No.12111  HER2陽性の場合(2)

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2018.07.01 F.I (匿名) 0 Comments

お世話になります。詳細な御説明、ありがとうございます。概ね、抗がん剤が必要な気になってきましたが、できるなら投与は避けたいという気持ちもありまして・・・。あと1週間くらいで放射線が終わったら、主治医の診察で投薬の説明を受けるのですが、そこでやはり必要ないと言われたら、あえて投与を希望するとも言いたくはないけれど、それでもし再発したら…と、なかなか気持ちは固まりません。針生検の時点では、HER2の結果に時間がかかっており、ホルモン受容体が陽性という結果は出ていたので、主治医からは「多分、HER2は陰性だろうから、タモキシフェン5年」と言われていて、その説明には疑問はなかったのですが、もしかして私はHER2が陰性でも、そもそも抗がん剤が必要なタイプなのでしょうか? 私の解釈では、ホルモン受容体が陽性であれば、ホルモン治療薬。それにki67が高ければ、抗がん剤も追加。ホルモン受容体が陰性であれば、抗がん剤。それにHER2が陽性であれば、ハーセプチンも追加。抗がん剤は、ホルモン治療薬が効かない場合に使うイメージでした。トリプルポジティブの場合、ki67が低くても、HER2陽性ということが、Ki67が高いのと同等のリスクがあるから抗がん剤が必要で、かつ分子標的薬が効くタイプだから、ハーセプチンも上乗せというイメージなのでしょうか? それとも、ハーセプチンは抗がん剤と併用しないと効果が出ないから、抗がん剤を上乗せというイメージなのでしょうか?(ご説明いただいた内容で、リンパ節転移が陰性で腫瘍径が1センチ未満は、併用をしなくてもよいのか、ハーセプチンそのものをしなくてもよいのか、ちょっと読み取りきれなかったので) そもそも抗がん剤が効くタイプというのは、どういうものでしょうか? 何冊も本を読んでいるうちに、なんだかよく分からなくなってきてしまいました。文章がうまくまとめられず、長くなってしまいましたが、ご教示いただけますと幸いです。

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2018.07.01 清水 0 コメント

貴女の乳がんの病理所見から考えると、私も術後補助療法はハーセプチン+化学療法→内分泌療法をお勧めします。斎藤先生がお答えのように、それが標準的な治療と考えます。手術後にハーセプチンを単独で使ったり、内分泌療法と併用で使うという方法が有効であるという根拠がありません(心臓が悪いとか、たとえ生存率が下がってもどうしても脱毛が許容できないなどの場合の苦肉の策としては考えられますが)。命のことを考えたら、主治医の先生に化学療法併用のハーセプチン治療をお願いした方が良いと思います。 
”私のがんがHer2陰性であれば…”についてですが、Her2陰性、ホルモン受容体陽性、ki67低値であれば、化学療法は不要です。しかし、Her2陽性なので、抗Her2治療が必要ですが、術前術後の抗Her2治療とは、ハーセプチン+化学療法のことなのです。
次に、”私の解釈では… ”についてコメントします。概ねあっているのですが、順番を逆に考えた方がわかりやすいと思います。まず前提として、浸潤性乳管ガンの場合の話で、特殊型は別に考えます。
1)トリプルネガティブ(ER(ー)PR(ー)Her2(ー))であれば、全例化学療法が必須。
2)Her2 タイプ(ER(ー)PR(ー)Her2(+))であれば、抗Her2治療(ハーセプチン+化学療法)(ただしリンパ節転移陰性かつ腫瘤径10mm以下の場合は無治療)。
3)ルミナルHer2タイプ(ER(+)PR(+)Her2(+))(広義のルミナルB、いわゆるトリプルポジティブ)の場合は、抗Her2治療(ハーセプチン+化学療法)施行後、ホルモン療法。
4)ルミナルタイプ(ER(+)PR(+)Her2(ー))の場合、ER,PRが共に強陽性かつKi67が低値(ルミナルA)かつリンパ節転移が3個以下であればホルモン療法単独。それ以外のルミナルタイプ(ルミナルBもしくはリンパ節転移4個以上のルミナルA)では、化学療法の併用を考慮する。

最近の知見では、Oncotype Dxを行なった場合、RS scoreが高値(High Risk)の場合以外は化学療法は不要というDATAが出てきましたが、日本ではOncotype Dxという検査は保険承認されていないので、一般的ではありません。”トリプルポジティブ…”についてというより、Ki67に関する誤解です。Ki67はルミナルタイプ(ER(+)PR(+)Her2(-))で化学療法が必要かどうかを判断するときに用いる指標で、ルミナルHer2タイプ(いわゆるトリプルポジティブ)、Her2タイプ、トリプルネガティブの術後治療を考えるときは考慮しません。”そもそも抗がん剤が効くタイプ….”についてですが、それはわかりません。将来的には一人一人のガンにあった薬剤を選択する時代が来るかもしれませんが、その薬剤がそのガンに有効であるということを証明するためには、その治療を受けた方が10年20年元気であることを証明しなければいけないのですから、それが実現するには、まだまだ時間がかかります。現時点では、現在までに行われた数々の臨床試験の結果に基づいて作られたガイドラインを参考にして治療を考えることが肝要です。もちろんガイドライン通りに治療すれば良いというわけではありません。ガイドラインにある治療法によって得られる効果と、おきる副作用をよく勉強して、自分の人生の価値観と照らし合わせて治療法を決めることが必要です。(文責 清水)

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