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相談室

このページは乳がんに関する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 なお、個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。ご相談内容は  info@kbcts.gr.jp   まで、メールでご連絡下さい。
なお当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

目 次
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No

日 付

名 前

件  名

担 当

1000 02/06/26

K.O.

主治医との付き合い方

須田
999 02/06/26

T

線維腺腫

須田
998-1
998-2
02/06/26
03/02/01

J

3つのしこりとセカンドオピニオン
管状腫瘍とは?

須田
清水
997 02/06/26

A.B.

リンパ節転移の再発率について

須田
996 02/06/26

T.T.

CEAについて

須田
995 02/06/26

tada

ほんとうに良性!? 手術後の痛み!?

須田
994 02/06/26

みな

左胸の乳房下に押すと痛みがあります

須田
993 02/06/24

mima

胸のしこり

須田
992 02/06/24

M.M.

胸のしこりがとれないのですが・・・

須田
991 02/06/24

T.T.

乳首の下のしわ

須田
990-1
990-2
02/06/24
02/08/01

N.S.

術前化学療法か、術後化学療法か
粘液癌の手術方法について

須田
徳田
989 02/06/21

kaori

1年足らずで大きくなったしこり

須田
988 02/06/21

T.H.

乳頭から分泌物(母乳?)について

須田
987 02/06/20

K.N.

リンパ浮腫について

須田
986 02/06/20

M.I.

乳腺症とは?

須田
985 02/06/20

MAKI

乳首のただれについて

須田
984 02/06/19

F.K. 

胸の痛み

須田
983 02/06/17

M.O.

骨転移と血液検査について

須田
982-1
982-2
02/06/16
02/06/21

K.U.

乳ガンについて
HRTについて

清水
須田
981-1
981-2
02/06/15
02/07/06

F.F.

浸潤性乳管ガン
手術終了

清水
千島
980 02/06/14

yoshimi

左の乳首のかゆみ

清水
979 02/06/14

M.D.

セラチア菌感染について

清水
978 02/06/14

M.S.

術後の反対側の乳房のしこりについて

清水
977-1
977-2
02/06/14
02/06/19

広範囲の非浸潤癌について
広範囲の非浸潤癌について(2)

清水
須田
976 02/06/14

M.U.

わきの下のしこりについて

清水
975 02/06/14

M.Y.

乳癌と妊娠について

清水
974 02/06/14

K.S. 

副乳摘出

清水
973 02/06/14

K.N.

術後の乳房のひきつれについて

清水
972 02/06/14

miho

胸のしこり

清水
971-1
971-2
02/06/14
02/06/15

K.O.

ノルバディックスの服用期間について
リンパ管浸潤と再発転移

清水
清水
970 02/06/11

S.S.

乳房再建手術について

清水
969 02/06/10

nene

マンモグラフィーについて

清水
968 02/06/10

F.Y.

バイオプシー

清水
967-1
967-2

967-3
967-4
967-5
02/06/08
02/06/12
02/06/15
02/06/25
02/07/12

Y.S.

PGR+について
ホルモン治療等について
リンパ節転移について
細胞の異型度について
ゾラデックス投与中の月経について

清水
清水
清水
須田
千島
966-1
966-2
02/06/06
02/06/15

Y.N.

stage4 で骨転移がある場合
stage4で骨転移がある場合その後

清水
清水
965 02/06/05

H.I.

炎症性乳ガンについて

清水
964 02/06/05

M.Y.

再発の確率

清水
963 02/06/03

mika  

乳癌が肺と骨に転移

清水
962 02/06/03

Y.S.

0.5mmのしこりについて

清水
961-1
961-2
02/06/03
02/07/12

Tamu

骨転移、外科の診察
骨転移について

清水
千島
960 02/05/31

Y.S.

乳腺症

加藤
959 02/05/31

R.N.

右脇の下のしこりについて

加藤
958 02/05/31

M.S.

病理組織検査

加藤
957 02/05/30

S.K.

男の乳がんについて

加藤
956 02/05/30

M.K.

授乳中の乳癌検診について

加藤
955 02/05/30

M.O.

治療法について

加藤
954 02/05/29

Y.K.

卵巣機能について

加藤
953 02/05/29

最新治療法について

加藤
952 02/05/29

kogai

乳頭からの分泌物について

加藤
951 02/05/29

M.T.

痛みについて

加藤
950 02/05/27

Y.T.

ホルモン療法中の症状について

加藤
949 02/05/27

Y.I.

温存療法及びリンパ節郭清について

加藤
948 02/05/26

M

乳癌について

加藤
947 02/05/26

Tamu

骨転移の結果

加藤
946 02/05/26

M.I.

ホルモン療法について

加藤
945 02/05/26

フルツロンカプセルについて

加藤
944 02/05/24

K.I.

遠隔転移治療について

加藤
943-1
943-2

943-3
02/05/24
02/05/29
02/06/02

K.Y.

のうほうについて
のうほうの検査について
のうほうの検査をおえて

加藤
加藤
清水
942 02/05/24

Y.I.

乳頭のかゆみについて

加藤
941 02/05/24

T.S.

遠隔転移について

加藤
940 02/05/24

may

骨転移、骨シンチ検査について

加藤
939 02/05/24

Y.F.

分泌物

加藤
938-1
938-2
02/05/24
02/06/11

Y.O.

乳がん手術後の局所再発
手術跡の乳腺症

加藤
清水
937 02/05/23

てつこ 

反対側の転移について

加藤
936 02/05/22

Tamu

骨転移について

加藤
935-1
935-2
02/05/22
02/05/23

Y.O.

病理検査と予後について
病理検査と予後について(2)

加藤
加藤
934 02/05/22

N.S.

乳腺線維腺腫について

加藤
933-1
933-2
02/05/22
02/05/24

kay 

乳首のかさぶたと両わきの下のしこりについて
日本と外国との乳がん検診の比較

加藤
加藤
932 02/05/19

K.H.

分泌物について

加藤
931 02/05/17

J.Y.  

右腋下のしこり

片山
930 02/05/17

S.O.

高齢者の乳ガン

片山
929 02/05/17

PYONMAMA

妊娠中の脇のしこりについて

片山
928 02/05/17

B.C.

乳腺について

片山
927 02/05/15

suga

去年7月に手術をしました

片山
926 02/05/15

Asako

授乳期の肩こり&しこり

片山
925-1
925-2

925-3
02/05/15
02/05/19
02/05/24

左胸のしこりについて
左胸のしこりについて(2)
左胸のしこりについて(3)

片山
加藤
加藤
924 02/05/13

ame

再発が恐い

片山
923 02/05/13

Mye

乳腺線維腺腫の手術

片山
922 02/05/12

chandan

乳首のかぶれについて

片山
921-1
921-2
02/05/12
02/05/15

S.S.

ホルモン療法について
ホルモン療法について(2)

片山
片山
920 02/05/12

真ママ

乳腺専門病院を教えてください

片山
919-1
919-2
02/05/10
02/05/19

じゅんこ

胸のしこりについて
胸のしこりについて(2)

片山
加藤
918 02/05/10

suu

しこりがあります

片山
917 02/05/10

higa 

治療方法について

片山
916 02/05/08

M.I.

父の乳頭の痛みとしこり

片山
915 02/05/06

コティまま

胸の半分位にしこりがあります

片山
914 02/05/06

Y.K.

生検後のことと、ホルモンと乳腺の関係について 

片山
913 02/05/06

Kuroki

男子の乳房のしこりは薬のせい?

片山
912 02/05/06

Y.K.

細胞診の時期について

片山
911 02/05/06

miyu

乳癌患者の衣服について

片山
910 02/05/06

naga

母の乳癌治療について

片山
909 02/05/05

F.U.

乳首からの分泌物

片山
908 02/05/05

ゆり

胸の張りと痛み

片山
907-1
907-2
02/05/05
02/05/24

K.Z.

TAMと卵巣機能の因果関係は?
TAMと卵巣機能の因果関係は?(2)

片山
加藤
906-1
906-2
02/05/04
02/05/08

K.U.

母の術後のことで
母の術後のことで(2)

片山
片山
905 02/05/04

C.Y.

抗ガン剤治療中の風邪

片山
904 02/05/04

fuku 

乳房温存手術と整形手術について

片山
903 02/05/04

D.I.

しこりについて

稲葉
902 02/05/03

tets 

術後の化学療法について

稲葉
901 02/05/03

M.S.

乳管内乳頭腫について

稲葉

 

No.1000】 02年06月26日 K.O.
主治医との付き合い方

65歳の母の事でお聞きしたいことがあります。1年半前に炎症性乳癌で右胸全摘(リンパ転移数十個)手術した後、抗がん剤治療・放射線治療をして、1年後の検診で肝臓と骨に転移があり、手術はせず、通院して抗がん剤の治療を現在行っております。母は通院時に付き添いを嫌がるので、私は検査の詳しい数値や抗がん剤の種類等全く分からない状態で質問させていただきます事、お許し下さい。

@ 主治医の先生は今後の治療について「根気よく治療を続けて・・一緒に頑張っていきましょう」とおっしゃってくれたのですが、例えば、転移の状態が悪いから、今後はかなり厳しいでしょうとか、核心に触れる事はおっしゃいませんでした。そこで家族としてとても不安なのですが、先生は家族が突き詰めて質問しなければ、たとえかなり危険な状態で残り少ない事が予想されていても、口にはしないのでしょうか?
A 3ヵ月毎に腫瘍マーカー検査はしてきたのですが全く反応が出ず、今回の大きな全身検査で転移が分かったと言う事なので、今後は半年毎とかに検査をして欲しいと思いますが、こういう素人判断のさしでがましい申し出も主治医に話をしてもよろしいのでしょうか?

今後の主治医との付き合いもありますので、失礼な質問かと思いますが宜しくご指導下さいますよう、お願い申し上げます。

炎症性乳癌とは、乳房皮膚のリンパ管内に癌細胞が塞栓(詰まった状態)を作り、浮腫状の腫脹や発赤を伴う乳癌で、局所療法だけでは5年生存率が3〜14%と、予後が極めて不良です。そのことを踏まえた上で、本人への告知と言う問題も含め、主治医と十分なコミュニケーションをとる必要があります。
@ 患者さん本人の前で事細かく危険な状態について説明してもプラスになりませんので、主治医の先生は、「根気よく治療を続けて、一緒に頑張りましょう。」と言われたのだと推測されます。更に詳しく知りたい場合は、主治医と連絡を取り、本人のいないところで、家族の方がお話を伺うのがベストです。今後の治療を含めて、納得のいくまでご相談なさってください。
A 主治医に面談を申し込み、今後の治療方針について説明を受けてください。その際、ご家族が不安に思っていること、治療に関して望むこと等、遠慮なさらずに伺ってください。患者さんにとって家族のサポートは、何物にも変えがたく、心強いものです。(文責 須田)

 

No.999】 02年06月26日 T
線維腺腫

線維腺腫でしこりが大きい場合ですが、シコリを摘出するのですか?その場合胸はなくなるのですか?詳しく教えて頂けないでしょうか?
線維腺腫について大きくなった場合、手術の日数など教えて下さい、お願い致します。

乳房の大きさ、しこりの場所、しこりの大きさ等にもよりますが、一般的には3〜4cmのものを摘出しても、大きな変形はないと思います。術後、抜糸までの期間は、しこりの大きさにかかわらず、1週間程度です。ただし、それぞれの状態によって変わってきますので、具体的に「何センチの傷がどこに出来るのか」については、直接診察している主治医でなければ分かりません。お話をよく伺ってください。(文責 須田)

 

No.998-1】 02年06月26日 J
3つのしこりとセカンドオピニオン

30歳。既婚。子供ナシです。去年の10月に健康診断で左胸に2つのしこりが見つかり、1つは良性、1つは半々の確率とのことで、現在までに注射で吸引する細胞検査を3回行い、すべて良性で来ました。4回目の今月6月に新たに3つめのしこりが発見され、エコーでは形が異常に崩れており、マンモグラフィーでは細かい石灰化が見えます。細胞吸引しても取れないので、MRIの検査後に3つのしこりの生検手術を行う予定です。医師はガンの確率が非常に高いとおっしゃっています。3つも出来ると、4つ5つと増えつづける事もあるのでしょうか? 私の担当医は今月から大学病院から乳腺専門の個人病院に移られたので引き続き見て頂いていますが、大学病院と個人病院の長所と短所が難しく、とても悩んでいます。医師は自分に合いとても信頼出来る先生なので、生検は個人病院でその医師に行ってもらうのに異論はありません。ところが、いざ、ガン細胞が発見された場合、果たして大きな病院ではないところに不安を感じます。どんなポイントを患者は見て判断するべきでしょうか。セカンドオピニオンを希望する場合、医師との信頼関係を崩さずに伝えるポイントが解らず悩んでいます。また、転勤族なのでいずれ東京に戻ることになりますが、東京で乳腺科に力を入れている、又は専門家の方から見て薦められる病院があれば参考までに教えていただければ幸いです。宜しくお願い致します。

乳腺に3つのしこりがあると更に増え続けるのでは・・・と言うことですが、ケースバイケースで、必ず増えるわけではありませんが、増えても不思議ではありません。ただ先のことを心配するよりも、せっかく貴女の状況を一番よく把握している主治医がいるのですから、先生と相談しながら、今出来る最善の治療を受けることが肝要です。また癌と診断された場合の「主治医との上手なコミュニケーションのとり方」ですが、「自分は何を知りたいのか」「主治医は貴女に何を知らせたいのか」「話にすれ違いはないのか」ということを理解していれば、うまくいくはずです。あまり神経質にならず、自然体で接してください。「大学病院」と「個人病院」の差についても、患者さん自身の考え方で、受け止め方が違ってくると思います。一般的には、設備等のハードの面からいえば個人病院には限界がありますが、医者の立場から言うと、治療に関して無理はせず、できない場合は、患者さんに説明して、大きな病院に紹介することになると思いますので、個人病院だからと言う心配はないはずです。あくまで医師と患者の信頼関係が一番です。セカンドオピニオンに関しても、治療を受けるのは貴女自身ですから、遠慮する必要はありません。生検を行う時に主治医から説明があるはずですから、その時にセカンドオピニオンを希望している旨、申し出てください。不安がある場合は、両方の話を聞き、納得のいくところで治療を受けるのがベストだと思います。
東京近辺での医療機関についてですが、各大学の付属病院、国立がんセンター、癌研付属病院、都立病院等には、それぞれ乳腺専門医がいるはずです。なお、参考までに癌と診断された場合に医師に聞いておけばと思われることを列記いたします。(文責 須田)

@ 生検が必要になった場合、聞いておきたいこと
 ・ どのタイプの生検を受けるのか? その理由は?
 ・ その生検にはどのくらい時間がかかるのか? 麻酔は? 痛みは?
 ・ 結果はいつ頃分かるのか?
 ・ もし癌と分かった場合、治療法について誰と相談すればよいのか?
A 癌と診断された場合、聞いておきたいこと
 ・ 癌の種類は?他の臓器を冒す危険は?
 ・ ホルモン受容体テストの結果は? 他にどのようなラボテストがあるのか?
 ・ 治療法は? 
B 治療を始める前に聞いておきたいこと
 ・ 病状はどの段階にあるのか?
 ・ 治療の選択肢にはどんなものがあるか? 医師が勧める治療法は?
 ・ それぞれの治療法に期待できる効果は?
 ・ それぞれの治療法のリスクと副作用は?
 ・ 臨床試験は自分にとって適切かどうか?
C 手術前に聞いておきたいこと
 ・ どのタイプの手術を行うのか?
 ・ 手術後の痛みは? 痛みに対する対処法は?
 ・ 傷跡はどの程度残るのか?
 ・ 乳房再建術を受けたい場合、可能な時期は?
 ・ 特別なエクササイズを必要とするのか?
 ・ 普段の生活に戻れる時期は?
 

 

No.998-2】 03年02月01日 J
管状腫瘍とは?

掲載NO.998で相談させていただいたものです。去年11月に3つの腫瘍のうち2つを生検手術で摘出したところ、良性という結果が出ました。まだ胸にある1つの腫瘍は線維腺腫で良性の為、経過観察を行っています。「悪性だったら大変でした。管状腫瘍ですから」と、医師から言われました。具体的に「管状腫瘍」とは何でしょう?自分なりに調べたのですが、あまり記載されていません。2つの腫瘍共に管状腫瘍でした。悪性の管状腫瘍だったら乳房は残せないのでしょうか?また、腫瘍が多発化している為、今後、また左胸を生検する場合、2本目の傷が付くのか、又は以前に生検した傷をもう一度開いて傷が1本で済むのか、どちらが多いのでしょうか。腫瘍の場所や医師の判断で変わるかもしれませんが、一般的にはどちらのやり方が多いのか、参考までに教えて頂ければ幸いです。宜しくお願いいたします。

管状腫瘍という言葉はあまり聞いたことがありません。良性の腫瘍だったということだと、管状腺腫(tubular adenoma)ではないでしょうか。そうであれば良性の腫瘍で全く問題ありません。似た名前で管状癌という癌がありますが、名前は似ていますが全然違う腫瘍で、しこりとしても違いますから、間違えることはありません。傷については、原則として前回と同じ傷を切開します。しかし、同じ傷からでは非常に手術しにくい場合、傷から腫瘍までの距離が離れていて麻酔が十分に効かない可能性があるときなどは別の傷で手術します。(文責  清水)

 

No.997】 02年06月26日 A.B.
リンパ節転移の再発率について

36歳、既婚。昨年6月に乳癌の診断を受け温存手術をしました。T2,N2、しこりの大きさが3センチの硬癌。腋下リンパ転移36個中21個、鎖骨下リンパ転移5個中2個転移。ER(+)、PgR(+)、HER2(−)。術後療法は、放射線50グレイ、化学療法(CEF3クール、タキソテール3クール)、ホルモン療法(ノルバデックス5年、リュープリン2年)。

@ 5年、10年生存率はどのくらいですか? 再発率は何%ですか?
A 先日術側乳房にしこりを見つけました。黄色い水が溜まっていて抜いてもらいました。これはよくあることですか?
B 「定期検診でのCTや骨シンチはあまり意味がないのでしません」と、主治医に言われました。HPを見るとそのように書いてあります。しかしいろいろ検査をされている人もいますが、どうなんでしょうか?
C 乳癌診断の半年前に自分でしこりを見つけ、乳腺専門医に診察を2度も受けていたのですが、乳腺症との診断を受けていました。結果的に癌を半年間放置していたことになります。セカンドオピニオンを求めなかった自分への自己嫌悪、医師への不信感をいまだに引きづり、なかなか前向きになれない自分にまた苛立ちを感じています。心療内科にも行ってみましたが、出口が見えません。何かアドバイスをお願いします。

順番にお答えいたします。
@ 乳癌の予後因子としては、腋窩リンパ節転移、腫瘍径、組織学的異型度、ホルモンレセプター、HER2、年齢等があげれれますが、その中でも腋窩リンパ節転移の個数は、最も強力な予後因子となります。転移の個数による10年生存率をみると、転移0の症例では90%、1〜3個で75%、4〜9個で約50%、10個以上では約20%になります。また、リンパ節転移10個以上の5年生存率は43%です。その他、腫瘍径2cm〜5cm(T2)での5年生存率は80%、10年生存率は70%です。 また、ER(+)での5年率は90%、10年率は80%となります。
A 放射線治療後のオイルcystだと思われます。乳房温存手術後に放射線治療を行った場合、照射後に時々みられます。珍しいことではありません。
B 乳癌は比較的血行性転移が多く、骨、肝、肺などの多臓器にわたりますが、晩期再発も少なくありません。しかし、再発後も各種治療の効果が期待でき、再発後生存期間も長いので、念のためにCT、骨シンチのcheckを行うことがあります。
C 治療法等の質問と違って、精神的な面も多く、アドバイスになるかどうか分かりませんが、7月13日に横浜パシフィコにおいて、「知ることから始まるこれからの乳癌治療」と題して公開市民フォーラムを開催いたします。詳細はこのHPに掲載中ですが、新しい視点が開かれるかもしれません。よろしければご参加ください。(文責 須田)   

 

No.996】 02年06月26日 T.T. 
CEAについて

7年前に左胸の乳癌の手術をして、1年前に左鎖骨上のリンパ筋に転移、放射線をして現在ホルモン療法で注射と薬の治療を受けています。今回血液検査でCEAが10.1でした。今までは4か5でした。この数値はどの程度のことを意味するのでしょうか。よろしくお願いします。

乳癌の腫瘍マーカーとしては、CA15-3 と CEA (carcinoembryonic antigen)との組み合わせで測定を行い、術後の経過を診ていくのが一般的です。CEA及びCA15-3を組み合わせて経時的に測定し、術後の再発の発見や、進行再発の場合の各種治療の効果判定に利用します。CEA の陽性率は、原発乳癌の1期、2期では5〜10%、3期、4期では20〜30%、再発乳癌では50〜60%ですが、1回だけの測定では多くを期待できません。腫瘍マーカーが高値であれば遠隔転移を強く疑う指標となりますが、術前値のベースラインを把握し、その後、経時的にマーカー値の変化を追っていく事が重要です。再発の場合、各種の治療による効果が期待できますので、腫瘍マーカーの経時的変化によって、その後の効果判定をすることになります。
貴女の場合、CEA 4〜5が、10.1に上昇したとの事ですが、主治医の先生は、この1点だけでなく、おそらく1ヶ月ごとに再度checkし、数値の推移を、現在のホルモン療法を続けるか、又は別の治療方法を選択するかの判断材料の1つにするものと思われます。今後の治療方針を含め、詳細については、現在の貴女の状況を一番よく把握している主治医に、納得のいくまで相談なさることをお勧めいたします。(文責 須田) 

 

No.995】 02年06月26日 tada
ほんとうに良性!? 手術後の痛み!?

37歳、18歳と16歳の息子がいる主婦です。10年前ぐらいから胸にシコリがあることに気づいていたのですが、先日病院に行って5センチぐらいの腫瘍があることが解り、3週間後、入院して摘出することになりました。お医者さんは、「これは良性の腫瘍です」と言ってくださったのですが、5センチにもなる大きな腫瘍なので、本当に良性なのか不安です。良性の腫瘍に大きさは関係ないのですか? すみませんが、教えてください。それと私は現在けっこう体を使う仕事をしているのですが、退院してから二週間後、仕事に復帰しようと思っています。腫瘍の摘出手術をした人から、手術後は体を動かした時の胸の痛みは当分続くと聞きました。痛みはどれくらい続くのでしょうか? 早く仕事に復帰したいです。すみませんが宜しくお願いいたします!!

5cmの乳腺腫瘍で、10年前から存在するとの事、ゆっくり育っているという点からは、一般的には良性腫瘍だと推測されます。乳腺線維腺腫、葉状腫瘍等が考えられますが、やはり5cmと、少し大きくなってきているようなので、主治医は、それが良性のものか悪性のものであるかを調べるために、摘出することにしたのだと思います。悪性腫瘍の可能性は低いと思いますが、摘出した腫瘍の病理検査を行って、悪性であるかどうかの最終診断がつくことになります。
また、術後の痛みについてはケースバイケースですが、一般的には術後7〜10日程度で軽快しますので、その後であれば、仕事に復帰しても差し障りないでしょう。(文責 須田)   
 

 

No.994】 02年06月26日 みな
左胸の乳房下に押すと痛みがあります

29才、子供が2人います。2年ほど前から左胸の乳房を持ち上げたところの骨の上あたりが痛みます。普段は痛みを感じませんが、ぶつかったり押したりすると、うちみを押したときのような痛みがあります。ちょうどブラジャーのワイヤーが沿う場所なので、そのせいもあるのかもしれませんが、どのような病気が考えられますか? また何科を受診すればよいでしょうか。

乳癌の場合、痛みの有無は個人個人で違いますが、一般的な主症状はしこり(腫瘤、硬結)です。貴女の場合、痛みのみで、しこりは触れないようですから、乳癌の心配はないと思います。ただし、直接診察しておらず、情報不足ではっきりしたことは申し上げられません。主訴が「胸痛」である病気については、このHP内のこれまでの回答を参考にしていただければいいのですが、不安を取り除くためのも、まず医師の診察を受けることをお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.993】 02年06月24日 mima
胸のしこり

21歳。独身です。ここ2週間前から胸のしこりが痛みます。しこりは中学生の時からあるので気にしてなかったし、生理前に胸がはって、少し痛む事はありましたが、今回は生理の2週間前から胸が張り出して、走ったりするとひどく痛みます。乳頭の色も黒っぽくて、カサカサしています。何か病気にかかっているのでしょうか? 産婦人科に行った方がよいのでしょうか?

胸のしこりに関しては、「腫瘤(こぶ)」があるのか、「硬結」なのか等、直接診察しないと確定的なことは分かりません。いずれにせよ、しこりがあるとの事ですから、念のため乳腺を専門とする外科を受診してください。また、胸が張り出して、走ると痛いとの事ですが、貴女の年齢では、排卵後から月経までの間は、女性ホルモンの影響によって痛みがあっても不思議ではありません。(文責 須田)

 

No.992】 02年06月24日 M.M.
胸のしこりがとれないのですが・・・

出産してから2ヶ月と1週間がたちます。産後1週間くらいから胸にしこりが出来始め、2週間目に産婦人科を受診しました。乳腺炎と診断され、抗生物質を2週間飲みました。薬を飲んでいることもあり、母乳を出しませんでした。今ではもう殆ど出なくなり、母乳は滲む程度しがでません。それからは乳腺炎は治ったと診断されましたが、大きなしこりはとれず、助産院でマッサージしてもらっていましたが、でこぼこな形で残っています。時々熱を測ると、今でも微熱がでていたりします。先日、産婦人科で血液検査をしてもらいましたが、異常はないといわれました。しこりはこのまま残しておいてもいいのでしょうか? 痛みはないのですが、しこりも大きめだし、残しておくと乳癌になりやすいと聞きました。頑張って絞っていけばとれるのでしょうか? それとも切開して取ったほうがいいのでしょうか?

一般的には、貴女の場合、うっ滞性の乳腺炎に感染が起こって化膿性の乳腺炎になったが、治療により現在軽快しているものと推測されます。まだしこりが残っているとの事ですが、何が残っているのかは直接診察しないと判断ができません。残っているしこりが、乳腺炎の名残だけなのかどうか、その中に腫瘤になる病気が潜んでいないのかどうかを、診察及び検査によって確認する必要があります。頑張って絞っていればしこりが取れるのか、切開して取ったほうがよいのかを決めるためにも乳腺外科を受診することになります。(文責 須田)

 

No.991】 02年06月24日 T.T.
乳首の下のしわ

とても不安でここへたどり着きました。28歳です。3歳と7ヶ月の子供がいて授乳中です。(ほとんどミルクにしています) 高校生の頃から胸と脇のしこりが気になっていて、数回総合病院の外科にかかり、乳腺症といわれていました。上の子は、ほとんどミルクで育てたのですが、産後1年以上経っても乳白色の分泌物が出て、乳首の真下に線(しわのようなもの)ができているのに気づき、かかったところ、(くぼんでいるのではないと思うのですが)レントゲンでは何も写らず、超音波では、「水がたまっている感じがする。よくあるもの。」と言われました。2人目を産み、今回はほとんど母乳できましたが、6ヶ月頃からミルク中心にし、母乳があまりでなくなったころ、又その乳首の下の線のようなものが気になり始めました。授乳中は、胸も張っていて気づかなかったというか、気にならなかったという感じでした。右側なのですが、こちらは、授乳しづらくて、左側を主にすわせていました。右の乳首の真横の乳輪にある毛穴みたいな部分が乳首につながって少し盛り上がっていて、乳首からその下まで線がついている状態です。とても不安です。どういったことが考えられるのですか?宜しくお願いいたします。 

以前、外科受診時に、「乳輪部にしわのようなものがあり、超音波検査で水がたまっている感じがある。」と言われ、現在は、「乳頭から乳輪部の毛穴みたいな部分(モンゴメリー氏腺)にかけて、少し盛り上がっている。」との事ですね。この2回の事を考え合わせると、乳頭とモンゴメリー氏腺との間に、母乳がたまった「のう胞状のもの」、または拡張した乳管等が考えられます。いずれにせよ悪性のものではありませんが、稀に癌が共存することがあります。不安を取り除くためにも乳腺外科での受診をお勧めします。(文責 須田)
 

 

No.990-1】 02年06月24日 N.S.
術前化学療法か、術後化学療法か

私の母は、10年程前からあった胸のしこりが最近になって3cm以上になってることに気付き、受診したところ乳がんであると診断されました。主治医は、治療方法は抗がん剤を使って癌を小さくしてから手術して摘出するか(温存手術が可能かも)、術後に抗がん剤治療をするか、どちらでも一緒なんで決めて下さいとのことでした。母は全摘出してもいいとのことなので、それなら先に手術してもかまわないともおっしゃていました。先に抗がん剤治療するメリットとして、温存療法が可能かも?ということと、抗がん剤が効くかどうかがわかるということでした。先に手術する場合でも、その手術は7月2日にMRIをしてからということなので結構先の事です。それなら先に抗がん剤治療でもしていた方がいいのか、少しでも癌を小さくしてからの方がいいのか・・・等、どうしたらいいのかわかりません。教えてください、お願いします。

乳癌は発生したときには乳房内(局所)に留まっているはずですが、実際に気づいた時には全身に広がっている(全身病となっている)可能性が十分にあります。従って乳癌治療の原則は、局所療法(手術、放射線治療)と全身療法(化学療法、内分泌療法等の薬物療法)を組み合わせた複合療法となります。その他の治療、例えば免疫療法、食事療法等については確立された評価が得られておりません。一般的には全身療法を重視する傾向にありますが、手術だけで治癒している乳癌が50%以上存在するのも、また事実です。お母様が言われている術前化学療法は、以下のような場合に行われます。
 ・ 癌が大きく、手術で切除困難な局所進行乳癌の場合
 ・ 薬物、放射線でまず癌を小さくした後、手術で切除する場合
 ・ 乳房温存療法を行うために、まず癌を縮小させる場合
次に術前化学療法についてですが、術前化学療法と延命に関する評価は確定しておりません。一般的には、切除可能な乳癌は先ず手術を行い、その後、リンパ節転移、ホルモンレセプター、HER2等を検索し、術後補助化学・内分泌療法を行います。また、乳房温存療法では、術後に放射線照射を行うことを原則としていますが、10%程度の乳房内再発がみられます。しかし乳房内再発が認められても、大多数の場合、再切除が可能で、生存率への影響は少なく、致命的な影響を受けることは先ずないということになっています。以上のようなことを考慮に入れつつ、最終的には患者さんご自身で決める事になります。(文責 須田)

 

No.990-2】 02年08月01日 N.S.
粘液癌の手術方法について

6月24日に術前化学療法か術後化学療法か?と質問させていただきましたが、ご回答いただき有難うございました。結局、術前化学療法にすることにしました。現在抗がん剤治療(タキソール)5回目が終わって、あと1回となりました。治療前のしこりは5cm程あったのですが、最近平たくなって少し小さくなったらしいのです。検査の結果は粘液癌らしいということです。(主治医はこれなら抗がん剤しなくてもよかったな〜と言ってましたが・・・)
そこで質問させていただきます。
1)癌も小さくなっているので全摘しなくてもいいと思うとのことなんですが、本当に大丈夫か不安です。全摘した方が安心ということはないのでしょうか。
2)全摘した場合の後遺症は温存手術した場合に比べて重いのでしょうか。
3)手術後にリンパ節の一部を採って調べ、そこに癌がなければ95%転移はないと聞いたのですが、もしその一部にあった場合はリンパ節を全部とってしまった方がいいのでしょうか。又、もしその一部になかった場合でも一応全部とってしまった方がいいのでしょうか。
病期もわからず説明不足だとは思いますが、宜しくお願いいたします。

1)乳房温存療法と全摘術とでは、予後に差はありません。
2)創自体は全摘術の方が大きいので、傷にともなう後遺症も多くなります。なによりも乳房がなくなるので、精神的なダメージは大きいのではないでしょうか?
3)お話からセンチネルリンパ節生検という方法のようです。これは、まだ確立した方法ではありません。主治医に詳しく説明を求めてください。(文責 徳田)

 

No.989】 02年06月21日 kaori
1年足らずで大きくなったしこり

昨年7月に米粒大のしこりを見つけ検査したところ、マンモグラフィーには何も写らず、触診をした先生も「乳腺症」と診断いたしました。その後すっかりしこりのことは忘れて生活しておりましたが、今年4月始めにまた同じ場所あたりにしこりを見つけました。前回同様皮膚がプチッと盛り上がっています。でも今回はどうも前のしこりよりは大きくなっているようなので、先日また診察していただきました。エコーをかけたら「ああ、ありました、これですよ」といって、モニターを一緒にみながら説明してくれました。そのしこりは、皮膚のすぐ下にあり黒色で楕円形をしていました。自分でさわった感じは球状だったので、意外でした。大きさは5mm、中身は何かわからないので、その場ですぐ細胞診検査(2回針を刺した)をしました。結果は来週でないとわからないということでしたが、先生のお話だと「不安を抱えているよりは、外科生検したほうがさっぱりすると思う」ということでした。
質問ですが、乳腺症は私のように段々大きくなっていくものなのでしょうか? がんの場合のエコーに写る形はどのようになっているのですか?先生はのう胞か脂肪かもしれないと言っていましたが、その際のしこりは硬いのですか? 私が抱えているしこりは仁丹のように硬いものですから・・・。

乳腺症によるしこりは、固い部分が大きくなったり、そのままの状態で留まっていたり、ケースバイケースであり、従って、だんだん大きくなってくる人がいても不思議ではありません。
次に、エコーの画像についてのご質問ですが、例えば水平線上に船がいたとします。影が小さいと、船であるということは分かっても、その船の影がある程度大きくならなければ、その船の種類までは判定できません。同様にエコー像も、そこに「コブ」の影があるということが分かっても、それが小さければ小さいほど、癌であるか、脂肪腫であるか、のう胞であるか、その種類まで判定しづらくなります。癌として、ある程度認識できる大きさは0.7cm程度と言われています。また、画像の形についてですが、一般的に、「腫瘤像の輪郭が不整形」である場合は、乳癌を疑います。
結果が分かる前から先回りしてあれこれ思い悩まず、主治医を信頼して、その時その時でベストな方法を選択してください。(文責 須田)

 

No.988】 02年06月21日 T.H.
乳頭から分泌物(母乳?)について

私は33歳の未婚者です。出産経験及び流産の経験は有りません。先日、胸を強く触った時に、右の乳頭から白い分泌物が先端に少し溜まる程度、出てきました。気になって左の胸も強く触ったのですが、左の乳頭からはまったく出ません。沢山は出ないのですが、今でも強く触ると(強く揉む感じ)少し先端に溜まる程度出ます。何故なのでしょうか?気になっています。生理もきちんと来ていますし、特に薬も飲んでいないのですが・・・。病院で診察を受けた方が良いのでしょうか?相談にのって下さい。よろしくお願いします。

非血性乳頭分泌の場合、乳癌に起因する可能性は少ないのですが、念のため分泌液の細胞検査(塗抹細胞診)を行って、がん細胞がないことを確認します。また、授乳と関連のない両側性の乳頭分泌であれば、血液中の「プロラクチン」という、母乳の分泌を促すホルモンの濃度測定を行います。プロラクチンは脳下垂体からでるホルモンですが、この濃度が高い場合は、下垂体腫瘍を疑って検査を進めることになります。
血性乳頭分泌では、一般的には、70%が乳管内乳頭腫、残り30%が乳がんということになっています。この場合は、まず塗抹細胞診を行い、更に分泌物の腫瘍マーカー(CEA)を測定するマンモテック、乳管内視鏡、乳管造影、生検等の必要な検査を行うことになります。
貴女の場合は非血性ですので、乳癌の可能性は低いですが、念のため原則論通りに分泌物の細胞診を行って、癌でないことを確認したほうがよいと思います。一度、乳腺外科を受診してください。(文責 須田)
 

 

No.987】 02年06月20日 K.N.
リンパ浮腫について

ご相談したい事がありますので、宜しくお願い致します。私は3年前に左胸の乳癌になり、2年前に右胸の乳癌になり、今左手が腫れています。先生はリンパ浮腫と言われ、これ以上治らないと言われました。本当に治らないのでしょうか? 心配しております。

腋窩リンパ節の切除によって腕の腫れ(浮腫)が起こる場合があります。手術によって腋窩のリンパ管ネットワークが壊されると、腕のリンパの還流が悪くなり、浮腫となります。一度壊れたリンパ管のネットワークが、時と共に再生されることはなく、そのために、リンパの還流がよくなることはなく、「これ以上治らない」と言われる所以です。
浮腫が起こってしまった時は、無理をせず、「腕を休める」「両手で物事を行う」「寝る時は体より上方に位置するようにする」「手の先から脇の下に向かってマッサージをする」等、日常生活での配慮が必要です。また、エビデンスレベルは低いですが、ヨーガ、水泳等、普段動かさない筋肉を使用することを継続すると効果がある場合があります。また経験則になりますが、漢方の「柴苓湯」によって少し改善されたと言われる方もあります。浮腫をコントロールすることが難しいのは事実ですが、日常生活において、上記のような小さなことの積み重ねが大切になります。(文責 須田)

 

No.986】 02年06月20日 M.I.
乳腺症とは?

25歳ですが、高校生くらいから左右対称の位置にシコリ(というか、乳腺の硬結?)があります。生理前になると、多少痛みもあり、大きくなったりしているように思います。(生理が終わると、手に触れる大きさも小さくなっている感じです。) 触った感じは、脂肪の塊のようなボコボコした、比較的柔らかいシコリだと思います。周りとの境界線はあまりはっきりしていません。根が張っている感じはなく、よく動くほうだと思います。また、乳房の変形・ひきつれなどは見当たりません。シコリは1箇所だけでなく、数箇所にあるようなのですが、どれも同じ感触です。当時は、成長過程のせいだろう・・と思い、そのままにしていたのですが、消える様子もありません。乳がんでいわれる、「石のように硬い・可動性のないシコリ」ではないし、年齢的にも可能性は低いとは思うのですが、いろいろ調べれば調べるほど心配になってきました。調べると、「顆粒状のボコボコしたしこり・左右同時に数箇所発生する」等とかかれていた「乳腺症」というものに一番当てはまると思ったのですが、年齢的に20代でも乳腺症になることはありえるのでしょうか? また25歳での癌発症の可能性はどのくらいなのでしょうか?

「乳腺症」とは、病理で定義されている場合と異なり、臨床的には、「乳腺が固い状態」と言う意味で使用しています。「風邪」と言えば、「風邪症状がある状態」と言うのと同様です。乳腺は女性ホルモンの影響を受けているので、女性ホルモンの変化によって乳房が張ったり、硬いしこりになったり、痛みがあったりします。30代から40代へと年齢が進むにつれて乳腺組織も変化し、顔にしわが出来るのと同様に、乳腺組織の線維化が進み、乳腺組織の脱落が起こったり、増殖が起こったりして、乳腺が部分的に硬くなり、でこぼこした状態で触れるようになります。このような状態を一般的に「乳腺症」と呼んでいますが、治療が必要な病変ではありません。閉経して、女性ホルモンの分泌が減少すれば症状も落ち着きますが、乳癌も硬いしこりなので、場合によっては乳腺症と区別がつきにくいことがあります。
あなたの場合、「乳腺が固いという症状」がある訳ですから、「乳腺症」ですと言って、何ら間違いではないのです。乳癌の生涯罹患率ですが、日本人では10万に対して約30人であり、25〜29歳までの罹患率は約4人と言われています。しこりに関しては、実際に診察してみなければ診断できませんが、年齢的にも乳癌ではなく、臨床的な乳腺症である可能性が高いと思います。あれこれ調べて余計な心配をするよりも、一度乳腺外科医の診察を受け、相談なさることをお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.985】 02年06月20日 MAKI
乳首のただれについて

25歳、独身です。1年くらい前から両方の乳首に痒みがあり、掻くと薄い皮がむけてなかなか治りません。私はアトピーなので、初めはその関係で痒くなったり皮がむけるのかな?と思っていたんですが、最近いろんなホームページを見ていてもしかしたらパジェット病なんではないか?と思い、不安になってきました。もう少し詳しく症状をいいますと、痒みは触ると特に痒くなるのですが、何もしていない時もむずむずと痒くなります。皮は常にむけた状態で、新しく皮が出来てもすぐむけてしまいます。お風呂に入った後など触ってみると、乳首に張りがなくシワシワした感じになっています。乳首の形もなんとなく大きくなりゆがんだ感じで、湿疹なのか、小さな水ぶくれのような感じのものや少し黒っぽい感じのボコっとしたものが見られます。もしパジェット病だと、どんな治療をするのでしょうか?手術すると全部乳房を取らないといけないのでしょうか?私は将来子供が欲しいので、先のことを考えると不安でたまりません。お忙しいと思いますが相談にのってください。お願いします。

パジェット病は乳癌の一種ですが、乳頭、乳輪の表皮内へ乳癌が進展した状態であり、乳頭の湿疹様変化、びらん、発赤、か皮形成、掻痒等の皮膚症状が出ます。乳癌の細胞は1年間に平均3.6mmの割合で、乳頭、乳輪、乳房皮膚へ、ゆっくりと病変を広げていきます。バジェット病の場合、乳癌の発生する母地を取り除くという観点から単純乳房切除術を行いますが、ほぼ全例、リンパ節転移がないので、手術でコントロールすることが出来ます。
メール内容からは推測の域を出ませんので、単なる湿疹であるか、パジェット病であるかをはっきりさせるためにも、乳腺外科を受診なさってください。
 

No.984】 02年06月19日 F.K.
胸の痛み

31歳、独身です。昨年の秋にした健康診断で乳腺症と言われました。常に生理は28日周期できて、軽い方なのですが、ここ数ヶ月5日〜7日ほど早く来たり、生理痛が普段よりあったり、(これは関係ないかもしれませんが)後頭部に円形脱毛症が出来ました。いつも生理予定日より6日程前になると胸の張りがあるのですが、最近、左胸の腋側と腋(の中の方)に不快感が生理が終わってもあります。これといってしこりがあったり、特定の場所が痛いというわけではないのですが、何もない右胸とは違い、痛いのです。ホルモンの関係でしょうか?もしそうでしたらどうすればいいのでしょうか?そして何科を受診すべきなのか教えてください。宜しくお願いします。

「胸の痛み」が乳房痛であるとすれば、ホルモンの影響が考えられますが、ホルモンの影響による「乳房痛」については、「痛くて眠れない」とか、「痛みのために仕事を休まなければならない」等のように、痛みのために日常生活に支障が出るほどではありませんので、そのまま経過観察でよいと思います。乳癌を心配しているのであれば、不安を解消する意味からも、外科を受診してください。また、「胸の痛み」が内臓痛(一般に手を休めるほどの痛み)であるとすれば、心臓に関する検査をした方がよいので、循環器科を受診してください。
「胸の痛み」に関しては、これまでに何回か質問があり、それに対する回答がホームページ上にありますので、参照してください。(文責 須田)

 

No.983】 02年06月17日 M.O.
骨転移と血液検査について

乳癌手術後1年9ヶ月が過ぎました。4〜5ヶ月前から、肝機能のGOT,GPT,ALPの数値が上がり始めました。その後、GOTとGPTは正常値に戻りましたが、ALPは戻らず、413IU/l(2月)⇒472IU/l(4月)⇒455IU/l(5月)※358まIU/lまでが基準範囲のようです。
Caも、10mg(2月)※11mgまでが基準範囲⇒5・2mEq/l(4月)⇒5・1mEq/l(5月)※こちらは5・0mEq/lまでが基準範囲です。検査会社が変わり、私自信も単位が良く解らず、すみません。
ALPとCaが共に上がってきた場合、骨転移を疑うと聞きました。骨シンチをした方がよいのでは?と聞きましたが、9月で2年目の検診が入るので、その時で良いでしょうと言われました。9月まで待って、大丈夫なのでしょうか? 2月から4月末まで降圧剤を服用しておりましたが(現在は正常)、薬と関係がありますか?

乳癌の骨転移と血液検査に関する質問です。血液生化学的検査で、アルカリフォスファターゼ(ALP)の検査は、一般的には、胆汁うっ滞、悪性腫瘍、骨形成性疾患等が疑われる時のスクリーニングとしてチェックされます。ALPが異常高値を示す疾患としては、閉塞性の黄疸、限局性の肝病変、転移性骨腫瘍(乳癌、前立腺癌等)等があります。また、血清カルシウムが異常高値を示す疾患としては、副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍の骨転移、サルコイドシス、急性腎不全等があります。従って、ALP、Caが共に異常に上昇する場合は、骨転移を疑うことになりますが、貴女の場合、肝障害があったとの事、ALPが下がりきらないのは、その影響もあると考えられますし、また血清Caも、必ずしも異常高値とはいえません。主治医の先生は、上記のように判断して、骨シンチを9月の検査時にといわれたのだと思います。しかし、症状(腰痛、背部痛等)が出現した場合は、すぐに検査をお願いしたほうがいいでしょう。最近では、骨転移特有のマーカーとして、I型コラーゲンや、尿中ピリジノリン、デオキシピリジノリン等が用いられますが、すべてがこれで判明するわけではありません。手術時の状況(stage)にもよりますが、心配しながら9月まで待つよりは、不安を取り除く意味からも、主治医の先生に相談されることをお勧めいたします。なお、降圧剤の服用とは関係ないと思います。(文責 須田)

 

No.982-1】 02年06月16日 K.U.
乳ガンについて

はじめまして、北米に住む49歳の主婦です。 あけぼの会の掲示版でこのアドレスを見つけました。乳ガンに関しての質問がしたいのですがよろしいでしょうか?
実は私自身のことなのですが、昨年の1月に左乳房に異常を感じて医者に行き、マンモグラフィーをとりましたが、異常無しと言うことでそのままにしていました。忙しさのゆえ、その後ほとんど気にはならなかったのですが、10月頃やはりまだ何かおかしいというか、とにかく乳房の左上の所が触ると厚い感覚でそのうち熱を持つ様になったり、ある時には鉛か何か入っていてとても重く感じたこともありました。それでもう一度医者に行ってマンモグラフィーを取ってもらいました。 後で聞くと石灰化があったが一つだけで心配はないでしょうとのことでした。しかし医者にかかっているこの期間中、体に変化が起きはじめました。そして2月の始め頃、左側の首、肩、腕が痛く、脇の下にぐりぐりしたものがある様に感じる時がありました。2月に以上の様な症状が出て、医者で見てもらうと、喉にポリープが出来ているとのことでした。それで外科のお医者さんと話して、バイオプシーをすることになりました。ウルトラサウンド(エコー)で、出来物を見ながら、注射器の様なもので、取り出しました。血の固まりだったらしく、何度も繰り返して取り出すと出来物が小さくなり、検査の結果もガンでは無かったらしいです。最近、物の飲み込みが困難だったのでどうしてかと考えていたので、その理由が解り、解決されたので嬉しかったです。話は元に戻ります。 その時についでに左乳房をエコーでチェックして貰いましたが、はっきりとしたしこりが無ければ見れないと言われ、一部分を見ただけでおしまいになりました。その後も左肩の痛みがあり、その旨を医者に伝えるとレントゲンをとる様な話でしたが、これらの症状が左乳房からきているものと考えている私はそのまま同意することが出来ませんでした。それで前にみていただ
いた医者に話して、5月10日マンモグラフィーを取りましたが異常は無いと診断されました。でもその後、痛みは取れず、首、肩、腕、また朝起きるといつも首から頭にかけて鈍痛がしています。以上がこの1年半の状況です。お忙しい中、最後まで読んで下さりありがとうございました。それではどうぞよろしくお願い致します。

お話を伺うと、昨年1月から今年5月までの間にに3回のmammography(MMG)と1回のultrasoud(US)を撮っていて、MMG、USともに異常所見がなかった。しかし、自分では左の乳房に違和感があるということですね。3回のMMGとUSで異常なければ、まず乳癌の心配はないと考えてよいのではないでしょうか。では、何で違和感や、痛みがあるのかということになりますが、それは実際に診察しないとわかりません。(診察しても分からないことが多いのですが..)ただ一つ考えられることは、年令が49才ということで、閉経期にさしかかっているのではないかということです。現在の生理の状況はどうでしょうか?閉経期を迎えてくると、卵巣機能の低下から女性ホルモンのバランスが崩れて、K.Uさんのような症状を訴える方が多いことも事実です。いろいろな症状について検査をして以上ない場合、Hormone Replacement Therapy(HRT)が有効なことがあります。現在の症状とHRTのrisk(例えば乳癌との関係)を比べて、症状が強いようであれば試してみる価値はあると思います。(文責 清水)
 

No.982-2】 02年06月21日 K.U.
HRTについて

回答ありがとうございました。HRTについてお聞きしたいのですが、どこで見てもらえるのでしょうか?費用はどのくらいかかりますか?

更年期障害は、閉経期に卵巣機能が低下し、女性ホルモンのバランスが崩れることによって出現します。貴女の現在の症状が更年期障害の1つの症状であるとすれば、そのホルモンバランスの崩れを補正するために、ホルモンの補充療法(HRT)を行えば症状の軽快がみられる事になります。従って女性ホルモンの補充に関する治療ですので、婦人科を受診して、相談してください。具体的には、卵胞ホルモン(たとえばプレマリン)と黄体ホルモン(たとえばプロべラ)を内服します。ただし副作用として、卵胞ホルモンの投与により子宮体癌および乳癌の発生率が少し増加することが知られており、それぞれの検診をしながら内服することになります。ホルモン補充療法は、更年期障害の諸症状の治療に重点をおいた2〜5年くらいの短期投与と、骨・脂肪代謝への効果を狙った5〜10年くらいの長期投与がありますが、個々のケースにより、担当医と相談することになります。なお費用に関してですが、これらのホルモン剤は、日本では何十円の単位ですから、あまり心配する必要はないと思います。(文責 須田)

 

No.981-1】 02年06月15日 F.F.
浸潤性乳管ガン

6月31日に右上2センチの大きさのしこりを見てもらいに外科へ(前日に発見)。触診、エコー、レントゲンの結果、良性と判断されたが、念のため6月4日部分麻酔で摘出! ところが11日悪性の結果が出たといわれました。浸潤性乳管ガン!この19日に4分の1を取る手術をします。私が今不安なのは先に部分手術をするとがん細胞が散りやすいという事を聞いたからです。現在47歳。24歳、22歳、20歳の子供は皆母乳で育てました。母の姉が骨肉腫でなくなっていますが、他にガンの人はいません。よろしくお願いします。この件以外はしっかり受け止めています。ガンに負けるものかという気持ちでいます。

二昔前、私が医者になった頃(昭和50年代ですが)、そのようなことが言われていた時代がありました。その後、日本の乳癌研究会で調べて、はじめに生検したからといって再発が多くなることはない、ということが分かり、現在はそのようなことを言う先生はいないと思います。現在では逆に、積極的に生検して、組織型やER等情報を得て、今後の治療の参考にするという考え方もあります。ですから、そのような心配はありません。”ガンに負けるものか”という強い気持ちはとても大切です。その気持ちで今後の治療に立ち向かって下さい。蛇足になりますが、手術後には浸潤性乳管癌の更に詳しい情報、腋窩リンパ節転移の有無、ER、PR、組織学的悪性度などをしっかり教えてもらって、再発の可能性が少しでも少なくなるような手術後の治療を選択して下さい。(文責 清水)

 

No.981-2】 02年07月06日 F.F.
手術終了

先日は回答有難うございました。手術の結果リンパへの転移は見られず、患部にもガンはないということでした。予後はホルモン剤(ノルバデックスD,ユーエフテイ)服用と放射線治療です。主治医の先生がとても気難しそうで質問しにくかったのですが、どういう状況でしょうか?何かがプラスで何かがマイナスだそうです。(早口でわからない) 抗がん剤については私に一任されました。服用する方がいいでしょうか?外来で出す薬で強い副作用はないようです。悪性度について聞いたんですが答えはありませんでした。

リンパ節転移は認められなかったとのことなので、まずは一安心ですね。今後は、「乳癌再発の可能性」を低くするために、術後補助療法を行うことになります。残存乳房については、約5週間の放射線治療が適応になると思います。その後のホルモン化学療法については、一番大切な病理組織学的検査結果が詳しく判らないので、残念ながら治療法の選択については、充分なコメントができません。一般的に考えると、まず「何かがプラスで何かがマイナス」というのは、おそらくホルモンレセプターのことだと思います。レセプターにはERとPgRの2種類があります。このうち片方がマイナスだと考えると、ホルモン剤の有効率は30〜40%程度と考えられます。UFTの再発予防効果については、現在も臨床研究が進行中です。現時点では、「乳癌再発予防効果がある程度期待できる」と報告されていますが、最終的な結論には至っていません。抗癌剤の効果、副作用についての詳しい説明は、主治医の先生にご相談されることをお勧めします。乳癌の治療は長期間にわたることが多いので、主治医と充分にコミュミケーションをとることが大切です。「ガンに負けるものか!」と強い気持ちがあるのならば、病気についての疑問を主治医に相談することなど、容易なことだと思いますので、勇気をもって主治医に質問してみてください。そして主治医と共に、今後も頑張ってガンと闘っていってください。(文責 千島)

 

No.980】 02年06月14日 yoshimi
左の乳首のかゆみ

24歳の女性です。1年ぐらい前からだったと思います。左の乳首にかゆみを感じるようになりました。痒み以外の症状としては、日焼けをしたときに腕や肩の皮が薄く剥けるように乳首の皮が薄くふさふさと剥けることがあります。また、乳頭の先端は両胸とも少し窪んでいて、左の乳首は、キュッとなったとき、右と比べると変な盛り上がりをしているような気がします。(見た目:ボコボコとした山の上に乳首があるような感じ) 乳頭の形は、丸ではなく、縦に長め。痒みがあるときは、少し赤っぽくなっているようです。まるで蚊にかまれたときみたいに・・・。しこりがあるかないかを調べてみようと指をそろえて撫でてみましたが、胸が小さいため、ギュッと押さえたら肋骨にあたってしまい、しこりがあるのかないのかはよくわかりません。大抵の場合、服を脱ぐと、しばらくすれば痒みはおさまるのですが、薄皮がめくれたり、乳首が妙な盛り上がりをみせたり、先端が凹んできたり、「乳がんだったらどうしよう?」と心配になることが多くなってきました。今回、なにかアドバイスをいただければと思い、メールさせていただくことにしました。唐突で申し訳ございませんが、よろしくお願い致します。

いろいろ詳しく書いて下さっているのですが、どうしても直接診察しないとわからない病態のようです。しかし、乳首のかゆみが乳癌の初発症状であることは稀ですし、メールからは癌は考えにくいように思います。「乳がんだったらどうしよう?」と心配せずに、乳房に何か異常があったら専門医を受診する様に心掛けて下さい。(文責 清水)

 

No.979】 02年06月14日 M.D. 
セラチア菌感染について

今年の一月に乳がんの手術をしました。初期段階のものだったため、手術も短時間で終わりリンパにも転移してなかったので体にも負担がなく、とても元気で退院して、2月いっぱい放射線に通いました。3月も何事もなく順調に回復していた矢先、4月になって傷口から黄色液がでてきて、赤くなって腫れてきて痛みが出てきました。すぐ病院行ったところ、ばい菌が入って膿みを持ってるから切開して膿みをだしましょうとのこと、それから4月は毎日のように消毒に通い、抗生剤も飲んだりしてるのですが、いまだに治らず、もう2ヶ月すぎました。3ヶ月もたってからばい菌が入るのでしょうか? くっついているはずの傷口から液がでるんでしょうか? それにそのばい菌はセラチア菌とわかりましたが、セラチア菌は院外感染するんでしょうか? 現在はセラチア菌に効く抗生剤を飲んでいます。放射線の影響で治りが悪くなってると担当医は言いますが、こんなにかかるものなのでしょうか? どうぞ教えて下さい。

メールから察するに乳房温存療法だったと考えます。乳房温存療法で癌の部分を切除するときは、癌を残さないように十分に、かつ、あまり変形しないように最小限で切除する様に努力します。結果、どうしても癌を切除した後に空洞ができてしまいます。周囲の脂肪組織などでその空洞を埋めるようにするのですが、無理をすると変形してしまいます。そこで、どうしても若干の空洞(医学用語では死腔)ができてしまうのです。体のどの部分でも死腔ができると感染しやすく、一旦感染すると化膿しやすいのです。更に悪いことに、癌の再発を防ぐためにかける放射線治療は傷を治す力を弱めてしまうのです。ということで、乳房温存手術に伴う傷の感染は外科医にとって厄介な問題なのです。私の経験でも10人から20人に一人は程度の差はあれ、傷が化膿しているように思います。長い人では治るのに一年近くかかった人もいました。根気よく治療して下さい。セラチアというのは病院の内外を問わずどこにでもいる細菌で、病院内の体力の弱っている人や老人に感染すると重篤な症状を起こすこと、その感染経路が医療者や医療器具を介することから院内感染の原因菌として重要視されています。今回の感染が、院内でセラチア感染が多発していた病院であれば院内感染の可能性がありますが、そうでなければどこで感染したか同定するのは難しいでしょう。(文責 清水)

 

No.978】 02年06月14日 M.S.
術後の反対側の乳房のしこりについて

昨日、右乳がんのため手術を行い、退院してきたばかりです。次回受診は再来週なのですが、気になることに左側の乳房の内側の情報に2〜3mmくらいのしこりを触れます。手術前の検査でエコー、CTなどを行い、異常なしとのことでしたが気になります。反対側への乳がんの再発の可能性が10%あるといわれているので、再発ではないはないかと気になります。しかし、手術直後で腕の痛みなどを考えると、もう二度と手術などしたくはありません。しこりはコロコロしていて、あまり動きはしませんが、小さなものです。上から指の腹で押さえると丸いような感じがします。

”反対への乳がんの再発”という言葉の意味が曖昧ですが、右の乳癌が左の乳房へ転移する可能性は非常に低いです。一方、左の乳房に新しく乳癌ができる可能性は手術後一年で0.7%、5年で3.5%、10年で7%と言われています。今回の左のしこりが癌かどうかは、とりあえず、触った感じが右のしこりと同じかどうかで判断してはどうでしょうか。M.S.さんは癌の触診についてはもう”しろうと”ではないのですから、触った感じが右のときと同じなら心配ですし、違えばちょっと安心していいのではないでしょうか。いずれにしても速やかに受診して主治医の診察、検査を受けることをお勧めします。”もう二度と手術などしたくない”という気持ちは分かりますが、そこのところは冷静に判断して下さい。(文責 清水)

 

No.977-1】 02年06月14日 S
広範囲の非浸潤癌について

一昨日、右乳がんの手術をして退院しました。29歳、既婚、子供なし。術式は皮下乳腺全摘出術で乳頭・乳輪は温存しています。非浸潤癌だったのですが、広範囲に同時期に10個以上の癌の出現があり、リンパ節転移はなしとのことです。術前の検査結果ではノルバデックスを3年以上5年未満で服用する予定でしたが、術後の病理の結果で、今すぐに飲む必要はないとのことで、術後の治療は行っていません。
@医師の話では、『同時期に癌が広範囲に出現してきたことから考えると、今後、反対側の乳房への癌出現率が普通の人より高い、また、若い時期の癌の発生のなので、他の臓器に癌が出現する可能性も高いのではないか』とのことで、早めに癌健診を受けることと、定期的な乳がん健診を薦められました。このような癌の場合には治療は必要はないのでしょうか?
A現在、上腕がヒリヒリと服が触れただけでも痛いのですが、この状態は一生続くのでしょうか?
B再建術については、自分の乳頭・乳輪を使って出来るのでしょうか?
お忙しい中、申し訳ありませんが教えてください。

1)非浸潤癌で乳腺を全摘していれば、術後補助療法は不要だと思います。反対側の乳癌の発生、他臓器の癌の発生に関するDr.のコメントは?ですが、定期的な癌検診はお勧めします。
2)上腕内側のヒリヒリ感は、脇の下のリンパ節を郭清するときにそこを通る肋間上腕神経を傷めたための症状です。この神経を完全に切ってしまうと、その部分の知覚は一生消失し、痛くもありません。ヒリヒリするというのは、手術中に先生が神経を切らずに残そうと努力した結果です。早い人でも数カ月、長い人で一年くらいでヒリヒリ感は無くなり、知覚は正常に戻ります。
3)せっかく残した乳頭乳輪ですから、再建のときは生かしてもらって下さい。技術的には可能だと思います。(文責 清水)

 

No.977-2】 02年06月19日 S
広範囲の非浸潤癌について(2)

早速のお返事ありがとうございました。もう一つ、ご質問があるのですが、アメリカでは乳がんにかかりやすい遺伝子を持っている場合に「予防切除」というのを行っているようですが、これは日本でも可能なのでしょうか? 反対側の乳がんの心配をして生活するより、より安全な方法を選びたいのですが・・・。乳がんは「全身病」という話しを聞きますし、病理の結果、非浸潤癌とのことですが、5mm単位の検査ではそれ以下の浸潤癌の見逃しも否定できないと思います。であれば、乳腺だけの「予防切除」を受けたいのですが。

日本人の乳癌は欧米人の乳癌に比べて、一般的に生物学的悪性度が低いと言われています。また、異常遺伝子を保有する保因者であっても乳房撮影と超音波検査を併用する乳癌検診によって乳癌を発見することが可能であり、このような方法で発見したハイリスクグループの乳癌でも早期発見、早期治療が可能であると考えられおり、現在、我が国の乳腺外科医の間では予防的乳房切除に対するコンセンサスは得られておりません。欧米における予防的乳房切除術は、下記のような超ハイリスク群においてのみ考慮されていますが、これに関しても、予防的乳房切除術についての説明を受けると同時に、それが、その後の乳癌の予防を保障するものではないという説明もなされています。
1)良性の乳腺疾患があり、両側性、閉経前乳癌の家族歴のある患者
2)乳癌の既往歴があり、対側の乳房に線維のう胞性疾患を有する患者
3)小葉内癌の患者
「切除」を含めた手術は、何らかの止むを得ない理由がある時に行われるものです。反対側の乳房については切除するに足る理由が現在の所、ありません。従って主治医から定期的な乳癌検診を勧められているとのことですので、それを実行することが最良の方法だと思います。(文責 須田)

 

No.976】 02年06月14日 M.U.
わきの下のしこりについて

25歳の女性です。未婚で勿論子供もいません。二、三日前から右わきの下にしこり(?)の様なものが気になっています。大きさは2cmくらいで、触ると痛みが少し有り、ごろごろする感じがします。数年前にも同じ場所に米粒位のしこりがあり医師の診察を受けた所、「そのままにしておいて良いです」と言われましたので、すっかり忘れていました。とにかく突然このようなしこりが出来、少々驚いています。突然出来る物なのでしょうか?それとも数年前の米粒のしこりが成長したのでしょうか?以前、こちらの質問の所で同じような質問をされていた方がいましたが、その方はお子さんもいらっしゃる方でしたので、未婚で子供もいないので、やはり外科に見てもらった方が良いのでしょうか?このまま様子見の方がいいのでしょうか?一人で悩んでいる事が出来ずにメールしてしまいました。お忙しい中、申し訳ありませんでした。

脇の下には結婚、子供の有無に関わらず、いろいろなしこりができます。悪性腫瘍の頻度は少ないと思いますが、やはり外科受診をお勧めします。痛みがあるとなると炎症性のしこりの可能性が高いと思いますので、ひどく化膿する前に、早めの受診をお勧めします。(文責 清水)

 

No.975】 02年06月14日 M.Y.
乳癌と妊娠について

私の姉が乳癌で以前、手術を受けました。今は治療をしておらず、外来でのフォローを行っています。姉はこれから子どもが欲しいと言っているのですが、妊娠によって乳癌が再発したりしないか心配しています。妊娠による乳癌への影響は何かあるのでしょうか?また、妊娠出産し、母乳で育てていくことはできるのでしょうか? 母乳育児をすることで、手術のところがむくんだりなど何か症状は起こるのでしょか? 教えてください。そして、私自身でも、乳癌と妊娠についてもっと知りたいと思いますので、何かいいホームページや本はないでしょうか。あつかましくてすみません。

お姉さんについては、年令、手術後何年経ったか、病理でリンパ節転移があったか、ER(エストロゲンレセプター)は陽性か、手術後の治療法など、もう少し詳しい状況がわからないと適当なアドバイスはできはせん。一般論からいえば手術後に妊娠出産は可能です。一昔前までは乳癌は女性ホルモンで成長する、妊娠すると女性ホルモンの高い状況が続く、従って手術後の妊娠は禁忌であると言われてきました。しかし、外国で乳癌の手術後妊娠しても、そうでない人に比べて再発のリスクは変わらないことが証明され、今では希望があれば可能です。しかし、これは一般論であって、個々のケースでかなり違います。乳癌の再発のリスクはどうか?手術後補助療法の影響は?家族の意向等いろいろな要素を考えて決めなければいけない問題です。治療が済んでから妊娠を希望すると言われて困ること(例えば化学療法を行って、卵巣機能が低下してしまって妊娠が不可能になっている等)があるので、実際には、将来妊娠の希望があるかどうかを手術をする前、癌と診断された時点で確認し、希望がある場合はいつでもそのことを考えながら治療法を選択していかなければいけません。また、子供が欲しいかどうかは本人だけの問題ではなく、配偶者(もしくは恋人)ともよく相談しなければいけませんから、そのような方がいる場合は、家族や将来家族になるであろう人にも必ず同席してもらって、治療法のメリット、デメリットと妊娠に及ぼす影響を直接お話ししながら決めるようにしています。ホームページや本についてあまり知識を持ち合わせていません。英語が得意であればNCI、ASCO、Cancernetなどのホームページを訪ねてみるといいかもしれません。(文責 清水)

 

No.974】 02年06月14日 K.S.
副乳摘出

10代の頃から左脇に大きな脂肪のような固まりがあり、生理の周期で胸が張るのと同じ痛みがありました。手術を受けたのは30歳です。見た目にも異常に目立つので相談した結果、摘出しようという話になり、約8ヶ月前に左の脇から副乳の摘出手術を行いました。脂肪のコブが2段になっていたのでコブの天辺を1本ずつ、2本の線ができました。摘出したものは手術室ですぐに見ました。黄色っぽい脂肪らしきものと乳腺組織らしきものでした。摘出したものを検査に出した結果では癌細胞はなかったと言われました。術後しばらくは傷と左腕の筋を伸ばすようにリハビリをしました。その時は左腕の筋の痛みも無くなり傷もきれいになったので通院も終わりになったのですが、今になってまた左腕の筋が痛みだしました。腕を前に伸ばした時に付け根から力こぶの内側にコリコリとしたスジがつっぱり痛みます。傷はきれいに治ってますが筋の方はぶり返すものなのですか? 伸ばすリハビりをまたやり始めましたが再度来院したほうがいいのでしょうか・・・。余談ですが、私の母は乳癌で左の乳房を切除しています。左腕がむくまないように傷や転んだり重いものなど気を付けてますが副乳はリンパとは関係ないですよね。上記の様な心配はしなくてもいいですよね?

副乳の手術ではしこりしか切除しないのでリハビリは不要だと思います。乳癌で脇の下のリンパ節の郭清をしたとき等、脇の下を手術した後で、脇の下から上腕にかけて、人によっては前腕までのびる、スジができることがあります。これはNo973に書いたmondor病と同じ状態で皮下の血栓性静脈炎です。腕を伸ばすと痛むので、このような時はリハビリはせずに、痛くない様にしていて下さい。そっとしておいても数週間から長くても数カ月で自然に治ります。これは私の推測です、原則は”主治医の診察を受けて下さい”です。(文責 清水)

 

No.973】 02年06月14日 K.N.
術後の乳房のひきつれについて

4月に乳房の上4分の1切除術とリンパ節郭清を受けた28歳未婚です。最近、手術を受けたほうの乳房の下側にひきつれを感じます。目で見ても、何か筋のようなものがはっきりと見え、手でも触れるのですが、簡単なエコーで見てもらったところ、血管かリンパ腺が繊維化したもので、乳腺とは関係のないところだから癌の心配はないと言われたのですが、原因もわからず、それが何かもはっきりとしないままにしておくのがとても不安です。何か良いアドバイスがあればお聞かせください。よろしくお願いいたします。

お話を伺った感じではモンドール病が最も疑われます。モンドール病は乳房の下からお腹にかけてか、乳房から脇の下にかけて長さ数cmから十数cmの細い固いスジができて、そこを伸ばすように体を動かすと引きつれて、痛みを伴います。その病態は、皮下の細い血管の血栓性静脈炎です。原因は不明なことが多いのですが、乳腺腫瘍を摘出した後や、乳房温存療法の手術をした後にはしばしば見られます。経過は、1-2か月で自然に消えます。痛みが強い時には普通の痛み止めを使いますが、ほとんどの方は、心配ない病気であることを理解されると薬等はいらないとおっしゃいます。(文責 清水)

 

No.972】 02年06月14日 miho
胸のしこり

近々、婦人科検診を受けるということで、不安になりメールしました。私は25歳なのですが、中学生くらいから左右の胸にシコリがあります。当時は歳を重ねていけば消えていくものだと思い、そのままにしておいたのですが、25歳になった今もシコリは残ったままです。
大きさや触れる感じは昔から変わったところはありません。左右大体同じ場所にあり、触れるとコロコロと動き、柔らかいほうだと思います。生理前で胸がはるのと同時に、押すと痛むこともあります。(シコリ自体が痛んでいるのかは分かりませんが・・・) 乳房の皮膚やカタチに変わったところはありません。長い間そのままにしておいたので、かなり不安になっています。よろしくおねがいします。

中学生の頃からあって、コロコロと動き、大きさも変わらないというお話を聞けば、九分九厘、線維腺腫という良性の乳腺腫瘍で、心配なものではないと考えます。しかし、診察をした訳ではありませんから、一度専門医で相談することをお勧めします。婦人科検診の時に相談してみてもよいのですが、検診の時の先生が乳腺の専門の先生にあたるかどうかは不明で心配です。しかしせっかくある検診ですから、まず婦人科検診の先生に相談して、納得いかなければ専門の先生に診てもらう、というのはどうでしょうか。(文責 清水)

 

No.971-1】 02年06月14日 K.O.
ノルバディックスの服用期間について

私は2度目の卵巣脳腫手術のあとドールトンというホルモン剤を2年間、途中不調を訴えていたにもかかわらず服用するように言われ、挙句の果て乳癌になり、4年半前46歳11ヶ月の時、癌専門病院で三分の一の温存手術を受けました。手術時のしこりの大きさは2,9cm、リンパ節転移はないものの病理検査でリンパ管にはいっているといわれました。それなのに放射線も抗がん剤も何も治療しないといわれ、不安で尋ねた所、「生理が無いならホルモン療法をしましょうか。」といわれ、以来4年4ヶ月ノルバディックスを飲んでいます。検査は今は約8ケ月に一回(骨シンチは一回置き)です。ずっと以前から脂肪肝になり、良く眠れずふら〜っとしたり、めまいがしたり、のぼせ等、更年期障害の症状はあったのですが、このところ、その症状があまりにひどくなり、先日も歩いていて倒れてしまいました。夜になると身体中が以上に痒くなり、白血球も以前より減りました。(3400くらい) 不眠もかなりひどく精神安定剤(ランドルミン)を飲んでも2〜3時間しか眠れず、鬱状態で何時もふらふらしていて、仕事をしていても失敗が多くなり困っています。
質問させていただきたい事は、主治医に言われた5年には8ヶ月足りませんが、今ノルバディックスを中止したら良くないのでしょうか。体調が悪くても5年間は厳密に飲んだほうがいいのでしょうか。私の病院、主治医は患者数が非常に多く、予約無しで質問だけの為には行きにくいので、どうか教えていただけませんでしょうか。宜しくお願い致します。

手術後のノルバデックスの内服期間は5年が勧められています。それは、世界中のstudyを集めて検討した結果、2,3年より5年内服した方が、その差は僅かながら、再発が少ないということが分かったからです。しかし、5年内服したら再発しなくて5年未満だったら再発するという訳ではありません。手術後の治療(補助療法)の有効性は、再発するかしないかではなく、再発の確率(可能性、リスク)をどれだけ少なくするかで評価します。いい例えかどうかわかりませんが、例えばAという航空会社は運賃は安いが時々事故を起こす、Bという航空会社は運賃は高いが事故の頻度は少ない(勿論ゼロではない)としたら、ある人はめったに事故が起きるわけるではないので安いA社を選ぶでしょうし、ある人は高くても事故の確率の低いB社を選ぶでしょう。その結果、事故なく目的地へ着けばどちらでも良いし、運悪く事故に遭えばどちらでも同じなのです、ただその確率が違うのです。話は元に戻りますが、K.O.さんの場合、現在の症状がノルバデックスの副作用かどうかが問題になります。それを確認するために、一時休薬して体調が良くなれば副作用と考え、薬の効果と副作用を天秤にかけて内服を続けるかどうか決めてはどうでしょうか。ただ不思議なのは内服して4年以上経ってこのような症状が出るのは珍しいと思います。卵巣の手術は両側全摘されたのでしょうか?もし一部でも残したならば、ちょうど50才くらいになって、自然の閉経期とノルバデックスの作用が重なって更年期障害の症状が強くなることは十分考えられます。その場合にはノルバデックスを中止しても症状が軽減しない可能性もあります。その辺もよく確認して下さい。(文責 清水)

 

No.971-2】 02年06月15日 K.O.
リンパ管浸潤と再発転移

早速ノルバディックスの件にお答え頂き、本当にありがとうございます。航空機の例え、よくわかりました。見ず知らずの者にこんなに丁寧に説明してくださって、感激しました。少しの間薬を休んで観察してみようと思います。もう一つ質問して宜しいでしょうか。術後、一度主治医以外の先生に検査の折診察してもらった事があるのですが、若い気さくな感じの方でしたので、いろいろ質問しましたら、「リンパ管に浸潤していると、いつかは100%再発する。」といわれ、しばらくはショックで、ちょっとどこかが痛くなってもすぐ転移と不安におののいていましたが、今は考えない様にしています。先生もリンパ管浸潤はいつかはわからないが、確実に再発転移するとお考えですか? 確実に再発転移するというのならなぜ抗癌剤を使わないのでしょうか? 質問しておきながらこういうのはなんですが、お忙しいと思いますので、くれぐれも無理しても返事しなくてはと思われません様・・・。もう覚悟はしていますので・・・。

「リンパ管に浸潤していると、いつかは100%再発する。」ということはありません。どちらかと言うと、浸潤ガンであれば、顕微鏡で見て見えるかどうかは別にして、ほぼ100%リンパ管浸潤があると言えます。しかし、リンパ管浸潤があっても腋窩リンパ節転移がなければ再発しない人の方が多いのです。(文責 清水)

 

No.970】 02年06月11日 S.S.
乳房再建手術について

乳房再建手術について質問させていただきます。43歳の主婦です。2年前乳がんのため左乳房全摘出手術を受けました。 ステージVb。今のところ転移の可能性はありません。 再発の恐怖におびえつつも、そろそろ乳房再建手術を考えています。
@ いつ頃、乳房再建手術をしたらいいでしょうか。
A 手術前のようにきれいな体にもどれるのでしょうか。
B 保険の適用はあるのでしょうか。
今は病気のことも忘れるくらい元の生活に戻っています。ただ、お風呂で鏡を見るのが苦痛です。よろしくお願いします。

1) 基本的に乳房再建はいつでも可能です。ただし、局所再発のriskなどを考え、また、乳房のない生活をして本当に不自由かどうかを考えるためには、術後2年目位からがお勧めです。鏡を見て苦痛であれば再建した方が良いと思います。
2) 手術前の体に戻るかと聞かれれば、答えはNOです。再建した乳房は所詮作り物で、元の体には戻りません。しかし、それでも乳房があった方が良いと考えるならば、再建をお勧めします。再建する場合は、自分の納得のいく再建ができるかどうか形成外科の先生と良く話し合って下さい。癌の手術の時とは違って時間はたっぷりあるのですから。
3) 特殊な手術でなく通常の総合病院の形成外科で乳房再建する場合は保険適応になります。特殊な手術というのは、美容外科専門病院で、特殊な医療材料を使った手術をするときに保険適応がない場合があります。(文責 清水)

 

No.969】 02年06月10日 nene
マンモグラフィーについて

36歳未婚です。乳ガン検診を受けるにあたって、生理前一週間位は避けるようにと書いてありますが、それはマンモグラフィーを撮る時もその時期は避けるべきでしょうか? 予約した病院が乳腺外来が月に2回で、私は生理が毎月少しずつずれるんです。今度予約した日が生理前7〜10日ぐらいです。先にマンモグラフィーだけ撮ってもらいに行った方が良いでしょうか?

乳ガン検診で生理前一週間を避けて下さいというのは触診の話です。皆さんも御存じかと思いますが、閉経前の女性の乳房は女性ホルモンの働きで生理前は張ってきます。そのために、触診による乳房検診では細かいところまでよくわからない人も出てきます。(もちろん張り方には個人差が、また同じ人でも月毎の差がありますが・・・。)
一方マンモグラフィーではその影響はほとんどでないので、マンモグラフィーを読影する立場からいえばどの時期に撮影されたものでもかまいません。しかし、撮影される方の立場で言えば、生理前の乳房の張っている時にマンモグラフィーの撮影のため乳房を挟まれるのは少し辛いかもしれません。neneさんの場合も、生理の7〜10日前の乳房の張り方があまり強くなければ今度の予約の日でもいいでしょうし、もしその頃から既に張りが強くなっているというのであれば、予約を変更された方がよいと思います。(文責 清水)

 

No.968】 02年06月10日 F.Y.
バイオプシー

左乳腺腫瘤の検査で行うバイオプシーという検査はどういうものなのですか?

バイオプシーのなかには、細い針で細胞だけをとる穿刺吸引細胞診(Aspiration biopsy cytology, Fine needle aspiration biopsy)、少し太い針で組織を一部切り取る針生検(core needle biopsy)、局所麻酔して腫瘤そのものを切除する摘出生検(excisional biopsy)もしくは組織の一部を切除する切除生検(incisional biopsy)があります。今回、F.Y.さんが行うのはどれでしょうか? (文責 清水)

 

No.967-1】 02年06月08日 Y.S.
PGR+について

はじめて質問させていただきます。40才、出産経験なし。3/1に乳房温存op ステージ2b、リンパメタ3/21、浸潤経2.2cm ESR-,PGR+ RT28回を済ませています。医師からホルモン療法を薦められ、ゾラD、タモX.投与の補助療法を受けるよう言われています。しかし、ESR-で、どの程度エストロゲン抑制効果が私のタイプにあるのか疑問です。何かこの病理結果のタイプに関する治療効果データがあれば教えてください。化学療法今のところ受けるつもりがありません。よろしくお願いいたします。

現在はERもしくはPRが陽性であればホルモン療法への反応性があるということになっています。ですからY.S.さんはホルモン療法への反応性があることになります。そこでY.S.さんをSt.Gallenの2001年のguidelineにあてはめてみると、ホルモン療法に反応性があり、閉経前で、リンパ節転移陽性ということになり、guidelineでは1)卵巣機能抑制(卵巣を摘出するかZoladexを使う)、2)Tamoxifen、3)卵巣機能抑制+Tamoxifen、4)化学療法+Tamoxifenの4つの治療が勧められています。ここで、化学療法が嫌ということになると、1)-3)を選ぶことになります。私としてはリンパ節転移が3個あったことを考えると、主治医の先生と同じ3)Zoladex2年、Tamoxifen(ノルバデックス)5年がお勧めです。このguidelineの根拠になったデータもあるのですが、細かくなるので省略しますが、どうしても知りたいということであればまた質問して下さい。(文責 清水)

 

No.967-2】 02年06月12日 Y.S.
ホルモン治療等について

さっそくお返事ありがとうございました。
1)一般的には、「ホルモン反応性がある場合はホルモン療法可能」という標準治療のガイドラインは主治医にも聞いているのですが、もっと詳しい内訳のデータがあれば、教えていただけませんか? 例えば、タモXはESR+の人の半分位しか効果がないとか聞きますが・・・。
2)ステージ2Bでは、どのくらいの全身にガン細胞が広がっている可能性が在るのでしょうか。再発は一般的に、リンパ転移の数によって予測されますが、HER2nの存在や他のリスクファクターがありますか?
3)たとえば、免疫力を高めることによって、悪性度の強いものでも再発を回避できるものなのか、それとも、がん細胞の性質によって再発はある程度運命づけられているのか。
4)リンパ郭清は予後に影響しないと本で読みましたが、それはリンパ転移のある人は完全に手遅れということですか。

病理に関係する細かいことですみませんが、わかることがあれば教えてください。また、病理に関することで先日、朝日新聞に掲載されていた以外の本で、私たちが理解できるものがあれば紹介してください。沢山質問して申し訳ございませんでした。よろしくお願いいたします。

1) 術後の補助療法についてたくさんの文献がありますが、一番信頼性が高いのはEBCTCGというgroupが出しているoverview analysis(世界中の文献を集めて検討したmeta-analysisで、EBMでいうところのevidence level 5の最も信頼性の高いデータ)だと思います。それによると、閉経前で、リンパ節転移があって、ER(+)の場合(両群で約2000人のデータ)、Tamoxifenを内服しない場合の5年健存率(再発がなく生存している率)と10年健存率は65.0%、52.6%で、内服した場合は72%、57.6%です。Tamoxifenを内服しない場合の5年生存率(再発の有無に関わらず生存している確率)と10年生存率は82.6%、65%で、内服した場合の5年生存率、10円生存率は84.4%、68.3%で統計学的に有為の差をもってTamoxifenを内服した方が良いとなっています。しかし、おっしゃる通り、Tamoxifenを内服しても43%近い再発のrisk、32%近い死亡のriskがあることも事実です。手術後の補助療法の効果があるかないかを判断するのは、再発するかしないかではなく、その治療によってどれだけ再発のriskを小さくするかで評価します。

2) stageより、リンパ節転移の有無で考えた方が正確だと思います。したがって、1)に書いた確率の裏返しが再発、死亡の確率です。現在、細胞が広がっている確率はほぼ再発の確率と等しいと考えていいのではないでしょうか。Her2/neuの過剰発現もrisk factorです。その他に、組織学的悪性度、リンパ管、血管侵襲の有無、血管新生の多さ、mutant p-53の発現、ki-67等等risk factorは数限り無くあります。しかしこれらrisk factorはお互いに関連しあっています。例えばHer2は過剰発現している人とそうでない人とでは過剰発現してしている人の方が再発が多いのですが、Her2が過剰発現しているにはリンパ節転移のある人が多いのです。そこで、これらのrisk factorのうちどれが重要かという判断は多変量解析という方法で調べます。そうすると、最も重要なfactorはリンパ節転移の有無ということになるのです。難しいですか?

3)免疫力を高めることで再発を回避できるかどうかについて、試験管の中では証明されていますが、実際の臨床の場で証明されたものはありません。証明されない原因の一つとして、私たちは免疫力を測るものさしを持っていないのです。証明されないということは、あるとも言えないし、ないとも言えないのです。逆に臨床の場では解らない現象も多くあります。悲観的に生きるより前向きに生きている人の方が再発が少ないとか、group workをしている人には再発が少ない等、科学的には証明できない事実があることも確かです。私個人としては免疫力はあると信じています。しかし、どうすればそれを高める事ができるかはわかりません。少なくとも、所謂健康食品ではないと思っています。それは人間の不思議な力、精神力ではないかと思っているのですが、何のevidenceもありません。

4)リンパ節郭清が予後に影響しないと言うのはほぼ事実だと思います。それは手遅れという意味ではなく、リンパ節転移がある人は前述のような訳で転移のない人より予後が悪いのは事実です。それではリンパ節転移のある人のリンパ節郭清をしたら、その人の再発率が低くなるかというと、ならないということです。リンパ節転移がある人にとって重要なことはリンパ節郭清をすることより、きちんとした術後補助療法をすることが再発を減らす近道だということです。ただしリンパ節郭清が全く意味がないという訳ではありません。少なくとも、腋窩に再発するのは防げますし、全体として意味がなくても、中には郭清をしたことで再発を防げる人がいるかもしれませんから・・・。朝日新聞に掲載された本というのはわかりません。最近の本では福田先生の書いた”乳癌全書”が評判いいようです。(文責 清水)
 

No.967-3】 02年06月15日 Y.S.
リンパ節転移について

早速、お返事ありがとうございました。結局、あれこれ考えても、一番影響力のあるファクターは「リンパ転移の数」ということなのですね。あとひとつ疑問があるのですが、わきリンパへの転移は、腫瘍がわきの近くにできた場合と、胸の下等少しわきから遠くにできた場合とでは、差が出てきますか。他の病理の条件がすべて同じと仮定した場合です。朝日新聞に掲載されていた本は、”病理医のあかすたちのいいガン悪いガン”堤寛著です。

乳房のリンパの流れは80%が脇の下(腋窩)リンパ節に流れます。ですから、乳房内のどこに癌があっても、腋窩との距離に関係なく、腋窩リンパ節が最大のリスクファクターです。残る20%、乳房内側のリンパの流れは傍胸骨リンパ節に流れます。これは乳房内側の癌の場合問題になります。しかし、多くの場合、傍胸骨リンパ節に転移がある場合、腋窩リンパ節にも転移があり、傍胸骨リンパ節のみに転移があるのは3〜5%くらいと言われています。ですから、乳頭より内側にある癌ではちょっと注意が必要です。(文責 清水)

 

No.967-4】 02年06月25日 Y.S.
細胞の異型度について

先日リンパ転移のことで、質問させていただいた、Y.S.です。わきの下リンパ節の転移のプロセス、よくわかりました。ありがとうございました。もうひとつ、細胞の異型度について教えていただきたいのですが、私の場合、病理検査部からの腫瘍病理報告に異型度の記入がありませんでした。主治医に尋ねると、「リンパ転移しているから、グレード3と考えていい。」と答えられました。しかし、同じ患者仲間に聞くと、グレード2でも転移していたとの事。リンパ転移有無に比べれば、重要度は低いかもしれませんが・・・。細胞の型というのは、グレード1から3というように、経時的に細胞分裂をするうちに異型度が強くなるものなのですか? 突然グレード3レベルの異型細胞が出現することもありますか? もちろん、グレードが高くなるにつれ悪性度も高いのでしょうが・・・。転移するということは、原発部位で異型度がかなり高くなっているということですか? お返事お願いいたします。

乳癌の組織学的異型度は、判定基準を参考に専門の病理医が確定いたしますが、代表的な判定基準2つを簡単に列記いたします。(2)は、国立がんセンター、癌研究会付属病院が採用していますが、判定基準については、様々な修正案が提唱されており、まだ統一した見解が得られておらず、現在、日本乳癌学会の規約委員会で検討中です。
(1)(2)に示すように、乳癌の組織学的異型度はスコアの合計によってグレードを決めており、乳癌の1個1個の細胞についてではなく、乳癌を構成する全体の細胞についての評価であり、現在臨床上使われている標準的な予後因子の1つです。グレードが高くなるにつれて悪性度が高くなるような判定基準のものを現在模索中であり、転移と原発部位での組織学的異型度の高さには必ずしも相関関係はないようです。(文責 須田)

(1)Scarff-Bloom-Richardsonの分類をElston-Ellisが修正したもの

 腺管形成 スコア1  腫瘍の大部分(75%以上)
スコア2  中程度(10%〜75%)
スコア3  少数(10%以下)
 核異型 スコア1  核は小型、形が規則正しく、クロマチンが一様
スコア2  中程度の核の大型化と大小不同
スコア3  核の大小不同、形の不整が著明
核分裂像の数 スコア1  0〜5個
スコア2  6〜10個
スコア3  10個以上

   grade 1    スコアの合計が3〜5 
   grade 2  スコアの合計が6〜7
   grade 3  スコアの合計が8〜9

(2)WHOの基準を津田が修正したもの

構造異型 スコア1  主として管状、乳頭状、もしくは篩状
スコア2  スコア1とスコア3の中間
スコア3  主として充実胞巣状、地図状、索状
核異型 スコア1  核型、大きさは均一、クロマチン分布も均一で、
 増量は目立たない
スコア2  スコア1とスコア3の中間
スコア3  核型、大きさは不均一、クロマチンは不均一に分布、
 細顆粒状〜粗大顆粒状〜空砲状、
 核小体が大きい
核分裂像の数 スコア1  5個以下 / 高倍10視野
スコア2  5〜10個 / 高倍10視野
スコア3  10個以上 / 高倍10視野

   grade 1    スコアの合計が3〜4点 
   grade 2  スコアの合計が5〜7点
   grade 3  スコアの合計が8〜9点

 

No.967-5】 02年07月12日 Y.S.
ゾラデックス投与中の月経について

6月にも何度か質問させていただきました。わかりやすいお返事ありがとうございました。3月に手術をして、3/19、6/27ゾラデックス皮下注射しました。3月から6月の間、2ヶ月は治療法方法に迷いもあり、注射を中断していました。3月の時には月経中で、注射後、途中で月経停止しました。しかし今回は7/10ごろから出血がありました。月経と見ていいのでしょうか? 1週間前くらいから、横腹の痛み、張りがあります。今までは、全く月経痛を経験したことがありません。子宮ガンなどの婦人科疾患の可能性があるでしょうか。タモキシフェンも3月から服用中です。短期の服用で、子宮疾患が起こる可能性ありますか?(子宮ガン検診は4月にしました。結果陰性)来週、婦人科を受診する予定でいますが、とりあえずゾラデックス投与にもかかわらず、月経があることがあるのかを知りたいのですが・・・。もしあったとしたら、何かの誤りで(注射方法など)薬の効果が出ていないのでしょうか? 先生のアドバイスお願いいたします。

ゾラデックスもリュープリンも、LH-RH analogueは初回投与は月経中に開始します。また、初回投与初期には、下垂体-性腺系刺激作用による血清エストロゲンの一過性の上昇にともない、不正出血等を認める場合もあります。特に、貴女のように不規則に休薬しているような場合は、血清エストロゲン濃度がリバウンドで再上昇するため、臨床症状が一過性に悪化することもあります。今回のエピソードについては、ゾラデックス投与13日目の不正出血なので、治療再開による症状と考えてよいと思います。これらの症状は、適切な治療を継続することにより消失しますので安心してください。また、通常の子宮癌検診は、子宮頚癌に対する擦過細胞診しか行っていません。タモキシフェンの影響で相対危険度が上昇するのは、子宮体癌のほうなので、もしホルモン療法の影響が気になるようならば、婦人科医師と相談して、子宮内膜を検査してもらうようにしてください。ちなみに、子宮体癌の発生リスクは、タモキシフェンの5年間内服で11人/1,000人/10年間(対照群で3人)で、タモキシフェン2年間内服よりも高くなると考えられています。貴女のように、タモキシフェン内服3ヶ月では、子宮内膜増殖に対する影響は出るかもしれませんが、発癌にまで至るかどうかについてはなんともいえません。(文責 千島)

 

No.966-1】 02年06月06日 Y.N.
stage4 で骨転移がある場合

こんにちは。早速ですが是非相談にのっていただきたくメールを差し上げます。45歳、既婚、出産経験無しの会社員です。マンモグラフィー、エコー、穿刺吸引細胞診、骨シンチ、胸レントゲン、腹部CT、血液、尿検査などの結果、乳癌と言われました。両方の乳房に癌が複数あり、特に左のほうは化膿しています。ドクターから言われたのは、「T4、N2、M1、Stage4。骨シンチの結果、肋骨や腰骨、恥骨、背骨の2箇所に転移が見られる。またリンパにも転移。手術が必要だがその前に抗癌剤治療で少しでも小さくすることが先決。そのあと、抗癌剤、放射線治療をします。」ということでした。血液検査では、1CTP(3.1),CA15-3( 68),BCA225(200),NCC-ST-439(360),CEA(4.8)。骨転移をしている以上、癌としては治らないが、なるべく良い治療法を見つけていきましょう、とも言われました。ビスフォスフォネート製剤についてもドクターからお話がありました。お聞きしたいのは、

1)かなり進行している状態だとは覚悟していますが、手術や治療によって現在と同じような、つまりは会社員として復帰の見込みがあるのかどうか。あるいは、家にいて静かにおとなしくしている生活が前提になるのか。(個人差があるとは思うのであくまで一般論、あるいは事例で結構です)
2)現在、非常に強い貧血(赤血球が5)があり、この状態で術前抗がん剤治療をはじめた場合、副作用が強くなる可能性はどうなのか。
3)NCC-ST-439の数値が異常に高すぎる気がしますが、これは何を意味しているのか。

どうぞよろしくお願いします。

かなり厳しい状況だと思いますが、最近は良い治療法が増えているのであきらめず頑張って下さい。
(1)の質問ですが、それはNさんの人生観にかかっていると思います。医学的には、仕事を続けても、家でおとなしくしてしていても同じだと思います。確かに抗がん剤の治療が始まれば仕事は休みがちになりますし、治療が終了して仕事に復帰しても余り無理はできなくなります。しかしだからといって、家でじっとしていればいいかというと、かえってstressがたまる事もあります。事例とすれば、仕事を辞めて、今まで時間がなくてできなかった事(旅行や趣味等)を一生懸命やった人もいました。仕事人間で、死ぬまで仕事を続けることが本望だと、仕事人間としての人生を全うしようと考え、実行した人もいました。家庭の主婦で、最後まで主婦であり続けたいと頑張った方もいます。母親として子供に自分の生きざまをしっかり見せて亡くなった人もいました。亡くなった人の数だけ人生があったように思います。
(2) 今年のASCOというアメリカの学会では抗がん剤治療をする前に貧血を治した方が抗がん剤が効きやすいという話がいくつか出ていました。しかし、日本では癌による貧血を治す薬が保険で認められていません。ただ、Hbが5というのは抗がん剤治療以前の問題として、日常生活に影響のある貧血で、治療が必要だと思います。
(3) これはいくつかの腫瘍マーカーの中で、NさんにはNCC-ST-439が一番良いマーカーであると考えられます。これからはこのマーカーを指標に治療を進めることになります。蛇足ですが、治療法を見つけるために是非一部生検してもらって、ER,PR,Her2等の検査をしてもらって下さい。そうでないと適当な治療方針が決まらないと思います。bisphosphonate製剤は保険で認められていませんが、骨転移があれば、是非使って下さい。(文責 清水)

 

No.966-2】 02年06月15日 Y.N.
stage4で骨転移がある場合その後

先日、stage4で骨転移がある場合でご相談を致したものです。その節は早速のお返事、ありがとうございました。お勧めの通り、主治医にお願いして11日に生検を致しました。今は結果待ちですが、手術の最中、腫れている場所から大量の出血があり、止血にだいぶ手間取りました。手術中にそのために点滴をしたほどです。組織をとった箇所には問題はないということでした。4,5日経過して出血は止まっていますが、膿はまだ出ていて消毒と鉄の点滴で毎日通院しています。実は生検の前から膿は出ていて、これがあと1週間やそこらで止まるような気はしません。生検前にも主治医に一度相談したことがあったのですが、そのときには聞き流されてしまいました。お聞きしたいのは

(1)生検の結果があと10日ほどで出て、そのあと術前の抗癌剤治療(以前のお話ではアドリアマイシン・エンドキサン・5FU)が始まると思うのですが、この状態で抗癌剤が使えるものなのでしょうか。素人考えとは思うのですが、たとえば今のうちに膿を出してしまったほうが簡単なような気がしますが・・・。生検のあとの痛みも酷く、ロキソニンからボルタレンに変更していただき、どうやら鎮痛効果が出てきたような具合です。
(2)MRIの結果が出て第4頚椎に骨折らしきものがあるといわれたのですが、ここが骨折することはありえないのでたぶん、違うでしょう、という主治医のお話でしたが、この相談室には同じような方がいらしたようで・・・。年齢や癌の進行状況でありえる、ありえないということがあるのでしょうか。

お忙しい中、本当に申し訳ありません。膿のこと、骨折の話を突っ込んで聞けず、不安です。どうぞよろしくお願いします。

1)お話を伺った感じでは、膿は感染によるものというより、ガンの一部が腐った感じではないでしょうか、そのような場合であれば早く抗がん剤治療をするのが一番だと思います。痛み止めは遠慮せずに十分使ってもらって下さい。蛇足ですがアドリアマイシン・エンドキサン・5FU(いわゆるCAF療法)は標準的な治療法ですが、もしハーセプチンが使えるとき(生検でHer2が2+〜3+の時)は違う抗がん剤が良いと思います。
2)頚椎が骨折ということは圧迫骨折と言って頚椎が潰れた様になっている状態です。他の骨にも転移があるようなので、頚椎に転移があって圧迫骨折していることはあり得ることです。ただし、体重のかかる腰椎などに比べると骨折の頻度は少ないですが。骨転移がたくさんあっても骨折しない人もいますし、一か所しかないのに骨折して、脊椎損傷の症状がでてしまう人もいるというように個人差はあります。骨転移の治療では骨折を防ぐ治療をしっかりした方がいいと思います。たとえば、頚椎に転移があるのであれば頚椎カラー(むち打ち症の人がよくつけている太い首輪)は必須だと思いますし、bisphosphonate製剤も有効です。(文責 清水)
 

 

No.965】 02年06月05日 H.I.
炎症性乳ガンについて

大の親友が炎症性乳ガンと診断されたようです。近日中に抗ガン剤治療にとりかかる様ですが、全くの情報不足で、不安なまま大学病院にお任せするしかないと言うのが実情です。いったいどういうガンでどんな治療法があり、どういう生活をすべきなのでしょうか?

炎症性乳癌というのはこのホームページでもしばしば登場しますが、乳癌の中で最も予後の悪い癌の一つです。決して手術だけでは治らないので、抗がん剤や放射線治療を組み合わせて治療します。最近は良い薬が増えたので、一昔前よりも生存率は向上しましたが、それでも5年生存するのは厳しいと思います。しかもその間かなりきつい治療が続きます。最近良い治療法がいろいろでてきていること、それぞれの治療の副作用が強いことから、大学病院に任せるのでなく、一緒に勉強して、主治医の先生とよく相談して、悔いのない治療法を選択してください。治療法の実際はもう少し詳しい情報がないと良いadviceはできません。申し訳ありません。(文責 清水)

 

No.964】 02年06月05日 M.Y.
再発の確率

左胸に2cmのしこりがあり温存手術を受けたのですが、腋のリンパに12コ転移していました。再発の確率は何パーセントですか? 又、治癒率の確率もどの位ですか?

情報が少ないのですが、再発の確率はおおよそ40%くらいでしょうか。治癒の確率はその反対で60%くらいでしょうか。(文責 清水)

 

No.963】 02年06月03日 mika
乳癌が肺と骨に転移

はじめまして、33歳で3人の子供がいます。1年以上前から胸にしこりがあったのですが、乳腺炎かな?位にしか考えてませんでした。
今年の1月末に、避妊のリングを産婦人科で交換して、その後2月頃から咳が出はじめて、風邪だと思っていました。1ヶ月位咳が続いて、走ったりすると呼吸が苦しくて風邪とはちょっと違うな・・と思い始めた頃、食欲が少し無くなり体重が1週間で7キロ位減りました。
と同時位に胸のしこりが大きくなって、赤くただれていきました。自分で色々と調べて、初めて死の恐怖・・を感じました。旦那に病院に連れて行かれ、診察ですぐに乳癌だと先生は判断しました。レントゲンには肺に無数の影が映っていました。「どうしてもっと早く病院に来なかったのか」と、先生に言われました。即入院と言われましたが、子供の事があり2日後に入院しました。手術の出来ない状態で、10日間入院で、点滴で抗がん剤1回、後はMRIやCT検査、細胞検査でハーセプチンが使用出来るか?・・・検査入院でした。結局ハーセプチンは使えませんでした。退院後は、月1回の抗がん剤と、その後、白血球が減少していないか2日おきに3回採血と、月1回のホルモン注射治療です。乳癌が動かない状態で、肺や骨に転移。その他、体中にしこりがあります。旦那が先生に無理矢理聞き出したのですが、余命は短いそうです。後2年生きられるかどうか・・。「がんと共に生きる」・・そう先生は言っていたと聞きました。もっと早く治療してれば・・そんな事ばかり考えていたけど、今は残りの人生を楽しく、子供達との思い出を沢山作っていきたい、前向きに考える事にしました。頑張ります。 乱筆、乱文ですみません。読んで頂いてありがとうございました。

進行乳癌で肺と骨に転移を有する第4期乳癌ということになると確かに予後はかなり厳しいと思いますが、過去のことを考えていても始まらないので、ぜひ前向きに頑張ってください。一つ二つアドバイスさせて下さい。ハーセプテストがマイナスだったのは残念でしたが、エストロゲンレセプター(ER)はどうでしたか? ER(+)であれば”月一回のホルモン注射”(多分リュウプリンかゾラデックスだと思いますが)と抗エストロゲン剤(ノルバデックス、フェアストン)かアロマターゼ阻害剤(アフェマ、アリミデックス)の併用がbetterだと思います。(どちらかというと後者の方がbetterです) もしERが強陽性で肺、骨転移の症状が強くなければ、内分泌療法だけの方が副作用も少なく有効です。もし、咳等の症状が強いのであれば4-6か月くらい抗がん剤治療を行ってから内分泌療法に移るのが良いのではないかと思います。もう一点は、骨に転移があるならば、ビスフォスフォネート製剤(アレディア等)を使うことを主治医の先生に相談してみてはいかがでしょうか。日本では乳癌に保険適応がないので公には使えないのですが、世界的には乳癌の骨転移に使うことが常識になっています。今後のQOLを維持するためにこっそりお勧めします。(文責 清水)

 

No.962】 02年06月03日 Y.S. 
0.5mmのしこりについて

37歳、既婚、3歳の子あり。しこりについてご相談お願いいたします。10年ほど前より左脇側上にしこりらしきものがあり、年1回は病院でエコー、レントゲンなどを受けていますが、ずっと乳腺症といわれていました。今日も受診しましたが、はじめてエコーで0.5ミリのしこりがみつかったといわれました。レントゲンに異常はないのでまた2ヶ月後に受診して下さいといわれました。この大きさだと細胞の検査も難しくできないので白黒はっきりすることができないといわれましたが、とても不安です。専門の病院にいけばこの位の大きさでもはっきりすることはあるのでしょうか?それともこのまま2ヶ月待っていいのでしょうか?よろしくお願いいたします。

触診で乳腺症、レントゲンで異常なし、エコーで0.5cmのしこりとなると、問題はエコーで見えた0.5cmのしこりの所見です。明らかに嚢胞(のうほう)などの良性疾患を疑わせる所見であれば細胞の検査も生検も必要ないと思いますが、エコー所見上少しでも癌を疑わせる所見があるならば、たとえ0.5cmでも穿刺吸引細胞診をすべきです。その場合は正確に穿刺するためにエコーをしながら穿刺するのがbetterでしょう。主治医の先生がエコーに映ったしこりの所見を良性と考えているのならば、2か月後の再診でもかまわないと思います。もう一つは今回エコー検査をしたのは月経の前でしたか?月経前に検査すると乳管が拡張して小さなしこりとして映りやすくなります。次回検査するときは月経後をお勧めします。(文責 清水)

 

No.961-1】 02年06月03日 Tamu
骨転移、外科の診察

薬、ノルバテックスをヒストロンH200とフルツロンカプセル200に変えて様子を見る事になりました。MRIの検査を21日に受ける事になり、ハーセプチンの検査もしてくださいといわれています。この薬は、骨によく効くと言われましたがそうなんですか?健康食品の紫イペを最近取り出したんですが、先生は医学上立証されていませんがまあいいんじゃないかといわれたんですけど、どうなんでしょう?
4年前に右全摘一箇所じゃなかったので、四分の一が術中全摘になり、リンパには転移してなかったので術後の治療はノルバテックスだけでした。私の母も乳ガンで亡くなっています。

Tamuさんの状況を整理させて頂くと、手術後4年目で腫瘍マーカーの上昇が見られたので全身検査したところ、骨シンチで異常が見つかった。そこで整形外科を紹介されレントゲン検査で骨転移らしいと言われ、外科に戻ったら薬がノルバデックスからヒスロンHとフルツロンに変わり、MRの検査が予定された。手術後の病理検査ではリンパ節転移はなかったが、エストロゲンレセプター(ER)については不明。現在痛み等の症状はない。ということでしょうか。
ハーセプチンについて:ハーセプチンの検査(ハーセプテスト)は先生が"してください"というのではなく、先生が"検査をします"だと思います。4年前に切除した標本を使ってハーセプチンが有効かどうか調べるのです。ハーセプチンが有効な乳癌は4人に1人 (25~30%位)と言われています。もしその4人のうちの1人であれば、転移部位に関わらず効果は期待できます。ただし、単独で使うより、抗がん剤と併用した方がより効果が高いと言われています。
紫イペについて私は何も知識はありません。一般的な話ですが、紫イペもプロポリスやアガリクスなどと同じで、これらの健康食品、健康補助食品は薬ではなく食べ物ですから、現在の病状で制限しなければいけない食べ物があるかどうかによります。通常、乳癌の再発の方が食べていけないものはありませんから、どうぞお好きにして下さいという答えになると思います。(文責 清水)

 

No.961-2】 02年07月12日 Tamu
骨転移について

また相談なのですが、病理の結果は乳頭線管癌で、しこりの大きさは2.3、リンパ節転移なし。エストロゲンレセプター、プロケステロンレセプター、プラス。4月の血液検査、CEA6.9 CA−15−3は31.9 ICTP1.9 ハーセプチンはマイナスでした。最終的な検査のMRIで整形の先生に診てもらったら、腫瘍らしきものは写ってないようで判らないと言われ、外科でその後診察を受けたら、ヒストロンH200とフルツロンカプセル200の薬がきいているのかもしれないと言われ、判らないので同じ薬を飲み、様子を見て血液検査してMRIの検査をまたするとの事。何も判らないまま4年目の検査で腫瘍マーカ−で二ヶ月連続でひっかかってからもうすぐ五ヶ月、しんどいです。外科の先生はあやしい転移だと思っているらしく、しんどくないの?て、聞かれましたけど、そう聞かれるとしんどいのかな?と思ってみたり、骨転移かもしれなと言われると胸が痛い様な気がしてみたり・・・。薬のせいか、毎月の生理もとんでいます。それは秋に産婦人科の検診の時にと言われました。転移だとはっきり判るのはいつなんでしょうか?よろしくお願いします。

骨シンチでは異常を疑わせる所見があるにもかかわらず、MRIで明らかな骨転移の所見が認められない。また、腫瘍マーカーではCEAとCA15-3は高値を示しているのに、TCTPの値が正常範囲内に入っている。乳癌の診療では、このようなケースによく遭遇します。このような場合は、次のようなケースが考えられます。
1.骨転移が比較的早期であり、現在内服中のヒスロンHとフルツロンが転移巣の増大を抑えている→このような場合は、転移がひどくならない小康状態が、長期間(数ヶ月〜数年)続くこともまれではありません。たとえ骨転移があっても、病状が悪化しないようならば、現在の治療を継続しながら経過を観察していくことになります。無理に乳癌を完全に退治しようとして、必要以上に抗癌剤を使用すると、かえって強い副作用に苦しむことになってしまいます。
2.骨シンチの異常所見は、実際には骨転移ではなく、腫瘍マーカーの上昇は他に原因がある場合。→時々、乳癌術後に再発部位が不明のまま腫瘍マーカーが上昇し、抗癌剤もしくはホルモン剤の治療によって、再び腫瘍マーカーが下がってくることがあります。通常のCT、胸部X線、骨シンチでは検出できないのですが、体内のどこかに乳癌細胞がいると考えられます。このような時には、FDG−PETと呼ばれる放射線検査が有効な場合があります。この検査は、糖代謝が高くなっている癌細胞を特異的に検出できるため、体の中に飛び散っている乳癌細胞をスクリーニングすることが出来ます。ただし、この装置が使える施設が少ない上に、健康保険が使えないため、検査料金が非常に高くなってしまうのが欠点です。このように、乳癌ではいつまでも転移部位が明らかにならないまま、治療を継続していくことも時々あります。現在の抗癌剤治療を完全に中止して、しばらく観察していれば、転移部位が明確になってくる可能性もありますが、せっかく現在内服しているヒスロンHとフルツロンの効果があるようなので、疼痛などの症状もなく、増大傾向を認めない転移巣ならば、敢えてこのまま経過観察をして、様子を見てみるのも一つの方法だと思います。(文責 千島)

 

No.960】 02年05月31日 Y.S.
乳腺症

28才既婚です。3年ほど前から胸にしこりがあり、病院で乳腺症と診断され、現在通院中です。結婚して1年半になりますがなかなか妊娠しないように思い、乳腺症と何か関係があるのかと不安になってきました。ホルモンの関係で妊娠しにくいと聞いたことがありますが、本当でしょうか?どうぞよろしくお願いします。

乳腺症との関係は特にないと思います。ホルモンのアンバランスで妊娠しにくくなることは可能性としてありますが、乳腺症と直接の関係はないでしょう。(文責 加藤)

 

No.959】 02年05月31日 R.N.
右脇の下のしこりについて

ホームページを拝見させていただきました。現在生後6ヶ月の娘がいます。完全母乳で育てていますが、今年5月の初め頃より右脇の下にしこりがあることに気がつきました。大きさは1〜2センチくらいでしょうか。触るとこりこりと動きます。最近は少し痛みもあります。先日も右の乳房が硬くなりとても痛かったので、出産した産婦人科で診ていただいたところ、乳腺がつまりかけていたのが腫れの原因ではないかと言われました。その後乳房の痛みはなくなったのですが、右脇の下のしこりはそのままあります。大きくもなってないようですが、小さくもなりません。場所は脇の下に左手を入れてみて触ると、丁度薬指くらいの位置になります。3年前、実母を悪性リンパ腫で亡くしていますので、私も同じ病気か乳がんかと心配で心配でなりません。アドバイスをお願いします。

お話の内容からは、乳がんやリンパ腫の可能性は低いと思います。もう少し様子を見ていただいて、しこりが消えないようなら受診されてはいかがでしょうか?(文責 加藤)

 

No.958】 02年05月31日 M.S.
病理組織検査

最近、乳癌患者の方のHPをよく見るようになりました。皆さん、ご自分の病状をよく知りお勉強をされているのに感心しますと同時に、自分の無知さにあきれております。私は約5年前に右乳房切断術?を受けました。病気は2期から3期と聞いたように思います。抗がん剤治療CMFを6クール、ノルバデックスを2年間服用しました。この抗がん剤治療中は上腕部が痛み、腕は上がらず、術後のリハビリ不足か五十肩といわれ、それに、術後3ヶ月後から浮腫も出、精神的にもつらい思いをしました。抗がん剤治療が終わると同時に、腕の痛みはなくなりましたが浮腫は残り、現在は健側とは5cmぐらいの差があります。お尋ねしたいのは病理組織検査に書いてあることを教えて下さい。
  @ Invasive ductol cavcinoma とは?
  A Papillotubular carcinoma  とは? 〔スペルが間違っているかも〕
  B A〔-〕 g〔+〕 ew〔-〕〔3mm〕 resectel mavgin〔-〕 とは?
  C Iy2  V2  ER〔-〕 PGR〔-〕 とは?
  D n1 a+b〔+〕7/17 ,n1a〔-〕0/2 , nib〔-〕0/4 , n2〔+〕1/2 とは?
  E comedo carcinoma Acirrhous Carcinoma とは?

  腫瘍の大きさは 2.8×2×1.9
  浸潤癌? 鎖骨リンパ節切除?

病期・リンパ節転移・予後等を教えて下さい。 私、53歳です。お忙しいとは存じますがよろしくお願いします。

順に返答します。
1. 浸潤性乳管がん:乳管の外へ浸潤しているがんという意味です。
2. 乳頭腺管がん:1.の中の分類です。
3. Aは?ですが、g(+)はがんが乳腺組織の中に留まっていたということです。次は、切除したものの断端(隅っこ)にがんはなかったということです(3mmの距離あり)。
4. ly2:リンパ管の中にがんが中等度あり、v2:静脈の中にがんが中等度あり、ER(-):エストロゲンレセプター陰性、PgR(-):プロゲステロンレセプター陰性。
5. 腋の下のリンパ節転移が1群リンパ節に7個あり(外側が1a、内側が1b)、2群リンパ節(鎖骨の下の方)に1個あり。
6. comedo:乳管の中にがんが詰まっていて、真ん中が壊死しているタイプ、scirrhous:1.の中の分類で、硬がんという意味です。

病期はUまたはVになります(所見によって異なります)。予後は病期によって異なりますが、リンパ節転移の数からは5年生存率が約50-60%です。(文責 加藤)

 

No.957】 02年05月30日 S.K.
男の乳がんについて

36歳の男性です。副乳癌かアポクリンセン癌ということで、手術を受けました。リンパ節転移は3個です。レセプターは陽性です。治療は、化学療法 CAと、レセプターを閉じる薬を飲んでいます。いろいろ調べて、イメージ療法、免疫療法なども他の施設で行っています。化学療法を途中(今、2回)でやめることを考えています。化学療法を2回で終わるのと、3回で終わるのと、4回するのでは、どのように10年後の生存率が違ってくるのでしょうか?また、その後、錠剤で2年間抗がん剤を服用してもらうことを提案されていますが、効くかどうかは、データーがないということですが、しなくてもいいでしょうか?

化学療法(AC)を2回、3回で止めた場合の生存率の差は、残念ながらデータがありません(理論的には多少の低下が考えられますが)。抗がん剤点滴後の内服治療は、おっしゃるように有用かどうかはわかっていません。よって、服用しない方を選択されてもよいと思います。抗がん剤の副作用が強い場合、他の種類に変更することも可能ですので担当医に相談されるのも一つの方法かもしれません。(文責 加藤)

 

No.956】 02年05月30日 M.K.
授乳中の乳癌検診について

はじめまして、27歳、既婚、子供2人の主婦です。二人目を妊娠中に右脇の下に100円玉大のしこりを感じ、妊娠7ヶ月の時に外科で診察して頂きました。触診では「副乳かも?」と言われ、エコーで見て頂きましたが、「エコーでは乳腺とは違うような・・・」ということで原因ははっきりとはわからず、「心配なら産後に細胞を取って検査」とのことでした。産後おっぱいが張るのと同じに硬くなったり柔らかくなったりするので、一人目の時にはできませんでしたが、やはり副乳なのでしょうか? 今度主人の会社の主婦健診を受ける予定ですが、授乳中(下の子5ヶ月)でも乳癌の検診は受けられますでしょうか? 最近首のリンパ線に小さい弾力があるしこりが何個かできて、肩と首全体が張ってるような感じがありますが、考えられる病気はありますでしょうか?(昨年も同じように首のリンパ線にシコリができ、病院でルリッド錠150rを処方されました)
実父を肺癌で亡くしていること、子宮の病気で手術している身内が多いこともあり、癌に対して不安があります。 お忙しいところ、お手数をお掛け致しまして誠に申し訳ございません。どうぞよろしくお願い致します。

お話の内容からは、乳腺(副乳)の可能性もあると思います。授乳中でも検診は受けられますが、御心配なら直接病院(乳腺外科、外科)にいかれてはいかがでしょうか? 首のリンパ節は、特に病気ではなくても触れることはよくあります。肩や首の張りも病的なものではないことがほとんどですので、御心配ないでしょう。(文責 加藤)
 

No.955】 02年05月30日 M.O.
治療法について

私の母についての相談です。よろしくお願いします。98年に乳がんと診断され、右乳房を手術し00年に右鎖骨に再発、01年12月に第四腰椎に転移がみつかり放射線治療を受けました。その後、肺、肝臓への転移もわかりました。HER2陽性だったため、現在ハーセプチンとタキソールの治療を毎週受けています。アレディアも2週に1度受けています。腰椎からくる痛みは経口モルヒネ剤を使用しています。今回のご相談ですが、先日のMRIの結果で第4腰椎は真っ黒のまま、そのまわりにも3、4箇所ほど転移がありました。以前受けた放射線治療は効果がなかったのでしょうか? この骨への転移の治療法をお伺いしたところ、先生は「気をつけて安静にしてくさだい」とおっしゃいました。もう放射線治療を含め、治療法はないのでしょうか。母は最近足の痛みの度合いが増してきたと言っています。

放射線治療は、再度同じ場所には原則的に行いません(副作用のため)。MRIで真っ黒のままとのことですが、治療効果が写真に現れないこともありますので、それだけで効果がなかったとはいえないと思います。現在考えられる治療は、お話の内容からはすべて受けていらっしゃると思います。可能性は低いですが骨折による麻痺が出現したら、その段階で手術も選択肢の一つになるでしょう。(文責 加藤)

 

No.954】 02年05月29日 Y.K.
卵巣機能について

現在47才。42才の時、子宮腺筋症の為、子宮全摘、両卵巣あり。昨年8月末、左胸筋温存乳房切除術を受けました。病理の結果、しこりは術前2.5センチ、乳頭腺管癌(ほとんどが乳管内、ほんのわずかに浸潤)、リンパ節 21個中2個転移、ER+ PgR+。11月よりリュープリンの注射(ホルモン陽性の為、化学療法と同等の効果との事)と、2月よりタスオミンD錠も飲んでいます。リュープリンを2年ないしは、3年続けた後、私の年齢でそのまま閉経する確率はどのぐらいでしょうか? 術前迄、非浸潤癌と見られていたのに、リンパ転移があったため、注射終了後、卵巣機能が戻り、癌が活発になるのではと心配です。毎月の注射代も負担ですし、安心の為にも、卵巣切除を考え主治医に相談したら、放射腺の方がもっと簡単で、負担が少ないと進められました。たとえ内視鏡下の手術でも、お腹に穴があいたり、腸閉塞の危険もあると言われました。放射線、手術、それぞれのメリット、デメリット、どのような副作用があるのか、それともこのままリュープリンを続けるべきか、教えていただけますでしょうか。とても迷っています。放射線で卵巣機能をだめにしても卵巣が残ると、卵巣がん、またタモキシフェンにより、卵巣が腫れるなどの可能性も残るでしょうか?

Y.K.さんの御年齢では、そのまま閉経となる確率のほうが高いように思います。リュープリンは何年続けたらよいかということは現在の臨床試験の結果が出るまでわかりません。理論的には閉経状態が続いた方が良いような気がしますが、月経が戻ったらどれ位リスクが高くなるかということも不明です。放射線は現在では例外的治療で、ほとんど行われておりませんし、手術もおっしゃるようなリスクが少ないですが存在します。リュープリンを続けるのが良いかと思いますが・・・。御心配されている卵巣がんや、卵巣が腫れるといった可能性は低いでしょう。(文責 加藤)

 

No.953】 02年05月29日 t
最新治療法について

60歳女性です。3年半前、左胸上部に約2センチの悪性腫瘍があり、腫瘍とリンパ節を切除。その1ヶ月後、極初期の胃がんを発見、切除。乳癌のほうはリンパ節に1個だけのがん細胞が認められたため、放射線治療をしました。以後、抗がん剤を飲みましたが、肝炎があったため、抗がん剤治療をひかえ、民間治療法(アガリクスなど)で様子をみてきました。レントゲン、エコーをとったところ右胸下部にわずかな腫瘍が発見されたため、細胞を取って検査中。極初期の癌の可能性があります。ごく小さくても手術するのでしょうか?細胞をとるときのような簡単な方法でがん細胞は取り除けないのですか?(リンパにも癌細胞が認められないときの場合ですが・・・)。最新の治療法を教えてください。大きさ約1cm未満です。よろしくお願いいたします。

小さいしこりが乳がんと診断されれば、手術させていただくことになると思います。良性腫瘍では少し太めの針をさして吸引するような形で切除することもまれにありますが、がんでは行いません。手術といってもしこりを取るだけなら、局所麻酔でも可能です(これに関してはすみませんが特に最新の治療法はありません)。(文責 加藤)

 

No.952】 02年05月29日 kogai
乳頭からの分泌物について

24歳で、小さい頃からアトピー性皮膚炎です。先日病院に行きましたら、パジェット病の疑いがあるかもしれないと診断されました。そして、外科のほうに紹介をしていただいて、今度、診断をすることになっています。診察の前に少しでも自分の胸について知っていたいので、よろしくお願いいたします。両胸の乳頭から分泌物が出始めたのは7ヶ月前くらいからだったと思います。最初の頃は、アトピーからくる汗疹のようなもので痒さから出来たカサブタを剥いたこともありました。そういう経過から、今までずっと治らず、リンパ液のような色の液が増えるようになりました。ブラジャーに乳頭からでる分泌物がついてしまい、ブラジャーを外すときなどに剥けて血が出てしまいます。生理前によらず、胸が張ったように痛く感じがすることがあります。またしこりのようなものはないと思われます。家族、親戚等、乳がんは今のところおりません。以上、よろしくお願いいたします。

貴女の御年齢、お話の内容からすると乳がんである可能性は低いと思います。確かにPaget病という乳頭のびらんをきたす乳がんもありますが・・・。あまり御心配なさらずに、検査を受けてください。(文責 加藤)

 

No.951】 02年05月29日 M.T.
痛みについて

現在48歳です。3月1日に右乳房およびリンパを全摘出しました。術後3ヶ月になりますが、いまだ脇の下と二の腕に強い痛みがあります。外科医には自律神経失調症と診断されましたが、特別お薬はいただいていません。この痛みはいつまで続くのでしょうか?腕もほとんど動きません。悩んでいます。アドバイスをお願いします。

術後の痛みは何ヶ月か続くことがあります。今よりも少しずつよくなっていくと思いますので、御辛抱下さい。痛みが強いときは痛み止めの薬を飲んで頂いてもよいと思います。腕がほとんど動かないとのことですが、痛いかもしれませんが、リハビリを少しずつ頑張ってください(今の時期が大切だと思いますので)。(文責 加藤)

 

No.950】 02年05月27日 Y.T.
ホルモン療法中の症状について

昨年6月に乳がんの手術をし、9月よりゾラデックスの注射をうけています。すぐに生理は止まったのですが、ここ3日ほど少量の出血があります。ゾラデックスを投与している間は生理が止まると聞いていたので、婦人科の他の病気の症状なのかどうか心配です。すぐに病院で診ていただいたほうが良いのでしょうか。受診するのであれば婦人科の方が良いのでしょうか。  

ゾラデックス投与中に少量の出血がみられることは時々あります。御心配ないと思いますが、持続したり、度々あるようなら担当医に御相談下さい。その上必要であれば婦人科を受診ということにされてみてはいかがでしょうか?(文責 加藤)

 

No.949】 02年05月27日 Y.I.
温存療法及びリンパ節郭清について

現在診断で、「U期、左乳房3cm位のしこり、腋に5o程のしこりがある」と、医師より言われています。5月初め、朝日新聞に究極の乳房温存療法がのっていましたが、これでは、しこり3cm以上、70歳未満の場合に化学療法を使用するとなっていました。まだ試験段階と思われますが、一般の病院でも術前化学療法として、採用していただけるのでしょうか。またその療法が適した場合、転移しているものも消えるのでしょうか。次に、早期の場合にリンパ節郭清をしてもしなくても、生存に大きな差異はなかったとの新聞報道もありましたが、その条件はどんなものなのでしょうか。リンパ節をとる場合、レベルT、U、Vとありますが、私のような場合は、Vになってしまうのでしょうか。レベルによって浮腫出現の割合は違ってくるのでしょうか。できることならリンパ節郭清はしたくないのですが・・・。郭清の最小限化のために行うセンチネルリンパ生検の実施している病院は多いのですか。神奈川地区ではありますか。以上、よろしくお願いいたします。   

順に返答します。
・ 術前化学療法は、施行している病院と、そうでない病院があります。施行していない病院で採用可能かどうかは担当医に御確認下さい。化学療法が奏効した場合、転移部位も縮小または消失することが考えられます。
・ 臨床的にリンパ節が腫大していない方を対象としたくじ引き試験では、リンパ節の郭清は生存率の向上をもたらしませんでした。よって、その条件を受け入れれば、腋窩リンパ節の腫れていない方ということになるでしょう。
・ リンパ節郭清のレベルは、病院(手術執刀医)によって変わってきます(御心配なら執刀医に確認された方がよいでしょう)。T、U、Vと郭清が進むにつれ浮腫発現の割合は高くなってきます。Y.I.さんの5mm大のしこりは腫大とはいえないように思えますが、レベルVの郭清が必要であるとは限りません。
・ リンパ節郭清は患者さんの希望により行わないことも可能です。希望されないと郭清されてしまうことになりかねませんので、しっかりと担当医に自分の希望をお申し出下さい。センチネルリンパ節生検は、まだ実施している病院は少ないと思います。私の知る範囲では、横浜南共済病院、神奈川県立がんセンターが挙げられます(他にもあると思いますが・・・)。(文責 加藤)

 

No.948】 02年05月26日 M
乳癌について

29歳、既婚、子供なし。先日、多発性乳管内乳頭腫と診断され、一部摘出にて乳癌も併存。右乳腺全摘、乳頭温存術をうけます。癌は乳管を破っていなく、長さは2cmくらいとのことですが、他の多発している腫瘍は手術してみなければわからないとのことで、リンパも少しとります。若いと再発の可能性が高いと聞いたのですが、予後は悪いのでしょうか? また、腫瘍一部摘出より1ヵ月が経過していますが、進行して悪くなっているのではないかと不安です。お忙しい中、申し訳ありませんが、教えてください。

乳がんは乳管の中にとどまっていれば(非浸潤がん)、病巣部の適切な切除によりほぼ100%治癒します。これは年齢には関係ありません。腫瘍一部摘出より1ヶ月が経過しているとのことですが、この間に進行して悪くなっているということはないと思います。(文責 加藤)

 

No.947】 02年05月26日 Tamu
骨転移の結果

今日整形外科に行き胸のレントゲンをとり、結果は今ははっきり言えないけど乳がんはゆっくりしたガンなので転移と思っておいてとの事。経過を見て三ヵ月後又胸のレントゲンの予約をとってきました。外科の先生に手紙で結果を送ってくれる様ですが、後の治療法は外科に行って主治医と相談した方がいいのでしょうか?やっぱり骨の事は整形なので心配ならセカンドオピニオンで診てもらう方がいいでしょうか?

治療法に関しては、今までの経過等を知っている外科の主治医に相談された方が良いと思います。たとえ転移であっても、あせって治療を始める必要はないと思いますが、不安な点があれば主治医に相談し、それでも納得のいかないところがあれば他の医師に意見を聴かれてはいかがでしょう? 乳がんの骨への転移は、整形外科や放射線科医も協力して治療にあたっておりますが、外科医が診療していることがほとんどであると思います。(文責 加藤)

 

No.946】 02年05月26日 M.I.
ホルモン療法について

47歳。去年9月に右胸全摘手術(12mmと10mmの浸潤硬ガン、リンパ節転移1個)、その後CMF療法による抗がん剤投与6クルーが今年4月に終了、4月からアリミデックスによる療法を受けています。去年の12月から生理がないこと、私がノルバデックスの子宮癌の発症率の助長を気にしていること、エストロゲンレセプター(−)、プロゲスタロンレセプター(+)であること等からアリミデックスを勧められたのですが、生理が復活したらノルバデックスにした方が良いのでしょうか。主治医は、生理になったらホルモンの量をはかって決めようと言っています。ピルブックにアリミデックスは閉経後の薬で閉経前の人は飲まない方が良いという一文を見つけて気になっています。私のケースの場合、betterなホルモン剤はやはりアリミデックスでしょうか。主治医は飲まないという選択肢もあるといいますが、それもまた不安なのです。

CMFによる閉経率は70-80%あり、M.I.さんは抗がん剤により閉経になっている可能性があると思います。CMFによる閉経は非可逆性であり、もとには戻りません。よって再び月経が到来する可能性は低いと思います。アリミデックスの適応は閉経後となっていますので、閉経前であればノルバデックスということになります。アリミデックスのほうが良いかとのご質問ですが、最近ノルバデックスとアリミデックスの術後補助療法としてのくじ引き試験の結果が出されました。平均観察期間は2.5年とまだ短いのですが、再発率はアリミデックスの方が少ないという結果でした。だからといって皆さんがアリミデックスにするというのはまだ時期早尚であるという意見もあります。観察期間がまだ長期ではないことや、長期的な副作用が不明であるということからでしょう。患者さんによって副作用等を考慮して選択する必要がありますので、担当医と相談されることをお勧めします。飲まないという選択肢も確かにありますが、再発率が多少変わるということを承諾された上ならそれでもよいと思います(ちなみに、ER(-), PgR(+)だからアリミデックスのほうがよいというデータはありません)。(文責 加藤)

 

No.945】 02年05月26日 Y
フルツロンカプセルについて

去年乳がんが見つかって温存手術し、リンパに転移していたので2クール抗がん剤治療し、その後、フルツロンカプセルを飲むようになったのですが、飲み始めて半年くらいで、朝起きたとき手の指がこわばるようになり、リュウマチかと思い病院を受診したのですが、血液検査では異常は見つからず、今春にはひざの関節痛が始まり全く治りません。今春からのどが痛んだり、口内炎になったり、次々と体調が悪くなるのですが、薬の副作用ではと心配になリました。このまま飲みつづけても大丈夫でしょうか?

フルツロンの副作用でこわばり、関節痛は頻度的には稀だと思いますが、のどの痛みや、口内炎は関係あるかもしれません。Yさんの御年齢にもよりますが、こわばりや関節痛はもしかしたら他の原因からかもしれません。抗がん剤点滴治療の後の内服治療は有用かどうかわかっていないのが現状ですので、担当医と相談されて休薬するのも一つの選択であると思います。(文責 加藤)

 

No.944】 02年05月24日 K.I.
遠隔転移治療について

遠隔転移治療にについて先生のご意見をお聞かせください。
最初の乳癌は、47歳に右側に発見、99年4月に摘出手術、同時に再建手術(背中より)、リンパ節に2個発見。その後、99年8月大胸筋と小胸筋の間にしこりがあり切除。今回は、3月に定期検査をした時には、腫瘍マーカーやその他検査では異常は見つかりませんでした。産婦人科も異常なしです。ただ、鎖骨の場所の触診はしていません。その後、5月、鎖骨上リンパ節に腫瘍を見つけ切除。生検結果はまだ出ていませんが、今後の治療方法を決めるにあたり、お聞きしたいと思います。先生は、身体にあえば、アメリカの副作用の少ない新薬の抗癌剤か、通常の抗癌療法をすると言っておりますが、私として分からないことがあります。なぜ腫瘍マーカーやその他検査では異常は見つからなかったのかの疑問。リンパ節を取ってマーカーなどに異常が出ないのに治るまで治療すると言われますが、どこで治ったかを判断するのでしょうか? 予防の為に治療するのは分かりますが、抗癌剤のダメージが心配です。予防治療でしたら当面検査を頻繁に受け、検査結果にすこしでも異常が出た時点で抗癌治療を検討開始したらと思いますがどうなんでしょうか。先生のご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。

再発しても腫瘍マーカーに異常がないことはよくあります。検査においても、再発した所がある程度の大きさになるまでわかりませんので、鎖骨上のリンパ節は3月の検査では写っていなかったのでしょう。検査、マーカーに異常がないとのことですから、抗がん剤はあくまでも目に見えない(検査に出てこない)相手を想定したものとなります。よって治ったかどうかは時間の流れから以外は残念ながら判断できません。ただ、抗がん剤の相手が目に見えるような大きさになってしまうと(検査で異常が出た時点)、完全に治すことが難しくなってしまうことがあります。よって抗がん剤を使うなら、相手が小さいうちにという考えで、担当医は話をしたのだと思います。しかし、K.Iさんの考え方も長い目で見れば決して間違ったものではないのかもしれません。抗がん剤の副作用は個人個人で異なり、その予想はできないため実際に使用してみないとわからない欠点がありますが、使用してみて副作用が強いようであれば他の種類のものに変更することも可能です。最近使われだした抗がん剤は、吐き気等の副作用が軽度なものもあります。担当医とよく相談なさって、納得のいく治療を受けてください。(文責 加藤)

 

No.943-1】 02年05月24日 K.Y.
のうほうについて

初めて、メールします。宜しくお願いします。先月、右の胸にしこりがみつかり、検査を受けました。レントゲン、エコ-の検査結果、のうほうだということがわかりました。大きさは、1.2センチだそうです。のうほう内の水をぬき、今日その結果を聞きに行きました。5段階の4という結果で、のうほうの周囲1センチの幅で3センチほど切ることをすすめられました。それを検査して、悪ければ同じ場所をもう一度大きく切り、リンパ腺まで検査をしないといけないと言われました。すぐに切らないといけないのでしょうか。のうほうと言われた時は、癌ではないといわれ安心していたのですが・・・。

細胞の検査で4という結果なら、摘出生検されたほうがよいでしょう。すぐに切る必要はないでしょうが、しっかりと調べておいた方がよいのではないかと思います。たとえがんであっても、まだ他へ転移しない初期のもの(非浸潤がん)のことが多いですから・・・。(文責 加藤)

 

No.943-2】 02年05月29日 K.Y.
のうほうの検査について

先日は有難うございました。検査のための手術を受ける事にしました。本当は病院でもっといろいろ聞きたかったのですが、手術という言葉に動揺して確認しておきたい事の半分も聞けませんでした。手術は日帰りでします。3センチぐらい切るそうですが、胸の一部をえぐられるような感じなのでしょうか。胸の形にも変化がでるのでしょうか。たとえば、くぼみがでたりとか・・・。私の場合は、週末に手術するのですが、次の週は普通に仕事をしても大丈夫とのことでした。パソコンの入力の仕事をしていますが、大丈夫でしようか。教えてください。宜しくお願いします。

しこりの大きさから予想すると、あまり胸の形は変化しないでしょう。取ったところの周りの組織を寄せますので、くぼみも少ないのではないかと思います。次の週のパソコンのお仕事は普通にして頂いても大丈夫でしょう。(文責 加藤)

 

No.943-3】 02年06月02日 K.Y.
のうほうの検査をおえて

昨日、のうほうの検査のための手術をしました。手術中の、先生方の会話から、見つけるのに苦労されてる雰囲気がわかりました。のうほうがまだ小さかったことと、水をとりだした後ということが関係しているような感じをうけました。2時間半くらいの手術でしたが、素人のわたしが想像していた場所とはちがう場所にガーゼがあり、かなり精神的に落ち込んでしまいました。検査とはいえ、やはり辛いですね。生検を受ける時期が、はやすぎるというような事もあるのでしようか。

疑問点1. レントゲン、エコーで"のうほう"と診断されたにもかかわらず、細胞検査がclass 4だったこと。レントゲン、エコーで少しでも癌を疑う所見があったのでしょうか?
疑問点2. 細胞の検査がclass 4であれば、生検する適応ですが、水を抜いて触らなくなった"のうほう”をどうやって取るのでしょうか?触って分からないものを取ることはできないと思います。どうしても癌が心配ならば、エコーかレントゲンでそのあやしい場所がわかるように印を付けて手術すると思うのですが?
疑問点3. 局所麻酔の手術で2時間半はちょっと常識の範囲を超えているような気がします。お話を聞いていると、あなたも主治医の先生もclass4という数字に惑わされたように思います。確かに細胞診の結果は正診率が高いのですが、他の検査所見と総合的に判断する必要があると思います。通常class4は生検の適応ですが、今回のcaseに限って言わせて頂ければ確かにあなたのおっしゃるとおり、生検を受ける時期が早すぎた様に思います。(文責 清水)

 

No.942】 02年05月24日 Y.I.
乳頭のかゆみについて

一ヶ月ほど前から乳頭部にかゆみがあり、思い切って外科で診察してもらいました。マンモグラフィーでの所見は異常なしということです。触診でもしこり等もなく、皮膚の異常もない事からとりあえず、かゆみ止めの塗り薬を(オイラックスS)出してもらっただけです。塗り薬の効果はあまりありません。一応、三ヶ月後にもう一度来て下さいと言われましたが、このままで大丈夫でしょうか。六年程前にのう胞ができ、生検してもらったところ、classVと言われましたが、その後異常はありませんでした。かゆみの原因として何が考えられるでしょうか。姉が乳癌を患っているので、気に掛かります。

かゆみは、特に原因がなく起こることがほとんどです。乳がんの兆候として現れることはまずありませんので、ご安心ください。3ヵ月後の受診でよいと思います。(文責 加藤)

 

No.941】 02年05月24日 T.S.
遠隔転移について

HPを見てメールしました 私は23歳で乳癌になり手術しました。その2年後に局部に再発したものの放射線治療しただけで、その後5年間はなにごともなく過ごしてきました。最初の手術時はしこりも卵くらいに大きくリンパにも3個の転移がありましたが、その頃は抗癌剤の治療はリンパ転移4個以上でなければやらなくてよいとのことで 経口抗癌剤とその頃の新薬ゾラティクスを2年間打ちました。現在は肺、肝臓への転移がみつかり、CMF3クールの後 タキソテールで治療中です。HPやその他のサイトで見る限り遠隔転移の予後は非常に悪いように感じます。5年生存率7% 平均生存期間1〜2年などを見ると、何の為に治療をするのかがわからなくなります。現在は肝臓の痛みもあり悪くなりつつあるのかと不安です。癌治療も色々あり、どれが一番の最善の治療なのでしょう・・・焦るばかりで答えが見つからないのです。

転移がみつかった患者さんへの治療は、抗がん剤、ホルモン剤、放射線の他にハーセプチンやビスフォスフォネートなどがあります。どの治療も個々の患者さんに合う合わないがありますので、それを見つけていくことが大切であると思います。おっしゃるように色々な治療法がありますので、この中から担当医と相談された上で焦らずに決めていかれてはいかがでしょうか?Tさんにもきっと合う治療法があると思います。しかし、たとえ効果があっても副作用で辛い生活を送られるのであれば、もう一度その治療は考え直す必要があります。その場合は遠慮なさらずに担当医に御相談して下さい。治療を受けられることはもちろん大切なことかもしれませんが、副作用等がある場合は治療を休むことも一つの立派な決断であるように思います。(文責 加藤)
 

 

No.940】 02年05月24日 may
骨転移、骨シンチ検査について

はじめまして。よろしくお願いします。43歳女性です。1998年に8cm大のがんで、右乳房を全摘しました。転移は認められませんでした。抗がん剤療法の後、タモキシフェンを服用していましたが、昨年3月、咳をした時などに肋骨に軽い痛みを覚え、術後、初めて骨シンチ検査を受けたところ、左肋骨1本に異常が認められ、MRI検査で転移と診断されました。その後、フルツロン、フェアストンを服用し、1年余り経ち骨シンチ検査を受けたところ、前回異常部位が消えていました。主治医の診断では、骨シンチ検査の場合、「まさに骨が溶け出してるような状態」でなければ、反応に出ないので、患部が落ち着いた状態と言えるということでしたが、こういうこともあるのでしょうか?この状態が続くと薬の服用を中止する時を決めるのが難しいと言われましたが、薬は当分は続けたほうがよいのでしょうか?また、3ヶ月に1回、胸部レントゲン、腫瘍マーカーの検査を受けていますが、骨シンチなどの検査はいつ受けたらよいのでしょうか?現在、痛みなどはありません。

骨シンチの影が消えたということは治療によって治癒したか、あるいはもともと転移ではなく、外傷などの影響であった可能性もあります。肋骨単独転移もあり得ますが、骨シンチの肋骨の異常は実際には転移ではないことの方が多いからです。組織検査を行ってない以上(通常は行いません)、明確な診断をつけることは難しいでしょう。薬を続けるかどうかは難しいところですが、中止するのも一つの方法ではないかと思います。骨シンチの検査は、痛みの出現がなければ私でしたら6ヵ月後に行います。(文責 加藤)

 

No.939】 02年05月24日 Y.F.
分泌物

はじめまして。私は29歳独身の女性です。1年以上前から乳首からの血性分泌物があり、病院で検査してもらいました。分泌物の細胞診は異常なし、乳首から針をさした乳管内の細胞の結果はV、しこりに針をさした細胞診の結果はUでした。おそらく乳管内乳頭腫だろうということで定期的に検査をすることになりました。乳管内乳頭腫と乳がんの診断は難しいと聞いていますので不安でしかたありません。別の病院でも診てもらうことは無駄でしょうか? 独身なのでできれば手術はしたくありません。分泌物はこのまま放っておいても大丈夫なのでしょうか? 乳管内乳頭腫の場合、このまま放っておくと分泌物は出続けるのでしょうか? よろしくお願いします。

細胞診の検査結果より、あまり御心配は要らないと思います。ただ、不安を取り除くといった意味では、別の病院を受診されることも無駄ではないと思います。乳管内乳頭腫の分泌はそのままにしておいても大丈夫ですが、しばらく続くことが多いです。また、他の検査法として乳管造影(乳頭から造影剤を注入し、写真をとる)があります(必ずしも必要ではありませんが)。(文責 加藤)
 

 

No.938-1】 02年05月24日 Y.O.
乳がん手術後の局所再発

お忙しい先生方のていねいな回答に頭が下がります。術後3年、再発の可能性を自覚して目の前が真っ暗になりました。早速病院に行くつもりですが、心の準備をしておきたく、またこれまでの治療法も含めて質問させていただきますのでよろしくお願いいたします。
現在44歳(娘9歳・研究職)です。98年11月に右乳房にしこりを感じて市立病院を受診。マンモグラフィー・細胞診・超音波でも5分5分といわれて99年1月術中診に。その結果、悪性とのことで1/4を切除。術後の組織検査で断端陽性、腫瘍は4箇所(1Cm以下)。リンパ節転移はなし。ホルモン感受性は+。術後は放射線を25回照射(50gy)。薬はタモキシフェンとUFTの経口投与。タモキシフェンは3年で中止。現在はUFTのみ。検査は1〜3ヶ月ごとに通院し、骨シンチRI(1回/年)、CT(胸、腹1回/6ヶ月)、超音波(胸、腹1回/6ヶ月)、腫瘍マーカー(1回/3ヶ月)とおこなってきて放射線科でも(1回/4ヶ月)に検診。これまで異常無し。5/16に外科・放射線科で診察も受けた2日後に自分で右胸にしこりを発見。手術跡の近くで乳頭そばに小豆大の硬いしこり。2日前には二人の医師、自分でもわからなかったものが急にはっきりする。超音波検査も2月には異常なしだった。局所再発を覚悟して受診予定。

質問1:これまでの治療方針
・多発腫瘍で断端陽性にもかかわらず、放射線のみ(追加照射無し)、化学療法を行わず、ホルモン治療もLH−RHアゴニストではなくタモキシフェンを服用、3年で中止という術後の処置は標準的か?
・タモキシフェンをやめてホルモン状態がもとにもどったことが実感(月経周期が40日になっていたのがもとの30日に戻り、量も少なかったのが普通になり、月経前の胸のはれがもどった)される。医師は子宮ガンの恐れがあるので3年でやめるとのことであったが標準的か?自分なりに医師には質問してきたが福田先生の「乳がん全書」を読み疑問に思った。3年前の手術時にも福田先生の本を読んで参考になった。
・市立病院には5名の医師がいるが、毎年異動があり、私はすでに5人目。こういう状況は普通なのか?私立病院でも同じか?

質問2:今後の治療方針
・全摘出手術しかないのか?この3年、温存できて普通に生活が送れて幸せだっただけに全摘はつらい。
・自分自身研究職であり、がんの根治はなく、長く生きれば出てくるものということは認識している。私は両親ともがんで(父:直腸ガン、母:卵巣ガン)あるが、術後5年、20年と健康にすごしており、がんと戦いつつ平均よりは短い自分の寿命を全うしたい。娘が成人するまであと10年、仕事もピークをすぎるまであと10年、何とか生き延びたい。30年とはいわないが10年いきられる治療法とは何でしょうか?

このサイトの先生のお考えを聞かせていただきたいです。お忙しいところ恐縮ですがなにとぞよろしくお願い申し上げます。

御質問1:
・多発腫瘍、断端陽性の場合の治療方針は乳房切除を改めて行うか、放射線をかけるかといったところになると思いますが、 担当医によって意見が異なるでしょう。追加照射に関してはその当時意義が不明瞭なところがありましたので、必ずしも行わなければならないといったものではありません(現在では局所再発を少しですが低下させるということがわかっています)。乳房内再発そのものは予後(その後の運命)に影響しないとする考えがあるからです(反論もあります)。化学療法は、UFTの投与ということで行っていると思われますが、リンパ節転移のない方で閉経前、ホルモン感受性ありの場合の補助療法は多岐にわたります(低リスク群:タモキシフェンまたは無治療、高リスク群:GnRHアナログ+タモキシフェン、化学療法+タモキシフェン、GnRHアナログ+タモキシフェン+化学療法、またはタモキシフェン、GnRHアナログの単独)。98年の時点では中リスク群もありましたが、いずれにせよ担当医によって治療の考え方などで異なるものです。おっしゃる内容の補助療法は標準的かといわれると返答は難しいですが、決して基準を外れたものではないでしょう。
・タモキシフェンは現在では5年投与が推奨されていますが、これは絶対的なものではなく、おっしゃるように子宮体がんなどの副作用などのこともあり、実際の臨床の場では2-3年で中止することも多いのが現状です。
・医師はある年齢が来るまで、様々な病院を1-2年位の周期で回る(ローテイト)ことが多いのが現状です。これは一部の病院を除き、どの病院でも共通のことです。患者さんの立場からすると担当医が変わるという大変迷惑な話なのですが・・・。ただ、近くの病院へ転勤というケースも多く、患者さんによっては医師の転勤と共に病院を変えていらっしゃる方もおります。もし今の担当医が転勤の際は、相談されてみてはいかがでしょうか?

御質問2:
・乳房内再発の治療は、全摘または部分切除となります。全摘することが多いのが現状ですが、部分切除も選択可能だと思います。全摘と部分切除で、その後の経過にあまり差がないとする報告もあります。
・乳房内再発は単独で起こる場合と、全身転移の一つの症状として起こる場合があります。再発部位の切除を行い、果たしてその後に化学療法などの全身治療を行った方がよいのかどうかということははっきりしておりません。ただそのメリットが否定できない現在、全身治療が生存率に寄与する可能性もあります。全身治療を追加するのかどうか、担当医と相談されてみてはいかがでしょうか?いずれにせよ、まず乳房内再発であるという診断をしっかり行うことが先決であると思います。というのは、温存手術後の部位に再発ではない、手術の影響と思われるしこりができることが多々あるからです。また乳房内再発は単独で起こった場合、治癒可能なことが多いということを最後に述べておきます。(文責 加藤)

 

No.938-2】 02年06月11日 Y.O.
手術跡の乳腺症

いつもごていねいな回答ありがとうございます。何回かの通院で検査の後、本日「しこりは乳腺症」との診断を受 けほっといたしました。手術跡に硬いしこりがあって、再発に違いないとショックを受けてすぐに病院に行き、触診・マンモグラフィー・超音波の検査を受けました(この間受診は3回)。触診では「手術跡の傷かもしれない」という所見。マンモグラフィーでは乳腺症の所見。超音波ではしこりのところに何も映像がうつらず、腫瘍ではないとの判断でした。私も超音波ではじっと目をこらしていましたが、確かに何も写らず、しこりがあるのに見えないのは診ている深度の違いとの説明でした。初発の時も触診(可動性)、マンモグラフィー(所見無し)、超音波(腫瘍はあるが良性のようにも見える)、細胞診(クラス3)でも確定できず、術中診で悪性、しかも断端陽性だったのでショックでした。この経緯から考えるとこんなに簡単に乳腺症と診断してよいものか?(質問1)ということが心配でもありますが、今はとにかく安心しているところです。それにしても手術跡にこんなしこりを抱えたままでは気にならなくはないのですが、今後はどのように経過観察していけばよろしいでしょうか?(質問2)
たびたび申し訳ありませんが、この2点につきご意見をおうかがいしたくよろしくお願い申し上げます。

触診、マンモグラフィー、超音波で乳腺症と診断されれば、九割がた間違いないと思います。また、乳房温存療法後で放射線治療をした後はよく乳腺を切除した傷の跡に固いしこりができて我々医師を悩ませるのです。それでは上記の3つの検査で様子を見ていいかと聞かれると、個人的な意見としては、私は乳癌手術後の乳房内のしこりにはかなり神経質で、大丈夫と思っても更に念を入れて細胞診くらいはするようにしています。更にY.O.さんの初発時の経緯を伺うと最低でも細胞診、できれば組織診まで行わないとY.O.さんの納得は得られないのではないかと思います。納得できるまで主治医の先生と話して下さい。手術をしなければ、今まで通り定期的な触診とマンモグラフィーと、超音波検査でfollowすることになると思います。(文責 清水)

 

No.937】 02年05月23日 てつこ
反対側の転移について

33歳、4歳の子供がおります。昨年の4月に非浸潤性乳管ガンで右乳房を非定型切除+リンパ切除しました。術後の治療はしませんでした。1年後の検査(マンモ、エコー、X線、骨シンチ)も異常はありません。最近、気にかかるのが、左側の乳首がよく痒くなることです。つまむと、透明な中に白いものが混じった分泌物がでます。実は、右の時はしこりがあり受診したのですが、マンモ、エコーを含むすべての検査に異常が見つからず、最終的にしこりを試験切除してガンが見つかったのです。この時に、反対側に同じタイプのガンが出来た場合、検査では判らないと言われました。また、しこりを見つける以前から右乳首もよく痒くなって、つまむと分泌物がでていました。しかし、これは乳癌の症状とは思わず、医師には伝えませんでした。左乳房の分泌物の検査で転移かどうか調べることが出来るでしょうか? また、マンモに写らないガンがあるのでしょうか? 診断士の技術不足では? マンモに写らないガンはしこりができるまで、発見は出来ないのでしょうか? 

1. 左の分泌物の検査は可能ですが、お話の内容からはがんではないように思います。たとえ万が一、左にがんが見つかったとしても、それは右の側からの転移ではなく、別にできたものでしょう。
2. マンモグラフィーに写らないがんはあります。診断の技術の差も多少あるかもしれませんが、写らないものもあるのは事実です。
3. マンモグラフィーに写らず、しこりを触れない場合でも、エコー(超音波)や血性分泌で見つかる場合もあります。(文責 加藤)

 

No.936】 02年05月22日 Tamu
骨転移について

今年の3月で4年たちました。その4年目の検診の腫瘍マーカーが高く1ヶ月後の血液検査でも高くて、いろんな検査をしましょうとなり、胃カメラ、腸透視、胸のCT、骨シンチと検査した結果、骨シンチで胸の一部が黒く写っていたので詳しく調べましょうと言われ、整形外科に行くようにとの事。来週の金曜日に行くのですが、どんな検査をするのでしょうか?不安と心配でいっぱいです。よろしくお願いします。

検査の種類としては、X線写真(普通のレントゲン)、MRI(骨の横切り、縦切りの写真)が挙げられます。いずれも痛い検査ではないです(MRIはちょっと音がうるさいですが)。異常がない場合は、少しの期間様子を見ることになるでしょう。(文責 加藤)

 

No.935-1】 02年05月22日 Y.O.
病理検査と予後について

今年4月24日に右乳房温存手術、リンパ節切除を行いましたが、病理検査の結果、右乳房を全摘する事となりました。病理検査の結果は次の通りです。@病期はU期の初期の段階 Aリンパ節転移なし B組織学的悪性度3 C癌摘出部分の末端に癌はなっかたが、同時に採取した乳輪側組織の乳管内に癌細胞が少量見受けられたとの事。BとCが何を意味するのか、予後にどの程度影響するのか教えて頂けないでないでしょうか。お忙しい中、申し訳ありません。再手術を受ける前にどうしても知りたくてメールしました。どうかよろしくお願い致します。

3は分かりやすく申し上げると、がん細胞の顔つきという事です。1はおとなしいタイプ、2はふつう、3は暴れん坊と説明しています。ただ、乳がんは1のタイプは大変少なく、ほとんどが2か3のタイプです。1,2,3の順に他の臓器に転移しやすいということがいえます。4に関しては、おそらく予後には影響しないと思います。追加切除内に少量がん細胞がいたとしても、必ずしも乳房切除しなければならないということもありません。この点(乳房切除を行うか、放射線をかけるか、なにもしないか)に関しては、担当医によって方針が異なるでしょう。再手術に関して担当医と充分相談なさることをお勧めします。また、Y.O.さんはリンパ節転移がなかったとのことですから、再発のリスクは低いと思います。(文責 加藤)

 

No.935-2】 02年05月23日 Y.O.
病理検査と予後について(2)

先月24日に右乳房温存手術及びリンパ節除去手術を行い、病理検査の結果1.病期は2期の初め2.リンパ節転移なし3.組織学的悪性度3 4.乳癌摘出部分の断片に癌は見当たらなかったが少し離れた乳頭付近の乳管内に少しの癌が見受けられた5.ホルモンレセプターの結果はまだ分かりません。以上の結果、今月24に右乳房の全摘手術を受ける予定ですが病理検査結果の3と4をどう解釈してよいのか、予後がかなり厳しいのか、抗癌剤は強いものの適用となるのか教えてください。私は40才女です。よろしくお願いします。

前半に関してはNo.935-1を御参照下さい。予後は厳しいものではないと思います。抗がん剤はホルモンレセプターの結果にもよりますが、使用するとすればCMF, AC(EC)などが候補にあげられると思います。(文責 加藤)
 

 

No.934】 02年05月22日 N.S.
乳腺線維腺腫について

ホームページを拝見して初めてメールさせて頂きました。私は33歳で、先月4月末出産したばかりで授乳中の主婦です。昨年4月の乳がん検診で左右の胸に問題ありとの事だったので、大阪の病院で精密検査(レントゲン、細胞診)を行いました。結果は悪い細胞は見つからなかったが、「右のしこり?が大きい(右胸2.5CM、左胸は小さい)ので半年毎の経過を見ます」と言われました。4ヶ月後の8月に再度検査に行ったのですが特に大きくなってる様子もないので、また経過をみますとの事。8月の検査後、私の妊娠が判明し(検査の時点ではすでに妊娠してました)、札幌へ引越しが決まってしまい、ばたばたしてその後の検査を受けていませんでした。出産が終わった今、改めて札幌で検査を受けようと思ったのですが、色んなことが不安でなりません。下記について教えていただきたくお願い申し上げます。お忙しいところ恐縮ですが何卒お願い申し上げます。

@ 妊娠したら「しこり」は大きくなるものでしょうか?
A 約10ヶ月もほおっておいた間に、かなり大きくなっているものでしょうか?
B 左右とも切除したほうがいいのでしょうか? ・・・大阪の先生はそのままにしておいても良いとはいえないが、今すぐ切除する必要も無いと言われました。そこの病院は癌患者が多く、切除する場合は別の病院で相談して下さい、と言われました。

順に返答させて頂きます。
1. 大きくなることもありますが、変化がないことの方が多いでしょう。
2. 10ヶ月で急に大きくなることはまれだと思います。
3. 線維腺腫は良性腫瘍であり、切除の必要は原則的にはありません。急に大きくなったときや、がんの可能性が否定できないとき以外は経過観察でよいと思います。(文責 加藤)

 

No.933-1】 02年05月22日 kay 
乳首のかさぶたと両わきの下のしこりについて

私は38歳、8歳になる一児の母です。ほんのつい最近の事なのですが、両側の乳首に痒みがあり、掻き毟るほどの痒さではなかったのですが、痒みがあった何日か後、かさぶた(血が固まって乾いた色)が両側の乳首に1つずつでき、シャワーなど浴びるたびそのかさぶたがとれ、再びできてきます。今では2つずつにふえています。服などに乳首があたるあたらないに関係なく、痛みを感じます。乳首からの分泌物はありません。それと同時に両わきの下に一円玉ぐらいの大きさでしょうか?しこりを感じます。熱を持ったり、色が変化したりという事はなく、ただ押すと少し痛いです。右側のしこりは少々違和感を感じます。この事(しこり)に気づいたのが、約1週間ぐらい前で、この乳首の痛みのきっかけでしこりに気づいたというのが本音です。その前まで気がつかなかったのか、私が見落としていたのかよくわからないのですが、6ヶ月ほど前に健康診断とレントゲン検査、乳がんのレントゲン検査もしたと思うのですが、そのときは異常がありませんでした。。年齢が年齢だけに、乳がんの心配をしています。お手数ですが、ご指導お願い致します。

両わきの下の押すと痛みがあるしこりは、おそらくリンパ節でしょう。乳頭のかゆみ、痛みはよくみられることで、がんの兆候であることはほとんどありません。乳頭のびらん(表皮が一枚むけたようになり、赤くなる)は、Paget病という乳がんの可能性も考慮しなければなりませんが、まれな疾患です。お話の内容からは、乳がんの可能性は低いと思います。少し様子を見て頂いて、症状が続くようであれば受診をしてみたらいかがでしょうか?(文責 加藤)

 

No.933-2】 02年05月24日 kay 
日本と外国との乳がん検診の比較

たびたび申し訳ございません。先日、乳首のかさぶたとわきの下のしこりについて回答を頂いたKayです。さっそく回答を頂き、誠にありがとうございました。先生のおっしゃる通り、様子をみることにします。しかしながら、長期間完治しなければ、病院へいくつもりです。その場合ですが、どちらの科へ係ればよいのでしょうか? それと、わきの下のしこりは時間が経てば少しずつ小さくなっていくのでしょうか?  
私は、長期外国在住者で欧米のものの考え方と日本の物の考え方が異なり、その判断に戸惑っています。たとへば、マンモグラフィー、エコー、針生検(細胞診)等の乳がん検査。38歳では、まだ若いのでマンモグラフィーを撮る必要がないといわれました。日本では、どの位の年齢からマンモグラフィー等の検査を受けたほうが良いと指示しているのでしょうか? もちん月一度の自己検査はここでも指示されています。何事も早期発見が重要だと思いますし、自分の身体は自分で大切にしなくはと思うからです。日本と外国との乳がん検診の比較などお聞かせ願えたら、幸いです。

乳腺外科ですが、標榜がなければ外科になります(日本では外科医が診療にあたっていることがほとんどです)。わきの下の有痛性のしこりは徐々に小さくなっていくかと思いますが、変化がないようでしたら、一度受診されることをお勧めします。日本ではマンモグラフィー検診は50歳以上の方に推進しています。まだ乳腺組織のしっかりしている若い方は、マンモグラフィーをとってもよくわからないことがあるからです。検診は外国のほうが進んでいると申し上げざるを得ません(街角にポスターが貼ってあることもある位です)。しかし、日本でも検診制度が確立されつつありますので、これからは広まっていくことと思います。検査手段に関しては、実際の診療においては日本ではエコーがよく用いられていますが、外国では使用頻度は少ないようです(乳房の大きさ等も関与しているのでしょう)。検診でエコーが用いられないのは、精密検査になることが多すぎてしまうからです。また、腫瘤の診断においても、日本では細胞診がよく用いられますが、外国では針生検等の組織検査が一般的です(医療訴訟なども関与しているのでしょう)。(文責 加藤)

 

No.932】 02年05月19日 K.H.
分泌物について

初めて、お便りさせて頂きます。宜しくお願いします。
39歳で14歳・11歳・4歳の子供がいます。本日、町の集団検診にて、担当して頂いた先生が乳頭をしぼった時、透明な分泌物が多少でたので、精密検査を受けてくださいと言われました。検査を受けに行った時出るかどうかは、わかりませんが・・ともおっしゃいました。乳がんで無い場合もあるとのことですが、突然の事でとてもショックを受けています。その後、家でも試みましたが出る時や、出ない時もあります。透明でさらさら・・という感じではないみたいです。
長男は混合母乳でしたが、次男・長女は完全母乳でした。4歳の長女は2歳3〜4ヶ月まで母乳を飲んでいました。分泌物は以前から搾ると出たように思います。断乳後も白っぽいものがでたりしました。やはり透明な分泌物なので、可能性が高いのでしょうか?

透明な分泌物が出たとのことで、お話の内容からすると、まず乳がんではないと思います。断乳後に白っぽいものが出ることもよくあります。乳がんの可能性を考えなければいけないのは、血性分泌といって出血があるときです。ただ、この場合も多くはがんではありません。(文責 加藤)

 

No.931】 02年05月17日 J.Y.
右腋下のしこり

ホームページを見てメールさせていただきました。突然申し訳ありません。私は結婚1年目で子供のいない32歳女性です。実は,右わきの下にちょうど爪の先くらいの大きさのしこりがあります。2、3年前にもそのしこりを感じた事がありますが、痛みもなくそれほど大きく感じなかったので、気のせいかと思ってそのままにしていました。今回はそれよりも少し大きくなっているようで、以前は感じなかったのに痛みがあります。痛みは押した時だけ感じます。乳がんの恐れがあるのでしょうか? その場合、私は横浜市在住ですが、どんな病院に行ったらいいのでしょうか?いろいろと質問させて頂いて申し訳ありません。ちなみに昨年12月に婦人科検診を受けて異常なしでしたが、乳腺症と言われました。その時はわきの下のしこりについては何も見ていただかなかったと思います。お忙しいところ申し訳ありませんが、お返事頂けたら幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

2−3年間でわずかな大きさの変化ということで悪性の病気は考えにくいですが、一度外科のある大きな総合病院を受診されることをお勧めします。横浜のどちらに御住まいか分かりませんが、当ホームページの会員の勤務している神奈川県立がんセンター、聖マリアンナ医科大学 外科学 乳腺・内分泌外科、 聖マリアンナ東横病院、けいゆう病院、 北里大学病院、横浜市大附属市民総合医療センター、横浜市立大学医学部附属病院、 横浜南共済病院、 済生会横浜市南部病院、東海大学病院、横浜市立市民病院などは如何でしょうか?(文責 片山)

 

No.930】 02年05月17日 S.O.
高齢者の乳ガン

ホームページを拝見しました。お忙しいところ申し訳ありませんが、御意見をお聞かせください。85歳女性。現在療養入院中ですが、左胸C区に2cmほどのしこりがありました。痴呆もあるため、はっきりしないところもありますが、『何年も前からあった』とのことです。実際、この半年で大きさの変化はほとんど認められません。「御本人が始終さわられて気にされているようだ」とのことで、先日局所麻酔下にて摘出されたところ invasive ductal ca. solid tubular type。f1 v1 ly1との結果でした。腋窩などのリンパ節腫脹ははっきりしません。肝臓は未検査ですが血液検査上は異常値ありません。骨シンチは設備なく不可能です。家人は『手術は希望しない』ご意向のようですが、肝転移・骨転移がなければ t1N0M0でstage1になり、手術をされれば5年生存率が85%〜90%程度になると思います。この場合できるなら手術を受けていただくよう強く勧めるべきでしょうか? またホルモンレセプターは未提出ですが、ホルモン療法を含めた抗癌剤の治療はするべきでしょうか?(個人的には年齢的・体力的にも使いたくないのですが。。。)すみませんがよろしくお願いいたします。

状況が許すならば、部分切除+腋下リンパ節摘出ないしは非定型的乳房切除が望まれると思いますが、高齢で痴呆があるということからその判断は難しいと思います。QOLを考えて局所切除のまま経過をみるというのも一つの選択肢かと考えます。ただ高齢者の癌とはいっても急速に増悪することは時に経験します。化学療法は厳しいと思いますが、できればホルモンレセプター状況を調べて、陽性であればホルモン療法は加えてよいと思います。(文責 片山)
 

 

No.929】 02年05月17日 PYONMAMA
妊娠中の脇のしこりについて

35歳。妊娠7ヶ月です。4歳の子供もいます。少し前に右脇のにしこりを見つけました。大きさは1cm以内くらいです。よく触るともっと小さいものがいくつかあるようにも思われます。そう言えば妊娠前くらいに脇に違和感を感じたことがありました。新しい下着があっていないのかなあとその時は思ってたのですが・・・。もしかしたら乳がんでは?ととても不安な気持ちです。
1)妊娠中ですが当たり前の検査はできるのでしょうか?
2)もし乳がんだったらこのまま妊娠を継続できるのでしょうか?
3)健康な子供を産むことができるのでしょうか?
4)やはり早急に病院に行ったほうがいいですよね。
お忙しい中恐れ入りますがお答えください。

1)触診と超音波の検査はできます。また妊娠7ヶ月を過ぎていますので、X線検査も胎児への影響はまず大丈夫だと思います。診断をつける意味で重要であれば行って良いと思います。

2,3)妊娠期の乳癌というのは比較的稀ですが、妊娠は乳癌には好ましい状態ではなく、母体の安全を優先して中絶が可能な状態であれば中絶して手術を行うとされていました。しかし、そうすることが予後に差がないという報告もあり、妊娠継続にて治療するというケースもあると思います。ただ術後の化学療法やホルモン療法は胎児の催奇形性も考え、慎重であらねばならないと思います。

4)一度是非乳腺外来で見てもらってください。(文責 片山)

 

No.928】 02年05月17日 B.C. 
乳腺について

携帯からでも対応して頂ける事、本当に感謝しております。早々、ご相談したくメールしております。携帯からですので何通にもなってしまうかも知れませんので、御了承下さい。41歳未婚です。昨年の10月に婦人科検診があり、エコーを撮って頂き、結果は異常ありませんでしたが、先月何気なく右側の乳房に触ったら堅いしこりのような物に触れました。又、最近左側の乳首近くにもしこりのような物を見つけました。私は生理の時も乳腺が張るということはありません。今回の状態は生理以外でもあり、痛みはありません。5月10日に何時も診察して頂いている内科の先生に見て頂きました。「乳腺だと思いますが、大分コリコリしています。すぐにとは言いませんが、心配なら乳腺外来がある病院で診察して頂いた方が良いですね。10月にエコーをして、何でもなかった?」と首かしげていました。そこで質問なのですが、内科の先生も首を傾げていたくらいなので、10月にエコーで見て頂いた時に異常がなくても、数ヶ月で乳腺がコリコリするくらい、しこりのような物になるのでしょうか? それから、私は1日6杯ブラックコーヒーを飲みます。(お茶は飲みません) 乳腺症には、カフェインの影響が大きいという話しを聞いた事があります。今回の乳腺が急に変化したのは、カフェインの影響もあるのでしょうか? 私の症状は乳腺症の症状ですか? お忙しいところ大変申し訳有りません。宜しくお願い致します。

約半年間で以前触れなかったしこりが触れるようになることは時に経験します。それはもちろん癌とは限らず、良性の線維腺腫や嚢胞症であることのほうが多いと思われます。またこりこりした感触が、生理前の張った乳腺であることもまた多いと思います。一人の個人でも乳腺の様相はそのときによって大きく違うこともよく経験されます。内科の先生もおっしゃるように一度乳腺外来のある病院で診察を受けてください。
カフェインや脂肪の摂り過ぎがエストロジェンの分泌と関係があり、カフェインの摂取を控えると乳腺症の痛みが軽減されるというデータはあるようです。(文責 片山)
 

No.927】 02年05月15日 suga
去年7月に手術をしました

33歳女性です。左胸筋温存乳房切除術+胸骨傍リンパ郭清、手術後経過良好。現在、ノルバデックス30日分、ムコスタ錠100とフルツロンカプセルを14日分服用しています。熱がある時はやめるように主治医に言われましたが、今、39度以上熱があります。明らかに息子の風邪がうつったようです。主治医に高熱が続くときは血液検査をするように言われた覚えがあるのですが、何のために必要か覚えていません。熱は、今日で2日目ですが、朝になると熱は下がっているので、ほっときました。安静にしているほうが良いでしょうか?それとも病院に言った方が良いでしょうか?私の行っていた病院は乳腺専門の病院なんですが、今回は内科で良いのでしょうか?長くなりすみません、どこにも相談できず(夜中なので)困っております。

抗癌剤治療中はその副作用として骨髄抑制が起こり、末梢血液中の白血球の低下をきたす事があります。このような状態は免疫能が低下しており、例えば風邪−上気道炎―肺炎と進む可能性もあり、主治医の先生はそこを心配されて血液検査をするようにおっしゃられたのだと思います。やはり一度今術後の経過を診ていただいている病院の主治医の先生を受診されるのがよろしいと思います。(文責 片山)

 

No.926】 02年05月15日 Asako
授乳期の肩こり&しこり

去年、9月に妊娠中毒になり帝王切開で出産したのですが出産後血圧が高く、薬を飲んでいたので母乳を与えられず、薬で止めていました。1月頃に左胸にしこりを発見し近くの総合病院の乳腺科で見てもらいましたが、そこにはエコーしかなく、しこりは多分ミルクのこぶといわれ、2月にも心配ないといわれました。一応先生はガンセンターの方ということでした。念の為3ヶ月後にくるよういわれ、それが来週で、行く予定ですが、先週から、元から肩こりがひどく抱っこのせいかと思ったのですが、背中の痛みが強く腕のつけねも痛く、押すと指までしびれを感じ不安を感じています。乳がんも背中が痛くなるのでしょうか。よろしくお願いいたします。

一般に乳癌の初期症状として背中−腕のつけねまでもが強く痛むということは余りありません。授乳期の大きくなった乳房をかかえ、赤ちゃんを抱っこするわけですから、ふだんから肩こりがひどい方が、さらにその症状を強く感じても不思議ではありません。(文責 片山)
 

No.925-1】 02年05月15日 h
左胸のしこりについて

29歳、2歳の子供がおります。先日、市の乳がん検診で左胸の乳りん上部にしこりがみつかり市立病院でマンモグラフィー、エコー、針生検(細胞診)の精密検査を受けました。針生検でクリーム色の液体が出ましたが、医師に「のう腫で悪性の可能性はないが細胞が流れ出しているのでは」と言われました。そして医師は何もふれませんでしたが、そのしこりの一部に白い粒が写りましたがこれはなんでしょうか?このことが次の妊娠に何か影響はありますか?しこりの詳細ですが、大きさは1cm位で球形、硬く表面は滑らかで辺縁は明らかです。押すと少し痛みます。リンパ腺の腫れはありません。9ヶ月ほど前に慢性胃炎になり、ガストローム、ドグマチール50rを1ヶ月間、またガスター10mgと漢方薬の六君子湯を今現在まで服用していますが、そのことも何か関係があるのでしょうか? 検査結果が1週間後なので今とっても不安です。どうぞよろしくお願いいたします。

“しこりの一部に白い粒が写った”というのは、マンモグラフィー上の影のことでしょうか?そうであれば石灰化像の可能性があります。一概には言えず、また実際にフィルムを見ていないのではっきりしたことは申し上げられませんが、良性のタイプ(粗大で散発性)や、悪性を疑わせる微小で多発、集族性のタイプがあります。良性ののう腫(のう胞)であってその周囲や壁の石灰化であれば、次の妊娠への影響はないと思います。ドグマチールの副作用で乳頭から白色の分泌物が出ることは時に経験されます。その分泌物が何らかの原因で貯留して今回ののう腫を形成した可能性はあると思います。(文責 片山)

 

No.925-2】 02年05月19日 h
左胸のしこりについて(2)

先日はお忙しいところ早速のご回答をいただきありがとうございました。
さきほど精密検査の結果がでました。classUとのことです。その内容ですが、細胞診の際、しこりからひけたクリーム色っぽい液体は水ではなく膿とのことです。その中に少し疑わしいものが入っていたようです。ドグマチールの副作用とは関係ないそうです。エコーやマンモグラフィーは異常なしです。エコーでしこりの一部に写った単発の白い粒は脂肪ではとのことです。炎症があるためセフゾンカプセルとダーゼン7日分が出されました。薬を服用して、また3ヵ月後に外来に来るよう言われました。細胞診の後、しこりはほとんどどこにあるのかわからなくなり、のう胞だと確信していたのでショックを受けております。大きい病院ということもあるのか、医師から病名や詳細な内容の話があまりなく胸のつかえがとれないような状態です。そこでいくつか質問があります。
@正式な病名はなんでしょうか?
AclassUというのは近い将来乳がんの可能性があるということですか?
B今すぐに生検や小さくなったしこりの切除等はできないのでしょうか?
Cこの3ヶ月の間にセカンドオピニオンを考えたほうがいいのでしょうか?
以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

順に返答させて頂きます。
1. 膿瘍(膿のたまり)です。
2. class2は良性という結果であり、乳がんの可能性は低いですし、将来変化することもないでしょう(1,2は良性、3は良悪性の区別が難しいもの、4,5は悪性の可能性あり)。
3. がんの可能性が低い以上、必要ないと存じます。
4. セカンドオピニオンをお考えになる必要はないと思います。膿瘍はがんとの関連性はなく、御心配ないでしょう。ただ、胸のつかえが取れないような状態であれば他の医師の意見を聴かれるのも良いと思います。(文責 加藤)

 

No.925-3】 02年05月24日 h
左胸のしこりについて(3)

先日はお忙しいところ早速のご回答をいただきありがとうございました。今回は膿瘍のことで疑問な点が出てきましたので、度々恐れ入りますがよろしくお願い致します。ネットで「膿瘍」を検索していくと「慢性乳腺炎」「乳輪下膿瘍」「乳腺膿瘍」という症状が出てきます。その記述から気になったのですが、私は妊娠期に助産婦さんから「乳首が陥没気味なので授乳しづらいかも」と言われ、確かに授乳が不十分でした。しかし、細胞診後に消失したしこりは全くの乳輪下ではなく、5mm〜1cmほど離れた所にありました。そして非授乳期に膿瘍ができるのは稀で、珍しい乳がんの可能性もあるので生検するようありましたがいかがなものでしょうか? また、「乳腺膿瘍」については詳細な説明が出ていませんがどのような症状なのでしょうか?

膿瘍は、乳輪下だけでなく他の部位にもできます(乳腺の中や周囲)。「非授乳期に膿瘍ができるのは稀で、珍しい乳がんの可能性もあるので生検する」というのは、少し言い過ぎのような気がしますが・・・。非授乳期に膿瘍ができることはありますし、全部生検する必要性もありません。また、乳輪下膿瘍は授乳と関係なく、若い女性に比較的多く、陥没乳頭の方に合併しやすいともいわれています。膿瘍の症状は痛み、発赤、腫れ、発熱などがありますが、乏しいこともあります。(文責 加藤)

 

No.924】 02年05月13日 ame
再発が恐い

39才、既婚、子供なし。本年1月に左乳がん温存手術を受け、T期と診断を受けました。再発が恐くて仕方ありません。10年生存率92%というのは100人の内8人は亡くなると言うことですか? 再発率というのはあるのですか? 日常生活はできていますが、ふっと恐くなります。どうやったら克服できるんだろうか・・・。

確かに乳癌の治療を受けられた患者さん一人一人にとってみれば、90%無事で10%再発しているという状態はないわけで、たとえ10%未満の再発率だといわれてもそれが不安になるのはよく分かります。しかし乳癌の場合は再発後も効果がある治療法も多く、これから5年、10年と経つうちに更に新しい治療法も開発されてくることが期待されます。現在のあなたの状態は再発の危険性が非常に少ない状態と思われますから、定期的な検診は怠りなく、是非前向きに生きていってください。(文責 片山)

 

No.923】 02年05月13日 Mye
乳腺線維腺腫の手術

25歳です。胸にしこりを見つけ、診察を受けたところ、マンモグラフィーと超音波の結果から乳腺線維腺腫と診断を受けました。そのときは経過を見ていくとのことだったのですが、3ヵ月後に検診を受けた際、少し大きくなっているので手術でとった方が良いと言われました。乳がんの可能性は100%ありえないといわれています。日帰りでできる手術とのことですが、どんな手術をするのか知りたいのです。場所が場所ということもありますし、このホームページで、乳房は麻酔がかかりにくいため痛いと言うようなことが書いてあったので心配です。そんなに痛みを伴うものなのでしょうか。教えてください。

しこりの場所によっても差がありますが、乳頭に近ければ乳輪切開といって乳輪の外縁に沿った皮膚切開で、離れている場合はそのしこりの直上の皮膚をしこりと同じか、ややその長径よりも長い切開で入っていきます。皮膚、真皮とその下の皮下脂肪組織を切開し、乳腺に到達してその中にある線維腺腫を取るわけです。このように比較的深いところにあるので深部で麻酔が効きづらくなって追加するということは時に経験します。もちろん乳房の大きさも個人差があり、またしこりの乳腺の中での深さも症例によって差がありますから一概には言えません。浅めの場所にあって少量の麻酔で全く痛みもなく(局所麻酔を打つときには多少の痛みを伴いますが・・・)切除できる場合も多いです。(文責 片山)

 

No.922】 02年05月12日 chandan
乳首のかぶれについて

私は23才の女性です。最近、両乳首から乳輪にかけて痒みが激しく、掻いていたらだんだんかぶれてきました。かさかさとかさついて、かさぶたのように皮もめくれてきました。しかも、最近は下着に膿がつくようになって不安になります。市販の軟膏を塗ったりしているのですが、痒みはなかなか治まりません。乳癌、もしくはパジェット病の可能性があるのでしょうか? また病院に行くとすれば何科に行ったら良いのでしょうか?どうか教えて下さい。お願いします。

湿疹である場合も多いですが、確かに乳癌の一現象やパジェット病である可能性も否定できません。乳房X線撮影装置のある大きな総合病院の外科を受診されることをお勧めします。(文責 片山)

 

No.921-1】 02年05月12日 S.S. 
ホルモン療法について

妻(38歳)が現在乳癌の治療中のものです。乳癌のホルモン療法についてアドバイスをいただきたくメイルしました。妻は明日温存手術を受ける予定です。画像診断等の判断からステージT、生検の結果からエストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプターともに陽性とのことです(実は細胞診の段階で良性だったので、良性腫瘍の扱いでしこりはすでに摘出し、組織の生検は済んでいるのです)。術後のリンパ節の生検の結果が出るまでははっきりとは分かりませんが、今のところ術後は放射線療法+ホルモン療法を行なう、とのことです。この場合のホルモン療法は何を使うのか聞いたところ、抗エストロゲン剤(タモキシフェン)を使う予定とのことでした。しかし、いろいろ調べてみると、「閉経前の人にはタモキシフェンは効きにくい」、「子宮ガンの危険率が2〜5倍になる」といった事や、「閉経前の人にはまずLH-RHアゴニスト製剤を考える」といった事を知りました。また、「子宮ガンの心配の無いアロマターゼ阻害剤という薬もある」という事も知りました。実は妻は子宮内膜症も経験していて、数年前までホルモン療法を受けていたので子宮ガンのことも心配していて、タモキシフェンという選択が正しいのか悩んでいるのです。この話を主治医にしたところ、「希望するのであればLH-RHアゴニスト製剤の併用も可能だが、ホルモン分泌そのものを抑制してしまい、言わば女性そのものの機能を抑えてしまう。今の年齢ではあまり勧められない」と言われました。 そこで質問は以下の通りです。

(1) 乳癌だけで考えた場合、閉経前の女性に対して、タモキシフェンとLH-RHアゴニスト製剤はどちらが効果的なのでしょうか? また、それぞれの薬を単独で使うより併用した方が効果が上がるのでしょうか?
(2) 閉経前で子宮内膜症再発の可能性のある女性は、タモキシフェン、LH-RHアゴニスト製剤、アロマターゼ阻害剤どれが、またどの組み合わせがベストな選択なのでしょうか? つまり、乳癌のホルモン療法を受けている期間中に子宮内膜症が再発した場合、子宮内膜症の治療も平行して行なえるだろうか? ということを心配しての質問です。
(3) タモキシフェンを使った場合、子宮内膜症の経験あり/なしが子宮ガンの発生率に影響するといったデータはあるのでしょうか?
(4) アロマターゼ阻害剤は閉経後の人に勧めているそうですが、閉経前の人にはタモキシフェン、LH-RHアゴニスト製剤等と比較してどの程度効果があるのでしょうか?

よろしくお願いします。

(1) 3年に1回行われる国際会議での治療基準を以下に示しました。あくまで治療指針であり、必ずしもこうしなければならないというものではなく、個々の症例によってバリエイションはあります。参考にしてください。(ERはエストロジェンレセプター、PgRはプロゲステロンレセプター、TAMはタモキシフェン、GnRH analogueは、LH-RHアゴニストのことです。)
これによれば奥様はリンパ節転移がなければおそらく低リスク群ということになり、タモキシフェン投与、あるいは何もしないということが推奨されることになります。
LH-RHアゴニストとタモキシフェンの併用療法の意義については今後の課題とされていますが、リンパ節転移陽性と陰性の両方が含まれたZIPPという試験で、化学療法を行わなかった群でLH-RHアゴニストの投与群で再発までの期間に有意性を認めたとされています。

(2) 天然のLH-RHは視床下部より分泌され下垂体のLH-RHレセプターと結合し、LHやFSHなどの性腺刺激ホルモンの分泌を促し、続いてestradiol(E2)を一過性に上昇させます。しかし、これを継続投与するとLH-RHレセプターとの持続的な結合により,非結合型のレセプターが減少(down regulation)し、これによってLH、FSHの分泌が抑制され、E2も去勢後と同様の低値まで減少します。LH-RHアゴニストはこういった効果を狙った治療法であり、投与をやめればかなりの確率で生理が再開し、このうちリュープリンは子宮内膜症の治療にも使われる薬です。 

(3) 子宮内膜症の経験あり/なしが子宮癌の発生率に影響するというデータについては存じませんが、タモキシフェンを5年以上の長期にわたって投与すると、子宮内膜癌の発生が若干増えるというデータは確かにあり、5年を超えて投与しないほうが良いということになっています。ただ、タモキシフェン投与によって救える乳癌患者さんのほうが圧倒的に多く、子宮内膜癌は比較的予後良好な癌であるとは言われています。

(4) アロマターゼは閉経後の女性の皮下脂肪などにある男性ホルモンを女性ホルモンに変換する酵素であり、アロマターゼ阻害剤はそこをブロックする薬です。その作用の特性から閉経後乳癌にしか適応が通っていません。LH-RHアゴニストを用いて閉経状況にもっていってからアロマターゼ阻害剤を使うといった治療法も考えられますが、今後の課題かと思われます。(文責 片山)

 

乳がん術後補助療法の世界基準

スイスのサンクトガレン(St.Gallen)で、3年に1度、欧米を中心とする世界の乳がん専門医が集り、それまでに行われたあらゆる治療データーをもとに、それ以降の乳がん治療の方針を決定する会議が行われます。そこで合意された術後補助療法に関する内容は、世界の標準的ガイドライン(治療方針)となっています。

表1 リンパ節転移陰性乳がん患者における予後因子別リスク分類 ーSt.Gallen 2001ー

予後因子

低リスク群
 (以下の因子をすべて満たす)

高リスク群
(以下の因子が1つでもある)

腫瘍径

≦2p

>2p

ERand/orPgR

陽性

陰性

異型度※

grade1〜2

grade2〜3

年齢

≧35歳

<35歳

                                   (※組織学的and/or核異型度)

 

表2 乳がんに対する補助療法

患者群

リンパ節転移陰性乳がん患者

リンパ節転移陽性患者

低リスク群

高リスク群

閉経前

 

ERorPgR陽性

・TAMorなし

・卵巣機能抑制
(GnRH analogueなど)

・TAM±化学療法

・上記の組合わせ

・卵巣機能抑制
(GnRH analogueなど)±TAM

・TAM+化学療法

・上記の組合わせ

ERandPgR陰性

・化学療法

・化学療法

閉経後

ERorPgR陽性

・TAMorなし

・TAM±化学療法

・TAM±化学療法

ERandPgR陰性

・化学療法

・化学療法

 

No.921-2】 02年05月15日 S.S. 
ホルモン療法について(2)

丁寧な回答ありがとうございました。タモキシフェンは5年間が良い、という話はいろいろなところで目にするのですが、リュープリンについては期間はどの程度が良いというデータはあるのでしょうか? CancerNet Japan のQ&A事例集などでは、「ゴナドトロピン放出ホルモン類似体を4週間に1回皮下注射(約2年間)」というのが標準とあったのですが、2002年現在においても約2年というのが標準と思っていいのでしょうか?

前回お示しした2001年のサンクトガレンでの国際会議では、LH-RHアゴニストに関しては少なくとも化学療法と同等の効果を有することが7つの臨床試験で示され、その役割は増してきているが、各試験の投与期間が2年、3年、5年と異なり、指摘投与期間については明確にされていないとしています。今後これらが明らかになってくると思いますが、ZEBRA trialという試験の結果から、今のところ2−3年間が良いのではないかと思われるとのことです。(文責 片山)

 

No.920】 02年05月12日 真ママ
乳腺専門病院を教えてください

乳腺専門病院を探しています。住まいは江東区です。よろしくお願いします。

ごく近隣の専門病院というと分かりませんが、国立がんセンター(http://wwwinfo.ncc.go.jp/jp/index.html)、東京都立駒込病院(http://www.komagome-hospital.bunkyo.tokyo.jp/)などが考えられます。参考になりますでしょうか?(文責 片山)

 

No.919-1】 02年05月10日 じゅんこ
胸のしこりについて

36才の主婦です。10才と8才の子供がおります。昨日たまたま胸が痒くなり、掻いていたときに左の胸にしこりを見つけました。場所は乳輪のすぐ上の内部です。皮膚の表面ではなく、少し指で押さえるとわかるという感じなので今まで気づきませんでした。大きさは恐らく1p〜1.5pくらいかと思います。指で押さえると指から逃げるように動きます。「胸にしこり=乳ガン」と思って目の前が真っ暗になりました。子供のこともありますし、自分自身が仕事をしているので休むことやいろんなことが頭の中を駆けめぐり、悩んでいます。このHPを拝見しまして、「しこり=乳ガン」ではないことを知ったのですが、私の場合、乳ガンの可能性はありますでしょうか?痛みや自覚症状はありません。強いて言えば、うつぶせに寝たときに乳首のあたりがピリピリしたことが今までに何回かあったように思いますが、最近はなかったので忘れていたくらいです。また、もし乳ガンの場合は外科手術になると思いますが、一般的な場合で仕事はどのくらい休むことになるでしょうか?とりとめもなく書いてしまいましたが、どうか相談にのって下さい。宜しくお願い致します。

確かにしこり=乳癌ではありませんが、前の方の質問にもお答えしましたように、乳癌の患者さんの大部分は痛みのないしこりを訴えとしてみえます。是非一度専門医を受診なさってください。手術の場合、病院によって、また個々の症例によって差があると思いますが、2−3週間の入院が標準的かと思われ、仕事によって差がありますが、皆さん退院後は比較的早く社会復帰されているようです。(文責 片山)
 

No.919-2】 02年05月19日 じゅんこ
胸のしこりについて(2)

919で相談にのって頂きました“じゅんこ”です。実は11日の土曜日に病院で検査を受けました。エコーをして、自分が思っていた以外にも一つしこりがあるとのことでした。自分で見つけた方は硬く、わかりやすいのですが、もう一つの方は柔らかくてわからなかったようです。マンモグラフィーはせずに、針生検をその二つのしこりに対して行いました。
私は病院の事務職なので、仕事中に抜けて検査を受け、結果も今日担当の先生が電話で知らせてくれました。「今のところは悪いモノは出てない」ということでした。一安心なのですが、職場が病院ということで、結果も簡単に教えてもらえたのですが、電話での簡単な会話だけだったので、詳しい説明は聞けませでした。(先生も仕事の合間で忙しかったと思います) 私が「しこりは取らなくてもいいですか?」と尋ねると、3ヶ月後にもう一度検査をして、その結果で考えようかと言われました。
@この返事からどういうことが考えられるのでしょうか?
Aしこりを調べた結果が今回は悪くなくても、後で悪くなることはあるのでしょうか?
B今回は悪いモノがでなかったそうですが、それじゃあ、しこりはいったい何者なんでしょうか?
勝手な質問ですが、よろしくお願い致します。

順に返答させて頂きます。 
1. しこりは悪性の可能性が低く、良性のものとお考えになったのでしょう。
2. 良性のものが悪性へと変化することは一般的にはありません。ただ、検査結果は変わることがあり得ます(しこりの小さいうちは診断が難しいことがあるからです)。
3. Jさんの御年齢と、しこりが逃げるように動くとのことより、線維腺腫(良性)が最も可能性の高いものとして考えられます。(文責 加藤)

 

 

No.918】 02年05月10日 suu
しこりがあります

27歳の主婦です。12年9月に第一子を出産しました。二ヶ月くらい前に気がついたのですが、右胸にしこりがあります。痛みはなく分泌物もないです。来週専門医を受診しようと思っていますが、しこりだけで受診するのは気が早い?でしょうか。生理に関係なく常にあるので気になるのですが・・。

乳癌は無痛性のしこりとして気づかれる方が最も多いです。気が早いということはないので、是非積極的に専門医を受診なさってください。(文責 片山)

 

No.917】 02年05月10日 higa
治療方法について

40才の主婦です。6年前に早期乳ガンとのことで左胸及び腋リンパの摘出をいたしました。リンパには無く、ホルモン剤を2年服用、その後第一子出産、1年前に鎖骨の下あたりの皮膚に5ミリほどのガン摘出、抗ガン剤エンドキサン服用。8ヶ月前鎖骨リンパにしこり発見〜腫瘍マーカーが上がったり大きくなるまで様子をみるとのこと。最近少し大きくなってきました。肺のレントゲン、腫瘍マーカーは1ヶ月ごとにやっております。リンパのしこりというものは放っておくとどんどん他の臓器にいかないのでしょうか? すぐにでも摘出し放射線などの治療を行った方が長く生存できる可能性があるのでは? 子供がまだ小さいものですから死ぬわけにいきません。ガンというものはさわったり刺激することで増殖するのでしょうか? どうか宜しくお願いいたします。

乳癌の局所再発やリンパ節再発のような、いわゆる軟部組織再発の場合は、そこだけに留まってくれているうちはコントロールもしやすく、予後も長いことが多いです。中には手術、放射線療法、化学内分泌療法などの組み合わせで全く癌が消えてしまい、その後5年も10年も無事な方もいらっしゃいます。あなたの皮膚の5mmのしこりはガンと書いてあるので、組織で確認されたのでしょうが、鎖骨リンパ節に関しては、細胞診なりの検査を受けて診断が確定しているのでしょうか?そこが分からないのではっきりしたことは申し上げられませんが、確かに今後の治療法は我々にとっても応用問題であり、何が一番良いかはなかなか難しい現状です。リンパ節転移に対して手術で挑んで根治できなかった経験もありますし、軽い化学療法で根治し得た症例もあります。いずれにしても主治医の先生が、あなたのもとの癌の情報や、現状を一番良く把握されていると思いますので、疑問点をぶつけて相談なさって下さい。(文責 片山)
 

No.916】 02年05月08日 M.I.
父の乳頭の痛みとしこり

父のことで相談します。年齢は66歳、1週間ほど前から右の乳頭付近に2センチほどのしこりがあり、痛みを訴えます。肌着が擦れるのも痛いと湿布を貼っていますが、乳ガンの可能性があるのでしょうか?男性の受診は普通の外科でいいのでしょうか。

おそらく年齢による良性の女性化乳房症の可能性が一番高いと思います。肝臓機能が低下していたり、胃潰瘍の治療薬の副作用などで同様の症状が出ることもあります。男性の乳癌の頻度は女性の1−2%といわれます。受診は一般外科、または乳腺外科でよろしいです。(文責 片山)

 

No.915】 02年05月06日 コティまま
胸の半分位にしこりがあります

39歳の主婦です。4年前に一度、2cmほどのしこりを(線維腺腫)をとったのですが、1年前位前にまたしこりをみつけてしまいました。前回の手術があまりにも痛かったので、早く検査してもらわなきゃいけないと思いつつ、恐怖感が強く現在に至ります。線維腺腫は痛みが無いと聞いたのですが、私はズキズキとした痛みがあります。不安でたまりません。本当に、線維腺腫でしょうか?このままほっといたらダメですか?

線維腺腫の手術をして、その後の経過観察中に再度線維腺腫ができることは時に経験されることです。前回の手術創の瘢痕との関わりで痛みを感じることがあってもおかしくないですし、線維腺腫自体、痛みを主訴としてみえる方もいらっしゃいます。できれば前回の組織検査の資料のある同じ病院で診て頂くのがよいと思います。(文責 片山)
 

No.914】 02年05月06日 Y.K.
生検後のことと、ホルモンと乳腺の関係について 

はじめまして。39才子供なしの主婦です。2つほど質問があります。不妊に悩んでいたこともあって、プエラリア・ミリフィカという女性ホルモンに似た成分や、セレン酵母を含む健康食品を去年の11月頃に1カ月くらい飲んだら、排卵日を過ぎてから、いつもより3倍以上の乳房の張りと痛みを感じたので、あわてて飲むのを止め、12月、気がついたら左乳房に尖ったような硬いしこりができていました。年が明けて1月に外科を受診し、触診のみで経過観察。3ヵ月後にまた来るように言われて、4月に触診とエコーを取りました。が、どうもよくわからないということで、生検を勧められました。局所麻酔をする30分位の簡単な手術で、午後からは仕事にも行けると聞いたので、しこりがガンかどうかはっきりさせたくて、すぐ生検を承諾しました。しかし、しこりが意外と深いところにあるらしく、1時間20分かかり、追加の麻酔も打ちましたが、結構痛いものでした。しこりが深いのと、途中で止血しながらの手術なので、時間がかかっているんですよと言われました。当然午後はとても仕事などできる状態ではなく、会社を休みました。切除したしこりは約2センチで、傷跡も2センチで、乳房の凹みを目立たせないように、周辺の乳腺を寄せて内側から縫っているとのことで、乳房の変形はありません。一週間後の結果は、良性のもので一安心しました。ところが、生検後、事務職でコンピュータなどを酷使した時など、左腕の脱力感が時々あり、左肩がすごく張ります。また、今朝はフトンに入っているとき、左手首の疼痛の後、首から上の左側の痺れ(30秒以内)があって、初めてのことなので、びっくりしました。それと、左の肋骨を押すと時々痛いのです(アンターバストの位置) 。これは、生検の後遺症なのでしょうか?何ヶ月かすると、治るものでしょうか?確かに、むくみ体質ではありますが・・・。
それと、乳腺とホルモンの関係についてお聞きしたいのですが。平成12年6月にも、右乳房にしこりを見つけ、外科を受診して、乳腺そのものでしょうといわれ、経過観察。その後しこりは消えました。思えば、そのときも、産婦人科で排卵誘発剤(いちばん弱い)の他に、自分でザクロエキスなどの健康食品を飲んでいました。(1ヶ月くらい) 健康食品の会社では、そんなことは全然言ってないし、読者のおたよりコーナーで、前述の健康食品を飲んだら、見事妊娠しましたーなどの記事を見たら、つい試してしまったのでした。私のように乳腺が敏感に反応する人がいるのでしょうか?それとも私のしこりは健康食品とは関係ないのでしょうか?

乳腺のしこりは意外と深いところにあります。皮膚、真皮、皮下脂肪があってその下に乳腺があり、しこりはその中にあるからです。そのため、生検をしていくとしこりが分かりにくくなったり、局所麻酔の追加が必要になったりすることはよく経験されます。局所の痛みは手術と関係があると思われ、これは個々の症例でも異なりますが、1−数ヶ月でおさまってくると思います。手術したことが直接腕や肩の痛みを起こしているとは考えにくく、おそらくその時に力が入ってしまったリ、緊張が強かったためかもしれません。これもしばらくたてばおさまってくると思います。
排卵誘発剤で、一時選択剤として使われるシクロフェニル(セキソビド)やクロミフェン(クロミッド)という薬ではあまり乳腺が張るという副作用はないようです。健康食品もよく分かりませんが、そのような副作用は無さそうで、誘発された生理前の乳腺の張りではなかったのでしょうか?(文責 片山)

 

No.913】 02年05月06日 Kuroki
男子の乳房のしこりは薬のせい?

高2の息子のことです。再生不良性貧血で小5から中2までシクロスポリン、蛋白同化ホルモンを服用しておりました。その後乳房のしこり、ふくらみ、痛みがあり主治医から思春期特有ものもの、もしくは薬の副作用だろうとの説明があり、いつのまにか忘れておりましたが、息子が最近まだその状態が続いていると申しました。3年以上たちますがこのまま様子をみていていいものでしょうか。

私自身は再生不良性貧血の患者さんや、蛋白同化ホルモン剤を使用されていた方を拝見したことがないのでよく分からず申し訳ありません。しかしながら年齢的に見て、また蛋白同化ホルモンが男性ホルモンの要素があり、女性化乳房症の治療に使われたこともあったことを併せると、年齢的な思春期の変化と考えるのが一般的と思います。ただ確かに3年間というのは長すぎる感じもするので、主治医の先生と相談して、一度超音波や細胞診の検査をしておいても良いかもしれません。(文責 片山)

 

No.912】 02年05月06日 Y.K.
細胞診の時期について

36歳、既婚、子供なしです。2月20日にしこりを発見しました。触診で、ころころしてよく動くとのことで線維腺腫ではないかと言われましたが、よく調べようとのことで3月24日にエコー、4月15日にMRIを受けました。MRIの結果で、グラフのようなものを見せられ、良性なら右上がりのところが、私の場合は右下がりになっているため悪性の可能性があるといわれました。その場で細胞診を受けそうになったのですが、細胞診を受けて悪性ならば、即入院、手術と言われたので、少し考えさせて欲しいと言い、細胞診を受けずに帰ってきました。次回の予約は5月9日です。
また、手術は全摘出か温存で、検査の結果により自動的に決まり、選択肢はないといわれました。MRIの結果を聞くとき、前回のエコーの結果が手元にないと言われ今までの経過はよくわからないけど、などと言われたこともあり、その先生を今一つ信頼できません。私としてはよその病院でセカンドオピニオンを聞きたい気もしています。
ただ、今回の経過を見ても、随分と検査に時間がかかる(発見から2ヶ月)のを、又、一から他の病院でやっていいのかとも思います。このような場合、やはり早く検査を受けたほうがいいのでしょうか。多少の余裕をもっても大勢に影響がないとすれば、一般的にどのくらいの期間をかけるものでしょうか。個人的にも、この5月から個人事業を立ち上げ、健康保険も継続医療手続きをして、まだ保険証も届いていません。もう少し先の方が安心して入院できるという気持ちです。どうか、アドバイスをよろしくお願いします。

画像検査ですこしでも悪性が疑われるのであれば、やはり細胞診や、場合によって生検(そこの場所だけを摘出して調べる)が必要になってくると思います。全摘出か温存かは画像を拝見していないのでなんとも言えませんが、しこりを見つけてから3ヶ月近く経つので、この先何ヶ月も待たずに(細胞診などの)検査を受けられたほうがよろしいと思います。(文責 片山)

 

No.911】 02年05月06日 miyu
乳癌患者の衣服について

初めまして。中3の者です。父方の祖母が乳癌で手術をし、先月の終わりに無事退院しました。今は家族全員協力して、看護をしているのですが、右手が手術をする前より動かなくなってしまって、着替 えが大変です・・・。これから夏になり、薄着になりますよね ? リハビリなど外に行った時、誰かにぶつからないか孫の私は凄く心配なのです。介護用品のお店に行って、色々衣服を見たのですが、中々祖母に適した物がありませんでした。探している衣服は、半そでで前開きの物で、胸の所にパットを入れたり外したり出来る物なんです・・・。何処か良いお店知りませんか ??

乳癌術後の衣服や下着(ブラジャーやパッドなど)についても最近では色々工夫されたものも出てきています。手術をされた病院で医療材料屋さんなどを紹介してもらうのが一般的だと思います。装具に関してはワコールリマンマ(http://www.wacoal.co.jp/products/remamma/)、ユコー株式会社(http://www.yukor.co.jp/)などがあります。参考になりますでしょうか?(文責 片山)
 

 

No.910】 02年05月06日 naga
母の乳癌治療について

お忙しいところすみません。母が乳がんです。それもかなり進んでると思います。母は58歳で、本人いわく「6年前からあった」そうです。4月30日から入院しましたが、2ヶ月間の抗癌剤ののち、手術するということです。しこりの部分は、しこりとは言えないほど大きく、皮膚まで赤くただれています。脇の下のリンパにも転移してます。母が病院を嫌がるので、説得してやっと連れて行ったところです。病院側の説明では、リンパ以外の転移はなく、先程申しました治療日程になったのですが、本人は、病院に行く前、手術はせず、痛みが出た時に、それをとるだけでいいと言ってました。疑うわけではないですが、リンパ以外の転移がないと言うことも、あるんでしょうか?私が無理に連れて行ったんじゃぁないかと思うのと、実家が離れていますので、もんもんとしています。お忙しいとは思いますがどうぞお返事お待ちしてます。

リンパ節転移を伴った局所進行乳癌で、今のところ画像で分かる遠隔転移(肝臓や肺、骨など)は無いということだと思います。将来的に転移、再発が出現する可能性はもちろんあるわけですが、それを少しでも抑えようということと、もし局所やリンパ節が抗癌剤治療で小さくなればその薬は効果があるということになりますから、術後も継続して使っていくという目安にもなるわけです。この薬が効かなかったり、将来的に再発した場合でも、乳癌にはさらに次の抗癌剤やホルモン療法の効く症例もあり、あきらめずに治療を続けていくことが大切だと思います。(文責 片山)

 

No.909】 02年05月05日 F.U.
乳首からの分泌物

はじめてご相談します。よろしくおねがいします。ゴールデンウィークで病院の主治医に相談できず、とても不安なまま日々を送っています。3年半前、乳ガンの手術を受けました。左胸で乳腺を全部切除しています。5/1に子供が私の方に思いっきりぶつかってきて、運悪く左胸の乳首を思いっきりぶつかりました。とても痛くて、しばらくして見てみると、ブラジャーのパットに点々という感じで血がついていました。驚きましたが、しばらく様子を見ることにしました。5/2にも、同じような感じでした。5/3.4には、透明の分泌物が乳首を絞るとでてきます。ほとんど、でませんが・・・。
主治医の診断をうけられるのは、5/10の金曜日になります。5/8に電話で話すよう約束していますが、とても不安な気持ちで毎日生きた心地がしません。再発しているのでしょうか?それとも、強打したため傷ができたためでしょうか?乳腺は全部切除したはずなのに、どうしてこんな症状がでるのかも、よくわかりません。お忙しいとは思うのですが、できるだけ早くのお返事をお待ちしております。よろしくおねがいします。

手術法がよく分からないのですが、乳腺の全切除で乳房切除術ではないのですね? それで乳首が残っていて、そこからの出血ということでよろしいでしょうか? 手術から3年半経っているということと、打撲があったという因果関係から考えて、おそらく外傷による出血と考えてよさそうですが、前回の手術のことが分からず,また直接拝見していないのではっきりしたことは言えません。やはり主治医の先生に診ていただくのが一番だと思います。(文責 片山)
 

 

No.908】 02年05月05日 ゆり
胸の張りと痛み

はじめまして。私は28歳、独身です。最近、乳房の張りと痛みが気になって仕方ありません。生理が始まる2週間前あたり(排卵日あたり)から乳房が張って痛みがあります。胸にちょっとでも触ると痛かったり、走ると痛いという思春期の頃に経験したような痛みです。生理が始まると痛みもやわらいで治まってくるのですが、右胸は多少痛みが残るように思います。(乳首の少し下を押すとズキッとした痛みがあります。)  今回もまた排卵日あたりを境に張りと痛みがでてきました。(ちなみに、一年前くらいから生理の周期が23〜27日ぐらいで、不順です。) 乳がんでは?と不安に思ったこともあります。このような痛みはほっといても自然に治ることはあるのでしょうか?病院には縁のない生活をしてましたので、どうしても病院への一歩を踏み出せないでいます。このような場合、産婦人科でも診ていただけるのでしょうか?生理が終わったあとに行ったほうがよいですか?また、治療方法としてはどんな方法がありますか?薬などを服用することになるのでしょうか?質問ばかりですみません。お忙しいところ申し訳ありませんが教えていただけたらと思います。

排卵から生理までの間に胸が張って痛むというのはごく自然な現象です。乳癌では痛みを伴うことは少ないので、直接結び付けて癌と心配しなくていいとは思います。ただ稀にそのような微妙な自覚症状によって癌が発見されることも経験しますので、一度外科のある総合病院への受診をお勧めします。生理が終って1週間以内ぐらいがよいと思います。
痛みに関しては個人差も大きいですし、一人の人でも月ごとに、或いは年齢によっての変化があるようです。来月は全然痛みがなかったといったことも経験されます。私自身はこのような症状に対して薬を出したことはありません。(文責 片山)

 

No.907-1】 02年05月05日 K.Z.
TAMと卵巣機能の因果関係は?

昨年6月末に左乳癌のガン部分と腋下リンパの手術を受けました。断端(-)、リンパ(-)で、その後放射線治療を受け、TAMを飲んでいます。TAMを飲み始めて次の月経から、周期は安定しているのですが、期間が7日→4日になりました。今年1月より月経痛がひどくなり、4月は猛烈に痛みました。ただし量、期間ともに変わりはありませんでした。また2月末より透明なサラサラしたおりもの(?)がずっと続いており、ようやく今日婦人科を受診しました。膣エコーで左卵巣が6cmに腫れており、右も腫れているようだ、ガンが疑われる、と言われました。TAMが卵巣の機能に与える影響はあまり語られていないようですが、私の症状は何か因果関係があるのでは、と心配です。是非相談にのって下さい。(34歳・独身)

TAMは抗エストロジェン剤で、その副作用として不正性器出血や、閉経前の方であれば生理不順などは時に見られます。また無月経も3%前後あるといわれています。また火照りなどの更年期症状は患者さんの訴えとして比較的頻度も高く見受けられます。5年以上服用すると子宮内膜癌の発生が若干増えると言われますが、卵巣癌の発生頻度に関してはデータがないと思います。(文責 片山)

 

No.907-2】 02年05月24日 K.Z.
TAMと卵巣機能の因果関係は?(2)

早々にお答えをいただき、ありがとうございます。 その後の検査結果、卵巣ガン腫瘍マーカーはほぼ異常なし、だがCT,MRI検査を受け、やはり卵巣に充実部らしきものがみられる、ということで卵巣摘出をすすめられました。どうしても納得がいかず、数件婦人科をまわりました。最初の病院の診察から16日過ぎ、別の病院のエコーでは腫瘍が6.7→3.6cmになっていました。その先生の説明では、TAMの影響で排卵がおこらず、(でもそうなのでしょうか?妊娠しやすくなるときいていますが、それは逆に排卵の調子がよくなるためなのか、内膜の肥厚に関係することなのか?)排卵しないままエストロゲンを放出し続け、そのため多量の子宮頸粘液がサラサラのおりものになり、また卵は卵巣に残ったまま水分を貯留するため腫れていたのだ、CT,MRIで見えた充実様は自身の卵巣ではないのか、という見解でした。抗エストロゲンであるTAMはエストロゲンのふりをして、乳癌では本当のエストロゲンをブロックし、子宮では内膜をさらに肥厚させ、お答えの不正性器出血や内膜症さらには体ガンを誘発し、さて卵巣にはどのように働きかけるのでしょうか?どう考えてもわかりません。排卵との関係、是非教えてください。

タモキシフェンは、イギリスでは排卵誘発剤としても用いられています。月経周期のある一定期間に内服をするようです(多胎などの報告もあります)。しかし、無月経となることもあります。一般的に卵巣を腫大させたりする作用はないと思います。(文責 加藤)

 

No.906-1】 02年05月04日 K.U.
母の術後のことで

1年2ヶ月前、左胸を全摘出したんですが、胸の痛みがずっととれず、3日前、検診に行ったときに膿がたまっているといわれて、とってもらったそうなんです。このホームページを見ていても、あまりそのようなことは聞いたこともなくて、お聞きしたいと思いました。 術後1年以上もたって、膿がたまるなんてことはあるのですか? 痛みが続いていたのは膿のせいなんでしょうか? このような膿は自然に治っていくのですか? 多分考えすぎなんでしょうけど、転移とは関係ないですか? 教えてください。よろしくお願いいたします。

術後に中を縫った糸が反応を起こしたりして創部の炎症が長引くことは時に経験されます。その場合、今回のように膿をとったり切開して膿を外に出すようにしたりする処置がとられ、それで解決することが多いと思います。術後少し期間がたっているので、確かに局所再発があって、それが変化して膿を持つようになったという可能性もわずかながらあるとは思いますが、その場合は先生のほうからお話があるでしょう。(文責 片山)

 

No.906-2】 02年05月08日 K.U.
母の術後のことで(2)

ご返答ありがとうございました。局所再発の場合なんですが、自覚症状とかはあるものなんでしょうか?痛みは術後からずっとあるんですが・・・。術後1年(2ヶ月前)に、CTなどの検査はして、異常なしだったんですが・・・。膿をとってもらったときには先生からなにもお話がなかったんですが、局所再発とは、みて分かるんでしょうか?心配なのでいろいろ聞いてすいませんが、よろしくお願い致します。

局所再発の場合、私の経験では痛みなどの自覚症状は比較的少ないことが多いです。肉眼的に見て、明らかに再発と強く疑われる場合もありますが、やはり細胞診や組織診で確定診断を得るようにしています。強く疑って切除させていただいて、肉芽組織であった経験もあります。(文責 片山)

 

No.905】 02年05月04日 C.Y.
抗ガン剤治療中の風邪

お忙しいところ恐縮ですが、気になることがありましたので相談させていただきます。母のことなのですが、今年の1月に右乳房全摘出とリンパ節切除手術を受けました。結果、リンパ節転移1/18個、ホルモンレセプターは高値ということで、現在はCMF治療(3クール終了)とホルモン剤(たしか2錠)を服用しています。抗ガン剤を打った日は必ずといっていいほど下痢になるそうです。ところで、母は一昨日から風邪で体調を崩し微熱が続いているようです。あまり食欲もないようで、抗ガン剤の治療中で免疫力が落ちているところでの風邪ということでとても心配です。さらに免疫力が低下して他に支障を来すのではないかなど、色々考えてしまいます。抗ガン剤治療中の風邪の場合の注意点などについて教えてください。

確かに抗癌剤治療中は副作用による骨髄抑制で免疫力が低下しており、長い治療期間の中で風をひかれることもときに経験されます。大事なのはそれをこじらせて上気道炎、肺炎と進行させない事で、場合によって抗癌剤治療を休んだり、適当な治療が必要になることもありますので、主治医の先生に相談してください。(文責 片山)
 

 

No.904】 02年05月04日 fuku
乳房温存手術と整形手術について

初めてメールいたします。私は39歳、独身ですが、4月18日乳癌と言われました。1.5cm×1.5cmの大きさだそうで、リンパ節の転移はないようで、T期とのことです。乳房温存手術は可能でしょうと言われましたが、摘出した細胞を調べ、進行性ならば2度目の手術が行われるとのこと、全摘出と言われ、かなりショックを受けました。セカンドオピニオンで別の病院にも行きましたが『間違いないでしょう。』と言われ、治療方法も殆ど同じに感じました。いろいろな人にも話を聞きましたが、知人のお姉さんは温存手術で整形も行い今は何の支障も無いとのこと、整形の話は出なかったので、この整形というのは温存手術では整形も行われるモノなのでしょうか?手術する病院も悩んでいる状況です。はじめの先生もやさしくはっきりと病状・治療方法も話して下さいますし、別の病院は設備等は申し分なく、先生も質問した事にキチンと答えてくださいます。お忙しいと思いますがよろしくお願いいたします。

乳房温存と乳房形成、永遠のテーマであり、難しい問題だと思います。
乳房温存術は本来女性にとって永遠のシンボルである乳房を、できるだけ元の形を保って温存し、癌を根治するという外科医にとって究極のop法だと思います。また症例によっては部分切除の後の形成をおこなったり、全部をとって形成外科的に体のほかの部分を使って再建するという方法もあります。
しかしながら、できるだけ癌を根治的に取り、なおかつ患者さんの満足のいく形を保つというのは相反することです。また、1.5cmの癌といっても術前の画像で見えている大きさであり、実際の病巣の広がりは、最終的に手術で取れた検体を詳細に検査してみなければわからないことも多く、症例によって個体差もあり、他の人と同じようにいくというものではありません。美容的な問題を気にされるのは非常によくわかりますが、まず病巣をしっかりコントロールすることが一番大事で、それを念頭において主治医の先生とよく相談されてください。(文責 片山)

 

No.903】 02年05月04日 D.I.
しこりについて

45歳の主婦です。3月の終わりに胆のう摘出手術を受けて今は療養中です。昨日右の乳房にしこりを発見しました。ぐりぐりした物ひとつがあって、他にも小さなものがありそうです。以前から乳腺症で年に一度レントゲンの検査をしていて、昨年11月には乳腺のう胞と言われました。それまで生理前や排卵近くに乳房が張ることはあったのですが、しこりには気づきませんでした。検査の予約をしたのですが乳腺外来は1ヶ月先だといわれました。乳腺外来以外なら予約が取れそうだったのですが、一ヶ月待つのと乳腺外来以外(外科だと思うのですが)でみてもらうのとどちらが良いでしょうか?それと胆のうの検査で、レントゲン、エコー、CT,MRIなど今年になってたくさんの検査をしたのですが またレントゲンなどをとっても体への影響は大丈夫でしょうか?ひとつ病気を治したばかりで ナーバスになっています。今度は癌?と思うと気が重くなってしまいます。癌の可能性はどうでしょうか?ご回答をお願いいたします。

乳腺外来が1ヶ月待ちというのであれば、まず乳腺外来以外で診てもらった方がいいと思います。癌かどうか心配しているより、診断をきっちりと付けた方がいいと思います。癌の可能性はわかりませんが、しこりという訴えで病院にこられる方のうち、圧倒的に癌でない方の方が多いです。レントゲンの体に与える影響は小さいです。CTやレントゲンなど一年に数回とっても被爆量はわずかです。心配はいりません。(文責 稲葉)

 

No.902】 02年05月03日 tets 
術後の化学療法について

4月17日に4分の1切除術を受けた28歳です。術後の補助療法について迷っています。診断としては、「・腫瘍径30mm ・髄様癌 ・リンパ節転移なし ・ホルモンレセプター陰性」ということで、術後の補助療法としてCMFによる化学療法を6ヶ月行うことを勧められていますが、副作用として卵巣機能に影響を及ぼし、場合によっては永久に閉経してしまう恐れがあると聞かされました。主治医の話では、この療法を行うことによって再発の約20〜30%を抑えられるというメリットに対して、卵巣機能がダメになってしまう確率が約 50%ということで、リスクがかなり大きいため、化学療法をするかしないかは本人で決めてほしいと言われました。私自身としても、再発だけは絶対に避けたいと思う反面、この年齢で卵巣機能を失ってしまうというのも納得がいきません。それでも、再発の可能性を少しでも減らすためにこの化学療法を受けるべきでしょうか?他に方法はないのでしょうか?何かよいアドバイスがあれば、よろしくお願い致します。

術後にCMF療法を受けるかどうかですが、これは大変難しいと思います。卵巣機能や将来の妊娠の事は全く考えずに、乳癌の再発予防だけで考えるなら、CMFを勧めます。この主治医の先生がおっしゃるように、CMFの再発の抑制効果は証明されています。ホルモンレセプター陰性なので、ホルモン剤は無効なので、選択肢としてはCMFが適当だと思います。しかし卵巣機能に影響を及ぼします。閉経になる率は50%程度といわれています。(閉経前に用いるホルモン剤の注射では、ホルモン療法終了後に若い方なら8割程度は月経が再開するといわれますが、ホルモンレセプター陰性なので使えません)閉経になることは乳癌の再発を抑えるという点では良いことですが、妊娠不可能になってしまう事は大きなデメリットです。乳癌の再発を抑えるほうをとるか将来の妊娠を考えて卵巣機能を温存するかは主治医の考えや科学的な根拠だけでは決められないと思います。私が主治医であっても、この主治医の先生と同じように説明して患者様に決めて頂くようにすると思います。CMF以外はあまり選択肢はないように思います。つまりCMFをやるか何もやらないで経過をみるかの2つに1つであろうと思います。厳しいようですがどちらにしても患者様が良く納得して患者様自身の考えで選んで頂くのが一番良いと思われます。(文責 稲葉)

 

No.901】 02年05月03日 M.S.
乳管内乳頭腫について

以前も多発性の乳管内乳頭腫についてご質問させていただいたのですが、その後、また不安な点が出てきたので、ご相談させていただきます。29歳、既婚、子供なし。以前のマンモグラフィー、MRI、乳管内造影、乳管内視鏡、エコー、細胞診を行った結果、8mm×16mm程度のクラスUの乳管内乳頭腫が見つかりました。そこにのう胞を作っていて、他の部位にも何箇所かのう胞があるような感じで、他に3箇所細胞診を行いましたが、他の場所はすべてクラス1ということで、多発性の乳管内乳頭腫の可能性が低くなってきたということで、手術を予定していたのですが、2ヵ月経過を見ることになりました。その時の手術は乳輪の部分を切開して乳頭腫をとる予定でした。
先日、検査に行ってきたのですが、乳頭腫が大きくなっているとのことで、再び細胞診。やはり癌が疑われるとのことで手術することになりました。細胞診で乳頭腫の所見が出ても癌のことがあるとのお話でした。そこで、まず乳頭腫だけを切除し、顕微鏡で詳しく検査をし、その後、癌があれば広範囲の手術になるとのことでした。右内側上部を大きく切除するらしく、温存は無理とのことです。
@細胞診の結果で乳管内乳頭腫の所見があっても癌のことがあるのですか?
A医師は、乳管の奥のほうに癌がある可能性があるというのですが、乳頭腫そのものではなく、乳頭腫から離れた奥のほうに癌は出来るものなのですか?(乳汁に潜血反応があり、乳頭腫からのものなのか判断できないそうです。)
Bがんは見つかっても極初期のものでしょうという話しなのですが、手術は温存は無理なのでしょうか?
C放射線療法はいらないでしょうというお話だったのですが、もし癌があった場合、そんなに点在しているのに放射線療法はいらないのでしょうか?

不安で、不安でどうしようもありません。将来子供も欲しいと思っているのですが、妊娠は出来ないのでしょうか?長くなって申し訳ありませんが、教えてください。 

@細胞診は細い針で外から触って病変と思われる部位を刺すわけです。ですから病変に当たっていないこともあります。またエコーなどで病変を診ながら針を刺したとしても、細い針ですからとれる細胞の量が少なかったり、又は細胞が壊れたりして診断を間違えるという事もあります。細胞診で正確に診断できる率は85〜90%ぐらいといわれています。細胞診で良性と出ても、癌の可能性を絶対に否定できないわけです。こういった見逃しを防ぐために、何回か細胞診を行ったり、他の診断方法(触診やレントゲン、エコーなど)も合わせて診断するわけです。
A癌は乳管のどこの部位にできてもおかしくはありません。もちろん乳頭腫と癌の合併もあります。
B温存可能かどうかは、癌がどの程度の範囲に拡がっているかにより決まります。乳癌の特徴的な拡がり方に乳管内進展があります。乳管の中を癌細胞が拡がっていくものです。乳癌は乳管の細胞から発生することが多いのですが、乳管の中に留まっている段階を非浸潤癌といって最も早い段階です。乳管の外に癌細胞が出ると浸潤癌といって、リンパ節転移や他臓器への転移の可能性が出てきます。温存手術は切除範囲が広いと、乳房の変形を来しやすいので、切除できる乳腺の量は大体決まってしまいます。最も早い段階である非浸潤癌であってもその範囲が広ければ、温存は無理になってしまうのです。一般に乳癌の病期はしこりの大きさと脇の下のリンパ節転移の有無、遠隔転移の有無で決まりますが、非浸潤癌の範囲が広いからといって病期が進むというわけではありません。しこりの大きさで問題になるのは、浸潤癌の範囲です。
Cもし乳房を切除して病変が全て取り切れてしまえば、一般的には放射線は照射しません。部分切除で乳房を残した場合は温存した乳房に放射線を照射するのが標準的な治療です。

妊娠に関しては乳房の切除自体は影響ありません。ただ乳癌であった場合、妊娠は乳癌を再発させる方向に働きますから、病理の結果如何では妊娠を少し待ってもらうこともあります。また乳癌術後に再発予防のためにホルモン剤による治療を行うことがありますが、ホルモン剤は女性ホルモンを抑えるように働くわけですから、ホルモン剤を使っている期間は妊娠は避けた方が良いです。(文責 稲葉)