母親(64歳)がホルモン感受性なしのHER2陽性乳がんとなり、手術を受けました。手術後の治療方針について悩んでいます。主治医の先生から提案されたものは、ハーセプチンのみ1年間投与するというものでしたが、調べたところ化学療法と併用する治療法が一般的なように感じ、主治医に相談したところ、希望すれば化学療法と組み合わせることも可能とのことでした。ハーセプチンのみの投与で問題ないものでしょうか? セカンドオピニオンでは抗がん剤併用をすすめられました。病理検査の結果を記載します。
全体:15×15×15mm
右C、Tm
Invasive ductal carcinoma,scirrhous type
浸潤径=浸潤径+入管内進展巣:11×6mm,pT1c
リンパ節転移なし
断端までの距離:断端露出
脈管侵襲:Ly0,V0
組織学的波及度:f
組織学的グレード:II
核グレード:1
ER:陰性
PgR:陰性
MIB-1 index:15%
腺管形成スコア3
核異形度スコア1
HER2陽性例に対するハーセプチン治療は、化学療法剤のタキサンと併用することによりその効果を発揮するものです。ハーセプチン単剤とかパージェタ等の抗HER2薬との併用といった、単独治療での奏効例は僅かに知られていますが有効率が低く、基本的には少なくともタキサンとの併用が望ましいと考えます。タキサンの中でもパクリタキセルの毎週投与は副作用が少ないと考えますが、それでも高齢者ではなかなか上手くいかず、12週連投から→3投1休→2投1休→隔週投与に緩めて行ったことがありますが、90歳代の超高齢者でも投与可能でした。お母様は64歳ですので12週連投や3投1休で十分耐えられると考えます。副作用として脱毛があり、手足の痺れが出ることがありますが、問題なく乗り切れると考えます。是非タキサン併用でのハーセプチン投与をお勧めします。(文責 久保内)