33歳で乳がんになり、ステージ2b、リンパ節転移2個です。すべての治療を終え、10年のリュープリン+タモシキフェンを昨年5月に終了し、現在にいたります。その間、生理が不順ではありますが5回ほどきました。2ヶ月に一度だったり、3ヶ月に一度だったり。現在46歳です。このまま閉経したとしても問題はないのでしょうか? 仮に婦人科受診したとして、早めの閉経は骨粗鬆症になりやすいとも聞きます。ホルモン受容体乳がんに生理を起こすホルモン剤を使っても、再発だったり、問題はないのでしょうか? 宜しくお願い致します。
①ホルモン受容体陽性乳癌では、エストロゲンが乳癌細胞の中にあるエストロゲン受容体と結びつき、癌細胞が増殖します。エストロゲンはホルモン受容体陽性乳癌の増殖因子です。
②リュープリンは卵巣を刺激する脳下垂体の働きを抑えることで卵巣にて産生されるエストロゲン減らし、乳癌細胞の増殖を抑制します。
③タモキシフェンは、エストロゲンが乳癌細胞のホルモン受容体と結合するのを阻害することにより、乳癌細胞の増殖を抑制します。
④月経(生理)について
月経が終ると、卵巣からのエストロゲンの作用によって子宮内膜は厚くなり、排卵が起こると、次は卵巣からプロゲステロンの分泌が増加して子宮内膜を着床に適した状態に成熟させます。着床がない場合は、卵巣からのエストロゲンとプロゲステロンの分泌が急激に低下して、不要になった子宮内膜が剥がれ落ちて月経が起こります。月経周期は脳下垂体ホルモンや卵巣から出るエストロゲンとプロゲステロンの分泌のバランスによって調節されています。
⑤骨粗しょう症について
女性の場合、閉経により、骨の分解を抑制する作用のあるエストロゲンの卵巣からの分泌が急速に低下し、その結果、骨の形成が骨の分解吸収に追い着かなくなり、骨粗鬆症になります。治療薬として、ビスフォスフォネート・ラロキシフェン・カルシトニン・カルシュウム剤などがあります。吸収される骨量を少なくしたり、新しく作られる骨量を増やしたりします。
貴女の場合、①であるので、②・③の手術後の初期治療としてホルモン療法を10年間行いました。これにより再発や転移を半分程度に減らすことができたことになります。②を終了したので、下垂体のホルモンが回復し、不規則ながらの④状態になったと思われます。⑤を心配して、「生理を起こすホルモン剤」を使うという事は、乳がんの増殖因子ですので、再発のリスクを高めます。⑤になった場合は治療薬を使うことになります。(文責 須田)