こんにちは。こうして質問を受け付けてくださり、本当にありがとうございます。
現在38歳で、31歳の時、2016年に病期:T1 N1 M0 ステージ:ⅡAの右胸皮下乳腺全摘以来、6年3か月で局所再発しました。 1個のしこりに気がつき、精密検査を進めていくうちに、MRIにてもう1個(5mm)しこりがあることが判明しました。もう1個の方は、これからエコーして生検する予定です。1個目の組織型は以前と同じでした。(ルミナールA)
再発時生検結果(1個目)
エストロゲン受容体:陽性(95%)、 プロゲステロン受容体:-( ノルバデックスの影響?)、 HER2:+1、 グレード:1、 Ki67:10%、 大きさ:2.4mm、全身検査(petct):今のところ明らかな再発所見はない
主治医は、「リュープリン再開&薬を変えて(AI)様子を見るとしても、腫瘍が小さいので変化が感じづらいと思うし、早くとってしまった方が気持ち的にも良いのでは?」と言っています。ただ、今後検査する2個目も同じものだとしたら、取り方や、他部位への再発しやすさもあり、いたちごっこのようになってしまうので、手術は悩むと言っています。
一方、同じ病院の違う医師は、ノルバデックスが効いていないとみなし、リュープリンとAIに変更して、まず3か月試し、腫瘍の変化を見たうえで手術をするかしないか決める方針とのことです。薬の効き目がわからないのも不安ですし、どちらもメリット、デメリットがあり、悩んでおります。
1)リュープリンを5年打ち終わり1年半たちますが、まだ生理がありません。年齢的に閉経前ですが、AIを使用しても良いでしょうか?
2)手術→放射線→薬変更か、薬変更して様子見→手術→放射線、どちらが良いのでしょうか?あるいは他にすすめられる治療プランはありますでしょうか?
3)局所再発は再再発や転移が起こりやすいとの情報もありますが、抗がん剤は必要でしょうか?
4)前回の手術痕の近くにニキビのようなものが2個ほどあるのですが、手術の際に一緒にとって病理に出すか、手術前に別に調べてもらうか、どちらが良いでしょうか。
5)局所再発で2個というのは、1個なのと大きく違いがあるのでしょうか。
お忙しい中大変恐縮ですが、ご教授いただけますと幸いです。よろしくお願い致します。
お尋ねします。ノルバデックスはリュープリンと一緒に5年で内服を終了したのですか?それとも延長して内服していたのですか?
1)生理がなくとも卵巣からホルモンが出ていることがあります。その場合、AIを使うと生理が再開してしまい逆効果です。ですから血液検査で閉経状況を確認する必要があります。まだ完全に閉経していない状態でAIを使う場合は、リュープリンの併用が必要です。(ただし、県によってはAI+リュープリンが保健適応でみとめられない場合があります)
2)一長一短です。外科的な発想では、病巣が取り切れる可能性があると考えて、切除できるものは切除して、放射線をかけて、そのあとで薬物療法をと考えます。とりあえず見えている病巣がなくなる安心感はありますが、その後の薬が効いているかどうかはわからないという欠点があります。内科的な発想では、次に使う薬が有効かどうかが大事なので、まず薬物療法を行い、効果があればそれを継続し、効果がなければ薬を変えるという判断をします。効果がないと判断された状況で、他の臓器に転移がなければ、摘出するとことを考えます。この方法だと、ずーっと病巣をもったまま治療するので精神的に不安だという欠点がありますが、長い目で見れば、この方が理にかなっています。
3)局所再発の中には、手術した部位で前回手術時に残存していた細胞が増殖してきたと考えられる局所再発と、全身に散らばった細胞の一部が局所に出てきた再発で、全身転移の一部としての局所再発と考えられる場合があります。前者であれば、外科的切除や放射線治療が有効で、実際に局所再発→切除→放射線治療で良くなっている方もたくさんいます。後者の場合は、切除しても、間も無く他の臓器の転移が出現してくるので、全身療法(抗がん剤も含めて)が必要になります。しかし、局所再発が出た時点ではどちらかはわかりません。PET-CTで他に異常がないとなると前者の可能性が考えられ、外科治療を優先するという考え方もありますが、まず薬物療法から初めて、半年、一年経っても、どこにも新たな転移が現れず、局所病変が残存していた場合は、切除→放射線治療をするというのも一つの考え方です。貴女のがんのsubtypeからは現時点では抗がん剤(化学療法)は選択肢には入らないと思います。
4)切除を選択するのであれば、疑わしい病変は一緒に切除した方が良いと思います。
5)一個も二個も大きな違いはないと思います。(文責 清水)