No.131902 オンコタイプ上乗せ効果なしなのにティーエスワンをすすめられました

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2025.03.29 M.Y. 0 Comments

24年11月に左胸温存で手術をしました。54歳閉経しています。浸潤性乳管癌、 浸潤部分1.8cm×1.5cm×2.3cm、 リンパ節転移なし(一個切除)、 切断断片陰性、 リンパ管侵襲 無、 静脈侵襲 無、 波及度 乳腺・脂肪、 核、組織の異形度 グレード2、 ホルモン感受性 有、 ER90%、Pgr40%、 HER2蛋白1+、 Ki-67 20%、 術後ステージⅡ、 

オンコタイプ: RS18、9年遠隔再発率5%、上乗せ効果1%

術後のオンコタイプ検査で抗がん剤は必要なしとの説明で、放射線治療後アナストロゾールを開始しています。ホルモン剤を開始する際に、先生から、グレードが2で、どっちにもとれるので、抗がん剤をしますか?との説明があり、冊子を手渡されました。ホルモン剤で1ヶ月様子をみて、その後に開始するかどうかを決めておいてとのことでした。オンコタイプで抗がん剤の必要がないと思っていたので、抗がん剤が必要な状態なのかが理解ができません。グレードというのは、どういうものなのでしょうか。出来れば抗がん剤はつかいたくありません。

 

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2025.03.29 清水 0 コメント

なかなかうまい例えがみつからないのですが、こんな例えはどうでしょうか。皆さんは、新聞やTVの報道で犯罪者の顔を見た時に、なんとなく悪いことをしそうな顔をしているなと思うことはありませんか?今ここに数百人の犯罪者集団(がん組織)がいることにします。この集団の中には万引きやコソ泥といった軽犯罪者(グレード1の細胞)もいれば、強盗犯や殺人を犯した人のような凶悪犯(グレード3の細胞)もいますし、どちらにも分けられない犯罪者(グレード2の細胞)もいます。この犯罪者集団(がん組織)を専門家(病理医)が見て、この犯罪者集団は凶悪犯がたくさんいる集団(グレード3の細胞が多いがん組織)なのか、軽犯罪者がたくさんいる集団(グレード1の細胞が多いがん組織)なのか、中等度の凶悪性をもった集団(グレード2の細胞が多いがん組織)なのかを判断してもらいます。それが最終的なグレードです。当然三種類の細胞は入り混じっているので、あくまでもどの細胞が多いかです。かなり大雑把な分類だし、病理医の主観による分類だということがわかりますね。次に、個々の犯罪者に犯罪歴があるかどうか(Her2)、貧しい生活をしていたかどうか(ER,PR)をマークして、その数の多さを数えます。すると貧しい生活をしていた人には軽犯罪者多く、犯罪歴のある人の方が、凶悪犯が多いことがわかりました。こうして、ER,PgR,Her2というsubtypeを調べることで、グレードよりより客観的にタチの悪さがみえてきます。次に進む前に、新しい抗がん剤を開発するときの話です。新薬の開発には、その薬を使った群と使わなかった群を比較する臨床試験が行われます。臨床試験ではそれぞれの群に割り付けられた被験者の様々な情報が集められています。また、その薬が有効かどうか判断するために長年にわたって追跡調査を行い、再発の有無の情報も正確にわかっています。そこで考えたのが、この情報を用いて再発のリスク、化学療法を加えることのメリットを計算できないか?最初の例えに戻ると、犯罪者一人一人の出生時体重はいくつだったか、小学校の成績は?中学校の欠席日数は?学生時代に補導されたことはあるか?所属していた部活は?喫煙飲酒を始めたのは何歳?両親と早くに死別してないか、結婚しているか?就職しているか?趣味は?….など、一見何の関係もなさそうな情報(がん組織の中の遺伝子情報)も全て用いて、コンピューターで多変量解析を行いました。その結果21個の情報(遺伝子情報)を組み合わせることで、化学療法が有効だった人と、効果がなかった人を区別できました。またそのDATAを用いることで、その被験者と同じプロフィールを持っている人の再発率をある程度予測できるようになりました。ただし、臨床試験は限られた条件(ER,PR陽性かつHer2陰性でリンパ節転移がないか、あっても1〜3個)のもとに行なっていますから、その条件に当てはまる人しかこのDATAは使えません。これがオンコタイプ Dxです。グレード、サブタイプ、オンコタイプDxの関係がご理解いただけたでしょうか。3つは無関係ではありません。多くのグレード1は、オンコタイプDXのRSは低く、多くのグレード3はオンコタイプDXのスコアが高くなります。問題はグレード2です。グレード2については、オンコタイプDxのスコアが適切な情報を提供してくれると思います。貴女の場合はグレード2なので、オンコタイプDxを行なってRS=18という結果を得たのですから、その情報に従うのがbestな選択だと思います。上乗せ効果1%というところがミソで、1%でも再発率を下げようと考えれば化学療法を行う意味はありますし、1%は抗がん剤の副作用を考えると小さいと考えれば化学療法は断ります。ただしこの場合の化学療法は点滴による強い抗がん剤治療を行なった場合のDATAであり、内服の抗がん剤の効果は不明です。(文責 清水)

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