妻が、12年ほど前に左乳房手術(脇のリンパ転移あり)、2年後に胸椎骨転移しこれまで治療(抗がん剤治療、タキサン系2回 ゾメタ月一回)をしてきましたが、10年目(2014年)に多発性骨転移、鎖骨下リンパ転移し、今年2月の検診で、鎖骨下リンパ転移拡大、 癌性胸膜炎と診断されました。これまでのホルモン療法は中止になりました。今の症状は、胸水はたまっておりませんが、咳は少しあります。3月より抗がん剤(ハラベン)治療を開始いたしますが、現在の状況(癌性胸膜炎)は予後は厳しいのでしょうか? ネット検索では、半年~1年とあります。
乳がんが転移した人の生存期間の中央値(転移した方を生存期間の短い人から順に並べて真ん中の人の生存期間)は2年から2年半と言われています。その意味では奥様は転移して10年経過していますから、すでに非常に長期生存している方になります。愛する人がいつまでも元気でいて欲しいという気持ちを持つことは極めて自然な欲求ですが、残念ながら病気の方もどんなに治療をしても加齢と同じで少しずつ悪化することは避けられません。あとはその速度が速いか遅いかの違いです。奥様のがんはどちらかと言えば増殖速度の遅いがんですから、一般的には、あと半年、1年ということはないように思います。また、癌性胸膜炎も病状としては一歩進んだ状況ですが、それが原因で命を落とす事は少ないと思います。しかし、ゆっくりしていたがんが急にその増殖速度を速めることもありますし、ゆっくりしたがんだが、致命的な部位に転移してしまいそれが原因で命を落とすこともありえますので、安心してばかりはいられません。急な変化を覚悟しつつ見守ってあげるしかありません。奥様に今必要なことは、これから行う治療の効果と副作用の話を一緒に聞いてあげて考えてあげる事、その治療に伴って起こる奥様の不自由さをご家族としてどうカバーしてあげるのかを考える事、そして何よりも貴方が、心の底は不安で一杯であったとしても、大丈夫と信じて気丈に振舞ってあげることが必要かもしれません。(文責 清水)