48歳女性です。浸潤性乳管癌で、1月中旬に左乳腺部分切除の手術を受けました（CA 20mm T1c pN1（mic）M0 Stage2A）。手術では、乳頭側への進展を疑い、マージンを乳頭側3センチ、頭側2センチ取り、乳頭側、内側、外側全て断端陰性。センチネルリンパ節を3個取り、そのうち1個に1.5mm程の転移があり、微小転移なので腋窩リンパ節郭清は省略しました。病理検査結果は2月中旬に出ます。閉経前か閉経後かわからず検査しています。以前の乳がん疑い時の組織診では、ホルモン感受性陽性、HER2陰性、ki67は39%、硬性型、核グレード3、組織グレード3という状態でした。先生は、「ホルモン剤が効くタイプだから、絶対抗がん剤をしなくてはいけないというタイプではない。ただ、リンパ節微小転移があったということと、年齢的に抗がん剤をするかは迷うレベルで、オンコタイプDXをやってみても良いかもしれないよ。」と言われました。しかし、オンコタイプも絶対ではないから、大丈夫となっても転移することもあるかもしれないと言われ、ネット情報も色々あり、何を信じたら良いのかわからなくなって来ました。閉経前リンパ節転移陽性なら、初めから抗がん剤推奨と見ました。
１）.閉経前か閉経後かで、オンコタイプDXを受けるメリットデメリットは違いがありますか？
２）手術後の病理検査が出ていないのでなんとも言えないかもしれませんが、私の乳がんの状態でオンコタイプDXをやるメリット、デメリットはありますか？ あと、保険が効いて13万円ぐらいですよね？
３）オンコタイプDXを受けて結果に従って良いのか、それとも、結果に関わらず微小転移があるので抗がん剤をやったほうが良いのか？
４）オンコタイプDXを受けずに、微小転移があるので、初めから抗がん剤をやったほうが良いのか？
質問が沢山ありますが、お答えいただけると幸いです。よろしくお願いします。
回答の前に、この質問を今はやりの生成AI （Copilot）にかけてみました。その答えは、“患者さんは情報過多により何を信じるべきか迷っており、明確な指針を求めています。”でした。
本題に戻ります。Luminal Bの場合の術後の補助療法として、化学療法を上乗せするかどうかの判断は難しいところです。ポイントは上乗せ効果がどのくらいあるかというメリットと、その効果を得るためのデメリットは何かを考え、それを天秤にかけて決めます。天秤の上には、その人の考えによる錘、例えば脱毛が嫌だからできれば化学療法はしたくないと考えていれば、デメリット側に錘がのりますし、副作用は耐えるから少しでも生存率の高い治療を選びたいという希望があれば、メリット側に大きな錘がのっています。そういう錘が無いとして、メリットが1%だったら化学療法を加えるかどうかは、貴女がこの１％の差をどう考えるかによっています。また、貴女に化学療法の効果があるかどうかは正直わかりません。過去のDATAに基づいて、貴女の乳がんと似た患者さんが化学療法を受けることで、どのくらい再発を防げたかということがわかるだけです。そのどのくらいかという数字は、主治医の先生の経験なのか、ネット上に出回る一部体験者の経験談なのか、世界的な臨床試験の結果など、様々な情報があります。やはり一番正確なのは臨床試験の結果です。しかし、Luminal Bの場合、状況が様々なので、臨床試験だけで一定の結果が得られず、主治医の先生がおっしゃっている、「ホルモン剤が効くタイプだから、絶対抗がん剤をしなくてはいけないというタイプではない。」ということになります。そこで登場したのがOncotype Dxです。世界的な臨床試験の被験者の乳がんの組織内に起きていた遺伝子異常を解析して、どのような遺伝子異常があった場合に化学療法の上乗せ効果が大きかったかを数字で示してくれます。ですから、貴女が化学療法の副作用には耐えるから、少しでも生存率を上げたいと考えているなら、Oncotype Dxをやらずに化学療法を受けるべきですし、脱毛などの副作用は絶対に嫌というなら化学療法はなしです。しかし、悩んでいて、化学療法の効果が大きいかどうかを見てから判断しようというのでれば、Oncotype Dxは高価ですが閉経前後を問わず、とても有用な検査です。Oncotype Dxの結果に従うのではなく、Oncotype Dxの結果（RS score）を見て貴女が化学療法を受けるかどうかを決めるのです。（文責 清水）
