心配されなくても、内服することにより、反対側の新たな乳癌発生のリスクを半数程度に抑えられます。検査に関してですが、ガイドラインでは、超音波、骨シンチ、CTなどを含めて、検査をすることは必要ないと言われています。ただ、心配はつきないでしょうから、実際の外来で検査は行われていますが、年1回で十分ではないでしょうか? 少なくとも必要な検査はマンモグラフィだけで十分です。(文責 鈴木)

 

No.6198】  06年12月30日  R子 
乳癌再発の可能性(HPNo.6148-2)

回答、ありがとうございます。細胞診の結果はクラス0で、血が混じってしまったらしいのですが、先生は「多分、大丈夫ですよ」と言いました。私は心配なので「PET検査もさせたいのですが」と、先生に伝えました。母は検査で悪いところが見つかるのが嫌らしくて「先生が大丈夫って言っているんだから」と言いました。「先生、でも検査は必要ですよね」と先生に話したら、「お母様が嫌ならしなくてもいいでしょう、今回だって、したいと言うからしたんです(1年検診はしますよね)。PET検査をして、ささいな癌細胞を見つけたとしてどうするんですか。お母様を不安にさせるだけでしょう。もっと咳き込むとか症状が出てから考えてもいいでしょう。」と言われました。咳き込むとか、そんな症状が出てからでは遅いと思うのですが、大丈夫なのでしょうか? 3ヵ月後までの薬(ホルモン剤のみ)をもらっていますが、不安です。腫瘍マーカーとかも伺うと、「そんな数値を知ってどうするんですか」とも言われたこともあるんです。乳癌になった後の治療は抗がん剤を使わず、ホルモン剤のみ使用しています。検査はそんなに重要ではないのでしょうか??

科学的根拠に基づく、乳癌学会編「乳癌診療ガイドライン」によると、検診・診断に関しては、術後5年間の問診及び視触診と、術後1年毎の定期的なマンモグラフィー以外は、エビデンスがないことになっています。例えば術後経過観察をする上で、我国では定期的に血液検査や胸部或いは腹部CT検査を行う事が一般的ですが、これらについて有用性を示した研究がなく、専門家の見解では、これらの有用性は明らかでないとされています。治療を続けていく上では、医者と患者の信頼関係が最も大切になります。疑問点、不安に思うことは、遠慮なく相談し、納得のいく治療を選択してください。(文責 須田)

 

No.6197】  06年12月30日  H 
センチネルリンパ生検後の副作用

センチネルリンパ生検後の後遺症についてお尋ねします。宜しくお願いします。2ヶ月以上前に乳癌の手術を受け、癌ではないとのことで安心しておりましたが、腋の手術跡の上に大きめのしこりがあり、しかも左手がずっとしびれ、力が入りにくくなっています。後遺症についての説明は事前になかったのですが、色々気になります。痺れや力が入らないこと、大きめのしこりなど、あり得るのでしょうか? ご多忙中とは存じますが、もし可能なら年内にご教示宜しくお願い申し上げます。

直接診察しないと分かりませんが、「腋の手術跡の上」というのは、皮膚にしこりが存在するという事でしょうか。皮膚であるとすれば、創部のケロイドのようなものでしょうか。また「痺れや力が入らない」との事、頚椎に病変があり、神経を圧迫している事も考えられます。頚椎の病変については、乳癌の骨転移も考えられますし、整形外科的な病気も考えられますが、骨シンチ、CT等での精査が必要な場合もあります。メール内容だけでは詳しい情報が分かりませんが、センチネルリンパ節は腋窩を操作しますので、「手の痺れ、力が入らない」事の原因が手術による影響とは考えにくいと思います。主治医に症状をお話して、ご相談下さい。(文責 須田)

 

No.6196】  06年12月28日  K
アロマターゼ阻害剤の服用について(3)(HPNo.6101-3

HPNo.6101で、ご相談した者です。ありがとうございました。
フェマーラの副作用は、「フェマーラの主な副作用の症状は「ほてり」「頭痛」「関節痛」「悪心(吐き気)」などが報告されています。」とメーカーのHPに記載がありますが、どれくらいの確率で出るものでしょうか? また副作用の程度や費用はいくらくらいでしょうか? 何度も申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

○フェマーラの副作用の発生頻度は承認時までのデータでは以下のようになります。
・「ほてり」5%以上
・「頭痛」1〜5%
・「関節痛」1〜5%
・「悪心(吐き気)」1〜5% と報告されています。
しかし、アロマターゼ阻害剤であるフェマーラの副作用の主な症状として上記をお示ししてありますが、これらの症状はフェマーラの特異的な症状ではありません。また、フェマーラ錠の副作用の程度ですが、承認時までのデータでは41%なんらかの副作用が発現していますが、そのほとんど(36.9%)がグレード1の分類で程度の軽い副作用でした。他のアロマターゼ阻害剤であるアリミデックス、アフェマ、アロマシンにおいても同様に「ほてり」「頭痛」「関節痛」「悪心(吐き気)」の症状は発生頻度は異なりますが、出現する可能性はあります。
○フェマーラ錠2.5mgの薬価は1錠687.50円となっています。1日1回2.5mgを内服します。
  ちなみに他のアロマーゼ阻害剤の薬価です。
  ・アリミデックス錠1mg 606.30円/錠 1日1回1mgを内服します。 1日薬価606.3円
  ・アロマシン錠25mg 614.70円/錠 1日1回25mgを内服します。 1日薬価614.7円 
  ・アフェマ錠1mg 299.40円/錠 1日2回1回1mgを内服します。 1日薬価598.8円 (文責 金丸)

 

No.6195】  06年12月28日  k m
肺転移後の治療選択について(2)(HPNo.6098-4

肺の検査後に、骨、肝臓、脳の検査を実施し、肺以外の転移はありませんでした。最近、頻度は低いですが、咳き込むことがあります。風邪のせいかと思っていましたが、3週間近く続いています。肺の転移状況から、転移の影響で咳が出ている可能性があるとのことでした。転移の影響による症状が出てもおかしくないと言われたことから、ハーセプチン+タキサン系抗がん剤の治療を選択しようと考えています。下記について教えてください。
1) タキサン系抗がん剤の投与方法には、3週間に1回投与、または毎週投与があるようですが、投与方法により効果や副作用の現れ方に差が出るでしょうか?
2) タキソールとタキソテールの薬剤価格に差があるでしょうか?
3) タキソールの副作用にしびれがあるようですが、発現率は高いでしょか?
4) タキソテールの副作用に倦怠感とむくみがあるようですが、発現率は高いでしょうか?

お手数をお掛けいたしますが、回答をお願いします。

1) 添付文書による使用法は3週間に1回投与が通常の使用方法です。しかし、最近は分割投与(3週間に1回投与する量を3回に分けて毎週投与する方法)が多施設で実施されて副作用の軽減など効果を得ています。タキソールは毎週投与が効果も良く、副作用が軽減できます。タキソテールについては、3週間に1回投与が多く実施されていて、毎週投与はまだ有意に良いとまでのデータはありませんが、毎週投与を行っている施設はありますので、ご相談ください。3週間投与に比較して、効果は変わらないで、副作用が軽減でき、また1回の拘束時間は短くなるので患者様の負担は軽くなると思います。
2) 薬の量は患者様の身長と体重より割り出される体表面積当たりの量となりますので、価格の差はまちまちとなってしまいます。概算で投与量を薬価で計算した場合、タキソテールの方がタキソールに比較して数万(3〜4万)は安いと思います。
3) タキソールの副作用であるしびれ感は78.6%の方に出現する副作用です。また中には症状が強く出現される方もいらっしゃいます。
4) タキソテールの副作用であるは全身倦怠感は63.5%とかなりの頻度で発生します。また浮腫は15.3%の方に出現します。全体では脱毛89.1%、食欲不振が67.9%、悪心・嘔吐60.6%、発熱44.5%、下痢25.5%、しびれ感24.8%が多い副作用です。(文責 金丸)

 

No.6194】  06年12月27日  A
避妊について

術後1年経過、現在ゾラデックス、ノルバデックスの治療をしています。生理はもうきていませんが、排卵はしているのでしょうか? 避妊の必要性はありますか? 妊娠する可能性はあるのでしょうか? よろしくお願いします。

ゾラデックス投与によって卵巣機能は抑制され、エストロゲンは去勢時レベルまで低下していますので、排卵はありません。妊娠する可能性はありませんので、避妊の必要もありません。(文責 須田)

 

No.6193】  06年12月27日  C 
抗癌剤の副作用

今年7月に乳癌の手術をしました。初めは温存でしたが、乳腺に癌が有るので放射線治療をと言われました。身体の細胞がおかしくなると嫌だったので、今度は乳房摘出手術をしました。リンパ腺に転移していると言われて、今は抗がん剤治療をしているのですが、「治るかわからない」と先生に言われました。抗がん剤の副作用が辛いのですが、飲む抗がん剤治療では効かないのでしょうか。

経口抗がん剤の最大のメリットは、入院の必要がなく、外来通院が容易ということです。TS-1、カペシタビン、5'−DFUR 等の経口抗がん剤があり、投与の簡便性と比較的少なくてすむ副作用から有用な治療です。だたしこれら経口FU剤の術後化学療法については、効果は認められていますが、アンスラサイクリン、タキサン、CMF等の注射剤より優れているというエビデンスはありません。抗癌剤は効果と副作用(安全性)のバランスをみながら投与していく事になりますが、現在副作用が辛いという事ですので、副作用が比較的少ない経口抗がん剤に変えてみるのも選択肢の一つです。主治医の先生と充分相談なさって、納得のいく治療を受けて下さい。(文責 須田)

 

No.6192】  06年12月27日  M 
石灰化について

私は58歳ですが、2年前に人間ドックで初めてマンモグラフィで乳ガン検診を行いました。その結果、両側乳腺石灰化と言われ、乳腺外科で再検査をしました。触診、エコーなどの結果、異常なしと言われました。今年は人間ドックでエコーでの検診を行いましたが、異常なしでした。両側乳腺石灰化の場合、悪化してガンになるという可能性はないでしょうか。また、マンモグラフィは毎年受けた方がいいのでしょうか。ご回答よろしくお願いします。

マンモグラフィーでは腫瘤や石灰化などが描出さますが、石灰化とはマンモグラフィー上、真っ白く見える影で、何らかの原因で乳房の一部にカルシウムが沈着したものです。大きいものは良性ですが、小さいものがたくさん集まっている場合には悪性を疑ってチェックする必要があります。マンモグラフィーで癌を疑う指標としてカテゴリー分類があります。カテゴリー3であれば、悪性でない事を確認するために精密検査が必要、カテゴリー4又は5の場合は、悪性の疑いが強く、必ず精密検査を受けて下さい。メール内容からの推測になりますが、貴女の場合はカテゴリー3だったのではないでしょうか。石灰化については変化のないことを確認する必要がありますので、マンモグラフィー検診は毎年受けたほうが良いと思います。(文責 須田)

 

No.6191】  06年12月27日  A  
術後治療法での抗癌剤について

50歳(閉経前)、18年2月乳房温存手術を受けました。癌の種類は、「浸潤癌、グレード2、ER(+)、PGR(+)、HER2(−)、リンパ節転移1/22、病期Ua、大きさ1cm」とのことでした。術後放射線治療を25回行い、その後ホルモン療法(タモキシフエンとLH−RH)に切り替わり8ヶ月になります。転移が1つあり、大変迷ったのですが、ホルモン療法でも化学療法でも再発リスクにあまり差はないとの最近の情報から、ホルモン療法のみにしました。主治医とは良く話し合った末の選択だったのですが、他の医療情報に触れたり、時間経過と共に不安が増し、うつ傾向になっています。今から化学療法を行うことは出来るのでしょうか? 行うとしたら何が適しているのでしょうか? お手数をかけますが、よろしくお願いします。

貴女のリスクカテゴリーは、中間リスクです。内分泌反応性ですので、「ホルモン療法単独、又は化学療法→ホルモン療法、又は化学療法+ホルモン療法」が、術後薬物療法の考え方で、どれを選択するかは、個人個人が主治医と相談しながら決定する事になります。このままホルモン療法のみの治療でもよいのですが、更に化学療法を追加するとすれば、ホルモン療法を行いつつ化学療法も行う事になります。
腋窩リンパ節に転移がある場合、術後に化学療法を行うと再発死亡率を低下させることができます。CMF療法では、年間1000人が再発するとすれば、24%である240人の再発を防ぐ事ができます。アンスラサイクリン系薬剤を含む治療では、CMF療法に比べ更に12%減少させ、アンスラサイクリン系薬剤にタキサン系薬剤を追加すると更に17%減少させる事ができます。アンスラサイクリンを含む治療が一般的ですが、脱毛・吐気・白血球減少等の副作用が出る場合がありますので、効果と副作用のバランスを考えつつ、使っていく事になります。主治医と相談の上、納得のいく治療を選択してください。(文責 須田)

 

No.6190】  06年12月27日  Y 
骨シンチ右肋骨異常

49歳未婚、子供無しです。H17年11月異時両性乳癌で両乳房部分切除後、右乳房のみ放射線治療。リンパ転移は両方とも無し。その後リュープリンとノルバデックスの治療で、抗癌剤は無しです。H18年11月骨シンチ右肋骨下部に1カ所影あり。主治医は影の形で打撲だから大丈夫と、5月の再検査まで待つよう言います。確かに9月に転んで右側打撲しましたが、痣もないし、そんなにひどい状態とも思えません。MRIを撮ってほしいと申しましたが、MRIにはあまり出ない?と言い、来年5月の骨シンチ検査には消えてるよと、来年まで待つように言います。でもとても不安です。PET検査かMRIか、また他の方法で転移か否か判るのでしたら、どの様な検査を受ければ良いのか、また転移だった場合の治療法を教えて下さいませ。

PET-CTでは、1センチ以上の病変があれば描出されると思います。貴女の不安なお気持ちを主治医にお話して、今後の方針をご相談なさってください。直接診察していませんし、メール内容だけでは判断ができませんが、ご参考までに転移だった場合の標準的な治療法を記します。転移の場合、すでに癌細胞が血流に乗って全身をめぐっていることになりますので、他の場所にまた出てくる可能性が高いということになります。治療法としては、ホルモン療法、抗がん剤、トラスツズマブを中心とした全身療法を行うことになります。薬と癌細胞の相性がいいと、長期間癌の増殖を抑えることができます。また骨転移の場合、疼痛、病的骨折、脊髄圧迫症状、高カルシウム血症等の合併症にビスフォスフォネートが有効です。骨転移の疼痛に対して除痛の目的で放射線治療を行うこともあります。(文責 須田)

 

No.6189】  06年12月27日  P 
19才です

16才で気づいたのですが、左胸に固いしこりがあります。まだ19才ですが、癌でしょうか?

直接診察していないので断定はできませんが、10代での乳癌は否定的です。不安を取り除くためにも、一度乳腺外来を受診し、良性の腫瘍であることを確認してください。(文責 須田)

 

No.6188】  06年12月27日  J.K.
病理結果は切除断端陽性でした(HPNo.5974-4)

いつも相談させて頂いております。HPNo.5974です。術後の病理結果が出たのですが、また不安と疑問があるので教えて下さい。どうぞよろしくお願いいたします。術前化学療法で、手術は温存です。病理結果は次のとおりです。
<診断>
1.(Partial mastectomy)
Adenocarcinoma solid-tubulare of the right breast,with slight lymphatic permeation,status post chemotherapy.
2.All nodes,negative for cancer,status post chemotherapy(0/11=0/9+0/2)
3.ER:−、PgR:−、HER2:0

<所見>
Surgical margin positive for cancer.
内側:(#26,28)intraductal carcinoma fociで断端陽性。
外側:本体(#5,7,10)はintraductal carcinoma fociおよびinvasionで断端陽性。追加切除標本にはcarcinoma はみられない。
Histological therapeutic effect:Grade 1a
浸潤巣消失部が腫瘍の中心部にみられるが全体の1/3未満。リンパ節転移(0/9)。転移消失部を疑う所見は認めない。

<質問>
1) 切除断端が一部陽性なのですが、放射線治療で大丈夫とのことです。再手術の必要はないでしょうか?
2) 術後も抗癌剤をするべきか悩んでおりますが、断端陽性なので、やはり行ったほうがよいですか? 化学療法の先生は「リンパ転移がないので必要ないですよ」、外科主治医は「術前の効きがGrade 1aで弱いので術後のタキサンも考慮の余地はありますが、難しい選択です」とのこと。看護師さんに相談したら「この病院では、断端陽性だから追加に化学療法をするということは基本的にはないですね」といっていました。先生方は、リンパ転移なしでも断端陽性だから追加化学療法をすすめることもありますか?
3) 断端陽性の場合、局所的治療の放射線を先行したほうがよいでしょうか? その後にタキサン系化学療法をしても効果に差はないですか? 

術後の治療をどうしたらよいのか、本当に毎日悩んで途方にくれています。たびたび申し訳ございません。どうかご教授ください。

1) 部分切除した組織の断面を顕微鏡で調べた時、癌細胞が断面又は断端から5o以内に見られる場合を「切除断端陽性」といい、温存療法後の乳房内再発を予測する為の重要因子となります。広い範囲に断端陽性が確認された場合は、追加切除や乳房切除術が推奨されますが、断端陽性であっても狭い範囲だった場合は、追加切除する時もありますが、標準的放射線治療に更に照射を追加する方法が妥当と考えられています。
2) 貴女の場合は狭い範囲での断端陽性だと推察されますので、追加の化学療法ではなく、追加の照射という事になります。
3) 放射線と抗がん剤の両方が必要な場合、「放射線を先行させる、抗がん剤を先行させる、同時に行う」の3通りが考えられますが、どのやり方でも、局所再発や遠隔転移、死亡率に差が認められなかったと報告されています。貴女の場合は「リンパ節転移なし、内分泌非反応性」なので、一般的には術後化学療法をしない群に属しますが、あえて行うとすれば、術前に化学療法を行っているので、タキサン系の何を使用するかは、主治医と相談の上、方針を決定してください。(文責 須田)

 

No.6187】  06年12月27日  N
乳がんの可能性

2歳の息子がいる29才の私の件で相談させて頂きます。今月頭に健康診断を受け、左乳腺線維腫を指摘され、婦人科を受診しました。同様の診断後、マンモグラフィーとエコーを受けた方がいいと言われ、乳腺外来のある病院を受診しました。診察後、マンモグラフィーとエコーを実施しました。エコーで左乳房に3個の腫瘍を発見し、穿刺を2回し、細胞診の結果待ちです。マンモグラフィーでは、腫瘍らしきものはありませんでした。乳腺線維腫と言われていたのに細胞診の結果待ちになり、とても複雑な心境です。乳がんの確立は高いのでしょうか? また、神奈川県内でのセカンドオピニオンを希望しますが、有名な病院はありますか?

わが国では、乳癌の診断に際しては、一般的には視触診・超音波検査・マンモグラフィー・細胞診を行って総合的に判断します。視触診・超音波検査・マンモグラフィーで線維腺腫との診断であっても、画像がよく似ているので、稀に乳癌ということもありますので、細胞診を行って線維腺腫であることを確認しているのです。メール内容から判断する限り、乳癌である確立は低いと思いますが、受診された病院では、間違いを避けるために必要な検査を原則論どおりに進めてくれているのです。セカンドオピニオンを求めるのは、細胞診の結果を待ってからでも遅くないように思います。病院に関しては、日本乳癌学会のホームページを参考にしてください。(文責 須田)

 

No.6186-1】  06年12月27日  K.H.
術後の治療法と妊娠について

30代前半、既婚、出産希望です。12月上旬に放射線治療が終り、次の薬物療法の選択で悩んでおります。「しこりの大きさは1.3mmほど、異形度スコア1、ホルモン感受性あり、リンパ節への転移なし」ということです。「リュープリン2年+タモキシフェン5年で行きましょう」ということでしたが、妊娠希望であることから、このままでは出産が40代になることを考え、「ではタキソール3週間ごとを半年、もしくは無治療にしますか」という提案をいただきました。自分としてはすぐにではなく、30代半ばまでに妊娠できればと考えているのと、元々卵巣機能が停止しており、低容量ピルを長年服用していたことも考えると、素人考えで抗癌剤もホルモン治療も卵巣機能を止めることに効果があると読んだことも思い出し、もしかしたら双方の薬共にこの治療で閉経の危険性が・・・と、どちらを選択するべきか悩んでおります。もちろん乳癌の治療を優先しなくてはいけないと思っているのですが・・・。宜しくお願いします。

抗癌剤は直接卵巣に作用して原始卵胞及び初期発育卵胞を崩壊、消失させる事によって、卵巣機能に障害を与えると考えられています。しかし、抗癌剤による卵巣機能障害は、抗癌剤の種類、総投与量、年齢などによって異なってきます。卵巣機能障害を起こす可能性がある薬剤は、シクロホスファミド(エンドキサン)、シスプラチンで、稀に障害を起こすと考えられているのが5FUです。ないと考えられているのがアドリアシン、ビリルビンで、不明な薬剤はタキサン系(タキソール、タキソテール)です。貴女が提案されているリュープリン+タモキシフェンは、投与が終了すれば生理は回復しますが、40代になるとの事、年齢から考えて、タキソールを使用する前に卵巣保護の目的でリューブリンを使用し卵巣機能を休眠状態にした上でタキソールを使用、終了後リューブリンも終了させるという方法もあります。主治医の先生と充分ご相談なさって、納得のいく治療法を選択して下さい。(文責 須田)

 

No.6186-2】  07年07月05日  K.H.
経口避妊薬使用について

お世話になっております。一度HPNo.6186にて相談をさせていただいたK.Hです。ホルモンセレプターER(+)10% PgR(−)、HER2/new (−)、核異形度(1)。前記検査結果より抗癌剤CEF治療6クールと、同時に妊娠希望のため、ゾラデックスを月1回子宮機能保護のため注射しておりました。先月抗癌剤治療も終わり、子宮、卵巣の状態を考慮しなくてはいけない段階になり、わからないことがあり相談しております。ちなみに私が通院している乳腺科の先生は「婦人科のことは分からないので婦人科の先生と相談して下さい」ということだったので、婦人科の先生に相談したところ、「私もよくわからないので乳腺科の先生と相談して下さい」といわれ、路頭に迷ってしまいました。宜しくお願いします。
妊娠希望なのですが、【No.6599】さんへの回答に、『術後2年での再発のピークの「山」がホルモン陽性の場合と比べて高く』ということがあったので、2年ぐらい経ってから妊娠を、と私は考えております。しかしながら、すぐに妊娠するにしろしないにしろ卵巣の機能が元々止まっていたため、卵巣機能の治療をしなくてはいけない、という話が出ております。ホルモン感受性が低いので、またピルを服用開始した方がいいのではないか、という提案が出たのですが、問題ないでしょうか。実は、日本産科婦人科学会が「ピル」服用に関するガイドラインを作成したのですが、その中の服用の際の検討項目の中に、『乳癌』があったため不安になってしまいました。お手数をお掛けしますが、アドバイス、何卒宜しくお願い申し上げます。

経口避妊薬使用が乳癌の発生に対する危険因子になるという強い根拠はないとされますが、日本産婦人科学会の経口避妊薬服用に関するガイドライン上は、乳癌の既往歴があって3年間再発のない方での使用は利益を上回るリスクありとされ、また乳癌患者さんに対しては容認できない健康上のリスクありとされており、その使用は慎重にならざるをえません。(文責 片山)

 

No.6186-3】  07年11月24日  K.H.
副作用の骨粗鬆症について

お世話になっております。今までに「No.6186」「No.6849」にて相談させていただいた者です。今回また相談をさせていただければと思います。
先日、ぎっくり腰をしてしまい整形外科に行った所、「骨粗鬆症です」という診断をされました。原因はLH-RH製剤などの副作用ではないか、ということです。検査結果は、L2-L4 BMDが0.687g/cm2 であり、現在32歳ですが、90〜100歳レベルの骨密度だそうです。早急な骨粗鬆症専門DRによる治療の必要性を言われたのですが、どのような治療が考えられるのか教えていただければと思います。ちなみに、これからまた術後療法としてLH-RH製剤の治療を再開するかもしれないのですが、骨密度が更に下がってしまう可能性を考慮すると問題ないのでしょうか。また、自分なりに調べたのですが、ビスホスホネート製剤による治療が有意義なものになりうるのでしょうか。
お忙しい中、大変面倒をお掛けしますが、教えていただければと思います。何卒宜しくお願い申し上げます。

32歳とお若いにもかかわらず、骨塩量の低下は著しく、これがLH−RH製剤の副作用であるとすると、再度LH−RHを使用することは実際問題としてきわめて困難であると思います。骨粗しょう症に対しては、ご指摘のビスホスホネート製剤やビタミンD製剤などがよく使用されますが、乳癌に対するホルモン剤のなかで骨に対してもプラスに作用する可能性のあるSERM(タモキシフェン、トレミフェンなど)を使用するのも一法と考えます。主治医の先生とよくご相談なさってください。(文責 谷)

 

No.6185-1】  06年12月27日  T.O.
予後の生存率と術後治療について

宜しくお願い致します。2006年1月に右胸を全摘しました。「大きさ(1.7×1.4)、センチネルリンパ節生検(0/3)、脈管浸襲(ー)、硬がん、ホルモン感受性はER、Pgr共に(強+)、Her2(−)、1期、グレードは1(1と2の間の可能性もあるが、1と言う医者もいるので1との事)、腫瘍内血管数が3本」でした。現在ノルバデックスDを服用。
1) 以上により主治医は、生存率は95%だが対側の発症を減らし生存率UPの為に薬を服用して2%UPし97%と言いますが、硬がんは10年生存が67.2%と他のガンより悪いと聞きますが、私の5年と10年の生存率はどうでしょうか?
2) 子宮も卵巣も6年前にとり、56歳の現在ですが、「ホルモンレセプターが両方強陽性なので、骨粗しょう症のリスクを考えるとアリミデクスじゃなくノルバデックスにしましょう」との事ですが、このままでいいのでしょうか? 
3) 腫瘍内血管数が多い方が転移し易いという医者もいるが、一部の意見で相関は不詳なので、「1期の早期がんで低リスク」と言われましたが、そう考えても良いのでしょうか?

1) 乳癌の病理組織分類では、おおよそ「浸潤性乳管癌80%(乳頭腺管癌20%、充実腺管癌20%、硬癌40%)、特殊型の乳癌10%、非浸潤癌10%」の割合になります。その中の硬癌でくくって統計的にみると、10年生存率が67.2%になります。また、これとは別のくくりで、「リンパ節転移のない、stage1」の10年生存率は、統計的に処理すると95%になるという事です。生存率や再発率は、多くの症例を集積して統計的にはじき出した数字であり、個人的には、それを当てはめて考える事になります。
2) 海外でのデータですが、アロマターゼ阻害剤(アリミデックス)に骨粗鬆症を引き起こす可能性のあることが分かっています。アロマターゼ阻害剤は閉経後の乳癌に使うホルモン剤です。タモキシフェン(ノルバデックス)には、むしろアロマターゼ阻害剤を改善する作用がありますが、乳癌の再発予防に関しては、アリミデックスの方が効果があります。アロマターゼ阻害剤を使う場合、定期的(1回/年)に骨塩量(骨密度)を測定し、値が下がった時には骨塩量を維持する作用のある薬を併用すれば、骨粗鬆症の心配もなくなりますので、この方法も一つの選択肢になるかもしれません。主治医の先生とご相談下さい。
3) 血管の新生が多い場合、腫瘍の増殖と血行性転移に深いかかわりのあることが分かっていますが、更に長期的な追跡に基づく大規模なスタディが必要です。現時点では「1期の早期がん」と考えてよいと思います。(文責 須田)

 

No.6185-2】  07年05月13日  T.O.
ホルモン剤について又教えてください

1) ホルモンレセプターが有る人が術後ホルモン療法をしていて再発・転移した場合に、抗エストロゲン剤を飲んでいた人はアロマターゼ阻害剤を、アロマターゼ阻害剤を飲んでいた人は抗エストロゲン剤を二次に飲む記術を目にしますが、最初に飲むホルモン剤は、服用してみなければ、その人に効果があるか判らないということでしょうか?
2) もしそうでしたら、手の指が変形性関節症で曲がって痛く、更に右足股関節を痛めて(12月にMRIとX線検査で今のところ骨転移は無いとの事)、辛い時に抗エストロゲン剤から関節痛の副作用の多いアロマターゼ阻害剤に変えるのを先延ばしにしたいのですが、生存率にかなり損をしますでしょうか?
3) 主治医は、やはり私の場合は「タモキシフェンを5年飲むだけで良いし、低リスクなので、その後の5年アロマターゼ阻害剤も副作用が強いので無理に飲む必要なし」と言われました(主治医とは長く、信頼関係もあり、不親切に決めているとも思えない)が、10年生存が1期で90%前後と言われますが、私の場合アロマターゼ阻害剤を飲まなければ、タモキシフェン5年だけと生存率にそんなに違いが出るのでしょうか? もし90%が→93〜94%にでも変わるのでしたら、主治医と相談して頑張って飲んでみたいのですが。取り留めの無い文章で申し訳ありません。

タモキシフェンを2−3年のんだあとに、アロマターゼ阻害剤に変更すると全生存率(再発していても生存している人を含む)および無再発生存率(再発しないで生きている人の割合だけをカウント)が改善するとされています。文面からだけでは何ともいえませんが、仮に10年全生存率が10%程度の人だとすると、タモキシフェンだけの場合に比べて全生存率の絶対差3−4%の改善は厳しいかもしれません。無再発生存率ならば3%前後の改善は見込めるかもしれません。アロマターゼ阻害剤は、タモキシフェンに比べ関節痛の発生は多いのと、骨粗鬆症を促進する可能性があります。そのあたりを主治医とよくお話になって決めてください。(文責 俵矢)

 

No.6185-3】  07年09月12日  T.O.
術後ホルモン療法について

右胸全摘の57歳です。腫瘍径(1.4×1.7)の硬ガン、センチネルでリンパ節転移無し(0/3)、ホルモンレセプター(ER)(Pgr)共に陽性(特にERは強陽性との事)、脈管浸襲(−)、Her2(−)、グレード(1)で、1期でした。術後1年7ヶ月で、現在ノルバデックス服用中。そこで質問です
1) 私の場合、3年目からアロマターゼ阻害剤を飲んで5年で終了か、ノルバデックス5年の後アロマターゼ阻害剤を5年飲むか、決めかねています。理由は、最近ホルモン剤はもっと長く服用をした方が良いと言われる意見が出だしたと聞きますので、10年飲むほうに気持ちが向いています。生存率に変化は無いが、再発率には向上が期待できそうなので・・・。私のように割とラッキーな初期の患者でも、少しでも良い結果が望めそうな方を選択するのは神経質すぎるでしょうか?
2) 私の様な病理結果でしたら、先生ならどの方法を薦めますでしょうか?
3) ノルバデックス5年服用のみを選択するのは、標準治療から外れ、あまり良くない選択でしょうか?

硬ガンで腫瘍内血管数が3本と多かったので、後々のリスク条件が万が一変化するかも?と考え、神経質過ぎる気もしますが、自分なりに出来るだけより良い方をと考え悩んでます。宜しくお願いします。 

1) 確かにノルバデクッス2年+アロマターゼ阻害剤3年で5年間の治療法と、ノルバデクッス5年+アロマターゼ阻害剤5年で10年間の両方の方法がありますが、両者を直接比較した臨床研究はありませんので、どちらがよいかの結論は出ていません。
2) 再発リスクは低いですので、5年間の治療でもよいのではないでしょうか。
3) 骨密度の低下などのアロマターゼ阻害剤による副作用を心配されるのであれば、ノルバデックス5年服用も選択しうる方法だと考えます。(文責 浜口)

 

No.6185-4】  07年09月30日  T.O.
ホルモン療法について

何度も申し訳ありません。前回のアドヴァイスでホルモン療法を5年(タモキシフェン2年→アロマターゼ阻害剤3年)に決めましたが、気になる事があります。「1期、腫瘍径(1.7×1.4)、硬がん、リンパ節転移無し、脈管侵襲無し、グレード1、ホルモンレセプター(ER、強陽性 PgR、陽性)、Her2(−)、腫瘍内血管数3本」です。自分の希望で右全摘をして1年8ヶ月になりますが、手術前5年間左胸に石灰化がありました。時々細胞診をして様子を見ているうちに右胸にしこりが出来、手術に至ったしだいです。ここで気になるのですが、2つほど教えてください。                    
1) ホルモン療法は再発を先送りにするだけと表現する記事も目にしますが、もしそうなら早期、低リスクでも左に気になる物がある私は、左胸の為に10年服用した方がプラスでしょうか?               
2) やはり5年でも良いのでしたら、アロマターゼ阻害剤はアリミデックスとアロマシンとフェマーラのどれになるのでしょうか?

宜しくお願いします。

1)左の石灰化が何であるかはっきりいたしませんので、10年間服用するのがプラスになるかどうかは分かりません。
2)現在のアロマターセ阻害剤でどれが良いのかはっきりしたエビデンスはありませんので分かりません。(文責 吉田)

 

No.6185-5】  08年01月06日  T.O.
術後検診について

お世話になっております。今月17日で術後2年を無事終え3年目に入りますが、他の同じような患者さんと2年目検診の内容が違うのが気になり、アドバイスをお願い致します。
私の主治医は、「腫瘍径(1.7×1.4) グレード(1) 脈管侵襲(−) センチネルリンパ(0/3) Her2(−) ホルモン受容体 ER(強+) PgR(+)」の1期という事で、検診は3ヶ月毎の薬を取りにいき、触診・問診と1年毎にマンモグラフィーと血液検査のみです。皆さんのようにCT・MRI・骨シンチ・PETなどいっさいありませんが、3年間が再発のピークと書いてありますので不安です。一般にはどのレベルまで検査を受けておくのが普通でしょうか?

術後follow upとして有効性が確率している検査はマンモグラフィのみであり、CT,MRI,骨シンチ,PETを定期的に施行することが生存率を改善するという証拠はなく、病状や症状に応じて検査を施行しているというのが現状です。なにか心配なことがあれば、それに合わせて検査を行っていけばよいのではないでしょうか。(文責 浜口)

 

No.6185-6】  08年02月25日  T.O.
ホルモン剤について

何時もアドバイスを有難うございます。最近手などの痛みが酷いので大学病院の整形外科に行ってきましたが、リュウマチらしく検査結果待ちです。痛みはアリミデックスの副作用と思い込んでいましたが、残念ながら間違い無いようです。そこで質問ですが 
1) 私は京都在住で乳癌の主治医は神戸です。今まで通って来ましたが、乳癌にリュウマチとなると京都の大学病院に統一した方が、今後乳癌の治療上スムーズかもしれないと迷っています。乳癌患者がリュウマチに疾患すると個人クリニックでは面倒でしょうか?
2) アリミデックスは飲めなくなるのでしょうか?もしそうでしたら他の薬は有りますか?変形性関節症も有ります。
3) 別の方の質問の中で増骨性の骨転移の記述が有りましたが、リュウマチの様な症状でレントゲンに映ることは有りますでしょうか? 

以上です。質問の的が外れていましたら申し訳ありません。結構ショックで自分一人では考えが纏まりませんので宜しくお願い致します。

1) これまでどおりで大丈夫だと思いますが、まずクリニックの医師と話し合ってみてはいかがでしょうか?
2) 服用ができなくなるということはないと思います。副作用の可能性があれば、他の薬に変更または中止することはあります。
3) 転移ということはまずありませんので、心配なさらなくて大丈夫です。(文責 加藤)

 

No.6184】  06年12月27日  SS
抗がん剤治療の骨髄抑制について(HPNo.5897-2)

HPNo.5897で術後の化学治療についてお聞きしたSSです。断端陽性となっている部分の手術後、主治医から「CEF3週間に1度4回、タキサン系3週間に1度4回、その後ハ-セプチン週1回1年」、又は「CEF3週間に1度4回、タキサン系+ハーセプチン週1回3ヶ月、その後ハ-セプチン週1回9ヶ月。放射線はその後に行い、リンパ節4個中1つに微小の転移があったが郭清はしなくて良い。」と説明を受け、先ずはCEFの1回目の治療を行いました。骨髄抑制が強く出て、白血球が5200から700まで下がり、発熱はありませんでしたが、白血球を増加させる注射をし、抗生物質を1週間飲みました。2回目の治療を3週目に行うには白血球が少な過ぎるだろうと判断され、3週+数日で来週早々に行う予定です。2回目の治療では、どの程度まで白血球が戻っていれば行うのでしょうか? 薬の量を減らして治療を行う事もありますか? また、回を重ねると白血球の減少傾向はより強くでるものなのでしょか? 敗血症を心配しております反面、計画通りの治療が進まないと抗がん剤の効果が弱いのでは?と思っています。年齢は50歳です。

白血球が少なくなると感染しやすくなります。抗癌剤投与後5〜7日くらいから白血球が減少してきますが、一時的なもので、一般的には2週間くらいたつと回復してきます。白血球の成分の一つである好中球は体の抵抗力を示す指標で、この値によって回復の程度を予測します。通常白血球数3000以上、好中球1500〜2000くらいを目安にして、抗癌剤の量を調節したり、休んだりします。抗癌剤の回を重ねるにつれて白血球の減少傾向が強くなる場合もありますが、このように副作用が強すぎると、体にあっていないということになり、使用薬剤を変更せざるを得なくなってきます。術後化学療法はあくまでも予防の為に行うものであり、効果と副作用のバランスを考えながら進めていくことになります。主治医と充分ご相談なさって、納得のいく治療を選択してください。(文責 須田)

 

No.6183-1】  06年12月25日  M.M
術後の浸出液について

10月末に左乳房の全摘手術を受けた母のことで、ご意見をお聞かせください。術後2ヶ月経ち、今は抗がん剤治療の1クール目を終えたところです。母は今でも一週間に一度くらいのペースで、注射器で浸出液を抜いてもらっています。胸が張ってきて痛みなどの自覚症状があると、通院して抜いてもらっていますが、こんなに長い期間、液が溜まるということは、そういう事が体で起こっているという事なのでしょうか? 主治医の先生は、「太っていて脂肪が多いからだ。1年も続いたりはしないよ。」と説明してくれています。実際11月上旬は130mlくらいだったのが、今は80mlくらいです。本などでは、あまりその様なことの記述はないので、個人差の範囲内なのか、心配すべきことがあるのかどうか分かりません。ご意見をお聞かせくださいます様、お願いいたします。

手術後の創部リンパ液の貯留は、多くはありませんが、珍しいことでもありません。時々経験しますが、注射器で週に1〜3度抜き取ると、月の単位で軽快してきます。一般的には数ヶ月でよくなります。必ず治りますので、それまで根気よく抜いてもらってください。(文責 須田)

 

No.6183-2】  07年01月25日  M.M
術後部位の腫れ

06/12/25 に 「術後の浸出液について」で質問したM.Mです。母の浸出液も減り、今では抜かない程度になりました。抗がん剤治療も2クール目の投与を終えました。ところが、1週間前くらいから、手術を受けた左胸の辺りが赤く腫れてきました。正月ごろ(2クール目1回目の投与後)にもちょっと赤くなっているように見えたのですが、さほど気にはしていませんでしたが、ここ数日で見るからに赤くなっているようです。昨日通院した際には、エコーで見た限り、血が溜まっているようだということで、その血液を何らかの検査に出しているそうです(私と母は遠方で離れているので、母の話をそのまま書いています)。どのような事態が考えられますか? 教えてください。熱もあるようですので、何らかの炎症症状でしょうか? まだ術部の内側では傷が癒えてないので、抗がん剤の影響で化膿などしてきたりしているのでしょうか? 素人考えを並べて申し訳ありません、よろしくお願いします。

抗癌剤の副作用で白血球が減少し、皮下に残っていた滲出液に細菌感染が起きた可能性も否定できません。「何らかの検査」は細菌培養かもしれません。細菌感染であれば排膿が必要になります。もう一度主治医に確認してみることをお勧めします。(文責 千島)

 

No.6182-1】  06年12月25日  M.S. 
確定診断について

71歳の母のことで相談します。11月下旬に胸の痛みがあり、しこりもあったため、外科に受診したところ、レントゲンの結果乳がんと言われました。乳腺外来のある病院を紹介され、マンモ、エコーで「乳がんでしょう」と言われましたが、生検の結果、細胞が確定できませんでした。今度入院して、麻酔をかけて取り出して、その場で検査して、癌と確定したら手術、もしそうでなければ、それで終わりということでした。確定できないとなんとも言えないということで、どの程度の癌なのかわからず心配です。先生は、大まか予想がついていると思うのですが、細胞が確定できないと、大きさや癌の程度も教えてもらえないのでしょうか。

直接診察して画像を拝見しないと分かりませんが、しこりの大きさは、どのくらいなのでしょうか。画像上は乳癌だと思われるが、病理検査をしないと確定できないので、主治医の先生は、無用な心配をさせないようにとの配慮から、「入院して迅速診断(その場で検査して確定診断を出す)をしましょう」と提案されているのでしょう。不安なお気持ちは分かりますが、先ずは結果をお待ちください。もし癌であると確定されれば、癌の大きさや進行の程度、今後の治療方針等についての詳細な説明があると思いますので、充分にお話を聞いていただき、納得のいく治療を受けてください。(文責 須田)

 

No.6182-2】  07年02月18日  M.S. 
術後の痛みと治療について

HPNo.6182で相談しました母のことで、また相談します。1月26日に手術でしこりを取り出し、その場で確定診断をし癌細胞がみつかったため、その場で右胸全摘出とリンパ郭清の手術となりました。リンパに転移はなかったのですが、リンパを全部とった影響と思われる術後の痛みがひどく、かなり落ち込んでいます。転移がなかったのにリンパを全部とる必要があったのかどうか、疑問が残ります。その後、「癌の大きさが、小さい中では大きい方なので、抗癌剤を使ったほうがいいでしょう。」とのお話があったそうです。C型肝炎も患っているため、副作用のことを考えると心配です。
1) 術後の痛みはどれくらい続くのでしょうか。
2) 抗癌剤の副作用は高齢でも大丈夫でしょうか。
3) 病院の説明があまりなく、私がセカンドオピニオンを受けようかと思っています。その場合、データを貸し出ししてもらえるのでしょうか。

以上ですが、よろしくお願いいたします。

1) 痛みに関しては個人差がかなりあるようです。1/26に手術されており術後約3週間ですので、もう少しで痛みも軽快してくるでしょう。
2) 71歳でありますが、これも年齢と体力は個人差があります。比較的副作用の少ない抗癌剤もあります。担当医に相談してみましょう。
3) セカンドオピニオンは患者様の権利です。データは必ず貸し出ししてもらえます。これも担当医に相談してみましょう。(文責 川本)

 

No.6181】  06年12月25日  M
腫瘍マーカーNSEの上昇について 

4年前(30才の時)に乳癌の手術をしました。大きさ2.5p、リンパ節転移なしでした。術後2年間、リュープリンを皮下注射し、ノルバデックスを現在も飲んでいます。この度、血液検査を行ったところ、主治医に「腫瘍マーカー NSE の値が17になったため、3ヶ月後に再検査をする」と言われました。半年前の検査の値は10です。「他の腫瘍マーカーは上がっていないので、おそらく乳癌とは関係のない理由で上昇したと考えられるから、あまり心配しなくてもいい」と言われましたが、やはり気になるので、相談させていただきます。NSE が乳癌再発とは関係ない理由で上がるとすると、どのような理由なのでしょうか? 血液検査の4、5日前までメニエール病の為、めまいを止める薬(メニエトール、セファドール錠、アデホスコーワ顆粒)を飲んでいたのですが、NSE の上昇となにか関係があるでしょうか?

乳癌専門医がルーティーンに測定している乳癌の腫瘍マーカーは、CA15-3(97%)、CEA(97%)、NCC-ST-439(68%)です。この腫瘍マーカー測定の意義は、2000年のAmerican Society of Clinical Oncologyde で、「乳癌患者において、マーカーによる再発診断治療効果判定の有用性は否定され、経過のモニターとしての有用性が認められているに過ぎない」とされております。進行乳癌や、他の検査で再発が確認されている乳癌で、マーカーが基準値を超えているものは、マーカー値の変動が病勢をよく反映しており、モニターとして有用です(高くなっている場合は癌が広がってきているし、低くなる場合はコントロールされてきている)。マーカー値が上昇してきた場合は、骨・肺・肝などに転移・再発があるかどうかを、骨シンチ、CT、PET-CT等の画像診断で確認する必要があります。
NSE(神経特異エノラーゼ)は、神経細胞、神経内分泌系細胞が癌になる事によって血中に出現する量が多くなります。肺癌、神経芽細胞腫、膵癌、胃癌、乳癌などの場合に、高値を示しますが、NSEは赤血球中にも存在しますので、溶血が起こるときにも高値になります。NSEの上昇と薬の内服との関係は分かりませんが、おそらく何らかの影響で溶血が起こったのではないでしょうか。(文責 須田)

 

No.6180】  06年12月25日  M.O
ノルバデックス服用における子宮癌発生のリスクについて

37歳の主婦です。半年前に0期非湿潤癌で右乳房を全摘出しました。その後ホルモン療法を行っております。ノルバデックスを5年間、リュープリン注射を2年間することになりました。投薬開始前の説明で、主治医より「子宮癌のリスクが高くなるので半年ごとに婦人科検診をします」と説明を受けました。投薬開始からそろそろ半年近くになってきましたが、主治医が病院をやめてしまい、別の医師に婦人科検診はいつするのか質問したら、1年毎で充分と言われました。一般的に婦人科検診は半年と1年、どちらなのでしょうか?

ノルバデックスを服用する事によって、子宮体癌になるリスクが2〜4倍になると言われています。子宮体癌は、もともと800人に1人くらいの発生ですが、理論上は、これが800人に2人〜4人ということになります。しかし仮にノルバデックスによって子宮体癌になったとしても、ほとんどが早期癌で、死亡率には影響していません。個人的には、婦人科検診は1年毎でよいと思います。(文責 須田)

 

No.6179】  06年12月24日  K
アロマターゼ阻害剤の服用について(2)(HPNo.6101-2)

HPNo.6101で、ご相談した者です。非常に有用なアドバイスありがとうございました。
妻は手術後8年目に入り、9月に骨シンチで肋骨一本に異常(黒い影)があるということで、3ヵ月後の先日、再検査を受けました。幸い打撲の痕跡とかで影も消えて安心しました。それにしても今年2月に転んで、肋骨を打ったか覚えていないのに、そこに集積するとは驚きました。これからもこういった異常でもないことに怯えるのも辛いことですが、ご回答に「初めはフェマーラを内服しなかった患者さんたちが、2-3年の無治療期間のあとでフェマーラの内服を始めた方と、結果を聞いても内服しなかった方の比較でも、フェマーラを内服した患者さんの方に再発が少なかったということなので、術後7年目の方でも、これからフェマーラ(もしくは他のアロマターゼ阻害剤)の内服を始めることで、“決して頻度は多くないが起こる可能性のある術後5年目以降の再発”のリスクを減少させることができます。」とありましたので主治医に相談しました。主治医は妻が48歳であることで、ホルモン剤で閉経しているとはいえ「閉経とは言えないし、フェマーラは高価だし、副作用を考えるとフェマーラを現段階では服用する必要はない」ということでした。私としては有効であれば使いたいと考えていますが、アドバイスをいただければ幸いです。

48歳という年齢を考えると閉経前である可能性もあります。血中のエストロゲン濃度を測定し、閉経後かどうかの確認をする必要があります。閉経後であるとすれば、必ずフェマーラが効くとは限りませんが、効果のある可能性があるので、主治医にフェマーラを使いたい旨を申し出て、いつから服用するかは別として、服用する方向で検討していただくのがよいと思います。充分に主治医とご相談の上、納得のいく治療を選択してください。ただし、閉経前の場合は適応がありません。(文責 須田)

 

No.6178】  06年12月24日  N 
両脇の下に脹らみと痛み

30歳の主婦です。もうかれこれ15年くらい前から両方の脇の下に、シコリというよりは硬い脹らみがやや上部にあり、腕を上げるとモコっとうずら卵大くらい盛り上がっています。右のほうが大きく、左は軽いです。普段は痛みは無く、押すと痛いです。右の脇下には、ずっと治らないニキビ跡みたいな傷もあります。腋毛の処理をし始めた頃からの痛みや脹らみのような気もします。処理のせいで痛むことがあるのでしょうか? 前に右胸に痛みがあり、エコー検査を二回ほどしましたが異常はありませんでした。その時に脇の下も押してもらったのですが、「何もないよ?」と言われて終わってしまい・・・。もう長い付き合いですが、大きさも痛さも変化無しです。一体何なのでしょうか。すみませんが、ご意見お聞かせ願います。

直接拝見して診察しないと、はっきりした事は分かりません。「ニキビ跡のようなものが、ウズラの卵くらいの大きさに盛り上がっている」という事ですが、粉瘤という良性の瘤かもしれません。ウズラの卵大の大きさであれば触知可能だと思いますので、不安を取り除く意味からも、乳腺外科(又は外科)を受診して、細胞診などの検査をしたほうが良いと思います。(文責 須田)

 

No.6177】  06年12月24日  R.T.
乳癌でしょうか?

52歳、既婚者です。数年前から乳房周りの一部が凹んで、乳房が引っ張られている感じになっています。全く気にせず過ごしてきましたが、しこりは自分で触った感じではありません。凹でいるところは硬くなっています。痛みはまったくなかったのですが、最近チクチクとした痛みを感じるようになりました。直ぐに病院に行けば良いのでしょうが、もし癌だったらと・・・。入試の子供がいる為、いろいろ考えて行くことができません。

乳房に陥没があるとの事ですが、陥没部分の下部に腫瘤(こぶ)があるかもしれません。不安を取り除くためにも精査が必要ですので、一度専門医を受診して、ご相談ください。(文責 須田)

 

No.6176】  06年12月24日  A.H. 
陽子線治療

10日ほど前に非浸潤性乳癌との診断を受け、今週末に肝臓と肺のCTスキャン及びアイソトープ検査、年明けにMRIで癌の正確な位置と大きさを調べる予定です。手術日は未定。
たまたま見ていた今朝の番組で、外科的手術をしないでも陽子線治療によって癌が完治すると知りました。保険がきかないので300万ほど掛かるとのことでしたが、それでも切らずに治るなら安いものだと思い調べたところ、乳癌での臨床例が無いようなのです。乳癌には用いることができない治療法なのでしょうか?

陽子線を人体に照射すると、表面線量は小さく、陽子が止まる寸前の位置で線量が著しく大きくなるので、深部の癌の放射線治療に適しています。乳癌は体表面であるため、逆に皮膚に強く反応が出る可能性があります。また、陽子線を作るには大型の装置が必要になるため、わが国では、深部腫瘍を対象として、筑波大学や国立がんセンター東病院など、限られた施設でしか行っておりません。以上のような理由から、乳がんは陽子線での治療対象とはなっておらず、行えないわけではありませんが、目的が少し異なり、ある意味では過剰な治療かもしれません。(文責 須田)

 

No.6175】  06年12月24日  Y 
腕のしびれについて

術後2年、左全摘です。2〜3ヶ月前から、左の腕が肩こりのような痛みがして、指先がしびれます。関係あるのでしょうか。治療方法があるのでしょうか?

指先に行く神経は頚椎の間から出ています。乳癌では頚椎への骨転移により、神経を圧迫して痺れが出る場合があります。骨に転移のないことを確認する必要がありますので、骨シンチ又はPET−CTによるスクリーニングの検査をお勧めします。これらの検査により骨に転移が認められなければ整形外科的な病気が考えられますので、整形外科でご相談ください。(文責 須田)

 

No.6174】  06年12月24日  K.H
肝臓のしこりについて

10月に温存手術をしました。病理結果は「腫瘍の大きさ1.6cm、断片−、ホルモン感受性+、HER2−、リンパ節転移0/4、gradeV」でした。現在放射線治療中で、その後ホルモン治療の予定ですが、一つ気になる事があります。8月に腹部のCT検査をした時に肝臓にしこりらしきものが2個あり、主治医は「たぶん肝嚢砲でしょう」と言われました。その後10月に転院してエコーで見てもらった所、やはり肝臓にしこりが2個あり、主治医は「たぶん肝血腫でしょう。肝臓に転移している確率は低いです。」と言われました。前回CTの造影剤でアレルギーが出たので、詳しい検査はしていません。そこでお聞きしたいのですが、肝臓に転移している可能性はありますか? ご意見お願いします。  

造影剤でアレルギーがでたとの事ですが、造影剤を使用しないPET−CTを行ってみるのも一つ選択肢です。PET−CTでは、1cm以上の病変でないと判定できない場合もありますが、不安を抱えたままよりは、行ってみる価値はあるかもしれません。(文責 須田)

 

No.6173】  06年12月24日  A.S. 
検査について

29歳・女性・出産経験なし。お伺いいたします。一年前に受けた乳房診で両乳房乳腺症と診断されましたが、日常生活に影響なしという事で、そのままにしていました(3〜4年前からクリクリと右下にあるしこりが気にはなってましたが)。今年受けた乳房診で、「触診:右乳房硬結、超音波:右乳腺腫瘤、精密検査要」と診断がでました。すぐに大きな病院でマンモグラフィー、CT、生検をしましたが、悪い細胞ではないと診断されました。3ヶ月おきに超音波や生検をしていますが、「悪い細胞ではないが気になるしこりやな・・・、このまま様子をみましょう。」と、先生は詳細については教えてくれず、不安な診断をされます。もっと調べるには手術で細胞を取ってしまうのが早いと聞きましたが、まだ私は結婚をしていない為、先生は傷跡を気にして、この検査はあまり勧めません。が、妊娠する前にはこの検査をするようにと言われました。今のうちに細胞を取って検査をした方がいいのでしょうか? また、他の病院でも診てもらった方がいいのでしょうか?

気になり不安を覚えるのであれば、生検をしてもらった方がよいと思います。またセカンドオピニオンで他の病院で診てもらうということになれば、同じ検査をもう一度行うことになるかもしれませんが、それも一つの方法です。まずは現在の不安な気持ちを主治医の先生にお話し、今後の治療についてご相談してみてください。貴女の病状を最もよく把握してくださっているはずです。(文責 須田)

 

No.6172】  06年12月24日  M.N. 
乳がん術後の腋下の痛み、つっぱりについて

12/5にG病院で約1cmの右乳癌の円状部分切除手術を受け、センチネルリンパ節は2個採り、生検の結果転移なしでした。術後3日目くらいから腋下の痛みがあり(直後から痛みがあったかもしれませんが、傷のほうが気になって気づかなかったのかもしれません)副主治医に伝えましたが、「外観も触診でもなんともないので、気にしすぎでしょう。」と取り合ってもらえませんでした。退院後もずっと痛みが続き、腕を上げると腋に明らかに筋(すじ)が浮きだっていて、つっぱり、その筋に沿って痛みが走ります。そのような筋は反対側の左側には全く見られません。もちろん手術前には右側にこのような筋はありませんでした。その筋に下着が触れるだけで痛く、病院からもらった痛み止めを飲んでも効き目がなく、湿布を貼っても全く効きません。退院後の12/15の術後診察の際に主治医にも痛みを訴えましたが、手術の際に神経が傷つけられる可能性があるので、このような痛みや違和感があるのは当然と言われ、患部を温めるくらいしか緩和の方法がないと言われました。リンパ節郭清の場合にはこのような後遺症はあるでしょうが、部分切除と生検のみでもこのような後遺症があるのでしょうか? 主治医に診せてもあまり真剣に診てもらえないし、痛みががまんできないので整形外科を受診してみようかなと思っていますが、アドバイスをよろしくお願いします。

手術の際に神経が傷つき、術後の疼痛が長く続く事が稀にあります。痛みも強く(灼熱痛)、コントロールに難渋します。整形外科ではなく、痛みのコントロールの専門家でもある麻酔科のペインクリニックを受診し、相談してみるのも一つの方法かもしれません。(文責 須田)

 

No.6171】  06年12月24日  Y.T. 
内視鏡手術は可能でしょうか?

乳房に1.2cm程のしこりと、8ミリ程度のしこりがあります。マンモグラフィーで、大きいしこりの下あたりに石灰化があるのが確認され、しこりに針を刺し細胞の検査をした結果、悪性という事でした。1/4切除の手術が必要とのことでした。胸が小さくてコンプレックスをかかえていた上に、乳癌、1/4切除とは、とにかくショックでした。いろいろ手術法を調べた結果、円状切除術や、傷跡があまりめだたない内視鏡手術がある事を知りました。傷跡は小さいにこした事はありません。CTですとか、その他の術前検査はこれからなので、詳細はまだこれからなのですが、私の場合、円状切除を勧めれなかったのはなぜか、また内視鏡手術は可能かどうか知りたいと思います。また、内視鏡手術を行える基準みたいな事ってあるのでしょうか?よろしくお願いします。

「しこりが2つ」という事は、多発乳癌でしょうか。おそらく2つの病変がある程度離れているので、円状部分切除術を行っても、1/4切除と範囲がほぼ同じになるのではないでしょうか。内視鏡手術は、大きく切除する手術に比べ体に対する負担が少なくてすむため、腹部や胸部の手術に一般的に用いられていますが、乳癌に対しても保険適応になっています。しかし、乳房は体の表面にある臓器で、現在の標準の術式である胸筋温存乳房切除術や乳房温存術でも、体にそれほど負担がかからない事、また、内視鏡手術は従来の術式に比べて時間がかかる事などから、普及には至っていません。
また、リンパ節郭清の確実性や再発の程度などに関する長期的な成績については、まだ充分なデータはないのが現状です。(文責 須田)

 

No.6170】  06年12月24日  OK 
局所的非対照性陰影

40歳主婦です。既婚、10歳と7歳の子供がおります。先日検診を行いましたが、マンモグラフィーで局所的非対照性陰影(左A)の結果を受け、昨日大学病院で再検査を受けました。超音波は他の先生で、結果はわからず、触診はかなり慎重にみた結果、小さいものが発見されたようです。(自分ではわかりません。痛みなどもなしです。) 早速MRI検査の予約をとりましたが、この時点でMRIが必要なのでしょうか。また肝血管腫の疑いもあり、連日でMRIを受けますが体に悪影響はありませんか。昨日病院で聞けばよいのに、忙しそうできけませんでした。申し訳ありませんが、教えてください。

直接診察していないので推測の域を出ませんが、マンモグラフィー・超音波・視触診で総合的に判断をし、「病変がある可能性が高い」ということだろうと思います。そこで、次にMRIで病変の広がりを確認し、診断の一助にしようと考えていらっしゃるのでしょう。その次の検査としては、細胞診・マンモトームを含む生検をすることになると思います。検診で「肝血管腫の疑い」との事ですが、肝血管腫は良性の病変ですが、血管腫以外の腫瘍(悪性)でない事をMRIで確認する事になります。必要な検査ですので、受けて下さい。MRIは磁気を利用した検査で、放射線被爆とは関係なく、繰り返し受けても人体に悪影響はなく、心配はありません。
分からない事、不安に思っている事などがありましたら、遠慮なく主治医の先生にご相談ください。納得の上で、検査や治療を進めることが大切だと思います。(文責 須田)

 

No.6169】  06年12月24日  T・k
乳癌の手術について

お忙しいところ申し訳ありません。宜しくお願いいたします。
私(48歳)は本日、乳癌であることが分かりました。会社の健診でマンモグラフィーにて石灰化(2ケ)が見つかり、超音波での検査でもわかりにくく、マンモト−ムを受けた
結果が初期の乳癌とのことでした。外側には出ないものらしく(しこり等で)、手術は6ケ月、1年先でも大丈夫とのことでした。乳管の中だけの癌ということでしょうか? 急がなくても大丈夫なのでしょうか? 癌の部分だけを切除すれば再発もしないし薬も必要ないが、全身麻酔で開いてみないと全切除になるかどうかわからないとのことでした。詳しい説明は来年1月になります。完全に切除しなくても良い再検査はないのでしょうか? とても不安です。マンモトームの検査から1週間以上たちますが、あちこち内出血していて、乳房のまわりが紫に変色して、未だに痛みがあります。大丈夫でしょうか?

乳管の中だけの癌、つまり乳管内癌の診断だと推測されます。乳管内癌ですので、癌の広がりについてはMRIの検査でだいたいの予測はつきますが、癌細胞はとても小さく、画像だけでは本当の広がりを確認する事はできません。従って、切除したものを病理学的検査に出して確認する事になります。乳管内癌が進行癌に変わることもありますが、乳癌の進行は比較的遅く、1〜2年はかかりますので、このような理由で「来年でも大丈夫だ」と、主治医の先生は仰ったのだと思います。しかし放置しておくという事ではありませんので、来年1月の受診時に納得がいくまで説明を伺い、引き続き治療を行ってください。マンモトームによる合併症の一つに出血がありますが、たとえ出血しても、いずれ吸収されるので心配ありません。病気と前向きに取り組むためにも、分からない事、不安な事は、まず主治医から充分な説明をお聞きになって、納得のいく治療を受ける事が大切です。(文責 須田)

 

No.6168】  06年12月22日  Y.K. 
センチネルリンパに1個転移あり

母(64歳)のことですが、3ヶ月前に左側にマンモで石灰化が見つかり、先週、乳房全摘、センチネルリンパ節生検で手術をしました(16年前に右側の乳房全摘、リンパ郭清しています。その時、リンパへの転移があったかはどうかは憶えていません。その後は転移もなく完治)。今回の手術でセンチネルリンパ3個のうち1個に転移アリと説明を受けました。ということは、1個以上のリンパ節への転移があるということでしょうか。術前は0期で、非浸潤がんだろうと言われていたので、とてもショックです。1個でもリンパへの転移がある場合は、今後抗がん剤治療をすることになるのでしょうか。

仰るとおり腋窩リンパ節転移陽性となり、リスク分類では、中等度リスクまたは高リスクに分類されることになります。これを言い換えると、一個でも腋窩リンパ節転移のあった方は、再発率が相応に高いということを示しております。通常、抗癌剤の使用が推奨されることとなります。(文責 谷)

 

No.6167】  06年12月22日  K・K
5 年検診後のアリミデックス投与について

いつも拝見し勉強させていただいていますが 今回初めて相談です。5年前の12月乳房温存手術、しこりの大きさ3.5センチ、リンパ転移なし。抗がん剤1回だけしましたが、副作用のため断念、半年後左卵巣腫瘍5センチでしたが、両卵巣摘出しました。乳癌手術をした医師は乳腺の専門医ではなく不信感を抱き、半年後に卵巣手術を受けた大学病院の乳腺外科に転院しました。そこで初めて、今からでも放射線治療をした方が良いとの事で、8月になって25回の放射腺治療を受け、現在に至っています。そこで相談なのですが、5年検診クリア後の診察で、主治医に「もうちょっと薬を続けてはどうですか?」と言われました。ホルモンに依存する癌は、術後5年経過した後でも再発の可能性が低くないという説明でしたが・・・。大学病院なのでデータが欲しいのかとも思いますが、私の場合はしこりが3.5センチもあったのに抗がん剤を1回しか受けていないので、続けた方が良いか迷っています。現在投与されているのは、アリミデックス1T パキシル1T リポバス1T です。よろしくご教授お願い致します。

エビデンスがあるのはアリミデックス5年間投与ですが、それより先さらに継続するべきかどうかは主治医の先生とよく相談の上と言わざるを得ません。今まで副作用等特に問題なく経過しているのなら、主治医の先生の指示通り、さらに続けてみるのも一法かと思います。(文責 谷)

 

No.6166】  06年12月22日  S . 
石灰化と結節影について

母(60歳)のことでお聞きしたいことがあります。1ヶ月ほど前に健康診断を受け、昨日結果が出たのですが、乳癌検診で、「両胸に結節影あり、右胸に石灰化」で至急精密検査となっていました。石灰化については、今までのご相談内容を拝見させていただいて、なんとなく理解いたしましたが、結節影とはなんなのでしょうか? やはり癌なのでしょうか?「要精密検査」ではなく「至急」となっていたので、父がとても心配しております。母は癌家系なので、年齢的にも家系的にも高リスクで、娘としてもとても心配しております。現在父は脳梗塞の後遺症と喘息で、母が仕事をしながら看護もしております。娘の私は遠方に嫁いでしまったので、母がもし入院とかになったら、母の体はもちろん、今後のことがいろいろ心配で・・・。よろしくお願いします。

お母様は検診でマンモグラフィをお受けになり、その結果石灰化と結節影ありと診断されたのだと思います。結節影とはレントゲンにて「しこりの様にみえる影」のことで、実際にしこりがあるかどうかは断定できません。いずれにせよ早急に乳腺外科を受診し、精査するべきと考えます。(文責 谷)

 

No.6165】  06年12月22日  K.A. 
乳癌治療について

今日、初めてこのホームページを見ました。私も11月に乳癌の切除手術を受けました。現在は放射線治療を受けています。知人に「切除しなくても治せるのよ。テレビでもやっていたでしょう。」と言われました。本当にそんな治療があるのでしたら教えてください。一般的なものとは思えないのですが。

乳癌の治療は現在のところやはり手術が基本であり、それを化学療法、放射線療法、ホルモン療法、分子標的治療などがサポートするといった図式です。しかしまだ臨床試験中ではありますが、超音波やマイクロ波を使用し乳癌のしこりを直接焼灼する治療も一部の施設では行われております。(文責 谷)

 

No.6164】  06年12月22日  K・Y
リンパ転移の数について

11月15日に母(59歳・閉経後)が左胸全摘手術を受けました。、病名は「浸潤性乳管癌」、23個摘出したリンパに18個の転移が見つかりました。1月から半年間抗がん剤治療をし、その後は放射線とホルモン療法を行うと言われています。癌の種類的には悪質なものではなかったとの事でしたが、リンパ転移の数が多いのが非常に気になっています。主治医の先生は「完治を目指して治療していきましょう」とおっしゃって下さいますが、一般的にこの数だと再発の確率が高く、生存率は低いような気がするのですが、どうなんでしょうか? 抗がん剤の治療で苦しむだけ苦しんでも再発のリスクが高いのなら、本人の意思もあり緩和ケアの選択も考えています。ただ、今のところ他の臓器への転移はみられないようです。現在、乳腺外科の先生に術後の結果を聞いたばかりで、まだ乳腺内科の先生にはお会いしていないのですが、ある程度こちらの選択肢も用意しておかなければと思い、質問させて頂きました。たくさん症例があり、一般的な見解が母の状況に一致するとは限らないという事は重々承知しておりますが、一般的にみたリンパ転移の数の転移や生存の目安についてアドバイス頂ければ幸いです。

腋窩リンパ節転移の個数は予後を反映していることは確かであり、18個のリンパ節転移があったということとなると、再発率はある程度高いことは事実だと思います。しかしお母様の場合59歳とまだお若いですし、現時点で緩和ケアを選択するのは一般的には得策ではありません。というのも、乳癌は抗癌剤治療、放射線治療、ホルモン治療、分子標的治療など選択肢も多く、また感受性も他の部位の癌に比べ高いことが知られており、完治する可能性も決してそれほど少ないわけではありません。また不幸にも再発したとしても、これらの治療が再発までの期間の延長や、再発後の苦痛の緩和に働いてくれる可能性も充分にあります。そして何よりも、主治医の先生が完治を目指して治療しましょうと言ってくださっているとのこと、ぜひお母様と一緒にこれからの治療頑張っていただきたく思います。(文責 谷)

 

No.6163】  06年12月19日  N 
潰瘍

今年夏乳ガンが再発し、小さい潰瘍がいくつかあり、分泌液もあるのですが、ここ何日か少し鼻につく匂いがするようになりました。主治医の診察は一週間後なのですが、それまで待っていても大丈夫でしょうか? 分泌液の匂いは、なんでしょうか? また細菌などに感染しているのですか?

乳癌術後の局所再発により潰瘍を形成、ここに細菌感染が生じると悪臭が伴うことがあります。1週間後に診察とのことですので、それまでの間はシャワーなどで局所を清潔に保つことがベストと考えます。ただ、痛みや出血が強いときは、早々に受診した方が良いと思われます。(文責 谷)

 

No.6162-1】  06年12月19日  B  
術後の治療について

術後の治療についてお尋ね致します。42才、閉経前で未婚、妊娠出産経験はありません。今年10月に1.5cmの浸潤性乳管癌を部分切除で摘出しました。病理検査の結果、センチネルでリンパ節転移0/7、ホルモン感受性+、断端−、HER2−、1.5cmのうちの1.0cmがgrade3でした。現在は放射線治療を受けています。中間リスクだと思うのですが、この後ノルバテックス5年プラスゾラデックス2年か、ノルバテックス5年プラスAC×4で悩んでいます。主治医の先生はACはやりすぎだとおっしゃいます。お忙しいとは存じますが、ご意見をお聞かせ願いたいのです。

メールの内容からではリスク因子はgrade3のみ(脈管侵襲は不明ですが)でありますが、リスク分類では仰るとおり中間リスクに分類されます。よってノルバデックス+ゾラデックスか化学療法(AC療法)+ノルバデックスなどが選択肢にあがることとなります。ただgrade3だけなので低リスク寄りの中間型リスクと考えれば、主治医の先生の仰る通りホルモン療法だけで充分との考えとなるでしょう。最終的には、もともと少ない再発率をさらに少しでも下げるために、AC療法の副作用を認容できるかどうかにかかってくるものと思います。(文責 谷)

 

No.6162-2】  07年01月25日  B  
術後の治療について(2)

ご回答ありがとうございました。42才、閉経前で未婚、妊娠出産経験はありません。今年10月に1.5cmの浸潤性乳管癌を部分切除で摘出しました。病理検査の結果、センチネルでリンパ節転移0/7、ホルモン感受性+、断端−、HER2−、1.5cmのうちの1.0cmがgrade3でした。主治医の先生に伺ったところ、脈管侵襲は明らかでないとのことです。結局ホルモン治療を選択しようと思うのですが、2つ質問がございます。
1) ゾラデックス2年+タモキシフェン5年とゾラデックス2年+AC療法では効果は同等なのでしょうか。また転移再発率の違いはどれぐらいでしょうか。
2) ホルモン療法は4割の人に効き目があり、抗癌剤は3割の人に効き目があるというのは本当でしょうか。

1) 直接比較した臨床試験のデータが無いのでわかりません。化学(AC)療法を行った場合、タモキシフェンを追加投与することのほうが多いと思います。化学療法施行後も閉経していない場合には、ゾラデックスを追加投与する場合もあります。
2) 年齢や病理組織所見、ホルモンレセプターの発現状況によっても異なってくるので、一概にホルモン療法が4割、化学療法が3割とは言えません。(文責 千島)

 

No.6162-3】  07年01月27日  B  
術後の治療について(3)

お忙しい中、ご回答ありがとうございました。HPNo.6245で相談させて頂いたBです。3つ疑問がございます。
1) ゾラデックス2年+タモキシフェン5年の間、大豆製品(納豆・豆乳)が大好きで毎日1回は頂いていたのですが、やめたり控えたほうが良いのでしょうか。
2) 女性ホルモンを抑えて去勢レベルになると肌や髪、爪がぱさぱさになると思うのですが、コラーゲンやプラセンタを飲んではいけないでしょうか。(友人に勧められましたが、プラセンタは心配です)
3) ゾラデックス2年+タモキシフェン5年服用で、太らないように気をつけたり、ダイエットの必要があるのでしょうか。現在身長158cm47kg、一度もダイエットしたことはありません。

お忙しい中くだらない質問ですが、よろしくお願い致します。

1) 大豆に含まれるイソフラボンのことを心配されているのだと思います。乳がんの患者さんにとって本当に悪いのか、許容範囲はどの程度なのか、まだよくわかっていません。わからないのであれば、控えておいた方がよいでしょう。
2) これもデータがありません。わからないのであれば、使用しない方がよいと思います。
3) このホルモン療法で、太ったら効果が下がるとの報告はありません。しかし、他の成人病のことを考えると、肥満には注意すべきでしょう。(文責 徳田)

 

No.6162-4】  07年01月30日  B  
再発率について

迅速なご回答ありがとうございました。42才、閉経前で未婚、妊娠出産経験はありません。昨年10月に1.5cmの浸潤性乳管癌を部分切除で摘出しました。病理検査の結果、センチネルでリンパ節転移0/7でホルモン感受性+、断端−、HER2−、1.5cmのうちの1.0cmがgrade3でした。脈管侵襲は明らかでないとのことです。術後に放射線を25回(50d)を受けました。現在ゾラデックス2年+タモキシフェン5年を開始しました。私の再発率は、乳房内再発と遠隔転移それぞれどれくらいを覚悟すればよろしいでしょうか。本当は一番先に伺いたかったのですが、勇気が出なかったのです。お忙しいことと存じますがよろしくお願いいたします。

乳房内再発は、2-3%、10年の遠隔転移再発は、12,3%と思います。(文責 徳田) 

 

No.6162-5】  07年03月15日  B  
ホルモン療法の副作用について

以前HPNo.6162でご相談させて頂いたBです。その節は、ありがとうございました。早速ですが、ホルモン療法の副作用について質問がございます。現在ゾラデックス+タモキシフェンを開始して一月半経過しました。生理はその間1回ありましたが、止まったようです。個人差があるのは充分承知しておりますが、一般的に副作用はお薬を開始して何か月ぐらい経過して出現するのでしょうか。また、副作用を訴える方は全体の何%くらいいらっしゃるのでしょうか。43才ですと、このまま閉経する確率は何%くらいでしょうか。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。

短期には更年期障害様の副作用がありますが、長期には骨粗しょう症などの問題もあります。それぞれの薬剤の添付文書かパンフレットを貰えますので、主治医か薬局で貰って下さい。(文責 石山)

 

No.6161】  06年12月19日  J.K
抗がん剤はもうしなくていいですよと言われましたが・・・(2)(HPNo.5974-3)

ご回答有難うございます。再度の質問になりますこと、お許しください。
@治験での薬物治療の制限について
このまま治験の計画どおり進めるなら、私は「術後化学療法をしない群」にあたると思いますが、治験をはずれて標準治療を受けるべきか悩んでおります。説明文書では「手術で取った腋かリンパ節に転移が認められた場合、術後に予防的化学療法を行う。術前にパクリタキセルを受けた方はFEC治療を行う。術前にFECを受けている方は術後に3週毎のドセタキセル治療を予定する。」と書かれています。手術前に化療担当の先生とお話した時は「術後に危険因子があれば行う」と言っていました。
A腋かリンパ節転移があったかどうかについて
治療前にリンパLN穿刺生検を行いました。エコーで見ながら腋に注射針位の針を刺して細胞(リンパ液?)を取った。癌細胞は(−)だが超音波で1センチ位膨らんでいるのが分かるし、肺CTにも腋の腫れが映っているので可能性が高いと外科の先生は言っていました。腫れが癌の転移によるものでない場合でも抗癌剤治療によって小さくなることもあるのでしょうか? 癌転移でないとしたら抗癌剤後も腫れたままなのでしょうか?

やはりタキサン系治療をしたい気持ちが強くなっていますが
1)最後のFEC治療から約2ヶ月経過してしまいますが、期間があいてしまうと治療効果がうすれてしまいますか? 脱毛していた髪が生え始めてきています。前回の薬の効果がきれないうちに次の治療を早く行ったほうがよいのですか?
2)あえてタキサンの治療をした場合のデメリットはありますか? 副作用の他に例えば他臓器の癌を発症してしまうなど。
3)化学療法を先行した場合、放射線治療の開始が数ヶ月後になると思いますが、放射線治療は開始が遅れるとよくないと本で見たのですが、化学療法と放射線治療のどちらを先に行うのがより再発を防ぐことができるのでしょうか?

お忙しい中に唐突な質問ばかりで申し訳ありません。どうかご教授よろしくお願いいたします。

1) タキサン系抗癌剤治療開始するのであれば、理論上なるべく早急に施行するのがより良いと考えられますが、実際のところ明らかな規定やエビデンスはなく、また正月を挟むことともなりますので、あまりnervousにならず施行するタイミングは主治医の先生とよくご相談のうえでよいと思います。
2) ドセタキセルの副作用として、骨髄抑制、悪心、嘔吐、脱毛などに加え、倦怠感、無力、胸腹水、爪の変化、流涙、味覚障害、聴覚障害などが指摘されております。多臓器への発癌性は指摘されておりません。
3) 乳癌診療ガイドラインでは、放射線照射と化学療法はどちらを先行させても予後に影響しないことになっております。しかし35歳と若年であり、ホルモン感受性が陰性であることなど、局所再発の抑制より遠隔転移再発の抑制をより重視という観点に立てば、化学療法先行がbetterであると考えます。(文責 谷)

 

No.6160】  06年12月19日  N
乳がんの検査・疑いについて

初めてご質問します。現在29歳、出産経験無し、身内に乳がんはいません。半年前よりほぼ毎日、左乳房より黄色の分泌液が下着に付着し、先日病院の乳腺外科で2回検査しました。その結果、触診・エコー・マンモグラフィー共にはっきりした所見は無く、2回行った分泌液とエコー下での細胞診の結果も異常は見つかりませんでした。しかしながら、触診の際に左乳房を圧迫すると血清の混じった分泌液が出るため、外科手術を行っている乳腺外科を紹介してもらい、更に精密検査を受けることになりました。そこで、ご質問です。
1) 更なる精密検査とは、どんな検査を行うのでしょうか? 乳管内造影の場合、検査を行うことによって体に悪いということは無いのでしょうか?
2) 病院でマンモグラフィーの検査をした時に、垂れ流れるように血清の分泌液がでた後から約2週間、圧迫しない限り分泌液が全く下着に付着しなくなったのですが、それは何か考えられますか?
3) 今までの検査結果で異常が見つからなくても乳がんの可能性があるのでしょうか? また、乳がんでは無い場合、どんな病気が考えられるのでしょうか?

以上、検査についての不安です。宜しくお願いします。

1) 乳管造影検査,洗浄細胞診などをまず施行することになると思います。乳管造影は、乳頭の先の乳管孔を少しずつ広げた後、この孔から細い注射針を刺し造影剤を注入するもので、多少の疼痛は伴いますが、全身に影響が出ることはまずありません。乳管造影でも結論が出ない場合、乳管内視鏡という1mm前後のとても細いカメラを乳管に挿入して直接乳管の中をみるという検査もありますが、これを施行している施設はまだ限られております。
2) マンモグラフィで圧迫したことにより、乳房内に貯留していた液体が搾り出されたためと考えられます。
3) 乳管のなかだけにとどまる癌(非浸潤癌)はなかなかみつけにくく、これが潜んでいる可能性を完全に否定はできないと思います。乳癌以外でこれらの症状を呈するものとしては、乳管内乳頭腫、炎症、乳管拡張症などがあります。(文責 谷)

 

No.6159】  06年12月19日  M.O.
大腸ポリープとの関連

以前に一度相談したことのある33歳、二児の母です。今年5月にマンモグラフィーで両胸に石灰化がみられ、左側の微細石灰化が乳がんを否定できないということですが、二つの病院に診てもらったところ、どちらの病院でも経過観察でよいとのことでした。次回の検診は来年3月になっています。先日、他の検診を受けたところ、便潜血で陽性になり大腸内視鏡検査を受けました。その際、8mmくらいのポリープがみつかり、病理を調べてもらっているところです。そこで心配なのは、乳がんと大腸がんの関連です。ポリープががん化しているようなら、転移ということも考えられるのでしょうか? またポリープが良性のものであったとしても、関連はあるのでしょうか? 大腸ポリープの病理の結果がでてから相談した方がよいのかもしれませんが、心配なのでアドバイスをいだだけたらと思います。

乳がんと大腸のポリープ(癌)とは、関連はまったくありません。(文責 谷)

 

No.6158】  06年12月19日  A 
今後の治療法について教えて下さい

40歳です。10月末に右胸に腫瘍が見つかり、局所麻酔で日帰りの摘出手術を受けました。その時は「良性のものでしょう」とのことだったのですが、細胞診の結果、乳ガンと診断されました。細胞診の結果は、充実腺管ガンで、癌グレードがU、腫瘍の大きさ11mm、ホルモン感受性無し、HER2(−)でした。その後11月末に腫瘍の周りを2cmくり抜く温存手術を受け、リンパ節転移はありませんでした。放射線治療は1月から始めるのですが、化学療法について、主治医の先生は、「やるとすれば、経口の抗ガン剤を飲む事になると思いますが、副作用のことを考えると、飲むか飲まないかは患者さんの選択です。私としては、医療過護になってしまうかも・・・・と考えると、飲まなくてもいいかもしれない。あなたのガンタイプだと、10人中9人の先生は、飲まなくていいと言うかもしれません。でも、あくまで患者さんの決めることなので、飲むとすれば、1年から2年飲んでもらいます。でも、副作用が出たらすぐに止めます。」と、言われました。私も副作用のことを考えると怖いのですが、でも、ホルモン感受性が無いということや、癌グレードがUということを考えると、飲んだ方がいいのか、とても悩んでいます。もちろん再発は怖いので、極力再発率が低く、かつリスクが少ない選択をしたいと思っています。抗ガン剤は飲むべきでしょうか。また、主治医の先生は点滴や注射の抗ガン剤は必要ないとおっしゃっていますが、本当に必要はないのでしょうか。経口抗ガン剤を服用したとして、副作用が出た場合、すぐに止めてしまって効果はあるのでしょうか。副作用が出ても飲み続けた方がいいのでしょうか。教えて下さい。よろしくお願いいたします。

貴女の場合、ホルモン感受性がないこと、グレード2であることがリスクの要素であり、リスクカテゴリーでは中等度リスクに分類されます。さらにホルモン感受性がないので、補助療法は化学療法施行ということになり、現段階ではアントラサイクリン系を含む抗癌剤(AC,EC,FECなど)が推奨されております。ただしこれらの抗癌剤は副作用として脱毛、白血球減少、悪心嘔吐などがあり、また施行に3〜6カ月程度要しますので、主治医の先生とよくご相談のうえ決定してください。なお経口の抗癌剤(フッカピリミジン系)はその効果が明らかでなく、現段階では推奨されておりません。(文責 谷)

 

No.6157】  06年12月19日  M.S. 
マンモグラフィーによる影響

47歳の主婦です。病院で超音波検査と穿刺吸引細胞診を受けましたが、細胞診の結果が細胞数の不足で出ませんでした。不安になり別の病院でマンモグラフィーを受けたのですが、穿刺後わずか1週間でマンモグラフィーを受けたため、もし癌細胞があった場合、穿刺後すぐに強力な圧力を加えたことが悪影響を及ぼさないかどうかが心配です。よろしくお願いいたします。

穿刺吸引細胞診のあと数日以上経てばまず出血の心配はなく、またマンモグラフィの圧力で癌に影響が出たという報告はないと思います。(文責 谷)

 

No.6156】  06年12月19日  T.M.
乳房のしこり

47才の主婦です。既婚者ですが、子供はいません。昨年末、左乳房下の右にころっとしたしこりとぷちっとした小さなしこりを見つけ、乳腺外科で診察を受けました。先生に、「しこりがあるので、念のためマンモグラフィーと超音波検診を受けて下さい」と言われたため受けましたが、超音波ではしこりの確認ができませんでした。2人の女の先生が、しこりがあるのを確認し、そこを重点的に何度も超音波を当てて下さったのですが写らず、首を傾げておられました。結局写らないため、首を傾げながら「異常なしとしか言えないねえ・・・」とのことで、マンモグラフィーを見て下さった先生も「別に異常ありません」とのことでした(細胞を採る等の検査はしていません)。私も一緒に見せて頂いたのですが、インターネットで見ていたような白い固まりは無かったような気がします。ただ最初に触診して下さった先生が、用でお帰りになったとのことで、マンモグラフィーを見て下さったのが他の先生だったので、触診をして頂いていないのに不安を感じ、後で「しこりがあるのですが・・・」と胸を触って頂いたのですが、そのしこりは何かということは何もおっしゃらず、そのまま異常は無いという診断を頂き帰宅しました。その時は、「異常なし」の言葉が嬉しくて、舞い上がって帰ったのですが、今になって、触診で分かるのに、超音波やマンモグラフィーに写らないしこりって何だろうと不安になってきました。
1) 機械の精度によって写らない場合や、しこりの種類によって写らない場合もあるのでしょうか?
2) そろそろ1年になるので、しこりもありますし検診も受けなくてはいけないのではないかと思っているのですが、他の病院で受けてみた方がいいのでしょうか?それとも前に受けたところで受診する方がいいのでしょうか?

お忙しいところ申し訳ないのですが、教えて頂けますか? よろしくお願いいたします。

1) 私も同様のことを時に経験します。おそらく、乳腺の堅い部分を触診でしこりと感じているのですが、マンモグラフィでもエコーでも他の乳腺と区別がつかないのだと思います。このような場合は、まず心配のないものと考えております。
2) どちらでも良いと思いますが、貴女の安心のためには別の乳腺外科を受診して、もう一度最初からよくみていただく方が良いかもしれません。(文責 谷)

 

No.6155】  06年12月19日  Y  
腰痛について

いつもお世話になります。妻は温存手術後8年(U期、リンパ1個転移)になりますが、最近腰痛を訴えます。もともと腰痛持ちですが、9月の骨シンチでは腰骨異常なし(肋骨1個に影?)でした。3ヶ月くらいで痛みが進行するほどの転移はありえるでしょうか? よろしくお願いします。

腰痛が骨転移である可能性はそれほど高くないように思いますが、心配を解決するためにも早々に整形外科受診し、原因を精査していただくのがよろしいかと思います。(文責 谷)

 

No.6154】  06年12月19日  K 
しこりの検査内容

37才、2児の母です。10年ほど前に右胸に大豆位のしこりを見つけ、マンモ、エコー、細胞診を受けましたが、「線維腺腫」だろうということで、腫瘍を取り詳しく調べなければ確定は出来ないと言われました。正直手術が怖いというのもありましたし、間近に結婚式を控えてもいたので、結婚後落ち着いたら手術をしようと思っておりました。結婚半年後に妊娠して、胸が張っていたせいなのか、しこりは触れなくなりました。出産後3ヶ月程で断乳した後も、やはりしこりは触れることはありませんでした。その後も市の乳がん検診(触診)も何度か受けましたが、しこりが発見されることはなかったので、もう腫瘍は消えたんだと安心しておりました(線維腺腫はなくなることもあると聞いたので・・・)。が、2年半ほど前に、以前とほぼ同じところに同じ大きさ位のしこりを見つけ病院に行きましたところ、触診とエコーのみの検査で「線維腺腫」なので様子を見て下さいと言われました。触診とエコーのみの診断で本当に大丈夫なのか、多少不安もありましたが・・・。2年程経ち、2〜3ヶ月前からしこりの辺りがピリピリ痛んだり、しこりが大きく形も変わってきたようなので、再び同じ病院に行きました。今回は医師も「あぁこれは・・・」という感じで、エコー検査をしました。エコーでは、大きさは2年前の倍(2cm強)になっているが良性のようで、念の為にということで細胞診をしました。結果は1週間後です。触診とエコーだけで診断はつくのでしょうか? まだ結果待ちの状態ですが、今回は細胞診もしましたが、もし悪性だったら、2年半前に行った時にも細胞診や、もっと詳しく調べられる検査をしてくれていたら早期発見出来たのではないでしょうか?

前回は経過、触診、エコーなどより線維腺腫でまず間違いないと診断されたのだと思います。ただ貴女の仰るとおり穿刺細胞診も施行するのがより慎重ではあると考えます。しかし細胞診も絶対的なものではなく、細い針とはいえ侵襲の伴う検査ですので、状況により細胞診を施行するか否かは主治医が判断することになります。(文責 谷)

 

No.6153】  06年12月19日  R.T.  
乳首の周りのかゆみ・かぶれについて

31歳 既婚者です(子供はおりません)。8年まえから、乳首の周りのかゆみ・かぶれがあり、1年前皮膚科を受診しました。皮膚科では、下着のナイロンによるアレルギー性のものではないかとのことで、薬をもらいました(リンデロン・エパデール等)。しかし、かゆみ、かぶれが治まらないので、乳癌専門の病院を紹介してもらい、受診しましたら、特に何も見つからないとのことでした。あれから1年が経過しまして症状は悪化、乳輪の周りに皮膚炎によるものなのか、皮膚が盛り上がり、硬くなり、黄色い分泌液が止まりません。年前の受診ではガンは見つからなかったのですが、その1年後発症することがあるのでしょうか? ご返答をお願いいたします。

乳頭・乳輪周囲のビラン、湿疹を主症状とするPaget病という前癌病変があり、これを心配されているのだと思います。直接拝見しておりませんので詳しいコメントは不可能ですが、昨年に乳腺外科を受診されたとのことですので、是非もう一度そちらを受診なさってください。(文責 谷)

 

No.6152】  06年12月17日  S 
腫瘍マーカー

はじめて相談させていただきます。52歳の女性です。18年3月に温存手術を受け、切除した大部分に小さな乳管がん細胞多発のため、翌月に全摘しました。
病理結果は、「浸潤性小葉がん ・腫瘍の大きさ10mm ・リンパ節転移なし、・ホルモンレセプターER、PgRとも陽性 ・HER2(1+) ・悪性度2」でした。その後、化学療法EC4クール・タキソテール4クールで9月末終了、12月よりゾラデックスとノルバデックスのホルモン療法を受けています。今回、お伺いしたいのは、腫瘍マーカーのCEAが4.1(10月2日) 5.0(12月6日)と上昇ぎみになっていることです(CA15−3は、8.6と8.2 )。再発の兆候ではないかと、年末年始を控え心配でたまりません。私のような場合、こんなに早くの再発もあるのでしょうか。また、次の腫瘍マーカーの検査はいつごろがいいのでしょうか。先生方のご意見お聞かせ願います。

まずCEAが4.1⇒5.0と正常範囲ぎりぎり内での上昇が、どの程度意味があるか難しい問題です。再発によるものの可能性も否定できませんが、この程度の数値の変化なら特に問題がなくても上昇することは充分にありえます。ただ、不安を抱えたままこのまま長く過ごすのもどうかと思いますので、病院受診し、率直に主治医の先生に現在の心境をお話していただいて、CTやMRIなどの検査、腫瘍マーカーの再検などご相談いただくのがよろしいかと思います。(文責 谷)

 

No.6151】  06年12月17日  T 
乳癌でしょうか?

何年も前から胸のしこりがあり、生理前には痛みがありましたので、先日マンモグラフィーと、続いて針細胞診をしました。先生は、その際にいきなり「悪性のようだね」とおっしゃいました。針細胞診の結果を見なくても判断出来るものなのでしょうか? 針細胞診の際には左胸の内側のしこりから細胞を摂取されただけですが、自宅に帰り左脇下をまさぐると親指ほどの窮状のしこりを感じました。こちらについては特に触れることもなかったのですが、マンモグラフィーでこのような物が出来たりするものなのでしょうか?長々と申し訳ございませんが、よろしくお願い致します。

担当の先生は触診とマンモグラフィで悪性の疑いが強いと診断され、穿刺細胞診でその確認をされているのだと思います。マンモグラフィで腋窩にしこりができることはまずないと思いますが、穿刺した刺激でリンパ節が腫れたか、もともとリンパ節が腫れていたかのどちらかが考えられます。(文責 谷)

 

No.6150】  06年12月17日  M 
ホルモン療法と余後

1) 針生検にてER+(7)PgR+(6)という結果がでました。今後ホルモン療法をするのですが、スコア数字によって効果はかわってくるものなのでしょうか。
2) 術前化学療法が終わり今後手術ですが、腫瘍が二箇所あり、VA、グレード1と言われています。再発や転移というのは、原発巣の腫瘍の大きいのが余後が悪いのか、悪性度によって余後が悪いのか、これまでの実績ではどういう評価がでているのでしょうか。

1) ホルモンレセプター判定の分類のひとつにallredスコアがあり、0〜8点のスコアのうち3点以上を陽性と判断しホルモン療法の適応としております。これらが強陽性であるとホルモン療法がより効きやすい可能性はありますが、具体的にはどの程度かは知られておりません。
2) 乳癌の予後を示す因子として色々と示されております。腫瘍の大きさ、組織学的悪性度などもこれらのひとつでありますが、もっとも予後に影響を与える因子としては腋窩リンパ節転移の有無や個数といわれております。(文責 谷)

 

No.6149】  06年12月17日  M.M.
乳癌化学療法について

米国在住、40歳女性です。乳癌告知を10月末に受けました。すでに腫瘍は摘出済みです。「・腫瘍サイズ:8mm(浸潤型) ・グレード3(Architectual:3、Nuclear:3、Mitotic:2) ・ER陽性、PR陽性、HER2陽性(FISH法) ・リンパ節転移の確認は未実施。」 追加検査の結果、乳房上部にも微少石灰化病変が見られている為、根治のために右乳房全摘出を予定しています。また乳房再建も行うつもりです。摘出手術時にセンチネルリンパ節生検を行い、リンパ節への転移を確認します。化学療法のドクターから、リンパ節への転移が無くてもHER2陽性、グレード3のため、抗がん剤治療を薦められています(Taxotere,Adoriamysin,Cytoxan)。その後にハーセプチンを1年間投与、さらに5年間のホルモン療法を予定。リンパ節への転移が無い場合でも、抗がん剤治療で再発・転移リスクは大きく下げることが出来るのでしょうか? ハーセプチンとホルモン治療のみとした場合と、どの程度数値は変わるのでしょうか? よろしくお願い致します。

これらの抗癌剤を加えることで再発率の低下はある程度期待できると思います。ただ日本ではこの補助療法のデータがなく、具体的な数字はわかりません。(文責 谷)

 

No.6148-1】  06年12月17日  R子 
乳癌再発の可能性

以前、こちらでマンモとMRIの結果だけで乳癌が判定できるか、尋ねたものです。その節はご回答をいただきまして、ありがとうございました。
やはり、母は乳癌ということで、温存術で手術し、センチネルリンパ生検をしたところ、リンパにも1つ届いていたので、リンパも切除しました、その後、放射線治療と抗がん剤は使用せず、ホルモン剤で治療を続けていましたが、放射線治療後も手術した胸にしこりが消えないので、おかしいということで、何度か先生に質問したらしいのですが、その際は「手術後に出血したので、血の塊だと思います」と、言われていましたが、1年検診をしたら、悪性の疑いがありとのことで、エコーで見ると3センチくらいのしこりがあったとのことでした。
先生は「血の塊だとは思います」とは言ってはいたものの「マンモ」もあまり良い結果ではなかったようです。細胞診の結果待ちの状態です。手術してリンパもとったのに、1年後にまた、同じところにしこりができるということはあるんでしょうか。間違いではないかと思いたい心境なのです。

乳房温存術後の局所再発率は5〜10%といわれており、やはりある一定の割合で局所に再発することは否めません。お母様に関しましては直接拝見しておりませんので詳しいことは申し上げられませんが、いずれにせよ細胞診の結果をふまえ、できれば貴女も一緒に主治医の先生とよくご相談されるのがよろしいかと思います。(文責 谷)

 

No.6148-2】  06年12月30日  R子 
乳癌再発の可能性(2)

回答、ありがとうございます。細胞診の結果はクラス0で、血が混じってしまったらしいのですが、先生は「多分、大丈夫ですよ」と言いました。私は心配なので「PET検査もさせたいのですが」と、先生に伝えました。母は検査で悪いところが見つかるのが嫌らしくて「先生が大丈夫って言っているんだから」と言いました。「先生、でも検査は必要ですよね」と先生に話したら、「お母様が嫌ならしなくてもいいでしょう、今回だって、したいと言うからしたんです(1年検診はしますよね)。PET検査をして、ささいな癌細胞を見つけたとしてどうするんですか。お母様を不安にさせるだけでしょう。もっと咳き込むとか症状が出てから考えてもいいでしょう。」と言われました。咳き込むとか、そんな症状が出てからでは遅いと思うのですが、大丈夫なのでしょうか? 3ヵ月後までの薬(ホルモン剤のみ)をもらっていますが、不安です。腫瘍マーカーとかも伺うと、「そんな数値を知ってどうするんですか」とも言われたこともあるんです。乳癌になった後の治療は抗がん剤を使わず、ホルモン剤のみ使用しています。検査はそんなに重要ではないのでしょうか??

科学的根拠に基づく、乳癌学会編「乳癌診療ガイドライン」によると、検診・診断に関しては、術後5年間の問診及び視触診と、術後1年毎の定期的なマンモグラフィー以外は、エビデンスがないことになっています。例えば術後経過観察をする上で、我国では定期的に血液検査や胸部或いは腹部CT検査を行う事が一般的ですが、これらについて有用性を示した研究がなく、専門家の見解では、これらの有用性は明らかでないとされています。治療を続けていく上では、医者と患者の信頼関係が最も大切になります。疑問点、不安に思うことは、遠慮なく相談し、納得のいく治療を選択してください。(文責 須田)

 

No.6147】  06年12月17日 k m
肺転移後の治療選択について(HPNo.6098-3

肺のCT検査の結果、両肺に多数の転移があり、最大の病巣は15mmとのことでした。直ちに命の危険がある状態ではないとのことで、下記3つの治療方法から選択することになりそうです。
(a)ホルモン療法:ゾラデックス+アロマターゼ阻害薬
(b)ハーセプチン単独投与
(c)ハーセプチン+タキサン系抗がん剤

1) ホルモン2+(弱陽性)とのことで、(a)の治療は効果があまり期待できないかもしれないとのことです。副作用が少なく、効果が見込めるなら、ホルモン療法をしたいという気持ちがありますが、効果を得られる可能性は少ないでしょうか?
2) (b)を選択し、効果が得られない場合(c)へ移行することが出来るとのことですが、この場合ハーセプチンは効果がないということになり、併用でやる意味がないような気がします。ハーセプチン単独で効果がなくても、タキサン系抗がん剤との併用で、相乗効果が生まれ、ハーセプチンが有効に機能するのでしょうか?タキサン系抗がん剤単独の方が良いのでしょうか?
3) (c)の治療が効果を発揮する可能性が一番高いとのことです。タキサン系抗がん剤の副作用は強いでしょうか? 投与中の日常生活はつらいものでしょうか?
4) ハーセプチンとタキサン系抗がん剤の投与可能期間はどのくらいでしょうか?
5) タキソール、タキソテールの効果に違いはあるでしょうか?
6) ハーセプチン+ナベルビンという治療を何かで見た記憶があるのですが、奏功率、効果はどうなのでしょうか?
7) 副作用の軽い治療から行う選択肢もありますが、延命という観点に主眼を置くと、この選択はしない方が良いでしょうか?
8) (c)の治療で効果がない場合は、その後(b)の治療をしても効果はないでしょうか?

お手数をお掛けいたしますが、回答をお願いします。

1) 難しい問題ですが、ホルモンレセプターが弱陽性ということであると、強陽性に比べホルモン療法の期待値がいくらか低下することは明らかです。しかし、現在無症状であることから考えますと、私個人的には今ならゾラデックス+アロマターゼ阻害剤を試すチャンスかとも思います。
2) 通常、相乗効果が期待され併用が推奨されます。
3) 抗癌剤の副作用には個人差が大きく、あまり苦にせず続けられる方もいらっしゃるし、副作用で継続困難となるケースもあります。タキサン系には主にタキソール、タキソテールの2種類がありますが、程度の差こそあれ、いずれも脱毛、白血球減少、悪心・嘔吐、などが生ずる可能性があります。ただ、アントラサイクリン系抗癌剤に比べれば、やや副作用が軽度であることが多いという印象です。
4) 投与可能期間というのはありません。効果が認められ、副作用が認容範囲であれば、理論的にはいつまでも投与できることになります。
5) あまり差はないと考えてよいと思います。
6) 海外では乳癌再発の一次治療としてのハーセプチン+ナベルビンの使用の臨床試験データがあり、それによると70〜80%の奏効率となっております。しかし日本ではナベルビンが乳癌に対して承認されたのは2005年ということもあって、まだまとまった成績は示されておりません。また日本でのナベルビンの使用は、アントラサイクリン系とタキサン系薬剤の双方使用後に原則的に限られております。
7) それは限らないと思います。
8) ハーセプチン+タキソテールで効果がない場合、ハーセプチン+タキソールという選択肢はありますが、そのいずれも効果がない場合は、ハーセプチン単剤では効果は期待できません。他の薬剤使用ということになると思います。(文責 谷)

 

No.6146】  06年12月17日  N.A.
線維腺腫の悪性化

お忙しいとは思いますが、よろしくお願いします。
私(35)は元々1cm弱の線維腺腫を持っており、定期的に検診を受けていました。平成13年6月:細胞診クラスU、平成15年:細胞診クラスU、あとは定期的にマンモとエコーの検査をしていました。
先日、妊娠出産を経て2年半ぶりに検診に行きました。結果、細胞診クラスVbと診断され、しこりの大きさは変化なく、腫瘍マーカーは異常なしでした。今度、組織診の検査を受けます。線維腺腫は悪性化しないとネットで調べていたので、動揺して不安でなりません。そこでお聞きしたいのが
1) 線維線種は悪性化するのでしょうか?
2) 細胞診は、たまたま悪性化した細胞がとれてなくて、元々癌だったって事はありえるでしょうか?
3) 悪性化したしこりは大きくなっていくものでしょうか?
4) 腫瘍マーカーの結果が異常なしなら、癌の場合はあまり広がっていないと思ってもいいのでしょうか?

以上 よろしくお願いします。

1) 線維腺腫が悪性化することはありません。
2) 悪性であっても細胞診の際にうまく悪性細胞が採取できず、悪性の証明が得られないことはありえます。しかし、5年以上にわたって大きさの変わらない腫瘤とすると、やはりこの腫瘤が癌である可能性はうすいと思います。ただ今回の細胞診でクラスVbとのことですので、安心のためにも組織診で確認することがベストと考えます。
3)4) 悪性化自体が生じないと思いますが、もしその周囲に癌が生じたとすると、やはり大きくなることと思います。この場合でも腫瘍マーカーが正常のことが多く、マーカーの結果はあまり意味を持たないと思います。(文責 谷)

 

No.6145】  06年12月17日  O
ホルモン治療について教えてください(HPNo.5945-3)

HPNo.5945で質問させていただきました。お忙しい中、お返事頂きありがとうございます。いつも拝見させていただいております中で不安になってきたものですから、質問させてください。主治医の先生は、40代前半とかもっと若い方達は注射もうたなくてはいけないけど、私の場合はノルバデックスDだけで大丈夫だといいます。「生理はきちんきちんと有りますが、量は少なくなってきています。」と申しあげたところ、「それなら卵巣機能も低下してきているので、尚、飲み薬だけで良いと思う。」といわれたのですが、こちらの相談室のご返答を拝見していると、本当にノルバデックスだけで良いのだろうかと不安になります。 
薬を飲み始めて1ヶ月半になりますが、生理は一度いつもより遅れてきましたし、量も少なく、以前は3日程あったのが、今回は2日程で終わっています。ノルバデックスだけでも効果はあるのでしょうか。診察日まで2ヶ月ほどあり不安です。

47歳で閉経前ということですので、タモキシフェン(ノルバデックス)にLH-RHアゴニスト(ゾラデックス、リュープリンなど)を追加するべきかどうかという問題です。主治医の先生は、貴女が再発リスクが比較的低いことや、年代的に閉経に近く、女性ホルモンレベルが低いとご判断されて、タモキシフェンのみにされたのだと思います。もちろんタモキシフェン単独でも充分に効果は期待できると思います。(文責 谷)

 

No.6144】  06年12月14日  N.I.
再発について

52歳の母のことで相談させていただきます。2年前の12月にステージUaで温存手術をしています。リンパ節に1つ転移しており、術後は放射線治療、抗がん剤、ホルモン剤を飲んで今に至ります。今年2月に腫瘍マーカーでは特に問題は無いとの事でしたが、先日のマンモの検査で、手術した方の乳房に1cm程の影が見つかりました。この場合、確実にガンが再発したという事になるのでしょうか。良性のしこりや、その他の場合は有り得ますか? また2週間後にエコーの再検査があるのですが、エコーの方がマンモより確実なのでしょうか。また病院の先生は、術後2年経過していても肺や骨など転移の可能性があるかの検査を一切してくれないのですが、普通なのでしょうか。心配で仕方ありません。宜しくお願い致します。

温存術後乳房のマンモグラフィに影が映っているとのことですが、局所再発の可能性以外に手術による瘢痕や浸出液のたまりなどの可能性もあります。このような場合、エコーでその部位を確認し、場合によっては穿刺細胞診などの病理学的な検査も施行するのではないかと思います。エコーとマンモグラフィはそれぞれその長所、短所があり、これらを併用することでより詳しく正確な診断ができます。どちらの検査の方が確実などということはありません。肺、肝、骨、脳などへの遠隔転移に対するCT、MRI、RIなどの検査を定期的に施行するべきか否かは意見の分かれるところです。自覚症状が何か生じれば、また血液検査で腫瘍マーカーが上昇すればこれらの検査を施行すれば、生存率等の成績には影響しないといわれておりますが、患者さんの安心を得るなどの効果も大きいと考えます。もし御希望おありならば、主治医の先生に直接ご相談なさってみてはいかがでしょうか?(文責 谷)

 

No.6143】  06年12月14日  A
左乳房温存手術後の治療について(HPNo.6118-2)

ご回答ありがとうございました。その後主治医に聞いたところグレードはVだそうで、腫瘍自体は2cmだったのですが、顔つきが少し悪かったようです。この顔つきというのが理解しづらいですが、術後すぐの説明に、腫瘍にヒゲがはえていたので1.4cmだった腫瘍を多めに切りました。と言う事なのだと理解しています。治療が始まり、今のところ副作用は少なく、楽に過ごせています。転移率が半分以下にすむとおっしゃって下さる言葉に励まされて、これからの治療に取り組みます。ちなみに5、10年後の生存率はどれぐらいなのでしょうか?

貴女の場合病期2となりますので、病期2の生存率で考えますと、5年生存率は約90%、10年生存率は約80%です。しかし、古いデータも入ってきますので、これよりもう少し期待しても良いのではと考えます。(文責 谷)

 

No.6142】  06年12月14日  KY  
術前の不安(HPNo.6102-2)

先日も質問させていただいた40歳の主婦です。左胸より乳頭分泌があり、先日、触診、マンモグラフィー、エコー、マンモトーム生検を経て、しこりの無い非浸潤性乳管癌と宣告され、今月末の手術を控えています。宣告以来、少しでも自分の病気を知ろうとネットや本で乳癌について勉強しているのですが、調べれば調べるほど怖くなってしまって、精神的に参っています。これから手術前の検査、骨シンチやCT、乳房MRI、心電図や血液検査などを受ける予定ですが、初診以来約2ヶ月。これらの検査で病状か悪化していたらどうしようとか、といろいろ考えると夜も眠れません。地元では乳癌といえば、ここに行きなさいといわれる乳腺外来の先生に見てもらったので、これらの検査で当初の見立てを大幅に覆すような結果が出る事はないと考えてもいいですか? しこりがない非浸潤の場合、リンパに転移はないのですか? 先生は今のところ4分の1ぐらいの切除で温存、放射線治療とホルモン治療(5年)をすることになるだろうとおっしゃっていました。ただ、MRIで病巣の広がりにより、また、手術中の断片の検査により、全摘になるとのことです。

乳癌と診断されて以来、心配で心配でいても立っても要られない様子がメール文からも推察されます。宣告を受ければ、おそらく多くの方がほぼ同様の気持ちで今後の治療をお待ちのことと思います。もうすでに一通りの検査は終わっておりますので、仰るとおり大幅に覆すような結果になることは考えにくいと思います。また非浸潤癌の場合、基本的にリンパ節転移はありません。主治医の先生が乳腺専門の先生とのことですので、今後も主治医の先生とよく話し合って、少しでも不安を解決しながら治療をお受けになってください。(文責 谷)

 

No.6141】  06年12月12日  T
術後補助療法について

30歳、妊娠出産経験なし、部分切除とセンチネルリンパ節生検の手術をしました。術後療法について、ゾラデックス2年+タモキシフェン5年と、FEC4サイクルの2通りがあると言われました。より再発リスクを下げられるのはどちらでしょうか? また、私の再発率はどれくらいでしょうか? 以下が病理結果です。1.5×1.1p、リンパ節転移:−、グレード2、PgR:+、ER:+、Her2:1+。よろしくお願い致します。

貴女の場合のハイリスクは、記載された項目からの判断では、若年齢であることと組織学的悪性度がグレード2であることの2点です。一般に部分切除後の局所再発の可能性は5〜10%程度といわれておりますが、若年齢ではこれより少し高いともいわれております。また局所再発以外の再発の可能性は、30歳という若年齢を考えますと10〜20%くらいでしょうか?ゾラデックス2年+タモキシフェン5年とFEC4サイクルとの比較試験(FASG-06)では、これらの治療効果は同程度との結果が出ておりますが、若年齢を考えると、これらを組み合わせて、FEC後にゾラ+タモを追加するという上乗せ効果も期待できるかも知れません。(文責 谷)

 

No.6140-1】  06年12月12日  T 
肝障害

いつもお世話になっています。今年2月に右全摘手術をしました、多発性乳癌で、0.8 0.7 1.0センチで、悪性度は1、リンパに10/1転移がありました。ホルモンセレプタ−は陽性です。主治医は進行がんじゃないと言っています。透析をしているので、毎月血液検査をしているのですが、今月の検査結果で、ALPの数値が(394iu)と高いし、コリンエステラ−ゼが低値になってきています。
GPT(9iu)GOT(14iu)は正常です。現在UFTを服用しているのですが、UFTの副作用で重度の肝障害があると、乳腺の主治医に聞いておりますが、肝障害を起こしているのでしょうか? 透析の主治医はγ−GPTが正常値だから、薬の副作用は考えられないと、又骨転移もカルシウウムが高くないので、転移も考えられないという診断でした。肝転移でもALPは上昇するでしょうか? 透析施設と乳腺外科とは違う病院なので、乳腺の主治医には診ていただいていないのですが、乳腺の主治医に診て頂いた方がいいですか? 先週診察だったので、三ヶ月先になります。もし肝転移なら三ヶ月先に検査をするので、それまで待っていて大丈夫でしょうか?

ALPが軽度上昇しておりますが、GOT、GPT、γーGPTが正常とのことですので、肝障害といえるかどうかというところだと思います。よってUFTの副作用や、肝転移が影響している可能性は薄いと考えます。ただ、心配をかかえたまま3ヶ月間生活するのも如何なものかと思いますので、乳腺の主治医の先生にその旨お話いただいて、検査して頂いたら如何でしょうか?(文責 谷)

 

No.6140-2】  07年03月11日  T 
腫瘍マ−カ−について

以前HPNo.6140で肝障害の事で相談させて頂き、お世話になりました。先日術後1年目の検査があり、肝、肺、骨シンチは異常が無かったのですが、透析施設でCTを撮ったら、1p×1.2pの血管腫が見つかりました。手術した大学病院でもCTを撮ったのですが、大学病院では、「小のう胞有り、その他の異状は認められません」という所見でした。エコ−を撮ってもらったのですが、エコ−検査の結果は詳しく聞いていません、「多分良性の血管腫なので、経過観察と言う事で、もう一度三ヵ月後にエコ−検査をしましょう」と言われました。それを聞いてホッとして帰ってきたのですが、色々乳癌患者さんのホ−ムペ−ジをみていると、ほとんどの人は、CEA は2.0、CA15-3 は一桁なので 、段々不安になり相談させて頂きました。
腫瘍マ−カ−は、「術前はCHEが3.7で、今回は4.4、CA15−3が11.3で今回13.4」と少し上昇しています。CEAが基準値ぎりぎりなので、肝血管腫は再発癌ではないでしょうか? 再発していた場合、CTでは写らないのでしょうか? NCC-ST-439は10.1から2.5迄下がっています。CEAは腎不全でも少し高くなると聞きましたが、高くなるのでしょうか?透析しているので、抗癌剤が(UFTとノルバデックスを服用しています)使えないと言われていますので、再発したらと凄く不安です。どうか宜しくお願いいたします。

肝血管腫はCTやエコ−検査でわかりやすいので、まず間違うことはないと思います。さらにMRI検査を施行すれば確実です。(文責 石川)

 

 

No.6139】  06年12月12日  M
悪性葉状腫瘍について(3)(HPNo.5500-3)

いつも相談させて頂き、ありがとうございます。母は先日、術後初めてになる半年後の検診を受けました。胸のCTと、お腹のエコーです。肺、肝臓共に異常なしでした。ただ、気になることがあります。それは、2ヶ月前位から咳がよくでる事です。CT検査では肺は異常なしですが、CTでは見つけられない肺転移などありますか? 主治医の先生には、咳の事は話していません。私の心配のしすぎでしょうか。次の検査は、また半年後です。ご意見よろしくお願い致します。

肺転移の有無にかかわらず、2ヶ月以上咳が続くということですので、呼吸器内科を受診されるのがよろしいかと思います。もちろんその際に乳癌術後である旨もお伝えしてください。(文責 谷)

 

No.6138】  06年12月12日  Y・H
腫瘤があるのに…

よろしくお願いいたします。以前、ある方からの質問に、「マンモでの検診の結果、散在性の石灰化が認められたが、判定では経過観察(一年)とあった。このままでよいか?」というものがあり、その回答として、「カテゴリー3以上なら要精検となるが、散在性の石灰化はカテゴリー2のため、“異常なし”なのです。」とありました。では、石灰化ではなく、“腫瘤”の場合はどうでしょう? 通常、検診では、腫瘤がある時点でカテゴリー3となり要精検となると、人から聞きましたが、私は経過観察(一年)となりました(エコー、触診では、異常なし)。健康診断レベルで、このような判定は本来あり得ないことではないでしょうか? “腫瘤”にも“散在性の石灰化”のように、検診の段階でカテゴリー1や2になるものもあるのですか?

マンモグラフィーの読影で、腫瘤陰影があれば最低でもカテゴリー3とするのが原則です。しかし例外として、脂肪濃度を含む腫瘤陰影(過誤腫、脂肪腫、乳瘤、オイルシスト、リンパ節など)、確認できる皮膚病変(ほくろなど)、粗大な石灰化を有し明らかに繊維腺腫と診断できる腫瘤陰影、経年検診で前回と変化のないカテゴリー3の腫瘤陰影はカテゴリー2として経過観察でよいということになっています。(文責 清水)

 

No.6137-1】  06年12月12日  K.K. 
確定診断について

京都在住40歳女性・母は20数年前にハルステッド法で片側全摘しています。只今、外科生検後の病理結果待ちです。これまでに以下の検査を実施しました。
エコー…しこり(触知できない)の辺縁が一定でないものが見つかる。
マンモグラフィー…石灰化なし。
細胞診…主治医から「悪いものは出ていない。」(クラスは確認せず)
マンモトーム生検…DCISの疑いあり。
胸部MRI…DCISの可能性を否定できない。病変の広がりは2センチくらいか。

この後、主治医から「検査と治療を兼ねて手術してはどうか」と提案がありました。悪性と断定されないまま治療するのは納得できなかった為、外科生検をお願いしました。本や乳がん経験者のHPを読む限りでは、マンモトームまでで、ほぼ確定診断できているように思います。私のように外科生検までしなければ確定診断できない「理由」は何でしょうか? 病理結果が出た際には、もちろん主治医に確認するつもりですが、こちらでも伺いたく思います。よろしくお願いいたします。

マンモトーム生検でDCIS疑いという診断が良く理解できません。おっしゃるとおりマンモトーム生検を行えば小さい病変でもかなり正確に診断できるはずです。考えられる理由は、マンモトームで正確に病変を切除できなかった(マンモトームで切除しにくい場所に病変があった)か、あやしいと思った病変は良性だったが、切除した標本の端っこにDCISを疑わせる病変がたまたまあったなどが考えられます。(文責 清水)

 

No.6137-2】  07年05月09日  K.K. 
三ヵ月後に現れたしこりについて

HPNo.6137でお世話になりました。39歳女性、母が乳がんで手術しています。昨年末は非浸潤癌の疑いで、左乳房の外科生検の結果、前がん上皮細胞と診断され、経過観察となりました。先日、3ヶ月後の診察がありました。今度は右乳房に二ヶ所(6〜7ミリと8ミリ)、またしてもエコーでしこり(非触知)が見つかり、細胞診の結果、クラス3と出ました(前回はクラス2)。次のステップとして、通常はマンモトームとなるところでしょうが、前回、マンモトームで「悪性の疑い」の域を出なかった為、確実に確定診断が出来る生検をする予定です。質問ですが
1) 前回も今回もマンモグラフィーで石灰化は認められませんでした。「石灰化のない非浸潤癌」というものがあるのでしょうか。
2) 4ヶ月前にエコーを取った時には、右側にしこりはありませんでした。乳がんは「緩やかに成長する」という認識でしたが、この数ヶ月で急速に大きくなったと考えられるのでしょうか。「見落とし」とは考えられないのですが…。

1)非浸潤癌でマンモグラフィにて石灰化の認められないものはたくさんあります。
2)急速に大きくなる腫瘤か、前回のエコーのときには確認しづらい腫瘤であったか、どちらかだと思います。(文責 谷)

 

No.6136】  06年12月12日  K  
右胸のしこり

現在8ヶ月の子供がいます。7月に右胸が乳腺炎になりました。それからも子供に乳をあげたくて、痛いのを我慢してあげ続けました。でも度々ジンジンと少し痛んだ為、殆ど左胸ばかりあげるようになりました。でも右も少しはあげています。ただここ2週間位前に気付いたのですが、右の胸の下にこりこりしたもの(少しいぼいぼっぽい)を見つけました。痛みやつれる感じはありませんが、すごく気になって、もしかしてガン?と怖くなりました。ただ乳腺炎の時にベテランの助産婦にマッサージをしてもらったときは何も言われなかったし、こりこりもなかったと思います。急成長するものなんですか? 普段から胸はよく触って診るようにしています。それとも乳腺がつまってこうなったりするのでしょうか? ちなみに34歳の2児の母です。よろしくお願いします。

Mailの内容からは“乳瘤”といって乳腺がつまってmilkが溜まったしこりの可能性が高いと思います。小さいお子さんもいて大変でしょうが、是非乳腺専門医の診察を受けてください。(文責 清水)

 

No.6135】  06年12月12日  Y 
生体組織検査(HPNo.6078-2)

HPNo.6078で相談させて頂いたものです。その後、マンモと超音波検査を受けました。結果は組織の微細石灰化が見つかり、しこりの大きさも2.6x1.9x3.6cmであることが判明いたしました。参考までに、超音波の方の検査結果報告をそのままここに書きますと、「There is a solid irregularly marginated soft tissue nodule in the left breast . By configuration, this is suggestive of primary neoplasm.」という良くない結果で、生体組織検査を受けることとなりました。お医者さんの話によると生体検査には4つの方法があり、
1.Fine Needle Aspiraton-細い注射針をしこりに刺して液体のものが吸いあがるかどうか確かめる。
2.Core Biopsy-太めの針をしこりに刺して組織を少し取る。
3.Incisional Biopsy-しこりの部分切除による検査。
4.Excisional Biopsy-手術によってしこりの全てを取って検査する。
私の場合4を行うそうです。全てのしこりを取り出しての検査というのは、かなり深刻な病状だと思うのですが、生体検査で悪性腫瘍だった場合、その後の再発率や生存率はどうなのでしょうか。

検査方法は1-4のどれでも良いと思います。4であれば他に比べて侵襲は少し大きいですが、一番確実な方法だと思います。(文責 清水)

 

No.6134-1】  06年12月12日  Y.A. 
再発と予後について

何度かこちらでお世話になったものですが、再発後の予後について教えていただけますか? ある方の回答の中に、「乳がんの生命予後は術後無病期間に比例する」とありましたが、術後2年目で乳房内に局所再発した場合も同じでしょうか? 局所再発と全身的な再発とは別に考えるとの回答もありました。予後についてはどうでしょうか? それと、術後療法としてホルモン治療をしているにもかかわらず再発したということは、ホルモン療法に効果が期待できないということになるのでしょうか? よろしくお願いいたします。

“乳ガンの生命予後は術後無病期間に比例する”というのは全身的な再発の話しで大雑把な目安です。乳房内再発は全く別に考えます。なぜなら、乳房内再発(単独)は生命予後への影響はほとんどありません(但し全身再発の一部分として現れた乳房内再発は別です)。ER(エストロゲンレセプター)が陽性でホルモン療法を行っていたのに再発したのは何故かという質問だと思いますが、それだけでホルモン療法全体が否定されるわけではありません。使っていた薬が効かなかったのであって他のホルモン療法が有効なこともあります。また、ERも全ての細胞に陽性とは限りませんから、ER陽性細胞は抑えられたが、ER陰性細胞は抑えられなかったと言う場合もあるでしょうし、ER陽性細胞がエストロゲンに依存しない性質を身に着けて効果がなくなったということもあります。まだまだ未知のことが多く、すべてが理屈どおりにはいかないのが人間の体です。(文責 清水)

 

No.6134-2】  06年12月19日  Y.A. 
再発後のホルモン療法について

No.6134で質問させていただいたものですが、ホルモン療法について、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか? 2004年、アメリカにて温存手術後、放射線治療。リンパ節転移がなかったため、タモキシフェンの服用のみの術後療法となりました。術後2年目の今年1月に局所再発(石灰化の状態)、それまでのタモキシフェンをアリミデックスに変えました。閉経前ですが、それまで止まっていた生理が2ヵ月後に戻ってきたため、再びタモキシフェンに戻し服用を続けています。このとき、卵巣機能の働きを抑制するLH-RHアゴニスト製剤について主治医に尋ねましたが、こちらでは全身的な再発でない限り一般的ではないとのことでしていません。私としては、タモキシフェン単独より、合わせてそれをすることでより高い効果が望めるなら、もう一度主治医に相談してぜひ受けたいと思っています(悪性度が高いので、それが気になっています)。ただ、すでに術後一年近くが経っているので、今からでもよいのかどうかも心配です。前回の回答で、ほかにもホルモン療法があるとのことでしたが、それはどのようなものでしょうか? また私の場合、最善のホルモン療法として、どんな方法が考えられますか? 今のままタモキシフェン単独でも大丈夫でしょうか? ご意見を伺えますか? よろしくお願いいたします。

局所再発とのことですが、再発後乳房全摘施行したのでしょうか? それともホルモン療法のみで経過をみているということでしょうか? もともとの乳癌の程度が良くわかりませんのでお答えは難しいですが、一般的に局所再発に対しては、全摘にて再発部位がしっかり取れているというのであれば、追加治療は必ずしも必要ないかもしれません。しかし、再発したということよりタモキシフェン単独ではあまり再発予防効果がない可能性もあり、LH-RHアゴニストを追加するのもよい選択であるように思います。(文責 谷)

 

No.6134-3】  06年12月24日  Y.A. 
日本での受診について

ご丁寧な回答をありがとうございました。再発後は全摘しています。日本では再発の場合でも追加切除で温存できる可能性もあると聞いていますが、こちらでは温存後の再発は全摘が普通で、選択の余地がありませんでした。乳がんの発症率が高いアメリカでは、基金が多いこともあり、かなり研究も進んでいるようですが、日本とは多少考え方が違うところもあって、時に不安になります。こちらの相談室は、海外に住む私にとってとてもありがたいものです。返信のメールで申し訳ないのですが、一時帰国の際に日本で受診することは可能でしょうか? 帰国時には保険に入りますが、薬の処方(ホルモン剤)などはしていただけるのでしょうか? 来年2ヶ月ほど日本に帰国しますが、こちらでは保険の関係上、薬は1ヶ月毎にしか買うことができないので、1か月分は日本で必要になります。またその場合、まったく同じ薬でなくても(途中で薬が変わっても)効果は変わりませんか? お手すきのときでかまいません。お返事いただけたら幸いです。

一時帰国の際、受診は可能です。できれば、これまでの治療経過および紹介状をもらい、「腫瘍内科」、又は「乳腺外科」を受診して下さい。もし、紹介状などをいただけない場合は、受診病院でその旨申し出ていただければ、善処してくださるはずです。ホルモン剤の処方も可能です。その場合、タモキシフェン+LH−RHアゴニストでの治療になると思いますが、受診時に充分ご相談下さい。(文責 須田)

 

No.6133】  06年12月12日  M.M. 
乳癌なのでしょうか?

まだ病院には行っていないのですが、両方の乳房と回りにかゆみがあり、胸にかたい固まりがあります。乳癌なのでしょうか? 心配で、凄く不安です。

しこりを感じたら、まず病院へ行きましょう。乳癌かどうかは検査をしてみないとわからないのです。不安に思って受診を躊躇するのが一番よくないと思います。(文責 清水)

 

No.6132】  06年12月12日  T.
再発について(2)(HPNo.6090-2)

ご回答ありがとうございました。病院の先生より再発でも原発でも手術でとるべきだとの事で、残して様子を見るとの話は、ありませんでした。手術前に気管支鏡による細胞診を行う予定ですが、転移の場合、残して今後の治療の様子を見るべきなのでしょうか。ご返答をお願いいたします。

ガンの種類から言うと、乳ガンは腺癌であり、肺がんは腺癌か扁平上皮癌です。細胞診で扁平上皮癌と診断されれば新しくできた肺ガンと考え手術でしょうし、腺癌と診断されると新しい肺ガンか、乳ガンの転移かそれだけでは区別ができないので、やはり手術して組織の詳しい病理検査を行って確定診断をつけることになると思います。ですから基本的には手術だと思います。CTで多発病変があるなど明らかに乳ガンの転移であると診断がついた時のみ手術をしないという選択肢が出てきます。現時点では、まzずその腫瘤陰影がガンなのかどうか、ガンであれば原発の肺ガンなのか乳ガンの転移なのかを、どのような手段を使ってでも慎重に正確に診断するがことが最優先事項だと思います。その結果で今後の治療がまったく異なってきますから。(文責 清水)

 

No.6131-1】  06年12月12日  T 
切除以外の治療方法はありますか?

両胸に良性のしこりがあり、切る場合、乳腺も一緒に切らないとダメだし、陥没すると言われました。切る以外の治療方法を探しています。何かありますでしょうか。よろしくお願いします。

良性であれば手術の必要はないと思いますが・・・。どうしても手術以外でとりたいという事であれば、超音波を収束させてしこりをなくす方法(FUS)や、マイクロウェーブを使う方法が臨床試験中です。どの方法もどのようなしこりに適しているか、副作用は何かなど、十分考慮する必要があります。(文責 清水)

 

No.6131-2】  06年12月17日  T 
FUS(MRガイド下集束超音波手術)

FUSという治療はどこでおこなえますか?副作用は主になんでしょうか?度々すみません。

FUS(MRガイド下集束超音波手術)は宮崎県のブレストピアなんば病院で行われております。局所以外の大きな副作用は特にないと聞いておりますが、もし詳細をお聞きになりたいようでしたら、直接お聞きになられるのがよろしいかと思います。<ブレストピアなんば病院(TEL::0120−311−727or0985−32−7170)>(文責 谷)

 

No.6130】  06年12月12日  S
わきの下の腫れについて 

毎日不安です。よろしくお願いします。市のマンモ検診で再検査となり、乳腺外科でエコーの検査を受け、両方の胸に1センチ未満ののう胞が見つかりました。43歳です。来年3月にもう一度マンモとエコーの検査の予定があります。現時点で悪性かはまだわかりません。急ぐものでもないけれど3月までに痛み等何かあれば来る様に言われています。最近気づいたのですが わきの下にふっくらとした腫れのようなものがあります。つまむと少し痛みがあります。よく脇の下のリンパへの転移が心配されているようですが、私のがリンパなのかは分かりません。鏡に向かって両手をあげたら、ぷくっと膨らんでいるのがわかります。出産直後(6年前)にわきの下に副乳が両方出来て発熱したこともあります。9月が最後で生理も止まっています。更年期からかもしれません。不安ばかりです。鎖骨の下の奥のほうの痛みも時々あります。3月まで待たずに診察に行くべきでしょうか。よろしくお願いします。

Mailの内容からはガンの心配はなさそうですが、ご心配であれば、3月まで待たずに受診することをお勧めします。(文責 清水)

 

No.6129】  06年12月12日  M
非浸潤癌の治療について

いつもお世話になり有難うございます。毎日かかさず拝見し、勉強させて頂いております。9月に非浸潤乳管癌の温存手術をし、現在放射線治療中です。病理検査の結果、断端近接だった為、部分照射を含め33回に分けて66グレイを受け、年内に終了予定です。来年早々よりホルモン治療でノルバデックスの単独服用を開始する事になっておりますが、生理が無くなる事への不安、仕事に復帰するに当たり薬の副作用の影響など、今からとても気持ちが動揺しています。HER2陰性、顔つき1、ホルモン受容体強陽性、です。非浸潤癌の癌患者が放射線治療を受けた後、無治療になる人と、タモキシフェンを5年間服用する必要のある人との境界線はどこにあるのか教えていただけますか? 私にはとても大きな違いなので、どうぞお力添えを頂けます様、よろしくお願いいたします。

非浸潤癌で乳房温存療法した場合、基本的に全身転移再発のリスクはきわめて低い(ゼロではないが限りなくゼロに近い)ので、術後治療の目的は、温存した乳房にもう一度乳癌ができるリスクをどのように下げるかを考えるのです。乳房切除していれば、この問題はおきません。非浸潤癌で乳房温存手術をしただけの場合の同側乳房内再発は約20-30%(問題となる浸潤ガンの発生はそのうち半分くらい)で、術後に放射線をかけることで、その数を半減(浸潤ガンの発生は三分の一に)できます。術後に放射線をかけて、更に5年間のタモキシフェン内服を加えると乳房内再発は更に半減します。ですから治療効果だけを考えれば、温存手術+放射線治療+タモキシフェン5年内服がbestです。しかし、これはあくまでも乳房内再発のリスクの減少だけを考えた場合の話しであって、命の問題ではありません。ですから、治療期間も短く副作用もあまり強くない放射線治療までは比較的無条件にお勧めできますが、タモキシフェンの内服については子宮体ガンの発生などのタモキシフェンの副作用も考慮してそのメリットデメリットを十分考慮して決める必要があります。ちなみに反対側乳房の乳ガンの発生率は年0.7%(10年で7%)と言われています。貴女が乳房内再発のリスクとタモキシフェンの副作用をどう考えるかがポイントです。もう一度内服を開始する前に主治医の先生とよく相談することをお勧めします。(文責 清水)

 

No.6128】  06年12月12日  U
細胞診について

お忙しいところ、何度も申し訳ありません。昨日ご相談させていただきました細胞診の吸引部分が、内出血で真っ青になっているのですが、このまま放置していて大丈夫なのでしょうか? 心配になってご相談させていただきました。宜しくお願いいたします。

診ていないのでなんともいえませんが、mailの内容からの想像では多分心配ありません。所謂“あおたん”で、穿刺したときに血管に当たって少し皮下出血したあとだと思います。そうならば、これから徐々に黄色くなっていって、徐々に色が薄くなっていって消えていくはずです。そうでないときは、すぐに病院へいって診察を受けてください。(文責 清水)

 

No.6127】  06年12月12日  H
心臓エコーについて(HPNo.5280-4)

宜しくお願い致します。(HP No5280-2)でご相談させて頂いたように、ハーセプチンの心臓への影響を確認するため、何ヶ月かに1回、心エコーをお願いしています。前回7月の時はBNG65%、今回12月は63%との結果でした。問題は、私は皮膚に腫瘍が浸潤しているため、腫瘍が胸に出ている?状態なので、エコーを正しく当てることができません。腫瘍にあたらないようにギリギリのところではかっています。大学病院ですので、検査をして下さる方も毎回異なり、今回にいたっては、検査結果に「見づらい」「推測で」と、書かれていたそうです。主治医は「信用するしかないわね」と言いますが・・・。
腫瘍が邪魔をしているため、こればかりは物理的に仕方がないとは思うのですが、なんとかもう少し「正しい数値に近い」検査をする方法はないものでしょうか?「推測で」なんて書かれてしまうと、63%という数値もはたして正しいのかどうかわかりません。大変不安になってしまいます。また、検査技師さんが、とてもお若い方でした。途中で、なぜか別の人と交代したのですが、交代で来た方もお若い方でした。もちろん見た目で判断してはいけないとは思うのですが、こういうのって経験は関係ありませんか?例えばベテランのドクターや、ベテランの技師さんに(経験豊富な方に)お願いしてみると、また違ったりする、ということはないでしょうか。あと、63%という数値自体は、点滴の続行は可能でしょうか?

心臓の働きを正確に評価するためには、心臓カテーテルを使って心臓からの一回の拍出量を測ることが良いのですが、ご存知のとおり心臓カテーテルの検査は大変な検査です。そこでこれに代わる簡便な方法としてでてきたのが心エコーで、動いている心臓の断面を画像に捉えて心臓が収縮したときと拡張したときの面積の比を測定して心臓の働きを評価する方法です。ですから、もともと比較的大雑把な検査なので、現在の状況でも測定可能だと思います。測定はほとんど機械が自動的に行うので、技師の経験年数に大きく影響を受ける検査ではないと思います。63%であればハーセプチンは十分可能だと思います。検査の値もさることながら、心臓の働きは動悸や息切れといった症状にすぐに現れますから、ご自分で注意していてもわかります。例えば、2階までの階段を休まずに昇れるかとか、スーパーまでの距離を休まず歩けるかなど、自分の生活の中に何か指標を持っていると、自分の心臓の働きを評価できます。(文責 清水)

 

No.6126】  06年12月12日  Y 
骨シンチ画像について

何度かご相談させていただいている者です。いつもありがとうございます。7年目の定期検診で骨シンチ画像、左肋骨一本に集積があり再検査となりましたが、放射線診断医の判定は「問題なしか見落とし?」、主治医は「異常?」と判断されたようです。
1) 一般的に画像の読影では、客観的に「白」「黒」付けられるのでしょうか? 医師の主観も入るものでしょうか? 真っ黒になっていれば誰でも判断がつくと思いますが・・・。
2) 半年ほど前に派手に転んで胸を打った可能性もあるのですが、記憶があいまいです。半年も前の打撲にも集積するでしょうか?
3) 骨粗しょう症でも肋骨に集積すると伺いましたが、転移と同じような画像になりますか?

ご多忙中申し訳ありませんが、アドバイスください。

1) 骨シンチでは、一生懸命に骨を修復しているところにアイソトープが集積します。言い換えると、アイソトープが集積しているところの骨が壊れているということになります。骨が壊れている原因として、転移、骨折、打撲、変形性関節症などがあります。ですから、骨シンチの画像で黒くアイソトープの集積がみられれば何かの原因で骨が壊れていることを示します。そこから後は、放射線診断医、主治医が集積状況、臨床症状、臨床経過などを参考にして転移かどうか判断します。ですから、その解釈が両者で一致しないこともあります。判定に悩むときは、MRIやPETを追加で行うことで転移かどうかの判定しやすくなる場合もあります。
2) 半年前の打撲でも、状況によってはアイソトープの集積が見られることもあります。
3) 骨粗しょう症だけではアイソトープの集積はありませんが、骨粗しょう症が原因で骨折を起こしたりすると、その部位には集積が現れます。(文責 清水)

 

No.6125】  06年12月12日  K 
乳房の張りと痛み

S47年生まれの34歳です。右脇のしこりを中1の春に気づき、大きくなり、触りすぎが原因か?痛みも出たので、秋に切除。左脇のしこりは30歳の夏休みに切除。切除以降、右脇の痛みは無いのですが、左脇に関しては、生理前になると、乳房の張りに加え毎回痛みが増します。通常は気にして触らないと痛みは無いのですが、脇を閉める際、腕が当たると少し痛いです。線維腺腫なのでしょうか? ちなみに実母は47歳の時、乳ガンの為に右胸全摘しました。現在は60歳になり、一つの山は越えています。

Mailの内容からは心配なさそうですが、時間があるときに、前回手術してもらった病院か、近所の乳腺外科を受診することをお勧めします。(文責 清水)

 

No.6124-1】  06年12月11日  U 
肝転移?

母(58才)の事で、ご相談させていただきます。
体調がすぐれず人間ドッグで検査したところ、乳ガンと診断され、10月末に温存手術をうけました。手術前に、肝臓・肺・骨の検査も行い、遠隔転移はなしと診断され、医師から「遅くもなく、中期の乳ガンでしょう。」と言われました。ところが手術の結果、「腫瘍が8.5CM×4.6CM、リンパ節転移29個中15、腫瘍悪性度3、ER陽性、PgR陽性、HER2陰性、切除断片±、リンパ レベル3」という結果でした。11月末よりパクリタキセルを毎週投与する予定です。一回目投与の時の血液検査で、「GPT 47 ALP371 r-GTP 104 中性脂肪 194」という結果で 「来週また血液検査しましょう。」と言われたそうです。これは肝臓に転移したということなのでしょうか? 手術前は血液検査でも異常なしとのことでした。手術によりガン細胞が活発になったということでしょうか? あとの数値は範囲内だったようです。よろしくお願いします。 

この結果だけからは肝転移とは言えません。術後一ヶ月であれば、麻酔の影響や術後の薬の影響などを考えた方が良いのではないでしょうか。いずれにしても再検査の結果で、また主治医の先生とよく相談してください。(文責 清水)

 

No.6124-2】  06年12月22日  U 
今後の治療について

HPNo.6124 で質問させていただいたものです。お返事ありがとうございました。この間、3回目の投与に行った折、血液検査で肝機能の数値が正常になったものもあり、高いものもありましたが、「今はそんなに気にしなくてもよい」との事でした。その折主治医より、「温存手術を行ったが、再度、来年夏頃に全摘手術をもう一度行う。」といわれました。
1) そのようなケースはよくあるのでしょうか? 結果的に術前治療を行った方がよかったということなのでしょうか? また、2回も手術になり、体力的にはダメージは大きいでしょうか?
2) 今は抗ガン剤治療を受けているが、リンパ郭清(レベル3まで)を行っていることにより、体に抗ガン剤が行き渡りにくくなっているのでしょうか?
3) 抗ガン剤を週一回、決まった曜日に外来で受けていますが、その曜日の日に行けないので、 「一日ずらしてほしい」とお願いしたところ、「一週間ずれる」と言われました。その病院は総合病院で乳腺外来も毎日あり、毎日抗ガン剤の点滴投与があるのですが、一週間ずらすのは問題はないのでしょうか?

お忙しいところ申し訳けございませんが、よろしくお願いいたします。

1) 温存手術の後、病理結果などより再度全摘手術しなおすケースは時々あります。精神的にはかなりショックであると思いますが、体力的にはダメージはさほど問題にならないと思います。
2) リンパ節郭清の程度と抗癌剤の効果とは関係がないと思います。
3) これは担当される先生の事情によるものだと思います。たとえば、担当される先生の抗癌剤治療の曜日が決まっていて、その曜日でないとその先生が抗癌剤治療を管理できないということがあるのではないかと思います。通常1週間投与日をずらすことは、さほど問題となりません。(文責 谷)

 

No.6123】  06年12月11日  T.I. 
反対側のリンパの腫れについて

こちらのサイトでは、たまにお世話になっています。私は去年8月に手術をして、当時の年齢が31歳、病理が「右乳癌で全摘、しこり1.5センチ、ホルモン両方とも陽性、グレード2、リンパ節転移ナシ、HER2プラス1、脈管浸潤は少し有り」でした。治療として、AC4クールと今現在はリュープリン3ヶ月に1回と毎日のノルバデックスをしています。なんとか今のところ問題なくきており、今年8月に術後一年目の検査をしました。エコー検査、マンモ、CT検査、骨シンチの検査をしました。マーカーの検査は3ヶ月に一度やっていますが、今のところ問題なくきています。その結果なにも問題なかったのですが、エコー検査のときに「術側の胸とリンパ、反対側の胸も問題ないけど、反対側のリンパが少し腫れているような感じだ!」と、エコーの先生に言われました。エコーの先生は「この検査だけでは何とも言えないから、全体の検査を通して主治医の先生が判断しますよ」と言われました。そして主治医の先生の検査結果の説明は、「今回の検査は問題なかったです」と言われました。私はエコー検査のことが引っかかったので、主治医の先生にそのことを聞いてみたら、「CTでは問題なかったし、エコーで感じた腫れは、これくらいなら許容範囲だから大丈夫です。炎症も考えられるし・・・」と言われ安心したのですが、やはり気になってしかたありません。
新たに反対側の胸に乳癌が出来ることは多いとよく聞くのですが、乳癌が反対側のリンパに転移することはよくあるのでしょうか? エコー検査で引っかかっても、CT検査では問題なかったので安心しててもいいでしょうか? スミマセンが先生がたの意見をお願いします。

反対側の脇の下(腋窩)のリンパ節に転移することは、稀ですが、あります。しかし、現実的には触診でリンパ節が大きく固く腫れて、細胞診を行って診断します。また、リンパ節がエコー検査でみて腫れることは日常茶飯事ですから、基本的には経過観察で良いのではないでしょうか。心配であれば3ヶ月後くらいに再検しては如何でしょうか。(文責 清水)

 

No.6122】  06年12月11日  H.T.
pCRの再発率について

先生方の薦めて頂いた術前化学療法の治療で「pCR」となることができたのですが、前回の先生の相談室のお答えだと、「術前化学療法だけでガンが消えてしまうこと(pCRと表現され、2-3割程度)があり、そのような例では再発が極めて少ない。」とのこと。pCRとなっても、やはり再発してしまうことはあるのでしょうか。術前、リンパ節転移も多かった上に、悪性度も高く、年齢も乳がん患者としては若い為、心配が常につきまといます。先のことは分かりませんが、もし幸い無事に二年経過することができ、今行っているホルモン療法を中断し、妊娠を希望するなど、無謀なことでしょうか。お忙しいところ申し訳ありません。アドバイスをお願い致します。

pCRでも生存率は100%ではありません。一番長い報告では10年で95%くらいだと思います。しかし、pCRがとれなかった患者さんよりはるかに高い生存率です。妊娠の問題は難しい問題です。私個人の意見では、妊娠希望とガンの治療を同じ次元では考えられないと思っています。女性として、自分の命と交換しても子供が欲しいという方もいるでしょうし、子供を産んでも成人まで見届けられない可能性があるなら親の責任が果たせないので産むべきではないという方もいます。しかし、子供が欲しいと思っても授からない夫婦もいらっしゃいますし、健康で子供を出産しても事故などで命を落とすこともあり得るのです。一方、乳ガンの治療もきちんと治療すれば100%治るという保証もありませんし、途中で中止した影響もわかりません。妊娠可能な年齢にも制限がありますから、いつまでもこの問題を先延ばしする訳にはいきません。ご主人と良く相談され、主治医のadviceをもらって、よく考えてください。(文責 清水)

 

No.6121】  06年12月11日  U
細胞診について

お忙しいところ、宜しくお願いいたします。細胞診(細い針注射器のようなものでとりました)についてお伺いしたいことがあり、メール致しました。細胞診で血管からの血液が混じってしまい、赤血球が混じると診断が微妙だと言われました。
1) もしもガンであった場合、血管の傷から癌細胞が侵入してしまうことはないのですか?
2) 超音波の状態で、あまり心配はないと言われましたが、診断が微妙なら、もし大丈夫との判定でも、もう一度細胞診をしたほうがいいのでしょうか? 何度も針を刺すことはよくないのでしょうか?

宜しくお願いいたします。 

1) そのようなことは証明されていません。
2) 悪性を疑っているのであれば再度細胞診の検査をするか、思い切って摘出することが望ましいと思いますし、念のための検査であれば再検査は不要でしょう。針を刺す回数に制限はありませんが、何度も刺すくらいならば摘出した方が良いと思います。(文責 清水)  

 

No.6120】  06年12月11日  M 
組織診断

細胞診の結果なのですが、次の通り書かれていました。lnvasive ductal carcinoma.solid−tubular。 癌の種類だと思うのですが、教えていただけるでしょうか。核異型度1(1+2)とは、核グレード1ということでしょうか。核異型+核分裂像の点数ということでしょうか。これというのは、術後の病理結果と異なる場合もあるのでしょうか。

細胞診ではなく、針生検による組織診だと思います。Invasive ductal carcinomaは浸潤性乳管ガンという意味で、通常は乳癌の80%がこのタイプです。Solid-tubularというのは充実腺管ガンという意味で、これは日本でしか通用しない分類で、日本の病理の先生が浸潤性乳管ガンを乳頭腺管癌、充実腺管癌、硬癌の3つに分けました。しかし、この3つの分類は混在していることが多く、分類が難しく、病理医によって診断結果が異なることがあること、欧米ではこの分類を用いず、海外の臨床試験やガイドラインでは採用されていないので、実際の治療選択の時には考慮しません。核異型度1(1+2)というのは、おっしゃるとおり核異型度と核分裂像の点数の合計で、正確には核異型度でなく組織学的悪性度だと思います。核異型度、細胞分裂像の数の多さをそれぞれ三段階に分けて点数化し、それを合計して組織学的悪性度(通称グレード)を決めます。合計点2,3がグレード1、4がグレード2、5,6がグレード3です。針生検と術後の病理検査の結果はほぼ一致しますが、針生検の検体は一部の組織を診ているだけなので、一致しないこともあります。(文責 清水)

 

No.6119】  06年12月11日  A.H.
術後の治療について(2)(HPNo.6080-2)

HPNo.6080で、母の事で質問させて頂いた者です。お忙しい中、ありがとうございました。抗がん剤の副作用で、血液のがんがおこる可能性についてはかなり気になりますが・・・。エンドキサンは記号ではCですよね。どの組み合わせでも入っているようなので、抗がん剤治療では外せないのでしょうね。また新たにわいた疑問と、主治医の先生に聞き忘れた事があったので、度々で申し訳ありませんが、教えてください。
1) タモキシフェン服用で子宮体がんになる可能性があるそうですが、卵巣がんはどうですか? 定期検査はしたほうがいいのでしょうか? 母は子宮を摘出しているので、そちらは心配ないのですが。
2) どのホルモン療法剤にするか決める時は、閉経前か後という事の他には何か要素がありますか? ER、PRが、それぞれ陽性か陰性か、何%かは関係してきますか?
3) 母はコレステロールや中性脂肪を下げるプラバチンと、血栓が出来るのを抑えるバファリンを服用しています。抗がん剤とホルモン療法の治療中、飲み続けても大丈夫でしょうか。以前、主治医の先生に聞いたら問題ないと言われたと思うのですが、確認するのを忘れてしまいました。
4) 抗がん剤治療の前にパーマをかけても大丈夫ですか? CMFなので、脱毛はしないようだし問題ないかなとは思ったのですが、害はないでしょうか。また治療中(ホルモン治療中も)もかけても大丈夫ですか? それとも避けておいた方がいいでしょうか。治療中は副作用でそんな気にもならないとは思うのですが・・・。

1)  タモキシフェンの内服で卵巣ガンが増えるということはありません。
2)  ER,PRそれぞれが陽性か陰性か、陽性の強さはどの程度かを薬剤決定の参考にする医師もいます。具体的には、どちらも強陽性であればノルバデックス、そうでない時はアロマターゼ阻害剤と使い分けます。
3)  プラバチン、バファリンはOKです。同じ血栓予防薬でもワーファリンとノルバデックスの組み合わせは注意が必要です。
4)  CMFでは、アンスラサイクリン系抗がん剤程ひどい脱毛はありませんが、軽度の脱毛はあります。パーマは控えた方が良いと思います。(文責 清水)

 

No.6118-1】  06年12月11日  A 
左乳房温存手術後の治療について

11月初旬に左胸乳房温存手術を受け、センチネルリンパ生検の結果、リンパ郭清を受けまた。病理検査の結果で、主治医より、「ER-、PgR−、HER2−、センチネルリンパにひとつ転移が有ったのみ1/6」という報告を受けました。ホルモン受容がないのでフェック3種を3週間おきに3回、その後タキソテールを3週間おきに3回、終了後放射線治療に入ります。お伺いしたいのですが、私の癌はリスク的には高いのでしょうか? 又、グレイ度はどのくらいになるのでしょうか? 主治医の先生は信頼していますが、化学療法を使う事によって、どれだけ転移する確立が減らせるのでしょうか? 8日から治療が始まります。よろしくお願いします。

St. Gallenのリスク分類によれば、「リスクが低い、中間、高い」のうち中間です。グレイ度の意味はわかりませんが、グレード(Grade)であれば、病理の先生が標本を診て判断するので、病理結果の報告書に書いてあるはずです。FEC(3)->DOCE(3)であれば、術後何も抗がん剤を使わなかった場合に比べれば、再発は半分以下に抑えられると思います。(文責 清水)

 

No.6118-2】  06年12月14日  A 
左乳房温存手術後の治療について(2)

ご回答ありがとうございました。その後主治医に聞いたところグレードはVだそうで、腫瘍自体は2cmだったのですが、顔つきが少し悪かったようです。この顔つきというのが理解しづらいですが、術後すぐの説明に、腫瘍にヒゲがはえていたので1.4cmだった腫瘍を多めに切りました。と言う事なのだと理解しています。治療が始まり、今のところ副作用は少なく、楽に過ごせています。転移率が半分以下にすむとおっしゃって下さる言葉に励まされて、これからの治療に取り組みます。ちなみに5、10年後の生存率はどれぐらいなのでしょうか?

貴女の場合病期2となりますので、病期2の生存率で考えますと、5年生存率は約90%、10年生存率は約80%です。しかし、古いデータも入ってきますので、これよりもう少し期待しても良いのではと考えます。(文責 谷)

 

No.6117】  06年12月11日  k m
転移後の生存率について(HPNo.6098-2)

本日、主治医の診察を受け、再度胸部レントゲンを撮りました。肺転移とのことで、今週末にCT検査を受けることとなりました。手術(温存)時の病理診断は、「腫瘍径:2cm強、悪性度:3、HER2:3+、切除断端:陽性」でした。追加切除は行わず、通常の放射線治療+追加放射線5回実施し、ノルバデックスの服用と月1回ゾラデックスの注射を実施していました。現在39歳です。ゾラデックス開始後生理は止まっています。術後1年11ヶ月で転移判明となりました。主治医からは、今後抗がん剤治療になると言われました。
1) 5年や10年の生存率は、どのくらいでしょうか?
2) まず、HER2を使用することが多いのでしょうか?
3) 肺転移時の検査は、CTのみが普通でしょうか?
4) 余命に関するデータがありましたら教えてください。

よろしくお願い致します。

1) 術後約2年で再発ということであれば、再発した現在からの再発後生存期間の中央値は2年(言い換えれば2年生存率が50%)くらいでしょうか。5年生存率で言えば10-20%くらいで、10年となると1?2%だと思います。
2) “Her2を使用”というのはハーセプチンのことでしょうか。抗がん剤治療であれば、ハーセプチン併用を考えると思います。ER,PRの状況次第では、化学療法の前にゾラデックス+アロマターゼ阻害剤という選択肢もあると思います。
3) 肺転移の診断はCTが良く用いられます。CTで診断を迷う時はPET-CTも行われます。
4) 1)でお答えしています。(文責 清水)

 

No.6116】  06年12月11日  Y.A.
今後について(HPNo.5762-2)

以前にもこちらに相談させていただきました(HPNo.5762)。今回は今後の治療について意見をいただきたく、メール致しました。肺転移、リンパにも広く転移、胸骨にも疑いありの状況により、抗がん剤とホルモン療法の併用になりました。これまでにCEF療法3クールにゾラ3回受けています。薬で肝機能数値が上がるために、エンドキサンは様子をみながら処方され、ノルバも3週間ほど服用し、現在は中止しています。結果、3クール目を終えて、しこりは当初12センチもあったものが、なんとか7.5センチになりました。もう1クール行う予定です。ただ、今の薬ではここまでが限界ではないかという判断がありました。今週受けるCTの結果次第では、手術も可能になると思われるということで、選択が2つあると聞きました。4クール目のあと手術をするか、ただ皮膚移植が必要になる。もしくは、薬を変えてもう4クールして様子を見て、しこりの縮小があれば皮膚移植はしなくてすむ可能性もある。まだCTの結果次第ですが、この選択はどちらが懸命だと思われますか? 正直移植は避けたい気持ちがありますが、薬を変えて効果がみられなかった場合のことを考えると、決断できません。長々とすいませんが、ご意見をいただければ幸いです。よろしくお願いします。

手術をする目的は何でしょうか? 本当に今手術が必要でしょうか? 肺やリンパ節にあるガンはどうなったのでしょうか? 転移のあるガンの治療の基本方針は、“如何にガンと共存しながら、QOLを維持しつつ延命すること”だと言われています。今手術する理由があるとすれば、貴女にとって、しこりがあることがとても気になってしょうがない(精神的なQOLの低下を招いている)ので、是非とって欲しいと言った場合だけだと思います。私は、もう少ししっかり全身治療をするべきだと思います。肺転移等の状況、病理結果等が判らないのですが、可能であれば、内分泌療法と化学療法は分けて行うことをお勧めします。(文責 清水)

 

No.6115】  06年12月11日  M.Y. 
術後検診について
 

初めて相談します。2年半前にUaで左全摘OP(op前のしこりは4×5cmで、op後の細胞診腫瘍系0.3×0.3cm、ホルモンレセプター陰性、HER2強陽性、リンパ陰性、悪性度3)。その後EC療法+タキソール8回施行、現在3ヶ月毎の血液検査、1年に1回の胸部X線で経過をみています。最近の胸部X線検査は7月にとり、異常なし?でした。しかし職場検診の結果(6月胸部X線撮っていました)、今頃になり、右肺に陰影があるからCTをと言われました。約6ヶ月後の先日、CTの結果、異常所見は見られないとの返事でしたが、呼吸器のDrは実際画像を見て何かあると言うのですが・・・。術後3年目に入り、再発転移の危機が一番ピークになっている時期の7月、10月の定期検査で異常なしと言われホッとしていたところに、この様な状況に困惑しています。異常が出た場合、半年も経過していることに危惧を感じ、7月の検診は何だったのかと・・・。定期検診は癌専門病院で、職場検診は近医で見てもらっています。3ヶ月後再度CTを撮る予定です。質問ですが、
1) 画像を判断する場合、(癌の術後等)条件を熟知してみるDrと、読影だけの専門Drでは判断の違いが出るのでしょうか?  
2) 病院やDrによって術後検査に違いがあるようですが、経過を追っていく場合、必ず行う検査は決まっているのでしょうか?
3) 今頃になって疑問ですが、手術前の検査でしこり(4×5cm)があると言われ、術後の記録には0.3×0.3cmとありました。大きさの違いは、何を意味しているのでしょうか?

よろしくお願いします。

1) ガンを熟知している医師と、放射線診断の専門医では読影の仕方に差があることは事実です。それぞれ一長一短があるので、通常は放射線診断の専門医と主治医がダブルチェックする病院が多いと思います。蛇足ですが、肺転移の診断に関しては、レントゲンよりCTの方が正確だと思います。
2) HPNo.6114でも回答したように米国のガイドラインを重視する先生は一年に一度のマンモグラフィー以外は検査しませんし、そうでない先生は自分の、もしくはその病院の事情で検査を組んでいるので、一定ではありません。何を目的に何を検査するかは、患者さんが主体的に決めるのが良いと思います。
3) 術前に触診で測った腫瘤の大きさが、実際の腫瘤の大きさより大きいことは良くあることですが、4x5cmが0.3x0.3cmというのはちょっと信じられません。3.0x3.0の間違いではありませんか? 主治医の先生に確認してください。(文責 清水)

 

No.6114】  06年12月11日  H.M. 
術後の検査について
 

62歳の母が4月に右全摘し、腫瘍は3cm、リンパにも10個転移がありました。EC+T(タキソテール)療法の後、今現在11月からホルモン療法でアリミデックスを服用しています。今後の検査について主治医に尋ねたところ、乳がんに関する検査はするが、それ以外の子宮や胃などは自分で検査してくださいということでした。具体的に、どの検査をどのくらいの間隔ですればいいのでしょうか? また、乳がんに関する検査とは、転移しやすいところ、例えば、骨や肺や肝臓などは主治医が検査してくれるものなのでしょうか? よろしくお願いします。

乳癌の再発転移に関する検査は通常は、肺、骨、肝臓といった転移再発の多い部位について定期的に行われることが多いようです。しかし、検査で早期に(症状が出る前に)再発転移を発見して早期に治療を開始しても、症状が出てから治療を開始しても予後に差がないということで、米国のガイドラインでは、これらの検査は推奨されていません。ですから、この考えに従って検査を行わない先生もいます。患者さんが、自分の状態を知りたいということであれば、検査をお願いすることになります。乳癌以外の病気に関する検査(他のガンの検査も含めて)については、乳癌を診療している医師の専門外ですから、相談にはのってくれるかもしれませんが、基本的には自分で考えて行ってください。(文責 清水)

 

No.6113】  06年12月11日  J.K. 
抗がん剤はもうしなくていいですよと言われましたが・・・(HPNo.5974-2
 

以前HPNo.5974で初めて相談した35歳J.Kです。早々にご回答頂き、有難うございました。その後、決心がつき、11月初旬に手術をうけました。詳しい病理結果はこれからですが、今日、化学療法の先生には術後の抗癌剤は必要ないと言われました。術前にFEC治療(3週毎4回)を行ったので、タキサン系(ドセタキセル)の治療をするものと思っていたのですが・・・。タキサン系の治療をしなかった場、再発リスクが高くなってしまうのではないでしょうか?
今わかっている私の病状:
右乳癌 T2N1?MO、ステージUA〜B(手術前所見)、グレード1、ホルモン感受性 陰性、HER2(1+)、遺伝子感受性 パクリタキセル感受性なし。
広がりについて:腋窩リンパ節転移の可能性があるとされていました。
手術は部分切除術でリンパ節(レベルIまで)郭清、(0/11)で転移がなかったことはわかっているようです。

私の年齢と乳房温存していることから、術後の化学療法をするべきでしょうか? 私の場合、薬物療法は抗癌剤しかないと思うのですが、再発した場合に癌に耐性がつかないようとっておくという考え方もあるのでしょうか? 経口の抗癌剤はどうなのでしょうか? 薬を飲んでいると気分的に安心するのですが・・・。放射線治療が必要かについては、これから外科の先生とお話があると思いますが、術後の治療が全くないとなると、なんだかとても不安です。術前の化学療法4回だけで、全身に微小転移しているかもしれない癌を消しきれているのか心配です。どうかご教授ください。よろしくお願いいたします。

二つ疑問があります。遺伝子感受性の治験で薬物治療の制限はないのでしょうか。もう一つは治療前に腋窩リンパ節転移があったらしいというのは細胞診か組織診で確認できているのでしょうか。もし間違いなく治療前に腋窩リンパ節転移があったのならば、術前化学療法後の手術で腋窩リンパ節転移がなかったということは術前化学療法が良く効いたと考えられます。もちろん原発巣と転移巣の両方が消えてしまうのがbestですが、原発巣と転移リンパ節のどちらが消えた方がよいかというと、リンパ節転移が消えた方が予後は良いというデータがあります。術前化学療法を行った場合、術後治療をどうするかという問題に関しては、現在の段階でエビデンスはありません。したがって患者さんと相談しながら決めることになります。術前化学療法というのは乳癌が全身病であって、全身の薬物療法が治療の中心であると考えているわけですから、その考え方に立てば術後にタキサン系の抗がん剤を投与するというのは理にかなっていると思います。また術前治療でアンスラサイクリン(FEC、AC等)とタキサンを併用する場合、両者を術前に投与しても術前術後に分けて投与しても効果は同じということは証明されています。年齢も若いので、私個人としては術後のタキサンをお勧めしたいと思います。耐性ができるからとっておくという考え方はありません。経口抗がん剤も選択肢の一つだと思います。経口抗がん剤(ゼローダもしくはTS-1)単独の術後補助療法のエビデンスはありませんが、考慮する価値はあります。またゼローダはドセタキセルと併用するとドセタキセル単独よりが有効というデータがあるので、併用という考え方もあります。放射線治療は必須です。(文責 清水)

 

No.6112】  06年12月08日  K.K. 
肝転移について

はじめてメールさせていただきます。よろしくお願いいたします。母(59才)が2006/5に乳癌とわかり(2cm弱の大きさ)、2006/6に温存手術をいたしました。その時はリンパ節転移は0/5で見つからず、その後放射線治療(25回)とホルモン剤(アリミデックス)を服用しました。ところが2006/11に頭部にコブのようなものをみつけMRIを撮ったところ、3cm弱の腫瘍が見つかりました。あわてて腫瘍マーカーをチェックすると、CEA値が術後の5から26まで上昇しており、そこで今度はCTを撮りましたら、肝臓に一つ腫瘍が見つかりました。今は自覚症状が一切ありませんが、3日後から抗癌剤治療を始めることになっています。転移性乳癌は完治することがなく、いかに癌と共存共生していくかがポイントであるとは分かっていますが、あまりに早い転移で今後がとても不安です。人それぞれとは思いますが、心づもりをしておきたいので、肝転移した場合の予後の症状とだいたいの余命を教えていただければと思います。お忙しいところ申し訳ございません。

頭のこぶ、肝腫瘍が転移だとすれば、乳癌としては非常に悪性度の高いガンだと思います。Her2はどうだったのでしょうか。乳癌の生命予後は術後無病期間(治療してから再発までの期間)に比例するといわれていますから、お母様の余命はかなり短いと覚悟しなければいけないと思います。治療の影響など変動する因子はありますが、私の予想では余命6ヶ月くらいではないでしょうか。肝転移はかなり大きくならないと症状は出ません。主な症状は、痛み、黄疸、易疲労感などで更に進行すると、腎不全、意識障害なども現れてきます。(文責 清水)

 

No.6111】  06年12月08日  M
骨シンチとアルカリフォスファターゼについいて(HPNo.6043-3

いつもお世話になってます。前に相談したHPNo.6043についての延長ですが、今日検査の結果がでました。リンパは見る限りは腫れてなく、肺、肝臓には異常がなかったのですが、骨シンチで腰に一つ黒い影がありました。母は昔から(10年ほど前から)よく腰が痛いとか、ぎっくり腰になっていました。骨シンチは打撲などでも反応するので、知らない間に打ったりしてはいないのか?などと考えています。しかし、もぅ一つ異常があり、アルカリホォスファターゼの数値が500くらいあります。これは肝臓・骨に何らかの異常を示す数値だし、骨シンチにも影があるので、大変心配してます。母は卵巣、子宮がないので骨粗しょう症になりやすいと医師から言われています。今回は骨粗しょう症の検査もするみたいです。それと、血液検査時、母はリーゼという薬と鼻炎の薬を飲んでいたみたいです。腰のMRIをとって、手術は約1週間後です。手術の前日にその結果を知らされます。その日母を心強く支えるためにも、少しでも早く可能性などを知っておきたいんです。主治医は「骨への転移の確立は低いし、僕はステージ1だと思ってるのですが・・・。」と言っておりました。
1) 上記の情報をふまえて、骨の転移の可能性はどれくらいなのか?
2) もし、転移ではないのなら、他にどんな可能性が考えられるのか?
3) 骨の原発性の癌ではないのか?

お忙しい中、いつも本当にありがとうございます。

1) 低いと思います。MRIの結果を確認してください。
2) 骨シンチは何らかの原因で傷ついたり壊れたりした骨を修復しているところにアイソトープが集積します。ですから、骨転移以外にも骨折、打撲、変形性関節症等々、様々な病気で異常な集積がみられます。
3) 違います。(文責 清水)

 

No.6110】  06年12月08日  I.M
脇の下のしこりについて

46歳の主婦です。2、3日前から右脇の下が痒くなり掻いたところ、くりくりするしこりに気がつきました。場所は脇のちょうど真ん中から下に1,2センチで、大きさは1センチくらいです。腕を真上に上げて見ると、ぷっくり膨れているのが分かります。本日人間ドックの予定でしたので診て頂いたところ、「脂肪かリンパかなぁ」とのことでした。乳がん検査は触診のみで、特に異常は認められないが、念のため後日エコーとなりました(本日マンモは済ませました)。脂肪の塊だとするとエコーでわかるといわれましたが、簡単に診断がつくものでしょうか? また先生のおっしゃった「リンパかなぁ」とは、どんな病気が考えられるのでしょうか? 乳がんの転移では・・と、不安です。ご回答よろしくお願いします。

検査とすれば、マンモグラフィーとエコーで十分でしょう。それであやしければ穿刺吸引細胞診を行います。
可能性としては、皮膚由来の紛瘤、毛嚢炎など、皮下組織由来の脂肪腫、石灰化上皮腫などであとはリンパ節です。リンパ節が腫れる原因として悪性のものでは乳癌の転移、悪性リンパ腫などで、良性の場合は手指に傷があってそこから細菌が進入した場合の炎症性腫大、猫引っ掻き病等々。検査結果が出るまではどうにもなりません。まずは検査結果を待ちましょう。(文責 清水)

 

No.6109】  06年12月08日  R 
人参養栄湯の服用について

18年5月に乳房温存術を受けました。現在はフェマーラを毎朝内服しています。その他に、免疫力を高めることを目的に、人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ ツムラ 108)を朝夕内服しております。先日乳ガン診療ガイドラインの解説2006年版を読みましたところ、「民間療法の効果について、プロポリスやロイヤルゼリー、高麗人参などは基礎実験により女性ホルモン作用を持っていることが知られているため、長期服用により乳ガン再発を増加させる可能性が懸念されます。」との記述を読みました。漢方薬の人参養栄湯にも高麗人参が入っています。どのように考えたら良いでしょうか。漢方の先生に尋ねたところ、単品の摂取と多種混合の摂取では効果が違うので、そんなに神経質にならなくてよいとのお答えでした。

よく勉強されていて敬服いたします。確かにガイドラインにそのような記載があるのですが、女性ホルモン作用があることと、女性ホルモンであることは別です。ローヤルゼリー等の中には、効果を高めるためにひそかに女性ホルモンを混ぜている場合があります。そのような場合は女性ホルモンを摂取したことになるのでまずいと思いますが、成分表示を見て、女性ホルモン、エストロゲン、エストラジオール、エストリオールなどの標記がなければ大丈夫だと思います。“乳ガン再発を増加させる可能性が懸念される”という表現はあまり適切ではないと私は思います。正確には“可能性についてはわからない”だと思います。人参養栄湯、十全大補湯等の免疫力を高める作用については、リンパ球の活性を高めるなど基礎実験で証明されています。(文責 清水)

 

No.6108】  06年12月08日  U.K
乳頭からの分泌物

初めてご相談いたします。35歳、既婚、妊娠出産経験なし、出産を希望しています。母は35歳の時に良性のしこりの摘出手術を行い、母方の伯母は10年前に乳癌で乳房を切除しています。以前から時々乳首が痒かったり、生理前になると乳房や乳首が触れるだけで痛く感じたりしていましたが、今年8月中旬ごろに右乳房の乳首1ヶ所から茶色の分泌物がでてきました。左からは何も出てきませんでした。
近くの病院で、触診・超音波検査・マンモグラフィ・乳腺MRIをしました。その結果、腫瘤も微細石灰化も見つかりませんでした。同時に分泌物の細胞診を2度行いましたが、1回目はクラスVa、1週間後に行った2回目はクラスVbと判定されました。担当医師によると、「現段階では6対4の割合で乳管内乳頭腫あるいは乳癌と考えられるが、判断がつきにくい。また、MRIでは1mm以下のしこりは発見できない。一度でも細胞診でクラスVbと判定された場合乳癌である可能性がある。乳癌であった場合かなり早期から治療することが出来る。」との理由から、3ヶ月以内に分泌物を生じている乳管の切除手術を行い、組織検査を強く勧めると言われました。
私としてはMRIでも病巣の確認ができない上記のような状況下で、体にメスを入れるということは、なんだか乱暴に聞こえて、抵抗を覚え、念のため他の病院でも同様に触診・超音波検査・マンモグラフィ・ダイナミックMRI等の検査を行いましたが、ここでもやはり腫瘤も微細石灰化も見つからず、細胞診の結果はクラスU、CEAは1000ng/mlでした。しかし、ここでは強い乳腺症と診断され、炎症をおこした乳腺の近くに癌がある可能性も否定できないので、念のため経過を見て、6ヵ月後にマンモグラフィの検査を行うようにとのことでした。異なる診断結果がでて、どちらを選択すればよいのか、困っております。
1) 全身麻酔をかけて乳管の切除手術を行うという判断は妥当でしょうか? 担当医師は歯医者で親知らずを抜くような、軽い手術なので心配することはないとおっしゃっていますが、そんなにリスクの少ない手術なのでしょうか?
2) それとも2番目の病院で診ていただいた医師のおっしゃるように、経過を見て、6ヵ月後にマンモグラフィの検査を行った方がよいのでしょうか? また、強い乳腺症なのに、その治療は行わなくてもよいのでしょうか?

現在も同じ箇所から分泌物(色は茶色から透明に変化)が出ており、最近では右乳房後首から、もう1箇所から透明の分泌物が出ます。長文になってしまい申し訳ありません。質問内容も他の方と重なる部分も多いのですが、先生方のご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。

1) “親知らずを抜くような”という表現が適切かどうかわかりませんが、基本的には外来で、局所麻酔で行う手術で、30分から45分程度の手術です。患者さんが大変心配していて白黒をつけたいという強い希望がない限り、3bが一回だけで手術という選択はないと思います。一度3bが出たからといって、乳癌の可能性が高いとは言えません。分泌物の細胞診は落ちてきた細胞を見るので細胞の変性が強く、乳頭腫でも3a、3bを繰り返すことはよくあります。臨床的には乳癌の場合、暗赤色の血性分泌が続くので、だんだん色が薄くなって来ているのならば、あせって手術する必要はないのではないでしょうか。
2) 一方、ガンであっても細胞診にガン細胞が出ないということもありうる話なので、しばらくは月一回程度分泌物の細胞診を繰り返して、時々マンモグラフィーを行うというのが一番よいのではないでしょうか。その経過の中でやっぱりガンが心配ということであれば、その時点で手術を考えたら如何でしょうか。また、乳腺症に特別な治療はありません。(文責 清水)

 

No.6107】  06年12月08日  N.T. 
乳癌の検診について

6ヶ月前に定期健診でマンモグラフィーとエコー検査をしました。右胸に石灰化の白い点々が写ったので、検診は半年に一度受けるように言われました。今回11月15日の検査では、右胸の石灰化の集まった部分が見られるからという事、そして左胸に7mmほどの線維腺腫:これに悪性のものが混ざっていたり、隠れている時もあるので、更に調べたほうが良いとのことで、MRI検査のできる病院への紹介状をもらいました。私は東京に住んでいますが、その紹介された病院は千葉県なので、他の病院を探したいと思っていますが・・・。でも、こういう場合は次の段階として、細胞採取の検査をするのが普通なのではないでしょうか? MRIで疑わしいものが写ったら、マンモトーンという検査で細胞採取するというのですが・・・。検査料はMRI が15,000円で、マンモトーンが片胸20,000円だそうです。こんなに大金をかけて2つの検査をする必要が本当にあるのかどうか、決められなくて悩んでいます。先生曰く、右胸の石灰化が集まった部分の診断は、5つに分けたカテゴリーで、私の場合3になるとのことでした。12月は時間が作れないので、1月に検査をしたとしても心配ないかを確認したら、もし1月に調べて癌が見つかったとしても、まだ早期発見のレベルだから大丈夫だとのことでした。細胞を取って調べる検査というのは、長時間かかるものですか? また、そのような検査ができるのは、大きな大学病院とかでしか受けられないのでしょうか? そうすると、今診てもらっている病院からまた新たに別の病院への紹介状を書いてもらわなければ検査は受けられないですか? こういう細かいところまで聞いてくれる病院ってなかなかないので、この相談室はとても助かります。どうぞ宜しくお願いいたします。世田谷区在住 会社員 38歳女性より。

マンモグラフィーでカテゴリー3の石灰化がある場合、次にどうするかという質問だと思いますが、私の意見はMRIは必要ないと思います。現在乳ガンの診断でMRIを使うのはガンと診断された場合のガンの広がりを見る場合で、検診に用いるというのは、無意味ではないでしょうが総合的に判断したらあまり意味がないと思います。したがって貴女がおっしゃるように細胞診が良いのですが、触診でわからない場所を細胞診の検査するのは難しく、マンモグラフィーを撮りながら石灰化の場所に細い針を刺して細胞を取るか、あとはマンモトーム生検になります。ただし、カテゴリー3の石灰化病変というのは相当たくさんありますから、これを全てマンモトーム生検するというのも無理です。そのため、カテゴリー3の場合、カテゴリー3を3a、3bに分けて、3aの場合エコーで異常所見がないときは、しばらく経過を見て3-6ヵ月後のマンモグラフィー再検とすることもあります。セカンドオピニオンを希望される場合は前回のマンモグラフィーを借りていくのが望ましいのですが、もう一度マンモグラフィーを撮影することを厭わなければ、紹介状なしでも大丈夫だと思います。蛇足ですが、マンモトームの保険点数は3600点、病理検査1290点ですから、自己負担3割の場合、検査代14620円の検査です。(文責 清水)

 

No.6106】  06年12月07日  momo
病理結果による今後の治療について(2)(HPNo.6095-2)

お答えありがとうございました。再度お伺いいたします。Intermediate Risk以上ということでホルモン療法単独〜化学療法も考慮ということですが、どちらの治療になるかは主治医の考え方の違いから決められるのでしょうか。先生はどう判断を下しますか。化学療法をするとしたら何が適応されますか。ホルモン療法単独より再発率は下がりますか。3ヶ月以上経った今からでも化学療法を取り入れていくことは可能でしょうか。又、診断書から私が理解できる箇所は限られますが、Her2陽性とは、どの部分で分かるのでしょうか。すべて主治医に任せている状態で、口数の少ない先生であると共に、私の勉強不足で要点をついての質問ができません。立て続けの質問ですみません。よろしくお願いいたします。

cerbB2というのがHer2のことです。リンパ節転移はなかったがG3でHer2(3+)、内分泌療法の反応性が(uncertain:不確か)という状況の治療選択は難しいです。ハーセプチンの術後補助療法のデータが出る前であれば、現在のゾラデックス+ノルバデックスは最も推奨される治療法だったと思いますが、Her2(3+)の場合、ハーセプチンを併用した術後補助化学療法(AC->Pacli + ハーセプチン等)の有効性が非常に高いというデータが昨年報告されましたが、日本では未だハーセプチンの術後使用は保険で認められていないという現在の状況下で考えなければなりません。副作用(脱毛、嘔気、手指の痺れ等)も、金銭的な問題(高価)も、時間的な問題(化学療法は6ヶ月間、ハーセプチンは一年間毎週点滴等)もいとわず、ひたすら再発の確率を低くしたいと考えれば、主治医の先生に無理を言ってハーセプチン併用の化学療法を行って、その後に内分泌療法を行うのがいいのかもしれません。ハーセプチン併用化学療法によって再発率は半減するといわれていますが、もともとリンパ節転移がなければ再発率は10-20%程度ですから、その絶対的なmeritはあまり大きくないとも言えます。一方脱毛も点滴も嘔気もない内分泌療法だけでも20-30%再発を減らすことができます。あなたの考えが、他の因子は考えずにとにかく再発の確率が一番低くなる治療を望んでいるのか、様々な因子のバランスの中で治療法を選択しようとしているのかというところが判断基準になるのではないでしょうか。(文責 清水)

 

No.6105】  06年12月07日  K.K. 
治療の順序について

マンモグラフィーとエコー検査の結果、癌の大きさ3センチで、リンパ節移転ありと診断されました。「手術と抗がん剤治療が必要ですが、どちらを先に行うかは、こちらで判断してください」と先生から言われました。それぞれのメリットは話していただきましたが、なかなか判断がつきません。先生のほうでわからないものでしょうか。また検査をしてからではだめなものでしょうか。こちらで判断するべきものでしょうか。宜しくお願いいたします。   

悩ましい問題ですね。術前化学療法と、術後補助化学療法のどちらがよいかという問題ですが、その長所短所は既に主治医の先生から伺っているとうことなので、繰り返しになりますが、ポイントは、「どちらも最終的な生存率に差はない。術前化学療法の長所は、投与した化学療法剤の自分のガンに対する効果がわかる(術後投与の場合、多くの人に効果があった薬を使う)。術前化学療法だけでガンが消えてしまうこと(pCRと表現され、2-3割程度)があり、そのような例では再発が極めて少ない。腫瘤が小さくなって乳房温存がしやすくなる。」の4点だと思います。乳癌は全身病だと考える最近の考え方では、術前化学療法を薦める先生が多いように思います。少なくとも、一部の組織をとる検査(コアニードルバイオプシー(CNB)など)は必要ですから、その検査後の結果を参考にしてもよいと思います。(文責 清水)

 

No.6104】  06年12月07日  H.M
転移と原発

いつも拝見させて頂き、大変勉強になります。転移と原発 の違いが今ひとつよくわからなかった所、先日、タイムリーに肺の腫瘍か、乳癌の転移かという質問がありました。【HPNo.6090】06年12月02日 T. 再発について
胸の場合、たとえば左にできた後、右にできた場合、それが全く別のものだということをしばしば耳にします。1年以内なら同時性多発乳癌とか? それ以降は異時性多発乳癌とか?、組織型やホルモンが違う場合は原発のもの? 同じ場合は転移と考えるのか? そんな単純ではない? どう認識したらよいのでしょうか? お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

左乳癌術後に右にしこりができて、検査の結果乳癌と診断された場合、このガンは左乳癌の転移なのか、新しくできたガンなのかというご質問だと思います。結論から言うと、正確には、ガンを切除して病理の先生に見てもらわないとわかりません。ただ、頻度的には後者(新しくできたガン)であることが圧倒的に多いです(異時性両側乳癌)。乳癌が反対側の乳房へ転移するということもあります。しかし、反対側の乳房は乳癌の転移しやすい臓器ではないのでその頻度は極めて低く、転移例の多くは他の臓器に既に転移しているような例に多いようです。ですから、乳癌術後に反対側の乳房にガンができた場合、まず全身の検査で再発の有無をチェックして、再発がなければ多分新しくできたガンだろうということで治療を進め、最終的な病理検査の結果をみて、そのことを確認することになります。病理検査上の鑑別点は難しくなるので省略させていただきます。(文責 清水)

 

No.6103】  06年12月07日  M.S. 
タキソールからタキソテールに

母について相談します。骨転移しており、タキソールによる抗がん剤治療を受けています。タキソールを使って3年になり、現在マーカーの値は標準値内ではありますが、それ以上値が下がらなくなったため、タキソテールの話をされたようです。生活の中で、痛みや副作用は脱毛以外にほとんどなく、安定しているのですが、タキソテールをする意味はあるのでしょうか? タキソールとタキソテールの違いは何ですか? タキソテールで効き目がなくなったら、次に使用する薬はありますか?

同じタキサン系薬剤であるタキソールとタキソテールの一つの違いは、“西洋いちい”の木の樹皮から抽出した薬剤か、針葉から抽出した薬剤かの違いです。がん細胞内で薬が作用する部位は同じなのですが、交叉耐性(片方の薬が効けばもう一方の薬が効かない)はないということになっていますので、タキソールが無効になった後でタキソテールを使用することはあります。私の個人的な意見では、せっかくタキソールがよく効いて安定した状態なのですから、しばらくは無治療で過ごすというのも一つの選択肢と考えます。タキソテール以外では、ナベルビン、カンプトなどがありますし、術後補助療法でアドリアシンやメソトレキセートを使っていなければ、これらの薬も有効です。転移がある時の治療はガンを治そうとせず、ガンと上手に共存するという考え方がいいようです。蛇足ですが、骨転移の補助治療としてビスフォスフォネート製剤(アレディア、ゾメタ等)の点滴をしていますよね。(文責 清水)

 

No.6102-1】  06年12月07日  KY 
マンモトーム生検後の出血

40歳、主婦です。先日、非浸潤性乳管癌を宣告されました。異常乳頭分泌がありながら、9ヶ月間、エコー、マンモグラフィーで良性。細胞診断クラスV。マンモトーム生検でようやく悪性の診断がつきました。そこで、質問なのですが、2週間ほど前のマンモトーム生検後、いつも異常分泌がある穴とは違う穴から出血がありました。生検後なので仕方がないのかなと、そのままにして気にならなかったのですが、今日、何気なく絞ってみたら、やはりその穴からどす黒い、チョコレートのような血がでました。乳腺もはれているようで、今までにはないぶよぶよした小さいしこりのようなものもあります。血はどうやらその辺を押すと出てくるような気がします。それは生検によって乳腺が傷ついてしまったのでしょうか? それとも、非浸潤だった癌が浸潤してしまったのでしょうか? このままそっとして、あまり絞らないほうがいいのでしょうか? こんなに急速に病状が進行することはありますか? よろしくお願いします。

マンモトーム施行後からの出血であること、どす黒い血液であること、柔らかいしこりがあること、そこを押すと出血することなどの状況を考えると、九分九厘マンモトームを行った部位に血腫(血の塊)ができたものと考えます。非触知の非浸潤ガンが2週間で浸潤ガンになってしこりを作るという状況は考えにくいです。入院まで未だ時間があるようなら一度主治医の先生に相談されることをお勧めします。(文責 清水)

 

No.6102-2】  06年12月14日  KY 
術前の不安

先日も質問させていただいた40歳の主婦です。左胸より乳頭分泌があり、先日、触診、マンモグラフィー、エコー、マンモトーム生検を経て、しこりの無い非浸潤性乳管癌と宣告され、今月末の手術を控えています。宣告以来、少しでも自分の病気を知ろうとネットや本で乳癌について勉強しているのですが、調べれば調べるほど怖くなってしまって、精神的に参っています。これから手術前の検査、骨シンチやCT、乳房MRI、心電図や血液検査などを受ける予定ですが、初診以来約2ヶ月。これらの検査で病状か悪化していたらどうしようとか、といろいろ考えると夜も眠れません。地元では乳癌といえば、ここに行きなさいといわれる乳腺外来の先生に見てもらったので、これらの検査で当初の見立てを大幅に覆すような結果が出る事はないと考えてもいいですか? しこりがない非浸潤の場合、リンパに転移はないのですか? 先生は今のところ4分の1ぐらいの切除で温存、放射線治療とホルモン治療(5年)をすることになるだろうとおっしゃっていました。ただ、MRIで病巣の広がりにより、また、手術中の断片の検査により、全摘になるとのことです。

乳癌と診断されて以来、心配で心配でいても立っても要られない様子がメール文からも推察されます。宣告を受ければ、おそらく多くの方がほぼ同様の気持ちで今後の治療をお待ちのことと思います。もうすでに一通りの検査は終わっておりますので、仰るとおり大幅に覆すような結果になることは考えにくいと思います。また非浸潤癌の場合、基本的にリンパ節転移はありません。主治医の先生が乳腺専門の先生とのことですので、今後も主治医の先生とよく話し合って、少しでも不安を解決しながら治療をお受けになってください。(文責 谷)

 

No.6101-1】  06年12月07日  K
アロマターゼ阻害剤の服用について

06年12月03日  K 転移の確率で相談した者です。アドバイスありがとうございました。
1)「一般的にホルモン感受性陽性乳癌は、陰性乳癌と比べると術後5年〜10年の間でも再発率があまり下がらないのが特徴」と言うことですが、ホルモン感受性陽性の場合、陰性に比べ術後5年〜10年の間の再発率は高いということでしょうか? http://www.cancertherapy.jp/followup/2005_winter/pdf/2005winter_01.pdfのデータですと、7年後の再発率は全体的には急激に下がっています。
2) NO6079−2
【No.6079-2】  06年12月02日  A.T.「ノルバテックスの長期服用について」の回答では、「閉経後で、かつ5年間のノルバデックスのあとのホルモン療法を必要とするならば、5年以降はアロマターゼ阻害剤(アリミデックス、フェマーラなど)に切り替えるのが良いと思います。」と言うことですので、5年目以降はアロマターゼ阻害剤を服用しておいたほうが良かったと言うことになりますか? ホルモン療法後、すでに閉経しています。

よろしくお願いします。

ご指摘のホームページに掲載されているデータは、手術後再発された患者さんは何年目に多いかというデータで、グラフにあるように2年目にピークがあり、以後漸減します。このデータをホルモンレセプターが陽性か陰性かに分けると、ホルモンレセプターが陰性の患者さんの再発は最初の1―2年目に多く、以後漸減するのに対して、ホルモンレセプター陽性の患者さんの再発は、術後2−3年目から10年目くらいまで、あまり高くなくはないが、ほぼ一定なのです。そのため、5年目頃を境に1-5年目はホルモンレセプター陰性の患者さんの再発が多く、5年目以降は全体の再発数は少ないのですが、その多くはホルモンレセプター陽性の患者さんということになります。このようなデータがあるので、ノルバデックスを5年間内服した患者さんを、そのまま内服中止にした患者さんと、フェマーラを5年間追加で内服してもらう患者さんに分けて臨床試験をしたところ(MA-17試験)、フェマーラを追加で内服した患者さんの方が術後5年目以降の再発が有意に減少したのです。更に、その後の解析でリンパ節転移が陽性だった患者さんにその効果が大きいことがわかったので、最近は、閉経後で、手術時リンパ節転移があって、ノルバデックスを5年内服し終えた患者さんには、これで治療を終了するか、更にフェマーラもしくは他のアロマターゼ阻害剤を内服するかの説明がなされるようになっていると思います。もう一つ付け加えると、この試験で初めはフェマーラを内服しなかった患者さんたちが、この結果を聞いて、2-3年の無治療期間のあとでフェマーラの内服を始めた方と、結果を聞いても内服しなかった方の比較でもフェマーラを内服した患者さんの方に再発が少なかったということなので、お母さんのように術後7年目の方でも、これからフェマーラ(もしくは他のアロマターゼ阻害剤)の内服を始めることで、“決して頻度は多くないが起こる可能性のある術後5年目以降の再発”のリスクを減少させることができます。(文責 清水)

 

No.6101-2】  06年12月24日  K
アロマターゼ阻害剤の服用について(2)

HPNo.6101で、ご相談した者です。非常に有用なアドバイスありがとうございました。
妻は手術後8年目に入り、9月に骨シンチで肋骨一本に異常(黒い影)があるということで、3ヵ月後の先日、再検査を受けました。幸い打撲の痕跡とかで影も消えて安心しました。それにしても今年2月に転んで、肋骨を打ったか覚えていないのに、そこに集積するとは驚きました。これからもこういった異常でもないことに怯えるのも辛いことですが、ご回答に「初めはフェマーラを内服しなかった患者さんたちが、2-3年の無治療期間のあとでフェマーラの内服を始めた方と、結果を聞いても内服しなかった方の比較でも、フェマーラを内服した患者さんの方に再発が少なかったということなので、術後7年目の方でも、これからフェマーラ(もしくは他のアロマターゼ阻害剤)の内服を始めることで、“決して頻度は多くないが起こる可能性のある術後5年目以降の再発”のリスクを減少させることができます。」とありましたので主治医に相談しました。主治医は妻が48歳であることで、ホルモン剤で閉経しているとはいえ「閉経とは言えないし、フェマーラは高価だし、副作用を考えるとフェマーラを現段階では服用する必要はない」ということでした。私としては有効であれば使いたいと考えていますが、アドバイスをいただければ幸いです。

48歳という年齢を考えると閉経前である可能性もあります。血中のエストロゲン濃度を測定し、閉経後かどうかの確認をする必要があります。閉経後であるとすれば、必ずフェマーラが効くとは限りませんが、効果のある可能性があるので、主治医にフェマーラを使いたい旨を申し出て、いつから服用するかは別として、服用する方向で検討していただくのがよいと思います。充分に主治医とご相談の上、納得のいく治療を選択してください。ただし、閉経前の場合は適応がありません。(文責 須田)

 

No.6101-3】  06年12月28日  K
アロマターゼ阻害剤の服用について(3)

No.6101で、ご相談した者です。ありがとうございました。
フェマーラの副作用は、「フェマーラの主な副作用の症状は「ほてり」「頭痛」「関節痛」「悪心(吐き気)」などが報告されています。」とメーカーのHPに記載がありますが、どれくらいの確率で出るものでしょうか? また副作用の程度や費用はいくらくらいでしょうか? 何度も申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

○フェマーラの副作用の発生頻度は承認時までのデータでは以下のようになります。
・「ほてり」5%以上
・「頭痛」1〜5%
・「関節痛」1〜5%
・「悪心(吐き気)」1〜5% と報告されています。
しかし、アロマターゼ阻害剤であるフェマーラの副作用の主な症状として上記をお示ししてありますが、これらの症状はフェマーラの特異的な症状ではありません。また、フェマーラ錠の副作用の程度ですが、承認時までのデータでは41%なんらかの副作用が発現していますが、そのほとんど(36.9%)がグレード1の分類で程度の軽い副作用でした。他のアロマターゼ阻害剤であるアリミデックス、アフェマ、アロマシンにおいても同様に「ほてり」「頭痛」「関節痛」「悪心(吐き気)」の症状は発生頻度は異なりますが、出現する可能性はあります。
○フェマーラ錠2.5mgの薬価は1錠687.50円となっています。1日1回2.5mgを内服します。
  ちなみに他のアロマーゼ阻害剤の薬価です。
  ・アリミデックス錠1mg 606.30円/錠 1日1回1mgを内服します。 1日薬価606.3円
  ・アロマシン錠25mg 614.70円/錠 1日1回25mgを内服します。 1日薬価614.7円 
  ・アフェマ錠1mg 299.40円/錠 1日2回1回1mgを内服します。 1日薬価598.8円  (文責 金丸)

 

No.6101-4】  07年07月26日  K
アロマターゼ阻害剤の服用について(4)

HPNo.6101で御相談した者です。いつもアドバイスをいただきありがとうございます。アドバイスに従って主治医と相談して、今年2月からアリミデックスを服用していますが、倦怠感が強く出ているようです。2カ月おきの血液検査では異常はなく、主治医も「倦怠感は個人差」ということをおっしゃっているようです。副作用の可能性の中には「倦怠感」はなかったですが、やはり個人差でしょうか? また副作用を抑える方法があればお教えください。お手数ですが、ご回答いただけると幸いです。

確かに、薬の副作用は個人差があります。普通の風邪薬でも副作用の出る方、出ない方がいますので、アリミデックスに倦怠感の副作用が出ないということはありません。もし、再発の予防とて内服しているのであれば、あくまで予防的な投与ですから、ご自身の副作用がつらく、日常生活まで制限するようであれば、あまり意味のないことですから、別の薬剤に変更することも一考かと思います。特に副作用を抑える有効的な手段はありません。(文責 鈴木)

 

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