No.12811 10年以上のホルモン治療

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2022.05.14 ひまわり 0 Comments

よろしくお願い致します。現在51歳です。2011年7月に右乳がん全摘手術をし、抗がん剤治療、断端陽性だった為、放射線治療をし、10年間タモキシフェンを飲み、5月で終了します。再発はしておりません。今回、整形外科にて骨粗鬆症の治療として、ラロキシフェンを飲む事を提案されました。そこで質問なのですが、
1)10年間タモキシフェンを飲んだ後、ラロキシフェンを飲んでも、副作用等、問題ないでしょうか。
2)ラロキシフェンは乳がん再発にも効果があるでしょうか。
やっと10年経った所で、ラロキシフェンを飲むのは抵抗があったのですが、乳がんにも効果があるのであれば、飲んでみようかなと、悩んでおります。お忙しい所恐れ入りますが、ご助言頂けると助かります。よろしくお願い致します。

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2022.05.14 須田 0 コメント

1)タモキシフェンもラロキシフェンも、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)です。SERMは、臓器や組織によってエストロゲン作用をしたり抗エストロゲン作用をしたりする化合物の総称です。従って、タモキシフェンとラロキシフェンは作用、副作用が似ています。骨のエストロゲン受容体に結合すると、女性ホルモンと同様の作用(エストロゲン作用)で骨を溶かす破骨細胞の寿命を縮め、その働きを抑制することにより骨塩量を増加させます。乳腺や子宮のエストロゲン受容体と結合すると、反対の作用(抗エストロゲン作用)を示します。効果として、乳腺では乳がん発症の予防効果が期待できます。副作用として、子宮では子宮内膜癌の発生があります。また血栓塞栓症、乳腺の張り、膣の分泌物、ほてり、体重増加などが報告されています。米国のトライアルで、閉経後の乳がんリスクの高い女性を対象にタモキシフェンとラロキシフェンの予防投与での比較によると、ともに乳がん発生の抑制効果は確実であり、その効果は同等で、副作用では子宮内膜癌や血栓塞栓症の発生はタモキシフェンよりラロキシフェンが有意に少ないと報告されています。

2)上記のようにラロキシフェンは乳がんの化学予防薬としての報告はあります(乳がん診療ガイドラインでは、この件に関しては、日本女性では現在結論付けられないとなっています)が、乳癌の再発防止に効果があるという報告は見あたらないようです。整形外科での提案について、乳腺外科の主治医にも相談して治療を進めてください。(文責 須田)

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