11月下旬に右胸全摘、腋窩リンパ節郭清をしました。その後の病理検査結果です。53才、閉経後、浸潤径3mm、ホルモン受容体ER(+80%) PgR(+60%)、HER2陰性 Ki-67(1%)、リンパ節転移(3/15)←レベル1に2個。今後の術後治療として、dd-AC×4→ドタキセル×4の説明をされ、一度持ち帰って次回返事です。リンパ節転移があったため抗がん剤治療を受け入れていますが、dd治療が2週間隔、点滴2日後に皮下注射を打ちに行くことに不安がいっぱいです。私の病理結果では、dd-ACが標準でしょうか? 他の三週間1クールのACやTCは候補にあがりませんか? よろしくお願いします。
化学療法を行うHER2陰性乳がんに対する各レジメンの再発リスク抑制効果の大小及び有害事象の多少を比較したものが、乳癌診療ガイドライン(2022年)に掲載されています。各レジメンについて、(A)AC/EC×4サイクル (B)TC×4 (C)TC×6 (D)AC/EC→タキサン (E)dd-AC/EC→タキサンとすると、再発リスクの抑制効果は、A<B<C≒D<Eの順に大きくなっています。また、有害事象については、A≒B<C<D<Eの順に多くなっています。
1)リンパ節転移などの再発のリスクが高い場合には、(D)AC/EC→タキサンの順次投与を強く推奨します。
2)リンパ節転移やホルモン受容体陰性など、より再発が高い場合に(E)dd-AC/EC→タキサン順次投与を強く推奨します。
3)(B)TC×4(C)TC×6等のTC療法を行うことを弱く推奨します。
・(B)TC×4サイクルは、(A)AC/EC×4サイクルと比較してリスク抑制効果は大きく、有害事象は同等と考えられます。
・(C)TC×6サイクルは、(D)AC/EC→タキサンの順次投与と比較してリスク抑制効果は明らかに劣るものではなく、有害事象は少ないと考えられ、より有害事象を避けたい場合に奨められます。
貴女の場合、転移リンパ節が3個あり、レベルⅠ以外にも1個転移があるので、dd-化学療法を主治医から提案されたのだろうと推察されます。再発リスク抑制効果と有害事象を考慮して充分に主治医の説明を受け、納得のいく治療方法を選択してください。(文責 須田)