No.13165 術後抗がん剤治療の後、一旦治療を中止することについて

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2025.01.20 K.S. 0 Comments

7年前、38才のときに乳房温存手術をうけました。病理結果は、「ステージ1、腫瘍の大きさ1.5×1.5、ホルモン陽性、ki67 30%、核グレード3、脈管浸潤2、リンパ節転移なし」でした。手術のあと、放射線30回、ホルモン治療としてゾラデックスとタモキシェン内服を2年しました。更年期症状が強く出て、日常生活に支障がでたため、ホルモン治療は中止して、年に一回の定期検診を受けていました。

昨年(治療しなくなって約4年半ほどたった頃)、同じ乳房内に再発しました。乳房全摘手術と腋窩リンパ節切除を受けました。病理結果は、「ステージ3、腫瘍の大きさ7.5×7.5、ホルモン陽性、ki67 30%、核グレード3、脈管浸潤なし、リンパ節転移あり」でした。手術のあと、抗がん剤治療として、EC療法4クール、パクリタキセル4クールを受けています。今後は、ホルモン治療と並行して、ベージニオを内服する治療を、どちらも2年と言われています。

手術から現在まで仕事を休職しており、生活のためにも、仕事に復帰して、生活のリズムを整えたいと思っています。抗がん剤治療では、副作用がでて、倦怠感や悪心から寝て過ごす日が多い毎日です。前回のホルモン治療では更年期症状が強くでたこともあり、抗がん剤が終わったら、生活のリズムが整うまで、一旦治療を中止したいと思うのですが、主治医には、その間に再発するリスクが高くなると言われます。どれほど高くなるのか尋ねると、そこは人によって違うとのことでした。半年ほど一旦治療を中止したいと思うのですが、半年で再発するものでしょうか。抗がん剤治療は、効果の観点からも手術から3ヶ月以内に開始することが推奨されているようですが、分子標的薬にもそのような推奨期間はあるのでしょうか。

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2025.01.20 須田 0 コメント

貴女の今回の治療の考え方は、『一般に、遠隔転移再発でなく局所再発の場合は、再発巣を手術で切除した後、必要に応じて放射線療法や薬物療法を行い、更なる再発を予防し、治癒を目指して治療をします。』ということです。癌細胞は正常細胞と違い、際限なく増殖し続けますが、増殖し続けるには特有の因子が必要であり、この特有の因子を狙い撃ちし、癌の際限ない増殖を抑える薬が分子標的薬です。

ベージニオは転移再発乳癌に対しホルモン療法と併せて使う分子標的治療薬で、特有の因子(CDK4・CDK6)を阻害します。ホルモン受容体陽性・HER2陰性の転移再発乳癌に対し、ホルモン療法薬と併用することで効果が得られることになっています。副作用としては、下痢の頻度が高いと言われています。その他、間質性肺炎・肝障害・静脈血栓症・骨髄抑制などがあります。またグレープフルーツの飲食で副作用が出やすくなるので避けることが必要です。ただし副作用の出現は患者さんによって、それぞれ異なります。

一旦治療を中止した場合の再発についてですが、局所再発していない人に比較して、局所再発をしている人は再発のリスクは高いと思われます。従って、今回の治療の考え方である「更なる再発を予防し、治癒を目指す」ためにも、少なくともホルモン療法は一旦中止せず続けた方がよいと考えます。ベージニオをいつから併用するかについては、効果や注意すべき点について主治医から説明を受け、この薬による治療説明に同意された場合に使用が開始されます。投薬期間は24カ月までで、副作用が出れば、休薬・減量・中止することがありますが、併用治療完遂症例では、遠隔再発率を3割以上下げる効果があるとの報告があります。主治医とコスト面も含めてご相談し、納得のいく治療を選択してください。(文責 須田)

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