11月中旬に乳癌の温存手術を受けました。年齢は38歳です。手術前、手術後は放射線治療があることを伝えられていました。リンパ節にも転移はなかったです。退院後の初めての外来で、充実腺管癌、切除断端 陰性、異形度 3、ki-67 50%、ER 陰性 0%、PGR 陰性 0%、HER2 陰性 0、トリプルネガティブ、ステージ Ⅱa、発生リスク 中間 30%再発の可能性があるということで、突然抗がん剤治療を勧められてショックを受けていて、抗がん剤治療を受けるべきか正直迷っています。再発しない確率80%が、抗がん剤治療することで86%になるそうで、その6%で副作用と髪が抜けるリスクを負う価値があるのか疑問もあります。もし抗がん剤治療をしない場合は、すぐに放射線治療が始まる予定だそうです。放射線治療だけだと、やはり再発し余命が短くなるのでしょうか?
ゆきさん、ご相談ありがとうございます。私の返事で疑問が少しでも解消すれば嬉しく思います。
ゆきさんは手術をお受けになったところ、トリプルネガティブ乳がんで、ステージIIaと診断されました。腫瘍径が記載されていませんが、リンパ節転移が無かったことから、腫瘍径は2.1cm以上5cm未満と想像します。 5mmを超えたトリプルネガティブ乳がんでは、化学療法を検討することが最近の乳がん標準治療となっています。詳細な腫瘍径がわからないため確率を再計算することは今回できませんが、いずれにしても放射線治療のみですと、全身の再発リスクを大きく下げることはできません。ただし、ゆきさんがおっしゃる様に副作用は必ずありますが、抗癌剤治療で再発を必ず防げるわけでもありません。抗癌剤をお受けになっても残念ながら再発してしまう方もいますし、抗癌剤治療を受けなくても再発しない方は一定割合でいます。しかし、ゆきさんご自身がどうなるのかは、今の医療技術では個別に判断はできません。そのため、私たちは再発リスクを低くすることができる可能性が高い治療をお勧めします。再発してしまうと根治は難しいと言われていますので、私がゆきさんの担当医であれば、抗癌剤治療をお受け頂くことをお勧めすると思います。再度ご担当先生とよくご相談の上、後悔の無い治療を選択して頂きたいと思います。(文責 斎藤)