ご相談させていただけることを心より感謝いたします。よろしくお願い申し上げます。4年前マンモグラフィーに右乳房下(胸壁5mm弱上、マンモ ギリギリ)に石灰化があり、今年7月針生検後、「右乳房に非浸潤性乳管癌がある(1~2.5cm)」と言われました。放射線治療が負担で全摘をお願いしたところ、部分切除を勧められ、8月右乳房部分切除手術(2cm円状切除)、センチネルリンパ節生検 転移なしで、10月放射線25回終了しました。病理検査説明時 「DCISで薬剤治療はありません。とり切れているが、乳房が小さく、乳首下、切除マージン2cmは確保でき、8cm切れたが、高さは胸壁から5mmないうえ、皮膚側も2cmの切除マージンはとれなかった、仕方がないんです。」と明るく言われました。全摘でもよかったし、乳房が小さいのは術前からわかることだし、術後に仕方なかったと言われる意味がわからず、再度確認しましたが、「放射線しているから全摘と同じです。」と言われました。病理結果を教えてほしいと頼みましたが、「DCISだから特に何も調べてないんです」と言われ、検査や病理結果のデータはいただけていません。「3か月ごとに腫瘍マーカー検査をするし、年一回CT検査等もするから大丈夫だが、心配ならホルモンはプラスなので、ホルモン薬治療をしますか。」と言われています。
1)術後わざわざ切除マージンについて言うのはなぜでしょうか?
2)切除マージン2cmは横がとれていれば 高さはあまり関係ないのでしょうか?
3)「仕方がない」というのは どんなリスクがあるからでしょうか?
4)全摘すれば解決していたのでしょうか? 病巣が胸筋から5mmもない場合は全摘しても同じですか?
5)ホルモン治療は必要ないでしょうか?
勉強不足で自分勝手な解釈等の質問をお許しください。どうぞよろしくお願い申し上げます。
1)切除マージンについて説明したのは、担当医が正直でまじめな先生だからだと思います。また どんな乳癌でも100%再発しないと言う保証はできないので、非浸潤がんということで患者さんが安心して、定期的に受診しなくなることのないように話をされたのではと推察します。
2)関係なくはありません。切除マージンは横2cmがとれていても、腫瘍が胸壁から5mmしか離れていなかったので、後方のマージンは、近接の筋肉や肋骨を削らなければ、0.5cm前後となります。解剖学的にこれ以上マージンを取るのは無理ということになります。
3)マージンを多くとれば、それだけ多くの組織を切除すれば、局所再発の可能性は一般的には軽減すると考えられていますが、それだけ整容性(美容)にも問題が生じてくるわけです。再発(取り残し)のリスクとの兼ね合いで、そのような手術方法になったと思います。この術式で再発する可能性は少ないと、判断したのだと考えます。さらに少しでもリスクを軽減するために、術後放射線照射も施行されています。一般的に、非浸潤がんで、このような状況で行われた手術術式は標準的だと考えます。
4)胸筋から5mmもない場合は、乳腺全摘でも状況は同じです。
5)必須ではないと思いますが、ホルモン受容体は陽性で乳腺も残っているので、副作用・費用など気にならなければ、どちらかといえばホルモン治療は個人的にお勧めします。(文責 石川)