50歳、閉経はまだの者です。乳癌検診にて 、「2016年 所見なし。 2018年 右乳房に線維腺腫疑い(精密検査は不要)。 2020年 右乳房に線維腺腫疑い(要精密検査)。」となりました。上記すべて違う医療機関です。
質問1) 同じ線維腺腫疑いなのに、2018年は精密検査不要、2020年は要精密検査と、違いがあるのは何故でしょうか? サイズが◯◯mm以上など規定があるのですか?
質問2) 2020年の結果後、精密検査を受け、5mmの線維腺腫と確定。しかし精密検査なのに、マンモとエコーのみで、針生検?はされませんでした。癌と区別をつけるために、針生検や組織診で確定診断をするとばかり思っていましたが、それはしなくても大丈夫なのでしょうか? ちなみにエコー画像は、黒いまるっとした見事な楕円が映っておりました。
線維腺腫は、10歳代後半から40歳代の女性に多くみられます。針生検などの病理検査で確定診断された場合、多くの腫瘍は、女性ホルモンの影響を受け、閉経後は縮小しますので、特別な治療の必要はありません。臨床上も画像上も線維腺腫に酷似した腫瘍として、葉状腫瘍があります。腫瘍が小さい場合、両者を区別することは困難ですが、ある時期に急速に大きくなることが、葉状腫瘍の特徴です。葉状腫瘍は、ほとんどが良性ですが、稀に悪性のものが有ります。小さな乳腺腫瘍で、臨床上または画像上線維腺腫と診断されている中には、葉状腫瘍も含まれていますので、急速に大きくなるかどうか、6~12ヶ月毎にフォローする必要が有ります。サイズについては、6か月後のフォローで明らかに増大傾向にあるもの、初診時巨大な(例えば5cm以上 )ものは要注意で、針生検などを勧め、病理診断をすることになります。
質問1)について
貴女の場合、検診ですので、画像診断で「線維腺腫疑い」となっています。乳がん検診の場合、腫瘤像を見つけ出すことが目的であり、その中から、乳腺外来で癌を見つけることになります。乳癌の中には、画像上線維腺腫に似た形の癌も無い訳ではないので、乳腺外来において、検診で線維腺腫疑いとして選ばれた人を病理検査し、その時点では乳癌は否定的であることを確認することになります。癌が否定的で、線維腺腫であった場合は、上記を参考にしてください。
質問2)について
貴女は2020年の検診で、画像上線維腺腫らしき腫瘤像が見られたので、念のため乳癌の精密医療機関で調べるグループに選ばれたことなります。そして、精密医療機関にある乳腺外来で、診察、エコーとマンモの2つの画像検査を受けて、5mmの線維腺腫という画像上の診断を受けたことになります。乳腺疾患の確定診断は、おっしゃるとおり、組織診での病理診断が確定診断です。画像診断は確定診断ではありません。従って、正確な表現をしますと、「精密医療機関の乳腺外来で2つの画像検査を受け、画像診断で線維腺腫ということになりましたが、病理診断をしていないので確定診断には至っていません。」ということになります。今回、病理診断をしなかった理由として、病変部が小さ過ぎて組織を採取することが困難であったことなどが考えられますが、今後、腫瘍が増大傾向になれば、針生検をすることになります。線維腺腫であれば、閉経後4~5年すると消失するかも知れませんが、それまでは6~12ヶ月毎に乳腺外来でのフォローをお勧めします。主治医とよく相談して、納得のいくフォローをしてもらいましょう。(文責 須田)