No.12192 早期HER2型の抗がん剤について

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2019.03.28 hana (匿名) 0 Comments

こんにちは。初めて投稿させて頂きます。今年の初めに乳がんの診断を受けまして、先日右胸全摘手術を行いました。今後抗がん剤と分子標的約の治療を行うことになっているのですが、それについて悩んでいるので、こちらでご相談させて頂きたく思います。

浸潤性乳管癌 ホルモン受容体 両方陰性 HER2 強陽性(+++) リンパ節転移なし。核グレードは手術後の病理検査がまだなので分かりません。ステージは1か2aといわれています。手術前に、主治医の方から、「病理検査の結果にもよるが、抗がん剤についてはEC療法、その後タキサン系+ハーセプチンを考えている。」と、言われました。自分でいろいろ調べた所、早期ならばHER2陽性乳がん患者でも、アンスラサイクリン系の省略を考慮すべきというようなことが書いてある記事をいくつか見つけました。アンスラサイクリン系の抗がん剤は吐き気が強めで、また心毒性や白血病になる可能性もあるというのを目にし、できればEC療法は省略したいと考えています。そこで、

1. 私のような早期HER2乳がん患者でも、やはり主治医のすすめる通りEC療法を行うべきなのか

2. EC療法を省略可能とした場合、TC療法 THC療法があるようですが、どちらがいいのか (シクロフォスファミドとカルボプラチンのどちらが効果的なのか。カルボプラチンの方が、少し副作用がマシなようなので、効果が同じであればカルボプラチンにしたい)。

3. また、ハーセプチンは使用したいのですが、同じ分子標的薬であるパージェタも早期HER2乳がんに使えるようになったとのことで、ハーセプチンと併用してパージェタを使った方がいいのかということも悩んでいます。その他、ナブパクリタキセル(アブラキサン)とハーセプチン(+パージェタ)などもよさそうだと思ったのですが、これは標準治療ではないのでしょうか。値段が高いようなのですが、その他にも何かデメリットがあるのでしょうか。

同じ病気の方や医療関係者の方のご意見が伺えれば幸いです。宜しくお願い致します。

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2019.03.28 清水 0 コメント

 

  1. 現在の世界的なコンセンサスは、5mm未満の乳がんであれば、Her2 TypeでもTriple Negativeでも化学療法は不要とされています。言い換えると、5mm以上のHer2 Type乳がんには化学療法+抗Her2治療が推奨されます。どの治療法を選ぶかについては、NCCNのGuidelineでは、原則AC->Taxan+ハーセプチン+/-パージェタ、もしくはTCbHが標準とされていて、低リスクかつ並存疾患(心臓が悪い等)がある場合にはパクリタキセル+ハーセプチンでも良い、となっています。Her2乳がんは、ハーセプチンが出るまでは恐ろしい乳がんだったので、私は安易にAC、ECを省略すべきではないと考えています。EC,ACの長期合併症の一つである心不全の発症の確率は、術前術後に用いられる量の範囲では極めて低率ですし、最近デンマークから報告されたEC,ACとハーセプチンを併用した治療を受けた数千人の長期追跡調査の結果では、心不全の発症率は0.5%ということでした。白血病も重篤な副作用ですが、頻度は低いと言われています。今、目の前で問題になっている乳がんの転移再発のリスクの方が、遥かに高いと思います。また最近は、制吐剤がよくなっているので、実際問題として吐き気で困るという例は少なくなってきています。
  2. TCを使うというevidenceはないと思います。TCbH(乳がん領域でのCはシクロフォスファミドの略語で用いられるので、カルボプラチンはCbと略します)は、効果の面では良い治療法です。しかし、カルボプラチンの副作用はECよりきついです。どうしてもECを避けたいのであればTCbH 6コースがお勧めです。治療期間も18週と短くなります。
  3.  アブラキサンは再発乳がんには使えますが、術前術後に使うことは認められていません。パージェタをハーセプチンに足すか足さないかは、現時点で議論が分かれています。臨床試験の結果、ハーセプチンにパージェタを足した方が、転移再発が減少したので、厚労省はパージェタの術前術後での使用を許可しました。しかし、その中で、転移リスクの少ない患者さんでは追加効果がなかったことから、転移再発のリスクが高い場合に追加するようにと勧められています。この場合、何をもって転移再発のリスクが高い(低い)というのかが議論の対象です。一般的には腫瘤径20mm以下(T1)かつリンパ節転移陰性(N0)でれあば追加しないというのが、概ねの合意ではないかと考えていますが、術前の場合は正確なリンパ節転移の有無はわかりませんから、パージェタを追加するかどうかの判断は難しいと思います。主治医の先生の考えもあると思うので、よく相談してください。(文責 清水)
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