40才。数日前に乳癌の温存手術を受けました。術中1回目の切除では断端陽性。2回目追加切除し、術中の病理検査では陰性を確認し、終了しました。術後 病理診断の結果、内側の側方にin situ carcinomaが露出(#7)、乳頭側の切除断端(F#7)では、凍後標本においてatypical ductal hyperplasia相当の乳管内病変あり。断端陽性のため、放射線治療を本来なら50グレイのところを追加で60グレイ実施しましょうと言われました。自分なりに調べたところ、断端陽性の場合は、陰性になるまで切除・または全摘する場合が多いようですが、このまま放射線治療とホルモン療法で良いのでしょうか? 追加切除を希望するなら乳頭は残せないと言われました。乳頭を残せないのであれば全摘術なのですが…。放射線+ホルモン療法と全摘術では、局所再発率は大きく変化するのでしょうか? 主治医の先生がおっしゃるには、私の癌はおとなしい性質だとのことで、抗がん剤はなし、ホルモン療法もノルバデックスのみでいいそうです。
術式右乳房円状部分切除術
局在部位:右A
大きさ:1.1×0.8Cm
組織型:硬癌
核グレード:1
核異型スコア:2
核分裂象スコア:1
T因子:pT1c
癌波及度:F
リンパ管侵襲:ly0
静脈侵襲:v0
リンパ節転移:pN0(0/1)
センチネル:(0/1)
ER:100% PgR:100% HER2:score0 Ki67:平均10% hotspot20%
乳房温存療法『乳房温存手術+乳房照射(放射線治療)』と乳房切除術(いわゆる全摘)とは、同等の治療成績であることが分かっています。現在貴女は乳房温存療法の途中で、乳房温存手術が終わったところですが、ここで問題が出現したわけです。手術中、断端は陰性でしたが、永久標本では、わずかに断端陽性が認められたことから、このまま温存療法を続けるべきか、または全摘に変更するか迷いが生じたのだと思います。この場合、選択肢として、以下の3つが考えられます。
1)更に追加で乳頭まで切除し、その後、放射線治療を行う。(乳房温存療法)
2)わずかながら断端陽性であるので、乳頭を温存し、その部位に10グレイの追加照射を行う。(乳房温存療法)
3)断端陽性なので、乳房切除術(全摘)の変更し、放射線治療は行わない。
ホルモン療法については、どの場合でも引き続き行うことになります。温存療法と全摘での治療成績が同じであるということは、局所の再発率については放射線治療では100%防ぐことはできませんが、生存率についても同等であるということです。いずれにしても納得のいく治療法を選択することが大切だと思いますので、貴女の状態を一番把握してくださっている主治医の先生と充分にご相談なさってください。(文責 須田)