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相談室(No.1〜100)

このページは乳がんに関 する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。

ご相談メールの投稿はこちらからお願いします。

なお治療法は、患者さんと主治医がご相談されて決定されるものであり、この相談室でお答えできるのは、一般的な参考意見であることをご了解下さい。

当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

目 次
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No

日 付

名 前

件  名

担 当

100 00/03/13

KO

患部側の腕が使えなくなりました

徳田
99 00/03/09

MASAKO

乳癌の再発について

徳田
98 00/03/09

のこ

左胸硬結+背中の痛み

徳田
97 00/03/08

T.F.

触診とエコ―について

徳田
96 00/03/08

Y.U.

血液を含む腫瘍について

徳田
95 00/03/08

Y.Y.

小さいしこり

徳田
94 00/03/07

H.O.

乳がんの再発について

徳田
93 00/03/07

Hiro

生検は必要ですか?

徳田
92 00/03/03

再発について

徳田
91 00/03/03

Y.U.

血液を含んでいる腫瘍について

徳田
90 00/03/02

かおり

微細石灰化

徳田
89 00/03/02

Y

しこりについて

徳田
88 00/02/29

yuki

教えていただければ・・(TーCTPについて)

須田
87 00/02/29

T・T

針生検、マンモグラフィーでの結果について

須田
86 00/02/28

M.O.

左胸の下に痛みを伴ったしこりがあります

須田
85 00/02/25

夏生

授乳の際左胸にあるしこりに気がつきました

須田
84 00/02/22

H

乳癌の診断率について

須田
83 00/02/20

M.H.

胸のしこりについて(15歳)

須田
82 00/02/20

K.K.

乳癌と診断されました

須田
81 00/02/20

ARI

体重が増えて困っています

須田
80 00/02/18

M.H.

乳癌の手術後について

須田
79 00/02/17

ひなた

乳腺症と多発のう胞について

須田
78 00/02/15

なつ

ノルバテックスについて

須田
77 00/02/13

ころんたん

胸のしこりについて

須田
76 00/02/13

TBT

産後のしこり

須田
75 00/02/11

H.T.

乳首の痛みについて

須田
74 00/02/10

A.Y.

左胸に痛みについて

須田
73 00/02/09

megan

右胸の痛みについて

須田
72 00/02/07

M.H.

胸に出来るしこりの病気について・・・

須田
71 00/02/07

A.S.

右胸の下にしこりがあります

須田
70 00/02/06

N.S.

右胸のしこりについて

須田
69 00/02/04

W.H.

妊娠中のしこりについて

須田
68 00/02/03

M.Y.

左胸にしこりがあるのですが---

須田
67 00/02/03

さち

しこりについて

須田

66 00/02/03

ゆんぴー

乳がんに痛みはあるのでしょうか

須田

65 00/01/31

K.K.

乳房が痛いです(No.2)

清水

64 00/01/31

K.K.

乳房が痛いです

清水

63 00/01/25

T・I

乳首がかゆい

清水

62 00/01/25

T.N.

胸のしこりについて

清水

61 00/01/21

H.M.

赤黒い分泌液がでます

清水

60 00/01/20

Y.E.

71才乳癌手術について

清水

59 00/01/14

T.I.

しこりの感覚

清水

58 00/01/12

JH

胸のしこりについての質問(25歳男性)

清水

57 00/01/12

Miyoshi

放射線治療と出血について

清水

56 00/01/11

mayuki

彼女の事なのですがとても心配です

清水

55 00/01/11

K.N.

右ひじのしこりについて

清水

54 00/01/07

ナム

65歳・閉経後・ステージ2・非定型乳房切除術後の治療

清水

53-1
53-2
00/01/05
01/07/08

kaori

脇の下が痛くて・・・・
右胸にしこりの盛り上がり?

清水
麻賀

52 99/12/30

あき

妊娠経験もないのに胸から分泌液がでるのですが?

片山

51 99/12/23

T.K.

胸を押さえると痛いのですが

片山

50 99/12/22

ヒロコ

乳房の痛みについて

片山

49 99/12/18

みぃちゃん

遺伝

片山

48 99/12/15

I.T.

乳腺痛について

片山

47 99/12/12

AYAMI

右胸だけ張っています

須田

46 99/12/11

U.H.

乳首の上とわきの下のしこりについて

片山

45 99/12/11

tamiko

右胸のしこりについて

片山

44 99/12/11

I・K

内分泌療法の作用について

片山

43 99/12/07

FUKU

乳がんの早期発見および検診について

片山

42 99/12/04

せと

生体検査について

片山

41 99/11/30

I・K

度々、ゴメンナサイ!!

石山

40 99/11/28

I・K

再発・ゾラデックスについて

石山

39 99/11/21

とも

男でも乳癌になりますか?

石山

38 99/11/21

せと

乳癌でしょうか?

石山

37 99/11/19

Y.I.

再発の危険性について

石山

36 99/11/19

karen

葉状腫瘍について

石山

35 99/11/19

NI

放射線治療後の乳房の腫れ、しこり、痛みについて

石山

34 99/11/19

SIM

バセドー氏病と乳房疾患について

石山

33 99/11/16

M.S.

左腋窩の鶉卵大腫瘤について

石山

32 99/11/15

A.K.

妊娠と関係がありますか?

石山

31 99/11/14

Chaki

乳癌なのでしょうか?

石山

30 99/11/11

YT

女性化乳房が乳癌になりますか?

石山

29 99/11/11

FY

がんの再発を心配しています

石山

28 99/11/05

ako

乳癌でしょうか?

石山

27 99/11/03

S.F.

乳首が痛いのですが?

石山

26 99/10/29

Hiro

多発癌、面皰癌とは?

石田

25 99/10/25

RF

腫瘍マーカーとは?

石田

24 99/10/18

RF

乳管内乳頭腫と診断されたのですが---。

石田

23 99/10/17

HK

乳癌術後の補助療法について

石田

22 99/10/16

MOMO

しこりの切除を勧められているのですが---

石田

21 99/10/01

H.S.

乳腺症・線維腺腫の悪性化の可能性

麻賀

20 99/09/29

なつ

乳腺症は乳癌に変わるのですか?

麻賀

19 99/09/28

まっきい

脇の下に小さなあずき大のしこりがあります

麻賀

18 99/09/26

ちゃま

退院後の生活について

麻賀

17 99/09/24

なつ

左胸のしこりについて

須田

16 99/09/24

A.K.

今後の治療について

清水

15

99/09/23

H.M.

非浸潤癌のしこりについて

麻賀

14

99/09/22

SIM

乳腺線維腺腫手術の傷跡について

麻賀

13

99/09/20

K.O.

乳腺線維腺腫の手術

麻賀

12

99/09/20

N.S

乳癌?

麻賀

11

99/09/18

H.M

乳癌について

麻賀

10

99/09/17

SIM

乳腺繊維腺腫に手術?

麻賀

9

99/09/13

けん

今度は右の乳房にしこりが・・・・ふたつ。

麻賀

8

99/08/30

S,S

男でもなるんですか?

須田

7

99/08/29

リン

Masectomy

清水

6

99/08/28

YUKA

母のことです

須田

5

99/08/25

A.K

セカンドオピニオンについて

清水

4

99/08/23

S.I.

放射線治療の副作用について教えて下さい

須田

3

99/08/19

りかちゃん

すごくこわいです。

須田

2

99/06/26

T.M.

治療法について

清水

1

99/06/22

S.N

乳癌の術後の日光浴について

清水

 

No.100】00年03月13日 K.O.さん
患部側の腕が使えなくなりました

初めてお便りします。実は重度身障者の妻(59歳)の乳癌再発のことでお尋ねします。
平成8年に左乳部に約4センチの乳がんと診断され全摘手術のうえ放射線を7週間かけました。その2年後に局部再発し手術と放射線治療を再び受けました。翌年(昨年)また左鎖骨上のリンパ節に転移し、再々手術をして今度は抗がん剤の点滴治療を受けましたが、一時は小さくなっていた左鎖骨付近の腫瘤がまた大きくなり現在5センチくらいの骨のように硬く出っ張っています。主治医は抗がん剤で小さくなれば手術も考えているようです。今も2回目の抗がん剤の点滴治療中ですが、シンクロフォスファシド・アド・リアマイシンとド・セタキセルという抗がん剤を交互に3回ずつ計6回、3週間おきに受けています。1年ほど前から左腕も使えなくなり、痛みもひどかったのでモルヒネの錠剤(MSコンチン)を服用しています。10ミリグラムを朝晩二錠ずつで一日40ミリグラムです。本人の希望もあり、今は私が在宅で介護していますがわからないことが多くて不安です。右腕は昔から麻痺しており、残された左腕も使えず痛みと浮腫があります。左腕の症状の原因は腫瘤が神経を圧迫しているのか、手術や放射線の後遺症なのか、浮腫はリンパ浮腫といわれるものなのか、又検査や治療法として今後どんなものが考えられるのか、モルヒネの悪影響はあるのかなど欲張った質問で申し訳ありませんが何卒よろしくお願いいたします。

1.左腕の痛み
おそらく鎖骨上のリンパ節転移による神経への圧迫や浸潤が最も考えられます。
2.左腕の浮腫
リンパ節転移、放射線、手術時の腋窩のリンパ節の切除、いずれもリンパ液の流れを悪くしてリンパ浮腫を起こす可能性があり、お話から、やはりそれを考えます。手術、放射線の影響は元に戻しようがありませんが、リンパ節転移によるものについては治療の効果で軽減する可能性はあります。また、手先から中枢方向へのマッサージ(このマッサージをする機械がリハビリ科のある病院にはあるし、個人用の小型のものも市販されています)により症状を軽減するか、進行をくい止めることができます。浮腫については、モルヒネの直接的な悪影響はありません。(文責 徳田)

 

No.99】00年03月09日 MASAKO
乳癌の再発について

私の母68歳の相談です。14年前に1.5センチ程の乳癌がわかり、手術致しました。その際用心の為リンパ節を2つ取りました。その時は転移もなく抗がん剤も一切使わずに治療をおえました。その後年一度は検診をして、健康に過ごしていましたが、昨年切り取った患部が赤みを帯びてまいりました。今年になりその下の骨の位置がずれているように思い、検診を受けました。
どうやら以前の癌が再発した模様です。現在東海大学に詳しい検査を受けるため入院中です。素人ながらも再発癌の治療の困難さは分かっているつもりです。まだ検査結果と治療の方針を病院から聞いていません。何らかの治療が期待できるとしたら、西洋医学に留まらずにいろんな可能性を試したいのです。巷で聞きかじった情報ですが,AHHC、について教えていただけると幸いに存じます。何かよいアドバイスがあるようでしたらお教え願いたいと存します。

乳癌の再発とすれば、平均生存期間は約2年と大変厳しい状況と思われます。しかし希望がないわけではなく、“治療”により5-10%程度の方は長期間寛解が得られています。
“AHHC"療法というのはおそらく免疫療法の一種かと思いますが、少なくとも科学的に有効性が検証されたものではないと思います。私の申し上げる“治療”というのは、客観的かつ科学的な方法で有効性が検証された治療法です。健康食品を含めて種々のいわゆる“民間療法”に関する情報がこれからも
たくさん入ってくると思われます。ご家族のお気持ちは十分に理解できますが、害がなければ、益になりそうなものはなんでもするというような考え方に立つと、結局は、患者さんご本人が色々な療法に振り回されることになります。ご本人がご自分の病状を十分理解されているのであれば、万に一つの奇跡ではなく、小さくても根拠のある成果に期待して、ご本人自らが病気と正面から闘っていけるように、ご本人、ご家族、そして主治医とでじっくり治療法を相談することが重要と考えます。(文責 徳田)

 

No.98】00年03月09日 のこ
左胸硬結+背中の痛み

36才、出産の経験はありません。
<1>左乳房内に2cm*3cm程度の表面がでこぼこした固まりと乳首周辺内部に細かい粒の集合体があります。
<2>乳房表面皮膚にホクロのような皮疹が沢山できてしまい首から顔にかけ
て広がっています。
<3>左乳房--灼熱感を伴った軽いかゆみがあります。
<4>深呼吸をすると左肩甲骨のあたりと肋骨が重苦しい感じがします。
<5>右乳房から深緑色の分泌物があります。
以上のような症状が昨年6月ごろからあり、しこりは大きくなっているようです。先日乳ガン検診に行きましたところ(触診のみ)、再検査とのことです。<2>から<5>までの症状と乳癌の関連性はあるのでしょうか?

皮膚の所見については直接拝見しておりませんので、なんとも申し上げられませんが、乳癌が進行すると皮膚に所見がでることもあります。また骨にとびひすると<4>の様な症状が出る可能性もあります。したがって、それらの症状を含めて左乳房の固まりについて専門医の診察を受けることをお勧めします。反対側の右乳房の乳頭の分泌物ですが、このような分泌物は普通によくみられます。一般的には乳癌との関連はありません。(文責 徳田)

 

No.97】00年03月08日 T.F.さん
触診とエコ―について

39歳女性です。12月に人間ドックで左胸にしこりがみつかり、2月に大学病院で検査をしました。触診ではわからず、マンモグラフィーも特に所見がなく、エコ―で左胸外下下部に6mmのしこりが見つかりました。小さくてよくわからないので3ヶ月後に再検査という事になりましたが、家族のすすめもあり、都内の有名病院に紹介してもらい行きました。そこでは、左胸外下部のしこりは、芯がないので良性かなとの触診、その後、もう一度マンモグラフィ―とエコ―を受けました。レントゲンは所見がなかったが、エコ―で左胸外上部にも8mmのしこりと、とても小さいシストが発見されました。たった1週間しかたっていないのに、しこりがふえるなんて事はあるのでしょうか?それとも前大学病院で見落としたのでしょうか?それに、8mm大のしこりを二人の医師が触診でわからない事もあるのですか?
結局、両病院とも今の時点では小さくてよくわからないので3ヶ月後に再検査という事になったのですが、もし悪性だとしたら3ヶ月も放置しておいて大丈夫なのでしょうか?子供も小さいので、とても心配です。たくさん書いてしまいましたが色々と教えて下さい。

“左乳房外下部のしこり”は大きさが6mmで、エコーの検査でのみ認められるとのことですね。エコーの所見がわかりませんので良悪性の判断はできませんが、悪性の可能性が少しでもあるのであれば、エコーをつかってしこりの細胞をとって悪性の細胞がないかどうかしらべる”細胞診”をすることが可能です。また、しこり自体を取ってしまうこともできます。“左乳房外上部のしこり”についても同様、更に調べることが可能です。どこまで調べるかは、エコーの所見によります。
エコーの検査は人間が操作しますので、小さいものですと見落とすこともないわけではありません。また、正常の組織との区別がつかないような良性の病変ですと、操作者によっては異常所見としてとらえないこともあります。お話をうかがうと担当医は、良性と判断しているようなので後者の可能性が高いと考えます。6mmでも8mmでも、柔らかなものですと触診では、わかりません。エコーの像は硬さを示している訳ではありません。
いずれのしこりも小さいもので、万が一、悪性のものだとしても3ヶ月の遅れが大きく影響を及ぼすとは考えられません。ただ不安なお気持ちは十分理解できますので、心配であれば上記のようにさらに検査をすすめられればよいと思います。(文責 徳田)

 

No.96】00年03月08日 Y.U.さん
血液を含む腫瘍について

先日はご回答ありがとうございました。ひとつ聞き忘れた事があります。「妊娠」をするとこのような「腫瘍」が出来る場合もあると先生に言われました。私の場合、妊娠前、毎年行われる「子宮癌」「乳癌」の検診を受けていてどちらも異常はありませんでした。しかし、妊娠17週でしこりに気づいた時にはすでに「3cm」の腫瘍が出来ていて、その時に受けた大学病院の外科医師は「線維腺腫」と判断されました。
現在、分娩予定の大学病院で新たに検査を受け直した訳ですが、その先生は超音波(カラー)で「出血が多い腫瘍」と判断されました。妊娠によってこのような腫瘍が出来ることがあるのでしょうか?出産後断乳し、通常の状態に戻した時に「腫瘍が小さくなる可能性もある」と言われたのですが、そのような事もあるのでしょうか?不妊症治療を(下垂体機能異常)していての「妊娠」でした。何か関係はありますか?
いずれにしても切除手術はする予定ですが、7cmある腫瘍を切除すると傷口などはどのくらいの大きさになるのでしょうか?よろしくお願いします。

“線維腺腫”は女性ホルモンの影響をうける腫瘍ですので、妊娠により増大する可能性はあります。したがって分娩後縮小する可能性もありますが、今の大きさの腫瘍が消失することはないでしょう。
“葉状腫瘍”の場合、女性ホルモンの影響を受ける可能性はありませんので、妊娠との関連は否定的です。腫瘍の大きさが7cmということですから、理論的にはその長さの創が必要になります。
お話をうかがうと、短径の方はかなり短いようですから、そこまで大きな傷にはしないで切除可能と思われます。(文責 徳田)

 

No.95】00年03月08日 Y.Y.さん
小さいしこり

最近、右胸上あたりに小さい(米粒大)のしこりを見つけました。しこりは、よく動き、比較的やわらかい感じで、痛みはありません。年齢も30歳になりますし、乳癌の疑いはありますか?

あなたの説明からは悪性のような感じはしませんが、やはり専門医の診断を受けられるべきです。(文責 徳田)

 

No.94】00年03月07日 H.O.さん
乳癌の再発について

32才、独身の女性です。
平成10年3月に全摘の手術後、1回の抗がん剤治療(赤いのと黄色いの1本ずつ)を受けて退院しました。その後、平成11年5月ごろ、首のリンパ節と肺に転移が見つかり2度入院して抗がん剤治療(前回とは違う薬。透明のもの1種類)を受けました。3回目からは外来での治療となり、その後、6回抗がん剤治療を受けました。再発が見つかった時点では、腫瘍マーカー(2つあるらしいですが)が100あったのが、2回の入院の後、50となり、現在は17になりました。現在は体調も安定しており、お腹の注射とホルモン剤の服用のみです。
私の場合、ステージWにあてはまると思うのですが、インターネット上でいろいろ調べていても、こうなったらもう治らないというような事が書かれています。
今は食欲もあるし、体調もいいんですが、本当に完治は望めないのでしょうか?
もちろん個人差があるとは思いますが、私のようなケースだとどれくらい生存できるんでしょうか?

残念ながら、あなたのような再発乳癌の平均生存期間は約2年というのが一般的です。しかし、これは、あくまで平均であって、どのくらいの期間消えた状態が続いていれば完治といえるか難しい問題ですが、少なくとも5-10%程度、治療により長期間腫瘍が完全に消えた状態が続いている方もおられます。ですからあなたの寿命が後どの程度なのかを判断することはできませんが、希望をもって治療に臨まれますよう、お願いいたします。(文責 徳田)

 

No.93】00年03月07日 Hiroさん
生検は必要ですか?

先日、細胞検査の結果を聞いてきました。やはり乳腺症だということで安心したのですが、そのあとの先生のお話では、今回の検査(針生検とのことでした)では、1ヶ所しか取らなかったので、まだはっきり断定できないとのことで、あえて確率は?とお聞きしたところ、50%くらいとのお答えでした。そこではっきりさせるためにも、外科生検をすることをすすめられました。
私としては、前回のメールでのお答えから、細胞の検査をすればかなりの確率で診断が下ると思っていたので、さらに生検をすすめられるには何か疑わしい点でもあるのかと、すっきりしません。
最初の触診・エコーでおそらく良性でしょうと言われ、1ヶ月後の針生検の前にしたエコーでも8mm(前回7mmと書いたのは私の勘違いで1pあまりだったようです)と小さくなっていること、細胞検査の結果も乳腺症と言われたのに、それでも生検をしなくてはならないのか迷っています。ぜひ先生のお考えをお聞かせください。
また、もしよろしければ教えて頂きたいのですが、
@針生検でも場所が1ヶ所だと、診断の確率がそんなに落ちるものなのでしょうか。
Aしこりが小さくなるということは、良性と断定できる材料にはならないのでしょうか。
B今しこりの横に細長い硬いかたまりがあり、触れると痛いのですが、これは針を刺した時の出血か何かでしょうか。
再度の質問で本当に申し訳ありませんが、どうかよろしくお願いいたします。

細い針をしこりに刺して細胞を吸引する細胞診検査のがんのしこりをがんと診断できる確率は、施設により多少異なりますが85-90%程度だと思います。つまり10-15%は、がんでも悪性の細胞がとれないことになります。
そこで超音波やレントゲンや、大きさの変化などの臨床所見を参考にしてさらに検査をすすめるかどうか判断します。しこりの大きさが小さくなったとのことですから良性の可能性は高いと思いますが、2-3mm程度なので誤差範囲かもしれず、それだけで良性とは断定するのは危険です。組織をとる生検が最後の検査となりますが、これは局所麻酔でできる日帰り検査です。悪性の可能性が少しでもあるのなら、この際、白黒をつけてしまうことをおすすめします。
しこりに隣接する有痛性のかたまりですが、細胞診にともなう出血の結果できた血の固まり、”血腫”かもしれません。血腫であれば1-2週間で吸収されて消失します。(文責 徳田)

 

No.92】00年03月03日 Kさん
再発について

昨年線維腺腫の手術をしたのですが、しこりの一部が残っていると、葉状腫瘍のように再発する可能性はあるのでしょうか? 

しこりの一部が残っていると再発する可能性はあります。しかし手術で切除した腫瘍組織を調べて、良性の線維腺腫との診断がついているのですから、あわてて追加手術をする必要はありません。しこりがでてから考えればよろしいと思います。ただ、前のしこりのそばにできたしこりが、取り残した線維腺腫の再発ではなく、乳癌が新たにできたということもあるので、乳癌検診は定期的に行って下さい。(文責 徳田)

 

No.91】00年03月03日 Y.U.さん
血液を含んでいる腫瘍について

妊娠9ヶ月34才主婦です。妊娠17週の時に左胸のしこりを発見、大学病院にてエコー、針生検を受け(3回)classUという結果でした。その後32週でもう一度検査、マンモ、針生検、超音波、結果同じ(U)でした。しかし先生は「血液を多く含んでいる腫瘍」と判断され出産後即断乳し腫瘍切除をした方が良いと言われました。「良性」という結果はでていますが「癌」を否定出来ないと言われ不安な日々を過ごしています。17週で検査したときは大きさが3cmあり、先日の検査では長さが7cmに(幅は変わらず)変化していました。友人から「葉状腫瘍」という言葉を聞きました。そのような形状の腫瘍に当てはまるのでしょうか?細胞診でUという結果でも癌の可能性はあるのでしょうか?切除手術はこのくらい大きな腫瘍になると外来で出来るものでしょうか?ご回答をよろしくお願いします。

“葉状腫瘍”は、40才代に多く見られる乳腺の比較的まれな腫瘍の一つです。良性から悪性のものまであり、多くは徐々に増大していきます。ときには急速に大きくなることもあります。したがって腫瘍は切除すべきです。あなたの腫瘍がこれに当てはまるかどうかはわかりませんが、葉状腫瘍は、古い血液のような黒褐色の液体を入れたのう胞ができることがあり、そのような内容を細胞診でひけるかもしれません。
細胞診で葉状腫瘍の可能性を推定できることもあります。しかし葉状腫瘍の悪性、良性は、細胞診では決められません。また細胞診でClass IIであるからといって、葉状腫瘍ではない通常の乳癌も否定できるわけではありません。腫瘍の増大も明らかなようですので、やはり切除すべきです。
診察しておりませんので断定はできません。長さが7cmとのことですが、その程度であれば局所麻酔で切除可能で、したがって,外来で日帰り手術が可能と思われます。(文責 徳田)

 

No.90】00年03月02日 かおりさん
微細石灰化

私の母が、10月に人間ドッグをしたときの結果表の乳房X線という覧に「左乳房微細石灰化、右微細石灰化」と書いてありました。経過観察と言うことだったのですが、最近結果表に気づきまして、もう4ケ月が経ってしまっていてすごく心配です。このまま経過観察して大丈夫でしょうか。

“微細石灰化”というのは、細かな石灰沈着のことで、乳癌の所見のひとつです。この所見があるからといって必ずしも乳癌というわけではありません。微細石灰化にも明らかに良性のものから、強く乳癌を疑うものまで色々あります。
経過観察でよいということなので、おそらく良性のものと診断されたようですが、ご心配でしたら一度専門医を受診し、再検査されてはいかがでしょうか。(文責 徳田)

 

No.89】00年03月02日 Yさん
しこりについて

2歳2児の母です。先日左胸内上部に2センチ程度のしこりがあるのに気づき、近くの県立病院の外科で診察を受けました。その時、エコーとレントゲンの検査に加え細胞診も同時にしていただきました。細胞診の結果は後日ということでしたが、レントゲンの結果、しこり部分に多数の小さな白い粒があり、ほかの部分にも小さな粒がちらばって確認され、先生はあまりよくないような口振りでした。後日細胞診の結果を聞きに伺ったのですが、ちゃんととれていなかったようで再度行いました。その結果はまだ分からないのですが、「次回、しこりの部分を取り出して詳しく検査しましょう」と言われております。このような検査をする場合はほぼ乳癌だと考えたほうがよいのでしょうか?しこりは硬く、時々少し痛む時もあります。また、大きさや硬さも日によって少し違うように感じます。
お忙しい中、突然ご質問させていただきまことに申し訳ございません。もし、参考になるようなことがあれば教えていただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。

”レントゲンの結果、しこり部分に多数の小さな白い粒があり、ほかの部分にも小さな粒がちらばって確認された”というのは、おそらく細かな石灰沈着と思われます。乳癌に見られる所見のひとつにこのようなものがあります。この所見があるからといって必ずしも乳癌というわけではありませんが、乳癌の可能性は否定できないので細胞診を行ったわけです。
細胞診でも診断がつかないとき、乳癌の可能性が否定できないときは、しこり自体をとって白黒をつけるべきです。しこりをとるのは,局所の麻酔で30分程度でできますので、入院せずに日帰りで行えます。術後の痛みも少なく、家事その他の仕事もできますので、しこりをあれこれ心配して生活するより、この際はっきり診断をつけるべきです。(文責 徳田)

 

No.88】00年02月29日 YUKIさん
教えていただければ---。(TーCTPについて)

初めてお便り差し上げます。お友達が去年2月に乳癌の手術を受けました(ステ−ジUで全摘です)。
病理のカルテに書いてあった「DNT」の事がわからないそうです。どういう意味なのでしょうか?何かの基準値なのですか?それから「T−CTP」のマ−カ−は、どういうものなのですか?少しずつ上がってきて、基準範囲を越えてしまっているみたいです。よろしくお願い致します。

TーCTPとは、T型コラーゲンC末端テロペプチド(type 1 collagen - C - terminal telopeptide)のことです。T型コラーゲンは、骨有機質の90〜95%を占めており、骨転移が起こると、T型コラーゲンが分解され血液中のTーCTP値が上昇します。血中のTーCTP濃度は、骨吸収速度と相関するとされており、骨転移を起こしやすい乳癌や肺癌、前立腺癌などの骨転移マーカーとして有用です。骨転移が認められる場合は、有意に高値となり、治療によって低下します。また骨転移が認められない場合は、TーCTP値の変動はほとんど見られません。基準値は 4.5 ng/ml 未満で、異常値を呈する疾患は、高い確率での骨転移が考えられます。
以上のように、悪性腫瘍の骨転移の把握、また骨転移における治療効果の判定に、このTーCTP値を利用します。
【DNT】については、よくわかりません。前後の文章でもあれば良いのですが、これだけの情報では判断しかねます。(文責 須田)

 

No.87】00年02月29日 T.T.さん
針生検、マンモグラフィーでの結果について

姉が右胸わきに約1センチのしこりがあるため針生検などの検査を受けた結果、細胞診でVaと診断され、マンモグラフィーでしこりのほか、米粒ほどの石灰化が見られたそうです。しこりはすでに摘出し、病理へ回したそうです。Vaとはあまり聞き慣れませんが、どのような所見なのか、白い影が写っていたという石灰化についても詳しく教えてください。よろしくお願いします。

穿刺吸引細胞診での結果は専門の病理医がclass分類で以下のように判定します。

class0 細胞がないため情報が得られない
classT 正常
classU 悪性の可能性はない

classV
        classVa
        classVb

良性、悪性の別、不詳
              悪性の可能性が少ない
              悪性の可能性がある

classW ほぼ悪性
classX 悪性(癌)

細胞診では、とった細胞を顕微鏡で見て判定するのですが、細かいところでは病理医の経験によるところが大きく、悪性かどうかを診断する感度は90〜95%です。最終的に癌かどうかを決定する確定診断は、細胞ではなく、大きな細胞の塊である組織を顕微鏡で見て病理医が判断しますが、これを細胞診に対して組織診といいます。
お尋ねのclassVaですが、“良性か悪性か分からない”中でも、悪性の可能性が少ないという印象を病理医が乳腺外科医に伝えたときに、classVaという表現をします。従って細胞診で classV、classWという判定が出た場合は、次の検査として組織診を行うことになります。おねえ様の場合は、この手順で、原則論通りに検査を進めているのです。
次に乳房撮影の石灰化像についてご説明します。乳房撮影での乳癌診断率は85%で、残りの15%はみつけることができませんが、乳癌をしこりとして触れる前に、石灰化像によって乳癌を発見できるという特徴があります。石灰化像は乳癌の30〜55%で観察されますが、乳癌に必ず石灰化像を伴うとは限りません。乳癌の石灰化像は、一口で言えば、“味の素”をふったように細かい石灰化の集簇がみられるのが特徴です。多くは微細(100ミクロン〜300ミクロン)で、数も多く、大小不同、形も様々です。
これに対し、良性の病気で良く見られる石灰化像の特徴は、円形で粗大なものが多く、その形や大きさは比較的均一です。石灰化像の数は少ないか、又は多いときは乳腺全体に広がっており、両側性です。(文責  須田)

 

No.86】00年02月28日 M.O.さん
左胸の下に痛みを伴ったしこりがあります

左胸の下に、しこりのようなものがあります。触らなくても、痛みがあるのですが・・・年齢は26歳で出産経験はありません。乳ガンは出産前の人の方がなりやすいのですか。乳ガンでなければ、どのような病気になるとしこりのようなものができて、痛みを感じるのでしょうか。教えてください。

左胸の下にしこりがあるとの事ですが、それが乳房の下半分にあるとすれば、乳腺の病気が考えられます(HPの【相談室】No.83にあります年齢階級別の乳腺の病気を参考にして下さい)。腫瘤(こぶ)の状態のしこりであれば、線維腺腫である確率が高いと思いますが、この場合は痛みを伴わないことが多いようです。乳癌も考えられないわけではありませんが、基本的には痛みを伴わず、また20代では発生頻度が少ないので、癌である可能性は低いと思います。
次にしこりが硬結の状態(中心が固く、境界がはっきりしない)であれば、乳腺症が考えられます。この場合は痛みを伴うことが多く、年齢も多岐にわたっています。女性の月経周期に伴って、排卵の前、月経の前に張ったり痛んだりしますが、痛みの感じ方は個人差があり、人により様々です。
貴方の場合、26歳で有痛性のしこりですので、たぶん月経周期の痛みを伴った線維腺腫か、乳腺症だと思われますが、いずれにしても良性のもので心配はありません。念の為、外科又は乳腺外科を訪れ、総合的に診断してもらうことをお勧めいたします。(文責  須田)

 

No.85】00年02月25日 夏生さん
授乳の際、左胸にあるしこりに気がつきました

現在生後7ヶ月の娘がおります。授乳の際、左胸の脇の下の近くにしこりを見つけました。かかりつけの内科に行った所、産婦人科で診てもらう様に勧められ行ってきました。助産婦さんに母乳マッサージをしてもらったところいくらか柔らかくなったようにも、小さくなったようにも感じますがやはり大きなしこりが気になります。先生にも診てもらいましたがこの時期の検査はわかりづらいとの事。母乳がつまって硬くなってしこりができる場合と乳がんのしこりは触った時に何か違いがありますか?叉設備の整った病院でしたら授乳期間でも乳がんの検査が正確に出来るのでしょうか?知人で乳がんの為乳房を失った方がおります。彼女の落胆を見ていただけにとても怖いです。よろしくお願い致します。

“授乳中の腋窩しこり”とのことですが、以下のような3つの場合が考えられると思います。
(1)しこりが硬結(中心が固く、境界がはっきりしない状態)の場合は、授乳期ですので、しこりは母乳を作っている乳腺だと考えられます。
1)副乳の場合
犬や猫のように動物には多くの乳房がありますが、人間も先祖帰りをして、腋窩などに本来とは別に乳腺組織のある場合があります。これを副乳と言いますが、授乳期には本来の乳腺と同じように母乳を作りますので、これがおおきくなって、しこりとして感じるのです。授乳期間が終れば自然に小さくなりますので、心配ありません。
2)外側上方領域の乳腺に母乳がうっ滞している場合
乳管が詰まって母乳の排出が悪い乳腺の一部が出現し、触ると硬い状態になっているものと考えられます。発赤、疼痛などの炎症症状がないので、うっ滞性乳腺炎の前段階だと思われます。授乳、搾乳等、どんどん母乳を出してやることが大切です。これも良性のものですから、あまり心配はありません。
(2)しこりが腫瘤(こぶ)の場合
授乳中の場合、周囲の乳腺組織が母乳を作っているので、触診や乳房撮影では腫瘤の正確な情報を得ることは困難です。超音波撮影では0.3cm大までであれば腫瘤があるかどうかの判定は可能ですが、1cm以下の場合は、悪性か良性かの診断が難しくなります。授乳の時期でも“穿刺吸引細胞診”は有効な検査です。細胞診で判定がclassV以上であれば、腫瘤をとって検査をする必要がありますし、またclassXであれば乳癌として治療することになります。

授乳期における乳腺の乳房撮影では、母乳が邪魔をして、ほとんど情報が得られません。まず超音波検査を行って、腫瘤があるかどうかを調べる必要があります。腫瘤がない場合は、副乳か母乳のうっ滞だと考えられますので、あまり心配する必要はありません。腫瘤があった場合は、穿刺吸引細胞診を行って、乳癌でないことを確認しなければなりません。あまり心配しないで、まず専門医の診察を受けることが先決です。(文責  須田)

 

No.84】00年02月22日 Hさん
乳癌の診断率について

1ヶ月ほど前に胸のしこりに気付き、近くの病院に行き、乳腺外科の先生に診察していただきました。触診と超音波検査で、おそらく良性のもので「乳腺症」ではないかと思われるが断定はできない。とのことでした。様子をみて3週間後にもう一度診察し、その結果しこりを取るかどうか決めましょうと言われました。その後、月経がはじまってもしこりは小さくならないし、こころなしか大きくなった気がして、心配でたまりません。お聞きしたいのは、
@触診と超音波検査で、明らかに乳がんであるものと、そうでないものとの区別がつくのか。 
A再検査で、レントゲン(胸があまりないのですが撮れますか?)や細胞診をすれば、どの位の確率で乳がんかどうかの判断がつくのか。
ということです。
私は38歳 子供が2人(7歳と5歳 2人とも母乳でした)。しこりは、右胸内側上方に1個で、超音波検査では大きさは7mm、硬くて あまりでこぼこしている感じはありません。動かすと動くことは動くのですが、コロコロと言った感じでもありません。分泌物や痛みはまったくありません。皮膚のひきつれのようなものもありません。あと、少し気になっているのは、肌荒れのため、しこりに気付く2ヶ月ほど前から、健康食品を毎日飲んでいました。ビタミン、コラーゲン、ローヤルゼリーなどと一緒に、「プエラリア・ミリフィカ」というものが含まれていたのですが、(体内で女性ホルモンと同じ働きをするにもかかわらずステロイドの構造を持たない。胸に張りが出てくる。と書いてありました。1日分60mgです。)このことと、しこりができたこととは何か関係があるのでしょうか、できれば教えて頂けないでしょうか。(この1ヶ月は飲んでいません。)
とにかく結果をはっきり出してからそれに対処していけばいいとはわかっていても、再診察の日が近づくにつれ、子供もまだ小さいのに・・・とかいろいろ考えてしまって不安でたまらず、また行った病院もとても混んでいて、先生にゆっくりお話をお聞きできる雰囲気でもないこともあり、ご迷惑も顧みず長々と書いてしまい本当に申し訳ありません。お忙しいことと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。

@触診および超音波検査では、乳腺の腫瘤(こぶ)の大きさによって、乳癌かどうかの診断率が変わってきます。手のひらで腫瘤を触知し、腫瘤があると感じる大きさは、日本人の乳房ではおおよそ0.5cmですが、乳房が大きくなると1cm前後でも分かりにくいことがあります。従って触診の場合、勿論経験にもよりますが、1cm前後の腫瘤では、そこに何かあることが分かっても、それが癌であるかどうかの診断を下す事ができないこともあります。
超音波検査でも同様のことが言えます。超音波では0.3cm大から腫瘤を確認できますが、1cm前後まで、小さければ小さい程、それが癌であるかどうかの診断を下すのは難しくなります。乳癌の診断率は1cm以上の腫瘤であれば85%程度と言われており、2cm以上になると90%前後になります。

A乳房撮影はX腺を用いた乳房の検査ですが、上半身の衣服を脱いでフィルムの入った板の上に乳房をのせ、その上からプラスチックの板で挟んで圧迫して撮影します。少し痛いですが我慢してください。両側の乳房を撮影し、そのしこりが良性であるか悪性であるか、左右の乳房の写真を比較しながら総合的に判断します。触診ではしこりが確認できないほどの小さな乳癌でも、写真上の石灰化像により検出できることがあります。マンモグラフィによる乳癌の診断率は80−85%と言われています。また撮影の際の放射線の被曝が問題になっていましたが、現在では機器の改良によって被曝線量は極めてわずかになっていますので、心配ありません。
穿刺吸引細胞診は、細胞を摂取して細胞病理の専門家の判定を仰ぎます。乳腺に腫瘤がある場合、年齢を問わず、この検査を受ける事をお勧めします。簡単で迅速、かつ安全ですが、結果が出るまでに早くて3〜4日かかります。この方法での診断率は90−95%です。

貴方の場合、0.7cm大の腫瘤が右内上方にあるとのことですので、以上の検査を受けたほうがいいでしょう。一般的には良性疾患の可能性が圧倒的に高いのですが、良性か悪性かを確認する必要があります。また良性疾患であると診断された場合でも、将来にわたっての癌の発生の確率が統計的にみて少し高くなっていますので、今後、経過観察を行ってfollowしていくことになります。疑問や不安がある場合は、納得がいくまで担当医に相談してください。健康食品については、直接的な関係はないと思われますが、詳細に関してはよくわかりません。(文責  須田)

 

No.83】00年02月20日 M.H.さん
胸のしこりについて(15歳)

中学3年生の15歳です。胸にしこりがあって、触ると痛みがあります。やはり病院に行かないと駄目でしょうか?何科に行けば良いのでしょう?東京都内の病院では、どこがいいでしょうか?

病院では、必要に応じて触れることのできる乳腺腫瘤(こぶ)を検査、又は治療の目的で手術します。代表的な乳腺の病気には線維腺腫、乳腺症、乳癌などがありがますが、年齢別にその割合をみると次のようになります。  

乳腺腫瘤の年齢分布
年齢 線維腺腫 乳腺症 乳癌
10ー14 100% 0% 0%
15−29 80 20
20−24 78 17
25−29 60 32
30−34 45 45 10

35−39

40 35 25

40−44

30 30 40

45−49

20 30 50

50−54

10 25 65

55−59

10 82

60−64

10 85

65−69

20 80

70−74

92

75−79

15 85

15歳という年齢から判断すると、おそらく線維腺腫 だと思われます。この病気自体は良性のもので、心配する必要はありませんが、線維腺腫 の一部は20歳前後で急速に増大する恐れがあります。念の為、一度は保護者と一緒に病院の乳腺外科で受診したほうがいいと思います。都立病院、大学付属病院等の大きな総合病院であれば乳腺外科がありますので、相談してみると良いでしょう。(文責   須田)

 

No.82】00年02月20日 K.K.さん
乳癌と診断されました

3年前に、右胸のしこりが気になり、超音波、マンモグラフィー、針生検を受けました。石灰化しているが、細胞診では5段階の2ということで、悪性ではないとの診断でした。去年から気になっていましたが、左乳首の上内側に円形の2cm程度のしこりがあります。今年になってずきずきと非常に痛むことが1度あったので、病院に行き、針生検を受けました。5段階の5で、乳癌と診断されました。今週木曜日に入院します。乳癌で非常に痛むことがあるのでしょうか。他の病気を併発しているのでしょうか。

乳癌の腫瘤は一般的には無痛性ですが、痛みを伴う場合もあります。痛みの感じ方は人によって異なりますが、いずれにしろ2cm程度のしこりがある場合は、【穿刺吸引細胞診】を行って、良性か、悪性かの判断をすることになります。この方法は簡便かつ迅速、安全であるため、通常は入院ではなく外来で検査致します。貴方の場合もこの検査をして、classXと診断されたのだと推察致します。この検査の悪性を診断する感度は90〜95%であると報告されており、ほぼ乳癌として間違いないと思います。乳癌だとすれば腫瘤が2cmであり、この時期ではリンパ節転移はないか、あっても軽度の場合が多いので、乳房温存術あるいは大小胸筋温存乳房切除術が提案されると思います。それぞれの手術のメリット、デメリットを担当医より納得がいくまで充分説明してもらうのがベストです。貴方の意思を尊重し、貴方の同意の下で治療を進めていくことになります。がんばってください。
痛みについては、「ズキズキと非常に痛い」と言うことですが、乳房痛ではなく、内臓痛(ex 心筋梗塞、狭心症、肺疾患等)の場合がありますので、主治医によく相談し、診察してもらってください。(文責   須田)

 

No.81】00年02月20日 ARIさん
体重が増えて困っています

私は乳癌になって1年半になります。最初から骨転移がありました。ホルモン剤ヒスロンH錠、を飲んでいます。そのためか体重が6キロ増えてしまいました。食事療法もしているので太る要素は無いはずなのですがどうしてでしょうか。

ヒスロンH錠は、合成黄体ホルモン製剤であり、血栓症、本剤の蛋白同化作用に基づく食欲亢進・肥満・満月様顔貌等があります。体重増加に関しては4〜6kg増える人が多いようです。
ヒスロンH錠には白血球増加、血小板増加等の骨髄の保護作用があり、進行再発乳癌に対しては骨転移の有効率が高くなっています。進行再発乳癌の治療法のひとつとして、フルツロン(抗癌剤)と共に使用すると、両者の併用によって副作用が相殺され、体重増加が少なくなることも経験しています。もちろんヒスロンH錠の服用を中止すれば何年かで体重が元に戻る人が大部分です。カロリー計算し、節食すればいいのですが、食欲亢進を止めることは難しく、つい手が出てしまう人が多いようです。本来の乳癌の治療目的を優先させると、ある程度の肥満は仕方がないかもしれません。
他の治療法も含め、現在の治療法を続けるかどうかは、主治医とよく相談なさることがベストだと思います。(文責   須田)

 

No.80】00年02月18日 M.H.さん
乳癌の手術後について

8月に初期の乳癌を検診で発見し、9月に手術をしました。温存での手術で、月1回程度での放射線治療を受けています。昨日、治療を受けに行くと、白血球が普通時の半分ぐらいに減っているといわれました。身体は元気で、だいぶ普通の生活になってきているのですが、今までそんな事を言われたことがないので、少し不安です。お医者様は治療は来週にしましょうと言われました。それまで、何か生活上で気をつけておくことなどあるのでしょうか? 年齢54歳です。

癌治療中の白血球の減少は、化学療法や放射線治療などでみられます。白血球数が極端に減少している場合(1000/mm3以下)は、感染に注意して、白血球を増加させる薬を使用します。
貴方の場合は、普通時の半分と言うことですので、少なくとも2000/mm3以上あるということです。念の為、1週間後に白血球数を調べて数が増加しているか、減少しているかを check し、それによって治療を考えましょうとの判断だと思います。その間の注意としては、放射線治療を行っている時の皮膚の照射部位は、他のところより敏感になっていますので、圧迫や刺激を避け、皮膚を保護するように心がけてください。あまり神経質にならず、不安なことは遠慮なく主治医に相談し、アドバイスを受けてください。(文責   須田)

 

No.79】00年02月17日 ひなたさん
乳腺症と多発のう胞について

はじめまして。35歳独身女性です。
先日健康診断で乳癌検診を受けたところ、触診にて「左右乳房にしこりがある。たぶん乳腺症だろうが念のために」ということで2次検査のマンモグラフィーと超音波を受けることになり、その結果「乳腺症+多発のう胞なので1年後にまた診察を受けるように」と診断されました。
ただ、今回の事をきっかけにないろいろ本を読んでみるとしこりがあった場合、最終的には細胞を調べてみないと良性か悪性か判断できないと書いてあるものもあれば、超音波等で、はっきりしない場合に細胞を調べると良いと書いてあるものなど、まちまちで不安です。
そこで質問ですが
1・やはりしこりがある場合は念のため再度乳腺科で細胞も調べてもらったほうがよいでしょうか。
2・乳腺症はよく聞きますが、多発のう胞とはどのようなものでしょうか。
3・乳腺症、多発のう胞の治療法はあるのでしょうか。生理前には乳房が張って痛いという症状はありますが、特に今まで気にしていませんでした。ホルモンバランスの影響ということなので薬でバランスを整えたり、漢方薬などで体質改善するなどした方がよいのでしょうか。
いろいろお忙しいでしょうがお答え下さいますよう、よろしくお願いいたします。

しこりには、大きく分けて腫瘤(こぶ)と硬結(中心が硬く、境界が不明瞭な状態)の2種類があります。大部分の乳癌の形は“腫瘤”ですが、一部、“硬結”の場合もあり、いずれにしても触ると硬く感じます。乳房にしこりがある場合は、まず視触診によってどのような病気が考えられるかを推定し、更に乳房撮影、超音波検査、穿刺吸引細胞診を行って客観的に診断していくことになりますが、詳しくはこのコーナーのNO.62を参考にして下さい。
乳癌が腫瘤である場合、画像上、乳腺線維腺腫やのう胞等の良性のものとの区別がつきにくいことが少なからずあります。このような場合には最終的には細胞を調べて、良性か悪性かの判断をつけることになります。また乳癌が硬結で存在する場合は、超音波検査や乳房撮影をしても、腫瘤像としては映し出されず、乳腺症と同様に中心が固いという症状のみです。小葉癌の場合や乳癌が小さい時にはこのようなことがあります。この場合にも診断をはっきりさせるには、細胞を調べなければなりません。
@について:乳腺外科で診察してもらい、必要であれば細胞を調べることになると思います。
Aについて:体液が貯留してる嚢状のものを“のう胞”といいますが、多発のう胞とは、この“のう胞”が乳腺内にたくさんある状態です。針を刺して吸引し、その中の細胞に癌がないかどうか、のう胞内容液を調べることになります。
Bについて:乳腺症や多発のう胞のある人は、これらの病気を持たない人に比べて、乳癌を伴う頻度が高い傾向にありますが、この病気自体は体に障害を与えるものではなく、特別な治療の必要はありません。念の為に定期的に検診を受けてfollowする必要はありますが、一般的に薬を内服するようなことはありません。あまり神経質にならず、疑問の点は遠慮せず主治医に相談なさることだと思います。(文責   須田)

 

No.78】00年02月15日 なつさん
ノルバテックスについて

43歳、T期の乳がんで、今年温存手術をうけ、抗がん剤はやらないで、ノルバデックスだけです。ノルバデックスを飲むと、胃が熱くなって、食欲が出ず、寝られず、困っています。20mg/日というのは、体重何kgでも同じ処方なのでしょうか?

乳癌の場合、主に卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)を投与すると、癌が大きくなり、反対にエストロゲンを除去すると退縮しますが、これを利用したのがホルモン療法です。ホルモン療法は比較的副作用が少ないため、再発進行乳癌の治療としてだけではなく、術後の再発を予防するための補助療法としても汎用されています。 タモキシフェン(商品名 ノルバテックス)もこのホルモン療法剤のひとつですが、副作用として貴方のように消化器症状を訴える人は、内服者の1.7%だという報告があります。悪心嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛等、症状の発現の仕方や程度には個人差があり、人により様々です。一般的にこの薬の用法・用量は、成人の場合、20mg/dayで、2回に分割して内服しますが、副作用がきつい場合は、この薬だけに固執する必要はありません。貴方の場合43歳で、閉経前と思われます。たとえば閉経前の乳癌には、手術後の治療として卵巣摘除術が有効ですが、別のホルモン剤である“LH-RHアゴニスト”は、この卵巣敵除術と同等の効果を持っています。主治医と納得がいくまで相談し、貴方にあった最適の治療方法を行っていくのがベストだと思います。(文責   須田)

                                 

 

No.77】00年02月13日 ころんたん
胸のしこりについて

私はマレーシアに住む27歳主婦で去年の12月に初めての子供を出産しました。現在母乳で育てています。2,3週間前に右胸上部のしこり(?)に気づき、出産した病院のお医者さん(産婦人科)に診てもらったところ(触診)、ミルクではないかと言われました。しこりには痛みは無く、形もハッキリしません。お乳がたまると硬く張りますが、授乳の後は少し柔らかくなる感じがします。でも、完全にしこりが無くなる事はありません。胸の内側から手をすべらして触ると、しこりとの境界に段差があります。大きさはハッキリわかりません。このような場合は、乳がんの可能性はあるのでしょうか?乳がんのしこりの特徴はどんなものでしょうか?

乳房にしこりがある場合に考えられる病気としては、【相談室】No.72、No.76の回答を参考にしていただければ理解できると思います。
1)しこりが硬結の場合
硬結とは、肩がこっている時のように、中心が硬く、周囲の境界が不明瞭な状態をいいます。授乳の時期であること、ミルクではないかと言われている事、しこりが右胸上部で形がはっきりせず、母乳がたまると硬く、授乳後は少し軟らかくなること等から推測すると、右上部の乳管が詰まって母乳の排出が悪い乳腺の一部が出現し、触ると硬い状態になっているものと考えられます。発赤、疼痛などの炎症症状がないので、うっ滞性乳腺炎の前段階だと思われます。授乳、搾乳等、どんどん母乳を出してやることが大切です。
2)しこりが腫瘤(こぶ)の場合
小さな腫瘤があるかもしれませんので、No.76の回答にも書きましたように、病院を訪れ、超音波検査によって、まず腫瘤があるかどうかの確認をすることが先決です。腫瘤があった場合は穿刺吸引細胞診を行い、乳癌でないことを確認することになります。(文責   須田)

 

No.76】00年02月13日 TBTさん
産後のしこりについて

25歳大阪在住です。昨年10月28日に第1子出産しました。産後17日目に右胸内側にしこりがあるのに気がつきました。母乳で張ってもいましたので助産婦さんに絞ってもらい、様子を見ようということになりましたが、その後変化がありません。今日2月10日現在まで、痛みも熱もなく直径1.5cm程度のしこりが残っています。考えられる病気はどんなものがありますか?よろしくお願いします。

乳房にしこりがある場合に考えられる病気としては、【相談室】No.72の回答を参考にしていただければ理解できると思います。授乳の時期に発生しやすい病気としては、母乳が溜まる【乳瘤】とか、【うっ滞性乳腺炎】があります。【うっ滞性乳腺炎】は乳管がつまり、母乳がうっ滞することにより起こりますが、発赤と疼痛、時には発熱を伴った急性炎症ですが、貴方の場合、急性炎症症状がないので、これではありません。【乳瘤】の場合は、のう胞と同様の所見症状ですが、のう胞内容が母乳であることが、のう胞との違いです。また、これ以外に、貴方の場合は、無痛性のしこりであり、年齢が25歳であることから、一般的には【線維腺腫】が考えられます。
しこりがある場合、病院を受診すれば、視触診、乳房撮影、超音波検査、穿刺吸引細胞診の4つを行いますが、貴方の場合、現在、授乳中であり、乳房撮影、触診では、【線維腺腫】、【乳瘤】、【のう胞】のいずれであるかを区別することは困難ですので、超音波検査で判断することになります。いずれにしても良性の病気なので、あまり心配することはありません。ただ、稀に授乳時期に乳癌が発見されることもありますので、穿刺吸引細胞診を行って、乳癌でないことを確認するためにも、乳腺外科での診察を受けることをお勧めいたします。(文責   須田)

 

No.75】00年02月11日 H.T.さん
乳首の痛みについて

20代後半の女性です。昨夜から左の乳首が痛みだし、今もその痛みが続いています。気のせいか、朝方からは痛みが左胸全体に広がっているような気がします。本などを見ても乳首については余り載ってなく、不安なので、宜しくお願いいたします。

乳首は、医学的には【乳頭】といいますが、10数本の主乳管が集まっていて、乳腺の一部です。
貴方の痛みは、女性ホルモンの影響によって月経前や排卵前に痛みが起こる“乳房痛”と推測されます。この場合、月経、排卵の1週間前頃から痛みを感じることが多いのですが、痛みの程度は片側であったり、両側であったり、また乳房全体の鈍痛から、一部分がチクチク痛むまで、人によって様々です。また触れられる、圧迫される、走ったときのように乳房が揺れる等のときに、痛みを感じるようですが、何もしなくても痛いという方もおります。痛みの症状は、ほとんどの場合、1〜2週間で軽快します。
“乳腺炎”の場合も乳頭に痛みを感じます。非授乳期で陥没乳頭(乳頭が凹んでいる)の患者さんでは、陥没部より細菌感染を起こして化膿性の乳腺炎になる場合があります。一度起こすと反復することがあり、更に乳輪下に膿瘍を作ると、抗生物質での治療でも治りにくく、手術(切開、排膿)になることもありますが、いずれにしても悪性の病気ではありません。
1〜2週間で痛みがとれない場合は、乳腺外来で相談して下さい。(文責   須田)

 

No.74】00年02月10日 A.Y.さん
左胸の痛みについて

私は32歳、独身です。ここ何日間か、左胸に痛みを感じます。下から持ち上げる感じで触ると痛いのです。上部や正面から押したときは痛みはありません。しこりは感じませんが、しこりがどういうものなのかもわかりません。今の時期は多分生理前2週間というところです。今までは生理の5日前ごろから痛くなっていたのですが、今回違ったので気になりました。考えられる原因は何なのでしょう?よろしくお願いいたします。

胸痛には心血管、肺、気道、食道、胃等の内臓由来の内臓痛と、胸壁、胸膜、乳房に由来する体性痛があります。
内臓痛では狭心症、心筋梗塞、解離性動脈瘤等の心臓や大血管の病気、又は肺梗塞のような肺の病気が考えられ、これらの場合は救命救急処置が必要です。心臓や血管に由来する場合は、痛みだけではなく、胸部の不快感、圧迫感、絞扼感等の、いわゆる胸内苦悶を訴えることが多いようです。呼吸器系に由来する場合は、深呼吸や咳、笑うなどの胸部の動きに伴って生じる鋭い、刺すような痛みがありますが、痛みの程度は様々です。
体性痛については、ほとんど救急処置は必要ありません。胸壁痛の場合は、胸壁を構成する筋肉、靭帯、骨、軟骨、関節の刺激や牽引、可動によって疼痛を生じ、病変部に一致して圧痛があります。このような痛みを生じる病気としては、胸壁腫瘍、肋骨骨折、肋間神経炎、肋軟骨炎、肩関節炎、線維筋炎、強直性脊椎炎などがありますが、一般的に整形外科で取り扱います。また肋骨に沿った激しい痛みで、小水疱を伴うものに帯状疱疹がありますが、これはウイルス感染で、皮膚科の領域です。胸壁や上腹壁に発生するモンドール病の場合は、乳房を上方に上げたり、つっぱったりすることにより痛みを感じますが、普通、数週間で自然に治癒しますので、心配ありません。次に、乳房痛の場合は、炎症によるものと、ホルモン環境によるものがあります。女性ホルモンの影響により、月経前とか排卵前に乳房の痛みを強く感じることがあります。また炎症により様々な痛みが起こる場合が乳腺炎であり、授乳の時期に乳管の閉塞によって炎症を起こすものと、非授乳期に感染によって炎症を起こすものがあります。
ご相談の痛みの原因としては、体性痛の中の“モンドール病”又はホルモンの影響による“乳房痛”である確率が高いと推測されますが、乳房痛と胸痛は区別できませんので、痛みの原因が“乳房痛”であると思いこまず、一度専門医に相談されることをお勧めいたします。(文責   須田)

 

No.73】00年02月09日 megan
胸に出来るしこりの病気について・・・

ついこの間から右胸がチクチク痛み始めました。去年子供を出産しましたが、妊娠中の検診、産後の検診で右胸にしこりのようなものがあると言われました。妊娠中に超音波で検査したところ、妊娠による一時的なものだろうとの事でしたが、産後の検診(9ヶ月後)でもしこりがあると言う事で定期的に自分で触診するように言われました。先週末くらいから右胸に針で刺すような痛みを感じるようになったんです。それも、何もしてない時にいきなりチクチク痛み出すんです。触っても痛みはありません。張るようなカンジもありません。ただ突然痛みが走ります。(そんなに長くはないですが)
私にはしこりのようなものは特に感じられないのですが医師に注意するように言われていたのを思い出して不安になりました。これは一体何なのでしょうか?すぐ病院に行って検査した方がいいような事なのでしょうか?心配で仕方ありません。ちなみに私は28歳です。

胸痛には心臓、血管、肺等の内臓由来の内臓痛と、胸壁、乳房に由来する体性痛があります。“死ぬほど痛い”とか“仕事を中断しなければならないほど痛い”など、激痛を伴う場合は、内臓痛が考えられますが、それ以外と思われますので、体性痛を中心にお話致します。

1)乳房に由来する痛み(乳房痛)
@女性ホルモンの影響により月経前、排卵前に乳房の痛みを強く感じることがあります。乳房が揺れたり、圧迫されたりすると、乳房全体 の鈍い痛みからチクチクする痛みまで、様々な痛みが感じられるようです。
A乳腺炎による痛み(授乳期のうっ滞性の乳腺炎、非授乳期の可能性乳腺炎)
B緊満した乳腺のう胞(急速にのう胞内容が貯留したための痛み)

2)胸壁に由来する痛み
@有痛性表在性索状物(モンドール病)
胸壁、上腹壁に発生する皮下の血栓性静脈炎による痛みですが、数週間で自然治癒します。
A肋骨に沿った痛み
帯状疱疹は小水泡を伴った激しい痛みで、ウイルス感染によって起こります。

ご質問の痛みの原因につきましては、乳房に腫瘤(こぶ)があるとすれば、のう胞の中に母乳が溜まった緊満した乳瘤によるもの、女性ホルモンの影響による痛み等による“乳房痛”、あるいは胸壁由来の痛みであるとすれば、帯状疱疹の初期であることも考えられます。心配のない痛みだと推測されますが、産後の検診で右乳房にしこりがあることが気になりますので、念の為、一度乳腺外来を受診してご相談することをお勧めいたします。(文責   須田)

 

 

No.72】00年02月07日 M.H.さん
胸に出来るしこりの病気について・・・

胸にしこりがある場合、どんな病気が考えられるのですか?出来る限り詳しく説明して頂きたいのです。友達に胸にしこりがある人がいますが、病院に行きたがりません。どうしたら良いでしょうか?教えて下さい、、、お願い致します。

乳房にしこりがある場合、触診によってどのような病気が考えられるかを推定致します。しこりの大きさ・形状・硬さ・弾性・表面・波動・境界・可動性を分析した所見と更に好発年齢等を合わせ、考えられる代表的なしこりの病変には乳癌、乳腺性、のう胞、線維腺腫、葉状腫瘍、乳頭腫などがあります。

乳癌 乳腺症 のう胞 線維腺腫 葉状腫瘍 乳頭腫

形   状

不整 不整、硬結 球形 球形、卵形 球形、卵形 球形、索状

硬   さ

やや硬 やや硬〜硬 やや硬〜硬 一様でない 軟〜硬
弾  性 - + + + + +
表  面 凹凸

凹凸、顆粒状

平滑 平滑 平滑 平滑
波  動 - - - 〜 + - - 〜 + - 〜 +
境  界 不明瞭 不明瞭 明瞭 明瞭 明瞭〜不明瞭 明瞭
可動性 - 〜 + + + ± +
乳頭分泌 血性

漿液性乳汁様

- - - 漿液性、血性
疼  痛 - - 〜 + - 〜 + - - 〜 -
年  齢 40< 35〜45 35〜45 20〜35 30〜55 40〜45
その他 月経後縮小

触診によってどのような病気が考えられるかを推定し、更に乳房撮影、超音波検査、穿刺吸引細胞診を行って、客観的に診断していくことになります。病院にいきたくなければ、最近では予約制で検診のみを行う機関もありますので、そのような機関を利用して不安を解消するという方法も考えられます(たとえば神奈川県では、神奈川県予防医学協会 045−641-8501 )。(文責  須田)

 

No.71】00年02月07日 A.S.さん
右胸の下にしこりがあります

20代前半の女性です。右胸の下を触ると、ポコっとしたしこりを感じます。触るととても痛く、気持ちがわるくなります。 ただ、年齢的に早い気がしますし、とてもやせているので、胸は小さく、触っているのは骨のような気もします。これは乳癌のしこりなのでしょうか?

20代前半での乳癌の発生は稀です。乳癌の発生頻度の高いアメリカでの統計ですが、1年間の年齢別発生頻度は、25歳では10万人あたり5人、50歳では10万人あたり150人、75歳までになると10万人あたり200人を超えており、年齢と共に劇的に増加しています。
「ぽこっとした、触れると痛い、骨のような」しこりということですので、表面が平滑で、境界の明瞭な、有痛性の、比較的硬い腫瘤であることと、20代前半という年齢から推定すると、線維腺腫、またはのう胞だと思われます。いずれも良性の病気です。
貴方の場合、乳癌である可能性はまずないと思いますが、絶対ということはありえませんので、乳腺外来で受診することをお勧めいたします。乳房撮影、超音波検査を受けて、しこりの硬さ、大きさ、形、広がり等を精査し、経時的にみて変化があるかどうかをfollowする必要があります。(文責   須田)

 

No.70】00年02月06日 N.S.さん
右胸のしこりについて

33才の主婦です。1月27日に2人目の子供を出産したばかりですが、1ヶ月前ほどから両ワキの上側に1センチくらいのしこりをそれぞれ2,3個ずつ見つけました。(ワキからは、しこり部分ではないが授乳時にお乳がにじみます)産婦人科の先生に相談すると副乳でしょうと言う答えでした。

副乳とは、左右の乳腺以外に、動物の乳腺のように腋窩から鼠径部にかけて、多数ある状態をいいます。ご質問にあるようなしこりは副乳だと思われます。授乳期間が終れば消退しますので心配ありません。(文責   須田)

 

No.69】00年02月04日 W.H.さん
妊娠中のしこりについて

右の胸にしこりを見つけました。産婦人科に行ってきたところ、紹介状を頂きました。今、お腹は7ヶ月です。検査などで、お腹に影響はあるのでしょうか。しこりは、2〜3センチ位と言われました。

妊娠中の場合、胎児に影響のないように乳房撮影は行わず、視触診、超音波検査を行います。貴方の場合、しこりの大きさが2〜3cmとのことですから、更に穿刺吸引細胞診を行って、診断することになると思います。直接拝見していないので、正確なことはわかりませんが、可能性のある病気としては線維腺腫、のう胞、乳癌などが考えられます。年齢的にみても乳癌の確立は低いと思われますが、念のため、乳腺外科での受診をお勧め致します。しこりの検査方法については、この相談室のNo.62を参考にして下さい。(文責   須田)

 

No.68】00年02月03日 M.Y.さん
左胸にしこりがあるのですが---

左胸の乳頭下の皮膚の下に、米粒くらいの(大きさと固さの)しこりがあるのに気がつきました。虫刺されのような大きさですが、色も変色していなく、かゆみや痛みもありません。少し心配です。

お尋ねの乳頭下の腫瘤ですが、以下の2つの場合が考えられます。

1)皮膚の腫瘤であれば、粉瘤、良性表在性腫瘤等が考えられますが、この場合は心配ありません。
2)乳腺の腫瘤である場合、最も心配なのが乳癌です。米粒(0.2〜0.3cm)程度の大きさだと、乳房撮影、超音波検査等を行っても小さすぎて良性か悪性か、判別できないことがあります。しこりが固い場合は、乳癌の可能性も否定できないので、腫瘤が大きくなるかどうか、期間をあけて定期的にfollowしていく必要があります。

乳腺外来にて専門医の診察を受けることをお勧め致します。(文責   須田)

 

No.67】00年02月03日 さちさん
しこりについて

あのどうしても不安なんだ、聞いてください。首の横にしこりがあるんです。ガンの恐れはありますか?

1)お尋ねのしこりが頚部のリンパ節にある場合
炎症性の場合は、結核とか、急性または慢性リンパ節炎等が考えられます。腫瘍性のものであれば、リンパ腫とか悪性腫瘍の転移が考えられます。 従ってリンパ節が固かったり、大きかったりした場合は、癌の転移を考え、吸引細胞診(針を刺して細胞を調べる)や、リンパ節生検(手術をしてリンパ節を摘出し、組織を調べる)を行う必要があります。
2)頚部のしこりがリンパ節でない場合
睡液腺腫瘍(耳下腺、顎下腺)、先天性のう胞、頚動脈球腫瘍、甲状腺腫瘍、上皮小体腫瘍、その他(脂肪腫、神経線維腫、血管腫、粉瘤)が考えられます。

以上のように頚部にみられる腫瘍の起源は極めて多くの場合が考えられるので、視触診、臨床経過を参考にして、超音波、CT、MR、シンチグラム等の検査を行い、腫瘤の大きさや広がりを正確に調べます。しこりがある場合は、外科に受診して、充分な検査をする必要があります。(文責   須田)

 

No.66】00年02月03日 ゆんぴー
乳癌に痛みはあるのでしょうか?

33歳、子供なしの主婦です。半年前(昨年8月)に市の乳癌集団検診(触診・超音波)を受けましたが、異常はありませんでした。10日前ほど(排卵日直後)右胸・右腋に鈍痛があり、触ってみると左胸に比べると乳輪上方部が固いのに気がつきました。その後その鈍痛はたびたびありまして、現在は生理前なので、両胸カチンカチンに張っている状態です(生理前に胸が張るのは以前からありました)。生理が始まったら病院に行こうと思っていますが、乳癌に痛みはあまり伴わないとのことですけど、とても最初の鈍痛が気になっています。

乳癌患者の主訴の90%は、腫瘤(こぶ)です。なかでも無痛性の腫瘤が大部分を占めています。その他、乳房痛のみ(2.1%)、血性乳頭分泌(1.9%)、非血性乳頭分泌(1.0%)と続きます。
また年齢的には閉経(51歳)前後に集中しており、貴方の場合、乳癌の確立は低いと思われますが、痛みがあり、乳輪上方が固いとの事ですので、念の為、月経終了後1週間以内に乳腺外来で受診することをお勧めいたします。(文責   須田)

 

No.65】00年01月31日 K.K.さん
乳房が痛いです(No.2)

早速の回答本当にありがとうございました。
指示通り、指先で乳房を撫でるように触ってみました。やはり乳房中心部の円状の固まりに触れるのみです。小さなしこりというものは感じません。そして押さえると痛みます。初潮があってからこの2、3ヶ月前まで、生理前だからといって乳房の痛みを感じたことなどなかったのですが、急にこのような症状がでてくるのはおかしくないのでしょうか?

平均的には30才代半ばくらいに痛みを感じ始める人が多いようですが、かなり個人差があり、20才代から痛み始める人も少なくありません。基本的には卵巣から出ている女性ホルモンの変動による痛みなので、若い時には全く痛みを感じなかった人が、ある日突然痛むというのも珍しい事ではありません。痛みの程度の差はあるかも知れませんが、通常は閉経期まで続くようです。また、痛みの感じ方にも個人差があり、同じようなホルモン状態でも痛い人と痛くない人がいる事も事実です。(文責   清水)

 

No.64】00年01月31日 K.K.さん
乳房が痛いです

28歳の主婦です。出産経験はありません。この2、3ヶ月のことですが、乳房が全体的に痛むのです。やはり生理前にもっとも痛みを感じ、生理が始まると少し和らぎます。乳房全体をつかんでみると、中心部に円状のしこりというよりは固まりのようなものが感じられます。つねに痛んでいるのではなく、触ったり、何かにあたったりした時に鈍痛を感じます。思春期に胸がふくらみだした頃の痛みに似ているような気がします。6年前に痛みのない小さなしこりを見つけ、検査をしてもらったことが有ります。その時は、注射針を乳房に刺し細胞をとるというようなことをし、結局は良性のしこりということでした。まだ20代ですし、痛みを伴うしこりは乳がんの可能性が低いと読んだことがあるので、あまり心配はしないようにしてるのですが、やはり不安です。引っ越してきたばかりでよくわからないので、福岡市内で乳腺外来のある病院を教えていただけたらと思っています。よろしくお願いします。

1)”乳房全体が痛む”、”生理の前に痛みが強く生理が始まると少し和らぐ”
思春期に胸が膨らみだした頃の痛みに似ている”といったお話からすると、女性ホルモンの影響によって起こる典型的な生理前の乳房痛で癌の心配はないように思います。
2)”乳房を掴んでみると..”
乳房の自己検診では乳房を掴むのではなく、指先で乳房を撫でるように触ってみて下さい。それで感じるしこりが本当のしこりで、乳房を掴んだ時は正常の乳腺でもしこりのように触れてしまいます。
3)”中心部に円状のしこりというよりは固まりのようなものが感じられます”
触り方が正しくないのでなんとも言えませんが、この点については一度専門の先生に診て頂いてもらった方が良いと思います。
4)”福岡市内の乳腺外来のある病院”
【福岡市内の乳腺外来のある病院】について分かる範囲でお答え致します。当研究会のメンバーである福間先生より、九州大学第2外科北村薫先生をご紹介いただきました。
また乳癌学会の”認定医,専門医制度研修認定施設”になっているのは九州大学、福岡大学、国立病院九州医療センター、博愛会病院の4施設です。(文責   清水)

 

No.63】00年01月25日 T.I.さん
乳首がかゆい

34歳、既婚、妊娠経験はありません。3ヶ月くらい前から左乳頭がかゆいので、入浴時にタオルなどで軽く擦っていると、消しゴムのかすのように皮が剥け、乳首・乳輪がただれてきて黄色っぽい汁が出るようになりました。
今でも痒みは治まらず最近では左側の乳輪に10円玉くらいの円形に黒っぽく変色してきたので不安です。(かさぶたではありません)
かゆみは入浴後や就寝時がひどく痛痒い感じですが、普段は感じません。それ以上範囲が広がっていることもありませんが、治る気配もないので不安です。よろしくお願いします。

直接診察できないので、適当なアドバイスができるかどうかわかりませんが、考えられる範囲でお答えします。一番最悪のケースを考えると、Paget病という乳頭にできるおとなしい癌があります。乳頭の表面がじくじくただれて暫くするとかさぶたになり、また暫くするとじくじくただれて...と繰り返しながら少しずつゆっくり拡がっていきます。この場合は、乳頭のじくじくしているところの細胞を採れば診断がつきます。それ以外に悪性の病気はありません。良性の病気で多いのは、自分の乳頭からの分泌物(量は少ないので自分では気がつかない)にかぶれて、湿疹になる例で、この場合はステロイドが入った軟膏を塗ると良くなります。また、乳輪にはモンゴメリー腺と呼ばれる腺があってそこからの分泌物にかぶれる事があるようです。
いずれにしても、病院へいって良く診てもらって下さい。(文責   清水)

 

No.62】00年01月25日 T.N.さん
胸のしこりについて

36才の主婦です。(子供2人・9才・6才)先日、右胸にしこりが見つかりました。毎年受けている検診です。エコーでも異常像と言うことで精密検査を受ける予定です。どんな検査を受けるのでしょう。しこりは、右の乳輪の横辺り(右胸内側)で、1センチもないぐらいです。以前(下の子の授乳の時から)から、時々、左胸に痛みを感じることがあったのですが、こちらの方には、しこりは見つかりませんでした。時々、自分でもチェックしていたのですが、今回のしこりは検診で言われるまで気づきませんでした。
精密検査を受けるのに、生理の日は避けた方がいいのでしょうか。それと、エコーにもうつってると言うことは、癌の可能性が高いのでしょうか。また、癌の場合、いまのように、小さなしこりの場合(1センチくらい)、どのような治療になるのでしょう?いま、とても、不安な気持ちです。

しこりの検査:
1)視触診:医者がまず見て、形の変化はないか、ひきつれはないか、乳頭に異常はないかなどをcheckします。次に触って、しこりがないか、乳線の固い部分はないかを診て、しこりがあれば、大きさ、形、固さ、表面の性状、動きなどをcheckして触った感じが癌かどうか診断します。(触診上の診断)
2)マンモグラフィ(MMG):乳房を挟んでレントゲンをかけて、乳房内に異常があるかどうかを調べます。腫瘤陰影(しこりのかげ)があるかどうか、あれば周囲にけばだちや放射状陰影がないか、微小石灰化はないかといった癌特有の所見を探しマンモグラフィの診断をします。(MMG診断)
3)乳房超音波検査(エコー、US):乳房の表面にゼリーを塗って、乳房表面から超音波を当ててその反射から乳房の中がどうなっているかを調べます。しこりがあるか、しこりがあれば、その影に癌の所見はあるかを調べ超音波による診断をします。(US診断)
以上3つの診断結果が一致すれば、ほぼ間違いなく診断つきますが、なかなか3つが一致しません。その場合は、穿刺吸引細胞診といって、しこりに細い針をさしてなかの細胞を取り出して病理の先生に診てもらいます。それでも確診がつかない場合は、局所麻酔下に腫瘤を摘出して検査します。
今回の御質問では、触って、しこりがあり、エコーで異常像がるということなので、あとはマンモグラフィをやって、細胞の検査になると思います。但し、エコーの写真が紹介状についていなければ、エコーもやり直すかも知れません。
実際に検診でひっかかっても”癌でないこと”もよくあることなので、あまり心配しないで紹介された病院でよく検査してもらって下さい。

病院、検診を受診するタイミング:
乳癌検診、特に触診は、生理が始まった後から排卵日頃までの間が適しています。婦人科の診察ではないので、生理中でも構いません。避けてほしいのは生理前です。
エコーのしこりの影:
エコーに写っているからといって癌の可能性が高いとは言えません。癌以外にも、線維線腫、のう胞腫、乳腺症等良性のしこりでもエコーでしこりの影がでます。エコーに写ったしこりの影の、形、しこりの影の中、外、縁、後側がどうなっているか、しこりの縦の長さと横の長さどちらが長いか等々、いろいろな所見から癌かどうかを判断します。
3)1cmのしこり
通常は1cmのしこりであれば乳房温存療法の適応だと思います。しかし、レントゲンや、超音波の所見等を参考にして決めますから、もし癌だった場合は、主治医の先生と治療法についてよく相談して下さい。(文責   清水)

 

No.61】00年01月21日 H.M.さん
赤黒い分泌液がでます

私は27歳の未婚です。一年くらい前に初めてブラジャーの黄色いしみを見つけたことがきっかけですが、左だけ上の内側を搾り出すようにさするとほとんど透明だけど少し黄色っぽい分泌液が出てきました。心配のため何度もやっていると血が混ざったような分泌液がでてきて、診療所に行って見てもらったのですが、いろんな検査をしてもらったわけじゃなく、分泌液の色を見て手でしこりなどの検査をしただけですが、先生は「触るから出るので しばらく触らなかったらその内出てこなくなりますし、乳癌の心配もありません。」と言われました。とりあえず安心していたのですが、もう一年になるのに前の様に毎日何度も触らなくなりましたが、ブラジャーの黄色いしみはたまについていました。だけど今日何ヶ月ぶりにかに触ってみたら赤黒い分泌液が出てきました。ティッシュでとってみるとどっちかというと茶色い色でした。急に焦っていろいろ調べて見たのですが、やはり赤黒い液は乳癌の可能性があるとありました。やはり乳癌なんでしょうか?
私の家族では一応癌の人はいません。自分で診断もたまにしていますが、自分が気付かないだけなんじゃないかと不安だけど、しこりやくぼみなどの他の症状はありません。押さえると痛いのは分泌液が出る方だけじゃなく両方同じように同じところが痛いのですが。病院に行くのが一番良いのは解っているのですが その前に教えていただけませんか?

1)乳頭からの分泌物について:
基本的に乳腺というのはmilkを作って、それを乳頭まで運ぶのが仕事です。毎月の生理というのは、女性が妊娠可能な状態になっていて、妊娠しなかった時に子宮内膜が脱落する現象ですよね、実は乳腺も同じように生理前は授乳の準備可能な状態になっていて、妊娠しなかった時には元に戻るのです。したがって、乳頭から分泌物があるのは自然な事です。ただ量が少ないためにほとんどの人は自覚しません。時々ホルモンのバランスが崩れた時や、乳腺症になった時などに分泌が増えます。分泌物の色は、透明、白、黄色、茶色、緑色、黒、...とさまざまで、次に述べる出血でなければあまり心配はありません。
2)乳頭からの出血(血性分泌物):
これは同じ分泌物の中でもちょっと違います。色は少し薄まった感じの血の色か、真っ赤な血の色か、どす黒い感じの色になります。下着に付いた時も、シミというより明らかに血液が付いていて、びっくりします。この時は、大部分が良性の乳管内乳頭腫という腫瘍ですが、10%位癌の危険性があります。
3)乳頭分泌がある時の検査:
いずれにしても素人判断は危険ですから、どのような分泌であっても病院に行って検査をしてもらって下さい(癌の心配があるからというのではなく、これを機会に専門の先生に一度診察をしてもらおうというような気楽な気持ちで)。通常は、視触診(見て異常がないか、触ってしこりがないか)、マンモグラフィという乳房のレントゲン検査、乳房超音波検査(エコーともいう)、この3つの通常の乳癌の検診に行われる検査と、分泌物を直接プレパラートに採って、分泌物の中にある細胞を調べる検査(病院によっては分泌物の中にあるCEAと呼ばれる癌が作るたんぱく質を調べる検査をするところもあります)があります。後者は簡便で正確でいつでも繰り返しできるので、乳頭からの分泌物には最適な検査法だと思います。(文責:清水)

 

No.60】00年01月20日 Y.E.さん
71才乳癌手術について

71才、母、乳癌手術についてお聞きしたいと思います。2.5センチくらいの腫瘍がみつかり、今度手術することになりました。自覚症状は全くありません。ただ、手術がとても混み合っているということで少しあとになるだろうとドクターからの説明を受けました。23ヵ月は許容範囲ということです。ただ素人の私にとってその間に転位しないか、あるいは、悪化しないかと心配です。診断はドクターの腕だが、その後の手術は何処でしても同じという話もされてます。近くの病院(そこの病院では乳癌がどうか診断できなかったので、母が不安に思ってます。)に移って早く手術をしたほうが良いでしょうか?また、手術後の予後や転位する可能性などなるべく詳しく知る上でどういったことをドクターに聞いておくべきでしょうか?

1)手術のタイミングについて:乳癌の場合は確かに手術が少し遅くなったからといって手後れになってしまうということはありません。勿論早ければ早い程betterだと思います。それは、医学的な見地と言うより、患者さんの不安な気持ちを少しでも早く解消してあげると言う意味からです。しかし現実には混んでいる病院では待たされるのが現状です。もし他にも受診できる病院があれば、二股をかけて早く手術できる方で手術をしてもらうという方法もあります。しかし、本当に納得できる説明が受けられ、手術後もきちんとfollowしてくれる病院であれば、少し位待ったとしてもその病院の方が良いと思います。
2)Doctorに聞く事:手術前に聞く事は、しこりの大きさ(2.5cmですね)、脇の下のリンパ節が触れるか?、肺、肝臓等に転移の徴候はないか?、手術は乳房切除か、乳房温存か?、手術による合併症は何か?、入院期間はどのくらいか?等等、手術に関する事を主に聞いてくだい。手術後にわかる病理の結果(早い病院で1週間くらい、遅い病院では1ヶ月位かかります)がお母さんの予後や術後の治療
に大きく影響します。そこで一番大切な事は、脇の下のリンパ節(腋窩リンパ節)が手術でいくつとれて、そのうちいくつに転移があったか?、女性ホルモンの感受性(エストロゲンレセプター)は陽性か陰性か?、乳癌の組織型は何か?、実際のしこりの大きさはどのくらいだったか?、主にこれらの項目が分かれば、ある程度の予後の予測は可能です。組織学的悪性度は?リンパ管、血管侵襲の程度は?までわかるともっと良いのですが---。その後で手術後の補助療法について、どのような治療がbetterなのか、効果は?副作用は?等を聞いておき、最後に、退院後どのように経過を診てもらえるかも聞いておくのが良いと思います。(文責   清水)

 

No.59】00年01月14日 T.I.さん
しこりの感覚

2回目の質問で申し訳ありません。 胸のしこりと言うのは、触らなくても感覚でわかったりすることがあるのでし ょうか?
なんとなく最近体を動かすと時々胸の辺りがごろっとしたような感覚がありま
す。 触ってみるとしこりらしいものはないように感じるのですがーーー。

しこりというのは触って感じるもので、触らないで感覚で分かるというようなことはありません。但し、胸に違和感を感じるとか、何となく変だといった感覚の異常があることはあります。ですから、感覚の異常としこりは分けて考えて下さい。以下に3つの例を示します。

例1)別に感覚的に異常はなかったが、お風呂で胸を触ったらしこりがあった。
例2)何となく違和感があったので触ったらしこりがあった。
例3)何となく違和感があったので触ってみたがしこりは触れない。

例1,2ではすぐに病院へいって検査をしてもらって下さい。例3(今回御質問の石田さんの場合)は原則として心配ありません、しかし、しこりの触れない癌というのもありますから、一人で心配しているよりも、念のために病院で診てもらった方がよいと思います。(文責   清水)

 

No.58】00年01月12日 J.H.さん
胸のしこりについての質問(25歳男性)

二、三ヶ月前に、服などで擦ったときに、左胸にひりひりするのを感じ、なにかなっておもっていたところ、数日したら、しこりのようなものを見つけました。
その後しこりはちょっとずつ大きくなって、今は乳輪の大きさくらいでとまっています。直径1.5cm強くらい、厚さ4〜5mmくらいだと思います。左胸のみです。最近は慣れてしまったのか、痛みはそんなになく、押さえてもほとんどなんともないくらいです。やせ形で、胸回りも肉はないですが、しこりは動かすとよく動きます。かたさは結構かためです。
十代で、いわゆる思春期乳腺症(?)というのはなりましたが、そのときは消えましたが、あのときのような感じです。これはどうするべきでしょうか?

大変観察力が鋭く、状況が良く分かります。
診断は女性化乳房症と言い、十代で経験した思春期乳腺症(思春期女性化乳房症)と同じ状況と思います。十代の時は思春期で男性ホルモンと女性ホルモンの分泌のバランスが崩れて起きると言われていますが、二十代では原因不明の事が多いです。思春期を除く女性化乳房症で、わかっている原因で一番多いのは薬剤性ではないでしょうか。つまり、胃潰瘍や高血圧等に対する薬の副作用として女性化乳房症が起こる事があります。もうひとつは肝機能障害です。お酒の飲み過ぎ等も原因の一つになり得ます。あとは、ホルモンの異常を起こすような腫瘍ができていないか等と言った珍しい病気がいくつかあります。
今後ですが、通常は十代の時と同様に自然に治癒します。しかし稀にどんどん大きくなって本当に女性のおっぱいのようになってしまう場合もあります。その時は形成外科か外科で手術をする事になります。JHさんが何も薬を飲んでいないのでしたら、一度、肝機能検査とホルモンの検査をお勧めします。何か薬を飲んでいたら、主治医の先生にその薬の副作用に女性化乳房症があるかどうか確認してもらって下さい。 
PS:この相談室のNo30, 39の回答も参考にして下さい。 (文責   清水)

 

No.57】00年01月12日 Miyoshiさん
放射線治療と出血について

義姉(36歳)が、乳癌で乳房の1/4を切除後、放射線治療を受けました。術後、しばらくして脇のあたりが膨らんできたため検査をしたところ、出血していました。注射針を抜いた後に滲み出る程度のわずかな量が絶えず出ているということで、管を刺して外に出していましたが、管を刺した部分がただれてきたため、現在は毎日病院に通って注射でたまった血を抜いてもらっています。血液を調べて、少し血が止まりにくくなっている状態ということがわかり、血液凝固の作用のある薬を処方されたものの効果なし。担当医によると、出血の原因がわからないそうです。放射線治療は規定の回数を終え、現在は行っていませんが出血は止まりません。
義姉は20歳のころ、ホジキン病で胸のあたりに放射線の照射をしていました。
先生は、この出血をどのように考えますか?(医学的にずぶの素人なので、お答えをいただくに必要な情報量がないかもしれません。ごめんなさい)

実際に診察している先生が原因が分からないとおっしゃっているので、難しい質問ですが、考えられる事をお話します。大きく分けて二つ考えられます。
ひとつは、なんらかの原因で血が出易くなっているか、止まりにくくなっている(医学的には出血傾向と言います)。原因としては、昔のホジキン病の影響はないか?肝機能は悪くないか?血小板数は正常か?等が考えられますが、多分主治医の先生は血液検査をして、これらの可能性はcheckしていると思いますが...。
もうひとつは、脇の下を手術したところの止血が不十分で手術後に血腫を作ってしまい、そこからじわじわ出血している可能性です。この場合はだらだらと血液の混じったリンパ液がしばらく出ますが、いずれは自然に止まります。手術にはつきものの合併症の一つです。もしそうだとすれば、放射線治療した影響もあって少し時間はかかりますが必ず治りますので根気良く通院して下さい。よけいなお世話かも知れませんが、傷の問題は時間が解決しますから、その事にばかりとらわれていないで、次の全身の補助療法の相談を主治医の先生とされた方が良いと思います。(文責   清水)

 

No.56】00年01月11日 mayukiさん
彼女の事なのですがとても心配です

乳から、白色の液が出ていて病院に行って薬をもらっていたのですが、プレラクチン?の数値が下がったからと、先月薬を飲まなくて良いと言うことになり、1月終わり頃まで様子を見てから血液検査を受けに行く事になっていました。
1週間ぐらい前からまた少しずつ液が出始めて、気にしていたのですが、薬ももらっていないしそのままで、もう少ししたら病院に行こうと思っていたのですが、今日、ブラジャーに液と一緒に血が付いていたと電話があり、すごく怖がって泣いていました。
彼女のおばあちゃんも乳癌になっていて、すごく心配です。 それから胃も少し悪くて入院した事があります。3年前ですが、それは最近だいぶマシのようです。生理前になると痛くなるようですがその痛みも昔ほどじゃないみたいです。3年前に胃が痛くて入院する2、3ヶ月前に中絶手術をしています。彼女は、20歳で、身長152cmぐらいで、体重は40kgぐらい、身体は細くて胸も小さいです。胸の中にはしこりのような物がありますが、やわらかいので心配無いと前に言われたそうです。乳癌なのでしょうか?
それから、乳から白っぽいものが出ている病気が続くと、生理がとまり、子供が産めなくなると聞きましたが、どうなんでしょうか? 何の数値かはよくわからないのですいませんが、この数値が高くなると、乳液が出るといわれた数値は、たしか15〜19ぐらいと言っていました。返信よろしくお願いします。

質問者の方も心配でかなり動揺しているようですが、質問を要約すると、
1)乳頭からの出血があるが、乳癌の心配はないか
2)高プロラクチン血症で将来妊娠出産が可能か
の2点でしょうか。
1)について
まず年令が20才であることを考えると乳癌である確率は非常に低いと考えます。”おばあちゃんが乳癌である”ことは、そうでない人に比べて、若干乳癌になりやすいと言われていますが、”おばあちゃんが乳癌の人”はたくさんいますが、その中で、20才で乳癌になった人はほとんどいないと思います。”胃を悪くした”こと、”中絶をした”ことは乳癌になりやすさとはあまり関係ないと思います。
問題の乳頭からの出血ですが、年令を考えずに、乳頭からの出血があった場合10人に1人位早期癌が見つかると言われています。残りの9人は良性の乳腺の病気(難しいことを言うと、乳管内乳頭腫)か原因不明の出血です。これは乳頭から出てきた血液をプレパラートにとって調べてもらえば分かります。
いろいろ書きましたが、結論は乳癌である可能性は低いこと、しかし可能性がゼロではないので、念のために病院で乳頭からでる血液を検査してもらって下さい。検査は外来で実際に血液を出してもらって、それをプレパラートにつけるだけですから、痛くも痒くもありません。彼女に心配しないで病院で検査してもらうように話してあげて下さい。
2)高プロラクチン血症は不妊症の原因の一つと言われています。しかし、この問題はあなたが彼女と結婚して妊娠出産について考えるようになったら、その時に改めて婦人科の先生と相談して下さい。(多分彼女はクスリをもらう時に話を聞いていると思いますが)   (文責  清水)

 

No.55】00年01月11日 K.N.さん
右ひじのしこりについて

32歳の独身女性です。98年12月21日に右乳房温存、同時に塩水パックを入れた形成、リンパ節切除術を受け、1年が経ちました。結果4x3の充実腺管癌でリンパ節転移1個、ということです。
術後すぐ、アドリアマイシン2クール、エンドキサン(5FU)1ヶ月に1回を1年間、ゾラテックスは継続中で、4年間は使用という事です。10日程前から、右ひじ内側の血管に米粒位のしこりが出来ました。触れば皮膚表面的な物じゃない事は分かります。痛みはないのですが、硬く動きません。
術後1年以上、検査は血液検査を3回、尿検査1回受けただけです。不安を医師に訴えると「任せろ」の一点張りで叱られます。今回の右ひじのしこりは自分でも嫌な予感がするので、診察を受けて決定的なショックを受ける前にある程度、覚悟しておきたいので、メールを送らせて頂きました。文面だけで判断は難しいでしょうが、可能性だけでも教えて下さい。

メールの文面からははっきりとした事は言えません。しかし、あえて可能性についてお話すれば、皮下の良性腫瘍、血栓性静脈炎等の可能性が高いと思います。再発転移の可能性はゼロではありませんが、リンパ節転移が1個でt2の乳癌で、補助療法としてACとゾラデックスをやっていれば、再発は起きにくいだろうと思いますし、”ひじの内側”という場所も決して転移の多い場所ではありません。乏しい根拠ですが、転移の可能性は低いと思って、主治医の先生によく診てもらって下さい。必要があれば、細胞診なり、生検を考えてくれると思います。(文責   清水)

 

No.54】00年01月07日 ナムさん
65歳・閉経後・ステージ2・非定型乳房切除術後の治療

母が99年12月22日に施術し、2000年1月5日に病理結果でリンパ節6個に影響が見られたため通院でのCMF治療を薦めらています。前述以外の詳細データはまだ不明です。副作用や食・生活面での注意点、家族の心構えや母の将来性についてご示唆ください。

手術後の補助療法を決めるのには、年令、リンパ節転移個数、そしてエストロゲンレセプター(ER)が重要です。今回の御質問ではERが不明なので治療法についてはコメントできません。そこで、CMF療法の副作用についてお話します。
CMF療法の主な副作用は、
1)消化器障害:吐き気や、食欲不振がありますが、今は良い制吐剤があり、それを使うことであまり強い消化器障害はでません。注射をして2-3日めに少し症状が出る人がいますが、その時は少し食事の量を控えることで対処します。4日目にはほとんど元に戻るようです。
2)骨髄抑制(白血球の減少):これも、正常時よりほんの少し下がります。しかし白血球を増やす注射を打たなければならない程には下がりません。したがって、日常生活では意識することなく生活して構いません。白血球は多分医師が定期的にcheckしていると思います。
3)脱毛:アドリアマイシンという強い注射ではほとんど全部抜けてしまいますが、CMFでは若干抜け毛が増え、少し髪が薄くなったな、と感じる程度の脱毛です。治療が終了すれば、徐々に元に戻ります。
4)皮膚や爪の色素沈着:少しシミが増えたり、爪が黒ずんだりします。これも治療が終了すれば元に戻ります。
5)生理不順:”ナム”さんのお母さんの場合は関係ありませんが、閉経前の人では、生理が不順になったり、止まったりします。
6)その他頻度は少ないのですが、膀胱炎のような症状が出る場合があります。CMF療法中の食事は特に制限はありません。前に述べたように、注射をして2-3日目に少し注意すれば、後はありきたりですが、栄養のバランスの良い食事を心掛けて下さいということになります。生活面でもあまり神経質になることはありません。但し自分のbestの体調を10とすれば、治療中は8ぐらいになっています。したがって、これもありきたりですが、十分な睡眠を心掛けて下さい。

家族が気をつけること:一番神経質になっているのは本人です。家族は大きな気持ちで接してあげて下さい。手術をして半年位は、ちょっとした事にも過敏になって、すぐ病気に結び付けて考えがちです。心配な事は受診時に医師に相談するようにとアドバイスしてあげてください。

”ナム”さんのお母さんの将来:神様しか知りません。ただ、リンパ節転移が6個あったという事は、決して楽観できる状態では有りません。できる事を一つずつやっていきましょう。1年でも長生きをすれば、続々と新しい薬ができてきますから。(文責   清水)

 

No.53-1】 00年01月05日 kaoriさん
脇の下が痛くて・・・・

37歳主婦。12月初め頃左脇の下の痛みを感じさわってみたところ豆粒のようなものが数個見つかりました。また、ごろごろした感触もあります。左腕もだるく火照った感じもあります。9月に検診(視触診)しましたが異常はなかったんです。怖くて眠れない・・・

脇の下にできるしこりというのは大きく分けて皮膚、皮下のしこりと脇の下のリンパ節の腫れがあります。一番多いのが皮膚、皮下のしこりで、脇の下の毛穴にばい菌が入って炎症を起こす毛嚢炎でしょうか、その他、皮膚の下にできる脂肪の固まりや、神経由来の腫瘍等いくつかの皮膚、皮下のしこりがあります。もう一つが、脇の下のリンパ節が腫れている場合です。この原因にも、手や指の怪我や、ネコをかっているとか、等による炎症性のリンパ節の腫大が多く見られます。そして、悪性のしこりとして、稀ですが、潜在性乳癌といわれる、お乳にしこりを触れないのに脇の下のリンパ節の腫れで見つかる乳癌と、リンパ節の癌と言われる悪性リンパ腫が有ります。この二つは非常に頻度は低いです。今回の御相談からすると、”豆粒のようなしこりが数個触れる”とあるので、リンパ節というよりも皮膚もしくは皮下のしこりを考えます。また、”痛みを感じた”とあるので、炎症によるしこりが考えられます。ですから、あまり心配ないのではないかと思いますが、実際に診察をしたしたわけではないので、断定はできません。あまり神経質にならずに気軽に近くの先生に相談してみて下さい。   (文責  清水)

 

No.53-2】 01年07月08日 kaoriさん
右胸にしこりの盛り上がり?

清水先生からのアドバイスもあり思い切って検査いたしましたら、脇の下のしこりはなんでもないが、両胸共かなりしこりが強く、乳腺症と診断されました。マンモグラフィーを見ると胸全体が磨りガラスのようでした。とりあえず経過観察となりほっとしたところです。でも、つい2日ほど前下着をつけようと右の胸をさわったら、外側の下あたりに小さく堅い物に触れました。よくみると皮膚の上からプチッと出ているのがわかりました。びっくりして寝た状態で触診してみましたがよくわからず、起きた状態でないとしこりが確認できません。大きさを測ったら、1_から2_程度のものですがしこりのある部分の皮膚がうっすら白いので場所が分かるのです。(ひきつれ・くぼみはありません)
地元の大学病院乳腺外来は毎週火曜日ですので、来週診察してもらおうと思っていますが、いろんなことが頭を駆けめぐり不安が増してきます。表面からわかるしこりの場合のガンは進んでいるのではないかと・・・・。前回は触れませんでしたが31歳の時子宮頸ガン(0期)で抗ガン剤治療を受け今は異常無く過ごしていますが、まさか転移ではとよけいなことまで考えてしまいます・・・・。

文面からすると今回も乳腺症のように思います。地元の大学病院の乳腺外来でみてもらうのが良いです。(文責 麻賀)

 

No.52】99年12月30日 あきさん
妊娠経験もないのに胸から分泌液がでるのですが?

19歳です。妊娠したこともないのに、胸から母乳のような汁がでるので、気になっています。もう三ヶ月くらいになります。母が乳癌検診をしてから(良性でした)私も不安になってしまって・・・。何かの病気なのでしょうか?

乳腺は分泌臓器ですから、妊娠の経験がなくても分泌物が出ることはあります。また、胃炎や神経科の疾患の治療薬であるドグマチールという薬でも出ることがあります。
いずれにしても透明なもの、白色や、黄色のものはあまり心配いりません。血性のもの、また血液が古くなって出てくる黒色ー褐色のものは、乳管内乳頭腫という良性腫瘍が多いですが、稀に乳癌のこともありますので、専門医の診察が必要です。あなたの年令では考えにくいですが・・・(文責   片山)

 

No.51】99年12月23日 T.K.さん
胸を押さえると痛いのですが

27歳です。左胸がいつも張っているような感じで、大きさも右胸より大きく強く
押さえると痛みがあります(特に乳首のあたり)。ただ痛いと心配になってちょっ
との間触っているとあまり痛みを感じなくなります。お風呂に入ると痛みが無くなるような気がして、張ってる感じも軽減します。また次の日の朝になると張っているような感じがします。しこりのようなものは特に見つかりませんが、右胸に比べると全体的にぼこぼこしています。ただ以前左胸の内側上方にころころしたよく動くしこりがありエコー検査をしたところ良性のしこりだから心配いらない言われたことがあります。そのしこりの下あたりが痛むこともあります(今は痛みません)。なにか病気でしょうか?今は生理前ではありません。

通常は生理前に乳腺が張って痛む方が多いですが、個人差があって、あなたのように生理と余り関係なくこのような症状のある場合も少なくありません。また乳腺も顔と同じで全く左右対称では無く、大きさに差があっておかしくありません。
以前超音波の検査をされて良性との事で、年令からして一番考えられるのは線維腺腫かと思います。これ自体が痛むことは少ないですが、前に述べた周期的な乳腺の張り、痛みと重なってそう感じられたのかも知れません。
いずれにしても乳癌は痛いことは少ないので、あまり神経質にならなくてよろしいと思います。ただ半年に一度ぐらいの受診による経過観察を受ける習慣はつけておいて下さい。(文責   片山)

 

No.50】99年12月22日 ヒロコさん
乳房の痛みについて

今年の6月に左乳房温存術を行ないました。8月頃から反対側の乳房全体が鈍痛を伴い最近になり乳房の先端の方がチクチクと痛みます。超音波検査では異常なしでしたが、再発が不安です。原因として何が考えられるのでしょうか。

ヒロコさんが閉経前であるのか、閉経後であるのかが分かりませんが、生理があるとしたら、乳房の痛みはその前であるとか時期的な特徴はあるのでしょうか?通常閉経前の女性であれば、排卵から生理までの間がエストロジェンの分泌が一番活発になり、個人差は非常にありますが、乳腺が痛みを伴って張ったり、乳頭がチクチクと痛んだりすることは良くあることですので、こういった症状を即乳癌に結び付けて心配されなくて結構です。超音波検査も受けられていることですし、今後も定期的な経過観察をしていけばよろしいと思います。(文責   片山)

 

No.49】99年12月18日 みぃちゃん
遺伝

母は乳癌で死亡、父は胃癌で療養中です。私は今25歳ですが、先日の健康診断で左の乳房にしこりがあるようなことを言われました。やはり遺伝的なことを考えると心配です。今後も検診を受け続けた方が良いのでしょうか。

乳癌には遺伝的な要素があるとされ、母親が乳癌だった場合は普通の方と比べて2ー3倍、姉妹に乳癌の患者さんがいた場合も同様に2ー3倍危険率が上がり、母親と姉妹と両方が乳癌だった場合は13倍くらいになるというデータもあります。たばこを吸う人の肺癌(5ー6倍)程危険率は高くないですが、一応ハイリスクグループということになりますので、今回の健康診断でマンモグラフィーや超音波などの検査を受けられていないなら、一度受けてみて下さい。また今後の定期的な検診も必要だと思います。 (文責  片山)

 

No.48】99年12月15日 I.T.さん
乳腺痛について

私は28歳になる出産の経験がない主婦です。実はもう3年以上乳房の痛みと乳がんのほぼノイローゼ状態です。
3年前に右の乳房に柔らかいしこりと痛みを感じたため、総合病院の乳腺外来を受診して、その日にマンモグラフィーをとったところ、右ではなくて左胸に陰があるといわれ、1週間後に超音波検査をしたところ「異常がないので、3ヶ月後にもう一度」といわれ、3ヶ月後に受診した時は「あなたが嫌ならやらなくてもいいけど、100%ガンを否定したければ、ちょっと胸に針を刺す検査をしたい」と実にあいまいな説明を受け、私の性格上やらずにいられず検査をしたところ「異常がないですよ。乳腺症って言えば乳腺症だけど、生理前に胸が痛くなったりするのは正常なことだからあまり気にしなくていい。一度受診してもらうと、もう来なくていいですよというわけにもいかないので、6ヶ月後にまた来てください。」と言われました。そのときあまりにも怖い思いをしたので、それ以来その病院を受診するのを止めてしまいました。それから1年半後、いつもいつも気になっていた左胸に柔らかい痛みのないしこりを触れたため、一晩中眠れずすぐ翌日に良い先生だと評判を聞いていた個人病院の乳腺外科を受診しました。
その時は触診と、超音波検査で「4ミリの水の入ったものだから心配ないよ。」と言われ、それ自体は知らないうちに消えてしまいました。
それからも私の胸は常に押すと痛みがあり、生理前には押さなくても痛みがあるのでもう不安の毎日で、しかも生理後4日目くらいに自己検診をするといつも鈍い痛みとしこりを触れたような気がして、すぐにいつもの個人病院の先生を受診することを、ひどいときは2ヶ月おきくらいにしておりました。その度に先生は「そんなことばっか気にしているな!お乳をくれたことのない若い女性の乳腺は多少痛かろうが、硬かろうが、ぽこぽこしてようが心配することじゃあない!自分で自分をガンにするな!お乳をくれることが一番の治療だから薬も出さないし、しこりでもあれば別だけどお前さんの場合は神経質に定期的に通うこともない。」とおっしゃいます。(決して意地悪な言い方ではなく、私があまりにも神経過敏になっているので・・・。とても良い先生です。)
その度に安心し、また反省し、「そうだ!同年代の女の子で乳がん検診なんかしてる子はいない!気にしないぞ!」と思うのですが、2ヶ月もして自己検診をするとまた不安になりの繰り返しです。
現在も胸の痛みで苦しんでおります。(痛みが苦しいのではなく、これがガンではないのかと精神的に・・・)
先月先生を受診してから4日後くらいから右胸のみ押してみると痛みがあり(排卵前)、生理前になると両胸がいつものように痛くなり、生理が始まってだんだん痛みが軽くなり、6日目頃にはほとんど痛みがなくなったのですが、それもつかの間で、また1週間もすると今度は両胸が押すと痛みが出てきたのです。そして現在は生理10日前になりますが、やはり両胸に痛みがあります。
10月まで排卵誘発剤の「フェミロン」という薬を飲んでおり、飲まなくなったその月の生理からこのような不安定な状態が現在まで続いております。
大変長くなってしまいまして申し訳ありません。以上のことより質問事項としましては、
1. 排卵誘発剤の影響があったのでしょうか?
2. 以上の文面から先生は私の胸の状態をどう思われるのか(心配なものなのかどうか等)ご意見をお聞かせください。
3. 自己検診をするのが本当に怖くて先月からできなくなってしまったのですが、その場合は半年に1ヶ月くらい専門医を受診すればよろしいでしょうか?
4. もう2年近く触診のみの診察しか受けたことがありませんが、やはり主治医の先生にその他の検査を申し出たほうがよろしいでしょうか?(返事が想像できますが・・・)
5. 私の胸は触るとぽこぽこしていて、いつも鈍い痛みが両胸にあります。乳がんになりやすいのでしょうか?

1)女性の乳腺はエストロジェンに左右されており、排卵から生理までの間がその分泌が一番活発になり、乳腺が張って痛み、生理になると張りもとれる、といった周期を繰り返します。ただ、この症状には非常に個人差があって、あなたのように比較的強い痛みを感じてゴリゴリと乳腺を固く触れる方や、ほとんどそういった変化を感じずに、柔らかいお乳の方もいて、千差万別です。排卵誘発剤が、直接原因しているとは思いませんが、規則的に排卵ー生理という周期が来るという意味では無関係では無いかも知れません。
2)4)最初から3年の経過ということで、癌であったらばやはりある程度の大きさになっていて分かりやすくなっているでしょうし、あまりナーバスになられる必要は無いと思いますが、実際に拝見していないのと、2年近く画像診断をされていないとの事で、無責任なことは言えません。我々の側からしても、しば
らく触診のみで見ていた方の中に乳癌が発見され、さてこれはいつからあったのだろうか、とドキッとさせられることが稀にあります。患者さんの中には過度の検査をいやがられる方もいて、あなたのように進んで検査を受けようとされる方はかえって貴重な存在かも知れません。個人的には理想的にはすべての方に半年か最低年に1回の画像診断をした方が良いと思っているので、主治医の先生に率直に相談されては如何でしょうか。
3)自己検診は大切だと思います。自分の正常な状態を覚えておいて、毎月1回生理の後1週間ぐらいの一番乳腺が柔らかい時期にそれと比較する習慣をつけて下さい。あまりしょっちゅう触っていると訳が分からなくなってしまいますので、月一回でよろしいです。
5)以前は乳腺症といわれたことのある方はそうで無い方と比べて、多少乳癌になる率が高いといわれましたが、最近ではそのような差はないという報告もあります。

若い方の乳癌症例が増えてきているとされますが、私がここ10年間に経験した乳癌患者さん300例のうち、29才のかたがお一人で、後は皆さん30才以上でした。あまり病気の事ばかりを考えていると、人生がつまらなくなってしまいます。定期的に自己検診、病院受診をして、万が一病気が見つかったらば、その時はその時に応じて対処すればいいんです。少しおおらかな気持ちになって下さい。(文責   片山)

 

No.47】99年12月12日 AYAMIさん
右胸だけ張っています

32才主婦。6才、2才の子供がおります。母乳をやめてから、すっかりぺちゃんこになってしまったおっぱいが、ここ、3週間くらい右だけが張っています。
妊娠中に胸が張っていたのと同じような、乳腺が張っているような感じがします。しこりのような、いびつなかたまりはありません。分泌液も出ていません。
生理の前は張ることもありましたが、片方だけというのが気になっています。
大きさも左右の違いが分るほどで、特に前かがみになったときなどは良く分かります。疑わしい病気はなんでしょうか?又、新潟県で乳腺外来を受診する場合、どこにあるのかを、お教え下さい。

乳腺は月経周期に伴って女性ホルモンの影響を受け、月経及び排卵の前、1週間程は張ったり痛んだりするものですが、この感じ方は個人差があり、各人によって異なります。両側の場合も片方の場合もありますが、たいていの場合、月経後に症状は軽快します。
貴方の場合、3週間ほど張りっぱなしとのことですが、小さな腫瘤がある場合も考えられますので、一度乳腺外来または外科外来を訪れて相談するほうがいいでしょう。公立総合病院の外科であれば、たいていの場合、乳腺外来があるはずです。(文責   須田)

 

No.46】99年12月11日 U.H.さん
乳首の上とわきの下のしこりについて

23歳の女性です。三日程前に乳首の上とわきの下に突然ほんのり赤いしこりができました。これって乳癌の症状?と思いびっくりしてしまい、癌ではないにしろ何か腫瘍だったら切るのかと思うと心配です。ただ痛みもほとんどありません。教えてください。

23才の女性で突然できた赤いしこり、ということでまず、悪いものは考えにくく、湿疹か、毛嚢炎や炎症性の粉瘤など良性の変化である可能性が高いと思います。
ただ、実際に拝見していないのではっきりしたことは言えず、数日経過を見て軽快しないようならば、一度専門医の診察を受けてみて下さい。(文責   片山)

 

No.45】99年12月11日 tamikoさん
右胸のしこりについて

始めまして。私は34歳独身で現在カナダに在住です。2ヶ月前に、右胸にしこりを発見し、気にしながら生活していたのですが、思い切って先日病院に行ってみました。診断は下記のとうりです。
Dr.は”99%癌ではない”とおっしゃってましたのでとりあえず安心しました。幸い、一月末に帰国予定ですので,日本でもう一度再検査して、適切な処置をしようと思っています。でも、何でこんな沢山ののう胞ができたんだろう?と不思議です。専門家のご意見を日本語で(?!)でお聞かせ願えたら幸いです。よろしくお願いします。 (T.N.)

Right breast ultrasound

In the region corresponding to the patient's palpable abnormality, there is
a 3.7*2.2*3.6 cm cystic lesion. This cystic lesion does demonstrate some low
level internal echoes.

Within the right breast, there are multiple simple cysts. The majority of
these measure less than 1cm in maximal dimension. These are scattered
predominantly within the right upper quadrant of the right breast.

In addition to the multiple cystic lesions, there is a small, oval-shaped
lesion, measuring 1*0.9*0.5 cm . This is located at the 9-10 o'clock
position of the right breast.

OPINION
1. Multiple simple cysts within the right breast. Most of these are located in the right upper outer quadrant.

2. In the region corresponding to the patient's clinical palpable abnormality, there is a large cyst that demonstrates low level internal echoes. Since the ultrasound criteria do not fulfill that of a simple cyst, followup is required and a repeat ultrasound should be performed in 6 weeks time.

3. There is an oval-shaped, solid lesion at the 9-10 o'clock position of the right breast, measureing 1cm in maximal dimension. The ultrasound appearances are nonspecific, but most likely represent a fibroadenoma. This
can be confirmed by fine needle aspiration, which can be performed at this
office.

 お手紙と所見用紙を拝見しますと、要するに右の乳房の外側上方に多発性の嚢包があり、単純な嚢包としては、基準を満たしていないので6週間後の経過観察が必要であること。また、最大径で1cmのfibroadenoma(線維腺腫)があり、fine needle aspiration(FNA:穿刺吸引細胞診)で診断できるだろうとしております。
乳腺の嚢包症は乳腺の変性、いわゆる乳腺症の1つの形態であり、30才台から徐々に現れるとされ、線維腺腫も良性腫瘍ですので、あまりナーバスになられずに、検査を受けられてよろしいかと思います。(文責   片山)

 

No.44】99年12月11日I.K.さん
内分泌療法の作用について

内分泌療法の作用について、お教え戴きたいと思って・・・。
私は「ゾラデックス」を打っています。「ゾラデックス」は、ホルモンの分泌を抑制して、「閉経状態に持って行く」と言う事はわかるのですが、閉経しても、乳がんになる方はいらっしゃるでしょう? 卵巣が萎縮しても、完全に、「ホルモン分泌」が無くなるわけではないのですよね?---と言う事は、打ち終ったからと言って、「乳がんにならない」と言う事ではないのですよね。乳癌は体質(自分の細胞)がすごく関係していると思うのですが・・・。私のような素人が考えると、乳がんの抑制を考えるのならば、大げさな言い方をすれば、一生打っていかないと意味が無いように思ってしまいます。注射を打っている間だけ、完全に抑制しても仕方が無いのでは?なんて・・・・。
乳がんになったのも、神様が与えてくださった「何かの縁」と思います。今まで全然気にしなかった事ですが、コレを機会に勉強できたら、それもまた「自分の勉強の1つになるかな?」と・・。(簡単にわからないから、かえって興味が涌きます。)
出来れば、教えて下さい。

ゾラデックスはいわゆるLH-RHアゴニストといって、閉経前乳癌の患者さんに使う薬です。1回打つと一時的にエストロジェンの分泌が高まりますが、その結果ダウンレギュレーションがかかって最終的にエストロジェンの分泌が抑制され、乳癌を抑制するという作用を狙った治療です。以前は外科的に卵巣摘出をしたり、放射線を卵巣にあてるといった治療も行われておりましたが、それに代わる閉経前乳癌に対する内分泌療法の1つとしてその効果が期待されています。投与を中止すれば、生理が戻ってくるという利点も持っているのです。 閉経した後も、脂肪内に含まれている男性ホルモンであるアンドロジェンをエストロジェンに変換するアロマターゼという酵素があり、これを阻害する薬を使うといった複合内分泌療法も考えられています。
このように乳癌における内分泌療法は、最終的にエストロジェンがターゲットになっています。どういった治療の組み合わせが個々の患者さんにとって最も有効であるかは、今後の課題だと思います。(文責   片山)

 

No.43】99年12月07日FUKUさん
乳がんの早期発見および検診について

私の妻(33歳)が最近乳癌について悩んでいます。左側の乳房ですが胸の真中の乳房のふくらみかかった所に小さなしこりみたいな物があり押すと少し痛むそうです。2日ぐらい前に気付いたそうです。生理も不順だといっています。何か関係があるのでしょうか?

奥様が33才ということで、一応検診年令になっています。30才になられた時に一度検診の案内が来たと思いますが、お受けになったでしょうか? 日本では20才台の乳癌は比較的少なく、30才台になるとその罹患率は徐々に上がって来ます。また、乳癌は8割ぐらいが自分で見つけて病院にみえます。そう言う意味からも一度外科のある総合病院を受診なさっては如何でしょうか。
乳癌は外側上方に頻度が高く、また痛みがあることは少ないので、悩んでいるよりは病院で診察や検査を受けることをお勧めします。(文責   片山)

 

No.42】99年12月04日せとさん
生体検査について

先日は親切なご回答ありがとうございました。
さて、11月16日に行ったマモグラフィーの写真がようやく専門医のところに昨日届き、やはり、生体検査は必須であるとのこと。12月16日に予約をしました。メディカルアシスタントからその件で会社に電話があったのですが、周りに人がいるため質問もできず、ご意見をうかがいたく存じます。
1、私としては専門医による触診や問診も生体の前に必要だと思うのですが、こちら(アメリカ)の専門医は写真だけで、患者(私)に会うこともなくまず生体をすることを指示しています。これは道理にかなっていますでしょうか。
2、生体検査は針を使ってするといってましたが、(アポは朝の8時)どのような手順でどのくらいの時間がかかるのでしょうか。出血はしますか?また、その後は一日安静にしているべきでしょうか。午後から出社というのは無茶でしょうか。
3、生体検査が木曜日で、その翌週月曜日にようやく、医師とのアポがとれました。結果はそんなに早くでるのでしょうか。
以上、ご回答よろしくお願いします。


1)アメリカと日本との社会環境や、制度の違いがあると思いますので一概には言えませんが、確かに 問診や、触診、超音波の検査などをしてその中でコミュニケーションを得て初めて、生検等、患者さんのからだに痛みのある検査ができるようになると私個人は考えます。インフォームドコンセントの厳しい国ですから、納得いくまで説明を受けて結論を出されて良いと思います。
2)針を使う検査との事で、それが細胞診の検査であれば、22Gくらい細い針ですので、短時間で終わり、痛みも少なく、出血もほとんどありません。コアニードルバイオプシーやマンモトームといった比較的太い針を使う検査では組織を取ります。これは私自身は経験が無いので午後の仕事が可能かどうかは、直接検査をされる先生にお尋ねいただいたほうが良いと思います。
3)木曜日検査で、月曜日結果というのは充分に可能だと、思います。
                                                                                             (文責   片山)

      

No.41】99年11月30日 I.K.さん
度々、ゴメンナサイ!!

質問させてください。
1.「郭清」というのは、ハルステッドのように、「ごっそり取る」事をいうのですか? リンパ節転移を調べる時、何本か取って調べるやり方は出来るのですか?
2. ステ−ジUでも、浸潤していなければ、「非浸潤ガン」というのですか? 病理の検査結果では、(5×2×2)(1×0.5)(1×0.4×0.2)の3つの腫瘍です。これだけあった(場所等)のがわかったのは、術後の事なので・・・・・・。(術前の時点では、本当に早期のモノだと・・・。「見つかって運が良い」と言われたぐらい)   乳腺が何本か残してあるのが、ポイントのような気がします。

郭清というのはリンパ節を掃除して取るという意味です。ハルステッドはリンパ節やリンパ管(リンパ節をつなぐ管、リンパ節転移はこの管を通って流れると考えられている)を根こそぎ取るために大胸筋と小胸筋を一緒に取るというものです。ハルステッドの手術でなくてもリンパ節を取ってくることを郭清といいます。いくつ取るかは手術をする外科医の熱意にもよりますが、温存術でも10から20個くらいはとれると思います。しかし、大事なのはその内何個転移があったかです。極端に言えばリンパ節は1個や2個の転移を取り残しても後で出たときに取ればよいという考えもあります。リンパ節転移ではすぐに死ぬことはありませんが、リンパ腺にたくさん転移がある人には高率に遠隔再発を起こして死ぬことが考えられるからです。リンパ節郭清は治療的な意味よりも、予後(再発や癌で死ぬ可能性)を判定する最も重要な因子であると考えられるからです。
いくつかを取って調べることができるかという質問ですが、できますが、その方法はいろいろあり、一定の方法はありません。最近アメリカや日本の一部の病院で、センチネルノード(リンパ節)生検という方法もありますが、郭清していないのであれば、経過を見てリンパ節転移が万一出現したら手術でも良いと思います。それから非浸潤癌ということが病理学的に保証できればリンパ節再発はないはずです。
サイズの単位がないので何とも言えませんが(cmであるとすれば)、規約(乳癌学会が出版しています)によれば腫瘍径が2センチから5センチまでに入り、リンパ節に転移がなければステージUとなります。腫瘍の範囲で決まりますので、非浸潤癌でもステージUのこともありますし、5センチを越えればステージVになることもあります。しかし、それぞれのステージでの予後は当然非浸潤癌であれば、普通の浸潤癌より良くなりますし、乳房切除がされていれば再発の心配は考えられないと思います。もし本当に乳腺が残っていれば多少再発の心配はありますので定期的に残存乳腺をレントゲンや超音波で経過を見ればよいと思います。(文責   石山)

 

No.40】99年11月27日 I.K.さん
再発・ゾラデックスについて

42歳の主婦です。子供は1人。昨年、乳がん・ステ−ジUで皮下乳腺全摘手術(乳首は温存)をしました。
私の場合2センチぐらいシコリ(私が感じた)があり、細胞穿刺・マンモ・レントゲン・エコ−・血液検査をしましたがすべて陰性で。検査の度に心配・喜び又心配の日々・・・。シコリを生検をした所、乳管ガンがみつかりました。すぐに、手術をうけて・・。その後も、2箇所にありました。明かな浸潤はわからないと・・・。(ただし、深部には露出している)
ER(+)PR(+)です。退院後、すぐにゾラデックスを月1回受けています。今年の6月に両方から分泌物(乳汁)があり(多量)、検査しました。陰性で、1ヶ月で止まりました。8月頃から現在まで、手術した方の脇の横(内側)、鎖骨の下、シコリがあった所などに、鈍痛を感じています。主治医の先生は「様子を見ていこう」とおっしゃています。再発でしょうか?どう思われますか?
私は5年前に子宮・卵巣の1つ(残りの片方の半分)を摘出しています。それで、乳癌になって手術したものですから、「精神的落ちこみ」が激しくて・・。女性として、なんとなく・・・・。ゾラデックスとは、どう言う注射なのですか?インタ−ネット・本で調べたのですが、イマイチ把握できなくて・・・・。この注射は、再発の時の内分泌療法の初めにつかわれるそうですが、抑制剤とのことで・・・・。叩く事はできないのですか?一応期間は5年なのですが、注射が終わったら、抑制されなくなるのですよね??
主治医の先生は、私の落ちこみを考えて、最終的な判断が出るまでは、おしゃらないようにして下さっています。ただ、私としては、可能性のある程度を把握しておきたいので・・・・。おいそがし事と存じますが、よろしくお願いいたします。

皮下の乳腺全摘術はまだ一般的な手術ではないと思います。学会では和歌山県立医大でたくさん施行されていておそらく日本一ではないかと思います。その概要は、早期乳癌でも多発例や乳管内進展の著しくて温存の適応からはずれている人に対して乳頭と、乳輪を残して手術するというものです。おそらくあなたの場合も多発していたことからその適応と思われます。
分泌物がでるのは手術後であれば乳汁のようというのは少し変だと思います。乳腺が少し残っているのか、乳管は乳頭周囲に必ずありますが乳腺が残っていないと乳汁様の分泌物はでないはずと思います。その辺は主治医に確認してください。痛みなどを含めても再発とは直接関係ないと思います。
再発の心配はリンパ節転移の有無がもっとも大きな要素です。リンパ節がとられていないのでしょうか。そこも大事なところです。一般的に非浸潤癌であればリンパ節転移はないので、郭清(リンパ節をとること)しないことがあります。しかし、非浸潤か、浸潤癌かも分からないとのこと。よく確認してください。
ゾラデックスは閉経前乳癌でER(+)の方に適応となりますので、よろしいと思います。その作用は視床下部、下垂体系という卵巣を始めホルモンを司る脳内において、LH-RHというホルモンを阻害します。その結果、卵巣機能を抑制してエストロゲンをでなくするというものです。詳しい副作用や作用機序は薬に添付されている使用説明書をごらんになると良いでしょう。薬局で頼めばくれることもあります。5年間投与する事のようですがその後は卵巣はそのまま抑制され萎縮してしまうことも考えられます。それから落ち込みがひどいとのことですが、この薬剤で人工的に閉経状態を作りますので、更年期障害の時のように憂鬱になったりするともいわれています。その可能性も考えられます。治療には是非必要ですので、我慢しなくてはいけないのかもしれませんが、後は主治医の先生と相談し、再発のリスクとこの症状(この精神状態が副作用であればですが)を考えて薬を変えるのか、どうしても必要か納得してからの方がよいと思いますが。一人で悩むよりまずご相談された方が安心できると思いますが、どうでしょうか。(文責   石山)

 

No39】99年11月21日 ともさん
男でも乳癌になりますか?

僕は19の男なんですが、1年くらい前から左の乳首にしこりが出来ました。僕はなんの薬も飲んでないのに、母は成長期だからといいます。気のせいか少し大きくなった気がします。悩んでいるので、お願いします。

19才という年齢から考えて、思春期乳腺症で心配ないと思います。反対側もなる場合もありますが、癌の可能性はないと思います。男性の乳癌もありますが、若い方にはなく、40才以降上のことが多く、それも非常に稀です。ただあまり痛みが強いとか、大きくなり続けるときには専門医の診察を受けた方がよいでしょう。ホルモンの異常などが見つかることもあります。(文責   石山)

No38】99年11月21日 せとさん
乳癌でしょうか?

現在アメリカに滞在しております。3週間前に左乳首がただれ、かゆみがあり、また乳房全体もかゆいような感じがしたことから、初めてマンモグラフィーを受ける気持ちになりました。ただれは、軟膏をぬり、今ではもうありません。
触診は3、4ヶ月前にこちらのホームドクターにPopテストの際してもらいましたが、異常なしということでした。(ただ日本の外科での触診にくらべ、雑でした。
こんなんで、わかるわけない、って思いました。)日本での触診、エコーから3年ぶりくらいの検査でした。
さて、レントゲンは右側を何度も取り直し、結果、下記のような所見を頂きました。
The breast parenchyma is shown to be moderately dense and  glandular throughout both sides.
In the right breast, a group of microcalcifications was found in the posterior aspect of the breast close to the chest wall. The calcifications are located deep to the nipple.On the magnification views which were done, the   calcifications are shown to be of a somewhat suspicious nature.... Bi rad category:4

つまり、右乳首の奥、胸壁に近いところに小さな石灰状の集まりがある、ということですよね。Bi rad カテゴリー 4というのはどういう意味なのかわかりません。 従って、このレントゲン医師は生体検査を強く勧めるということです。
実は20歳の頃(現在40歳、独身。)自分でしこりをみつけ、レントゲン等で検査の結果、乳繊維腺種と診断され切除しました。ですので、できれば、もう傷はつけたくありません。(その頃の傷はほとんどわからないくらいものですが。。)
他の方法でまず検査をしてもらいたいのですが、レントゲン医師が写真をみて、最初から生体検査を薦めるには、それなりに理由があるのでしょうか。
私は生理前になると、かなり乳房が膨張し、痛かゆい感じがします。最近はありませんが、以前つきさすような痛みがしたこともあります。
アメリカと日本では検査方法や方針等に違いがあるのでしょうか。とても不安です。どうか良いアドバイスをお願いいたします。

 レントゲン所見は日本とアメリカで判断の基準が違うかもしれません。Bi rad category4というのはあまり聞きませんが、所見欄からは微細石灰化があり、悪性を疑って精査すべきです。生検をする前に触診でその部位が分かるものであれば、穿刺吸引細胞診で確認することができます。しかし、触診で分からない場合は、乳房撮影を応用したステレオタクテイックの穿刺吸引細胞診ができる場合もあります。しかしこの器械がない施設もあります。私の大学には、フイリップス社製の器械がありました。この検査が不可能であればやはり、生検術か3ヶ月ごとの経過観察(乳房撮影を含め)が必要と思います。
いずれにしてもその写真の所見を実際にみてみないと詳しいことが言えません。石灰化の個数、大きさ、写っている濃さなどである程度の診断がつくのですが。
また乳首の湿疹のことですが、乳頭のPaget病というのがあり、皮膚癌の一種ですが、軟膏を塗っても治らない、長引く湿疹様のただれは気をつけた方がよいでしょう。 (文責  石山)

 

No37】99年11月19日 Y.I.さん
再発の危険性について

41歳既婚女性です。98年3月右側にしこりを発見。乳腺外科で吸引細胞針を受け、結果はclassV。3月下旬に大胸筋温存乳房切除術,リンパ節切除(30?)、ステージ2(腫瘍、3.5センチ)、病理の結果は髄様癌、リンパ節転移なし、ホルモンリセプターERマイナス、5月から10月までフルツロンを服用。
手術前は充実腺管癌と診断され、遠隔転移の可能性は中程度と説明されましたが手術後は髄様癌だったと再度説明を受けました。
また最初の受診のとき2.8センチだったしこりが手術時には3,5センチと急に大きくなったのも気になります。これらから、再発のリスクがどの程度なのか教えていただきたくよろしくお願いいたします。
尚、母方の祖母、叔母がやはり乳癌で手術をしており、祖母の方は転移して亡くなっております。またリンパ節切除ですが叔母は7個とったと聞いておりますが切除の数と予後との関係を教えていただけますでしょうか。よろしくお願い致します。

外来時と手術前で腫瘍が大きくなったとのことですが、乳癌の腫瘍の増殖率から考えてあまりないことに思えます。それよりも検査で穿刺吸引細胞診をされているようなので、そのときの出血などの影響ではないかと思います。手術前に乳房の皮膚の青いあざがありませんでしたか? あれば検査後の出血による影響です。また我々専門に乳癌をやっているものでも、触診の腫瘍径(大きさ)はあてにならないこともあり、多少の誤差はあります。あまり心配ないと思います。
予後のことを心配されているようですが、主治医の先生からこの程度(中程度といわれているようですが)の進行度でその病院の5年生存率や10年生存率などが分かっていることもありますので一度何%ぐらいの再発の可能性があるか聞いても良いと思います。
今ここでのデータだけからではリンパ節転移はないので再発率は一般的には10%以下だと思います。エストロゲンレセプター陰性は予後不良因子といわれています。また、髄様癌は乳癌の中では特殊型に分類されて普通の乳癌にある硬癌などに比べれば予後はよいと思われます。それと乳癌の家族歴が濃いようなので遺伝子異常が多少考えられますので、それは多少の再発のリスクといえます。しかし、これまでの世界中の乳癌の研究でも遺伝子や疫学調査などたくさんのデータの中でも、リンパ節転移が最も重要と言われています。ですから先程も述べたように10%以下の確率で再発のおそれがあるといえると思います。
今の病院で今後も定期検診をしっかり受け、再発の可能性は低いのですが、油断は禁物です。
それからリンパ節切除の個数ですが、手術術式によりとれるリンパ節の個数はかなり差があります。しかしそれが予後に関係するのではなく、とれたリンパ節のうちの病理検査での転移リンパ節の個数が予後に関係します。ですから一般的には転移がなければあなたのように10%以下の再発率、1個から3個では20から30%の再発率、4個以上では半分ぐらいの人が再発すると言われています。(文責   石山)

 

No36】99年11月19日 Karen.さん
葉状腫瘍について

先日、左乳房の葉状腫瘍の摘出手術を受けました。親指大(3p程)でしたが、桑の実のようなごつごつした形で、いわゆる楕円体の滑らかな形ではありませんでした。病理の結果は良性でしたが、やはり、再発はあると思った方がいいとのことでした。また、大きくなると悪性化することもあるので、今後、半年毎および自分で気づいたときにエコーを受けるように言われています。
ただ、今現在も、右に2年ほど前からある線維腺腫のほかに、あちこちにしこりがある感じがします。それらについては、2ヶ月前にエコーを受けたときには特に所見はなく、私自身もその頃にあったかどうか記憶していません。一連の情報に目を通すと、別のところに再発するという記述もあったので気になりました。病院に行くべきでしょうか?
また、現在の主治医の先生は信頼できると思っていますが、転勤の可能性もあり、その際、何を基準に病院を選んだらいいのか分かりません。可能性があるのは横浜や都内なので、その近辺のいい病院を教えてください。実は、2年前の線維腺腫の診断は、以前の勤務地の近くの病院で受けたものですが、
生検を取るためだけの手術でした。当時はそういうものかと思っていましたが、開いておきながら摘出しなかったことに現在の主治医も首をかしげ、私も4針も縫う結果になったことを後悔しています。もうそういう思いはしたくありません。
以上2点、よろしくお願いします。

葉状腫瘍は悪性と良性の鑑別が非常に難しいので、病理の所見でも境界の病変が多く診断は困難な事もあります。やはり病理学的に良性としても、再発の可能性を十分に考えて経過を見ることが必要です。さらに難しいのはあなたのように触った感じが良性のようなしこりが多発している場合、葉状腫瘍か繊維腺腫かあるいは嚢胞なのか鑑別が難しいので、やはりエコーは時々やっておいた方がよろしいでしょう。そして大きくなったり、エコーで変化があれば穿刺吸引細胞診なども必要だと思います。先ほども述べたように病理学的にも鑑別が困難で細胞診で迷うようなら、再度摘出することもあります。
しかしたとえ悪性の葉状腫瘍とはいえ癌に比べれば発育や悪性の度合いは低いので心配しすぎる必要はないと思います。
横浜かその近辺に住まれるとのことですが、このホームページの会員になっている施設ならどこでもよろしいと思います。ただし、私たちの病院の乳腺外来は大変に混雑し待ち時間も長いことが多いので、大きい検査はこれらの病院でやり、普段の通院はそれぞれの病院から近くのクリニックに紹介されることもあります。また、川崎や東京の病院でもたくさんありますので、医者が勧める病院の本などもあるので、参考にしてください。(文責   石山)

 

No35】99年11月19日 N.I.さん
放射線治療後の乳房の腫れ、しこり、痛みについて

昨年11月に温存療法で1/4乳房切除手術後、放射線療法を29回受け、治療はひとまず終了しました。その後の検査では癌の再発など異常は見られませんが、放射線療法終了後から約1年経つ現在まで乳房全体に赤みがあり、熱感、痛み、ところどころのしこりに悩まされています。主治医より炎症止めの薬(ロキソニン)を処方されておりますが、効果がありません 。
大阪にて手術、治療をしてまいりましたが、横浜に引っ越して来た為、どこの病院に 相談して良いものかもわからず困っております。(乳がんの定期検診のたびに帰阪し ておりますが。)
良い治療法、同じような症状例などご存知であればお教え下さい。よろしくお願いいたします。

温存療法後の放射線の副作用でお悩みのようですが、温存術でリンパ節郭清をしただけでもこのようなことはあります。しかし放射線による場合は長引くこともあり、その辺の副作用は温存術を受ける際の informed consent が得られていると思われますが、術前の説明でもそのようなお話があったと思いますが、いかがでしたでしょうか?
現在の症状からはそのほかにステロイドの軟膏や内服なども考えられますが、とにかく横浜で今後の治療をされるのであればこのホームページの会員の医師がいる病院でもよろしいですし、神奈川には日本で一番温存術の経験がある大船中央病院という有名な病院もあります。ご自分の通いやすいところで、決められると良いでしょう。乳癌の経過観察は時には10年以上のおつきあいが必要なこともあり、長い目で見て選ばれると良いでしょう。まず大阪の今かかっている病院の主治医から手術所見や病理所見、できればホルモンレセプターなどの情報を紹介状として、持参されるとよけいな時間や検査が省けると思います。(文責   石山)

 

No34】99年11月19日 SIMさん
バセドー氏病と乳房疾患について

私は、現在バセドー氏病にもかかっています。 バセドー氏病と女性の乳房の疾患にはなにか関係があるのですか?
線維腺腫を治療する薬、予防法はありますか?また、乳がんの予防法も教えてください。

バセドー氏病と乳腺の疾患はあまり関係ありません。しかし、いずれも内分泌臓器ですので脳の視床下部、下垂体という所からでるホルモンで腫大したり、発達が悪くなったり、機能が低下することは考えられますが、乳腺に関して直接疾患と結びつくことはないと思います。
また、乳癌検診の際に甲状腺疾患が女性に多いので、ついでに甲状腺も診察されることが多いので、乳腺と一緒に見つかることは多いと思います。
繊維腺腫は薬では治療ができないと思います。それよりも乳癌の充実腺管癌などと区別が難しいことがあるので、レントゲンや超音波、穿刺吸引細胞診などで診断を確認する必要があります。またあまり大きくなったり気になる場合、癌との鑑別ができないときは手術で摘出することもあります。
予防法は特にないと思います。癌との鑑別ができれば、経過観察でよいと思います。
乳癌の予防法は疫学という手法では太ると良くないとか、コレステロールの摂取過剰が悪いとか色々の成果が知られていますが、個人での予防法というのはあまりないように思います。血縁者に乳癌の人がいたり、その数が多い人は、乳癌検診を受け、早期発見に努めることが大事だと思います。もちろんすべての女性が検診を受けられるのが理想ですが.......。(文責   石山)

 

No33】99年11月16日 M.S.さん
左腋窩の鶉卵大腫瘤について

39歳の既婚者で子供はおりません。
6月頃、左脇の下のしこりに気づき、1ヵ月後に乳腺外科を受診しました。血算、生化、可溶性インターロイキンUレセプター抗体、腫瘍マーカー、胸部XP、マンモグラフィー、エコーの検査の結果、特に異常はなく、癌転移や悪性リンパ腫ではなく脂肪腫であろうという診断でした。
11月現在では特に大きくなっているようなことはなさそうなのですが、しばしば脇の下に圧迫痛のような引き攣れのような痛みを感じることが多くなりました。ちょうど乳房とそのしこりの中間くらいに副乳とアテロームがあります。放っておっておいても問題はないとのことなのですが、なんとなくこの存在が気になって仕方がありません。時々、ソケイ部や、頸部のリンパ節に手をやって他にしこりが出来ていないかと確認してしまったりします。
生検はやっていないので、手術して組織を調べてもらったほうがよいのでしょうか。それともこのままにしておいてもよいのでしょうか。迷っていますので、もし宜しければアドバイスを頂けないでしょうか。よろしくお願い致します。

様々な検査をされておられますが、おそらくそのような検査ができるということは総合病院の乳腺外来にかかられてのご質問と思われます。私のような臨床ばかりの病院であわただしい外来をやっているものの参考までの考えですので、そのつもりでお読みください。
私であればとりあえず腫瘤があれば、針を刺す穿刺吸引細胞診(ABC)をすると思います。この結果で良性と悪性の診断が普通の施設では80%から90%の確率でつくと思います。そこまでやって良性ないしは脂肪腫との診断であれば、3ヶ月や6ヶ月ごとの通院でよいと思います。
とにかくこのご質問の内容では細胞診の有無とその結果が分からないので、もし細胞診をしていれば、その結果を再度確認した方がよろしいと思います。細胞診を本当にしていないのならその理由があると思うので、納得できなければ中規模以上の病院であれば、細胞診ぐらいはできるはずですので、念のために受けた方がよいと思います。そうすれば、いまほどの心配はしなくて良いと思います。よく主治医の先生とお話をすることだと思います。(文責   石山)

 

No32】99年11月15日 A.K.さん
妊娠と関係がありますか?

妊娠2ヶ月頃から右脇の下に小豆大のしこりができ、ふれると少し鈍い痛みがありました。5ヶ月の今では盛り上がる感じでひろがっています。治療は必要ですか?

腋の下のしこりとのことですが、一般的には腋の下のリンパ節が腫大していると思われます。痛みなどもあるようなので炎症がひどくなる兆候(痛みの増強、赤くなる、熱を持つなど)があれば抗生物質を飲んだり、注射することになります。
また妊娠を契機にできていることから副乳の可能性があります。妊娠の進行で乳腺が増殖するのと同時に副乳も今まで自覚していなかったものが大きくなって気づくことがあります。一般的には妊娠時の副乳で痛みはあまりないと思われます。稀に副乳癌というのもあります。産科の先生と相談の上、必要があれば外科などの乳腺専門の病院を紹介してくださると思います。(文責 石山)

 

No31】99年11月14日 Chakiさん
乳癌なのでしょうか?

33歳の未婚女性です。半年前から左胸の乳首横に1cm程の硬いしこりが有る事に気付きました。現在でもあまり大きさは変わっていないようですが、もしや乳がんかと不安でしかたがありません。そんなに痛みも無く、腫れや分泌物もありませんが・・・。

1cmの硬いしこりがあるとのことですが年齢からは乳癌よりも繊維腺腫などの良性の可能性の方が考えられますが、詳しいことは精密検査(乳腺の超音波、レントゲン、穿刺吸引細胞診など)をしないと分かりません。触診だけでもある程度判断はできますので、病院にかかるのが怖ければ保健所などで乳癌検診を行っていますので、まずそこで診察してからでも良いと思います。
いずれにしても痛みや分泌物がなくても乳癌である可能性があるからには放っておくのは心配です。すぐに検診か、総合病院の外科にかかることをおすすめします。万一その1センチのしこりが癌でも温存術が可能なことが多いので、乳房を失うことはありません。
放置して大きくなってしまえば温存ができずさらに大きな手術になることもあります。すぐに行動した方がよいでしょう。(文責   石山)

 

No30】99年11月11日 YTさん
女性化乳房が乳癌になりますか?

3年以上も前左胸にしこりが見つかり女性化乳房と診断、ホルモン注射による治療をしていました。大きさ(10cmの円形)が一向に小さくならないので通院するのを止めてしまいましたが放っておいて大丈夫でしょうか?
男性にも乳癌があるといいますが癌に発展してしまうのでしょうか?

女性化乳房は若い男性(思春期を含んで)と肝機能障害のある人、一部の薬剤の副作用などで出現することがあります。特殊なもので睾丸腫瘍でも起こることがあります。いずれにしても女性化乳房という診断名は乳癌ではないことを確かめた上でつく病名ですので、癌とは別と考えて良いと思います。
しかし男性の乳癌もあり、鑑別が難しい場合もありますので最初に記した明らかな原因がなければ穿刺細胞診などの検査は一応しておくべきで、このような検査をするための専門医の診察を受けるべきだと思います(たいていの大きな病院では外科です。) (文責   石山)
                                                                                  

 

No29】99年11月11日 FYさん
癌の再発を心配しています

39歳です。左の乳首の上に2×2pの腫瘍があり、3週間前、温存手術をしました。リンパ節もすべて取りました。おととい、病理学検査の結果を聞きに行ったところ、主治医から、ガン細胞がリンパ節に転移しており、そのうち2,3個がとんでいたと説明を受けました。来週から放射線と抗ガン剤の治療を始めるそうです。
リンパ節からガン細胞がとんでいるということは、必ずどこかに転移するということでしょうか?これから先、どんなことが起こりうるのでしょうか?どんな体の変化に気をつけて生活していくといいのでしょうか?それから、「ホルモン剤は、あなたには効かない」と言われましたが、それだけ重症ということなのでしょうか?2ヶ月後には、職場復帰の予定をしているのですが、大丈夫でしょうか?14歳と11歳の娘がいますが、娘達を成人させるまでは、死ぬわけにはいきません。

乳癌手術の術後の病理診断でリンパ節転移が陽性で2〜3個が転移であったとのことですが、これは取り扱い規約上ではn1αという分類になり4個以上のn1βに比べてかなり再発率が低いと思われます。施設にもよりますが20%ぐらいの再発率だと思います。温存術後に放射線治療を併用するのは一般的に推奨される事ですので、リンパ節転移による再発(多いのは骨、肺、肝臓など)を予防するために抗ガン剤を投与することになったのだと思います。抗ガン剤はその施設で使い慣れた内服薬や注射剤(CMF CAF タキソテールなど)を使って治療されることになるでしょう。
従ってこれから起こることは20%程度の再発による症状でしょうが、外来通院で画像検査、腫瘍マーカーの検査などで症状がでるより前に再発を早期発見する事が大事です。まれに温存術でも乳房やその周囲に再発することがあります。また反対側の乳腺にできることもあります。これらはご自分でも発見できますので、よく触りチェックする事が大事です。
ホルモン剤のことですが、効くタイプかどうかは多少予後(生存率や再発率)と関係しますが、エストロゲンレセプターとプロゲステロンレセプターがあり、両方が陰性のときや一方が陽性など様々な場合があり、たちが悪いわけではありません。両方が陰性の場合は多少再発しやすいといわれていますが、先ほどのリンパ節転移個数ほどの有力な要素ではありません。いずれにしてもホルモン剤のことは2種類のレセプターのことを含め主治医の先生にもう一度教えてもらった方がよろしいと思います。
最後に2ヶ月後の職場復帰のことですが、来週から行う抗ガン剤の種類によって例外はありますが、温存術で自宅での安静はそれほど長くは必要ないと思います。復帰は可能だと思います。(文責   石山)
 

 

No28】99年11月5日 akoさん
乳癌でしょうか?

今25歳です。胸が小さかったので、中学のころ、大きくならないかと、胸をたたいたり、つかんでみたりとしていると、ある日しこりができてしまいました。それから、徐々に大きくなり今にいたります。現在は幅6センチくらいの円になっています。今は痛いことはありませんが、何度か痛みがあったこともありました。右の乳房からは汁が出たことも何度かありました。乳癌なんでしょうか。

ご質問の内容だけでは癌かどうか判断は大変難しいのですが、円形のしこりがあるという事から平坦で丸いしこりと考えられます。このようなものは乳腺症という良性のしこりにみられる症状で、そこが痛いことも癌よりは乳腺症の症状と考えられます。しかし例外もありますので、近くの外科のある総合病院で専門医の診断を受けることをおすすめします。
また右の乳房からの汁という症状ですが、前記の円形のしこりも右にある場合は円形のしこりの中に液体が溜まっていてそれが乳首からでることも考えられます。その汁が血液を含んでいるような赤かったり赤黒いものでなければふつうは心配ないと思います。しかし、分泌物が乳汁のようで量が多い場合は、下垂体腫瘍で乳汁分泌ホルモンがでるという場合も考えられ、どちらの症状も一度専門医の診察が必要と思われます。
しかし、25歳で乳癌というのは非常に稀ですの、心配しすぎる必要はありません。安心するための健康診断だと思って受診してください。(文責   石山)

 

No27】99年11月3日 S.F.さん
乳首が痛いのですが?

22才の大学生です。些細な相談で申し訳ないのですが、1週間ほど乳首が 痛いのですが、分泌物などは何もありません。生理前でもないのですが、 乳房は何ともなく、乳首だけさわると痛いです。放っておいて大丈夫でしょうか。

乳首が痛いとのご質問ですが、生理の周期に関係なく痛みがでることは異常ではありません。22歳という年齢からも癌の心配はないと思います。乳腺の成長の過程にある場合や乳腺の腫脹(乳汁や乳腺の分泌液の貯留)に伴い乳頭(乳首のこと)の痛みがでることがあります。高齢な方ではPaget 病という乳頭の癌もありますが痛みや痒みはないことが多いといわれています。いずれにしても月に1〜2回乳頭をご自分で絞ってみて分泌物や血液がないことを確かめることをおすすめします。そのようなことがなければ経過を見られてよいと思います。また炎症の所見がでてくることもありますので、赤くなったり、痛みが強くなったり、あつい感じがでてきた場合は外科の病院に行かれる必要があります。以上の点注意され自然に痛みが消えると思います。長くなったら(1ヶ月以上)再度ご相談ください。(文責 石山)

 

No26】99年10月29日 Hiroさん
多発癌、面皰癌とは?

姉のことですが、先日乳がんの手術をしたところ、病理の結果、「乳頭腺管癌で、多発癌で、面皰癌もある。」と言われたそうです。ステージやグレードのことを聞くと、「多発癌だからそのような事はなんともいえない」と言わたそうです。どの本を読んでも多発癌については記述がなく、またステージもグレードも分らないという事で、自分の乳がんがどれぐらい悪いものか分らず大変不安がっています。そこで、次の事についてお教しえ下さい。
 1.多発癌とはなにですか?
 2.多発癌は、転移の可能性が高いのですか(生存率が低いのですか)?
 3.面皰癌とはなにですか?
 4.面皰癌は、転移の可能性が高いのですか(生存率が低いのですか)?
姉の年齢は40歳で、子供は2人います。乳房温存手術で、右側上部の内側を4分の1ほど切除しました。切除した乳房の中にはしこりが5個あり、そのうち4個が癌でした。大きさはすべて1センチ以下(私にはふやけた米粒ぐらいに見えました。)です。ERは48.0で、PGRは370.6で、ともにプラスだそうです。リンパ節は7個とりましたが、癌の転移は1つもありませんでした。詳しくは分らないのですが、血管には浸潤していなかったそうです。手術後の治療は、放射線の照射、ホルモン療法、抗がん剤の投与だそうです。それから、手術前に癌があると光る?薬剤?を投与?してレントゲン?を撮ったところ左右の胸ともに星空のように光っていたそうです。医学のことは全く分らないので、変な文章になっているかもしれませんがご容赦下さい。よろしくお願い致します。

1. 多発癌とは、乳癌が同側乳房内に複数の結節(癌)を有しているものです。乳癌の発生では、時にこのように腺内に同時多発発生や、一つの腫瘍が乳管内に進展して多発結節を来すことがあります。STAGEは多結節例では最大結節のもので決定されます。

2. 多発癌は単発癌に比し、理屈上は腫瘍の量が多いわけですので、同じSTAGEでも進行度は高いと考えられます。温存療法の場合、単発例では温存乳房内の再発率は5〜15%といわれますが多発例では20〜30%と高くなるとされています。温存乳房内再発に関しては、通常その生存率に大きい差違はないといわれますが、その発見時期、その処置によっては差が出る可能性はあります。

3. 乳癌の通常の組織型は乳頭腺管癌、充実腺管癌、硬癌の3つに分類されます。面皰癌はこれら癌組織の中のひとつの型で癌腺腔内に壊死物質を有するものです。ある多数例の報告では、この面皰型の割り合いが多い程、予後が不良とされています。今回の例ではいかがだったのでしょうか。
  
いずれにしても、主治医の先生は、リンパ節転移がないのにもかかわらず、化学療法/ホルモン療法を加えている様ですので、十分慎重に治療を行っているものと思われます。       (文責 石田)                       

 

No25】99年10月25日 RFさん
腫瘍マーカーとは?

乳頭分泌物の細胞診をした結果、「腫瘍マーカーの値は140だったので、さほど高い値ではないので良性と思われます」と言われました。腫瘍マーカーの値とは、いったい何なのでしょうか?察するに、良性・悪性の判定をするためのひとつの物差しのようなものだとは思うのですが、この140という数値はその物差しのどこに値するものですか?俗に正常範囲は○○以内等と言いますが、もう少し具体的に知りたいのです。たとえば200以下は良性と考えられ、それ以上は悪性の疑いが強い、などの目安はあるのでしょうか?

乳頭分泌液の腫瘍マーカーは恐らくCEA濃度と思われます。CEA値は血清で種々の腫瘍マーカーとして用いられ、進行性癌や癌再発例の指標(特定の癌に限らない)として有用とされています。乳頭分泌液の腫瘍マーカーCEA値はまだ確立されたものではありません。現在400ng/ml以下が正常範囲とされていますが、まだばらつきが多く(即ち1000以上の良性もあり400以下の悪性もあります)、現時点では1000以上は悪性の可能性が極めて高いというのが現状です。いずれにしても今のところ生検による確定診断を積極的に行うことが早期例を発見する方策と思います。 (文責  石田)

 

No24】99年10月18日 RFさん
乳管内乳頭腫と診断されたのですが---。

9月の中頃に左胸が生理を過ぎても張っていたので気にしていたところ、偶然左の乳頭から何か分泌物が出ていることを発見し、近所の産婦人科で診察を受け、乳頭のすぐ際にしこりを発見されました。出産経験がないので、その産婦人科は初めてかかった所なのですが、即座に医師から某都内大学病院の乳腺外科を紹介されたため、その病院で診察を受けました。
触診によるしこりの確認の後、マンモグラフィー、エコーでの診察・検査を受け、さらに先日は造影剤を注入しての検査を受け、その結果では結果乳管内乳頭腫ではないかとの事でした。さらに現在は分泌物の細胞診をしていただいています。しこりの大きさは1.5センチくらいのようです。現在担当医師からは、細胞診の結果を見てから、乳管内乳頭腫であれば手術によるしこりの摘出を勧められています。もともと乳腺症の気があり、生理の前には特に胸が張り2年程前にもマンモグラフィーを受けたことはあります。その際には特に異常は認められず、折を見て検査を受けることを勧められました。私が気になっていることは以下の点です。
1.乳管内乳頭腫は、手術で除去するべきものなのでしょうか? ちょっとした痛みもあり、症状がまったく無い訳ではないので、このままという訳にはいかないと思っていますが・・・。 医師からは、まれにその腫瘍から悪性のものが見つかることもあるとも言われました。 ちなみに、この腫瘍とは別に、マンモグラフィーでは「石灰飛」も確認されており、定期的な検査を行ったほうが良いようにも聞いています。
2.手術をする場合、乳輪に沿ってメスを入れるので、傷はほとんど目立たないといわれましたが、そんなものなのでしょうか? また、1.5センチ程度の腫瘍の切除であれば、1時間程度の簡単な手術で済むとのことでしたが、おそらく腫瘍の周囲も切除するのだと思うのですが、 くぼみができるなど形が変わることはあるのでしょうか?
3.私は既婚者ですが、子供がおりません。今年で39歳ですが、最後の望みをかけて1年以内に子供が欲しいと思っています。 乳管を寸断することになると思うのですが、妊娠した場合胸が張っても母乳が出なくて大変なことになるとか、授乳できないなどの問題はないのでしょうか?

いろいろと甘えているようで申し訳ありませんが、もしご見解をいただけると大変ありがたいです。突然振って沸いたような事の為、何ともどうして良いものか、ただただ湧き上がってくる疑問と不安でいっぱいになっています。どうぞ、よろしくお願いいたします。

1 主治医の先生のおっしゃる通り乳頭腫と思われる組織の中に前癌状態と思われるものや癌が稀に認められることがあります。特にしこりをつくっている場合は積極的に生検を受けられることをお勧めします。万が一悪性が見つかったとしても極めて早期のものでしょう。良性であっても組織の形で経過観察の仕方もかわってくると思われます。

2 乳輪の切開創は最も目立たない創のひとつです。多少色素の脱出が見られることもあります。しこりも小さく切除範囲は小さいものと思われ、乳房自体の変形は殆ど心配しなくて良いと思われます。

3 手術の際、しこりと分泌物の出る乳管に限って切開すれば、乳管の切断は最小限ですむと思われますので、母乳が出ない、授乳できないなどの心配はないと思われます。ただし今回の手術に関係なく、乳腺症があると思われるので乳管の不整があれば、授乳期乳腺炎を起こす可能性はあります。
                                                                                                         (文責   石田)

                          

No23】99年10月17日 HKさん
乳癌術後の補助療法について

38才既婚、6月に左乳房温存手術を受けました。腫瘍径は2.3cmER(-)PR(+)でリンパ節転移はありませんでした。病理検査の結果、断片はマイナスであったため、術後に放射線照射はせずホルモン療法(ゾラデックス)を行なっていましたが一部治療方法に納得がいかず放射線治療を受けたかったので、9月に転院いたしました。現在、放射線治療と化学療法(CMF4クールの予定)を受けています。
病院や医師によって治療方法が異なり不安や疑問に感ずることが多く、特に以下の点につきまして先生のご意見をお伺いしたいと存じます。
1.私ようなケースではどのような術後療法が第一選択肢となりますか
2.乳房温存後の放射線治療の必要性の有無について
3.閉経前のタモキシフェンの効用と服用期間について
以上、何卒宜しくお願い申し上げます。

1 Stage「   ER(-) リンパ節転移(-)ということでは、私どもの施設では温存乳腺に全例照射を行います。化学療法は行わないことが多いです。 術後の補助療法については、あなたのおっしゃる通り、施設、Drにより様々なやり方があります。すなわち現時点ではどれを選択しても、大きく再発率、生存率に差違が認められないことだと思います。しかしながら治療法や適応基準によっては、有意差があるとする論文もあります。腫瘍が5cmに近いことや腫瘍の組織型、悪性度や癌遺伝子の検索で科学療法の適応をきめる場合もあります。その場合はCMF6クールあるいは経口抗癌剤をおよそ2年間、投与する方法をとります。
  
2 放射線療法については施設によって異なりますが、現時点では2/3の施設が照射を行っています。施設によっては、断端陽性の場合のみとか、患者さんと協議の上きめるなどが少数あります。数値的には温存乳腺からの再発率が減少するとの報告も多く、温存乳腺の勝者は例外を除いては行った方が良いと考えます。

3 タモキシフェンの投与は、再発例や欧米での乳癌危険因子を有する女子の予防的服用などで有効性が報告されています。ER(+)なら有効率が高いと思われます。しかしながら非進行例の予防的投与については、有効率の大きな差はありません。服用期間については、通常2-5年使用します。最近さらに5年服用で再発率が下がったとの報告がありますが、この場合子宮体癌の発生も問題になります。すなわち投与期2-5年が標準ですが定まったものではありません。(文責   石田)

 

No22】99年10月16日 MOMOさん
しこりの切除を勧められているのですが---

29歳の主婦。2歳の子供がいます。
私の左胸には2つのしこりがあります。1つは乳輪の内側にあり、コロコロとした小石のようなもので、2年前の出産後の授乳中にできたものです。もう1つは乳輪の外側下部にあり、長さ3センチ、幅1.5センチぐらいあります。超音波検査とマンモグラフィの結果、小さいしこりは分泌物(母乳?)が石灰化したもの、大きいしこりは細胞診が必要だと言われました。細胞診の結果は『良性腫瘍』とのことでした。(classU)
『繊維腺腫』か『乳管内乳頭腫』の可能性が高い・・・とのことです。
1ヶ月後にもう一回検査をしてみて、場合によっては切除しましょう、と言われ、10月上旬に再度、細胞診をしました。その結果は『乳腺細胞があまり採れていなかったので診断不可能』とのことでした。私が早目の妊娠を望んでいる事もあってか、先生から摘出手術を勧められました。『授乳の際に、乳腺炎などのトラブルが発生する可能性が高いので、取っておいた方が良いと思う。取っておいた方がすっきりするでしょう。』とのことでした。
10月末に手術の予約は入れたのですが、その後いろいろ考えてみたり、本を読んでみたりして、本当にメスを入れるべきなのか悩んでおります。本当は悪性なのではないか?という不安もまだ消えません。回答を頂きたく、宜しくお願い致します。

乳腺のしこりの生検についての質問と思いますが、私の考えでは25才以上の女性の限局したしこりは原則として、生検を勧めています。例外は、単発あるいは多発の嚢腫(袋状で中に透明な水が貯まったもの)1cm以下の良く動く、超音波、X線、細胞針で明らかに線維腺腫と思われ経過観察できるものなどに限っています。
貴方の場合は乳管内乳頭腫の可能性もあるというところが、多少気になりますが(すなわち乳頭腫と線維腺腫とは所見が大分違うと思いますので)最大径3cmということですので、私としても生検を勧めます。穿刺細胞診が良性とのこと、95%以上は良性と思われますが、100%ではありません。メスを入れることのマイナスは少ないと思われます。わずかですが悪性の可能性を心配するのでしたら生検で白黒をはっきりさせることが良いと思います。
良性であってもその組織型で経過観察の仕方にも参考になると思われます。  (文責 石田)

 

No21】99年10月1日 S.H.さん
乳腺症、線維腺腫の悪性化の可能性

38歳、出産経験無し。H7年秋に、左胸上方内側に小指の頭大のコロリとしたしこりを見つけ、市内の病院に受診。その後、再度3ケ月後の細胞診等でも良性であると言われました。それから家庭の諸事情もあり、しこりも大きくならず、腋の下のリンパ節も普通なので定期検診もせず現在に至りました。
先日、乳首辺りを手で挟んで強めに押すと、微量の分泌液がプチッと滲み出て不安になりました。押さなければ出ないのですが、その後も何度か同じ事をすると出たり出なかったりです。(両乳首ともで左の方が出やすい。やや黄色っぽかったり、乳汁状や透明であったりとそのときどきで違う。血性は感じられない)今までは、そこまでした事がありませんでした。乳房や乳首に硬さは感じられません。
その当時、良性と聞いて安心してしまって線維腺腫なのか乳腺症なのかはっきりしませんが、痛みがなく、硬くて球形の境目のはっきりしたよく動く感じのしこりの状態から、線維腺腫かなと自己判断しております。ちなみに現在、子宮内膜症にて擬似閉経状態をつくり治療中(ナサニール)です。細胞診の結果は今考えてみますと、クラス2であったと思われます。しこりも大きくなっていないようですし、皮膚やリンパ節も見た目は変わりありません。悪性化の可能性はあるのでしょうか?
実は、やはり心配で同じ病院を先日受診いたしました。その当時の先生はいらっしゃいませんでしたが、、カルテは残っていました。触診では、「2センチ位でよく動く感じだね」と先生はおっしゃっていました。その後、マンモグラフィーを撮るはずだったのですが、私は脊髄損傷で車いすのうえ、乳房が小さくて結局設備的に撮れず仕舞いでした。(前のときは何とか撮れた)あと血液を取りました。それから超音波検査では、「右の胸にしこりは見当たらない。左のしこりは、以前とほぼ同じ大きさで悪性のものという感じはしない」と言う事で、少しだけ安心いたしました。細胞診の結果はまだです。(超音波と細胞診は別の先生でした)
長々と書いてしまい、申し訳ございません。私が今不安に思っておりますのは・・・
1.マンモグラフィーを撮れなかったので、総合判断するのにエコーだけの画像診断で都合はないか?他で何とか撮った方がよいか?
2.右胸にしこりなどはないのに、なぜ分泌液が出るのか?(女性では生理的に若干そのような事が有り得るのかどうか)
3.乳腺症では分泌液が出る事もあるそうだが、もし線維腺種の場合もそのような事があるのか?
4.そして、上記にも書きました悪性化の可能性についてです。今のところ良性かなという感じなのですが、細胞診の検査結果が出たときに先生に伺ってみるつもりですが、外来ゆえ時間的に詳しく聞けるかどうかわかりません。私は、腋の下辺りから下に知覚がノーマルにないものですから、痛み等がよくわからず普通の方よりかなり神経質になっておりますが、どうかご勘弁くだせいませ。
5.良性の診断が下りましたら、今後の定期検査は半年に一度位すればよいでしょうか?

1;あなたのいままでの経過をみますとまず乳癌とは考えにくいです。マンモグラフィを撮れるものなら撮った方がよいとは思いますが撮影技術上難しいのであればエコーだけでも支障はないように思います。

2;右乳房に手で触れるようなしこりがなくても乳頭分泌がおこることはありえます。乳管内に乳頭腫という腫瘍や微小の乳癌(数ミリくらいの大きさで手では触れない)があったりする場合やホルモンの影響でだけでも乳頭分泌がおこります。しかし、あなたの場合は両方の乳頭から出るようですし,血性でもないようですので微小の乳癌や乳頭腫であることは考えにくく、今後変化があるかどうかを観察し血性になるようであれば担当医に精密検査をしてもらればよいと思います。

3;線維腺腫からは普通は分泌液は出ません。しかし、線維腺腫のあるかたは乳腺症も合併していることが多いです(線維腺腫と乳腺症とは似た病気です)。

4;線維腺腫から乳癌に変化することはほとんどないと考えられます。乳腺症から乳癌に変化することはかなり低い確率ではありえると思いますが、乳腺症のどのような状態から乳癌になるのかなどはわかっていません。必要以上に悪性変化を心配しても仕方ないことだと思います。乳腺症のない乳腺の人からも多数乳癌が発生しているのですから。

5;定期検診を半年でいいのか一年がいいのかなどはわかりません。あなたが乳癌にならなければ結果的には乳癌検診などは必要なかったことになりますから。あなたの判断で決めればよいと思います。個人的な見解ですが、あなたが触診したりして変化を感じたときに病院を受診するのでもよいのではないでしょうか。   (文責  麻賀)

 

No20】99年9月29日 なつさん
乳腺症は乳癌に変わるのですか?

左胸のしこりについて相談した、なつと申します。先日は、夜遅くにご回答を頂き、ありがとうごさいました。
今日、乳腺外科で検査(視触診、マンモグラフィー)を受け、乳腺症と診断されました。 とりあえず、乳がんではなかったようでほっと安心しています。ですが、ある本には乳腺症が乳がんに変わる事があると書いてあったのが、気になっています。 最近は否定されていると別の本には書いてありました。 本当のところはどうなのでしょう。それと、私はかなり胸が小さいのですが、マンモグラフィーで写りきらなかったと言う事はないでしょうか?

乳腺症から乳癌になる確率が高いといわれていたのはかなり前のことです。今は乳腺症(ここでいう乳腺症とは乳腺を切除して顕微鏡でみたときの診断名で、一般的に使われている普通の人より触診で乳腺が硬いとかいったものではありません。一般的に使われている、触診で乳腺が硬い程度の臨床的な乳腺症の人の乳腺を顕微鏡でみるとほとんど正常ということが多いです。)から乳癌になる可能性のある病変は乳腺症のうちの10%程度と考えられています。またこの病変のすべてが癌に変化するというものでもありません。正確には何%が癌化するのかはわかっていません。胸が小さいとマンモグラフィでそのすべてが写らないことはありえますが、あなたの場合はどうなのかを私にはお答えできませんので、担当医に聞いてみることです。乳腺症といわれた人の乳腺は硬く大きくなったり、少し柔らかく小さくなったり、生理の周期によって変わるのが普通です。1年に一度の検査でよいと思いますが、自分で触診したとき、いままでとは違ったような感じが持続するのであれば早めにみてもらったほうがよいかもしれません。乳腺症のある人に新たに乳癌が発生する(乳腺症とは別に乳癌ができる)と、診断しにくくなることがあります。触診での乳腺の硬さというのは乳癌と乳腺症とを区別するのに大切なポイントです。乳腺症にしてはとても硬いことが気になっているとのことですが、これについて正確に私には答えることができません。気になるなら担当医に再度聞いてみることです。(文責 麻賀)

 

No19】99年9月28日 まっきいさん
脇の下に小さなあずきほどのしこりがあります

半年ぐらい前からわきの下(腕の付け根)にアズキほどの小さなしこりがあります。とても固くコロコロしているんです。その他には乳首にも胸にも異常はないのですが。これも乳癌の疑いがありますか?

多分乳癌の疑いはないと思います。腋窩(わきの下)のしこりは腋窩のリンパ節でもないように思います。おそらく、皮膚あるいは皮下の腫瘍であろうと思います。半年前からしこりに変化がないようなら多分良性のしこりでそのまま経過をみていけばよいもののように私には思われます。もちろん貴方のお話からだけの推定ですので、ご心配なら病院でみてもらうことをお勧めします。(文責 麻賀)

 

No18】99年9月26日 ちゃまさん
退院後の生活について

乳房切除術後のリハビリ(肩の運動)にはどのような運動がよいですか?退院後に注意する事を教えてください!

乳房切除後のリハビリのパンフレットにあるような(退院の時もらったと思いますが)運動をしたらよいとおもいます。とくに後ろに腕をまわす運動がなかなかできない人が多いですのでこの動きをよく練習してください。また、水泳などは肩の運動の練習には好都合です。退院後注意することといってもかなり漠然としていますが、患側上腕に関することがらでは腕の炎症に注意が大切です。これは患側の腕が赤く腫れ上がったりすることです。このようなことが起こったらただちに抗生物質の投与を受けることが必要です。腕の炎症を予防するきめてはありませんが、虫に刺されたり、患側の腕を怪我したりした場合に注意深く観察して腕が赤くなる兆候があれば早めに抗生物質の投与を受けることだと思います。また前もって担当医から抗生物質をもらっておくのも一方法です。(文責 麻賀)

 

No17】99年9月24日 なつさん
左胸のしこりについて

ご相談は、左胸のしこりについてです。
おとといの入浴中、発見しました。左の乳房の上部の外側で、大きさはさわった感じ、横長で幅1cm程度、長さは3cmくらいある感じです。すこし、母乳のような分泌物(血はまじっていないようです)もあります。それと、わきのリンパ腺の場所が分からないので、腫れているかは分からないのですが、左胸周辺に風邪を引いたときのようなだるさがあります。風邪を引くとリンパ腺が腫れる性質なので、余計気になっています。
皮膚の引きつれ、しわは、出産のとき胸にも妊娠線のようなものができてしまったため、よくわかりません。あと、しこりに気づく前日くらいに胸に湿疹様のぶつぶつができ、湿疹用の薬で治りました。これは、なにか関係ありますか?
一応、月曜日に県のガンセンターの乳腺外科にかかろうと思ってます。ご回答、お願いします。

“しこり”という言葉は、腫瘤(こぶ)と硬結(筋肉が硬く結するような状態)の、いずれかを表現するのに使われますが、一般的には腫瘤をさすことが多いようです。貴方の場合も多分、腫瘤の状態だと思われます。乳癌も大部分は腫瘤の状態で存在しますが、年齢的には閉経前後(日本人の場合は平均51歳)に2峰性の発生のピークがあります。一般的に20代の乳癌は少なく、乳腺線維腺腫や乳瘤(母乳がたまったもの)等が考えられますが、視触診・超音波検査・乳房撮影・穿刺吸引細胞診の4つの検査をし、総合的に診断することになります。
胸の湿疹様の変化は乳腺腫瘤とは関係がないと思われます。いずれにせよ乳腺外科医の診察を受ける必要があります。(文責   須田)

 

No16】99年9月24日 A.K.さん
今後の治療について

その後、このHPでの回答や、他の方々の助言やデータ等を元に夫と一緒に主治医と話し合い、通院でのCMF・CAF治療の実施の同意を得ることができました。ただし実施にあたり、主治医から条件を提示されました。現時点の経口抗がん剤治療による副作用で肝機能(血液検査)が低下しているので、CMFやCAFの化学療法には、耐えられないだろうということでした。このまま強行すれば、白血球の数値も低下し、無菌室入院または、治療の中止になるだろうと言われました。
血液検査の結果
肝臓のコリンエストラーゼ   術前(6月)    3.99
                  8/18採血     1.79
                  (この日はエンドキサン服用2週間目)
白血球              8/18採血     4100

このような結果なので、CMFやCAFをやりたいのなら、しばらく現在の薬の服用をやめてください。と言われました。
そこで、質問です。
1 現在の健康状態でのCMF・CAFの実施はやはり無理でしょうか
2 薬の服用を止めたら、肝機能や白血球は、元に戻りますか? またその期 間は、どれくらいでしょうか。(きっと、かなり個人差のあることでしょうから、お答えにくいでしょうね。)
3 薬の服用を止めて体を戻してから、CMF.CAFを始めたとしても弱いという内服薬でこれだけ肝機能に影響がでたので、やはり、強い治療には、耐えられませんか?
主治医は、私のQOLが落ちるのを盛んに気にしておりました。医師により考えも色々あり難しいのでしょうね。ただ、私は以前も書いたように、自分で納得して治療を受けたいのです。お忙しいでしょうに、いつもすみません。よろしくお願いいたします。

1)コリンエステラーゼの値だけで肝機能は評価できません。白血球は問題無いと思います。CMF,CAFのconventional doseの治療で、無菌室に入ることはまず無いと思います。
2)薬の服用を止めて検査値が正常に戻れば、原因は薬剤だったと言えると思います。その場合は、中止して速やかに正常に戻ります。しかし、だからといって他の治療ができないということにはならないと思います。
3)肝機能に影響がでたのは、強い弱いではなくて、種類によるので、CMF,CAFに耐えれないとは言え無いと思います。それにCMF,CAFはそんなに強い治療だとは思いません。(外来通院でできる治療ですから...)
4)QOLを重視するのか、治療効果を重視するのかは、患者さんの意志ですから、主治医はその希望に沿うべきで、自分の考えを押し付けてはいけないのではないかと思います。(文責:清水)

 

No15】99年9月23日 H.M.さん
非浸潤癌のしこりについて

ちょっとお聞きしたい事があるのですが、本に非浸潤癌は乳管の中で広がると書いてあって、それはわかるのですがしこりが出来ないみたいなことが書かれていたのですが、私の母の1.5cmくらいのしこりは何だったのでしょうか?
それと、良性悪性の判断の基準はどういうものなんでしょうか?今日手術前の話を先生から聞きましたが、本人が同席していた為詳しく聞けませんでした。よろしくお願い致します。

ご指摘のように非浸潤癌は乳管の中に広がって進展します。しこりをつくらないこともありますが、しこりをつくることもあります。非浸潤癌という診断名は病理学的(顕微鏡での検査)なものです。非浸潤癌であればしこりをつくっていてもいなくてもその後の経過(再発や転移をおこすこと)には差がないのが普通です。病理組織学的に非浸潤癌と良性の乳腺腫瘍との区別は核分裂や細胞異型の違いで判定するのですがこれはかなり高度な専門的な事柄です。(文責 麻賀)

 

No14】99年9月22日 SIMさん
乳腺線維腺腫手術の傷跡について

月曜日に、線維腺腫細胞と診断され、採った細胞は良性のものだといわれました。とりあえず経過をみてみることになりました。ただ、もし手術をするとしたら、やはり傷跡がきになります。自分なりに調べてみましたら、腋の下から内視鏡を入れて手術をする方法もあるとか、傷跡を目立たなく再度縫い合わせる手術が(形成外科)あるとか。女性なので特に気になってしまいますが、このような手術に心配はないのでしょうか。ちなみに私の場合しこりは左胸の下部、内側にあります。

乳腺線維腺腫が悪性化したり、癌が合併したりしていることはめったにないので経過をみることでよいと思います。しかし、しこりの存在そのものを患者さんが気にする場合には摘出することもあります。摘出するときには乳輪に沿って切開すると、傷が目立たなくてよいと思います。外科でとってもきれいに治ると思いますが、形成外科でやってもらえば、傷が目立たないという点からはよりいいと思います。内視鏡で摘出する方法も一部の施設では行われていますが入院して全身麻酔をかけてやるのが一般的ですので、この程度のしこりの摘出にやるにはちょっとやりすぎのように思います。具体的にはこのようなことをやっている病院で相談されるのがよいでしょう。(文責   麻賀)

 

No13】99年9月20日 K.O.さん
乳腺線維腺腫の手術

昨年の冬に病院で検査をして乳腺線維腺腫と言われ、そのままにしておいた腫瘍が、最近大きくなったようなので再度病院に行ったら、2.5cmだったものが3.6cmになっているそうです。「こんなに急に大きくなるのは異常だから手術をして取った方がいい。本来なら局所麻酔で日帰りでできるのだが、少しでも残すといけないから全身麻酔で取りましょう。」というような内容のことを言われ、一応10月の初めに手術をする予定なのですが全身麻酔となると少し不安です。いろんな本を見てみましたが、どの本にも「局所麻酔で、入院の必要はない」と書いてありましたし、できることなら局所麻酔で取りたいのです。本当に全身麻酔をかけなくてはならないのでしょうか。アドバイス、よろしくおねがいします。

乳腺線維腺腫といわれ2.5cmだったしこりが3.6cmに大きくなったということは単純な線維腺腫でない可能性があります(年齢によっては1年半位でこの程度の大きさになる線維腺腫もありますが)。葉状腫瘍(良性型と悪性型があります)とか、場合によっては乳癌などの可能性もありえると思います。単純な線維腺腫なら3.6cm程度であっても局所麻酔で入院の必要はありません。あなたの担当医は単純なものではない可能性を考えて入院のうえ全身麻酔で行った方がよいといっているように思います。私見ですが入院・全身麻酔の手術の前に細胞診やニードルバイオプシー(太い注射針で組織の一部を採取する方法)などでどのような腫瘍らしいのかを検査しておいた方がよいように思います。もうすこし担当医に病状を説明してもらい、治療方針を納得されてから手術を受けた方がよいと思います。(文責   麻賀)

 

No12】99年9月20日 N.S.さん
乳癌?

最近発見したのですが、右胸の乳房の上のあたりを押すと左胸には無い、しこりっぽい物を見つけました。乳癌が頭をよぎりましたが、まだ、病院には行ってません。痛みなどは全く無いのですが、やはり調べた方が良いのでしょうか?行くとしたら外科ですか?

乳房にはしこりをつくるいくつかの病気があります。乳癌、乳腺線維腺腫、乳腺症などです。また自分ではしこりと思ってもそれはしこりではなく乳腺そのものを触っているときもあります。乳腺の病気は外科が専門です。外科の病院を受診し、マンモグラフィーや超音波検査、細胞診検査を行ってもらえば何であるのかがわかると思います。乳癌以外のしこりと診断されれば基本的には心配するものではありません。(文責 麻賀)

 

No11】99年9月18日 H.M.さん
乳癌について

私の母の事なのですが、右胸の上のほうにしこりが出来99%心配ないとの事で1週間くらい前にしこりを摘出しました。しかし検査に出したところ、癌だという事がわかり周りの乳管の中に癌細胞があるとのことで24日にそれを摘出する手術をします。癌自体は、非?じゅん癌(すいませんはっきり覚えてません)という非常におとなしい広がらない、癌細胞が乳管の外に出る事はないという説明をうけましたが、1回目の手術の時に悪く言えばかきまわしたような感じになっているので、急いで手術をするとの事です。もしその時に乳管に傷がついているのならば、転移する事はあるのでしょうか?担当の先生には、97%は大丈夫だと言われていますが万が一転移していても命に関わることはないのでしょうか?このぐらいだと段階で言えば、どのくらいなのでしょうか?

しこりの大きさが何cmあるのかがわかりませんので病期(段階)はわかりません(2.0cm以下の大きさなら1期です)。しかし、すでに摘出生検が行われていて非浸潤癌と診断されているようですので非浸潤癌であれば何cmの大きさであっても通常は転移(肺や骨や肝臓などに広がり生命に関わる状況になること)はきわめて少なく乳房局部の治療のみで治癒することが多いです。担当医の先生の97%は大丈夫と言われる通りだと思います。手術(摘出生検)の時、かきまわしたようになっていたとしてもこれが原因で転移をおこすことはないと思います。しかし、非浸潤癌の場合は乳管内進展といってしこりがあったところより広い範囲で癌が広がっていることがあるので手術方法は乳房の部分切除(温存療法)ですべてできるとはかぎらず乳房切除(全摘)が必要となることもあります。この点は担当医とよく相談されるのがよいと思います。(文責 麻賀)

 

No10】99年9月17日 SIMさん
乳腺線維腺腫に手術?

乳腺線維腺腫と診断され局所麻酔での手術の話しがでました。念のためとのことなので、自己判断に任せるといわれていますが、出来れば傷は残したくないのです。どうしたらよいでしょうか?

乳腺線維腺腫との診断は触診、画像診断、細胞診(?)からのものと思います。これらの検査から乳腺線維腺腫と確実に診断できれば普通は生検(手術)は勧めません。一般的に生検を勧めるのはこれらの所見のいずれかに多少なりとも癌を疑わせるものがあるとか線維腺腫に似たほかの腫瘍(葉状腫瘍など)の疑いがある場合です。なぜ生検が必要なのかを担当医にもう少し聞くことです。その説明に納得すれば生検するのがよいと思います。一方、あなたの担当医の説明では自己判断に任せるとのことなので上に述べたような可能性は低いのかもしれません。傷は残したくないとのことなので生検はせず経過をみてもよいのかも知れません。経過をみる場合でも細胞診は必ずやっておくことが必要です。6カ月にいちど程度の定期検査を行って変化のないことを確認すればよいように思います。(文責   麻賀)

 

No.9】99年9月13日 けんさん
今度は右の乳房にーーーしこりが2つ

2年ほど前に、妻の左の乳房に1つのしこりがあるとわかり、病院へ行く事になりました。最初は近所のちいさな診療所で触診してもらい、そこの先生は「あっ!これは多分乳腺症かな??まっ!それでもとりあえず検査したほうがいいでしょう」と言って、検査設備のととのった、病院を紹介してくれました。
そこで早速病院へ行き、精検、エコー、触診、血液、尿検査等いろいろ検査をしてもらいました。結果は確か・・・乳腺症だったとおもいます、たぶん。それで「ガンにはならないが」<悪性のしこりではないって言ってました。> 年に1回は検査をしましょうと言われましたが、そのままほったらかし状態にしていました。
でも今度は右の乳房にしこりが二つほどあるのに気づき妻も不安に陥っています。大きさは1センチメートルぐらいと思われるしこりが二つです。場所は、胸のふくらみのまんなかの・・・・ちょうど乳首のラインから外側に3〜4センチいったぐらいのところにあります。
8歳の子と5歳の子がいる27歳です。メールだけでカルテをみたわけではないから言葉&推測で難しいと思いますがなにとぞ考えられる事を教えて下さい。

今回のしこりは乳腺嚢胞とか線維腺腫が考えられます。乳腺症をもっている人にはよく合併してできることがあります。もちろん癌である可能性も有り得ますので病院での検査が必要です。マンモグラフィーや超音波、細胞診などを行えばそのどれであるのかは診断ができます。病院へ行くことをお勧めします。(文責   麻賀)

 

No.8】99年8月31日 S.S.さん
男でも乳癌になるのですか?

僕はまだ16歳なんですが乳首にしこりがあります。やっぱり男でも乳癌になるのですか?

男性の痕跡的乳腺が正常の度を越えて肥大する状態を「女性化乳房症」といい、肥満体に見られる脂肪沈着のみの見かけ上の乳房肥大とは区別されます。女性化乳房症は成因別に以下の4つに分類することができます。
1.生理的肥大(思春期肥大)
2.特発性肥大(老人性肥大)
3.内因性のもの(A.内分泌疾患を合併するもの、B.基礎疾患があるもの)
4.外因性のもの(薬物の副作用)
女性化乳房症の発生のピークは思春期と高年者層(50歳〜60歳)の2峰性になっていますが、君の場合は16歳ですから、思春期女性化乳房症で、生理的な肥大と考えらます。
思春期の男子のほとんどすべてが一度は乳腺肥大を経験しますが、大部分の人は自覚せずに過ごしてしまっています。一般的には6ヶ月〜1年で退縮しますが、2年以上たっても退縮傾向がない場合や、女性型の女性化乳房症で心理的負担がある場合は専門医に相談したほうがいいと思います。なお思春期男性乳癌についてはこれまでに報告例がないので、乳癌の心配はありません。(文責 須田)

 

No.7】99年8月29日 リンさん
Masectomy

私は31才既婚の女性です。
右乳房のしこりをアメリカで生検を受けた結果、「現在のところ癌ではないが、pre-cancerであるので放っておけば間違いなく癌となる。全摘してprastic surgery(同日)を受けるか、乳房を残して放射線治療を受けるかのどちらかの治療法を選択するように言われました。ベストな選択はどちらでしょうか。

この相談については、生検をした標本のプレパラートか、最低でも病理の報告書がないとコメントしようがありません。
一般論として、日本では”pre-cancer”と呼ばれる病変に対して、乳房切除を行うことはあまりないと思います。将来発ガンするリスクが高くても、定期的な経過観察を行うという施設が多いのではないでしょうか。(多分、日本とアメリカでは乳癌の発生率の差が大きくちがうからでしょう...)勿論、患者さんが予防的治療を希望すれば対応はしてくれると思いますが、その時に放射線治療というのは一つの選択肢だと思います。
何とか、病理報告書を手に入れて、専門の先生(できれば病理の先生がいる病院)のところで相談することをお勧めします。(文責 清水)

 

No.6】99年8月29日 YUKAさん
母のことです

私の母のことでご相談したいと思います。母は先日乳癌と診断され、レベル5で、とても大きいと言われました。医学辞典にはレベル5の癌は5年生存率が0%で、転移は無数にあると書いてあり、まだ手術前なのに怖くて毎日こっそりと泣いています。このデータは本当でしょうか。

乳癌の診断は一般的に@触診 A乳房撮影(マンモグラフィー) B超音波(エコー) C細胞診 、以上4つの検査を行い総合的に判断します。お母様が乳癌の診断時に“レベル5”といわれたのは、おそらく細胞診の結果が、“class X”だったものと思われます。細胞診の検査では次の5段階の判定を致します。
                class T  異常な細胞はない
                class U  異常細胞はあるが悪性の証拠はない
                class V  良性か悪性か分からないが、異型細胞を認める
                class W  悪性の疑い濃厚な異型細胞を認める
                class X  悪性と断定できる高度な異型細胞を認める
お母様の場合、細胞診の結果が classX であり、その他の3つの検査も含めて総合的に乳癌と診断されたと考えられます。
次に乳癌の進行の程度および予後についてご説明します。乳癌の進行程度は、乳癌の腫瘍径(T)、リンパ節の転移(N)、肝・肺・骨などへの遠隔転移(M)により判断し、臨床病期(Stage)をステージ 0、T、U、VA、VB、Wと分類しています。数が大きくなるほど病気が進むことになります。「1997年6月臨床腫瘍学マニュアル」によると、それぞれの生存率は以下のようになっています。

臨床病期 5年生存率(%) 10年生存率(%)
Stage 0 >90 90
StageT 80 65
StageU 60 45
StageVA 50 40
StageVB 35 20
StageW及び炎症性乳癌 10   5


臨床病期(乳癌の進行の程度)は、前述致しましたように、腫瘍径、リンパ節転移、および遠隔転移の有無により判断されますが、大切なことは希望をもって、前向きな姿勢で病気と戦うことだと思います。お母様の状態についてはもう一度主治医に伺ってみてはどうでしょうか。予後に関しても個人差がありますので、統計的な数字ばかり鵜呑みにするのではなく、家族の理解と支えをばねに、立ち向かうことが肝要です。主治医とも納得がいくまで相談し、今できる最良の選択をなさることをお勧めします。(文責   須田)

 

No.5】99年8月26日 A.K.さん
セカンドオピニオンについて

私は34歳専業主婦2児の母です。6月に右胸全摘出、リンパ節切除の手術をうけました。病理の結果
硬癌 大きさT3 t2 ホルモンレセプターERPGRともマイナス

癌細胞の存在 g+ f+ s- w- p-
ステージU tmn分類n1α
現在フルツロンとエンドキサンを服用しておりますが、補助化学療法として、CMFあるいはCAFを希望していますが、主治医からは、拒否されています。一般的には、私のような症例には、これらの化学療法が必要だとおもうのですが。主治医は、「いまそれを使うと再発の時は、お手上げですよ。」と言われました。
でセカンドオピニオンをうけ、主治医ともまた良く話し合いそれでも拒否あるいは、冷たくされたら、転院してでもこれらの補助療法を通院で受けたいと希望しています。私は、ただやみくもに強い治療を望んでいるのではなく、まだ幼い子供たちの為にももう病気(再発)になりたくないのです。後々後悔したくないのです。私の希望はおかしいでしょうか? またそれが可能なのか?を教えてください。
出来れば通院でこれらの治療を受けたいと望んでいます。術後2ヶ月たってしまっているので正直いってあせっています。早く納得のいく今出来る最善の治療を受けたいのです。よろしくお願いいたします。

1)私の個人的な意見では”閉経前、t2,n1α、ER(-),PR(-)の乳癌の補助療法”として、推薦する治療法はCMFCAF(CEF)です。(理由を説明すると長くなるので省略します)
2)フルツロンとエンドキサンの併用も、有効な補助療法の選択肢の一つだと思います。
3)乳癌の術後の補助療法を決めるのはとても難しいことです。例え、比較試験でCMFが他の治療より再発率が低かったとしても、同じ病期の患者さんで、CMFをやって再発する人もいれば、フルツロンとエンドキサンで再発しない人もいれば、補助療法なしでも再発しない人もいます。ひとりの患者さんにできる治療法は一つであり、どれがよいかは神様しかわからないのではないでしょうか。しかし、それを言っては始まらないので、いろいろ考えるわけです。そうすると、いろいろな治療法のいいところ、悪いところをよく吟味し、現時点で自分にとってbestだと考えられた治療法を選ぶしかないと思います。自分にとってbestの治療法は、万人にとってのbestの治療法と必ずしも一致するとは限らないと思います。
4)結論として言えることは、絶対に2nd opinionを受けるべきだと思います。自分で納得のいく治療を選んで再発したならば、また再発後も頑張って治療しようということになりますが、何となく、先生に言われたからといって治療を始めてしまうと、おっしゃるとおり後悔してしまうかも知れません。ここは少し時間がかかっても、2nd opinionを受けるべきだと思います。2nd opinionを受ける病院のオススメは、神奈川県内であれば、手前味噌になりますが、とりあえず、近くにこのHome Pageを運営している先生の病院があったら訪ねてみては如何でしょうか。(文責 清水)

 

No.4】99年8月23日 S.I.さん
放射線治療の副作用について

1月14日に左乳房上側の乳癌温存手術をし、2月15日から3月26日迄、29回放射線治療に通いました。(大きさ15mm×14mm、場所は左乳首から上方向へ2cm、左脇の下方向へ垂直から30度程の位置)
放射線治療開始後から左鎖骨から乳首にかけての中間点付近に強い痛みを感じています。その部分を手で触ると骨か筋の様です。また放射線終了後、他の部分は火傷の皮膚が剥がれ綺麗になってきましたが、その部分は火傷の皮膚がなかなか剥がれ落ちてきません。
診察、問診では「痛みを感じるのは聞いたことが無い。」、レントゲン撮影でも「今の所異常が無い。様子を見よう。」の答えが続いていますが、痛みが未だに続くので毎日大変不安に思っておりますので、どうか宜しくお願い致します。

乳腺の下部組織は大胸筋で、大胸筋の前面には肋間神経の外側皮枝および前皮枝が何本か分布しています。疼痛はこの肋間神経領域の痛みと考えられます。放射線治療は今回の直接の原因ではないようです。
乳房温存手術に伴う痛みの原因としては癒着、瘢痕、感染、血行障害、潰瘍などが考えられますが、現在の患側の乳房の状態から判断すると、血行障害、潰瘍および感染はないと思われます。従って「強い痛みを感じる部分を手で触れると骨か筋のようです」とのことなので癒着、瘢痕による疼痛と考えるのが妥当です。
この場合、鎮痛薬による疼痛のコントロールを主治医に相談することになります。また稀に末梢神経の手術的損傷により灼熱的疼痛(カウザルギー)もあります。これは術後の不定の日時を経て灼熱的疼痛が起こり、内外界の刺激で増悪します。冷却、加湿、安静により軽快致しますが、疼痛のコントロールは難しいようです。
いずれにしても乳癌の再発ではないと思われます。強い痛みが続く場合は主治医と相談のうえ、ペインクリニックで診察を受けることも選択肢のひとつです。(文責 須田)

 

No.3】99年8月20日 リカちゃん
すごく怖いです

27歳 既婚者 1児の母です。2年前に出産、母乳で、そだてました。4・5日前からわきの下が痛いような気がしていました。さわっても、なにもわかりません。ただ、リンパ腺(?)が、張ってるようなきがしていましたが・・・。そこで、「婦人科へ行って見たら?」ということで、受診してみました。すると、「しこりが、あるような感じだね。」とのこと・・・。「様子を見ましょう」といわれ、私は、もう恐くて仕方がなくて、「ガン・・・とかでしょうか?」と問うと、「いや、私は、少し、違う病気だと疑っています」といわれ、なんなのか教えてもらえませんでした。一応、血液検査をしましたが、「うーーん・・・・」とのこと。生理は、10日ほど遅れています。市販妊娠検査薬は、陰性です。心配になると、なんだかおなかがドキドキするようなきがしてくるし・・・。先程より、おりものに、血がはいっているようなものが、分泌しています。生理がはじまるのかなあ?といった感じですが・・・・。とにかく、怖くて仕方がありません。疑える病気とは、なんでしょうか?


この場合、腋窩(脇の下)にある@乳腺の突出 又はA副乳が考えられます。副乳とは、動物の乳腺のように左右の乳腺以外に乳腺が多数ある状態をいいます。いずれにしても腋窩(脇の下)に正常な乳腺組織がある状態と思われます。現在は生理前とのことですので、月経周期を考えると、月経前の分泌期にあたります。分泌期には血中の女性ホルモン(黄体ホルモン、卵胞ホルモン)が高値で、これらのホルモンが乳腺に刺激的に働き、その結果、張ったり、痛んだりという症状が現れることがあります。張ったり、痛んだりという症状の感じ方は人によって異なり、両側であったり、右であったり、また左の一部であったりと様々です。貴方の場合、腋窩にある乳腺組織が現在の月経前であるというホルモン環境によって、張ったり、痛んだりという症状が出ているのだと考えられます。従って月経が終了すれば血中の女性ホルモンが低下し、症状もおさまるということになります。月経終了後も症状がとれないようであれば、外科医の診察を受けることをお勧めします。乳がんの診断、治療に携わっているのは多くの場合、外科医です。(文責 須田)

 

No.2】99年6月26日 T・Mさん
治療法について

35歳の医師です。66歳の母なのですが、1年半前に温存切除を行い、リンパ節転移が1個ありました。先日頚部のリンパ節に1個転移が見つかり、勤務先の病院で放射線、化学療法中ですが試みるべき治療法、予後につきお教え願えれば幸いです。

治療法について:お母さまの病状がはっきり分からないので、ここでは一般論としてお話をさせていただきます。66才というと閉経後乳癌で、腋窩リンパ節が1個となるとn1α、後必要な情報はER(Estrogen Receptor)の有無はどうか、手術後の補助療法は何をやったか、そしてもう一つは再発が頚部(鎖骨上?)リンパ節だけでその他の臓器(肺、肝、骨等)にはないかどうかです。
通常ERが(+)であれば、できるだけ内分泌療法を行なっていくのが良いといわれています。内分泌療法としては、Nolvadex(通常は術後の補助療法として行なわれることが多い)、Toremifen(ほぼNolvadexと同じ薬ですが、Nolvadex使用中に再発した場合、高用量投与が有効な場合がある)、Afema(AromataseInhibitorの一種),? Hysron H(Progesteron製剤)などがあります。
ERが(-)であれば内分泌療法の効果は期待できないので、化学療法ということになります。化学療法の選択肢は多く(CMF,CAF,CEF,Taxol,Taxotere,Novantrone...)、はじめに副作用が強くとも強力に叩くのか、QOLを重視して副作用の少ない治療から始めるのかは、患者さんと主治医との相談によって決めることになると思います。どの治療法を選ぶにしても、主治医の先生とその治療法のmerit,demeritについて良く話しを聞いてから決めた方が良いと思います。
再発が頚部リンパ節だけであるならば放射線治療や外科手術も考慮されますが、一般にはそこだけ叩いてもダメなことが多いので、全身の治療を優先して考えた方が良いと思います。
予後について:この情報だけで予後を推測するのは難しいのですが、私は、再発乳癌の患者さんの再発後生存期間の中央値は約2年位と考えています。最近は再発後の治療手段が良くなっているのでもう少し延びているかもしれません。しかし、気になるデータは無病期間(手術から再発までの期間)が1年半と短いことです。無病期間は腫瘍の悪性度を表すといわれており、無病期間の短い乳癌の予後は不良といわれています。治療法を考える時に参考になればと思います。 (文責:清水 哲)

No.1】99年6月22日 S・Nさん
乳癌の術後の日光浴について

少しだけ医療関係に携わっている者ですが、乳癌の術後、日光浴はしてはいけないと聞きましたが、それはなぜなのか、もしご存知でしたらお教え下さい。


乳癌の手術の多くは(乳房切除術でも、乳房温存手術でも)腋窩リンパ節の郭清を行ないます。腋窩リンパ節郭清を行なうと、患側上肢のリンパ流の障害が起きやすくなります。患側上肢のリンパ流の障害が起きると、患側上肢にむくみが発生し、ちょっとした外傷、虫刺され、熱傷などが引き金となって、患側上肢の蜂窩織炎を引き起こすことがあります。そのために、多くの病院では乳癌手術の退院時に、患側上肢のけがや日焼けに注意するように指導しているようです。しかし実際は、蜂窩織炎まで起こす患者さんは一部の患者さんで、大部分の患者さんは、よほどひどい日焼け(水疱を作るような)でないかぎり通常の生活でかまわないと思います。したがって、私は日光浴もかまわないと思います。
私の意見は一般論であって、一人一人の患者さんの状況は全て異なっていますから、いずれにしても、主治医の先生によく相談するのが良いと思います。(文責:清水)