術後の結果がでまして、浸潤径=広がり1センチ、脈官侵襲なし、両グレード共に1、ki67 一桁 でした。数年前に子宮内膜症で片側の卵巣と筋腫を摘出しており、ホルモン療法の開始に不安があります。主治医は、「ホルモン療法を無理にしなくても再発率は低い。やるかやらないかはお任せします。」と言ってくださいました。また、老化が進み、鬱っぽくなってしまった方のブログ等読むと、ますます怖くなってきてしまいました。勿論命が最優先だとは分かっております。アドバイスを頂けたら嬉しいです。
浸潤径10mm(T1b)、脈管侵襲無し、グレード1、Ki67一桁で、術後治療はホルモン療法と言われたなら、StageⅠのルミナールAタイプでT1bですね。こんなに再発率の低い乳癌の方はそうざらには居ません。多分あなたの10年生存率は95%位だと思いますが、残念ながらどんな乳癌でも100%にはなりません。ホルモン療法を行う理由の一つはその率を上げることですが、1~2%しか上げないと思います。だから主治医の先生は「しなくても良い」と言われたと思います。しかしホルモン療法のもう一つの効果は、残存乳房や対側乳房からの新規乳癌の予防効果です。この効果を狙って、非浸潤癌の患者さんの中には術後のホルモン治療をされる方が居ます。このことも一応は考えに入れておくと良いでしょう。
ホルモン療法には2種有り、アロマターゼ阻害薬(AI剤)と抗エストロゲン薬(SERM)がありますが、副作用はそれ程強くありません。子宮内膜症で子宮を摘出していないなら、SERMでの子宮内膜肥厚が心配される副作用ですが、服用中は年に2回程度婦人科での経過観察をしてもらえば良いと思われます。AI剤は閉経後の方のみ使用しますが、僅かに残るエストロゲンを枯渇させるため、更年期障害のような症状が出る方がいますが、老化や鬱はほとんど居ません。「命が最優先」というような選択では無いと思いますので、「ホルモン療法を始めてみて副作用が出たら止める」のでも良いと思います。(文責 久保内)