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相談室

このページは乳がんに関する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 なお、個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。ご相談内容は  info@kbcts.gr.jp   まで、メールでご連絡下さい。
なお当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

目 次
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No

日 付

名 前

件  名

担 当

700-1
700-2
01/11/30
01/12/08

xxx

骨転移?
CT検査の結果

千島
千島
699 01/11/30

naka

乳がん検診について

千島
698 01/11/29

I.G.

乳頭からの分泌物

千島
697 01/11/29

Y.Y.

分泌液が気になります

千島
696 01/11/29

toi

ステロイド剤

千島
695 01/11/28

N.K.  

授乳中の診察について

千島
694 01/11/28

けこ

鎖骨あたりの痛み

千島
693 01/11/28

Y.O.

乳腺線維腺腫について

千島
692-1
692-2
01/11/27
01/11/29

R.Y.

マンモグラフィと細胞診の確実性は(1)
マンモグラフィと細胞診の確実性は(2)

千島
千島
691 01/11/27

N.N.

右腕腋下のしこり

千島
690 01/11/23

S.N.

マンモグラフィについて

千島
689 01/11/22

rika

乳首のかさぷたとただれ

千島
688 01/11/21

T.M.

痛痒くて…

千島
687 01/11/21

J

2つのしこり

千島
686 01/11/21

Masako

脇の下あたりのしこり

千島
685 01/11/20

M.K.

生検後の傷口について

千島
684 01/11/19

M.Y.

左腋の下のしこりの痛みについて

千島
683 01/11/19

M.N.

リンパの痛みについて

千島
682 01/11/18

MIKI

脇の下の痛み

須田
681 01/11/18

kamo

主人の脇の下のしこりとくぼみについて

須田
680 01/11/14

R.M.

叔母の術後について

須田
679 01/11/12

K.K.

手術後はなぜ採血してはいけないの?

須田
678 01/11/12

kaoruko

母の乳癌についてです

須田
677 01/11/11

M.H. 

右脇下のしこりについて

須田
676 01/11/10

みーちゃん

妊娠中のしこりについて

須田
675-1
675-2
01/11/10
02/12/12

S.K.

妻の乳がんに関して
再発の可能性について

須田
稲葉
674 01/11/09

yuji

乳腺腫瘍だといわれたのですが・・・

須田
673 01/11/09

coem

乳癌術後について

須田
672 01/11/06

yucco

乳首のただれ

須田
671 01/11/06

M.N.

分泌物と石灰化像について

須田
670 01/11/06

ノルバデックスの副作用について

須田
669 01/11/06

icb

肝臓転移について

須田
668 01/11/06

ルナ・ロッサ

病理検査の結果

須田
667 01/11/04

ともちょふ

乳房のすじについて

須田
666 01/11/04

A.F.

しこりを指摘されました

須田
665 01/11/04

kida

細胞診について

須田
664 01/11/04

S.T.

非浸潤性乳管癌と妊娠

須田
663 01/11/02

K.T.

しこりの摘出について

清水
662 01/11/01

S.N.

母の乳癌について

清水
661 01/11/01

M.K.

わき腹の痛み

須田
660 01/10/31

KTTW

乳がん検診にて

清水
659 01/10/30

ノルバデックスについて

清水
658 01/10/30

にゃんまま

乳房の痛みについて

清水
657 01/10/30

胸や脇、腕、背中が痛いのですが・・・。

清水
656 01/10/29

Tomo

微細石灰化像とマンモトーム生検について教えて下さい

清水
655-1
655-2
01/10/26
01/11/21

fumi

乳がん術後の転院について
タモキシフェンについて

清水
千島
654 01/10/26

O.Y.

定期検診について

清水
653 01/10/26

H.S.

妻の乳ガンについて

清水
652 01/10/26

S.Y.

術後の生活について

清水
651 01/10/23

Matsu

術後のsexについて

清水
650 01/10/23

M.K.

分泌物について

清水
649 01/10/23

T.M.

17歳、胸にしこりが…

清水
648-1
648-2
01/10/23
01/11/14

R.A.

生検について
生検についてーその後のご相談

清水
須田
647 01/10/23

N.H.

癌なのでしょうか?

清水
646 01/10/23

M.Y.

抗生物質について

清水
645-1
645-2
01/10/19
01/10/29

Y.T.

乳管内乳頭腫と乳がんの区別
乳管内乳頭腫と乳がんの区別(2)

清水
清水
644 01/10/18

S.F.

アリミデックスの副作用か?

清水
643 01/10/18

sacchi

子どもの事ですが・・・

清水
642 01/10/18

N.C.

抗がん剤について

清水
641 01/10/17

T.I.

しこりがあります

清水
640 01/10/17

なつ

手術は必要ですか?

清水
639 01/10/16

ichi

女性化乳房について

加藤
638-1
638-2

638-3
638-4
01/10/16
01/10/18
01/10/23
01/11/27

Y.N.

乳腺癌に関する質問
追加の質問です
ホルモン療法について
化学療法&骨RI

清水
清水
清水
千島
637-1
637-2

637-3
01/10/15
01/10/16
01/11/01

Nishi

左胸のしこりについて
乳腺線維腺種について
脂肪腫について

加藤
清水
清水
636-1
636-2

636-3
636-4
636-5
01/10/12
01/10/23
01/10/29
01/12/27
02/01/24

K.D.

乳ガンの手術について
手術後の痛みについて
別のしこりについて
術後の治療について
骨転移の可能性について

加藤
清水
清水
緒方
籾山
635-1
635-2

635-3
01/10/12
01/10/15
01/10/30

J.N.

手術後の化学療法について(1)
手術後の化学療法について(2)
病理検査結果について

加藤
加藤
清水
634 01/10/11

T.M.

生検したほうがいいのでしょうか?

加藤
633 01/10/11

H.F.

乳腺線維腺腫について

加藤
632 01/10/08

J.T.

右乳房の痛みについて

加藤
631-1
631-2

631-3
01/10/08
01/10/09
01/11/20

Y.K.

良性のしこりと言われましたが・・・
もう少し、お聞きしたい事が有るのですが・・・
しこりの大きさの変化について

加藤
加藤
千島
630 01/10/07

りんご

レントゲンに写ったリンパについて

加藤
629 01/10/07

maeda

マンモトーム生検について

加藤
628 01/10/07

R.N.

ホルモン療法の変更について

加藤
627 01/10/07

M.M.

左胸に違和感があります

加藤
626 01/10/06

A.O.

母の症状で気になる事について

加藤
625 01/10/06

N.N.

豊胸術後のしこりについて

加藤
624 01/10/04

ごんべい

自己検診の仕方について

加藤
623 01/10/03

ハニーB

ノルバテックスと妊娠について

加藤
622 01/10/01

M.N.

骨転移について

片山
621 01/09/30

C.I.

胸のしこりについて

片山
620-1
620-2
01/09/29
01/10/04

suzu

乳癌に関する質問
再発と薬の関係について

片山
清水
619 01/09/28

tomo

微細石灰化について教えてください

片山
618 01/09/28

K.M.

ノルバデックス & ロキソニン

片山
617 01/09/27

T.I.

乳頭からの分泌物?

片山
616-1
616-2

616-3
01/09/27
01/10/16
01/11/19

smile

左胸のしこりについて
結果報告します
乳癌術後の治療について

片山
清水
千島
615 01/09/25

T.S.

胸のしこりについて

片山
614 01/09/25

なおちゃんママ

右胸のしこりについて(10才)

片山
613 01/09/24

Y.Y.

乳汁分泌

片山
612 01/09/23

T子

手術の必要性について

片山
611 01/09/23

Y.H.

ホルモン療法中に避けた方がいい食べ物ってありますか?

片山
610 01/09/22

P.C.

腋の下の痛みについて

片山
609 01/09/22

E.A.

局所再発の治療について

片山
608 01/09/20

T.K.

乳癌術後の精神状態について

片山
607-1
607-2

607-3
01/09/20
01/09/23
01/10/06

nao

乳汁分泌(1)
乳汁分泌(2)
線維腺腫について

片山
片山
須田
606 01/09/16

miya

ホルモン療法を受けるべきですか?

片山
605 01/09/16

YOSHI

乳癌と妊娠、再建術

片山
604-1
604-2
01/09/16
01/09/30

N.M.

乳癌になる可能性は?
石灰化、MRIについて

片山
片山
603 01/09/15

device

手術後の治療法

稲葉
602 01/09/15

Y.K.

乳頭のただれ及びかゆみについて

稲葉
601 01/09/13

M

細胞診の結果について

稲葉
 

 

No.700-1】 01年11月30日 xxx             
骨転移?

現在34歳、独身です。1997年の12月に右乳房温存術を行い、その後CAF2クール・CMF6クールの化学治療とゾラデックスのホルモン療法を三年間受けました。リンパへの転移はありませんでした。現在では、半年に一度の定期検診のみで、手術前と何ら変わりのない生活をしています。運動も仕事も・・・。
一週間程前に、久しぶりにゴルフのラウンドを終えてから、腰の痛みが治まりません。7・8年程前にヘルニアを患ったのですが、痛みの感じが似ているような似ていない様な・・・。乳がんの転移として、骨へと言う事も考えられなくはないと思うのですが。転移の場合、日にちの経過があっても痛みが治まる事はないのでしょうか?絶えられない様な痛みがあるのでしょうか?痛みの表現は、千差万別だとは思いますが、統計的にどのような痛みなんでしょうか?骨シンチの検査を受けなくても、血液検査だけで転移の可能性は出るものなんでしょうか?お手数ですが、教えて下さい。よろしくお願いします。

骨転移の痛みは、転移が生じた場所によって症状が異なります。転移した骨の局所症状のみの場合もあれば、腰椎転移などでは、骨破壊によって二次的な神経圧迫症状などが出現することもあります。通常、骨転移に対する治療を行わなければ、痛みは進行性であり、症状の自然消失はあまり期待できません。血液検査で測定する乳癌の代表的な腫瘍マーカーとして、CEA、CA15-3、1CTPなどがあり、その中で最も感度が高いのはCA15-3と考えられています。しかし、乳癌の転移、再発があっても、腫瘍マーカーが上昇するのは50〜70%程度とも報告されています。各種腫瘍マーカーのうち、骨転移での骨吸収の指標として使用されているのが1CTPですが、あくまで骨関連事象の指標でしかないので、乳癌の骨転移に特異的とは言えないのが実情です。臨床症状などで骨転移を疑う場合は、骨シンチグラム、局所のX線写真、CT、MRIなどの検査を総合して判断しますが、全身スクリーニングとして施行するには、骨シンチグラムが有用と考えます。貴女の場合は、以前患った椎間板ヘルニアと同じような痛みであること、ゴルフのラウンド終了後から痛みが出てきていることと考え合わせると、骨転移によるものよりも、整形外科的な疼痛のほうが考えられると思います。いずれにしても主治医に相談して精密検査を受けるようにしてください。(文責 千島)

 

No.700-2】 01年12月08日 xxx             
CT検査の結果

No.700-1でお世話になりました。丁寧な御回答、ありがとうございました。先生のご指示通り、昨日検査に行って参りました。簡単な問診後、X線・CT検査を受けましたが、「CTの内容・詳細は外科医では解らない。」「今週の土曜日に放射線科の医師が来るので、結果はその時に説明します。」と、回答が返ってきました。それで先生にお聞きしたいのですが、上記の様な内容は珍しい事ではないのでしょうか?CT検査の内容は、放射線科の医師にしか解らないものなのでしょうか?それとも、骨への転移の場合、放射線治療が必要な為、放射線科の医師が必要と言う事なんでしょうか?土曜日まで不安で眠る事も出来ません。先生の見解をお聞かせ願えますでしょうか。

病院によって異なりますが、診療科が専門化されているような大きな病院では、CT、MRI、シンチグラムをはじめ胸部X写真に至るまで、専門の放射線科医が画像を読影して、写真と共に診断レポートが添付される場合があります。あらかじめ病変があることを予想して、画像検査をオーダーしている場合は、各科の主治医でも病変部位の診断は容易ですが、他の目的で撮影した画像内に、偶然合併している病変を認めることも少なくないので、主治医と放射線科医がダブルチェックを行って、より確実な診断を行うようにしています。日本では、現在も画像診断の多くは主治医によって読影・診断されていますが、欧米での画像診断は、放射線科医による読影・診断が最優先されます。今回の場合も、主治医は放射線科医の最終レポートが届いてから、貴女へ最終結果を報告するという意味ではないでしょうか。(文責 千島)

 

No.699】 01年11月30日 naka                
乳がん検診について

はじめまして。教えていただきたいことがありメールいたしました。お忙しい中、申し訳ありませんがよろしくご教示ください。10月末の生理時に、右乳房に痛みがあるごりごりしたしこり(あお向けに寝転んでさわると、ひらべったいふかひれのような形にさわり、起き上がって乳房の根元からつかむようにさわるとかたいものがつかめるような感じ)があることに気づきました。たまたま風邪で通院していた医院に外科の医師がいらしていたので(乳腺専門ではなく、心臓医とのことですが、がん検診の経験はあるとのこと)診察してもらいました。その結果、右乳房にしこりがあるということで、超音波検査を別の日に受け、「特に悪いものは移っていない。乳管が拡張している」という診断で、”生理が終わったらしこりは消えます”と言われました。ところが、生理が終わっても、大きさは小さくなったような気がするだけでしこりのようなものはなくならず、会社の保健婦に聞いてみたところ「専門医にみてもらったほうがいい」という助言を受けました。受診するのも不安になり、様子をみているうちに次の生理。やはりごりごりとした感じのしこりはあり、さらに大きくなったような気がして、心配で食事もとれなくなり、生理終了をまって、JR東京病院乳腺外科を受診。超音波、マンモグラフィーの結果、「乳腺症」と診断されました。(触診はやっていません)
そこで質問なのですが
・乳腺症と診断された場合、乳がんの自己検診はやるだけ無駄なのでしょうか?診察時に聞いたところ、「乳腺症の人はさわってもわからないから無駄」と言われました)
・現在は問題なし、と診断された場合、検診などはどの程度の頻度でいけばいいのでしょうか?今の年齢は34歳です。子供は1人、6歳(授乳期間は4年)。母親、兄弟に乳がん経験者はいません。(常になにかしら乳房にあるように触るため、がんの不安が常にあって、自分でもいやになるくらいです)
以上2点です。お疲れのところ申し訳ありませんがよろしくお願いします。

人の乳腺は一側で15〜20の区域に分かれており、この一つ一つの区域を「腺葉」と呼びます。このそれぞれの腺葉から、母乳などの分泌物を集めて乳頭まで運ぶ道となる管を「乳管」と呼びます。つまり乳頭にはそれぞれの腺葉から集まってきた、15〜20の乳管が開口しています。もう少しわかりやすく説明すると、「腺葉=ぶどうの房全体」と考えると、「乳管=ぶどうの蔕(へた;軸の部分)」ということになります。貴女が触知する「ひらべったいふかひれのような形」をイメージするのは少々難しいのですが、おそらく正常乳腺(腺葉)の末梢の方を触っている感覚なのだと思います。特に乳腺は乳房の外側上方1/4が一番発達しているので、乳腺症の人では、乳房の周囲で硬く結節状になった乳腺を触知します。貴女の場合は乳腺外科のある医療機関で、乳腺症と診断されているので、現時点では乳癌を思わせるような腫瘍性病変はないと考えてよいと思います。確かに乳腺症の乳房は、専門医が触診しても小さな腫瘤を見つけるのは困難な場合があり、往々にして超音波検査や乳房撮影でも、実質乳腺が障害となって乳腺内の腫瘤の同定も難しくなります。では、「ひどい乳腺症の患者さんはどのようにして乳癌を発見すればよいのか?」ということになります。一つの方法としては、一年に一度は必ず乳腺専門医の診察を受けることだと思います。専門医が発見できなかったような小さな乳癌が、6〜12ヶ月で急激に大きくなることは少ないので、定期的な診察を受けていれば、たとえ乳癌が発見されたとしても、比較的早期である可能性が高いと思います。他の方法としては、やはり月に一度の自己検診を行うことです。乳癌の自覚症状として一番多いのは、90%が乳房腫瘤であり、やはり早期発見のためには、自己検診が極めて大切であると言われています。自己検診の方法としては、生理が終了してから数日以内に、肋骨に沿って外側から内側へ向けて、指の腹を滑らすようにして乳房全体を圧迫してみてください。もし自己検診に自信がないようならば、近くの医療機関、保健所等でも自己検診の指導をしていますので、利用してみるのも一つの方法だと思います。貴女の場合、現在の状態(生理終了後のしこりの硬さ、位置、大きさ)を基準にして、これから先の自己検診でしこりや結節、痛みの状態が変わってくるようならば、定期検診を待たずに主治医の診察を受けるようにすれば良いと思います。大切なのは、あまり心配し過ぎないことです。確かに近年乳癌患者は増加傾向にありますが、それでも人口1万人に対して2〜3人の確率です。誰もが乳癌に罹るわけではないですし、仮に乳癌になったとしても、自己検診等で早期に発見されれば、90%の確率で治癒せしめることが出来るのです。あまり神経質になりすぎて、日常生活に支障をきたすほうが、よほど生活の質が低下してしまうことと思います。一月に一度の自己検診時以外は、乳房のしこりについては忘れるようにしましょう。(文責 千島)

 

No.698】 01年11月29日 I.G.                
乳頭からの分泌物

33歳、子供が1人(2歳)います。6月に両方の乳頭から透明と白色の分泌物があり、婦人科を受診しました。エコーの結果は特に問題もなく、その後、液体状の分泌物もなくなったので何の治療もしませんでした。ただ、4月頃からずっと入浴中や特にお風呂上りにバスタオルで拭いた際に、両方の乳頭に複数の固形状のチーズのようなものがついています。白色のごく小さなもので、爪でこすると取れます。でも、乳頭を強くつまんでも何も出てはきませんし、しばらくして体が乾くと目立たなくなります。(ちなみに乳首は陥没はしていません。) これは何なのでしょうか? 

正常の乳腺からも透明〜やや白色の分泌物を認めます。これらが乳頭の先に溜まって乾燥すると、白色のかさぶた様の付着物となって気づかれることがあります。このような場合は病的ではないので経過観察をして問題ないと思います。加齢や慢性炎症の繰り返しなどによって、乳頭直下の乳管が過度に拡張した場合にも、乳頭圧迫によって透明〜黄褐色、血性、クリーム状の分泌物を認めることがあります。この状態を乳管拡張症といいます。この疾患は超音波検査で、乳頭直下に乳管の拡張像を認めることで診断されます。自覚症状が乳頭分泌物のみならば、特に治療を必要としませんが、細菌感染が起きて乳頭・乳輪付近に発赤や疼痛を伴ったり、乳頭だけではなく周囲の乳輪からも膿汁の排泄を認めるようなときには、外科的治療が必要となります。ただし発赤や痛みがなくても、乳頭からの分泌物が血性(〜赤褐色)の時には、乳癌等との鑑別が必要になってくるので注意してください。貴女の場合は、色も透明〜白色で分泌物の量も多くないようなので、経過観察をしていてよろしいと思います。あまり気にして触りすぎると、細菌感染などの炎症の引き金になりやすいので気をつけてください。今後、しこりや痛みが出現したり、分泌物の量の増加、分泌物の色調が血性〜赤褐色に変化するようならば、一度専門医(大きな病院の乳腺外来)の診察を受けるようにしてください。(文責 千島)
 

 

No.697】 01年11月29日 Y.Y.                 
分泌液が気になります

40歳の1児の母です。36歳で子供を産み、子供が1歳1ヶ月の時に断乳しました(おっぱいの張りは氷で冷やして収めました)。子供が2歳になるまでずっと母乳が少し出て,おっぱいが張っていました。子供が2歳のとき離婚したためでしょうか、おっぱいを欲しがるようになったので4歳になるまで2年間、睡眠前などに含ませていました。再び止めてから半年経っています。今でも生理中以外は胸が張り、分泌液?母乳?が数滴出てきます。どうかすると噴出するときもあります。色は乳白色です。保育士の仕事を再開して3ヶ月。0歳児のお世話をしている為かと思っていましたが、最近特に張ってくるので・・・。友人から分泌液があるときは乳がんの可能性があると聞き、気になっています。背中も背骨のところが痛くてしびれています。肩も凝るし、しびれるし、すべてが乳がんと結びついているのですが、病院にいくべきでしょうか?

授乳期から継続的に見られ、両側性、乳白色の乳頭分泌物は、乳癌を疑うような所見ではありません。半年前まで授乳を続けていたのだから、このような乳汁漏出が続いていても不思議ではありません。ただ、出産後4年が経過しているにもかかわらず、乳汁が噴出するほど分泌されるのも問題があります。このような持続的な乳汁分泌を乳漏症といいます。乳漏症の原因には、血中の乳汁分泌ホルモンが正常より高いことが多く、病的である場合には薬剤での治療が必要になります。一度婦人科の先生に相談してみることをお勧めします。参考までに乳癌や、乳管内乳頭腫(良性腫瘍)で認められる分泌物は、血性、もしくは赤黒い色を呈しております。このような分泌物を片側の乳房で認めるときには、乳腺の専門医に相談してください。また、通常の乳癌で肩こりやしびれが出現することはないので安心してください。(文責 千島)

 

No.696】 01年11月29日 toi                   
ステロイド剤

はじめまして。現在28歳です。今年からANABOL TABLETS(D−bol)のみのサイクルをしています。アナボリックステロイドです。
第1週 一日あたり15mg
第2週 一日あたり20mg
第3週 一日あたり25mg
第4週 一日あたり30mg
第5週 一日あたり20mg
第6週 一日あたり10mg
第7週 D−bolの摂取はしまっせん。Clomidを一日あたり100mg
第8週 D−bolの摂取はしまっせん。Clomidを一日あたり50mg

今回で3度目のサイクルの終了になるのですが、気になることが起こりました。いつもならば、第5週と第6週に一日あたりNolvadexを10mg飲むのですが、今回のサイクルでは、けちってしまい、第6週だけ一日あたりNolvadexを10mg飲みました。第5週目にNolvadexを飲まなかったわけです。第8週のサイクル終了後、多少の乳首の勃起があったのですが、そのままほっておきました。それから約2週間後に右乳首の下らへんに、米粒だいのコロコロした小さい物を感じました。3日前から、1日あたりNolvadexを10mg飲んだのですが、乳首の下の米粒だい(2粒ぐらいの大きさです)のシコリが無くなりません。友達に相談したのですが、もしかしたら癌かもと言われ急に心配になりました。このままNolvadexを飲み続ければ、このシコリは消えるのでしょうか?一日にNolvadex10mgでは効果がないのでしょうか?自己治療では限界もあるので、もしよければ、医療機関を教えてもらえないでしょうか?僕は東京の江東区に住んでいます。よろしくお願いします。

Protein anabolic steroid 剤の適応は@骨粗鬆症、乳腺症、下垂体性小人症。A著しい消耗状態:慢性腎疾患、悪性腫瘍、手術後、外傷、熱傷。B骨髄の消耗性疾患:再生不良性貧血となっています。また、Clomid の適応は排卵障害にもとづく不妊症の排卵誘発のみであり、Nolvadex の適応は乳癌のみとなっています。いずれにしても、適応症に従った医師の処方箋がなければ服用できない薬ばかりであり、それぞれが強力に体内のホルモン環境を変化させる、副作用の強い薬ばかりです。特にProtein anabolic steroid 剤に至っては、通常の服用量をはるかに越える量を使用しており、いかなる副作用が出現しても不思議ではありません。前立腺癌の誘発はもとより、突然死などの原因になる可能性も充分にあります。乳房のしこりに関しては、実際に診察をしていないので確定診断は出来ません。今回起きたトラブルの一番よい解決方法としては、まず第一に、適応症の範囲を逸脱したホルモン剤の内服を中止することです。そして、その後も自覚症状が改善しない場合は、乳腺外科のある病院を受診することです。(文責 千島)
 

 

No.695】 01年11月28日 N.K.                    
授乳中の診察について

32歳、3ヶ月になる子供がいて、母乳をあげています。1ヶ月程前、(それ以前からあったのかどうか分かりません)授乳中、左胸下のしこりに気づきました。産院で見てもらったところ授乳していれば、そのうち無くなるといわれましたが、その後、授乳してもしこりは無くなりません。心配なので病院へ行かなければと思っていますが、授乳中でもきちんとした診察ができるのでしょうか?また、結果が悪ければ、授乳は強制的に中止ということになるのでしょうか?

授乳中に出来た比較的軟らかいしこりとして乳瘤というものがあります。これは何らかの原因で母乳がうっ滞して、乳房内に腫瘤を形成したもので、超音波断層法などの検査で比較的簡単に診断が出来ます。自然消滅する場合もありますが、腫瘤が大きい場合には、針で穿刺して内容物を吸引します。産科の先生に「自然になくなる」と言われたようなのでまず心配ないと思いますが、腫瘤が消失しないようであれば、一度乳腺専門医の診察を受けることをお勧めします。(文責 千島)
 

 

No.694】 01年11月28日 けこ                   
鎖骨あたりの痛み

左の鎖骨のあたりから脇にかけて時々痛みます。乳がんはあまり痛まないと聞いたのですが、痛む原因が思い当たらないため、不安になりメールを送りました。乳がんの可能性やその他の病気の可能性、どんな病院で診てもらえばいいのか、教えてください。

通常、乳癌は痛みを伴わない腫瘤として発見されます。鎖骨付近には乳腺組織も存在していないので、貴女が訴えている痛みから、乳癌を心配する必要はないと思います。参考までに乳癌の自覚症状として多いものを記載しておきます。1.乳房内腫瘤の触知(88.1%)、2.生理と無関係な鈍痛(4.7%)、3.乳頭分泌物(3.6%)、4.乳頭びらん(0.6%)、5.乳頭陥凹(0.3%)の順になっています。貴女の年齢にもよりますが、「左の鎖骨のあたりから脇にかけての痛み」については、特に症状の悪化を認めなければ様子を見ていて構わないと思います。もし、貴女が成人病を心配するような世代ならば、肺、胸膜、心臓等の疾患も否定できませんので、一度内科医に相談してみてください。(文責 千島)

 

No.693】 01年11月28日 Y.O.                    
乳腺線維腺腫について

左側の乳輪の下あたりにこりこりとよく動くしこりを発見しました。急いで乳腺外科を受診し、細胞診をしたところ乳腺線維腺腫という良性の腫瘍と診断されました。大きさは7ミリくらいで、特に切除する必要はないとのことでした。経過観察ということで、3か月後また来て下さいと言われました。私としてはこんなしこりが胸にあると思うと夜も眠れません。大きくなる可能性があるのなら、小さいうちに切ってしまいたいのですが・・・。3か月も待っていられません。本当に切る必要はないんでしょうか?線維腺腫は大きくならなければ放っておいていいんでしょうか?また腫瘍が小さくなることはあるんでしょうか?

線維腺腫は20〜30歳代の女性に多い乳腺の良性腫瘍です。触診上は消しゴムを押したような弾力のあるしこりで、通常は痛みもなく、周りとの境界がはっきりしていて、触ると良く動きます。病変は1箇所の場合が多いのですが、10%位の症例では一側の乳房に多発したり、両側性に発生することもあります。線維腺腫は閉経期まで増大してくる可能性がありますが、若い女性では自然に消失してしまうこともありますので、貴女のように腫瘤が小さい場合は経過観察をしていてもよいと思います。一般的に外科的切除の対象になるのは、@画像診断、細胞診で癌などの悪性所見が疑われるもの。A発見時に5cmを超えるような大きな腫瘤。B経過観察中も増大傾向を認めるもの。C高齢者の線維腺腫。D下着などがあたって痛みを伴う場合などが考えられています。初期の頃には3〜6ヶ月毎、増大傾向が認められないときには1〜2年毎に診察を受けるようにしてください。(文責 千島)

 

No.692-1】 01年11月27日 R.Y.                    
マンモグラフィと細胞診の確実性は(1)

33歳、6歳と3歳の子供があり、癌家系ではありません。1年前に左外中部に5mm大のしこりを見つけ、乳腺外科を受診しました。触診・マンモ・エコー、いずれも悪性を疑うような所見がなく、「しこりが小さいので針細胞診では命中しないかもしれないので意味が無い、しかし生検が必要なほどのものとは思えない」との診断でした。その後しこりが大きくなることはありませんでしたが、念のためにと思い、セカンドオピニオンを求めて別の乳腺外科で、触診・マンモ・エコー・細胞診(注射針で細胞を吸引するもの)を受診しました。現在は細胞診の結果待ちです。実はその時のマンモグラフィには金屑のような微細な石灰化が写り、それまで「線維腺腫でしょう」と言っていた医師も癌の可能性を示唆しています。あと数日で細胞診の結果が出ますが、癌を疑う石灰化があったということは、結果がどうあれ生検が必要なのではないかと思うと、はじめから生検を希望すればよかったと思っております。しかも細胞診の際、しこりが小さくころころとよく動くので、なかなか命中せず苦労されていました。気が早いとは思いますが、細胞診の結果をどこまで信じてよいのか、聞く前から不安に思っております。癌の石灰化によく似た良性の石灰化というものもあるものでしょうか?どんな結果が出ても生検を希望すべきでしょうか?もちろんクラス?、?といった結果が出てしまえば愚問になりますが、子供が小さいので、「良性の可能性」を追い求めたい気持ちでいっぱいです。

マンモグラムの石灰化には明らかに良性の石灰化から、良・悪性の鑑別を必要とするものまで多彩です。通常線維腺腫の石灰化は比較的粗大な円形を示し、石灰化の中心部分が透けている場合もあります。癌を疑う石灰化としては微細円形(0.5mm以下の円形石灰化)、淡く不明瞭な石灰化、多形成・不均一(形が不整で角を有する石灰化)、微細線状・分枝状(0.5mm以下の石灰化が線状や、枝分かれ状に配列している石灰化)などがあります。特に多形成・不均一、微細線状・分枝状の石灰化は癌の可能性が高いと考えられています。画像診断と共に、体への侵襲が比較的少ない細胞学的診断が行われます。細胞診は、細い針を腫瘍にさして腫瘍内の細胞を吸引します。一般的に細胞診の結果は以下の5段階に分かれ、施設によってはVをaとbに分けて診断します。

T:正常細胞のみを含む
U:炎症等の細胞変形を認めるが、正常範囲の細胞を含む(良性腫瘍が含まれる場合もある)
Va:正常細胞とは異なる細胞を含む(良性の可能性が高い)
Vb:正常細胞とは異なる細胞を含む(悪性の可能性がある)
W:癌細胞に似た細胞を含む(70〜90%が癌)
X:明らかに癌細胞を含む

細胞診の正診率には施設によって差がありますが、Vaまでが良性、Vb以上を悪性とし、感度(悪性を悪性と診断できる率)は約90%、特異度(良性を良性と判断できる率)は約92%程度になるという報告もあります。ちなみにこの報告ではXと診断した場合、悪性であった確率は100%、Wの場合で92.9%、Vbの場合で71.4%と報告されています。一回で確実に細胞が吸引されていない場合も少なくないため、画像診断で悪性が疑われる場合は、結果がT、Uであっても、何回か繰り返して細胞診を施行することもしばしばあります。このように画像診断と細胞診の結果を総合的に判断して良・悪性を診断しますが、この二つの所見が食い違うような場合には、最終的に組織診断で癌細胞の有無を証明する必要があります。組織学的診断には、主として外科的に皮膚を切開して組織の一部を切り取る方法と、マンモトームという器械を用い、生検針(太い針のようなもの)で組織を吸引しながら切り取る方法が用いられています。組織診を行うか否かは、主治医が視触診、画像、細胞診の結果を総合的に判断して施行します。貴女の場合も、初めは細胞診から施行するのが通常の診断手順だと思います。仮に診断が乳癌であっても、細胞診の結果を待つ1・2週間で、癌が急激に進行するとは考えにくいので安心してください。良性・悪性いずれの場合でも、もし貴女が腫瘤を抱えていること自体に不安を感じるのならば、診断をかねて腫瘤を摘出するのも一つの手段だと考えられます。いずれにしても、あまり一人で心配しすぎるよりは、一度主治医の先生に相談してみることをお勧めします。(文責 千島)

 

No.692-2】 01年11月29日 R.Y.                    
マンモグラフィと細胞診の確実性は(2)

お忙しい中、非常に丁寧なご回答を有難うございました。実はご返信を頂く1日前に、ちょうど細胞診の結果が出たところでした。クラス1でした。しこりに的中しても「正常細胞のみ」ということもあるのでしょうか?前回のメールでも書きましたが、しこりに的中させるのに医師が苦労されていた上での細胞診でしたので、正確に採取されていない可能性も示唆されました。ただ診断前に不安に思っておりました石灰化が、主治医曰く「”明らかに誰が見ても癌”というものではない」とのことでしたので、今後もう少し様子をみようという気持ちにはなっています。

今回の検査では、細胞診がClassTであったとのことですね。ClassTという結果については、2通りの考え方が出来ます。@今回の「しこり」は腫瘍ではなく、乳腺症など正常組織の一部であった。A採取された細胞は、腫瘍からではなく周囲の組織からであった。今回、主治医は超音波ガイド下で穿刺されたようなので、@である可能性が高いと考えます。いずれにしても、マンモグラムの石灰化も悪性所見の典型ではない内容なので、定期的に経過観察をしていけばよいと思います。今後の検査については主治医の先生と相談してください。(文責 千島)

 

No.691】 01年11月27日 N.N.                     
右腕腋下のしこり

右腕のわきの下の内側辺りに、ころころとしたものが皮膚の内側にできています。昔からあったんです。でもすごく小さかったんです。それが妊娠したら急に少し大きくなって痛いんです。触らなくてもポコッとふくれているのがわかるくらいです。何か炎症しているんでしょうか。教えてください。

もし発赤を伴っているようならば、リンパ節や皮膚の膿瘍などが考えられます(相談室No684, 686参照)。今回は妊娠を契機に大きくなってきているようなので、副乳の可能性が高いと思います。副乳というのは胎生期の乳腺原基が遺残したものと考えられています。もう少しわかりやすく説明すると、人間は犬や猫の哺乳類と同じように、胎児期には腋の下から鼠径部(足の付け根)にかけて、左右対称にいくつもの乳房が存在しています。これらの多くは母体から生まれてくるまでに退化してしまい、現在のような左右一対の乳房が残るのみとなります。両側(もしくは片側)の腋の下は、退化しきらなかった乳房が残りやすい場所で、この隠された乳房を「副乳」といいます。思春期以降の女性で、本来の乳房の発達に伴って副乳が目立ってくる人も少なくありません。思春期に気づかなくても、妊娠などを契機に副乳の存在に気づく人もいます。副乳自体は病気ではなく、治療の必要もありません。真性の副乳では、乳腺組織、乳管、乳頭が完成されており、授乳期に母乳を分泌することもありますが、多くは一部の器官のみが残存しており、完成された乳房にはなっていません。貴方の場合は乳頭に相当する突起がないようなので、乳腺組織の一部のみが残っている可能性があります。
もちろん直接診察させていただいた訳ではないので、副乳以外の可能性も否定できません。貴女の場合は痛みを伴っているようなので、一度専門医に確定診断を受けるようにしてください。(文責 千島)

 

No.690】 01年11月23日 S.N.                     
マンモグラフィについて

乳がん検診について質問です。27歳です。最近、低容量ピルを飲むようになったので、乳がん検診も定期的に受けないといけないな、と考えています。自分で触ってみても、骨だか何だかよく分からないので・・・。一般的に、乳がん検診といえば触診&マンモグラフィですか?マンモグラフィ、立った姿勢で胸だけ挟んで撮るって聞いたんですが本当ですか??私は超貧乳で、挟むようなお肉は無い!と自負しているのですが、それでもちゃんとマンモグラフィは撮れるのでしょうか???それとも他の方法があるんでしょうか?バカな質問で申し訳ありませんが、教えていただけるとうれしいです・・・。

乳癌検診の方法は精度、高率、経済性を検討しながら、各施設、自治体が独自の方法で行っているのが現状です。一般的には触診を主としていますが、マンモグラフィ、超音波断層法などの画像診断を導入して、より正確な乳癌検診を行っている施設もあります。特に平成10年3月に、厚生省(現在の厚生労働省)から発表された乳癌検診の有効性評価に関する研究報告では、「視触診による乳癌検診は、本人が無症状の場合は死亡リスク低減効果を認めるが、有効性を示す根拠は必ずしも充分ではない。マンモグラフィによる検診には、有効性を示す確かな証拠がかなり認められることから、検診へのマンモグラフィ導入に関して早急な対応が求められる」との勧告があってから、多くの施設、自治体でもマンモグラフィ導入検診を行うようになってきました。現在、法律では30歳を越えた女性は乳癌検診を受けられるようになっていますが、閉経前の女性では乳腺組織の密度が高い場合が多く、マンモグラフィ検診不適切症例も少なくありません。当院が所属している横浜市でも、平成13年10月から乳癌集団検診のシステムを改正しました。30歳から49歳までの女性には、1年毎の視触診による検診を、50歳以上は2年毎(偶数年女性)に視触診とマンモグラフィを併用した検診を行っています。マンモグラフィは立位で乳房を圧迫して撮影しますが、乳房の大きさで撮影が出来ないということはありませんので安心してください。必要なときは、男性でもマンモグラフィ検査を行うことも可能です。貴女は低容量ピルの服用をしているとのことなので、参考までに経口ホルモン剤と乳癌発生リスクについて記載しておきます。現在、低容量ピルを服用している場合、乳癌の発生リスクは非服用者に比べて1.24倍に増加しますが、服用中止後10年経過すれば、発生リスクは1.01倍まで低下して、ホルモン剤の影響はほぼなくなると考えられています。29歳以下の女性は乳癌検診の対象となっていませんが、貴女は経口ホルモン剤を服用中とのことなので、一度乳癌検診を受けてみることをお勧めします。もし都合がつかないようでしたら、少なくとも月に一度の自己検診を行うことをお勧めします。生理が終了してから数日以内に、肋骨に沿って外側から内側へ向けて、指の腹を滑らすようにして乳房全体を圧迫してみてください。もし自己検診に自身がないようならば、近くの医療機関、保健所等でも自己検診の指導をしていますので、利用してみるのも一つの方法だと思います。(文責 千島)
 

 

No.689】 01年11月22日 rika                    
乳首のかさぷたとただれ

始めまして。私は29歳の独身です。1週間ほど前から乳首にかさぶたがでてきて、一部ただれてしまいました。先日、婦人科に行ってみてもらったのですが、その先生はよくわからないとの事でした。しばらく軟膏を塗って様子をみて治らなかったら外科に行きなさいと言われました。こちらのホームページをみてPaget病に似た症状だと思いました。ですが私の場合、両方に急にでてきたので少し違うところもありました。片方はほくろほどの大きさのかさぶたが6個、もう片方がほくろ2個分くらいのが3個です。”ただれの状態は、通常ゆっくり(1年に数ミリ)広がっていき”とは違いました。Paget病以外でこのような症状がでる場合はあるのでしょうか。先生は乳癌は普通片方だから違うと思うよっておっしゃってましたが、とても不安です。

貴女がご心配されているように、乳頭・乳輪付近の乳癌にPaget病という乳癌の一亜型が存在しています。確かにPaget病は乳頭・乳輪部に病変を認め、乳頭びらん(ただれ)、痂皮(かさぶた)、湿疹様変化で自覚されることが多いといわれていますが、頻度的には全乳癌のうち0.4%程度と比較的まれな特殊な乳癌です。29歳という貴女の年齢、両側性、かさぶたのような腫瘤を形成するなどの点を考えると、Paget病の可能性はほとんどないと思われますので安心してください。それでは今回の質問にあるような、乳頭のただれやかさぶたは、いったい何なのでしょうか?最終的な診断に関しては、貴女を診察させていただいていないのではっきりとした事は言えませんが、一般的に考えられることを以下に記載しておきます。
閉経前の女性では、性周期や体内のホルモン環境の影響で、生理的に「乳頭のただれ様」症状を認めることがあります。この場合、多くは両側の乳頭が同じように「ただれ」て見えます。解剖学的には、女性の乳頭には一側で15〜20の乳管が開口しています。この乳管は、腺上皮と呼ばれる湿潤傾向の細胞が表面を覆っていますが、乳頭や乳輪は扁平上皮と呼ばれる乾燥や刺激に強い細胞が表面を覆っています。閉経前の女性では、体内のホルモン環境によって、乳管の腺上皮が乳頭側まではみ出して増殖することがあるため、一見湿潤しているように見えることがあります。この状態を「ただれ」と勘違いして病院を受診する人も少なくありません。これはあくまで生理的な変化であって、治療の必要はないので安心してください。このような腺上皮のはみ出しに伴って、表面に「かさぶた様」の付着物を認めることもあります。通常は白色〜黄色なのですが、物理的刺激で出血を伴えば、茶〜黒色でも不思議はありません。ただ、血性の「かさぶた」の場合は、血性乳頭分泌物が固まった場合もありますので注意が必要です。
ここから先は、あくまで参考意見として記載しておきます。乳頭から血性分泌物を認める場合、乳腺炎、乳腺症、乳管内乳頭腫、乳癌などの疾患が考えられます。年齢などによっても異なりますが、そのうち約20〜40%の症例で乳癌が認められます。この場合は乳房撮影、超音波エコー、分泌物の細胞診、CEA量(癌細胞が分泌する物質)の測定を行います。しかし、このような場合も両側性であることは少ないので、貴女の場合は可能性が少ないと考えます。
いずれにしても、あまり気にしすぎて乳頭を触っていると、乳頭から細菌が侵入して乳腺炎を発症する危険があるので注意してください。症状が継続して不安を感じるようならば、一度専門医の診察を受けることをお勧めします。(文責 千島)

 

No.688】 01年11月21日 T.M.                     
痛痒くて…

3〜4ヶ月くらい前から右の乳輪のまわりが皮膚が乾燥したようにカサカサしてとても痒かったんですが、3週間ぐらい前から乳首の下に直径1.5センチ、高さ3ミリぐらいのしこりがあります。乳首は痒いのですが、しこりを押したり触れたりするととても痛いです。また、たまにですが痒みのあまり乳首を抓ると汁が出ます。何色かは量が少なくてわからないのですが、たぶん透明な感じがします。病院に行くべきか迷ってます。乳癌では? と不安になっています。ちなみに25歳、男です。

25歳男性、乳輪の皮膚症状が先行した後に乳首の下に出来た圧痛を伴う腫瘤(内溶液が透明)、これだけの情報から診察をしないで診断を下すのはとても難しい状況です。分泌物が乳頭から出てくるようならば、何らかの原因で乳管内に分泌物が貯留している可能性もあります。通常、男性では女性のように乳腺は発達していないので、乳腺で生成された分泌物が乳頭から排泄されることはありません。しかし、特別なホルモン剤を服用していたり、脳下垂体に腫瘍が存在したり、女性化乳房(高度肥満を含む)を伴うような場合は、生理的範囲を超えて乳腺組織が発達することも考えられます。いずれにしても乳頭下の「しこり」が何かは診察・超音波等の検査をしてみないと判断しかねます。乳腺以外の疾患としては、皮膚もしくはその付属器官に由来する病気が考えられます。圧痛を伴っているようなので、感染を伴うような皮膚疾患だと考えれば粉瘤という疾患が考えられます。粉瘤は体中どこにでも出来る可能性があります。触った感じは中に何かが詰まっているような、軟らかい腫瘤です。これは皮膚の油を分泌する器官の一つで皮脂腺の出口が詰まって出来た貯留嚢腫と呼ばれるもので、腫瘤の中にはオカラ粕のような白い粥状物質が充満しています。細菌が感染したり、破裂して中身が排出されるとひどい悪臭を伴います。炎症を伴うと発赤したり、痛みを伴います。治療は炎症のないときに粉瘤を切除することです。状況からいって男性乳癌は否定的なので、まずは皮膚科を受診して、もし診察・検査の結果で乳腺内に病変を認めるようでしたら、必要に応じて外科を受診してみてください。(文責 千島)

 

No.687】 01年11月21日 J                       
2つのしこり

はじめまして。30歳、既婚、子供ナシです。10月の健康診断で左乳首に2.5pのしこりと、左上に1.5pのしこりが見つかりました。病院で「線維腺腫」と診断されましたが、左上1.5pのしこりの中が石灰化しており、先生もハッキリと良性とは言い切れないとおっしゃいました。針生検でガン細胞は今のことろ無いとのこと、2ヶ月おきの検査で様子を見る計画になりましたが、本当にこれで良いのでしょうか。明らかに左胸のほうが右胸と比べると異様に大きいです。これからもずっと2ヶ月ごとの検査が続くのでしょうか。8年前に子宮内膜症で4週間に1度のリュープロレリン注射をし、1年前は不妊治療で排卵誘発剤(クロミド)を7ヶ月飲み、HMG(ゴナドトロピン療法)という筋肉注射を行いました。これを先生に告げたところ、今回のしこりや乳がんになるきっかけの1つと言われました。これはどう思われるでしょうか。教えて下さい。乳がんは親類にはゼロです。質問ばかりですが、お答えいただければ幸いです。宜しくお願いいたします。

線維腺腫は20〜30歳代の女性に多い乳腺の良性腫瘍と考えられています。通常、単発のことが多いのですが、10%位の症例では一側の乳房に多発したり、両側性に発生することもあります。高齢者の線維腺腫の中には石灰化を認めることも少なくありませんが、粗大で明瞭な石灰化のことが多く、ゴマを散らしたような癌の小さな石灰化とは比較的容易に区別できます。貴女の場合、針生検(細胞診)では癌細胞を認めないようですが、画像所見(マンモグラフィ-等)で悪性所見が否定できないのであれば、2ヶ月ごとくらいに精密検査を施行する必要があると思います。検査を繰り返しても、白黒はっきりとした結果が出ないときには、局所麻酔で腫瘤を摘出して調べてみるのもひとつの方法だと思います。線維腺腫は一般的にエストロゲンという女性ホルモンに依存して大きくなると考えられています。以前受けたホルモン療法と線維腺腫の関係についてですが、リュープロレリンに関しては、エストロゲンを抑制するように働くので、あまり線維腺腫の発生に関係していないと考えられます。無排卵周期症・無月経などの不妊治療に使用されるクロミフェン(クロミッド)は、ごく弱いエストロゲン作用を持ち、内因性(生体内に自然に存在する)エストロゲンと競合することで、卵胞刺激ホルモンや黄体化ホルモンの分泌を促進するために、内因性エストロゲンも増加します。下垂体性腺刺激ホルモン(hMG)も卵胞刺激ホルモンや黄体化ホルモンの分泌を促進します。このように、不妊症治療薬によってはホルモン依存性の線維腺腫や乳癌の発生リスクを上昇させるものがあります。ちなみに、エストロゲンとプロゲステロンの合剤である経口避妊薬を服用している場合、乳癌の発生リスクは非服用者に比べて1.24倍に増加します。ただし、服用中止後10年経過すれば、発生リスクは1.01倍となるので、ホルモン剤の影響はほぼなくなると考えられています。最後に、程度の差はあるのですが、ほとんどの女性で乳房の大きさに左右差があります。大きさが違うからといって、乳癌が存在したり、発生リスクが上昇するようなことはありませんので安心してください。(文責 千島)

 

No.686】 01年11月21日 Masako                      
脇の下あたりのしこり

最近、脇の下あたりのしこりが大きくなってきました。5〜6年前に小さなしこりを見つけましたが、気になりませんでした。感じ的には、首元にあるようなリンパ球のようなもので、最近すこし気になり、みてみると大きくなっているように思います。鏡でみるとポッコリわかります。東大阪なのですがどこの病院で診てもらえば良いでしょうか?

5〜6年前から認める腋の下の腫瘤。状況から考えると、まず乳癌等の悪性疾患は否定的です。鏡で自覚できるようなポッコリとした腫瘤というと、リンパ節でもなさそうですね。皮膚に由来する腫瘤、もしくは副乳等が考えられます。
副乳というのは胎生期の乳腺原基が遺残したものと考えられています。もう少しわかりやすく説明すると、人間は犬や猫の哺乳類と同じように、胎児期には腋の下から鼠径部(足の付け根)にかけて、左右対称にいくつもの乳房が存在しています。これらの多くは母体から生まれてくるまでに退化してしまい、現在のような左右一対の乳房が残るのみとなります。両側(もしくは片側)の腋の下は、退化しきらなかった乳房が残りやすい場所で、この隠された乳房を「副乳」といいます。思春期以降の女性(男性)で、本来の乳房の発達に伴って、副乳が目立ってくる人も少なくありません。思春期に気づかなくても、生理前などに乳房が張るときに、副乳の存在に気づく人もいます。副乳自体は病気ではなく、治療の必要もありません。貴女の腋の下の膨らみも、性周期によって大きくなったり、小さくなったりすることがあるのならば、その膨らみは副乳の可能性もあります。
皮膚に由来する腫瘤としては、脂肪腫(脂肪細胞が原因の良性腫瘍)や、粉瘤などが考えられます。粉瘤は、腋の下に限らず体中どこにでも出来る可能性があります。硬いしこりというよりは、中に何かが詰まっているような、軟らかい腫瘤です。これは皮膚の油を分泌する器官の一つで皮脂腺の出口が詰まって出来た貯留嚢腫と呼ばれるものです。腫瘤の中には、オカラ粕のような白い粥状物質が充満しています。細菌が感染したり、破裂して中身が排出されるとひどい悪臭を伴います。炎症を伴うと発赤したり、痛みを伴います。治療は炎症のないときに粉瘤を外科的に切除することです。
ここに記載したものはあくまで一例に過ぎません。ご心配ならば医師の診察を受けることをお勧めします。現時点では乳腺疾患と決まったわけではないので、まずは診断をつけることが大切だと思います。東大阪でも比較的大きな病院の外科(おそらく乳腺専門医がいることでしょう)であれば問題ないと思います。もし、専門知識が必要な疾患であるときは、そこでの主治医が大阪近辺の専門施設を紹介してくださることと思います。(文責 千島)

 

No.685】 01年11月20日 M.K.                      
生検後の傷口について

34歳、既婚で、子供はおりません。今年1月の段階では6ミリくらいだった左胸の腫瘤が9ヶ月くらいの間に1.5センチほどになったため、今月7日に生検を受け、乳輪の外側に沿って切開し、更に小さい腫瘤2個と共に切除して、結果は良性の線維腺腫であることがわかり、16日に抜糸をしました。その傷口を触ってみると、皮膚の下がしこりのように固くなっているのですが、時間が経過すれば元に戻るのでしょうか。痛みは時々ありますが、日常生活には問題はありません。また、主治医から運動もして良いといわれてますが、傷口に影響する事はないでしょうか。お忙しいところ申し訳ございませんが、ご回答いただけたら幸いに存じます。よろしくお願い申し上げます。

11月7日に腫瘤摘出術を受けたようなので、現在術後2週間ということになります。この時期は手術創の炎症反応が進み、腫瘤を摘出したところは線維組織に置き換わってくる頃です。つまり手術創は固くしこりのように触れることになります。これは生理的反応であり、全く心配する必要はありません。また、術後10日以上たっているので、これ以降に再び傷が開いてしまうこともないので、日常生活上で問題になることはありませんし、どんな運動をしてもかまいません。ただ、手術の傷が日光にあたるようなことがあれば(夏ではないので心配ないと思いますが)、傷が赤黒くなって目立ちやすくなるので注意してください。現在硬く触れているしこりについては、通常は3〜6ヶ月くらいかけて徐々に吸収されて軟らかくなってくるので心配ありません。
6ヶ月くらい経った後、一度軟らかくなったしこりの部分が再び固くなってくるときには、線維腺腫の再発も否定できないので、そのようなときには必ず主治医に相談してください。(文責 千島)
 

No.684】 01年11月19日 M.Y.                      
左腋の下のしこりの痛みについて

初めまして。25歳女性です。ここ数ヶ月体調が悪く、動悸や頻脈、胸痛などが気になっていて、内科に通院したところ、10月の頭に受けた検査では血液、レントゲン、心電図等すべて問題なく、しかしながら状態が改善しないので心療内科を薦められ、そちらで調べたら24時間心電図にも異常は見つかりませんでした。そしてきのう突然気づいたのですが、左脇に違和感を感じるな、と思い触ってみたら、左腋の付け根のあたりにぷくっと赤く腫れたしこり(2cmほど)がありました。触れると痛いです。もともとリンパ節ははれやすいのですが、このようなしこりや痛みは初めてです。関係あるかはわかりませんが現在やや風邪気味でのども痛いです。乳がんが進行するとリンパにも転移すると聞いたこともあり、心臓や肺のあたりの痛みも乳がんが原因だったら、と思うと不安です。乳がんの可能性や転移の可能性は考えられるものでしょうか?また、11月末に会社で検診を受けていますが、そのときの胸部x線撮影などで、乳がんや転移というのはわかるものでしょうか、無知で申し訳ないのですがとても心配です。また、このような場合通院するなら何科がよいのでしょうか、大変申し訳ありませんがアドバイスよろしくお願いいたします。

発赤、痛みを伴う腋の下の腫瘤は、炎症に伴ったリンパ節腫大が考えられます。通常、乳癌の転移ではあまり痛み伴うことはありません。
現在風邪を引いているとのことですが、風邪様症状(特にウィルス疾患)に伴って全身リンパ節の腫大を認めることも多いので、全身(顎の下、首の周囲、足の付け根)のリンパ節腫大を伴うときは、内科を受診して再度採血などの精密検索を行ってください。もし、左の腋の下に限局しているようならば、外科を受診してください。
リンパ節疾患以外では、粉瘤という皮膚の腫瘤も考えられます。この「出来物」は、腋の下に限らず体中どこにでも出来る可能性があります。硬いしこりというよりは、ブヨブヨして中に何か詰まっているような軟らかい腫瘤です。これは皮膚の油を分泌する器官の一つで皮脂腺の出口が詰まって出来た貯留嚢腫と呼ばれるものです。出来物の中にはオカラ粕のような白い粥状物質が充満しています。細菌が感染したり、破裂して中身が排出されるとひどい悪臭を伴います。治療は炎症を治めてから外科的に摘出します。この腫瘤に該当するときは外科(形成外科)、もしくは皮膚科を受診してください
いずれの疾患でも抗生物質の内服で症状が軽快することも考えられますが、逆に内服によって症状がマスクされてしまうことがあるので、早いうちに病院を受診できるのならば、薬を内服する前に病院を受診して適切な治療を受けてください。
病状からいって乳癌の可能性はまずないと思いますが、もし肺に転移等があるときには会社の検診で異常を指摘されるはずです。検診で異常を認めていないのならば、まず心配ないと思います。もちろん乳癌で動悸や頻脈、胸痛等は生じないので心配ありません。(文責 千島)

 

No.683】 01年11月19日 M.N.                      
リンパの痛みについて

はじめまして、27歳独身です。2.3週間位前から、左脇下のリンパの辺りが痛くて、乳首を押すと、黄色い汁みたいな物が出てきます。しこりらしき物は無さそうなのですが、乳ガンの可能性など有るのでしょうか?普通、乳ガンには痛みが無いと聞きますが・・・。このような場合は、どんな病気が考えられますか? 

27歳(若年者)での黄色の乳頭分泌物と有痛性リンパ節腫大、これらの症状から考えると乳腺炎の存在が一番考えられます。他の症状として乳房の発赤や発熱を認めるようなことはありませんか?
乳腺炎の多くは乳頭乳輪部から侵入した細菌感染によって、乳腺内が化膿することにより発症します。悪化するときには外科的切開が必要になりますが、初期であれば抗生物質の内服で軽快する可能性が高いと思います。左腋窩リンパ節の痛みは化膿性乳腺炎を裏付けるものです。乳癌の転移によるリンパ節転移の多くは痛みを伴いません。いずれにしても治療が必要であることは間違いありません。急性悪化しなくても、慢性化すると難治性になり、乳頭からの膿汁排泄が続く場合があるので、早めに乳腺専門の先生に診察していただくことをお勧めします。(文責 千島)

 

No.682】 01年11月18日 MIKI                      
脇の下の痛み

はじめまして。31歳で2児の母親です。胸は小さいほうです。1ヶ月程前から、右の脇の下から乳房にかけてしこりがあり、痛みもあります。しこりは細長く5センチ位はありそうです。モコモコとしているのですが、一部分クリクリと丸っこいものも感じます。腕が胸にあたると痛いです。そんなにひどい痛みではありません。でも、左の胸とは明らかに違います。もう1ヶ月以上は経っているので、生理の前後とかとは関係ない感じです。怖くてたまらず病院に行こうと思っているのですが、不安なのと忙しいのとでなかなか行くことになりません。HPなどでいろいろな情報を読めば読むほど、自分がガンのような気がして不安でたまらない日が続いています。乳房は何ともありません。乳房の端から脇の下にかけてです。筋肉痛かな?とか思いましたが、1ヶ月以上も続くとは思えません。ガンでないにしても、何かがあるのは確かで、怖いです。5センチ位の大きさ・鈍い痛み、ガンの可能性はあるでしょうか? よろしくお願いします。

直接診察していないので、これだけの情報では何ともいえません。「有痛性、5cmで細長く、モコモコして、一部分クリクリと丸い」とありますが、瘤ができたのか、また女性ホルモン等の影響を受けて乳腺が硬くなっているのか、判断が困難です。不安であることは良く分かりますが、怖がっているだけでは解決になりません。不安を取り除く意味からも、瘤になっているかどうかを含めて、外科を受診することをお勧めいたします。原則論通りに、超音波検査、乳房撮影、更に必要であれば細胞診の検査を受け、モコモコしたものが何であるかを確認する必要があります。(文責 須田)

 

No.681】 01年11月18日 kamo                      
主人の脇の下のしこりとくぼみについて

はじめまして。主人の脇の下にしこりとその上にエクボのようなくぼみがあることについてご相談したいと思います。主人(33歳)はここ2年くらいで10キロ以上太ってしまい、そのせいでの脂肪のかたまりでは?と思いたいのですが、しこりだけに心配です。夏頃からあったそうだということを言っておりますが・・・。こういう場合、内科に行けばよのでしょうか?皮膚科でしょうか?念の為、大学病院のような所でしっかりと調べたいのですが・・・。埼玉、東京近辺で良い病院があれば教えてもらいたいのです。また、しこりの良性、悪性というのは見ただけで、だいたいわかるものなのでしょうか?どのような検査が望ましいのでしょうか?

脇の下のしこりについては、よくある病気として、「粉瘤」が考えられます。これは良性の皮膚の病変で、袋の中に豆腐のおからの様な物がたまっていて、中心がエクボ状になっています。また、しこりを中心に考えると、しこりの大きさ、硬さ等の記載がないので何ともいえませんが、リンパ節が腫れてくる病気で、悪性リンパ腫、炎症によるもの等がありますが、超音波検査、吸引細胞診を行い、更に生検(切除して顕微鏡で調べる)をして、判定をしなければならない場合があります。貴方の場合、乳輪付近に腫瘤、硬結等のしこりはないようですが、先ずは上記のような検査が必要な状態かどうかを見極めるために、まず近医(外科)を受診されたほうが良いと思います。(文責 須田)

 

No.680】 01年11月14日 R.M.                      
叔母の術後について

叔母が8月に手術をしました。左胸を全摘したのですが、最近傷口のまわりに赤い湿疹ができたとのことで、病院に行ったところ医師は、『よくないね・・・皮膚ガンになるんだよねぇ、こういった湿疹って』って言われ、皮膚科を薦められたようなのですが、本人は『痒くもないし、痒み止めをもらったって・・・』と言っています。こういった症状は術後よくあるのでしょうか?ご返答お願いします。 

術後3ヶ月を経て手術創付近に赤い湿疹ということですが、直接拝見していないので何ともいえません。皮膚科的な病気の場合もありますし、また進行した乳癌の場合は、乳癌の胸壁再発として、皮膚に赤く結節を作ることもあります。いずれにしても状態を一番良く把握している主治医の先生にご相談し、適切な治療を受けてください。(文責 須田) 

 

No.679】 01年11月12日 K.K.                       
手術後はなぜ採血してはいけないの?

温存手術をうけました。色々と注意事項を聞いたのですが、再発のことを考えるとなかなか聞けなくて。知りたいことだらけなのですが、なかなか...。手術後はなぜ採血してはいけないのでしょうか? その他のことも色々知りたいのですが、おねがいします。

乳癌の手術で腋窩リンパ節をとった人は、手術をした側の腕のちょっとした傷により、細菌が侵入して炎症がすぐに拡大し、重篤になる場合があります。従って手術をした側の腕はできるだけ怪我をしないように、日常生活でも注意をするようにと患者さんにはお話しています。例えば、庭いじりの際には怪我や虫さされを避けるために、手袋をはくとか、虫除け薬を使うとかの配慮が必要です。また同様の理由で、注射や採血等を行うときは十分に消毒して針を刺したところからの感染がないように、細心の注意を払っています。患側に怪我をしないようにということが誤解を招いて、「採血してはいけない」と、伝わったのかもしれません。いずれにしても治療を続ける上で、主治医とのコミュニケーションは大切です。疑問点、不安な点等があったときには、いちばん状態を把握してくださっている主治医の先生に相談なさることです。(文責 須田)

 

No.678】 01年11月12日 kaoruko                       
母の乳癌についてです

5年前に母が乳がんで、U期と診断されました。癌部分は取り除き、脇のリンパ節には3箇所の転移が見つかりホルモン剤と抗がん剤を服用するように言われました。その後4年程定期的に検診に行き、何事もなかったので薬の服用をやめようという診断がだされました。母も私も癌の再発は無い、完治したと思い安心していたところ、先月右足の付け根の部分に1箇所癌の転移がみつかりました。7月にとった骨シンチでのお医者さんの診断は「癌の転移の可能性はうすいと思われる」でした。しかし気になった私はもう一度調べてもらうように先月母に行ってもらいました。すると癌の転移ということを診断されました。先生は「4年飲んでいた薬をやめたからだ」と、言っていましたがどうも不安です。今は以前飲んでいたホルモン剤を量を増やし、10回程の放射線治療を行っています。癌の再発は助からないとよく聞きます。本当でしょうか?また母の癌は治るのでしょうか? 母は肉体的には健康なのですが、この出来事でひどく落ち込んでいます。

一般的に再発・転移は、患者さん自身、またご家族にとっても初回手術時より衝撃が大きく、お母様の場合もそのようであったものと拝察いたしております。しかし乳癌の場合、手術後、約4分の1の患者さんに再発が認められるのも、また事実です。統計的には、400人手術をすれば100人に再発がみられるということになります。その内訳は70人が3年以内に、20人は5年から10年で、残りの10人は10年から15年で再発が認められますが、裏返せば400人のうち300人には再発が認められないということでもあります。
再発部位としては、骨、肺、胸壁、肝等が主です。再発の場合、複数の転移巣があることが多く、明らかに全身病であり、手術で取り除くことは困難になります。また、局所再発の場合と疼痛の強い骨転移に対しては、放射線治療が積極的に行なわれています。基本的な治療法としては、転移巣に対し、内分泌化学療法、抗体療法を組み合わせた複合薬物治療を行なうことになりますが、手術後の再発までの期間、再発部位、患者の年齢、症状、腫瘍のホルモンレセプター等によっては、化学療法、ホルモン療法を単独で用いる場合もあります。再発癌に対する薬物療法の有効率は30〜40%であると言われています。手術から再発までの期間(無病期間)が長いほど、再発後も長期生存する傾向がありますし、再発後も薬物治療でうまくコントロールされることもありますので、主治医と相談の上、積極的に、できる限りの治療を行った方が良いと思います。(文責 須田)

 

No.677】 01年11月11日 M.H.                       
右脇下のしこりについて

はじめまして。今、すごく不安な気持で一杯です。今日、お風呂に入っていて気がついたのですが、右脇の窪みの下あたりにしこりがあったのです。脇の下も乳がんの可能性が有ると聞いていましたので、今すごく不安です。私は19歳で若いので、もしそうだったらあっという間に進行してしまうんではないかと心配で気が気でないです。やはり一度病院に行ってみたほうがいいでしょうか?

乳癌が発生する年齢を考えると、ほとんどの場合25歳以上です。私の約30年の臨床経験でも、19歳での乳癌は1例だけでした。貴方の場合も19歳ですし、年齢的にも乳癌ということはまずないでしょう。リンパ節、副乳等の良性の物が、腋窩の「しこり」として触知されているものと推測されますが、「良性」のものであることを確認するためにも、一度外科で診てもらったらいかがでしょうか。(文責 須田)
 

 

No.676】 01年11月10日 みーちゃん                       
妊娠中のしこりについて

29歳、子供が1人います。半年前にしこりを見つけ受診、生検の結果「線維腺腫」だと分かりました。その後月に1度の自己検診では異常がなく安心していましたが、最近前回と同じ場所に同じようによく動くしこりを見つけました。また同じものだろうと思っていたら、2人目を妊娠していることが分かりました。妊娠しているせいか胸がはって乳房内がごつごつとしていて、しこりらしきものがたくさんあるように思えます。よく動くしこりも妊娠のせいなのでしょうか? 妊娠中でもちゃんとした診察は可能なのでしょうか?

直接拝見していないので推測の域を出ませんが、「よく動くしこり」とのことですので、おそらく「線維腺腫」だと思われます。妊娠中ですので「乳房撮影」は行なわず、「超音波断層撮影」により、しこりの確認が可能です。また、「吸引細胞診」によって細胞を検査し、悪性でないことを確認する必要もあります。そのまま放置せず、再度受診なさることをお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.675-1】 01年11月10日 S.K.                        
妻の乳がんに関して

妻(33才)が乳がん(ステージ2)と診断され、11/9左全摘しました。RI/CTの結果では、肺、骨への転移は無いといわれました。現在、細胞検査でリンパへの転移の有無を確認している最中です。ステージ2と診断され、しこりは2個(乳房の下とその横に1つ)の状態でリンパに転移している可能性を教えてください。

乳癌の進行度は、一般的には「病期(ステージ)」で分類されますが、各ステージの内容は以下のとおりです。
(1)ステージT・・・腫瘤の大きさが2cm以下で、腋窩リンパ節への転移がないと思われるもの
(2)ステージUA・・・腫瘤の大きさが2cm以下で、腋窩リンパ節への転移があると思われるもの、及び5cm以下2.1cm以上の腫瘤で、リンパ節への転移がないと思われるもの
(3)ステージUB・・・腫瘤の大きさが5cm以下2.1cm以上のもので、リンパ節への転移があると思われるもの、及び5.1cm以上の腫瘤で、リンパ節への転移がないと思われるもの
(4)ステージV・・・5.1cm以上の大きさの腫瘤で、腋窩リンパ節への転移があると思われるもの
(5)ステージW・・・ステージV以上に病態が進行し、他の臓器(肺、骨、肝など)への転移がみられるもの

ただし、この病期は、癌の腫瘤の大きさ、腋窩リンパ節への転移の有無、遠隔転移の有無によって便宜上分類されたものであり、絶対的なものではありません。ご質問の「ステージU」は、上記(2)(3)に分類されますが、リンパ節に転移のある場合と、ない場合がありますので、主治医の先生に充分お話を伺い、今後の治療を進めてください。(文責 須田)

 

No.675-2】 02年12月12日 S.K.                        
再発の可能性について

No.675-1の相談者です。その後1年が経過し、今のところ転移が見つかっておりません。12/9、CTの結果が出ていませんが、今後転移する可能性はどのくらいあるのでしょうか。

しこりの大きさやリンパ節転移の個数など不明なので、はっきりとは分かりませんが、前回のメールに書いてあったようにステージUであるならば、手術後5年生存率は85%程度、10年生存率は75〜80%程度でしょうか。ですから手術後10年の間に転移再発する可能性は20〜25%程度と考えられます。手術後何年再発がなかったから生存率が上がるということはありません。手術の時点での進み具合(ステージ)で生存率はほぼ決まってしまいます。(文責 稲葉)

 

No.674】 01年11月09日 yuji                         
乳腺腫瘍だといわれたのですが・・・

一ヵ月半前頃に左の胸にしこりを見つけました。病院に行って診察したところ、乳癌ではないけど、しこりが大きくなる可能性があるというのと、癌に発展するかもしれないということだったので、大きくなってから切ると傷跡も大きくなると思い手術を受けることにしたのですが、麻酔をして、手術が始まったとたんに気分が悪くなり、血圧が下がり、続行不可能ということで中止になりました。しこりは最初は丸いものだったのですが、形が変形してきて癌の可能性があると言われました。そのときは胸を大きくとらなければいけないと言われたのですが、絶対にとりたくありません。そのしこりは「乳腺腫瘍」とのことですが、癌かもしれないと思うと不安でたまりません。私は28歳で青森県に住んでいます。青森県では、乳癌などの専門は聞いたことがないのですが、もし癌だとしたら胸をとらずにすむ方法を考えたいと思います。東京の乳癌や乳腺外科に力を入れてる病院があれば教えてください。お願いします。

乳癌の治療の基本は手術です。切除部分を縮小化する傾向にはありますが、現段階では放射線治療や化学療法では、全く手術をしなくても治るところまで力が及んでいません。医療現場では胸筋温存乳房切除術が多く行われていますが、治療成績が同等ということで、乳房温存術も普及しています。しかし、乳房温存療法の場合、乳房の部分切除のみでは局所療法として不十分であり、乳房切除術と同等の治療効果を得るために、術後、乳房に放射線治療を加え、更に薬物療法を行なうのが一般的です。
東京近辺の乳腺外科をというご質問ですが、各大学付属病院外科、癌研付属病院乳腺外科、国立がんセンター中央病院外科などが、よく知られています。また青森県内でも、たとえば弘前大学とか、国公立の総合病院では、乳腺に力を入れて診断治療を行なっていますので、一度受診されると良いでしょう。不安を取り除くためにも、早い機会に受診し、適切な治療を受けてください。もし手術が必要だということになれば、手術方法等については、主治医と納得のいくまで相談なさってください。(文責 須田)

 

No.673】 01年11月09日 coem                         
乳癌術後について

@ 右乳癌術後約一年、太るばかりです。ダイエットは食事や運動しかないようですが、何故か疲れやすく術前の体調とはどこか違う今の体でどんな運動をしてもいいのでしょうか。
A フルツロンやノルバデックスと市販の頭痛薬は併用してもよいとのことですが、いけない薬は何ですか。(ヘルペスの薬と併用して亡くなった人がいると聞きましたが本当ですか?)
B 術後半年で骨シンチ、血液、CT、MRIの検査を受けた結果、肺に影があり腫瘍マーカーが増えているとのことですが、何の処置も受けることなく様子を見ています。日中は時々、寝るときはいつも胸苦しく息苦しく感じます。原因はどんなことが考えられますか。

直接診察しておらず、メール内容だけでは判断しかねますが、分かる範囲でお答え致します。
@ 乳癌の術後ということであれば一般的には運動制限はありませんが、安静時でも胸苦しく息苦しいとのことですので、主治医の説明を受け、指示に従ってください。
A フルツロンは細胞内に存在する生理的物質と化学的に類似しており、DNA生合成を阻害し癌の発育を抑制する作用があります。フルツロンと同様の作用を持つティエスワンを併用すると重篤な血液障害作用が現れます。またソフリジン(帯状疱疹の薬)との併用でも同様の血液障害作用を発現し、死亡例も報告されています。ノルバテックスとの禁忌薬の報告例はないようです。
B 「胸苦しさ、息苦しさ」の原因については、肺の影と関連がある可能性はありますが、診察をしなければはっきりしたことは分かりません。不安を取り除き、適切な処置を受けるためにも、自覚症状を主治医に話し、相談なさってください。(文責 須田) 

 

No.672】 01年11月06日 yucco                         
乳首のただれ

私は23才になりますが、最近両方の乳首がただれてきました。1年くらい前からあったのですが、最近特にひどくなってきました。かゆくて薄いかさぶたのようになり、下着にも黄色い汁のようなものがついたりしています。昔から両方の乳房の奥にしこりのようなものもあります。成長すればなくなるものだと思っていましたが気になります。ちなみに母は乳癌の経験があります。大丈夫でしょうか。

乳頭、乳輪部の乳癌として、乳頭びらん(ただれ)、痂皮(かさぶた)、湿疹様変化が起こる特殊なタイプがあり、Paget病と呼ばれています。Paget病は、乳管口付近の主乳管から発生した乳癌で、乳頭の表皮内に進展して、ただれたり、かさぶたになったり、湿疹様の変化を起こします。ただれの状態は、通常ゆっくり(1年に数ミリ)広がっていき、かゆみの症状がある場合もあります。Paget病は、乳頭、乳輪付近の湿疹の場合と区別がつきにくく、専門家の診察が必要です。乳腺外科、および皮膚科の受診をお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.671】 01年11月06日 M.N.                          
分泌物と石灰化像について

38才の主婦です。妊娠、出産の経験はありません。9月の終わり頃、右の乳首からの黄色い分泌物と左胸の小さなしこりに気づき、10月の半ばに総合病院の乳腺外科を受診しました。触診、マンモグラフィー、エコーの結果、医師に「分泌物は乳腺症に伴うもので今のところ心配はいりません。左胸のしこりは線維腺腫と思われるが、石灰化像に心配な点があるので、今後定期的にレントゲン撮影をして、石灰化に変化がみられたらマンモトーム生検で調べます。今度は2月に来て下さい。」と言われました。そして受診日から1週間くらいたったある日、右の乳首から以前とは違う茶色い分泌物が出ることに気がつきました。乳首を軽くつまんだり、乳首のすぐ下を軽く押したりするとかなりの量が出ます。そこで質問なのですが
1)分泌物についてはこのまま様子をみて、次回2月の受診日に調べてもらえばよいのでしょうか。それともその前に一度受診したほうがよいでしょうか。
2)石灰化像に心配な点があるというのは、どういうことなのでしょうか。
以上、どうぞよろしくお願いいたします。

一般に乳頭分泌の起こる乳腺疾患としては、統計的には約70%が良性の乳管内乳頭腫で、残り30%が乳癌ということになっています。乳癌の分泌物は、血性の場合が多く、「茶色の分泌物」とのこと、少し血が混じって茶色になったものと推測されます。乳首のすぐ下を押すとかなりの量が出るとの事、その部分に主病巣(乳管内乳頭腫、乳癌など)があるものと思われます。分泌液については、細胞診、マンモテック(乳頭分泌液中のCEA測定)、乳管造影、乳管内視鏡、生検等の検査がありますので、次回受診日の2月を待つことなく、再度早めに受診なさることをお勧めいたします。
また、マンモグラフィーの石灰化像については、石灰化の形態と分布に注目し、良性、悪性の判断材料にします。悪性疾患に見られる石灰化像の特徴は、多くの場合、微細で数も多く、大小不同、陰影の濃度も均等であり、形も不整形のことが多いですが、この点については、受診時に主治医に詳しく説明してもらって下さい。(文責 須田)

 

 

No.670】 01年11月06日 M                          
ノルバデックスの副作用について

9月に温存手術をして現在ノルバデックスを服用しています。最近、肛門から出血があります。二日前、朝起きたら下着に血がついていました。それ以来、排便をした時以外にもおしりを拭くと血がつきます。排便をした時には痛みますので、たんなる痔なのでしょうか?それともノルバデックスの副作用でしょうか?その場合どうしたらよろしいでしょうか?

タモキシフェン(商品名 ノルバデックス)の副作用としては、白血球減少、貧血、血小板減少、視覚障害、視力障害、高Ca血症、血栓塞栓症、静脈炎、子宮筋腫、肝障害、月経異常、性器出血、膣分泌物、卵巣腫大、悪心嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛、頭痛、めまい、発疹、発汗、脱毛、ほてり、体重増加、浮腫等の記載はありますが、肛門出血の報告はありません。排便時の出血は痔核、ポリープ、大腸癌等が考えられますので、主治医によく相談なさって適切な処置をしてください。(文責 須田)
 

 

No.669】 01年11月06日 icb                          
肝臓転移について

私は53歳で2年前に右全摘、リンパに8個ありました。今回の定期検診で肝臓に転移らしきものがあるといわれました。7日に入院し、カテーテルを入れ、その部分を調べます。もし認められれば、ラジオ波というもので焼くそうです。最新治療であると先生は言われますが、それについて教えていただければありがたいと思います。長所、短所等よろしくお願いいたします。

最近、肝臓腫瘍の局所療法の一つとして、ラジオ波焼灼療法(RFA: Radiofrequency ablation)が行われるようになりました。これは、1990年代初め、イタリアのBuscariniらによって臨床応用されてきましたが、、日本でも1999年頃導入され、注目を集めている治療法です。現在のところ保険適用は認められていませんが、近い将来、肝腫瘍治療の主流になると思われます。
RFA法は、病変に挿入した電極の周囲を450KHzのラジオ波によって誘電加熱し、熱凝固により腫瘍を壊死させる治療法です。熱がほぼ均等に腫瘍に伝われば、一定の範囲を均一に凝固壊死に陥らせることができ、エタノール注入療法に比べて局所再発の頻度を減らすことができると予想されています。また一回の治療域がマイクロ波凝固療法より大きく、それだけ治療回数が少なくてすむという利点もあります。一言で言えば、エタノール注入療法とマイクロ波凝固療法の両者の長所を併せ持った治療法ですが、合併症として、肝膿瘍、腹腔内出血、門脈血栓、胸水等が報告されています。治療成績としては、149病変中、腫瘍の完全壊死 47.6%、90−99%壊死 31.7%、50-89%壊死 20.6%であったとの報告があります。(文責 須田) 

 

No.668】 01年11月06日 ルナ・ロッサ                         
病理検査の結果

私は先月初旬に温存手術を受けたものです。今回質問させていただきたいのは病理結果についてです。以下が主治医から受けた説明です。
種類は浸潤性充実腺管ガン。腫瘍サイズは1.6cm(2cmのマージンをつけて円状部分切除術)。Stage T。切離断端は陰性。追加切除なし。リンパ節転移は陰性。ホルモンレセプターは陽性。
私が知りたかったことは他に腫瘍の正確な大きさ、浸潤の度合、Gradeなどですが、これについては主治医から曖昧な答えが返ってきたので不安が生じています。St.Gullen のリスクカテゴリーを知るためにも、HGファクターだけでも知りたいと思うのですが・・・。(言い忘れましたが私は42歳です。Gradeによってローリスクかどうか決定されるので気になっています)もうすぐ放射線治療が始まり、その後はホルモン療法を行う予定になっていますが、組織学的な分類は必要ないのでしょうか?
これとは別に気になっていることがあります。左右の腋、左の頸部、右足の膝の裏あたりに灼熱感があります。これは病院に検査に行ったあたりから始まりました。術後もあり、感じない時もあるし、ここ数日は続けてあります。場所がリンパ節のあるところなので心配しています。(もちろん主治医にも質問しましたが「気のせい」とのことです)さらに背中の上部の方に湿疹が出来ています。CT検査の時、ヨードを注入するとアレルギー反応が出る場合がありますね。CTの翌朝、背中に湿疹とかゆみがあり、ちょうど麻酔医の問診があったので見てもらうと、アレルギーにしては出るのが遅いと言われました。それから未だに治っていません。枯れてきたかと思うとまた出てきます。熱などもなく、食欲もあり、日常生活は特に問題ありません。これは乳がんと何か関係があるのでしょうか? 個人的には患者も治療に参加するべきだと認識しているので、是非いろいろな情報を知りたいと思っています。お忙しい所恐縮ですが、ご教示お願いいたします。

ご質問の前半は乳癌再発のリスクに関してですが、乳癌再発のリスクを評価するための予後因子としては一般的には以下のようなものが挙げられます。
1)リンパ節転移・・・転移の存在と転移リンパ節の個数の増加は、リスクを増加させる。
2)腫瘤の大きさ・・・腫瘤の大きさはリンパ節転移の有無に関係なくリスクを増加させる。
3)エストロゲンとプロゲステロン・レセプター・・・レセプター陽性は、予後が良いことを意味する。
4)年齢・・・統計的には45歳〜49歳の女性が最も予後がよく、それより若くても高齢でもリスクが増加する。
5)形態学・・・核異型度の高度のもの、組織学的異型度の高いもの、腫瘍壊死、腫瘍周辺リンパ節への浸潤、微小血管内癌細胞密度の高いものは予後が悪い。
6)DNA量と増殖能・・・二倍体でS期相分画が低い腫瘍は異数倍数体、あるいはS期相分画の大きいものより予後が良い。(フローサイトメトリー分析による)
7)癌遺伝子の発見・・・Her-2/neu(c-erbB-2)とc-mycの増幅は早期再発と生存期間の短縮に関連している。

リスクファクターとして考えられることを挙げましたが、もちろん個々の状態に応じて、する検査もあり、しない検査もありますので、主治医の先生に伺って、教えていただくようにすれば良いと思います。
またご質問の後半部分についてですが、ご心配なさっている灼熱感、湿疹については、乳癌とは関係ないと思われます。気になるようでしたら皮膚科で診ていただくのも選択肢の一つかもしれません。(文責 須田)

 

No.667】 01年11月04日 ともちょふ                         
乳房のすじについて

心配なことがあって、お便りしました。32歳で2人の子供がいます。2〜3週間前、授乳中に気づいたのですが、右乳房の下部に直径1ミリ程度の紐のようなすじがあり、肋骨の方まで続いています。指で触れるとピンと張っていて今にもプチっと切れそうです。子供が乳首に吸いついているせいだろうと思っていましたが、普通の時でもあります。鏡に向かって乳房を持ち上げるようにすると、そのすじははっきり映りますし、指にも触れます。今日は横になって添い寝をしながら授乳をしていたらプチっと音がして切れたような感覚があったので驚いたのですが、やはりすじは無くなっていませんでした。痛みは乳房を持ち上げるようにした時に引きつるような感じだけです。これまでにこのようなすじは無かったので不安です。すぐにお医者様に診て頂いた方がいいでしょうか。宜しくお願いします。

直接拝見していないので推測の域を出ませんが、メール内容から判断するとモンドール病(静脈炎)が考えられます。モンドール病の場合、乳房皮下に索状物として触知し、軽度の自発痛および圧痛があります。静脈炎、静脈周囲炎と考えられており、そのまま放置しておいても月の単位で軽快いたしますが、念のために受診をお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.666】 01年11月04日 A.F.                          
しこりを指摘されました

31歳未婚です。8月の検診で右乳頭真下に1×1.5センチのしこりを指摘され精査を勧められました。1年半前、しこりはなかったものの家族歴があるから念のため・・とマンモをとったところ、右乳頭真下に白い影があるということで、エコーもやりましたが、脂肪?とかで、異常なしでした。しこりは自分で触ってもよくわからないし、病院にも詳しくないため、迷ってるうちに3ヶ月たってしまいました。このホームページをみてやはり受診してみようかなと思うようになったのですが、都内(池袋在住です)で乳腺を専門に見てくれる病院があれば教えていただきたいと思います。お忙しいところ、申し訳ございませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

乳腺疾患は一般的には外科で取り扱います。大学病院、国公立病院、がん研病院等の外科の乳腺外来を受診されるとよいと思います。池袋在住とのことなので、距離的には癌研究会付属病院が近いのではないでしょうか。(文責 須田)

 

No.665】 01年11月04日 kida                          
細胞診について

今年9月上旬しこりを発見し総合病院の外科を受診いたしました。その時触診、細胞診、マンモの検査をし、細胞診はクラス2、マンモも異常なしでした。その後もう一度細胞診をしましたが、この時もクラス2だと言われました。先月摘出して調べたところ癌であることが分かりました。現在、手術の為入院待ちをしていますが、2度も細胞診をしても癌を発見できず、またマンモでも判断が出来なかったとのことで病院不信に陥ってます。果たしてこの病院で手術をしても大丈夫でしょうか? 私のような例は珍しいのでしょうか。

現在の一般的な乳癌の診断方法としては、触診、乳房撮影、超音波検査、細胞診を行って乳癌かどうかを総合的に判定いたします。それぞれの検査で診断できる場合もあれば、できない場合もあり、細胞診についても何回か行って初めて乳癌である事が分かることも、しばしば経験いたします。また乳房撮影に関しては、50歳以上の場合は比較的分かりやすいのですが、50歳未満では癌があっても写真上描出されないこともしばしば経験いたします。主治医の先生は、触診か超音波で何らかの異常を感じられたので、原則論どおり忠実に細胞診を2回も行い、更に生検も行って癌の診断をつけたものと考えられます。貴方のような経過で乳癌が見つかることはよくあることです。主治医の先生に時間を十分とっていただき、手術に関する説明を受けて積極的に治療なさることをお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.664】 01年11月04日 S.T.                          
非浸潤性乳管癌と妊娠

35歳の一児の母です。平成12年11月、今から1年前に温存で乳癌の手術をうけました。非浸潤性乳管癌ということで、放射線治療はうけましたが、内服はなしです。ホルモンレセプターは強陽性でした。現在は3ヶ月に一度の触診のみの定期診をうけています。最近、妊娠しました。非浸潤だったのでいいのかと思いますが、ホルモンレセプターが強陽性であることで、ホルモンとの関係はあるのでしょうか? 用件のみのメールとなってしまいました。お忙しいところ恐縮ですが、お返事いただければと思います。

非浸潤性乳癌は、普通の浸潤性乳癌に比較して「こぶ」として認識できないため、どこまで癌が広がっているのか判定の困難なことが多く、早期の癌でありながら、必ずしも乳房温存療法には適さないという問題があります。非浸潤性乳癌に対して乳房温存療法を行った場合、広範囲な癌の入管内進展を認めることが多く、乳癌が遺残し何らかの理由で放射線治療効果が不十分な時に乳房内再発が起こると考えられています。現在多くの施設でこのような非浸潤性乳管癌に対しても、術後の放射線治療と厳重な経過観察を前提として積極的に乳房温存術の適応を認める方向にあります。
女性ホルモンについてですが、エストロゲンは乳腺細胞の増殖を促進して細胞が発癌物質の影響を受けやすい状態を作り、更に癌化した細胞を増殖させるというプロモーターの作用があります。妊娠すると胎盤より大量のエストロゲンが作られるので、もし乳管内進展の乳癌が遺残し、何らかの理由で放射線の効果が不十分な場合は、妊娠による大量のエストロゲンがプロモーターの作用をし、遺残した乳癌が発育してくる可能性があります。私個人の意見ですが、放射線の効果が十分かどうかを見るために、ある程度、経過観察の期間が必要だと思います。妊娠に関すること、特に今後具体的にどうするかという方針については、主治医と十分に相談しながら決めるべきです。(文責 須田)

 

No.663】 01年11月02日 K.T.                           
しこりの摘出について

はじめてメールさせていただきます。廻りに経験者も居らず、HPで調べていて辿りついた次第です。先日、胸のシコリと診てもらってきました。結果ですが、
1)主治医の触診では、「1個ではなく2個あり、そのうちの1個(自分で発見できなかった方)は、厄介な感じです。」とのことです。
2)細胞診3回するが、結果は陰性。
3)CTの結果は、「2つともが悪性が疑われます。」と、記載がありました。造影剤を使用したのですが、白く写っているからとの説明を主治医からお聞きしました。
4)血液検査では、「子宮内膜症での高くでる値が正常値より倍になっているだけで、あとは陰性」とのこと。

主治医は、「3回も細胞診をしたら、ほぼ100%解かるのですが、どうもはっきりしない」とのことで、今度シコリのみ摘出し、生検することになりました。それが局所麻酔での手術になるとのことで、眠れないくらい怖くてしかたありません。ガンは、自分でも「7年もこのシコリと共に生きてきたし、100%大丈夫!」という自信みたいなものがあります。だから怖いとは思ってないのです。が、その手術がどうしても、怖い・・・。以前に指先を包丁で切ってしまい、外科にて、先ずは指の付け根の神経に直接麻酔をしていただいたんです。先生は、直接傷口に針を刺して、「痛くないやろ?」と聞くのですが、まったくもって効いてなく、「痛いです!」と訴えたのですが、「そんなハズない!」と、縫合を少ししたのですが、あまりにも痛がるからか、傷の廻りに何度も針を刺して麻酔をしてくれました。それでもなかなか効かず、結局「痛いです!痛いです!」と大騒ぎしながら、体を押さえつけられながらの縫合となった経験があります。その「麻酔が効きにくい」といことがジレンマになり、とてもとても恥ずかしい話しなのですが、怖いのです。それも2箇所ですし・・・。その事を主治医に話すと「全身麻酔でもいいけど、大事やし、後がしんどいよ〜〜。」と。たしかにその分医療費も外来でするのに比べて、かなり割高でしょうし、もしガンで手術となれば、かなりのお金が掛かるし・・・と、袋小路に迷い込んだ心境です。局所麻酔での摘出は、やはり痛いんですよね? 何か良い方法はないものなんでしょうか。自分の中では、行く前に眠剤を飲んで、朦朧とした状態で受けたら、楽かな?など、いろいろ頭をめぐらせております。「こんなことで・・・」と、笑われるかもしれませんが、本当に怖いんです・・・。人に話すと「何言うてるねん!子供みたいに!それどころちゃうやろ!」って、叱られるだけで・・・。是非とも、アドバイスをお願いいたします。局所麻酔の方法で、痛みがなるだけ少なくて済む方法はないのでしょうか。

しこりの診断で、触診、CT、 細胞診、血液検査という組み合わせは珍しいと思います。通常は触診、マンモグラフィ、エコー、細胞診だと思うのですが..。いずれにしても、CTや血液検査の正診率は細胞診に比べたら低いと思うので、良性の可能性が高いのではないでしょうか。但し、主治医の先生の触診所見が癌疑いであれば、しこりを切除した方が良いと思います。しこりの切除は、通常はきちんと局所麻酔をしてもらえばそんなにも痛いことはないので、ほとんど局所麻酔で行われます。今まで歯の治療などで麻酔を使っていませんか?その時はどうだったのですか?もし、歯の治療ができているのならば、局所麻酔が効かない体質というわけではないので、前回の指の時の麻酔があまり上手でなかったと考え、今度は局所麻酔でも大丈夫だと思うのですが・・・。しかし、一度痛い思いをした後に恐怖感が残るという気持ちも分かります。どうしても局所麻酔が嫌であるということであれば、全身麻酔をお願いしてもいいのではないでしょうか。折衷案としては、通常は局所麻酔は通院で行うのですが、入院させてもらい、局所麻酔で始めて、どうしても痛みがとれなければ、途中で全身麻酔に変更するか、強い痛み止めを注射で使ってもらい、その日は病院に泊まっていくという方法もあると思います。しかし、入院手術となるとその病院の事情(空きベットが少ないとか、手術枠が一杯だとか)でそのような無理を聞いてもらえない場合もあると思います。その場合には、今度はきっと効くと信じて局所麻酔で頑張って切除するか、全身麻酔でやってくれる別の病院を探すしかないと思います。(文責  清水)

 

No.662】 01年11月01日 S.N.                            
母の乳癌について

相談させて頂きたいことがあります。私の母の件ですが、年齢60で昨年7月に乳がんと診断されました。stageWで、各種臓器(肝臓、肺、骨など)への遠隔転移が認められ、手術不可と判断され、化学療法(CAF)および放射線療法を施行しました。結果的には幸いにしてCRとなり、現在はホルモン療法にてフォロー中です。しかし今週より膝が痛いと言っています。初診時は腰堆に転移して歩行も厳しい状況でしたが膝の痛みは訴えていませんでした。今週主治医の先生へ相談するとのことですが、膝への再発というケースも考えられるのでしょうか? 少ない情報で申し訳ございません。よろしくお願い致します。

四肢の骨転移は、大腿骨や上腕骨といった体幹に近い部分に多いといわれています。ですから、膝の転移の可能性は低いと思いますが、私個人としては下腿骨の転移を経験しているので、膝の痛みが絶対に転移でないとはいえません。主治医に相談して検査してもらうのが一番だと思います。(文責  清水)

 

No.661】 01年11月01日 M.K.                           
わき腹の痛み

今年5月に左乳がんの切除手術をしました。ステージTで、幸いにもリンパへの転移もなく、ホルモン療法のみで、術後の回復も良く、すぐに以前と変わらない生活をしています。最近左わき腹が少し腫れ、押すといたいのですが、骨ではありません。手を上げると引っ張られて痛みを感じます。今日はもう少し下の筋肉のようなものが痛みを感じます。いつも通っている別の病院の内科の先生はリンパが関係しているがたいしたことではないと言います。今月は乳がんの診察がないのでどうしたものかと悩んでいます。手術の影響や関係はあるのでしょうか?

一般に乳癌術後の再発は、胸部の皮下の結節として発見されることはありますが、側腹部の腫れとして見つかることはほとんどありません。ましてステージTとのこと、この場合の腫れや圧痛は、乳癌とは関係ないと思います。直接診察していないので推測の域を出ませんが、あえて胸部の疾患と関連付けて考えると、もし有痛性の索状物を触れるとすれば、モンドール病(胸壁の血管炎)が考えられます。心配な点があれば主治医に相談することがベストですので、その旨申し出て、早めに受診なさることをお勧め致します。(文責 須田)

 

No.660】 01年10月31日 KTTW                           
乳がん検診にて

36歳、2歳7ヵ月の子供の母親です。先日、人間ドックの乳がん検診を受けました。触診の結果、右に小指大、左に5ミリのしこりがあると言われました。たぶん良性だと思うが、念のためにエコーを撮りましょう、ということで別の技師がエコーを行い写真を何枚か撮りました。エコーの検査結果は、後で医師が写真を見て判定し、後日(1ヶ月後位)に他の検診結果とともに郵送されてくるとのことでした。でも、そのまま帰るのはあまりにも不安だったため、技師に「なにか悪い物は写ってましたか?」と尋ねたところ、「別にしこりは写ってませんでしたよ。ただ、乳腺が拡張しているので、多分それが医師の指に触れてしこりだと思われたのではないでしょうか。」と言われました。そこで質問させていただきたいのですが、

1) 小指大のしこりがエコーに写らないということがあるのでしょうか?
2) 乳腺が拡張して小指大の太さになることがあるのでしょうか?(検診の日は生理が終わって3日後で乳房も軟らかい時期でした)
3) 専門の医師が乳腺をしこりだと判断してしまうことがあるのでしょうか?
4) 検査結果が郵送されてくる前に乳腺外科を受診するべきでしょうか?

初めての乳がん検診で「しこり」という言葉を聞いて大変動揺しています。お忙しいところ恐縮ですがご回答よろしくお願いいたします。

1)触ってしこりがあるのに、エコーでは何も映らないということはよくあります。しかし、しこりが癌であればそのようなことはありません。ですから、触ってしこりがあるのに、エコーでは映らないというのは乳腺症で、心配ありません。
2)”乳腺”ではなく乳管だと思います。乳管が部分的に拡張して小さい嚢胞をつくり、しこりとして触れることがあります。それも乳腺症の時に起きる現象の一つです。
3)”よく”とは言いませんが、あることです。触診のベテランになればなるほど、乳腺症だと思うしこり(乳腺のかたまり)でも、そのなかに小さな癌が潜んでいるのではないかと慎重になり、マンモグラフィやエコー検査を欠かしません。経験を積んだ医師は自分の技術に自信を持っていますが、決して過信しません。
4)メールの文面からは癌の心配はなさそうですから、まずは郵送結果をみてその指示に従うのがよいと思います。もしその内容に納得できなかったり、不信な所があったら、その結果をもって、乳腺専門医を受診されたらよいと思います。(文責  清水)

 

No.659】 01年10月30日 M                            
ノルバデックスについて

お聞きしたいことがあります。よろしくおねがいいたします。現在ノルバデックスを服用しておりますが、お酒は飲んではいけないのでしょうか? それから現在、ノルバデックスは10mgを朝、晩服用しております(日本の病院で1ヶ月分だけだしていただきました。)が、現在都合で海外に住んでおりまして、こちらではノルバデックスは一錠が20mgなのです。1日の量は同じですが、日本人の私には大丈夫なのでしょうか? 飲むとすれば一日のうちいつ飲めばいいでしょうか? それとも10mgのものを日本から送っていただいたほうがよろしいでしょうか?

日本でもノルバデックスは10mg錠を一日2回朝晩内服する場合と、ノルバデックスDといって、一錠が20mgで一日一回一錠内服する場合があります。後者の場合は原則として朝食後ですが、自分の飲み易い時間であればいつでも問題ありません。また、ノルバデックスは一日40mgまで内服可能です。ですから、一回20mg朝晩でも特に問題はありません。しかし、海外で薬をもらう時に、それがノルバデックス(10mg)なのか、ノルバデックスD(20mg)なのかは確認した方がよいと思います。効果はどちらも同じです。(文責 清水)

 

No.658】 01年10月30日 にゃんまま                             
乳房の痛みについて

乳房の痛みが気になり、いろいろ検索していてこちらを見つけました。よろしくお願いいたします。41才、既婚、子供2人(10才・3才)、専業主婦です。2人目の子を1998年9月に出産、今年の7月4日まで母乳を与えていました。(2年10ヶ月位、眠たい時や甘えたい時に咥えていました。少しは出ていたようです。) 7月6日に集団検診で触診とマンモをとりました。触診の方では「異常なし」と言われましたが、後日、結果が届き、「乳腺に異常所見あり」とあり、左の上部・外側に印がしてありました。翌日、市民病院・外科にかかり、触診・マンモ、後日、超音波の検査を受けました。その時点では、「異常はないようですが、 乳腺がまだ発達していて見にくいから、3ヵ月後にもう一度きてください」と言われました。(3ヵ月後は11月16日です)。今回の生理が10月23日から始まりましたが、その2〜3日前頃から、左の上・外側がなんとなく痛く、特に、手を上に上げて高い所の物を取るような時に痛みます。医学書などには、「生理が始まると痛みはなくなる」などとあるので、少し心配です。外見上は右と比べても、あまり変わらないような気がします。触っても、痛いポイント(直径1.5センチ位)がありますが、堅さなどは右と変わらないような感じです。忙しくしている時には痛みを忘れていますが、気にしだすとなんとなく痛いような、少し熱っぽいような感じです。左腕もなんとなく気になります。痺れるとかではありませんが、存在感があるというか…。授乳中も左の乳房は少し陥没気味で、右に比べるとお乳の出も少し悪く、詰まりやすかったです。血縁者には「がん」はいませんが、大柄で太り気味です。

1)11月16日の診察の日までほうっておいてよいものでしょうか?
2)別の病院で診てもらったほうが良いでしょうか?
3)私は愛知県の東部に住んでいますが、信頼できる先生のいらっしゃる病院、 あるいは乳腺・乳がんを専門としている病院を教えていただけませんでしょうか。

以上3件、よろしくお願いいたします。

少なくとも3ヶ月前は異常がなかったわけですから、予定通り11月16日に受診することが一番bestだと思います。医学書にあるように生理が始まる前には乳房が痛むことがありますので、そのことはあまり心配しなくてもよいと思います。とにかく心配があったら、先生に診てもらい、心配なことを納得がいくまで相談することです。申し訳ありませんが神奈川の医師には愛知県東部の情報はわかりません。(文責  清水)

 

No.657】 01年10月30日 M                             
胸や脇、腕、背中が痛いのですが・・・。

39歳の女性です。子供は中学2年と小学5年の子がいます。9年前ほど、左上内側にやわらかいしこりを見つけてから何度か検査をしました。痛みがあるしこりです。検査はエコーとマンモグラフィーです。その都度、「乳腺症」「線維腺腫」などと言われ、特に治療はいらないので経過を見ることになっていました。5年程前から脇や、腕が痛かったことも言いましたが、関係ないといわれました。最後に検査をしたのは4年前です。それから忙しさにかまけて検診を怠っていました。去年の暮れには妙に疲れがたまり、内科で「バセドー病」と診断され、一ヶ月薬を飲み、再検査で数値が下がったのでバセドー病の症状はなくなったようです。胸の痛みや腕の痛みは時々あったのですが、ここ2週間ぐらい(さだかではない)胸、腕、脇、背中が痛く(左側)、左手がしびれている感じです。熱を持っている気もします。 「癌かも」と思い出したら余計痛み、気になって苦しいです。前にかかった乳腺外来に予約の電話を入れたら、先生が見てくれる日は10日も先になりそうです。痛みはどんどんひどくなる気がするし、別の病院に至急行ったほうがいいのでしょうか。静岡県富士市在住ですが、近くに信頼のおける乳腺外科の病院はありますか? 

メールの内容からは心配はなさそうに思います。予定通り診察を受けるのが一番だと思います。富士市での専門病院はわかりません。申し訳ありません。(文責 清水)

 

No.656】 01年10月29日 Tomo                             
微細石灰化像とマンモトーム生検について教えて下さい

34歳の結婚4年目主婦です。子供はいません。今年の9月26日に定期婦人科検診をしました。毎年乳房の触診検査はしていたのですが、初めてマンモグラフィで検査したところ、左びまん性微細石灰化像で要精密という結果でした。近くの総合病院を紹介され、撮影したマ
ンモグラフィの写真を持参し担当の先生に見せたたところ、(再度撮影はしませんでした)「左だけでなく、右にも石灰はある」とのことでした。そして触診とエコーの検査をしました。「左右の石灰は悪性の感じはなく、エコーも左右水泡(のうほう)があるが悪いものではないと思うので一応乳腺症としておきますから、経過観察で6ヶ月か1年後にまた来てください。」と言われました。そろそろ子供は欲しかったので、「妊娠はしても大丈夫ですか?」と尋ねたところ、「なるべく1年は我慢して欲しい、1年後に石灰が広がっていれば癌の可能性があるから。」と言われました。これは私の勝手なのですが一年間はっきりしないのは精神的に辛いです。経過観察がやむおえないのは理解ができるのですが、検査によって早く解るものなら何とかしたいのです。そこで質問なのですが
1)精密検査でマンモグラフィを撮らなかったのですが、普通は再度撮るものなのでは?(その病院にはマンモグラフィがあります)
2)石灰はなくならないのでしょうか? 左には細かい粒状の石灰が7〜8個、右には2〜3個映っていました。
3)水泡とはなんでしょうか?
4)病気がはっきりし本当に無理な場合、子供はあきらめられますが、1年後の経過観察で同じ状況だった場合も妊娠は諦めなければならないのでしょうか? もし経過観察前に妊娠してしまったらどのようなデメリットがあるのでしょうか?
5)石灰化はマンモトーム生検で良性か悪性かが解ると聞きましたが、私のような場合でもマンモトーム生検は行ってもらえるのでしょうか? それとも経過観察の方がよいのでしょうか?
6)マンモトーム生検の設備のある都内・多摩近郊の病院を教えて下さい。
宜しくお願い致します。

1)最初のマンモグラフィの写真があって十分読影できれば、敢えて撮り直す必要はないと思います。
2)マンモグラフィに写る石灰化にはいろいろな石灰化があり、全く心配ない物から、癌を強く疑う物まで様々で、悪性の石灰化を見逃さず無駄な生検をなくすために、それらの石灰化の良悪性を正確に鑑別しなくてはなりません。現在日本にはマンモグラフィの読影試験の制度があり、きちんとマンモグラフィを読影できる医師を養成認定しています。これからは、資格のある医師が読影しているかどうかも必要条件になってくるかもしれません。話はそれましたが、石灰化で経過観察しているうちになくなる例もあります。また、びまん性の石灰化と言うのは原則的には主治医の先生がおっしゃるように良性と考えます。
3)水泡と言うのは多分エコーで見える小さな嚢胞腫のことだと思います。これも、乳腺症にともなって見られる変化で心配ありません。
4)現在の状況から妊娠を制限する必要はないと考えます。癌を疑う石灰化で、これからマンモトームやら生検をしようというのであれば、 白黒つくまで妊娠を避けた方が良いでしょうが、明らかに良性と思うが万が一を考えて妊娠を制限しろというのは、”万が一交通事故にあうといけないから外出してはいけない”と言っているのと同じだと思います。
5)悪性を疑う微小石灰化の検査方法には、マンモグラフィを撮りながら石灰化の部位に細い針を穿刺して細胞診を行う方法、マンモグラフィを撮りながらマンモトームという少し太い針を刺して組織をとって組織検査する方法、マンモグラフィを撮りながら石灰化の部分に印をつけたり、細くて抜けない針金を刺して、それを目印に局所麻酔下に組織生検を行う方法があります。どの方法も長所短所があるので、どれが良いかは状況によって変わります。いずれの方法もマンモグラフィの撮影機械に特殊な装置が必要ですから、どの病院でもできるとは限りません。メールの文面から判断すれば、マンモトームの必要はないように思います。
6)都内に行けば癌研や国立癌センターなど大きな病院はいくつかあると思いますが、多摩地区のことは詳しく知りません。申し訳ありません。(文責  清水)

 

 

No.655-1】 01年10月26日 fumi                              
乳がん術後の転院について 

42歳専業主婦、既婚、子供・出産経験ともに無しです。2000年1月に左乳がんの摘出(温存)手術後、放射線治療(25日間、50グレイ)と、予防的な治療として抗がん剤治療(CMF、6クール)を受け、同時にノルバテックスを服用し始め、現在も服用中です。ただし、医師からは、エストロゲンレセプター陰性で、プロゲステロンレセプター陽性と聞きましたが、どの程度の感受性なのか、またタモキシフェンがどの程度効く性質のがんなのか、説明されませんでした。一応レセプターは有るので、CMFと合わせて使う標準的な治療として5年間服用、と言うことのようでした。実はこの治療は、術後CMFとUFTとの無作為化比較試験への参加を医師にすすめられたのをお断りして、自分で希望してお願いしたものです。
摘出した腫瘍の大きさは1.8×2.1ミリ、病期=ステージU、組織学的悪性度=グレードV、リンパ節転移=N0、他臓器転移は今までのところ無し。断端陰性か陽性かは確認していません。他に病理学的異形度・核分裂速度・しゅんじゅんの程度等も教えてもらっていません。まず、これについてですが、自分のがんの組織検査結果について、カルテのコピーのようなものを請求することは出来ますか?出来るとすればどういう手続きを踏むものでしょうか。次に、通っているのは専門の大きな病院の乳腺外科なのですが、外科手術も化学療法もずっと担当してもらっている医師と合わなくて悩んでいます。現在は処方箋をもらうための2ヶ月毎の通院と半年毎の検診ですが、私にとってこの医師はどうにも相性が悪く、毎回聞きたいことも聞けず、今日まで我慢してきました。最初は聞こうと努力しましたが、うまくいかずやめてしまいました。退院後の受診中は、ほとんど会話は無く問診にもならないで終わり、今ではこの医師に会わなければならないという通院自体が、ストレスになっています。定期検診を考えると長い付き合いになるわけで、今後再発の可能性もあり、メンタルケアをも含めて信頼できる医師、もっと話を聞いてくれる医師もしくは他の病院を、今から探す事は不可能なのでしょうか。遠くに引越しでもしない限り、手術した医師、病院に診てもらう以外無いのでしょうか。いよいよ転移・再発となった時、私はこの医師のもとで治療をする気にはとてもなりません。再発でなくとも定期検診を欠かせない今、検診と投薬を他にお願いする手立てがもしあるなら(転院も含めて)、どうかアドバイスをお願い致します。

腫瘍径が1.8x2.1ミリ?cm?、n0,grade 3,ER(-),PR(+)の乳癌で、温存療法で放射線治療50Gy、CMF6クール、Tamoxifen 5年であれば、まず治療として標準的と考えます。治験については個人の意志で参加不参加を決めるので、断ったとしても何の問題もないと思います。医師と患者の相性が良い悪いがあるのは、お互い人間ですから止むを得ないと思います。医者には患者さんを選ぶ権利はありませんが、患者さんには医者を選ぶ権利があります。ですから、転院されることは何も問題ないと思います(新しい先生との相性がまた問題になるかもしれませんが・・・)。理想を言えば、現在診てもらっている先生に診療情報提供書として必要な情報を書いてもらうか、必要な情報をコピーしてもらって転院するのが良いのですが、言いだしにくく、無断で転院したとしても、この質問に書いてある情報があれば、次の先生は継続して診療できると思います。但し、医師の立場からいえば、面と向かって言えなくても、断わりの連絡くらいは欲しいものです。急に消息が不明になると心配する医師もいますから。カルテのコピーはOKして下さる先生もいるし、駄目な先生もいるようです。しかし、最近は診療録(カルテ)開示が行われるるようになりましたから、きちんと病院へ依頼すれば見せてもらえるようになっています(手続きは面倒ですが)。ただ、いきなり病院へ請求するのもおかしいので、まずは、主治医の先生にお願いして、ダメであれば正式なルートで病院へ請求する事になると思います。(文責  清水)

 

No.655-2】 01年11月21日 fumi                              
タモキシフェンについて

2度目の相談になります。お忙しい中すみません、初歩的なことで申し訳ないのですが、ぜひ教えて頂きたいことがあります。
私は2000年1月に乳癌の温存手術を受け、放射線治療後、同4月から化学療法(CMF6クール)の開始とともにノルバデックスを5年ということで服用し始め、現在に至ります。(当時は閉経前でしたが、当然今は生理は無く、ひどい更年期障害になっています)ところが少し前に、「あなたは2年間飲めばいいです」と主治医に言われました。かつて、同じ病院の内分泌の専門医にホルモンレセプターの有無を聞いたら、エストロゲン陰性、プロゲステロンのみ陽性という答えで、それで効果はあるのかと聞くと、「ある」とだけ言われました。化学療法(CMF6クール)の開始とともにノルバデックスを5年という事も、その時の医師から渡された治験参加のパンフレットに書かれていた事で、私のような症例では標準的な治療と聞いたので、ずっと自分も5年間飲むものと思っていました。(結局治験には参加していませんが)
まずこのことに関連して、
1) ホルモンレセプターの検査結果について・・・+か−ではなく、数字(%など)では表記されないのでしょうか?陰性(−)という事は、全くレセプター無し=0 という事でしょうか?
2) タモキシフェンの効果について・・・抗エステロゲン剤だと聞いたのに、エストロゲンのホルモンレセプター陰性で効果はどの位あるのでしょうか?また、タモキシフェンは閉経前の患者にはあまり効果がないとも聞きました。私の場合、飲むだけ無駄ということはありませんか?
3) 余り効果の期待できない薬であっても、一連の標準的治療(CMFT?)として処方することもよくあるのでしょうか? 
4) 服用期間について・・・人によって服用期間を変えるということは他の病院でもよくあるのでしょうか?
5) 実際のところ、私のような症例で効果と副作用を考えると、何年飲み続けるのがいいのでしょうか?人によっては一生飲んだ方がいいという話も聞きました。
6) 子宮体がんの検査は、どの位おきに受けるべきでしょうか。(今年7月に他医院で一度受けました) 最後に、私の通っている病院では主治医によって定期検診の内容があまりにも違うので、それに関連して。私は最近になって、最初の主治医から離れ別の曜日の医師にかかっているのですが、最初の医師は半年後の検査=無し、1年後の検査=血液検査・胸部X線・エコー・マンモ・骨シンチ、1年半後の検査=血液検査だけ、でした。次の医師は半年ごとの血液検査と胸部X線のみ、らしいです。
7) 手術後の定期検診について・・・私の癌はグレード3、どちらのやりかたであっても、このような検査で事足りるのか不安です。どの位の頻度で、どういう検査をするのが望ましいのでしょうか?また、同じ病院で検査内容が違うのには、どういう理由が考えられますか?

以上、宜しくお願いします。

ご質問に沿って、順番にお答えいたします。

1)ホルモンレセプターには通常2種類のレセプターがあります。一つはエストロゲンというホルモンに関係するER (estrogen receptor)、他の一つはプロゲステロンというホルモンに関係するPgR (progesterone receptor) といいます。これらのレセプターの癌細胞内での役割については、まだ解明されていないところも多いのですが、ERに関しては生体内のエストロゲンと結合することで、癌細胞の増殖を促進すると考えられています。ER、PgRの測定は、免疫学的測定法であるEIA (enzyme immunoassay) 法が広く用いられています。ER値の基準値は13 fmol/mg蛋白(単位)以下、PgR値の基準値は10fmol/mg蛋白以下という数値で設定されており、これを上回る値では、癌細胞のホルモン感受性が亢進している可能性があると判断されます。通常このレセプターは細胞内の核と呼ばれる所に存在し、レセプター発現量(検査値の高低)と細胞増殖能との関係については詳しく解明されていません。ただ、ホルモンレセプターが基準値以上か以下かのみが、ホルモン療法効果の指標になると考えられています。

2)&3)前述のように、ER測定値とホルモン剤感受性の関係は解明されていません。一般的にはER、PgRの陰・陽性の組み合わせで、ホルモン剤の効果がある程度わかっています。施設、研究報告によって値が異なりますが、ホルモン療法の効果はER(+) & PgR(+); 67%、ER(+) & PgR(-); 32%、ER(-) & PgR(+); 25%、ER(-) & PgR(-); 12%程度と考えられています。両方のレセプターがともに陽性の乳癌は、全体の58%くらいと考えられています。閉経前の女性は卵巣からの女性ホルモンの分泌が多いため、特に35歳以下の女性では抗エストロゲン剤を単独で使うよりも、リュープロレリンやゴセレリンなどの性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤を併用したり、両側卵巣摘出術(現在はあまりやらない)など、卵巣機能廃絶を目的とした治療法を併用することが多くなっています。性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤は卵巣摘出と異なり、薬剤中止によって性機能が戻ることが期待できます。乳癌の進行度、悪性度等から総合的に判断して、抗エストロゲン剤と性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤を併用するかを決定しますが、抗エストロゲン剤には、エストロゲンの作用を抑制すると共に、直接的に癌細胞を抑制する効果も期待されているので、抗エストロゲン剤単独の内服がまったく意味のないこととは言えません。貴女の場合はCMF治療を受けているようですが、CMF療法だけでも卵巣機能を抑制することが知られているので、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤は使用せずに、CMFと抗エストロゲン剤を併用することもしばしば行われています。

4)、5)&6)海外の他施設での研究結果から、抗エストロゲン剤の投与期間は、2年間よりも5年間投与のほうが無再発期間や生存期間が有意に長くなると報告されています。5年間以上の投与については明らかな効果があるかどうか報告されていません。また、抗エストロゲン剤の長期投与により、子宮体癌の発生率が約3倍に上昇するとも言われており、現段階での抗エストロゲン剤の投与期間は5年間くらいが適当だと考えられています。最終的に、抗エストロゲン剤の投与期間は、初回手術時の病理学的悪性度から、主治医の先生が判断することになります。子宮体癌の検診についての詳しい報告はありませんが、婦人科の主治医と相談して、通常施行している子宮頚癌検診のときに、体癌検診も行ってもらうようにしてはいかがでしょうか。

7)術後の定期検査の方法は、手術時の病理学的悪性度、診察過程での全身状況、血液検査所見などから主治医の判断で行われています。症例にもよりますが、私の外来では1〜3ヶ月に一度の採血(腫瘍マーカーを含む)、6ヶ月に一度の胸部X線写真、6から12ヶ月に一度のCTおよび骨シンチグラム検査、1〜2年に一度の対側乳房マンモグラフィ-、超音波検査を施行しております。

乳癌と一言でいっても、患者の状況、乳癌の性質等により、それぞれの症例で異なったオーダーメードの治療を行う必要があります。いずれにしても、疑問に思うことや、不安を感じるようなことがあるようでしたら、遠慮などせずに主治医に相談して、自分の納得できる治療を受けるようにしてください。(文責 千島)

 

No.654】 01年10月26日 O.Y.                             
定期検診について

27歳、既婚の女性です。1年前、レントゲンを撮ったところ、「微小石灰化+」で再検査し、異状はありませんでした。こういう場合、定期的(半年とか1年ごと)に検査を受けたほうが良いのでしょうか?

微小石灰化といっても、悪性を強く疑う場合から、明らかに良性と思われる物まで様々で、経過観察の仕方も様々です。再検査をしてもらった先生にどのような石灰化なのか、また今後の経過観察はどのようにしたら良いのかをよく聞かれた方が良いと思います。いずれにしても月に一度の自己検診は行って下さい。(文責 清水)

 

No.653】 01年10月26日 H.S.                            
妻の乳ガンについて 

平成12年3月24日乳ガンにより左乳房全部摘出(リンパ節に2個転移)。この手術での病理検査でホルモンレセプター陽性・HER2陽性であることがわかった。術後補助療法としてホルモン療法とCMF4クールを行った(手術時の年齢33歳 国立S病院)。平成13年5月、全摘した左前胸部(皮膚)に2つしこりが出現し摘出(ともに悪性)。平成13年5月24日に同病院放射線科に入院。放射線治療(胸壁)。ピノルビンとタキソテールを1回点滴。この2種の抗ガン剤を点滴するも、腫瘍マーカーが下がらず(数値50前後)。主治医からハーセプチンを投与することの説明あり。よって7月上旬から毎週1回点滴開始(タキソテールも併せて月1回投与)。9月末までこの治療を行った。9月末の時点で上記の腫瘍マーカーは50から22まで下がったが、4つある腫瘍マーカーのうちst−439の数値が16と高い状態。また9月末に胸骨に転移(悪性)が見つかり9月退院の予定が2ヶ月延長となった。主治医の話によると11月末まで、ハーセプチン8回投与。タキソテール2回投与する。胸骨の転移部については、前回胸壁に放射線を照射しているので、とくに今回、放射線はあてないとのこと。

ご教示頂きたいのは、胸骨の病変部について何か治療の方法はないのか(全ての腫瘍マーカーの数値が許容内に入ることを目的に抗ガン剤を投与すれば、胸骨の病変部も縮小するのか)。また妻の乳ガンは治癒することはなく、今後 進行していくと想像されるがどのような経過をたどると考えられるか。また余命はどの程度あると考えられるか。 お忙しいところよろしくお願いします。

胸骨転移に対する治療法としては、抗がん剤(化学療法、内分泌療法)、放射線、手術があります。しかし、前回の放射線治療の範囲が胸骨の上まで及んでいれば放射線治療はできません。手術も可能ですが、これは、他の骨や、内臓臓器に転移がなく、切除によって根治の可能性があるならば考慮しても良いのですが、通常は、他の骨に転移があったりして、手術できる例は少ないと思います。それよりも、現在のハーセプチン、タキソテールが効いているのであれば、これを徹底的に行うのが良いのではないでしょうか。もう一つ、ホルモンレセプター陽性とありますが、生理は止まっているのでしょうか? 止まっていないのであれば、外科的にか、薬物的に生理を止める(閉経させる)ことは必要だと思います。再発の癌の治療は、今見えている癌病巣に対する治療も大事ですが、得てして"もぐら叩き状態"になる事があります。ですから、見えている病巣を薬の効果の指標に使って、どの薬が効くのかを判断しながら新しい病巣が出てこないように治療するのも一つの方法です。奥様の病歴から考えるとかなり悪性度が高い乳癌だと思われます。残念ですが、治癒する可能性は低いと思います。今後どのような経過を辿るかを予想するのは難しいと思いますが、今の状態から次に注意するのは首のリンパ節、胸水、肝転移などでしょうか。余命の判断も難しいのですが、一般的な話として、乳癌で再発した方が、再発してしてからどのくらい生きられるかの中央値(例えば100人再発した人がいたとすると、再発後亡くなるまでの時間が一番短かかった人(3ヶ月位)から一番長かった人(10年以上)までを順番に並べてちょうど50人目の人の生存期間)は約2年から2年半と言われています。この数字が一つの目安になると思います。(文責  清水)

 

No.652】 01年10月26日 S.Y.                            
術後の生活について

5月に手術をして放射線も抗がん剤も半年近くになり来月には終わります。後はホルモン剤を2年飲むことになっています。しこりは2センチでリンパ腺に1個という事でしたが、毎日不安な気持ちで過ごしています。この先ホルモン剤を続けるだけで何もしないでいいのでしょうか。食べる物にも、とても神経質になっています。いま32歳ですがこの先この不安な気持ちで生きる事はとても辛く暗い気持ちになります。今再建手術を考えていますが、6ヶ月でも可能ですか。又、万一再発と言う事があった時は、どんなに早くみつけても、それは又手術するのですか、その時でも生きて行く事に希望がもてるのでしょうか。宜しくお願いします。

5月に手術をされ、放射線治療も半年の抗がん剤治療も終わったとなると、やるべき事は全て行ったと思います。後は内分泌療法をきちんと続ける事が肝要です。内分泌療法が2年か5年かは意見が別れますが、まず2年内服して、その後のことはその時考えたら良いと思います。手術が終わって退院した時とか、抗がん剤治療が終了した時等、言い様もない不安に襲われる方がいらっしゃいます。医師からもなかなか良い慰めの言葉はないのですが、具体的な不安を一つ一つ主治医の先生に話して、少しでも不安を少なくするしかありません。そして、半年、一年と無事過ぎていくと徐々に自信がついてきます。残念ながら一度癌と診断されたら、どんな早期の癌でも再発の心配がゼロになることはありません。しかし、「再発のriskを下げるための手立ては全て行った」と、自分に言い聞かせて、後は運を天に任せるしかないのではないでしょうか。最近は、ビルの中で仕事をしていても、飛行機に乗っていても、普通に市民生活を送っていても命を奪われるriskのある時代ですから、気持ちを切り替えて前向きに生活して下さい。万が一再発したら、と皆さん不安に思っています。でも、少しでも長く生きていれば、新しい薬や治療法が開発されて癌を克服できる時代が来るかもしれません。万が一の時は、今回の手術と同様に、その時のbestの治療を選択するだけです。再建手術は一時は何年か待った方が良いと言われた事もありますが、最近ではいつでも可能なようです。もしそれで気持ちが前向きになるのならば、形成外科の先生に相談してみると良いと思います。(文責 清水)

 

No.651】 01年10月23日 Matsu                           
術後のsexについて

ご相談したいことがあります。よろしくおねがいいたします。私は41歳で9月中旬に温存手術をし、今はノルバデックスを飲んでいます。この状態でsexは、しても大丈夫でしょうか? はずかしくて先生に聞けませんのでよろしくお願いいたします。

乳癌の手術後と言うことであれば全く問題ありません。しかし、ノルバデックスを内服している時は多少影響があります。一つは妊娠した場合、流産してしまいます。注意して下さい。だからといって、ノルバデックスを飲んでいる時にホルモン剤(ピル)で避妊することはできません。それ以外の方法で避妊して下さい。もう一点は、女性のからだの中のホルモン環境が変わりますから、性欲減退、月経異常、不正性器出血、帯下、性交時痛などが報告されています。これらの副作用はかなり個人差があります。これらの副作用があるのだということを御夫婦で理解し、克服できれば問題ないと思います。(文責 清水)

 

No.650】 01年10月23日 M.K.                          
分泌物について

粘液ガン・混合型にて7月に右乳房切除しました。ホルモンレセプター陽性にてノルバデックス服用中。昨日左の乳首より透明でベトベトする分泌物がありました。自然にではなく、つまんだら出てきた感じです。一応、尿用のテストテープに当ててみましたが、潜血反応はあ
りませんでした。ものすごくベトベトしているのですが大丈夫でしょうか?よろしくお願いします。

乳腺症でもそのような分泌はありますし、悪性でもまれにそのような事があります。乳頭分泌については、分泌物の細胞診(可能であれば分泌液中のCEAの測定も)が簡単で有用です。次回受診時、主治医の先生に話して一度検査してもらうと良いと思います。(文責 清水)

 

 

No.649】 01年10月23日 T.M.                         
17歳、胸にしこりが…

はじめまして。大学の推薦試験を間近に控えた高校3年女子です。昨日の土曜日の体育の時間に走っていたときに何となく胸が痛くて、触ってみたら右胸にしこりがありました。平べったいと言えば平べったいしこりで、大きさは4〜5センチくらい?です。痛みがあったと言っても、肩の凝りに似たような痛みで、その内になくなってしまいました。あまりグリグリすると、少しだけ痛いのですが、大した痛みではありません。現在生理中なんですが、前から生理前になると乳房が痛くなって、生理が来ると痛みがなくなる、と言ったコトはよくありました。今回のも生理に関係があるのでしょうか?家庭医学書などを調べたら乳ガンとか乳腺線維腺腫とか色々書いてあってよく分かりませんでした。受験が目の前なのでとても心配です。どうぞ宜しくお願いします。

触診をしたわけではないので何とも言えませんが、閉経前の女性の胸の痛みの多くは女性ホルモンの分泌のアンバランスから起きると考えられています。ですから、生理の前に痛みが来るのは心配ありません。また痛んだ時に乳腺がしこりのように触れる事も良くある事です。今はその事を忘れて受験に専念して下さい。受験が終わったら、念のために乳腺の専門の先生に診てもらって下さい。(文責  清水)

 

No.648-1】 01年10月23日 R.A.                         
生検について

38才、子供が一人です。迷っていることがあり、このページをみつけ相談にのっていただければ心強いと思い書かせていただきます。
左胸の乳首の真上2-3センチのところに昨年11月しこりを見つけ年末に受診したところ、マンモグラフィー、エコーは問題無し、細胞診でクラス3ということでしたが、心配ないだろうということで半年後に経過をみるといわれました。しこりの大きさは1センチ×7ミリくらいでした。針をさした頃から胸に痛みがでるようになり(肋骨の付け根や、乳房各所、はっきりわかりませんが必ずここ、という特定された感じではないようです)、またいつの頃からか乳首の奥にかたまりのようなものができました。右の胸をさわっても小さいながら似たようなものを感じたので、もともとあるものなのかと漠然と考えていましたが、やはり不安なので4月に病院を変えて受診したところ、、マンモグラフィーとエコーの結果、問題無し、次回からはマンモグラフィーの必要もないといわれ安心しました。しこりの大きさも変化はないと記憶しています。
痛みと乳首の奥の塊に関しては、「若干炎症を起こしているかもしれない」ということで、それ以上の答えはなく、では乳腺科でみてもらった方が良いのかな、(どちらも外科でしたので)と思ったところで私自身とまっていました。10月になり最初の病院で検査を受けたところ、昨年末とは状態が変化しているので切ることすすめられました。変化の内容は、エコーで前
回はきれいなだ円形だったものがぎざぎざになっていることと、やや大きくなっていること(1センチ×1センチくらい)です。検査のタイミングが、生理の10日ほど前で、この時期は自分でもしこりのまわりと乳首奥のこりこりとしたものが一体化したような感じがしていたので、そのせいもあるかもしれないとも思いましたが、この1年ほどいつもこのことが気になっていたため、とることで安心出来るのであればと思い手術することを決めました。最初のしこりのまわりをくるりと細胞をつけて取り除くとのことだったので、胸に多少ひきつれと縫合の後はでるものの、大きなダメージはないと思えました。それではっきりさせた方がよいと思いました。
執刀は別の先生でした。手術台の上で触診したところ、「ひとつのしこりをとっても安心はできない、とるならば乳首奥のこりこりをとらなければ意味がない。」と言われました。詳しく聞いたところ、乳首の奥の物は3×4センチほどのもので、その上に根づいた形で最初のしこりがついており、そのほかにももうひとつ、のう胞もできているとのことでした。3×4センチということは、最初に聞いていた話と大きく違います。最初に出来たしこりと、乳首の奥にできているものの大きさはそうとう違います。それを全部とってしまったら胸のダメージはかなり大きなものです。一瞬のうちに判断はできなかったので、その日の手術は中止にしてもらいました。乳首の奥のものがとるべきものの対象となったことも不安でした。気にすべきものは、最初に出来た小さなしこりと思い込んでいたので・・・。また、最初のしこりと乳首の奥にできたものが合体しているということが心配です。
その後担当の先生と話をしたところ、私の安心の追求が激しすぎるため、執刀の先生は私との話し合いの中で大きく取ることを提案せざるを得なかったのだといわれました。憶えがないことなのでふに落ちなかったのですが、とりあえず、その日はそのまま帰ってきて、改めて
お話を聞くことにしました。手術前、担当の先生にいくつか疑問点を質問していたこともあって私は神経質な患者とうつっていたようです。(実際、納得したいという気持ちは強いですし)
担当の先生がおっしゃるには、「悪いものとは思っていないが念のためにとっておいた方が良いと思うからの手術である、」とのこと、執刀の先生は「安心したいのなら」という前置きをつけながら乳首の奥の塊も心配されている風でした。(私と話す前に触診後すぐおっしゃったことなので、私の追求にせまられてというよりは先生ご自身の判断と思います。)
この状況でお聞きしたいのは、まずこの二人の先生の見解の差をどう受け止め、どれだけ切ればよいものなのか、それとも別の病院でみてもらうべきなのか、(そうしたいとも思うのですが)、その時ここ1年の経過がわからないことのデメリットが気になります。悪いものであ
った時ここでまた時間をくってしまうことはよくないかも・・・と心配もあります。けれども、納得できていないのが現状です。
どうしたらよいものでしょうか・・・。宜しくお願いいたします。

基本的には直接診察している訳ではないので、どのくらいとっていいか等はお答えできません。
しかし、R.A.さんの自分が納得いくまでは手術をしないという態度は正しいと思います。二人の医師が触診上の所見で見解が食い違うことはそう珍しい事ではありません。しかし、通常は触診だけでなく、マンモグラフィやエコー、細胞診といった情報を総合的に判断するので、そんなに食い違う事はないと思うのですが...。どうしても納得がいかなければ、secondというかthird opinionで他の病院の先生の診察を受けるのも間違いではないと思います。病院へ受診しないでいたずらに時間をかけるのは良くないと思いますが、自分が納得するために時間をかけるのは決して無駄だとは思いません。結論として、もう一度主治医の先生に、もう一人の先生の意見の食い違いも含めて、納得いくまで説明を受け、それでも納得いかなければ、他の病院を受診してはいかがでしょうか。(文責 清水)

 

No.648-2】 01年11月14日 R.A.                         
生検についてーその後のご相談

先日「生検について」という件名でご相談した者です。その節はすばやいご返事ありがとうございました。その後の状況をご報告すると共にまたご意見を伺えればと思っています。ご返事に背中を押されるように、すぐに別の病院Aへ行って診てもらったところ悪性ということでした。マンモグラフィーにははっきりと写ったものはなく決め手はエコーです。細胞診の必要は?とお聞きしたところ、まず間違いないので入院後、手術前に一応するがそこで診断がかわることはまずなかろうと。ところが次の病院Bでは、断定はできないので細胞診をしましょうといわれ、一年ぶりにしたところクラスTといわれました。現在次の検査の予約待ちです。次はMRIで、エコーではひろえないしこりを探し、乳房内での広がりをつかみ、太い針での細胞診後、最終的には切ってみないと診断がつかないのではないかといわれています。決め手となったエコーのデータをA病院から持ってくることは判断に有効ですかと聞いたところ、エコーだけでは断定できないのでいらないといわれました。B病院では、乳腺に沿ってしこりがあり(3つ)、その土台に「大きめのかたまりもある」という診断で、やはり複雑なようでした。乳腺内にとどまっているようにみえるとのことなので、非浸潤の可能性もあるようです。この状況でのご質問です。

1)エコーの精度が高いとそれのみでも癌の判断はつくのでしょうか?A病院のエコーは時間をかけて丁寧にとり、また精度も高そうにみえた(フィルムのようになっておりクリアーだった)のです。それともB病院の先生がおっしゃるように断定はできないのですか?細胞診と比べ、どちらが正確ということはありますか?
2)クラスTということは、癌だったとしても悪性度が低いといえるのでしょうか?それとこれとは無関係なのでしょうか?
3)もし太い針の細胞診でもクラスTだった時、癌ではない証明をとるためにはあやしい部分をすべてとって生検しないと安心はできないのでしょうか?(他の部分に癌細胞がないともかぎらないので)一年前にクラスTでとらずにおいた結果、悪性の疑いが強くなってしまったという現状から、残しておくのはこわいと思うのですが、範囲が広いとなると、そうとうとらなければならなそうなのです。
4)検査の流れは問題ないでしょうか?何かリクエストすべきこと等あるでしょうか?私自身は信頼できる先生に巡り合えたと感じているのですが、今までいろいろなことがあったため、手堅く、できる事、聞くべき事は何でもやっておかないとこわいぞ、という疑心暗鬼の心境です。

一番最初に生検を拒否した時は、担当医からなかば怒鳴られて帰って来ました。けれどもあの時切らずによかったのだと思います。A病院では術前の生検でクラスTとの診断がでたときに振り出しに戻ってくれたのだろうか、すぐ生検としての手術となって、とる範囲も広いので全摘してチェック、などと言うことになっていたのではないか....などと想像がふくらんでぞっとします。まな板の上の鯉という言葉が浮かびます。B病院の先生はきちんと説明をしてくださり、患者ひとくくりとしてでなく、一人の人間として対応して下さったように感じました。信じてついてゆきたいと思う反面、いままでの経験から本当に信じ切ってよいものかという不安もぬぐい去れません。いったい、はっきりと癌と断言されたものがひるがえることがあるのでしょうか。また別の病院で平行して検査を受けるべきなのでしょうか?よろしくお願いいたします。

乳癌の診断は、視触診、マンモグラフィー、超音波診断、細胞診を行って総合的に判定いたします。勿論、触診のみ、マンモグラフィーのみ、超音波診断のみ、細胞診のみで診断がつく場合もありますが、それぞれの検査を何回か経過をみながら時期を違えて行っても診断がつかないようなことも、日常の診療では少なからず経験することです。このような場合には、しこりをとって調べる「試験切除(摘出生検)」を行って最終診断をつけることになります。以下、ご質問順にお答えいたします。
1)エコーの精度についてですが、前述致しましたように、超音波検査では基本的に癌をしこりの形で判定しようとしており、100%診断できるわけではありません。
2)3)細胞診は、針の中に入ってきている細胞が「癌」であるかどうかを、専門の病理医が判定するものであり、体の中にある大部分の「こぶ」を、、その針の中の細胞が代表しているとは限りません。また、狙った細胞がとれない場合もありますし、判定する病理医の意見が皆同一であるとも限りません。以上より、細胞診は癌かどうかを判定するものであって、悪性度を判定するものではありません。一般に細胞診でclassXの場合は癌ですが、classTの場合は癌でないと結論付けることはできないのです。
4)貴方の場合、メールの内容から推測すると、触診、マンモグラフィー、超音波診断、細胞診と、一連の検査を何回か繰り返し行っても診断が困難なケースです。従って一般的には次に行うことは生検であると思います。貴方の納得いく先生を主治医として信頼し、心配なこと、不安なこと等を十分相談の上、今後の方針を決めてください。(文責 須田)

 

No.647】 01年10月23日 N.H.                        
癌なのでしょうか?

こんにちは。30歳、独身女性です。ちょっと不安になったので、ご相談させていただきます。半年くらい前に右胸の乳首のすぐ上(乳輪の中)のあたりにしこりがあるのを見つけました。痛みはなく(生理前には両胸が張って痛む事があります)、触ると表面は滑らかな感じです。また、乳首を摘むと透明の分泌物が出ます。あまり気にしていなかったのですが、最近祖母に軽い乳がんが見つかった事で、急に心配になりました。私のも悪いものなのでしょうか? お忙しい所申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

しこりについては診察をしないと何とも言えません。近くの専門医への受診をお勧めします。文面からすると、表面が滑らかとのこと、癌の可能性は低いと思います。(文責 清水)

 

No.646】 01年10月23日 M.Y.                        
抗生物質について

はじめまして。私は42歳の主婦で、去年8月に手術(片側全摘)し、以降ゾラデックスの注射とフェアストン錠(トレミフェン)の内服をしています。この場合、他の病気の治療のため抗生物質(ミノマイシンカプセルなど)を飲んでも副作用はないでしょうか。また、抗生物質で飲んではいけない種類のものとかあるのでしょうか。

ゾラデックス、フェアストンの治療中に抗生物質を飲んだり、注射しても問題ありません。(文責 清水)
 

 

No.645-1】 01年10月19日 Y.T.                         
乳管内乳頭腫と乳がんの区別

29歳、既婚、未出産、女性です。2ヶ月前に左胸乳頭真下に痛みのない7〜8ミリ、形はまん丸のしこりを見つけ、大学病院で診察を受けました。触診後、超音波、マンモ検査をうけました。マンモでは主だった石灰化は見つからなかったようですが、超音波検査ではまん丸のしこりが写り、「乳管内乳頭腫」の可能性が強いとのこと。その後MRI、血液検査を受け、今日結果を聞きに行ったのですが「乳管内乳頭腫の可能性が強いが、まだ乳がんの疑いはつけられない。五分五分だ。」ということで、針を刺し細胞を取りました。検査結果はまた延期です。乳管内乳頭腫と乳がんはそれほど区別がつきにくいものなのでしょうか?乳がんであった場合、検査検査で判定がこのように伸びてしまって時間経過しても大丈夫なのでしょうか?担当医師はどちらにせよ乳管内乳頭腫が悪性になる可能性があるから取ってしまったほうがよいかもと言っていますが、本当なのでしょうか?また、乳がんであった場合、どれほど乳房をとることになるのですか?乳首は残すことができますか?実は今月結婚したばかりで、もちろん子供も産みたいですし、授乳もしたいです。不安で不安でたまりません。どうぞ宜しくお願いします。

まずは細胞診の結果を待ちましょう。それまではいろいろな可能性がありますが、細胞診の結果を聞いてから考えても遅くないと思います。万が一癌だったとしてもこの程度の検査にかかった時間は問題になりません。不安な気持ちは分かりますが、あせらずにひとつひとつstepをきちんと踏む事が肝要と考えます。乳管内乳頭腫は乳管内にポリープ状に増殖した腫瘍で、乳頭からの血性分泌が見られる事が多い腫瘍で、原則として良性です。しかし、確かに乳癌との鑑別の難しい腫瘍ですから、最終的には組織を切除して確定診断される事が多いです。7-8mmの腫瘤であれば腫瘤を切除しても、傷も小さく、将来の妊娠出産授乳にはあまり影響ないと思います。乳管内乳頭腫が癌化しやすいということはないと思います。しかし、乳管内乳頭腫が何回も繰り返しできる人は癌になり易いといわれています。万が一癌であっても、乳管内乳頭腫に似ている癌という事になると非浸潤性乳管癌の可能性が高く、早期で、乳頭を残して治療が可能ですし、妊娠出産も可能だと思います。(文責 清水)

 

No.645-2】 01年10月29日 Y.T.                         
乳管内乳頭腫と乳がんの区別(2)

お返事ありがとうございます。少し気持ちが落ち着きました。さて、細胞診の結果がでたのですが、レベル3とのことです。乳管内乳頭腫か乳がんなのか、まだわからないそうです。先生がいうには境界線がはっきりしている(球形)のでおそらく乳管内乳頭腫だろう、とのことですが、異型細胞が認められるのは確かなので生検を受けてください、といわれました。入院して全身麻酔手術でしこりを摘出するそうです。キズを極力残さないようにするため、乳頭に沿ってメスをいれ、乳頭をそっと持ち上げてハサミをいれシコリをはがすそうです。その際、乳頭近くのしこりで乳腺が集まっているため、乳腺を破壊してしまい将来授乳ができなくなる可能性があるといわれました。全身麻酔で意識がないので、そのときの状況(しこりの取りやすさ?)次第で先生が判断されるようです。日帰りでの局部麻酔手術も可能だそうですが、痛いだろうし、先生のほうもやりにくいので全身麻酔のほうがよいといわれました。11月中旬にオペ及び入院予約が入っています。現在はこのような状況です。いくつかの疑問がでてきてしまいました。

1)細胞診結果について: 乳管内乳頭腫でも細胞診レベル3はよくある結果なのでしょうか?
2)手術の方法について: 将来授乳不可能というリスクを背負ってまで生検手術をしなくてはならないのでしょうか?この手術方法は一般的なやり方なのでしょうか?
3)局所麻酔に変更することについて: 大学病院なので全身麻酔だと本当に先生が執刀してくれているのかどうかわからないですし、手術中の会話(特に状況によって授乳不可能になるかもしれないので)も気になります。特に先生を非常に信頼しているので絶対に先生に執刀してほしいのです。若い医師が経験のために執刀することだけは嫌なのですが、それは私のわがままなのでしょうか?局所麻酔手術だと問題がありますか?局所麻酔で生検を行っている病院が多いようですが、しこりがある場所が乳首の真下なので「やりにくい」ということでしょうか?

次の診察時、10月31日は生検手術前に細胞を取っておくと参考になるということでさらに太い針を刺して細胞診をするそうです。そのときに、全身麻酔から局所麻酔手術に変更してもらおうかと思っているので、それまでにアドバイスをいただければ大変嬉しく思います。本当にありがとうございます。

1)乳管内乳頭腫であれば細胞診の返事はclass3、3a、3bとなる事が多いと思います。逆に癌であれば3、3b、4、5となることが多いと思います。ですからやはり組織検査は必要だと思います。
2)乳輪切開は最も傷の目立ちにくい手術方法ですが、乳頭から離れた腫瘤の手術に対しては少し難しくなります。多少傷が目立っても、正常な乳腺への侵襲を最小限にしたいというのであれば、腫瘤の真上に皮膚切開を置いて手術するのが良いと思います。Yukikoさんの腫瘤は乳頭の下にあって、7-8mmの大きさとのことなので、乳輪切開で普通に手術すれば、授乳を諦めなければいけないという事はないと思います。(もちろん手術ですから、授乳ができなくなるriskがないとは言いません、多分その事を主治医の先生がおっしゃったのではないでしょうか)
3)全身麻酔で行う理由は、局所麻酔の針を刺す痛みも我慢できないので絶対に局所麻酔は嫌だという場合か、局所麻酔薬のアレルギーがあって、局所麻酔薬を使えない場合だと思います。全身麻酔をかける事自体riskがありますから、通常は局所麻酔で行う手術だと思います。”若い医師が経験のために執刀するのは嫌だ”というのはわがままだと思います。今あなたが信頼している先生にも手術が初めてという時代があり、その時に手術された患者さんがいたわけです。皆が若い医師の手術は嫌だといっていたら、手術ができる医師は育ちません。自分以外の患者さんでならいいというのは自分勝手だと思います。外科の医師を育てるというのは大変な事なのです。人形相手に練習をしてうまくなる訳ではないですし、実際の患者さんの診療を通して成長していくのです。したがって、ある手術を若い医師に行わせる時は、その医師が同じ手術を何回も見てやり方がわかっていること、切ったり、縫ったりの基本的な手技がきちんとできている事等を先輩の医師が確認し、途中でできなくなればいつでも交代する体制で手術に望みます。若い医師が執刀医になって経験豊富な医師と一緒に手術するという事は、その経験豊富な医師が手術をしているのと同じ事なのです。私が常日頃書いている、患者さんには医者を選ぶ権利があるという主張と矛盾するように思うかもしれませんが、あなたが選んだ医師が、どうして別の医師に執刀させるのかをきちんと説明してくれて、あなたが納得できれば、自分の選択は生きるのではないでしょうか。
4)生検手術前に細胞を取っておくと参考になるというのは理解できません。一体何の参考になるのでしょうか?よく話を聞かれた方が良いと思います。(文責  清水)

 

No.644】 01年10月18日 S.F.                        
アリミデックスの副作用か?

乳癌で昨年9月に手術を受けた63歳の姉のことでお聞きしたいと思います。術後抗がん剤の治療を20単位のところ、副作用がかなり強くかなり精神的に参ってしまい10単位でぐらいで中止しました。その後、3月か4月頃にホルモン治療に変わり2ヶ月程服用し、それで終わったと思っていたようですが、そうでなく飲み続けるようにと言われました。この9月から服用したところ、中頃から歯ぐきがうき、だんだん痛みがひどくなり、顔も腫れ、痛み止めの薬をのんでも効かず、非常に苦しんでいます。これが薬の副作用か、それとも細菌なのか、転移なのか、担当の医師に聞いても、「とりあえず薬は中止」と、後のご返事がないとのことでした。アリミデックスは新薬と聞いておりますが、突然ですが姉が心配なのでよろしくお願いします。

手術後にアリミデックスがよいというデータはまだない(近々発表されるという噂ですが)ので、術後にアリミデックスを使う先生は少ないと思いますが、間違いなくアリミデックスでしょうか? アリミデックスだとすると、歯ぐきが浮いて痛くなるという副作用はあまり聞いた事がありません。但し、確かに新しい薬ですから新しい副作用の可能性も否定はできません。暫く薬を休んだ後で再開して、同じ症状が出るのであれば副作用と考え、出なければ副作用ではなかったと考えて薬を続けても良いのではないでしょうか。また、場合によっては手術後の薬として実績もあり安全性も確認されているノルバデックスやフェアストンという薬に変更してもらうのもひとうつの方法だと思います。(文責 清水)

 

No.643】 01年10月18日 sacchi                           
子どもの事ですが・・・

七歳の娘のことでご相談します。一ヶ月ほど前からだんだん右の乳房が膨らんできて小児科と乳房外来を受診しました。小児科では血液検査をしてホルモン異常を調べる事になりました。検査結果はまだなのですが、骨のレントゲンや他の兆候が何もないのでホルモンは正常のようです。乳房外来では触診とエコーをしたのですが、直径2cmで平たい腫瘤がありハッキリ言って乳腺なのか、腫瘍なのかハッキリわからないと言われました。でもこの年齢で乳がんになる可能性はほとんどないから細胞取るまではしなくて良いだろう、様子をみてもし大きくなるようならばまた来なさいと言われました。本人は痩せ型で背丈も普通(118cm、21s)、押さえても痛みは全然ないようです。左は全然何もないです。
子どもは乳がんになりますか? このまま様子を見ていてよいのでしょうか? どこか別の施設を受診してみようかとも思いますが、意味がありますか? とても心配しています。アドバイスお願いします。

基本的には全く心配ありません。お母さんはおっぱいが膨らみはじめた時のことを覚えていませんか?(ほとんどのお母さんは覚えていないようですが・・・。)女の子も男の子も女性ホルモン男性ホルモンが分泌されるまでは中性で、女性は女性ホルモンが卵巣から分泌されるようになると、おっぱいが膨らみ始め、月経が始まり、女性的な体型になっていきます。7才ですから、すぐに月経が始まるというわけではありませんが、卵巣が目覚めて少し女性ホルモン(血液検査には出ないくらい微量)を分泌しはじめた徴候です。おっぱいが膨らみ始める最初の徴候は、片方の乳輪の下に円盤状の触ると痛がる硬結ができることです。暫くすると一旦消える子もいますし、そのまま両方が立派なおっぱいになっていく子もいるようです。一昔前までは10才前後の子の受診が多かったのですが、最近は初潮年令の低下に伴って7、8才の子が多くなり、時には6歳の子の相談を受ける事もあります。(文責 清水)

 

No.642】 01年10月18日 N.C.                          
抗がん剤について

私は現在32歳未婚、未出産の女性です。先月の終わりに乳がんの手術をしました。しこりの大きさは2センチ位でしたが、術式はリンパ節が触れるという事で、乳房切除+リンパ節郭清でした。今後、化学療法を行う事になっていますが、気になる情報に接しました。UFTという抗がん剤は1984年3月に発売されてから16年間も使われ続けているが、効かない事がわかっていて、こんな薬を使うのは日本だけというものです(少数の国でロイコボリンと併用して使われているそうです)。UFTの仲間にはフルツロン、ミフロールなどがあるそうですが、実際のところ、現在でもこのUFTという抗がん剤はよく使われるのでしょうか?また、最近、ハーセプチンとタキソテールという新しい抗がん剤が登場しているとの事ですが、これらは病院によって備えているところと、そうでないところがあるので、備えてある抗がん剤の種類の少ないところは選択肢も少ないので、注意した方がいいという事も耳にしたのですが、どうなんでしょうか? その点、がんセンター等の専門病院だと心配ないのでしょうか? どうかご回答頂けますよう、お願い致します。

手術後の治療は最も重要な問題だと思います。まずは、あなたの乳癌の病理検査の結果(腋窩リンパ節転移の有無、ホルモンレセプターの有無、組織学的悪性度など)を、専門用語が多くて理解しにくいかもしれませんが、先生からきちんと聞く所から始める事をお勧めします。次に日本で使われている飲み薬の抗がん剤(UFT、ミフロール、フルツロンなど)についてですが、これらの薬は厚生省(現在の厚生労働省)が効果があるといって認めているわけですから、日本の医師が勝手に効かない等という事はできません。手術後の抗がん剤の治療が有効かどうかを判定するのはとても難しいのです。それを判定するために世界中で無作為比較試験というのが行われ、Aという治療をした群と何も治療をしなかった群で比較し、Aという治療をした群の方が再発した人が少なければAという治療が推奨され、次にBという治療が出てきたら、Aと比較してAよりBの方の再発が少なければBが標準治療になります。このようにして欧米ではこつこつと比較試験を繰り返しながら、その結果に基づいてguidelineが作成されているのです。一方、日本ではそのような試験はほとんどありません。従って日本独自のguidelineはありません。私個人としては、日本人も欧米人も基本的には変わりないと考えているので欧米のguidelineを参考にして治療にあたっています。その欧米のguidelineには日本の飲み薬の抗がん剤は入っていません。一方で、日本人と欧米人は違うし、日本人医師であれば厚生省が認めている薬を使うのは当然だと考えている先生もいますので、飲み薬の抗がん剤を使う先生もいると思います。選ぶのは患者さんですから、疑問点を主治医の先生にぶつけて、その先生の考え方を良く聞いて、その考え方に同意できればいいし、できなければ違う治療をお願いしてもいいと思います。
ハーセプチンは新しい抗がん剤で日本に導入された経緯が特殊なので、使える病院が限られています。現在は再発の治療にしか使えないので、手術後に使う事はできません。タキソテールはどこの病院でも、いつでも使えます。(文責 清水)

 

No.641】 01年10月17日 T.I.                          
しこりがあります

私は、中学3年の女の子なんですけど、中学に入ってから胸に平べったいちょっと大き目のこりこりしたものがすごく気になります。最近は胸が張って痛い時もあるんですが・・・。もしかして何かの病気ですか?

”中学に入ってから”というともう3年も経っているので、悪いしこりという事はないと思います。でも心配ならば、冬休みになったら、お母さんと一緒に病院へ行って、一度専門の先生に診てもらった方が良いと思います。 (文責  清水)

 

No.640】 01年10月17日 なつ                           
手術は必要ですか?

25歳の女性です。4月に右の胸に2センチほどのしこりをみつけました。病院での診断の結果、乳腺線維腺腫であり、3ヶ月ごとに検診をうけるように言われました。7月にかかった時は同じ病院の別の医師でしたが、大きさが3センチになっていたようで、「なんで4月の時点でとらなかったんだ」と怒られてしまいました。そのときに手術を勧められましたが夏ということもありしぶっていました。8月にかかったらまた少し大きくなったみたいで「今度こそとりましょう」といわれたのですが、乳腺専門医がいないこともあり、手術をしようという決心がつかないのです。ちなみに細胞をとって検査をしたところ、クラス2といわれました。手術はした方がよいのでしょうか?

線維腺腫の手術をした方がいいかどうかは、このホームページに度々寄せられる質問の一つです。線維腺腫の手術をするかどうかどうかは、医師によってその基準はまちまちですから、医師に頼ろうと思うと”なつ”さんのようにどうして良いか分からなくなってしまいます。手術をするmeritとdemeritを自分でしっかり評価して自分で決める必要があると思います。手術するmeritはしこりがなくなる、心配がなくなる。demeritは傷が残る、麻酔をするとはいえ多少は痛い思いをする。参考までに線維腺腫に関する情報を整理すると、まずはどのくらいの確かさで線維腺腫と診断されているかです。線維腺腫は、年令、触診で90%、レントゲン(MMG)、超音波検査(エコー)が加われば99%診断がつきます。更に穿刺吸引細胞診を行えばまず100%診断できると思います。そのようにして診断された線維腺腫であればまず手術の必要はないと私は思います。それでも、自分でmerit, demeritを評価して、自分で手術するしないは決めるべきだと思います。しかし、前述の診断方法でどれか一つでも、線維腺腫の所見と一致しない所見がある場合は、手術を積極的に考慮した方が良いと思います。それから、”なつ”さんのように経過を見ていたら大きくなってくる線維腺腫は、葉状腫瘍というという別の腫瘍の可能性がありますから手術した方が良いと思います。ちなみに手術をする医師の立場からいえば、大きさが2cm位までの線維腺腫であれば局所麻酔で取り易く、傷もあまり大きくなくてすむのだが...と考えています。 (文責  清水)

 

No.639】 01年10月16日 ichi                          
女性化乳房について

はじめまして。私は27歳の男性です。小学生の3、4年頃から左胸の方が少し膨らみはじめて、いまだに少し膨らんだ状態です。ちょうど、乳首の下あたりに直径4cmぐらいの平べったいしこりがあります。あまり気にしない様に暮らしていたのですが、最近、やはり「普通の男のからだの様になりたい」と思いはじめました。以前では、友だちにプールに誘われたりすると、きまって断っていたのですが、やっぱり、堂々と男性らしく生活がしたいです。そこで御相談なのですが、女性化乳房の治療法としては、切除するしかないのでしょうか?また、切除するとなれば、どのようなところで、どれくらいの費用がかかるものなのでしょうか?また、切除は普通に仕事をしながらでも、通院でできるものなのでしょうか?(正直、恥ずかしい事と、コンプレックスがあるので、あまり知られたくありません)あまりこの事に関しての資料がないので、凄く悩んでいます。できる限りの詳しい情報を知りたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

小学3年生頃からとのことで、一過性のものではなくて、持続性のものが考えられます。治療としては、切除させて頂くことになると思います。外科で、あるいは乳腺外科でということになります。切除する範囲がそれほど大きくなければ、日帰りの外来手術で可能だと思われますが、大きければ全身麻酔での入院手術も考慮しなければならないでしょう。費用は病院によって多少異なると思いますが、日帰り手術であれば2割負担で1万円前後かと思います(しこりの大きさによっても変わります)。日帰りであれば、体力仕事でなければ翌日から普通に仕事は行えるでしょう。女性化乳房症のほとんどは特に原因がなく、御心配ないものです。しかしなかには原因が他にある場合もあり(まれですが・・・)、一度病院に行かれることをお勧めします。(文責 加藤)

 

No.638-1】 01年10月16日 Y.N.                         
乳腺癌に関する質問 

初めてメールさせていただきます。台湾に在住するものです。私の中国語の教師(27歳、独身)が乳癌と診断され、今年の5月末に右乳房の切除並びにリンパ腺の全摘を受けました。化学療法を7回まで受けましたが、化学療法に伴う苦痛故、これ以上受けたくないとのこと
で、8回目を受けることになっている週から既に三週間中断しています。彼女が今苦悩しているのは、
@一体自分の症状に合ったような薬液の処方になっているのかどうか?
A化学療法が本当にどれくらい効果があるのか?
B化学療法以外にどんな選択肢があるのか?
C漢方医(台湾には癌に掛かった場合この選択肢がある)と化学療法(その後に予定されている放射線治療)とどちらが効果があるのか?
といったようなことですが、執刀した医師を始め家族、友達、皆が「化学療法が現時点では最善の方法だから継続しなければならない」 の一点張り、誰も「何故化学療法が必要か?」「具体的にどんな効果が期待できるのか?」という根幹の疑問に答えてくれない(答えられ
ない)というのが現在の彼女の苦悩です。加えて、最近更に彼女の苦悩を深めることが起こりました。
@漢方医に相談に行き症状を話したところ、「リンパ節への癌細胞の転移が確認されている(彼女の場合、腋窩リンパ節転移3個)のだから、一般的にはあなたの寿命は4年ぐらい」と言われた。
A執刀医から別な医者を紹介され相談に行ったところ、彼女のケースの場合、乳房全切除の必要はなかった、などとこれまでとは全く違うことを言われた(因みに、彼女は台湾南部の都市、高雄市在住、執刀は台湾中部の都市、台中市で行われ、これまでの化学療法はすべて台中市で実施、高雄-台中間は電車、バスで片道約二時間半から三時間の距離、これも化学療法の継続を億劫にさせている理由で、化学療法を継続するのであれば高雄市での治療を希望している)。

癌だと診断されてから乳房切除に至るまでの時間が恐ろしく短く、それこそ有無を言わさず、という感じがありました。私自身周りに同じ病気で悩んでいる人を目の当たりにした経験がなく、増してや、この地の習慣、言葉に不慣れな為、果たして執刀からこれまで、彼女は「
正しく」治療されてきたのだろうか?という大いなる疑問があり、彼女は例えば日本で治療を受けられるような機会は皆無なのではありますが、日本側の乳癌を取り巻く状況、事情を知ることで少なからず彼女を励ます(医者でもない私に出来ることはこれだけです)よすがに
なればと思い立ち、このメールを書いている次第です。恐らく台湾での乳癌を取り巻く医療事情というのは、日本とかなり違うと想像しているのですが、それなら尚更、私のような素人でも日本側の状況、事情を知ることは意味がある、と思うのです。彼女はこれはもう台湾の習慣的な考えだからとは言いますが、もう結婚は決してできないし、ボーイ・フレンドさえ諦めなければならない、と言う。こんな未婚の乳癌患者なら誰でもが持つ同じ悩みにどういうアドバイスが出来るのか?という点までもサポートしたい、と私自身は考えているのです。
今回相談させていただきたいのは、上記の「リンパ節への癌細胞の転移が確認されている(彼女の場合、腋窩リンパ節転移3個)のだから、一般的にはあなたの寿命は4年ぐらい」というのが、今の日本の場合、果たして「常識」なのかどうか?ということです。私が知る限り
の彼女の状態は以下の通りです。これはリンパ腺の細胞検査の結果そのままなのですが、私は各々の意味する所が全く判らないので、出来ればそれぞれの日本名、或いは英語名を教えて下さい。
腫瘍の大きさ:約2センチ(台湾では第二期と診断された)、 bv(-)、 lv(-)、 ER(+)、 PR(+)、 HERZ(-)、 SN 0/2、 II 3/12、 III 0/5(真中が「腋窩リンパ節転移3個」の意味と思うのですが?)

お忙しいとは思いますが、何卒宜しくお願い致します。

1)病理結果について: bv:blood vessel invasionの略で、血管侵襲の有無を表し、lv:lymphatic vessel invasionの略で、リンパ管侵襲の有無を表しているのだと思います。ER:Estrogen Receptor、PR:Progesteron Receptorの略でホルモン療法の適応の有無を判断します。ちなみにこの場合はどちらも(+)ですから、ホルモン療法が有効です。HER2:Her2/neuという細胞増殖に関わる遺伝子異常が起きているかどうかの検査で、Herceptinという薬が有効かどうかの指標です。SN:Sentinel Nodeの略、T、Uはそれぞれリンパ節の場所を表しています。リンパ節については全ての合計で3/19(腋窩リンパ節19個切除して3個に転移があった)と解釈して良いと思います(sentinel nodeについてはここでの説明は割愛します)。bv,lv(日本ではv,lyと略すことが多い)についてもう少し説明しますと、病理検査では癌の中心を薄くsliceしてプレパラートにのせて、染色して検査をしますが、この時に当然、血管やリンパ管も輪切りになってきます。そのslice面で輪切りになった血管やリンパ管の中に癌細胞がいる像が見えれば(+)、見えなければ(-)と判断します。文字で書くと簡単ですが、実際に判定するのは大変難しく、ベテランの病理医でも苦労します。そのために、これが(+)だからといって必ず再発するわけでありませんし、(-)だからといって再発しないというわけではありません。予後因子としての力は強い方でありません。事実、今回も、lv(-)なのにリンパ節転移
(+)という不思議な結果になっています。この場合は、lv(-)ということより、リンパ節転移(+)ということの方が重要になります。

2)予後について: 日本では手術後の予後(寿命)についてお話する時に、あと何年生きられるというような表現は用いずに、5年生存率が何%(今年手術した100人のうち5年後に生きているか人は何人くらいか)、10年生存率が何%といった表現をします。もう一つは50%生存率が何年(今年手術した100人の内50人目が死ぬ時は何年目か)という表現になりますが、乳癌のように10年生存率が50%以上ある場合はこの表現は使えません。この例では腫瘍径が約2cmで腋窩リンパ節転移が3個ということなので10年生存率は70-75%くらいでしょうか。抗癌剤の治療をすると約10%生存率が上昇するといわれているので、主治医の先生は抗癌剤を選択したのだと思います。2001年のSt Gallenのguidelineでも35才以下の患者さんは全て手術後に抗癌剤を投与するように勧告しています。その抗癌剤はAnthracycline系の抗癌剤(赤い注射)が望ましいと言われており、副作用がきついというのは多分この抗癌剤だと思います。つらい治療ですが、その必要性をよく理解していただいて頑張ることをお勧めします。(文責  清水)

 

No.638-2】 01年10月18日 Y.N.                         
追加の質問です

丁寧なご回答をいただき誠に感謝しております。追加の質問があります。お忙しいところ誠に恐れ入りますが、再度ご回答いただければ幸いです。
1.「ホルモン療法」で使われる薬液は、「抗がん剤」とは別物ですか?「ホルモン療法」というのは、通常の化学療法とは別個に実施されるものですか?それとも、化学療法時、それに応じた薬液を処方した上で実施されるものですか?
2.先のメールを書いた後で、検査を受けた所(彼女は第七回目以降の化学療法を嫌がり、執刀医とは別な医者に検査を依頼し、その結果が好ましいものであれば、化学療法を打ち切る算段をしていた)、切除部、並びにリンパ節に異常は見られないが、切除部裏の肋骨(第5本目)に影があるので、要注意、化学療法(後5回残っている)を終了した時点で、再度検査を実施し、この肋骨部の異常を診る、と言われました。これは、肋骨に癌細胞が転移している可能性がある、という意味だと思うのですが、このような症状が出ている場合、彼女の症状は悪化、或いは進展している、という解釈でよろしいですか?それとも第二期としては典型的な症状ですか?或いは、通常の第二期より悪い、ということになるのでしょうか?このような症状が出ている場合、化学療法以外にどのような治療の選択肢がありますか?
3.35歳以下の患者の場合、抗がん剤投与が勧告されている、ということですが、彼女の場合、化学療法が終了した後、更に5週間の放射線治療が予定されています。今まで話した彼女の症状をベースにした場合、放射線治療は受けるべきですか?受けても余り効果がない(ならば、受けない方がいい)?どちらとも言えない?どれでしょうか?

1) 化学療法とホルモン療法、どちらも広い意味では抗がん剤です。化学療法で使う薬剤は直接癌細胞を殺し、一部正常な細胞にもダメージを与えるので強い副作用が出ます。一方、ホルモン療法で使う薬剤には癌細胞を直接殺す作用はなく、ER(+)の場合、癌細胞が必要としている女性ホルモンを減らしたり、女性ホルモンが癌細胞と結合するのを妨害したりして、間接的に癌細胞にダメージを与えます。その結果、正常な細胞はほとんどダメージを受けません。しかし、女性の体にとっては女性ホルモンが減った形になるので、更年期障害の様な症状が出ます。ホルモン療法と化学療法を同時に行うか、別々に行うかはまだ結論は出ていないと思います。少し前までは、同時に行った方が効果が高いと言われ、同時に行われていましたが、最近は別々に行うという意見の先生が多いようです。
2) メールの内容から類推すると、CT検査では胸壁、腋窩リンパ節、傍胸骨リンパ節に異常はなかったが、骨RI(Radio-Isotope)検査で第5肋骨に異常な取込みがあったと解釈しました。骨RIという検査は骨転移を診断する最も鋭敏な検査で、かなり小さな病変も見つける事ができますが、その反面、偽陽性(転移でないのに異常と出てしまう場合)も多くあります。代表的なのは、骨折や打撲でも異常と出ます。ですから、この場合も一ケ所だけの異常ですから、転移かも知れないし、転移ではないかも知れないとしか言えません。先生のいうようにしばらく経過を診て再検査というのがbetterと思いますが、はっきりさせるために、疑わしい部位のMRIを行ってみると転移かどうか鑑別できる事があります。もしこの肋骨の異常が転移であるならば、2期ではなく4期という事になり、予後はかなり厳しいと言わざるを得ませんし、ますます化学療法が重要になってきます。化学療法がどうしても嫌ならホルモン療法に変えてみる手はあると思います。
3) 乳房切除後の放射線治療、一昨年までは乳房切除をすれば放射線治療はいらないという事になっていたのですが、昨年、リンパ節転移が多い場合、乳房切除後に放射線治療をすると、局所再発を減らすばかりでなく、生存期間もわずかだが延長させるというevidenceが報告され、昨年のguidelineから推奨されるようになりました。しかし、乳房切除後に放射線治療を行うと、腕のむくみがひどくなる事が知られているので、guidelineでもその副作用についてきちんと説明するようにとなっています。ですから、データを重視して、副作用等顧みないで少しでも生存期間を延ばしたいというのであれば放射線治療は必須です。しかし、その効果の大きさと副作用を天秤に架けて判断するべきでしょう。(文責 清水)

 

No.638-3】 01年10月23日 Y.N.                         
ホルモン療法について 

再度丁寧な回答をいただき誠にありがとうございました。もう一つ「ホルモン療法」に関し教えて下さい。
彼女の場合、現在はホルモン療法を行っていません。これか彼女の年齢と未婚者である為、将来の妊娠、出産を考慮してのことだということです。「更年期障害」のような症状を呈するということですが、これは生殖機能が低下、或いは停止してしまう、という意味ですか?つまり将来妊娠、出産が期待できない、という意味でしょうか?或いは、化学療法完了後は回復する可能性があるという意味でしょうか? ご回答よろしくお願い致します。

まず、ホルモン療法についてですが、閉経前の方へのホルモン療法としては、卵巣摘出、卵巣への放射線治療といった永久に妊娠出産が不能になる治療と、LH-RH analog(商品名ではゾラデックス、リュウプリン)という治療中は閉経状態だが、止めると元に戻り妊娠出産が可能になる治療法、抗エストロゲン剤であるTamoxifen, Toremifenといったエストロゲンとエストロゲン受容体の結合を阻害する薬剤があり 、これは妊娠出産については個人差があり、生理が止まる人、不順になる人、変わらない人様々です。しかし、この薬を内服中に妊娠すると流産します。このようにホルモン療法もその種類によっても生殖機能が停止するかどうかは一定ではありません。もう一つ大事な事は、 化学療法でも多くの患者さんが、薬物閉経といって生理が止まってしまいます。これも、治療中は止まっていて治療後回復する人、治療後も回復しない人、治療中も止まらない人など様々で、その人がどうなるかを予知する事はできません。ですから、まだ子供を産んでいない患者さんの治療方針をたてるのはとても難しく、子供はいらないというのであれば、最も再発のriskの低い治療法を生殖機能を考えずに選択すれば良いのですが、将来子供を産みたいという希望がある場合は、治療方針にかなり制約が加わる事になります。(文責 清水)

 

No.638-4】 01年11月27日 Y.N.                         
化学療法&骨RI 

1.結局化学療法に関しては、12回中5回終えた後、本人の意思で中止してしまいました。本人は再開するつもりでいたのですが、「途中で中断してしまっては効果がない」と言われ、再度やり直すか、或いは中止してしまう、の選択肢のうち後者を選びました。代わりに経口薬を一日二回連日一ヶ月飲むことになったのですが、薬 の名前はTamoxifenというものです。これは一種の抗癌剤だと思うのですが、実際は一体どういう薬でしょうか?化学療法が現時点では最善ということですから、経口薬は次善ということになるでしょうが、一体今後はどんな療法の選択があるのでしょうか?アドバイス下さい。

2.先にメールで骨RIのご説明をいただきましたが、添付のファイルが実際の検査結果(Bone Scanとなっています)です(PDFファイルですのでアクロバットで簡単に開けます)。各検査所見を訳していただく必要はありませんが、先生が先に予想して述べていただいた所見と異なる所があれば教えて下さい。宜しくお願い致します。

タモキシフェンはホルモン療法で使われる抗エストロゲン剤の一つです。タモキシフェンも広い意味では抗癌剤です。前回の質問でもホルモン療法について回答されているので参照してください(No638-3)。
質問の中で抗エストロゲン剤を「1日2回、連日1ヶ月間服用」するとありましたが、一般的には2〜5年間連続で服用します。投与期間についても、2年間より5年間投与のほうが無再発期間や生存期間が有意に長くなると報告されています。今回はホルモンレセプター検査でER・PgRは共に陽性であったようなので、抗エストロゲン剤の効果は約60〜70%ということになります。閉経前の女性は卵巣からの女性ホルモンの分泌が多いため、特に35歳以下の女性では抗エストロゲン剤を単独で使うよりも、リュープロレリンやゴセレリンなどの性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤を併用したり、両側卵巣摘出術(現在はあまりやらない)など、卵巣機能停止・廃絶を目的とした治療法を併用することが多くなっています(このことについてもNo638-3に回答されています)。性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤は卵巣摘出と異なり、薬剤中止によって性機能が戻ることが期待できますので、未婚の女性で、将来妊娠や出産の可能性を残しておきたいという希望があるのならば、これらのホルモン剤による卵巣機能停止の方をお勧めします。その他、点滴の抗癌剤に比べて制癌効果はやや劣りますが、5FU系抗癌剤の内服治療など、副作用の比較的少ない化学療法を併用するというオプションも考えられると思います。

骨シンチグラムの所見については、画像が不鮮明で、レポートにある右第5肋骨の集積増強所見は読み取れませんでした。レポートの中には、第一に外傷による集積上昇を考えると書いてあります。いずれにしても肋骨のX線写真や、MRI所見などを参考にして見ないと、転移の有無については明言できないと思います。レポートの中にもX線写真で確認する必要性にふれていますので、主治医と相談してみてください。(文責 千島)

 

 

No.637-1】 01年10月15日 Nishi .                        
左胸のしこりについて

はじめまして。私は奈良県在住、30歳、1歳と2歳の母親です。3日ほど前に左胸上方右よりに、しこりを発見しました。それは米粒ぐらいの大きさで、ころっとしており、皮膚の上からつかむとその形までわかります。特に痛みなどはありません。丸い小さな玉が入っているがごとしです。乳がんではと、怖くなり色々ホームページを見ています。病院に行くのが一番いいのはわっかているのですが、少しでも知識を待って、心を静めたいと思いメールをさせて頂きました。何卒ご返答のほどよろしくお願いいたします。

しこりがころっとしており、丸い小さな玉(ビー球?)のようなものでしたら、それは線維腺腫(良性のもの)の可能性が高いと思われます。小さなものでしたら経過観察となることが多いです。触診、マンモグラフィー(乳房のX線)、エコー(超音波)、細胞診(細い針を刺して細胞を調べる)などの検査を組み合わせて行うことになるでしょう。乳がんの可能性は低いでしょうから、あまり御心配なさらずに一度診察を受けてみられてはいかがでしょうか?(文責 加藤)

 

No.637-2】 01年10月16日 Nishi .                        
乳腺線維腺腫について

本日、S検査センターにて触診による受診をしてきました。その結果、皮膚由来のものではなく、線維腺腫ではないかといわれました。後日、乳房超音波とX線検査をすることになりました。触診により、ガンと線維腺腫の区別はいかにされるものなのでしょうか? また線維腺腫とは、どのような病気なのでしょうか。本日は、M病院という検査センターに行ったのですが、奈良県にある乳腺外科や乳がんに力を入れている病院があれば教えていただきたいのですが・・・。お忙しい中たくさんの質問をしてしまい申し訳ないのですが、何卒よろしくお願いいたします。

乳癌と線維腺腫は、触診である程度区別できます。一般的には、乳癌は触った感じが表面がごつごつしていて動きが悪いのに対して、線維腺腫は表面が滑らかで動きが良いのが特徴です。しかし必ずしもそうとは言えない場合もあり、レントゲン、超音波の検査が必要となります。線維腺腫は、レントゲンではしこりの影がはっきりしない場合が多く、超音波ではラグビーボールを横に置いたような特徴的な像を作ることが多いので、そこまでで診断がつく事が多いと思います。それでも心配な時は穿刺吸引細胞診を行えばより確実です。線維腺腫は、比較的若い女性(10才代から30才代くらい)にできる代表的なしこりで、組織学的には線維組織の過形成が特徴で、通常は癌化する事もありません。
申し訳ありませんが奈良のことは詳しくないのでよくわからないのですが、1999年の乳癌学会の名簿では乳癌学会が専門医として認定した先生は見当たりません。(だからといって熱心な先生がいないわけではないと思いますが・・・)乳癌学会の認定医専門医制度研修認定施設としては奈良県では奈良県立医大が認定されています。あとは実際に治療を受けた人に聞いてみるのが良いのではないでしょうか?(文責  清水)

 

No.637-3】 01年11月01日 Nishi .                        
脂肪腫について

左胸のしこりに気づき、先生にもアドバイスを頂きましたので、検査を受けました。M病院での触診で線維腺腫との診断を受けたので、後日、国立N病院にてX線と触診の検査を受けました。X線には、しこりとなるものが写っておらず、先生も乳腺症とおっしゃい、エコーを受けるほどのものでもないと言われましたが、心配だったのでエコーもうけました。その結果乳腺症との診断をいただき、来年の3月に念のため診察を受けてくださいとのことで、一安心していました。その後、M病院でも予約を入れていたので、国立N病院で撮ったX線とエコーの検査を受け、結果報告を先日受けたところ、脂肪腫との診断をもらいました。悪性度は低いとの事で、3ヵ月後再検査を受けてくださいと言われました。その間あまりにも心配であるのであれば、細胞を取って検査するのが良いと言われました。2ヶ所で受けたエコーで違う診断を頂き、今後どうしたらいいものか悩んでしまい、メールさせて頂きました。細胞を取る検査にはリスクがあるとききますし・・。脂肪腫とは、どのような病気なのでしょうか? それには悪性のものもあるのでしょうか? 大変お忙しい中、恐縮ですが、アドバイスのほど何卒よろしくお願いいたします。

メール内容を整理したいのですが、「国立N病院では触診が乳腺症、レントゲンは異常なし、エコーは行わず、総合診断が乳腺症。M病院では触診が線維腺腫、レントゲンとエコーを加えた総合診断が脂肪腫。」と、解釈して良いでしょうか。いずれにしてもあまり心配はなそうです。脂肪腫というのはその名前とおり、脂肪細胞が腫瘍性に増殖してできるしこりで、体中どこにでもできます。通常は触診では柔らかい腫瘤として触れ、極めて稀に悪性のものがありますが、ほとんどは良性です。どうして二つの病院の答えが違ったかは私が触診していないのでなんとも言えません。ただ、良性の病変の診断は割合と大雑把なことがありますから、強いていえばそのへんが理由でしょうか。あなたの書いている触診所見と二つの病院の検査結果を併せると、少なくとも癌ではないようですから、心配せずにどちらかの病院で経過を見てもらうか、どうしても心配ならば第3の病院を受診するしかないと思います。(文責 清水)

 

 

No.636-1】 01年10月12日 K.D.                        
乳ガンの手術について

乳ガンの手術についておたずねします。まず自宅でしこりを(右乳房乳頭の右斜め上5p)発見し(9/8)、すぐ近くの大学病院に受診しましたが(9/10)、検査結果が非常に遅いので、近くの乳腺を診ていただける外科を2カ所受診しました。2カ所とも細胞診をしましたが、結果は異常なしで、ただ疑わしいので3ヶ月様子をみましょうといわれました。でも長い間不安でいるのはいやだったので生検をして頂きました。(10/1) 先生は、外科的処置も含めてしこりより大きく切除しましたとおっしゃっていました。結果は残念なことに癌でした。(10/8)  TNM分類 というのでしょうか、しこりは1pぐらいガン細胞の核異型は2 核分裂は1と言うことで「T1」と言うことでした。血管、リンパ管への浸潤は無しだそうです。癌の種類というのでしょうか、入管癌の乳頭腺管癌(浸潤癌)です。また切除したしこりの断面から内側の脂肪に取り残しの可能性があると言うこと、リンパ節のへの転移をみなくてはいけないことから温存手術をすすめられました。手術については同意しております。気になりますのは紹介して頂いた病院では、手術ができるのは、11/1もしくは11/2ということでした。生検から1ヶ月もあいて大丈夫なものでしょうか。
一応、このことについては生検をして頂いた先生、手術をして頂く先生にお尋ねしましたが、昔は、生検したら2週間以内に手術しないといけないと言われていましたが、今はアメリカのあるお医者さんが調べた結果、2週間あけてもあけなくてもかわりがないという統計結果がでましたので・・・という理由でした。お二人の先生がおっしゃるのだから信じなくてはいけないと思います。しかし今もまだ私の体にガン細胞が残っていると思うと不安で・・・。どうかアドバイスをお願いいたします。告知を受けました10/8よりホルモン剤のノルバデックスを一日2回飲んでいます。エストロゲンレセプターというのは明後日ぐらいにわかるそうですが、副作用も少ない薬なので、万一+の時を考えてはやく治療に入りましょうということでした。どうかよろしくお願いします。

生検から手術までは確かに急いだ方が良いといわれていた時代もあったようですが、現在では2,3ヶ月おいても大丈夫だといわれています。むしろ、少し時間がたってからの方が生検の傷の影響が落ち着き、良いと勧めている報告もあります。現在取り残しの小さな病巣があったとしても、それが急に大きくなったり、他へ転移したりすることはないとお考えになってよいと思います。(文責 加藤)

No.636-2】 01年10月23日 K.D.                        
手術後の痛みについて

先日乳ガンの手術について質問しましたものですが、生検手術の傷についておたずねします。10/1に右胸外側上部のしこりを切除しました。傷跡は3pほどです。手を高く上げると傷跡より脇腹辺りに引き連れるような痛みを感じます。昨日鏡でみて発見したのですが、傷
跡から下に向けて筋を引っ張ったようになっていました。激痛というような痛みではありませんが、右手を上に上げることを知らない間に自分で控えているようです。リハビリと思い、もっと動かす方がいいのでしょうか。11/1または2に再手術が待っていますが、再手術の際やり直すことはできるのでしょうか。万一再手術後もこのような痛みが残ったとして、時間がたてば消失するものなのでしょうか。


実際に診察しているわけではないので答えにくいのですが、メールの文面からすると、Mondor病(モンドール病)という病気というか現象が最も考えられます。Mondor病というのは、胸から脇腹にかけて、長さ数cmから十数cmの真直ぐな皮膚のすぐ下の細い索状物のことで、触ったり、手を挙げて突っ張った時などに痛みがあります。原因は不明のことが多いのですが、私達外科医が乳腺のしこりを切除した後には時々見られます。特別な治療は必要とせず、数週間で自然に治癒します。痛い時は無理に手を挙げたりしない方が良いと思います。再手術の頃までには楽になると思いますが、再手術後もまたなるかもしれません。また、今度の手術では脇の下のリンパ節の手術をすると思いますが、同じような現象が今度は上腕から前腕にかけて起きる事もありますが、これも自然に治りますから心配しないで下さい。(文責 清水)

 

No.636-3】 01年10月29日 K.D.                        
別のしこりについて

先日生検の後に皮膚下に索状物ができるモンドールのことでおたずねしましたが、その索状物のすぐ近くに(乳房外側下部)しこり(手にあたる感覚では1p位)ができ、押さえると圧痛があります。しこりに気づいたのは23日で、24日には主治医に超音波をかけて頂きましたが、何であるかは不明ということで癌ではないと言うことでした。確かに9/10、9/13、9/19と診て頂いた三カ所の医師たちはもう一つしこりがあるなどとはおっしゃいませんでした。しかしそれから1ヶ月ほど経過しておりますし、もう一つ癌ができていたという可能性は本当にないのでしょうか。また万一それが癌だったとしたら一度に2個も癌ができるなんて何か特殊な乳ガンの経過をたどっているのでしょうか。また、違う種類の癌が同じ乳房内にできたりするのでしょうか。(生検でとったしこりの細胞のグレードは1ですが、グレードがちがう癌ができるかということです。) 手術は11/1に決定しました。手術をして下さる先生にはまだこのことについてはお話ししていません。手術前に検査はして頂けると思いますが、手術前の検査で悪性かどうかわからなかったらどのような手術になるのでしょうか。素人の質問で状況をうまく説明できません。申し訳ありませんがよろしくお願いします。

自分でしこりを触った感じが、前回癌と診断されたしこりの感じと同じならば癌の可能性が高いと思いますが、如何ですか? 乳癌と言うのは一つの乳房内に多発する可能性がありますから、今度のしこりが乳癌である可能性はあります。しかし、多発したからと言って特殊な癌と言う事はありません。多発した時は同じタイプの癌のことが多いのですが、違うタイプのこともあります。それは病理検査をしないとわかりません。多発した時は最も大きなしこりを代表としてstageや治療方針を決めます。また多発したと言う事は、他にも触らない小さな癌がある可能性が高くなるので、温存療法ができない訳ではありませんが、温存療法をした場合は将来乳房内再発のriskが高くなるという覚悟が必要になります。それが嫌ならば乳房切除が勧められます。今回の新しいしこりが癌かどうかを診断するのには、前回と同様にすぐに細胞診を行って手術前に診断をつけて、手術をどのようにするか相談するのが一般的ですが、手術前の細胞診で確定診断がつかなければ、全身麻酔で手術している時に新しいしこりを切除し、手術中の迅速診断で確定診断をつける事になります。となると、初めから手術中に診断すれば良いと考えて、手術前の細胞診を省く方法もあります。その場合は、新しいしこりが癌であった場合に手術は乳房温存でいくのか乳房切除をするのかを手術前にきちんと決めてから手術室に入る必要があります。(文責  清水)

 

No.636-4】 01年12月27日 K.D.                        
術後の治療について

以前相談No.636でお世話になった者です。事の経緯は以前の質問の中に大部分を書いておりますが、11月1日に右乳房温存術を受けました。(10/1に生検受けた) 術後リンパ節転移が2/20個(レベル1)見つかり主治医より術後の治療について説明があり、家族のすすめと、後で後悔したくないという思いから一番強い方法(TAM5年間+ゾラデックス2年間+CAF+放射線)を選び、もうすぐ2クール目の休薬期間を迎えようとしてます。ところが病理検査の結果、断端より数o入ったところで(位置は脇側の乳管内)ガン細胞がみつかり、追加の治療の説明を受けました。
1.放射線の追加照射 2.追加切除 3.全摘 

私の乳房は大きくないので、これ以上追加切除すると美容的なメリットはないので、全摘を選ぼうと思っていますが、その手術の時期についてお尋ねしたいのです。主治医は抗ガン剤治療が終わってからでも、抗ガン剤を中断してしてもどちらでもいいとのことでした。再発を最大限に予防する為にはどの時期で行うのがベストでしょうか? 病理検査結果は(参考までに)乳頭腺管癌 腫瘤割面1.3p 癌浸潤の波及程度G、Fに○がついてます。G,Fというのはどういう意味ですか? ELC+、乳管内進展の有無3+、TNM分類 T1、N1α、M0です。ホルモンレセプターは共に+。ハーセプチン(HER2)1+、癌の核異型2、核分裂1で悪性度グレード1、だそうです。年齢40歳、閉経前です。よろしくお願いします。12月初めから極少量の不正出血があります。ホルモン療法の副作用でしょうか?(ゾラデックス1回目の注射11/9、 2回目12/11) また、抗ガン剤治療をしていても近くの婦人科で子宮癌検診など受けてもいいものですか?このような質問は主治医にすればいいものですが、年明けでないと病院に行く機会がありませんのでよろしくお願いします。

局所再発(乳房内の再発)を避けるための全摘ですが、遠隔転移・再発には関係ありません。遠隔転移・再発を予防するには、抗ガン剤治療は必要ですが、再手術のタイミングは関係ありません。G,Fというのは、病理検査でガンが乳腺(Grand)と脂肪(Fat)に波及していることを意味します。不正出血は、ホルモン療法の副作用でしょう。おそらく次回くらいから生理は止まるでしょう。抗ガン剤治療をしていても近くの婦人科で子宮癌検診は受けても結構です。子宮体ガンの検診まで受けるようにしましょう。最後に、個人的には全摘をすぐに選択するのではなく、放射線照射の追加照射を受けて経過観察するようにして、局所再発したら全摘をする、という選択でも十分理に適っていると思いますが。(文責 緒方)

 

No.636-5】 02年01月24日 K.D.                        
骨転移の可能性について

いつも丁寧なご回答ありがとうございます。実は昨年12月終わり頃より腰痛が続いております。痛みは耐えられない様なものではなく、鈍痛であったり、つっぱたような感じであったりします。場所は仙骨と第5腰椎の辺りで、骨の両側を押すとツボを刺激されたときのように気持ちいいです。仙骨当たりの痛みは少しましになったような気もします。しかし、すっきりと治らないのがとても気になります。検査は昨年10/17に術前検査として骨シンチを受けており、異常はありませんでした。1/4にレントゲン、腫瘍マーカー(CEA、CA15−3)をし、共に異常なしでした。しかし、痛みが治まらないので整形外科を1/7に受診し、レントゲンとMRI検査をしました。結果は転移と思われるような異常なく、(MRIは外科の主治医にも診てもらいました。) ただ、整形の先生は、「レントゲンに映った骨の色がうすい。また、そり腰なので負担がかかっての腰痛でしょう」とのことでした。現在リハビリとカルシウム剤を飲んでいます。私の病歴は以前の質問の通りです。11/1に手術して現在治療中でも(CAF、ゾラデックス、ノルバデックス)骨転移を起こしている可能性はどれくらいでしょうか。骨転移かどうかをはっきりさせる検査はないのでしょうか。また最近、発汗、ほてり、頻尿など更年期障害の様な症状がでていますが、腰痛もその一つと考えられますか。どうぞよろしくお願いいたします。

骨転移の検査は、通常シンチを行います。感度の高い検査ですので、これで異常が無ければまず安心してよいと思います。更なる精密検査としてMRIがあります。貴方の場合、MRIでも異常なしとのことですので、骨転移の可能性はほとんど無いと思います。(文責 籾山)
 

 

No.635-1】 01年10月12日 J.N.                       
手術後の化学療法について(1) 

はじめまして。今年の8/24に、右乳房温存手術を受け、その後、放射線治療25回を終えたところです。病理検査の結果は、乳頭線管がん、しこりの大きさ 2.2*1.4、リンパ節転移 5/19、悪性度 3、ホルモン受容体 (-)、ステージ 2A ということでした。昨日、内科の先生から今後の治療方法の説明があり、抗がん剤を始めることになりました。治療方法として、CMF 6クールか、AC(CAのことでしょうか?)4クールのいずれかを、選択肢として提案されました。私としては、副作用の軽いCMF療法を選ぶつもりなのですが、お教え頂きたいことがいくつかありますので、お願い致します。

1。CMF療法とAC療法、どちらでも効果に変わりはないという説明だったのですが、私が本を読んだり、インターネットの情報から得たりした知識によると、AC療法のほうがかなり強い抗がん剤だと思うのですが、実際にこの二つの治療法に効果の差はないものなのでしょうか?
2。もし転移をした場合、一度使った抗がん剤は、二度目には使えないと思うのですが、そういうことを踏まえると、手術後の補助療法としては、弱い薬から始めたほうがいいのではないかと思ってしまうのですが、如何なものでしょうか?
3。リンパ節転移5個の場合、予後が悪いとされていますが、今回の治療方法の提案は、特にその点は考慮に入れず、一般的に行われている方法に思えるのですが、ホルモン受容体もマイナスの場合、もっと強い抗がん剤を最初に使うという選択肢はないのでしょうか?

以上3点なのですが、私としても、抗がん剤治療をするのはわかっていたのですが、治療方法の選択肢があるということについては、あまり深く考えていなかったもので、実際に選ぶとなると何を基準にして、どう考えればいいのかわからなくなってしまいました。ただ、まだ3歳の子供もいるので、副作用の軽いCMF療法にして、普段の生活にあまり支障をきたさない範囲で治療していくのが、今の状況ではいちばんいいのではないかと思っています。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願い致します。

順に返答させて頂きます。
1. 確かにACの方が強力であり、副作用も大です(脱毛、嘔気など)。しかしこの2つの比較臨床試験では、おっしゃるようにほぼ効果において差はないとされています。これはCMF6クール(6ヶ月間)とAC4クール(3ヶ月間)の投与期間の違いが影響しているのでしょう。
2. 転移をした場合、術後の補助療法で使用した抗がん剤は一般的には使用しません。CMFを行った場合はA(アンスラサイクリン系)を含んだもの、あるいはタキサン系(タキソールまたはタキソテール)を、ACを行った場合はタキサン系を一般的に使用することになるでしょう。また経口の抗がん剤を使用する場合もあります。ACを行ったとしてもまだ次に使用できるタキサン系の薬剤などが残っていますので、そういった観点(もう使える薬がないのでは?)からは問題ないと思われます。術後の補助療法の目的は治癒であり、現在全身に回っているかもしれないがん細胞をたたくことにあります。治療のタイミングが大切であり、理論的にはより強力な抗がん剤を使用した方が再発率を下げる結果となることが考えられます。ただ、全員により強い抗がん剤を使うことは過大治療となってしまうでしょう。再発の危険度に応じた適切な分類を行った上、再発抑制効果、副作用の差を考え、補助療法に使用する抗がん剤を決定することになります。他に、最近では抗がん剤の効果を予測できるような因子も発見されつつあります。また再発乳がんは残念ながら一般的に治癒は難しく、治療の目的が延命となってしまうことも頭にいれておかなければならないでしょう。
3. CMFあるいはACよりも強いものとして、CAFあるいはCEF、またACにタキソールを組み合わせて行う方法があります(CAFやCEFはほぼ同等だとする報告もありますが)。ACのあとにタキソールを続けて行う方法はACのみと比較して、ホルモン受容体陰性の方たちにおいて若干効果があるとの報告があります。ただ、より強い方法は副作用も一般的に大きいことは覚悟しなければならないでしょう。術後補助療法として単独でタキサン系を使用することに関しては、まだエビデンス(証拠)はありません。術後補助療法としての抗がん剤の選択肢は多種多様にわたると思います。お悩みになられる気持ちはよく分かりますが、効果の差、副作用、投与期間などを考慮し、主治医とよく相談なさってみてください。(文責 加藤)

 

No.635-2】 01年10月15日 J.N.                       
手術後の化学療法について(2) 

お忙しいところ早速のお返事ありがとうございました。非常にわかりやすい説明で、疑問に思っていたことがすべて理解できました。最終的には、自分で選択するしかないことはわかっているのですが、何を選んだにしろ、それが正しかったのかそうでないのかがわかるのは何年後かの自分の体でしかないということは、やはりとてもこわいことです。
恐れ入りますが、あとひとつだけお尋ねしてもよろしいでしょうか? もし先生が私の主治医だった場合、今提案されている2つの治療方法を勧めますか? あるいは、それ以外のより強力な治療方法を提案されますか? 原発治療の段階で、がん細胞を強力に叩くという選択肢が
ないということは、再発の可能性が低いと判断されたからだと思うのですが、そう言われて再発・転移をした患者さんを入院中に何人も見ていると、あまり楽観してばかりもいられない気がします。抗がん剤治療のときに副作用が軽くて元気だった人より、抗がん剤治療のときに副作用がひどくてポロポロになっていた人の方が、将来的には生き延びることができていると、最近読んだ本に書いてあり、独断的な意見だと読み流していたにもかかわらず、いざ抗がん剤の治療が始まることになると、頭の中に浮かんできてしまいます。

私が主治医でしたら、提案されている2つの方法とそれ以外のより強い方法のメリット、デメリットをお話しした上でJ.N.さんに決めて頂くようにするでしょう。ただ、それが最良だとは限らず、良いと思われる方法を勧める方が親切なこともあると思います。治療方法を委ねられた場合は、再発を1%でも防ぎたいという治療する側の勝手な意見で申し訳ないのですが、様々な背景を考えた上で、より強い方法をお勧めするかもしれません。しかし、副作用の面よりも治療効果を重視し、一人でも再発から救いたいと思うのは医者のわがままなのかもしれません(何も補助療法を行わなくても再発しないかもしれませんし、強い方法を行ったとしても再発してしまうかもしれません。いつかその運命が占える日が到来してしまうのでしょうか?それとも先に再発を防ぐことが可能となるのでしょうか?)。副作用に関しては必ずしも効果と比例するとは限りませんが、同じ薬を使った場合、白血球がある程度まで少なくなった人たちの方が効果があったという報告もあります。白血球が少なくなるまで(副作用が出現するまで)抗がん剤の量を増やしていく投与方法もあるようですが、一般的ではありません。(文責 加藤)

 

No.635-3】 01年10月30日 J.N.                       
病理検査結果について

以前手術後の補助療法についてご相談させて頂いた者です。先生からの回答を参考に、主治医の先生とも話し合って、最後まで悩みましたが、CMF療法を選択することにしました。お世話になりましてありがとうございました。このことについては自分で考えた末の結論ですので、その判断を信じて治療をしていくつもりです。今回は病理検査の結果でわからないことがありますので、それについてお教え頂けますでしょうか? 先日、主治医の先生にお願いして、病理検査のコピーをもらいました。だいたい理解できたのですが、いくつかわからない点がありますのでお願い致します。

(1)病理免疫染色報告書の中の、P53 (2+) 80% 強陽性
(2)病理組織診断の中の、切除断端に腫瘍の浸潤を認めないが、反乳頭側方向へ乳管内を進展しE1C+と判定する。

(1)のP53というのは、癌抑制遺伝子のことだと思うのですが、これが何を意味するのかがわからないことと、(2)のE1C+というのは、この相談室でも、今まで呼んだ本でも見たことがないので、全然わかりません。そこまで詳しく知る必要がないと思って主治医の先生からは説明がないのかもしれませんが、私としては、わかっていることは知りたいし理解したいと思います。お忙しいところ度々申し訳ありませんが、どうかよろしくお願いいたします。

(1)P53について:  確かにP53というのは癌抑制遺伝子です。しかし、病理の報告にあったp53は正確にはmutant p53と言われ、正常でなくなったp53を見ています。ですから、p53が陽性ということは、異常なp53が多いということで、あまりいいことではありません。しかし、p53がどの程度の予後因子かということになるとまだ議論が多く、どのguidelineでもp53の結果で治療法を変えるというのはありません。ですから現時点ではその情報は参考程度と思って下さい。
(2)EIC:  E1Cではありません。Extra Intraductal Componetの略でEICです。触診では分からない非浸潤癌の病変が、主となるしこりの部分から周囲へ乳管内をどのくらい進展しているかを表します。乳房温存療法ではこれが、将来の乳房内再発と関係が深いといわれています。しかし、EICが+でも切除断端が陰性(切除断端に癌細胞がいなければ)であれば問題ないと思います。EICが++、+++の時は大抵切除断端が癌細胞陽性になってしまいますから、EICが++、+++となると、乳房切除が勧められます。(文責 清水)

 

No.634】 01年10月11日 T.M.                       
生検したほうがいいのでしょうか?

1週間前に乳腺外来で乳がん検診をうけました。生理1週間前でものすごく胸が張っていて痛かったのですが、生理前の検診だと間違えやすいと聞いていたのですが、予約も取っていたのでそのまま受けたところ左胸にしこりがあるということで、触診の後エコーをかけ、マンモグラフィー、血液検査、尿検査と細胞診を受けてきました。
今日結果を聞きに行った所、細胞診の結果は3で、エコーに少しでこぼこがあるので今度切り取って調べましょうといわれました。もしかしたら生理が終わったらこのしこりが消えてその必要性がないのではないだろうかなど色々悩んでおります。血液検査は大丈夫でレントゲンにも写っていなかったそうです。今日は結果を聞いたのと切り取る日の予約だけで診察をしませんでした。次は切り取る日なのですが、やはり切って調べたほうがいいのですか。アドバイスよろしくお願いします。  

細胞診の結果が3で、エコーで少しでこぼこがある場合(実物を拝見しないと何ともいえませんが・・・)、方針としては切り取って調べる(生検)か、再度細胞診を行うか、または経過観察ということになります(少し太めの針を刺して組織の一部をとる方法もありますが、まだ一般的ではありません)。メスを入れるのは最小限にと思っておりますが、検査等による診断にも限界があり、がんでないとある程度自信をもっていえない時は生検をさせて頂くのはやむを得ないと思います。(文責 加藤)

 

No.633】 01年10月11日 H.F.                       
乳腺線維腺腫について

お尋ねいたします。24歳、独身です。先日、左胸にしこりを見つけ病院で検査してもらったところ95%以上の確率で乳腺線維腺腫だと診断されました。しこりは弾力があり動きます。何もしなければ特に痛みはないのですが、触っていると痛くなってきます。大きさは1.9×1.4p程度だと診断されました。30〜40分の簡単な手術なので100%癌ではないと保証するのであれば、切除して病理解剖をしたほうが良いのではと言われました。癌でなければほっといても心配はないとのことでしたが、無くなることはなく、妊娠の際には大きくなる可能性もあると言われました。今、本当に切除が必要なのか迷っています。傷は大したことはないとのことでしたが、やはり体に傷が残ることを考えると簡単には答が出ません。手術は本当に必要なのでしょうか?また、手術をした場合、傷はどの程度のものになるのでしょうか?病院の医療機器の差で傷の大きさに違いが出るのでしょうか?

2cm以下の線維腺腫でH.F.さんのご年齢を考えると、必ずしも切除は必要ではないかもしれません。もっとも、触診、マンモグラフィー、超音波、細胞診等でがんの疑いがある場合は別ですが・・・。もちろん患者さんが希望される場合は切除を行うこともありますが、そうでない場合は定期的な経過観察で宜しいかと思います(ちなみに、経過観察中に小さくなる場合もあります。また、線維腺腫ががんに変化することはありません)。手術をした場合、傷(創)はしこりと同じかやや大きめとなり、病院の医療機器の差での違いはほとんどないでしょう。(文責 加藤)

 

No.632】 01年10月08日 J.T.                      
右乳房の痛みについて

32才既婚・2才の子供がいます。相談室を拝見している限りでは、大丈夫だと思うのですが、念のためお聞きします。生理の約2週間前ころから、右の乳房の右上あたりが痛くなります。手をあげるだけでも痛いです。特に朝起きたときは、痛いです。左の乳房は全く痛みません。左より右の乳房のほうが大きいので、このことも関係しているのでしょうか? 去年の乳ガン検診では異常はありませんでした。生理が始まると痛みはなくなります。

生理前に出現し、生理が始まるとなくなる痛みは、ご心配ないでしょう。ホルモンのバランスの具合によって起こるといわれています。乳房の外側上方は最も痛みが出現しやすい部位であり、左右差があるのはよく見られることです。痛みがひどいときは薬を投与することもありますが、一般的には様子を見させて頂くことが多いでしょう。(文責 加藤)

 

No.631-1】 01年10月08日  Y.K.                      
良性のしこりと言われましたが・・・

2児の母です。年齢は31歳です。友人が2ヶ月ほど前に乳ガン検診を受けたと言っていたので、私も気になり自己検診をしてみた所、左胸、乳輪の上あたりにコロコロとよく動くしこりが2個位有るように感じた為、早速乳腺外科の専門病院を受診して、触診、超音波、エックス線の検査を受けましたが、先生は超音波の映像を見ると、即、良性ですと一言。又、これが母乳の固まりか、他の物かまでは分からないが、将来無くなる事もありえると言われました。一応、念の為に3〜4ヶ月後にもう一度受診するようにとのことでしたが、何とも曖昧な言い方のような感じがして少し不安です。映像には一つしか映っていなくて、その形は楕円形のような白い固まりに見えました。先生は白い部分の大きさを測っていましたが、どれくらいの大きさは教えてくれませんでした。ちなみに断乳して丁度一年になりますが、まだ少
し(最初の数滴は飛ぶ)母乳が出ます。又、しこりに気付く数ヶ月程前から、時々胸が張っているような感じが有りました(痛くはない)。でも、私は今頃張るなんて気のせいかなと思っていましたが、その事としこりができた事とも何か関係が有るのでしょうか? 又、母乳を搾り出すとしこりが少し小さくなるような気もします。私自身はいくつかしこりが有るような気がするのですが、何故、超音波には一つしか映らなかったのでしょうか? お忙しい所、色々と質問しまして申し訳ございません。どうぞ宜しくお願い致します。

胸が張る感じは心配なことではないですが、乳房にしこりがあるように感じたのはそれと関連があるのかもしれません。触診でいくつか硬いところがあっても、超音波では何も写らないことはよくあることで、いわゆるしこりがないことの証明にもなります。おそらくいくつかしこりのように触れるものの内、超音波に写ってくるのは1つのみであったということでしょう(ただ、触れるところと違う場所のこともありますが・・・)。お話を伺うかぎり、ご心配ないと思います。(文責 加藤)

 

No.631-2】 01年10月09日  Y.K.                      
もう少し、お聞きしたい事が有るのですが・・・

あまり心配はない物だという事で、少し安心致しましたが、やはり三ヶ月後に受診した方がよろしいのでしょうか? 又、超音波でも、母乳か他の物かまでは区別がつかないのでしょうか? 母乳は、まだ出続けていても構わないのでしょうか? その点が気掛かりです。度々質問致しましてすみません。どうぞ宜しくお願い致します。

主治医の指示でもありますので、念のため受診されたほうが宜しいかと思います。超音波で母乳か他の物かまでの区別は確かになかなか難しいことがありますが、医師の発言の他の物とは、良性のものを示唆しているように思えます。母乳は出続けていても心配ないでしょう。(文責 加藤)

 

No.631-3】 01年11月20日  Y.K.                      
しこりの大きさの変化について

前回の質問に対して、お返事を頂いておりながら、お礼が遅くなり申し訳ございませんでした。まだ次回の受診まで少し日にちがありますので、自己検診を続けているのですが、しこりの数は変わりませんが、少し小さくなったように感じます。又、胸の張りもなくなりましたが、この事とも何か関係が有るのでしょうか? また、指でつまむと分かる、よく動く丸いしこりが一つ有るのですが、これは一体何なのでしょうか? お忙しい所、色々と質問致しましたが、宜しくお願い致します。

前回の受診から、まだ1ヶ月半しか経っていないので、「しこり」にあまり変化が現れなくても不思議ではありません。貴女は乳癌を心配されているようですが、乳癌のような増殖性疾患では、通常時間と共に縮小することはありません。このことを考えても、あなたの腫瘤は主治医の先生がおっしゃるように良性の可能性が高いと思われます。
「指でつまむと分かる、よく動く丸いしこり」についてですが、乳腺が年齢的変化やホルモンの生理的変化にともなって、線維化したり退縮したりする過程で、しばしば正常乳腺の一部を「しこり」のように触知することがあります。この腫瘤には、「指でつまむと明らかだけれども、平手で触ろうとしても触りにくい」という特徴(ケーニッヒサインという)があります。この「しこり」が1ヶ月前から気がついていたものならば、まず問題になる「しこり」ではないと思います。いずれにしても、不安を抱えたまま3ヶ月を過ごすよりは、一度主治医の先生に相談されることをお勧めします。(文責 千島)
 

 

No.630】 01年10月07日  りんご                     
レントゲンに写ったリンパについて 

はじめまして。突然ですが概要説明からさせて頂きます。3年半前に左乳房の乳がんが見つかり全摘しました。その際には腋下リンパ節への転移はありませんでした。その後ホルモン療法をしていましたが、約半年前左鎖骨の上部にしこりを発見し診断を受けたところ再発ガンだと言われ、摘出しました。摘出後すぐにとったMRI・CTにはガンは写っていませんでした。その後放射線治療を20回位行いましたが、その間に、摘出したしこりのすぐ下に自分でもうひとつ小さなしこりを発見しました。主治医にその旨伝えると、放射線をかけているので消えるかもしれないから経過観察しましょうと言われ、放射線治療後2ヶ月目のMRI・CTにはなにも写っていないとのことでした。その時点では小さなしこりはあまり触れなくなってきてはいましたが、まだ触れるときもありました。先日3ヵ月毎の検診でMRI・CTをとり診断を受けると、主治医は左頚部にリンパ(節)が2個写ってますが増大傾向は見られず今までと同じなので、またホルモン剤を引き続き飲んで経過観察しましょうと言うことでした。話の雰囲気では今のところ大丈夫という感じを受けましたが、今まで写っていなかったリンパ(節)が写ったというのはガンが進行して大きくなったということではないのでしょうか。主治医は何か勘違いしているのでしょうか。診断時はほっとしたほうが大きくて、主治医にきちんと聞けませんでした。このまま不安を3ヶ月抱えたくないので、もし問題があるようならまた診断を受けたほうがよいと思うのですが、先生はどのように思いますか? ちなみに主治医が写っているといったものがリンパなのかリンパ節なのかははっきりしません。よろしくお願いいたします。

左頚部リンパ節が写っていますが、増大傾向が見られず今までと同じ」と主治医が申したのであれば、前回の検査でもリンパ節は写っていたのかもしれません。ちなみに、リンパ節をリンパということもありますが、検査で写っているものはリンパ節です。異常のないリンパ節も少し大きいものは検査にて写ってきます。また、がんの転移だけで大きくなるとは限らず、炎症などでもありえます。MRI、CTは5-10mm位の幅をもってスキャンするので、リンパ節の写る場所(真ん中なのか端っこなのか)によってある程度の誤差がでてしまうものです。お話を伺うかぎりでは、前回と比べ悪くなっているようなことはないように思います。(文責 加藤)

 

No.629】 01年10月07日 maeda                    
マンモトーム生検について

今年の7月に超音波検査を受けたところ、右の乳房に腫瘍が見つかり、超音波下で生検を行ったところ、2回ともうまく腫瘍を吸引することができませんでした。先生からはマンモグラフィーや超音波の結果からは悪性の可能性は低いといわれ、もう少し様子を見てはといわれました。しかし、そろそろ二人目を妊娠したいので、白黒つけたいと相談したところ、マンモトーム生検が有効といわれました。だけど、その病院にはマンモトームの機械がないそうです。大阪府下、もしくは近畿地方で、マンモトーム生検を行っている病院を知りたいのですが・・・。教えてください。

調査したかぎりでは、以下の6病院があげられます。
大阪大学病院、大阪市立総合医療センター、大阪厚生年金病院、京都府立医科大学病院、近畿大学附属病院、県立奈良病院(文責 加藤)

 

No.628】 01年10月07日 R.N.                  
ホルモン療法の変更について  

私は今年の1月に右乳房全摘、リンパ節(レベル1と2)切除手術を受けました。腫瘍の大きさは10mmX11mm、癌のタイプは乳頭腺管癌、comedoタイプ、リンパ節転移なし、リンパ管浸潤(レベル2)有り、血管浸潤(レベル1)有り、ホルモンレセプターはER(+)PgR(−)でした。悪性度・異型度はわかりません。手術をした病院では、私の癌は血流転移しやすい性質であること、私が閉経前(39歳)であることから、術後療法としてゾラデックスを1ヶ月に1回投与することになり、7月末まで(7回)続けました。その後、理由あって転院したのですが、転院先の医師は、私のERはプラスではあるが、数値が16とぎりぎりのプラスで、ホルモン治療の効果があまりないかもしれず、それで卵巣機能を抑制させるゾラデックスを使用するのはきつすぎるという意見で、8月以降はタモキシフェン(ノルバデックスD)を使用しています。医師によって意見が違うことはよくあると聞きますが、閉経前に効果がある薬から、閉経後に効果がある薬への変更というのはかなり不安があります。他の病院では、私のようなケースはどういった治療をされているのでしょうか。その治療を選択する根拠もできるだけ詳しくお聞かせください。回答よろしくお願いいたします。

本年度の2月スイスの古都St.Gallenにおいて乳がん術後補助療法に関する最適な治療指針を得るための討議が行われました。リンパ節転移陰性の方は、腫瘍径、ER/PgR(ホルモンレセプター)、異型度(顔つき)、年齢の4項目によって低危険群とその他の群に分けられます。R.N.さんは異型度以外の3項目は、低危険群の条件を満たしておりますので、異型度が1-2であれば低危険群に、2-3であればその他の群となります。低危険群であればタモキシフェンまたは無治療、その他の群であれば卵巣機能抑制(卵巣摘除/放射線療法/GnRHアナログ=ゾラデックス)±タモキシフェン、タモキシフェン±化学療法、それらの併用という選択肢があげられています。この選択肢のなかのどれを選ぶかについてはおっしゃるように医師によって意見の分かれるところでしょう。どの治療も副作用等少なからず患者さんの負担になってしまいますので、再発抑制効果を考慮し、相談の上選択することとなります。また化学療法、ホルモン療法の副作用は個人差があり、これも考慮しなければならないでしょう。R.N.さんにとっての最良の治療ということで主治医は薬を変更したのだと思います(タモキシフェンは閉経前にも投与します)。(文責 加藤)

 

No.627】 01年10月07日 M.M.                
左胸に違和感があります 

精神的には心配事は多少あります。年齢は50代で、主婦です。娘の産後の世話の時に首にびっしょり汗をかくようになり、夜は首にタオルをまいて床につき、その度に横になり、ふいていました。他の部分はかいてないので、首が異常なほどでした。又、左胸の部分が、右側はなにもないのに違和感といおうか、少し痛むというか、へんなのです。痛むのは心臓とか、肺とかの異常があるようですか、苦しいという痛みではなく、何となく少し痛いようなというか、へんなのです。何もないのに病院に行くのもと迷っています。1ケ月続いています。よろしくお願いします。

汗をかかれたり、違和感をお持ちになるのは、原因として体には何も異常がないことがほとんどです。心の面から症状がでてしまうこともよくあることです。ただ、ご心配が続くようであれば、一度検査を受けられてみては如何でしょうか? 内科、あるいは乳房に関しては外科を受診して頂ければと思います。(文責 加藤)

 

No.626】 01年10月06日 A.O.               
母の症状で気になる事について

はじめまして。私の母は、約2年前に乳癌(炎症性乳癌)が発見され手術を行いました。その後放射線治療も行い、化学療法も行いつつ治療に励んできましたが、半年ほど前に腰への骨転移が発見されました。ただ、幸い内臓への転移がなく、今は経口用抗癌剤飲用と骨を強化する薬の注射、そして健康食品での免疫療法を行っています。先日の検査で腫瘍マーカーの数字も驚くほど低下しているのですが、手術した右胸のあたりから右腹部、脇腹、背中にかけて湿疹が出ています。時折激しくはありませんがかゆみもあるらしく、赤さも日に日に強くなっているような気がします。以前、今とは違う骨を強化する薬を注射した際に薬疹のようなものが出たことあり、その薬は使用しなくなったこともあります。もちろん、定期的に病院へも行っており、病院も某大学病院でとても信頼がおける病院です。ですが、母が気になって聞いてみても、はっきりとはわからないと言われるだけです。もともと湿疹が出たことにより乳癌が発見されたという経緯があり(その時はかゆみはなかったのですが)本人も家族も皮膚癌の一種なのではないかと不安を感じています。また抗癌剤によりこのように一時的に湿疹が出ることもあるのでしょうか。経口用の抗癌剤の飲用と骨を強化する薬を注射し始めてから湿疹がひどくなったような気がします。体に合わないのでしょうか?
2年経った今、体力的にも昔とまではいきませんが回復しつつ、精神的にも安定しているので、あの湿疹さえ消えれば母も安心して日々の生活を楽しく過ごせると確信しています。原因として何が考えられるか、おわかりになる範囲で結構です。アドバイスを下さい。よろしくお願いいたします。  

原因としては以下のようなことが考えられます。
1. 炎症性乳がんの局所再発(かゆみを伴うこともあります)
2. 薬剤などによるもの(抗がん剤による発疹は0.1-5%未満とされています)
3. 皮膚疾患によるもの(抗がん剤使用中に時々見られる帯状疱疹は痛みを伴います)
一度主治医にご相談されることをお勧めします。(文責 加藤)

 

No.625】 01年10月06日  N.N.             
豊胸術後のしこりについて  

お忙しいところすみません。25歳独身女性です。実は、5年程前に脂肪注入による豊胸術を受けたことがあるのですが、その後、両胸に5〜6個ずつしこりが出来てしまいました。誰にも相談できず、心配になって行った乳癌検診などでも、私が豊胸術のことを隠していたためにその都度異なる診断を受けました。最近は胸が痛むようになり、不安を感じています。しこりの数が多いために、その中に悪性のものがまぎれていても判別つきにくいのではないでしょうか。私のようなケースに関しては、何か処置の仕方はあるのでしょうか。よろしくお願いいたします。

おっしゃりにくいと思いますが、検診の際は脂肪注入されたことはお伝えになったほうが宜しいかと思います。注入された脂肪は、形を変えたりしてしこり様のものを作ったりすることがあるからです。ただ、それが乳がんになりやすいといったことはありません。胸の痛みはご配ないと思います。ご質問の悪性のものがまぎれていても・・・・は、乳房のレントゲン、超音波により判別は通常可能であり、難しいものに対しては細胞の検査を行うといった手順が考えられます。現在のしこり様のものはまず御心配ないと思いますが、経過(変化)を見させて頂く上では、同じ病院で定期的に検診を受けられるのが良いでしょう。(文責 加藤)

 

No.624】 01年10月04日  ごんべい              
自己検診の仕方について 

今年33歳の女性で子供はいません。今年知り合いが乳癌になって、自分も気になって乳癌検診にいきました。近くの婦人科で触診とエコーで異常なしでした。ところが乳房痛があり、外科に行きました。また、触診とエコー診断で、「しこりはないが、しこりができやすい。乳房の中にはにかわみたいな組織があるのだが、それが少し厚くなっている乳腺症」と診断されました。半年の検査と一カ月に1回の自己診断といわれました。それから自分なりに情報を集めて自己診断をはじめました。
まず、お風呂でせっけんをつけて、のの字に時計回りに触っています。次に腕を上げて上から下に乳房をギュウと押しつけるみたいに強く触っています。その時に、ちょうど乳首の上いったいが硬くごつごつしていて、骨なのか、しこりなのか、乳腺なのか、わからなく、不安になります。のの字に触ると別になにも感じません。あまり強く押しすぎるのでしょうか?加減がよく分かりません。乳房の大きさも左が右よりも大きいのですが、これはあまり指摘されたことはありません。7月の下旬に念のため人間ドッグを受けたとき、マンモグラフィーも取りましたが、異常なしでした。つい最近の検診でも、エコー診断で、「普通の状態」と診断されました。しこりができやすいと言われてから異常に神経質になってしまい、いつも乳房に触っていないと不安に なってしまって、生理も不順になるぐらいでした。今は、少しよくなりましたが、これだけの検査をして異常ないと分かっていても、不安はぬぐいされません。
神戸市内で乳腺外科のある病院も紹介していただけたら、ありがたいのですが・・・。よろしくお願いします。 

自己検診の方法は今されているように入浴中に石鹸をつけて行うと指のすべりがよく、効果的だと思います。調べる乳房と同じ側の腕を頭の上へ挙げて、なるべく乳房を平坦にさせて行うと良いでしょう。乳房の大きい方は、仰向けになってもう一度調べると調べ残しがなくなります。乳房を押す強さは、表現するのは難しいのですが、あまり強く押すとおっしゃるように正常な乳腺を硬く触れるような感じがあると思います。簡便な方法として、手のひらで押す方法があります。指でつまむとしこりのように感じてもひらで押すようにすると分からないものは、心配なものではないことが多いと言われています。また乳房の大きさは左右差は多少あるもので、心配ないと思われます。乳房撮影、超音波を行って異常がないようですので、大丈夫でしょう。しこりができやすいというのは、がんができやすいという意味ではなく、乳腺が生理的に硬くなりやすいという意味でおっしゃったのだと思います。現在異常がなければ、これから月一回自己検診を行っていけば充分でしょう。
神戸市内での乳腺外科のある病院ですが、何処であるか紹介できず申し訳ございません。大学病院、がんセンターなどは一般的に専門の医師はいると思われますが・・・・・。(文責 加藤)

 

No.623】 01年10月03日  ハニーB              
ノルバテックスと妊娠について

昨年11月6日同時再建による部分切除を受けました。34歳、ステージ1、リンパ転移なし、CMF4クール3月に終了、現在タモキシフェン服用中。質問ですが、タモキシフェン服用中に妊娠した場合、胎児にどのような影響がでますか? またどのくらいの確率で奇形が発生しますか? 実は9月20日前後の排卵日に妊娠した可能性があるのです。排卵日の5日後から、ノルバテックスの服用を中止しているのですが・・・。ご回答、よろしくお願いします。

タモキシフェンの妊婦、産婦、授乳婦等への投与は、日本医薬集第23版にて以下のように記載されています。
1)  外国において、投与された患者で自然流産、先天性欠損、胎児死亡が報告されており、また、動物実験で妊娠及び分娩への影響並びに胎児への移行が認められているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない。治療に際して妊娠していないことを確認する。また、治療中はホルモン剤以外の避妊法を用いる。
2)  授乳中の投与に関する安全性は確立していないので、授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合は授乳を中止させる。
ご質問の、どのくらいの確率で・・・というのは申し訳ございませんが症例数も少なく、不明とお答えせざるを得ません。ただ、内服を中止しても少なくとも6週間位は血液中に薬剤の成分は残存しているそうです。(文責 加藤)

 

No.622】 01年10月01日 M.N.             
骨転移について 

8年前に乳がんの手術をして、何事もなく元気だったのですが、2ヶ月前に急にひどい腰痛になり、腰痛が治まっても今度は胸の痛みで、寝起きするたびに激痛が起こるようになりました。ちょうど検診の時だったので胸の痛みのことを話したところ、骨シンチ、MRI、CTの検査を指示され、その結果、骨転移という事でした。他の所には、まだ転移はないそうなのですが、胸と背骨に転移があるそうです。2週間に1度の骨の強化のための点滴と、ホルモン剤を投与(経口薬)という治療を開始しました。胸の痛みがひどいので、モルヒネの座薬を処方されたのですが、吐き気がひどく、とても耐えられず、1回でやめ、今はロキソニンを1日3錠飲んでいますが、あまり痛みに効いてるような感じではありません。他に副作用のあまりない鎮痛剤はないのでしょうか? 一番気になるのは、治療しながらどの程度生きていけるのか、ということです。だんだんと痛みがひどくなって入院というのもとても嫌です。骨転移した人はどのような経過をたどることになるのでしょうか?8年目の再発なのであまりたちは悪くないと先生はおっしゃてくれていますが、とても心配です。年齢50歳、子供は2人です。

疼痛に対しては、やはりモルヒネが一番効果的だと思いますが、経口薬もあり、その副作用である吐き気をとる薬もありますので、同時に服用可能かどうか、主治医の先生に尋ねてみて下さい。また、2週に一度の骨の強化のための点滴(おそらくアレディア?だと思われますが)をしばらく続けると、痛みがとれてくることもありますので、もう少し治療を続けてみて下さい。8年目で骨への転移ということですが、乳癌の場合初発再発部位として骨は多く、また術後かなり経過してから発現することも稀でなく、実際私の外来でも術後5年目、10年目で骨転移が現れ、年単位で通院加療中の方達がいます。術後再発までの期間の長かった方は、その後の経過も長くなることが多く、他の肺や肝に転移がない場合、治療も奏効することを経験しますので、諦めずに頑張って治療を続けて下さい。(文責 片山)

 

No.621】 01年09月30日 C.I.              
胸のしこりについて

はじめまして。23歳女性です。16歳のころから左右の胸にしこりがありました。当時、エコーやマンモグラフィーで検査した結果、乳腺が変化している途中みたいなもので、悪いものではないでしょうとのことでした。年に一回検査すればよいといわれたのですが、面倒なのと年齢的に恥ずかしいというのがあって、ずっと受診はしていませんでした。でも、一年くらい前から生理前になるとすごく胸が痛むようになり、胸だけでなく腋の下も痛むようになりました。腋の下を触ると左右両方にしこりというか、コリッとした感じのものがあります。気になって半年ほど前に受診してみましたが、乳腺症みたいなもので年齢的にも悪いものは考えにくいし、高校生のころからしこりがあったのなら心配無いでしょうとのことでした。高校生のころにあったしこりは今では気にならないくらいに小さくなってるような気がします。でも、胸の痛みと腋の下のしこりがやはり気になります。もう一度きちんと検査したほうがよいのでしょうか?

生理前の胸から腋の下にかけての痛みは、若い女性であっても個人差はありますが、生理的な現象でそれを直接乳癌と結び付けて心配しなくてよろしいと思います。しかし、20歳代前半の乳癌は頻度としては少ないですが、無いわけではありません。ちなみに私のここ10年間約350例の経験では、最少年令の患者さんは25歳の方が1人、28歳の方が2人で、あとは30歳以上でした。定期的に生理の後、月に一度自己検診をしていただく癖をつけるのと、半年に一度専門施設で検診を受けて経過観察することをお勧めします。(文責 片山)

 

No.620-1】 01年09月29日 suzu              
乳癌に関する質問 

45歳主婦です。子供は1人(女)で身内に癌になった者はいません。H12、8、31に右乳癌乳房温存リンパ節郭清手術、放射線治療50グレイ(25回)を受け2ヶ月入院しました。ステージ1a(T1 N0 M0)、ソリッドテブラルca、invasively1 v0 f+ ew(-) n(-)、 エストロゲンレセプター9.8fmol/mgp(-)、 プロゲステロンレセプター204.0fmol/mgp(+)と主治医から教えていただきました。生理は3ヶ月に一度あります。 質問 @先生ならどんな抗がん剤とホルモン剤を出されますか? AH13.5月に骨シンチ、CT,MRI,血液検査を午前中に続けて一度に受けました。技師さんから危険と聞きました。どういう事ですか? Bハーセプテストという検査を受けられるそうですが、私のタイプの場合が受けてみるのはどうですか? C私のタイプは抗がん剤やホルモン剤を服用してもしなくても変わりないのでしょうか? D数ヶ月右腕の動きによっての激痛があり、それが治まった頃から胸が息苦しい日が続きます。レントゲンで肺に影があったそうですが放射線の影響について教えて下さい。 E放射線治療50グレイ(25回)受けた事で白血球、骨髄へはどんな影響があるのでしょうか?

@ ER(-)ですが、PgR(+)ですので、一応ホルモン感受性陽性と考え、タモキシフェン(ノルバデックス、タスオミンなど)20mg/日、5年間投与をお勧めすると思います。
A 一度に多くの検査を受けられたので大変というニュアンスもあったと思われます。骨シンチはアイソトープを用い、CTはX線、MRIは磁気CTですから、それぞれが異なった媒体を使用した検査なので、あまり心配はいらないと考えます。先生は一度の来院で検査をすませてあげようという親切心だったのではないかと思います。
B ハ−セプテストはハ−セプチンという新しい薬が効くかどうかの判定のために行います。今はまだ術後の補助療法としての使用はしませんが、将来万が一再発した場合、ハ−セプテストが陽性の方は効く可能性がありますので、それを知っておく意義はあると思います。ただ現在は薬の使用を前提とした検査なので、全員の患者さんに行うのは一般的ではないかも知れません。
C 前述のようにホルモン剤の投与はある程度意義のあることかと思われます。
D 手術の後しばらくたってから患側の上肢の動きによる痛みが生ずることは時々経験します。あまり負荷(重み)のかからないように動かしてリハビリされるのがよろしいかと思われます。温存術後の放射線療法は胸壁に接線方向にかけ、肺にはほとんど影響がないように配慮されていると思いますが、多少肺実質にも影響が出る可能性はあります。個人差があると思いますので、主治医の先生に尋ねてみて下さい。
E 胸骨の骨髄への影響は多少考えねばならないと思いますが、私の経験では極端に白血球の減少した患者さんはいらっしゃいません。(文責 片山)

 

No.620-2】 01年10月04日 suzu              
再発と薬の関係について

先日はわかりやすいお返事をいただきありがとうございました。心の不安が取り除かれました。これからもよろしくお願いします。今回はホルモン剤・抗がん剤とガンの関係について教えてください。 
質問@ 生理の止まらないホルモン剤(例えばノルバデックス?)は生理の止まるホルモン剤より子宮ガンや乳癌(ガンになってないほうの乳房)になりやすいのでしょうか。 
質問A 抗がん剤(例えばフルツロン)を服用していると50%ガン細胞を殺せるが50%よい細胞がガン化してしまう事もあるというのは本当でしょうか。 
質問B 乳癌術後(H13、8月)生理が不規則でしたが最近毎月生理がくるようになりました。生理を止めたほうが再発率は少ないのですか。 
質問C 食べ過ぎているわけではありませんが体重が6キロ増えたまま戻らず体が重いのですがホルモン剤の影響ですか。体重を落とすよい方法をおしえてください。

手術後病理の結果で一つ分からない事があります。それは組織学的悪性度です。これは病理の先生が必ず書いてくれるとは限らないのですが、国際的なguideline(有名なSt.Gallenのguideline)を参照する場合には必要な情報です。それというのも、あなたの場合は、閉経前、リンパ節転移(-)ですから、後はlow riskかどうかです。low riskとは、年令が35才以上、腫瘤の大きさが2cm以下、ERもしくはPRが陽性で、組織学的悪性度がgrade1であることです。もしこの条件に合致すれば、guidelineではノルバデックスの内服か無治療ということになり、合致しなければ、ノルバデックスの内服+化学療法(注射による)、もしくは生理を止める治療、もしくはこれらの組み合わせとなります。つまり、low riskであればほとんど再発の心配はないが、そうでなければ、何らかの補助療法が必要という事いう事になります。
前置きが長くなりましたが、
質問1の回答:  生理の止まるホルモン剤とそうでないホルモン剤という分類はありません。閉経前の方がゾラデックス、リュウプリンといった薬剤を使えば必ず生理が止まります。これらの薬剤と新しい乳癌の発生、子宮癌の発生については、まだこれらの薬が使われるようになって日が浅く十分なデータが集まっていないのでわかりません。一方、ノルヴァデックスを閉経前の方に使うと生理が止まったり、不順になったり、全く順調だったりとかなりの個人差があります。この薬は使われはじめてから20年以上経っていることから、いろいろなことがかなり詳しく分かっています。その一部として、新しい乳癌の発生は抑えるが、子宮体癌の発生は増加するということです。ただしどちらの力が強かといえば、乳癌の再発を抑え、新しい乳癌の発生を抑える力の方が強いのです。日本では産婦人科の先生がノルバデックスを飲んでいる人は定期的に婦人科検診を受けるように勧めていますが、アメリカでは定期的な検診は必要無く、症状が出てから検査すれば良いと言っている位ですから。
質問2の回答:  そのような話は全く根拠がない話だと思います。
質問3の回答:  前置きに書いたように、最新のguidelineによれば、もしlow riskであれば生理を止める必要はないと思います。そうでなければ、生理をとめる治療と言うのも選択肢の一つになります。
質問4の回答:  ノルバデックスに体重を増加させる作用はありません。しかし、女性ホルモンの働きを抑えると言う事は、あなたの体を一気に閉経期に近くしている、言い換えれば中年の女性にしてしまっているのです。中年の女性にとっての最大の悩みは肥満であることはよく御存じのことと思います。ですから、ノルバデックスが間接的にあなたの体重増加に関与しているのです。体重を落とす方法はDietと運動しかないと思います。いい方法があったら、教えて頂きたいくらいです。(文責 清水)

 

No.619】 01年09月28日 tomo            
微細石灰化について教えてください

本年6月くらいに妻がマンモグラフィーで検査を行ったところ、右乳房上部に微細石灰化が発見されました。担当された医師の話では、悪性、良性のどちらともいえないので、経過観察をしましょうと言うことになりました。(但しその際、白黒をはっきりさせたいのなら生検もありますが、どちらでもいいと思いますと言われたので経過観察を行うことにしました。)
そして、2ヵ月後の先日、検査した結果、医師の判断では前回と変化が見られないと言うことでした。医師は、白黒をはっきりさせたいのなら生検があると言うことはおっしゃいますが、したほうがいいとはいいません。また、他の知人の医師に相談したところ、この段階で生検する必要もないと思うと言うアドバイスをいただいたのですが、この際、生検を行ったほうがよろしいのでしょうか。教えてください。ちなみに妻は年齢が25歳、今年はじめに出産をしています(授乳期間は2週間くらいだと思います)。癌の可能性や微細石灰化に伴う他の病気についても少し教えてもらえればと思います。回答の程、よろしくお願いします。

マンモグラフィーにおける石灰化像というのは、我々臨床医にとって非常に悩ましい問題の一つです。その所見は千差万別であり、乳癌によるもの、乳腺症によるもの、良性の線維腺腫の変性によるものなど様々です。残念ながらそのレントゲン写真を拝見していない以上、はっきりしたことは申し上げられません。臨床の現場にいる立場として、触診・超音波検査所見など、他の要素も総合して判断すべき問題だと思いますので、主治医の先生とよく相談されるのが一番だと思います。(文責 片山)

 

No.618】 01年09月28日 K.M.           
ノルバデックス & ロキソニン

私は7月に右乳房摘出しました34歳です。ノルバデックスD錠を9月22日から飲み始めましたが、生理が来ました。元々生理痛がひどく毎回ロキソニンを服用していました。以前婦人科で、腺筋症と言われた事があります。何か病気と関係あるのでしょうか?また、ロキソニンを一緒に服用しても大丈夫でしょうか?

ノルバデックスによる生理不順は副作用の発言頻度としては低く、数%とされ、30代の女性として不思議ではないと思います。生理痛に対するロキソニンの服用も問題ないと考えられ、乳癌との直接の関係はないと思われます。(文責 片山)

 

No.617】 01年09月27日 T.I.           
乳頭からの分泌物?

私は30歳になる、出産経験の無い主婦です。元々乳腺症気味のところがあるため、乳腺に関しては非常に敏感になっているのですが、いつもお風呂に入る前、ブラジャーに分泌物が無いかどうか毎日見るようにしているのですが、先週、ぱっと見はわからないのですが、目を近づけてよーく見てみたところ、ブラジャーの左側のちょうど乳首が当たる辺りに、直径1ミリほどの黄色の点が二つありました。びっくりしたのですが、それを見つける4日前に乳腺外科を受診(左側にしこりがあったので3ヶ月ぶりの定期検診)したばかりで、触診のみですが、しこりも無くなり特に異常なしとのことでしたので、様子を見ることにしました。それから1週間は気をつけてみていたのですが、何か付いている感じは特にありませんでした。ところが、また今日左の乳首の辺りにやはり1ミリ程度の黄色い点が一つ付いていました。指で乳首を絞っても何も出てきませんし、外見的には何もありません。時々、かゆみはありますが・・・。3ヶ月に1回は触診のみですが、確実に専門医にはかかっておりますが、やはりもう一度受診した方が良い状態でしょうか? 何か考えられる病気はあるのでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが、どうぞご回答のほどよろしくお願い致します。

黄色、白色、透明などの分泌物はまず悪性の心配はありません。出血であった場合は要注意ですが、それでも良性の変化であることが多いのです。あなたの分泌物の場合は量が少なそうなので、病院を受診されても検査をするのが難しいかも知れませんが、ある程度の量が出るようでしたら、それを顕微鏡で見てもらう検査に提出できますので、乳腺外科を再診してみて下さい。(文責 片山)

 

No.616-1】 01年09月27日 smile              
左胸のしこりについて

子供を母乳で育て、断乳が上手くいかず、左の胸に小さなしこりが残りました。当時の先生は「大丈夫、ほってていい」といわれたので私もそのままにしていました。それから15年過ぎ、しこりも忘れていた中、仕事中にファイルの角で、左胸を強打しました。その日から痛みとしこりが大きくなってきたので、今日病院で超音波と細胞を検査していただきました。大病院なので検査結果は10/15にならないと出ないそうで、超音波の感じでは先生が「うーん・・・ガン細胞ぽいねえ」でした。10/1にレントゲン撮影をしますが、その間に他の病院でもういちど検査していただいたほうがいいでしょうか?(ただ待っているのはちょっと辛いキモチです。)家族や親戚にガンになった人がいなくて、ホームページでここを見つけてご相談いたします。よろしくお願い申し上げます。

10/1前に他の病院に行っても、結果が出るのはおそらくそれよりも後になってしまうでしょう。待っている間は確かに辛いと思いますが、それぐらいの時間があったとしても病気が進んでしまうことは無いですし、行った先でまた違うことを言われたらますます混乱してしまうと思います。まずは今かかられている病院でしっかりと結果を聞かれて、そこで何か疑問を感じたら、それから2nd opinionを聞くために他院を受診されても決して遅くないと思います。稀だとは思いますが、私の経験でも偶然打撲した後の血腫の中から癌細胞の見つかった(おそらく癌があった場所を偶然に打撲してそこが出血した)ケースがありますので、結果に応じて対処して下さい。(文責 片山)
 

No.616-2】 01年10月16日 smile              
結果報告します

9/27にご相談した38歳の主婦です。今日、結果を聞き「レベルX 乳がんです。」と言われました。実は、今日までただ待つのが辛く他の病院を受診し、同じように超音波と細胞検査をしていただき、結果は「ガン細胞なし」と言われほっとしていたのです。先生の回答の通り大混乱しています。「ガン細胞なし」といった先生に連絡し、もっと太い針を刺して、組織をとって調べていただきました。(結果は10日後です)どうして、こんな両極端の結果になるのでしょうか?10日後までの待つ間、もっと大きい大学病院などで調べた方がよいのでしょうか?どうかお教えください。

1)二つの病院の診断結果が違う原因
実際に診察していないので、文面だけからは何故なのか良く分かりません。ただ、以前にも書いたのですが、穿刺吸引細胞診という検査は、「針を刺す先生が確実にしこりに針を刺し、十分に細胞を吸引し、素早くこれをプレパラートに吹き付け、素早くアルコールで固定する。そして、検査技師がこれをきちんと染色し、スクリーニングして、細胞診を診る資格のある医師がこれをみて診断する。」という多くのステップを踏んで行います。どこか一つ欠けても正確な診断はできません。どちらかの病院で、そのどこかが欠けていたのでしょうか?細胞診の診断精度はかなり高いのですが、100%ではありません。触診、レントゲン、超音波(エコー)検査等を併せて総合的に判断する事が必要です。それぞれの病院での触診、レントゲン、超音波の診断はどうだったのでしょうか?
2)現実問題
例え細胞診がclass5でも、触診、レントゲン、超音波検査のどれかの検査で腑に落ちない所がある場合、もしくは今回のように二つの病院の診断結果が異なった場合等は、しこりを確実に局所麻酔下に摘出して病理検査した方が良いと思います。信頼がおけると思われたどちらかの病院か、もしくは第3の病院で。(文責 清水)

 

No.616-3】 01年11月19日 smile              
乳癌術後の治療について

9/27、10/16にご相談し、自分の納得いく病院で乳がん手術を受けました。結局私の場合はステージU期で非定型乳房切除術でした。術後は検査の結果ホルモン療法は陰性なので効かず、抗がん剤(週1回の点滴を2週続け、次の2週間は経口抗がん剤を毎日飲む)治療を先生に説明を受けました。ただ、リンパ節転移なしなので「このまま、何もせず経過を見ててもいいんだけど・・使うとしてもあまりきつくない抗がん剤CAF、CEFかなあ」と言われました。副作用は生理が止まる、白血球、血小板の減少、吐き気や食欲低下など言われました。仕事は私次第で復帰していいと言われ、こんなに副作用がでるのなら何もしないで経過を見る方がいいなあと思いつつ、再発にもおびえてしまいます。とても迷っています。ご助言をよろしくお願いいたします。

ご自分の納得いく病院で手術療法を受けられたとのことですね。幸いリンパ節転移も認められなかったようですし、手術治療に関しては順調に経過していることと思います。
さて、術後の補助療法についてですが、貴女の病期はリンパ節転移を認めなかったということなので、おそらく発見時の腫瘍径が2cmを超えていたために、StageUAという診断になったのだと思います。今回は38歳(閉経前)、腫瘍径が2cm以上、ホルモンレセプターが陰性とのことなので、一般的な術後補助療法としては化学療法の適応になります。どの化学療法を選択するかは、病理学的診断などを総合的に考慮して決定されます。今回、貴女の主治医はアントラサイクリン系抗癌剤が含まれた点滴治療もしくは無治療の選択を考えているようですね。確かにアントラサイクリン系の抗癌剤には嘔気、食欲低下、白血球減少、脱毛、心機能障害等の副作用を認めますが、術後再発予防には明らかな効果を認めているのも事実です。もし、副作用等で心配なことがあるのであれば、予防効果はアントラサイクリン系抗癌剤よりやや劣りますが、メトトレキサートを含んだ点滴治療や、5FU系抗癌剤の内服治療など、副作用の比較的少ない化学療法のオプションも考えられると思います。手術を受ける時にもご自分の納得いく治療を選択されたようなので、術後補助療法についても主治医の先生に、効果と副作用のバランスについてよく説明していただき、自分に適した治療を選択されることをお勧めします。(文責 千島)
 

 

No.615】 01年09月25日 T.S.                  
胸のしこりについて

15歳男性です。数カ月前から両胸の乳首のところに親指ぐらいの「しこり」があります。指でさわるとコロコロと動くような感じです。女性化乳房のように乳房が発達しているようにも思います。お忙しいと思いますが返答お願いします。

おそらく思春期に見られる一過性の女性化乳房症と思われます。ホルモンのバランスの崩れから、思春期や初老期に見られます。経過観察のみで消失していくと思います。(文責 片山)

 

No.614】 01年09月25日  なおちゃんママ                 
右胸のしこりについて(10才)

娘の右胸にしこりみたいなのがあって、さわると痛いらしいのです。乳腺外科にまず行くべきなのですか? また手術はかならずするのですか?(乳腺線腫の可能性がありますか?)

10歳の女の子ということで、乳房の大きさがわかりませんが、乳頭直下のしこりであれば、おそらく思春期の一過性の現象であろうと思われます。この場合は経過観察のみで次第に消失していくでしょう。私自身の診療経験では13ー14歳での線維腺腫の経験はありますが、10歳の子ではありません。ただ可能性はあります。すぐ手術ということはないと思いますので、一度乳腺外科を受診してみては如何でしょうか? (文責 片山)

 

No.613】 01年09月24日 Y.Y.                 
乳汁分泌

はじめまして。最近、左の乳輪から透明の液体がでています。乳輪に凸凹みたいなものが2つできて、そこから透明の液体が出てきます。ほっておくと、自然と透明な液体が出てきます。下着を外すと、とてもかゆいです。乳輪切断ってことはあるんでしょうか?早く病院でみてもらったほうがいいですか?よろしくお願いします。

乳輪にある凹凸様のものは、おそらく乳輪腺(Montgomery腺)ではないかと思います。腺組織ですから分泌物があってもおかしくないのですが、かゆみがあるということで、湿疹などの皮膚科疾患が一番考えられると思います。一度皮膚科の先生を受診なさっては如何でしょうか?(文責 片山)

 

No.612】 01年09月23日 T子                
手術の必要性について

今後の治療法について悩んでいます。アドバイスお願いします。43歳です。2年前に乳癌がわかりました。6センチでリンパと胸骨に転移がありました。アドリアマイシン、タキソテールを2年間やり、リンパは消え、しこりは1センチになりました。骨のマーカーが上がったのと軽い痛みが出たので放射線をやる事になりましたが、乳腺の主治医が変わり、リンパを含め全摘をと言われました。前の主治医は手術は必要ないと思うが(4期の為)、もしするなら「くりぬき」と言われていたので、考えた末、手術は断り、放射線で骨と乳癌をやって欲しいと思っています。温存ならしようと思ってますが、あまり効果はありませんか? 放射線科では、「手術しないで、かけるのはスタンダードな治療ではない。私で、2人目」といわれました。先に手術をと勧められたニュアンスでした。又、しこりだけでなく、リンパや胸全体にかけると言われました。そんなにかける必要があるのでしょうか? 放射線で乳癌が無くなっても手術の必要性がありますか?その時も、全摘ですか? 今の私にとって一番良い治療法を教えてください。よろしくお願いします。レセプターはプラスで、9月よりノルバティックスを始めました。

局所進行乳癌+リンパ節転移+胸骨への転移に対する治療法ということになりますね。様々な治療法の選択が考えられ、難しいケースだと思います。私の経験では、局所に潰瘍を形成していた患者さんで、化学療法と放射線療法で局所の癌がほとんど消えてしまい、手術の機会を失って2年以上経過を見ている例があります。また別の患者さんで、同じように化学療法と放射線療法で、局所及びリンパ節転移がかなり縮小して手術を施行したところ、やはり癌が残っていたという例もあります。 あなたの現在の局所の状況を拝見していないので、はっきりしたお答えはできませんが、要するに局所のコントロールを手術でやるか、放射線でやるか、あるいは両者を併用するのか、ということだと思います。いずれもそれなりの効果が得られると思いますが、胸骨への転移は外科的に取れませんので(全く不可能ではないですが・・・)そこは放射線をあてることになると思います。また放射線療法を先行すると、その火傷による副作用からしばらく手術はできなくなりますから、その辺を主治医の先生とよく相談されて決めて下さい。(文責 片山)

 

No.611】 01年09月23日 Y.H.                
ホルモン療法中に避けた方がいい食べ物ってありますか?

4ヶ月前に乳がんの手術および放射線治療を受け、現在ホルモン療法を(ゾラデックス)を行っています。こんな事お聞きするのもへんかな?とも思いますが、以前より毎朝豆乳を飲んでいるのですが、最近豆乳に含まれるイソフラボンが女性ホルモン様の働きをし、更年期障害の症状を緩和する...と言う記事を読み、ということは私の場合は治療にマイナスになるのではとずっと気になっております。治療中に特に避けた方がいい食品はあるのでしょうか?

イソフラボンは乳癌のリスクを減少させるといわれる一方、エストロゲン類似ホルモンが乳癌を増殖させるという調査結果も出ているとのことです。しかし大豆製造業界では、動物実験によるものであり、「ヒトには適用しない」と反論しています。
米国では食品医薬品局(FDA)が認めている健康表示は大豆プロテインに対する「コレステロール低下作用」だけで、イソフラボンに対するものではありません。イソフラボン自体が完全に解明されたわけでないから、その摂りすぎは専門家から懸念されています。現在のところ1日50mgの摂取なら安全とされています。豆腐半丁(150g)、納豆1パック(60g)で40mgというのが一つの目安でしょうか?
とにかく「栄養素の摂り方は偏ることなく、ほどほどに」が重要だと思います。(文責 片山)
 

 

No.610】 01年09月22日 P.C.                 
腋の下の痛みについて 

現在32歳、独身です。時々腋の下が痛む時があります。生理前が多いのですがそうでもない時にも痛むことがあります。押すと軽い痛みがあります。乳房自体は何も異変はないのですが、脇の右左が触った感じ違いがあり、右だけしこりがあるような気がします。でもそれはとても大きい(5-7cm位)ので、何か違う事かもしれませんが、乳がんの可能性があるのでしょうか?誰も聞く人もいず不安なのでメールしました。最近友人が乳がんになってしまったせいで、神経質になっているのかもしれませんが、宜しくお願いいたします。

生理前の乳腺−腋下の痛みは、個人差もありますが多くの方に見られる現象で、これ自体はあまり心配いりません。乳房の触った感触に左右差があるのも、顔と同じで左右全く対称ではないわけですが、乳癌を見つける際の大事な所見のひとつですから、一度外科のある病院で診てもらうことをお勧めします。(文責 片山)
 

 

No.609】 01年09月22日 E.A.                 
局所再発の治療について

昨年の3月に乳癌の告知を受け、4月5日に左乳房の非定型的乳房切除術と腋の下のリンパ郭清を受けました。(現在38歳です。) 病理検査の結果、リンパ節への転移が11/21あり、ホルモンレセプターがマイナスだった為、術後治療として入院中にCAFを1クール、退院後CEFを0.5クール(吐き気の副作用が酷かった為1週で中止)、その後タキソールを4クール受けました。今年の6月、手術痕に小さなしこりを発見し経過観察を続けていましたが、しこりが消えない為9月6日に穿刺吸引を行った結果、細胞はクラス4でほぼ癌に間違いないとのことでした。
今後の治療について、主治医からは、抗癌剤による全身治療を勧められました。昨年使用したタキソールが効いていなかったと思われることから、CAFを行って様子を見ようと言われたのですが、副作用による脱毛が辛い為、CMFでの治療をお願いしました。効果が無ければ、薬を変えていく方針とのことです。CMFでは脱毛が起こりにくいと言うのは本当でしょうか?CAFより効果は期待できないのでしょうか?抗癌剤のことがよくわからないのですが、今後の治療はこれで良いのか?不安でしかたありません。よきアドバイスをお願いします。

CMFの方がCEFと比べて脱毛などの副作用は一般的に少ないようです。治療効果もある程度認められます。私自身の経験で、頚部リンパ節への再発が現在行っているよりも少ないクール数で消失した方や、局所の進行乳癌の方のしこりがほとんど崩れて無くなってしまった方など、複数おられます。局所の再発が具体的にどのような形態であるのかが分かりませんが、全身化学療法とともに、放射線治療や手術療法といった局所療法を組み合わせるのも一考の余地ありと思われます。(文責 片山)

 

No.608】 01年09月20日 T.K.                 
乳癌術後の精神状態について

インターネットで「乳癌」のキーワードにて相談室を見つけましたので、内容が相談室の部分と一致していないかもしれないのですが、アドバイスが頂ければと思い、ずうずうしくメールしております。
実は患者は私でなく私の実姉(39歳)になります。姉は3年前に両胸乳癌の手術をしたのですが、肉体的な経過は順調で再発も見られない状態です。しかし精神的には非常に参ってしまい、鬱病の診断を受けたようです。8年前に乳頭より膿のような液体が出て検査に行き、時間をかけて様々な検査を行ったが、これ以上は切り開かないと解らないという判断が出ました。本人は色々な書物を読み研究した結果、「自然療法」なるものを始め5年間その方法で漬け込み、片方だった乳癌の疑いが両方に広がり、担当の先生に、「もうこれ以上切開を拒絶するならば他に転移しても責任は持てません。」と言われやっと手術に踏み込みました。手術は成功し、先生方もきちんと説明してくださり、傷も比較的綺麗な状態で、転移の心配も方も概ね平気であろうと言う事でホッと胸をなでおろしたのですが、どうやら精神的なものが時間を経つ毎にすさんでしまい、昨日ついに睡眠薬の飲みすぎにより精神錯乱を起こしました。姉は結婚し、旦那様と供にK県のA市に住んでおります。子供は姉(本人)の強い希望により儲けておりません。
私は杉並区に住んでおり同区にある実家は徒歩20分のロケーションです。姉の住むA市までは距離がある上に、私は離婚しており2人の子供を育てているので、姉のことは気になりつつも生活に追われなかなか厚木まで行き来することは侭なりません。母も肝硬変を患っているので、頻繁に往来することは困難という状況下です。術後、肉体的には順調に回復しておりましたし、元々活発なタイプではなく物静かな人なので、肉体の回復と共に精神も回復すると様子を伺う形を取っておりましたが、こんな所まで来てしまいました。ここまできた状態をどのようにして回復へ導いたら良いのか全く手立てが思いつきません。何か良い方法がございましたらアドバイスいただけると有難いです。因みに鬱病の診断は何処でなされたかは定かではありませんが、本人との話の中で直接聞いたものです。お忙しい所申し訳ございません。よろしくお願い致します。

乳癌手術後の患者さんの精神的な状況というのは、非常に複雑で個人差もあり、我々外科の主治医も、本当の所は把握出来ていないことも多いと思われます。医師の前では打ち明けられない話を看護婦さんにこぼしたり、逆に家族には言えないことを私達の前でぽろりと話されたりもします。ある患者さんは病棟では同病の方達がいて元気に明るくしていられたのに、家に戻って初めて鏡で自分の姿を見て泣き崩れてしまったということも聞きました。皆さん身も心も傷つき、闘病されて更に再発の心配をしながらも日々頑張っておられるのだと思います。お姉様の病態がどのようなものであったのかは分かりませんが、3年は一つの区切りで一息つけるところです。まだまだ心配は尽きないと思いますが、しっかりと経過観察を続けていかれればと思います。家族の方にも生活はあるし、遠方にお住まいで大変でしょうが、ご主人と共に事あるごとに声を掛け、話を聞いて力になってあげて下さい。 あまり的確なお答えになっていないと思います。申し訳ありません。(文責 片山)

 

No.607-1】 01年09月20日 nao                    
乳汁分泌 (1)

9月4日、突然両方の乳首から白っぽいものがでてきました。強く乳首や乳頭をつままないとでてきません。そこで、すぐに婦人科にかかり血液検査を受けました。プロラクチンの濃度を調べる為です。その結果は正常値でした。8月21日〜25日の朝までドグマチールを朝昼晩1日2錠服用していましたが眠気とだるさで服用を止めていました。婦人科の先生はそのせいであろうと言っておられました。念の為、乳汁の成分検査も行い、+1で心配ないとのことでした。来週にも超音波検査をする予定です。
現在、TL0.5(名前は忘れました)という乳汁の分泌を抑える薬を先週の水曜日から朝晩1錠ずつ1週間飲んでいますが止まりません。今は白色、透明、黄色すべての色の乳汁が乳首のあらゆる箇所から少量づつ強く押すとでてきます。乳汁が始まった当初は乳首がとても痛く感じられましたが今は痛みはありません。しかし、生理が3日ほどですが遅れています。普段はあまり遅れたりしません。乳汁が始まる前の週(8月29日)には排卵出血が3日間ありました。これは始めてのことです。3週間前からカンジタにもかかっています。次から次へと症状がでてきていて大変不安です。いつになったら乳汁分泌は止まりますか? カンジタ中はセックスしないほうがいいのでしょうか?ドグマチールは本当に関係しているのでしょうか?アドバイスお願いいたします。

現在の乳頭分泌はおそらくドグマチ−ルによる副作用と考えて良いと思います。今は服用を中止されているとの事で、もう少し待てば分泌もおさまってくると考えられます。白色、透明、黄色の分泌物はまず悪性の心配は無く、出血の場合のみ要注意ですが、これも炎症であったり良性の腫瘍によるものの方が多いですから、あまりナーバスにならないようにして下さい。カンジダ中のセックスはしないほうが良いと思いますが、その程度にもよると考えますので、婦人科の先生に尋ねて下さい。(文責 片山)

 

No.607-2】 01年09月23日 nao                    
乳汁分泌 (2)

早速のご返答ありがとうございます。だいぶ気持ちが落ち着きました。さて、もう一点気がかりなことがありますのでご質問してもよろしいでしょうか。乳汁分泌を抑える薬を飲んでいる為なのか、または妊娠しているせいなのかどうかは解りませんが、生理がすでに4日も遅れています。生理不順では元来なく、遅れても2日間です。生理が来なかったことは今まで一度もありません。ドグマチールはここまで影響するのでしょうか? アドバイス、宜しくお願いいたします。

ドグマチ−ル(一般名:スルピリド)の副作用のひとつとして、ときに間脳の内分泌機能調節異常(ゴナドトロピン分泌、及びプロラクチン分泌異常)に由来すると推定される無月経、持続性乳汁分泌、及び女性化乳房症が現れることがあるとされ、あなたの症状もこれとかかわりがあるかもしれません。ただ妊娠している可能性があるならば、やはり婦人科の先生に相談して下さい。(文責 片山)

No.607-3】 01年10月06日 nao                    
線維腺腫について

3週間ほど前、ドグマチールの影響で乳汁がでましたので念の為ということで胸の超音波検査を受けたところ、右胸の上の方に18×9くらいの大きさの線維腺腫があるとの診断でした。今は28歳なので25歳以上の人は細胞診断も受けた方が良いと聞いたことがあるのですが、私のかかりつけのお医者様はその年齢なら良性のものだから心配ないので、3ヶ月おきに検査するようにと言っていました。心配です。他の病院で細胞の検査を受けた方がよろしいのでしょう? 癌ではないかととても心配で眠れません。宜しくお願いいたします。

一般に25歳以上、腫瘍径が2cm以上の場合、線維腺腫であることの確認のために生検を行う病院が多いようです。画像上では線維腺腫と判別し難い癌がまれににあるからです。あなたの場合、腫瘍径が2cm以内なので、このまま3ヶ月毎に経過をみて、大きくなれば生検をする方針だと思われます。また吸引細胞診については、精神的な安定のためにも、念の為に行ったほうがいいと思います。主治医とよく相談なさってください。(文責 須田)

 

No.606】 01年09月16日  miya                    
ホルモン療法を受けるべきですか?

昨年乳癌と診断され手術をうけたのですが、ホルモン療法を受けるべきかと思いなやみ、ぜひぜひ専門医の方に相談にのっていただきたく失礼ながら、メールを遅らせていただきました。年令47歳、 閉経前、 腫瘍の大きさ1センチ、 リンパ節転移なし、 ホルモンレセプター陽性。乳房温存術後、放射線治療を受け、担当医からホルモン療法を進められ 内容はリュ-プリンを1年、その後抗エストロゲン剤を3年服用と言われ、今現在リュ-プリンを1ヶ月に一度受けています。一度めから生理は止まってしまいました。多少のむくみ、体のほてり、いらいらはありますが、まだ、さほど重い更年期障害の症状はでておりません。私が心配をしておりますのは、抗エストロゲン剤を服用しますと、子宮内膜癌のリスクが高くなるということです。そのようなリスクを背負ってまでホルモン療法を受けるべきなのかと毎日思い悩んでいます。担当医の話では、「あなたぐらいのかたでもこのままリュ-プリンだけで辞めてしまう事は危険です。抗エストロゲン剤による子宮内膜癌の発症率より、何もしないでいる事での、乳癌の再発率のほうが高いですよ、それでもいいのですか!」という事です。
担当医とのコミュニュケーションがあまりうまくとれず、色々と聞く事ができず、思い悩む毎日です。万が一、子宮内膜癌が発症してしまった場合は、やはり抗癌剤を使用するのでしょうか? 子宮筋腫にはどう影響するのでしょうか? 今、運良く抗癌剤を使用せずにすんでいるのに・・・などと考えてしまったりしてしまいます。どうぞ良きアドバイスをお願いいたします。

私もやはり内分泌療法をお勧めすると思います。ホルモンレセプターが陽性で、その効果が期待できるからです。子宮内膜癌の自然の発生頻度は1000人中2人ぐらいと言われ、抗エストロゲン剤を5年以上続けると、これが約4.7倍になるので現在の所、5年以上は投与しないという事になっております。ただ子宮内膜癌は比較的予後の良い癌とされ、1000人中10人弱発生する可能性があるわけですが、乳癌の再発をそれ以上に救えるので妥当ということになります。確かにこういう数字は科学的だとは思いますが、一人一人の患者さんにとっては子宮内膜癌も、乳癌の再発も起これば100%ということになってしまうのが話す側からはつらいところだと思います。(文責 片山)

 

No.605】 01年09月16日  YOSHI                    
乳癌と妊娠、再建術 

今年5月2日何気なく胸に手をやり、底に硬いしこりを触れ、翌日すぐ検査をして、5月24日には手術をしました。しこりの大きさは2センチ、リンパ腺への転移は1つと言うことでした。突然ですみません。私は32歳で10歳になる男の子1人を連れて一年前に今の主人と再婚しました。息子もなつき主人も可愛がってくれ来年にはぜひ子供をと思っていた矢先の事、そのショックはたとえようもありません。乳癌でした。でも事実には勝てず、術後放射線25本が終わり、今は抗がん剤の薬と注謝を6ヶ月のうち4回がおわりました。このページが開くのを待ち焦がれていました。腕のよい先生で信頼していますが何故かとても無口な方で、もちろん聞けば答えては下さいますがとても聞きづらいのでよろしくおねがいします。
1−上記の病状は、早期と言えるでしょうか。
2−温存療法での手術でしたが、どうしても再建手術を考えています。費用はどのくらいかかりますか。
3−妊娠は希望は捨てないで大丈夫と言われてますが、産んだ後はその子を育てなければなりません。本当に期待していいのでしょうか。そんな実例はありますか。今世間ではアガリスクの事をよく耳にしますが、余談ですが保険には運悪く一切入ってないのでこの薬もピンからキリまで有りそうですが本当に効くのであれば何としてもと思いますがどうなのでしょう。子供の事は、主人がとても楽しみにしていて、2年くらいたてばと期待しているのが辛いです。でも命と引き換えるわけにはいきません。
どうか身勝手な事ばかり言ってすみませんがどうぞよろしくおねがいします。

乳癌の場合、乳管の中に限局した、本当の意味での早期癌というのは稀です。大抵のケースで、発見された時点で乳管の壁を破って周囲の脂肪組織への浸潤が始まっているからです。あなたの場合はリンパ節への転移がひとつだったという事ですが、たくさんのリンパ節に転移のあった方と比べると予後は良いと思われますし、是非頑張って治療を続けて下さい。再建術はその術式にもよりますし、健康保険の種類によっても異なると思いますので、かかられている病院に尋ねられるのが良いと思います。「妊娠−出産は最低2ー3年待って再発が無い事を確認してから考えましょう。」といつも患者さんにお話します。術後に行われている化学療法の種類が分かりませんが、もしもエンドキサンという薬を使っているようでしたらば、その副作用として無月経が起こり得ますので、この場合は妊娠が難しくなるかも知れません。(文責 片山)

 

No.604-1】 01年09月16日  N.M.                    
乳癌になる可能性は?

37歳、子供1人の主婦です。H10年、妊娠初期に左胸にしこりを見つけ、外科で診てもらいましたが、再度来診するように言われた1ヵ月後には消えてなくなりました。しかし昨年、両方の胸に2cm弱のしこりが見つかりました。細胞診1回目は失敗。2回目は、よくわからないと言われ、エコーとレントゲンから、かなり高い確率で癌であると診断され、しこりを切除しました。生検の結果、良性、線維腺腫と言われほっとしました。しかし、またちょうど1年後の現在、左胸にしこりを見つけました。今回は、両胸とも押さえると痛みがあります。受診し、エコーとレントゲンと細胞診をしました。細胞診は、細胞が取れておらず不適合とのことです。先生より、「今までは灰色と言っていたが、多分いつか癌になると思う。まあ、この間切ったばかりだしね。6ヶ月後に来るように。」と言われました。「今回は多分、乳腺症だろう。」と言われ、前回も鉛筆を転がして、線維腺腫と言っただけ、いつ乳腺症や線維腺腫が癌になるか判らないと言われました。癌になるのをただ待っているだけのようで、とても心配です。どうしたら良いのでしょうか。ご指導を宜しくお願い致します。

基本的に線維腺腫が癌に変わることはまず無いといっていいと思います。ごく稀に摘出した線維腺腫の中に、微細な癌が含まれている事があるとされますが、論文になるくらいの頻度で、私自身は経験がありません。また、以前は乳腺症と言われた既往のある方は乳癌の発生頻度が高くなると言われておりましたが、最近の研究ではその差は無いということです。癌は痛い事は少ないので、痛みを直接癌と結び付けて心配しないで、定期的な経過観察をしていただくのが大事だと思います。(文責 片山)

 

No.604-2】 01年09月30日  N.M.                    
石灰化、MRIについて

先日、No.604 ( 9/16) N.Mで質問した者です。ご解答有難うございました。
主治医より、たぶんいつか癌になるだろうと言われ、心配になり再度話を聞きに行きました。その根拠は、昨年、両胸に良性腫瘍ができ切除した事と、今回のレントゲン検査で石灰化が良性にしても密度が濃い事だと言われました。そこで以下質問です。
<1>密度の濃い石灰化は癌になっていく可能性が高いのでしょうか。消えてなくなる事はないのでしょうか。
<2>今まで細胞診を3回していますが、いずれも失敗しています。やり直さず、昨年はそのまま手術をし、今回は6ヶ月後の診察となっています。無視して良いものなのでしょうか。続けて行うと良くないのですか。
<3>手術前にMRI検査をやる必要があったのではないかと今になって思っています。この検査は、どういう時に行うものなのですか。細胞診がうまくできない場合、MRI検査を行うという事はないのですか。又、体に悪影響はないのですか。
<4>広島近辺で、乳癌専門医がいらっしゃる病院を教えていただけませんか。

(1)密度が濃いというのが、石灰化の陰影が強いということなのか、ひとつひとつが細かく、その間隔が近いということなのか、実際の画像を見ていないので、はっきりしたことは言えないのですが、粗大な乳腺症に特徴的だった影が次第に細かく崩れ、微細な石灰化となって、それが癌であったという症例は稀にあります。乳腺症の石灰化が年令とともに消失していくことは時に経験されます。
(2)生検を続けて行って悪いということはないと思います。癌が強く疑われる時はその診断をつけることの方が優先されると考えます。そのあたりのニュアンスは実際に患者さんを拝見し、画像を見てみないと何とも言えません。主治医の先生が今までのあなたのしこりの事や画像の変化について一番良く御存じなのですから、信頼して相談して下さい。
(3)MRIも最近乳癌に対する補助診断法の一つとして使用されるようになってきました。ただ特に造影MRIが腫瘤陰影の描出に優れ、温存術の際の切除範囲の決定などに使われることが多く、石灰化に関してはマンモグラフィーの方が強いという印象を個人的には持っています。検査による大きな副作用はないと考えます。
(4)残念ながら私は神奈川の人間で、広島の病院には詳しくありません。ひとつ、広島大学医学部附属病院の第2外科では月、水、金と乳腺外来をやっているようですので、参考までに。(文責 片山)

 

No.603】 01年09月15日  device                    
手術後の治療法

六月末に自分で左胸腋にしこりを見つける。総合病院の外科外来で触診、レントゲン、エコー検査を受ける。その上で局部麻酔による細胞組織検査の結果、7/17に悪性と告げられる。「腫瘍の大きさは1cm。ステージはT。リンパ節転移はないもよう。直径5cmのくり抜きによる温存手術。その後25回の放射線治療をする。」との説明を受けた。 がん予防センター・成人病センターでセカンドオピニオンを受け、細胞片のプレパラートを見てもらい、「腫瘍の種類は浸潤癌の中の硬癌であり、手術・治療法は問題ない。またリンパ節郭清はレベル1か2で十分」と診断される。ベットの空きを待ち、総合病院で8/15に手術施行。8/20から組織内照射2Gyを5回受け、8/29から通院による接線照射2Gyを25回。合計60Gyの放射線治療。(今日9/14現在で13回目終了) 9/11に退院後初めての外科外来の診察で、細胞検査の結果報告があり、 @ホルモンセプターは陰性 Aリンパ節転移は0 B核の性質は3段階のV C腫瘍の大きさは13mm D年齢(49歳・閉経前)による再発のリスクは低い。
以上の点とホルモン療法が出来ない為、治療法としては 
(1)メソトレキセート等を使った抗癌剤を6クール点滴による注射
(2) 経口の抗癌剤(量・期間は質問せず)
(3)放射線治療を終えたら、その後経過を見る
の三点から自分で決めてくださいと言われる。
長々となりましたが、今日までの経過です。10/4に外科外来の診察でこれからの治療法を決めないといけません。どう考えればよいのか毎日のように気持ちが揺れ動いております。ご助言をお願い致します。

しこりの大きさが約1cm、組織検査で乳癌と診断され、温存手術を受け、退院後放射線を現在受けている最中であるとのことですが、診断や治療法に関しては主治医の先生やセカンドオピニオンを受けた先生のおっしゃるとおり、私も問題ないと思います。そこで、手術の病理検査の結果が分かり今後の治療として3つの選択肢を提示されたわけですが、確かに主治医の先生がおっしゃるように、あなたの病理結果であればこの3つの方針が考えられると思います。
参考になるかどうかわかりませんが、リンパ節転移を認めない方に対する治療についての一般的な考え方について簡単にご説明します。一般的にリンパ節転移がない方は転移を認める方より再発のリスクは低いのですが、リンパ節転移のない方でも我が国のデータでいいますと10年生存率が85%ぐらいです。つまり15%程度の方がリンパ節転移がなくても再発することになります。そこでリンパ節転移がなくても、再発のリスクが高い群を選び出し、そのような方々に対しては、何らかの再発予防のための治療をした方がよいのではないかと考えられています。欧米ではリンパ節転移がなくても以下の条件を一つでも満たせば、メールの(1)の方法(メソトレキセートを用いた方法、CMF療法といいます)を行います。その条件とは、しこりの大きさが2cmをこえるもの、ホルモンレセプターが陰性なもの、核や組織の異型度が2,3のもの、年齢が35歳未満の方です。これらの条件を一つでも満たすとリンパ節転移がなくても化学療法を行うわけです。我が国ではリンパ節転移を認めないが、上に上げたようなハイリスク群に対してどのような治療を行うか完全に一致した意見はありません。ただ最近は欧米の治療法と同じように行う乳癌専門の先生方が多くなっているように思われます。私も欧米の治療法に沿って行っています。しかしその一方で、我が国の乳癌は欧米の乳癌より予後がいいため、リンパ節転移のない乳癌でハイリスクであっても、CMFではなくて経口の抗ガン剤で十分である(メールの(2)の方法)、または何もしないで経過観察で十分である(メールの(3)の方法)という意見があるのも事実です。現在我が国でリンパ節転移のないハイリスクの群(核の異型度が2または3のもの、但ししこりの大きさは最低5mm以上のもの)に対して手術後にCMF療法を行う群と経口の抗ガン剤を用いる群に分けて比較する大規模な臨床試験が終了し、あと数年すれば結果がでてくると思われます。
メールの内容からすると主治医の先生は結果や治療方針などきちんと説明し、患者さんの考えも考慮してくれる信頼できる先生の様に思われます。主治医の先生とよく相談して方針をきめて下さい。(文責 稲葉)
 

 

No.602】 01年09月15日  Y.K.                   
乳頭のただれ及びかゆみについて

4歳の女性ですが、以前からときどき乳頭のかゆみがあり、たまに乳頭の先端の皮が3から4つくらいに割れることがあります。ひっぱると簡単にとれ、出血や乳頭からの分泌はありません。このままほうっておいてよいものでしょうか。アドバイスをお願いします。

乳頭部のかゆみやただれを起こすものとして、ほとんどの場合は普通の湿疹であることが多いのですが、時にパジェット病という乳癌もみられます。メールの内容からすると特に心配ないように思われますが、念のため一度乳腺外来を受診することをお勧めします。(文責  稲葉)

 

No.601】 01年09月13日  M                   
細胞診の結果について

29才、1才の母親です。現在授乳中で、おっぱいもたくさんでているのですが、2ヶ月ほど前に左胸の下の付け根にしこりを発見しました。乳腺症だと思い、外科を受診したところ、エコーでは何もうつらなかったのですが、触診で少しざらざらしているし、ちょっと固めなので、レントゲンと細胞検査とMRIを受けることになりました。結果は、マンモグラフィーには何もうつらず、細胞のレベルはVで、MRIの結果、造影剤を入れるとはっきりしこりが現れてきました。ただ、現れる時間がゆっくりだったので、血流はいいが、積極的にがんとはいえないとの診断でした。95%良性だとはいわれたのですが、姉が調べたところ、レベルVはあまりいい方ではないので、もう一度違う病院で調べた方がいいといわれました。2ヶ月後に、経過観察があるのですが、それまで待つのも不安です。また、1ヶ月前からのどの痛みがとれないので、また不安になっています。生体検査をした方がいいのか、また、違う病院で受診したほうがいいのか迷っています。お忙しいところ申し訳ありませんが、お返事お願いいたします。また、横浜市で乳腺外科のある病院を紹介していただきたいのですが・・・。よろしくお願い致します。

メールを拝見した限りでは診断はつきかねますが、細胞診の結果がクラスVということですから、私個人の考えでは詳しい検査を行った方がよいと思います。クラスVというのは良性の可能性があるが、悪性も完全に否定できず経過観察、再検査あるいは生検が望ましいという段階です。細胞診は悪性の所見が出ないからといって、必ずしも悪性が完全に否定されたわけではありません。採取された細胞が少なかったり、病変部位にうまく当たっていなかったりして正確な評価ができないこともあります。私はクラスVという結果が出たときは、悪性を見逃してしまうのを防ぐために、なるべく説明して再検査や生検・組織検査をするようにしています。
横浜市で乳腺外科のある病院ですが、市内全ての病院のどこに乳腺専門の先生がいるかは把握しておりません。とりあえずこのホームページの神奈川乳癌治療研究会の会員の先生方が勤務している病院(横浜市内)をお伝えします。
横浜市内:神奈川県立がんセンター 乳腺甲状腺外科、済生会横浜市南部病院 外科、横浜南共済病院 外科、横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター 総合外科、横浜市立大学医学部附属病院 (文責 稲葉)