30代後半、ステージ2b、ルミナルB
術後病理・・・ ER: + 80%、PgR: + 70%、Ki67: 10%(診断時は70%以上)、化学療法効果判定grade1a、リンパ節転移4個以上
術前化学療法、全摘、放射線療法を行い、2020年6月よりノルバデックス内服継続中。ノルバデックス内服開始後より更年期障害の症状が出現し、継続中。7月にリュープリン1ヶ月製剤投与後にうつ症状が2週間ほど出たため、リュープリンは一旦中止し、ノルバデックス内服のみ継続。術前化学療法中から生理が止まっていましたが、先日、生理らしきものがあり、生理時の体調の変化もありました。次回受診時の血液検査で、生理かどうかがわかるものと思いますが、生理が戻ってきている場合、再発リスクを抑制するためには、リュープリンを再開すべきでしょうか。できる治療は最大限受けたいと考えていますが、副作用が仕事に支障をきたすことも避けたく、悩んでおります。以下についてお教えいただきたく、お願いいたします。
1)1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月製剤を比較した際に、用量依存的に副作用が増強または長期間持続することはあるのでしょうか。例えば、前回、1ヶ月製剤でうつ症状が2週間出ましたが、6ヶ月製剤では、症状が1、2ヶ月出るというようなケースはありますか。
2)リュープリンとゾラデックスで、うつ症状が出にくいのはどちらでしょうか。添付文書では、それぞれリュープリン0.1-5%未満、ゾラデックス0.1%未満と記載がありますが、臨床での印象をお聞かせください。
3)副作用のうつ症状に対し、うつの薬は効果があるのでしょうか。処方経験はありますか。
リュープリンは徐放製剤であるので、皮下注射した後は、常時血中にリュープロレリン酢酸塩を放出して、効果的に卵巣の反応性を低下させます。1ヵ月製剤で副作用がでなければ、3ヵ月製剤、6ヵ月製剤への変更を考える事になりますが、一般に、使用していた薬剤により「重篤な副作用」の場合は、その薬剤は中止することになります。
副作用の「うつ状態」については、リュープリンでは「重篤な副作用」の項目で取り扱っており、ゾラテックスでは「その他の副作用」となっています。ゾラテックスで再度トライという考え方があるかもしれませんが、ゾラテックスには血栓塞栓症等の副作用があります。また、うつ状態の治療として、抗うつ薬「SSRI」や「SNRI」の使用の報告もありますが、いずれにしても、貴女の状態をいちばん把握して下さっている主治医の先生と十分相談の上、納得のいく治療を選択してください。(文責 須田)