55歳。37歳の時、乳がんが見つかり、3度も手術をしました。1度目、2度目は温存、3度目は37歳の時、全摘手術をしました。放射線、ゾラデックス、タモキシフェンの治療をしていました。3度目手術からタモキシフェン服用を続けていましたが、術後8年半で、鎖骨下に5ミリの腫瘤が見つかりました。造影剤CTの結果、腋窩リンパ節と肺に多発転移が見つかり、手術は出来ないとの事で、今後はフェマーラとベージニオの2種類の薬を内服していく予定です。
1)CT検査では、白い粒がいくつも写っていました。毎年1回の胸部X線と喀痰検査では異常なしでしたが、検査では見逃されてしまっていたのでしょうか?
2)ベージニオは、「ホルモン受容体陽性でHER2が陰性の場合に使用」とありますが、今そのような検査はしていません。検査をせずに使用しても良いのでしょうか? 少し不安です。
3)血液検査や腫瘍マーカーはずっと正常値でした。検査では異常がない場合もありますか? また、今後薬が効いているかどうかの判断は、CT検査で結果を診て行くのでしょうか?
4)手術が出来ないという事は、ステージがかなり進んでいるのでしょうか?リンパと肺転移で、余命はどのくらいですか? 怖いですが、だいたいの期限が分かれば準備もできます。今から新しい治療はとても不安で怖いです。
沢山の質問になりましたが、宜しくお願いいたします。
1) 貴女の乳がんの転移は、手術したときに既に肺に飛び火していた細胞が少しずつ育って、今回、CTで見える大きさになったということです。今までの検査で見逃されたというのではなく、今までの検査では見えなかったということです。疑問があるならば、先生に過去の写真を見せてもらってください。
2) 8年前であれば、まず間違いなく、ホルモン受容体(ER、PgR)とHer2の検査はしていると思います。その結果で貴女の術後治療がゾラデックス+タモキシフェンになったのだと思います。主治医の先生に確認してください。
3) 腫瘍マーカーは転移があっても上がらない場合もありますし、転移がなくて上がる場合もあります。転移があって、腫瘍マーカーが上がった場合のみ、治療経過を診ていくのに使えます。原則として、転移再発の治療経過は、転移と診断した画像検査を使って診ていきます。ですから、貴女の場合は、これから定期的にCT検査を行っていくことになります。
4) ステージというのは、原発乳がんの進み具合を表すために用いる指標です。ですから、転移再発のステージという指標はありません。転移再発の程度を表す指標の一つに、手術してから転移が見つかるまでの年数(無病期間)があります。その指標では、8年半というのは長い方です。余命を考える前に、フェマーラ+ベージニオという組み合わせの治療効果を見てみると、現在の転移巣が再び増悪するまでの期間(無増悪期間)の中央値(治療効果の短い人から長い人まで順番に並べた時の真ん中の人:100人治療したら治療効果の短い方から50番目の人(長い方から数えても50番目))は、28ヶ月です。一昔前は、転移が見つかったら残りの生存期間は約2年ですと言っていましたが、現在はサブタイプ別に薬が進化して、転移再発後5年10年生きている方もよく見かけるようになりました。貴女の乳がんは多分ルミナルA型だと思われますが、ホルモン療法がよく効くので、少なくとも4−5年(もちろんもっと長い可能性もあります)は生きられると思います。決して諦めずに、かといって過度の期待をすることなく、一日一日を大切に淡々と、貴女の乳がんと一緒にこれからの人生を歩んでください。(文責 清水)