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相談室 |
このページは乳がんに関する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 なお、個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。ご相談内容は info@kbcts.gr.jp まで、メールでご連絡下さい。
なお当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。
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No
日 付
名 前
件 名
担 当
300 00/10/13 M.T.
しこりについて
稲葉 299-1
299-200/10/13
00/10/22Y.O.
手術までの段取りについて
骨髄の検査について稲葉
稲葉298 00/10/09 K.I..
右胸の大きなしこりについて
稲葉 297 00/10/08 Y.K.
“乳癌再発遺伝子”について
稲葉 296 00/10/08 Y.N.
手術後のことについて
稲葉 295 00/10/05 M.M.
良性の腫瘍が悪性で転移するのでしょうか?
稲葉 294-1
294-200/10/05
00/11/28M.Y.
センチネルリンパ節摘出による手術法について
抗癌剤の選択について稲葉
片山293 00/10/05 SOS
乳房にしこりと、引き攣れのような凹みができました
稲葉 292-1
292-200/10/05
00/12/15J.K.
微細石灰化について
乳房内再発について稲葉
清水291 00/10/04 H.K.
乳がんを心配しています
須田 290-1
290-200/10/04
00/10/07K.S. 発熱としこり
乳腺症清水
清水289-1
289-200/10/04
00/10/08toshio
生検について
再手術の必要性について須田
須田288 00/10/04 fwis
退院後の生活について
清水 287 00/10/04 H.H.
骨転移後の治療について
清水 286-1
286-200/10/03
00/10/08H.K.
術後の治療について
ゾラデックスの投与期間について
稲葉
稲葉285 00/10/03 K.M.
健康食品について
稲葉 284 00/09/29 tukuda
乳頭から分泌物が・・・。
石山 283 00/09/28 えり
硬くて丸いしこり
石山 282 00/09/28 T.S.
左胸のしこりについて
石山 281 00/09/28 M.K.
乳癌の検査に関する相談
石山 280-1
280-2
280-300/09/26
00/09/28
00/09/29くみ
センチネルノード
ホルモン療法について
ホルモン療法について(2)石山
石山
石山279 00/09/25 えみすけ
健康食品について
石山 278 00/09/25 ななこ
石灰化って乳がんですか?
石山 277 00/09/24 J.I.
化学療法について
石山 276 00/09/23 ゆう
右胸に違和感があります
石山 275-1
275-200/09/22
00/09/23N.I.
転移について
転移について(2)
石山
石山274-1
274-200/09/22
00/09/29jikotato
非浸潤ガンの再発と転移について
ホルモン療法の必要性について石山
石山273 00/09/22 Y.K.
炎症性乳癌について
石山 272 00/09/22 T.I.
乳頭の位置
石山 271 00/09/14 M.S.
左胸のしこり(?)について
石山 270 00/09/12 Y.Y.
癌とストレス
石山 269 00/09/12 M.K.
乳癌でしょうか?
石山 268-1
268-200/09/10
00/09/12T.A.
乳癌治療についてお教えください(1)
乳癌治療についてお教えください(2)石山
石山267 00/09/10 etoh
悪性の癌と診断、早めの入院と手術はできないのか?
石山 266 00/09/07 バーバラ
右胸、腋(腕の付け根)の痛みについて
石山 265 00/09/05 T.I.
チョコレート色の分泌物について
石山 264 00/09/03 H.I.
ノルバテックスとリュープリンの併用による骨粗しょう症
石山 263-1
263-200/09/03
00/09/22minahoshi
男性の乳癌の年齢分布
男性の乳癌について石山
石山262 00/09/02 M.H.
右乳房全摘の再手術について
石山 261 00/09/01 T.I.
右胸のふくらみとしこりについて
石山 260 00/08/30 とも子
蓄乳について
石田 259 00/08/30 M.S.
抗癌剤治療時の副作用に関して
石田 258 00/08/30 H.T.
卵巣をとると乳癌が再発しないって本当ですか?
石田 257 00/08/30 Y.S.
左胸にしこりがあるのですが
石田 256 00/08/30 K.H.
ホルモン療法について
石田 255 00/08/29 lucu emi
術後の補助療法について
石田 254 00/08/29 N.MIA
乳癌・パジェット病について
石田 253-1
253-200/08/29
00/10/05tosidoi
乳輪の変形について
乳癌検査について石田
稲葉252-1
252-2
252-300/08/29
00/10/28
00/10/28純夏
術後の補助療法について
CMF療法について
抗がん剤治療中の食事について石田
稲葉
稲葉251 00/08/28 ゆりえ
母の診察結果について
石田 250 00/08/25 A.T.
葉状腫瘍
石田 249 00/08/25 YANA
術後療法について
石田 248 00/08/23 WAT
バナナの摂取について
石田 247 00/08/23 KeroChan
乳房の形について
石田 246 00/08/23 E.A.
化学療法中の運動について
石田 245 00/08/19 I.T.
胸のしこりについて
石田 244 00/08/19 K.I.
乳癌再発について
石田 243-1
243-200/08/19
00/11/30みお
がんの再発について
めまいについて石田
片山242 00/08/19 K.A.
乳癌の骨転移について
石田 241 00/08/16 R.R.
乳首の脇の黒いできものがただれてきました
石田 240 00/08/12 J.N.
17歳なのですがーーー。
石田 239 00/08/12 pipi98
手術法の選択に迷っています
石田 238 00/08/12 M.S.
乳癌に関して
石田 237 00/08/10 M.T.
葉状腫瘍が肺下の胸膜に転移
石田 236 00/08/10 yatii
しこりについて
石田 235 00/08/10 T.I.
乳房内のでこぼこ
石田 234 00/08/10 M.K.
抗がん剤について
石田 233 00/08/10 あき
左胸の痛みについて
石田 232 00/08/10 fukazo
高齢での乳癌手術について
石田 231 00/08/05 jango
放射線治療について
石田 230 00/08/05 ぷうやん
石灰化のことで教えてください
石田 229 00/07/30 A.O.
乳がんの検査について教えて下さい
麻賀 228-1
228-200/07/28
00/08/05M.S.
術後補助療法で悩んでます
術後補助療法で悩んでます(2)麻賀
石田227-1
227-200/07/27
00/08/18A.O.
乳癌の判断と手術のタイミングについて
術後の予防措置について麻賀
石田226-1
226-200/07/26
00/07/27夏子
充実性乳癌について
充実性乳癌について その2麻賀
麻賀225 00/07/25 Toshi
教えてください
麻賀 224-1
224-200/07/25
00/07/28MIYAKO
母のことについて
母のことについて(No.2)麻賀
麻賀223-1
223-200/07/25
00/07/28HA
治療についての相談
治療の相談(No.2)麻賀
麻賀222 00/07/24 Y.M.
不安です
麻賀 221 00/07/23 H.T.
母親の乳癌について
麻賀 220 00/07/21 indico
放射線治療についてお聞きしたいのですが
麻賀 219-1
219-200/07/20
01/03/22カブ
乳腺線維腺腫といわれましたがーーー(1)
乳腺線維腺腫といわれましたがーーー(2)麻賀
徳田218-1
218-2
218-300/07/19
00/07/21
00/08/12T.N.
温存療法or全摘
温存療法or全摘(2)
術後の再発について麻賀
麻賀
石田217 00/07/19 やち
不正出血について
麻賀 216 00/07/17 K.M.
手術後の生活について
麻賀 215-1
215-200/07/15
00/07/16F.I.
乳癌の手術を受けましたが…
もう一つ質問させてください麻賀
麻賀214 00/07/15 Y.K.
乳管内乳頭腫
麻賀 213 00/07/10 M.S.
"よくわからない” と言われた時は?
麻賀 212 00/07/09 T.N.
手術後の腕のむくみについて
麻賀 211 00/07/09 T.K.
右脇が痛みます
麻賀 210 00/07/07 nakanishi
治療方法と妊娠について
麻賀 209 00/07/07 えみすけ
術後の状況
麻賀 208 00/07/06 K.M.
線維腺腫でも授乳できますか?
麻賀 207 00/07/05 Michiyo T
2次検診について
麻賀 206-1
206-200/07/04
00/07/21M.M.
今後の治療方針について
放射線治療 & 術後麻賀
麻賀205 00/07/02 S.K.
乳輪の退色について
麻賀 204 00/06/30 ピング−
乳頭から分泌液が・・・
吉田 203 00/06/28 N.I.
健康食品について
吉田 202 00/06/28 T.T.
乳腺への再発について
清水 201 00/06/28 N.T.
乳房のしこりとピルについて
須田
【No.300】 00年10月13日 M.T.さん
しこりについて31歳、1児の母です。先般右胸にしこり(2センチちょっと)があり、触診・超音波検査を経て細胞診の検査をしました。結果はクラス2でした。主治医は、良性だけども、細胞診はすべての細胞をチェックしてるわけではないので、できればしこりをとった方がよいとアドバイスされています。私がためらっていると、以前私と同じ診断をした人がしこりを取って検査したところ、細胞の中に顔つきの悪い細胞があったそうで、その方は初期だったため大事にいたらなかったそうです。もしどうしてもとるのが嫌であれば、半年に1回検査が必要との事で、よく考えるようにといわれています。家族にこの話をしたところ、白黒はっきりさせた方がいいといわれ、手術を勧められています。しかし、私自身働いており現在仕事がハードな状態なため、もししこりをとるにしても12月ごろと思っていますが、まだふんぎりがついていません。家族に、とるにしても12月頃といったら、遅いからもっと早くとせかされていますが果たして遅いのでしょうか?主治医は5センチほど切るといっておりますが、傷ははたからみてもわかる状態になってしまうのでしょうか?また、私自身来年あたり2人目を考えています。もしこのまましこりをとらなかった場合出産に影響がありますか?お忙しいところ恐縮ですが、アドバイスをお願いします。
乳房のしこりが良性のしこりなのか癌なのかを見分けるために、いろいろと検査をします。乳房のレントゲンや超音波検査、細胞診検査などです。細胞診の検査はしこりそのものから細胞を採取してくるので、とても有用な検査ですが、この検査で100%診断がつくわけではありません。担当の先生がおっしゃるように、細胞診で採取される細胞はしこりのごく一部の細胞であり、全ての細胞を検査しているわけではありません。ですから細胞診の診断と本当の診断が異なることもあるわけです。癌の疑いが否定できない時はしこりの組織をとって調べる生検という検査が必要になってきます。まだすぐに生検を受ける決心がつかないとの事ですが、診断がつかないであれこれと不安がって毎日を過ごすより、早く診断をつけてすっきりとして仕事に取り組んだ方がいいと思います。生検は局所麻酔で行い、入院は必要としません。傷跡が全く残らないというのは無理ですが、丁寧に縫えば傷は目立ちません。また妊娠との関係ですが、乳房のしこりが妊娠自体に悪影響を及ぼすということはないと思います。しかし、逆に妊娠することにより、このしこりが癌だった場合、癌が急速に進むことがあります。このしこりが良性の場合でも、女性ホルモンの影響で、急にしこりが大きくなることがあります。もし妊娠を希望されるのであれば、妊娠前に生検をされるのが良いと思います。(文責 稲葉)
【No.299-1】 00年10月13日 Y.O.さん
手術までの段取りについて今年59歳の母の事ですが、3日に乳癌だと診断されました。まだ入院の日程は決まっていませんが多分10月24日、25日あたりになりそうです。ただMRIが10月30日にしか予約が取れず、それでも手術を先にするそうです。素人の私が言うのは変ですが、順番が逆のような気がするのですが・・・ 1度切って、その後レントゲンをみて、場合によってはまた手術する事になりますよね? ただでさえ怖がりの母なのに・・・病院を変えた方が良いのでしょうか? それとも何処もそんな感じなのでしょうか? ただでさえ不安なのに余計な不安を覚えます。アドバイス宜しくお願い致します。
手術までの段取りについてのご相談ですが、手術までの日数や検査の順序や日数は、検査枠や手術枠などの問題もあり、それぞれの病院によって事情は異なると思います。きちんと調べたわけではありませんが、乳癌と診断されてから入院までの待ち時間は2〜3週間程度が普通ではないでしょうか。またMRI検査が手術の後になるとの事ですが、MRI検査の部位によっても違いますが、乳房やリンパ節のMRI検査としますと病変の広がりなどをみる目的で行いますので手術前に行うわけですが、恐らく手術の日時が正式に決定したらMRI検査は早まるのではないでしょうか。私のいる病院でも外来で検査を予約すると、枠の関係でかなり後になってしまうのですが、手術の日時が決まり入院してしまうと、別枠で検査を早めることが可能です。主治医の先生はその辺の事情はわかっていると思います。心配することはないと思います。また2〜3週間で癌がかなり進行するのではと心配される方もいらっしゃいますが、特にそのようなことはありません。(文責 稲葉)
【No.299-2】 00年10月22日 Y.O.さん
骨髄の検査について母が今日19日入院しました。手術は明日20日に行います。MRIの予約が30日にしか取れていない事を主治医の先生に伝えたところ結果レントゲンは行わないとの返事が返ってきました。理由を聞くと手術の後ではあまり意味が無いので・・・とのことでした。 あと今、欧米で必ず行う?そうですが骨髄を10CC程採取して骨等への転移が無いか調べるとのことでした。ただ研究段階の為費用は病院側がもってくれるそうです。なんだかよく分かりませんが少しでも不安材料が消える物なら、と思い母も承諾しました。 どう思われますか? またご意見宜しくお願い致します。
恐らくこの返事が届く頃には、お母様の手術は終わっていると思います。手術前にお返事できなくてすみません。前回の返事ではMRI検査を早めてくれるのではないだろうかと書きましたが、実際に早めてやるかどうかは主治医の先生の判断で違ってくると思います。MRI検査は(たぶん乳房かリンパ節のMRI検査と思いますが)なくても手術には影響ないと判断して、手術前にできないのなら中止にしようと判断したのだと思います。骨髄の検査についてですが、確かに骨への転移を早く発見する方法として骨髄をとって調べるのがよいという研究報告はあります。主治医の先生がいうように、研究段階の為、どこの病院でも通常の検査として行っているものではありません。このような研究段階の検査をやることについては、なかなか判断が難しいと思います。患者さんの立場からすればあまりいい気持ちはしないかも知れません。逆に医学の進歩という点からするとある程度はこのようなことも必要かも知れません。ただ重要なのはこのような研究段階の検査や治療を行うときは患者さんにきちんと説明し、同意を得て行うということです。確かにすっきりとはしないかも知れませんが、あなたのおっしゃるように不安材料が消えるならと前向きに考えてがんばってください。何となくはっきりしない返事となってしまい、申し訳ありません。(文責 稲葉)
【No.298】 00年10月09日 K.I.さん
右胸の大きなしこりについてはじめまして、44歳、既婚、1児の母です。子供は、生後半年くらいまでは母乳とミルクの混合で育てました。36歳の時に初産でしたが、その前後に1回ずつ繋留流産をしています。病歴は、20代の頃、甲状腺機能亢進症で5年近く薬を飲んでいましたが、32歳のときに手術し、完治しております。今年8月末に、右胸の乳首やや外側、やや下方に、ピンポン球のような(大きさもそのぐらい)よく動くしこりに気付き、9月4日に総合病院を受診しました。たまたま、市の乳癌検診の時期と重なっていたため、その検診として受診しましたが、そのときの先生は、右より左に小さいものが多いということと、触診から判断して、よく動くのでまず心配なものではないし、ほうっておいていいと思うが、念のためCTをとりましょうと言われました。市の検診だったので、後日再度初診の受付をした上で、CTの予約を取ることになりましたが、その説明をしてくれた看護婦さんも、心配ないようなので急ぐ必要はないから、都合のよいときにいつでもいいと言ってくれ、ホッとしておりました。
10月6日に、同病院を再度受診いたしましたが、前と違う先生で、以前の検診のときの話をすると、CTなどでは何も分からないとおっしゃり、すぐに乳房のレントゲンを撮り、超音波検査の予約を取るように言われ、場合によっては直接針を刺して、組織の検査をするかもしれないとのことでした。以前の「まず心配はない」との言葉に、すっかり安心しきっていたので、それだけで少々不安になったのですが、乳房のレントゲンを撮る際、ぎゅっと圧迫されたとき、右胸から検査台の上に直径5cmほど分泌液が出て、さらに不安になってしまいました。普段特に出てはいなかったのですが・・・。自宅に帰ってから、乳房全体を絞るようにしてみたら、やはり膿のような色の分泌液が出てきました。1) ガンとガンでない良性のしこりを区別する1つの所見に、そのしこりがよく動くかどうかということがあげられます。よく動くしこりはガンでないことの方が多いです。
2)ガンの症状としてしこり、乳房の皮膚がひきつれたりへこむ、乳首より分泌物がある、乳首がへこむなどがあります。乳ガンのしこりは特に痛みを伴わないことが多いので、大きくなるまで気づかない事もあります。
3)血性の分泌液とは分泌液に血液が混じっているものをいいます。色は赤色、暗い赤色、黒褐色、茶褐色を呈しています。真っ赤な赤色というより暗赤色をしていることが多いです。
4)考えられるものとして、良性のしこり・ガン両者ともあげられます。残念ながら直接診察していませんので、しこりがどのような感じなのか、分泌液がどのようなものなのか私にはわかりません。はっきりと診断はこうですとお答えできません。検査は乳房のレントゲン、乳房の超音波検査、必要ならば細胞診(針をさして組織の検査をするというのはこの事だと思います)を行います。分泌液があるときは分泌液の細胞診や乳管造影といった検査を行うこともあります。これらでも診断がはっきりしないときは生検といって、局所麻酔をしてしこりの組織をとって調べることもあります。不安ならば次回の診察を待たずに受診して、担当の先生に詳しくお話を聞くのがいいと思います。(文責 稲葉)
【No.297】 00年10月08日 Y.K.さん
“乳癌再発遺伝子”について10月4日の読売新聞に、乳ガン再発遺伝子でチェックの見出しで、染色体異常で危険率アップなど書かれていましたが。昨年2月に手術をしましたが、その検査をするにあたり医療費はどのぐらいかかるのでしょうか?また私は神奈川県相模原市が住まいなのですが、近くにあるのでしょうか?
10月4日付け読売新聞夕刊のコピーを取り寄せてみましたが、この記事を読む限りでは学会で発表されるとのことですから、まだ研究段階の遺伝子であると思います。従ってこの近辺の病院では検査ができないと考えられます。この遺伝子の検査がふつうの病院で行われるようになるまでには他の多くの施設で効果を確かめるための追試などが必要ですから数年かかると思います。この記事には遺伝子の名前など記載されていないので詳しいことはわかりません。(文責 稲葉)
【No.296】 00年10月08日 Y.N.さん
手術後のことについて49才主婦です。6月に、しこりに気付き、7月18日に集団検診で、精密検査が必要と言われました。その後の精密検査で、ガンと診断されました。8月9日に手術を受け、入院は1週間でした。質問の数が多いですが、よろしくお願いします。
病状:U期〜V期、リンパ・乳房下の転移なし
場所:右乳房下の、内側 ドーターが4個(不確定)位あった
手術内容:右乳房全摘、腋窩リンパ節と乳房下の筋肉の一部切除、手術後、乳頭まで達していたと言われる
退院後:放射線治療なし、抗癌剤服用(ミフロール、4週休み、4週服用)
@大きさ(3cm)からいえばU期であるが、なぜU期〜V期と診断されたのでしょうか。(のべ面積からU期〜V期と診断されたのか。)
Aこのような状況であれば、左側乳房に移転しやすいのでしょうか。
Bドーターが認められると言うのは、より悪質なガンであると判断して良いのでしょうか。
C抗癌剤に、段階(レベル)はあるのでしょうか。
D私の場合、抗癌剤の服用は「自分で選択しなさい。」と主治医から言われました。「抗癌剤は途中から止めることはできるが、途中からの服用はできない。」と言われ、飲むことにしました。このように抗癌剤の服用を、患者の意思に任せることはあるのでしょうか。
Eホルモン剤の服用は、していません。飲まなくてもよいのでしょうか。私の症状より軽い人でも服用しているようですが、今から主治医に頼んででも服用すべきなのでしょうか。
F手術時に温存か全摘か、手術後に抗癌剤の服用等、私の主治医は、患者の責任において選択をさせているように思いますが、乳がん場合、このように患者にいろいろ選択させることは良くあることなのでしょうか。
G手術後、腕から脇にかけて痺れがあったり、腕が思うように上がらなかったりします。No18に「退院時にリハビリを紹介しているパンフレットをもらうはず」とありますが、私は貰っていません。なるべくマッサージしたり、動かすように努めていますが、なにか良いリハビリ運動等を紹介している著作物はありますか。@ しこりの大きさが3cmで、腋窩リンパ節転移がなければU期であると思います。しこりが複数あっても最も大きいしこりの径で判断します。延べ面積で判断はしません。
A 特に反対側に転移しやすいということはないと思います。
B より悪質な癌という言葉の意味をより再発や転移しやすいかという意味で考えるなら、ドーター(娘結節)のあるなしと再発、転移のしやすさは特に関係はありません。
C、D 抗癌剤は弱いものから強力なものまであります。強力になればなるほど副作用が強くなるので、早期の方は抗癌剤無しか用いても弱いもの、進行している方には強力なものと癌の進行度に応じて使い分けしています。抗癌剤を用いるに当たって副作用などの点から患者さんによく説明して納得、同意をしていただいて治療を開始します。効果が同じようないくつかの治療法や薬がある場合、患者さんに説明した上で患者さんに選択してもらうということもあります。おそらく主治医の先生はあなたの意思を尊重する意味で選択をあなたに任せたのだと思います。
E ホルモン剤は基本的には、癌組織のホルモンレセプターが陽性(ホルモンの感受性があるタイプ)の場合に用います。陰性の場合は通常は用いません。主治医の先生にレセプターの結果を聞いてみたらいかがでしょうか。
F 検査や治療を行うに当たって、患者さんにその内容やおこり得ることなどを説明し、患者さんに納得、同意していただいて検査や治療を行う(いわゆるインフォームド・コンセント)のが原則です。医師の側から一方的に決めるより、患者さんの意見を尊重してお互いに納得して決めていくのが最も良いと考えます。あなたの主治医の先生はきちんと患者さんの意見を尊重している方だと思います。乳癌の治療はここ数年で大きく進歩しました。手術方法をみても昔は乳房切除1つであったのが、今では温存手術と切除というように複数の選択肢があります。その複数の選択肢の内から一つの方法を選ばなくてはいけません。乳癌の治療はこのような選択の連続であると思います。Dでも書いたように私も治療の段階でいろいろな選択肢がある場合、患者さんに説明し患者さんに選択してもらうこともあります。大事なことは医師と患者さんの両者がそれぞれの意見や希望をいって、お互い納得して治療を続けていくことだと考えます。
G 申し訳ありませんが、リハビリに関する良い著作物について適当なものは知りません。リハビリについては医師より看護婦さんの方が詳しいことが多いようです。あなたの通っている病院の外来の看護婦さんに相談してみるのはいかがでしょうか。(文責 稲葉)
【No.295】 00年10月05日 M.M.さん
良性の腫瘍が悪性で転移するのでしょうか?半年ほど前に3.5センチの腫瘍を取る手術をしました。腫瘍は良性の葉状腫瘍といわれたのですが、転移する可能性があると言われました。転移は良性ではなく、悪性の可能性もあるのでしょうか?すみませんが、教えて下さい。
葉状腫瘍は良性と悪性の区別が難しい場合が時にあります。組織では良性の顔つきをしていても臨床上経過をみていて、手術した部位に再発したり他の部位に転移して悪性の経過をとることが稀にあります。大部分の良性葉状腫瘍の方は大丈夫ですが、こういった事が数少ないですがありますので、経過はみてもらうようにしてください。(文責 稲葉)
【No.294-1】 00年10月05日 M.Y.さん
センチネルリンパ節摘出による手術法について母の乳癌手術法に関してご相談させて頂きたくメールを差し上げております。母62歳、右乳房乳頭より若干右斜め下にサイズ2cm以下の癌があり、来週温存法により手術予定となっております。担当医による腋下触診にて1箇所腫れが感じられる事から細胞診を2度行いましたが、結果不明瞭(癌細胞は検出できなかった)との事でした。昨日手術法について担当医より説明があり、乳癌切除手術時にその不明瞭な腋のリンパも取り除く事、及び「センチネルリンパ節摘出のみ行い、腋下リンパ節郭清を行わない治療法」についての説明も受けました。術後の苦痛を考慮した場合、その方法で行いたい旨話が終了したのですが、ここで気になる事がありご質問させて頂きます。センチネルリンパ節に転移が見つからず、腋下リンパ節郭清を行わなかった場合でも、腋下リンパ節の再発、あるいは多臓器に再発する可能性が10%〜20%程度ある旨の説明も受けており、その数値を考慮した場合、腋下リンパ節郭清を行った方が再発の可能性がグンと低くなり安全ではないかと考えるのですが、
(質問1)数値的に腋下リンパ節郭清を行った場合の再発の可能性とはどの程度のものなのでしょうか。
(質問2)先生のお身内がもし私の母のような状況であれば、今後の再発の可能性を考えた場合、どちらの手術法を取られますでしょうか。先生のご意見を是非お伺いしたく、どうかよろしくご回答の程お願いいたします。(質問1)
センチネルリンパ節摘出はここ2〜3年行われるようになってきた手術法ですが、標準的な手術ではなく一部の病院でしか行われていません。私のいる病院でも一昨年からセンチネルリンパ節と他の腋窩リンパ節の転移の関係について予備的にデータをとり、今年からセンチネルリンパ節の転移のあるなしで腋窩リンパ節の郭清を決める方法で十数例ほど行っていますが、まだ長期に渡って術後の経過をみた方はいないので、センチネルの方法で行った場合何%の方がリンパ節や他の臓器に転移するか、はっきりとわからないと思います。しかしセンチネルの方法で行った場合に、本当は腋窩リンパ節に転移があるのにセンチネルリンパ節に転移が見つからず、その転移リンパ節を残してしまう例が私の病院の予備的なデータでは7〜8%あると予測できました。従ってセンチネルの方法で行った場合、リンパ節や他臓器に再発する率は、私の推測ですが、通常の腋窩リンパ節の郭清を行った場合より数%ぐらい高くなるかもしれません。それからちなみに、通常の腋窩リンパ節の郭清を行った場合の再発率ですが、しこりが2cm以下で腋窩リンパ節に転移がないかあっても3個以下で少ないなら10〜15%、腋窩リンパ節の転移が4個以上で多いなら15〜25%ぐらいであると思います。
(質問2)
細胞診で癌細胞がでていなくても腋窩にリンパ節を触れるのであれば、通常の腋窩リンパ節の郭清を行う方法を選びます。(文責 稲葉)
【No.294-2】 00年11月28日 M.Y.さん
抗癌剤の選択について再度先生方のご意見を頂きたくメールを差し上げております。母62歳、右乳癌のため10月11日温存法+腋下リンパ節郭清術実施。腫瘍サイズ1.8×1.8cm、腋下リンパ節転移8/10、ホルモンレセプター(+)にて、現在ノルバデックスDの内服と放射線療法を受けております。来年1月より抗がん剤投与を受ける予定となっております。担当医より、予想外に腋下リンパ節に8つも転移していたため、抗がん剤は強めのCEF療法を予定している旨の話を受けました。そこでCEF療法に関してインターネットで情報収集していましたところ、Canadian Medical Association発の抗がん剤療法に関する記事の中で、腋下リンパ節転移陽性で閉経後の女性にはCMFもしくはAC療法が薦められる旨記載されております。一方、閉経後の女性にはCMF、ACもしくはCEF療法のいずれでもよい旨の内容となっております。
(http://www.cma.ca/cmaj/vol-158/Issue-3/breastqa/guide8.htm)
この記事を読んで以来、私の母は閉経後である事から、予定されているCEF療法が母にとって最適な治療法であるか不安に感じております。そこで、先生方のご意見を頂きたいのですが、私の母のようなケースでは最適な抗がん剤の選択として、何をお薦めになられますでしょうか。どうぞ宜しくご回答の程お願い申し上げます。御指摘のインターネット情報にも繰り返し書いてありましたように、化学療法による効果や副作用には個人差があり、データ上奏効率が上回る治療法であってもその患者さんにとって適しているかどうかは実際に行ってみないと分からず、難しい問題をはらんでいると思います。
CAに関しては、実際に行ったことが無くコメントできなくて申し訳ありません。CEFの方がCMFよりも抗腫瘍効果は大きいようですが、副作用もまた大きく、外来で行っていて、休止したり減量したりせざるを得ない患者さんもいらっしゃいます。私自身の経験ではCMFで軟部組織(局所・リンパ節)の進行再発乳癌に対して著功したことも複数例あり、あくまで私見ですが、まず比較的副作用の少ないCMFを補助療法として行って、再発があったらCEF、そしてTaxan系という順序を考えました。もちろんCEFを補助療法に持って来る考えの先生の方が多いと思われますし、中にはTaxan系の薬を考えられる先生もいらっしゃるかもしれません。また、今年のASCOでは、Anthracycline系(アドリアマイシンなど)の併用療法はCMFより優れるとのメタアナリシスの報告があるものの、その差は僅かであり、毒性も考慮するとlow riskの症例ではCMFもありうるとの報告がありました。さらに2年間の経口UFT療法と6サイクルのCMF療法の比較ではQOLはUFT群の方が良好で、奏効率も遜色が無いとの報告があります。このようにさまざまな治療法の選択肢があり、我々自身も日々迷いながら診療している現状です。とりとめがなくなってしまいましたが、お母様の治療法に関してはどれがBESTかという判断は非常に難しく、できれば副作用で中断することなく、完遂し得る方法を取ることが良いと思うのですが、現時点では施行してみないと分からないことが多いのです。(文責 片山)
【No.293】 00年10月05日 SOS
乳房にしこりと、引き攣れのような凹みができました34歳未婚女性です。5月の終わり頃、左乳頭から3センチほど外側の比較的浅いところに直径1〜1.5cm程度の硬いしこりがあるのに気づきました。その後7月末に、2日間ほど断続的に左乳房に強く刺すような痛みがありました。(ちょうど生理と生理の中間頃でした。その時のような強い痛みはその後ありません。)そのころから、腕をあげると、乳頭の外側に引き攣れのような凹みができることに気づきました。(へこみは浅く、縦に5cmほど細長くへこんで見えます)乳癌ではないかと強い不安を感じています。しこりだけでなく、このような引き攣れもある場合は、癌である可能性は高いのでしょうか?
実は2年程前に右乳頭から血性分泌物があり、がん検診センターで乳腺乳頭腫といわれたことはあるのですが、そのとき左に特に異常は認められませんでした。この不安を取り除くには、診てもらわなければならないことはわかっているのですが、私は皮膚の傷はみなケロイドになってしまうので、手術や検査で傷を受けることをとても恐れて、病院に行くことを躊躇しています。美容的な治療に理解と技術を持ち、ケロイドのケアも十分にしてくれる信頼できる病院を教えていただけませんか?私は八王子在住です。自分にとって大事なことなので、2時間程度範囲の病院であれば通いたいと思います。悩みながら数ヶ月がたってしまったのですが、これ以上ほおっておくことはできないと思っています。不躾なご相談ではありますが、よろしくご回答ください。乳房にしこりとくぼみができたとのことですが、直接拝見していませんので癌かどうかはわかりませんが、すぐに乳癌の専門医のいる病院を受診することをお勧めします。病院に行くことを躊躇してはいけません。もし癌だった場合、早く見つけた方が良いのですから。残念ながら八王子近辺で美容的な治療に理解と技術を持ち、なおかつケロイドのケアも十分な信頼できる病院は私には分かりませんが、大学病院や公的な大きな病院の外科には乳癌の専門医が大抵いますので、そういった病院を勧めます。また乳癌を専門にしている医師なら誰でも傷について配慮してくれると思いますので、受診したらきちんと傷やケロイドの事などその旨を担当の先生に話し、希望を伝えた方が良いと思います。(文責 稲葉)
【No.292-1】 00年10月05日 J.K.さん
微細石灰化について現在42歳で、去年の9月に右胸の部分切除の手術を受けました。しこりの大きさは7ミリで、リンパに転移はなかったと言われています。硬癌で、ホルモン受容体はプラスです。術後半年、5FU、エンドキサンを経口服用し、タモキシフェンはひきつづき服用しています。部分切除なのですが、放射線治療は必要ないということで受けていません。今回マンモグラフィーで、右胸に3個の微細石灰化がみつかりました。先生は、「気にはなるが4ヶ月後に再検査とし、様子を見ましょう。」とのことです。再発が非常に心配で、教えていただきたくお願い致します。
1)このような微細石灰化は再発につながることが多いのでしょうか。また再発の場合、悪性のものなのでしょうか。治りうるものでしょうか。
2)早期発見ではありますが、硬癌ということで不安に思っています。硬癌は早期発見であっても転移、再発のリスクが高いのでしょうか。
どうぞよろしくお願い申し上げます。1)微細な石灰化病変は良性の疾患と癌の両方でみられます。あなたの場合は去年、乳癌の手術を受けているので、主治医の先生も気にかけているのだと思います。この病変が良性か癌かは最終的には細胞診か組織診を行わないと分からないと思います。ただ石灰化病変が小さな病変の場合、病変部位の細胞や組織を確実にとってくるのが難しいので、経過をみて変化があれば(癌ならば3〜4ヶ月で変化がみられる)その時点で細胞診や組織診を行うこともあります。心配ならば主治医の先生に相談し、細胞診や組織診をやってもらうのも一つの方法だと思います。
これが再発の場合、癌ですから悪性になります。部分切除後乳房に再発した場合、他の部位に転移がなければ、その時点で乳房切除を行えば大丈夫であるといわれています。
2)乳癌の組織型で最もよくみられるタイプを学問上3つの型に細かく分けており、そのうちの1つの型に硬癌があります。硬癌は他の2つの型より転移、再発が多いという報告もありますが、あなたの場合、しこりは7ミリでリンパ節転移がないことから早期であったと考えられます。早期の病変であれば特に硬癌ということを心配する必要はないと思います。(文責 稲葉)
【No.292-2】 00年12月15日 J.K.さん
乳房内再発についてNO.292で微細石灰化について、質問させていただきました。その節は早速にお答えいただきまして有難うございます。重ねてご相談させていただきます。
昨年9月に部分切除術(しこりの大きさは7mm 、リンパ節転移は無かったといわれています。)をうけ、断端にがん細胞がなかったので放射線は必要ないとのことで、受けていません。年齢は42歳です。昨年9月に1回目の手術で、昨年10月から生理はない状態です。エンドキサン、5FUを半年間服用し、タモキシフェンは現在も服用しています。1年目の検診で、残存乳房内に微細石灰化がみつかり、局所麻酔で、組織をしらべてもらったところ、石灰化自体には、がん細胞はなかったものの、その近くに1ミリ程のがんがみつかったとのことでした。放射線治療と乳房切除との治療法があると言われましたが、乳房切除のほうが安心であろうとのことで、切除術をうけました。どちらも硬がんだそうです。手術前の検査では、骨シンチ、胸部CTは異常なしでした。最初のしこりは、ほぼ乳首の真下で、今回は正確に場所を聞いたわけではないのですが、わきの下にむかって5pほど移動した場所だと思います。先生は、ちょっと離れている、と言われてました。最初のがんは、ホルモンの受容体というのでしょうか、エストロゲンに結びつくものが陽性と聞いています。今回のがんは、まだ聞いていないのでわかりません。
・ 乳房内再発と遠隔転移は、別物と考えられているので、そんなに深刻に考えなくていいと主治医の先生は言われるのですが、乳房内に再発しているのなら、ほかのところにも再発しつつあるのでは、と不安に思います。可能性はどうなのでしょうか。
・ 先生は抗がん剤治療はしなくていいと言われていますが、1年目での再発で、抗がん剤治療しなくて大丈夫でしょうか。抗がん剤治療をしてもらうようにお願いするべきか迷っています。
・ 子供がまだ小さく、今後の生活設計のためにご意見をお聞きしたいと思います。
小さいしこりであったにもかかわらず、抗がん剤も飲んだのに、1年で再発というのは、より悪質ながんと考えられるのでしょうか。とりとめなく、重複した相談になってしまいましたが、ご意見おききしたくお願い申し上げます。乳房内再発と遠隔転移: 乳房温存療法後の乳房内再発と診断された時は、それが遠隔転移も含めた全身再発の一部なのか、遠隔転移を伴わない乳房内再発だけなのかを区別します。前者の場合は、手術よりも全身治療が優先されますし、後者では手術が優先されます。その区別は、乳房内再発が診断された時に全身の検査をして、それで遠隔転移がなければ、後者と考えます。したがって、J.K.さんの場合も主治医の先生がおっしゃるように、乳房内再発単独と考えて良いと思います。しかし、乳房内再発単独だと思っていても、すぐに全身再発が起きることがないとはいえません。ですから、J.K.さんが不安に思う気持ちももっともだと思います。しかし、その可能性を言い出したらきりがありません。だから、現時点では全身検査で異常がないということを信じて、後は定期的に全身検査をして遠隔転移がないことを確認していくしかないのではないでしょうか。
乳房内再発の手術後の全身療法: 残念ながら、乳房内再発を手術で切除した後の全身療法が必要かどうかを検討したデータはありません。ですから実際は、case by caseで、主治医の先生と患者さんの相談で決まっているようです。もしJ.K.さんが再発のことを不安に思っていて、少しでもそのRiskを下げたいと思っているのであれば、主治医の先生にその旨を相談し、手術後の補助療法として使われる抗癌剤の治療効果と副作用について十分な説明を聞いた上で判断したら良いのではないでしょうか。タモキシフェンは続けた方が良いと思います。(現時点のデータからは5年間)
1年での乳房内再発: 最初の癌が飛び火をして2番目の癌になったと考えると悪性度が高いと思います。しかし、2番目の癌が別に新しくできた(もしくはもともと多発していた)と考えると、それは1年目でも、2年目でも,10年目でも同じことなので、とくに悪性度が高いとは考えません。J.K.さんがどちらなのか、その区別は難しいのですが、最初の癌と2番目の癌が5cm離れているということを考えると、後者のような気がしますが・・・.。後は最初の癌、2番目の癌の病理検査で悪性度が高そうだという所見があったかどうかを主治医の先生に確認してはどうでしょうか。もう一つ考慮しなければいけないのは、乳房温存療法ではたとえ断端に癌がなくても温存した乳房に放射線治療するというのが原則です。放射線治療をしないと乳房内再発率が高くなることが知られています。ですから、今回温存乳房への放射線治療をしていないので、癌の悪性度に関係なく乳房内再発の可能性が高かったとも考えられます。もちろん、放射線治療をしたら乳房内再発がなくなるわけではありませんし、放射線治療をしなくても乳房内再発しない人もたくさんいますけれど・・・。(文責:清水)
【No.291】 00年10月04日 H.K.さん
乳がんを心配していますこんばんは。初めてメールを書きました。乳癌の可能性があるというしこり、乳頭からの分泌物を発見してしまって、すごく不安になったのでぜひ聞いてほしいのです。9月に初めて永久脱毛を始めたのですが、そのとき脇に10数ヶ所ずつに麻酔を打ちました。麻酔をすることによって、脇にひきつれなどが起こることがあるけれど、1ヶ月位したら消えますよ、と医師に言われました。しこりを発見したのは多分2、3週間前だと思います。そのときは麻酔の作用だと思いました。右の脇のくぼみのところに長さ3センチくらい、幅1センチくらいの管のようなしこりがあります。分泌物のほうは、8月くらいに気づきました。乳首をつまむとそんなにはでませんが、乳房をしぼるようにすると濃い白、薄い乳白色の液体がでてきます。生理中はしぼってもしぼってもどんどん出てきました。生理が終わっても、しぼると少ないですがでてきます。勝手に母乳だと思いこんでいましたが、最近、乳がんのパンフを読んですごく不安になりました。ぜひ意見を聞かせてください。どうぞよろしくお願いします。
脇のくぼみに乳癌の可能性のあるしこり(3×1cm)があるとのことですが、腋窩(脇のくぼみ)の腫瘤(しこり)は、大部分の場合、腋窩リンパ節が触れているのです。その他、乳腺の一部が触知する場合、副乳の場合、いずれも軟らかい脂肪の中に乳腺そのものを触れる場合があります。また、稀に、その乳腺に腫瘤が出来る場合もあります。いずれの場合も、触診、乳房撮影、超音波検査、細胞診と、原則通りの検査を行う必要があります。総合的に判定するのですが、細胞診の検査でも判定が難しい時は、生検(手術をしてしこりを取り出し、病理検査をする)を行うこともあります。
次に乳頭分泌の件ですが、原則的には70%までが乳管内乳頭腫という良性の病変で、30%が乳癌ということになっています。乳頭分泌の性状ですが、非血性(黄色透明)と血性(血が混じっている)の2通りが考えられます。血性の場合も、淡いものから血液に近いものまでありますが、血液に近いものほど乳癌を疑って、検査を行います。先ずは、分泌液にがん細胞が混じっているかどうかを調べるため、細胞診を行います。また、分泌液に腫瘍マーカー(CEA)が混じっているかどうか(マンモテック)、分泌がある乳管に造影剤を入れて異常所見があるかどうかの検査(乳管造影)、乳管の中を細いファイバースコープで覗いて病変があるかどうかの検査(乳管内視鏡)、分泌を起こす乳管および乳腺の一部を手術で切除して、病理学的に癌があるかどうかを調べる検査(マイクロドヘクトミー)などがあります。
あなたの場合は、濃い白、薄い乳白色の液体なので、まずは心配ないと思います。いずれにしても乳腺専門医の診察を受けることをお勧めいたします。(文責 須田)
【No.290-1】 00年10月04日 K.S.さん
発熱としこり31才、未婚です。高校入試ごろに一度生理不順となりましたが、終了後しばらくして、毎月ではないものの生理は復活いたしました。その後、就職した所、色々と人間関係が厳しい事もあったのだと思いますが、完全に無月経となってしまいました。病院での診察結果、頭部CTも撮影し、高プロラクチン血症と診断され、パーロデルを処方されました。が、ご存知のとおり、あれは強度の嘔気を伴います。それで、仕事に集中できなくなり、自己的に服用を中止いたしました。その後数年を経て、今度は漢方中心の婦人科に罹り、いまはトウキシャクヤクサンを定期的に服用、Dr.のすすめもあり、3ヶ月に一度ほどのホルモン注射によって、生理を起こしている状態です。注射をして1週間後に四日間ほど生理があります。
相談内容なのですが、4日ほど前、左乳房に腕があたり、突然痛みを感じました。触ってみると、中央部と外側に各直径1センチぐらいのしこりがあり、それに触れると痛みを感じます。しこりは2つともよく動きます。翌日は37.8℃の発熱を伴いました。嘔気もあり、便もややゆるくなりました。その翌日は熱は下がり、嘔気も軽減しました。しこりも心持ち小さくなったような気がしますが、痛みはあります。例のホルモン注射はちょうど一月まえに摂取し、いつも通りに生理はありました。その生理があった一月後がちょうど今日ぐらいです。
今回は注射も受けていないし、生理がくるはずがなく(現にありません)、ちょっと不安でした。念のため採血をしましたが、白血球、CRPともに正常でした。楽観的にはホルモン異常かなにかではないかと思うのですが… でも、万が一と思うと心配です。ホルモン異常としても、片方の乳腺が腫れたりするものなの
でしょうか? 友人曰く「更年期障害ではないか」との事なのですが、31という年齢で、くるものなのでしょうか。今度、ガン検診を早々に受けてみようかと思いますが、それまでに先生のご意見を伺いたく、メールを差し上げました。よろしくお願いいたします。乳房のしこりについては、おっしゃる通り乳癌検診をお受けになる事をお勧めします。月経不順でホルモン注射をしている事、触ると痛みがある事、良く動く事などからは、文面から推察すると、どちらかと言うと良性のしこりのような気がしますが、とにかく怖がらずに検診を受けて下さい。
熱と嘔吐と軟便は、どう考えても乳腺疾患とは結びつきません。急性胃腸炎のような病気をたまたま併発したのではないでしょうか?
更年期障害と呼ばれる症状は女性ホルモンのバランスが崩れてきた時におこります。月経が順調な人ではそれが30代半ば位から徴候が現れはじめ、50才前後にひどくなる様です。かがりさんの場合は高プロラクチン血症で卵巣機能不全があるようなので、年令が若くても、症状として更年期障害様の症状があってもおかしくないと思います。(文責 清水)
【No.290-2】 00年10月07日 K.S.さん
乳腺症早速のご返事、ありがとうございました。
今日、近くの大学病院の外科に行ってきました。あいにくと、乳腺専門医の当番日ではありませんでしたが、エコーの結果、乳腺症でまず間違いない、と言う事になりました。エコーの画面を私も見ましたが、HPで見つけた乳腺症のエコー写真と同じようなものでした。 まず、安心したいと思います。質問なのですが、 乳腺症で気をつけなければいけない事はありますか。 痛みは経観するしかありませんか?ホルモン療法などもあるとは書いてありましたが、そこまでする気はありません。軽減する方法があれば、教えて下さい。生理周期によって痛みは増減すると書いてありましたが、わたしのように無月経の者はどうなるのでしょう?乳腺症でよかったですね。おっしゃる通り、乳腺症の痛みはホルモン療法で月経を止めれば薄らぐと言われています。しかし、実際には、生理痛の程度に個人差があるように、月経前の乳房の緊満痛や乳腺症の痛みの程度も個人差があって、経観する事が多いようです。ただし、Vit.Eの内服で幾らか痛みが軽減すると言う報告があるので、試してみる価値はあるかもしれません。
無月経が、卵巣機能が完全に停止しての無月経であればあまり痛みはないはずですが、所謂卵巣機能不全で、ホルモンは分泌されているが、月経をきちんと起こすには不十分であるという場合は、その月によってホルモンの分泌の状況が変わるので、痛みの程度は変化すると思います。
乳腺症は癌のrisk factorではありません。ですから、乳腺症だから癌になりやすいという事は原則としてありません。しかし問題は、乳腺症の乳腺は固いというところです。つまり、癌は乳房の中に固いしこりとして触れるために、乳房が柔らかければ自己検診で容易に発見できるわけですが、乳腺症の場合は、乳腺そのものが固いので、もしその固い乳腺の中に固い乳癌ができたとすると、自己検診では早期発見しにくいという問題があるのです。ですから、乳腺症の人は、時々専門医の触診を受けたり、マンモグラフィやエコーといった画像検査が必要になるのです。(文責 清水)
【No.289-1】 00年10月04日 toshio
生検について妻が、乳房にしこりを感じX線、エコー、CT、MRI検査を受けました。右に4個、左に1個のシコリがみつかり、多発性乳癌の診断を受け、オペをしました。しかし、細胞診では悪性という判断がなかったので、オペをして迅速生検でガンが見つかった場合は、摘出する予定でした。生検の顕微鏡検査でも明確な悪性細胞の判断が出ず、いったん、しこりだけをとって本手術は別の日ということになりました。 生検では境界病変ということのようです。永久標本をとって結果をみて、悪性の場合は、再手術するそうです。CTなどの検査で悪性と思われるものが、生検で、良性である場合もあるのでしょうか。もちろん、良性であることを願っております。 先生のご意見をお聞かせください。
乳房に腫瘤(しこり)があった場合、一般的には触診・乳房撮影・超音波検査・細胞診の4つの検査をして、総合的に判定を行います。CT、MRIの検査では、腫瘤が写真上に描出されても、それが癌であるかどうかを判定するには、小さければ小さいほど困難になります。従って画像診断では確定できず、細胞診を行ったり、それでも判定できない場合は、術中に組織を取り出し、細胞の集団を直接見て診断致します(迅速診断)。迅速診断の結果は以下の3通りになります。
@良性、 A悪性、すなわち癌、 B永久標本待ち、すなわち、分からない
Bの場合は、迅速診断でも診断できないということです。
細胞を顕微鏡で観察するには、組織を薄く切って光を通すようにしなければ見えません。普通のプレパラートは、3ミクロン(3/1000mm)の厚さに切って染色を行っています。このように薄切するには、組織をパラフィンに埋め込んで、パラフィンを薄く切るのです。生の組織には水が含まれているので、何工程かを経て水をパラフィンに置き換えて薄く切り、更に逆の工程をたどって脱パラフィンしたものを染色しているので、プレパラートを作るのに何日もかかります。
パラフィンほど薄くは切れないのですが、出来るだけ薄く切る方法として、組織をそのまま凍らせて切り、染色する方法があります。この方法が迅速診断に応用されますが、凍らせることで細胞質や核が変形し、形が変わって判定が困難な場合が出てきます。このような場合に、パラフィン切片での永久標本、つまり細胞の変形のないもので診断をつけることになるのです。以上、確定診断に至るまでの手順を説明いたしましたが、奥様の場合、診断をつけることが相当難しい病変と考えられます。現実としては永久標本の結果を待ち、その結果によって今後の方針を主治医と相談なさるのがベストだと思います。(文責 須田)
【No.289-2】 00年10月08日 toshio
再手術の必要性について先日、生検の件で丁寧な御回答ありがとうございました。結局、右胸のしこり(4個)は生検の顕微鏡検査の結果、良性(乳頭腫)ということになりました。ところが、左のほうに悪性(1個)が見つかりました。当初は、右胸が一番疑わしかったので、先ずは右をオペしておいて左のしこりも悪性であった場合は、そのあとでオペする方針でおりました。生検の結果、右は良性、左が悪性とわかりました。左のほうは、しこり(大きさ1cm)から周囲5mm程度離れた位置で切除したようです。その悪性細胞は、乳管から浸潤をしていた状態とのことです。しかし早期ガンをちょっと超えた程度なので、再手術は行わず、術後(来週から)は放射線とホルモン剤の治療で行うということになりました。いま不安なのは、
@周囲5mmの切除では小さくて取り残しがあるのではないか。
A浸潤していたということを考慮すれば、転移する確率はどうでしょうか。
Aであれば、再手術して、もっと大きく切ってもらったほうが安心でしょうか。
ということです。先生のご意見をまたお聞かせ願えれば有り難いと思います。乳癌の局所治療法として、A)胸筋温存乳房切除術、 B)限局した手術に放射線照射を行う方法、がありますが、両者の間に生存率に明らかな相違はなく、それぞれの利点、欠点については、主治医からお話しがあったことと思います。治療の最終的な選択は、患者自身や家族の価値観、考え方に影響されますが、最終的な決断はご本人の意向を尊重することになります。
奥様の場合、今後の治療方針についての主治医からの提案は、B)の方法にホルモン剤治療を行うとのことですが、このホルモン剤による補助療法についての理論的な根拠は以下のような考え方です。
『浸潤性乳癌では、ほとんどの場合、手術又は放射線治療の初期治療時までに、すでに微小転移が起こって全身病になっている。その為に補助療法は明らかな転移性病変が見つかった時点で行うのではなく、残存する微小転移を目的として術後すぐに開始する』
上記の考え方に対する疑問、及び具体的な補助療法に対する不安から@、Aのご質問になったのだと思われますが、ご本人の心配の度合いが高いのであれば、B)の治療方針の延長として、扇形切除術(もう少し大きく切除し、乳腺を1/4切除する方法)を行うか、A)の方法で行うことも考えられます。再度、納得のいくまで主治医と相談なさるのがベストだと思いますが、別の医療機関にてセカンドオピニオンを求めるのも選択肢の一つだと思います。(文責 須田)
【No.288】 00年10月04日 fwis
退院後の生活について今年の1月に母が1/4切除の温存手術をし、その後32日間の放射線治療を受けました。堅く固まっていたので全摘はしなかったのですが、リンパが思ってた以上に腫れていたのでかなりえぐったとのことでした。退院後は治療に負けたせいか寝込んでいたのですが、今では何でもこなしています。家事はもちろんのこと、漬け物を漬けたり、夏は畑を耕したり、草取りをしたり、家が酒屋のせいもあり、重い物をいつも持っています。一升瓶、2.7g、4g、5キロの塩など父が3年前に他界したこともあって、私に苦労させたくないとのことなんですが・・・
無理しない程度といってますが、やはり、張ったり、引きつったりするみたいです。最近では、私のいないときに限って裁縫をしています。執刀医の先生に、検査結果、術後について面会を何度か打診しているのですが・・・退院後の生活も、これからを大きく左右すると思っているのですが、どうでしょうか?かなり焦っています。基本的には乳癌の手術後、特に注意する事はありません。
乳癌の手術は胃癌や肺癌といった内臓のガンではないので、手術による体への影響が少ない手術です。ですから、お母さんのように手術をして9ヶ月も経っていれば、原則的には手術前と同じ生活ができると思います。しかし、そうは言っても、やはり傷を持つ体ですから、季節の折々に痛みやだるさを訴える方は少なくありません。重い物を持って手がひどくむくむようなら、多少は仕事を控えてもらった方がいいかも知れませんが、さもなければ大丈夫だと思います。手術後で一般的に言われているのは、太るのは良くない様です。
ここから先の話は私個人の見解で、何のevidenceもなく、家庭の事情も知らないのに失礼な発言になるかも知れませんがお許しください。あなたがお母さんの体のことを気づかう気持ちは分かります。でも、体のことを気づかう事も大切ですが、精神的に、お母さんが生きていると自分で実感できるような気配りも必要ではないでしょうか。”リンパ節が思っていた以上に腫れていた”というのはあまり良い徴候ではないと思います。となればなおさら、お母さんがお母さんらしく生きる生き方考えてあげてはどうでしょう。(文責 清水)
【No.287】 00年10月04日 H.H.さん
骨転移後の治療について乳がん骨転移後の治療について、教えてください。レントゲンでスカスカになった部分に何か注入して、再生できないものでしょうか?放射線照射した後に、何か有効な治療はありますか?よろしくお願いします。
乳癌の骨転移の治療は大きくわけて二つあります。
一つは、骨転移があるということは、すでに乳癌が全身に広がったと考えますから、今ある骨転移の治療をすると同時に、今後他の臓器に転移が現れないように、全身に化学療法(いわゆる抗癌剤)か内分泌療法(ホルモン療法)を行う必要があると思います。手術したガンの組織型、リンパ節転移度、エストロゲンレセプター(ER)の状況、手術してから再発までの年数(無病期間)、手術後に行った治療(術後補助療法)などの様々な情報を基に、その治療法の効果の高さ、副作用などを勘案して最適な治療法を決めます。
一方、骨転移は痛みの原因になり、場合によっては、下半身麻痺で歩けなくなったり、手や足の骨が折れたり、血中のカルシウムが高くなり過ぎておかしくなったりと、日常生活を非常に侵害します(QOLの低下)。そのため、痛みをとるために放射線治療を行ったり、痛み止め(場合によってはモルヒネを使って)を使ったりします。また、骨折を予防するために、コルセットを使用したり、無理な運動を避けたり、重い物を持たないなどの生活習慣の変更も必要になります。最悪、骨が折れてしまったら、整形外科の先生にお願いして手術をする場合もあります。
最後に、日本では健康保険でまだ承認されていないのですが、欧米では、Bisphophonateと呼ばれる薬を使用すると、骨転移の患者さんの痛みを軽減し、骨折や下半身麻痺といった現象が起きるのを遅くさせると言う事が分かり、積極的に使われています。日本でも売られている薬なのですが、保険が通らないという問題があるので、このような場でこの治療法のことを紹介する事が適当かどうか分かりませんが、情報として提供します。また日本でも、新しい世代のBisphosphonateの乳癌の骨転移に対する効果を調べる治検が行われていますので、後何年かしたら公に使えるようになると思います。
あまりいい答えになっていませんが、参考になりましたでしょうか?残念ながら現在の段階ではスカスカになった部分に何か注入すると言った治療法はありません。(文責 清水)
【No.286-1】 00年10月03日 H.K.さん
術後の治療について2年前乳房の真下に5ミリ位のしこりと乳首にただれがあり、乳首にはびこってくるタイプの癌と言われ全摘手術を受けましたが、この癌の種類は?またしこりだけの癌より再発率は高くなるのでしょうか?またリンパ20個のうち1個転移が有り、月1回6ヶ月アドリアマイシンとエンドキサンの抗癌治療を受け、毎月ゾラデックスの注射をしてきました。抗癌剤で卵巣機能が低下する事もあるということを聞いたので、ゾラデックスが丁度2年ということで一旦止めてみて生理が戻ってくるようなら続けようか等、迷っているのですがどうでしょうか?ゾラデックスを止めたらタモキシフェン等を飲んだほうが良いのでしょうか?また皮下脂肪から出るエストロゲンも癌に影響があるのですか?宜しくお願いします。
乳首にただれがあり、乳首にはびこってくるタイプの癌とのことですが、このようなタイプの癌としてパジェット病とパジェトイド癌があります。どちらも乳腺内に癌の病変があり、癌細胞の乳首表皮(皮膚の最も表面の部分です)内への進展を認めます。ただパジェット病は乳腺内の病変が早期で、乳房内にしこりを触れたり、リンパ節転移を認めることが殆どありませんので、お話の内容からするとパジェトイド癌と思われます。パジェトイド癌はリンパ節転移をおこす率が通常の乳癌より高く、手術後は抗ガン剤やホルモン剤などの治療が必要です。アドリアマイシンとエンドキサン、ゾラデックスによる治療を受けたとの事ですが、十分な治療だと思います。ゾラデックスは閉経前の方に用いる卵巣機能を抑制する薬ですが、2年で終了するのが一般的です。理論的には本来の閉経時期である50歳前後までゾラデックスを続けて卵巣の働きを抑えて、それに加えてタモキシフェンを服用すれば完全に女性ホルモンを抑制することができるわけですが、ゾラデックスを長期投与して比較したデータはまだありませんので、2年で投与は終了となります。その後にタモキシフェンを服用するのは構わないと思います。次に脂肪で産生される女性ホルモンについてですが、確かに脂肪組織でアロマターゼという酵素により男性ホルモンから女性ホルモンに変換されますが、閉経前の女性では脂肪で産生される女性ホルモンの割合は少ないので、あまり考慮しなくて良いと思います。アロマターゼを抑える薬も乳癌の治療で用いますが、閉経後の方に適応となります。閉経前の方はゾラデックスやタモキシフェンで十分です。(文責 稲葉)
【No.286-2】 00年10月08日 H.K.さん
ゾラデックスの投与期間についてお忙しい中、早速お返事を頂いてどうも有難うございました。お返事を読んでの質問なのですが、ゾラデックスは2年が一般的とのことですが、たとえ止めて生理が戻って来たとしても2年の治療は充分意味のある事なのでしょうか?生理が戻ると女性ホルモンがまたたくさん出るので病気にとって良くないのではないのですか?タモキシフェンだけでいいのですか?副作用のことも考え合わせると2年が妥当という事なのでしょうか?というのは主治医からは42歳なので止めるとまた生理が始まるだろうから続けなさいと言われているのです。私としてはしなくいいことは極力したくありません。もう少し詳しく教えて頂けないでしょうか。それと抗癌剤とゾラデックスを2年した場合の生理の戻る率はどの程度でしょうか?
乳癌術後に再発予防のために用いる抗ガン剤やホルモン剤の投与期間や量は薬が開発されるまでに行われたいろいろな基礎実験や臨床試験などのデータに基づいて決められます。しかし実際の臨床では投与量や期間は個々の患者さんの状態に応じて、多少の変更はあります。ゾラデックスについても前回の返事に書きましたように、術後の補助療法として用いる場合、長期に投与した方々と2年投与した方々や投与しなかった方々とを比較したデータがありません。理論的には恐らく長く用いれば用いるほど良いかも知れませんが、それを実証する臨床的なデータはまだありません。もちろん2年投与した方々と投与しなかった方々との比較では投与した方々の方が良好であったという根拠はあります。そこで2年投与が一般的であると書いたのですが、この2年という投与期間は絶対的なものでありません。今後長期に渡って投与した方々の結果がでれば変わるかも知れません。また個々の患者さんの状態に応じて投与期間など変更することもありますので、一番あなたの事をわかっていらっしゃる主治医の先生と相談して決めるのが一番だと思います。
アドリアシンとエンドキサンを併用した場合、月経が回復する率は約6割、45歳以下でゾラデックス終了後に月経が回復する率は約9割ぐらいです。また先ほど書いた2年投与した方々の方が良好であったというのは、投与終了後月経が回復した人と回復しなかった人の両者を含めてのデータですので、たとえやめて生理が戻ったとしても、2年の治療は意味あるものと考えられます。(文責 稲葉)
【No.285】 00年10月03日 K.M.さん
健康食品についてホルモン関連で健康食品についてお伺いしたいのです。一応女性ホルモンと同様の作用があるかもしれないということで、乳癌を発見してからいわゆるサプリメントは飲んでいないのですが、私が飲んでいた健康食品は大豆イソフラボン、ざくろ種子エキス、コラーゲン等が配合されていたものです。大豆イソラボンは乳癌には良い作用をすると書かれたものもあり、混乱しています。コラーゲンはホルモンとは関係ないので飲んでも差し支えないでしょうか?医学的には証明されていないことかもしれませんが、調べるために服用前後の血液を調べて、エストロゲンの量をみるというような事は可能でしょうか?気のせいか、この食品で胸が豊かになったような気がしたのですがーーー。
健康食品についてのご質問ですが、以前この相談室の石山先生の回答にもあるように、健康食品はその成分がはっきりしないことが多く、効能(もちろん癌に対する治療効果なども含めて)など科学的に検証されていないため、あまりお奨めはしません。今回の質問にある健康食品の成分は大豆イソフラボン、ざくろ種子エキス、コラーゲンとのことですが、コラーゲンは人体の結合組織の成分である膠原線維の元になるもので、ホルモンとは直接の関係はありません。ただ大豆イソフラボンやざくろ種子エキスが乳癌に対してどのように作用するかはっきりいってわかりません。ざくろに女性ホルモン様の物質が含まれているということも聞いたことがありますし(はっきりした出典が不明ですみません)、お奨めはできないと考えます。また服用前後でエストロゲンの量を測定するというのは可能ですが、服用によるホルモンの変化がわずかであれば、測定しても差がでてこない事も考えられます。しかもこのような場合のホルモン測定は自費で検査会社に依頼してということになりますので、現実的ではありません。色々と心配しながら健康食品を服用するより、バランスのとれた通常の食事をとる方が良いと考えます。(文責 稲葉)
【No.284】 00年09月29日 tukuda
乳頭から分泌物が・・・。2ヶ月くらい前から、両方の乳頭から分泌物があります。膿のような物で、毎日下着が黄色くなっています。症状としては「かゆみ」があるんです。8年前に叔母が「がん」で他界し、去年は父がやはり「ガン」で他界いたしましたので、「ガン」にはとても敏感になってます。HPで、分泌物もやはり「ガン」の疑いもある・・・とか、今、とても悩んでいます。病院で見てもらうべきでしょうが、まだ主人にも誰にもうち明けられずにいます。どうかよいアドバイスをお願いします。(年齢30代)
そのような症状は乳腺炎か乳頭腫(良性)、可能性は低いですが乳癌(非浸潤性乳管癌というごく早期の乳癌)の事もあります。お近くの保健所に電話して、まず乳癌検診でもいいですから受けてください。ただ、やはり大きな病院の乳腺外来や外科外来で一度診てもらったほうがいいと思います。同じような質問があります。参考にしてください。(NO.52.61.109.114.127.186.204.)(文責 石山)
【No.283】 00年09月28日 えり
硬くて丸いしこり5歳で、3ケ月の子供がいます。生後1ケ月まで母乳をあげていましたが、その後、粉ミルクに変えました。ところが、最近子供が泣くのをやめさせようと、乳首をくわえさせたら、左胸に2cmくらいの硬いしこりがあることに気づきました。最近母乳をあげていないので、胸が張ることがなかった為、乳癌ではないかと心配で眠れません。一度、本格的に診てもらった方がいいですか?お忙しいと思いますが、返信お願い致します。
授乳期の丸いしこりは乳瘤という母乳がたまった袋の事が多く、癌の可能性はかなり低いのであまり心配しないほうが良いと思います。絶対に癌でないとはいえないので乳腺外来のあるような外科に行き、触診、超音波の検査などで調べたほうが良いでしょう。急ぐ必要はないかもしれませんが、放置するのは精神的にも良くないと思います。(文責 石山)
【No.282】 00年09月28日 T.S.さん
左胸のしこりについて友人の左胸には、大きな(7〜9cm)シコリ?があり、ひら型で触ると痛みがあります。現在21才ですが、中学生のときからあって大きさは変わらないようです。ただ触らないと痛くないようで他に異常は無いみたいです。心配しているのですが、本人は検査に行く気はないようです。乳癌の可能性はあるのでしょうか?それとも考えすぎでしょうか?考えられる症状を教えてください。また検査に行きたくない理由の一つは、若い女性の為か、男性の医者に見られたり触られるのに抵抗があるようです。できれば相模原付近で女性の医者のいる検査機関を、教えていただけませんか?お願いします。
その症状からは乳腺症と考えますが100%癌ではないとはいえません。21歳の乳癌は0ではないという意味で、不安があれば専門医の診察を受けることが必要です。女医で乳腺専門医というのは大学病院なら一人はいるはずです。東海大学や北里大学の外科外来に電話で問い合わせてください。外来日を教えてくれるはずです。(文責 石山)
【No.281】 00年09月28日 M.K.さん
乳癌の検査に関する相談栃木県に住む34歳の主婦、一児(2歳8ヶ月)の母です。2ヶ月前に片方の乳房にジーン、ジーンという痛みを感じ、家の近くの外科医院を訪れたところ、触診でしこりがあることがわかりました。そのしこりをコリコリと触られると、特に痛みを感じました。しばらく様子を見ようということで、2週間後、更に1カ月後に再度触診をしましたが、しこりは大きくも小さくもなっておらず、またコリコリとしこりを触られると痛いのも変わりませんでした。ただ、触らない限りは、何も痛みを感じることはありませんでした。、「おそらくは悪性のものではなく、線維腺腫ではないかと思われるが、まったく不安がないわけではない。」とのことで、大学の付属病院を紹介していただきました。
病院を訪れた日に乳腺専門医が不在のため、他の一般外科の先生が応対してくださり、レントゲン、超音波、更に針を刺して直接細胞を取る検査を受けました。後日、結果を聞きに訪れたところ、そこまでしてもしこりが悪性か良性かわからず、五分五分(5段階の3)でした。次は、乳房を4センチ切り、しこり(2センチ弱)を摘出して検査するしかない。やりますか、どうしますか、とのことでした。この検査のための手術は、外科医にとっては大した手術ではないのでしょうが、私にとっては大ごとです。まず、この手術をした場合のリスクはどうなのでしょうか?先生によれば、
・人により麻酔に対するアレルギーがある場合もある
・手術した乳房は、母乳が出なくなる可能性がある
・術後の乳房の形、傷跡は、個人差があり何ともいえない
手術をしない場合のリスクは
・悪性の場合、癌が進行する
・特に2人目を妊娠した場合、癌がとても早く進行する(もし癌ならば、もう子どもはつくれない)
とのこと。
できればそろそろ二人目を、そしてできれば母乳でと思っていた私にとって、どちらにしても頭が痛いのです。この検査のリスクがどうか、しない場合のリスクがどうか、先生のご意見を教えてください。
もうひとつ気になっていることは、しこりのある方の乳房は、子供の授乳中に2,3回乳腺炎を起こしている方であることです。しこりは、この過去の乳腺炎が原因でできたのでしょうか。乳腺炎になった時、断乳の時には、助産婦さんのお世話になりマッサージを受けています。 1歳2ヶ月まで母乳(ミルクは使わず)で、断乳をしてからすでに1年半たっています。お忙しいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。私どもの病院でもそのような方針で合併症としては同じような内容をお話しています。細胞診でclassIII(3)という事だと思いますので、心配な方には手術を勧めますし、どうしても手術がいやな人は2,3ヵ月ごとの経過観察で見ていきますが、やはりその間に癌なら進行する恐れがあります。いずれにしても妥当な話で、ご自分で決めて、後悔しないようにしてください。(文責 石山)
【No.280-1】 00年09月26日 くみ
センチネルノード4日前に乳癌手術を受け、温存で、敢えてリンパの切除をしませんでした。そのため、化学療法を追加(切除の場合は放射線治療のみ)することにしました。センチネルノード(リンパ節生体)検査というのは切除なしでリンパの検査が出来るのですか?その場合の正確度はどうでしょうか?どこの病院が行っているのでしょうか?教えてください。
現在、触ってみると乳首のまわりが固いのですが、手術後は多少固くなる部分が出てくるものかも教えてください。また、脇側の胸のふくらみが始まる場所あたりが少しふくらんでいる感じですが、温存手術後の胸の状況はどのように変化してゆくものですか?センチネルノードの生検は普通、癌の手術の際にすることで、術後にやることは不可能です。どこでやっているかについては、お住まいの地域の大学病院や癌センターなどの大きなところで乳腺外科があればだいたいやっていると思います。
温存術後の乳腺の硬化はよくあることで腋の方のふくらみは手術部位にもよるのですが、これも術後の瘢痕によるものと思いますが主治医に聞くしかありません。術後2〜3ヶ月位までは硬いことが多いと思います。(文責 石山)
【No.280-2】 00年09月28日 くみ
ホルモン療法についてお忙しいところ有難うございました。本日、ER値が出ており、+で普通よりかなり高いと言われました。当然ホルモン治療を受けて生理を止めるわけですが、普通は何年くらい服用するものでしょうか。もし途中で止め、癌細胞が残っていた場合はかなりの割合で再発すると考えて良いのでしょうか?現在43歳で、閉経の形をとると、肌まで老化してゆくのではないかと感じ、胸も片方は手術で小さくなり、益々女性じゃなくなるような気がして、なんだか気持ちが落ちこんで来ました。
ホルモン療法にはいくつかの方法があります。卵巣機能を完全にとめるものもあれば、腫瘍細胞のERにエストロゲンが作用するのを抑えるなどです。ホームページのこれまでの質疑があります。参考にしてください。No.40.44.78.104.146-2.191などです。癌の残存の可能性は切除標本の病理診で判明するはずですし、リンパ節転移を省略していますが、リンパ節転移個数が最も有用な予後因子とされています。その辺のリスクというか、利点、欠点は主治医に術前から聞いて納得の上で手術されているのだと思いますが、不安な点は主治医に聞いて確認してください。(文責 石山)
【No.280-3】 00年09月29日 くみ
ホルモン療法について(2)ホルモンについて勉強不足なのですが、エストロゲン作用を抑えるというのと閉経させるというのは別なのでしょうか?
女性ホルモンと言われるものはエストロゲン以外にあるのでしょうか?作用を抑える事はイコールエストロゲン分泌を抑えることと同義ですか?閉経させるということは、今ではゾラデックスやリュープリンという薬を4週間毎に注射します。これでは完全に近く閉経状態にします。それに対し、エストロゲン作用を抑えるというのは、癌細胞のエストロゲンレセプターにエストロゲンが着くのを防ぐという薬があります。タモキシフェン、トレミフェンがあります。それ以外にも閉経後に、卵巣機能低下した後の卵巣以外でのエストロゲン作れなくするアフェマ(商品名)などがあります。詳しいことはこのホームページの質疑を参照してください。 (No.40.44.78.104.146-2.191)(文責 石山)
【No.279】 00年09月25日 えみすけ
健康食品について33歳(子供なし)の既婚者です。6月に乳房温存手術で、放射線をあてずに現在ノルバデックスDとゾラデックスの補助療法をおこなっています。健康食品についての質問です。主治医の先生からは、初期のガン(リンパ腺に微少転移あり)と説明を受けましたが、ガンである自分の身体にとても不安があります。高価な健康食品には、はまらないようにと主治医の先生から言われましたが、再発の不安や、元気になりたいという思いから、安価な健康食品もたくさんありますので、飲んでみようかと考えています。(健康食品は効果は期待できない、と先生はおっしゃっていましたが、乳がんの私としては、気分的なものもあるので、多少の支えにと思っています。)
そこで質問なのですが、
1・飲まないほうがよい(乳がんに好ましくない)と思われる健康食品をおしえてください。
2・アロエ・ケール・スピルリナは、それぞれ乳がんに悪影響がありますか?(便秘がひどいため良さそうな食品をあげました。)
3・ビタミンEは、乳がんにはよくないと聞いた事がありますが、実際はどうなのですか?
健康食品についての質問は、あまりよろしくないとは思ったのですが、どうかお返事宜しくお願いします。健康食品についての成分表示もがん患者に対する治療効果や副作用のデータは、科学的な検証によって調べられていません。雑誌の広告や漢方薬もそうですが、癌に効くと書くこと自体薬事法に違反します。つまりこれらの方法で癌に効くという事が証明されない限り癌に効くとして販売したり、広告することもできないはずです。主治医の先生が言われるように、健康食品というもの自体いかがわしいとは言いませんが、無駄と思います。消化器の癌の術後には食べれる量が少なかったり、いろいろ栄養学的に補ったほうが良いこともありますが、乳癌の人は普通に食べられる人ばかりでその意味すらありません。とにかく数も種類も内容もばらばらで個々のものが何であるか、内容がその通りか、医薬品ではなく食品ですので、誰も検証していない事で、止めた方が良いと思います。もしどうしても飲むのであれば、いちいち主治医か薬剤師に聞いてからのほうが良いと思います。病院で処方される薬は科学的な方法で副作用、動物実験データ、健康人の投与や治験(患者に試験的に投与した結果)のデータなど、気が遠くなるような手間とお金をかけてやっと医薬品として認めれたものです。そして常に全国の病院や薬局から副作用情報を得て、チェックを受けています。われわれの立場では健康食品はいかにも危険というか無責任に思え薦められません。ビタミン剤でも適量では癌に実験的に効いても過量投与では副作用が出ることもあり、実際の効果はないに等しいと思います。食生活を見直して、普通の食品で採るのが一番です。(文責 石山)
【No.278】 00年09月25日 ななこ
石灰化って乳がんですか?先日、左の乳房の脇のほうが、張ってるようで痛むので、外科で診察を受けました。触診ではしこりもなく、念のためその日にレントゲン、後日、エコーで診察することになりました。エコーを見ながら先生は、「別に問題は無いです。」とおっしゃったのですが、レントゲンを見て、「小さな石灰化があるけど、心配はないです。自己検診をしていってください。」と言われました。「石灰化ってなんですか?」と聞くと、詳しく教えてくれませんでした。確かにレントゲンを見ると左の胸の脇のほうにごくごく小さい米粒よりも小さいような白い点が二つほどありました。この部分がガンになるんでしょうか?石灰化ってなんなんでしょうか?どれぐらいの割合で検診を受けたほうがいいのでしょうか?石灰化の予防法などあるんでしょうか?
石灰化は、癌の時の乳房撮影や超音波での大事な所見といわれています。そのため乳腺外科の医師は石灰化には神経を使います。 しかしあなたの言われるような石灰化は癌とは関係ないと思います。その時の先生はあまりに癌とは思えず説明しなかったので、かえってあなたが不安に思ったのでしょう。乳腺外科の医師の間ではあたりまえで、悪性(癌という事)の場合は数が多くて、米粒の大きさでなく、砂粒の大きさと表現します。ですからその先生は、あまりにもあたりまえで、つい、石灰化の詳しい説明をしなかったのです。石灰化の原因は良く分からない事もあり防止する方法もないと思います。あなたの年齢にもよりますが、年に1回か、2年に1回くらいレントゲンで経過を見ればいいと思います。もし若い(30歳以下)人なら、まず放っておいてもそれほど心配ないので、自己検診をしながら、超音波でもレントゲンでも、妊娠の事や生理の時期に合わせて、お近くの乳腺外科か、いまの病院に行き、経過観察でいいと思います。いずれにしても乳腺外科の医師は若い癌になりそうもない人の診察は、癌の可能性が非常に低い事から、つい面倒でぞんざいになると思います。私がそうなのでそう思います。このホームページではそのような心配をされている若そうな人の声がたくさんあります。参考にしてください。(文責 石山)
【No.277】 00年09月24日 J.I.さん
化学療法について59歳の母のことで質問があります。7月に左乳房温存手術を受け、乳房の4分の1とリンパ節の切除を行いました。(その際主治医の先生からは、ステージ1、リンパ節転移なし、ホルモンレセプター陰性と言われました。)その後5週間の放射線治療が終了し、念のため化学療法を行ってはどうかとのことで、今日から経口剤での治療を行うことに決めました。先生から頂いた薬は「ユーエフティー」という薬です。ところが知り合いから「経口剤は体の抵抗力を落とすだけで、効果はない。」と言われてしまいました。そこで質問なのですが、
@やはり点滴で行った方が効果的なのでしょうか。
A「放射線治療で肝臓が弱っているので、経口剤だと余計肝臓が悪くなる」とも言われたのですが、本当でしょうか。
B「ユーエフティー」という薬には、どのような副作用があるのでしょうか。
知識不足のため、他人の言葉にすぐ反応してしまうのかもしれません。ぜひ回答をお願いします。UFTが効果がないというのは一部の医師の間からマスコミを通じてそういう話が出ています。それは日本でしか使われず、薬の認可や治験に厳しいアメリカなどでは許可されていないというのが根拠です。しかし経口薬の良さが世界的に認められ、経口の抗癌剤が一種類アメリカで認可されUFTもアメリカで認可のための治験中と聞いています。効かないというのはやはり一部の医師の間からの偏った考えのような気がします。そしてアメリカの経口薬認可の流れを受けてその一部の医師たちは最近沈黙しだしています。経口薬は注射に比べれば通院ででき、安全性ということから私も使います。
放射線で肝機能は普通弱りません。どなたから聞いたかは知りませんが、根拠のない事と思います。UFTには食欲不振、白血球減少、肝障害とかかれていますが、あまりそのようなことはなく、普通は定期的に採血でチェックしながら投与すれば安全だと思います。また食欲は制吐剤やUFT-Eという腸で溶け、胃に対する副作用の少ない剤形があり、問題にはなりません。心配な点は主治医とよく相談し、周りの「知り合い」の意見に惑わされないでください。余計なお世話かもしれませんが、身内に癌などで手術をした人がいると知るや、宗教の勧誘や変な健康食品を売りつける人が現れます。うちの患者さんからもよく聞きます。ご注意ください。医学はどんどん進歩しています。主治医ととにかく良く話すことです。(文責 石山)
【No.276】 00年09月23日 ゆう
右胸に違和感があります4年前に右胸が乳腺炎になりました(右胸を虫に刺されかき壊してしまいました)。病院の薬ですぐ直りましたが、今でも右胸が痛いような・・・。しこりはありません。気にしすぎでしょうか?
年齢にもよりますが生理がある年代の方なら違和感は良くあることです。あまり心配はないと思います。乳癌の症状の85%はしこりといわれています。ただしどんな人でも年に1回の乳がん検診は受ける必要があると思います。(文責 石山)
【No.275-1】 00年09月22日 N.I.さん
転移について家内の乳癌について、ご意見伺えればと思って、メールしています。再発後、放射線実施し、経口の抗がん剤を使用中、すぐに放射線を当てていた下から、また再発しました。本日、手術にて見える部分はすべて摘出したのですが、主治医いわく「CTで、肺への転移があり、それは手術ではとらずに、まず前回よりも強い抗がん剤を試しましょう。また今回の腫瘍が、かなり深くまであったので、また再発の可能性もある」とのことでした。肺の転移ガンは、もう手術ではとれないのでしょうか?
現在かかっている病院の科ごとの分類の中で、(病院の規模や医師の数にもよりますが)胸部外科か呼吸器内科があれば、その科の医師に相談しても良いと思います。乳癌の肺転移は1個なら手術でとってから化学療法をした方が、化学療法の効果もよかったり、延命効果もあることが考えられます。しかし、たとえ1個の肺転移でも手術で採るのは合併症もあり、その方の状態によっては危険なこともあります。ましてよく検査した上でたくさん転移があれば、普通は手術不能ということにもなります。患者さんの状態によって、かえって状態を悪くすることもあり、御家族の希望もあるでしょうし、その危険性を十分話し合われることが良いと思います。ただ、主治医が転移性肺手術の経験が足りないこともあり、時にはセカンド・オピニオンを求めるという方法もあります。他の病院の胸部外科や乳腺外科の先生のところに行き相談するということです。乳腺外科では最近、良くある事ですのでご家族や親戚の方の意見も聞いて決めていただければよいと思います。 (文責 石山)
【No.275-2】 00年09月23日 N.I.さん
転移について(2)家内が乳癌で肺への転移があり、再々手術後、抗がん剤治療するのですが、主治医からは3つの薬の選択を求められました。
1)CMF 前回4クール実施 その後再発
2)CAF CMFより副作用が強い 髪は抜ける
3)タキソテール 新しいので、最初は入院をして欲しい
主治医いわく「前回のCMFは効いたと考えられるので続けてもかまわない、でも3つのうちどれが効くかはやってみないとわからない」 どれにすればいいのでしょうか?どれがいいかはむずかしい問題です。当院では、タキソテールを投与するようにしています。抗癌剤の感受性試験がまだ十分できないので、やはりその患者さんに投与してみないと分からないのが現状です。(文責 石山)
【No.274-1】 00年09月22日 jikotato
非浸潤ガンの再発と転移について私は、30代半ば・既婚・子供なしです。現在、右側の非浸潤乳管癌といわれ、単純乳房切除(私の頭では、乳腺と脂肪の全部摘出、皮膚と乳頭は残す、という理解でおります。)を勧められています。マンモの画像に2箇所の石灰化(1cm強のものと、2,3個の白い点のもの)が見つかり、このうちの1cm強の方を切除生検しました。その結果、3cm強の範囲で癌が見つかり、切除の断端にもまだ残っているということです。癌自体は全て乳管内にあり、非浸潤癌であるということでした。もう一方の石灰化は乳頭をはさんだ対側にあり、今度そこを切除して癌の有無を調べることになっています。ただ、
・癌の広がりが広範囲であること
・非浸潤癌でもComedo型であり、将来浸潤癌に転ずるリスクが高いこと 1(Comedoの中では、おとなしい顔つきだということです。)
・私が将来、妊娠を希望しているということ
から全部の切除が望ましい、ということでした。
それでも、私の術後の心理的負担を考慮して下り、「乳頭を残すという方法もある」と言われました。そこで質問があります。
@「乳頭を残すと再発(この時、約半数は浸潤癌として再発する)の危険があるため乳頭を残すべきではない」旨の話を読んだことがあるのですが、残したときの再発の可能性はどの位あるものでしょうか?
A‘とりあえず残しておき、術後の組織検査で乳頭下に癌が見つかれば、乳頭も切除する’とした場合、一時的にせよ乳頭下の癌が外の組織と接することになると思うのですが、この時に外の組織へ転移してゆく可能性はあるのでしょうか? 主治医は、「非浸潤癌が乳管外で生きられるとは、考えにくい」と、おっしゃるのですが、乳管を破る力がなかったから非浸潤でいたのであって、これが人為的にせよ外へ出されたら (癌細胞としての増殖能力はあるわけですから)これ幸い?と増えていきそうに思えてしまうのですが。同じ意味で、1cm強の石灰化を切除した際の播種も気になっています。
B術中に癌の有無を調べる方法もあるそうですが、それをしていただいてあれば切ってもらうというのはどうなのでしょうか?もちろん、数週間待つ検査より精度は落ちるのでしょうが…。この場合に考慮しておく必要のあるデメリットはありますか?お忙しい中恐縮ですが、よろしくご回答くださいますようお願い申し上げます。あなたの心配されていることに私ども医師は答えるデータはないと思います。これほど医学が進歩して人間のDNAが全て解析されいるといっても、やはり臨床の現場ではあなたの言われるように、心配すればきりはありません。それほどあなたの主治医は乳癌のことに詳しく、良く相談に乗ってくださっていると思います。そしてあなたが言われる事に間違いもありません。従って、そこまで理解し、お分かりならばご自分で決めていただきたいと思います。それだけの情報も知識もおありになると思います。 しかし、突き放してもどうかと思いますので、私どもの外来でもなかなかそこまで患者さんに理解していただけません。それほど良く分かっていらっしゃるので、あえて言います。 もし、自分の肉親であれば、最初に言われたように単純乳房切除術をして、経過が良く、再発の心配がなければ、再建手術を受けるのが良いと思います。形成外科という科でやれますので、乳頭やその再発の心配で悩むならその方がよいと思います。主治医の先生にこのメールをそのままプリントして見せれば早いかもしれません。早く最良の治療法を決め、手遅れにならないように納得のいく結果になることを願っています。(文責 石山)
【No.274-2】 00年09月29日 jikotato
ホルモン療法の必要性について非浸潤癌の再発と転移についてお伺いしましたが、その節は丁寧なご回答ありがとうございました。主治医ともよく相談しました結果、やはり乳頭は残して乳房内の組織は全摘出ということになりました。その後、もし乳頭下に癌が見つかれば、乳頭も切除するということです。来月早々に行うことになりました。皆様に色々とアドバイスいただき、私自身もリスクも理解した上で決めることができました。重ねて御礼申し上げます。実は、今回は別件でまたご質問させていただきたいことがあります。術後のホルモン療法のことです。主治医とは、妊娠を希望していることから問題外というスタンスで方針を決めて参りましたが、先日同じ非浸潤乳管癌の方から、2年間のホルモン療法は必要ではないかといわれ、混乱しております。35歳という年齢に2年は長く、かといって…。ホルモン療法を行わないと、転移や対側乳房への原発癌の可能性は大分高まるのでしょうか。何度も申し訳ありません。よろしくお願いします。
そのような心配は今からしてもしようがないと思います。手術後に分かる情報が多いので、今から心配しても、フローチャートの分岐が多すぎます。これらの質問だけで、本が一冊書けるかも知れません。術後に全ての結果が出てから主治医の先生とよく相談して、それでも納得できなかったら、再度ご質問ください。これらの事は全て再発率の予想を元に術後の治療方針を決めるので、術後病理診が判明して初めて再発率の予想がたちます。心配するより主治医を信じ、任せた方が良いと思います。(文責 石山)
【No.273】 00年09月22日 Y.K.さん
炎症性乳癌について3ヶ月ほど前、母(56才)が炎症性乳癌と診断されました。今の所、転移は見られませんが、診断によると皮膚浸潤が腕に見られ、stage4と診断されています。手術を先にすると広がる恐れがあるので、先に抗がん剤を投与し、ガンの勢いを押さえてから手術をすることになりました。最初にアドリアマイシンと5FUを2クールの予定が、2クール目第一週目で白血球が低くなり一旦中止した後状態がよくなってから、もう一度2クール目をしたのですが、全く効果がなくなり1週目で中止し、急きょタキソールに変更しました。タキソールを1クール(3週間)投与しましたが、効果が無く、次にタキソテールと5FUを第1クール投与している途中ですが、あまり効き目が無いようです。病院側からは今回効き目が無い場合は手術を断念し退院をしてこれからは痛みが出たら痛み止めや座薬、最終的にはモルヒネを打ち痛みを散らす方法しかないといわれました。最新の医療機関にかかることができ安心したのもつかの間、医者から見離されたような気持ちになっています。上記の治療法以外に方法はないのか、又別の病院に行っても同様の診断しかされないものなのでしょうか?ちなみに、現在健康食品を合わせて飲んでいるのですがそのせいで抗がん剤の効き目が無くなるということはないのでしょうか?
今回の治療は化学療法の治療としては妥当な方法で、残念ながらここまでになると、なかなかリカバリーは難しいと思います。しかし、主治医の先生も学会では聞いた事があると思いますが、私の記憶では動注療法というのもありますし。それと神奈川では東海大学の徳田先生(このホームページの会員の先生)のところでも骨髄幹細胞を移植して強力に化学療法をするというものもあります。いずれにしても、適応が限られる場合もあり、主治医の先生とこの2点につき相談なさってください。健康食品はあまり頼りになりません。害になることもあり、種類によっては癌を悪化させる可能性もあります。そのような食品はあまりにも多いので一概には言えませんが、中止するか、その真偽を主治医に相談してください。(文責 石山)
【No.272】 00年09月22日 T.I.さん
乳頭の位置いつも大変参考にさせて頂いております。乳頭の位置について質問させてください。私は29歳の出産経験のない主婦です。先日、自分の乳房を鏡で見たとき、左側乳頭の位置が、以前より下がっていることに気づきました。陥没や、ひきつれていると言った感じはないのですが、全体的に下がった(垂れた?)と言う感じです。左側のみです。不安になり、自分なりに触診はしたのですが、もともと左側には乳腺症があり、また特に乳輪の真下は昔からぽこぽことしており、自分では心配なしこりがあるかどうかは良くわかりませんでした。ただ、6月と8月に乳腺外科を受診して、、触診のみですが診察を受けており、しこりは特にないといわれております。
思い返してみれば、6月辺りから乳頭のかゆみがあり(これについては乳腺外科、皮膚科を受診済です)、特に左の上側の乳輪から乳頭にかけて痒く、下着や服の上からそこの部分をつまむようにかじる事が多く、丁度そこの部分の乳頭が以前より下がっている感じがします。ただ、本などを読むと乳頭の位置のずれなどは乳癌の症状の一つと書いてあるので、大変不安です。やはりもう一度乳腺外科を受診した方がよろしいでしょうか?それとも、乳輪の上側をつまんでかじっていたのと関係しているのでしょうか? お忙しい中恐縮ですが、ぜひアドバイスのほどよろしくお願い致します。自分の乳房を鏡で見たとき、左側乳頭の位置が、以前より下がっているという場合、教科書的には乳癌という事になっていますが(要するに私たちも医学部の学生の講義ではそうやって教えますが・・・。)、実際は進行した乳癌の症状の事が多く、普通は触診で分かることが多いと思います。例外もありますので、再度乳腺外来を受診され、乳房撮影や超音波などの検査を受けられたほうが良いと思います。ひっぱたりすることで確かに乳頭は伸びるようで、陥没乳頭の治療で妊産婦にはそのように指導することがあるようです。そうなったことの原因としては考えられます。(文責 石山)
【No.271】 00年09月14日 M.S.さん
左胸のしこり(?)について35歳既婚、3年前に出産経験があります(2度の流産歴あり)。 陥没乳頭で苦労をし、4,5回乳腺炎にもなりましたが約1年間母乳のみで育てました(特に左がよく出ました)。今思うと生理2週間位前だったと思うのですが、両方の胸が張り痛いような、ブラジャーがきつく感じるような感覚が3日位あり、その際、気になって風呂場で触診したところ左胸下外側に2cm位のしこりと、その上付近にも1cm位のコリコリしたしこりがあるような気がしました。また、日によって他の場所にもしこりがあるような気がします。仰向けで、ちょっと横向きかげんで触診すると、いくら強く触診してもしこりは見つけることが出来ません。乳首からは1度母乳のような液が出ましたが、その後はかなり強めに絞っても出てきません。しこりについては、痛みは感じませんが生理後も数週間に何度かは張りのような痛みを感じるときがあります。ただ凝っているだけなのか、最近左の肩甲骨が痛み、シップを貼っています。断乳2年経った今もかなり重症の生理不順で、以前のような3日も続く張りと痛みはありません。ガンの場合しこりは何箇所もできるのでしょうか?市で実施しているガン検診を乳腺外来のある総合病院で受診する予定なのですが、生理不順でいつ行けばよいのか迷っています。以上のことだけでは、大変わかりずらいとは思いますが、どう思われますか?よろしくお願い致します。
生理の周期によって部位や大きさが変わる腫瘤は多くの場合乳腺症であると思われ、年齢的にも乳腺症の可能性が高いと思います。乳腺外来と検診を受けられるのであれば触診、乳房撮影とエコーなどの画像検査とそれで引っかかれば細い注射針による穿刺吸引細胞診などと行った検査手順だと思います。
生理後から10日目くらいの間のどこかで受診すると、触診は確実にやりやすいので時期はできるだけあわせたほうがいいと思います。いずれにしても心配なことがあったらすぐに専門医の診察を受けて安心してください。そして年に一回は乳癌検診を受けたほうがよいと思います。(文責 石山)
【No.270】 00年09月12日 Y.Y.さん
癌とストレス突然ですが、母のことでご相談したいことがあります。母は、3年前に乳癌のため手術をして片方の乳房を切除しました。そのとき再発する可能性は50%と言われたそうです。今、母は、私の交際している相手をとても反対していて、そのストレスで再発してしまうから、別れて欲しいと言われました。ストレスというのは、再発にそれほど影響があるものなのでしょうか。もう、どうしたらいいのか分からず相談した次第です。よろしくお願いいたします。
ストレスで癌になったり再発したりというのは、理論上はホルモンや活性酸素、発ガン物質の代謝の面から言われています。ただあくまでも理論上で、疫学的に(実際の人間社会での研究として)証明されていないと思います。その証拠にわれわれ外科医がそんな結果を知っていたら、外科を辞めたくなります。外科医がたくさん辞めるような時はストレス発ガン説が証明された時です。お答えになったでしょうか?(文責 石山)
【No.269】00年09月12日 M.K.さん
乳癌でしょうか?今年の4月に第2子を出産した29歳の主婦です。今、授乳中なのですが 左の乳房の下のほうにしこりがあるのを見つけました。乳がんでしょうか?また、このまま母乳をあげても子供には影響はないのでしょうか?
授乳期の乳癌というのもありますが非常にまれで、心配は分かりますが、頻度から考えて(というのも、そのしこりを診察していないので)乳瘤というものだと思います。しかし、心配であれば専門医の診察を受けた方が良いと思います。経験豊富な乳腺外科医であれば触診だけでかなりの確立で鑑別できると思います。(文責 石山)
【No.268-1】00年09月10日 T.A.さん
乳癌治療についてお教えください(1)私は37歳女性です。補助療法とリンパ転移についてお尋ねします。病理検査の結果、しこりの大きさは2センチ少し、リンパ転移9個調べたうち1個に有り、ホルモンレセプター(+)
この程度の事しか知らないのですが、補助療法としては、エマルック錠(タモキシフェン)とエンドキサンをそれぞれ朝夕一錠ずつ三年間服用するように言われました。質問させていただきたいのは、リンパ転移がありその上,閉経前というリスクの高い状態で、この程度の治療方法でいいのかと言う事です。通常は2,3種類の抗癌剤を使うようですが、どうなのでしょうか。主治医の先生の事は信頼しているのですが、少し薬が軽いのではないかと、とても不安なのです。長くなりますが、もう一点お聞きしたいのは、リンパの転移についてです。私の場合、触診やエコーでは何もなかったのですが、結果を聞けば9個中1個あったとの事で、脇のしこりを感じてそれが癌だったと言う場合の人とは、どう違うのですか。また、リンパに転移が見られてから、郭清手術をするというパターンもあるようですが、私の様に、実際リンパを取ってみないと転移しているかどうかは、わからないのではないですか。私のリンパ節転移1個という大きさは、顕微鏡レベルでしかみられないものと思っていいのでしょうか。また、調べた数が9個というのは少ないと思うのですが、その倍を調べれば2個転移が見られるということになるのでしょうか。お忙しいとは思いますが、よろしくお願い致します。リンパ節転移は術前に診断するのはかなり困難で、一般には術後の郭清したリンパ節の病理検査で判定します 。摘出した個数は手術の種類によっては9個の事も、20個も30個も取れることもあります。少ないとは思えませんが、1個転移では再発率は15から20%といったところでしょうか。
閉経前でレセプター陽性であれば経口抗癌剤とホルモン剤というのは、日本では一般的だと思います。私たちの病院ではエンドキサンは使っていないので、その成績はその病院での再発率や治療効果として主治医に良く聞いたほうが良いと思います。海外では閉経前で、リンパ節転移陽性の人にCMF療法やCAF療法で予防することが多いようです。しかしこれらの抗癌剤の組み合わせはそれなりに副作用が強く、予防のためには強すぎるという考えもあります。私たちの病院では、リンパ節転移が4個以上の方は再発率が40%以上になりますのでCMF療法で予防するようにしています。これらの予防効果については、しっかりした臨床研究がやりにくいことから、まだはっきりしない点も多く、それぞれの病院でやりなれた治療で予防するのが現状だと思います。リンパ節転移の程度はあくまでも病理所見でしか分かりませんので、顕微鏡レベルのごく少量なのか、たくさん入っているのか、主治医に聞くしかありませんが、再発率との相関では意味のないことかもしれません。個数が大事だといわれています。 (文責 石山)
【No.268-2】00年09月12日 T.A.さん
乳癌治療についてお教えください(2)先日は,早々にご回答いただきありがとうございました。お忙しいでしょうにこんなに早くいただけるとは思っておらず、驚き大変有りがたい事と、感謝しております。申し訳ないのですが、先日のご回答についてもう少しお聞きしたいのですが、よろしくお願い致します。
先生の病院ではエンドキサンを使用していないとの事ですが、なぜでしょうか。何か使用しない理由があるのでしょうか。リンパ転移4個以上の人にはCMF療法するそうですが、私の様な右乳房全摘(胸の手術跡は肋骨がすぐに触れる状態です)閉経前、腫瘍2センチ少し、ホルモンレセプター(+)、 9個中1個にリンパ転移有りというパターンの場合、どういう方法で何という抗癌剤を使われていますか。それから、もし主治医にCMF療法等をしなくていいかと聞いて、必要ないでしょうと言われた場合、これに従っていいものか、他に病院を探すべきか迷っています。自分でも副作用が強いと分かっていて、しかも、必ず再発を予防できるとは立証されていないと言われれぱそれを押してまで、是非して下さいと言う勇気は無いような気がします。でも、やはり抗癌剤1種類より2.3種類を併用した方がわずかでも再発をおさえられるというのであれば、やるべきなのでしょうか。先生のご意見をお聞かせください。本当にこれからの治療方法で悩んでいます。よろしくお願い致します。私の病院であなたのケースであれば、フッカピリミジン系の抗癌剤とタモキシフェンを使います。もしどうしても、というのであればCMF療法をしないことはないのですが、再発率はそれほど高くないので(確かに0ではありませんが)お勧めできません。最近の情報としてこのホームページの4つくらい前に質問があったように「CMF療法」と「タモキシフェン+ゾラデックス」という2種類のホルモン剤の組み合わせの再発予防効果が同じであったという論文(海外)があります。私だったら、それほど心配な方には一度使いたい良い治療法だと思います。CMF療法より副作用も軽減されると思っていますので、参考にして再度主治医とご相談ください。
なお、質問はタモキシフェンとリュープリンについてですが、リュープリンとゾラデックスは、ほぼ同じものです。違いはゾラデックスが先にできたので再発予防でも再発でも健康保険上の適応ですが、リュープリンは再発乳癌のみとされています。理論上は同じものです。(文責 石山)
【No.267】00年09月10日 etoh
悪性の癌と診断、早めの入院と手術はできないのか?9月7日に某病院に行き、悪性の腫瘍(乳癌)と診断されました。入院が9月21日、手術が22日ということでしたが、もっと早く手術ができないのかとの問い合せに、それまでは手術に予約が埋まっていて空いていないとのことだった。病院の先生が悪性の癌と診断したら、他の病気と異なり、一刻も早く適切な措置をしなければ癌は日々進行していくのではないでしょうか、もし、手術の予約でその日にしかできないというのであれば他の病院に紹介して早めの手術を受けさせるのが病院の役目ではないでしょうか。患者はなにもわかりません。医者の言うことを信用するしかないのです。聞きたいのは普通悪性の癌と診断され、手術が必要な場合、2週間以上もほっといていいのでしょうか?それがあたりまえなのでしょうか、他の病院でもそうなのかが知りたいのです。癌の病気は早期発見、早期治療なのではないでしょうか。病院の先生が悪性の癌と診断して手術が必要なのに、予約がその日まで埋まっているからということは私にはとても理解できません。適切なアドバイスをよろしくお願いします。
このようなことは公立病院や大学病院ではあたりまえの事だと思います。小さな病院よりもこのような公立や大学病院に患者さんが集まる傾向があります。従って、このような病院では、外来も混んで、やっと診察検査を受けて、やっと最終の診断が出て、しかもそれが乳癌となったら患者さんとしては早く手術や治療を受けたいという気持ちになるのはあたりまえです。しかしこのようなことはどこでもあたりまえで、私が勤務する病院でも、癌の方でも2週間は待って頂いています。手術予定は決まった枠があり、癌の患者さんは、とにかく早く手術を組むようにしています。どんなに一生懸命予約をしてもやはり2週間はかかります。今日は9日ですので、普通は+14日で、23日前後になるのは仕方ない事と思います。言い訳でそういっている訳ではなく、それほど大きな病院や公立病院に行きたいという患者さんの希望が強いということによります。要するに待たされれば待たされれる程その病院は患者さんからは人気があるということです。
あなたのようにインターネットで色々な情報が手に入る方からすれば、遅くてイライラする事と思います。しかし、いまだに法律上は病院のレベルというか、詳細なその病院の人気になるような情報は宣伝も広告もしてはなりません。つまり、待たされる病院ではそれだけ患者さんの口コミによる希望が多いということだと思ってください。初めてのがん告知で心配な人にとっては不安な事と思います。それが日本の医療の現状です。待たされることは良い先生に手術や治療を受けられる事です。それと全ての癌の中では、どちらかというと乳癌は発育が遅いといわれています。その点でも多少待たされても、しっかりした病院で治療を受けた方が良いと思います。(文責 石山)
【No.266】00年09月07日 バーバラ
右胸、腋(腕の付け根)の痛みについて38歳独身です。現在子宮内膜症の治療中でリュ−プリン注射を受け、現在6ヶ月間生理がありません。3、4日程前から右乳房外側が痛みます(広範囲で)。また腕の付け根あたりを押すと痛みと指圧の気持良さがあり、右腕もだるい様に思います。痛みは皮膚が痺れたような感じと、時々キリキリしたものがあります。乳癌検診は今年3月に触診のみで異常なしでした。その頃、自覚症状として生理前一週間位前から右腋の下の真中あたりに小豆大程のしこりが出来て、痛くてたまりませんでした。両胸もとても張ります。それを受診時に申しましたら、「その腋の部分までは乳腺はきてないし、痛いのは悪性の物ではないから心配ない」との事でした。現在は生理も止まっていますのでそのような事はありませんし、乳房にしこりも無い様に思います。ただ、今婦人病を患っているのと年齢の事もありますので不安でドキドキしています。
また子宮内膜症については、10月に卵巣の腫瘍を腹腔鏡手術する事になっています。以上、お忙しい中大変恐縮ですがご回答の程お願い致します。リュープリンは薬物により閉経状態を作りだし、女性ホルモンに依存する乳癌の治療や内膜症の治療に使われます。したがって更年期障害のようなのぼせやイライラのような症状もあり、その一部として乳腺の違和感を訴える方もいるようです。今回のような症状からは癌は考えにくいと思います。腋の下のしこりはリンパ節の可能性があると思います。痛みが強いようですので炎症の可能性はありますが、転移やリンパ腺の癌は考えにくいと思います。いずれにしもそれほど心配なら一度マンモグラフィーを撮ったほうがいいかもしれません。総合病院の外科(できれば乳腺外来があるようなところ)が良いと思います。専門医の診察を受けてください。(文責 石山)
【No.265】00年09月05日 T.I.さん
チョコレート色の分泌物について32歳で8歳の子供のいる者です。2日前ブラジャーにチョコレート色のようなものがついていました。下着がベージュ色だったせいか自分の感覚では血の色と思えず、つめでこすってみたら生地にはしみこんだ様子はなく、渇いていてとれてしまったんです。すぐ乳首をみてもなにもついておらず、絞ってみても何もでませんでした。その後何度絞ってみても出てません。血性のものはよくないとのことで心配になり、今日愛知県のガンセンターで受診してきましたが、不妊で3日前に人工授精をうけていたためマンモは撮らずエコーと触診のみをうけ、その限りでは異常はなく今後分泌物にはよく注意してみておくようにとのことでした。(再診の予定はありません。乳房はとても小さいのでエコー・触診はわかりやすかったと思います。)
質問ですが、妊娠していなかった場合、やはり再度マンモを撮りに行くべきでしょうか。また血性の分泌物の症状のある乳頭種というものがないということは、再度このような分泌物があった場合やはり悪性の可能性が高いのでしょうか。HCGの注射もうけていますがその影響はどうでしょうか。今後の不妊治療のことを考えるととても不安です。6年前母が乳がんの手術をうけています。どうぞよろしくお願いします。血性分泌は一般的に乳管内癌か乳管内乳頭腫が疑われます。いずれにしてもそれらの場合、持続的に血成分泌物が認められる事が多いと言われています。あなたのような症状では、経過を見て自分で分泌物が出ないか見ることと、乳房撮影を都合のいい時期にとってみることでしょう。分泌が出れば細胞診や分泌液中CEAなどの検査もできると思います。癌の可能性は非常に低いと思いますが定期的に検査したほうがいいと思います。このホームページにも同様の質問があります。参考にしてください。 No.52.61.109.114.127.186.204などです。(文責 石山)
【No.264】00年09月03日 H.I.さん
ノルバテックスとリュープリンの併用による骨粗しょう症現在33才で昨年5月に温存手術を受け、その後補助療法としてノルバテックスと4週に一度のリュープリン治療を行っております。投薬し始めて1年3ヶ月ですが、先日念のため婦人科の検診を受けた際、先生よりこの二つのお薬を併用しているのであれば骨の検査も一度受けておいた方がいい、とのことで骨粗しょう症の検査を致しました。その結果この年齢にしては平均値より下回っている(どの程度かは不明)ので、ダイドロネル錠の投与が始まりました。このお薬はホルモンを増やすお薬ではないので、乳癌の補助治療に影響はないとのことですが、この治療法でいいのでしょうか?ご回答お待ちしております。
私どもでも学会報告やインターネットで情報は聞いております。ノルバデックスとリュープリンの併用がエストロゲンレセプター陽性の場合はCMF療法と同等の効果があるということは証明されています。ただ術後の再発予防で効果があるのかはまだ証明されていません。大学病院のような研究機関であれば、研究や治験の名目でかなりやられている治療かもしれません。私どものような一般病院では研究のための診療はできませんのでまだ行っていません。理論上はかなり有効とは思いますが、それぞれの単独での治療と再発予防効果の比較はされていません。いずれにしても骨粗しょう症という副作用はあると思います。ただ1年や2年でそれほどの変化になるかどうかは分かりません。お薬で治療するならそれでよいと思いますが、食事でも色々考えて同じような効果もあると思います。以上のようなことを考えられてまた主治医の先生とよく相談してください。(文責 石山)
【No.263-1】00年09月03日 minahoshi
男性の乳癌の年齢分布現在20代前半で、左乳首の下にシコリがあります。大きさは1センチ弱、硬く、動きません。痛みも特にありません。左の乳首が、右の乳首に比べ、肥大しています。2週間ぐらい前に気が付きました。病院に行って触診して頂いた所、エコーと必要であれば細胞診をするという事で、施設のある病院にてエコーを取りました。画像を見せて頂いた所、素人の私にはわかるわけは無く(笑)、医者にどう思うか聞いたところ、自分だけで判断は出来ないといわれてしまいました。必要であれば、ニードルバイオプシー?という事だったのでその必要性があるのか聞いたところ、その必要はないとのことでした。お聞きしたいことなのですが、
@男性の乳癌というのは、いくつくらいから可能性があるのでしょうか?
A触診時に、どのような場合エコーなどの検査を必要とするのでしょうか?
Bエコーで悪性の疑い(限りなく100%に近くても)がある場合、絶対に細胞診はするのでしょうか?
Cこのシコリは消えるのでしょうか?また、切除する必要性はあるのでしょうか?(見た目に気になります)若い男性の乳癌はまずありません。女性化乳房といって時々見られ、偏側性に起きることもあります。男性乳癌は高齢な方に多いようで、若い方は可能性はとても低いと思います。触診で硬く、可動性がなく、(特に男性の場合正常乳腺があまりなく脂肪組織が少ないので、癌の場合すぐに皮膚浸潤するという特徴があります)皮膚と強く癒着している場合疑います。レントゲン、エコーで調べ癌の特徴があれば、針による穿刺吸引細胞診、それで怪しいければ、針生検(細胞でなく組織を取る)という手順だと思います。これらの検査をやって(癌の可能性は非常に低いと思います)癌でなければ、経過観察かホルモン剤の注射で小さくする治療もあります。いずれにしても癌の可能性は低く検査の手順も妥当なものと思います。このホームページに同様の質問がありますので参考にしてください。No.8. 30. 39. 58. 181. 194などです。(文責 石山)
【No.263-2】00年09月22日 minahoshi
男性の乳癌について263-1の続きなのですが、よろしいでしょうか?回答頂きまして、ありがとうございました。結果を聞きに行きましたところ、特に問題は無いそうです。しかし検査を受けた時点よりシコリ、胸全体が大きくなり分泌物も少々あるので、血液検査を受けて、もう一度エコーを取ることになりました。1,2ヶ月たってからエコーを取るということなのですが、症状が少々変わってきたので急ぐ必要があるのか、教えてください。シコリが以前より痛む、乳頭より微量のほぼ無色の白濁した糸を引く分泌物、シコリが大きくなり、そのシコリが乳輪のに合わせて円になり、感じとしては10円玉を数枚重ねた感じでしょうか?乳頭は大きくなっていて、乳頭の中心分が凹んでいます。乳輪下膿瘍を自分で疑っています。今見てもらっている先生は専門医では無いので早く専門医を照会してもらった方がいいのでしょうか?担当医の予定では、血液検査の結果と次回のエコーを見てから専門医に廻すか決めるそうです。1ヶ月くらい先まで待っても問題ありませんか?膿瘍だった場合、早く抗生物質を飲んだ方がいいような気がしまして。切開して排膿というのは面倒なのでしょうか?シコリが無くなるのであれば気にする必要もないのですが。乳腺炎から乳癌になる可能性というのはありますか?
前回のご質問のように乳腺炎で再度脹れがひどくなったように思います。乳腺炎は癌とは別で、癌になることはありません。ただ、乳腺炎では、ひどい時には発熱や疼痛がかなりあります。その辺の推移が分かりませんので、やはり専門医の診断を早く受けたほうが良い様に思います。乳腺外科医であれば膿瘍なら切開するか、検査を兼ね、針を刺すと思います。結局、この辺がインターネットの限界で診察していない乳腺のことは分かりません。ただし、経験豊富な乳腺外科医であれば、問診、視診、触診でだいたい分かります。後はご自分で、よく考えて、悔いのない様にしてください。(これがバーチャルの限界です!)(文責 石山)
【No.262】00年09月02日 M.H.さん
右乳房全摘の再手術について27才の妹が先月(2000年8月11日)右乳房温存手術(ステージ1、リンパ節転移なし、ホルモンレセプター陽性、悪性度Grade3)を受け、リハビリに専念しておりましたが、 先日主治医より、断端にがんの残存がみうけられたため、右乳房全摘の再手術か放射線治療の選択を告げられました。ハイリスクなので全摘が安心かとも思いますが二度目の手術となる事や未婚の事を考えると迷ってしまいます。再発率や生存率を考慮して頂き、より良いアドバイスを宜しくお願い致します。
27歳で温存術後の病理診で断端に癌が残っていたということでしょうと思われます。この場合再切除がもっとも確実だと思いますが、統計的には放射線療法でも再発率や生存率は同様であると言われています。もちろん放射線療法にも副作用があり、施設によって放射線療法は多少違うので主治医や放射線科の医師に聞いてから決めることが大事です。それに術前から、本人は断端陽性の場合は、追加の治療が必要であることも納得されて手術を受けているはずです。全摘の場合でも、術後に再建手術という方法もありますし、私の施設では断端陽性でも再手術も放射線もいやで内分泌療法だけで経過を診ている人もいます。要するに残存乳がんは顕微鏡レベルのことで、腫瘍ができたらとることにしているわけです。いずれにしても若くて、再発の可能性があれば全摘、再建が今のレベルでは安全ですが、最後は本人が主治医と良く相談して後悔しない治療を選択すべきだと思います。(文責 石山)
【No.261】00年09月01日 T.I.さん
右胸のふくらみとしこりについてはじめまして。私はもうすぐ25歳になる未婚の女性です。私は以前は左右の胸の大きさがほぼ同じくらいだったのですが、(ちなみにあまり大きいほうではありませんが)、1ヶ月半ほど前から右胸だけが大きくなってきているのに気がつきました。その時はさほど気にもとめていなかったのですが、明らかに左胸と比べると右胸の乳房がふくらんできているのを感じて、先日右胸を少し触ってみると、乳輪の外側上部にわりとかたいしこりがあることに気付きました。もともと左右両方の胸の中心部分には、直径2〜3センチの円形の平らな芯みたいなものはあったのですが、今は右胸だけその芯が大きくなっているようにも感じますが、先程言いました乳輪の外側上部の部分だけその芯とは別にあって、他より突起しているようにも感じます。今まで気にしていなかったのですが、女性ならみんな私のように胸の中心部分に芯のようなものがあるものなのでしょうか?そしてそれが急に大きくなったりすることはあるのでしょうか?それに1ヶ月半前からの、右胸だけが大きくなってきたことも気になります。やはり何かの病気でしょうか?こんなに自分の胸で変化(異常)を感じたのは初めてなのでとても戸惑っています。どうか御返答よろしくお願い致します。
このような症状はよくあることで、生理がある女性は閉経までの間に乳腺組織の増殖、退縮を毎月繰り返します。そのため人によっては左右差が出ることもあります。ただ25歳では乳がんの可能性は非常に低いのですが、生理後の乳腺が比較的落ち着いている時に自分で触診してみて硬いものがあれば、やはり専門医の診察を受けた方が良いと思います。癌の可能性はまずないのですが、お話だけでは触診の所見、しこりの性状がつかめません。心配するよりは大きな病院の外科(できれば乳腺外来のあるような)外来の受診をお勧めします。(文責 石山)
【No.260】00年08月30日 とも子
蓄乳について自覚症状は全くでていないのですが乳腺科で検診を受けたところ左胸から分泌液が出たので、3日間自宅にて蓄乳し、31日に持ってくるように言われました。今2日目ですが全く出ません。出にくいときの指示に従い、入浴後や蒸しタオルで温めてマッサージしても出ないのです。医師(男性)はかなりの力で乳頭をしぼっていたので、そのようにしてみても、今まで一滴もでていない状況です。痛みも伴い、蓄乳時以外も触れるだけで痛みを感じとても苦痛です。蓄乳前後は精神的なストレスで吐き気もしてきます。ふだん全く分泌液がでてなくても、何か病気があるのでしょうか?前回の検診のときは分泌液のチェックの際、医師(女性)は痛くなるほど乳頭をしぼらなかったので、何もでなかったということはありますか? それと右胸にエコーをかけたところ、触診ではわからないほう膿があると診断されました。水が入ってるのかもしれないが形がいびつなので、更に精密検査を受けることになりました。それが癌という可能性もありますか。すべては再診のとき担当医にきけばすむことですがいてもたってもいられず、質問させて頂きました。よろしくお願いいたします。
分泌物の性状はどうだったでしょうか、初診時潜血反応はどうだったでしょうか、量が少なく血性でなければ悪性の可能性は低いと思います。むりに絞る必要はありません。超音波で嚢胞が認められたとのこと。恐らく乳腺症があって嚢胞、分泌物があるものと想像されます。嚢胞が明瞭であれば超音波の下で注射針で穿刺して細胞の検査をするものです。念のための検査と思いますが、検査する側としては、癌である可能性が極めて低くても侵襲の少ない検査は行う方針とします。 (文責 石田)
【No.259】00年08月30日 M.S.さん
抗癌剤治療時の副作用に関してさて、56歳になる母親が乳癌(第3期)の診断を受けまして一ヶ月になります。抗癌剤の点滴投与を 8月初旬及び中旬の2サイクルに分けて受けまして現在に至っております。本日再検診を受けまして当初5cm程ありました癌細胞が4cm程に縮小し、またリンパへの転移(?)も3箇所から1箇所へ縮小したとの診断を受けました。今後の予定としては同じタイプの抗癌剤を再度投与し、摂取手術に移るとのお話をいただきました。良い方向には進んでいるのではと少しだけほっとしました。しかし、抗癌剤の副作用の方も少なくなく、白血球の数が現状2000と基準値を下回っており、来週月曜9/4の再投与までに3500レベルまでに回復しない場合は延期とのことでした。ちなみに初回投与前、二回目投与前の値は10000と8000とのことです。(抗癌剤の詳しい薬品名は把握しておりません)。また、恐らく副作用によるものと考えますが、咽喉がイガイガして咳き込むといったケースが増えております。
<質問>
(1) 白血球の値が異常に低い状態となっておりますが、現状母親または私共家族が一番気を付けないといけないことには何が挙げられますでしょうか(漠然としていてすみません)?
(2) 体力の維持/向上も重要かと思いますが、飲食に関してはどの様なものがより適切でしょうか? または何か参考になりますサイト等ご存知でしたらお教えいただけませんでしょうか?
(3) 特に抗癌剤投与後の数日は体温の変化が大きいらしく、暑くなったり寒気がしたりという繰り返しが続く様です。この現象も一般的な作用かも知れませんが、何か特に気にしなければならないことはございますでしょうか?
誠にお手数ですが是非ともアドバイスをいただけましたら幸いです。宜しくお願い申し上げます。手術前に抗癌剤投与で腫瘍をある程度コントロールしたあとで手術を予定されている状況と思います。恐らく手術を行った後もこの治療が続くものと思われます。この時期は副作用として感染症の併発が心配されますが、投与側では十分に考慮して管理されているものと思います。食欲が低下して体力も落ちることもあります。食事は食べやすいもの口当たりのよいものを十分摂って下さい。口腔内および体は清潔に保つ事です。患者さん御家族としては、大事なことは主治医の説明をよく聞き、納得した上で指示に従い治療を受けることです。どんどん質問することです。(文責 石田)
【No.258】00年08月30日 H.T.さん
卵巣をとると乳癌が再発しないって本当ですか?昨年乳癌を宣告 リンパ線の転移も見られ、片方の乳房を切除 乳がんは卵巣から出るホルモンに関係し、卵巣を取ることによって、ガンの進行を防げると聞きました。それについて教えてください。
乳癌の術後に卵巣をとることは一種のホルモン療法になります。以前は乳癌術後再発例に対して両側卵巣切除がかなりの効果をあげていました。現在は種々の抗卵胞ホルモン剤が出現し同様の効果をあげており卵巣切除はあまり行われません。再発予防にこの内分泌療法の有効性が示されていますので、再発予防としての卵巣切除はある程度有効と思います。すなわち内分泌療法の予防効果は内分泌療法を行わなかった場合の5-10%の再発率低下です。卵巣摘除、種々のホルモン剤の成績の差も条件によって多少あります。確かに再発率の低下は期待できます。(文責 石田)
【No.257】00年08月30日 Y.S.さん
左胸にしこりがあるのですがすぐ脇の下にしこりがあり、右胸と比べると、右には、そのようなものが、見当たりません。年齢は、17歳なんですが、そのような年でもできてしまうんでしょうか。すごく心配なんですが、どうか、乳がんについての正しい知識と症状について教えてください。
17才ですぐ脇の下にしこりがあるとのこと。脇の下とは乳腺の外側なのか、脇(腋窩)のすぐ近くなのか分からないのでなんとも言えません。単に皮膚の下の脂肪腫、副乳、粉瘤、リンパ節あるいは乳腺自体の硬結かも知れません。大丈夫かどうかは、診察を受けて始めて明確になります。17才でも極めて稀ですが乳癌もあります。触診上は通常はかなり硬いものです。また最初に腋窩のリンパ節が腫れることもあります。安心するために是非外科の先生か婦人科の先生に診てもらって下さい。(文責 石田)
【No.256】00年08月30日 K.H.さん
ホルモン療法について私の妻(39才)のホルモン療法の治療期間について教えて下さい。3年前(97年)に左乳房乳輪部の下に2センチの浸潤性乳管癌(充実腺管癌)ができ、非定型的乳房切除を実施。リンパ節への転移はなし。手術の1ヶ月後より、念には念の為にという医者の勧めで胸骨と鎖骨周辺部分に放射線治療を実施(2Gy×25)。同時に4〜5週間に一度、ゾラデックスを注射しています。当初は2年間ぐらいとのお話でしたが、2年目、及び3年目(今年)の時にも以下のお話があり、まだしばらくはゾラデックスを続けた方が良いといわれました。
医者の見解
・いつホルモン療法治療をやめたらいいかは医者にもわからない。 治療していても癌が発生する場合もあれば、治療を中止して発生しないこ ともあるし、すぐ発生することもある。
・ホルモン療法では癌の発生を遅らせる効果がある。
・年齢的に若いので、ホルモン療法中止後、再発するリスクが高い。 そのような事象もよく見てる
・ゾラデックスそのものは実績も豊富で効果も実証されている。
本人にとってはいつまで続けるのかという不安と治療をやめた後の不安とで困惑しています。そこで教えて頂きたいんですが、
(1)ゾラデックスの治療期間の基準はあるのでしょうか?あるいは治療を終了する目安は何かあるのでしょうか?
(別掲示分で明確な基準はないとの回答はありましたが)
(2)ゾラデックス治療中止した場合、ホルモンの活動が正常化することにより、再発のリスクも高まるのでしょうか?
(3)年齢的に若い場合、ホルモンの活動を抑制するという意味合いで、このままずっと閉経年齢位までゾラデックスの治療を続けないといけないのでしょうか?
(4)長期に渡りゾラデックス投与した場合、副作用は何かあるのでしょうか?
以上よろしくお願いいたします。1)内分泌療法の投与期間と再発防止率についてはまだ結論が出ていません。タモキシフェンの3年投与と5年投与の比較試験は行われていますが、今のところ5年投与群に再発率の低下が見られていますが最終結論ではなく、また副作用である子宮内膜癌の発生に差が出ており、その標準的投与期間については結論が出ていません。ゾラデックスについては比較成績はありません。一般に再発予防の投与期間は2年です。治療終了について目安はなく、作用との関連で2-3年が現時点では標準的と思います。その後は主治医と話し合って決める事になると思います。
2)3)4)ゾラデックス中止では60-70%生理が始まります。ホルモンの活動は正常化するわけです。再発についてはなんとも言えません。体内に癌細胞が潜んでいるかどうか証明できないからです。2-3年再発がなければ再発のリスクは減るわけですが、永久に0になることはありません。予防投与によるマイナスもあるわけですから、それこそ主治医とinformed consent の上で続けるかどうか決めていただきたいと思います。副作用については、長期投与の報告が少なく明瞭ではありませんが、抗卵胞ホルモン療法という意味では種々の更年期障害、血栓症、子宮内膜癌の発生など予測されますが、今のところ大きな副作用の報告はありません。(文責 石田)
【No.255】00年08月29日 lucu emi
術後の補助療法について33歳。既婚者で子供はまだおりません。最近リンパ節に転移があった事を知り、少し不安をおぼえこちらにメールさせていただきました。お忙しいところ大変申し訳ありませんが、どうぞ宜しくお願いします。
n1α:1/3 .1.5×1.5cmのステージT ER+で乳房を残す手術を受けました。今ノルバデックスとゾラデックスの補助療法をおこなっています。放射線はあてていません。通常でしたら抗がん剤の点滴も打つようですが私はしておりませんので、予後にどう影響するのか少し不安です。主治医の先生にも聞こうと思うのですが、一生懸命治療して下っている手前どの様に質問すればよいのかわかりません。以上についてお返事いただければ幸いです。宜しくお願い致します。温存療法でリンパ節転移が1ヶ陽性、ER(+)とのことですが、確かにリンパ節転移+とのことで化学療法を行うことが多い様ですが、ER(+)でノルバデックスとゾラデックス併用とのこと、この治療は最近、化学療法とほぼ同等の効果(再発予防効果)があるとして報告されております。副作用も少なく、一つの選択肢と考えます。御自分が受ける治療については、どういう選択肢があって、どういう効果、副作用があるかについては主治医の先生に最低限お聞きになることをお勧めします。(文責 石田)
【No.254】00年08月29日 N.MIA
乳癌・パジェット病について初めまして、私は現在29歳で三歳になる子供が一人います。三月に二人目の子の妊娠がわかり、その頃からプラジャ−の下から胸回りにかけかゆみが出始めて、両方の胸周りが凄くかさつき皮膚がくすんできました。その頃はまだ寒かったので薬などは塗らず保湿乳液をぬったりしてすごしておりました。それからしばらくして流産してしまい、その頃からかゆみもおさまりだし、ましになってきましたが、最近右胸の乳輪から乳首にかけてかゆみがでて、こすったりしてたので乳首がかさかさして乳首の中央がなんとなく皮がむけて赤くなっています。一度だけかゆみがひどいとき、針でさしたくらいのプツっとした血がほんの少しででびっくりし、皮膚科でたぶんステロイドだと思うのですがアルメタという軟膏をもらい塗ったところきれいに治りましたが、なんとなくまだ右のほうの乳首が大きいような気がします。これは一人目を出産してから乳輪と乳首のおおきさが大きくなったような気がしてますが、先日乳癌の本でパジェット病もかゆみがでると書いてあったので異常に心配になりました。
実は母が乳癌になっているのでこれは何かの前触れなのかと心配でたまりません。今は痒みもおさまり見た目には何ともないのですが、ときどきむずがゆいときがあります。胸の大きさは左のほうが大きいのですが、これもやっぱり普通のことなのでしょうか?しこりなども別になく、生理前や排卵の頃に胸が張ったりします。しこりというのはどんなに小さくてもすぐわかるのでしょうか? 一人で乳癌検診しているとき、つまんだり時々してしまうのですがこれしこり?ってときどきびっくりしてしまうのですが、普通に触ると何にもないのでこれでいいのかな?と思ってしまいます。パジェット病は痒みが薬で治まるんでしょうか? 私の場合ただれたりしてません。それともやっぱり妊娠と流産の関係でしょうか? 私は成人してからですが、すこしアレルギ−が出始めてます。その関係でしょうか? いろいろとわかりにくい文章だとは思いますが自分でもちょっとおかしくなるくらい異常に心配しています。宜しくお願いいたします。乳頭および乳輪が一時的に湿疹様になり軟こうで改善したとのこと。Paget病は乳輪の直下の乳管から発生し、乳頭乳輪に広がってゆく早期乳癌のひとつです。乳輪の慢性の湿疹が初発となります。この湿疹は軟こうで多少改善しますが、治癒することはありません。次第に乳頭の高さが低くなります。比較的慢性の経過をとるので、診断が遅れる例が多い様です。診断はこの部分の皮膚生検ではじめて証明されます。あなたの場合きれいになおったとのこと、単なる湿疹かも知れません。しかしながら再度湿疹が出たり、左右の乳首の大きさがかわったなど気になる様でしたら是非乳腺外科を受診することをお勧めします。乳房の大きさは左右異なることはよくあることですが、途中で左右差が目立ってくるようなら受診の対象となります。
30才近くで御家族に乳癌がある様ですので、今後定期的に乳癌検診を受けることをお勧めします。自己触診では決して乳腺をつままないで、平手または指の腹で上から触診して下さい。一度検診を受け、自己触診も指導してもらうとよいと思います。(文責 石田)
【No.253-1】00年08月29日 tosidoi
乳輪の変形について45歳の主婦です。月経は順調で胸にしこりは感じられませんが、先月から、月経が終わって10日目くらいから胸が痛くなり、次の月経が始まるまで痛くなります。昨日、乳輪が少し大きくなっているのに気がつきました。少しパンダ目のような形になっていますが、乳ガンでしょうか? また、病院で検査を受けるとしたら、どこの病院へ行けばよいのかわかりません。ご紹介していただけるとありがたいのですが,,,。住まいは千葉市です。よろしくお願いします。
乳輪の下に炎症を起こしているか、ホルモン周期と関連した慢性乳腺症か、乳輪直下に腫瘍が存在するかなど種々考えられますが、メールの文面からだけでは判断しかねます。乳腺の検診をなさった方がよいと思います。初回は乳癌検診の可能な施設がよいと思います。千葉市ということでは千葉大学病院第2外科、千葉県がんセンター乳腺外科、千葉市海浜病院、千葉健生病院、千葉社会保険病院などがあります。(文責 石田)
【No.253-2】 00年10月05日 tosidoi
乳癌検査について以前乳輪の変化について相談したものですが、またご相談したいのでよろしくお願いします。乳腺外来で乳輪の変形と、脇の下が月経の前になると痛いので検査をしていただきました。触診とレントゲンと乳腺エコーを撮りました結果、乳輪は異状ありませんでした。両脇の下に副乳ができていて左側にお水が溜まっているそうです。これは、このままで心配ないと言われましたが、この副乳のお水はどうなるのですか?ずっとこのままで本当によいのですか?
それからレントゲンの結果、左胸にカルシウムが少し沈着しているそうです。カルシウムは、今問題はないそうですが、これから先、カルシウムが増えると、そのカルシウムは癌が作っていると考えられると言われました。六ヶ月後にレントゲンと乳腺エコー検査をもう一度しましょうと言うことで、今回は癌はありませんと言う結果でしたが、副乳のお水と胸のカルシウムが気になり心配です。このまま様子を見ていればよいのでしようか、教えていただけますでしょうか。よろしくお願い致します。副乳のお水は副乳の嚢胞と思われます。嚢胞なら通常、経過観察で良いと思います。稀に癌であることがありますが、エコーなどで区別は可能です。不安であれば針をさして水を抜いてもらい細胞診の検査をしてもらうのも一つの方法です。次にカルシウムの沈着ですが、これは癌でない放っておいていいものと、癌の時のものと2種類あります。カルシウムの部位の細胞や組織をとって調べれば、癌か癌でないか確実にわかりますが、小さな病変の場合、細胞や組織をとるのが難しく、経過をみて判断することもあります。癌ならばカルシウムが増えたりという変化がみられます。6ヶ月後の再検査で経過を見ることで良いと思いますが、不安であればこちらの病変も細胞の検査や組織の検査をやってもらう様、主治医の先生に相談してみたらどうでしょうか。(文責 稲葉)
【No.252-1】00年08月29日 純夏
術後の補助療法について他の方々のご相談を拝見し、大変参考になりましたので、ご相談させて頂きたいと存じます。 宜しくお願い致します。私は42歳、独身です。7月5日に温存手術を受け、現在は放射線治療を受けています。放射線治療は今月末で終了します。その後は、抗がん剤治療(CAF)を受ける予定です。ホルモン受容体がある為、ゾラデックスを月に1回、腹部に注射とタモキシフェンを毎日1錠服用しています。腫瘍の大きさは1.5cm、リンパ節切除は腫れていた7つと鎖骨上かのリンパ節で腫れていた5つを切除しましたが、転移は3つでした。腫瘍の大きさが1.5cmであるのに、鎖骨上かまで転移があるのは非常にめずらしいと言われました。以下の質問にお答え頂ければ幸いです。
1)40歳を過ぎている為ゾラデックスを2〜3年服用した場合、そのまま閉経を迎えてしまい、妊娠が不可能になるのではないかととても不安です。将来妊娠を希望する場合ゾラデックスの服用は中止した方がよいでしょうか? 一度閉経をむかえてしまった後、排卵促進剤等で排卵を起こす事は可能でしょうか? 40歳を過ぎているので妊娠に関しては迷っていますが、乳癌とわかるまでは子供を産むつもりでした。
2)主治医からは抗がん剤治療の為、奇形児が生まれる可能性が高いので、妊娠はしない方がいいと言われました。私が調べたところでは、卵巣には抗がん剤は届かないので奇形児等生まれる可能性はないとありましたが、どうなんでしょうか?
3)鎖骨上かまで転移していた為、主治医は抗がん剤治療(CAF)を勧めますが、(CMF)では私の場合効果がないのでしょうか?
以上です、お忙しいこととは存じますが宜しくお願い致します。化学療法にくらべゾラデックスを投与した場合、治療後に生理がはじまる可能性は高く、60%前後との報告がありますが、年令、併用する薬剤など多くの因子があり一概には言えません。抗癌剤ではその頻度は20%前後とかなり低くなります。しかしながら今後、化学療法を始め、治療の期間については、長期が予測されますので、妊娠については主治医と十分話し合って下さい。抗癌剤は卵巣機能に十分影響を与えます。少なくとも投与中の妊娠はさけるべきです。CMFを選ぶかCAFを選ぶかは難しいところです。副作用、併用薬、初回治療としての選択など多くの選択因子があります。現時点ではCAFの方が成績が良いとする報告が多い様です。これも主治医の先生とよく話し合って下さい。(文責 石田)
【No.252-2】00年10月28日 純夏
CMF療法について友人が受けておりますCMF療法に関して質問があります。友人の場合、腫瘍の大きさは3.5cmが1つで、リンパ節転移はありませんでした。ホルモン受容体が(+)だった為、現在はノルバデックスを1日一錠服用しています。友人の場合リンパ節転移がないにもかかわらず、念の為と言われCMF療法を受けています。現在4クールが終わったところです。本人は最初に主治医から4クールと言われたので4クールで終了するものと思っていたところ、6クールだと言われショックを受けています。主治医が先週、転勤されたので新しく主治医になった先生から、カルテには6クールと書いてあると知らされたそうです。私が、本やホームページ等で調べてもCMF療法は4クールが標準の回数だと思いますが、彼女のようにリンパ節転移もなくノルバデックスも服用しているのに、CMFを6クール受ける必要があると思われますか? 彼女は今、ショックもあり、あと2クール受けるべきか大変悩んでおりますので先生方のご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。
CMF療法は乳癌術後に行う標準的な抗ガン剤による補助療法の一つです。この治療法は欧米ではかなり以前から行われており、この治療法に関して多くの科学的なデータがでています。CMF療法を受けた方と受けなかった方との比較や、投与の量や投与回数などきちんと比較したデータがでております。それによりますとCMFの回数は6クールが標準的であります。欧米での乳癌の術後補助療法についての会議でもCMF療法は6クールがよいとの結論がでております。現在日本でもCMF療法を用いた比較試験が進行中ですが、ここでもCMF療法は6クール行っております。
リンパ節転移のない方にCMFを行うかどうかですが、欧米ではリンパ節転移がなくてもしこりの大きさが2cm以上、又はホルモン受容体が陰性、又は細胞の核異型が高度(専門的な表現ですいません)又は若年者などの方にはCMF療法を行うのが望ましいとされています。日本でも最近は欧米の標準に従って術後の治療を行う傾向になってきております。ですからリンパ節転移がなくて、ホルモン受容体が陽性であっても、しこりの大きさが3.5cmとやや大きいのでCMFを6クールやった方がよいと主治医の先生は判断されたのだと思います。私もこの友人の方の主治医になったら同じようにCMF療法を6クール行うと思います。リンパ節転移がない方にCMFを行うかどうかについては、欧米では比較試験のデータがでておりますが、日本ではきちんとした比較試験のデータはありません。リンパ節転移陰性でハイリスク群(先ほど書いたような条件の方)の方に用いる補助療法として、内服の抗ガン剤とCMF療法を比較する試験が日本でも進行中であるということを付け加えておきます。(文責 稲葉)
【No.252-3】00年10月28日 純夏
抗がん剤治療中の食事について抗がん剤治療中の食事に関して質問がございます。抗がん剤の中には、免疫抑制をし腫瘍が育つのを阻害する働きのあるものがありますが、そのような薬の効き目を助ける為にも、抗がん剤治療を受けている時には、免疫力を向上させるような食物は控えた方がよいのでしょうか?それとも、抗がん剤によって白血球の数が減ってしまうので、免疫力を向上させる食物を積極的に食べた方がよいのでしょうか?今後の治療中の食事の参考にさせて頂きたいと思いますので、アドバイスをよろしくお願い致します。
癌と免疫の関係はとても複雑で一言でこうした方が良いと結論できるものではなく、またまだまだ不明な点がたくさんあります。抗ガン剤で免疫力はおちてしまうので、免疫力を向上させる方向にした方が良いと考えますが、食物でどのようなものが免疫力を向上させるのか分かりません。ある食物が動物実験や細胞実験などで免疫力を高めるという結果がでたとしても、ヒトでの量を換算すると効果を出すにはその食物を1日に何十kgも食べないといけないとかその食物ばかり何日も食べないといけないといったことになることが多いようです。食物に関しては、癌に対して良いとか免疫を高めるからとの理由である食物をたくさん食べるより、通常のバランスのとれた食事をして体力を維持するという方が結果的には良いと思います。普段とっている食事内容をバランスよくとるように心がける様にしてください。(文責 稲葉)
【No.251】00年08月28日 ゆりえ
母の診察結果について今年54歳になった母が集団検診で要受診の結果(封書つき)を受け、翌日近くの市民病院に検査に行きました。乳腺外来のある病院で、触診、エコー、マンモと3個の検査を受けました。その日乳腺専門の先生がいなかったため、診てもらったのは乳腺専門の先生ではないらしく、診察結果も異常がエコーで見受けられたものの、小さすぎて乳房のどこにあるか分からず4ヶ月後に再検査となりました。(しこりはありませんでした)その時に、次の時は細胞をとって調べる、みたいなことも言われたそうです。前回の診察から1ヶ月がたとうとしています。母はこのままあと3ヶ月待っていればいいのでしょうか?そして今の段階で、乳癌である疑いはどれくらいあるのでしょうか?どうかアドバイスよろしくお願いいたします。
メールの文面からは、主治医の先生の方針と私自身のものとほぼ同じと思います。基本的には慢性の乳腺症があるのでしょう(検診で要精査)。この場合、乳腺内に小さな腫瘤様のものや嚢胞が多数見られることがあります。即ちエコーでは複雑な像を示します。それが特徴です。今回、超音波で小さいしこり様のものがあり、次回これの診断を超音波下穿刺で行おうとしているものと思われます。3ヶ月後の再検診との事で納得できる期間と思います。種々の画像で少しでも癌の可能性があれば積極的に組織検査が行われます。 ご心配はごもっともですが、癌の可能性はかなり低いし、あったとしても極めて早期のものと思われます。主治医の指示でよいと思います。しかし、本人が納得が行かない場合は、受診の上、主治医の説明を受けることが大切です。(文責 石田)
【No.250】00年08月25日 A.T.さん
葉状腫瘍38才既婚、子供なしです。右乳房にできたしこりを2月に切除したところ、葉状腫瘍悪性と診断されました。その時の説明は「局所再発の可能性が高い。転移の可能性は低いがゼロではない。」でした。幸い、半年が経過しましたが、局所再発しなかったので、局所再発の可能性も低くなったと言われました。しかし、まだ転移の可能性がゼロではないそうです。質問ですが転移の有無はいつどのような形で分かるのでしょうか。検査方法がある場合、その検査の安全性は?検査は1度すればいいのでしょうか。何年にもわたって、検査をしなくてはならないのでしょうか。子供を望んでいましたが、しこりができて躊躇していました。どのぐらいたって、再発、転移がなければ妊娠もOKになるのでしょうか。よろしくお願いします。
悪性葉状腫瘍は稀な腫瘍ですが、再発の場合、局所に(残った乳腺内)最も多く、遠隔転移では肺が多いとされています。転移の診断は、局所については触診はもちろんですが、乳腺撮影、超音波、CT/MRIが有効です。肺転移については胸部X線撮影、CTが診断に有用です。通常の癌と同様、少なくても5年は通院、経過観察が必要です。時にX線を撮ることもあります。妊娠については、現在、照射や投薬を受けていない場合、問題ないと思います。もし妊娠の可能性があればX線撮影は止めた方が良いでしょう。他に検査の方法はあると思います。いずれにしても再発の確率はむずかしく、妊娠についても主治医と良く相談して下さい。(文責 石田)
【No.249】00年08月25日 YANA
術後療法について初めまして。私は大阪に住む女性で、先日乳ガンの温存手術を受けたところです。癌と宣告されて悩む間も無く手術をしましたが、その後の治療については色々な情報の中で、不安と混乱の中、迷い続ける毎日です。そんな時、この様なHPに出会い、本当にすがる思いで相談させて頂いております。本来なら、HPの投稿フォームを使用して依頼すべきところですが、何故かいくら探しても「フォーム」が見つかりませんでしたので、失礼ながら直接メールで相談させて頂いております。ご了解お願い致します。術後療法について悩んでおりますので、ご多忙中とは存じますがアドバイス頂ければ幸甚です。
私は44歳、閉経前です。8月1日に、左乳房の1/4切除、腋かリンパ節郭清の手術を受けました。病理検査結果、ステージ1(T2, N0)、ホルモレセプター+との診断でした。腫瘍の病理学的悪性度については説明を受けておりません。現在放射線照射を4回終了(2グレイ X 25回予定)、ホルモン療法としてタモキフェンを8月12日から服用しております。主治医からは、ホルモン療法の一貫として、「念の為に」ゾラデックスの注射もしたほうが良いが、どうするか、と聞かれております。ゾラデックスを注射した場合、閉経状態になるそうですので、その副作用対効果がどれくらいのものか、主治医の表現の「念の為」からはわかりにくく悩んでおります。主治医は、2年間の注射を終えたらまた生理が戻るとおっしゃいましたが、現在44歳という年齢を考えた場合、本当に生理が戻る力が有るのかもわかりません。このまま閉経という事態を想定して考えた方が良いような気もします。となるとこれで女性が終わってしまう様な感じで、精神的に辛いのと、閉経による体調不調が不安で、決断しかねております。
効果と副作用を天秤にかけて色々考えて見たいと思っていますので、私の様な場合(閉経前、腫瘍2センチ以上、ホルモンレセプター+、リンパ節転移無し)の標準的なホルモン治療の考え方をご教示頂けますでしょうか?(タモキシフェン単独の服用と、ソラデックスを併用した場合の予後の差がどれくらい有るものか、一般的には併用すべきなのか。) それから、主治医からは抗癌剤についてはまだ言われておりませんが、ホルモン治療で効果が得られるなら、副作用のきつい化学療法はやめたいと思っております。この点についてもアドバイスをお願い致します。
まとまりの無い文章で読みにくいかと思いますが、宜しくお願い致します。このような例の場合、我々としては、温存乳腺に照射を行い、組織学的悪性度を多少参考にしますが、タモキシフェンを2あるいは5年投与します。ゾラデックスの併用はこのホルモン療法をより完全なものにし、CMFなどの化学療法に匹敵するものとして使用するものと考えます。即ちある程度再発の可能性の高い因子を持つものに有効と思われます。タモキシフェンでは中止後生理が再度始まる確率は、年令にもよりますが60〜70%と言われています。ゾラデックスの併用では相当低下すると思われます。ちなみにCMFなどの化学療法の場合は20〜30%です。ホルモン療法の再発予防効果については、全体では無治療に比較し5-10%の再発率の差があるとの報告がありますが、早期例では有為差が明瞭ではありません。ホルモン療法の副作用は種々ありますが、多汗、火照り、肥満、不正失血、血栓症など、長期投与では稀ですが子宮体がんの発生などです。しかしながら多くは軽いものが多いようです。いかなる治療もある程度の副作用があります。再発予防効果とのバランスで決められます。要するに主治医と十分話し合って、納得した上で治療法を選んで下さい。(文責 石田)
【No.248】00年08月23日 WAT
バナナの摂取について術後、免疫力を高める効果を期待して、毎日バナナを食べていたのですが、主治医にその話をしたところ「免疫力を高めるけれど、悪いものも活性化してしまうので、やめておいた方がいい」とアドバイスされました。やはり避けた方がよいのでしょうか?
乳癌の術後なのかどうかわかりませんので、お答えのしようがありません。免疫力を高めるといわれる食品はバナナに限らず、限り無くあります。何においても、同じものを続けて摂取するのは好ましくありません。通常の状態では、免疫力は十分備わっているのですから、むしろ免疫力が低下するような過労や、過度のストレスを避けることが大切だと思いますが、いかがでしょうか。(文責 石田)
【No.247】00年08月23日 KeroChan
乳房の形について29歳2児の母です。乳首の左右の高さが2センチほどの差があるのですが・・・。乳がんの人はそうなる、と本で見てとても心配です。しこりや、突っ張った感じなどはありません。乳がんでなくても、左右のオッパイの垂れ方が違う人とか、たくさんいるのでしょうか?あと、乳腺外来が近くにないのですが、産婦人科とかでも、乳がんの検査などしてくれるのでしょうか?よろしくお願いいたします。
乳頭の左右の形、高さ(位置)はかなり差がある方が多い様です。乳房自体の大きさも垂れかたも、左右の差は通常のことです。 乳頭の変化が気になる場合、乳首に、はじめに病変がでる、乳癌の比較的めずらしい型でPaget病というものがあります。これば乳首のすぐ下の乳管から発生して乳頭の皮膚にひろがるもので、乳頭が湿疹様になり進行すると乳首の高さが低くなるものです。また乳頭付近に大きなしこりがあれば乳頭の高さや向きが変移するともあり得ます。良く触ってみて下さい。
乳腺外来は産婦人科や外科が行っておりますが、産婦人科では主に検診の意味合いが強い様です。(超音波はできると思いますが、乳腺撮影はできるところは少ないと思います。)二次検診を含め、種々と検査となると外科の乳腺外来が適当と思います。(文責 石田)
【No.246】00年08月23日 E.A.さん
化学療法中の運動について相談室のページを拝見させて頂いています。知らなかったことが沢山あり、とても参考になります。お忙しいところ申し訳ありませんが、質問を送らせていただきます。
私は、4月5日に左乳房の非定型的切除術を受けました。病理検査でリンパ節への転移がみられたことから、抗癌剤の点滴治療(タキソール)を受けています。血液検査の結果、腫瘍マーカーや肝機能の数値には異常が無いそうですが、コレステロールの数値が高くなっているとの指摘がありました。(体調は良好です。) 運動不足が原因かと思いますが、治療中でもどの程度の運動が可能か、どの様な運動が良いのかアドバイス頂きたいのですが・・・(左手では、どの位の重さのものまで持っても良いのでしょうか?)リンパ節も切除されていると思われますので、ある程度、左上肢のむくみの可能性は常にあると思われます。現在再発予防にTaxolを投与されている由、生活上の注意としては、第一は現在の治療の副作用がどの程度であるかによります。内分泌療法は併用しているのでしょうか。当然ながら白血球減少が著明の場合は、人ごみを避けたり、風邪などひかないよう十分注意する必要があるし、副作用としての末梢神経のしびれがある場合もあります。
乳癌の術後の食事療法としては、とにかく肥満を予防することです。動物性タンパク/脂肪を控えて、野菜、魚など十分にとるようにしてください。特に内分泌療法を併用している時はなおさらです。肥満は予後不良にする因子との報告もあります。肥満には注意しましょう!!
術後の運動については、個人差が多く何とも言えません。上記の肥満防止のため、良く歩くこと、水泳などの全身運動はおすすすめです。病気以前に種々のスポーツをやられていた方は、十分続けられると思います。患側肢で重いものを持つことは確かに浮腫のきっかけなることもあります。肘に物を下げたり、血圧を計ることなど上肢の一部を締め付ける動作は避ける方がよいと思いますが、1kgくらいのものをもって、少し移動するくらいは問題ないと思います。1回の動作でむくむことは比較的少ないですが、上肢がかなり疲れたりだるくなる場合は、無理はしない方が良いでしょう。(文責 石田)
【No.245】00年08月19日 I.T.さん
胸のしこりについてはじめまして。兵庫県在住の津田と申します。突然のメール、失礼いたします。実は私の妻の胸のしこりについてご相談がありましてメールさせていただきました。
私の妻(36)は、今年の1月4日に帝王切開で出産した後、左胸内側上部にしこりがあるのに気付きました。形は縦長で、1.5cmくらいあったと記憶しています。さわるとクリクリ動きました。そこで入院していた産婦人科で、針を刺して検査してみたところ、母乳らしきものが出てきたので、ひとまず経過観察することになりました。なお、その時の触診で、しこりは他に小さいものが近くに2個あったそうです。その後、半年ほど経過するうち、しこりは小さくなっていき、米粒よりひとまわり大きいくらいで、触ってもわかりにくくなるようになりました(他の2個のしこりはなくなったようです)。そして7月に同じ産婦人科で、超音波検査した後でしこりに再び針を刺して検査しようとしたところ、小さすぎてうまくいかなかったため、2ヶ月ほど様子を見るように言われました。書物によると、乳がんは授乳期には発育が早いとのこと。このまま産婦人科の医師の言うとおり放置してよいものか心配です。妻は呑気にしているのですが、やはり乳腺の専門医に診てもらったほうがいいでしょうか。アドヴァイスお願い致します。授乳中のしこりについての御質問だと思います。乳汁が貯留してしこりを度々作っている様ですが、乳汁が確認されれば安心だと思います。その先生は度々、超音波を行ったり、細胞検査を行っているようなので、乳癌にも造詣の深い方と察します。今の方法経過観察で十分だと思いますが、納得が得られないようでしたら乳腺専門医に相談されれば良いと思います。他に行うとすれば、乳腺X線撮影があると思います。(文責 石田)
【No.244】00年08月19日 K.I.さん
乳癌再発について最初の乳癌は47歳に右側に発見、99年4月13日に摘出手術、5cm摘出、同時に再建手術(背中より)、リンパ節に2個発見。その後の治療は、抗癌剤月2回×4ヶ月、ゾラテックス注射2年の予定。再発発見は8月17日。今回も同じ右で乳房上部5cm位上部の脇より2〜3cm内側のところに、1.5cmのしこりがあったので、エコーで見たところガンという事で局部を来週水曜日(23日)一泊入院で切除することになりました。大胸筋と小胸筋の間にあるとの事で珍しいと言われました。只、これは局部を取ってしまえば大丈夫と言われたのですが、どうなんでしょうか?手術する前に転移していたものか、その後に大きくなったもので、新たに出来たものではないと言いますが? これから手術するにあたって、この方法が正しいのかお聞きしたいのですが………。よろしくお願いします。
47歳 リンパ節転移2ヶ 同時再建 術後抗癌剤 4クール ゾラ 2年、1年4月で局所再発( Rotter再発)疑い 切除予定と理解しました。
まだ局所のしこりが再発がどうか分かりませんので、何とも言えません。最初の手術でどこまでリンパ節を取ったのか不明ですが、大胸筋と小胸筋の間にはリンパ節がありますので、その部分に元来癌細胞があって、種々の再発予防治療に抗して生き残り、再発したものと思います(切除の結果陽性であれば)。切除したものの検索、遠隔転移の検索後、治療法について検討がなされると思います。診断的にも、治療方針を決める上でも切除は是非必要です。(文責 石田)
【No.243-1】00年08月19日 みお
がんの再発について71才になる母の乳癌について質問させていただきます。20年前、右乳房の乳癌をハルステッド法で切除(リンパ節転移なし)。その後、半年に1度ごとの検診を受けていましたが、残念ながら左乳房にも乳癌ができ、先日、乳房とリンパ節を切除する手術を受けました。
・これは、いわゆる“乳癌の再発”にあたるのでしょうか?
・昨日、担当医より今後の治療方法についての説明(抜糸と同時だったので、母だけが聞いてきました)があり、「ホルモン依存性のガンなので、ホルモン療法(経口薬)を行う」と言われたようなのですが、化学療法を併用する必要はないのでしょうか?
・手術の際、「腫瘍の大きさは2・以下だったが、切除した20のリンパ節のうち5つに転移が見られた」と言われたのですが、再発の危険性はどのくらいになるのでしょうか? 最悪の場合、1年以内に死亡することもあるのでしょうか?(今のところ肺には影がないと言われていますが、骨の検査はこれからです)
実は、母が入院・手術した病院では、すべてを本人に話すことになっているようで、父や私(36才)がいない席で話が進んでしまいます。また、母は、前回・今回ともに担当していただいている医師をとても信頼しているため、突っ込んだ質問をするのをいやがるのです。そのため、しこりが発見されてから1年近くも“様子を見る”ままになっていたことなど、私にとっては納得いかないことがあってもあまりくわしい説明が聞けず、ついつい不安ばかりが募ってしまいます。ましてや、貴ホームページの掲示板を読ませていただくと、「リンパ節への転移が4つ以上は再発率が非常に高い」とありますし・・・。お返事いただければ幸いです。ちなみに、母は私の実母ではないため妊娠の経験はありません。20年以上も経過した対側乳癌で他に遠隔転移が無ければ、これは転移ではなく、新たにできたものと思われます。治療法については、まだ転移巣の検索が全部終わっていないのでなんとも言えません。ホルモン依存性とのことで、とりあえずホルモン剤の投与を開始したものと思われます。以後の治療については、全体的な検索の結果が出た時点で、御本人と相談の上決められるものと思います。リンパ節転移が5個とのこと、平均では再発率は40〜50%と高いと考えられます。5年生存率は70%程度といわれています。御高齢ですので治療法については年令も考慮しなければなりません。乳癌では再発後1年以内に死亡することは極めて稀なことです。(脳転移は別ですが)
詳細は御家族の方が直接主治医の先生に伺うのがもっともよいと考えます。Dataはあくまで平均値ですので、これをどう考えるかは難しいところです。(文責 石田)
【No.243-2】00年11月30日 みお
めまいについて以前、71才になる母の乳ガンについての質問をさせていただいた者です。(20年前、右乳房の乳癌をハルステッド法で切除(リンパ節転移なし)。今年8月、左乳房にできた乳癌を切除。腫瘍の大きさは2センチ以下。切除した20のリンパ節のうち5つに転移。ホルモンレセプターは+)その節は、ていねいなご返答をいただき、ありがとうございました。
その後、母は順調に回復。日常生活に支障がないほどになりましたが、最近、「めまい・立ちくらみがする」と訴えるようになりました。日中は大丈夫だそうで、夜、横になった姿勢から立ち上がるときがいちばんひどいとか。気になりだしてから、もう2週間ほどになります。血圧は正常、気分が悪いこともないので、起立性貧血でもなさそうです。もしかしたらこれは、転移・再発などの前兆なのでしょうか? それとも、現在服用しているタモキシフェンの副作用なのでしょうか?私にきちんとした知識がない故の取り越し苦労とは思いますが、やっぱり心配になり、質問させていただきました。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。タモキシフェンの副作用として、頻度は少ないと思いますが、頭痛やめまいもあるとされています。主治医の先生と相談して、休薬して症状がとれるようならその可能性が高かったことになります。今回手術された乳癌はリンパ節転移があったとのことで、脳転移も視野に入れ、症状が続くようならCTなどの検査を考慮しても良いかもしれません。ただ、日中は大丈夫といったように、症状の持続性が無いようなので可能性は低いと思いますが・・・。(文責 片山)
【No.242】00年08月19日 K.A.さん
乳癌の骨転移についてはじめまして、ホームページを拝見させていただきました。大変参考になり、また、すばらしいホームページを作られた努力と熱意に感激いたしました。
ところで、知人に乳癌で苦しんでいる人がいます。その方は、主治医と信頼関係を築けず苦しんでいます。少しでも力になりたいと思い、また、わからないことがいくつかありますので、お忙しいところ申し訳ありませんが、2,3質問させてください。
@乳癌はなぜ、骨転移が多いのですか? もちろん肺への転移は多いそうですが、他の血流量の多い肝臓や脳等より骨転移が多いと聞きました。選択的に骨転移をする機序を含めて教えてください。
Aope摘後の乳癌の骨転移が発見された後の予後について教えてください。原発巣がコントロールされているケースについてと、原発巣の再発率等について教えてください。
B骨転移に対して放射線治療の作用機序と、なぜ疼痛に対して効果があるのかについて教えてください。
Cope摘後(5年前、現在50歳)、骨転移にたいして疼痛があり辛いようです。今後の治療、生活環境等についてアドバイスがあればぜひお願いします。
長い文章を読んでいただき真にありがとうございました。 わからないことを調べるすべがなく途方にくれていました。お手数かと存じます。もし、お時間が許せば、是非返信していただけませんでしょうか。お願い申し上げます。最後に、神奈川県乳癌治療研究会事務局様のますますの御活躍とご発展をお祈り申し上げます。1)乳癌の転移再発は確かに骨が最も多く、次いで肺、肝臓と続きます。転移の機序の一つとして肋間静脈、脊椎静脈を癌細胞が逆流して骨、骨髄に転移するといわれ、胸椎、腰椎に転移が最初にきやすい説明となっています。しかしながら何ゆえ骨に最も多いか(機序)については、明瞭な答えはありません。癌細胞はおそらく肺や骨や肝臓に同等に散布されると思われますが、骨に着床してそこで発育する、乳癌癌細胞の親和性(発育しやすさ着床しやすさ、)があるものと思われますが、研究段階です。
2)術後の骨転移例の予後については、再発までの期間、治療の反応など種々の因子がありますが、平均すると5年生存率は20%〜30%です。原発巣がコントロールされている場合となると恐らくStage2以下の予後はということになり、予後は70〜80%の5年健存率と思われます。この場合の再発例の局所の再発率は10%以下です。
3)骨転移に対する疼痛緩和率は80〜90%といわれております。疼痛機序については癌細胞が骨を破壊し骨膜へ、さらに変形を来し周囲の神経圧迫による疼痛を来すと思われます。照射により癌細胞が相当数消失し、これらの圧迫を軽減するものと思われます。これだけで全部は説明できませんが、有効であることは確かです。
4)術後骨転移で疼痛がある例に対しては、他の転移巣の検索を行いつつ、通常は全身的に抗癌剤、ホルモン剤による治療がおこなわれます。疼痛がコントロールされない場合、疼痛部位が明瞭な場合は放射線照射を併用します。骨転移の部位や状態により生活上の注意は異なると思います。骨折の恐れがある場合、それなりの注意/コルセットの使用などが必要です。これらに関しても主治医の先生と十分に話し合って行って下さい。細かい状況が分かりませんので個々の再発率については、不明です。治療法についても個々の状況を鑑みて行うべきですので、やはり主治医の先生と信頼関係の中で納得して決めるべきこと思います。(文責 石田)
【No.241】00年08月16日 R.R.さん
乳首の脇の黒いできものがただれてきました30歳で独身です。数年前から左乳首の脇に黒いものができ、表面がただれてきました。怖くてみることができなくなってきました。生理も3〜4日で軽く逆に腹痛や腰痛がひどくなってしまいます。可能性として考えられる病名、治療方法、予後などを教えてください。よろしくお願い致します。
数年前からの乳首の脇の黒いものが最近ただれてきた30才女性とのこと、書面からではその大きさ、性状、しこりの有無、乳首自体の変化、どんな浸出物かなど不明ですので何とも言えません。あえて想像すれば、乳輪部皮下の粉瘤が最も考えられます。鑑別すべきものとして黒色腫、ぺージェット癌(乳癌の一種)がありますが、その経過からすると可能性は極めて低いと思われます。粉瘤とは乳輪下あるいは皮下の皮脂腺が閉塞して中に皮脂がたまり時に感染を来し自潰するものです。切開あるいは摘出で治癒します。 いずれにしてもこれ以上のことは言えません。外科あるいは皮膚科の受診を是非お勧めします。大丈夫だと思いますよ。(文責 石田)
【No.240】00年08月12日 J.N.さん
17歳なのですがーーー。左胸が痛くて、胸の中にしこりのようなものがあります。私はまだ17歳なのですが、この年で乳癌である可能性はありますか?私はどうしたらいいですか?不安でたまりません。
17才で痛みを伴う乳房のしこりとのこと、可能性としてはホルモンのアンバランスに伴う乳腺内の炎症あるいは良性の線維腺腫と思われます。乳癌の発生は40才台が最も多く、ついで30才台、50才台で、20才台後半も5ー10%位は発生します。私が経験した最若年者は21才です。極めて稀に17才、18才発生例も報告されています。とにかく一度乳腺外科の専門医を受診することをお勧めします。おそらく大丈夫と思いますが、一人で心配していても解決しません。(文責 石田)
【No.239】00年08月12日 pipi98
手術法の選択に迷っています44歳書道講師既婚。右乳房乳首下内側に1.5cmの癌。検査では転移の可能性少。温存術でリンパ郭清は選択可。後遺症の説明を受ける。治療ではなく予防とのこと。このHPで治療の現状がよく分かりました。残した場合、治療内容に支障が出る可能性は? 5週の放射線と6ヶ月の抗がん剤との計画。 リンパ節に転移再発の場合、どの検査で明確になるのでしょうか。仕事柄、利き手ということもあり、残したいという思いが強いですが、放射線でも郭清と同じ後遺症の可能性があるのですね。腹部の検査で、胆石5mm、3個も発見され、一緒に腹腔鏡手術をと、勧められましたが、体への負担を考えると、少し不安です。痛みが出る前に、取っておいた方が良いでしょうか?
病期1で乳腺温存療法の適応で、腋窩リンパ節切除をするかどうかの選択を求められている状況と思われます。即ち腋窩リンパ節切除の省略はまだ標準治療となっていないので適切な答えは難しいところです。しこりの大きさから転移の確率は極めて低いのですがゼロではありません。即ち転移リンパ節が残る可能性がわずかながらあリます。しかし全体として予後に殆ど関係がないだろうと考えられるようになり、腋窩リンパ節切除の省略が成立するようになったのです。
腋窩リンパ節切除の省略は上肢の合併症(むくみや痛み、挙上制限など)を防ぐことは出来ます。切除例でもこの合併症はそれ程多いものではありません。しかし確かに患側の上肢を酷使するのは辛いかも知れません。私の患者さんで書道家はいますが、多少辛いけど元気に続けております(廓清はしています)。術後おそらく腋窩には照射は行わないと思います。抗癌剤の投与も切除したものを検索して行うことが多いのですがどうでしょうか。予後を左右するのはあくまでも遠隔の再発です。この予防のために化学療法が考慮されているのでしょう。温存乳腺への5週の照射は標準的と思います。
リンパ節の転移の発見はあくまでも触診が基本です。硬いリンパ節が触知されれば生検によって診断がつきます。
胆石症については全くの無症状であれば、手術はお勧めしません。海外へ行くとか突然発作が来ては困る状況が予測されるなら、時期をおいて手術することも考えられるでしょう。(文責 石田)
【No.238】00年08月12日 M.S.さん
乳癌に関して8月頭に母親が乳癌(第3期)の宣告を受けました。56歳になる母はいたって健康でしたので突然の通告に家族全員が大きなショックを受けました。母は8/6に抗癌剤の点滴注入(静脈)を受け(鎌倉市大船中央病院)、現在自宅にて療養中です。私共としましては心配している暇はありません。何とか母がより良い治療を受けられる様に活動したいと色々と情報を集めています。大変お手数ですが可能でありましたら下記の質問にご回答いただければ幸いです。
(1) 特に乳癌(第一期/二期/..の分類等)に関する情報を調べるのに適したサイト/機関などはございますでしょうか?
(2) 癌の治療は機関によって異なるとのことを聞きました。また、最近は欧米的な患者側とのコミュニケーションをより重要視する機関も増えてきているとのことも聞きました。神奈川県(特に横浜市、川崎市、藤沢市)の中で最も優良とされる乳癌の治療機関にはどこが挙げられますでしょうか?
(3) 大船中央病院は国内でも著名な乳癌治療機関とも聞きましたが、何か詳細情報はございませんでしょうか?
(4) 母は抗癌剤の副作用で食がほとんど進まない状況にありますが、どの様な食べ物、飲み物を摂取するのが適しているのでしょうか?
(5) 母は現在抗癌剤の副作用による苦痛と恐怖感と戦っていると思いますが、この様な状況下で精神的な助けとなる為に知識を高めるに適切なサイト/書物等はございますでしょうか?1)乳癌に関するサイトの情報はあくまでも一般的なものですので、今の主治医の先生から伺うものが
もっとも確実で、信頼性のあるものと思います。乳癌に関する知識情報は、国立癌センター 始め多くの癌センターからHPが開かれているし、乳癌の友の会もソレイユやその他多数あります。神奈川乳癌治療研究会でも情報は流していますが、前記の機関にアクセスするのも良いと思います。
2)現在、医療行為は癌に限らず患者さんや御家族と十分話し合い、納得の上で治療法が選択されます (理想的には)。神奈川県でも多くの機関で乳癌の治療を行っておりますが、神奈川乳癌治療研究会に参加している施設や、大船中央病院、大和市立病院などは、水準以上の治療を行っております。最も優良かどうかの評価は難しいところです。どの施設も最も優良と思って治療を行っているのです。最も大切なことは 出会った主治医の先生を十分信頼し納得のいく説明を受け、優しく扱っていただけるのであれば十分だと思います。施設の問題ではないと思います。
3)大船中央病院は国内でも最も多く乳癌の患者さんを扱っている病院のひとつです。特に温存療法に関しては先駆的な病院と思います。内容や成績、スタッフについての詳細は分かりません。
4)抗癌剤投与の期間は食欲低下、嘔気嘔吐、白血球数低下に伴う口内炎、歯肉炎などで十分食事ができないことはよくあることです。入院中なら高カロリーの点滴をして回復を待ちます。自宅であれば水分を十分にとり、食べられるもの、刺激性の少ないものをとって頂くしかありません。あまり副作用が強ければ、入院で様子を見ることも必要となります。これらは主治医の先生と十分相談し、指示を仰いで下さい。
5)乳癌の患者さんあるいは御家族の多くは同様の苦しみと戦っております。数ある患者の会にアクセスされたらいかがでしょうか。(イディアフォー、ソレイユ、、、)
いずれにしても過度の未消化な情報はえてして、当事者が混乱することにもなります、最低限の知識 を勉強し(多くの書籍が出ています)、あとは主治医の先生とのやり取りの中でやっていくのが 一番スムーズに進むのではないかと思われます。(文責 石田)
【No.237】00年08月10日 M.T.さん
葉状腫瘍が肺下の胸膜に転移妻(34歳)が度重なる胸部切除むなしく腫瘍が転移してしまい余命6ヶ月と診断。今後どの様な経過をたどるのでしょうか?奇跡的に回復する症例はないのでしょうか?
乳癌の中で悪性の葉状腫瘍は稀なもので、我々も経験は極めて少なく、明瞭な返答は出来ませんが、局所に何度か再発し、その後、胸膜転移を来した由、詳しい状況が分かりませんので何とも言えませんが、まず転移巣の切除が可能かどうか、他の臓器に転移があるかどうかです。すなわち転移巣の切除可否、化学療法の効果、免疫療法の効果などあらゆる手を尽くしても、進行性であれば予後は厳しいと思われますが・・・。進行性であれば肺病変が進行し、呼吸困難を来します。経過中他の臓器への転移を来せば、例えば肝臓や脳への転移が発現すれば可成り重篤となります。経験が少なく、これ程度の意見しか述べることが出来ません、すみません。(文責 石田)
【No.236】00年08月10日 yatii
しこりについて左胸の温存手術をうけて2ヶ月になります。放射線治療はしていません。現在ノルバデックスDと、ゾラデックスの治療をしています。骨の検査と胸部から腹部のCTを撮り転移はないと言われたのですが、最近右胸の外側に痛みを感じ、触ってみたところ小さなしこりをみつけました。わきの下にも痛みがあります。脂肪腺があると言われたことがあるのですが(2ヶ月前のエコーの検査)、わきの下やしこりが痛むものなのでしょうか。もともとそこに癌が出来ているのではないか、それとも転移なのかと不安でどうしたらよいのかわかりません。どうか宜しくお願いします。
乳癌温存手術2ケ月後、反対側の乳腺/腋窩の痛み、しこりに関する質問ですが、おそらく初回の手術前に反対側の乳腺/腋窩のX線、超音波の検査は行われていると思われるので、可能性としては、もともと慢性の乳腺症が存在し、ホルモン療法の影響で痛みを来したのかもしれません。早期の乳癌で痛みを伴うものは少ないと思います。転移の可能性は極めて少ないと思います。しかし両側発生は常に念頭に置く必要があり、早期に主治医の診察、検索を受けて下さい。(文責 石田)
【No.235】00年08月10日 T.I.さん
乳房内のでこぼこ私は29歳既婚、出産経験のない主婦です。特にガン家系ということもないのですが、以前からなぜか大変乳がんが気になり自己検診をするようにしています。もともと乳腺症と診断されたこともあり、乳房を強く押せば乳輪よりやや外側に鈍い痛みがあります。それは左側のみでです。そして毎月自分で腕を上げてなでるように検診を行っているのですが、ある月は左側にぽこっとしたはっきりしない膨らみみたいなのを触れることもあれば、またある月は今度は右側にぽこっと何かに触れたりと、必ずと言っていいほど乳房を撫でれば何かしらに触れてしまいます。今月も左側の外側に何かぽこっと乳房の中に小さな山のように膨れていると言った感じのものを触れ、押してみると軽い鈍い痛みがあるものがあります。私は毎月のように何かしら色々と触れてしまうため、今年になって既に4月と6月に二回乳腺外科を受診しております。(2回とも触診のみです)。さすがに今月は行きにくく、病院を変えるといってもいつも行っている専門の先生を信用しているためあまり病院を変えたくはありません。6月に行った時は主治医に、「あなたは胸が小さめで、乳腺も割と発達している方だからぼこぼこと平らじゃないのは当たり前。痛みがあっても気にすることではない。胸のぽこぽこと痛みのある膨らみは妊娠して授乳するのが一番の治療だと思います。」と言って頂いたばかりです。でもはやはり勝手に自分で「ここにはこんなぽこっとしたものは先月はなかったような気がする。新たに何かできた腫瘍だったらどうしよう」と毎月思ってしまいます。もうこんな生活、自分でもうんざりしています。
私の場合はこれからどのように乳がんチェックをしていったら良いのでしょうか?(毎月何かに触れて不安がっているので、これでは毎月専門医に触診して頂かないと気がすまない状態です。) それと、どのようなタイミングと言うか、どのようにして専門医を受診したら良いものでしょうか?ちなみに乳房の中に触れるぽこっとした膨れたものは、寝て腕を上げて指を下から上になで上げると触れますが、それ以外では触れないと言うか良くわからなくなってしまいます。(いつも大体そうです)。 寝てそれを触れた時、つまもうとしてもつまむこともできません。それを押さえながら起きあがると、乳腺と一体化してしまうというか、わからなくなってしまいます。一体何なのでしょうか?(診察をして頂いているわけでもないのに、このような質問をして申し訳ありませんが)
お忙しいところ本当に恐縮ですが、どうぞよろしくお願い致します。文面が理解しがたいところもあるかと思いますが、どうぞアドバイスのほど、よろしくお願い致します。文面から乳癌に対する不安が極めて繊細で強いと感じました。早期発見は確かに重要なことですが、過度になり御自分のQOLが妨げられるとしたら本末転倒といわざるを得ません。もともと乳腺症があるわけで、それは生理の前後、年令で変化すると思われ、触診所見を複雑にしているのでしょう。基本的には定期検診の間隔、普段の本人の管理、検査の間隔など、貴方が信頼する主治医(十分に説明され、貴方が常に納得して受診を終えられる医師です)に委ねるのが一番と思います。貴方の場合、触診上、体位によって硬い部分が周辺の硬さの異なる乳腺を通して触るわけで、この立体的な状況を理解しないとこの疑問は中々解消しないと思います。腫瘍はある日突然、発見されます、殆どは本人が発見します。しかしながら少なくも年2回確実に、検診を継続して受けておれば、手遅れになることはあり得ません。貴方のような方は外来に多く訪れます。いくら心配しても癌の発生を予防できるわけではありません、乳癌だけでなく、他にも起きうる疾患はたくさんあります。心配したら限りがありません。極端に走らず、通常のその年令ですべき検診を普通に受け、日常を暮らすのが健康な暮らし方だと思います。(文責 石田)
【No.234】00年08月10日 M.K.さん
抗がん剤について母(47歳)が今年の6月乳がん第三期で手術しました。抗がん剤を投与することになり、@インテンシグル点滴(アドリアシン・エンドキサン・5FUを混ぜて半年使用)Amib錠剤(2年間使用)のどちらを使うかをお医者さんと決め、@の方にしました。しかし2回目の投与の後、3400あった白血球が50まで下がりとても危険な状態でした。現在は薬でなんとか2000まで上がっています。第三回の投与は@の分量を半分にして行うとの事ですが、半分にして効くのでしょうか。よろしくお願いします。
進行性(3期)の乳癌に対して、術後再発予防にCAF療法を行っていると思われます。2クール投与して白血球数が十分増加せず3クール目を半量にして行うとのこと、骨髄への副作用からこの量しか使えないわけで、無効ではありませんが、効果は多少下がるのはやむを得ないと思います。骨髄機能が回復すれば再度、最初の量で治療するかも知れませんし、他の化学療法剤に変更するかも知れません。3期の乳癌ではこの予防治療が重要で、何とか続けられると良いですね。(文責 石田)
【No.233】00年08月10日 あき
左胸の痛みについて来月結婚する28歳の女性です。3ヶ月位前から、左胸の外側を押すとアザを押した時のような痛みがあります。(3ヶ月間、ずっと痛かった訳ではなく、思い出した時に押すと痛いという感じです。)普段は痛みはありません。押した時だけで、ワイヤー入りの下着がいけないのかなと思っています。しこりがあるのか、指でなでるようにしてみたのですが、米粒くらいのプチッとしたものがあるような無いような・・・これがしこりというのか分かりません。もちろん調べている時も鈍痛があります。その他、くぼみなど外見からの変化は無く、かゆみもありません。
お聞きしたい事は、胸を押した時の痛みから考えられる事と、しこりはすぐ分かるものなのかという事です。私は、ちょっと強めになでるようにしています。それでも、はっきりと分かりません。軽くなでるようにしただけで、すぐわかるものなのですか?結婚の為に会社を辞め、手続きの途中なので保険証が手元になく、すぐにでも病院に行けないのでご相談させていただきました。よろしくお願い致します。乳房の圧痛と小さい硬結、受診して乳腺撮影、超音波をとり、先生が触診するのを参考にすれば全て解決すると思いますがーーー。文面から乳がんの疑いは少なく、急ぎませんので保険証が出来てから受診して下さい。触診法は平手で特に指の腹を用いて、思っているより強く胸壁に押し付けるように触診します、乳頭を中心に同心円状に、ついで腋窩から乳頭に向かい、それを全周に行います。第二には各指を少しずつずらすように凹凸をさがします。特に乳輪の周囲や外側は注意して行って下さい。癌のしこりはかなり硬く、周辺との硬さの違いが明瞭です。本人がハッキリ分からないものは心配ないことが多いです。小さいものや深いものは難しいこともあります。いずれにしても、いずれ専門家の診察、説明を一回受けることをお勧めします。(文責 石田)
【No.232】00年08月10日 fukazo
高齢での乳癌手術について私の祖母が乳にしこりができたと言って病院に行きました。もし乳ガンだった場合,83歳という高齢で手術はできるのでしょうか?しこりの大きさは半径1.5から2cmぐらいです。大丈夫でしょうか?
乳癌はおよそ1%は80歳以上でも起こり得ます。高齢者では他にいかなる病気を伴っているか、どういう全身状態かで治療法が異なります。乳癌手術に関しては83才でも重篤な合併症がないかぎり、本人が拒否しないかぎり可能です。腫瘤の状態により局所麻酔で切除可能かもしれません、この場合腋窩リンパ節の切除は行いません。いずれにしても乳癌と明確に診断され、全身のチェックを受けた後に方針が定まると思います。(文責 石田)
【No.231】00年08月05日 jango
放射線治療について妻の乳癌治療について、摘出手術は終了したのですが、放射線治療を受けるべきか否か選ぶように担当医から言われ、迷っています。出来る事なら放射線治療まで受けたくは無いのですが、独自に調べてみると受けたほうが良さそうです。しかし、妻は皮膚が弱いので、皮膚のただれが残る事とリンパ浮腫になる事を最も恐れています。良いアドバイスを頂けたら幸いです。以下は病理の概要と疑問点です。
概要
・早期の乳癌で、2cm以下(7×7×5mm)の腫瘍でした。患部の周囲5cmを円形に摘出し、リンパ節の切除はしておりません。いわゆる浸潤癌1期かと思われます(JR東京HP乳癌の病期より)。病理検査の結果を見たのですが、浸潤の度合いは「周囲への浸潤は見られるが、脈管への浸襲はない。切除端部にも腫瘍細胞は無い。」と言うものでした。端部1cm内まで及んでいるかどうか等、細かいところは、不明です。以上の状態で、放射線治療を受けるべきかどうか明確な指針が得られません。疑問点は以下の通りです。
@放射線障害により疲れやすくなると聞きますが、それは治療開始後、何時頃から発症し、立てない程までの状態になる事は無いですか。(人によって違うのですか?)
A放射線治療の影響範囲
放射線照射により、乳腺及びリンパ節の破壊まで行われるのでしょうか?
Bリンパ浮腫
放射線によりリンパ節を破壊した場合、リンパ浮腫を引き起こす確率のデータはありますか?
Cリンパ節切除を伴わない浸潤癌1期の場合
放射線治療に依るリンパ浮腫の発症例はあるのですか? また、その他の後遺症の報告はありますか?
Dリンパ浮腫にならない為の予防法は明確なものがありますか?
E放射線治療後、しばらくはだるい感じが残リますか。それはどのくらいの期間でしょうか、人によって違いますか?
Fホルモン感受性が陰性だった場合でも放射線治療は行われますか?(一般には行われている様ですね)
G放射線治療後、直ぐに妊娠する事は問題ないですか?
以上です。また独自に調べた範囲で質問していますので、失礼な点、不勉強な点等あるかと思いますが8月7日頃までにご返事頂けると幸いです。放射線治療の進退は8月8日に取り決める予定なのです。疑問点についてお答えいたします。
1 放射線照射の副作用の全身症状として嘔気、車酔い感や、易疲労感があります。多くは照射開始後1週間頃から出る人が多い様です。その他白血球減少(感染し易くなる)皮膚炎(色素沈着でいずれ軽快する)などがあります。立てなくなる人は経験していません。
2 照射により温存乳腺に軽度の炎症を起こし固くなる例があります。これも一時的です。リンパ節については転移のあるものであれば破壊が行なわれる可能性がありますが、正常のリンパ節への影響はないと思われます。
3 リンパ節切除のない温存療法では、腋窩に照射をしないことが多いので影響がないと思われます。もし照射した場合、上肢リンパ浮腫の可能性は多少ありますが、リンパ廓清、転移がなければその可能性は極めて少ないと思います。
4 上肢のリンパ浮腫の予防は、腋窩のリンパ節の廓清を行なわないこと、廓清の場合は、術後、患肢の感染、けが、血圧測定、使い過ぎに注意することです。
5 ホルモン感受性が陰性の場合、これにリンパ節転移(+)であれば、陽性に比べ、やや予後不良とのことで化学療法を行なうことはありますが照射は選択されません。
6 照射後の妊娠について、照射中でなく投薬がない場合、可能ですが、再発のRiskが多少でもある場合は少し待ち、主治医と相談した方がよいと思われます。(文責 石田)
【No.230】00年08月05日 ぷうやん
石灰化のことで教えてくださいはじめまして。私はもうすぐ34歳、既婚で子供なし、昨年7月に初期流産をしています。現在乳癌のことでノイローゼになりそうなんです。昨年の4月に会社の乳癌検診(触診、エコーのみ)で両胸とも乳腺症と言われましたが、特に症状もなくそのままにしていました。今年の5月くらいから生理周期に関係なく右胸に痛みを感じるようになり、7月に都内の大学病院の胸部外科の乳腺専門の助教授の先生に診て頂きました。触診、エコー、マンモグラフィの結果、痛みは問題ないと思われるが、右胸に石灰化が見られるので、3カ月後にまた来るように言われました。そこで、私が大変ショックを受けていると、先生が「そんなに心配なら今もっと詳しく診てみましょう」とおっしゃって、問題部分をもっと集中的にマンモグラフィを撮り、その結果「これは問題ないですね。これからも年に1度の定期検診はちゃんと受けなさいね」ということで終わり、一安心したのですが、その後、別の個人病院の乳腺の先生とお話する機会があり、「石灰化の50%は初期乳癌」といわれ落ち込んでいます。そこでお伺いしたいのですが、
1.大学病院の先生が細胞診や生検をせず、マンモの写真だけで問題ないと判断されたことは普通のことなのでしょうか。それとも、また別の病院でもっと詳しく検査してもらったほうがよいのでしょうか。現在非常に出産を望んでいますが、もし妊娠するとやはりマンモの撮影はできないのでしょうから、検査をするなら妊娠は先延ばしにした方がよいのでしょうか。また再度マンモを撮るとしたら何ヶ月あければよいのでしょうか。
2.仮に今現在癌でなかったとしても、石灰化があるということはこの先ずっと乳癌におびえなくてはいけないのでしょうか。乳腺症の石灰化が癌化することがあるのでしょうか。
3.乳腺症でも生理周期に関係なくずっと痛みを感じることがあるのでしょうか。(痛みはその日によって乳首の熱っぽさだったり、乳房の圧痛だったりします。ただしはっきりとした「痛み」というほど強いものではなく、違和感という感じですが)
4.癌の中でも胃癌や肺癌等は食事や禁煙など予防方法がある程度あると思いますが、乳癌の場合はなにか予防につながることがあるのでしょうか。 また、こうして毎日くよくよすることで、ストレスにより余計に癌を誘発してしまうこともあるのでしょうか。
5.現在右腕の付け根になんとなくチクチクした痛みのような感じをうけます。これもなにか関係あるのでしょうか。右脇については件の大学病院でのレントゲンの結果異常なしと言われていますが・・・
ちなみに私は、祖父と父が癌経験者で、初潮は11歳で、30歳以上の未経産婦で、肥満で流産経験者の乳癌ハイリスクだと思います。
以上いろいろと書いてしまいましたが、不安で押しつぶされそうな毎日です。過去の相談履歴を読み、先生におすがりするしかないと考えました。妊娠の予定さえなければいつでも、レントゲンでも手術でも受けるつもりですが、年齢的にも今は出産することを第一目標にしたいのです。大変お忙しいなか恐縮ですがアドバイスを頂戴できたらと思います。乳房撮影における石灰化についての御質問ですが、お手紙からはおそらく両側に慢性乳腺症があるものと思われます。石灰化の陰影に関して、その形、数、集簇性などから良性か悪性かはある程度判断可能と思われます。主治医の先生の判断では拡大写真を含め悪性を思わせる特徴がないということですので、XPは1年FOLLOWで十分と思います。乳腺症内の石灰化像はよくあることですが、殆どの場合(上記悪性の特徴がない限り)良性と思います。石灰化が癌になることはありません。石灰化の50%は初期乳癌というのは疑問です。おそらく石灰化だけで見つかった乳癌の90%以上は早期非浸潤癌ということだと思います。いえることは乳腺症のあるかたは触診で腫瘤が発見しにくいため年2回程度の検診が必要と考えます。乳腺症があるようなので乳腺や腋かの痛みはよくあることです。これは慢性的に間欠的に出現します。
以上より妊娠については何の問題もないと考えますが、文脈のみからこれを軽々しくは言えません。主治医に判断をあおいで下さい。(文責 石田)
【No.229】00年07月30日 A.O.さん
乳がんの検査について教えて下さい10日程前に右乳房上部にしこりがあることに気づきました。すぐに近くの外科に行きましたら,触診,超音波で「大丈夫,乳腺症だろう。生理になったらまた来なさい」と言われました。どうして大丈夫なのか質問してもろくに答えてくれなかったので心配になり,生理がきてから,別の病院へ行ってきました。その時のしこりの大きさは,30×17mmだといわれました。
別の病院では,超音波でしこり大きさは,13×17mmという結果でした。しこりの中に石灰化しているらしいものもあるといわれましたが,何のことなんでしょうか?それから「悪性の可能性(五分五分)もあるので,すぐしこりを全部切り取りましょう」と来週そうそうににも簡易手術?するようにいわれ,びっくりしてしまいました。「大きい病院では,時間もお金もかかるから,ここですれば20分ぐらいですぐに済むよ」ともいわれましたが,そういうものなのでしょうか?超音波だけの検査で,悪性化,良性化の判断をする為に,しこり全部を切り取って調
べるということに不安を感じます。これは摘出手術とは違うのでしょうか?
とりとめもなく書いてしまいましたが,ぜひ教えて頂ければ幸いです。石灰化はカルシウムが沈着したもので乳癌のときにも、乳癌以外の腫瘍のときにも現れてきます。石灰化の形式から乳癌かそうでないかの区別はある程度つきますが、診断を確定するには生検といってその部分を摘出して組織診断する必要があります。あなたが来週受ける予定の簡易手術というのがこれにあたります。
わたしはあなたの乳房のレントゲンや超音波をみていないので生検を受ける必要があるかどうかの判断はつきかねます。あなたが生検をうけることに納得していないのなら、もう一度担当医によく説明してもらうのがよいと思います。(文責 麻賀)
【No.228-1】00年07月28日 M.S.さん
術後補助療法で悩んでます37歳の既婚女性です。子どもはいません。細胞診でクラスX.乳癌のステージTで乳房1/4切除と腋窩リンパ節郭清術を受けました。腫瘍は8mmの大きさ、組織学的分類では充実腺管癌でERとPgRともに陽性、リンパ節転移はありませんでした。医師からは妊娠を考えるのであれば治療をしなくてもいいレベルだが、ホルモン療法または化学療法(CMF)を選択できるといわれました。私としては妊娠は望んでいません。治療を受けるつもりですが、閉経前でホルモン療法は効果があるのか、若年なので化学療法を実施した方がいいのではないかと、術後の補助療法で何を選択したらいいのか悩んでいます。ホルモン療法または化学療法を受けた場合の生存率に差はあるのでしょうか?それとも他に治療法がありますか?
8ミリの大きさで、リンパ節転移がないのなら補助療法はしなくても良いと思います。行うとすればCMFかホルモン治療でしょう。CMFは抗がん剤治療としてはごく一般的なものです。ホルモン治療はタモキシフェン単独でもよいですが、閉経前なのでLH-RHアゴニストという生理を止める薬も併用した方が良いように思います。最近のデータではCMFでもホルモン治療でも生存率に差がないと報告されています。(文責 麻賀)
【No.228-2】00年08月05日 M.S.さん
術後補助療法で悩んでます(2)先日はお忙しい中、御回答(ホームページ No.228-1)いただきましてありがとうございました。その後、他の人から温存手術では局所再発予防に放射線治療をした方がよいと勧められました(主治医からは放射線治療の選択肢はありませんでした)。また二人ともCMF治療までする必要はないとの意見でした。またまた迷ってしまい、文献をみましたがよく分かりませんでした。下記の質問にお答えいただければとメールをいたしました。
1.乳房温存手術の放射線治療の適応と治療した場合としなかった場合の再発率の差について
2.ホルモン療法と抗がん剤(CMF)のメリット、デメリットについて
3.術後補助療法をしなければ再発率が向上するのかどうか(再発するかどうかは神の領域だと思いますが・・・。)
よろしくお願いいたします。1)温存療法の適応、方法について我が国でも完全に意見の統一をみません。温存療法術後の放射線療法の適応については、過半数の施設は温存乳腺の照射を必須としております(当北里大もです)。局所再発率はその適応によりますが5〜15%と報告されています。照射により3〜5%の局所再発の減少が得られます。しかしながら予後を左右する遠隔転移再発率は変わりありません。
2)術後の補助療法についての御質問ですが、メリット、デメリットについて、デメリットは種々の副作用(ホルモン剤では火照り、異常帯下、長期では子宮内膜癌、CMFでは消化器症状、白血球減少、易感染性、脱毛など)、毎日の薬の服用です。メリットについては原病の進行度によります。ある程度進行性なら再発率の低下が明らかですが、比較的早期であれば大きな差はありません。治療側としてはこのメリット、デメリットをてんびんにかけ、さらに御家族、本人の意見で決めることになります。(文責 石田)
【No.227-1】00年07月26日 A.O.さん
乳癌の判断と手術のタイミングについてはじめまして、30歳既婚、子供はおりません。右胸上に約3cm(触診とエコーの判断)、右腋したに2cm1個と小さいもの2個(これもエコーと触診の判断)と複数の腫瘍が有ります。7月31日に地元の外科病院に入院し、翌日手術を予定しています。担当医の意見で腫瘍の組織を一部取って、顕微鏡で見た後、当日摘出手術の予定です。腫瘍の組織は病理の検査に出して、詳しく調べるということですが、結果がわかるのは手術後になるそうです。傷をつけたあと、時間が経つと癌が広がる危険があるので、すぐに判断して切りたいということでした。万一悪性の腫瘍でなかったとしてもかんべんしてくださいということでした。すこし急ぎ過ぎじゃないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
最初の自覚症状は、6月頭に右腋のしたの違和感です。しこり(?)が小さかったため放置してしまいました。6月末に少し痛みが出たため地域の総合病院を受診したところ、形成外科に回されました。腋のしたをエコーで調べ、リンパ節の腫れが3ヶ所あるということがわかりましたが、「よく腫れる所なので心配ない」と痛み止めの処方のみで診療は終わりでした。なんとか食い下がって、内科の意見を聞きたいと言った所、内科の説明を受けることが出来ましたが、あいかわらず答えは「よくあることです」と言って胸の触診もしてくれませんでした。しばらく様子を見ていた所、大きくなってきたため怪我等で何度も受診している地元の外科医(内科/皮膚科も見ます。)をたずねました。触診にて初めて胸の腫瘍がわかりました。7月14日のことです。レントゲンは撮りましたが、もやもやとしか写りません。19日にCTスキャ/エコーを撮り、異物が存在することを確認しています。そこで癌について説明を受けました。25日に市の施設に予約して乳癌専用のレントゲンを取りに行きましたが、はっきりした画像は写りませんでした。もや〜っとした白いものが写るだけです。
手術は胸上を半月型に切り、胸上部の乳腺とリンパ線を取り除くそうです。このまま手術をうけてもいいものか、若干心配です。乳房と腋窩にしこりが触れるということで、担当医としては癌であれば早急な処置が必要と考えているのだと思います。そして、そのしこりの一部を切除して術中の迅速診断を行い、癌であることを確認した後に直ちに乳癌としての治療に入ろうというもので、乳癌治療の中ではよく行われる方法です。しかし、この方法もいくつかの欠点があります。そのひとつは術前に診断が明確にされていないので、癌であった場合、担当医の手術の方法の説明が多少焦点がぼけた言い方(がんでない場合も想定しなければならないので)になってしまうことでしょう。癌であった場合の担当医の説明をもう一度充分に聞き、納得して手術をうければ良いと思います。(文責 麻賀)
【No.227-2】00年08月18日 A.O.さん
術後の予防措置についてNo.227-1にてアドバイスいただいたA.O.です。安心して手術をうけることができました。ありがとうございました。8月1日に右乳房の部分(上半分)および腋下リンパ節の摘出手術を受けました。腫瘍の大きさは乳房には3cm×1、5cm、1cm×0、8cm、摘出リンパ節13個中3ヶに転移があったということでした。術後10日程で病理診断の結果が出たので尋ねた所、摘出した乳腺の周辺には癌細胞は見られなかったということと、書類の一部分に記載された”エストロゲン(−)”という箇所を指差して「ここも陰性だからリスクは低いと思われます。」との説明をうけました。私は腫瘍が大きいこととリンパ節の転移があったため、予防処置を希望しました。とりあえず1年くらい藥を飲んでみましょうということになりました。
質問1、処方された藥が具体的にどのような効果があるのか教えて下さい。抗癌剤(サンフラールS)、ホルモン剤(ノルバデックス)
質問2、病理検査の診断書(?)の写しをもらうことは医師に対して失礼にならないでしょうか。(説明がおおざっぱすぎて自分の癌がどのような性質のものなのか理解できなかったため)
よろしくお願いいたします。質問1
術後の再発予防に経口抗癌剤(サフラールS:最も多く使われているフトラフール製剤の一つです)と、抗エストロゲン剤であるノルバデックスが処方されているのものと思います。目的は再発予防で、すなわち体内に僅かでも残っているかも知れない癌細胞を死滅させる目的です。ERエストロゲンレセプター(-)?とのことで、この抗エストロゲン剤の再発予防効果はER(+)に比べると低いと考えられます。しかしこの組み合わせは副作用が少なく、比較的長く投与できるものと思われます。いずれにしてもリンパ節転移が3ヶあったとのこと、再発予防の処置は必要と思われます。
質問2
現在病理検査も含め、カルテの情報公開は当然のこととして、要求しても良いと思います。ただ、施設によっては書類を作成する必要があるところもあります。またコピーは原則としてしないとする施設もあります。しかし病理のコピーについては問題ないと思います。その際、内容について十分な説明を受けてください。(文責 石田)
【No.226-1】00年07月26日 夏子
充実性乳癌について39歳、2児の母です。2週間程前に外科にて、しこりの大きさが2cmの充実性乳癌と診断されました。手術をし、癌細胞がしこりの外側にあれば全部取らなければいけないとのことでした。しこりの外側に癌細胞があっても、乳房を残した手術の希望を受け入れてもらうのは難しいのでしょうか。また、この充実性乳癌とはどのような性質で進行程度、転移、再発等をお聞きしたく、ご回答をお願いいたします。
1)2.0cmの乳癌を含んで乳房の部分切除を行い、部分切除した切除断端あるいは残そうとする乳房側に癌細胞がたくさん遺残するようであれば(術中の迅速診断で)全摘に変更するのはやむ終えないと思います。しかし、少々の遺残が考えられる程度の場合は、その部分の追加切除によって部分切除(温存療法)が可能になることが多いです。温存する乳房に癌がたくさん遺残するような状態で終了し、放射線照射しても後日、乳房内に再発する確率が高くなり、あまりおすすめできません。
2)充実腺管癌は通常型の乳癌で、乳癌の中ではもっとも多い型です。腋窩リンパ節の状況がわかりませんが、2.0cmであれば多分、病期T期であろうと思います。病期T期の10年健存率(10年経過した時点で再発なく生存している割合)は85%程度と思われます。(文責 麻賀)
【No.226-2】00年07月27日 夏子
充実性乳癌について その2診断結果が変わりました。前回の超音波では充実性乳癌でしたが、細胞診の結果、粘液癌でした。再度超音波でみたところ、2cmのしこりのほかに1.3cmのしこりがすぐ側にあり、あわせて4cmはあるようでした。これらは乳首の割とすぐ下にあり、大きさからも乳房切除になるのではないかとのことです。入院が8/2、手術が8/4となり、どうか乳房が残りますようにと祈るばかりです。私の場合乳房が残る可能性はないのでしょうか。この粘液癌は現在あるしこりから離れた場所や、右胸にも出来ている場合がありますか。主治医よりしこりに刺激を与えないように言われましたが、温泉に入ることは避けた方がよいのでしょうか。
一般的には一側の乳房内に2個以上のしこりを触れる場合は乳房切除の方が良いとされています。これは同側の乳房にそれ以外にも癌の存在している可能性が高くなるからです。しかし、この2個のしこりが非常に接近しているような場合は前に返信したように、術中の迅速診断を行い、温存する乳房に癌の遺残がなさそうなら温存が可能となることもあります。あなたの場合どうするのかは主治医と良く相談の上決定してください。右胸とは反対側の乳房のことと思いますが、現時点でできているかどうかは検査を行っていると思いますので、そのようなことをいわれていないなら、できていないと思います。将来できやすい可能性はあります。あまりしこりそのものをつまんだり、もんだりしない方が良いですが、温泉に入ったりすることは一向に構いません。(文責 麻賀)
【No.225】00年07月25日 Toshi
教えて下さい私は28歳の女性で、6月9日に乳房温存療法で、乳管を4分の1とり、1.5×1.5センチの腫瘍が乳首と乳輪のところにあり、その近くには、石灰化しているものもあり、局部麻酔でとって検査に出し、その結果粘液ガンと非浸潤性入管ガンが見つかり、リンパ管の入り口に浸潤しているものがあると言われ、7月5日にリンパ節かくせい術、手術レベル2までやり転移がなかったと言われました。術後、2週間後に放射線治療と、1週間後に薬は、ノルバデックス(一日2回、朝夕)、フルツロンカプセル200(一日2回朝夕2カプセル)を飲んでいます。
先生には、35歳未満で乳がんになったのでハイリスクだし、いっぺんに2つのガンが見つかったのでガンができやすい体質だと言われました。先生には、早期がんだと言われましたが、どうなんでしょうか?また、粘液ガンは、特殊なガンと言われましたが、どんなガンなんでしょうか?脇の下が、へこんでいるけど、これは、元に戻りますか?また、腕を上げたりする、いいリハビリの方法を教えて下さい。1.35歳以下で一側の乳房に乳癌が出来ると反対側の乳房に乳癌が出来る確率は高く、そういう意味でハイリスクだと思います。
2.粘液癌と非浸潤性乳管癌が合併していて、粘液癌の部分を触知しそれが1.5cmであるとすれば術前の病気はT期となり、早期がんといっても良いと思います。
3.粘液癌は乳癌組織を顕微鏡でみたときの所見で細胞の中に粘液を含むものです。通常型の乳癌に比べ、再発や転移をおこす確率がやや低いと思います。
4.腋窩郭清部分のへこみは自然にはなおりません。
5.あなたの通院している病院に腕のリハビリについてのパンフレットがあると思いますので、それを参考にしたらどうでしょうか。それでも腕の挙上が十分でないなら、整形外科医を一度受診し、腕が挙がらない原因を調べてもらうのが良いと思います。(文責 麻賀)
【No.224-1】00年07月25日 MIYAKO
母のことについてはじめまして。母が右胸をとってから4年9ヶ月が経ちます。1年前位から「右手があがらない・痺れる」と言ってましたが、ここ最近になって本当に右手に感覚がなく(リンパが流れてない様子)動かない状態になってしまいました。手も体温がありません。4月には腕の手首よりが腫れていたのですが、「玉川温泉に行って腫れがひいて、痺れも一時なくなった。」と喜んでいたのもつかの間、動かなくなってしまいました。今は、医者に週2回、検査をしてもらってますが、やはり先生は問題ない・・・と言ってますが・・・。結構深刻です。手が動かないことで家事も出来ず、食事も左(右利きです)で食べたりして、思う通り手が動かないのでストレスが溜まっていると思います。前向きな母親も最近は、弱気になってしまったので心配です。やはり手術をしてとったのでリンパの流れも悪くなり右手が動かなくなってしまったのでしょうか?動くことは出来ないのでしょうか?治す方法はありますか?
現在は、月2回医者に通いながら、祖母の妹(いわゆる母の母親の妹)がテルミ(漢方のお線香みたいなもので熱を与えてその煙でマッサージしてます)の先生?なので身内っていうのもあって安心?だと思うので週1or2日通ってその療養もしています。多くの癌の人を治したり、母が30歳後半でしじゅうかたをしたときも治してくれたので、今回も期待してるのですが、母も思い通り腕が動かなくなってしまったので弱気になっています。
母には可能性のある限り、治るのならいろいろな方法を試してもらいたいと思ってます。人それぞれ違うので、それで自分にあったもの、治るものを見つけて欲しいと思ってます。再発が勿論一番心配ですが、検査もまめにしてもらってるのでお医者さまにまかせて、今は右手が動くようになって欲しいです。
お忙しい所申し訳ございません。何かよい方法があればアドバイスいただきたいと思います。宜しくお願い致します。乳癌手術後の普通の状態であれば腕が上がらなくなるということはないと思います。乳癌術後に胸や頚に放射線をかけているのでしょうか。かけているとすればその影響で神経障害が起こることはありますが。
また手術した側の肩関節周囲炎(40肩とか50肩)をおこして挙上できなくなっているのかも知れません。これであれば数カ月後には治ると思います。
いまのあなたのお母様の腕の状況が良くわかりません。医師に週2回みてもらって特に問題ないといわれているとのことなので、担当医にもう少しいまの状況について説明してもらったらどうでしょうか。(文責 麻賀)
【No.224-2】00年07月28日 MIYAKO
母のことについて(No.2)お忙しいところ、回答の程どうもありがとうございました。すみません。説明不足だったのですが・・・。腕全体が不自由だと思っていたのですが、腕は上がるそうです。指(手)の握力がなく、指は多少曲がるのですが、掴むことが出来ないみたいです。先日、千円札のおつりをうけとることすら出来なかった・・・とぼやいておりました。やはり、リンパの流れが悪いのでしょうか?指が気持ち左手よりも冷たい・・・気がします。8月の頭に医者へ行くので、もう一度医師に相談すると言ってました。又、何かアドバイスがあれば、伝授願います。宜しくお願い致します。
リンパ浮腫というのは腕が腫れてむくんでいるだけで、そのような症状はでてこないと思います。手の握力がない理由について担当医にその理由がわかっている場合には良く聞いてください。理由がはっきりしないのなら、場合によっては整形外科にも併診してもらったらどうでしょうか。(文責 麻賀)
【No.223-1】00年07月25日 HAさん
治療についての相談私は5月15日に自己検診で右乳房外側の下にしこりを見つけました。大学病院の乳房専門の先生を紹介していただきマンモグラフィは異常なし、超音波で左右の乳房に影があり細胞針をしました。結果は、左は異常なし、右は癌でした。0.8ミリの大きさで1センチ以下で見つかるのは珍しくクラス1の状態だそうです。手術日は7月31日温存療法でリンパ節を切除し、補助療法が必要か判断するそうです。たぶん補助療法は必要ないとおっしゃってました。
私が質問したいことは 今のところリンパの腫れがないのに腋かリンパ節廓清が必要かどうかということと、リンパを切除しなかったときのリスクがどれくらいあるのかということです。術後の放射線照射により再発率を下げることができると本にも載っていましたし、手術でとった乳がん組織中のホルモン受容体を検査することにより女性ホルモンに影響されやすい癌か、そうでない癌かを調べることでホルモン療法の必要性を判断することができないのでしょうか?あなたのようにリンパ節の腫れがなくても実際にリンパ節を摘出して顕微鏡検査を行うと20%程度の方で転移が認められます。現在の乳癌治療におけるリンパ節郭清についての考え方は218−1の方の返信の中に書いてありますので参考にしてください。
リンパ節をとらずなにもしなかったときのリスクは明確にはわかりません。いま行われているいくつかのトライアルの結果を待つしかないと思います。
あなたのようにリンパ節を取られることに対する心配があるかたはわたくしどものところでは(多くの病院でも同じと思います)センチネルリンパ節生検か放射線照射を行うことにしています。センチネルリンパ節生検については218−1に書いてありますので参考にしてください。リンパ節をとらずに放射線照射を腋窩に行え、リンパ節を切除したのとほぼ同等の結果が得られています。しかし、照射でも腕の腫れなどの後遺症は手術とあまり変わらないとされています。
どの方法があなたにとって良いのかはあなたの担当医と良く相談して決めるのが良いと思います。(文責 麻賀)
【No.223-2】00年07月28日 HAさん
治療の相談(No.2)早々にお返事ありがとうございました。26日に先生と相談をして、腋か廓清は、行わないことになり、補助療法もしないということになりました。少し、心配なのは、ホルモン受容体の検査は、しこりが小さいので(0.8〜1.2)、できないといわれ、補助療法の判断となる手がかりが無いという事です。組織の悪性度など何らかの情報を得ることは、できないのでしょうか?.また、リンパ切除の代わりに放射線治療は副作用を考え、反対されました。私は38歳で子どもが3人おりますが、転移のことを心配するより、年齢から言って乳房の再発の確立のほうが高いといわれました。それには、どのような対処をすればよいのでしょうか?よろしくお願いします。
1.摘出したしこりの細胞異型度や組織異型度から組織の悪性度を推定することは可能です。ホルモン感受性についての検査は受容体検査を行っていなければわかりません。
2.腋窩のリンパ節摘出を行わない場合は照射を行うのが普通のやりかたと思います。あなたの方法は摘出もせず、照射もせず経過観察し、リンパ節転移が出てきた時点で摘出しようとするものです。
このような方法もひとつのやり方と思いますが、主治医と充分相談の上行って下さい。
3.乳房内再発はあなたの通院している病院での定期検診を行い、早期に発見し、対処するのが良いでしょう。
4.私のいろいろな考え方はあくまでもあなたとのメールから得られた情報をもとに類推して述べているものです。これから治療を受ける主治医を信頼し、充分主治医と話し合った上で今後の方針を決めてください。(文責 麻賀)
【No.222】00年07月24日 Y.M.さん
不安です昨年、乳がんの温存治療を終え、放射線治療、CMF6クールの治療を今年の3月で終えました。64歳で3人の子供のいる女性です。最近、再発の不安を少しの体の変調で感じるようになりました。ここ2週間でいうと、痰のからんだ咳が出て、風邪薬を飲んでも治りません。朝は顔がむくんでいます。咳はそんなに激しいものではないのですが、肺がんを再発したのではないかと不安にかんじています。肺がんの症状でしょうか?また、どのくらいの症状が出たときに、乳がんの再発を疑い、医者に見せたほうがいいのでしょうか?あまり神経質になってはいけないと思いながらも、何か、前より体が弱った気がして、少しのことで、すぐ再発に結び付けてしまいます。よろしくお願いします。
あなたの今の痰がからんだり、咳がでたりするのは温存治療のときに行った放射線治療のためだと思います。数カ月経過すると症状は軽減していきます。現在の症状の程度によっては治療をした方が良い場合もありますので、担当医に良く相談してください。またなんとなく調子が悪いというのも、放射線治療とCMFを行ったためと考えられます。これも、もう少し時が経過すれば、改善してくるものと思われます。
あなたの通院している病院でも乳癌の定期検診は6カ月に一度、肺CT,骨シンチ、肝超音波などが行われるものと思います。その中で再発のチェックをされれば良いと思います。(文責 麻賀)
【No.221】00年07月23日 H.T.さん
母親の乳癌について65歳の母なのですが右胸にしこりを発見し、近くの市立病院で診てもらったところ悪性の癌なので至急、摘出しなければならないとのことでした。7月13日のことです。この時点で注射にて細胞をとりました。7月17日に入院し、その検査結果は7月18日にでましたが、白黒がつかなかったので、つぎは患部を直接摘出し検査することになりました。7月21日に摘出しはそれをその場でメスにて割ってみせてくれたそうですが、中はチーズ状のようなものだったそうです。大きさは1.2cmぐらいです。検査結果は7月25日に出ます。その他MRIでは異常なしです。私は癌に対する知識がないのでとても不安です。又、病院に対してもきちんと検査していないのに悪性の癌だといって、検査結果がでると灰色なのでまた検査といいます。複数の病院で検査をうけたほうがよいのでしょうか。アドバイスをお願いいたします。
あなたのお母様のしこりは触診や画像所見(超音波検査やマンモグラフィ)で強く乳癌が疑われたのだと思います。そこで担当医は早く手術をした方が良いと考え、入院・手術を予定していたのですが、細胞診(注射で細胞をとる)の結果では癌であるという確信がつかなかったものと思います。そこで生検といって腫瘍を摘出して組織検査を行い、その結果で方針を決めるものと思います。この組織検査の結果(7月25日にでる)で乳癌かそうでないかの確定診断がつきます。乳癌でなければこれ以上の治療はありません。乳癌であれば温存療法か乳房切除かの治療が今後行われるものと思われます。
たしかに患者さんやご家族からみると癌といわれたり、はっきりしないといわれるのはすっきりしないところはありますが、臨床の場ではこのようなことはときにあります。担当医は乳癌であれば早く治療をと考えたのだと思います。私自身の患者さんでもこのようなことは時々あります。乳癌診断の手順としては正しく行われており、問題点はありません。
しかし、医療者側としては一度診断したことを変更することは不信感を招くもとになりますので、細胞診の結果を待ってから入院を決定した方が良かったかもしれません。(文責 麻賀)
【No.220】00年07月21日 indico
放射線治療についてお聞きしたいのですが60才になる母についてお聞きしたいのですが。乳がんの手術を受け、今放射線治療を受けています。放射線をあてた処が赤く腫れて、とても痛いそうです。薬を戴いて少し楽になったそうです。放射線治療でこのような事は、結構あるのですか?心配しています。よろしくお願いします。
このような症状は放射線皮膚炎といい、このような事は照射により、よく起こります。いまもらっている薬をつけていれば良いと思います。治療終了後、しばらくするとなおってきます。(文責 麻賀)
【No.219-1】00年07月20日 カブ
乳腺線維腺腫といわれましたがーーー(1)右胸7時のところに、隣同士くっついて2つのしこり(1センチおよび3ミリ)、左胸中央よりやや下に1センチのしこりがあり、触診・レントゲン・エコーで調べてもらったところ、99%乳腺線維腺腫、しこりが小さいため針生検は今の段階では無理、むやみに体を切り刻むのもなんなので6ヶ月後に再検査しましょう、といわれましたが、どうしたものか悩んでいます。できれば摘出はしたくないのですが、1%でも癌の可能性があると思うと心配です。しこりの経歴としては、23歳のころ右胸に嚢胞をみつけただちに水分を摘出しました。4年ほどまえ、3個の嚢胞を発見し、2つは針で水分を摘出したのですが、右胸中央よりやや上にひとつは小さくて針で摘出失敗に終ったため残っています。大きさは変わっていません。また2年まえに右胸10時の位置に乳腺線維腺腫ができ針生検で異常なしといわれたものの半年ほどで大きくなったので摘出手術をうけました。摘出時には2センチほどありましたがやはり問題はないといわれました。繰返ししこりができるのは体質でしょうか。この体質のせいで癌になりやすいということはあるのでしょうか?今回かりに摘出したとしてもまた新しいしこりができるとと思うと心配でなりません。ちなみに親族で乳がんの者はいません。現在37歳で3歳の子供がいます。アメリカにいて言葉も不自由で大変不安です。どうぞアドバイスをよろしくお願いします。
一言でいえば6カ月に一度再検査するというのでよいと考えます。
1.乳腺線維腺腫は基本的には放置しておいて良いものです。あなたが前に行ったようにしこりが大きくなったら念のため切除するというので良いです。
2.乳腺線維腺腫の中に乳癌ができることはごく希にはあります(1%以下と思います)。しかし、この場合も発生する乳癌は非浸潤癌といって乳癌のうちでも悪性度の低い場合がほとんどです。したがって定期検診をしていく中で大きくなったり、画像所見で問題点がでてくれば生検をするという方針で良いと思います。
3.あなたのように乳腺線維腺腫が両胸に多発する方は比較的多いです。体質的なものです。この場合とくに乳癌になり易いとは考えられていません。
4.嚢胞も定期的に検査を受けていれば問題ありません。(文責 麻賀)
【No.219-2】01年03月22日 カブ
乳腺線維腺腫と言われましたがーーー(2)前回メールしたものですが、もう一度ご意見を聞かせていただきたくメールしています。半年後のチェックアップで超音波の検査を再度受けました。新しく2つの嚢胞が見つかりましたが、乳腺線維腺腫と思われているしこりはサイズ的にはほとんど変化がみられない、ということでした。念のため、状態が変化していないのを確認するためマンモグラフィーでもう一度検査をしようといわれました。この検査は必要でしょうか? またマンモグラフィーは一年未満に複数回してもX線の被爆量など心配しなくてもいいものでしょうか? ご意見を聞かせていただければ幸いです。
1年に2回程度のマンモグラフィの撮影はまず問題ありませんが、不必要な撮影はすべきではありません。6ヶ月前のマンモグラフィにしこりがうつっていて、変化が確認できるのであれば撮影する意味がありますが、それがはっきりしないのであれば超音波だけで十分と思います。(文責 徳田)
【No.218-1】00年07月19日 T.N.さん
温存療法or全摘42歳の妻のことで相談します。左の乳房にしこりを触れ、乳腺専門医院で診てもらったところステージT、クラスXの乳癌と診断されました。その医院で乳房摘出術を進められた為、セカンドオピニオンとして総合病院で診てもらったところ、1/2切除と放射線療法でいきますと言われました。同時に脂肪を寄せて乳房を再建するそうです。乳房を残したい妻は後者で手術を望んでいます。只,後者ではリンパ節切除術はやらないと言われたそうです。ガイドラインではリンパ節切除術は必須のように書いてあると思いましたが、ご意見をお願いします。乳首のほぼ真下から左側にかけて腫瘤があります。手術は7月28日の予定です。
乳癌手術のときのリンパ節切除は、現在乳癌治療医の間で議論されている問題で,どのようにすべきかはなかなか難しい問題です。
乳癌のうち浸潤癌の場合の乳癌手術では腋窩のリンパ節切除を行うことは、現時点での標準的な方法です。その理由は、切除したリンパ節に転移があればそれが治療そのものになりますし、リンパ節の転移個数によってその後の再発のリスクを推定できますので、術後にどのような抗がん剤を使うかの判定に役立ちます。もし仮に転移がなかった場合は、その患者さんが今後転移・再発をおこす確率は低いことが予想され、術後の抗がん剤治療を行わなくても良いかどうかの参考になります。このような観点からリンパ節切除を行うのが普通です。しかし、リンパ節切除を行うと、これに伴う腕のシビレや浮腫がときにおこることがあります。これがこの方法の欠点といえます。
そこでリンパ節転移がある人のみリンパ節を全部切除し、転移のない人は転移がないとわかった時点でそれ以上のリンパ節を摘出しない方法が試験的に行われ始めています。これはセンリネルリンパ節生検法とよばれているやり方です。手術前に色素やラジオアイソトープを腫瘍周囲に注入して、もし転移が起こるとすればこのリンパ節であるという場所をきめそのリンパ節のみを摘出して、そのリンパ節に転移がなければそれ以上の切除はせず、転移があれば全部リンパ節を摘出するのです。
この方法は全部リンパ節を取るのと比べ、腕の合併症が少ないのが長所です。しかし、この方法は数年後には治療法として確立する可能性が高いですが、現時点ではまだトライアルの結果がでていませんので標準的治療とはなっていません。
一方、腫瘍径があまり大きくなく、腋窩のリンパ節を触知しないような場合はリンパ節を切除する代わりに放射線療法(照射)を行うことも一部の病院では行われています。しかし、照射のみで行われた患者さんの数は少ないので評価は難しいものがあります。また照射でも手術のときと同じように、副作用がないというわけではなく、手術と変わりないと考えられています(合併症を少なくするために照射法を工夫しているところもあるようですが、その評価はこれからです)。
このように乳癌治療の際のリンパ節をどのように処置するのかはいくつかあるのですが、一般的には切除するということになると思います。なお乳癌のうちでも非浸潤癌ならリンパ節の切除は必要ありません。(文責 麻賀)
【No.218-2】00年07月21日 T.N.さん
温存療法or全摘(2)No.218-1でご回答を頂いたT.Nです。忙しい中早速お返事を頂きありがとうございます。さらに質問があります。非浸潤ガン、浸潤ガンの判定はいつどのようにして行われるのでしょうか?1/2部分切除で断端に癌細胞がみられた場合、わかった時点で全摘するのと、X線照射してガン細胞をたたくのとで予後に違いはあるのでしょうか?手術後、残りの乳房内に再発がみられた場合、他の部位の再発と同じように全身的に転移していると考えてよいのでしょうか?手術前に必要な検査はエコー、マンモグラフィー、生検、のほかに何がありますか?現在わかっているのは、ステージT、クラスX、乳頭線管癌です。よろしくお願いします。
1.乳癌を切除し組織検査を行ったときにわかります。あなたの場合、乳頭腺管癌といわれたのは組織検査の結果でしょうか。組織検査の結果であれば浸潤癌です。
2.乳房部分切除で断端に癌細胞が見られた場合、全摘に変更するのと、照射をするのとで予後に違いがあるかとの質問は大変難しいです。多分あまり差がないと思います。ただ断端に癌細胞がたくさん見られた場合は、乳房内再発の危険性が高くなりますので、全摘に変更することもやむをえないと考えます。
3.乳房内再発はときに全身転移を伴うこともありますが、それ単独でおこることも多いです。単独であれば再切除によりその後全身転移はおこしてこない場合が多いです。(文責 麻賀)
【No.218-3】00年08月12日 T.N.さん
術後の再発についてNo.218でお世話になりましたT.Nです。貴重なご意見ありがとうございました。7月28日に,妻が左乳房の部分摘出と、腋下リンパ節の摘出手術を受けました。腫瘍の大きさは1.8×1.8cm、摘出リンパ節8個中2個に転移が見られました。断端陽性、ER陽性(50)、PGR陰性でした。術後療法として、ホルモン療法(TAM-D20mg)、X線照射(通常より5回多く)、抗がん剤(CMF)を行う予定です。ここで心配なのは,断端陽性だと言う事で,再発の可能性が大きいのではないかと言うことです。担当の先生は,抗がん剤とX線照射で残存した癌細胞もほぼなくせると仰られましたが、先生によって意見が違うとは思いますが、経験上若しくはデータとして示せるものはありますか?ご意見お願いします。
断端陽性、リンパ節転移陽性とのこと、どういう形で陽性かによりますが、温存乳腺内再発に関して陰性例に比し陽性例の再発率は明らかに高いというDataはどの施設でも同じです。即ち5ー15%の高い方になるのでしょう。温存乳腺内にわずかに癌細胞が残っていたとしても必ずしも再発するとは限りません。いずれにしてもあくまでも予後に関連するのは遠隔転移ですから、それほど怖がることはないと思います。ちなみに当院では断端陽性は追加切除を原則としています。(文責 石田)
【No.217】00年07月19日 やちさん
不正出血について32歳既婚者です。子供はいません。6月に温存手術を受け、ホルモン治療をはじめて1ヶ月がたちます。(ゾラデックス注射+ノルバデックスD) 3日前から生理のときのような出血が続いています。
1. 薬の副作用と考えてよいのでしょうか?
2. 注射は2年、薬は5年のむことになっていますが、子宮の状態が悪くなリ子供が産めなくなるのではないかと不安です。少し治療法に不安をおぼえます。お忙しいのにすいません。お返事どうぞ宜しくお願いします。1.今回の不正出血は薬の影響で起こっている可能性が高いと考えられます。しかし、ノルバデックスを長く服用していると子宮がんになりやすいことが報告されていますので、婦人科での定期検診を行っていた方が良いと思います。
2.ノルバデックスの5年投与終了後に生理が規則正しく、起これば妊娠可能になります。妊娠可能になる人の割合はかなり高いものと思われます。(文責 麻賀)
【No.216】00年07月17日 K.M.さん
手術後の生活について現在38歳、今年2月に乳房温存手術を受け、その後放射線治療を終え、現在抗がん剤治療を受けています。お伺いしたいことが2点ありますので、よろしくお願いいたします。
1.病院に貼ってある、<退院後の生活について>という内容の中に、「直射日光は軽い熱傷と考えられるので、長袖を着用するなど注意しましょう。この注意は一生必要です。」とあります。これは、手術の傷や手術したほうの腕のことなのでしょうか。それとも、両腕、顔、手先を含めた全身に注意しなければならないということなのでしょうか。また、その理由はどうしてなのでしょうか。腕がはれてしまったりするのでしょうか。最近、毎日陽射しが強く、それでも外に出ることはあるので、気になっています。
2.現在受けているのはCAF療法で、ちょうど3クール終わったところです。2クール目の時までは月経が順調に(28日周期)来ていたのですが、2週間も遅れています。これは抗がん剤による影響なのでしょうか。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご回答よろしくお願いいたします。1.手術した方の腕についてのことです。手術した方の腕はリンパ節郭清を行っていると思いますので、たとえ目でみて張れていないように見えても、リンパ液の還流が多少なりとも障害されており、リンパ浮腫をおこす準備状態にあります。直射日光に当たりすぎると軽度の皮膚炎をおこしますのでリンパ浮腫の程度が強くなったりすることが危惧されるからです。しかし、かりに直射日光にあたっても、なんでもない人もたくさんいますし(大部分のかたは問題ありません)、あんまり気にしすぎることはないと考えます。この注意事項は一般的にはという意味です。あなたが今年の夏を過ごしてみて日光にあたったために腕がはれたと感じるようなら、次年度からは注意してみたらどうでしょうか。
2.CAFなどを2−3クール行うとそのころから生理がとまることがあります。抗がん剤で卵巣機能が抑制されたためにおこる現象です。卵巣機能が抑制され生理がとまることは乳癌治療にはプラスに働くことで良いことです。あなたは38歳と若いのでCAFが終了するとまた生理が再開すると思います。(文責 麻賀)
【No.215-1】00年07月15日 F.I.さん
乳癌の手術を受けましたが…私の妻(40歳)が6月8日に乳癌の手術を受けました。1/4程残しての温存手術でもいいし、全摘でもいいと言われました。結局術後の放射線治療の負担などから全摘し、6月20日に退院、この7月5日に職場復帰しました。ER(+)だったので、ゾラデックスを4週間に1度注射することになり、入院中の6月15日に1回目を受け、7月13日に2回目を受けてきました。そのときに検査結果が出たようで、リンパ節を22個検査した結果、4個に転移の状況が見られるとのことで、内分泌療法と併せてフルツロンカプセルを1日3回服用するように言われました。転移の状況が3個までだといいのだが、4個だと年も若いし進んでいることも考えられるので、抗がん剤を服用して模様を見たいとのことで、2週間分処方してもらい、2週間後また来るように言われてきました。そこで質問なのですが、
1.リンパ節転移の状況が3個と4個とでは違うとのことだが、どのように違うのか
2.副作用としてはどのようなものが考えられるのか
3.他の場所への転移を防ぐ方法はないのか、また、家庭で気をつけることなどないのか
小学1年生の子どもがおり、転移を心配し夜も眠れない状態です。心情をお察しくださり、回答の程よろしくお願いします。1.リンパ節転移の数が増えるほど、将来再発.転移の起こる確率が増えてきます。
リンパ節転移が1−3個の方と4個以上あった方の10年目に起こった再発・転移に有意差があり、4個以上になるとその割合が多くなるという意味です。
2.フルツロンの副作用として白血球減少や下痢、嘔気などがありますが、それほど強いものではありません。担当医はその都度、血液検査をして注意していると思います。
3.転移を確実に押さえられる薬剤は現在のところありません。しかし、再発・転移の割合を低くする薬剤はあります。ゾラデックスやフルツロンもそのような薬剤のひとつです。家庭で気をつける点といったものは特にはありませんが、十分な睡眠をとり早くいつもの生活に戻ることだと思います。(文責 麻賀)
【No.215-2】00年07月16日 F.I.さん
もう一つ質問させてくださいお忙しいところご回答ありがとうございました。もう一つ質問させてください。【bP50】のH.Iさんの質問で、回答の中に、「…胸筋温存乳房切除術(非定型的乳房切除術)の場合は、摘除した腋窩リンパ節で転移のあるリンパ節が4ヶ以上あった場合、乳房ではなく、患側の胸骨傍リンパ節及び鎖骨上窩リンパ節に50Gy Irradiationを行うことがあります。これは、4ヶ以上転移のある症例では、放射線照射した群がしない群に比べて有意に予後がいいという結果に基づいて…」という記述がありますが、私の妻も胸筋温存乳房切除術だったので、フルツロンの服用だけでいいのかという疑問が残りました。「行うことがあります」ということなので、すべてあてはまるのことではないことと思いますが、放射線治療した方がいいものかどうかご教示ください。
かつて(20年位まえ)日本でも、乳房切除を行い(胸筋温存乳房切除、定型的乳房切除)腋窩リンパ節に転移が多数(4個以上)ある患者さんの生存率向上のために胸骨傍や鎖骨上に予防照射(irradiation)が行われたことがあります。その結果は生存率の向上にはあまり寄与しないというものでした。したがってその後、生存率向上のためには予防照射はあまり行われなくなり、胸骨傍や鎖骨上への再発を防止するという観点からごく限られた患者さんに行われてきました。しかし最近(2年くらいまえ)、欧米でのトライアルの結果high risk(閉経前でリンパ節転移陽性、腫瘍径が5.0cm以上など)の場合は予防照射を行うと生存率が向上するという結果が発表され話題を呼んでいます。しかし、この結果はまだ確定したものではなく、さらにこれを検証するための大規模なトライアルが欧米で行われているようです。日本の乳癌外科医の間ではこの結果に懐疑的な人が多いようです。
したがって、今の時点であなたの場合に予防照射をすることのメリットがあるかどうかはわかりません。しかし、欧米のデータで一部の国のデータであれ良いという結果がでているのですから、あなたがたの方から照射を希望すればこれをやる必要がないとは言い切れません。よく担当医と相談の上決定すべきであろうと思います。(文責 麻賀)
【No.214】00年07月15日 Y.K.さん
乳管内乳頭腫こんにちは。私は29才のOLです。未婚で出産経験はありません。4年前に、乳頭から分泌物が出て外科で診察をした結果、乳管内乳頭腫と診断されほっておいてよいと言われました。その後なんともなかったのですが、最近また乳頭から黄色の分泌物が出るようになりました。何分かおきに、少量ですが乳房をおすと出てきます。(あんまり触らない方がいいのですか?)これはほっておいても治るものではないのですか?また診察は外科と乳腺専門とどちらへ行くほうがいいのでしょうか。心配になりメールしました。是非、ご解答のほどよろしくお願いいたします。
1.乳頭分泌の原因が乳管内乳頭腫のようなので、乳頭分泌は出るときもあれば、出てこなくなるときもあります。触っても別に悪いこともありません。
2.乳腺専門の外来へいくのが良いとおもいます。
3.乳管内乳頭腫は良性疾患ですから、切除せず放置しておいて良いのですが、乳頭分泌が気になるようなら乳管腺葉区域切除という方法で手術すれば分泌がなくなります。(文責 麻賀)
【No.213】00年07月10日 M.S.さん
"よくわからない” と言われた時は?10日ほど前に、近くの外科医院で定期的に受けている超音波検査により乳腺に4mmほどの影があると言われました。良性だと思うが一応精査したほうがいい、とのことでこの10日の間にその医者が紹介状を書いてくれた近くの医療センターと、自分で選んで受診した市大病院の外科で、計2回の検査を受けました。その結果は、双方とも ”レントゲンには何も写っていない” 、また”超音波でもよくわからない” とのことで、しこりが有りそうな箇所を精査しても、それらしきものが見当たらないということの様です。市大病院では、゛3ヶ月後に再受診するように” と言われ、近くの外科では”うちの超音波では写ったのだけれど、超音波の機械にも精度の差があるから。もしかしたら、実体のないものだったのかもしれないし乳腺にできたものだからもしかしたら消えてしまうかもしれない。様子を見て、半年後にまた見せてください”と言われました。最初に外科でしこりが発見されたときは、ちょうど生理の初日だったため、だいぶ胸が張った感じで痛みもありましたが、そのためにしこりが写り、生理の終りとともに小さくなって写らなくなってしまった・・・ などということもあるのでしょうか。私としては、これまで ゛良性だから経過をみるように” と言われ手遅れになったと言う話を多く耳にしているだけに、どうも釈然とせず、もうひとつ違う病院を受診したほうがいいのではないかと考えています。また、しこりを見つけた先生は、”4mmの小ささだと針も差せないので、結局経過をみていくしかない” というようなことを言っていましたが、万が一癌であれば小さければ小さいほど治りも良いはずで、大きくなるまで様子をみていこうと言われても納得がいきません。また、ふれるようなしこりがあっても、レントゲン、超音波では確認できない・・・ などということはありえるのでしょうか。( 医療センターでは、医師がしこりをふれた場所に印をつけた上で検査を受けたにもかかわらず、そこを超音波で探ってもそれらしきものは見当たらなかったそうです )
再受診する場合、父が胃がんを治療していただいた県立がんセンターで診ていただければと思っていましたが、電話で問い合わせた所 ゛紹介状がないと受診できない” と言われました。他の病院などでは、紹介状がない場合、それにかわる追加料金を支払えば受診できる所が多いようですが、がんセンターでは無理なのでしょうか。触れるようなしこりがあってもレントゲンや超音波でそれらしいものが見当たらないということはよくあります。この場合は乳腺症という腫瘍様病変であることが多いです。あなたの御質問のようなケースはよくあります。その4mmの病変は実体のないものかもしれません。あるいは乳腺の嚢胞といって液体の溜まった小さな袋のようなもので2回目には液体が吸収されて見えなくなっていたのかも知れません。このような場合は2カ所の病院でいわれたように経過観察することでよいと思います。しかし、あなたが気になるようであればもう一度みてもらい納得するのもよいと思います。
神奈川がんセンターは紹介状があった方が良いですが、なくてもみることは可能です。追加料金は取られるとは思いますが。月、水、金の午前11時までに総合受付にきて下さい。(文責 麻賀)
【No.212】00年07月09日 T.N.さん
手術後の腕のむくみについて私の妻は、3年半前に乳ガンの手術を受けました。その折りに、右腕付け根のリンパ節を除去しました。その影響で、右腕を使った日は、右腕全体が腫れます。最近では、マッサージをしてももどりません。良い方法はないでしょうか。教えてください。
乳癌術後の上腕のリンパ浮腫(むくみ)に対する効果的な方法は現在のところありません。腕のむくみがひどく患側と健側の腕の周径差が7−8cm以上もあり、腕が真っ赤に腫れ上がる症状を良くおこす場合には手術を考えることもありますが、その効果は一定ではありません。やはり波動マッサージ器を使って1日2−3回根気よくやるのが良いと思います。またある特定の運動や動作をすると張れがくるとわかっていればそれを控えるしかないと思います。(文責 麻賀)
【No.211】00年07月09日 T.K.さん
右脇が痛みます25歳未婚です。生理前になると、必ず右脇の下が張って痛みます。普段も左右比べると右の方が張れています。病院で調べてもらったのですが、(婦人科ではなく、外科でレントゲンをとりました)「異常はない」ではなく「分からない」と言われ、不安です。そのままにしておいて大丈夫でしょうか?
医師の言ったわからないという意味は多分、乳癌などの可能性はないが、あなたの今の乳房の症状の原因が分からないといったのだと思います。あなたくらいの年齢の方で生理前になると左右どちらかの脇と乳房が張れることは良くあります。生理不順など女性ホルモンのアンバランスがおきやすい方に多いと思われます。その症状自体はあまり気にしないで良いと思います。(文責 麻賀)
【No.210】00年07月07日 nakanishi
治療方法と妊娠について私は33歳、既婚者です。子供は、いません。6月のはじめに温存手術を受けました。リンパ節に転移はなく、1.5センチの初期癌(腺癌)であると診断されました。治療方法として、再発防止のためにノルバデックスDを毎日服用し(5年間)、月に一回ゾルデックスという注射を(2年間)うつことになりました。最低でも2年間は治療を続けて、妊娠のことはそれから考えていきましょうとのことでした。6月の終わりから治療をはじめています。今、からだの状態としては、こめかみあたりに軽い頭痛があります。(5月頃からなので薬の副作用ではないと思います。)とてもつかれやすく、微熱が続くこともよくあります。
1 この治療法を信じて続けていくべきなのでしょうか?
2 治療が終われば妊娠は可能、子供をもてますよ、と先生はおっしゃってくださいますが、大丈夫なのでしょうか?
3 5月頃から続いている頭痛は治らないので、時々耳が聞こえにくくなったりもします。微熱が続くのですが、なぜでしょうか?
*いろいろ不安で質問が多くなりましたが、どうぞよろしくお願いいたします。*1.この治療法でよいと思います。
2.この薬物療法が終わり、生理が定期的にくるようになれば、妊娠は可能だと思います。
3.この治療法のホルモンの影響で微熱が出ることはあると思います。また更年期の症状がでますので、軽度の頭痛は時々起こり得ると思いますが、耳が聞こえにくくなるというのは良くわかりません。主治医と相談のうえ、原因を調べたら良いと思います。(文責 麻賀)
【No.209】00年07月07日 えみすけ
術後の状況6月はじめ、温存手術を受け、その後、ノルバテックスD、月一度の皮下注射の治療をはじめています。5月頃から軽い頭痛が続き、一昨日くらいから、微熱が続いています。これは、脇のリンパ節切除や、薬による副作用と考えてよろしいのでしょうか。
あなたの症状はリンパ節切除のためというよりは薬によるものと考えられます。また手術後に放射線照射をしていれば、放射線照射の影響も少しはあるかも知れません。いずれにしても強い副作用ではないのでこのまま治療を続行して良いと思います。(文責 麻賀)
【No.208】00年07月06日 K.M.さん
線維腺腫でも授乳できますか?27歳、既婚、出産経験はありません。3年ぐらい前に右胸にしこりを発見しガンセンターで調べてもらったところ、乳腺症か線維腺腫(紙でもらったわけではないのではっきりとは覚えていません。すいません)で良性のものなので墓場まで持っていっても結構、切りたければ切りなさい、ただししこりを持っている以上は半年に1回は検査に来なさいと言われ、半年に1回通っています。最近妊娠したので出産したら右の胸でちゃんと授乳出来るか不安に思っています。産科のない病院で検査して妊娠とわかったので産科もこれから選ぶところですが、胸の問題があるので、総合病院を選ぶべきなのでしょうか?(本当は個人病院にかかりたいのですが)これからかかる産科のお医者様には胸の事は伝えるべきなのでしょうか?本当は紹介状とかを書いてもらうべきなのかなとは思うのですが、あちらの医者ではこう言っているという様なことを言うと、嫌がられるのではないかと思って不安です。
1.線維腺腫があっても授乳してかまいません。
2.産科の個人病院にかかって乳房に線維腺腫があることを話したらよいと思います。その際産科の先生が紹介状を書いてもらった方がよいといわれれば線維腺腫を見てもらって病院で紹介状を書いてもらえば良いと思います。(文責 麻賀)
【No.207】00年07月05日 Michiyo T
2次検診についてはじめまして。35才、独身女性です。国民健康保険の一環としての、市の乳癌検診を受けたところ、「疑いがあるのではなく、乳が大きいため触っただけでは完全に判定しにくい。2次検査を受けたらどうか」と産婦人科医に勧められました。それはいいのですが、近日中に、会社の健康診断で、35才の人間ドックを受ける予定になっています。2次の乳癌検診の内容が気になります。2次の乳癌検診でX線写真をとりますか?人間ドックでもX線を浴びると思われます。産婦人科医に聴きましたが、「大丈夫です」といわれましたが…。数週間後にまたX線を浴びるのは、危険でしょうか? それとも、2次検査を先に延ばした方がいいでしょうか?延ばすとしたら、どのくらい先に延ばせるのでしょうか? それとも、問題ないでしょうか?2次乳癌検診の内容も合わせてお伺いしたいと思います。
あなたと同じ理由で乳癌の2次検診を受ける方は多いです。2次検診ではマンモグラフィ(乳房のレントゲン撮影)と超音波検査を行うことになると思います。もちろん不必要なレントゲン検査はよくありませんが、マンモグラフィの放射線照射線量は少なく、そのすぐ後に会社の検診で胸部のレントゲンや胃のレントゲンをうけてもとくに問題になる量とは思えません。また乳房検査から会社の検診までどのくらい間隔をあけたら放射線被爆の点から安全かとの質問ですが、間隔をあけても結局浴びる放射線量は同じですから、間隔をあけても同じです。(文責 麻賀)
【No.206-1】00年07月04日 M.M.さん
今後の治療方針についてはじめまして。35歳、既婚子供なしの女性です。6/22に温存術での手術を受け、今後の治療方針について決めかねている者です。右胸上部の2cmのガンとリンパ節転移個所(腋下、胸骨傍)を摘出し、Estrogen ,Progestron ともに(+)であるため、今後術後治療としては放射線治療と、ホルモン治療または化学療法のいずれか一方をすすめられました。主治医いわくホルモン治療であれば2年の治療の後、卵巣の機能の回復する可能性は90%あるとのことと、治療中更年期障害のような症状は出るもののほぼ普通の生活ができるとのことで、子供を持ちたいと思っているので、その可能性が高いと思われるこの治療法を選択しようかとおもっているのですが。もし、ほかに副作用等あるようでしたら教えていただけますでしょうか。それから、結婚前に〔20代後半から32歳くらいまで)避妊用のピルを服用していたのですが、これは乳がんの発生と関連がありますか?(現在は使っていません)よろしくお願いいたします。
閉経前の方でERとPgRがともに陽性であればホルモン治療が良く効きます。あなたのような場合には再発予防の標準的な治療法である抗がん剤治療(CMF)とホルモン治療(LH-RHアゴニスト+タモキシフェン)とは同等の効果があるとされています。LH-RHアゴニストは卵巣機能を抑制し、生理が起こらないようになります。たしかに更年期障害のような症状はでますが、その他はあまり目立ったものはないと思います。タモキシフェンは脂肪肝や子宮癌の発生が報告されていますが、定期的なチェックをすれば問題ないと思います。抗がん剤治療かホルモン治療のどちらをえらぶのかはあなたの選択でよいと思います。避妊用ピルと乳癌発生との関連についての御質問ですが、わたくし自身がデータを持っているわけではないので明確にお答えできません。しかし、関連があるとする医学論文を時々みますので関連があるのかもしれません。(文責 麻賀)
【No.206-2】00年07月21日 M.M.さん
放射線治療 & 術後こんにちは。No.206で回答をいただいたM.Mです。
私は、6/22に温存手術およびリンパ節(胸骨旁、腋窩)郭清手術を受け、7/5に退院しました。翌日から仕事にも復帰し(デスクワークです)、8日の土曜日は頭痛と発熱があったものの、夕方には良くなり7/12,13にはスポーツクラブにも行き、(エアロバイクをこぎ、腹筋・背筋をした程度です)結構元気なつもりでいたのですが、今週になりどうも体調がすぐれません。かぜのような症状と(のどのイガイガ感、鼻水)および発熱(37度すぎから37.8度くらい)また熱が出なくても熱っぽい感じがし、頭が重く、すっきりしません。退院時に看護婦さんから”あんまりがんばり過ぎないように。大丈夫だと思っても、全身麻酔をかけて手術したんですから、、”と言われました。自分ではそんな無理をしているつもりもないのですが、退院後すぐの仕事復帰などは見合わせたほうがいいのでしょうか?主治医からは、術後の診察で”(基本的には)何をしてもよい。”といわれたのですっかり良くなったつもりでいたのですが、、、また、7/18より放射線治療を開始しました。で、放射線医より当初、乳房の両サイドからのみ照射のつもりであったが、胸骨旁のリンパ節にも転移していたこともあり、その部分にも照射したほうがよいだろうとの見解で、その場合肺にも通常より放射能を多くあびることになる、との説明を受けました。その場合、どのような副作用が、どれくらいの確率で起こりえるのか教えていただけますか?(なお、放射線治療は25回の予定です)以上、長々と書きましたが、質問としては
1.術後(退院後)の体調不良は安静にしていないせいなのか?
2.放射線を肺に浴びた場合の副作用は?
の2点です。よろしくお願いいたします。1.主治医のいうとおり基本的には制限はないと思います。ただ7月5日に退院して12日にスポーツジムにいくのは少し早いような気がします。やはり通常の日常生活を行うという程度にしておいた方が良いと思います。手術後傷がなおる時には創傷治癒機転が働き、微熱もでます。微熱があれば気分もすっきりしません。また今後照射を行うようなので、この影響でも微熱が少しでるかもしれません。
2.あなたのような場合は放射線が肺にかかり、放射線性肺炎がおこるかもしれません。咳きや痰、微熱がでるかもしれません。
あなたの担当の放射線治療医によく説明してもらってください。(文責 麻賀)
【No.205】00年07月02日 S.K.さん
乳輪の退色について30歳、既婚女性(子どもなし)です。
最近、乳輪の一部(乳首周辺・両乳房とも)が退色(肌色)しているのに気づきました。最近のことですので、進行しているのかは分かりませんが、かゆみ・ただれ、分泌物・外形の変化等は見られません。昔から、白い極小のぷつぷつの集まり(脂肪?)はありますが、それが痒い、赤くなっているということもありません。なんらかの乳ガン(前駆?)の可能性はあるでしょうか?ほんの少し(ほんとに少しです)、乳房が大きくなったような気がしますが、それと関係しているだけなのでしょうか?
海外で生活しているため、思うように医者にかかれず、苦労しています。お忙しいとは存じますが、どうかご返信いただけますよう、よろしくお願い致します。妊娠により乳頭・乳輪に色素沈着がおこり、黒ずんでくることはよくあります。あなたの質問はその逆で褪色してきているとのことですが、乳腺疾患を扱うわたくしはそのような訴えの方を経験したことはありません。乳輪の褪色と乳癌やその前駆症状との関連の可能性はないと考えます。乳輪が褪色する原因として色素沈着を抑制するような薬剤(ビタミンCなど)を服用してはいませんか。また乳輪以外の部位(陰部など)は褪色してきていませんか。
褪色が気になるようでしたら一度皮膚科医を受診することをお勧めします。(文責 麻賀)
【No.204】00年06月30日 ピング−
乳頭から分泌液が・・・1ヶ月前、左乳頭から黄色い分泌液が下着に付着していました。乳腺外科で触診・レントゲン・エコ−で調べましたが異常なしでした。昨日また分泌液が下着に付着しており、すごく不安です。前の時も生理前でしたが、何か関係があるのでしょうか?もう一度受診した方がいいのでしょうか?
妊娠・授乳期以外の時期に乳頭から分泌物がみられることを乳頭異常分泌といいます。しかし、この中で心配なのは分泌液が血清、血漿様の場合だけです。メールには黄色い分泌液とありますが、これはおそらく少量の乳汁が分泌されたもので、心配しなくてよいものと考えられます。生理前、女性ホルモンの影響により腫脹した乳腺より少量の乳汁が分泌されたものでしょう。一度乳腺外来で検査を受けていますので、3−4ヶ月は様子をみていて軽快しないようでしたらまた受診するようにすることを勧めます。この間に分泌量が増えることがないか、血液のようなものがでてこないかチェックしていて下さい。また薬によっては乳汁分泌を促進するようなものもあります。最近何かくすりを常用していることはありませんか? (文責 吉田)
【No.203】00年06月28日 N.I.さん
健康食品について家内が昨年乳癌となり、左は切除しました。今年再発し、再手術を受け、現在放射線治療中で、それが終わり次第、抗がん剤の予定です。最近はやりの「アガリクス」等の摂取のことを主治医に相談すると「別に良いですが」とあまり意味ないよといった感じでした。今も放射線治療+免疫力向上の薬も飲んでいるので、家内は「これ以上はいい」といいますが、アガリクスとかさらにプラスで飲むと、少しでも良くなる可能性が高くなるのでしょうか? 高価なものも多いし、でも命にかかわるので、はっきり言って迷います。アドバイスを頂けたらと思ってメールをしています。
現在、医師が処方する薬は、すべて厚生省が効果あると認めた薬ですが、「アガリスク」は医薬品として厚生省が認めた薬ではありません。「アガリスク」のような薬は「民間療法」と言い、多くは免疫能を高めるものであるようです。しかしその効果を客観的に示す証拠が不十分であることが多く、医薬品として認められないのでしょう。私を含め多くの医師は「民間療法」を否定はいたしませんが、積極的に勧めることもありません。ですから奥さんの主治医も「あまり意味がない」ような返事したのだと思います。残念ながら私も「アガリスク」のことは、よくわかりません。別に害にはならないと思いますが、効果の方は保証できません。(文責 吉田)
【No.202】00年06月28日 T.T.さん
乳腺への再発について35歳独身女性です。94年12月に2cm以内の腫瘤切除後T期の乳がんと判明し、左の乳腺4分の1切除とリンパ節郭清、放射線療法25回を行い、(乳腺およびリンパ節への転移なし、抗がん剤治療なし)触診と骨シンチ等で通院のみの状態でした。昨年夏ごろより右側のしこりを触れるようになり、細胞診を2回、エコー、レントゲンを取ったのですが結果は出ず、3、4ヶ月たっても大きくならないところから経過を見ていました。6月にとったMRIで悪性の診断が出たため切除術を受け、やはり悪性との結果が出ました。今回は切除した腫瘤の周りの乳腺を丸く切除し、リンパ節郭清と放射線照射を行うといわれています。(抗がん剤についての説明はなく、今回も行わないと思って説明を聞いていました)
@相談室のNO157−2等については読ませていただきましたが、乳腺への再発についても基本的な治療方法や生存率について同様に考えるべきものでしょうか。
A再建術について脂肪移植や生食などがあるようですが、その種類やそれぞれのメリット、デメリットについて教えてください。
お忙しいところ恐れ入ります。告知の際には動揺もあり、ほとんど何も聞けませんでした。これから手術を受けるにあたって主治医に質問する参考にしたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。メールから読み取れる範囲でお答えします。
左乳癌(第1期、リンパ節転位無し、術後補助療法無し)手術後約5年半での右乳癌ということですが、病理検査の報告を確認しないといけないのですが、原則的には左乳癌の再発ではなく、異時性両側乳癌と考えます。まずは主治医の先生に再発なのか、新しくできた乳癌なのかを確認して下さい。(多分後者だと思いますが..)異時性両側乳癌であれば、6年前と同じ状態であると考えてかまわないと思います。つまり、腋窩リンパ節転移の有無で予後は決まりますから、乳腺部分切除と放射線で乳房内再発をコントロールして、腋窩リンパ節転移があれば全身化学療法もしくは内分泌療法を行い、腋窩リンパ節転移がなければ原則として、94年と同じで補助療法はいらないと考えて良いと思います。全く新しい乳癌(2回目ですが)になったと考えて治療に望んで良いと思います。
再建術については、今年の乳癌学会でもいくつか議論になったところで、それぞれの乳癌でしこりの大きさ、できた場所、乳房の大きさ等様々な因子があるため、どの方法が一番いいとは決められないのが現状です。現実的には手術をする先生の経験と工夫で行っています。原則的には周りの乳腺を寄せて欠損を補う方法が一般的と考えますが、ちなみに脂肪移植は移植した脂肪がすべて生着するとは限らず、うまくいけばよいが、正着しないと...という心配があります。生食を注入する方法は比較的大きな乳腺の欠損にも対応できるmeritがあり時間が経つと肉芽組織に置き換わるといわれており最近注目されていますが、万が一(めったにないのですが)感染すると大変です。
温存した乳房の形も重要ですが、そのためにガンを取り残すということがあってはいけないので、温存した乳房の形は手術をする先生にまかせるしかないのではないでしょうか.......。外科医にとってガンを十分に切除するという事と、形よく乳房を残すという事は相反する命題なので大変悩むのです。TOMOさんの主治医が94年には四分の一切除を行ったのに、今回は丸くくり抜くといっているのも、この6年間の経験から変わってきている証拠と考えて良いのではないでしょうか。(文責 清水)
【No.201】00年06月28日 N.T.さん
乳房のしこりとピルについて32歳、出産経験ありです。半年ほど前から低用量のピルを服用しています。乳房が大きくなり始めの頃、両方の乳房にしこりができ、その時は「よくあることだから」と言われてそのままつい最近までそのことは忘れていました。子供を2人出産し、母乳で育てしばらく妊娠を希望しないことから半年前に低用量のピルを処方してもらいました。その時は乳がんの自己診断法ではしこりが無かったことから気にせず服用をしていました。先週の水曜日頃、左の乳房(下半分でワキ寄りです)が腕等に当たると痛みました。その後、日に日に痛みは和らぎ、現在は強く押すと少し痛むくらいです。特に乳房の形に変化も無く、自己診断ではコリコリするようなしこりは無いのですが、座った状態で乳房を掴むと2cm四方のしこりが左に1つ、痛まないほうの右にもあります。
今日の午後、近くの会館で区の乳がん検診を受けました。私が心配していたしこりは、誰にでもあるものなので心配する必要は無いといわれました。それとは別に左乳房のワキ寄りに2cmのしこりが見つかりました。触診をしてくれた先生は、「気にするようなしこりではないけれど、ピルのこともあるので近いうちに外科に行って診てもらってください。」と言われました。「本当のがんならもっと固いし、これからもピルを服用するつもりなら定期的に診てもらうように」とも言われ、ピルの服用についてはそのまま服用していても大丈夫と言われました。心配は無いと言われたものの、やはりこういうしこりがある場合は、ピルの服用は止めたほうが良いのでしょうか?ピルを服用することによって、しこりを大きくしてしまう、またはガン化させてしまうことはあるのでしょうか?低用量経口避妊薬は合成エストロゲン(卵胞ホルモン)と合成プロゲステロン(黄体ホルモン)の合剤です。エストロゲンは発癌物質ではありませんが、がん細胞の増殖を促進する作用があります。
低用量経口避妊薬の添付文書では「禁忌」で「エストロゲン依存性腫瘍(例えば乳癌、子宮体癌、子宮筋腫)、子宮頸癌及びその疑いのある患者」とされ、「慎重投与」では「乳癌の家族歴又は乳房に結節のある女性」とされています。また、「重要な基本的注意」には「乳癌の検査は、服用者に自己検診を行うように指導すること。特に、乳癌の家族歴又は乳房に結節のある女性には注意が必要である。」。さらに、「その他の注意」に「外国の疫学調査の結果、経口避妊剤の服用により乳癌及び子宮頸癌になる可能性が高くなるとの報告がある。」と記載されています。
欧米では女性11人に1人の割合で乳癌が発症し、女性の癌としては発症率、死亡率ともに第1位となっています。またエストロゲンが乳癌の発癌・増殖に促進的に作用する可能性は以前から示唆されており、低用量経口避妊薬と乳癌発症との関連に関する報告が多数なされています。1996年、乳癌におけるホルモン要因に関する欧米の共同研究班は、25カ国で実施された54の疫学試験から症例数53,297例、対照群100,239例についての個々のデータの再解析の結果、現在低用量経口避妊薬を服用している女性のリスクは、服用していない女性に比べ1.24倍であり、また、服用を中止してからのリスクは、中止後1〜4年で1.16倍、中止後5〜9年で1.07倍、中止後10年以降では1.01倍と報告しています。(対象製剤:低用量(エストロゲン:50μg未満)、中高用量(エストロゲン:50μg以上))。この報告結果は、ピル服用によりリスクが上昇し、その上昇は非服用者が100,000人当たり10人発症するに対して、ピル服用者は100,000人当たり12.4人発症することを意味します。また、服用開始年齢別に非服用者と比較したリスクを見てみますと、20歳未満だけが高く、1.22となり、それ以上の年齢は非服用者との差は見られません。この理由としてその論文では、乳癌はエストロゲン依存性の癌であり、遺伝的に発症しやすい人がいるが、エストロゲンに暴露される妊娠の経験が20歳未満では少なく、ピルによるエストロゲン暴露が先行するためであるとしています。それ以上の年齢になると、エストロゲンの暴露が先行するためピルによる影響がみられないとしています。
以上を参考にしていただき、主治医とご相談のうえ、方針を決定されることをお勧めいたします。(文責 須田)