No.13100  PgR低発現に対して(HPNo.13097)

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2024.07.23 匿名 0 Comments

No.13097で質問させて頂いた者です。まずはとてもわかりやすく丁寧なご回答に深くお礼申し上げます。ありがとうございます。情報が少なかった為、追記させて頂きます。現在54歳(46歳時に閉経)。2024年6月初旬に左乳房全切除手術。

【針生検病理結果】

浸潤性乳癌 組織学的グレード II

(腺管形成3点、核異型2点、核分裂像1点(<1個/10HPF・視野数22)

ER:(PS)5+(IS)3=8、PgR:(PS)1+(IS)2=3、HER2 score 1、Ki-67 index: 8%(hotspot)

【術後病理結果】

組織学的には類円形腫大核と好酸性の細胞質をもつ腫瘍細胞が小腺管や索状構造をつくって増殖している。癒合腺管もみられる。腫瘍細胞の周囲は線維化している。拡張した乳管内で充実性に増殖する乳管内成分もみられる。浸潤性乳管(腺管形成型>便性型)の所見である。癌は脂肪組織に浸潤している。脈管侵なし。浸潤径は本上で4x2mm。乳管内成分も含めた病変の全体は8x4mm。断端は陰性。

手術療法:乳房全切除、 腫瘍占拠部位:左C領域、 組織分類:浸潤性乳管癌(腺管形成型)、 腫瘍径(浸潤療):4x2mm、 腫瘍径(乳管内進展巣含む):8x4mm、 病理学的T因子 : pT1a、 断片の評価 : 浸潤成分 : 陰性/、    乳管内成分:陰性、 脈管:LY(O)、V(0)、 組織学的波及度:f、 組織学的グレードI (腺管形成1点、核異型2点、核分裂1点(1個/10HPF・視野数22)、 ER:(PS)5+(IS)3=8、PgR:(PS)2+(IS)2=4、HER2 score 1、Ki-67 index: 10%、 病理学的N因子:pNO[センチネル:0/3<F24-000050>] 、UICC(8H%): pT1aNO, pStage IA

【オンコタイプDX】 結果待ち中

 

質問1)ルミナルAと思っていましたがルミナルBでしょうか?

質問2)

〔術前〕PgR:(PS)1+(IS)2=3、〔術後〕PgR:(PS)2+(IS)2=4、共に10%以下のPgR低発現で懸念しております。

②-A : ホルモン療法は10年以上続ける方が良いでしょうか?

②-B : オンコタイプDXで中or高リスクなら化学療法を受けるつもりですが、低リスクでも中よりなら受けておく方がよいでしょうか?

②-C : 化学療法を受ける場合、術後何日以内に治療を開始するのが望ましいのでしょうか?(仕事のスケジュール調整を考えておこうと思います)

②-D : PgR低発現の対処として

ホルモン療法やオンコタイプDX結果に基づく化学療法の有無の他に、何かオススメの治療(例えば免疫療法など)やアドバイスがあれば教えて頂けますでしょうか。幸い医療保険にも加入しており、経済的な心配はなく、標準治療・先進医療・自由診療等は問いません。家族の事を思うと後悔のないよう出来る事はやっておきたいと考えています。勿論、自分の為にも。宜しくお願い申し上げます。

※PS: 「大豆製品は乳がん経験者(特にルミナルAやB)は食べたいけど食べちゃいけないの⁈ 」 の疑問で、結構悩んでるお仲間も多かったです。今後は美味しく頂きたいと思います。ありがとうございました。

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2024.07.23 清水 0 コメント

質問1)Luminal AはER,PgRが共に強発現(通常50%以上)、Her2陰性かつKi67が20%未満の場合で、いずれかの条件を満たさない場合はLuminal Bになります。ですから貴女の場合は、ki67=10%ですが、PgRが低発現(50%以下)なのでLuminal Bだと思います。

質問2A)ホルモン療法は10年まで内服した場合の臨床試験があり、その有効性、副作用の確認ができていますが、10年以上内服した場合どうなるかを調べた試験はありません。したがってガイドラインも長期内服は10年までとなっています。10年以降内服するかどうかは、冷たい言い方ですが、自己責任で決めてくださいということになります。ここから先は私の私見でevidenceのない意見ですが、ホルモン療法の歴史を振り返ると、最初は術後2年内服->3年内服ー>5年内服と臨床試験で長く内服することが再発率を下げることがわかってきて、10年内服も5年に比べて10年以降の再発を下げることが証明されました。しかし、10年以降の転移再発ほ元々少ないので、それをさらに少なくする意味はどれほどあるのかという議論もあり、5年以上内服するかどうかはそのmeritと、長期服用に伴う経済的、時間的損失というdemeritを比較して、患者さんとよく相談して決めなさいということになっています。また副作用については5年まで証明された副作用以外に新しい副作用は出ていません。こう考えると、10年以上内服するという選択肢もあるのかなと個人的には思いますが、積極的にお勧めする話ではありません。

質問 2B)閉経後の方のOncotype DxのRS Scoreが中間リスクの場合、内分泌療法単独と内分泌療法+化学療法の比較で再発率に差はありませんでした。ですから、化学療法は推奨されません。しかし、これは臨床試験の結果(過去に貴女と同じ状況の人をたくさん集めて比較した結果)であって、貴女に化学療法が無効だと言っているのではありません。自分の意志で化学療法を上乗せすることを止めるものではありません。標準的には化学療法の上乗せは再発率を下げないというので、ガイドライン的には化学療法は推奨されませんが、中には将来後悔したくないからできる治療は全てしたいと考える方もいらっしゃるのも事実です。

質問 2C)術後の治療開始時期については3ヶ月以上開けると再発率に影響が出るという学会発表を見た記憶があります。正確なところは分かりません。

質問 2D)標準治療としてはホルモン療法を行う以外におすすめの治療はありません。先進医療、自由診療の世界にはevidenceのない治療がたくさんあります。それらは有効性、安全性を臨床試験で確認していないので、効くかどうか分かりません。言い換えれば効かないと言い切ることもできません。なので、冷たい言い方ですが、懐と相談しながら自己責任でということになります。evidence levelは高くないのですが、漢方(十全大補湯、補中益気湯etc)を勧める先生もいらっしゃいます。(文責 清水)

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