No.12923 乳がん全摘時の鎖骨下リンパ節レベル3郭清について

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2023.03.06 S.U. 0 Comments

68歳女性、姉のことで相談です。よろしくお願いいたします。左炎症性乳がん ステージ3Cです。ホルモン陽性、HER2陰性、ルミナールB、ki 67は30%以上との診断です。糖尿病、高血圧、バセドウ病があります。術前抗がん剤を1月に終え、乳房全摘と腋窩リンパ節郭清の予定です。術後は放射線治療の予定です。腋窩リンパ節転移、他臓器に転移なし、鎖骨下に怪しい影あり、乳房皮膚に均等な肥厚があります。MRI  CT  PET超音波検査をしていますが、鎖骨のリンパ節部分は、癌かはわからない(わからないが、癌だった場合、取り残すことになるので取らない選択肢はない)そうです。鎖骨下リンパ節郭清レベル3までする、との説明でした。レベル3まですると、リンパ浮腫や、術後長期の痛みの可能性が大変高く、痛みが出た場合、対処療法も難しいそうで、決心がつかずにいます。

複数画像検査や、乳がんの状態から、皮膚部分や鎖骨リンパ節部分が癌かどうかわからないものなのでしょうか。疑わしい場合でも、レベル3までの郭清をするのは一般的でしょうか。レベル2までの郭清では、癌を残すことになり、その癌が育つ可能性があるのでしょうか。リスクが大きいでしょうか。手術を急いだ方がいいという医師の意向や、自身も急いだ方がいいと思っていますが、納得して頑張りたいです。「郭清して、リンパ浮腫や、この先痛みとともに生きることになるのでは。郭清せず、結果残した後、癌が育ってしまうのでは。」と、どうしたら良いか決められずにいます。ご意見をお伺いしたく、よろしくお願いいたします。

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2023.03.07 久保内 0 コメント

ご質問は、レベルⅢまでのリンパ節郭清の功罪いうことだと思います。

まず術後のリンパ浮腫の発生割合ですが、レベルⅠまでとレベルⅡ以上では差があり、レベルⅡ以上では比率が高くなると思いますが、レベルⅡとレベルⅢでは差が無いと思います。以前はハルステッドの手術が全盛時代で、レベルⅢ郭清は全例に施行していましたが、リンパ浮腫の発生頻度は25~30%位でした。温存手術が発展し、腋窩もセンチネルリンパ節で済ますことが大半になってきたので、最近の若い先生はレベルⅡやレベルⅢのリンパ節郭清をしたことが無い先生が多いというのも事実です。細かなことが判らないので、この例でレベルⅢ郭清まですべきかどうかは判断できませんが、熟練した乳腺外科医なら上記のような頻度での浮腫発生率で済むと思いますし、レベルⅢまで郭清したからと言って術後の疼痛が著しくなることは皆無だと思います。腋窩郭清で痛みが発症するとすれば、肋間上腕神経の損傷でしょうから、レベルⅠの郭清でも起こると思います。合併症がどの程度に起こりうるかという点については、執刀医に十分に伺ってみるべきだと考えます。(文責 久保内)

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