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相談室 |
このページは乳がんに関する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 なお、個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。ご相談内容は info@kbcts.gr.jp まで、メールでご連絡下さい。
なお当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。
目 次 [前のページ] [次のページ]
No
日 付
名 前
件 名
担 当
900 02/05/02 Wata
ステージIV の乳癌の経過について
稲葉 899 02/05/02 kaho
不安でたまりません・・・
片山 898 02/05/02 yota
思春期女性化乳房
稲葉 897 02/05/02 H.M.
再発後の治療方法について
稲葉 896 02/05/01 M.F.
乳房温存手術後の放射線治療について
稲葉 895-1
895-202/05/01
02/05/24H.C.
フェアストンについて
放射線照射について稲葉
加藤894-1
894-2
894-302/04/30
02/06/08
02/06/21coem
術後の更年期障害の治療
脂肪腫との関連性について
更年期障害で出される薬について稲葉
清水
須田893 02/04/30 N.M.
抗がん剤使用についての質問
稲葉 892 02/04/30 HIROMI
葉状腫瘍の術後
稲葉 891 02/04/27 まる
乳房のかゆみについて
稲葉 890 02/04/26 A.I.
アポクリン癌について
稲葉 889 02/04/26 T.O.
男なのに胸にしこりが・・・
稲葉 888 02/04/24 T.T.
右胸に違和感を感じます
稲葉 887 02/04/24 akiko
細胞診検査について
稲葉 886 02/04/24 matsu
乳首のしこり
稲葉 885-1
885-202/04/23
02/04/26N.H.
アフェマ服用について
アフェマ服用について(2)稲葉
稲葉884 02/04/23 hiroko
術後の補助療法について
稲葉 883 02/04/23 S.N.
生検について
稲葉 882 02/04/23 R.I.
母の病状について教えてください
稲葉 881 02/04/22 S.K.
治療法について
稲葉 880 02/04/22 H.K.
わきの下のしこりについて
稲葉 879-1
879-202/04/22
02/05/04H.H.
乳がん骨転移について教えて下さい
がん休眠療法や、抗がん剤少量投与法について稲葉
稲葉878 02/04/21 masako
生検について
稲葉 877 02/04/21 A.B.
肝転移後の治療について
稲葉 876 02/04/19 M.E.
乳輪下膿瘍について
稲葉 875 02/04/19 A.T.
抗癌剤治療の副作用?
稲葉 874 02/04/18 N.S.
だんだん悪化していく病状が心配
稲葉 873 02/04/15 Nemoto
エコーについて
石川 872 02/04/13 matu
思春期女性化乳房について
石川 871 02/04/13 Y.S.
黄色がかった茶色の乳頭分泌物
石川 870 02/04/12 A.I.
左胸の痛み
石川 869 02/04/12 NAOKO
Second Opinionについて
石川 868 02/04/11 sato
抗癌剤について
石川 867-1
867-202/04/11
02/04/18K.I.
生検の結果
生検の結果(2)片山
稲葉866 02/04/10 Y.K.
細胞診を抜かしてもよいのでしょうか?
石川 865 02/04/10 M.E.
突然乳首(乳輪)に痛み
石川 864 02/04/09 M.T.
胸のしこりについて
石川 863 02/04/06 アキ
しこりについて
石川 862 02/04/05 goto
脇の下のしこりについて
石川 861 02/04/03 千尋
乳癌なのでしょうか?
石川 860-1
860-2
860-302/04/02
02/04/23
02/06/15Y.I.
先に抗がん剤を使用するケースはあることなのでしょうか
抗がん剤の副作用について
手術方法についてのご相談石川
稲葉
清水859 02/03/31 M.Y.
リンパへの転移について
須田 858 02/03/31 みほ
乳癌の原因について
石田 857 02/03/31 N.E.
小学生です
石田 856 02/03/31 neomt
ホルモン療法について
石田 855 02/03/31 kazu
しこりを取るべきかどうか悩んでいます
石田 854 02/03/31 CHIAKI
うでの腫れについて教えて下さい
石田 853 02/03/28 T.M.
乳癌ではないと思うのですが…
石田 852 02/03/28 shichi
分泌物について
石田 851-1
851-202/03/28
02/03/30Y.Y.
胸のしこりについて
胸のしこりについて(2)石田
石田850-1
850-202/03/28
02/04/09はな
右胸のしこり
しこりは放っておいて平気なのでしょうか?石田
石川849 02/03/25 I.M.
乳がんの副乳への転移
石田 848 02/03/25 Miko
乳頭に分泌物?
石田 847 02/03/23 T.N.
乳癌の診断について
石田 846 02/03/23 sakura
抗癌剤、放射線治療について
石田 845 02/03/23 T.Y.
胸の痛みについて
石田 844 02/03/18 A.W.
ホルモン療法について
石田 843 02/03/18 夏海
胸のしこりについて
石田 842 02/03/18 Mori
ひざの痛みについて
石田 841 02/03/18 suzu
乳がんの痛みについて
石田 840 02/03/16 Y.K.
エコーで見えないしこり
石田 839-1
839-202/03/16
02/03/25Michi
生検をしたほうがいいのでしょうか?
生検をしたほうがいいのでしょうか?(2)石山
石田838 02/03/16 hiromi
ホルモン治療について
石山 837 02/03/14 N.T.
癌検診の結果について
石山 836 02/03/14 Aki
母の乳癌について
石山 835 02/03/12 N.N.
骨転移でしょうか?
石山 834-1
834-2
834-302/03/12
02/05/24
02/06/05T.M.
術後の抗がん剤治療について
再発予防のための卵巣摘出について
再発予防のための卵巣摘出について(2)石山
加藤
清水833 02/03/11 izu
乳がんの薬について
石山 832 02/03/10 yumi
良性腫瘍と乳頭分泌
石山 831 02/03/10 K.O.
乳癌検診について
石山 830-1
830-202/03/08
02/03/16H.H.
集中してある石灰化について
マンモトームについて石山
石田829 02/03/08 Hash
乳頭からの分泌物について
石山 828 02/03/07 T.S.
抗がん剤の効果
石山 827 02/03/07 H.H.
今後の治療について
石山 826 02/03/07 Jun
乳腺線維腺腫でしょうか?
石山 825 02/03/06 MAKO
分泌物の検査について
石山 824 02/03/06 A.T.
乳首から汁がでます
石山 823 02/03/04 T.K.
乳がん検診結果についてのご相談
石山 822 02/03/04 R.H.
乳がんと妊娠について
石山 821 02/03/03 N.S.
乳癌だった場合の授乳について教えて下さい
石山 820 02/03/03 めぐみ
母の乳癌について(乳房再建術)
石山 819 02/03/02 E.D.
乳首のかゆみ
石山 818 02/03/01 M.T.
乳癌の予防について
石山 817 02/03/01 E.A.
乳輪のかゆみについて
麻賀 816 02/03/01 M.K.
線維腺腫は悪性の場合どうなりますか?
麻賀 815 02/02/28 H.K.
患側の湿疹について
麻賀 814-1
814-2
814-3
814-4
814-502/02/28
02/04/19
03/06/05
03/06/22
04/06/27A.I.
放射線治療後の治療法について
UFTについて
肺転移の治療法について
ゼローダ単独投与について
肺転移治療中の歯科治療について麻賀
稲葉
石田
籾山
谷813 02/02/28 M.M.
脂肪腫について
麻賀 812 02/02/28 lucky
今後の治療について
麻賀 811 02/02/28 Y.O.
わきの下のしこりについて
麻賀 810 02/02/24 S.N.
乳ガンの遠隔転移について
麻賀 809 02/02/24 K.K.
乳癌とリンパに癌が・・・
麻賀 808 02/02/21 T.S.
不安でたまりません
麻賀 807 02/02/21 K.I.
化学療法の前に
麻賀 806-1
806-202/02/20
02/02/21Y.K.
卵巣摘出術の適応について
卵巣摘出術の適応について(2)麻賀
麻賀805 02/02/20 S.Y.
胸のしこりと不妊治療について
麻賀 804 02/02/19 いづみ
妹の進行乳癌、骨転移について
麻賀 803 02/02/19 H.M.
腫瘍マーカーの値について
麻賀 802 02/02/18 K.U.
術後の痛みについて
麻賀 801-1
801-202/02/17
02/02/18M.Y.
10年生存率について
10年生存率について(2)麻賀
麻賀
【No.900】 02年05月02日 Wata
ステージIV の乳癌の経過について妹の乳癌についてお尋ねいたします。妹は現在53歳、昨年秋に乳癌が見つかり、その時点ですでに肺と肝臓、リンパ節、骨に転移が確認されました。手術は適応にならず、この春、小脳へも転移しました。頭痛、平衡感覚の異常などがありましたが、放射線治療により、それらの症状は軽快し、現在は自宅治療をしております。この1週間、乳房の周囲に赤い斑点ができ、そこから潰瘍状態になっていて、医療施設より塗り薬を処方されました。しかし、その潰瘍が何故なのか、この症状が今後どのように進展するのかのインフォームド・コンセントが一切なく、家族が不安がっています。痒みはないので、掻きむしったわけではないのに潰瘍は何故できたのか、今後どのようなことが考えられるのか、多少なりとも知識を得ると、家族としてはそのときどきの症状に振り回されるばかりではなく、ある程度冷静に対処でき、妹のクオリティ・オブ・ライフを気遣うことができると考えています。アドバイスをよろしくお願いいたします。
乳癌と診断された時点で、いろいろな臓器に転移があるとのことですから、残念ながら病期としては進んだ段階といえます。乳房の周囲に潰瘍ができたとのことですが、恐らくこの潰瘍も転移で、皮膚の転移が進んで潰瘍になったと思われます。予後がある程度期待できるなら、抗ガン剤やこの潰瘍部位への放射線など治療の適応と考えますが、肺や肝臓、小脳などの転移という状況を考えると、積極的な治療よりもメールにあるようなクオリティ・オブ・ライフを考えた治療が望ましいと考えられます。今後はこの潰瘍部位を含め、他の転移部位もだんだんと進行してくると思われます。肺病巣が進めば呼吸困難等の症状が、肝臓の病巣が進めば肝機能異常や黄疸などが出てくると思います。また骨転移が進めば骨がもろくなり、病的な骨折がおきたり、痛みが強くなります。脳転移が進めば頭痛や麻痺、ふらつきなどが進むと思われます。これからは症状を和らげるような治療(痛みを取ったり、苦しさを軽くする様な治療)が中心になると思います。(文責 稲葉)
【No.899】 02年05月02日 kaho
不安でたまりません・・・こんにちは。私は30歳で1児の母です。28歳で(数ヵ月後には29歳でした)出産し、5,6ヶ月頃から混合で(それまでは母乳のみ) 1歳ちょっと前には断乳していました。その後、母乳ってまだ出るのかな?と思い、たまに絞って確認したりしてました。異変に気づいたのは2月下旬のことです。いつも?のように、まだ母乳がでるのか気になリ絞ってみた所、右側の乳頭の一部から赤黒い汁がでました。母にそれを話したところ乳がんの疑いもあるとのこと・・発見から一週間程後に外科に行ってみました。触診では、胸が大きいので、分かりづらい、とは言われたものの、特に目立ったしこりは見当たらないとのこと・・・。エコー?(ジェルをつけて見る検査)でも、胸が大きい為、わかりづらいが、特に目立ったものは見当たらないとのこと。次に赤黒い汁をガラスの上にたらし(普通ではでませんが、絞るとでます)細胞検査に出して頂き、その結果は陰性と言われました。最後にレントゲンを撮ったのですが、乳腺が白くたくさん写っているので、わかりづらいが、何となく「かげ」のようなものが見えるような気もする・・と言われました。総合的に見て、今回は汁の細胞検査が陰性だったことから、一安心してはいいとは言われたものの、レントゲンで「かげ」らしきものも見えるので、2ヶ月後くらいにもう一度再検査と言われてしまいました。経過を長々と書いてしまいましたが、私が今不安に思っていることについて、アドバイスを頂けたらと思います。
@ 胸が大きいと、触診でのしこりは先生でも見つけにくいものなのか。
A 赤黒い汁の検査で陰性と出たものの、今だに絞れば同じ色の汁がでてきます。時間を置いて調べた時陰性が陽性になっていることってあるのでしょうか。またこんなに長い間、絞れば汁が出るというのは、いくら陰性とは言われても不安なのですが・・・
B 前回では、一安心して良いとしか言われず、結局汁が何故出るのかまでは追求されませんでした。先生を信頼して安心してもいい事なんでしょうか。
GW明けに、病院に再検査で行ってみるつもりです。ただ前回の時に、汁の検査で陰性なので、針を刺して検査するまでのことは無いのでは・・と言われました。ちなみに家系に乳がんをした人は今のところいません。先生がそうおっしゃるからには、自分から無理に針をさして検査して欲しいと申し出ることは無いのでしょうか。関係無いのかもしれませんが、気にしすぎているせいか最近胸や脇の下あたりが痛みます。長々とすみませんでした。どうぞよろしくお願い致します。@ 乳房の大きい方は確かに触診では触りきれないことも多く、検診でもそれだけで乳房エックス線検査(マンモグラフィー)に回っていただくこともあります。
A 赤黒い分泌物は出血を表わしていることが多く確かに要注意ですが、乳管内乳頭腫という良性腫瘍や、乳管が拡張していて軽く炎症を起こして出血したりする変化によることが圧倒的に多く、悪性であることはどちらかといえば少ないです。Drによって方針は多少異なると思いますが、私であれば定期的に検査をしてなおかつ続くようであれば、次は乳管造影という検査をして出血を起こす原因となっている部位があるかどうかを調べ、あればその部分を生検(試験切除)するかどうかを考えるというステップになるかと思います。
B 今の先生を信頼して、疑問点は素直にぶつけていっていいと思います。ちなみに針を刺しての検査(穿刺吸引細胞診)はしこりを触れる場合でないと難しいことも多く、拝見していないのではっきりとは言えませんが、あなたの場合は分泌物からの情報より得られるものが少ないのかもしれません。(文責 片山)
【No.898】 02年05月02日 yota
思春期女性化乳房僕は高校二年の男です。 この前の内科検診で、左側乳房が少し発達していることを指摘され、 よかったら病院に行ったらとすすめられました。 診断書にはかかないと言っていたので、強く診察をすすめてはいませんでした。 強く押さえると痛みますが、他は問題ありません。 3・4ヶ月くらい前からこうなりました。 ネットで調べると思春期ではこういうことがよくあり、数ヶ月で自然治癒すると書かれていました。どうすればいいでしょうか?病院に行かず、経過をしばらくみようと思うのですが・・・。
おそらく思春期にみられる女性化乳房であると思います。一般的には思春期にみられる女性化乳房は、メールにもありますように数ヶ月で自然になくなることが多く、経過観察でよいといわれています。2,3ヶ月このまま経過をみていても良いと思います。経過をみてあまり変わらないようだったら、病院を受診してください。ただ症状の変化(しこりが大きくなる、痛みが強くなる、乳頭から分泌液がでるなど)があったら、2,3ヶ月待たずに、すぐに病院を受診してください。(文責 稲葉)
【No.897】 02年05月02日 H.M.
再発後の治療方法についてお忙しい中、お時間を頂きますが、よろしくお願いします。63歳の母の乳癌のことでご相談致します。3年前に右乳房にU期の癌が見つかり、温存術にて4分の1を切除しました(腋の下のリンパ節には1箇所転移あり。ホルモンレセプターは陽性)。術後は放射線を18回照射し、約半年程ノルバデックスを内服しました。 術後2年後に残存乳房へ再発が見つかりました。遠隔転移は検査上みられませんでしたが、縫合痕を中心に皮膚転移があり、内部にもシコリ状の癌がありました。タキソールを3クールの後、皮膚転移はかなり退縮したので、昨年の10月末に残存乳房を切除しました。大腿部から移植した皮膚も落ち着き始めたのですが、マーカーが下記のとおり上昇しつつあり、鎖骨上のリンパ節に再発している様です。
12月 CA15-3 (80) CEA (4.5)
3月 CA15-3 (120) CEA (15)
Her2が強陽性でしたので、この4月からハーセプチン単独で治療を開始しています。週1回の投与で、これで3回が終了しました。主治医はタキソールと併用した方が効果的と勧められていますが、また前回の様に直ぐに再燃するのではと不安になります。
1) ハーセプチン単独では、どの程度の効果が望めるのでしょうか。やはりこの場合タキソールと併用した方がいいのでしょうか。前回の抗癌剤治療が相当辛かった様です。できれば穏やかな療法があればと思います。ホルモン剤は、再発が分かって以来アリミデックスを頂いています。ホルモン療法として何か効果的なものは他にないでしょうか。
2) 鎖骨上のリンパ節に再発した場合、どのような治療ができるのでしょうか。放射線照射により、遠隔転移を遅らせることができますか。
現在のところ体調は良いらしく、とくに自覚症状はありませんが、今後どのような治療を受けるぺきか迷っています。よろしくお願い致します。1)まずハーセプチンの効果についてですが、我が国での臨床試験のデータをみると、単独投与で11.1%という結果が出ています。また欧米での単独投与の結果では奏効率が16〜24%という結果です。他の抗癌剤と併用して用いた結果では、欧米のデータですが、ハーセプチンとドキソルビシンあるいはエピルビシンとシクロフォスファミドの組み合わせで52%、ハーセプチンとタキソールの組み合わせで41%という結果が出ています。欧米のデータは薬剤の量など我が国で用いられている量より多めで、このデータがそのまま日本人に当てはまるというわけではありませんが、他の抗癌剤と併用して用いた方が効果が期待できる可能性はあります。もちろん抗癌剤と併用する場合の方が、副作用など多くなりますので、主治医の先生と相談して決められるのがよいと思います。ホルモン剤についてアリミデックスを使われているそうですが、このアリミデックスは最近出てきたホルモン剤で、効果の点で従来使われてきたタモキシフェンを越える結果が出ていますので、アリミデックスのままでよいと思います。
2)鎖骨上のリンパ節再発に対する治療法ですが、上記の抗癌剤やホルモン剤などの全身的な治療の他に、放射線療法があります。この放射線照射は照射部位のみに対する局所治療で、遠隔転移を抑制したり、遅らせたりすることはできません。予後の延長効果も統計学上ははっきりと出ていません。しかし再発が局所(手術で切除してしまったとの事)と鎖骨上のリンパ節のみで、まだ遠隔臓器に転移していない可能性があれば(もちろん遠隔臓器にまだ転移していないかどうかは、正確にはわからないのですが)、鎖骨上リンパ節の治療をしてうまくコントロールできれば、予後が延びる可能性はあります。
再発を起こした場合、抗癌剤などの全身的治療が主体になるのですが、以前の抗癌剤治療がかなりきつかったとのことですし、現在鎖骨上の再発だけで、遠隔転移がなければ、放射線治療とホルモン剤で治療をおこなうのもひとつの方法であると思います。(文責 稲葉)
【No.896】 02年05月01日 M.F.
乳房温存手術後の放射線治療についてはじめてメールいたします。45歳主婦です。H14年3月13日に2.5cm×1.5cmの腫瘍の乳房温存手術をしました。リンパ節への転移はありませんでした(0/16)。現在は抗エストロゲンのホルモン剤を月/1回注射しています。最近購入した本(乳ガン全書)には、乳房温存手術後は放射線補助療法が普通セットとして行われると書いてありましたが、主治医からはホルモン療法以外の処方はありません。放射線治療を受けなくて大丈夫でしょうか。
メールにもありましたように、乳房温存手術後に温存乳房に放射線照射を加えるのが一般的です。乳房照射を行うことによって、照射していない人に比較して有意に乳房内再発を減らすことが多くの臨床試験で証明されています。乳癌学会の乳房温存療法ガイドラインでも乳房照射を行うのが望ましいとされています。ただ乳房照射を省略できるケースがあることは事実ですが、どのようなケースで照射が省略可能かはまだコンセンサスが得られていません。また乳房照射は局所に対する治療なので、内臓などの遠隔転移の抑制にはつながりません。遠隔転移の抑制にはホルモン剤や抗ガン剤などの全身治療が必要です。やはり温存手術後は放射線照射を加えるのが良いと考えます。(文責 稲葉)
【No.895-1】 02年05月01日 H.C.
フェアストンについて私の61歳の母は、2年前(H12、3月)に乳がん、悪性と診断され、まだ早期で、さほど大きくはなかったため全摘はせず、しこりを何箇所かとりました。念のためリンパも調べましたが、異常ありませんでした。そのときに先生にすすめていただいた薬はフェアストンというもので、1日1回毎日服用しています。その薬が他のものと比べて、どのような効果が得られるのか、素人の母と私はよくわからず、ただただ先生のおすすめするものならと、臨床試験同意書にサインをしました。それからは毎月検診に行っているのですが、今年の4月16日の検診の時しこりが見つかり、19日に局所麻酔により日帰りでしこりをとる手術をしました。26日、そのとったしこりは癌だったと説明をうけ、これからは薬だけでなく、放射線治療をしたほうがいいとの指示をうけました。そこで私の疑問点です。フェアストンは本当に効いているのでしょうか?他にもこの薬を試験的に服用している方もいらっしゃると思いますが、どのような結果がでているのでしょうか?今後、このフェアストンと放射線治療をうけることは効果的だと思われますか?お忙しいところ大変恐縮ですが、おしえて下さい。
早期の癌で、乳房温存手術を行って2年後に乳房内再発を来したとのことです。その後フェアストンを服用していたのですが、再発を来たし、フェアストンの効果に関する質問です。フェアストンは代表的な乳癌のホルモン剤であるタモキシフェンの仲間の薬剤で、タモキシフェンより多少副作用が少ないといわれています。もちろん数年前から承認された薬で、ここでいう臨床試験は、全くの新薬の効果や副作用を確かめる意味のものでなく、市販後に行われる試験であると思われます。効果に関しては、タモキシフェンとほぼ同等といわれています。最初の手術時の結果がしこりが小さいもので、リンパ節転移がないとのことですから、その後の治療としてフェアストンで経過をみるというのは、特に問題ないと思います。
では局所再発を防げなかった原因として、手術後に温存乳房に放射線照射を行っていない事が可能性として考えられると思います。温存手術後に乳房照射を行うと、乳房内再発が減ることは証明されています。我が国の乳房温存療法のガイドラインでも乳房照射を行うのが望ましいとされています。
次に今後の治療ですが、一般的には温存手術後の乳房内再発に関しては乳房切除をするのが原則であると思われます。乳房内再発後に再度腫瘤切除のみで放射線照射を加えたとしても、その後の予後がどの程度であるか大規模な臨床試験のデータはありません。私の場合は患者様の乳房を温存したいという強い希望がなければ、乳房切除をしてホルモン剤を続けると思います。もちろん患者様を直接診察しているわけではないので、今後の治療に関しては主治医の先生と相談して決めていただきたいと思います。(文責 稲葉)
【No.895-2】 02年05月24日 H.C.
放射線照射について以前、フェアストンについてメールさせていただいた者です。以前にも書いた通り、初めての乳癌から2年後に再発した母は、4月19日に局所麻酔による日帰り手術をしました。そして、先生が薬を変えるということで、今度は「アリミデックス」という去年認可された薬になりました。また、5月13日から放射線照射がはじまり、現在、週5回通院しています。ただ、前回(2年前)の手術のときより、今回の方が傷口が小さいにもかかわらず、痛がり方がひどくて、仕事に差し障りがあるようです。動くと服が傷口にすれてすごく痛いらしく、看護婦さんが、「綿の下着がいいですよ」といってくれたそうなのですが、綿の下着にかえても、ガーゼをあててみても、いろいろやってみてはいるのですが、痛みがおさまらないようです。そればかりか、痛い前をかばうことで、どうしても背中が丸くなり、背中まで痛くなってしまいました。また、放射線照射により、もともと皮膚が弱い母は、7回目にして皮膚が赤くなり、はじめからわかってはいたものの、痒いようです。そのまわりのあたりも痒いようで、のどのあたりも赤くなっています。この痒みは、放射線照射が終われば自然とおさまるものですか?また、痛みがひどいのは、どうしたらいいでしょうか? アリミデックスと一緒に、市販の痛み止め(バファリンとかイヴとか)を飲んでもよいものなのでしょうか? それとも痛み止めを飲まなくても少し時間がたてば痛みはやわらぎますか? アリミデックスはまだその良い効果があまりわかっていないと、どこかのHPに書いてあるのをみたのですが、どうなのでしょうか? 御忙しいところ本当に申し訳ありません。宜しくお願いいたします。
痒みは治療が終了すれば安らいでいくでしょう。痛みも時間が解決してくれると思いますが、それまでは市販の痛み止め等を服用して頂いて構いません。アリミデックスは、つい最近その術後補助療法としてのタモキシフェンとの比較臨床試験の結果がでました。まだ観察期間がそれほど長い期間ではないですが、タモキシフェンと比較し再発率や反対側の乳がんの発症率が少ないという結果でした。フェアストンを今まで服用されていたとのことですから、変更は妥当であると思います。(文責 加藤)
【No.894-1】 02年04月30日 coem
術後の更年期障害の治療46歳の主婦です。どうぞよろしくお願いします。乳癌術後1年9ヶ月位になります。抗がん剤とホルモン剤を服用しています。息苦しい、頭痛、関節痛、腰痛、首のこり、五十肩、目の疲れ、のぼせ、寒気・・・といろいろな症状が続き、ふさぎこむ毎日です。教えていただきたいのは乳癌術前3ヶ月位産婦人科にて更年期障害の治療を受けていましたが、乳癌を患った後はどのように更年期障害の治療をうけるのが望ましいでしょうか?更年期障害の治療に使われるホルモン剤は女性ホルモンを助け、乳癌術後のホルモン剤は女性ホルモンを押さえていると思えるので産婦人科に行くのをためらっています。
メールにある症状は確かに更年期障害の症状と思われます。乳癌のホルモン剤も女性ホルモンを抑える方向に働くので、これらの症状が増強されてしまいます。患者様に聞くと、これらの更年期の症状はとてもつらいとの事で何とかしたいのですが、症状を和らげる良い薬はなかなかないようです。確かに女性ホルモンを投与すれば良いのですが、外科の立場からみると、女性ホルモンは乳癌の再発を助ける方向に働くのですすめられないということになってしまいます。私の場合、女性ホルモン以外の薬(軽い精神安定剤のようなもの)で経過をみることが多いです。(文責 稲葉)
【No.894-2】 02年06月08日 coem
脂肪腫との関連性について前回の質問で乳癌術後の服用しているホルモン剤により更年期障害が助長される事や、治療としては安定剤を服用するにとどまる事を教えていただき体の辛さは変わらずとも精神的に楽になりました。ありがとうございました。その後抗がん剤やホルモン剤の副作用や更年期障害の症状で辛いところへ重ねて左腕に脂肪腫が出来てしまったようです。四ヶ月程前から腫れと痛みが続いていました。
1) 癌との関連はありますか? どんな病気なのでしょうか?
2) ホルモン剤のノルバディクスD20mgは術後何年服用するのでしょうか?2年以上服用するのは危険って本当ですか?
3) 抗がん剤のフルツロンカプセル200mgは何年服用するのでしょうか?
教えて下さい。どうぞよろしくお願いします。1)脂肪腫と癌は関係ありません。しかし、脂肪腫というのは通常痛みは伴いません。本当に脂肪腫かどうか確認をお勧めします。
2)手術後のノルバデックスの服用期間は5年というのが世界中でよく知られているevidence(証拠)です。日本では子宮体癌等のriskを必要以上に強調しているきらいがあります。ノルバデックスのdemeritとmeritを比較したら比べものにならないくらいmeritが大きいと思います。その点をよく主治医の先生と相談して下さい。
3)フルツロンを術後何か月飲んだら再発が減るのかというevidenceはありません。日本で乳癌手術後にフルツロンを内服する群と何も治療しない群で再発する数に差があるかの比較した試験を行ったときのフルツロンの内服期間は2年間でした。ちなみに、その試験の結果は差はありませんでした。蛇足ですが、乳癌術後に内分泌療法を行っているときの更年期障害様の副作用対策として漢方(No.24 or No.25)が有効なことがあります。試してみられることをお勧めします。また今年のASCO(米国臨床腫瘍学会)ではSSRIといわれる抗うつ剤が内分泌療法中の、のぼせや発汗に有効だと報告されていました。治療のためにはやむを得ないといってあまり問題にしない日本と違って、ホルモン療法による更年期障害様の副作用対策にも一生懸命な米国医療に感心しました。(文責 清水)
【No.894-3】 02年06月21日 coem
更年期障害で出される薬について乳癌術後、ノルバデックスD20mg1日1回(1錠)、フルツロンカプセル200mg1日3回(3カプセル)を服用しながら、更年期障害の症状を和らげるのに前回の質問で教えていただいた漢方24番、25番、抗うつ剤SSRIを服用したいと思います。具体的な薬の服用方法について教えて下さい。
@漢方24番、25番、SSRIは3種類同時服用が望ましいのですか? ひとつを選んで服用するのでしょうか?
A1日何回服用するのが望ましいのでしょうか?
Bホルモン剤のノルバデックスD20mgの1日1回1錠服用はホルモン剤としてはきつめの薬の量ですか?
C先生が処方して下さるなら抗がん剤、ホルモン剤、漢方、抗うつ剤をどのように組み合わせて下さいますか?そしてそれぞれの薬を何年服用するのが望ましいのでしょうか?@A SSRIとは新しい抗うつ薬で、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor)の頭文字で表しており、商品名では「デュプロメール」という薬があります。抗うつ効果以外にも、パニック障害、強迫性障害、月経前気分変調症、慢性疼痛性障害などの病態の改善も期待できると紹介されています。また、SSRIには更年期障害の症状を和らげる効果もあり、私自身も患者さんに「症状がとれて楽になった」と、喜ばれた経験がありますが、「うつ病」又は「うつ状態」の診断名がないと保険診療が出来ません。以上のことを考慮の上、投与量、投与期間などは、個々のケースで異なってきますので、主治医と十分相談なさってください。
B ノルバデックスの用法・用量についてですが、通常の使用量だと思います。
C 今後の治療についてのご質問ですが、これは手術時のstageも含め、直接診察していないので、お答えするには限界があります。貴女の状態を一番よく把握している主治医の先生を信頼して、納得がいくまで相談なさってください。(文責 須田)
【No.893】 02年04月30日 N.M.
抗がん剤使用についての質問22日から入院していて、まだ、手術日が決まらず外泊中です。昨日、初めて病気の事、手術の事、説明がありました。しこりは1センチぐらい、見える転移は無し、手術は温存で、後、放射線。センチネルリンパ生検をするということです。そこまでは納得できたのですが、術後、抗ホルモン剤(できたらだが、)と。抗がん剤をほぼ全員に行うといわれました。期間は半年。点滴で外来。副作用が強いので(脱毛、吐き気、白血球の低下)かつらがいる。仕事も難しいかもしれないといわれショックを受けています。初期で転移が無いようだといっても、手術前に必ず使うような事を断定できるのでしょうか。ちょっと驚き、「今は手術の事で頭がいっぱいなので、後から考えたい」というと、「もちろん決めるのはあなたですが、癌は怖い病気ですよ。」といわれてしまいました。今の段階では、たちはよさそうとまでいってくれるのですが、それでも必ずこんな強い抗がん剤が必要なのか、それとも選択の余地があるのか、わかる範囲で結構ですので教えていただけたらと思います。今は手術よりもこの事で頭がいっぱいです。47歳です。よろしくお願いします。
まず手術方法ですが、しこりの大きさが1cm程度で、転移もなしということですから温存手術の適応になると思います。次にセンチネルリンパ節生検ですが、センチネルリンパ節というのは、局所の所属リンパ節の中で癌病巣から一番最初にリンパ管が流れ込むといわれているリンパ節のことです。ですから原発巣からリンパ節に癌が転移するときに、一番最初に癌が転移するリンパ節ではないかと考えられ、このリンパ節に転移があれば、残りのリンパ節に転移がある可能性があり、もしセンチネルに転移がなければ、残りのリンパ節にも転移がない可能性が高く、リンパ節に転移があるかどうかの予測に役立つといわれています。乳癌の手術で脇の下のリンパ節を切除するのは標準的な手術で、乳房切除であっても温存であっても変わりはありません。ただリンパ節を取ることによって、腕のしびれやむくみが出ることがあり、転移がなければできればリンパ節を取ることは避けたいところですが、転移があるかどうかは手術前に確実に知ることは不可能で、取って初めてリンパ節に転移があるかどうかが分かるわけです。どんなにしこりが小さく早期のもので転移がないだろうと思われても、術前に知ることはなかなかできなかったので、全例リンパ節を切除したわけですが、このセンチネルリンパ節の生検で転移の有無が分かれば、しこりの小さい早期のものはリンパ節切除を省略できると考えられます。ただセンチネルリンパ節生検はまだ始まったばかりで、予後がどの程度かまだきちんとしたデータが出ていません。確立された治療法でなく、試験的な治療法といえます。元々センチネルリンパ節生検はリンパ節郭清を省略する目的で行われるわけですから、当然対象となるのはしこりが小さな早期なものが対象です。大きさなどからいえばセンチネルの対象になると思います。
抗癌剤の使用についてですが、一般的にリンパ節転移がある場合や、転移がない場合でも再発のリスクが高い場合(しこりが2cm以上や細胞の顔つきが悪いもの、ホルモン感受性がないもの、若年齢の場合)に行います。センチネルで転移があると判断されたら、リンパ節郭清を行い、また転移があるわけですから、抗癌剤を用いますが、センチネルに転移がなければ病理の結果をみてから抗癌剤を使うかどうかを決めるのが良いと思います。センチネルの対象は抗癌剤を使わないような早期なものなので、病理の結果が出る前にセンチネルを行う方全例に抗癌剤を用いる、しかも強力な抗癌剤を用いるというのはどうでしょうか。私の場合は病理の結果が出てから、その結果をみて方針を決めると思います。(文責 稲葉)
【No.892】 02年04月30日 HIROMI
葉状腫瘍の術後私は40歳、未婚です。今年の2月中旬、左乳房13cmぐらいの腫瘍摘出の手術を受けました。表皮ぎりぎりまで切除しなければならない状態で神経も一部切除。今、乳頭が全く感覚がなく痺れたままです。一生このままでしょうと主治医から言われ、この不快感が続くと思うと...治療方法はないのでしょうか? それから先日、病理検査の結果「悪性」と出ました。「今現在、効果的な治療方法はないが、抗癌治療を受けてみますか?」と主治医から言われました。効果があるかどうかはハッキリいえないが、受けるなら今の時期しかないそうです。化学療法科の医師の診断の上、その医師に任せると言われました。治療方法は他にないのでしょうか? 再発、転移は5年が目安だと...その時は助からないのでしょうか? 情報が少なく不安でたまりません。教えて下さい。
乳房の腫瘍の中に、葉状腫瘍というものがあります。乳房は乳汁を産生する腺房というブドウの房状のものとそこから乳汁を乳頭まで流す乳管というものがたくさん集まっています。この腺房や乳管の間には結合組織があり、間をうめていると考えてください。乳癌は腺房や乳管の細胞が悪性化したもので(上皮細胞由来といいます)、一方、葉状腫瘍の腫瘍細胞は上皮細胞と間の結合組織の細胞(非上皮細胞)の両方から由来し、上皮成分と非上皮成分の混合腫瘍といわれています。葉状腫瘍には良性・境界型・悪性とあり、悪性の葉状腫瘍は再発や転移(肺・骨など)をおこすといわれています。悪性の葉状腫瘍であっても乳癌と異なり、リンパ節転移は少ないので、手術の際にリンパ節を切除することはあまりしません。良性であっても手術部位への再発がみられることがあり、切除はしこりだけでなく、周りの正常な乳腺組織も少し付けて切除することが望ましいとされています。ですから13cmの大きさであれば、表皮ぎりぎりまで切除というのは仕方がないと思われます。そうするとどうしても皮膚の痺れというのが多少残ります。この症状を治す方法は残念ながらなかなかありません。抗癌剤の治療は、癌ほど効果はないといわれています。手術後に再発予防のために抗癌剤を使うかについては、あまり行われてないのではないかと思います。(もちろん乳癌については、手術後に抗癌剤を使うことで、再発が減るという確かなデータがありますので、抗癌剤を用います。)また悪性の葉状腫瘍は乳癌ほど頻度が多くなく、専門病院であっても数多くの例を経験しているわけではないので、抗癌剤を用いたとしても、決められたやり方はあまりありません。葉状腫瘍は肉腫に近い腫瘍なので、肉腫で用いる抗癌剤(アドリアシンやイフォマイドなど)が使われることがあります。やはり葉状腫瘍に関しては、腫瘍部分を確実に切除するというのが原則と考えられます。抗癌剤などの治療よりも、確実に腫瘍部位を取りきるというのが大事と考えられます。腫瘍部位が残ると再発や転移の可能性が高くなるので、腫瘍摘出で取りきれないようでしたら、乳房切除も考慮することになります(もちろんこの場合でも通常はリンパ節は取りません)。抗癌剤の他にホルモン剤や放射線もあまり効果はないといわれています。私の場合は手術で腫瘍がきちんと切除され、現在転移などないようでしたら、悪性であっても薬を使わずに経過をみるか、再発などの可能性が高い場合に限り、前述したような抗癌剤を使うかと思います。(文責 稲葉)
【No.891】 02年04月27日 まる
乳房のかゆみについて29歳の主婦です。現在4歳、1歳8ヶ月の子供がいます。一年程前から左乳首の下2cm程の所に、5ミリほどの「かゆみ」を伴う「かさぶた」が出来ました。できはじめの頃は、まだ授乳中だったこともあり母乳による「かぶれ」ではないかと思っていましたが、今年の一月に断乳しましたが一向に良くなりません。(元々皮膚が丈夫なほうではなく、化繊などでかぶれを起こしたりもします。) 両方の乳房からは、未だに絞ると母乳も出ます。しかも、かゆみがひどくなり、「かさぶた」も1cm程に大きくなりました。少し盛り上がっており、掻いてしまうせいか「かさぶた」の周りにキズが出来てしまいました。表面はツルツルとした感じで、色はどちらかと言えば肌色に近い褐色です。いろいろ調べてみると「ページェット病」ではないかと思ってしまいます。一度検査を受けたいと思いますが、何科を診察すればよいでしょうか? よろしくお願いします。
乳首のかぶれに関する質問です。乳首のかぶれを起こす乳腺の病気として、乳首の炎症(乳頭炎)やパジェット(Paget)病(ページェットと呼ぶ方もいますが、教科書ではパジェットと発音するとの記載があります)があります。乳頭の炎症は授乳期に多く、特に心配となるものではありません。パジェット病は乳癌細胞が乳首の表皮(最も表面の皮膚の層)に進んで、乳首が湿疹様にただれた様になるのが特徴の乳癌の一型です。パジェット病は乳癌の1タイプですから、治療の必要性があります。
メールの内容からすると、パジェット病の可能性は低いように思われますが、はっきりとはわかりませんので、必ず病院を受診してください。受診する科は外科です。但しパジェット病の頻度は少ないので、乳腺専門医のいる外科を受診することをお勧めします。大学病院や公的な大きな総合病院が良いと思います。(文責 稲葉)
【No.890】 02年04月26日 A.I.
アポクリン癌についてはじめまして。母(64才)が乳ガンの疑いです。針生検をして、アポクリンカルチノーマかもしれないと言われました。まだはっきり良性か悪性かわからないということで、アポクリンカルチノーマということではなく、アポクリン化なんとかというものの疑いもあるのかなと想像しておりますが、アポクリン〜という種類には一体何種類くらいありますか? 種類及び、その特徴、有効と思われる治療法についてもお願いいたします。以上、宜しくお願いいたします。
ご質問はアポクリン化生とアポクリン癌についてと思われます。乳房組織の中に通常の乳腺の細胞(これらは乳管上皮細胞といいます)があり、この他にアポクリン細胞というのがあります。この乳管上皮細胞が変化してアポクリン細胞に似た形になることをアポクリン化生といい、これは良性の変化です。一方大部分の乳癌は乳管上皮細胞というのが癌化したもので、この様なものを乳管癌といいます。乳管癌のうち癌細胞が通常のものとは異なって、アポクリン化生細胞に似た形をとることがあり、こういったものをアポクリン癌といいます。癌細胞の形は通常のタイプの癌とは異なっていますが、特徴や治療法など特に通常のものとは変わりません。(文責 稲葉)
【No.889】 02年04月26日 T.O.
男なのに胸にしこりが・・・はじめまして。僕は今高2の男子なんですが、両方の胸にしこりがあります。中1の時くらいに出来て、最初は痛みがあったんですが、最近はありません。1年くらいで自然に治ると聞いていたのですが、もうかれこれ4年くらい経ちます。一向に治る気配もないので心配です。これから夏になってTシャツ1枚でいたいのですが、乳首のところが目立って着れません(泣)。そろそろ手術とか考えた方がいいのでしょうか?どうか教えてください!お願いします。
男性で乳頭や乳頭を中心に乳房がしこったり、腫れたりする状態を女性化乳房といいます。女性化乳房はいろいろな原因で起こりますが、思春期の男子にもみられます。ホルモンの機能が活発になって起こるもので、通常は1年くらいで自然に治ってしまいます。4年くらいしこりがあるとのことですが、メールの内容からすると、これにあたると思います。悪性の可能性が低そうなので、このまま経過観察で良いと思いますが、悪性の可能性があるとき、又は良性でも患者様が手術を希望すればしこりをとることがあります。一度病院を受診してみる(外科です)のが良いと思います。(文責 稲葉)
【No.888】 02年04月24日 T.T.
右胸に違和感を感じます年齢は30歳です。しこりらしきものに気づいたのはもうかれこれ半年位になるかと思います。コリコリしていて、最近はなにもしなくてもずきずき違和感を感じます。又、気のせいかもしれませんが、右肩や右腕も重たく感じる時があります。生理前後は違和感を特に感じます。我慢ができないほどの激痛ではないので今まで病院へ行きませんでしたが、一向に治る気配がないので心配です。病院へ行くのが怖い気持ちもあります。
違和感が強いとか生理前後に感じるというメールの内容からすると、悪性の病気よりも乳腺症などを考えたいと思います。しかし直接診察していませんので、はっきりとはわかりません。ぜひ病院を受診してください。病院が怖いという気持ちは分かりますが、何もわからず心配しているのは体にも良くありません。相談に行くつもりで病院を受診されたらどうでしょうか。(文責 稲葉)
【No.887】 02年04月24日 akiko
細胞診検査についてステージUaの乳癌で温存手術を受け、断片陰性、リンパ転移はゼロでした。細胞診検査を受けた時のことなのですが、注射針を引きぬいた際に血液の混じった液体が勢いよく胸に流れ出て、1.5センチ位の内出血の跡もしばらくの間残っていました。その時は初めての経験でそういうものなのだろうと思ったのですが、後になって癌細胞が大量に流れ出たと思うと恐ろしい気がします。再発・転移に影響は無いのでしょうか。
細胞診の検査の後、内出血で青黒くなることがありますが、これは心配ありません。2〜3週間で色はとれます。また細胞診の検査で癌細胞が広がって、再発や転移に影響ないかという質問ですが、これも心配ありません。確かに以前は細胞診や生検後2週間以内に手術をしなければ、癌がひろがってしまうといわれていたこともあります。しかし細胞診や生検の影響で転移や再発が明らかに増加したというはっきりしたデータはなく、現在は特に問題ないと考えられています。また針の通った穴に癌細胞が残る心配はないかと良く聞かれますが、乳房の細胞診に限ってのことですが、細胞診の細い針であれば針穴に癌細胞が残ることはほとんどありません。ただ最近組織がとれるような太い針で生検を行うこともありますが、この様な場合は、針穴に癌細胞が残り、ここから再発したという報告もありますので、手術の時に針穴の部分も切除するなど考慮した方がいいといわれています。(文責 稲葉)
【No.886】 02年04月24日 matsu
乳首のしこり中学生の男子なのですが、1年前からある乳首のしこりが治りません。しこりができる少し前に、やる気が出ない、食欲がない、だるいなど脂肪肝のような症状がありました(今もそうです)。もしかして肝臓が脂肪肝になり女性ホルモンを処理しきれず乳首にできたしこりが治らないのでしょうか。
一般に男性において、乳頭や乳輪を中心に女性のように乳房が肥大することを女性化乳房といいます。女性化乳房はいろいろな原因でなりますが、そのうちで思春期にみられるものがあり、これにあたると思います。第二次性徴に伴い内分泌機能が活発になり、この様な症状が出ると考えられます。片方のみのこともあれば、両方にみられることもあります。通常は数ヶ月で自然になくなってしまいます。
メールにありましたように肝臓の病気で女性ホルモンを処理する能力が落ちて、女性化乳房を来すこともありますが、恐らく違うと思います。他に睾丸の腫瘍や副腎の腫瘍、下垂体の疾患、甲状腺機能亢進症などでみられることがあります。
食欲が出ないとか、だるいといった症状は女性化乳房とは関係がないように思えます。乳首のしこりは思春期の一過性のものと思われ、経過観察でよいと思います。ただ前述したように特別な原因があって起こることがあるので、一度も病院を受診していないのなら、受診しても良いと思います。(文責 稲葉)
【No.885-1】 02年04月23日 N.H.
アフェマ服用について突然のお便りで失礼いたします。75歳になる母が4年前に乳がん手術、以後ノルバデックスとポルタレンを服用しております。去年10月頃よりの定期血液検査である数値が高くなり、CT、MRI、骨の検査を繰り返しても部位の異常は発見できないが、数値が明らかに高く、疑いがあるので、今回よりアフェマと一週間に一度点滴をすると言われました。これは薬の副作用なのでしょうか。言われるままに薬を代えて命に関ることになるのかが心配です。善処は無いでしょうか。
定期血液検査である数値が高くなったというのは、恐らく腫瘍マーカーのことだと思います。乳癌に限らず癌の再発などで、腫瘍マーカーは高い値をとります。N.H.様のお母様のように腫瘍マーカーだけ高値となっているが、再発を疑わせる症状もなく、CTなどの画像検査でも異常が見られないというのは、しばしば私たちも経験します。この様な場合どうするか。再発と診断して、より強力な薬に変えて治療するか、それとも少しこのまま何もせずに経過をみるかのどちらかだと思います。1週間に1度の点滴というのは抗ガン剤でしょうか?75歳の年齢を考えると抗ガン剤はきつい可能性もあります。ノルバデックスをアフェマに変えるのは特に問題ないと思います。このまま少し経過をみるのも一つの方法だと思います。あと1点気をつけていただきたいのは、腫瘍マーカーが高値となった場合、乳癌の再発だけでなく他の臓器の癌の検査も必要だと思います。(文責 稲葉)
【No.885-2】 02年04月26日 N.H.
アフェマ服用について(2)ご回答ありがとうございます。検査結果数値はCEA7.9 ST439/19.7 CA15-3/38と高くなっているとのことです。点滴の抗がん剤は何が効くかは投与してみないと分からないと言われています。高齢による副作用も状況をみてみないとと言われています。心配なのは血管が細いので注射針入れがかなり難しく、ベテランの方でも青あざになります。一週間に一度の長時間にわたる点滴が何ヶ月と続くように聞いています。身体的影響は無いのでしょうか。数値からしてやはり抗がん剤がベストの方法でしょうか。お忙しい中、何度もすみません。
検査結果の値をみると、極端に高い値というわけではないようです。腫瘍マーカーは再発でなくても多少上昇することもあります。75歳という年齢を考えると、CTやMRIなどの画像検査で特に所見がないのなら、少し経過をみて腫瘍マーカーがもっと高値となるようなら、何か治療をするというのでも良いのではないかと考えます。私の場合は75歳であれば、全身的な影響や副作用を考えて、抗ガン剤を第一には選択しません。ただ患者様をよく診てらっしゃるのは主治医の先生ですから、主治医の先生とよく相談し、納得されて治療方針を決められるのが良いと思います。(文責 稲葉)
【No.884】 02年04月23日 hiroko
術後の補助療法について母(60歳)の事でお尋ねします。今年1月に左胸全摘とリンパ郭清の手術を終えました。手術前に腫瘍の大きさは3cm×1.6cmで、乳頭にごく近い所でU期という事でした。術後すぐに全摘した乳房を見せられ、胸筋までいってなかったので胸筋は残し、リンパにも見当たらなかったという説明を受けました。手術中と術後一週間後に抗がん剤の点滴を受け、放射線はしませんでした。病理結果の説明は特にないまま、今日まで過ぎてしまいました。今はデガフールとタモキシフェンを服用中です。放射線もなしで薬の副作用もないので、あまり悪い状態ではなかったように思えるのですが、今の補助療法で十分なのでしょうか? 質問が曖昧で申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
しこりの大きさからいうと、U期の乳癌にあたります。タモキシフェンを服用しているということから、ホルモンレセプターは陽性と思われます。タモキシフェンはこのまま服用でよいと思います。抗ガン剤としてテガフールが用いられていますが、経口の抗ガン剤でいくか、それとも点滴の抗ガン剤を用いるか意見が分かれるところです。欧米の基準ではリンパ節転移がなくてもしこりが3cmである場合は、点滴の抗ガン剤としてCMF療法を用います。最近ではもっと強力なCAFやCEF療法を用いることもあるようですが・・・。一方我が国では、欧米の乳癌より予後がよい傾向にあるとか欧米人との体格の差などから、点滴ではなくて経口の抗ガン剤を用いる方法が以前より行われてきました。どちらの方法も長所・短所あるわけですが、両方の治療法を比較した大規模な臨床試験の結果はまだ出ていません。我が国でこの両方の治療法を比較する試験がすでに終了し、あと数年すればきちんとした結果が出ると思います。現在明らかなのはCMFやCAFなどの点滴による治療は再発を抑える効果が確かにあるということです。(これは欧米の試験の結果ですが。) 私の場合はCMFとタモキシフェンを選択しますが、患者様の状態によっては必ずしも先ほどの欧米の基準通りに治療を行わないこともあります。直接お母様をみていらっしゃる主治医の先生とよくご相談なさって、治療法を選択されて下さい。(文責 稲葉)
【No.883】 02年04月23日 S.N.
生検についてはじめまして、ご多忙のところ宜しくお願いします。横浜在住の44歳の主婦です。昨年8月k病院にて、検診の結果15ミリのしこりが見つかり細胞診をしてもらったのですが、細胞が取れていなく多分良性でしょうとのことでした。気になりy病院にてレントゲン、超音波、細胞診の結果、クラス3、微細な石灰化があり、生検を勧められています。左乳房です。超音波の結果、8.7ミリ×10.7ミリと8.2ミリ×6.8ミリの大きさです。今年3月19日に検査しました。この7ヶ月でしこりはそんなに大きくなるのでしょうか? もし癌なら今の病院ではなく専門病院で手術したいので、生検も手術する病院でしてもらった方が良いのでしょうか? お忙しいところ2点宜しくお願い致します。
昨年8月のしこりの大きさが15mmで、今年3月には8.7×10.7mm、8.2×6.8mmの大きさになったとの事ですが、しこりが二つになったということでしょうか。それとも昨年はエコーで1つにみえたのが、今年はよりはっきりとして2つにみえたということでしょうか。どちらにしても7か月間の変化として特に問題ない範囲と思います。しかし、細胞診でクラス3で、微細な石灰化があるということですから、癌は否定できませんので、生検をお勧めします。生検も、できれば専門病院の方が良いと思います。恐らく生検部位も小さくてなかなかわかりにくいかも知れませんし、もしその後手術となった場合は生検を行った医師が同じ病院の方が何かと良いでしょうし、生検の標本も同じ病院にあった方が良いと思うからです。もしこの病変が癌であったとしても小さい病変なので早期と思われますので、心配せずに生検を受けていただくのが良いと思います。(文責 稲葉)
【No.882】 02年04月23日 R.I.
母の病状について教えてくださいお忙しいところを申し訳ありませんが、私の母の事でご相談させてください。母は59歳で今年3月22日に乳がんのため左乳房全部とわきリンパ節切除の手術を受けました。術後1週間後の3月29日に退院し、4月11日から飲み薬による抗がん剤とホルモン剤の治療を始めました。そこで教えて頂きたいのですが、
@他の相談を拝見するとリンパ節転移が2個だと再発率は20%〜30%とありますが、母の場合しこりが大きいので今後の再発率はどの位になりますか?また、病期は何期になりますか?
A術後の治療はこれで十分なのでしょうか?
B薬を飲み始めてから食欲がなくなって来たらしいのですが、副作用を抑えることはできないのでしょうか?
私の分かっている病状は以下の通りです。
・乳頭管状ガン、粘液ガン(?)
・しこりの大きさは5cmちょっと
・リンパ節への転移は17個中2個(乳房手前寄りにあったそうです)、鎖骨下リンパへの転移なし
・ホルモンは「反応がある」と言われたそうです
・飲み薬の種類はアリミデックス錠1mg(1日1回)、エンドキサンP錠50mg(1日1回)、フルツロンカプセル200mg(1日2回)を2〜3年服用するようにとのこと
・閉経後である
・肺、骨、肋骨、肝臓など遠隔転移は今のところ見られない
・術後の経過は良い。(ひどい浮腫みや痛みはなく、とくにリハビリも必要ありませんでした)
母はとても気が小さく、乳がんと分かってからひどく落ち込んでいて家族もとても心配しています。術後の説明も先生のおっしゃることを聞くだけで精一杯らしく質問などもできないようです。すぐにでも転移して死んでしまうのではないかと思っているらしいので、少しでも良い情報があれば元気づけてあげたいので、どうかよろしくお願いいたします。@しこりの大きさが5cmちょっとということですから、5cmを少し越えると考えてリンパ節転移が2個という事なら病期の進行期分類ではステージVになります。10年生存率で65〜70%ぐらいです。再発率でいうと30〜35%となります。
Aホルモンの感受性は陽性ですから、ホルモン剤(アリミデックス)は必要と思われます。抗ガン剤の治療ですが、リンパ節転移が2個であること、しこりの大きさが5cm以上であることから、私の場合は点滴の治療(CMFか場合によってはCAF又はCEFなど)を行うと思います。ただ直接患者様を診察したわけではありませんので、治療法はよく主治医の先生と相談されて、術後の治療を受けていただきたいと思います。
B抗ガン剤の副作用に食欲減退があります。この副作用を完全に抑えるというのは難しいと思います。薬の量を減らすか、又はかなり副作用の程度がひどければ薬を中止するかになると思います。(文責 稲葉)
【No.881】 02年04月22日 S.K.
治療法について46才
閉経前 (でも、そろそろ閉経になる感じ)
腫瘍: 2.2cm リンパ節転移なし ホルモンレセプター陽性
右乳がん温存術後、放射線治療を受けてます。主治医は、放射線治療のあと、ホルモンと抗ガン剤治療をすすめます。「あなたの癌は浸潤性及び腫瘍2cm以上なので、両方受けた方がいいかな。微妙なんだよね。」
てっきり私の場合、ホルモン治療のみと思っていたのでショックでした。抗ガン剤治療は受けたくないと思っても、先生を前にすると、知識の差がありすぎて何も言えなくなってしまいます。他の先生のアドバイスをぜひ聞きたいので、よろしくおねがいします。術後の補助療法についての質問です。最近は乳癌の術後に抗ガン剤やホルモン剤などの全身的な治療を行うことが多くなってきました。これは術後の再発を抑えるために行うもので、欧米の臨床試験のデータでは、これらの薬による再発の抑制効果が証明されています。S.K.さんの場合、ホルモンレセプターが陽性ですから、ホルモン剤の適応となります。これに抗ガン剤を加えるかどうかですが、最近はリンパ節転移がなくとも、腫瘤径が2cm以上や細胞の顔つきが悪い場合(格異型度が高度である)などは抗ガン剤を行うことが多いです。(n0ハイリスク群にあたります。これについては814−2 UFTについても参照して下さい。)私の場合も柏田さんのようなケースは抗ガン剤を併用しています。しかしこれはあくまで原則ですから、主治医の先生とよく話し合って今後の治療法を決めて下さい。(文責 稲葉)
【No.880】 02年04月22日 H.K.
わきの下のしこりについてはじめまして。現在35歳、もうすぐ6歳の子供をもつ主婦です。最近、右乳房の横でわきの下(腕の付け根から10cmくらい下で脇のくぼみではありませんが)に2〜3cmのしこりを発見致しました。7年程前に同じ場所に米粒位の小さなしこりがあり、その時は脂肪の塊と思い気にしておりませんでした。出産後に太ってしまったのと、痛みも無いので現在までしこりに気が付かずにいたのですが、今思うとあの時のものが大きくなったのかとも思います。しこりは球状で触ると動くように思います。もしかすると回りの皮膚が動いているのでそのように感じるのかもしれません。生理前、生理中は胸の痛みがあります。特に右胸の上側面から脇の下まで鈍痛があります。また最近、生理に関係なく同じ場所にわずかな痛みと違和感を感じます。ですが、しこり自体に触っても痛みが感じられないため、乳癌の可能性もあるのではと思っています。乳首からの分泌物もありますが、絞らなければ出ません。分泌物は、白っぽいもの(乳白色)です。血液が混ざっているようには感じません。出産後6ヶ月まで授乳し、お乳は出ていたのですが断乳致しました。その後、たまにお風呂に入った時に絞っていたのですが、いつまで続ければ良いのかわからず、自然と絞るのをやめてしまいました。リンパ節の場所がはっきりわからないのですが、しこりの場所はリンパ節ではと不安です。しこりのすぐ下は骨ですし、いろいろと考えると怖いです。乳癌を含め、どんな病気が考えられますか? 私の母は乳癌の経験者で左胸を手術しておりますので、私も早く検査をしたいと思っています。横浜市(東横線を利用)に住んでおりますが、きちんと検査の出来る近くの病院を教えて頂ければ有難く思います。お忙しいところ申し訳ございませんが、どうぞよろしく願い致します。
メールの内容からはしこりのある位置が乳房内かそれとも脇の下のリンパ節か何かなのか、はっきりとわかりませんが、どちらにしろ外科を受診されることを希望します。東横線沿線であれば、南から横浜市大附属市民総合医療センター、けいゆう病院、横浜市立市民病院、横浜労災病院、関東労災病院などでしょうか。(文責 稲葉)
【No.879-1】 02年04月22日 H.H.
乳がん骨転移について教えて下さい母が5年前に乳癌で左乳房を切除しました。(腺癌、ステージU、リンパ節転移なし、他臓器転移なし、) その後経口抗癌剤のフルツロンとホルモン剤のタモキシフェンを服用していました。1年半前に右股間節に痛みがあり、骨シンチの結果、頭蓋骨、肋骨、右股関節、骨盤などに転移が認められました。その後の治療としてフルツロンとホルモン剤のヒスロンHを服用し月に2回ビスフォナールの点滴注射を行いました。その間に経口抗癌剤をエンドキサン+UFTEに変更しましたが、あまり効果がない為、経口抗癌剤を点滴のエンドキサン+ファルモルビシン+5FUの治療を行いました。その間もビスフォナール月1回とヒスロンの服用は続けていました。4回目の点滴治療の後、真菌性肺炎と細菌性肺炎を発症し、治療中に十二指腸潰瘍で腹膜炎になりました。一時は肝機能も低下し、人工呼吸器をつけどうなる事かと思いましたが、治療のかいあって今では肺炎も十二指腸も完治しました。私自身、抗癌剤の副作用はとても恐れていた事でした。肺炎や十二指腸潰瘍のすべてが抗癌剤の副作用や治療に使用した薬剤の副作用とは言えないとは思いますが、今後の癌治療で、化学療法を行っていくのは母本人も家族もとても不安でなりません。疼痛緩和の為、右股関節と左肩にそれぞれ週に五日2Gyずつ合計25回の放射線治療を行いました。最近は左肩骨の痛みがあり、痛みがひどい時にはモルヒネを使用しています。化学療法は全く行っていない為、主治医はホルモン剤だけでも服用していたほうがいいとの事です(タモキシフェン)。
母は地方で離れている分、とても心配ですし、私も主治医と直接話しができないもどかしさと、また入院している病院と放射線治療を行っている病院が異なっている為、今後の不安と、どういう治療法が残されているかが、とても知りたいのです。よろしくおねがい致します。
また、母には心疾患があります。(心不全)
1、ビスフォスフォネート製剤について
・ ビスフォナールとアレディアの作用と、注意すべき副作用について(心疾患がある場合はリスクが高いのか)
・ ビスフォナールとアレディアの作用の違い
・ その他のビスフォスフォネート製剤について
2、ハーセプチンについて
・ 放射線療法との併用についての効果
・ 骨転移の場合の効果と副作用
・ 心疾患がある場合はリスクがたかいのか。
3、ホルモン剤治療について
・ 骨転移の場合のホルモン剤単独治療の効果と副作用について
・ どのようなホルモン剤があるのか
・ ヒスロンHの長期の服用の不正出血や子宮への影響について
・ 術後から再発までの3年間タモキシフェンを服用していました。再発したにもかかわらず、またタモキシフェンを服用しても効果はあるのでしょうか。(主治医の先生の考えがあっての事だとは思いますが、あまり効果が期待できず気休めの為であれば服用するのはやめたいです)
・ アロマターゼ阻害剤について教えて下さい。(骨転移の場合は効果はあるのでしょうか。)
4、放射線療法について
・ 疼痛緩和の治療の場合40〜50Gyは一般的な量なのか。
・ 右股関節に50Gyを治療し痛みは緩和されましたが、左肩は50Gyの治療をおえても、鎮痛剤(モルヒネ)を服用しないといけないほど、痛みがあるそうです。主治医は炎症をおこしているかもしれない。との事ですが、こういう痛みは自然に消えていくものなのでしょうか。
・ 左頬骨にも転移があるらしく、骨の溶骨がおきているらしいです。放射線療法は有効なのでしょうか。おこりうる副作用について教えて下さい。
・ 最近の症状では食欲がなく、体重も減っているようです。放射線の副作用も考えられるのでしょうか。
5、鎖骨上のリンパ節転移について
・ 鎖骨上リンパ節に転移した場合痛みはともなうのでしょうか。
・ どのような治療がありますか。
・ 今後おこりうる状況を教えて下さい。
御忙しいなか申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。まずビスフォスフォネート剤の作用ですが、その前に乳癌の骨転移について簡単にご説明します。乳癌の骨転移では一般的に骨吸収が進み、骨が溶けて骨折や痛みの原因となります。骨吸収は骨の中にいる骨を食べる細胞(破骨細胞といいます)が乳癌細胞より出される刺激により活発となり、これによりおこるといわれています。ビスフォスフォネート剤はこの破骨細胞に作用して、骨吸収能を失わせる作用があるといわれています。また癌細胞に直接作用して、癌細胞を死に至らしめるともいわれています。これらの作用により骨転移によって起こる痛みや高カルシウム血症などを抑えます。副作用は急性腎不全、低カルシウム血症、不整脈などがあります。心疾患のある方でも用いても構わないのですが、気をつけてつかうのが良いと思います。
ビスフォナールとアレディアは作用はほぼ同じです。欧米ではビスフォスフォネートは日本より種類が多いようですが、我が国では前記の2剤に加えて、ダイドロネル、オンクラスト、テイロックなどの薬があります。
ハーセプチンについては、勉強不足で最新のデータなどよくわからないのですが、私の知る限りでは放射線療法との併用については、まだきちんとしたデータが出ていなかったと思います。また転移部位の如何に関わらず、効果があり、副作用も骨転移に特有な副作用はないと思います。心疾患に関してはハーセプチンは重篤な心不全を起こすことがあり、リスクは高いと思います。
骨転移でのホルモン剤の効果ですが、一般的にホルモン剤は骨転移やリンパ節などの軟部組織転移に有効であるといわれています。副作用は、ほてり、肝障害、体重増加、脂質異常、性器出血、おりもの、血栓症などがあります。タモキシフェン、ヒスロンの他にフェアストン、アフェマ、アリミデックスなどがあります。ヒスロンでは性器出血などの副作用がありますが、気をつけねばいけない副作用として肝障害や重篤な血栓症があります。再発後にタモキシフェンを用いることですが、これはリチャレンジといって、全例に効果があるというのではないのですが、よく効くケースもあります。閉経後に主に女性ホルモンを産生するのは卵巣でなくて、肝臓や副腎、脂肪組織ですがここで男性ホルモンから女性ホルモンに変換する酵素がアロマターゼです。このアロマターゼを阻害して女性ホルモンの産生を抑えるのがアロマターゼ阻害剤です。最近新しい薬が出てきており、この中のアリミデックスはタモキシフェンより効果があるというデータが出ています。
放射線の線量は適当な量と思います。左肩については放射線をかけても痛みがなかなかとれず、現在モルヒネを使用しているとのことですが、この痛みは今後自然に軽快するということはないと思います。だんだんと増強していくと思われます。頬骨への転移に放射線を照射するかどうかですが、今までの経過をみると、骨転移は徐々に進行しているように思われます。放射線は照射した部位にしか効果がありません。年齢や全身状態からみて何度も放射線照射をすることはできないと思われます。ホルモン剤やビスフォスフォネートなどの治療を行い、痛みはモルヒネで取ってあげるというのが良いのではないかと思います。
鎖骨上の転移ですが、リンパ節転移だけでは痛みはありませんが、腫れたリンパ節が神経を圧迫したり、リンパ節から周囲にがんが広がり、周りの神経などを侵せば痛みが出てきます。鎖骨上単独であれば切除したり、放射線照射が適応ですが、前述したように全身状態からすると、放射線は厳しいようです。ホルモン剤と痛み止め等の現在の治療を私も選択したいです。メールの内容から判断すると残念ながら病期は徐々に進行しているように思われます。癌に対する治療以外にも、痛みを取ってあげるといった症状を和らげる治療も十分に行っていくことも重要と思います。(文責 稲葉)
【No.879-2】 02年05月04日 H.H.
がん休眠療法や、抗がん剤少量投与法について御忙しいなか、丁寧なご回答を頂き大変恐縮しております。本当にありがとうございました。母が地方にいる為、直接主治医の先生とは話しはできませんでしたが、兄弟を通じていろいろ聞いてもらいました。
1、現在服用中の薬剤は
循環器 ― ワソラン(3T/3)
ホルモン剤 ― ノルバデックスD(1T/1)
鎮痛剤 ― MSコンチン(40mg/3) ロキソニン(3T/3) アンペック坐薬(10mg 頓用)
2,腎機能、肝機能は現在正常だそうです。
AST:41、 ALT:22、 BUN:14、 CRE:0.6
3、現在わかっている転移巣は骨で、右鎖骨上リンパ節の腫瘍があり、転移も考えられるとのことです。骨転移両側大腿骨、恥骨、胸椎、右上腕骨、後頭骨、左上顎骨、上顎洞。 疼痛の程度から、右上肢の神経浸潤も考えられるそうです。
4、腫瘍マーカ数値(2月) CEA:3,2 NCC-ST439:2,1 CA15-3:25 BCA225:320
5、ビスフォスフォネート製剤については、母の場合、血中カルシウム濃度は8,9でやや低いらしく、薬剤として使用すると低カルシウム血症を生じる危険が高いそうです。
6、現在心不全の状態ではないが、アドリアシンを以前使用した事により多少なりとも心筋の障害はあると考えられ、薬剤性の心筋障害とのことです。不整脈は現在コントロールされていて、ワソランを止めると再発する可能性があるそうです。
7、5年前の手術時のStageはUA、腫瘍サイズは4cm程度、胸筋に浸潤があり、リンパ節転移はなかったそうです。
8、4月26日より、タモキシフェンをアリミデックスに変更したそうです。主治医の先生としては放射線療法よりも化学療法をすすめているそうです。母の体力でも大丈夫とのことで、使用する薬剤や量については今回は聞けなかったそうです。
母の状態ではビスフォスフォネート製剤は使用できず、現在の治療はホルモン剤のアリミデックスのみです。主治医の先生は化学療法をすすめていますが、
@「休眠療法」や「抗癌剤少量投与法」について教えて下さい。副作用はいくらか軽減されるのでしょうか。
Aモルヒネの場合の副作用について教えて下さい。母の場合、食後の嘔吐が頻繁にあるようですが、モルヒネの副作用も考えられるのでしょうか。制吐剤はプリンペランとナウゼリンを服用しているそうです。
御忙しいなか、申し訳ございませんが、よろしくおねがい致します。@休眠療法とはtumor dormancy therapyの事と思われます。tumor dormancy とは腫瘍の休眠、潜伏状態のことで、腫瘍がほとんど増殖せずに長い間体内に存在している状態をいいます。この状態が続けば、腫瘍細胞がなくならなくても、延命が可能と考えられます。tumor dormancy の状態は特別な新しい薬剤を使わなくとも、ホルモン剤などで得られることが、臨床経験上わかっています。
抗ガン剤少量投与法は副作用を軽くするために、一回に投与する量を減らしその代わり回数を増やす、たとえば3週又は4週ごとに投与する薬剤を3分の1ずつ毎週投与するなどといった方法です。副作用は少量投与の方が少ないですが、効果が同じくらいあるのかについては薬剤によっても違うようで、いろいろな抗ガン剤について投与方法と効果や副作用などの関係が調べられている段階です。
Aモルヒネの副作用に嘔吐、嘔気、便秘などがあります。モルヒネによる嘔吐や嘔気は通常は、モルヒネを開始して1〜2週間の最初の時期にみられることが多く、時間がたてば通常は治まってきます。もちろんそれまでは吐き気止めを一緒に使います。モルヒネの副作用が考えられますが、そのほかの原因(消化管の通過障害など)も考えておかなければならないと思います。(文責 稲葉)
【No.878】 02年04月21日 masako
生検について始めまして、35歳独身です。人間ドックの超音波検診でしこりがあるといわれ、T病院の外科に検査に行きました。超音波で見てもらったときには、両方の胸に7ミリくらいのしこりがあるとのこと、両方にあるので乳腺症だと思われるといわれました。レントゲンも撮りましたが、しこりはないので、乳腺症なので半年後に検診を受けてくださいといわれました。それまでは、自分でしこりがわからなかったのですが、その結果を言われた1週間後位に、右胸に突然しこりを発見しました。しかも直径2センチ弱くらいに感じます。いきなり、大きいしこりなので、びっくりしています。こんなにすぐに成長するということはあるのでしょうか?以前の検査の時にはレントゲンの結果次第では生検といわれてたのですが、どんな風にするのでしょうか?注射針を指すとしたら、麻酔はするのでしょうか?痛みはどれくらいでしょうか?胸に針と考えただけで、痛くなりそうです。よろしくお願いいたします。
通常は乳房のしこりが1週間ぐらいで倍以上の大きさになるというにはあまりありません。特殊なタイプのしこり(葉状腫瘍や線維腺腫の一部、肉腫など)で2週間ぐらいで急に大きくなるものもありますが、メールから察するにはそのようなものではないと思います。生検についてですが、どのようなときにやるかというと、まずしこりが悪性である可能性があるとき、しこりの大きさが2cm以上ある時などです。もちろん2cmを越えたら絶対やらなければいけないということではありません。これはあくまで目安です。あまり大きくなってからでは局所麻酔でとるのが難しくなるからです。麻酔は通常は局所麻酔で麻酔の薬を乳房のしこりの周囲などに注射して行います。もしmasako様が歯を歯医者さんで抜いた経験があるなら、そのときに用いたのと大体同じなので想像がつくかも知れません。局所麻酔が効いてくれば痛みはとれます。ただ多少さわっている感覚や引っ張られる感覚などは残ります。もちろん意識はしっかりとありますので手術の音
などが聞こえるので、病院によってはヘッドホンステレオなどかけて音があまり聞こえないように工夫しているところもあります。よく眠る薬を使ってほしいという希望もあるのですが、眠る薬を使うと麻酔薬によるショックなどがわかりにくくなるので、あまり用いません。傷の大きさはしこりと同じくらいか少ししこりより大きい程度で、傷は通常はしこりの上におきます。時間は30〜60分くらいでしょうか。傷を糸で縫うなら1週間後に糸を抜くというのが一般的なところだと思います。しこりが大きくなったとお感じになられたなら、主治医の先生を受診して頂くのが良いと思います。(文責 稲葉)
【No.877】 02年04月21日 A.B.
肝転移後の治療について親戚のことについて相談させてください。年齢40代後半の女性です。昨年春、乳癌が見つかり、検査をした段階で肝臓にも転移していました。入院後化学療法CEF、その後タキソテールを続けています。このタキソテールは初め4週間に1度、80rでしたが、白血球の減少があり、2週に1度外来で、40rずつ行っています。乳房も肝臓も癌の大きさが小さくなり、良い方向へ向かっているようです。
本人が化学療法を1年続けたので、2〜3ヶ月ほど休みたいと主治医に申し出たところ、1ヶ月間だけ休むことになりました。さて、相談はその後のことなのですが、休んだ後、
@以前と同じペースで、2週に1度タキソテールを40rずつする方法。
A小康状態を保っているので、4週に1度タキソテールを40rずつする方法。
B薬をタキソールに替えて、毎週投与する方法。
本人はどの方法を取るか悩んでいます。医師もデータがあまりないので迷っているということです。本人は病院までの距離もあるので、毎週はきついと言っています。このまま良い状態を維持するためには、どのような方法が考えられますか?よろしくお願いします。肝転移後の治療でCEFを行い、その後タキソテール40mgを2週に1度行ってきて今後の治療についてのご質問です。現在乳房の病巣も肝臓の病巣も小さくなってきて、小康状態となっているわけです。さて今後どのような治療をするかということですが、これはなかなか難しいと思います。今までに用いてきた薬剤は妥当な選択だと思います。転移再発後の治療で抗ガン剤を用いた場合、いつやめるかというのは特に決まっていません。CEFやCAFといったアンスラサイクリン系薬剤という薬を含んだものは、副作用の関係で最大限に用いる量が決まっていますので、その量までしか使えません。タキソテールやタキソールといったタキサン系薬剤は最大限ここまでしか使えないという限界の量はありませんが、実際はある程度使うとむくみやしびれなどの副作用がでることがあるので、たいていはこの副作用がでるまでしか使えません。逆にいうとこれらの副作用が出ない限りは使えるということです。
AB様のような場合は副作用が出ていなければもちろんこれからもまだ続けることが可能なわけです。ただ毎週とか2週に1度病院に行って抗ガン剤の点滴を行うというのは、患者様にとってはかなり大変な事です。この点もある程度考慮して決めなければいけません。選択肢が3つありますが、メールにもありましたようにこの3つの投与方法とも大規模な臨床試験のデータはないと思います。小規模の臨床試験のデータは学会などでも発表されています。私の考えは現在小康状態で、副作用など特に問題ないのであれば、あえてBを選択する必要はないと思います。@とAでどちらかを選択すると思います。小康状態を保っているのだから今までの方法を続けていくというのも良いだろうし、ご本人の負担を考えて、4週に1度に回数を減らすというのも良いと思います。私の場合なら患者様と相談して、@とAでどちらかを選択すると思います。
最後にこの3つの選択肢の他に、とりあえず抗ガン剤の点滴を終了して経過をみる、または経口の抗ガン剤にして経過をみるという考えもあると思います。(文責 稲葉)
【No.876】 02年04月19日 M.E.
乳輪下膿瘍について37歳、女性です。お忙しいところ申しわけありません。乳輪下膿瘍について、触れた場合や見た目の症状など、そして簡単なものから大変な場合の治療法やだいたいの治療費など、教えていただきたくお願いいたします。
乳輪下膿瘍の症状は一般的には、乳輪下の痛みを伴ったしこりや皮膚の発赤などです。その硬いしこりや発赤を認める部位の下に膿瘍(いわゆる膿の溜まりです)を形成し、ひどくなると自然に膿が皮膚にやぶれて出てきたりします。膿が出ると一時的には良くなりますが、また膿が溜まり繰り返すようになります。治療法は膿の溜まりを切開し、膿を出すことですが、この方法ではまた膿が溜まることが多く、根治させるためには膿瘍と皮膚への膿の排出口(瘻孔といいます)とそこまでの経路をすべて切除しなければいけません。局所麻酔でもできますが、膿瘍が大きいと入院して全身麻酔でということもあります。治療費は単に切開するだけなら、5000円程度ですが、入院して全身麻酔でということになると5〜10万程度はかかると思います。社会保険の種類などによっても費用が微妙に異なるので、受診した病院の事務担当の方にご相談するのが良いと思います。正確な費用などは病院の事務の方の方が詳しいです。(文責 稲葉)
【No.875】 02年04月19日 A.T.
抗癌剤治療の副作用?義母が乳がんの診断を受けて以来、このホームページをいろいろ参考にさせていただいております。義母は2月下旬に左乳房部分切除手術を受け、4月15日から抗がん剤治療をはじめました。62歳、腫瘍の大きさ1.5センチ、リンパ節転移5/17、ホルモンレセプター陽性です。抗癌剤の種類はファモルビシン、エンドキサンです。それと同時にホルモン剤も点滴したようです。副作用は覚悟していたものの、発疹、左残存乳房の腫れ(赤く、小さいでこぼこ(丘疹?)を伴っています)は事前にきいておらず、不安に思っております。放っておいてもよいものでしょうか? お忙しいところ申し訳ありませんが、お教え下さいますようお願致します。
義母様は手術後に抗ガン剤治療を始められたとのことですが、内容はファモルビシン(ファルモルビシン)、エンドキサンで、この他にホルモン剤の点滴とのことです。リンパ節転移の個数からいって、抗ガン剤の内容は特に問題はないと思います。私の場合もリパ節が4個以上の場合はこれらの薬を使うことが多いです。ホルモン剤の点滴についてですが、義母様は恐らく閉経後の方と思われます。閉経後の方で用いるホルモン剤は内服する薬ですので、点滴の薬というのは何かのお間違いでしょうか? さて発疹と左乳房の腫れですが、薬の副作用かどうかはわかりません。副作用の可能性は否定できないと思います。主治医の先生に一度相談されることをお勧めします。(文責 稲葉)
【No.874】 02年04月18日 N.S.
だんだん悪化していく病状が心配群馬県にすむ現在49歳の妹ですが、3年前に乳癌で片方の乳房を切除しました。昨年11月に診断で脊椎への転移が確認され入院して6ヶ月になります。入院初期は痛みが有るものの自力で歩いておりましたが、だんだん股関節の痛みが強くなったため2ヶ月程前から車椅子を使っての院内移動を余儀なくされています。放射線治療をしているとのことですが、だんだん症状が悪化していく様子に、姉としては気が気でなりません。現在の治療方法で本当に治癒していくのでしょうかお教えください。また現在の病状と治療方法について、セカンドオピニオンを求めることを妹に勧めたいと考えています。もし可能なら東京駅から便利なところで適切な病院をご紹介戴けますでしょうか。
メールの内容から察すると、骨転移の病状は少しずつ進んでいるように思われます。現在放射線治療を行っているとのことですが、放射線治療は照射している部分のみに効果があります。いわば手術と同じように対象となっている部位のみの治療で、局所療法といいます。骨転移は血管の中に癌細胞が入っておこるものですから、全身に対する治療も必要となってきます。これを全身治療といって抗ガン剤やホルモン剤などの薬による治療があたります。メールからでは現在までの治療の詳細はわかりませんが、前に述べたような薬剤による全身治療も良いと思われます。前記の薬は骨転移以外の肺や肝臓などの転移に対しても用いますが、骨転移に対してのみに使う薬として、ビスホスホネート剤というのがあり、骨転移の改善や痛みの除去に有効といわれています。
東京駅近辺で適切な病院とのことですが、国立がんセンターが築地にあります。それ以外にももちろん専門病院は多数ありますが、私自身東京の病院にあまり詳しくはありませんので、申し訳ありません。(文責 稲葉)
【No.873】 02年04月15日 Nemoto
エコーについてあまりにも不安なので教えてください。私は31歳既婚者です。出産経験はありません。母方にも父方にも、癌はいません。おととしから年1回乳がん検診を受けています。おととしは、総合病院の外科で、触診・マンモ・エコーと受け、触診で線維が多いといわれたものの、異常なしでした。昨年は、市の無料検診で指定された産婦人科のみの医院で受け、触診のみで、異常なしでした。そして今年は、おととしと同じ総合病院の外科で触診・マンモ・エコーと受け、結果待ちの状況です。
触診で、「乳腺だとは思うけど何かしこりがあるので念の為エコーをしましょう」といわれ、その日にマンモを撮り、昨日、エコーを撮りました。エコーでは、2人の先生で確認していましたが、何か見つかった様な会話が聞き取れました。検査も終わり、着替える時に一人になり、そのままになったエコーの画面が目に飛び込んできました。黒い画面に1箇所だけはっきりと白い丸いものがありました。あまりに怖くなり、検査をしてくれた先生に「何かあったんでしょうか?」と聞いたところ、とてもうろたえた様子でもう一人の先生をみて、「大丈夫だとは思いますが外科の先生にみてもらって外科の方からお話します」といわれました。
質問です。エコーで白く丸いものが写った場合、癌の可能性が高いのでしょうか。他にはどんな場合がありますか?先生が左の12時のところ・・・と言っていました。長々とすみません。今まで大きな病気等したこともなく不安です。結果までじっとしてられなくてメールしました。よろしくお願いします。乳癌はふつう低エコーを示しますので、黒く写るはずです。高エコーで白く写るものには石灰化を有する病変があります。しかし、乳癌の石灰化は微細で集簇しており、はっきりと単発(1個)で写ることはありません。このことから乳癌は考えにくいと思います。エコーの検査は技師か医師が行いますが、所見について仲間同士で相談することはよくあることです。また、その診断結果については良性であれ悪性であれ、患者さんには直接言わないことになっています。(文責 石川)
【No.872】 02年04月13日 matu
思春期女性化乳房についてはじめまして、自分は中3の男子なのですが、中2のときから乳首にしこりができました。自分で調べたら思春期にできてすぐ治るとわかりました。しかしもうできてから1年経ちます。5月には修学旅行があり、みんなでお風呂に入ります。恥ずかしいので治す方法はありませんか? 教えてください。
思春期女性化乳房だと思います。これは、ふつう成長につれて縮小・消失していくことがほとんどです。ホルモン療法は副作用と効果が不確実なため行いません。あとは手術で摘出する方法しかありません。なんとか我慢して、修学旅行を乗り切ることをお薦めします。(文責 石川)
【No.871】 02年04月13日 Y.S.
黄色がかった茶色の乳頭分泌物お忙しい所恐れ入りますが、よろしくお願いします。39歳で出産未経験の主婦です。5〜6年前に左右の胸にしこりが見つかり、左右共 乳腺症、右:入管内乳頭症 左:線維腺腫 とのことで、その後、半年ごとの触診による定期検診と約1年に1度のマンモグラフィーと超音波を市内の大学病院にて受診しております。
今回の質問は、その左胸乳頭より分泌物があったことについてです。最近になって、今年の1月末にマンモグラフィーを受けた際、初めて左の乳頭より少量の黄みがかった茶色の分泌物が出ましたが、その後超音波を受けました。その時分泌物のことを担当医の先生にも報告しましたが、マンモグラフィー・超音波の結果は以前と変化がほとんどないので心配ないということで、また半年後の受診の予約をしました。その後は1度も分泌物は出ておりませんでしたが、しかし昨日、生理前のこともあり、少し胸がはるような少し痛い感じがして、乳房のしこり(線維腺腫)のあるあたりを何気なく強くつかんで見たら、また少量の米粒半分ほどの少し黄みをおびた分泌物が乳頭より出ましたので少し不安を感じております。分泌物は今日も強くつかむと黄褐色のものが少量出ます(少し押したぐらいでは 出てきません)。以前担当医の先生の説明では、「下着を汚すような分泌物があれば受診に来て下さい」とのことだったのですが、強くつかまない限りは分泌物は出てこないのです。次回は7月に触診の検診予約を入れてあるのですが、それまで様子を見ていても大丈夫でしょうか? どうぞよろしくお願いします。黄色がかった茶色の乳頭分泌物は乳癌、乳管内乳頭腫などでみられます。過去の経過から乳管内乳頭腫か乳腺症の可能性が高いと思います。さらに少し押したぐらいでは出ないので、腫瘍(癌)が原因ではなさそうです。次回7月の予約で大丈夫だと思います。(文責 石川)
【No.870】 02年04月12日 A.I.
左胸の痛み36歳独身の女性です。数日前から左胸の外側からわきの下にかけて痛みを感じるようになりました。きりきりと刺すような痛みです。しこり、分泌物や、見た目の異常はありません。肩こり(左肩)がひどく左腕全体がだるい感じです。祖母と姉が乳癌で亡くなっていますのでとても不安です。病院へ行く前にご意見を伺いたくてメールさせていただきました。よろしくお願いします。
乳癌そのものが痛みを生じることは稀です。左胸の痛みはホルモン活動に伴う機能的な痛みの可能性が高いと考えます。これが間接的に左肩、左腕に影響しているかもしれません。病院に行って安心しておいた方がいいのではと思います。(文責 石川)
【No.869】 02年04月12日 NAOKO
Second Opinionについてはじめまして、47歳の主婦です。1月下旬に、右胸に小さなしこりのようなものを感じ、外科外来にてエコーと触診で異常がないと診断されました。それから3月26日にしこりが2cmぐらいに大きくなったので病院に行き、同じ先生に診察を受けました。エコー・触診にて異常はないが念のため細胞検査をしてみることになりました。その結果を4月4日に聞きに行ったところ、診察した先生は移動されていて、別の先生の診察を受け、悪性乳がんと診断されました。その後、レントゲン、CT、尿検査、血液検査、アイソトープの検査を行い、4月11日に手術日が決まりますが、今までのことを考えるとどうしても不安があります。セカンドオピニオンという方法があると聞いたのですが、どの様にしたら良いでしょうか。今、A病院に通院していますが、近くに癌専門医はいらっしゃいますか。よろしくお願いいたします。
Second Opinion (SO)は求めて構わないと思います。最近は医師もSOに対して抵抗がなくなってきているのではないでしょうか。私のところにもSOを求めて来られる方が増えました。逆に、当科でもSOを他院に求めたい雰囲気の方には、こちらからSOをどうぞと言い出す場合もあります。このときは検査成績は全て持って行っていただきます。実際はこっそりと行かれる方もあるのではないでしょうか。患者さんが納得されることが重要です。A病院の近くにある日本乳癌学会認定施設(専門医がいます)は、以下のようです。(文責 石川)
小田原市立病院 п@0465-34-3175
神奈川リハビリテーション病院 п@0462-49-2111
国立相模原病院 п@0427-42-8311
【No.868】 02年04月11日 sato
抗癌剤について私ははじめ左胸にしこりをみつけ、病院で見てもらったら右にもしこりが見つかり、結局両側乳癌と診断され手術を受けました。術後、左のリンパに1/14個の転移が見つかり、放射線治療をしています。放射線治療後に化学療法の予定です。AC×4 タキソール×4 回の合計8回を薦められてます。ACTについて詳しく教えていただけたらとおもいます。よろしくお願いします。
ACはA(Adriamycin 商品名:アドリアマイシン)を静脈投与、C(Cyclophosphamide 商品名:エンドキサン)を静脈または経口投与する治療法で、かなり以前から行われています。
Aはアントラシクリン系抗癌剤の代表的薬剤で、1960年代から臨床に使用されています。乳癌にはDNA阻害により優れた抗腫瘍効果を示す薬剤で、第一選択の治療薬として考えている医師が多いと思います。副作用は白血球(骨髄抑制)、心毒性(うっ血性心不全)、脱毛等があります。心不全は大量投与(総投与量が550mg以上)にならないと起こらないといわれています。実際に、ここまでの量になることは殆どありません。Cはアルキル化剤で核酸代謝を阻害し抗腫瘍効果を発揮する、古くから乳癌に用いられている薬剤です。主として併用の形で用いられますが、卵巣抑制機能もあり、その点でも乳癌治療に有利です。副作用は白血球減少(骨髄抑制)、出血性膀胱炎、脱毛等があります。これらの薬剤を併用することによって相乗効果を期待します。AC療法は投与量も投与間隔もいろいろな方法があり、施設や医師によって異なる場合があります。Aで20〜60mg/u、Cで100〜600mg/uの投与量です。再発例に対する奏効率は40%前後といわれています。
TはTaxol(Paclitaxel、商品名:タキソール)で、セイヨウイチイ針葉の抽出物からの半合成されたタキソイド系薬剤です。細胞の微小管に働き細胞分裂を阻止します。1992年にUSAのFDAに承認された新しい薬剤で、点滴により長時間かけて投与します。副作用は白血球減少(骨髄抑制)、過敏反応、抹消神経障害、脱毛等があります。単剤で再発例に対する奏効率は38〜62%前後といわれています。アントラサイクリン系抗癌剤耐性症例に対する奏効率は28〜65%と高いのが特徴です。こちらも投与量も投与間隔もいろいろな方法があります。AC療法、T療法とも1回投与量が少なければ外来通院で施行できます。(文責 石川)
【No.867-1】 02年04月11日 K.I.
生検の結果3月下旬に自分でしこりを発見し、総合病院の外科で受診。マンモグラフィ、エコー、穿針吸引細胞診で、クラスVと診断、4月5日に日帰り手術で、ピンポン玉くらいのしこりを摘出生検しました。4月15日に結果がでます。今になって、外科的生検が必要だったのか、疑問に思っています。それと、もし良性で無いと出た場合、治療方法をセカンドオピニオンしたいと思っていますが、15日にすぐそれを、言い出していいものかどうか、また、平塚総合病院の片山先生に診てもらうには、どうしたらいいのか? 今頭の中は、不安で混乱しています。どうか教えてください!!!
穿刺吸引細胞診でclassVが出た場合、私も他の検査(触診、画像)でよほど良性と自信を持って診断できない限り、摘出正検をお勧めしますし、今までの検査の流れは全く通常通りかと思われます。患者さんと医師との間の信頼関係とはお互いの気持ちが大事で、どちらかからの一方的なものではありません。結果を聞く前から2nd opinionを考えるのではなく、よく説明を聞いてから対処すべき問題かと思います。まだ悪性と決まったわけではないのですから、まず落ち着いてしっかりと結果を聞いてください。それから考えても決して遅くはありません。(文責 片山)
【No.867-2】 02年04月18日 K.I.
生検の結果(2)今日結果をききました。悪性の進行性の乳ガンでした。腫瘍が乳頭に近いのと大きいので、温存療法はとれないといわれました。今通院しているのは、茅ケ崎徳州会の劉先生です。この病院で手術するなら、5月1日。3週間位の入院ののち、3ヶ月の通院の放射療法といわれました。また大船中央病院の雨宮先生の紹介状も書いてもらい、18日(木)に診察をうけることにしました。温存療法が、やはり無理なのか、その後の治療方法など(大船では、放射治療は、できないといわれました。)聴くつもりでいます。転移の検査などはしていませんが、それも入院までにするのでしょうか?どちらの病院にするか、なにを基準にかんがえればいいのか?アドバイスいただけることがあれば幸いです。一番つらい結論になりました・・・・。今日いっぱい泣いたので、後は、手術の時まで泣かないつもりです。
生検の結果が乳癌であったとのことで、恐らく今後のことに対して不安な気持ちでいっぱいなことと思います。 患者様は乳癌と初めて診断された時、医師がいろいろと説明してもショックで何を説明されたかあまり覚えていないという方が多いようです。私たちは前向きに考えて、これからの治療のことを考えましょうと声をかけますが、気持ちが落ち着くまでには少し時間が必要となるようです。
ご質問のお答えですが、転移の検査をいつやるかについては、手術までにやることが多いと思います。ただ各病院の事情により、手術前にはできずに、手術後ということも場合によってはあるかも知れません。次に病院の選択ですが、選ぶ基準は人によって異なると思います。あくまでも私の意見ですが、基準として考えるのは1)自宅から距離の遠い病院はさけた方がいい。2)できれば乳癌の専門医がいる病院が望ましい。乳癌専門医がいる病院なら、病院によって治療法や成績などあまり差はない。ということです。1)については、乳癌の治療は手術で終わるわけでなく、その後も場合によっては抗ガン剤やホルモン剤、放射線治療などが続きます。また手術後少なくとも10年近く経過を見ていくわけですから、遠い病院よりも近い病院が良いと思われます。2)専門医のいる病院であれば、治療法や成績など大差はないと思われます。もちろん各病院によって細かな点は多少は異なりますが。また言い方が悪いかも知れませんが、主治医の先生との相性もあると思います。患者様も医師もお互い人間ですから、多少の好き嫌いはあると思います。患者様が実際に会ってみて良いと思われた先生を選ぶというのも一つの方法です。乳癌は診断されたら1,2週間以内に手術をしなければ手遅れになってしまうというものではありません。両方の先生の考えをきいて、難しいかも知れませんがあなたがよいと思われる先生を選ばれるのが良いと思われます。(文責 稲葉)
【No.866】 02年04月10日 Y.K.
細胞診を抜かしてもよいのでしょうか?3月28日の検診で乳房にわずかなしこりが発見され、その日の内に同じ病院の外科を受診し、マンモグラフィーをした結果、右に石灰化像が見られるという事で、4月4日に超音波検査を受けました。超音波ではあまりはっきりしないようでしたが、マンモグラフィーの結果と照らし合わせて、右の上外側の乳首との境界あたりにある径6ミリほどの像がそうだろうという事で、4月8日に生検の手術をする事になりました。私自身、急な事であまり知識もなかったので、早いほうがいいかと思い、その日程でお願いしたのですが、インターネットなどで見てみると、生検をする前に穿刺細胞診をするのが一般的なようです。初め生検もちょっと切る位かと思っていたのですが、そうでもなさそうなので、不安になってきています。細胞診をせず、生検を受けたほうがよいのでしょうか。ご意見を聞かせていただければと思います。よろしくお願いします。
マンモグラフィー検査前に外科外来で受けたときは、Drは、「しこりもほとんどわからないし、心配はないと思いますよ。胸がとても小さく脂肪がないので乳腺にさわってしこりのように感じたのかも」と言っておられました。今も癌かそうでないかは6対4くらいだと言っておられました。不安にならないように言ってくださったのかもしれませんが・・・。乳房X線(マンモグラフィー)上にみられる微細な石灰化が、癌の兆候のことがあります。しこりが触れない癌はこの石灰化か、乳頭分泌(血性のことが多い)が手掛かりになってみつかることがほとんどです。生検の前には穿刺細胞診をするのが一般的ですが、Y.K.さんの場合は超音波検査でしこりがはっきりしないことから、うまく石灰化のところが細胞診で採れるかわからず(採れても診断が難しい場合もあります)、より確実な生検を選択されたのだと思います。間違った選択ではないと考えます。この場合、しこりがはっきりしているときとは違って、石灰化の部分を必ず摘出するために大きめな創で、大きめに乳腺の部分切除をすることになると思います。(文責 石川)
【No.865】 02年04月10日 M.E.
突然乳首(乳輪)に痛みはじめまして、37歳、女性です。5日前、うつぶせになった時、気がついたのですが、右の乳首が痛み、乳輪下半分がかたく(しこり)なっています。今もずっと痛みがとれません。今のところ分泌物はなく、乳房には痛みはなく、しこりも確認できず、鏡に写してみても見た目には気になることはありませんが、乳首(乳輪)がズキズキ痛む瞬間(数秒)と、なんでもない瞬間(数秒)が交互にやってきます。こんなことは初めてなので心配です。気づいたのは生理になって3日目のことでした。不順ではないのですが、いつもならある生理の前兆も、今回は突然(出血が)きたり、最近は腹痛(下痢)も多く、なんとなく体調がすぐれません。ホルモンと何か関係があるのか、それとも・・・不安です、教えて下さい。
乳首や乳輪がホルモンの関係で痛むことはあり得ます。乳癌そのものが痛みを伴うことは稀です。生理が終了しても痛みがよくならなかったり、固いしこりが引き続き存在するようでしたら、病院を受診される方が安全かと思います。(文責 石川)
【No.864】 02年04月09日 M.T.
胸のしこりについて今日初めてこのホームページを知り、早速、ずっと不安で、でも病院に行く勇気も無く、一人悩んでいた事について御相談させて頂きます。宜しくお願い致します。
私は、出産経験2回の42歳の主婦です。最初の出産の時に、ひどい乳腺炎を経験しました。もう記憶が定かではないのですが、数ヶ月前に乳輪斜め下に、小さなしこりを見つけました。ころころした綺麗な形をしていて、指で押すとコロンと逃げるように動きます。その他、かゆみ・いたみ・分泌物・乳房の引きつれ・変形等何の症状もありません。最近少し大きくなってきたような気がして、今日計ってみると1センチぐらいありました。乳がんの可能性はあるのでしょうか?やはり勇気を出して病院に行った方が良いでしょうか?その際どういった病院に行けばいいのでしょう?ご助言宜しくお願い致します。乳輪斜め下の1cm大の大きくなってきたしこりですが、42歳という年齢も考えると、悪性腫瘍を否定する意味で、病院に行ってきちんと検査を受けるべきだと思います。(文責 石川)
【No.863】 02年04月06日 アキ
しこりについて初めまして。つい1週間前に左胸に直径5〜6ミリ程度のしこりがあることに気づきました。年齢は22歳、身長164cm、体重43kgです。痛みはなく、さわると中でころころと動きます。
家族には乳ガンの人はいないということです。他の方の内容を読んだところ、乳ガンの可能性は少ないようですが、その他の病気だとしたら、このまま放っておくとよくないのでしょうか?よろしくお願いします。左胸のしこりは、年齢、ころころと動くことから、乳腺線維腺腫の可能性が極めて高いと思われます。この乳腺線維腺腫は若い人にできる良性の腫瘍で、まず悪性化することはありません。しかしながら、この腫瘍は自然に消滅することは少なく、癌との鑑別が問題となります。若い人でも乳癌にかかりうるからです。私自身も実際に23歳の乳癌患者の治療を経験していますし、十代の乳癌症例の報告もあります。若く未婚の方で、この乳腺線維腺腫が強く疑われて摘出しない場合でも、定期的な観察(診察)は必要と考えます。(文責 石川)
【No.862】 02年04月05日 goto
脇の下のしこりについて妊娠22週5日、初めての出産を控えています。2日程前、何気なく左脇下に触れると2p弱程の楕円形のしこりに気づきました。妊娠中によくあることならばいいのですけど、何か別の病気も考えられますか?ちなみに左胸の乳腺(乳房の上の方)は右に比べると痛みます。時々チクッとなる程度ですが、右の方は痛みもしこりもありません。
脇の下のしこりは、乳腺の腫瘍(良性、悪性の場合があります)、乳腺の一部(腫瘍ではないが、しこり様に触れるもの)、リンパ節、乳腺ではなく皮膚(皮下)の腫瘤を触れている可能性があります。乳房の痛みですが、乳癌そのものが痛みを伴うことはかなり稀です。妊娠時はホルモン環境が違ってくることから、乳腺の腫大(肥大)もあり、痛みも認められることがあります。ただしこの場合は両側性のことが多いようです。しこりがよく(小さく)ならないようなら、侵襲が少なく、妊娠時の乳腺検査にむいている超音波検査を念のため受けられることをお勧めします。(文責 石川)
【No.861】 02年04月03日 千尋
乳癌なのでしょうか?33歳。既婚ですが、妊娠経験はありません。
一月半位前に、スイミングスクールでバタフライを泳いだ後に左乳房の脇から下辺りがひどく痛みました。それからずっと左脇のリンパ腺が腫れています。病院で診察を受けたところ、左肋骨の一部(乳房の辺り)に炎症がみられ、無理に泳いだ為ひびがはいったのでしょう、とのことでした。2年前に左乳房の上部外側にシコリを見つけて、乳腺外科で超音波、レントゲン、細胞診を受けた結果、良性でした。その後は半年に一度診察を受けています。ところが最近自己検診をしたら、経過観察しているシコリとは別に、左乳房乳頭の左横辺りが硬くなっているのです。半年前の診察では見られなかったものです。
1.乳房の奥の肋骨にひびが入った場合、その影響で乳房にごろごろしたものを触れることはありますか。私は非常に痩せていて乳房も小さいので、乳房をぎゅっと押すと肋骨まで触れることができるほどです。
2.そのごろごろが、シコリとして超音波やMRIの画像に写ることはありますか。写る場合は、それを見れば診断がつくのでしょうか。
乳癌だったらどうしようと心配です。お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願い申し上げます。乳房の脇から下辺りがひどく痛んだということですが、乳癌そのものが痛みを伴うことはかなり稀と思われます。脇(腋窩)のリンパ節が腫れる場合、普通はその近くの傷や感染に因る炎症性のものか、腫瘍性(癌の転移、悪性リンパ腫)のものを考えます。炎症性のものなら、炎症が治まるにつれて軽快していきます。腫瘍性のものだと、腫れがひいてよくなることはありません。乳房の奥の肋骨にひびが入っても、乳房にしこりが触れるようなことはまずありませんし、乳腺のしこりなら、レントゲン写真(マンモグラフィー)、超音波検査、MRなど、必ずどれかで分かります。万が一を考え、専門医を受診されることをお勧めします。(文責 石川)
【No.860-1】 02年04月02日 Y.I.
先に抗がん剤を使用するケースはあることなのでしょうか3月はじめに初診、レントゲン・MRI・エコー・針を刺しての検査をし、左の乳癌の告知を3月28日に受けました。最大3センチ、乳頭に近いので全摘をするようにいわれました。リンパ節は大丈夫のようでした。4月2日に右のMRIをとり4月4日に内臓のエコ−をと、さらに4月15日に骨の検査と先生にスケジュールをたてていただきました。思った以上に日にちがあき、すすんでしまうのではないか心配です。入院予定は未定ですが、手術前に抗がん剤の治療を半分先にして、手術を受け、その後残り半分の抗がん剤治療をするとの話でした。先に抗がん剤を使用するケースはあることなのでしょうか。よろしくお願いいたします。
化学療法・ホルモン療法などの治療は手術後に行われるのが一般的です。しかし術前に行う方法も、また評価しよう(効果があるのではないか)というのが最近の趨勢です。その理由は、@手術前なので腫瘍への血流が途絶されず、薬剤の腫瘍局所濃度が高くできる、A腫瘍があり、大きさが測定できるので、抗癌剤感受性の確認ができる、B効果があれば、縮小手術が可能になる場合もある、C手術操作による癌細胞播種、転移の予防になり、治癒切除の確率が高まる、などが挙げられています。またその他に、D診断がついても、手術まで時間がありすぎる、という非医学的理由もあるかもしれません。Y.I.さんの場合、腫瘍が3cm大で、乳頭に近く、乳房切除を薦められていること、腋窩リンパ節が腫れていないことから、@Bの理由ではないように思います。完治されることを願っております。(文責 石川)
【No.860-2】 02年04月23日 Y.I.
抗がん剤の副作用についてNo.860でお世話になったY.I.です。骨シンチ・内臓エコー・肺レントゲン検査をし、手術前の抗がん剤の治療が始まりました。「フルツロンを服用し、一週間後にタキソテールを点滴、さらに一週間フルツロン服用、一週間休み」を1タームとし4ターム受ける予定で、1ターム終了したところです。副作用について説明を受けていたのですが、頭痛、白血球の減少(72→37)と思いのほか軽くすみました。
@今後の2タームめに副作用が強くなっていくことはありますか。
A副作用がなくてもお薬はきいているのでしょうか。
宜しくお願いいたします。@抗ガン剤治療を続けていくうちに副作用の程度がどのようになるかは患者様個人それぞれです。だんだんと副作用が強く出てしまう人もいれば、そのまま副作用が出ないで終わってしまう人もいます。
A副作用が出なくても薬の効果は十分出ていますから大丈夫です。これから抗ガン剤の治療が続くわけですが、頑張って下さい。(文責 稲葉)
【No.860-3】 02年06月15日 Y.I.
手術方法についてのご相談先生のお言葉に励まされながら、術前の治療を受けることができました。抗がん剤の感受性があり、自分でもわかるほどやわらかく小さくなってきました。(副作用はほどほどでした。) がんのタイプなど詳しい結果は手術後とのことですが、現在全摘か温存かを検討できるところまできました。
@できれば温存したいとも思いますが、病気が小さくなったとしても(2センチ以下)、元のサイズが大きかった場合(エコーで3センチ触診では5センチでした)、温存手術を受けても大丈夫でしょうか。
Aまた、傷のあとが残りやすいタイプなのですが、全摘した場合の再建に影響がありますでしょうか。
宜しくお願いいたします。術前治療がよく効いて良かったですね。
1)術前化学療法がよく効いたときにどのくらいの範囲の乳腺を切除するかはいつも議論になるところです。結局は手術する先生の見極めにかかってくるようです。しかし、せっかく小さくなったのですから、温存手術を考えて良いと思います。温存手術を選択した場合のデメリットは、乳房内再発のリスクが少し(術後放射線治療して5%くらい)あるということです。
2)傷の跡が残りやすいというのはケロイド体質ということでしょうか。その場合は、温存手術の傷でも、全摘の傷でも、再建の傷でもケロイドになりやすくなります。しかし、ケロイド体質でなければ問題ないと思います。(文責 清水)
【No.859】 02年03月31日 M.Y.
リンパへの転移について私は、左胸に2cmのしこりあり温存手術をうけ、わきのリンパに12コ転移してました。予後はきびしいですか?反対側のわきのリンパに転移する事がありますか?
手術および病理学的所見については主治医の先生が一番よくご存知です。リンパ節転移が12個ある場合は、無い人と比較して、一般に予後がよいとはいえません。また、右腋下リンパ節転移については、低い確率ですが、無いとはいえません。主治医を信頼して、時間を取っていただいて、十分に説明を伺うことをおすすめいたします。(文責 須田)
【No.858】 02年03月31日 みほ
乳癌の原因についてお忙しいとは存じますが、ずっと不安に思っておりますので、思いきってお尋ね致します。現在子供が3歳になったばかりで、1ヶ月半程前に卒乳しました。ところが、未だに微量ながら母乳がでるのです。個人差だろうと時々搾っているのですが、左の乳房が搾りきれないらしく、ずっと違和感が残っています。はじめのうちはマシになってきたりもしたのですが、この頃はごく微量しか搾れなくなってきたためか、重い痛みが残っています。軽い乳腺炎にはなったことがあるのですが、そのときのようには張ってはきませんし、金額も随分と高いので母乳マッサージにも行きかねております。もしこのまま母乳が搾りきれていないとなると、将来乳癌に発展していく危険性もあるのでしょうか?伯母が乳癌で手術を受けておりますので、遺伝的な要因も心配です。どうかご回答を宜しくお願いいたします。
母乳が搾りきれていないとなると、将来乳癌に発展していく危険性に関しては全く心配いりません。授乳後しばらくしても乳白色の乳汁が出ることはよくあることです。慢性の乳腺症(炎)があるのかも知れません。年令がわかりませんが、30才近くであれば、一度乳房検診を受けられることをお勧めします。(文責 石田)
【No.857】 02年03月31日 N.E.
小学生ですこんにちは。わたしは小学4年生です。おっぱいをつまんだらかたくて、なおりません。親は知っているのですが、なかなか病院に行く機会がありません。日常生活には問題ないので、いいんですが、それが、かたいのが両方ともあるんです。毎日おふろにはいるときに心配で心配でたまりません。これは乳癌なんでしょうか。このまま、病院にいかなかったら死んじゃうんでしょうか?
おそらく思春期前の乳房の一時的な腫大と思われます、時に痛みを伴うこともあります。両側のことも片側のこともあります。乳癌の心配はありませんが、腫大が極端であれば、ホルモンの異常も考えられますので、そうなったら乳腺外科あるいは小児科に相談にいって下さい。(文責 石田)
【No.856】 02年03月31日 neomt
ホルモン療法について私は現在35歳で昨年乳癌と診断されました。右胸全摘手術のあと、CAF療法を行い、エストロゲン、プロゲステロン共に陽性であるため、現在、LH-RHアゴニストとタモキシフェンを投与されています。私は乳癌になる前からコラーゲンを飲んでおり(あくまでも美容上)、CAF療法中は飲む気にもなりませんでしたが、また飲み始めようと思っています。そこで、質問なのですが、コラーゲンを飲むことは、ホルモン療法に悪影響を及ぼしたりすることは無いのでしょうか? こんな質問で気が引けますが、ぜひご回答くださいますよう、お願いいたします。
コラーゲンを飲むことに関して、それが詳細はどういう成分からなるのか良くわからないのですが、ホルモン治療には影響はないと考えます。ホルモン療法時に避けることは、肥満になることや他のホルモン剤を投与することだけと思います。(文責 石田)
【No.855】 02年03月31日 kazu
しこりを取るべきかどうか悩んでいますはじめまして。38歳で出産経験はありません。昨年の9月、胸に小さな(1センチ弱)しこりを発見しました。乳房よりやや外れた真中方向の骨ばったところです。歩きながら、なんとなく重い痛さがあり、触れてみて気がつきました。すぐに外科に行って診察を受けました。触診では、わかりづらかったようですが、エコーで診察しました。エコーには、ほぼ丸いかたまりが写っていましたが、先生がおっしゃるには、少しいびつな部分があるので、針をさしてみるか、全部取ってしまうかということでした。突然だったので、様子をみて再度エコーで診察することを希望しました。先生も様子をみても良いとの事でしたので、半年ほど様子をみました。昨日、再検査の結果が出たのですが、エコーの結果はほぼ変わらないとの事、気持ち背が高くなったかな、と言う事でした。先生がおっしゃるには、取りやすい場所で小さい物なので、取った方が良いとの事。少しいびつな形をしていると言う理由からなのですが・・・。 実は、去年10月に都の無料検診で乳がん検診を受けました。エコーとレントゲンで検査したのですが、そちらの結果では、異常なしと診断されました。他の病院で様子をみていることもお話しています。病院によってそんなに違うものなのでしょうか? 取った方が良いのか、悩んでいます。良いアドバイスをよろしくお願いします。
38才で乳腺に硬いところがあれば、組織や細胞検査をしない限り、完全に癌は否定できないと思います。しかし1%くらいの可能性の中で組織検査までやるかは、患者さんとの話し合いの中で決められます。文面からはおそらく慢性の乳腺症で、画像で悪性の所見がないものと思われます。慢性の乳腺症では画像で異常なしと判断されることもあります。この場合は、悪性の存在の可能性がないとという意味と思います。結論的に気持ちの悪性の不安があるのであれば、穿刺細胞診や組織生検ではっきりさせるのが良いと思います。(文責 石田)
【No.854】 02年03月31日 CHIAKI
うでの腫れについて教えて下さい13年前に左全摘、手術後腕と手の甲が腫れてきました。自分なりにさすったり、マッサージらしきことをしてきましたが13年間腫れたままです。去年右乳房を全摘しましたところ(去年八月手術)、右手(指だけです)、左手の指もまた腫れ始めてきました。この手の腫れはどうしたらいいのでしょうか。よく枕とかを手の下にいれて寝なさいとか、マッサージをしなさいとか、鍼もいいよとか、いろいろ聞きます。枕はちゃんと下に入れて寝ていましたが、手の腫れは変わりません。何かいい方法があったら教えて下さい。マッサージの仕方も教えて下さい。リンパ浮腫は一度なったら治らないのでしょうか。
術後のリンパ浮腫については、はっきりいって現状では完全な治療法はありません。浮腫を少しでも減らす方法として、マッサージや利尿剤などの薬剤の投与やリンパ管静脈吻合などの方法があります。どれもある程度の確率で改善は期待できます。取りあえずマッサージを末梢から上腕に向かい浮腫を擦りあげるようにやる方法がありますが、自身で十分効果をあげるのは難しく、リハビリの専門家にやって頂くと有効な例もあります。他の方法も、いろんな施設で行なわれています。あきらめず 一度乳腺外科の先生に直接相談なさるのが良いと思います。リンパ浮腫は一度なったら治りにくいのは確かですが、治療で改善の見込みはあると思います。(文責 石田)
【No.853】 02年03月28日 T.M.
乳癌ではないと思うのですが…16歳の男です。最近、左胸にしこりを見つけました。楕円形で、直径が1cm強くらい、厚さは5mmくらいです。位置は乳頭の外側上部の乳輪の下あたりで、皮膚のすぐ下にあります。周囲の組織との境界も分かります。表面はなめらかなようです。よく動きますが、皮膚とくっついているように思えます。硬いゴムのような硬さです。強く押すと多少痛いですが、普段は全く気になりません。また、特に太っているわけではありません。あと、前よりは少し乳房が大きくなりましたが、大きすぎるほどではありません。ただ、どちらかというと左胸のほうが大きい気がします。
ここのHPを読ませていただきましたが、乳腺線維腺腫か思春期女性化乳房症のような気がします。しかし、乳癌という可能性も捨て切れません。ちゃんと診察を受けたほうがいいのでしょうか?また、放置しておくと悪化したりするのでしょうか?何をするべきか全く分からないので、アドバイスをよろしくお願いいたします。お察しの通り乳腺線維腺腫か思春期女性化乳房症が最も疑われますが、内分泌的異常についてもチェックする必要があり、受診はすべきと思います。稀ですが乳腺線維腺腫であれば、増大することはあっても消失することはないので、いずれ切除することになると思います。乳癌の可能性は極めて少ないと思います。くり返す様ですが、外科を受診し検査は受けるべきと思います。(文責 石田)
【No.852】 02年03月28日 shichi
分泌物について初めてお便りします。実は、私の妻(40歳)が昨日、左の乳首から分泌物が出てきたと悩んでおります。私も確認致しましたが、確かに黄色っぽい、黄金色のような透明の液が出てきます。多少粘性もあるようで、また若干痛みもあるようです。妻の母親も乳癌で数年前に全摘手術をしておりますし、祖母も癌で亡くなりましたので、本人も大変不安になっております。とりあえず、明日にでもすぐに病院に連れて行きたいのですが、下記内容に対し教えて頂けますでしょうか?
@分泌物について: 黄金色、透明、粘性の分泌物は乳癌の可能性はありますか?
A病院について: 大和市下鶴間に住んでますが、近くに大学病院等がありません。街の産婦人科で診て頂いて大丈夫でしょうか?または、ご推薦の病院等あれば教えて下さい。
以上勝手な質問ですが、妻に最悪の事態があった場合を考えると、私自身も不安で仕方がありません。どうか宜しくお願い申し上げます。1)乳癌では血性分泌のことが多く 黄金色、透明、粘性というのは良性の慢性乳腺症を考えさせます。
2)乳癌の専門医がいる大和市立病院の外科が良いと思います。(文責 石田)
【No.851-1】 02年03月28日 Y.Y.
胸のしこりについて私は27歳で、未婚です。昨日たまたま胸に固い部分を見つけました。乳房というより乳首より1センチ離れたくらいの内側のところで真中あたりです。円いというより板のような感じで、1×3センチぐらい固い部分があります。コロコロ動く感じもありませんが、形は円柱のような感じもします。右側だけで、左側の同じところは固くないので、変だと思い気になりました。触り方によって、固い部分が分かったり分からなかったりします。今までは特に気づきませんでしたが、きづいてみると今まで気づかなかったのが不思議なほど、大きく感じます。しばらく様子をみようかと思っていますが、早めに病院に行ったほうがいいでしょうか?もし乳がんだったら、乳首のそばなので、とても不安です。
乳房のしこりに関しては、乳腺症、乳腺繊維腺腫、乳癌、皮下の脂肪腫など様々ですが、触診だけでは6ー7割しか診断の予測は出来ません。さらに本人の触診所見では、存在診断以上の診断は不可能です。しこりの症状があれば必ず乳腺外科への受診をお勧めします。ちなみに乳癌ではその硬さは、かなりぎざぎざした硬い印象のことが多いと思います。(文責 石田)
【No.851-2】 02年03月30日 Y.Y.
胸のしこりについて(2)回答をいただきましてありがとうございました。病院へ行ってきました。触診とエコーをして、乳腺線維腺腫と言われました。結局エコーの結果1センチほどと言われました。大きくなる可能性もあるので、取ってもいいし、そのままにして、1年後にまた受診でもいいと言われ、とりあえずそのままにしておくことにしました。どうせ大きくなるなら今取ってしまおうかとも思うし、ガンになる可能性が全くないとも言えないと言われましたし、とりあえず夏にまた病院にいくつもりにしていますが、先生はどう思われますか? 乳腺線維腺腫のつもりで取ってみてからガンだと判ることもあるんですよね?
触診とエコーで良性所見とのこと、9割以上はそれで良いと思います。さらにはっきりさせるには、穿刺細胞診、さらに白黒つけるには生検ということになります。27才で微妙な年令ですが、1センチということであれば、私であれば穿刺細胞診で良性であることをさらに確実にしたいと思います。しかしながら2-4月後に受診して大きさなど見てきめるのも正しいことと思います。乳腺線維腺腫と思って癌である確率はゼロではありませんが、極めて少ないと思いますが、心配というのはこの万が一のことですから、御自分で大きさをよく観察するか、さらに検査をうけるかも選択の一つと思います。(文責 石田)
【No.850-1】 02年03月28日 はな
右胸のしこりこんにちは、お忙しい所申し訳ありません。29歳です。去年の12月に、右の胸の内側の方に小さいコロッとしたしこりを見つけ、病院に行きました。それは脂肪のかたまりということでしたが、ほかに気になる所があるので3ヶ月後にまた来診ということでした。昨日行ってきたのですが、少し前ぐらいからその気になる部分が押すと痛く、ひらべったくすこしかたいのです。それで、昨日細胞検査と来週には超音波検査をします。検査結果がでれば全てはわかることですが、子供も4月から小学校ですし不安でたまりません。しこりを押したり、当ったりするだけで痛いのもとても気になります。
乳癌で痛みを伴うのは2割程度で低いのです。超音波、レントゲンでかなりの良性、悪性の診断が出来ますが、細胞診では90%以上で診断がつきます。文面からは良性のものと思われます。(文責 石田)
【No.850-2】 02年04月09日 はな
しこりは放っておいて平気なのでしょうか?先日は、お忙しいなかご返答頂きありがとうございました。検査の結果、しこりは良性でしたが、「1.5センチあるので、もし大きくなるようだったら切除しましょう。」とのことでした。今、良性でも悪性に変わったりはもちろんあるのですよね? しこりは放っておいて平気なのでしょうか?
良性のしこりでも悪性に変わることは絶対ないとはいえません。悪性化の兆候には急速に大きくなるとか、皮膚のひきつれや変色、潰瘍ができるなどがあります。また大きなしこりほど一般的には悪性化している頻度は高くなると考えておいた方がいいと思います。そんな訳で“大きくなるようだったら、切除しましょう”と言われたのだろうと思います。(文責 石川)
【No.849】 02年03月25日 I.M.
乳がんの副乳への転移私は画像診断でほぼ間違いなく初期の左乳癌の診断を受けました。乳管内に腫瘍をつくり、乳頭まで浸潤しているそうです。症状は乳頭のかゆみです。しかし、細胞診では2でした。まだ癌の疑いは捨てきれず、マンモトームなどをこれからやる予定ですが、他の病院に行ったところ、乳管内乳頭腫も否定しきれないと言われました。マンモトームの結果は100%信じられるのでしょうか? また症状で気になるのは、同じ左手の脇の下と腕がとてもだるく、にぶい痛みがあることがあります。エコーでは脇窩のリンパ節転移はないと言われています。ただ3人目を産んだ時、脇の下にしこりができ、副乳だと言われました。何の症状もないのなら気になりませんが、だるさや痛みがあると副乳に転移したのではないかと心配でなりません。病院の先生には次の外来まで1週間近くあるので、まだ言っていません。今、特にしこりはありませんが、副乳に転移している可能性もあるのでしょうか?
最初の症状をみると、いわゆるPaget病(乳癌の中の特殊形で乳頭付近の乳管内に発生し乳頭の皮膚に浸潤しているもの)が疑われます。本疾患では通常、乳頭の皮膚の生検で診断が行なわれます。マンモトームを予定しているとのこと、乳腺内にしこりがあった場合、その病変を確実に採取出来れば、診断は確実と思います。組織が確実にとれていることが条件です。腋下に痛みがありまた副乳があるとのこと、転移は考えにくいと思います。Paget病は限局性で非浸潤がんであることが多く、転移は極めて稀です。(文責 石田)
【No.848】 02年03月25日 Miko
乳頭に分泌物?こんにちは。私は38歳、独身で出産経験は全くありません。早速ですが、最近右の乳頭に白い分泌物があります。うっすらと乳頭に滲んでいるという感じです。しこり等はありませんが、月経前になると乳首が少し痒くなる事もまれにあります。最近、右の脇の辺りがこっているような気がしますが、これはPCのせいだと思っています。年1回の子宮ガン&乳がん検診も受けていますが、昨年は忙しさの為、受けておりません。父方と母方の家族に癌になった者はおりません。"乳癌"心配があるのでしょうか??? ご回答を宜しくお願い致します。
乳頭の白い分泌物とかゆみとのことですが、これは乳腺症(卵巣ホルモンのアンバランス/相対的過剰による乳腺の良性の変化)による症状と思われます。悪性の可能性は極めて少ないと思いますが、年1回は検診を受けて下さい。(文責 石田)
【No.847】 02年03月23日 T.N.
乳癌の診断についてはじめまして。ホームページ拝見させていただきました。つい先日、母が乳癌との告知を受けました。どうしても納得いかないことがあります。でも私にはまだ乳癌に関する知識がありません。納得できないと気持ちの整理がつかなく、どうかご回答お願いします。
母は、ほんの4ヶ月前に乳癌検診を受けたばかりでした。もともと、右の乳房が硬いのは本人も自覚していました。(17年前に私の弟を生んで母乳で胸がはったころから硬かった、と言っています) その検診で、「一度きちんと検査を受けた方がいい」と言われ、すぐ病院へ検査を受けに行きました。エコーというのでしょうか?それで乳房を検査してもらい、その結果、「乳腺が硬くなっているだけで、問題ない」とのことでした。安心していたのですが、先日乳房を触ってみると、硬くなっている乳腺以外にしこりを見つけ、以前とは別の病院で検査を受けたのです。(同じ病院のほうがよかったのかもしれないのですが・・・。) レントゲン、CT、細胞検査の結果、乳癌との告知を受けました。母がみつけたしこりの他に、もう少し大きいしこりも見つかりました。こんな短期間に腫瘍がふたつもできることはあるのでしょうか? どうして4ヶ月前の検査で見つけることができなかったのか、どうしても納得できません。たった4ヶ月でこんなことがあるものなのですか?? 納得して、がんと向かい合っていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。局所の状態の詳細がわからず返答が正確でないかも知れませんが、もともとお母さまは、乳房が硬くいわゆる乳腺症の状態があったものと思われます。そこに出来た腫瘍だと思われます。硬くなっている乳腺以外のしこりとさらに他の部位にもしこりができたとのこと、4月前にレントゲンは撮られたのでしょうか?乳腺症が基礎にある場合、一つの検査だけでは、腫瘍が特定できない場合があります。乳腺症の中に出来たとすれば、多中心的に出来た可能性もうなずけます。通常初診時に乳腺症の所見と判断されれば2ー3月後に再診します。一回の検査だけでは判断しかねることもあり、私の場合は、その後自己検診して変化があればすぐに受診する様指導致します。乳腺症内に発生した場合は、時に急に大きなしこりとして自覚されることもあり得ます。腫瘍が出来た時点と腫瘍が診断された時点は実は相当の期間があるものと思われます。しかし画像等で捕らえられるかどうかは、その腫瘍の形、大きさ、腫瘍の周りの乳腺の変化などに左右されがちです。(文責 石田)
【No.846】 02年03月23日 sakura
抗癌剤、放射線治療について2月末に右乳房全摘、リンパ腺切除の手術を行いました。まだ結果は出ていないのですが、手術前の触診の段階でリンパ腺にも多数転移していて、鎖骨から首にかけても転移しているだろうとの事で、今週から点滴による抗癌剤の治療が始まります。そこで教えて頂きたいのですが、アガリクスとかメシマコブとか冬虫夏草とかが、癌に良いと言うテレビ番組を最近良く見るのですが、抗癌剤の治療の支障になるような事はあるのでしょうか?支障が無いようでしたら、何か使ってみようと思っています。担当に医師に伺えば良いのでしょうが、色々考えてしまうと中々聞き辛くて、メールで伺う事にしました。宜しくお願いします。
アガリクスとかメシマコブとか冬虫夏草などのいわゆる健康食品で癌がなおったなどという誇大宣伝が横行しておりますが、保険薬でないことで宣伝が自由というのは納得がいきません。確かに有効な例が存在することはあるとは思いますが、科学的な裏付けがない限り、なんとも言えません。もっとも自分の患者さんで有効例がたまたまでも経験すれば多少考えが変わるかも知れません。
いずれにしても、この併用については特に支障はないと思います(本剤使用で抗癌剤の投与が不十分になるようなら別ですが)。しかしながら実際の服用については、主治医に相談してから使われた方が良いと思います。(文責 石田)
【No.845】 02年03月23日 T.Y.
胸の痛みについて2日ほど前から、左乳房の外側(脇と乳房の中間あたり)にズキンという痛みが走ります。生理前のむくみの痛さとは全く違って、まるで偏頭痛がその部分に来たような痛みです。私の胸は小さいので、自身での触診は簡単ですが、しこりのようなものは全く感じません。1年程前に子宮頸ガンの前癌状態の細胞が見つかり、猛スピードで進行したために切除をしました。生体検査でもまだガンに変形していない状態であることがわかり、早期に切除もしたため、1年に1度検査さえすれば何の心配もないと言われました。4ヶ月ほど前に再度簡単な子宮頸ガンの検査をしましたが、異常なしでした。数週間前に体の左側に帯状疱疹が少々出ました。一部には、抗体にガンがある可能性もあると説明しているところもあったので、とても心配です。これら全てを相談するには、どの専門のお医者様に会えばよいのでしょうか。現在アメリカに滞在中のため、子宮頸ガンのときの病院を使うことはできません。アドバイスをよろしくお願い致します。
左乳房の外側の痛みがあることと、帯状疱疹ができ抗体?にガンがある可能性という質問だと思われます。乳房あるいは胸壁の痛みの原因ですが、多くは慢性の乳腺症といって生理前に特に強くなるものです。人によって生理の時期と関係のない人もいます。良性疾患である乳腺症は、しこりを伴う時も伴わない時もあります。しかしながら癌の中には痛みを伴うものが2割弱はありますので、乳癌の専門家に相談し、超音波、X線検査を受けて下さい。乳癌の専門家の多くは外科です。帯状疱疹は身体全体の免疫能低下時発症することがありますので、時に癌の存在の可能性を考慮し、検診をすすめるのも良いと思いますが、癌の存在の可能性はそれほど高いものではありません。全身の癌のチェックは一般外科でも構わないと思います。要するに頻度から胃、大腸、肺、(乳腺)等のチェックを行なうことです。(文責 石田)
【No.844】 02年03月18日 A.W.
ホルモン療法について1月に乳房温存手術を受けました。病理の結果でエストロゲン(−)、プロゲステロン(プラスマイナス)と結果がでたのですが、手術後すぐ始まったタモキシフェンをそのまま飲んでいることに疑問なのですが、必要なのでしょうか。
閉経前か後か、切除した病理がどうであったか不明なので、明瞭なことは言えませんが、エストロゲンレセプター(ー)では、ホルモン療法の効果は10%以下と思われますので、高齢で化学療法が全く使えない、しかしHigh Risk Groupなので何かしらの再発予防薬を投与したい場合、タモキシフェンの投与が行なわれるかも知れません。いずれにしても治療に関しては、全てを自身が納得の上、受け入れ様にするべきと思われます。すなわち、今回どういう理由でタモキシフェンが投与されるのか、その長所や副作用について十分理解して服用すべきと思います。(文責 石田)
【No.843】 02年03月18日 夏海
胸のしこりについて30歳主婦です。最近左の乳首がへこんできたように思い、病院に行ってきました。超音波の検査をしたところ、左胸は異常がなかったのですが、右胸に触っても分らないほどの小さなしこりがありました。大きくなるのが心配だったら一年後に検診をした方がいいと言われて帰ってきたのですが、時間がたつにつれ不安になってきました。そろそろ子供が欲しいと思っているので、いつ妊娠しても不思議はない状況です。このまま妊娠しても大丈夫なのでしょうか? それともレントゲンなど、もう少し詳しく検査してからの方がいいのでしょうか? お忙しいところ恐れ入りますが、どうかよろしくお願いします。
今回レントゲンは撮らなかったのでしょうか?超音波だけて小腫瘤ありとのこと、この場合、乳腺症がベースにあって、一部に小腫瘤があるものと思われます。これについては、担当医から小腫瘤についての判断をもっと詳しく聞く必要があります。レントゲン撮影は妊娠期は絶対さけるべきです。もしマンモグラフィーのオーダーがでたら、自分でそれを訴え出て下さい。今回の場合は問題ないと思われますが、以後、超音波検査で形状、大きさの経過を見れば良いのではと思います。現在妊娠すること自体全く問題はないと思われます。(文責 石田)
【No.842】 02年03月18日 Mori
ひざの痛みについてこんにちわ。いつも参考にさせていただいています。3年前乳がんの手術をしました。47歳です。皮膚浸潤していたためVbと診断されましたが、リンパ転移は認められませんでした。治療として、リュープリンとフルツロンの服用をしています。今回相談させていただくことは、一週間前から突然左ひざが痛みました。痛みは持続してあります。整形外科へ行きレントゲンをとったのですが、骨、すじとも異常はないとのことでした。痛み止めを服用しているのですが、痛みはおさまりません。がんによる骨転移として、ひざに発現することがあるのでしょうか? 乳がんの治療をしている病院には来月初旬にいく予定です。それまで様子をみていても大丈夫でしょうか?不安になったので相談させていただきました。
乳癌手術後3年で左ひざの疼痛、XPで異常なし。乳癌の骨転移は全身の脊椎あるいは四肢の近位(大腿骨、上腕骨)に主に発生します。膝関節部に転移(特に単独に)を有することは極めて稀です。XPで骨の変化がないとのこと、骨転移の可能性は低いと思います。しかしながら大腿骨の遠位(膝の上)は全身骨転移の一部として生ずることはあります。他の部分は大丈夫でしょうか? いずれにしても、骨シンチや腫瘍マーカーなどでチェックするべきと思われます。来月、受診予定とのこと、それまでは痛みの増強がなければ、受診日を待っても良いと思います。(文責 石田)
【No.841】 02年03月18日 suzu
乳がんの痛みについて初めまして、とても不安なので相談致します。33歳主婦で子供なしです、かなりの肥満です。数日前より、右脇(脇の下ではない)(脇と胸の付け根辺り?)、腕を組んでちょうど手の平が来る辺りですが、腕を下ろすと違和感があり、何か挟まってるような感触で、押したり力を加えると少し痛みがあります。シコリは、両方の胸の上部に玉子大ぐらいの固いものがありますが、脇の部分にあるかどうかは、贅肉があり過ぎて良くわかりません。乳がんで痛みがある場合はどういう場合でしょうか?痛みのある乳がんは、どのくらいの割合なのでしょうか?その痛みとは別なんですが、昔から生理前の10〜14日ほど、張りと痛みが強くなります。現在も生理前なので少し張り始めていますが、いつもは脇など痛くなったこともないので、生理前の痛みと、この痛みは別だと思うのですが・・。如何なものでしょうか? 宜しくお願い致します。
症状からすれば慢性の乳腺症で、両側乳房の上方の乳腺自体を比較的硬く触れているものと思われます。腋の方に向かって硬結や痛みがあるのは、慢性の乳腺症の炎症が腋にむかって波及し、リンパ腺に及んでいるか、腋に副乳がありその部分の乳腺に炎症があるかのいずれかだと思います。乳癌の早期には痛みがないのが特徴ですが、進行すれば痛みが出てきます。しかし、その割り合いは20%ぐらいです。痛みの殆どは、良性の乳腺症からくるものです。通常生理前が強く、生理が始まると軽くなることが多いのですが、生理が始まっても痛みが残る例もあります。痛みを伴う乳腺症が乳癌と併存する場合もあります。すなわち痛みの有無だけでしこりの性質まで判断するのは難しいということです。(文責 石田)
【No.840】 02年03月16日 Y.K.
エコーで見えないしこりホームページを見てメールを出させていただきました。30歳の主婦です。子供が1人います。左の胸に2センチほどのしこりを見つけて病院に行きました。診察していただいた先生はさわると確かにしこりがあるとのことです。しかし、エコーで見ても、レントゲンをとってもしこりは見えないとのことでした。気にしてさわっているせいか少し痛むようになりました。1ヶ月後にもう一度見せてほしいと言われましたが、恐くなってしまい結局いいとも悪いとも聞けず心配です。触るとあるのにエコー等では見えないと言うのはどうしてでしょうか?見つけにくい所にあるということでしょうか?1ヶ月待つのがとても恐いです。これだけの情報ですが是非教えてください。よろしくお願いします。
レントゲンやエコーでしこりは見えないとのことですが、硬結はあるわけですから、なんらかの所見はあると思われます。しかしおそらく、慢性の乳腺症の所見があり、その硬結が周囲の乳腺組織と区別が出来ない状態なのではないかと推察されます。乳癌や他の腫瘍では周囲の乳腺との区別が明らかなものが多いので、それほど心配はないと思われます。1月後の再診とのこと、妥当な判断だと思われます。(文責 石田)
【No.839-1】 02年03月16日 Michi
生検をしたほうがいいのでしょうか?36歳で左胸に4センチの硬いしこりがあり、病院で細胞検査を針で3回行ったが、 良性でした。このまま様子を見ましょうと言われたのですが、半年経過して、しこりの上の肋骨がずきずき痛むようになりました。もしかして骨に転移したのではと心配しています。 しこり自体は大きくなっていないように思うのですが、しこり周辺が傷むのと脇に違和感があります。ここのところ下痢と胃もたれが続いています。もし、乳がんだとすると、このような自覚症状が出てくるものでしょうか?生検をしたほうがいいのでしょうか? 以上よろしくお願いいたします。
骨の転移は一般に腫瘍のそばの肋骨にだけ出ることは少ないと思います。下痢と胃もたれは転移の症状とは考えにくいですが、細胞診だけでなくエコーやマンモグラフィーでも良性でいいのか、良く聞いて、少しでも可能性がある場合は生検を受けるのも良いと思います。(文責 石山)
【No.839-2】 02年03月25日 Michi
生検をしたほうがいいのでしょうか?(2)回答ありがとうございます。エコーやマンモも良性でした。ある病院では生検しなさいと 言われましたが、病院を変えもうひとつの病院ではその必要は今はないと言われました。 しこりに今までにないずきんという痛みを感じるというのはかなり怪しい症状なのですか? 生検以外の検査で良性でも生検で悪性がわかるケースはかなり多いのでしょうか? そういう例が少なくないのであれば生検に踏み切ろうかと思うのです。今の先生は すぐには必要ないといいますが、すぐに生検を頼んだほうがいいでしょうか? 肋骨だけでなく、足の脛も痛みます。骨に転移したことが一番考えられますよね? やはり、癌であった?とすると、もう胸を切ることは無理ですよね。抗がん剤しか方策はないか このまま放置するのか、放射線をするのか、どういうことを対応してくれる病院を選択すべき でしょうか?今の病院では骨の検査の機械がないので無理かと思うのです。 なにかアドバイスをお願いいたします。
生検以外の検査で、良性でも生検で悪性が診断されるケースはあります。しかし良性と考え外来生検でまさかの悪性が証明される例はかなり稀です。その頻度は生検する時の適応にもより、一概には言えません。からだの痛みや変調があれば癌の転移かと心配される程ですから、ここでは乳房のシコリの生検を行ない良性/悪性をはっきりさせるのが、安心できる唯一の手段だと思います。これまでの情報では悪性の可能性は極めて低いと思いますが、絶対とは言い切れません。まずは生検の希望を述べ、納得して受けるべきだと思います。(文責 石田)
【No.838】 02年03月16日 hiromi
ホルモン治療について平成12年8月29日にクラス3で非定形型の乳房全摘出手術を受け退院後ノルバディクス錠を飲んでいたのですが、最近になって主治医からアリミディックス錠を飲むように言われました。アリミディックス錠の効果および副作用の説明はなく、ただいい薬が出たので飲んでくださいとのことでした。飲み始めると副作用が強く(だるさ、頭痛、吐き気、ほてりなど)、起き上がることができなくなりました。病院の説明がないので製薬会社に直接電話したところ、「閉経前の人が飲むと卵巣の病気になる。」とのことで、私のような閉経前の人はやめるように言われました。アリミディクスは本当に閉経前の人には効果がないのでしょうか。
効能効果書き(添付文書)には適応症(投与対象)にはホルモンレセプター陽性の閉経後乳がんと書かれていますので、閉経前の方には適応はありません。(文責 石山)
【No.837】 02年03月14日 N.T.
癌検診の結果について先日母(66歳)と乳がんの検診を受けました。その時、母の方が触診とエコーとマンモグラフィーでしこりがあるようだとの事で、再度その時にマンモグラフィーをその部分のみとりました。部分のマンモグラフィーではしこりはよくわからないとの事でした。また腫瘍マーカーの結果は数値に異常は見当たりませんでしたが、細胞診の結果が判定不能との事で1ヶ月後に再検査をする予定です。腫瘍マーカーで異常がない場合でも細胞診での異常というケースもあるのでしょうか?1ヶ月後ということで心配なので是非教えて下さい。よろしくお願い致します。
腫瘍マーカーは一般に癌の存在の診断より、癌患者さんの術後再発の指標として用いられる事が多く、検診での意義は低いと言わざるを得ません。したがって細胞診で癌と診断されても腫瘍マーカーは正常というのは普通の事です。1ヵ月後でいいと思いますが、再診して細胞診やエコーなどを再度やる事が重要だと思います。(文責 石山)
【No.836】 02年03月14日 Aki
母の乳癌について今年の2月、私の母(57歳)が乳癌の左胸全摘&リンパかくせい手術を受けました。2つの病院で検査。術前の検査(某大病院)で大きさ2・9センチ、リンパ2つ腫れ(柔らかく動く)全身転移は確認とれず。ステージUbと言われました。
@術前検査に同行した父の話では「四葉状腫瘍?」と言う珍しい?癌だそうですが、どのように珍しいのでしょうか?(予後が悪いのか心配です)
A2月19日に手術をしたのですが、昨日の始診察日で治療内容など言われず、摘出した腫瘍の説明もありませんでした。次の診察日は4月19日と言われたのですが、手術から2ヶ月も治療無しは普通の事なのでしょうか?
B「腫れたリンパが固定されていなくて動く」と担当医師に言われたのですが「柔らかい」とは何なのでしょうか?腫れていても転移が無いということもあるのでしょうか?
母は「先生に質問できない」と言っています。私が質問状を作り母の手から渡そうとしましたが「先生が怒ったら困る」などと質問に消極的です。母が質問できず私が質問できない不安の中、”乳癌”で検索し、殆ど全てのHPを探し回り、この相談室に相談してみることにしました。分刻みのスケジュールのなか大変だと思いますが、なにとぞ宜しくお願いします。申し訳ないのですが質問の内容が雲をつかむようで、用語や説明の内容も伝聞に過ぎず、答えようがありません。ただ、四葉状腫瘍というのは存在せず、悪性か良性なのか、癌か肉腫か、しかしステージは癌の取り扱い規約で規定されていて矛盾だらけです。肝心な説明を誰も聞いていないのか、忘れているのか・・・。主治医に直接聞いて、紙に書いてもう一度説明を受けてから心配したほうがいいと思います。治療内容もそのようなわけで判断の材料が不確実で、正しいのかどうか分かりません。申し訳ないのですがこの内容では答え様がないと思います。(文責 石山)
【No.835】 02年03月12日 N.N.
骨転移でしょうか?はじめて相談いたします。1年9ヶ月前に右乳房全摘しました。腫瘍の大きさは2.7cmでした。温存で大丈夫と言われましたが私の希望で全摘にしました。リンパ節転移なし、ホルモンレセプターはマイナス。ステージ1でリンパ節転移なしなので、抗がん剤治療もしていません。
質問1、 2.7cmでもステージ1になるのですか?
質問2、 再発予防の為、抗がん剤治療をしなくて本当に大丈夫でしょうか?
質問3、 骨シンチやCT検査は術後3ヶ月、6ヶ月、6ヶ月としてきました。前回は昨年の9月末でした。次回は9ヶ月後を6月にする予定です。血液検査は3ヶ月に1度しています、前回は3月1日にして8日に結果を聞きにいき問題なしでした。血液検査もいままで上昇した値は一度もでていません。でもこの4日前から腰痛があり、骨に転移したのではないかと心配でたまりません。4年前から腰痛持ちで、疲れたリ長い時間同じ姿勢で座っていたり歩きすぎると痛くなるので、今回もそうじゃないかと思うのですが、主治医と相談して骨シンチを早めに検査したほうがいいでしょうか?よろしくお願いします。1:ステージ1というのは確かに2センチ以下の腫瘍径になるように思いますが、腫瘍径は触診、レントゲンなどでかなり違うので、ある方法ある時点では2センチ以下と考えられることもあります。T2(2センチから5センチの腫瘍径)N0でステージ1という決まりも過去にはあったと思います。取り扱い規約が平成12年に変わったのです。詳しくはここを参照してください。
http://www.jbcs.gr.jp/newsletter/news16/kantouge.html#Anchor1046397
2:ホルモンレセプター陰性であれば、再発のリスクが低い場合は何もしないことはあります。ただ年齢が分からないのですが、35歳以下の人はそれだけでハイリスクと言われています。そのほか色々リスクを決める基準があります。主治医にリスクが低いから無治療であるという事を確認したほうが良いでしょう。
3:普通骨シンチは年に1回の事が多いようですが、あまり頻繁にやるよりも、採血でICTPという骨転移の腫瘍マーカーも出ています。それを見てからでもいいと思います。(文責 石山)
【No.834-1】 02年03月12日 T.M.
術後の抗がん剤治療について昨年6月右側乳房温存手術を行いました。35歳です。しこりの大きさ3センチ、T2・N2・ステージU、わきの下リンパ36個中21個、鎖骨下リンパ2個転移、ホルモンレセプター(+) Her2(−)。術後、放射線治療(50グレイ)、ホルモン療法(リュープリン、ノルバデックス)、化学療法(CEF3クール、タキソテール3クール)を行い、現在ホルモン療法のみ継続しています。
@ 再発率はかなり高いとは認識していますが、できれば再発は避けたい、少なくともできるだけ先に延ばしたいと思います。化学療法は昨年12月で終了しましたが、これだけでよかったのでしょうか。計6クールしましたが白血球は2000以下に下がらず、GCSFは一度も使いませんでした。本当に効いているのかと不安になったくらいでした。今行っているホルモン療法だけでいいのでしょうか?
A CT検査で肝臓に影が見つかり再発か!と驚きましたが、血管腫との診断で安心しました。血管腫とは何ですか。この血管腫がこれから癌になることなどないのでしょうか?リンパ節転移高度の患者さんには各施設でやりなれた方法で治療しているので、その施設の経験や元になったデータから再発予防効果や一般的な有効率を聞くのが良いと思います。CEF+docetaxel というのはあまり経験がありませんし、海外のデータは AC+paclitaxel などが有名ですが・・・。いずれにしても再発予防はこの程度の期間になると思います。副作用の強い抗癌剤を長く投与するのは不都合も多く、うちの病院でもこのくらいでホルモン療法で経過を見るということになると思います。肝臓の血管腫は、肝嚢胞の次に多い良性腫瘍です。血管が増生してできるもので、大きくならなければ治療の対象になりません。CTの造影のされ方や染まり方の速さで、悪性の腫瘍や転移と鑑別可能です。(文責 石山)
【No.834-2】 02年05月24日 T.M.
再発予防のための卵巣摘出について来月で術後1年になります。先日の検診でホルモン療法の話題になりました。今通院しているところでは、タモキシフェンは5年、リュープリンは2年と決めているとの事。その2年が終わり、「卵巣の働きが戻ってくると再発の可能性が高くなる。腋下リンパ節36個中21個、鎖骨下リンパ節5個中2個転移という非常に高リスクなので、卵巣を取ってしまった方がいいのでは・・・。」という提案をされました。再発を回避することができるなら・・・と、ただ今検討中です。だた、年齢が36歳ということ、卵巣自体が悪いわけではないのにそれをとってしまう事への不安などはあります。そこで、質問なのですが、
@私のような高リスクの場合、卵巣の働きが戻ってきた時、どの程度再発の可能性が高くなるのか。データはあるのか。逆に卵巣摘出でどの程度再発が抑えられるのか。
A卵巣摘出とリュープリン注射との副作用の違いは? 卵巣を取った途端に更年期症状が重くなることはないのか。(今現在の更年期症状は軽いです。少しのぼせがある程度)
B卵巣摘出はどのような手術なのか、手術の危険性はないか。麻酔は全身麻酔? 入院日数、費用はどのくらいか。
C卵巣摘出のためエストロゲン以外のほかのホルモンバランスが崩れて、体調不良を引き起こすことはないか。
D放射線でも卵巣の摘出と同じような治療ができるとのことですが、その安全性はどうなのか。
来月主治医と話をしますが、その前に5点の疑問についてお教えくださると助かります。よろしくお願いします。1. 理論的にはおっしゃるように卵巣機能を抑制しておいた方が再発を防げるということになりますが、この点に関するデータは申し訳ございませんがありません。
2. 同様とお考えになって宜しいかと存じます。更年期症状が重くなることはないでしょう。
3. 一昔前は開腹して手術を行っていましたが、現在は腹腔鏡下で(小さい穴を空けて、カメラで見ながら手術を行う)摘出することが多いようです。危険性は少ないと思います(手術ですからないとはいえません)。麻酔は一般的には全身麻酔です。入院日数は病院によって異なりますが、1-2週間前後でしょう。費用は腹腔鏡下卵巣摘出術が168,000円、これに入院費用などで50-80万円位でしょう(実際はこれの2-3割負担となります)。
4. ないと思います。
5. 放射線は一昔前に行われていましたが、現在はほとんど行われておりません。安全性については近くの腸管などにも放射線がかかることより、その副作用が考えられます。現在では例外的治療です。(文責 加藤)
【No.834-3】 02年06月05日 T.M.
再発予防のための卵巣摘出について(2)主治医と卵巣摘出について話しました。主治医は、「最終的に患者の判断である。経済的な問題もあるし、どちらがいいとは言えない。」と言っています。婦人科の医師にも聞いてみました。「今は再発予防のための卵巣摘出は例がない。腹腔鏡下手術は比較的簡単にできるが、卵巣をとってしまったら元には戻らないので、リュープリンを2年なり5年なりしてからまた考えたら・・・。」と言われました。リュープリンを5年やったとしても40歳です。再び生理が戻ってくる可能性もあるのではないでしょうか。そうなると再発の危険性が高くなるのではないですか。どうすればいいのか決めかねています。先生ならこの問題をどう判断されますか? よろしくお願いします。
実は私は明日、T.M.さんと同じ方を婦人科の先生と一緒に腹腔鏡下に両側卵巣摘出することになっています。その方はリュウプリンとノルバデックスを5年間使ったのですが、治療が終わって再び月経が再開してしてしました。そこで、いろいろ悩んだのですが、卵巣を取る決心をして明日手術ということになりました。現在ER(+)の手術後にLH-RH analogue(リュウプリン等)を2年使う群と5年使う群の比較試験が行なわれていますが、まだその結論は出ていません。しかし、EBCTCGというグループの解析では、閉経前でリンパ節転移陽性の患者さんでは、卵巣摘出した群がそうでない群より再発が少ないというevidenceがあり、St.Gallenのguidelineでも閉経前のリンパ節転移陽性群には卵巣摘出が勧められています。ですから、ER(+)でリンパ節転移が多いのであれば、私はリュウプリンを続けるか卵巣摘出をお勧めします。手術がどうしても嫌ならばリュウプリンですし、手術に抵抗なければ、costや手間を考えたら腹腔鏡下の卵巣摘出術がお勧めです。あとはT. M.さんの決心だけだと思います。(文責 清水)
【No.833】 02年03月11日 izu
乳がんの薬について母親が昨年乳がんで手術をして、現在は抗がん剤を飲んでいます。点滴を最初に行っていたのですが、肝機能が悪くなってしまいなかなか点滴ができないことが多かったため、飲み薬に変えてもらいました(2年間続けて飲む)。今飲んでいるのは「ミフロール錠100mg」×3回とホルモン療法で?「タスオミンD錠20mg」×1回(朝)です。母は抗がん剤の副作用を気にしてか、「ミフロール錠」を1日2回に減らして飲んでいるようです(昼を抜いて)。このような飲み方はどうなのでしょうか? 回答よろしくお願いします。
抗癌剤は規定量を飲まないと副作用だけで効果がでない事があります。減らす必要があれば副作用(肝障害や白血球減少等)が出た場合です。減らすのはよくないしかえって害になるかもしれません。主治医と良く相談してください。(文責 石山)
【No.832】 02年03月10日 yumi
良性腫瘍と乳頭分泌乳腺関係のホームページを検索していましたら、ここにたどり着きました。質問させてください。33歳の女性(未婚)です。昨年の夏に乳房に痒みと痛みを覚え、内科でしたが、癌研究に詳しい医師のもとを訪れ、超音波にて診察していただいたところ、両方の乳房に乳腺症、更に右側には1.2cmの良性の腫瘍が見つかりました。しこりは深部にあり、手では触れにくいといわれました。特に治療の必要はなく、1年に1回の定期検診でよいといわれています。最近、自己診断で腫瘍のある右側乳房の乳頭付近を強くつまむと、黒っぽい緑色の分泌物が出てきます。テッシュに乾かすと1円玉くらいの範囲で、膿がついたような縮れた乾き方をします。ちょうど乳輪の外側あたりをかなり強くつまんだ時に、じわじわと出てくるといった感じです。強くつまむと普通の人でも出てくるものなのでしょうか?普通にしていて、下着についているということではありません。他に甲状腺機能亢進症を治療中です。癌の可能性があるのでしょうか? お願いします。
黒っぽい緑色ということですが、黒味が強いと血液が混ざっていることもあり、乳癌を始め、乳頭腫などの良性腫瘍の可能性も出てきます。分泌物を検査し、血液があるか、腫瘍細胞があるかなどを調べる必要があると思います。さらに詳しい検査として、乳管内視鏡や切除生検などの可能性もあります。いずれにしても専門医の診察を必要とすると思います。(文責 石山)
【No.831】 02年03月10日 K.O.
乳癌検診について始めてメールさせていただきます。36歳です。母がこのたび乳癌だとわかり手術することになりました。しばらくあわただしい日々が続くと思いますが、少し落ち着いたら私も乳癌検診を受けようと思っています。調べましたところ市の検診で受けられるのですが、問診と触診と言うことでした。触診で初期の小さな癌は見つかるものなのでしょうか?やはりエコー等の精密検査を受けた方が確実のような気がするのですが?ガン患者が身内にいると言うことで、癌のリスクも高くなると思います。これからどのように癌検診を受けていったらよいでしょうか。
乳癌検診のがん発見率や見つかった患者さんの生存率などから乳癌検診で認められているのは50歳以上の人のマンモグラフィーを併用した場合で、科学的に有効と証明されています。家族歴がある30才代の人に触診で十分か、エコーが良いのか分かっていません。しかしエコーを検診に使うと要精検として引っかかる人がかなり多く、検診としての意義が低いということもあります。エコーを受ける場合は異常と言われても癌でない人があまりにも多く、よけいな心配をする人がたくさん出てしまいます。その辺を分かった上であれば、検診のエコーを受けることは良いかも知れません。(文責 石山)
【No.830-1】 02年03月08日 H.H.
集中してある石灰化について33歳、2児の母親です。3週間ほど前にしこりを見つけ外科にかかりました。注射器のようなもので細胞を採って調べた結果、異常なしでした。その時1度目とは違う乳腺専門の先生に診ていただいたところ、しこりのある方とは反対の乳房の1部分が気になるということでマンモグラフィを撮ったところ、石灰化した部分が左右の乳房に何カ所か見られ、その中でも先生が気になるとおっしゃった部分に集中して石灰化が見られました。先生は「石灰化が集中しているのは悪性であることがあるからMRI検査と組織を採る検査をしましょう。悪性とは1つ1つの形が違う気もするけど・・・。」とおっしゃいました。家に帰ってインターネットで調べてみると、石灰化が集中して見られるのは初期癌の兆候と書いてあって、急に心配になりました。そこで質問なのですが、
(1) 石灰化が集中してあるものは100パーセント癌なのですか? 石灰化が集中していても癌ではないこともあるのでしょうか?
(2) 先生は万が一よりかは少し高い確率で悪性のこともあるとおっしゃいましたが、そのくらいの確率でも細胞を採る検査より先にMRI検査をするものなのでしょうか? 実は先生は乳癌の疑いが強いと思ってらっしゃるということなのでしょうか?
(3) 初期癌だったとしたら入院は何日くらいするものですか?抗ガン剤治療は必要ですか?
ちなみに診ていただいた先生は日本乳癌検診学会のマンモグラフィー講習試験の合格者として載っていらっしゃいました。来週には組織を採る検査をするのでその時に先生に質問をすればよいとは思うのですが、気になって仕方がないのです。よろしくお願いします。石灰化と言っても大きさ、一つ一つの形、集まり方など様々で、全て癌でもないし、何パーセントと言うことも難しいと思います。したがって確実にその石灰化が集簇している場所が触診かエコーで分かれば細胞診ができますが、マンモグラフィーだけでしか分からないと細胞診は困難です。そのときはMRIになります。また癌の時の入院期間は乳房切除や温存の術式、術後化学療法(病院によって基準が違うのでリンパ節転移の程度で決まる事が多い)の有無など、入院期間は数日から2ヶ月以上に及ぶ場合も考えられ、病院の入院待ちの情況など様々な要因で決まります。私の病院では温存で1週間、切除でも10日くらいが目安です。でも患者さんによっては糖尿や狭心症の合併症があったり、年齢や帰れるの に帰りたがらない方もいて、実際はばらばらです。(文責 石山)
【No.830-2】 02年03月16日 H.H.
マンモトームについてもう1度相談したいことがあります。乳管拡張と集中した石灰化があり、MRI検査と乳管拡張部分の細胞診検査をしました(乳管拡張しているところに集中した石灰化があります)。どちらの検査も異常所見なしで、残るは石灰化した部分についてなのですが、形がとがっていなくておとなしそうなので、マンモトームまでしなくても経過観察でよいのではというお話でした。でも私としては悪性の可能性がゼロでないならば出来るだけの検査はしてみたいと思うのです。そこで質問なのですが、
1、マンモトームをするデメリットはありますか?
2、マンモトームをすれば石灰化が良性なのか悪性なのか白黒はっきりしますか?
3、マンモトームで異常なしでも経過観察は必要ですか?
4、今かかっている病院ではマンモトームを導入したばかりで、試験期間中で予約もいつ取れるか分からない状態なので、マンモトームだけをガンセンターに行ってやってもらうつもりなのですが、マンモトームの結果が異常なしで経過観察と言われた場合、経過観察を今かかっている病院でしてもらうというのは失礼and間違ってることですか?
以上よろしくお願いします。1 ディメリット は穿刺細胞診に比し、針が太いので多少の痛み(局所麻酔すると思いますが)と多少の出血の可能性があることです。
2 石灰化の部分が確実に取れれば、悪性か良性かははっきりすると思います。
3 異常なしといっても、乳管の拡張やなんらかの乳腺症の所見があると思われるので経過観察は必要です。
4 私であれば、全く問題なくフォローいたします。(文責 石田)
【No.829】 02年03月08日 Hash
乳頭からの分泌物について32歳、未婚です。去年の今頃から左の乳頭から分泌物が出るみたいで、下着のちょうど真中あたりによく目を近付けて見ないとわからないぐらいなのですが、直径1ミリぐらいの黄色い分泌物が1、2箇所時々つきます。それから気になって毎日よく見ているのですが、特に汗ばむ季節になるとつくみたいで冬の寒い季節だとあまりつきません。実は10年ぐらい前からよく両方の乳頭がかゆくなることがあり、特に左の方が赤くなったりしました。たぶんアレルギー体質なので、そのせいだと今まで思っていたのですが、去年分泌物があって心配になり大学病院の乳腺外来に診察しに行き、超音波、レントゲンなどの検査をしてもらったのですが何も異常がなく、また分泌物の検査は乳頭を絞っても汁がでないし、膿やかさぷたがないので細胞診の検査はできませんでした。その時医師は、「多分大丈夫だけれども、もし今後引き続き下着に分泌物がつくようだったり、ただれてきたりしたらパジェット病の疑いもあるかもしれないので再診して下さい。」と言われました。寒い間は大丈夫だったのに、昨日久々に1ミリぐらいの分泌物が下着についていてとてもショックを受けました。外見的にただれや膿もでていないのにどこから出るのか不思議でたまりません。特に汗ばむとつくので・・・・・。もう一度再診をした方がいいのでしょうか?どうかアドバイスをお願いします。
分泌物が出る場合は血液の混じった色で赤やピンクや黒などの時に良性、悪性腫瘍の可能性があります。黄色い場合は癌の心配は少ないです。また以前に言われたパジェットというのは湿疹様の変化が主体で分泌物ではないので可能性は低いです。しかしいずれも例外や特殊な病態も考えられるので、一年ぶりであれば再診したほうが良いと思います。(文責 石山)
【No.828】 02年03月07日 T.S.
抗がん剤の効果お忙しい所恐縮ですが、抗がん剤治療の効果について教えていただきたくお願い申しあげます。
1.乳がんで切除(右脇リンパ節も切除)
2.抗がん剤での治療を受けています(まだどこにもに癌が認められない)。
3.手術前も、手術後も、腫瘍マーカーは反応がない。
この様に、腫瘍マーカーが認めれられない状況で、抗がん剤治療をして、はたして効果があるかどうかの確認方法がないとのことですが、何か確認できる方法はないのでしょうか。さもないと、大変な不安をもちながら、苦しい抗がん剤治療を続けることとなります。どうぞ宜しくお願い申しあげます。患者さんにはつらい治療を受けたくない権利というのもあるので、本当につらいのであれば断ることも可能です。しかし、今の主治医は過去のデータから再発のリスク(病理所見やホルモンレセプターなどの多くの因子を総合して)や副作用を考えて、今の治療を勧められたと思います。納得がいかないのであれば、主治医にその理由や効果などについて聞き、納得してからの方がいいかもしれません。また納得のいく説明がなければ資料(予後因子に関する全てのデータ)を持って、セカンドオピニオンを求めることも可能だと思います。とにかく主治医の先生の考えを聞いたほうが良いと思います。(文責 石山)
【No.827】 02年03月07日 H.H.
今後の治療について43才、3年前5cmの乳がんで、リンパにも転移しており手術しました。今は月1回の検診とホルモン剤を飲んでいます。血液検査や骨の検査をしていましたが、今回脊髄が変形していて影があるとの事でした。今は目の前が真っ暗です。乳がんは骨や肺への転移が多いと聞きますがとても心配です。腰がたまに痛かったのです。抗がん剤も今まで使ってないのは、症状が安定しているのかな、とプラスに考えていました。今後どうなっていくのでしょうか。どういう事が考えられますか。教えてください。
脊髄でなく脊椎が曲がっていて、影があるということで考えると、影はおそらく骨シンチということになると思います。やはり乳癌では骨転移が疑われます。でも、骨転移と診断する過程では、骨の腫瘍マーカーや臨床症状などを総合して決めることになり、転移と決まったわけではありません。またそうなってもホルモン剤も何種類もあり、抗癌剤もたくさんあり、分子生物学的薬剤(ハーセプチンや未発売のイレッサなど)、それと骨転移特有の薬のビスフォスフォン酸(日本では高カルシウム血症の薬ですが・・・)、色々迷うほど方法があるので治療は心配ありません。治療の原則は、副作用の少ない物から始めることになります。(文責 石山)
【No.826】 02年03月07日 Jun
乳腺線維腺腫でしょうか?失礼いたします。27才未婚の者です。最近、胸にしこりを見つけました。他の症状はありません。4センチくらいのもので、平たい感じがします。触るとコロコロと動く感じです。実は、22才の時に右胸下部にしこりを発見して、病院でしこりの切除手術を受けました。結果は、乳腺線維腺腫とのことでした。今回のしこりも同じ右胸下部です。来週あたりには病院に行こうと思うのですが、今度はもしかしたら・・・という不安で、たまらない気持です。乳腺線維腺腫というのはクセのように何度もなるものなんでしょうか。もし、がんの場合、4センチくらいもあるのでもう手遅れなんじゃないか、とも思います。他に症状がまったくないのです。ですから、今まで全くしこりに気付きませんでした。乳腺線維腺腫の可能性の方が高いのでしょうか。
4cmで平たく良く動くということは乳腺症や良性の触診所見です。しかしその中に癌が潜んでいることもあり、またそのようにしか触れない数少ない乳癌もあるので、やはり専門医に診てもらってから安心したほうが良いと思います。(文責 石山)
【No.825】 02年03月06日 MAKO
分泌物の検査について37歳、子供2人。左乳首2ヶ所よりチョコレート色の分泌物がありました。 細胞診T 微細石灰化 腫瘍マーカーガン疑い 乳管造影は1ヶ所の方に 増殖性の異型細胞が見られました。良性か悪性かはっきりしないので、昨年の1月に左上外側の乳腺部分切除をし、結果は乳腺症で良性との事でした。また、今年の2月より、違う乳管から、また同じようなチョコレート色の分泌物がありました。細胞診をして、乳管造影をして、異常があれば、また部分切除しても、良性である可能性も高いと思います。今通っている病院の設備は、ここまでで、乳管内視鏡とか、乳管内洗浄細胞診検査(先ほど始めてHPで見ましたが)等はありませんから、また部分切除をするのもためらいます。小さなしこりであれば切除も少なくて済みますが、しこりが無く場所が特定できないので、異常のある乳腺を全部取ると傷も大きくなります。前回は全身麻酔で4.5日入院しましたが、日帰りで部分麻酔で可能なのでしょうか? これを避けるために、経過観察中に乳腺症の治療薬ボンゾールを服用して、分泌物が止まればいいなぁとすがるように試し始めましたが、4ヶ月も服用して時間を無駄にするよりも、この乳管内洗浄細胞診や内視鏡の検査を先生と相談して、他県まで出かけてすっきりした方がいいかとも思います。しかし、この検査でも、異常のある部分の細胞が取れなければ、白黒はっきりしないのでしょうか? はっきりする方法は、どういう方法でしょうか。生検のみでしょうか? よろしくお願いします。
確実なのはやはり生検だと思いますが、乳管内視鏡などは癌であることを確認することはできますが、癌でないと確認することは難しいので、血性分泌がある場合はやむを得ません。また病理の診断でも異型上皮と乳管内癌の鑑別が困難であったり、境界病変がありますので、例外もあり難しいのです。決して時間を無駄にしたわけではありません。いずれにしても、乳管内癌は転移や再発が少なく予後はいいものですので、その点は安心して良いと思います。今の病院でも十分良く診断の手順も踏んでいるのですが、乳管内視鏡は一度やる意味があるかもしれません。(文責 石山)
【No.824】 02年03月06日 A.T.
乳首から汁がでます46歳の女性です。片方の乳房の乳首の周辺をしぼったときに、黒っぽい汁がでます。白い紙にとると赤褐色のような色をした水っぽい液です。病院で診ていただいた方がいいでしょうか。
(補足説明 29歳のときに出産し、1年間授乳しました。乳腺炎になったことはありません。3か月ほど前、乳癌の自己検診の記事を読み、乳首の周辺を絞って汁がでるかどうかという項目があったので試したところ、片方の乳房から白っぽい薄い液がでました。しかし、忙しさにまぎれて、そのまま放置してしまいました。数日前、その側の脇の下にかすかな違和感を感じた気がして絞ってみたところ、同じ乳房の乳首から、今回は上述のような黒っぽい液がでました。乳房にしこりなどは特に感じません。汁が出る側の乳房の方がもう一方より、もともと大きいのですが、近年さらに大きさの違いが激しくなったように思います)
よろしくお願いいたします。黒い液体は「血清乳頭分泌」と考えられ、乳管内癌や乳管内乳頭腫(良性腫瘍)の症状といわれていますので、すぐに受診されたほうが良いとおもいます。乳房レントゲン撮影やエコー、分泌液の細胞診などで診断します。腫瘤を触れにくいので、検査が大事です。(文責 石山)
【No.823】 02年03月04日 T.K.
乳がん検診結果についてのご相談はじめてお便りします。焼津市に住む34歳、2児の母です。先日初めて受けた乳がん検診の結果についてご相談したいと思います。触診ではしこり等異常はありませんでしたが、断乳後1年5ヶ月経っても続く乳汁分泌物を調べた方がよいと言うことで、細胞診、マンモグラフィを受けました。異常な細胞は見つからなかったものの、マンモグラフィの結果、「微細石灰化が散在しているが(多分)良性だと思われるので、一年後また検診を受けてください、その際石灰化が変化していなければ大丈夫でしょう。」と言われました。ガンの際も微細石灰化はできるが、それよりも大きく、形状が違うと言っていました。その時は微細石灰化が何のことかわからず、質問も出来ないうちに帰ってきてしまいましたが、インターネットで調べたところ、ガンの特徴的な症状にも当てはまると言うことで、すごく心配になってきてしまいました。子供は二人いて、どちらも母乳で育てましたが、一人目の時は何度も乳腺に脂肪のようなものが詰まってマッサージをうけたり、薬を飲んだりしました。二人目の時はそのようなことはなく、一才で断乳後、10ヶ月経って母乳がほんの少し出たことがありました。その後はほんの少しなのですが、乳かすのようなものが乳首についていることがよくあります。その医師の言い方では、ガンではないとははっきりはいえない、と言う感じでしたが、一年もそのままにしていいものでしょうか。他の専門医にもう一度検査してもらおうか迷っています。それとも半年後くらいにもう一度その医師に検査してもらったほうがいいでしょうか。アドバイスをお願いたします。お忙しいところ申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。
乳房撮影の微細石灰化は日本乳癌学会のマンモグラフィー講習で試験を受けた医師が診断します。したがってそのマンモグラフィーがどのような精度のもとで撮影され、どの資格の医師が読影したかで意味が違います。詳しくは日本乳癌検診学会のマンモグラフィー講習試験の結果の事が載っているホームページを参照してください。要するにその病院が十分乳癌検診、診断に配慮されたシステムかあるかどうかによって考えられたほうが良いと思います。詳しくはこのページを参照してください。http://www.marianna-u.ac.jp/gakunai/jabcs/tyuubu.htmlで、静岡の病院と医師を参考にして考えてください。(文責 石山)
【No.822】 02年03月04日 R.H.
乳がんと妊娠について先日、左胸下部にしこりを発見し、検査(エコー、触診、マンモグラフィ)を行った結果、1.4センチのしこりで石灰化があり、なんとも言いがたいということで細胞診を行いました。現在結果待ちで非常に不安です。私は34歳、既婚、3歳の子供が一人いますが、現在二人目を不妊治療中です。治療内容はクロミッド2錠の服用とデファストン12日間の服用で、1年以上になり、その間に初期流産も一度経験しています。現在、高温期で、妊娠している可能性もあります。主治医にその旨を伝えたところ、もし乳がんであれば中絶ということになります、とのことでした。やっとできた赤ちゃんを・・と思うと胸がつぶれそうです。そこでお聞きしたいことがあります。
@乳がんであれば、妊娠は継続不可能なのでしょうか。
Aもし乳がん手術を受けたとして、何年後くらいに妊娠が可能でしょうか。
B今後の妊娠を考えた場合に、乳房温存法では術後の放射線は何らかの影響があるのでしょうか。乳房を全て摘出したほうがよいのでしょうか。乳がんであれば年齢のことも考え、子供はあきらめないといけないのでは?と非常に不安です。
どうかよいアドバイスをお願いします。ご質問の内容は全て最悪の場合乳癌という事になり、結果は確かに妊娠中絶を勧めることになるのですが、我々乳癌専門医からすれば、そのような最悪の状況に答えることはできません。何故なら全ての検査結果を知らないのでまずそのようなことはないと思います。心配ばかりするより、今の主治医の先生を信じ、その結果に沿って今後の治療方針をきめられるのが良いのではないでしょうか。(文責 石山)
【No.821】 02年03月03日 N.S.
乳癌だった場合の授乳について教えて下さい35歳です。十代の頃から乳房にはしこりを感じていました。2000年の7月に乳房に痛みとしこりがあったため大学病院でマンモを撮ったところ、石灰化のある乳腺症と診断されました。不安だったので3カ月後に国立のガンセンターで再度マンモをとったところ、やはり良性の乳腺症と診断され、細胞診などはしませんでした。その後すぐに妊娠・出産し、現在産後7ケ月後で授乳中です。そこで心配なことがあるので教えていただきたいのですが、
@大学病院、ガンセンターともマンモのみで細胞診無しに良性と言われたのですが、念のため細胞診をしてもらうべきだったのでしょうか。
A本当はその後も年に最低1度は検査しなくてはいけなかったのでしょうが、妊娠・授乳と続いたため1年半も何もしていませんし、自己検査も授乳中のためわかりにくくなっています。授乳中は乳腺がはっていて乳癌の診断がつきにくいと聞きましたので、あと半年(断乳まで)検査しないのは危険なのでしょうか。
B乳腺クリニックの指導で、漢方の桂枝茯苓丸を服用することによって乳房の痛みはすっかり無くなり、服用も止めていたのですが、最近、生理が復活するとともにまた乳房の痛みも復活しました。やはり女性ホルモンの影響でしょうか。
C万が一、実は乳癌だった場合、授乳によって赤ちゃんにがん細胞が移行してしまった危険性はあるのでしょうか。
お忙しいところ大変恐縮ですが、考え出すと不安でたまりません。どうか教えていただけますようお願い申し上げます。@診断の手順として、侵襲の少ないものからやっていくのが原則で、マンモグラフィーの次はエコーが普通で、そこまでやって癌が疑われたり、腫瘍があれば細胞診ということになります。
A授乳中は確かに触診でも腫瘤が分かりにくいので不利な点も多いのですが、授乳して乳房を空にした直後に診察を受けるなど、それなりに分かると思います。一度受診した方が良いでしょう。
B乳腺症に典型的な月経周期に伴う痛みで普通の事です。乳癌は腫瘤として発見される事がほとんどで、痛みを伴うことは少ないといわれています。
C乳汁中にもし癌細胞がいても、赤ちゃんに転移するなど悪い影響はありません。ただ授乳中は乳房の血流が豊富で、いろいろなホルモン環境から考えると万一乳癌が見つかった時にはよくないので、母親のために断乳してもらう事が多いです。(文責 石山)
【No.820】 02年03月03日 めぐみ
母の乳癌について(乳房再建術)ホームページを拝見させて頂いて、どうしてもご相談に載って頂きたいと思いメールを送らせて頂いています。
実は、私の母は1991年に乳癌にかかり、右胸の乳房を摘出するに至りました。その後子宮に細胞があるとの事で、子宮も摘出し、その後10年何の症状もなく無事に過ごしています。私の相談は彼女の心の痛みをどう解消してあげたら良いのかということです。過去10年毎日のように癌の転移について悩み、医者からもらった睡眠薬なしでは十分な睡眠もできないほどに癌を心配しております。片方の乳房を失ってからというもの、大好きな温泉にもこそこそと湯船に使って人の目を気にしております。彼女は、1つの乳房しかなく、子宮も失って、女としての自信をもう感じられなくなってしまったと私に何度も話してきました。そんな母を力づけてあげたいのですが、どうも同じ病気をもった人ではないと聞く耳を持ちません。正確には整形手術ではなくて乳房再建術というもので、日本では形成外科が担当する事が多いと思います。術後10年以上経っているので再発の心配はまずないと思われ、希望があれば再建手術をするのが良いかもしれません。再建の方法は色々あり手術を受けるのはやむを得ない事ですが、年齢に関係なく温泉に入りたいと言って再建を希望するかなり高齢な患者さんもいると聞きます。実際の方法は、シリコンのバッグを入れる方法やおなかの筋肉や皮膚、脂肪を持ってくる方法など色々あります。乳頭も再建してもらえます。乳房再建をしている形成外科で相談されることをお勧めします。美容外科とは少し違うので大学病院や大きな総合病院の形成外科が良いと思います。(文責 石山)
【No.819】 02年03月02日 E.D.
乳首のかゆみ私は20歳の未婚女性ですが、右乳首にかゆみがあります。1年程前から痒くなり、掻きすぎて血が出ることもあります。腕や指などにアトピーのような湿疹があり、湿疹用に皮膚科でもらった薬を塗ると乳首のかゆみも治まるため、同じような湿疹だと思ってさほど気にしていませんでした。しかし、乳がんでも乳首に湿疹やかゆみが出るとの事を聞き、不安になっています。20歳でも乳がんになるのですか?それとも他の病気でしょうか。教えてください。
乳頭にできる乳癌の一種でPaget病というのがあり、これは湿疹様の病変ですが、痒みは一般的にありませんので違うと思います。しかし心配でしたら、乳頭の細胞診は簡単にできますので、乳腺専門の病院に行き検査することをお勧めします。(文責 石山)
【No.818】 02年03月01日 M.T.
乳癌の予防について27歳、未婚です。5年前に乳腺症との診断を受け、昨年再度検査をしました。生理等に関係なく常に痛みを感じる状態で、生理前には乳頭が痒くなります。特に治療はしていません。こちらの相談室で、乳腺症の人は乳癌になる可能性が約1割あると知りました。私の場合若い時に発症したため、そのリスクも高いのでしょうか。また、乳癌の予防に大豆イソフラボンが良いと聞いた事があります。乳腺症の場合、イソフラボンを長期的に摂取して効果、また悪影響などはありますか?
乳腺症が癌になるという確証もデータもありません。乳腺症の患者の1割というのは、本来の乳腺症という臨床診断の中に、ごく早期の乳癌が含まれていて、そういう結果になったのです。正しく、間違えのない乳腺症であれば癌になりやすいということはありません。したがって乳癌のリスクが高いとは言えません。また大豆イソフラボンは女性ホルモン様の効果があり、骨粗鬆症や更年期障害に有効と健康食品としては言われていますが、乳癌にだけ効果があるとか、乳腺症に効果があるともないともいえないと思います。それより自己検診(触診)と定期検診を受けるのが最良の選択だと思います。(文責 石山)
【No.817】 02年03月01日 E.A.
乳輪のかゆみについてこんにちは。HPをみてメールさせていただきました。私は22歳です。1ヶ月くらい前から、乳輪にかゆみを感じています。乳輪の一部が少し黒っぽく変色してきて、掻いていると乳房が痛くなります。そして、その後しばらくズキズキと痛みます。最近は掻かなくても痛みを感じ、かゆみも治まりませんが、乳頭から何か分泌物があるなどの症状はありません。自分なりにHP上で色々調べてみましたが、乳房の病気でかゆみを感じている人があまりいないので皮膚科へ行くべきなのか、外科などに行くべきなのか、それもよく分からずとても不安です。どうかアドバイスをお願いします。
あなたの乳頭の変化は、多分、乳頭の湿疹だと思います。どちらかというと皮膚科の方が良いと思います。ただ、同じような所見を呈するものとして、Paget病という乳癌のひとつのタイプがあります。これでないというチェックをするため外科へ行って見てもらう必要も有りそうです。(文責 麻賀)
【No.816】 02年03月01日 M.K.
線維腺腫は悪性の場合どうなりますか?現在私の妻(26歳)のことで悩んでおります。約1年前に左胸の真中側上部にしこりを発見。大きさは楕円で2〜3センチ(親指の第一関節大)で、ころころ転がり、凹凸はありません。診察はちょうど一年前の3月と7月くらいに受けています。レントゲン(マンモグラフ?)とエコーと触診で線維腺腫と診断されました(2つの病院で)。良性だろうとのことで安心していたのですが、最近やや硬くなった感じがするので、先週病院にて診察してもらいました。触診のみだったのですが、やや硬くなっている感じがするので摘出して検査した方が良いのでは?と先生より進言がありました。そこで質問なのですが線維腺腫でも悪性のものがあるとのことですが、もしそうなら症状・しこりの状態はどうなるのでしょうか? 妻のように固くなるのも症状の1つなのでしょうか? 教えて下さい。
線維腺腫は悪性のものではなく、良性の腫瘍です。線維腺腫から乳癌に変わることはまずありません。ただし線維腺腫と診断するには組織検査が必要です。あなたの場合は触診と画像診断での診断であり、その診断に間違いはないと思いますが100%ではありません。また、希ではありますが線維腺腫の中に非浸潤性小葉癌が合併することは有り得ます。したがって、触診や画像診断から線維腺腫と診断しても何らかの変化を感じれば、念のため摘出する検査を行うことは有り得ます。硬くなるのも変化のひとつとも考えられますが、線維腺腫は元来硬いものであり、あなたの場合について、今回の硬さの変化が摘出する検査を行うべきかどうかは良く解りません。(文責 麻賀)
【No.815】 02年02月28日 H.K.
患側の湿疹についてはじめまして。昨年9月に左乳房の非定型切除術を行った友人についてご相談します。彼女の乳がんはパジェットから発生したものの様ですが、病理診断の結果、しこりの大きさは2cm強で幸いにもリンパ転移はなく、T2N0M0の病期Tと主治医から説明を受けたとの事です。しかし、年齢・細胞の異型度・ホルモンレセプター(−)と高リスク群に属する事から、補助療法としてCAF療法を受けており、現在ちょうど4クール目が終了したところだそうです。つい1週間ほど前から患側の腋下と手術創の少し下あたり(ちょうど下着の当たる部分)にカサカサとした湿疹が出現してきたそうで、再発ではないかと心配しています。かゆみはないそうです。今回お聞きしたいことは、
@この湿疹は再発の可能性が高いのでしょうか?
A化学療法中でも、再発症状が出現することがあるのでしょうか?
B再発の可能性が低いとしたらどんな原因が考えられるのでしょうか?
Cこの症状出現前から膀胱炎症状があり、主治医よりクラビット(?)を処方され内服していたようです。この薬との関係はあるのでしょうか?
お忙しいところ申し訳ありませんが、お返事お待ちしています。1.この湿疹を見ていないので、なんともいえない面がありますが、再発ではないと思います。
2.化学療法中でも再発症状が出現することはあります。
3.私の推測ですが、乳房切除後の腋窩から手術創にかけて皮膚のアカがついてザラザラすることがあります。この部分は違和感があるので患者さんは風呂に入っても石鹸をつけてよく洗うことをしません。したがって良くアカが溜まります。担当医に良く見てもらってください。
4.CAF施行中は膀胱炎症状が出ることがあります。もちろん、その時出された薬剤によるアレルギーといったことも考えられますが、私は上記のことが最も考えられると思います。(文責 麻賀)
【No.814-1】 02年02月28日 A.I.
放射線治療後の治療法について現在43才です。昨年8月末に胸にしこりを発見し、9月初めに婦人科で定期検診を受けました。その際、「コロコロ良く動くので心配ない」と言われたのですが、数ヶ月たって少し大きくなった様に感じ(痩せているので、尚更しこりが大きく感じました)、別の病院の乳腺外科で検査し、クラスXと判明。2月初めに右乳房A領域1/4切除、リンパ節郭清手術を受けました。ガンの種類は粘液癌で(他の種類は混ざっていないとのことなので、純型かと思います)、大きさは2.9×2.3、リンパ節転移はゼロ、ホルモンレセプターはマイナス、切除断片陰性だったそうです。手術後、切除部分がかなりえぐれた状態となっていますが、今週末から5週間放射線治療を行う予定です。その後の治療法については、当初はホルモン剤投与と聞いていたのですが、その後ホルモンレセプターも陰性でホルモンの影響による発癌とは考えにくいため、ホルモン剤は不要との先生のお話があり、5週間の放射線治療終了後に再度主治医からのお話があることになっています。比較的おとなしい種類のガンとのことですが、やはり大きさから考えると一般的には化学療法が適切なのでしょうか。昨年末に会社都合で退職した為、時期を見て再就職活動をしたいと考えていますが、今後の治療法によっては副作用も気になります。主治医の先生は大変信頼しておりますが、治療法についての理解を深め、また自分自身の選択が必要となる場合に備えて是非こちらでご意見をお伺いしたいと思います。
あなたくらいの乳癌ですとホルモン治療が良いと思うのですが、ホルモンレセプターが陰性では仕方がありません。私ならCMF6クールといったところでしょうか。粘液癌は一般的には予後が良いので私ならCAFではなく、CMFで良いと思います。ただしこれは私見ですから、あなたの信頼している担当医と良く相談してください。(文責 麻賀)
【No.814-2】 02年04月19日 A.I.
UFTについてNo.814-1でお世話になったものです。(43才。2.9×2.3の粘液癌。右乳房1/4切除、リンパ節郭清手術後、放射線治療25回終了。リンパ節転移0/19、ホルモンレセプターマイナス。切除断片陰性)
放射線治療が終わり、先日主治医と今後の治療について相談したところ、経口抗がん剤(UFT)を2年続けるか、何もやらないかを来月半ばの診察日までに選択するように言われました。UFTについてはまだ臨床試験結果が出ていない旨を担当医から聞き、また自分で調べてみてもその有効性を疑い、反対する立場の医師がいることもわかりました。しかし、何も治療をしない、というのも不安が残ります。最終的には自分の判断とわかってはいるものの、複数の専門の先生にUFT服用についてのご意見頂き、参考にしたくメールしました。よろしくお願い致します。UFT服用についてのご質問ですが、A.I.様の主治医の先生がおっしゃるように、きちんとした臨床試験のデータは出ていません。A.I.様はいわゆるn0ハイリスク群に含まれます。n0ハイリスク群というのはリンパ節転移を認めないけれどもしこりの大きさが大きいもの、又はホルモンレセプターが陰性のもの、又は年齢が若い方、又は細胞の顔つきが悪いものなどの群の事で、リンパ節転移を認めない群の中でも上記の条件に当てはまらない人たちより再発率がやや高いので、抗ガン剤かホルモン剤などの治療を行った方がいいといわれる群です。特に欧米ではこの様な群の人にはCMF療法を、また最近ではもっと強力なCAFやCEF療法を行う事もあるようです。日本ではn0ハイリスク群に対しては、欧米のように点滴による化学療法をやるという先生もいますし、AI様の主治医の方のように経口の抗ガン剤という先生もいます。(私は点滴のCMF療法です。)どちらの治療法にもメリット、デメリットがあります。また両者を比較した臨床試験のデータは欧米にはありません。日本ではn0ハイリスク群を対象にしたCMFとUFTの比較試験が終わり、現在追跡フォロー中ですので、あと数年すればきちんとした比較データが出ると思います。従ってUFTがCMFと同等の効果があるのかどうかは現在の時点ではわかりません。ただ効果だけでなく副作用の事も考慮しなければいけません。副作用に関してはUFTの方がCMFより軽いです。もちろん何もやらないというのも一つの方法です。リンパ節転移のない方には抗ガン剤はやる必要がないという意見もあります。しかし最近のデータをみると、n0ハイリスク群の方には、抗ガン剤かホルモン剤などの何らかの補助療法が必要と考えます。(文責 稲葉)
【No.814-3】 03年06月05日 A.I.
肺転移の治療法について昨年、No.814-1&2の相談でお世話になったものです。(現在44才。2.9×2.3の粘液癌。右乳房1/4切除、リンパ節郭清手術後、放射線治療25回終了。リンパ節転移0/19、ホルモンレセプターマイナス。切除断片陰性) 昨年2月に手術をし、3月から放射線治療、5月よりUFTを服用しておりましたが、今年3月のCT検査で左肺に5mm程の影らしきものが写り、5月末にCTの再検査をしたところ、以前よりも形がはっきりとし、またこれ以外にも新たに2個(肺の左右一個ずつ)の影が出ました。肺転移らしいとのことなので、主治医の先生からは、今後はUFTを中止し、ハーセプチンとタキソールによる治療を薦められました。現在ハーセプチンが使用可能かどうか病理検査中です。その先生は、「治療法についてセカンドオピニオンが必要と思う場合は積極的に聞いて構わないし、その結果自分の受けたい治療があるようならば検討してみる。」とおっしゃってくださっています。自分としても、やはり重要な局面なので、色々な情報を参考にしたいと思います。こちらの先生でしたら、私の様なケースにはどんな治療法を選択されるのか、また、もしハーセプチンが使用できない場合は、他にどんな選択肢が考えられるかもお聞きできればと思います。どうぞよろしくお願い致します。
1年後の肺への転移例 ER(-) AC-Docetaxel /CAF /Pacritaxel / Docetaxelなどが考えられ、ハーセプテストが陽性ならハーセプチンを用いる。用量に関しては様々。肺への照射を行う、場所によっては切除、などが選択肢として考えられます。現時点では各々決定的な成績の差はないようです。(文責 石田)
【No.814-4】 03年06月22日 A.I.
ゼローダ単独投与についてNo.814でお世話になっているものです。肺転移につきまして、両肺であることや合計3個の転移がみられることから手術は適用できず、当初ハーセプチン使用を計画していましたが、ハーセプテストで陰性だったため、現在以下の二案で検討中です。
@ ゼローダの単独投与
A ファルモルビシン+エンドキサンの点滴
自分としては、まずゼローダを試してみて、効果があまり見られない場合は、Aを考えておりましたが、これまでUFTを服用しており、同じ系列の薬剤だと思うので、効果の点で期待できるかどうか、という疑問があります。また、他のタキサン系もしくはアントラサイクリン系の抗がん剤が効かない場合の二次的な治療薬として用い、ドセタクセルとの併用が効果があるようなので、その点からも今回の使用法の有効性が気になります。とは言え、現在のところ全くこれと言った症状も無く、元気に日常生活を送っておりますので、強い抗がん剤でQOLを低下させて、肉体だけでなく精神的にもダメージを受けることよる免疫力の低下も懸念され、選択に迷っているところです。何分新薬とのことで、お医者様の方でも多様なデータが得られない状況かとは思いますが、当ホームページのドクターのUFT使用後のゼローダ単独投与に対するご意見も伺いたく、よろしくお願い致します。ゼローダに関しては、今月に市場される薬剤ですので、残念ながらあまり情報はありません。特にUFT使用後のゼローダ単独投与といった限定された情報は少ないと思います。ただし胃癌に適応のあるTS-1という内服剤は、同じ5-FU系薬剤の治療歴のある症例にも、かなりの奏効率がありましたので、ゼローダも期待できると思います。(文責 籾山)
【No.814-5】 03年06月27日 A.I.
肺転移治療中の歯科治療について度々お世話になります。現在、肺転移の治療中でタキソールを毎週点滴しており、白血球は2千〜3千台で推移しており、胸水はありません。先月から虫歯が時折痛むので、主治医の先生に歯科で治療を受けたい旨話したところ、「歯科で嫌がられなければ・・・」とのことでした。実際一度かかりつけの歯科に行きましたが、たまたま痛みが治まっていたこともあり、様子を見ましょうと言われました。しかし、その後も時折疼くので、放置しておくのも気にかかっています。抜歯などしなければ、抗がん剤治療中でも歯科治療を開始しても良いのでしょうか。ご意見を頂ければ幸いです。
肺転移にてタキソールを毎週使用中とのこと、厳しい毎日をがんばっておられることと心よりお察し申し上げます。タキソールにより白血球の値が低下することはしばしばみられ、値だけで一概に申し上げられませんが、大体2000を下回ると風邪をひきやすくなるなど、感染症にかかりやすくなることがあります。さて貴方の場合、虫歯がときおり痛むとのことですので、これからもずっと治療しないでいくと言うことは現実不可能と思います。また、虫歯も感染を起こす大きな原因となりますので、その意味からも早急に治療するべきです。まず歯科医院で治療にどのくらいの日数と処置が必要なのかをお聞きしていただき、それを持って主治医の先生とタキソールの使用をよく相談いただくのがよいかと思います。毎週投与とはいえ、時に少しずらして投与することも充分可能と思われますので、ぜひ歯科治療にも前向きに対処していただきたいと思います。(文責 谷)
【No.813】 02年02月28日 M.M.
脂肪腫について先日左の乳房にしこりが触れたので、乳腺外科を受診いたしました。触診、マンモ、エコーの結果、脂肪腫だろうとのことでした。ただ、周りの脂肪ほど黒っぽく写っていないので悪性の疑いもあるかもともいわれました。3月4日に手術をする手はずは整えましたが、家に帰って冷静になるといくつかすっきりしない点がありメールさせていただいています。
1.脂肪腫は1.5cmぐらいの大きさでしたが、切除することで乳房は変形しますか。
2.検査の結果悪性の場合更なる手術などどういうことが考えられますか。
3.脂肪腫を持っている人とそうでない人の癌になる確率は違いますか。
4.保険がきかないそうですが、悪性ならきくのですか。
5.細胞診は脂肪腫の場合散るかもしれずできないとのことですが、やはり切るしかないのですか。
6.経過を見てもよいとの事だったのですが、サイズが大きくなるかもしれないとのこと、脂肪腫でも大きくなるのですか。
いくつも質問してしまいましたが、よろしくお願いします。1.変形はしないと思います。
2.検査の結果が悪性の場合というと癌と肉腫があります。治療法が多少異なります。癌であれば局所的には追加乳腺切除とリンパ節郭清(場合により省略することもあります)を行うのが一般的です。また術後放射線治療、抗がん剤やホルモン剤の投与が必要になることが多いです。肉腫であればその悪性度によって異なりますが、局所的には乳房部分切除で済むことが多いです。
3.癌になる確率に差はない思いますが、明確なデーター的なものはないと思います。
4.脂肪腫をとる手術は保険がきくと思います。
5.脂肪腫の場合、細胞診でははっきり診断が出来ないと思います。
6.脂肪腫は良性の腫瘍ですから一般的には大きくなりませんが、時には多少大きくなるかもしれません。(文責 麻賀)
【No.812】 02年02月28日 lucky
今後の治療について初めまして、51歳既婚、子供1人います。よろしくお願いします。昨年の10月市の検診にて左胸にしこりが、見つかり、只今3カ月ごとの経過観察をしています。その病院はマンモーグラフィがなく、触診とエコーで見て頂いています。1回目のときは線維腺腫、1月の検査では、はっきり言いませんでしたが、乳腺症かな?と、少し首をかしげていました。しこりは触診できるのが2こあり、1こは硬めで、つるっとして動くので大丈夫だと思うというようなことで、2個目については何も言いません。大きさは1.2pで、1個目のは1p位だそうです。エコーでは、その他に3個程写っています。細胞をとって検査はしていません。最初のときに細胞のお話がありましたが、一言私が、「悪いものであっても今手術する気はありません。」と、言いました所、外科の先生も、変にいじると悪魔になることもあるのでと、3ヶ月の経過観察になりました。平成12年11月に左聴神経腫瘍で開頭手術(経過観察している病院)をして、その3日後に高血圧のため脳出血しています。脳出血の後遺症はありません。死んでももう2度と手術するものか、そんな気持ちでしたが、今きちんと病気と向き合って前向きに考えてみようと思いまして、お願い致します。このまま経過観察でいいのか、乳腺専門の病院(地元にはありません)に行くべきか、細胞を取って調べてもらうか悩んでいます。お願い致します。
今かかっている病院で細胞検査をやってもらうのが良いと思います。(文責 麻賀)
【No.811】 02年02月28日 Y.O.
わきの下のしこりについてはじめまして。私の彼のことで相談したくてメールしました。彼は現在23歳です。1ヶ月くらい前にわきの下にしこりができたと言われました。最近少し大きくなったそうで、触るとかなり痛いそうです。私も心配になり、いろいろ検索したところこの相談室にたどり着きました。いろいろな人の質問を読んだところ似た質問があったりしたので、乳癌ではないと思いますが、質問させていただきたいと思います。場所等を詳しく説明します。右腕のわきの下(くぼみの近く。彼は後背筋のとこと言っていました)に1センチ弱の大きさのしこりが一つあるそうです。触らなければ痛みはないそうですが、触ると痛みがあるそうです。いろいろ調べてみたら、乳癌ではわきの下のしこりは転移したもののようだし、痛みはないようだし、男性の乳癌は女性の1/100みたいだし、年齢的にも乳癌ではないだろうとは思いますが、何か上記のことからわかることがあったら教えて下さい。又、ほっといても大丈夫なのでしょうか?お手数ですがよろしくお願いします。
確かに乳癌ではないようです。何らかの原因でリンパ節が腫大したものか、粉瘤とかが考えられますが、もちろんこの文面からでは分かりません。やはり病院へ行ってみてもらった方が良いとしかいえません。(文責 麻賀)
【No.810】 02年02月24日 S.N.
乳ガンの遠隔転移について46歳です。昨年3月手術をしました。見つかったときはしこりが8センチもあり、リンパにも3個転移がありました。術後アドリアマイシンとエンドキサンの治療を4回、放射線を20回かけました。現在は、ノルバデックスとフルツロン、エンドキサンを飲んでいます。 10月のCT、RIでは、軽い放射性肺炎は見られるが、転移はないと言われました。ところが先週から、首筋が張って首が回らなくなったので、放射線をかけてくれた先生(主治医の病院と放射線をかけてくれた病院が違う)の所に行ったら、早速CTを撮ってくれました。結果は、肝臓に黒く移っているところがある、今の段階では何とも言えないが、ガンでもこのように写るときがあるので、主治医の先生に言って、3ヶ月後にもう一度CT、RIをしなさいと言われました。他の臓器に転移したらもうダメだと聞いているし、3ヶ月も待っていなければ転移しているかどうかわからないのでしょうか。わたしはガンが大きかったので、いつか再発するだろうと覚悟はしていたのですが、やはりとても心配です。
おそらく今回、肝臓を調べてくれた先生は今回のものは転移ではないと思っていると推察します。念のため3カ月後に再検査を行い、転移でないことの確認をと考えてそのように言ったと思います。3カ月後に同じ検査を行うというのは、気になっている部位に変化があるのかどうかによって診断を確定しようとする、普通に行われている方法です。あなたの今の状態から考えるとこの方法で良いと考えます(転移を数ヶ月早く見つけてもその後の治療経過には変わりはありません)。
ただ、あなたの立場からすると、今の時点ではっきりさせたいと思うのは無理からぬこととも思います。そのような場合は、撮影したCTを借りて、主治医の先生に見せて相談したらいかがでしょうか。(文責 麻賀)
【No.809】 02年02月24日 K.K.
乳癌とリンパに癌が・・・66才の母について御相談いたします。先日乳房にしこりがあるので検査にいったところ、乳癌の可能性が高いと言われました。その日にエコーや血液や組織をとり、あまりにしこりが大きいので、早く検査をしてくれまして(5センチくらいあります)、次の日癌だと宣告をうけました。その日にまたいろいろと血液をとり、1週間後鎖骨下のリンパに2個癌があると言われました。他の骨等の検査はこれからですが、転移している可能性もあると言われました。鎖骨下の癌を切除するのは困難なため、抗癌剤で小さくしてから、その後、乳癌の切除になると言われたらしいです。すぐにでも入院して治療を始めたいのですが、入院が順番待ちで6番目です。先生は2、3日で急に進行するものではないからと言われました。確かにそうだと思いますが、入院の時に先生にお会いして詳しく聞きたいと思っているのですが、順番待ちのため、その間気になって仕方がありません。実際、鎖骨下の癌の治療、抗癌剤での治療は大変なものなのでしょうか? 時間がかかるものなのでしょうか? それが小さくならないと乳癌の切除ができないと言われているので、どんな治療になるのか、どれくらいかかるのか、難しいものなのか、気になっています。担当の先生に直接聞けばよいことなのでしょうが、入院までまだどれくらいかかるかわからないので、すこしでも、この素人のわたくしに教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
最近では、あなたのお母様の場合のように進行した乳癌のときにはまず抗がん剤治療(術前化学療法)を行ってから、乳房切除、リンパ節摘出を行う場合も多くなりました。抗がん剤で病巣部を小さくした方が病巣部を完全に摘出しやすいと考えられています。また、抗がん剤治療を行うことでそれを行っている間に病気が進行してしまうといった危惧はありません。それは抗がん剤によって乳癌治療が始まっているからです。
乳癌が治癒できるかどうかの大きなポイントは、乳房とは離れた場所にあるかもしれない(または近々の検査で見つかるかもしれませんが)転移に対する治療が最も大切です。この治療は手術ではなく抗がん剤による治療となります。したがって、お母様の場合、先ほど述べましたように乳癌治療をむしろ早く行っていることになります。実際の治療の詳細については疑問点を担当医によく話し、説明を聞いてください。(文責 麻賀)
【No.808】 02年02月21日 T.S.
不安でたまりません2歳と、6カ月、2児の母親、32歳です。去年の11月に腹部の超音波、胃カメラ、血液検査をし、逆流性食道炎の治療開始、他は異常なしでした。今年の1月、肩こりがひどく、整形で首のレントゲン、腹部超音波検査。首が曲がっているから肩が非常にこりやすいと言われました。超音波は異常なしでした。2月13日、婦人科で子宮ガン検診を受けに行こうと決めていた朝、左乳首からの出血に気づき(たまたまうつ伏せになって胸を押さえつけていた)、同時に乳ガン検診をお願いしました。触診、超音波では、しこりはないとの事で、乳首からの血液を検査にまわしました。左の胸のまわりの骨あたりや、脇の下あたりが、時々痛んだり不快感があったので、15日に再び整形外科に行きました。胸のレントゲン、心電図、胸の触診をしましたが異常がないとの事。健康診断も含め、血液一般検査をして帰りました。19日、まず血液一般検査の結果を聞きに行き、何も異常がないとのことでした。そして、産婦人科に結果を聞きに行くと、子宮ガンはOKだが、乳首分泌物の検査にひっかかってしまいました。疑わしい細胞があるとの事でした。26日の火曜日に精密検査をするように紹介状をもらいましたが、頭が真っ白で、結果を聞いた直後から一気に体調が悪くなりました。しこりはないとの事ですが、左脇の下の違和感や痛み、頭痛もしてきたり、お腹が痛かったり、鎖骨のところの圧迫感を強く感じたり・・・、一週間も先で悪化する事はないのですか? 超音波や、レントゲンなど、最近撮ってきましたが、その後から急速に転移が進んで、頭痛(脳への転移)や、あちこちの痛みを引き起こしている事も考えられますか? しこりがなくても、脇の下や、鎖骨のあたりが不快感があるのはかなり進んでるという事でしょうか?昨日の夜から微熱も出たりしています。お忙しい中、申し訳ございません。
まず、落ち着いてください。担当医に紹介されたところで、良く乳房を見てもらうことです。この文面からみると、私の感じでは乳癌である可能性は少ないと思います。(文責 麻賀)
【No.807】 02年02月21日 K.I.
化学療法の前に乳癌の手術を3ヶ月前にしました。その後、60グレイの放射線をかけ、今後は化学療法とホルモン療法を予定しています。その前に可能であれば、卵子を凍結保存したいと考えているのですが、それにはクロミッドや、hmgなどの排卵誘発剤を使う必要があるようです。私の場合のホルモンリセプターは、エストロゲンが陰性、プロゲステロンが陽性でした。リスクが大きいのであれば諦めますが、どうなのでしょう?
排卵誘発剤は卵巣を刺激して一時的にエストロゲンが増加します。したがって乳癌には良くないことをすることになるのですが、一時的であり、多分問題ないと思います。実際行うにあたっては、婦人科医と良くご相談ください。(文責 麻賀)
【No.806-1】 02年02月20日 Y.K.
卵巣摘出術の適応についてYK 41歳。相談内容は私としては、卵巣摘出手術をしたいのですが、主治医からは今のところ必要ないと言われています。2001年10月に右の乳がん(約5センチ大)の摘出手術をしました。併せてリンパかくせいもしました。術前一週前より化学療法(タキソテール)とホルモン療法(ゾラデックス)を開始しています。病理検査では、リンパへの転移が1個(27個中)発見され、硬癌と診断されました。現在化学療法は4クールで終了して、ホルモン療法を継続中です。この2月中旬から経口抗がん剤(フルツロン)の飲用を開始しました。卵巣の摘出手術をしたい理由ですが、化学療法(タキソテール)の4クール目に肝臓のGPTが最大137まで上がり、現在は約62です。GOTは約40前後で一定しております。GPTが上がった理由は、化学療法もありますが、ホルモン療法も原因ではないかと思っています。何故なら、乳がん発見までに、内膜症(子宮腺筋症)と診断され、約2年間低容量ピル(オーソ16)を飲用して肝臓のGPTが50から60前後に上がったこともあります。ちなみに手術前は30でした。又、10年前に内膜症の治療でダナゾールを1年半使用して、GPTが100まであがり中止したことがあります。現在、脂肪肝といわれてます。又、ほてり、頭痛など更年期症状が現れています。そして、卵巣摘出については、乳がんにならなければ、昨年末に内膜症のため手術予定でした。このような事から、肝臓への負担を出来るだけ軽減したいので,是非、卵巣・子宮の摘出手術をしたいのです。叔母がやはり乳がんで、遺伝的な因子も多分にあり、卵巣・子宮への転移も避けたいと思ってます。手術をした場合に何か問題がありますか?乳がん治療には、どちら(ホルモン療法か摘出手術)の方が予後が良いですか?
あなたの今行っているホルモン治療(ゾラデックスの投与)は卵巣摘出術と同じ効果を出すものです。あなたの行っているホルモン治療はゾラデックスだけでしょうか。タモキシフェンは服用していないでしょうか。ゾラデックス単独では、肝機能の異常や脂肪肝は私はあまり経験しません。タモキシフェンを服用すると肝機能の異常や脂肪肝になり易くなります。肝機能の異常の原因ははっきりしません。タキソテールや現在服用しているフルツロンも可能性があります。もし、ゾラデックスの可能性が高いというなら、ゾラデックスを止めて、卵巣摘出術を行ってもその効果は同じです。担当医と相談の上、方針を決めてください。(文責 麻賀)
【No.806-2】 02年02月21日 Y.K.
卵巣摘出術の適応について(2)ご返事ありがとうございます。卵巣摘出手術ですが、行った場合、予後の状態といいますか、リスクはどの様なものがあるのでしょうか?QOLはゾラデックス使用とまったく同じでしょうか? その辺をもう少し詳しくお答え願えないでしょうか。お願いいたします。又、現在はゾラデックスのみの治療ですが、タモキシフェンとの併用の方がより効果が高いのでしょうか? 以前から気になっていました。
1.卵巣摘出術の手術の危険はほとんどないと考えられます。
2.卵巣摘出もゾラデックスの使用も再発予防効果は同じです。卵巣摘出は生理が元に戻りませんが、ゾラデックスは、止めれば生理が元に戻ることがあります。
3.タモキシフェンを併用した方がゾラデックス単独より効果が強いという報告が多いです。ただ、タモキシフェンは脂肪肝になりやすく、肝機能を悪くすることがあります。(文責 麻賀)
【No.805】 02年02月20日 S.Y.
胸のしこりと不妊治療についてはじめまして。29歳既婚、子供なしで1昨年より不妊治療(体外受精)を行っています。先月行った凍結胚移植で、デュファストンとプラノバールという薬を移植後に内服していました(低温期の間は何も飲まず自然です)。内服中いままでに経験した事のない胸の張りがあり気になっていましたが、妊娠が成立せず胸の張りもひいてくると、右脇から乳頭にかけたあたりにいくつかこりこりとしたしこりのような物が触れるのに気付きました。胸が張っていたときは痛かったのですが、張りがひき生理中の今は触れても痛みはありません。今までセルフチェックしていなかったので、以前からあった物なのかどうかわかりませんし、左にも小さな物が触れるような気がしますが、明らかに右には2本の指でしこりと触れる大きさで、胸の奥のすじと一緒に動くような物を自覚します。
去年と一昨年にスプレキュアで自分のホルモンを止め、HMG−HCGの注射を用いた体外受精を2回経験しましたが、その時はさほど胸に気になる自覚症状はありませんでした。昨年の暮れに自然周期で体外受精ができるクリニックに転院し、クロミッド内服と 2-3本のHMGで排卵誘発し、デュファストン内服で黄体期管理をする治療を1回受けました。そして今回、ホルモン剤を使用した治療は4回目となるのですが、今回初めて使用したプラノバールという混合ホルモン剤のせいか、胸の症状が気になります。自然周期の治療のため月経3日目の診察でホルモン値等問題がなければ続けて治療が受けられるのですが、胸の症状については自分で気をつけなければと思い、明日近医で診てもらう予定です。産婦人科ですが外科担当の先生が視触診とエコーで検査して、異常があれば紹介状を書いてくれるそうです。明日の検診でいくつかはクリアになると思うのですが、すべて先生に聞けるかどうか不安でぜひこちらでも意見を伺いたくてメールしました。質問は
@4回のホルモン治療でも癌が発生するのでしょうか?きちんと間隔をあけ身体を休めながら受けてきたつもりなのですが・・・。(家族に癌はありませんが、母が乳房にのう胞ができ、2回ほど穿刺したことあり)
A明日の検診で異常があった場合精査になると思いますが、どのくらいの期間ではっきりと診断がつくのでしょうか。
Bしこりが経過観察になった場合、上記のような不妊治療は続けてはいけませんか?プラノバールのように、エストロゲン依存性腫瘍には禁忌という薬品は、たとえ私のしこりが良性であっても今後使用しない方がいいのでしょうか。
C自分のホルモンを止めてHMGで卵巣を直接刺激する排卵誘発する方法は卵巣に負担があり、今現在私が受けている自分のホルモン+内服薬の治療法は乳房に強く作用するなどといった関連は考えられますか?
かなり神経質な質問ですみません。婦人科の医師ともよく話してみるつもりでいますが、よろしくお願いします。1.ホルモン治療が乳癌の発生には関与しますので、ホルモン治療を受ければ乳癌発生の危険性が高くなると思います。ただ4回のホルモン治療でどうであるかとの問いには明確には答えられません。
2.2-3週間で良性、悪性の決着がつくと思います。
3.経過観察や良性のシコリであれば一般的にはホルモン治療を継続してかまわないと思います。ただ良性であってもその程度がどうであるのかによって違ってきますので担当医とよく相談してください。
4.この質問は私には良く解りません。婦人科の先生と相談してください。(文責 麻賀)
【No.804】 02年02月19日 いづみ
妹の進行乳癌、骨転移について現在年令39歳、発病した時は部分切除とわきの下にもありリンパも切除しました。放射線と抗がん剤治療を一通りやりましたが、2年後に部分再発し、片側の乳房切除。放射線はせず、抗がん剤アドレアマイシンをうけるが1回でひどい副作用で中止。その後の検査で胸骨の裏のリンパに再発、タキソールをうける。1クールやると小さくなり、効いているということで続けるが、休んでいる期間に急に又大きくなってしまいました。それからは首の付け根のリンパなどに再発し、いっきに骨へ転移。部分再発から1年後の去年の夏でした。腰のひどい痛みが先にきてレントゲンではわからず、RIで背骨、あばら骨に数ヶ所転移があることがやっとわかり、詳しい検査を進めているその間にも早いスピードで進行していたようで、どんどん状態も悪くなり腫瘍マーカーもいっきに上昇。ハーセプチンが効くことがわかり、10月より治療開始、ところがそれまでの間痛み止めでボルタレン座薬をぎりぎりの量まで使っていたせいで(後から解った事ですが)腎臓にダメージをうけ、とても状態の悪くなっていた時に1回目の投与。その夜は腎不全と心不全、二酸化炭素がうまくはけず呼吸不全で危ない状態になってしまったのです。なんとか回復し、やっとの思いで治療を再開する事ができました。背骨への放射線治療とアレディアの点滴も並行して行いました。治療の効き目はあり、どんどん状態も安定してきていましたが、長くは続かず、今はその日その日でいろいろです。現在は、ハーセプチン・タキソテールを週一回とアレディアを2〜3週に一回投与、痛み止めはコンチン80を朝昼夜、アンペック座薬を併用してますが、だんだん痛みに薬がついていかれなくなるようで完全に痛みがとれている状態が長続きしません。血液検査の値も又悪くなってきているようで、次回タキソテールの代わりの抗がん剤を検討中との事です。今もベッドの周辺からあまり動くことができず、トイレへも杖をつきながらやっと行ってます。外出はもちろん車椅子で、思うように生活できずとてもつらそうです。せめて痛みだけでも取り除いて家の中での最低限の動きができればと思うのですが、痛みのコントロールが完全でないのでしょうか?治療方法、内容等他に参考になる事があればぜひ教えていただきたいです。よろしくおねがいします。
長い治療経過があり、私が特に申し上げることはありません。信頼している担当医と良く相談して今後の方針を決めてください。あえてといわれれば、私が今ちょっと思いつくことは以下のような点です。
1.痛みについては通常はコンチンを増量することで対処しますが、ビスホスホネート(アレヂア)を増量したり、ほかのものに代えてみることもあります。
2.抗がん剤を変えるとしたらハーセプチンと相性のいいナベルビンという手がありますが、ナベルビンはまだ保険が採用になっていません。自費でやることになります。(文責 麻賀)
【No.803】 02年02月19日 H.M.
腫瘍マーカーの値について母の事で相談させてください。母は昨年の1月、1a期の手術を受け、この2月で1年を迎えたので先日、骨シンチなどの1年周期の大きい検査を受けたのですが、腫瘍マーカの検査結果を見てみると“CA15ー3”というモノの値が10月では6.8だったのが今回の検査で8.3になっていました。そのことについて、担当医ではないのですが、医師に相談してみたところ「原因として考えられるのは、リンパをとっているから、その部位に新たに何かができているか、脳に癌細胞が発生している可能性がある」と言われたそうです。母が言うには、その医師の様子では他の理由は考えられないといった感じだったそうです。しかし、その後担当医に検査結果を見せたところ、腫瘍マーカについては「別に問題ない」とのことだったそうです。母はどちらの言うことを信じればいいのかわからず、少し落ち込んでいます。この場合どう考えればよいですか? ちなみにもう1つのCEAという腫瘍マーカの値は“1.1”から“0.7”に下がっていました。
CA15−3は通常28.0以下が正常だと思いますので、6.8も8.3も正常値と思います。もう一度、担当医にご相談ください。(文責 麻賀)
【No.802】 02年02月18日 K.U.
術後の痛みについて母(54歳)のことでお聞きしたいのですがよろしくお願いします。ちょうど1年前に左胸全摘して、リンパにも4つありました。胸の痛みが今もまだ強く残っているらしく、先生には、1年ぐらいで痛みは消えるでしょうと言われたそうです。痛みは、そんなに続くものなのでしょうか? 胸壁や胸骨に転移しているのでしょうか? 痛みを和らげることはできるのでしょうか? 教えてください。よろしくお願いします。
術後の傷の痛みは特に再発などがなくとも、かなり持続する患者さんがいます。全く痛みはありませんという患者さんがいる一方で、何年たっても季節の変わり目などに突然痛みが起こるという人もかなりいます。痛みの感じ方にはかなり個人差があるようです。痛みがなかなか消えず、程度が強いようであればペインクリニックや精神科を受診する必要があります。担当医と良く相談してください。もちろん、再発があれば痛みますので、定期的に再発の有無のチェックは必要です。(文責 麻賀)
【No.801-1】 02年02月17日 M.Y.
10年生存率について生存率に関して教えて下さい。乳癌の一般的な説明の中で10年生存率が記載されていることがありますが、これは、どのような条件なのですか?一定の術後補助療法を受けることが前提となった数字なのでしょうか?また、私は以下のような病理結果なのですが、具体的な10年生存率はどれほどなのでしょうか?
・(手術時)年齢38歳、閉経前、腫瘍1.5×1.5×2.5、リンパ節転移なし
・ホルモン感受性陽性のためリュープリン(2年)&タモキシフェン(5年)で加療中
長年の夢が実現しつつある時期であり、どうしても知りたいのです。よろしくお願いいたします。10年生存率とは術後10年目に生存している人の割合です。もちろん、その時代の適切な手術、術後補助療法を受けた人の数字です。 あなたの場合は病期一期ですので、その10年生存率は85−92%程度です。(文責 麻賀)
【No.801-2】 02年02月18日 M.Y.
10年生存率について(2)早速のご回答、ありがとうございます。大変恐縮でございますが確認をさせて頂きたく思います。わたくしは病期二期だと思っていたのですが、勘違いでしょうか?10年生存率は変わらないですか? 言葉尻に拘って申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
あなたの示された腫瘍の最大径2.5cm、リンパ節転移なしというのは病理検査の結果によるものですから、tnm分類による一期となります。術前の病期であるTNM分類が、あなたのは多分U期だったのだと思います。二期の10年生存率は72−82%程度です。このような数字は大変気になるものですが、これはひとつの目安であり、この様なことにあまりこだわらず自分は治るはずであると確信して生活されることが良いと思います。(文責 麻賀)