No.13118 葉状腫瘍

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2024.08.31 K 0 Comments

昨年11月に気づいたしこりの針生検の結果は、以下の通りとなります。

11月の針生検の結果:

組織学的には、fibroepithelial tumor (FT) を認めます。当該腫瘍は問質成分が乳管成分に比べ優位であり、間質細胞の細胞密度は高い領域が主体です。 問質細胞は中等度の腫大核を有しますが、核分裂像は目立ちません。乳管成分は 拡張・伸長傾向にありますが、2細胞構造を呈し、異型は見られません。
葉状構造は見られませんが、既述所見からは葉状腫瘍であることが示唆されます。
今回の標本内にはborderline以上を支持する所見は乏しく、良性腫瘍と考えます。

当時1.0×0.7㎝でしたが、8月の検診で1.4×0.8㎝となり、3割大きくなったと言われました。かかりつけの先生は、「①もう一回針生検する必要はない、するなら手術で切除したほうがよいでしょう。 ②良性である以上、悪性になることはないし、最新の医学では良性なら切らなくてよい、大きくなって邪魔だと思うようになれば切ればよい。」と仰っていました。とても不安なので、質問させていただきます。

1)このように大きくなったスピードとは速いでしょうか?

2)ほかの質問からは、良性であれば2㎝ぐらいまでは様子見してよいという回答もあります。しかし、実際に針生検だけで、切除して組織検査してみないと、良性か、境界悪性あるいは悪性かも確定できないものですね。また、大きくなるとマージンをつけて取るのも難しくなると書いているので、また葉状腫瘍は切除してもしなくても再発することも多いですね。どのようなタイミングで手術して切除したほうがよろしいかとお考えになるのでしょうか?

 

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2024.09.01 清水 0 コメント

葉状腫瘍とは、乳管上皮と間質細胞が増生する腫瘍で、線維腺腫に似ています。線維腺腫と違うのは間質成分の増殖が強いところで、その結果として増殖速度が速くなり、患者さん自身も、しこりが大きくなるのが分かって受診することが多いです。まれに間質成分の悪性化(肉腫)が見られると、悪性葉状腫瘍と診断されます。基本は良性なので摘出手術です。ただし再発しやすいという特徴があります。それなのでマージンをつけて大きく切除するという考えもありますが、基本は良性なので摘出で良いと思います。

1)9ヶ月で30%増大なら、葉状腫瘍としては比較的遅い方です、私が経験した悪性葉状腫瘍は3ヶ月で倍になり、切除しても3ヶ月で次が出てきました。

2)手術のタイミングは、葉状腫瘍と診断されたら直ちに切除します。放置して小さくなることはなく、ひたすら大きく育つのが葉状腫瘍の特徴ですから、できるだけ小さいうちに切除した方が傷も小さくて済むので良いと思います。うっかりしていると、入院して全身麻酔でないと切除できない大きさにまで育ってしまいます。ただし、病理の先生が葉状腫瘍かせん維腺腫か悩んで、fibroepithelial tumor(葉状腫瘍かどうか鑑別不能)と診断される場合があります。その場合の手術のタイミングの判断は難しいです。臨床的に大きくなるスピードで葉状腫瘍かどうか判断して、増大傾向が見られた時点で手術に踏み切るのが良いと思います。貴方の場合は葉状腫瘍と診断がついているのですから、将来の再発を心配するより、このまま放置すると現在のしこりが際限なく大きくなりますから、まずは早く手術することをお勧めします。(文責 清水)

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