転移性の肺癌や肝臓癌ができると発熱することがあると聞きます。
1) その場合、どの程度の発熱で、どの程度続くものですか?
2) 発熱が長く続き、内科で原因不明となった場合、肺や肝臓への転移が疑われるのでしょうか?
3) 肺や肝臓への転移が疑われた場合、まず一番にするべき検査は何でしょうか? また、どういう検査で転移が確定されるのでしょうか?
4) 転移した肺癌や肝臓癌の治療は、どのように進められるのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
我々は多くの転移性癌を診ることがあるのですが、発熱を症状としたものは稀です。逆に発熱を来す疾患を挙げると、まずは感冒を含めた感染症でしょうが、鑑別疾患として膠原病や悪性腫瘍は知らなくてはなりません。ですが、この場合の悪性腫瘍は白血病や悪性リンパ腫であり、(乳癌のような)固形癌の転移が発熱を来すことはめったにありません。
また言葉の使い方ですが、肺に転移した「がん(悪性腫瘍の総称です)」のことは「転移性肺腫瘍」というのが正しく、「転移性肺癌」では他の癌が肺に転移したのか肺癌が他の臓器に転移したのか意味不明になります。貴女は『乳癌が肺に転移した』状態を言いたいのでしょうが、その場合は「乳癌肺転移」か「転移性肺腫瘍(乳癌原発)」と表現しないと質問の意味が判らなくなります。設問4)の『転移した肺癌や肝臓癌』は、『肺や肝臓に転移した乳癌』ということとしてお応えします。
1) 発熱を来す悪性腫瘍では、腫瘍が発熱物質を作っているのでしょうから、治療が奏効するまで続き得ると考えられます。不明熱で鑑別必要な場合は、まず感染症の有無から検査が始まると思いますが、原因不明で2週間以上続く場合に疑います。
2) まず感染症を疑うことから始めますが、不明熱の場合は肺炎や肝膿瘍・胆嚢炎も視野に入れて画像診断もするので、肺や肝臓に転移があれば鑑別診断上に上がって来ると思います。
3) 胸部X線や超音波検査でしょうが、CTまで行えばほぼ判明すると考えます。
4) 肺や肝臓に転移した乳癌には、化学療法(抗がん剤)や内分泌治療、適応があれば分子標的治療等の全身療法です。(文責 久保内)